(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】カメラボディ及びカメラシステム
(51)【国際特許分類】
G03B 17/14 20210101AFI20221109BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20221109BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221109BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G03B17/14
G02B7/08 C
H04N5/232 030
H04N5/225 400
(21)【出願番号】P 2019070900
(22)【出願日】2019-04-02
(62)【分割の表示】P 2018154855の分割
【原出願日】2018-08-21
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】河井 亮彦
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-27083(JP,A)
【文献】特開2010-107725(JP,A)
【文献】特開2005-260913(JP,A)
【文献】特開2017-204002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
G02B 7/02 - 7/16
H04N 5/222- 5/235
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換レンズと通信可能なカメラボディであって、
前記
交換レンズへ第1クロック信号を出力する第1クロック送信部と、
前記
交換レンズから第2クロック信号を受信する第2クロック受信部と、
前記第1クロック信号に同期させて前記
交換レンズへ指示を送信する送信部と、
前記
交換レンズが備えるレンズの位置情報を第2クロック信号に同期させて繰り返し受信する第1受信部と、
を有するカメラボディ。
【請求項2】
前記指示に応じる情報を前記第1クロック信号に同期させて受信する第2受信部を有する請求項1に記載のカメラボディ。
【請求項3】
前記第2受信部は、前記
交換レンズが備える絞り部材の状態を受信する請求項2に記載のカメラボディ。
【請求項4】
前記送信部は、初期化の状況を要求する指示を送信し、
前記第2受信部は、前記初期化が完了したことを示す情報を受信する請求項2または3に記載のカメラボディ。
【請求項5】
前記送信部は、前記第2受信部により前記初期化が完了したことを示す情報を受信した後に、前記
交換レンズに前記レンズの位置情報を第2クロック信号に同期させて繰り返し送信させる指示を送信する請求項4に記載のカメラボディ。
【請求項6】
前記送信部は、前記
交換レンズが備える絞り部材の状態を変化させる指示を送信する請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項7】
前記送信部は、前記レンズを移動させる指示を送信する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項8】
前記第1受信部は、前記
交換レンズの光軸方向における前記レンズの位置情報を受信する請求項1から7のいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項9】
前記第1受信部は、前記
交換レンズの光軸と交差する方向における前記レンズの位置情報を受信する請求項1から8のいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項10】
前記第1受信部は、前記レンズの位置情報と、前記レンズの位置情報の有効性を示す情報とを受信する請求項1から9のいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項11】
前記第1受信部は、前記レンズの位置情報を受信する度に、前記レンズの位置情報の有効性を受信する請求項10に記載のカメラボディ。
【請求項12】
前記送信部が前記第2クロック信号に同期した前記レンズの位置情報の送信を開始させる指示を送信すると、その後は、前記レンズの位置情報を要求することなく、前記第1受信部は前記レンズの位置を示す情報を繰り返し受信する請求項1~11のいずれか一項に記載のカメラボディ。
【請求項13】
第1クロック信号を出力する第1クロック送信部と、
第2クロック信号を受信する第2クロック受信部と、
前記第1クロック信号に同期させて指示を送信する送信部と、
前記第2クロック信号に同期させて信号を繰り返し受信する第1受信部と、
を有するカメラボディと、
移動する部材と、
前記第1クロック信号を受信する第1クロック受信部と、
前記第2クロック信号を送信する第2クロック送信部と、
前記第1クロック信号に同期させて前記指示を受信する受信部と、
前記指示に基づいて、前記部材の位置情報を前記第2クロック信号に同期させて繰り返し送信する第1送信部と、
を有する
交換レンズと、
を備えるカメラシステム。
【請求項14】
前記
交換レンズは、一旦、前記部材の位置情報の送信を開始すると、前記カメラボディから前記部材の位置情報を要求されなくとも、前記部材の位置情報を繰り返し送信する請求項13に記載のカメラシステム。
【請求項15】
前記
交換レンズは光学系を備え、
前記
交換レンズは、前記指示に基づいて、前記光学系のF値の情報を前記第1クロック信号に同期させて送信する第2送信部を有し、
前期カメラボディは、前記光学系のF値の情報を前記第1クロック信号に同期させて受信する第2受信部を有する、請求項13または14に記載のカメラシステム。
【請求項16】
前記
交換レンズにおける前記第2送信部は、前記受信部で信号を受信すると前記F値の情報を送信する、請求項15に記載のカメラシステム。
【請求項17】
前記第1送信部は、前記部材の位置情報と、前記部材の位置情報の有効性を示す情報とを繰り返し送信する請求項13~16のいずれか一項に記載のカメラシステム。
【請求項18】
前記部材は、フォーカスレンズである請求項15に記載のカメラシステム。
【請求項19】
前記部材は、ブレ補正レンズである請求項15に記載のカメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラボディ及びカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
交換レンズの状態を示す情報をカメラボディに送る技術が知られている(特許文献1参照)。従来から、適切に情報を送る必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様による交換レンズは、交換レンズと通信可能なカメラボディであって、前記交換レンズへ第1クロック信号を出力する第1クロック送信部と、前記交換レンズから第2クロック信号を受信する第2クロック受信部と、前記第1クロック信号に同期させて前記交換レンズへ指示を送信する送信部と、前記交換レンズが備えるレンズの位置情報を第2クロック信号に同期させて繰り返し受信する第1受信部と、を有する。
本発明の第2の態様によるカメラシステムは、第1クロック信号を出力する第1クロック送信部と、第2クロック信号を受信する第2クロック受信部と、前記第1クロック信号に同期させて指示を送信する送信部と、前記第2クロック信号に同期させて信号を繰り返し受信する第1受信部と、を有するカメラボディと、移動する部材と、前記第1クロック信号を受信する第1クロック受信部と、前記第2クロック信号を送信する第2クロック送信部と、前記第1クロック信号に同期させて前記指示を受信する受信部と、前記指示に基づいて、前記部材の位置情報を前記2クロック信号に同期させて繰り返し送信する第1送信部と、を有する交換レンズと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図2】カメラシステムの要部構成を説明するブロック図である。
【
図3】カメラボディおよび交換レンズ間の電気的接続を模式的に示す回路図である。
【
図4】コマンドデータ通信とホットライン通信を例示するタイミングチャートである。
【
図5】コマンドデータ通信のタイミングを例示する図である。
【
図6】ホットライン通信のタイミングを例示する図である。
【
図7】ホットラインデータに含まれる情報を例示する図である。
【
図8】フォーカシングレンズ位置と焦点距離と撮影距離との関係を例示する図である。
【
図9】ホットラインデータに含まれる情報を例示する図である。
【
図10】自動焦点調節のタイミングを例示する図である。
【
図11】防振動作のタイミングを例示する図である。
【
図12】
図12(a)は、複数のフォーカシングレンズの移動軌跡を例示する図、
図12(b)は、光学性能優先時の移動軌跡と速度優先時の移動軌跡とが一部で一致する場合を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
図1は、発明の一実施の形態によるカメラボディ2に交換レンズ3が装着される前のカメラシステム1の斜視図である。
図2は、カメラシステム1の要部構成を説明するブロック図である。カメラボディ2と交換レンズ3の結合は、ボディ側マウント210とレンズ側マウント310のバヨネット構造により行われる。カメラボディ2と交換レンズ3が結合すると、ボディ側マウントに設けられた端子とレンズ側マウントに設けられた端子同士が物理的に接触し、電気的に接続される。また、
図1において交換レンズ3の光軸Oと、光軸Oと交差する面内におけるX軸方向とY軸方向とを、それぞれ矢印線で示す。
【0007】
<カメラボディ>
カメラボディ2は、ボディ側マウント210、ボディ側制御部230、ボディ側通信部240、電源部250、撮像素子260、センサ駆動部265、信号処理部270、操作部材280、表示部285、および振れセンサ290を有する。
【0008】
円環状のボディ側マウント210には、ボディ側端子保持部220(
図3)が設けられる。ボディ側端子保持部220は、複数のボディ側端子を有する。複数のボディ側端子には、例えば、カメラボディ2に交換レンズ3が装着されたことを示す信号をカメラボディ2へ伝える装着検出端子、カメラボディ2と交換レンズ3との間の通信で使用される通信用端子、カメラボディ2から交換レンズ3へ電力が供給される給電用端子、および接地用端子が含まれる。
【0009】
ボディ側制御部230は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。ボディ側制御部230は、記憶部235に記憶されている制御プログラムを実行してカメラボディ2内の各部を制御する。ボディ側制御部230は、ボディ側通信部240、電源部250、撮像素子260、センサ駆動部265、信号処理部270、操作部材280、表示部285、振れセンサ290、および上述した装着検出端子と接続される。
ボディ側制御部230は、記憶部235を含む。記憶部235は、ボディ側制御部230によってデータの記録と読み出しが制御される。記憶部235は、ボディ側制御部230が実行する制御プログラム等を記憶する。
ボディ側制御部230は、ボディ側第1制御部230aと、ボディ側第2制御部230bとを含む。ボディ側第1制御部230aは、画像処理などカメラボディ2全体の制御や交換レンズ3に含まれる移動部材への指示の作成を行い、ボディ側第2制御部230bは、振れセンサ290およびセンサ駆動部265と接続され、カメラボディ2における振れ補正動作を主に制御する。ボディ側第2制御部230bはセンサ駆動部265の制御を主に行うので、振れ補正に関する制御を迅速に行うことができる。ボディ側第1制御部230aは、ボディ側第2制御部230bに対して振れ補正の開始など振れ補正に関する指示を送信する。ボディ側第1制御部230aおよびボディ側第2制御部230bの間は、相互に必要なデータや指示の送受信が適宜行われる。
【0010】
ボディ側通信部240は、レンズ側通信部340との間で所定の通信を行う。ボディ側通信部240は、上述した通信用端子と接続され、ボディ側制御部230に信号を送信する。ボディ側通信部240は、ボディ側第1通信部240aと、ボディ側第2通信部240bとを含む。ボディ側第1通信部240aは後述のコマンドデータ通信を行う端子と接続され、ボディ側第2通信部240bは後述のホットライン通信を行う端子と接続される。
ボディ側第1通信部240aはボディ側第1制御部230aと接続され、コマンドデータ通信でカメラボディ2から交換レンズ3に送信される情報は、ボディ側第1制御部230aにより作成される。ボディ側第2通信部240bはボディ側第1制御部230aおよびボディ側第2制御部230bと接続され、ホットライン通信で交換レンズ3からカメラボディ2に送信される情報は、ボディ側第1制御部230aおよびボディ側第2制御部230bに送信される。
【0011】
