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特許7172803光デバイス及びそれを用いた光送受信装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】光デバイス及びそれを用いた光送受信装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20221109BHJP
   G02B 6/30 20060101ALI20221109BHJP
   G02F 1/035 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G02F1/01 C
G02B6/30
G02F1/035
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019067753
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166166
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝知
(72)【発明者】
【氏名】高野 真悟
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-084090(JP,A)
【文献】特開2011-186170(JP,A)
【文献】特開2018-173595(JP,A)
【文献】特開2001-350046(JP,A)
【文献】特開2003-279769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0201686(US,A1)
【文献】特開2015-69162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
G02B 6/12-6/14
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を有する基板と、
該基板は、平面視した形状が対向する長辺と対向する短辺とを有する第1の面を備え、
該第1の面上には、少なくとも一方の該短辺に接する入射用又は出射用の端部を有する光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極とが形成され、
該光導波路の該端部が配置される該短辺に沿って該基板上に配置される補強部材と、
該光導波路の該端部に対向して該基板の外部に配置される反射部材とを有する光デバイスにおいて、
該反射部材は、該光導波路に入射又は該光導波路から出射する光波を、該基板の長辺方向に対して折り返す方向に光路を変換して該基板の外部を伝搬するよう構成しており、
さらに、該反射部材は、該短辺に位置する該基板の端面と該補強部材の端面に接合領域で接合され、
該長辺の延伸方向から平面視した場合、該反射部材と該基板の端面とが接合される該接合領域の形状は、該短辺上における該光導波路の該端部の配置形状の中心点、又は該光導波路で該端部に近い分岐用又は合波用の分岐導波路部の配置形状の対称軸であり、該長辺と同じ方向に延びる該対称軸が該短辺と交差する点に対して短辺の延伸方向に対称となるよう設定されていることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光デバイスにおいて、該長辺の延伸方向から平面視した場合、該反射部材と該基板又は該補強部材との接合部分では、該接合領域を取り囲む該反射部材の外周面の少なくとも一部と、該接合領域を取り囲む該基板又は該補強部材の外周面の少なくとも一部とは、連続した面となるように設定されていることを特徴とする光デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の光デバイスにおいて、該反射部材の接合領域の面積が、該基板の端面と該補強部材の端面とが形成する端面領域の面積より小さいことを特徴とする光デバイス。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の光デバイスにおいて、該反射部材は少なくとも2つの反射面を有し、該光導波路に入射又は該光導波路から出射する光波を、該基板の長辺方向に対して折り返す方向に光路を変換するよう構成されていることを特徴とする光デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の光デバイスにおいて、該光導波路から出射された後に該反射部材で折り返された光路、または該光導波路に入射される光路であって該反射部材で折り返される前の光路は、該基板の第1の面が形成する平面よりも上方を通過するよう設定されていることを特徴とする光デバイス。