(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】接着剤組成物及び構造体
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20221109BHJP
C09J 4/00 20060101ALI20221109BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20221109BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20221109BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J4/00
C09J11/04
H05K3/32 B
H05K1/14 J
(21)【出願番号】P 2019510051
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2018012994
(87)【国際公開番号】W WO2018181589
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2017066015
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 直
(72)【発明者】
【氏名】川端 泰典
(72)【発明者】
【氏名】三島 翔太
(72)【発明者】
【氏名】森尻 智樹
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-140594(JP,A)
【文献】特開2001-323249(JP,A)
【文献】特開2000-040418(JP,A)
【文献】特開2011-080033(JP,A)
【文献】特開2016-189334(JP,A)
【文献】特開2013-181131(JP,A)
【文献】国際公開第2013/005831(WO,A1)
【文献】特開2010-157746(JP,A)
【文献】特開2009-277682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
H01B1/00-1/24
H05K1/14;3/32-3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ウレタン結合を有する熱可塑性樹脂と、
(b)ラジカル重合性化合物と、
(c)ラジカル重合開始剤と、
(d)ポリウレタンビーズと、
(e)非導電性無機微粒子と、
を含有
し、
前記ラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物を含む、接着剤組成物。
【化1】
[式中、pは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。]
【請求項2】
前記(a)ウレタン結合を有する熱可塑性樹脂の含有量が、質量基準で、前記(d)ポリウレタンビーズの含有量以上である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
(f)導電粒子を更に含有する、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
回路接続用である、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤組成物又はその硬化物を備える、構造体。
【請求項6】
第一の回路電極を有する第一の回路部材と、
第二の回路電極を有する第二の回路部材と、
前記第一の回路部材及び前記第二の回路部材の間に配置された回路接続部材と、を備え、
前記第一の回路電極及び前記第二の回路電極が電気的に接続されており、
前記回路接続部材が、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤組成物又はその硬化物を含む、構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着剤組成物及び構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子及び液晶表示素子(ディスプレイ表示素子)において、素子中の種々の部材を結合させる目的で従来から種々の接着剤が使用されている。接着剤に要求される特性は、接着性をはじめとして、耐熱性、高温高湿状態における信頼性等、多岐に亘る。また、接着に使用される被着体としては、プリント配線板、有機基材(ポリイミド基材等)、金属(チタン、銅、アルミニウム等)、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)、SiNX、SiO2等の表面状態を有する基材などが用いられ、各被着体にあわせた接着剤の分子設計が必要である。
【0003】
従来、半導体素子用又は液晶表示素子用の接着剤では、高接着性及び高信頼性を示す熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、アクリル樹脂等)が用いられてきた。エポキシ樹脂を使用した接着剤の構成成分としては、エポキシ樹脂、及び、エポキシ樹脂に対する反応性を有するカチオン種又はアニオン種を熱又は光により発生させる潜在性硬化剤が一般に用いられている。潜在性硬化剤は、硬化温度及び硬化速度を決定する重要な因子であり、常温での貯蔵安定性及び加熱時の硬化速度の観点から、種々の化合物が用いられてきた。実際の工程では、例えば、温度170~250℃、10秒~3時間の硬化条件で硬化することにより所望の接着性を得ていた。
【0004】
また、近年、半導体素子の高集積化及び液晶表示素子の高精細化に伴い、素子間及び配線間ピッチが狭小化し、硬化時の熱によって、周辺部材に悪影響を及ぼすおそれがある。更に、低コスト化のためには、スループットを向上させる必要があり、低温(90~170℃)且つ短時間(1時間以内、好ましくは10秒以内、より好ましくは5秒以内)での接着、換言すれば、低温短時間硬化(低温速硬化)での接着が要求されている。この低温短時間硬化を達成するためには、活性化エネルギーの低い熱潜在性触媒を使用する必要があるが、常温付近での貯蔵安定性を兼備することが非常に難しいことが知られている。
【0005】