電源部250は、不図示の電池の電圧をカメラシステム1の各部で使用される電圧に変換し、カメラボディ2の各部、および、交換レンズ3へ供給する。電源部250は、ボディ側制御部230の指示により、給電先ごとに給電のオンとオフとを切換え可能である。電源部250は、上述した給電用端子と接続される。
【0012】
撮像素子260は、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の固体撮像素子である。撮像素子260は、ボディ側制御部230からの制御信号により、撮像面260Sの被写体像を光電変換して信号を出力する。
撮像素子260は、画像生成用の光電変換部と焦点検出用の光電変換部を有する。画像生成用の光電変換部で生成される撮像用画素信号は、信号処理部270によって画像データの生成に用いられる。また、焦点検出用の光電変換部で生成される検出用画素信号は、信号処理部270によって交換レンズ3による結像状態、換言すると交換レンズ3の焦点を検出する焦点検出処理に用いられる。
【0013】
信号処理部270は、撮像素子260から出力された撮像用画素信号に対して所定の画像処理を行って画像データを生成する。生成された画像データは、不図示の記憶媒体に所定のファイル形式で記録されたり、表示部285による画像表示に用いられたりする。また、信号処理部270は、撮像素子260から出力された検出用画素信号に対して所定の焦点検出処理を行ってデフォーカス量を算出する。信号処理部270は、ボディ側制御部230、撮像素子260、および表示部285と接続される。
【0014】
振れセンサ290は、手振れ等によるカメラボディ2の振れを検出する。振れセンサ290は、角速度センサ290aと加速度センサ290bとを含む。振れセンサ290は、角度振れおよび並進振れを、X軸方向成分とY軸方向成分とに分けて検出する。また角速度センサ290aは、光軸O回りの回転(ロール)成分も検出する。
角速度センサ290aは、カメラボディ2の回転運動によって発生する角速度を検出する。角速度センサ290aは、例えばX軸と平行な軸、Y軸と平行な軸、光軸Oと平行な軸の各軸回りの回転をそれぞれ検出し、X軸方向に関する検出信号とY軸方向に関する検出信号と光軸O回りの回転信号とをボディ側第2制御部230bへそれぞれ出力する。
また、加速度センサ290bは、カメラボディ2の並進運動で発生する加速度を検出する。加速度センサ290bは、例えばX軸と平行な軸、Y軸と平行な軸方向の加速度をそれぞれ検出し、X軸方向の検出信号とY軸方向の検出信号をボディ側第2制御部230bへそれぞれ出力する。
角速度センサ290aおよび加速度センサ290bは、それぞれホットライン通信の周期よりも短い周期で周期的に検出信号を出力することができる。
【0015】
センサ駆動部265は、例えば、アクチュエータと駆動機構を含む。センサ駆動部265は、ボディ側第2制御部230bから出力される指示に基づき、光軸Oと交差する面内で撮像素子260を移動させる。撮像素子260が光軸Oと交差する面内で移動することにより、撮像素子260の撮像面260Sでの被写体像の振れ(像振れ)が抑えられる。センサ駆動部265は、光軸Oと交差する方向における撮像素子260の位置を検出するためのホール素子も含む。
【0016】
レリーズボタンや操作スイッチ等を含む操作部材280は、カメラボディ2の外装面に設けられる。ユーザは、操作部材280を操作することにより、撮影指示や撮影条件の設定指示等を行う。操作部材280は、ユーザの操作に応じた操作信号をボディ側制御部230へ送出する。
表示部285は、例えば液晶表示パネルによって構成される。表示部285は、ボディ側制御部230からの指示により、信号処理部270によって処理された画像データに基づく画像や、操作メニュー画面等を表示する。
【0017】
<交換レンズ>
交換レンズ3は、レンズ側マウント310、レンズ側制御部330、レンズ側通信部340、レンズ側記憶部350、撮像光学系360、レンズ駆動部370、ズーム操作環375、絞り駆動部380、および振れセンサ390を有する。
【0018】
円環状のレンズ側マウント310には、レンズ側端子保持部320(
図3)が設けられる。レンズ側端子保持部320は、光軸Oを中心とした円弧状に複数のレンズ側端子を有する。複数のレンズ側端子には、
図3に示すように、交換レンズ3がカメラボディ2に装着されたことを示す信号をカメラボディ2に伝える装着検出端子、交換レンズ3とカメラボディ2との間の通信で使用する通信用端子、カメラボディ2から交換レンズ3へ電力が供給される給電用端子、および接地用端子が含まれる。
【0019】
レンズ側制御部330は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。レンズ側制御部330は、レンズ側記憶部350に記憶されている制御プログラムを実行して交換レンズ3の各部を制御する。レンズ側制御部330は、レンズ側通信部340、レンズ側記憶部350、レンズ駆動部370、ズーム操作環375、絞り駆動部380、および、振れセンサ390と直接または間接的に接続される。
【0020】
レンズ側記憶部350は、不揮発性の記憶媒体によって構成される。レンズ側記憶部350は、レンズ側制御部330によってデータの記録と読み出しが制御される。レンズ側記憶部350は、レンズ側制御部330が実行する制御プログラム等を記憶する他に、交換レンズ3の機種名を示すデータや、撮像光学系360の光学特性を示すデータ等を記憶することができる。光学特性の一例として、焦点距離および撮影距離に応じた防振係数、焦点距離および撮影距離に応じたフォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置、などが挙げられる。
【0021】
撮像光学系360は、結像面(撮像面260S)に被写体像を結像させる。撮像光学系360の光軸Oは、レンズ側マウント310およびボディ側マウント210および撮像面260Sの中心位置と略一致する。撮像光学系360の少なくとも一部は、移動部材として、交換レンズ3内での位置を移動可能に構成されている。
撮像光学系360は、例えば、移動部材としてのフォーカシングレンズ361a、移動部材としての振れ補正レンズ361b、移動部材としてのズームレンズ361cと、絞り部材362とによって構成される。これらの部材を被駆動部材とよんでも構わない。
レンズ駆動部370は、各移動部材を移動させるものであり、レンズ駆動部370a、370b、370cを含む。レンズ駆動部370はそれぞれ、アクチュエータと駆動機構、移動部材の位置検出部を含む。本実施形態では、レンズ駆動部370の位置検出部やアクチュエータからの信号により、レンズ側制御部330で、各移動部材の位置情報が周期的に作成される。また、レンズ駆動部370の位置検出部やアクチュエータからの信号により、レンズ側制御部330で、移動部材を移動駆動中であるか否か、移動部材の移動方向、移動部材が停止中であるか否か、などの移動状態が周期的に認識される。移動部材の位置情報が作成される周期および移動部材の移動状態が認識される周期は、ホットライン通信の周期より短くすることが可能である。
【0022】
フォーカシングレンズ361aは、レンズ駆動部370aにより、光軸O方向に進退移動が可能に構成されている。フォーカシングレンズ361aが移動することにより、撮像光学系360の焦点位置が調節される。フォーカシングレンズ361aの移動方向や移動量、移動速度などの駆動指示は、ボディ側制御部230からの指示によることとしてもよく、ボディ側制御部230からの指示を考慮してレンズ側制御部330が指示することとしてもよい。フォーカシングレンズ361aの位置は、レンズ駆動部370aにステッピングモータと原点検出部を用いる場合、ステッピングモータのパルス数(移動量)と原点検出部の検出結果とで相対的な位置を検出可能に構成されている。あるいは原点検出部の代わりにエンコーダを設けて、フォーカシングレンズの位置を検出しても良い。
図2ではフォーカシングレンズ361aは1つとしたが、
図12(a)に示すように、複数のフォーカシングレンズ363,364を移動させることにより、撮像光学系360の焦点位置を調節するものとしてもよい。その場合、フォーカシングレンズ363,364それぞれを光軸O方向に駆動する複数のレンズ駆動部370aを備えることとしてもよい。
図12(a)では、ズームの短焦点端Wから長焦点端T(焦点距離W~M~T(W<M<T))における撮影距離が無限遠でのフォーカシングレンズ363,364の位置を示す。
図12(a)で、各フォーカシングレンズ363,364の位置は、P(撮影距離に相当する数値、焦点距離に相当する記号)の座標で示す。
【0023】
振れ補正レンズ361bは、レンズ駆動部370bにより、光軸Oと交差する方向に移動可能に構成されている。振れ補正レンズ361bが移動することにより、撮像素子260の撮像面260Sの被写体像の揺動(像振れ)が抑えられる。振れ補正レンズ361bの移動方向や移動量、移動速度などの駆動指示は、レンズ側制御部330から指示することとしてもよく、ボディ側制御部230からの指示を考慮してレンズ側制御部330から指示することとしてもよい。振れ補正レンズ361bの位置は、レンズ駆動部370bに設けたホール素子等の検出素子によって検出可能に構成されている。振れ補正レンズ361bの位置情報として、レンズ駆動部370bは、例えば、光軸Oと交差する面内における振れ補正レンズ361bの光軸O´の位置を検出する。つまり、光軸Oを原点位置とする振れ補正レンズ361bの光軸O´のX軸方向の座標値と、Y軸方向の座標値とを検出する。そのため、振れ補正レンズ361bの位置情報は、X軸方向の位置とY軸方向の位置とで表される。なお、交換レンズ3は振れ補正レンズ361bを備えなくても良い。また、交換レンズ3は、振れ補正レンズ361bの光軸と交差する面内の位置を固定させて振れ補正機能を動作させないように制御して振れ補正機能をオフに選択することも可能である。
【0024】
ズームレンズ361cは、レンズ駆動部370cまたはズーム操作環375により、光軸O方向に進退移動が可能に構成されている。ズームレンズ361cが移動することにより、撮像光学系360の焦点距離が短焦点端Wから長焦点端Tの間で変化する。ズームレンズ361cの移動方向、移動量、移動速度などは、レンズ側制御部330から指示される、または、ズーム操作環375から機械的に伝達される駆動力による。ズームレンズ361cの位置は、レンズ駆動部370cのエンコーダ等によって検出可能に構成されている。
【0025】
絞り部材362は、移動部材としての複数の絞り羽根を有し、複数の絞り羽根を用いて形成される開口部の大きさ(開口径、絞り値)を変化させることにより撮像素子260へ入射する光量を調節する。絞り駆動部380は、モータおよび絞り駆動機構によって構成され、絞り部材362は、絞り駆動部380や手動操作により、開口径(絞り値)を変化させることが可能に構成されている。絞り部材362の開口径は、絞り駆動部380のエンコーダ等によって検出可能に構成されている。あるいは絞り駆動部380にステッピングモータを用いて原点検出部(フォトインタラプタPI)を備えて絞り羽根の相対位置を検出しても良い。移動部材としての絞り羽根の位置情報は、絞り駆動部380やレンズ側制御部330により開口径として作成される。
【0026】
ズーム操作環375は、例えば、交換レンズ3の外筒に設けられている。ユーザは、ズーム操作環375によって交換レンズ3の焦点距離を変更するズーム操作を行う。ユーザのズーム操作に応じた操作信号が、ズーム操作環375からレンズ側制御部330へ送出される。
【0027】
振れセンサ390は、手振れ等による交換レンズ3の振れを検出する。振れセンサ390は、角速度センサ390aと加速度センサ390bとを含む。振れセンサ390は、角度振れおよび並進振れを、X軸方向成分とY軸方向成分とに分けて検出する。
角速度センサ390aは、交換レンズ3の回転運動によって発生する角速度を検出する。角速度センサ390aは、例えばX軸と平行な軸、Y軸と平行な軸の各軸回りの回転をそれぞれ検出し、X軸方向に関する検出信号とY軸方向に関する検出信号をレンズ側制御部330へそれぞれ出力する。
また、加速度センサ390bは、交換レンズ3の並進運動で発生する加速度を検出する。加速度センサ390bは、例えばX軸と平行な軸、Y軸と平行な軸方向の加速度をそれぞれ検出し、X軸方向の検出信号とY軸方向の検出信号をレンズ側制御部330へそれぞれ出力する。
角速度センサ390aおよび加速度センサ390bは、それぞれホットライン通信の周期よりも短い周期で周期的に検出信号を出力することができる。なお、交換レンズ3は振れセンサ390を備えなくても良い。
【0028】
レンズ側通信部340は、ボディ側通信部240との間で所定の通信を行う。レンズ側通信部340は、レンズ側制御部330および上述した通信用端子と接続される。レンズ側通信部340は、レンズ側第1通信部340aと、レンズ側第2通信部340bとを含む。レンズ側第1通信部340aは後述のコマンドデータ通信を行うボディ側端子と接続され、レンズ側第2通信部340bは後述のホットライン通信を行うボディ側端子と接続される。