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光デバイスにおいて、該基板と該反射部材は筐体内に収容され、該筐体に対して、該基板は固定されるが、該反射部材は固定されていないことを特徴とする光デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の光デバイスにおいて、該基板と該反射部材及び中継基板は筐体内に収容され、該制御電極の高周波信号を入力する電気信号入力部が、該基板に対して該反射部材が配置された側の筐体側壁に配置され、該高周波信号は、該中継基板に形成された中継線路を介して、該電気信号入力部から該基板の長辺側に設けられた該制御電極の入力部に伝送されていることを特徴とする光デバイス。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の光デバイスは光変調器であり、さらに光受信器を備えたことを特徴とする光送受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス及びそれを用いた光送受信装置に関し、特に、光導波路や制御電極を形成した電気光学基板に反射部材を接合した光デバイス及びそれを用いた光送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信分野や光計測分野において、種々の光変調器などの光デバイスが多用されている。図1に示す従来の光デバイスでは、特許文献1に示す光変調器のように、平面視した形状が略長方形の電気光学基板1(基板1)に光導波路2や制御電極(不図示)が形成されており、略長方形の両短辺に光波の入力用及び出力用の2つの光ファイバ(31,32)が直接接続されている。符号4は基板1を収容する筐体である。
【0003】
図1のような光デバイスは、両端から光ファイバが導出されているため、デバイス自体のサイズが大きくなるだけでなく、光デバイスを光送受信装置などのユニットに組み込む際には、筐体4の外部の光ファイバ(31,32)を曲げて実装することが行われており、光デバイスの実装に係る面積が大きくなるという問題を生じている。
【0004】
光デバイスの実装面積を削減するため、特許文献2では図2に示すように、光デバイスに接続される入力用又は出力用の光ファイバ(図2では入力用光ファイバ31)を、レンズ付きの光路変換素子(反射部材)50を使用して任意の角度、例えば90度に曲げる方法が提案されている。符号51は、光ファイバ31を光路変換素子50に直接接合するためのフェルールであり、符号52は、光導波路2から出射される複数の光波を偏波合成するための偏波合成手段である。
【0005】
また、特許文献3では図3に示すように、入力用光ファイバ31と出力用光ファイバ32を筐体4に対して同じ側壁に配置している。筐体内では2つのプリズム(R1,R2)を用いて光路を折り返す方法が提案されている。符号L1~L3は集光又はコリメート用のレンズであり、符号53は偏波合成手段を示している。
【0006】
図2のような光デバイスでは、レンズ付き光路変換素子50と角度や位置を正確に調整し、光ファイバ31の出射端部と光導波路2の入射端部21の光軸を合わせることが必要となる。しかしながら、この調整に係る作業は極めて煩雑であり、多くの労力と時間を必要とする。
【0007】
しかも、筐体4内で基板1と光路変換素子50とを接着剤などで接合した場合、温度変化により発生する内部応力は、基板1と光路変換素子50との接合部分に集中しやすい。特に基板1と光路変換素子50とが異なる材料の場合は顕著である。このため当該内部応力が光導波路の端部に伝わり、結果的に光導波路の屈折率変化による偏波歪みの発生や、光軸のズレなどの不具合を生じる。
【0008】
また、図3のような光デバイスでは、光路変換手段である2つのプリズム(R1,R2)の位置及び角度を正確に合わせる必要があり、多くの労力や時間を要する。しかも、反射面がプリズム毎に独立しており、各プリズムは筐体4に接着固定されているため、温度変化により光学部品の位置や角度が微妙に変化し、光損失変動なども発生し易くなる。
【0009】
しかも、光変調器などの光デバイスにおいては、複数のマッハツェンダー型光導波路を入れ子状に組み合わせた、所謂、ネスト型光導波路のように、光導波路の集積化が進んでおり、しかも光変調素子を構成する基板1のサイズをより小さくするため、基板1の短辺側端部から光変調器のマッハツェンダー干渉計部(以下MZ部)や、MZ部への入射前で単に光を分岐する分岐部などまでの距離も極めて短くなっている。このため、基板1の短辺側端部で発生する内部応力は、該端部に留まらず、MZ部や分岐部にまでその影響が及んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2004-125854号公報
【文献】特開2018-55017号公報
【文献】特開2018-72605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、電気光学基板と反射部材とを接合した際でも、両者の接合部分に発生する内部応力の影響を抑制し、光損失等の変動の少ない光デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の光デバイスは、以下の技術的特徴を有する。