そのため、近年、(メタ)アクリレート誘導体と、ラジカル重合開始剤である過酸化物とを併用したラジカル硬化系の接着剤等が注目されている。ラジカル硬化系は、反応活性種であるラジカルが非常に反応性に富むため、短時間硬化が可能であり、且つ、ラジカル重合開始剤の分解温度以下では、過酸化物が安定に存在することから、低温短時間硬化と貯蔵安定性(例えば、常温付近での貯蔵安定性)とを両立した硬化系である。例えば、下記特許文献1~3に示されるようなラジカル硬化系の接着剤組成物が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-22231号公報
【文献】特開2009-1765号公報
【文献】国際公開第2009/063827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、半導体素子及び液晶表示素子の接続部分の縮小化が更に進んでおり、より小さい接続面積でも十分な接着強度を有する接着剤が求められている。しかしながら、従来の接着剤では十分な接着強度が得られないことがわかった。
【0008】
そこで、本開示は、低温短時間接続(低温短時間硬化)が可能なラジカル硬化系接着剤において、接続面積が小さい場合においても十分な接着強度が得られる接着剤組成物、及び、それを用いた構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、検討を進める中でポリウレタンビーズに着目した。そして、本発明者らは、ポリウレタンビーズを配合した接着剤組成物の検討を進める中で、特に熱可塑性樹脂として、ウレタン結合を含有する樹脂を用いた場合に特に接着強度が高くなることを見出した。また、ポリウレタンビーズと組み合わせて、非導電性無機微粒子を用いることにより、接着強度がより高くなることを見出した。
【0010】
すなわち、本開示の一側面は、(a)ウレタン結合を有する熱可塑性樹脂と、(b)ラジカル重合性化合物と、(c)ラジカル重合開始剤と、(d)ポリウレタンビーズと、(e)非導電性無機微粒子と、を含有する、接着剤組成物を提供する。
【0011】
本開示の接着剤組成物によれば、接続面積が小さい場合にも高い接着力を得ることができる。本開示の接着剤組成物において、特に(a)ウレタン結合を有する熱可塑性樹脂と、(d)ポリウレタンビーズと、(e)非導電性無機微粒子と、を組み合わせて用いることにより、接続面積が小さい場合にも高い接着力を得ることができる理由について、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、ポリウレタンビーズが有する柔軟性及び極性によって被着体との密着性が向上し、更に非導電性無機微粒子によって接着剤組成物及びその硬化物が十分な強度を有することで、接続面積が小さい場合にも高い接着力を得ることができると考えている。また、(a)ウレタン結合を有する熱可塑性樹脂は(d)ポリウレタンビーズとの親和性が高いため、これらを組み合わせて用いることにより、接着剤組成物中での(d)ポリウレタンビーズの分散性が大きく向上し、接続面積が小さい場合においても優れた接着強度が得られるものと考えている。
【0012】
本開示の接着剤組成物における上記(a)ウレタン結合を有する熱可塑性樹脂の含有量は、質量基準で、上記(d)ポリウレタンビーズの含有量以上であってもよい。
【0013】
本開示の接着剤組成物は、(f)導電粒子を更に含有していてもよい。
【0014】
本開示の接着剤組成物は、回路接続用(回路接続用接着剤組成物)であってもよい。
【0015】
本開示の別の側面は、上記本開示の一側面に係る接着剤組成物又はその硬化物を備える、構造体を提供する。
【0016】
本開示の別の側面は、第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有する第二の回路部材と、上記第一の回路部材及び上記第二の回路部材の間に配置された回路接続部材と、を備え、上記第一の回路電極及び上記第二の回路電極が電気的に接続されており、上記回路接続部材が上記本開示の一側面に係る接着剤組成物又はその硬化物を含む、構造体を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、低温短時間接続(低温短時間硬化)が可能なラジカル硬化系接着剤において、接続面積が小さい場合にも高い接着力を得ることができる接着剤組成物、及び、それを用いた構造体を提供することができる。
【0018】
本開示によれば、構造体又はその製造への接着剤組成物又はその硬化物の応用を提供することができる。本開示によれば、回路接続への接着剤組成物又はその硬化物の応用を提供することができる。本開示によれば、回路接続構造体又はその製造への接着剤組成物又はその硬化物の応用を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の構造体の一実施形態を示す模式断面図である。
【
図2】本開示の構造体の他の一実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態について説明するが、本開示はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」等の他の類似の表現においても同様である。以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。「常温」とは、25℃を意味する。
【0022】
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0023】
<接着剤組成物>
本実施形態の接着剤組成物は、(a)ウレタン結合を有する熱可塑性樹脂(以下、(a)成分ともいう)、(b)ラジカル重合性化合物(以下、(b)成分ともいう)、(c)ラジカル重合開始剤(以下、(c)成分ともいう)、(d)ポリウレタンビーズ(以下、(d)成分ともいう)、及び、(e)非導電性無機微粒子(以下、(e)成分ともいう)を含有する接着剤組成物である。本実施形態の接着剤組成物は、(f)導電粒子(以下、(f)成分ともいう)を更に含有していてもよい。本実施形態の接着剤組成物は、回路接続用接着剤組成物として好適に用いることができる。以下、各成分について説明する。
【0024】
(熱可塑性樹脂)
本実施形態で用いる(a)ウレタン結合を有する熱可塑性樹脂(以下、ポリウレタン樹脂と呼ぶ)は、例えば、ポリオールとジイソシアネート等のイソシアネート成分との反応により得ることができる。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量としては、5,000~150,000が好ましく、10,000~80,000がより好ましい。この値が5,000以上であると、接着剤組成物をフィルム状で用いる場合にフィルム形成性が良好となる傾向があり、また150,000以下であると他の成分との相溶性が良好となる傾向がある。