レンズ側第1通信部340aはレンズ側制御部330と接続され、コマンドデータ通信で交換レンズ3からカメラボディ2に送信される情報は、レンズ側制御部330により作成される。レンズ側第2通信部340bもレンズ側制御部330と接続され、ホットライン通信で交換レンズ3からカメラボディ2に送信される情報は、レンズ側制御部330やレンズ側第2通信部340bなどにより作成される。
【0029】
<端子の詳細>
図3は、カメラボディ2および交換レンズ3間の電気的接続を模式的に示す回路図である。矢印は、信号の流れを示す。
ボディ側マウント210のボディ側端子保持部220は、上記ボディ側端子として、LDET(B)端子、VBAT(B)端子、PGND(B)端子、V33(B)端子、GND(B)端子、RDY(B)端子、DATAB(B)端子、CLK(B)端子、DATAL(B)端子、HCLK(B)端子、およびHDATA(B)端子を有する。これら計11個のボディ側端子をボディ側端子群と総称する。ボディ側端子群の各端子は、ボディ側端子保持部220において、ボディ側マウント部210の中心軸を中心とした円弧状に、
図3に示す順番に並ぶ。
【0030】
レンズ側マウント310のレンズ側端子保持部320は、LDET(L)端子、VBAT(L)端子、PGND(L)端子、V33(L)端子、GND(L)端子、RDY(L)端子、DATAB(L)端子、CLK(L)端子、DATAL(L)端子、HCLK(L)端子、およびHDATA(L)端子を有する。これら計11個のレンズ側端子をレンズ側端子群と総称する。レンズ側端子群の各端子は、レンズ側端子保持部320において、光軸Oを中心とした円弧状に、
図3に示す順番に並ぶ。
【0031】
RDY(B)端子、DATAB(B)端子、CLK(B)端子、DATAL(B)端子、RDY(L)端子、DATAB(L)端子、CLK(L)端子、DATAL(L)端子は、通信用端子であり、コマンドデータ通信に用いられる。また、HCLK(B)端子、HDATA(B)端子、HCLK(L)端子、およびHDATA(L)端子は、通信用端子であり、ホットライン通信に用いられる。
【0032】
RDY(B)端子、DATAB(B)端子、CLK(B)端子、DATAL(B)端子、HCLK(B)端子、HDATA(B)端子は、それぞれボディ側通信部240を介してボディ側制御部230に接続される。RDY(L)端子、DATAB(L)端子、CLK(L)端子、DATAL(L)端子、HCLK(L)端子、HDATA(L)端子は、それぞれレンズ側通信部340を介してレンズ側制御部330に接続される。
【0033】
RDY(B)端子は、RDY(L)端子から、交換レンズ3がコマンドデータ通信可能であるか否かを示す信号(以下、RDY信号)が入力される入力端子である。レンズ側制御部330は、コマンドデータ通信可能な状態の際には、RDY信号の電位をLレベルから一旦Hレベルを介してLレベルにさせる。ボディ側制御部230は、入力されるRDY信号の電位がLレベル→Hレベル→Lレベルと変化したことを検知すると、交換レンズ3がコマンドデータ通信可能であると判断する。
【0034】
DATAB(B)端子は、交換レンズ3のDATAB(L)端子に向けてデータ信号(以下、DATAB信号)を出力する出力端子である。コマンドデータ通信において、レンズ側第1通信部340aには、ボディ側第1通信部240aからのDATAB信号が入力される。
【0035】
DATAL(B)端子は、DATAL(L)端子からのデータ信号(以下、DATAL信号)が入力される入力端子である。コマンドデータ通信において、ボディ側第1通信部240aには、レンズ側第1通信部340aからのDATAL信号が入力される。
【0036】
CLK(B)端子は、CLK(L)端子に向けてコマンドデータ通信のクロック信号(以下、CLK信号)を出力する出力端子である。レンズ側第1通信部340aには、ボディ側第1通信部240aからのCLK信号が入力される。コマンドデータ通信は、カメラボディ2と交換レンズ3との間で行われる双方向のデータ通信であり、CLK信号に同期して、DATAB信号とDATAL信号が送受信される。
【0037】
HCLK(B)端子は、HCLK(L)端子からのホットライン通信のクロック信号(以下、HCLK信号)が入力される入力端子である。
HDATA(B)端子は、HDATA(L)端子からのホットライン通信のデータ信号(以下、HDATA信号)が入力される入力端子である。
ホットライン通信は、交換レンズ3からカメラボディ2への一方向のデータ通信であり、ボディ側第2通信部240bは、レンズ側第2通信部340bから、HCLK信号に同期してHDATA信号を受信する。
【0038】
LDET(B)端子は、上述した装着検出端子である。カメラボディ2において、LDET(B)端子は抵抗器R2を介してボディ側制御部230に接続される。抵抗器R2とボディ側制御部230との間は、電源部250から供給される電源V33と抵抗器R1を介して接続される。
一方、交換レンズ3において、LDET(L)端子は抵抗器R3を介してGND電位に接続(接地)されている。このような構成により、カメラボディ2内でLDET(B)端子はプルアップされており、交換レンズ3が装着されない状態では電源V33の電位となる。交換レンズ3が装着されると、プルアップされたLDET(B)端子に対して接地電位のLDET(L)端子が接続され、LDET(B)端子の電位が低下する。このことから、カメラボディ2は、交換レンズ3が装着されたことを検知できる。
【0039】
VBAT(B)端子およびV33(B)端子は、交換レンズ3へ電力を給電する給電用端子である。VBAT(B)端子は、VBAT(L)端子に向けて駆動系電力を供給する。V33(B)端子は、V33(L)端子に向けて回路系電力を供給する。駆動系電力は、モータ等のアクチュエータを含むレンズ駆動部370や絞り駆動部380に供給される。また、回路系電力は、レンズ側制御部330およびレンズ側通信部340に供給される。本実施形態において、駆動系電力は、回路系電力より大きな電力である。
PGND(B)端子は、VBAT(B)端子に対応する接地用端子である。PGND(B)端子はPGND(L)端子と接続される。GND(B)端子は、V33(B)端子に対応する接地用端子である。GND(B)端子は、GND(L)端子と接続される。
なお、
図3において、電力が供給される方向および信号が送信される方向を矢印で示す。
【0040】
<通信の詳細>
上述したように、ボディ側第1通信部240a、RDY(B)端子、DATAB(B)端子、CLK(B)端子、DATAL(B)端子、およびレンズ側第1通信部340a、RDY(L)端子、DATAB(L)端子、CLK(L)端子、DATAL(L)端子を使って行われるコマンドデータ通信は、カメラボディ2と交換レンズ3との双方向通信であり、カメラボディ2から交換レンズ3の移動部材の駆動指示や初期化指示(コマンドデータ)、または、交換レンズ3からボディ2が要求したデータの送信などが行われる。
また、ボディ側第2通信部240b、HCLK(B)端子、HDATA(B)端子、およびレンズ側第2通信部340b、HCLK(L)端子、およびHDATA(L)端子を使って行われるホットライン通信は、交換レンズ3からカメラボディ2への一方向通信であり、交換レンズ3からカメラボディ2へ、交換レンズ3内の移動部材の状態などが送信される。
カメラシステム1は、コマンドデータ通信とホットライン通信とによる2つの独立した通信系統を備えるので、それぞれの通信を並行して行うことができる。つまり、カメラボディ2および交換レンズ3は、コマンドデータ通信を行っているときにホットライン通信を開始することも終了することもできる。また、ホットライン通信を行っているときにコマンドデータ通信を行うことも可能である。従って、交換レンズ3は、コマンドデータ通信中であってもホットライン通信でカメラボディ2にデータを継続的に送信することができる。例えば、データ量の増大によりコマンドデータ通信に要する時間が長くなっても、ホットライン通信を必要なタイミングで行うことができる。
さらに、カメラボディ2は、ホットライン通信でデータを受信している間であっても、コマンドデータ通信で、交換レンズ3への種々の指示や要求を任意のタイミングで送信することができるとともに、交換レンズ3から任意のタイミングでデータを受けることができる。
【0041】
図4は、コマンドデータ通信とホットライン通信を例示するタイミングチャートである。
カメラボディ2は、コマンドデータ通信によりホットライン通信の開始を指示した後、例えば時刻t1以降、ホットライン通信によって交換レンズ3からのデータを周期的に受信する。
また、カメラボディ2は、コマンドデータ通信により、交換レンズ3との間でデータを送受信する。詳しくは、カメラボディ2は、時刻t2からt3、および、時刻t9からt10の間で、カメラボディ2が交換レンズ3に送信するように指示した各種データを交換レンズ3から受信する。そして、時刻t5からt6、および、時刻t12からt13において、カメラボディ2は交換レンズ3へ各種データを送信し、その合間の時刻t4、t7、t8およびt11において、それぞれ、振れ補正の開始指示、絞り駆動指示およびフォーカス駆動指示などの移動部材の移動制御に関する指示(コマンド)を交換レンズ3へ送信する。
【0042】
本実施形態において、コマンドデータ通信は、送受信するデータの種類が多く、また、交換レンズ3への指示頻度も高い。また、データの種類によっては送受信に要する時間が長くなってしまい、時刻t2からt3、時刻t5からt6、時刻t9からt10、および、時刻t12からt13で各種データを送受信する時間は、時刻t4、t7、t8およびt11で指示を送信する時間より長い。
【0043】
交換レンズ3は、例えば、コマンドデータ通信によって送られるカメラボディ2からの情報要求指示に応じて、交換レンズ3の情報(焦点距離、撮影距離、絞り値またはAV値等)を示すデータをコマンドデータ通信によってカメラボディ2へ送信する。交換レンズ3はさらに、カメラボディ2から送信されるカメラボディ2の情報(フレームレート、カメラボディ2の設定、動画記録中か否か等)を示すデータを受信する。
【0044】
コマンドデータ通信は、1回の送受信に要する時間も長く、送受信の頻度も多いため、短い周期でのデータ通信を継続して行うことが難しい。
これに対し、ホットライン通信は、コマンドデータ通信に用いる通信用端子とは異なる通信用端子を用いるため、交換レンズ3からカメラボディ2へのデータ通信を短い周期で継続して行うことができる。例えば、ホットライン通信を、カメラボディ2の起動処理が終わってから露光中も含めて遮断処理まで、所望の期間に行うことができる。
ホットライン通信の開始指示と終了指示は、コマンドデータ通信によってカメラボディ2から交換レンズ3へ送信されるがこの限りではない。
【0045】
<コマンドデータ通信の説明>
次に、
図5を用いて、コマンドデータ通信について説明する。
図5は、RDY信号、CLK信号、DATAB信号、DATAL信号のタイミングを例示する。
1回のコマンドデータ通信では、カメラボディ2から交換レンズ3へ1つのコマンドパケット402を送信した後に、カメラボディ2と交換レンズ3との間で相互に1つずつのデータパケット406,407が送受信される。
【0046】
レンズ側第1通信部340aは、コマンドデータ通信の開始時(t21)にはRDY信号の電位をLレベルとする。ボディ側第1通信部240aは、RDY信号がLレベルであると、CLK信号401の出力を開始する。CLK信号401の周波数は、例えば8MHzである。ボディ側第1通信部240aは、クロック信号401に同期して、所定長のコマンドパケット402を含むDATAB信号を出力する。コマンドパケット402は、HレベルとLレベルの切り替えで示される。ボディ側第1通信部240aは、コマンドパケット402のデータ長に相当する期間のCLK信号401を出力したら、その後CLK信号の出力を終了する(t22)。
コマンドパケット402には、例えば、同期用データ、何番目のコマンドデータ通信なのかを識別するためのデータ、カメラボディ2からの指示を示すデータ、後続のデータパケット406のデータ長を示すデータ、通信エラーチェック用のデータなどが含まれる。コマンドパケット402に含まれる指示は、例えば、カメラボディ2から交換レンズ3への移動部材の初期化指示や駆動指示、カメラボディ2から交換レンズ3へのデータの送信指示、などがある。
交換レンズ3は、コマンドパケット402に含まれる通信エラーチェック用のデータに、受信したコマンドパケット402から算出された値が一致するか否かにより、通信エラーの有無を判断すればよい。
コマンドパケット402の受信を完了すると、レンズ側第1通信部340aがRDY信号をHレベルにするとともに、レンズ側制御部330がコマンドパケット402に基づく第1制御処理404を開始する(t22)。
【0047】
レンズ側第1通信部340aは、レンズ側制御部330による第1制御処理404が完了すると、RDY信号をLレベルにすることができる(t23)。ボディ側第1通信部240aは、入力されるRDY信号がLレベルになると、CLK信号405を出力する。
【0048】