(1) 電気光学効果を有する基板と、該基板は、平面視した形状が対向する長辺と対向する短辺とを有する第1の面を備え、該第1の面上には、少なくとも一方の該短辺に接する入射用又は出射用の端部を有する光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極とが形成され、該光導波路の該端部が配置される該短辺に沿って該基板上に配置される補強部材と、該光導波路の該端部に対向して該基板の外部に配置される反射部材とを有する光デバイスにおいて、該反射部材は、該光導波路に入射又は該光導波路から出射する光波を、該基板の長辺方向に対して折り返す方向に光路を変換して該基板の外部を伝搬するよう構成しており、さらに、該反射部材は、該短辺に位置する該基板の端面と該補強部材の端面に接合領域で接合され、該長辺の延伸方向から平面視した場合、該反射部材と該基板の端面とが接合される該接合領域の形状は、該短辺上における該光導波路の該端部の配置形状の中心点、又は該光導波路で該端部に近い分岐用又は合波用の分岐導波路部の配置形状の対称軸であり、該長辺と同じ方向に延びる該対称軸が該短辺と交差する点に対して短辺の延伸方向に対称となるよう設定されていることを特徴とする。
【0013】
(2) 上記(1)に記載の光デバイスにおいて、該長辺の延伸方向から平面視した場合、該反射部材と該基板又は該補強部材との接合部分では、該接合領域を取り囲む該反射部材の外周面の少なくとも一部と、該接合領域を取り囲む該基板又は該補強部材の外周面の少なくとも一部とは、連続した面となるように設定されていることを特徴とする。
【0014】
(3) 上記(1)に記載の光デバイスにおいて、該反射部材の接合領域の面積が、該基板の端面と該補強部材の端面とが形成する端面領域の面積より小さいことを特徴とする。
【0015】
(4) 上記(1)乃至(3)に記載の光デバイスにおいて、該反射部材は少なくとも2つの反射面を有し、該光導波路に入射又は該光導波路から出射する光波を、該基板の長辺方向に対して折り返す方向に光路を変換するよう構成されていることを特徴とする。
【0016】
(5) 上記(4)に記載の光デバイスにおいて、該光導波路から出射された後に該反射部材で折り返された光路、または該光導波路に入射される光路であって該反射部材で折り返される前の光路は、該基板の第1の面が形成する平面よりも上方を通過するよう設定されていることを特徴とする。
【0017】
(6) 上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の光デバイスにおいて、該基板と該反射部材は筐体内に収容され、該筐体に対して、該基板は固定されるが、該反射部材は固定されていないことを特徴とする。
【0018】
(7) 上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の光デバイスにおいて、該基板と該反射部材及び中継基板は筐体内に収容され、該制御電極の高周波信号を入力する電気信号入力部が、該基板に対して該反射部材が配置された側の筐体側壁に配置され、該高周波信号は、該中継基板に形成された中継線路を介して、該電気信号入力部から該基板の長辺側に設けられた該制御電極の入力部に伝送されていることを特徴とする。
【0019】
(8)上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の光デバイスは光変調器であり、さらに光受信器を備えたことを特徴とする光送受信装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、電気光学効果を有する基板と、該基板は、平面視した形状が対向する長辺と対向する短辺とを有する第1の面を備え、該第1の面上には、少なくとも一方の該短辺に接する入射用又は出射用の端部を有する光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極とが形成され、該光導波路の該端部が配置される該短辺に沿って該基板上に配置される補強部材と、該光導波路の該端部に対向して該基板の外部に配置される反射部材とを有する光デバイスにおいて、該反射部材は、該光導波路に入射又は該光導波路から出射する光波を、該基板の長辺方向に対して折り返す方向に光路を変換して該基板の外部を伝搬するよう構成しており、さらに、該反射部材は、該短辺に位置する該基板の端面と該補強部材の端面に接合領域で接合され、該長辺の延伸方向から平面視した場合、該反射部材と該基板の端面とが接合される該接合領域の形状は、該短辺上における該光導波路の該端部の配置形状の中心点、又は該光導波路で該端部に近い分岐用又は合波用の分岐導波路部の配置形状の対称軸であり、該長辺と同じ方向に延びる該対称軸が該短辺と交差する点に対して短辺の延伸方向に対称となるよう設定されているため、以下のような効果が期待できる。
基板と反射部材との接合部に発生する内部応力が、基板端部の光導波路の配置の中心点に対して対称に分布することとなるため、該光導波路端部における光導波路に伝わる内部応力が光導波路端部に対して左右均等となり、光波の偏波の変化が抑制され変調光の品質劣化を低減することができる。