【0025】
ポリウレタン樹脂の合成に用いられるポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール、芳香族系ポリオール(フタル酸系ポリオール)等が挙げられる。具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール等を基本骨格としたものなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は複数を混合して用いることができる。
【0026】
イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物が挙げられる。具体的には、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。また、イソシアネート成分として、上記ジイソシアネートモノマーから形成したイソシアヌレート化合物(3官能)又はウレトジオン化合物(2官能)を用いることもできる。更に、イソシアネート成分として、末端イソシアネート基ポリイソシアネート(例えば、アダクト型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート等)を用いることもできる。これらは1種を単独で又は複数を混合して用いることができる。
【0027】
接着剤組成物におけるポリウレタン樹脂の含有量は、質量基準で、(d)ポリウレタンビーズの含有量以上であることが好ましい。ポリウレタン樹脂の含有量がポリウレタンビーズの含有量以上である場合、ポリウレタンビーズとの親和性が高いポリウレタン樹脂が相対的に多く存在することで、接着剤組成物中でのポリウレタンビーズの分散性がより向上する傾向がある。その上で、ポリウレタン樹脂の含有量は、接着剤組成物の接着剤成分(接着剤組成物中の(f)導電粒子以外の固形分。以下同様)の全質量を基準として、5~90質量%であることが好ましく、6~80質量%であることがより好ましく、8~70質量%であることが更に好ましく、10~60質量%であることが特に好ましい。ポリウレタン樹脂の含有量が5質量%以上であると、ポリウレタンビーズの分散性が向上して接着強度がより向上する傾向があり、90質量%以下であると、接着剤組成物の流動性を良好にできる傾向がある。
【0028】
本実施形態の接着剤組成物はポリウレタン樹脂以外の公知の熱可塑性樹脂を併用することができる。ポリウレタン樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリビニルブチラール樹脂から選ばれる1種又は2種以上の樹脂が挙げられる。
【0029】
このような熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、5000~400000が好ましく、5000~200000がより好ましく、10000~150000が更に好ましい。このような熱可塑性樹脂の重量平均分子量が5000以上であると、接着剤組成物の接着強度を良好にできる傾向があり、重量平均分子量が400000以下であると、他の成分との相溶性が良好であり、接着剤の流動性の低下を抑制できる傾向がある。
【0030】
熱可塑性樹脂として、応力緩和及び接着性向上を目的として、ゴム成分を用いることもできる。ゴム成分としては、例えば、アクリルゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、1,2-ポリブタジエン、カルボキシル基末端1,2-ポリブタジエン、水酸基末端1,2-ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンゴム、水酸基末端スチレン-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水酸基末端ポリ(オキシプロピレン)、アルコキシシリル基末端ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール及びポリ-ε-カプロラクトンが挙げられる。ゴム成分は、接着性向上の観点から、高極性基であるシアノ基又はカルボキシル基を側鎖基又は末端基として有することが好ましい。これらのゴム成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
接着剤組成物における熱可塑性樹脂全体の含有量は、接着剤組成物の接着剤成分の全質量を基準として、20~90質量%であることが好ましく、20~80質量%であることがより好ましく、30~70質量%であることが更に好ましい。(a)熱可塑性樹脂の含有量が20質量%以上であると、接着強度を良好にしつつ、接着剤組成物のフィルム形成性を向上できる傾向があり、90質量%以下であると、接着剤組成物の流動性を良好にできる傾向がある。
【0032】
(ラジカル重合性化合物)
(b)ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能な官能基を有する化合物である。このようなラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、シトラコンイミド樹脂、ナジイミド樹脂等が挙げられる。「(メタ)アクリレート化合物」とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。ラジカル重合性化合物は、モノマー又はオリゴマーの状態で用いてもよく、モノマーとオリゴマーとを併用することもできる。ラジカル重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性化合物としては、例えば、特許文献3(国際公開第2009/063827号)に記載の化合物を好適に使用することができる。(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
ラジカル重合性化合物としては、更に優れた保存安定性を得る観点から、(メタ)アクリレート化合物が好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。(メタ)アクリレート化合物は、耐熱性が向上する観点から、ジシクロペンテニル基、トリシクロデカニル基及びトリアジン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有することが好ましい。
【0035】