ボディ側第1通信部240aは、CLK信号405に同期して、データパケット406を含むDATAB信号を出力する。また、レンズ側第1通信部340aは、CLK信号405に同期して、所定長のデータパケット407を含むDATAL信号を出力する。データパケット406,407は、HレベルとLレベルの切り替えで示される。ボディ側第1通信部240aは、データパケット406のデータ長に相当する期間のCLK信号405を出力したら、その後CLK信号の出力を終了する(t24)。
データパケット406、407は、コマンドパケット402によって示されたデータ数を有するmバイトの可変長データである。データパケット406、407には、同期用のデータ、カメラボディ2の情報を示すデータ、交換レンズ3の情報を示すデータ、通信エラーチェック用のデータなどが含まれる。
カメラボディ2から交換レンズ3に送信されるデータパケット406は、移動部材の駆動量を示すデータ、カメラボディ2内での設定や動作状態を伝えるためのデータなどを含む。
交換レンズ3からカメラボディ2に送信されるデータパケット407は、交換レンズ3の機種名情報を示すデータ、交換レンズ3内での移動部材の移動状態を示すデータ、交換レンズ3の焦点距離等の光学特性に関するデータ、などを含む。
受信側の機器(交換レンズ3またはカメラボディ2)は、データパケット406、407に含まれる通信エラーチェック用のデータに、受信したデータパケット406,407から算出された値が一致するか否かにより、通信エラーの有無を判断すればよい。
データパケット406,407の送受信が完了すると、レンズ側第1通信部340aはRDY信号をHレベルにするとともに、レンズ側制御部330はデータパケット406,407に基づいて第2制御処理408を開始する(t24)。
【0049】
(第1および第2制御処理の説明)
次に、コマンドデータ通信の第1制御処理404および第2制御処理408の一例を説明する。
例えば、コマンドパケット402が、フォーカシングレンズ361aの駆動指示を含むとする。レンズ側制御部330は、第1制御処理404として、フォーカシングレンズ361aの駆動指示を受信したことを示すデータパケット407を生成する。
【0050】
次に、レンズ側制御部330は、第2制御処理408として、データパケット406によって示された移動量だけフォーカシングレンズ361aを移動させるように、レンズ駆動部370aへ指示を出す。これにより、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向への移動が開始される。レンズ側第1通信部340aは、レンズ側制御部330からレンズ駆動部370aへフォーカシングレンズ361aの移動指示が出されると、第2制御処理408を完了したとしてRDY信号をLレベルにする(t25)。
【0051】
また、例えば、コマンドパケット402が、ホットライン通信の開始指示を含むとする。レンズ側制御部330は、第1制御処理404として、ホットライン通信の開始指示を受信したことを示すデータパケット407を生成する。次に、レンズ側制御部330は、第2制御処理408として、レンズ側第2通信部340bによりホットライン通信を開始させる。レンズ側制御部330は、ホットライン通信の開始を指示すると、第2制御処理408を完了したとしてRDY信号をLレベルにする(t25)。
【0052】
<ホットライン通信の説明>
次に、
図6を用いて、ホットライン通信について説明する。
図6は、HCLK信号とHDATA信号のタイミングを例示する。1回のホットライン通信では、交換レンズ3からカメラボディ2に対して、1つのHCLK信号502に同期させて1つのHDATA信号503が送信される。
【0053】
本実施の形態によるカメラボディ2は、全ての移動部材の初期化完了信号を受信すると、ホットライン通信の開始指示を交換レンズ3へ送る。換言すると、カメラボディ2は、全ての移動部材が初期化完了するまでホットライン通信の開始指示を送らない。交換レンズ3も、全ての移動部材が初期化完了してホットライン通信の開始指示を受信するまで、ホットライン通信のデータを送信しない。ホットライン通信の開始指示には、予め交換レンズ3とカメラボディ2との間で、ホットライン通信に関することが取り決められた情報が含まれている。ホットライン通信に関することとして、例えば、1回のホットライン通信により送信するHDATA信号のデータ長(バイト数)、HDATA信号に含めるデータとその順序、HCLK信号のクロック周波数、周期(
図6のTinterval)、1周期における通信時間(
図6のTtransmit)等がある。この情報を、ホットライン通信の世代情報とよぶ。本実施形態では、HCLK信号の周波数は2.5MHz、1回のホットライン通信のデータ長はコマンドパケット402より長く、1回のホットライン通信の周期は1ミリ秒、1周期における通信時間は送信間隔の75%未満とするが、この限りではない。また、HDATA信号に含めるデータとして、移動部材に関する位置情報を送る。例えばフォーカシングレンズ361aの位置情報および振れ補正レンズ361bの位置情報を送る。なお、1回のホットライン通信とは、ホットライン通信の1周期で行われるデータ送信のことをいい、カメラボディ2からのコマンドデータ通信によるホットライン通信開始指示からホットライン通信終了指示までとは異なる。なお上述したように焦点距離、撮影距離、絞り値またはAV値等の交換レンズ3の光学系の状態や交換レンズ3内の絞り部材362の状態はコマンドデータ通信で交換レンズ3からカメラボディ2へ送信される。
【0054】
まず、ホットライン通信におけるレンズ側第2通信部340bの動作について説明する。レンズ側第2通信部340bは、時刻t31以前にコマンドデータ通信によりホットライン通信の開始の指示が受信されると、カメラボディ2へのHCLK信号の出力を開始する(t31)。HCLK信号は周期的に交換レンズ3から出力されるものであり、
図6では、HCLK信号502、502´、…として示される。
【0055】
レンズ側第2通信部340bは、HCLK信号に同期して、HDATA信号を出力する。HDATA信号は、HレベルとLレベルの切り替えで示される。1つのHDATA信号は所定のデータ長であり、
図6ではD0からD7の8ビットを含む1バイトがN個分あるものとして表す。1つのHDATA信号は、固定長とするために未使用のビット領域や未使用のバイト領域を含めてもよい。未使用のビット領域や未使用のバイト領域には、予め定められた初期値が入力される。HDATA信号はHCLK信号502、502´、…に同期させて周期的に交換レンズ3から出力されるものであり、
図6では、HDATA信号503、503´、…として表す。
レンズ側第2通信部340bは、HDATA信号の送信が完了すると(t32)、次のHDATA信号の送信を開始する時刻t34までHCLK信号の出力を停止する。時刻t31からt32までを1回のホットライン通信とし、時刻t31からt34までをホットライン通信の1周期とする。上述したように、本実施形態においては、1回のホットライン通信の周期(t31~t34)は1ミリ秒であり、1回のホットライン通信時間(t31~t32)は1周期の75%未満である。レンズ側第2通信部340bは、時刻t34から2回目のホットライン通信を開始する。
レンズ側第2通信部340bは、コマンドデータ通信によってカメラボディ2からホットライン通信の終了の指示が送信されるまで、周期的にホットライン通信を続ける。
【0056】
レンズ側第2通信部340bは、内蔵するシリアル通信部により、HDATA信号503、503´、…をボディ側第2通信部240bに送信する。レンズ側第2通信部340bは、例えばDMA(Direct Memory Access)機能を用いて、不図示のメモリのデータ領域に格納されているデータをHDATA信号として効率良く転送する。DMA機能は、CPUの介在なしに自動でメモリ上のデータにアクセスする機能である。
【0057】
次に、ホットライン通信におけるボディ側第2通信部240bの動作について説明する。本実施の形態では、ボディ側第2通信部240bは、電源オン時の初期化処理が終了すると、または、コマンドデータ通信によりホットライン通信の開始指示を送信すると判断すると、HDATA(B)端子とHCLK(B)端子を受信可能状態で待機させる。
ここで初期化処理について説明する。初期化処理としては、通信部であるレンズ側第1通信部340aとレンズ側第2通信部340bの初期化処理や、移動部材である絞り部材362、フォーカシングレンズ361a、振れ補正レンズ361bの初期化処理が含まれる。
交換レンズ3の移動部材(駆動力を受けて駆動する被駆動部材であるレンズや絞り部材362)の初期化処理について説明を続ける。交換レンズ3の移動部材の初期化処理は、まずコマンドデータ通信により、各移動部材の初期化指示(初期化開始コマンド)がカメラボディ2から交換レンズ3へ送信される。交換レンズ3は初期化指示を受けると、各移動部材(フォーカシングレンズ361a、振れ補正レンズ361b、絞り部材362)の初期化を開始する。各移動部材の初期化は、各駆動部を駆動して移動部材をそれぞれの原点位置を通過するように駆動することで行われる。カメラボディ2は初期化指示(初期化開始コマンド)を送信した後に、初期化状況を要求する指示(状況要求コマンド)を交換レンズ3へ送信する。交換レンズ3は状況要求コマンドを含むコマンドパケットを受信すると、各移動部材の初期化状況を含むデータパケットをコマンド信号によってカメラボディ2へ送信する。交換レンズ3は1回のコマンド信号で各移動部材(フォーカシングレンズ361a、振れ補正レンズ361b、絞り部材362)の初期化状況(初期化中であるか、初期化が完了したかを示す状態)をそれぞれ識別可能に送信する。初期化が完了した移動部材については完了した旨の識別信号を付して送信する。初期化中、すなわち初期化が未完の移動部材については未完である旨の識別信号を付して送信する。交換レンズ3から全ての移動部材で初期化完了を示す識別信号が送られてくるまで、カメラボディ2は状況要求コマンドを所定周期で繰り返す。カメラボディ2は、全ての移動部材の初期化が完了した後に、それぞれの移動部材への駆動指示(コマンド)を送信する。カメラボディ2から受信した駆動指示に基づいて、交換レンズ3は指示のあった移動部材を駆動し、移動部材の駆動状況をホットライン通信でカメラボディ2へ送信する。
【0058】
図6を用いてホットライン通信の説明に戻る。ボディ側第2通信部240bは、交換レンズ3からHDATA信号の送信が開始され、その開始時点t31から所定時間Terror0経過後(時刻t33)までに所定長のデータの受信を完了(t32)すると、正常に通信できたとして受信したデータを確定する。所定時間Terror0は、1周期における通信時間Ttransmitに余裕を持たせた時間であり、例えば、1周期の80%とする。ボディ側第2通信部240bは、HDATA信号を1回受信した後も、HDATA(B)端子とHCLK(B)端子を受信可能状態で待機させ、時刻t31から1周期が経過すると、次のHDATA信号の受信を開始する(t34)。
【0059】
ボディ側第2通信部240bは、レンズ側第2通信部340bによりHDATA信号の送信が開始されてから、所定時間Terror0以内に所定長のデータの受信を完了しない場合には、正常に通信できなかった(通信エラー)として受信したデータを破棄する。
なお、ホットライン通信において、1周期における通信時間(Ttransmit)は、各周期の間(時刻t33からt34の間)で通信エラー処理などが行えるように75%を超えないのが好ましいが、この限りではない。
【0060】
<ホットラインデータ>
1回のホットライン通信では、1つのホットラインデータ90が交換レンズ3からカメラボディ2に送信される。
ホットラインデータ90は、移動部材の位置情報(以下、第1情報)および移動部材の駆動量の算出に用いられうる情報(以下、第2情報)の少なくとも2種類の情報を、移動部材毎に含めることができる。本実施形態の場合、ホットラインデータ90は、フォーカシングレンズ361aの位置を示す第1情報とフォーカシングレンズ361aの駆動量算出に用いられうる第2情報とを含む第1データ91と、振れ補正レンズ361bの位置を示す第1情報と振れ補正レンズ361bの駆動量算出に用いられうる第2情報とを含む第2データ92と、を含む。第1データ91に含める情報と第2データ92に含める情報とは、同じでもよく、一部が異なっていてもよい。また、カメラボディ2は、第2情報を用いて駆動量の算出を行っても良く、第2情報を用いずに駆動量の算出を行っても良い。また、交換レンズ3に振れ補正レンズ361bが無い場合または交換レンズ3で振れ補正機能を動作させない場合、ホットラインデータ90は、第1データ91を含み第2データ92を含まないものとしてもよく、第2データ92として予め定められたダミーデータを含むものとしてもよい。ダミーデータを含む場合、ホットラインデータ90のデータ長が振れ補正機能の有無に関わらず固定長とすることができる。