また、光導波路のMZ部や分岐部に達する内部応力に対しても、MZ部や分岐部を構成する分岐導波路部の配置形状の対称軸に対して略対称に分布することとなるため、変調光の品質の劣化等を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来の光デバイス(入出力用光ファイバを直線状に配置)を示す図である。
図2】従来の光デバイス(入出力用光ファイバを直角に配置)を示す図である。
図3】従来の光デバイス(入出力用光ファイバを折り返して配置)を示す図である。
図4】本発明の光デバイスに係る第1実施例を説明する図である。
図5】本発明の光デバイスにおける基板と反射部材との接合状況を説明する図である。
図6】本発明の光デバイスの基板と反射部材との接合を説明する平面図である。
図7図6の光デバイスの一点鎖線X-X’における断面図である。
図8図6の光デバイスの一点鎖線Y-Y’における断面図である。
図9図8に係る応用例(その1)を示す図である。
図10図8に係る応用例(その2)を示す図である。
図11】光導波路の端部等が基板の短辺方向の中心からずれた場合を説明する図である。
図12図11の光デバイスの一点鎖線Y-Y’における断面図である。
図13】反射部材の他の形状(その1)を説明する図である。
図14図13の基板と反射部材との接合状況を説明する図である。
図15図13に用いた反射部材に目印を設けた例を説明する図である。
図16】反射部材の他の形状(その2)を説明する図である。
図17図16に用いた反射部材の切り欠きを説明する図である。
図18】本発明の光デバイスに係る第2実施例を説明する図である。
図19図18の光デバイスの一点鎖線X-X’における断面図である。
図20図18の光デバイスの一点鎖線Y-Y’における断面図である。
図21図20に係る応用例(その1)を示す図である。
図22図20に係る応用例(その2)を示す図である。
図23】本発明の光デバイスに係る第3実施例を説明する図である。
図24図23に用いた反射部材の切り欠きを説明する図である。
図25】本発明の光デバイスに係る第4実施例を説明する図である。
図26】本発明の光デバイスに係る第5実施例を説明する図である。
図27】本発明の光デバイスに係る第6実施例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の光デバイスについて、好適例を用いて詳細に説明する。
本発明の光デバイスは、図4及び5に示すように、電気光学効果を有する基板1と、該基板は、平面視した形状が対向する長辺と対向する短辺とを有する第1の面を備え、該第1の面上には、少なくとも一方の該短辺に接する入射用又は出射用の端部を有する光導波路2と、該光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極(不図示)とが形成され、該光導波路の該端部が配置される該短辺に沿って該基板上に配置される補強部材10と、該光導波路の該端部に対向して該基板の外部に配置される反射部材Rとを有する光デバイスにおいて、該反射部材Rは、該短辺に位置する該基板の端面と該補強部材の端面に接合領域で接合され、該長辺の延伸方向から平面視した場合、該反射部材と該基板の端面とが接合される該接合領域の形状は、該短辺上における該光導波路の該端部の配置形状の中心点C1、又は該光導波路で該端部に近い分岐用又は合波用の分岐導波路部の配置形状の対称軸であり、該長辺と同じ方向に延びる該対称軸が該短辺と交差する点C2に対して短辺の延伸方向に対称となるよう設定されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の光デバイスで使用する電気光学効果を有する基板1としては、ニオブ酸リチウム(LN)やタンタル酸リチウム、ジルコン酸チタン酸ランタン(PLZT)などの結晶材料や、InPなどの半導体基板、EOポリマー材料などを用いることができる。光導波路の形成方法としては、例えば、ニオブ酸リチウム基板(LN基板)上にチタン(Ti)などの高屈折率物質を熱拡散する方法やプロトン交換法などにより形成される。また、基板1に凹凸を形成してリッジ型導波路を形成することも可能である。
【0024】
制御電極には、光導波路に変調信号による電界を印加する変調電極や、DCバイアス電圧による電界を印加するDC電極がある。これら制御電極は、基板表面に、Ti・Auの電極パターンを形成し、金メッキ方法などにより形成することが可能である。さらに、必要に応じて光導波路形成後の基板表面に誘電体SiO等のバッファ層を設けることも可能である。
【0025】
図4は本発明の光デバイスの一例を示す平面図である。図4の光デバイスでは、入力用光ファイバ31と出力用光ファイバ32とは筐体4の同じ側壁から筐体内に導入され、筐体内で折り返し光路を形成している。光ファイバ31からの出射光は、集光レンズLにより、基板1に形成された光導波路2の入射端部に集光されている。また、折り返し光路を形成するため、反射部材Rを設けている。基板1の短辺側の端部には、基板上に補強部材10が接合固定され、さらに、基板1と補強部材10の同一端面に反射部材Rが接着剤で接合されている。以下では補強部材10を利用する例を中心に説明するが、補強部材が無い場合であっても、本発明の基本的な考え方が適用できることは、言うまでもない。また、光路の向き(光波の伝搬方向)は図4と逆の方向としてもよい。
【0026】
図4における反射部材Rは、2つの反射面を形成したものであるが、反射面の数は、2つに限定されるものではなく、3つ以上又は1つであっても良い。なお、複数の反射面を有する反射部材を用いることで、個々の反射面を別個の反射部材で形成する場合と比較し、温度変化に起因する光損失変動を低減することが可能となる。
また、2つ又はそれ以上の反射面を有する反射部材は1つのプリズムで形成してもよいし、もしくは1つの反射面を持つ2つ又はそれ以上のプリズムを筐体とは別に用意された共通の固定部材に固定配置したものを用いてもよい。これにより、光軸の角度ズレへの許容度が増すことが可能となる。
さらに、図2の従来例に示すように、反射部材Rは、反射面の一部にレンズ機能を付加することも可能である。
【0027】
図5は、基板1と反射部材Rとの接合部分を拡大して示したものである。図5では、光導波路2の配置等を見易くするため、補強部材の図示を省略している。点線Aの部分は、基板1と反射部材Rとを光学接着剤等で接合する部分を示している。本発明では、基板(補強部材)と反射部材とが互いに接合している点線Aの領域を「接合部分」と称している。点線Aの部分では、接合領域内で接着剤が硬化収縮することにより内部応力が発生する。また、接合領域の外周付近にも接着剤がはみ出し、その接着剤が硬化収縮することにより内部応力が発生することとなる。内部応力は、接合面に露出した光導波路2の入射端部に加わり、光導波路の屈折率変化(偏波の歪みや偏光状態の変化など)を発生させる。これにより消光比や変調効率が劣化し変調光の品質の劣化が生じる。
また、複数の光導波路の端部が接合面に露出している場合(例えば、図27参照)には、光導波路毎の屈折率の変化が異なるため光導波路間の相対的な偏波状態が大きく異なり更なる変調光の品質の劣化を発生する可能性がある。
【0028】
また、近年の光変調器などでは、光デバイスの小型化に関するニーズを反映して、図5のように、基板1の短辺端部の近くに配置される、光導波路のMZ部の分岐部や合波部、あるいは光導波路のY字型分岐部やY字型合波部などの分岐導波路部と、該短辺端部との距離Sが小さくなっている。なお、「Y字型分岐部」の一例としては、ネスト型導波路の最初の分岐部や、DP-QPSK変調器のようにX偏波用MZ部とY偏波用MZ部への入射前で単にX偏波用とY偏波用に光を分岐する分岐部などが該当する。このため、接合部分Aではみ出した接着剤による内部応力は、分岐導波路部まで到達する可能性がある。このため、分岐導波路部に対してアンバランスな内部応力が加わると、分岐比が非対称となったり、変調部毎に異なった位相差が発生し、変調信号の歪みなどの悪影響を生じる。このような悪影響は、基板が複数のMZ部からなる変調部を備え、複数の変調信号で異なった変調を行っている場合には、特に顕著となる。
【0029】
接合部分Aにおける上述した不具合を解消するため、本発明の光デバイスでは、反射部材Rと基板1の端面とが接合される接合領域の形状は、該基板1の上面(第1の面)の短辺(図5の点a1と点a2を結ぶ線は、該短辺の一部となる)上において、接合面に露出している光導波路の端部の配置形状の中心点C1に対して、該短辺の延伸方向に対称となるよう設定している。
【0030】
また、該接合領域の形状は、該短辺上において、平面視した際の基板1の長辺と同じ方向に延びる対称軸(光導波路の端部に近い分岐用又は合波用の分岐導波路部の配置形状の対称軸。図5の二点鎖線参照)が該短辺と交差する点C2に対して、該短辺の延伸方向に対称となるよう設定しても良い。
【0031】
上述した中心点C1と交点C2が一致している場合は、対称の基準となる点は同一点となるが、図5のように両者の位置が異なる場合には、光導波路の端部に加わる内部応力と、MZ部や分岐部の分岐導波路部に加わる内部応力のいずれを重視するかによって、中心点C1または交点C2のどちらかの基準点を選択することが可能である。
【0032】
このように設定すると、点C1又はC2に対して内部応力を対称に分布させることが可能となり、光導波路の端部やMZ部や分岐部の分岐導波路部に対する内部応力のアンバランスを解消することが可能となる。その結果、接着剤の硬化時や硬化後の環境温度の変動時における光導波路の端部での屈折率変化(偏波の歪みなど)や分岐導波路部へのアンバランスな応力による光デバイスの変調特性の劣化などを抑制することができる。
【0033】
分岐導波路部については、ネスト型光導波路やDP-QPSK変調器の光導波路では、複数段の分岐導波路部が設けられている。本発明では、基板の短辺側に最も近い分岐導波路部に着目し、対称軸を設定している。
ただし、ネスト型光導波路や多波長用変調器(MZ部間で使用波長が異なる)のように複数のMZ部が並列に配置されている場合には、上記接合領域の短辺方向の中心は複数のMZ部の配置形状の対称軸上に配置してもよい。