第2情報は、移動部材毎に設定可能である。例えば、位置情報の信頼性(位置情報の信頼性を示す情報や位置情報が有効または無効である有効性を示す情報や識別子等)、移動部材の移動状態、ズーム操作環375などの操作部材の操作状態の少なくとも一つを含む。上述の情報や状況などは、レンズ側制御部330やレンズ側第2通信部340bなどで数値や識別子の形で表現されてホットラインデータ90に含められる。フォーカシングレンズ361aの第1データ91として、フォーカシングレンズ361aの位置を示す第1情報とフォーカシングレンズ361aの駆動量算出に用いられうる第2情報としての位置情報の信頼性(位置情報の信頼性を示す情報や位置情報が有効または無効である情報や識別子等)とを含む。
1回のホットライン通信で送信されるホットランデータ90は、第1情報と第2情報とを少なくとも一つずつ含むので、カメラボディ2は第1情報と第2情報とを1回のホットライン通信で取得できる。ここで、例えば、第1情報と第2情報とを別々の通信で受信する場合、カメラボディ2で第1情報が作成されたタイミングと第2情報が作成されたタイミングとを合わせる必要がある。しかしながら、本実施形態によれば、1回のホットライン通信で複数の情報を送るので、カメラボディ2で容易に複数の情報を考慮することができる。
なお、本実施形態において、交換レンズ3の移動部材のうち、絞り部材362の位置情報については、ホットライン通信でなくコマンドデータ通信でカメラボディ2へ送信される。すなわち絞り部材362の絞り値またはAV値の情報はコマンドデータ通信のDATAL信号によって、交換レンズ3からカメラボディ2へ送信される。フォーカシングレンズ361aや振れ補正レンズ361bは移動量も大きく、また細かく頻繁に移動するのでホットライン通信で周期的に送ることが好ましいが、絞り部材362は移動量も移動頻度も少ないのでコマンドデータ通信の間隔で十分である。絞り部材362の位置情報をコマンドデータ通信で送ることにより、1回で送信するホットライン通信のデータ量を減らすことができる。これによりホットライン通信の高速化が図れる。また、データ量の観点等から、コマンドデータ通信では絞り部材362の位置情報の有効または無効を示す情報を含まないこととしてもよい。
【0061】
(第1データ91の説明)
図7は、第1データ91に含まれる情報を説明する図である。
第1データ91は、第1情報としてのフォーカシングレンズ361aの位置に関するデータ91aを含む。また、第1データ91は、第2情報として、データ91aの信頼性に関するデータ91b、フォーカシングレンズ361aの移動状態に関するデータ91c、フォーカシングレンズ361aが設計された位置にあるか否かに関するデータ91d、操作部材の操作状態に関するデータ91e、フォーカシング駆動指示に対する動作状況に関するデータ91f、の少なくとも1つを含む。ここで、第2情報とは、カメラボディ2でフォーカス駆動指示の作成の際に考慮され得る情報である。また、第2情報とは、フォーカシングレンズ361aの駆動量算出に影響を与え得る情報であればよく、適宜変更可能である。
【0062】
データ91aは、レンズ駆動部370aにより検出されるフォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置情報を表す数値を含む。位置情報は、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向における絶対的な位置でもよいし、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向における原点からの移動量などの相対的な位置でもよいし、フォーカシングレンズ361aの位置から判断される撮影距離でもよい。データ91aは、例えば、各焦点距離においてフォーカシングレンズ361aの無限遠から至近端までの各位置に0~255までの値を対応させて、フォーカシングレンズ361aの現在位置を示す値を含めてもよい。また、データ91aは、レンズ駆動部370aから出力されるパルス数で表すことも可能であり、その場合データ91aの作成が容易となり好ましい。また、複数のフォーカシングレンズ363,364を有する場合、本実施形態のデータ91aは、複数のフォーカシングレンズ363,364の中から選択された1つのフォーカシングレンズの位置情報としたが、複数のフォーカシングレンズ363,364の位置を考慮して1つの仮想レンズの位置情報としてもよい。複数のフォーカシングレンズ363,364を備える場合でも1つの移動部材の位置情報(データ91a)とすることにより、フォーカシングレンズの個数によらずホットラインデータ90のデータ長を固定とすることができる。また、カメラボディ2にフォーカシングレンズの個数を送信する必要もなく、カメラボディ2もフォーカシングレンズの数に応じて制御を変更する必要が無いという効果がある。
【0063】
データ91cは、フォーカシングレンズ361aの移動状態に関し、フォーカシングレンズ361aが移動中であるか否かを示す識別子、フォーカシングレンズ361aが移動可能な状況にあるか否かを示す識別子、フォーカシングレンズ361aの移動方向を示す識別子、などで表される。
【0064】
データ91dは、フォーカシングレンズ361aが設計された位置にあるか否かに関し、例えば、ズームトラッキング中か否かを示す識別子、設計された移動軌跡(光学性能優先時の移動軌跡)より速度を優先した移動軌跡に沿って移動しているか否かを示す識別子などを含む。フォーカシングレンズ361の設計された位置とは、例えば、焦点距離と撮影距離とから一義的に求められる光軸O方向の位置である。一般的に、交換レンズ3は、焦点距離と撮影距離とに応じたフォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置を設定し、所望の光学性能を達成するように設計されている。しかしながら、ズームトラッキングや初期化動作など、フォーカシングレンズ361aの移動速度を光学性能より優先する場合、フォーカシングレンズ361aは本来設定された位置とは異なる位置を経由して移動し、設計された移動軌跡とは異なる移動軌跡となることもある。その場合、フォーカシングレンズ361aが例えば設計された移動範囲内にないとき(例えば、
図8のグラフのL0より下側の領域)等は、交換レンズ3の光学性能が低下する可能性もある。したがって、ズームトラッキング中は一律にフォーカシングレンズ361aが設計された位置にないことを示す識別子を選択して識別子の選択を容易に行うようにしてもよい。
交換レンズ3は、データ91dによりフォーカシングレンズ361aが設計された位置にあるか否かをホットライン通信で送信することが可能であり、カメラボディ2はフォーカシングレンズ361aが設計された位置にないこと、つまり光学性能の低下の可能性を考慮した処理が可能である。
【0065】
データ91bは、位置情報であるデータ91aの信頼性に関し、データ91aが有効であるか否かを示す識別子を含む。ボディ側制御部230は、データ91bにより、データ91a(位置情報)の信頼性を知ることができる。
また、複数のフォーカシングレンズ363,364で焦点位置を調節する場合、フォーカシングレンズ363,364の光軸O方向の相対位置が設計された位置と異なると、レンズ側制御部330は撮影距離を定義することができず、データ91aの信頼性が低下する。つまり、
図12(a)で、焦点距離Wから焦点距離Mを経由して焦点距離Tにズーム操作された場合、フォーカシングレンズ363は光学性能優先時の移動軌跡と速度優先時の移動軌跡とが一致するので、P(0,W)からP(0,M)を経由してP(0,T)へ移動し、光軸O方向の位置を示す数値が0のまま変化しない。一方、フォーカシングレンズ364は光学性能優先時の移動軌跡と速度優先時の移動軌跡とが一致せず、ズームトラッキングなど速度優先で移動する場合、P´(0,W)からP´(191,M)を経由してP´(0,T)へ移動し、光軸O方向の位置を示す数値が0から191などに変化する。すると、フォーカシングレンズ363とフォーカシングレンズ364とで、光軸O方向の位置を示す数値が一致せず、撮影距離を定義することができない。このような場合、レンズ側制御部330は、データ91aを制限範囲上下限の値に決定し、データ91dを複数のフォーカシングレンズ363,364を備えかつズームトラッキング中を示す識別子とし、データ91bを位置情報(データ91a)が無効であることを示す識別子とする。本実施形態では、複数のフォーカシングレンズ363,364を備える場合は、ズームトラッキング中は一律にデータ91bで位置情報無効を示す識別子を選択して識別子の選択を容易に行うようにしたが、この限りではない。例えば、
図12(b)に示すように、フォーカシング364が、光学性能優先時の移動軌跡と速度優先時の移動軌跡とが一部で一致する場合、レンズ側制御部330は、フォーカシングレンズ363の光軸O方向の位置を示す数値とフォーカシングレンズ364の光軸O方向の位置を示す数値とが一致するか否かに応じて、データ91bの識別子を選択することとしてもよい。その場合、データ91aがデータ91bにより無効と判断されるホットライン通信の回数を少なくすることができる。また、データ91bは、フォーカシングレンズ361aの数が一つの場合、データ91aの信頼性に関わらず常にデータ91aが有効であることを示すものとしてもよい。つまり、データ91bは、フォーカシングレンズ363,364が複数の場合の位置情報の信頼性を示すものとしてもよい。
【0066】
データ91eは、ズーム操作環375などの操作部材の操作状態に関する。操作部材の操作状態は、操作部材が操作中であるか否かを示す識別子、操作部材の操作方向を示す識別子、操作部材の操作速度を示す識別子、などで表される。レンズ側制御部330は、ズーム操作環375が回転されてズーム操作されると、データ91eで操作部材が操作中であることを示す識別子を選択するとともに、ズームレンズ361cが光軸O方向に移動されて撮像光学系360の焦点距離が変化したと認識する。レンズ側制御部330の認識する焦点距離は、コマンドデータ通信でもカメラボディ2からの送信指示に基づいて送信される。
ここで、ズーム操作される場合、焦点距離を変えつつ撮影距離を変えないために、いわゆるズームトラッキングを行う必要がある。
図8に、焦点距離(ワイドが0に相当し、テレが5に相当)と撮影距離(無限遠がL0に相当し、至近がL4に相当)とフォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置(設計値)との関係を示す。レンズ側記憶部350には、焦点距離0~5毎に、撮影距離とフォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置との関係を示すテーブルが記憶されている。本実施形態において、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置は、レンズ駆動部370aのパルス数に相当する数値で表される。例えば、レンズ駆動部370aは、ズーム操作前にフォーカシングレンズ361aが
図8のP(0,1)にあった場合、ズームトラッキングで、フォーカシングレンズ361aを
図8のP(0,2)、P(0,3)、…などの位置に移動させる。このように、ズーム操作に伴うズームトラッキングを行う場合、ズームトラッキング中はフォーカシングレンズ361aを速度優先で移動させる可能性がある。その場合、例えば、フォーカシングレンズ361aを
図8のP(0,1)とP(0,5)を結んだ直線上を通るように移動させると、曲線L0上の設計された位置を通らず、撮像光学系360の光学性能が低下するおそれがある。しかしながら、本実施形態によれば、カメラボディ2はホットライン通信でズーム操作中を認識し、フォーカシングレンズ361aが設計された位置にない可能性があることを認識することができる。
【0067】
データ91fは、フォーカシング駆動指示に対する動作状況に関し、交換レンズ3が駆動指示を実行中であるか否かを示す識別子、交換レンズ3が駆動指示を受信可能な状態であるか否かを示す識別子、交換レンズ3が駆動指示を実行完了したか否かを示す識別子、などで表される。本実施形態では、ズームトラッキング中は一律に駆動指示を実行できない受信不可状態であることを示す識別子を選択することとしたが、この限りではない。本実施形態によれば、カメラボディ2は、駆動指示を実行完了したことを早い周期のホットライン通信で認識することができ、実行完了後の処理を早く行うことができる。実行完了後の処理は、例えばフォーカス駆動指示の場合、駆動指示後に被写体にピントが合っていることをユーザに報知する処理などがあり、ユーザは被写体にピントが合ったことを早く認識してシャッターチャンスを逃すことを防止することができる。
また、カメラボディ2が送信する駆動指示を認識するためのID番号などをデータ91に含めることとしてもよい。交換レンズ3が、カメラボディ2からの駆動指示に基づいて駆動制御されている場合、当該駆動指示のコマンドパケット402に含まれるID番号などを、データ91に含めることとしてもよい。フォーカス駆動指示など、カメラボディ2から周期的に同じ種類の駆動指示を送信する場合でも、どのタイミングで出力された駆動指示に基づいて交換レンズ3が動作しているのかをカメラボディ2に送信することが可能である。
【0068】
(第2データ92の説明)
図9は、第2データ92に含まれる情報を説明する図である。
第2データ92は、例えば、交換レンズ3における振れ補正量に関するデータ92h~92k、交換レンズ3で算出された撮像面260Sでの被写体像の振れ量に関するデータ92l、92m、振れセンサ390で検出された検出信号と振れ補正レンズ361bの位置とから求められる残留振れ量に関するデータ92n、92o、振れセンサ390で検出された振れ状態に関するデータ92a~92d、振れ補正量または算出された振れ量の信頼性に関するデータ92e、92f、振れ補正レンズ361bの移動状態に関するデータ92g、の少なくとも1つを含む。
【0069】
データ92a~92dは、振れセンサ390で検出された振れ状態に関し、振れセンサ390からの検出信号に基づいてレンズ側制御部330により選択された識別子を含む。レンズ側制御部330は、振れセンサ390の検出信号から振れ状態を判断する。本実施形態では、振れ状態として、構図変更中の状態、構図が安定した状態、三脚に固定された状態、等を判断する。レンズ側制御部330は、構図変更中か否かを示す識別子、構図安定状態か否かを示す識別子、三脚固定状態か否かを示す識別子、をそれぞれ選択し、各識別子をホットラインデータ90として送信する。また、レンズ側制御部330は、検出信号のカットオフ周波数の変更など、それぞれの振れ状態に適した振れ補正制御を行う。
データ92aは、振れセンサ390によって出力されたX軸方向の角度振れに関する振れ状態を示す。例えばレンズ側制御部330は、X軸方向の角度振れ検出信号に基づいて、構図変更中か否かを示す識別子、構図安定状態か否かを示す識別子、三脚固定状態か否かを示す識別子、をそれぞれ選択し、データ92aとして設定する。
データ92bは、上記判断がY軸方向について行われる点がデータ92aと相違する。
データ92cは、上記判断が並進振れについて行われる点がデータ92aと相違する。
データ92dは、上記判断がY軸方向の並進振れについて行われる点がデータ92aと相違する。
ボディ側制御部230は、データ92a~92dにより、交換レンズ3での振れ状態の判断結果を知ることができる。従って、ボディ側制御部230は、振れ状態を交換レンズ3での判断結果に合わせた振れ補正制御を行うことができる。なお、ボディ側制御部230でも振れセンサ290の検出結果に基づいて振れ状態を判定しても良く、ボディ側制御部230では振れセンサ290の検出結果に基づいた振れ状態の判定を行わないこととしても良い。
【0070】
データ92gは、振れ補正レンズ361bの移動状態に関し、交換レンズ3の振れ制御状態に基づいてレンズ側制御部330により選択された識別子を含む。本実施形態では、振れ制御状態として、静止画防振中、動画防振中、非振れ補正中などが挙げられる。非振れ補正中とは、レンズ駆動部370bが駆動せず振れ補正が行われていない状態をいう。静止画防振中とは、カメラボディ2からコマンドデータ通信で送信される静止画防振開始指示に基づき、静止画の撮像時に適した振れ補正を行っている状態をいう。動画防振中とは、カメラボディ2からコマンドデータ通信で送信される動画防振開始指示に基づき、動画の撮像時やライブビュー画像撮像時に適した振れ補正を行っている状態をいう。一般的に、動画防振中の方が静止画防振中より振れ補正の効果が強く出るように設定されている。
ボディ側制御部230は、データ92gにより、振れ補正レンズ361bの移動状態を知ることができ、ボディ側制御部230での振れ補正の制御に反映させることができる。
【0071】
データ92h~92kは、交換レンズ3において補正された振れ量(振れ補正量)に関し、レンズ駆動部370bにより振れ補正レンズ361bの位置を示す数値が表され、またはレンズ側制御部330により振れ補正レンズ361bの位置から算出された振れ補正レンズ361bの移動量を示す数値が表される。
データ92hは、X軸方向における振れ補正レンズ361bの光軸O´の現在位置を示す。本実施形態において、データ92hは、交換レンズ3内で検出されたX軸方向における座標値を撮像素子260の撮像面260Sでの座標値(像面換算値)に換算して示す。像面換算値は、交換レンズ3で検出された振れ補正レンズ361bの座標値に、防振係数を掛けて算出される。防振係数は、振れ補正レンズ361bの単位移動量に対する撮像面260Sに於ける像面の移動量を示し、撮像光学系360の焦点距離および撮影距離によって変動する値であり、レンズ側記憶部350などで記憶されている。レンズ側制御部330は、振れ補正レンズ361bの座標値が検出された際の焦点距離や撮影距離に応じた防振係数をレンズ側記憶部350から読み出し、像面換算値を算出する。
交換レンズ3で像面換算値を算出することにより、焦点距離や撮影距離に応じた防振係数をカメラボディ2へ送信する必要がなくなるという効果があるが、像面換算前の値をホットライン通信で送信することとしてもよい。
データ92iは、上記判断がY軸方向について行われる点がデータ92hと相違する。
データ92jは、レンズ側制御部330が、振れ補正レンズ361bの位置から求めた振れ補正量である点がデータ94hと相違する。例えば、レンズ側制御部は、データ92hと同じ値をデータ92jとしてもよく、振れ補正レンズ361bの位置を表す座標値を像面換算せずにそのままデータ92jとしてもよく、振れ補正レンズ361bの位置から算出した振れ補正レンズ361bの移動量をデータ92jとしてもよい。
データ92kは、上記判断がY軸について行われる点がデータ92jと相違する。
ボディ側制御部230は、データ92h~92kにより、交換レンズ3で補正された振れ量(振れ補正量)を知ることができる。
【0072】
データ92l、92mは、交換レンズ3で算出された撮像面260Sでの被写体像の振れ量(全振れ量)に関し、振れセンサ390の検出信号と検出信号出力時の防振係数とからレンズ側制御部330により算出された数値で表される。
データ92lは、交換レンズ3で検出したX軸方向の全振れ量を、像面換算して示す。像面換算は上述の通りである。
データ92mは、上記判断がY軸について行われる点がデータ92lと相違する。
ボディ側制御部230は、データ92l、92mにより、交換レンズ3で算出された全振れ量を知ることができ、全振れ量が補正しきれているか否かを確認することができる。
【0073】
データ92n、92oは、振れセンサ390で検出された検出信号と振れ補正レンズ361bの位置とから求められる残留振れ量に関し、レンズ側制御部330により算出された値である。ここで、残留振れ量は、データ92l、92mで表される全振れ量から、データ92j、92kで表される振れ補正量を引いた値としてもよい。残留振れ量はカメラボディ2でも算出できるので、振れ補正量または振れ補正レンズ361bの現在位置の少なくとも一方と全振れ量とを送る場合、ホットラインデータ90から省略してもよい。
データ92nは、交換レンズ3で補正しきれなかったX軸方向の残留振れ量を、撮像素子260の撮像面260Sに換算して示す。像面換算は上述の通りである。
データ92oは、上記判断がY軸について行われる点がデータ92nと相違する。
ボディ側制御部230は、データ92n、92oにより、交換レンズ3での振れ補正制御を行っても残る振れ量を知ることができ、ボディ側制御部230で振れセンサ290の検出信号から振れ量の算出をすることなく交換レンズ3で補正しきれなかった振れを補正することができる。
【0074】
データ92e、92fは、振れ補正レンズ361bの位置情報の信頼性(有効性)、算出された振れ量や振れ補正量の信頼性(有効性)に関し、レンズ側制御部330がデータ92h~92oの信頼性(有効性)に基づいて選択した識別子を含む。本実施形態では、データ92e、92fは、データ92h~92oがそれぞれ有効であるか否かを示すものとするが、この限りではない。
ボディ側制御部230は、データ92e、92fにより、データ92h~92oの信頼性を知ることができる。
【0075】
<自動焦点調節の説明>
以下、ズームトラッキングを伴う自動焦点調節の一例について
図10を用いて説明する。
図10は、自動焦点調節のタイミングを例示するタイミングチャートである。
図10は、ライブビュー画像と呼ばれるモニター用画像を撮像する動作を、例えば1/60秒のフレームレート毎に繰り返す例である。
図10のタイミングチャートの前に、ホットライン通信が開始されており、時刻t61,62、…の周期的にホットラインデータ90が交換レンズ3からカメラボディ2に送信されているものとする。また、
図10の時刻t61で、交換レンズ3は動作ID2のフォーカス駆動指示を実行中であり、ユーザによりズーム操作環375が操作されているものとする。時刻t61からズーム操作環375は回転操作され続けて撮影距離が変化し続け、時刻t65、t71でズーム操作環375の操作信号が出力されてレンズ側制御部330の認識する焦点距離が階段状に変化する。また、
図10では被写体とカメラボディ2との距離は変化せず、フォーカシングレンズ361aはズーム操作環375の操作に伴うズームトラッキングにより光軸O方向の位置を調整されるものとする。また、
図10では、データ91aの位置情報は、各焦点距離において至近端0~無限端255の数値範囲で表すこととしたので、レンズ側制御部330の認識する焦点距離が階段状に変化する時刻t65では、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置が変わっていなくてもデータ91aの数値が大幅に変化する。
【0076】
以下、
図10の時刻t65でデータ91aが変化する理由を、
図8を用いて説明する。
図8では、各焦点距離においてフォーカシングレンズ361aの無限遠から至近端までの各位置に0~255までの値を対応させて、フォーカシングレンズ361aの光軸O方向の位置を示すこととする。従って、
図8のP(0,0)、P(0,1)、…、P(0,5)では、データ91aに含まれる数値は0となる。同様に、
図8のP(4,0)、P(4,1)、…、P(4,5)では、データ91aに含まれる数値は255となる。
時刻t64までは、焦点距離2かつ撮影距離L0で、
図8のP(0,2)に示す位置にフォーカシングレンズ361aが位置しているとすると、フォーカシングレンズ361aの位置情報としてのデータ91aの値は0となる。従って、時刻t64まではデータ91aの値は0となる。
次に、フォーカシングレンズ361aの位置が変化しないまま時刻t65で焦点距離が1に変化した場合、参照するテーブルの変化により、データ91aの値は、
図8のP(0,2)に相当する0からP(1,1)に相当する63に変化する。つまり、レンズ側制御部330は、焦点距離1のテーブルを参照して撮影距離はL1に変化したと認識する。そして、レンズ側制御部330は、ズームトラッキングでズーム操作前の撮影距離L0に戻すために、フォーカシングレンズ361aをデータ91aの値が0に相当するP(0,1)に移動させる。時刻t65´からt66の間にズームトラッキングが行われ、データ91aの値は63から0に変化する。
【0077】
信号処理部270は、1回の蓄積が終わるごとに撮像素子260から出力された撮像用画素信号に対して所定の画像処理を行って、ライブビュー画像を生成する。また、信号処理部270は、1回の蓄積が終わるごとに撮像素子260から出力された焦点検出用画素信号に基づいてデフォーカス量の算出を行う。また、ボディ側第1制御部230aは、算出されたデフォーカス量とホットライン通信で送信されるフォーカシングレンズ361aの位置情報(現在位置)とによりフォーカシングレンズ361aの駆動量を算出する。
ここで、本実施形態では、時刻t63までの蓄積で出力された焦点検出用画素信号に基づいて駆動量を算出する場合、蓄積時間に含まれる時刻t61、t62、…で示すホットライン通信で送信されるフォーカシングレンズ361aの位置情報を少なくとも一つ(好ましくは複数の位置情報の平均を算出して)用いる。このように、蓄積時間に含まれる時刻のフォーカシングレンズ361aの位置情報を用いてフォーカシングレンズ361aの駆動量を算出できるので、焦点調節の精度が向上する。ボディ側第1制御部230aは、時刻t63までの蓄積で出力された焦点検出用画素信号と時刻t61~t63の間のホットラインデータ90に基づく駆動量を、時刻t64のコマンドデータ通信で動作ID4のフォーカス駆動指示として送信する。本実施形態によれば、時刻t63、t64、t67、t68、t70、t73で示すように、ボディ側第1制御部230aは、蓄積毎に動作IDを付してフォーカス駆動指示を送信する。交換レンズ3は、新たな動作IDのフォーカス駆動指示に基づいてフォーカシングレンズ361aの駆動を開始させ、実行中の動作IDをホットライン通信で送信する。ここで、
図10では図示省略するが、カメラボディ2は、蓄積毎にコマンドデータ通信を行って焦点検出処理に必要な焦点距離などの情報を交換レンズ3から取得するものとしてもよい。また、動作IDや動作状況は、コマンドデータ通信とホットライン通信との両方でカメラボディ2に送信することとしてもよい。
【0078】