また、ネスト型光導波路のように基板の短辺側の近くに親MZ部の分岐部が配置されている場合には、上記接合領域の短辺方向の中心は光導波路端部に対し最も近傍の親MZ部の対称軸上に配置してもよい。
これにより複数のMZ部に影響する応力は上記対称軸に対してほぼ対称となるため変調特性劣化の偏りを小さくすることができる。
【0034】
基板1や反射部材Rは、図4に示すように、筐体4内に収容されている。筐体内では、基板1は筐体4に固定されるが、反射部材Rは筐体4に固定されていない。このため筐体内の温度が変化した場合でも、反射部材Rを筐体4に固定した場合と比較してその固定部から生じる応力がなくなるため、反射部材Rを介して基板1に加わる応力源を減少することができる。
【0035】
また、特に筐体4と反射部材Rの線膨張率が異なる場合には、温度変化により反射部材Rが伸縮した場合でも、反射部材Rが筐体4に固定されていないため、伸縮による内部応力が基板1に加わることを抑制することが可能となる。このため筐体4内の温度が変化した場合でも、光デバイスの変調特性の劣化などを抑制することができる。
【0036】
さらに、集光レンズLを収容するレンズ鏡筒を反射部材Rに接合し、該レンズ鏡筒を筐体4の所定位置に固定することで、基板1とレンズ鏡筒の両者で反射部材Rを支持するよう構成することも可能である。
また筐体4内の温度変化時における変調特性の劣化抑制の観点から、該レンズ鏡筒及び反射部材Rを筐体4に固定しない構成は該筐体4から該レンズ鏡筒及び反射部材Rへの応力の影響をなくすことができるためより好適である。
なお、集光レンズLとしては屈折率分布型(GRIN)レンズを用いることもできる。特に光ファイバの外径に近い外径を有する小型の屈折率分布型レンズは軽量なため、集光レンズLを筐体4に固定せず反射部材Rのみに固定する場合により好適である。
屈折率分布型レンズはレンズ鏡筒を用いずに光ファイバと融着して固定してもよいし、レンズ鏡筒を用いて光ファイバと固定してもよい。
【0037】
以下に、基板1や補強部材10と反射部材Rとの接合領域の形状について、詳細に説明する。図6は、図4の光デバイスにおける基板1、補強部材10及び反射部材Rを抜き出して示した平面図である。
ただし、図4では、基板1に形成された光導波路2の端部(基板1の左端側の端部)の位置が、基板1の短辺の中央とほぼ一致しているのに対し、図6では、光導波路2の端部の位置C1が、基板1の短辺の中央と一致していない点で異なっている。
また、図7図6の一点鎖線X-X’における断面図、図8図6の一点鎖線Y-Y’における断面図を各々示す。図6乃至8では、光導波路2の端部C1を基準点として接合領域の形状を設定している。
【0038】
図8の例では、反射部材Rの厚み(図面の縦方向の厚み)は、基板1の厚みと補強部材10の厚みを合わせたものと一致している。このため、反射部材Rの上面は補強部材10の上面と連続した同一平面を形成している。また、反射部材Rの下面は、基板1の下面と連続した同一平面を形成している。このように、図8では、反射部材Rの2つの辺に沿って連続した面を形成している。
【0039】
このように、反射部材Rと基板1又は補強部材10との接合部分では、該反射部材の該接合領域(斜線部分)を取り囲む外周面の少なくとも一部と、該基板又は該補強部材の該接合領域を取り囲む外周面の少なくとも一部とは、連続した面となるように設定している。このような連続した面を設けることにより、接合部分ではみ出した接着剤を拭き取り易くなる。はみ出した接着剤を拭き取ることは、接着剤の硬化収縮による内部応力の発生を、より少なくすることに繋がる。
【0040】
また連続した面を形成するよう設計することは、反射部材Rと基板1又は補強部材10との位置合わせを、各部材の辺を基準に行うことができ、組み立て作業の容易化にも寄与する。
【0041】
図9は、図8よりも反射部材の厚みd(図面の縦方向)を薄くした場合の例である。この場合は反射部材Rの一面(ここでは反射部材Rの下面)は、基板1の一面(ここでは基板1の下面)と連続した面を形成している。
【0042】
図10は、図8よりも反射部材Rの厚みdを厚くした場合の例である。この場合も反射部材Rの下面は基板1の一面と一致している。よって、1つの辺に沿って連続した面を形成している。
【0043】
図8乃至10のいずれにおいても、接合領域(斜線部分)の形状は、基板1の上面(第1の面)の短辺(図面の基板1と補強部材10との境界線)上において、光導波路2の中心点に対して対称となるように設定されている。当然、短辺の延伸方向に対する対称の基準点を、光導波路の端部に近い分岐導波路部の対称軸が短辺と交差する点に設定することも可能である。
【0044】
図6では、基板1に形成された光導波路2の端部(基板1の左端側の端部)の位置が、基板1の該短辺の中央から外れる例を示した。本発明は、このような基板に限らず、図1の従来例に示すように、光導波路の端部の位置や上述した対称軸と短辺とが交差する点の位置が、基板1の該短辺の中央に位置するものも採用できることは、言うまでもない。