時刻t65でズーム操作環375の操作信号が出力されると、レンズ側制御部330は、データ91eの識別子を変更してズーム操作があったことをホットライン通信でカメラボディ2に送信する。また、レンズ側制御部330は、ズームトラッキング中の時刻t65´~t66は、データ91dおよびデータ91fの識別子を変更し、ズームトラッキング中であることとフォーカス駆動指示を実行できない状態であることをホットライン通信でカメラボディ2に送信する。
ボディ側第1制御部230aは、時刻t64~t67に蓄積された焦点検出用画素信号に基づくフォーカシングレンズ361aの駆動量算出時には、ズームトラッキング中であることを示すデータ91d、91fを含むホットラインデータ90の位置情報(データ91a)を用いずに駆動量を算出してもよい。つまり、ボディ側第1制御部230aは、時刻t64~t65、t66~t67の間に送信された信頼性の高い位置情報を用いて駆動量を算出してもよい。または、ボディ側第1制御部230aは、時刻t64~t67に蓄積された焦点検出用画素信号に基づくフォーカス駆動指示に、信頼性の低い位置情報も含めて作成されたフォーカス駆動指示であることを示す情報(
図10の「不適」)を付して交換レンズ3に出力してもよい。その場合、交換レンズ3は、受信したフォーカス駆動指示を破棄し、動作IDは一つ前の動作ID5のままとして時刻t69に動作IDが完了したことを示してもよい。
【0079】
一般に、自動焦点調節処理では、蓄積中にズームトラッキングが行われると、フォーカシングレンズ361aの位置が変化するために駆動量(特にデフォーカス量)の演算結果の精度が落ちることもある。しかしながら本実施形態によれば、カメラボディ2は、ホットラインデータ90に位置情報の信頼性に関する情報が含まれるので、例えば、信頼性の低い位置情報を駆動量算出時に用いない、信頼性の低下を示すホットラインデータ90を受信した際に蓄積された焦点検出用画素信号に基づいてフォーカス駆動指示を出力しない、信頼性の低下を示すホットラインデータ90を受信した際に蓄積された焦点検出用画素信号に基づいて作成されたことを示す情報を付してフォーカス駆動指示を出力する、など、適切に対処を行うことが可能になる。
【0080】
<振れ補正の説明>
本実施の形態によるカメラシステム1は、レンズ駆動部370bによって振れ補正レンズ361bを駆動させて行うレンズ側振れ補正と、センサ駆動部265によって撮像素子260を駆動させて行うボディ側振れ補正とが可能に構成されている。そのため、例えば、振れ補正レンズ361bを駆動するレンズ側振れ補正を行い、レンズ側振れ補正後でも残る振れ量についてボディ側振れ補正を行って、振れ補正効果の向上が可能である。また、レンズ側振れ補正とボディ側振れ補正とを協働させて、振れ補正効果の向上が可能である。レンズ側振れ補正とボディ側振れ補正とを協働させる際、交換レンズ3で判定された振れ状態はホットライン通信でカメラボディ2に送信されるので、カメラボディ2は交換レンズ3と振れ状態を一致させた制御を行うことができる。
【0081】
レンズ側制御部330は、上述の通り、振れセンサ390の検出信号に基づいて振れ状態として三脚固定状態、構図変更中状態、構図安定状態を判定する。また、レンズ制御部330およびボディ側第2制御部230bは、振れ状態に応じて、閾値や係数を適宜変更させて、振れ補正の効果を調整することができる。
例えば、振れ状態に応じて、振れ補正レンズ361bまたは撮像素子260(以下、可動部とする)の可動範囲や補正する振れの周波数帯域を変更させることができる。三脚固定状態では、三脚固定時に発生し易い10数Hzの周波数帯域の振れ検出信号を抽出して補正してもよい。構図変更中状態では、構図変更に伴うユーザの意図した交換レンズ3の振れまで補正しないように、周波数帯域を特定の範囲に制限したり、可動範囲を小さくしたりしてもよい。構図安定状態では、構図変更中状態よりも周波数帯域の範囲を広くして、可動範囲を機械的な可動範囲と一致させるなどして大きくしたりしてもよい。
【0082】
レンズ側制御部330は、振れセンサ390の検出信号に基づいて、交換レンズ3側で検出した全振れ量を算出する。レンズ側制御部330は、角速度センサ390aの検出信号により角度振れ量を算出し、加速度センサ390bの検出信号により並進振れ量を算出し、角度振れ量と並進振れ量とを用いて全振れ量を算出する。
レンズ側制御部330はさらに、検出信号の出力された時点の防振係数を読み出し、全振れ量と防振係数とに基づいて像面換算値を算出する。この際、レンズ側制御部330は、振れ補正レンズ361bの駆動範囲(機械的な可動範囲および制御的な可動範囲)を考慮せずに像面換算値を算出する。ここで、機械的な可動範囲とは振れ補正レンズ361bの保持機構に基づく可動範囲をいい、制御的な可動範囲とはユーザの設定や撮影条件により制限される可動範囲をいう。
レンズ側制御部330はまた、機械的な可動範囲および制御的な可動範囲を考慮して、振れ補正レンズ361bの移動量を、X軸方向およびY軸方向について算出する。移動量は、X軸方向およびY軸方向における目標とする座標値(目標位置)として算出しても良い。
振れ補正レンズ361bの移動量または目標位置を演算したレンズ側制御部330は、レンズ駆動部370bへ駆動信号を出力し、振れ補正レンズ361bを駆動させる。駆動信号を受けたレンズ駆動部370bは、振れ補正レンズ361bを光軸Oと交差するX軸およびY軸方向へ、それぞれ移動させる。また、レンズ駆動部370bは、振れ補正レンズ361bのX軸方向およびY軸方向における位置を周期的に検出し、現在位置としてレンズ側制御部330に出力する。レンズ側制御部330は、レンズ駆動部370bから出力された値をそのままデータ92h、92iとしてもよく、像面換算などの演算を行った値をデータ92h、92iとしてもよい。
さらに、レンズ側制御部330は、検出された振れ補正レンズ361bの現在位置と目標位置との差により、残留振れ量をX軸方向とY軸方向とについてそれぞれ算出する。なお、レンズ側制御部330により算出された目標位置までの移動量と振れ補正レンズ361bの現在位置から算出された移動量との差により、残留振れ量を算出してもよい。レンズ側制御部330は、振れ補正レンズ361bの現在位置が検出された際の防振係数を用いて、残留振れ量の像面換算値を算出する。
【0083】
ボディ側第2制御部230bは、ホットライン通信で受信した振れ補正レンズ361bの位置情報、ホットライン通信で受信した全振れ量、ホットライン通信で受信した残留振れ量、振れセンサ290から出力された検出信号、の少なくとも一つに基づいて駆動信号を作成し、センサ駆動部265へ出力する。駆動信号を受けたセンサ駆動部265は、撮像素子260を光軸Oと交差するX軸およびY軸方向へ、それぞれ移動させる。撮像素子260の駆動量は、ホットライン通信で受信した残留振れ量でもよく、ボディ側第2制御部230bで算出した振れ補正に必要な駆動量でもよい。ボディ側第2制御部230bでの駆動量の算出は、ホットライン通信で受信した全振れ量と振れ補正量との差に基づいてもよく、振れセンサ290の出力結果に基づいてもよく、振れセンサ290の出力結果とホットライン通信で受信した情報とに基づいても良い。ボディ側第2制御部230bでの駆動量の算出の際には、ホットライン通信で受信した交換レンズ3で判定された振れ状態を考慮するのが好ましい。
【0084】
以下、防振動作の一例について
図11を用いて説明する。
図11は、動画防振中のタイミングを例示するタイミングチャートである。
図11は、ライブビュー画像と呼ばれるモニター用画像を撮像する動作を、例えば1/60秒毎に繰り返し行いながら、振れ補正を行う例である。
図11のタイミングチャートの前に、ホットライン通信が開始されており、カメラボディ2から交換レンズ3へコマンドデータ通信によって動画防振開始の指示が送信されており、レンズ駆動部370bによる駆動が開始されているものとする。
【0085】
カメラボディ2は、例えば、撮像素子260による1回の蓄積が終わるごとに交換レンズ3とコマンドデータ通信を行う。ボディ側第1制御部230aは、時刻t43、t44、t47、…で示すように、フレームレートに基づいて周期的にコマンドデータ通信を行う。ここで、時刻t43、t44、t47、…で行われているコマンドデータ通信は、各蓄積に関する情報を送受信するためのものであり、例えば、カメラボディ2から交換レンズ3へは撮像条件などが送信され、交換レンズ3からカメラボディ2へは焦点距離などが送信される。なお、コマンドデータ通信で送受信される情報と、ホットラインデータ通信で送受信される情報は、一部の内容が重複していてもよい。従って、ボディ側第1制御部230aおよびボディ側第2制御部230bの両方で用いられる情報(例えば、振れ補正レンズ361bの位置情報など)は、ホットライン通信とコマンドデータ通信の両方で送信することとしてもよい。その場合、ホットライン通信では振れ補正レンズ361bの位置情報として座標値を送り、コマンドデータ通信では振れ補正レンズ361bの移動量を表す数値(座標値の差分)を送るのが、データ量の観点から好ましい。
また、時刻t43、t44、t47、…の各コマンドデータ通信の間に、フレームレートに基づかないコマンドデータ通信(例えば、フォーカス駆動指示など)を行うこととしても良い。
【0086】
レンズ側制御部330は、時刻t41、t42、…で示すように、ホットライン通信の周期に基づいてホットラインデータ90をその都度作成し、レンズ側第2通信部340bからカメラボディ2に向けて送信する。ボディ側第2通信部240bは、時刻t41、t42、…で受信したホットラインデータ90を、ボディ側第1制御部230aおよびボディ側第2制御部230bにそれぞれ出力する。
【0087】
図11では、第2データ92の一例として、データ92a~92d、92g、92l~92oを示す。データ92a~92d、92l~92oを示す曲線において、コマンドデータ通知のタイミングを矢印で、ホットライン通信のタイミングを丸印で示す。
図11では図示省略するが、レンズ側制御部330は、データ92e、92fに、データ92h~92oがそれぞれ有効であることを示す識別子を設定するものとする。また、レンズ側制御部330は、
図11において、データ92gに「動画防振中」であることを示す識別子を設定するものとする。
【0088】
図11において、データ92l~92oを示す曲線は、例えばX軸またはY軸の片軸について例示したものである。また、残留振れ量は、全振れ量と振れ補正量との差を誇張して(スケールを変えて)示す。
交換レンズ3の情報をカメラボディ2へホットライン通信を用いずにコマンドデータ通信のみで送ろうとする場合、矢印を付した時点の情報しか送信することができない。そのため、時刻t48~t49のように全振れ量が振れ補正範囲の上限を超えても、次のコマンドデータ通信の時刻t50まで残留振れ量をカメラボディ2へ送信することができない。
しかしながら、本実施の形態では、交換レンズ3の情報をカメラボディ2へホットライン通信で送るようにしたので、矢印を付した時点以外にも丸印で示す時点の情報をカメラボディ2へ送信することができる。そのため、全振れ量が振れ補正範囲の上限を超えた期間(時刻t48~t49)に残留振れ量をカメラボディ2へ送信することが可能になる。
このように構成したことにより、カメラボディ2では、例えば、交換レンズ3で補正しきれなかった残留振れ量を、ボディ側第2制御部230bにより振れ補正するなど、振れ補正効果をよりいっそう高めることが可能となる。
また、ボディ側第2制御部230bは、交換レンズ3での振れ補正量または全振れ量をホットライン通信により短い周期で継続して認識することができるので、交換レンズ3の振れ補正量または全振れ量に合わせた振れ補正制御を行うことができる。例えば、ボディ側第2制御部230bは、振れセンサ290の検出信号から算出されたボディ側全振れ量から交換レンズ3の振れ補正量を差し引いた分を補正する制御を行っても良く、交換レンズ3での全振れ量から振れ補正量を差し引いた分を補正する制御を行っても良い。また、ボディ側第2制御部230bは、交換レンズ3での全振れ量と振れセンサ290の検出信号から算出されたボディ側全振れ量とが一致するか否かを判定しても良い。ここで、カメラボディ2が交換レンズ3での振れ補正量を認識していないと、交換レンズ3の振れ補正効果とカメラボディ2の振れ補正効果とが互いに打ち消し合ってしまったり過剰に補正してしまう可能性もある。しかしながら本実施形態によれば、振れ補正量や全振れ量をホットライン通信で送信するので、カメラボディ2と交換レンズ3とで協働させて振れ補正効果高めることができる。
【0089】
レンズ側制御部330は、振れセンサ390の検出信号に基づいて、時刻t41~t44の間は「三脚固定状態」を示す識別子を、時刻t45~t46の間と時刻t51以降は「構図安定状態」を示す識別子を、時刻t47~t51の間は「構図変更中」を示す識別子を、データ92a~92dに設定する。
ここで、振れ状態をホットライン通信で送信せずにコマンドデータ通信で送信する場合、時刻t51~t52のようにレンズ側制御部30が構図安定状態を認識していても、次のコマンドデータ通信の時刻t52まで振れ状態をカメラボディ2へ送信することができない。また、時刻t45~t46のようにレンズ側制御部30が構図安定状態を認識していても、次のコマンドデータ通信の時刻t47の時点では振れ状態が変更してしまっていることもある。しかしながら、本実施の形態では、振れ状態をホットライン通信で送るようにしたので、丸印で示す時点毎に周期的にカメラボディ2へ送信することができる。そのため、交換レンズ3で検出された振れ状態の変更を早くカメラボディ2に送信することが可能になる。