【0045】
図11は、基板1に形成された光導波路2の分岐部の対称軸(二点鎖線)が、基板1の短辺の中央から外れている例を示している。図12は、図11の一点鎖線Y-Y’における断面図である。
【0046】
図11及び12においては、接合領域(図12の斜線部分)の形状は、基板1の短辺の延伸方向(図面の左右方向)の中央に、上述した対称軸(二点鎖線)と短辺との交点(C2)が配置されている。当然、上記接合領域の形状を、光導波路の端部(C1)が当該短辺の延伸方向の中央に位置するよう構成することも可能である。
【0047】
また、図11に示すように光導波路の端部の位置(C1)や上述した対称軸と短辺とが交差する点の位置(C2)が基板1の該短辺の中央から短辺方向にずれている基板1を採用する場合は、反射部材Rを前記交差する点等の位置のずれている方向にシフトして配置されるため、反射部材Rの幅wを狭くすることができ、結果として反射部材Rの全体のサイズもコンパクト化することが可能となる。
【0048】
図13乃至15は、反射部材の他の形状(その1)を説明する図である。反射部材Rの接合領域(図14の斜線部分)が、基板1の端面と補強部材10の端面とが形成する端面領域の範囲内に収まるように、該反射部材Rの接合領域の面積が該端面領域の面積より小さくなるように設定されている。図13の反射部材Rの場合には、接着剤が接合領域の周囲にはみ出すが、接合領域の面積が小さくなるため、接着剤の硬化収縮や硬化後の環境温度の変化による内部応力の影響を少なくすることが可能となる。
【0049】
図13の反射部材Rの他の特徴として、反射部材による折り返し光路が、光導波路を光波が伝搬する方向と平行ではなく、角度θだけ広がるように構成していることである。このような構成は、図6の反射部材Rでも採用することができる。この構成により、反射部材Rのサイズを大きくすることなく反射部材R付近にコリメータレンズや偏光子などの光学部品を実装するスペースを確保することができる。
【0050】
反射部材Rは、図15に示すように接合領域の長さT1よりも、T1を除く全体の長さ(基板1と接合しない領域の長さ)T2の方が長くなる場合が多い、このような非対称性を有する形状の反射部材では、接合時の位置決めがより難しくなる。このため、図15に示すように符号7のようなケガキ線等の目印を設けることにより、反射部材の目印7を、基板1の光導波路2の端部や補強部材10の上面に別途形成した目印に、合わせることで、光学部品の位置決めを容易に行うことができる。
【0051】
図16は他の形状(その2)を有する反射部材Rと基板1、補強部材10の配置図であり、図17は、当該反射部材Rの他の形状(その2)を説明する図である。
反射部材Rには、切り欠き状の段差8を形成し、該段差を基板1又は補強部材10の角に当接させて反射部材Rを基板1等に接合する。このように段差8を目印として使用することにより、機械的に反射部材Rの位置決めができる。
【0052】
図18乃至22は、本発明の光デバイスに係る第2実施例を説明する図である。図18及び図19が示すように、反射部材Rが形成する折り返し光路(図19の点線矢印)は、基板1の第1の面(上面)が形成する平面よりも上方を通過するよう設定されている。
また、図18乃至22では、接合領域の形状(図20乃至22の斜線部分)が、光導波路の分岐部の対称軸(図18の二点鎖線)と基板1の短辺との交点(C2)が、基板1の短辺の延伸方向の中央に位置するよう配置されている。
【0053】
図20乃至22は、反射部材Rと基板1等との接合部分の配置を図示したものである。
図20は、基板1(補強部材10)の幅と反射部材Rの厚み(図面の横方向の厚み)が同じとなる場合を示している。そして、接合領域(斜線部分)を取り囲む外周面が、基板1(補強部材10)左右の側面の辺と基板1の下面の辺の3つの辺で、連続した面を形成している。このような連続面が多い場合は、接合領域から基板1の外周付近にはみ出した接着剤を拭き取ることが容易に行え、接着剤の硬化収縮による内部応力の影響を抑制することが可能となる。
【0054】
図21のように反射部材Rの厚みd(図面横方向の厚み)を薄くすると、反射部材Rの左右に接着剤がはみ出すが、接合部分の面積が小さくなるため、接着剤の硬化収縮による内部応力の影響を少なくすることが可能となる。
また、図22のように反射部材Rの厚みd(図面横方向の厚み)を厚くすると、基板1(補強部材10)の左右側面に接着剤がはみ出す。しかしながら、これらの接着剤のはみだし部分は、接合部分における外周部の左右辺であるため、光導波路の端部へ加わる接着剤のはみだし部分からの応力をほぼ同じにすることができる。
さらに、図21の構成と比較して接着剤のはみだし部分は、光導波路のMZ部や分岐導波路部より離れているため、接着剤の内部応力による影響を減少させさせることが可能である。
【0055】
さらに反射部材Rが形成する折り返し光路(点線矢印)は、基板1の第1の面(上面)が形成する平面よりも上方を通過するよう設定されているため、図4のように入力用光ファイバ31が基板1の側面に配置される構成と比較して光デバイスの面積を小さく(小型化)することができる。