このように構成したことにより、交換レンズ3で検出された振れ状態をカメラボディ2が早く認識可能となり、カメラボディ2での振れ補正制御を交換レンズ3での振れ補正制御とが合わない時間を少なくすることが可能となる。交換レンズ3とカメラボディ2とで振れ補正制御が一致していないと、交換レンズ3の振れ補正効果とカメラボディ2の振れ補正効果とが一致せず、ライブビュー画像などが不自然に見える場合がある。しかしながら本実施形態によれば、振れ補正制御をカメラボディ2と交換レンズ3とで合わせることにより、以下のように振れ補正の効果を高めることができる。
【0090】
例えば、振れ状態に応じて、振れ補正する周波数帯域や振れ補正可動部の可動範囲を変更して振れ補正効果を高めることができる。また、振れ状態を交換レンズ3とカメラボディ2とで一致させることでより振れ補正効果を高めることができる。また、振れの状態をホットライン通信で交換レンズ3からカメラボディ2に送信するので、交換レンズ3とカメラボディ2とで振れ状態がずれる時間を短くすることができる。仮に、振れ状態をホットライン通信で送信せず、交換レンズ3からカメラボディ2に振れ状態をコマンドデータ通信のみで送信することとした場合、カメラボディ2でレンズ側の振れ状態の検出結果を認識できる時間が遅れてしまい、交換レンズ3とカメラボディ2とで検出結果がずれる時間が大きくなってしまい、振れ補正時のファインダ像、スルー画像に対するユーザの使用感の低下(違和感)が生じる。しかしながら、本実施の形態では、交換レンズ3とカメラボディ2とで振れ状態がずれる時間を小さくさせることができる。
【0091】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
交換レンズ3は、移動部材の位置に関する第1情報と移動部材の移動量算出に用いられうる第2情報とを、ホットライン通信でカメラボディ2に周期的に送信するので、カメラボディ2で行われる移動量算出の精度を向上させることができる。
【0092】
交換レンズ3は、第1情報と第2情報とを1回のホットライン通信でカメラボディ2に送信するので、カメラボディ2は第2情報に含まれる第1情報の信頼性を容易に考慮することができる。また、交換レンズ3は、第1情報の信頼性として、位置情報が有効か無効かを示す識別子で表すこととしたので、識別子の選択を容易に行うことができる。また、交換レンズ3は、撮像光学系360の光学性能が低下する可能性のあることを識別子で表して、容易にホットライン通信でカメラボディ2に送信することができる。カメラボディ2は、第1情報とともに第2情報を考慮して、信頼性の低い第1情報は用いない、信頼性の低い第1情報から作成された駆動指示信号であることを示す、などの対応を取ることが可能である。
【0093】
交換レンズ3は、ホットラインデータ90に第2情報として複数種類の情報を含めることが可能であり、ホットライン通信でカメラボディ2に報知できる情報の数や種類を適宜選択可能である。カメラボディ2は、1回のホットライン通信で複数の情報を受信できるので、複数回の通信で複数の情報を受信する場合に比べて各情報取得のタイミングを考慮する必要がなく、容易に移動制御が可能である。
【0094】
交換レンズ3は、複数の移動部材に関する情報を1つのホットラインデータ90に含めることが可能であり、例えば、フォーカシングレンズ361aの位置情報と振れ補正レンズ361bの位置情報とを、1回のホットライン通信でカメラボディ2に送信可能である。
【0095】
交換レンズ3は、ホットライン通信のHCLK信号をHDATA信号とともに出力するので、ホットライン通信を主導で行うことができる。また、カメラボディ2は、コマンドデータ通信のCLK信号をDATAB信号とともに出力するので、コマンドデータ通信を主導で行うことができる。したがって、2つの独立した通信系統の主導を、カメラボディ2と交換レンズ3のそれぞれがとることができる。
【0096】
交換レンズ3は、振れ補正レンズ361bの位置に関する情報と、交換レンズ3で算出された全振れ量に関する情報とを、カメラボディ2に周期的に送信するので、カメラボディ2と振れ補正効果を打ち消し合うのを抑制することができる。
【0097】
交換レンズ3は、振れ補正レンズ361bの位置に関する情報として、レンズ駆動部370bから出力された光軸Oと交差するX軸方向とY軸方向の座標をそのまま送信することもでき、ホットラインデータ90を作成するための負荷を抑えることができる。
【0098】
交換レンズ3は、振れ補正レンズ361aの位置に関する情報、振れ補正量、全振れ量、残留振れ量の少なくとも一つを像面換算値で送信することもでき、カメラボディ2内での演算の負荷も抑えることができる。
また、1つのホットラインデータ90に含める情報は、全て交換レンズ3で像面換算することもでき、1つのホットラインデータ89に含める情報に対して交換レンズ3とカメラボディ2とで異なる防振係数が用いられて像面換算されるのを防ぐことができる。
【0099】
レンズ側第2通信部340bは、コマンドデータ通信でカメラボディ2からの指示を受信するよりも短い周期で、ホットラインデータ90を周期的に送信することもでき、コマンドデータ通信の時期や期間に関わらず、移動部材の移動量算出に用いられる情報を即時に送信することができる。
また、振れセンサ390は、ホットライン通信よりも短い周期で、検出信号を周期的に出力することもでき、ホットラインデータ90の出力のタイミングと振れセンサ390の検出信号の出力のタイミングとのずれを考慮する必要がなく、ホットラインデータ90の即時性を向上することができる。
【0100】
交換レンズ3は、ホットラインデータ90に含められる数値(位置に関する情報、振れ補正量、全振れ量、残留振れ量)の信頼性も送信できるので、1回のホットライン通信で数値とその信頼性とを対応付けてカメラボディ2に送信して、カメラボディ2で信頼性に応じた対処をさせることができる。
【0101】
交換レンズ3は、移動部材の移動状態も送信できるので、カメラボディ2の撮像素子260の蓄積タイミングと交換レンズ3の移動部材の移動タイミングの連携性を向上させることができる。
【0102】
交換レンズ3は、固定長のホットラインデータ90をカメラボディ2に周期的に送信するので、可変長のデータを送信する場合と異なり、一定の周期で送信を繰り返すことができる。
【0103】
本発明は上述した内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0104】
(変形例1)
上記の説明では、ホットライン通信においてDMA機能を用いる例を説明した。DMA機能を用いる代わりに、CPUを介在させてホットラインデータ90を生成してもよい。変形例1では、HDATA信号の送信はレンズ側第2通信部340bにより行われ、ホットラインデータ90の生成はレンズ側制御部330により行われる。このように構成することによって、DMA機能を用いなくてもホットライン通信とホットラインデータ90の生成とを並列に行うことができる。ただし、ホットラインデータ90の生成は、ホットライン通信の1周期を超えない期間に行われる。
【0105】
(変形例2)
上記の説明では、ボディ側制御部230をボディ側第1制御部230aとボディ側第2制御部230bとに分ける例を説明したが、ボディ側第1制御部230aとボディ側第2制御部230bとに分けることなく、1つのボディ側制御部230として構成しても構わない。この場合、ボディ側制御部230は、直接センサ駆動部265を制御すればよく、ボディ側第2通信部240bによる通信ラインは、1つのボディ側制御部230のみに接続すればよい。
【0106】
また、
図14のホットライン通信の例では、HCLK信号線とHDATA信号線の2本のみを用いたクロック同期式通信のデータ転送方向を、交換レンズ3からカメラボディ2への1方向とする例を示したが、さらにもう1本信号ラインを追加して、双方向にデータ転送可能としても構わない。あるいは、HDATA信号線の入出力を切り替え可能に構成することにより、双方向にデータ通信を行うように構成しても構わない。
【0107】
ホットライン通信は、クロック同期式に限らず、UART(調歩同期式通信)を用いても構わない。また、クロック信号線およびデータ信号線に加えて、ハンドシェーク信号線、または、CS(チップセレクト)信号線を追加して、レンズ側制御部330とボディ側第1制御部230a、ボディ側第2制御部230bとが通信開始のタイミングを合わせるように構成してもよい。
【0108】
(変形例3)
カメラボディ2において、撮像素子260を光軸Oと交差する方向に駆動するセンサ駆動部265を省略し、信号処理部270で行う画像処理によって画像の位置を移動させる振れ補正を行う構成にしてもよい。または、カメラボディ2において、センサ駆動部265による振れ補正と、信号処理部270による振れ補正とを合わせて行うこととしてもよい。
【0109】
(変形例4)
交換レンズ3とカメラボディ2とで分担割合を決めて振れ補正を分担するように構成してもよい。例えば、交換レンズ3において算出された全振れ量を、交換レンズ3とカメラボディ2とで行う振れ補正の分担割合を予め決めておく。レンズ側制御部330は、算出した全振れ量のうち、交換レンズ3で分担する割合を乗算した振れ量を打ち消すように振れ補正レンズ361bを移動させる。
一方、ボディ側第2制御部230bは、全振れ量のうち、カメラボディ2で分担する割合を乗算した振れ量を打ち消すように振れ補正制御を行う。
【0110】
変形例4によれば、交換レンズ3とカメラボディ2とで行う振れ補正の分担割合を決めておくことにより、交換レンズ3とカメラボディ2との間で振れ補正を適切に分担させることができる。
交換レンズ3とカメラボディ2との補正の分担は、分担割合として定めても良く、所定の補正量として定めても良い。また、振れ補正レンズ361bの駆動範囲を超える分の振れをカメラボディ2で補正するように定めても良い。また、振れ補正レンズ361bの制御的な駆動範囲をホットライン通信でカメラボディ2に送信することとしてもよい。
【0111】
(変形例5)
交換レンズ3とカメラボディ2とで、振れの成分によって振れ補正を分担するように構成してもよい。例えば、交換レンズ3は、角度振れの補正と所定量の並進振れを分担し、カメラボディ2は、光軸O回りの振れ(ロール成分)と残りの並進振れを分担する。所定量の並進振れは、撮像光学系360の光学性能において弊害を生じさせない程度の補正量に留めることをいう。変形例5の場合、レンズ側制御部330は、分担しない振れの成分に関するデータをホットラインデータ90に含めることとしてもよい。
【0112】
レンズ側制御部330およびボディ側第2制御部230bが、それぞれ振れの成分によって振れ補正を制御するので、交換レンズ3とカメラボディ2との間で振れ補正を適切に分担させることができる。
【0113】
(変形例6)
ボディ側第2制御部230bは、ホットラインデータ90で送信される振れ状態に基づいてその振れ状態に適した振れ補正制御を行うこととしたが、この限りではない。本実施形態ではカメラボディ2にも振れセンサ290を設けるので、ボディ側第2制御部230bは、ホットラインデータ90と振れセンサ290の検出信号の両方を考慮した振れ補正制御を行うこととしてもよい。
【0114】
(変形例7)
データ91dは、上記の実施形態でズームトラッキング中か否かを示す識別子や速度優先で移動していることを示す識別子を含むとして説明したが、この限りではない。フォーカシングレンズ361aが設計された位置にないときの他の例として、レンズ駆動部370aの初期化処理中、交換レンズ3内でのエラー発生中、焦点調節以外の理由でフォーカシングレンズ361aを駆動している間、等がある。
【0115】
(変形例8)
データ91bは、上記の実施形態で、複数のフォーカシングレンズを備えかつズームトラッキング中は信頼性が無いことを示す識別子を含むものとして説明したが、この限りではない。データ91bは、データ91aの信頼性に応じた数値を含むものとしても良く、1つのフォーカシングレンズの位置情報の有効または無効を示す識別子を含むものとしても良い。また、レンズ側制御部330は、フォーカシングレンズの数に限られず、撮影距離に相当する情報(本実施形態では0~255の数値で示す)が判断不可な状態の際に、データ91dで「無効」を示す識別子を含むものとしてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…カメラシステム、2…カメラボディ、3…交換レンズ、90…ホットラインデータ、91、92…データ、210…ボディ側マウント、230…ボディ側制御部、235…記憶部、240…ボディ側通信部、265…センサ駆動部、270…信号処理部、310…レンズ側マウント、330…レンズ側制御部、340…レンズ側通信部、350…レンズ側記憶部、360…撮像光学系、370…レンズ駆動部、375…ズーム操作環