なお、基板1の長辺の延伸方向から基板1の短辺側を見た際に、反射部材Rにおける反射方向は、基板1の上下や左右でなく斜め方向としてもよい。
【0056】
図23及び24は、本発明の光デバイスに係る第3実施例を説明する図である。ここでは、光導波路や制御電極(不図示)を形成した2つの基板1を、反射部材Rを介して光学的に結合している。反射部材Rと各基板1との接合領域が、上述した種々の条件を満足するよう設定することは言うまでもない。また、図24に示すように、反射部材Rに切り欠き部である溝部80を設けることで、基板1と反射部材Rの接合部分からはみ出した接着剤を溝部80に逃がすことができ、基板1の側面への接着剤の拡がりを抑えることができる。
このため、はみ出した接着剤の硬化収縮により発生する応力の光導波路端部への影響が減少し、光導波路の屈折率変化による偏波歪みの発生や、光軸のズレなどの不具合を抑制することができる。
【0057】
図25は、本発明の光デバイスに係る第4実施例を説明する図である。ここでは、基板1の端部近傍に光変調に係るMZ部や分岐導波路部が2個形成されている。このような複数の変調部を有するMZ部や分岐導波路部が基板1の端部近傍にある場合には、端部に最も近いMZ部や分岐導波路部に着目し、該MZ部や分岐導波路部における光導波路の配置形状の対称軸(光波の伝搬方向又は基板の長辺方向の対称軸。図25の二点鎖線)を特定し、該対称軸と接合領域の交点(対称軸と基板の短辺との交点)C2に基づき、上述したように接合領域の形状を設定することが好ましい。なお、図25の場合は、光導波路の端部も複数あることから、該端部の配置形状の中心点C1を特定し、接合領域の形状を設定することも可能である。
【0058】
図26は、本発明の光デバイスに係る第5実施例を説明する図である。ここでは、図25と同様に、基板1の端部近傍に光変調に係るMZ部や分岐導波路部が2個形成されている。図26では、反射部材Rと基板1との接合領域を2つに分割するため、反射部材Rの接合面の一部に凹部を形成している。そして、図26の上側の接合領域の形状の設定は、上側の光導波路2に係る分岐導波路部の対称軸と接合領域の交点(対称軸と基板の短辺との交点)C2に基づき行われている。また、図26の下側の接合領域の形状の設定は、下側の光導波路2’の端部の配置形状の中心点C1’に基づき行われている。当然、下側の接合領域の形状の設定も、下側の光導波路2’に係る分岐導波路部の対称軸と接合領域の交点C2’に基づき行っても良い。
【0059】
図27は、本発明の光デバイスに係る第6実施例を説明する図である。ここでは、上述した本発明の光デバイスの折り返し光路の特徴を生かして、反射部材Rの基板1側とは反対側となる筐体4の側壁に、電気信号入出力端子を配置している。具体的には、基板1と反射部材R及び中継基板9は筐体4内に収容され、基板1上の制御電極に高周波信号を入力する電気信号入力部40が、基板1に対して反射部材Rが配置された側の筐体4の側壁に配置されている。そして、電気信号入力部40に入力された高周波信号は、中継基板9(アルミナ等)に形成された中継線路(不図示)を介して、該基板1の長辺側(図の上側)に設けられた制御電極の入力部(不図示)に伝送されている。必要に応じて、DCバイアス電圧を供給する電気信号入力部や、光導波路2の伝搬光や放射光を検知した検知信号を出力する電気信号出力部を付加することも可能である。
【0060】
中継基板9がアルミナなどで形成された場合、高周波信号の伝送損失は基板1上における伝送損失よりも小さい。
このため、図27のように中継基板9をL字状とし、該基板1から反射部材Rが突出しない該基板1の長辺側(図の上側)まで中継線路(不図示)を配置することで、各構成部品を効率的に配置できるとともに高周波信号を少ない伝送損失で効率よく該基板1の長辺側(図の上側)に設けられた制御電極まで伝送することができる。
なお、図18から図22のように反射部材Rでの折り返し光路が該基板1の長辺側の側面を通らない場合、L字形状の中継基板9及び中継線路(不図示)は該基板1のどちらの長辺側(図27の上側や下側)に配置してもよい。
【0061】
上述した光デバイスを光変調器として構成し、さらに光受信器を同じ装置に組み込むことで、光送受信装置を構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように、本発明によれば、電気光学基板と反射部材とを接合した際でも、両者の接合部分に発生する内部応力の影響を抑制し、光損失等の変動の少ない光デバイスや変調光の品質の劣化等を抑制した光デバイスを提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 電気光学基板
2 光導波路
4 筐体
10 補強部材
31,32 光ファイバ
L,L1~L3 レンズ
R 反射部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
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図26
図27