また、ラジカル重合性化合物として、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物を用いることが好ましく、(メタ)アクリレート化合物等の上記ラジカル重合性化合物と、式(1)で表されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物とを併用することがより好ましい。これらの場合、無機物(金属等)の表面に対する接着強度が向上するため、例えば、回路電極同士の接着に好適である。
【0036】
【化1】
[式中、pは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。]
【0037】
上記リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物は、例えば、無水リン酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。上記リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等が挙げられる。式(1)で表されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
式(1)で表されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は、更に優れた接着性を得る観点から、ラジカル重合性化合物(ラジカル重合性化合物に該当する成分の総量。以下同様)の全質量を基準として、1~100質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、1~10質量%が更に好ましい。式(1)で表されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は、更に優れた接着性を得る観点から、ラジカル重合性化合物及びフィルム形成材(必要により使用される成分)の合計質量を基準として、0.01~50質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、0.5~5質量%が更に好ましい。
【0039】
上記ラジカル重合性化合物は、アリル(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。この場合、アリル(メタ)アクリレートの含有量は、ラジカル重合性化合物及びフィルム形成材(必要により使用される成分)の合計質量を基準として、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
【0040】
ラジカル重合性化合物の含有量は、更に優れた接着性を得る観点から、接着剤組成物の接着剤成分の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。ラジカル重合性化合物の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。ラジカル重合性化合物の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが特に好ましく、50質量%以下であることが極めて好ましい。これらの観点から、ラジカル重合性化合物の含有量は、10~90質量%であることが好ましく、20~80質量%であることがより好ましく、30~70質量%であることが更に好ましく、40~60質量%であることが特に好ましく、40~50質量%であることが極めて好ましい。
【0041】
(ラジカル重合開始剤)
(c)ラジカル重合開始剤としては、熱(加熱)により遊離ラジカルを発生する開始剤、光により遊離ラジカルを発生する開始剤、超音波、電磁波等により遊離ラジカルを発生する開始剤などを用いることができる。
【0042】
熱により遊離ラジカルを発生する開始剤は、熱により分解して遊離ラジカルを発生する化合物である。このような化合物としては、過酸化物(有機過酸化物等)、アゾ系化合物などが挙げられる。このようなラジカル重合開始剤は、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定される。安定性、反応性及び相溶性の観点から、1分間半減期温度が90~175℃で、且つ分子量が180~1000の過酸化物が好ましい。「1分間半減期温度」とは、過酸化物の半減期が1分である温度をいう。「半減期」とは、所定の温度において化合物の濃度が初期値の半分に減少するまでの時間をいう。1分間半減期温度は、日油株式会社発行のカタログ(有機過酸化物(第10版、2015年2月))掲載の値とする。
【0043】
熱により遊離ラジカルを発生する開始剤の具体例としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイド等が挙げられる。
【0044】
ラジカル重合開始剤としては、電極(回路電極等)の腐食を抑える観点から、含有される塩素イオン及び有機酸の濃度が5000ppm以下である開始剤が好ましく、熱分解後に発生する有機酸が少ない開始剤がより好ましい。このような開始剤の具体例としては、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイド等が挙げられ、高反応性が得られる観点から、パーオキシエステルがより好ましい。
【0045】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシネオデカノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、3-メチルベンゾイルパーオキサイド、4-メチルベンゾイルパーオキサイド、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(3-メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t-アミルパーオキシノルマルオクトエート、t-アミルパーオキシイソノナノエート及びt-アミルパーオキシベンゾエートから選ばれる1以上の化合物である。
【0046】
光により遊離ラジカルを発生する開始剤は、光により分解して遊離ラジカルを発生する化合物である。このような開始剤としては、波長150~750nmの光照射によって遊離ラジカルを発生する化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えば、光照射に対する感度が高い観点から、Photoinitiation,Photopolymerization,and Photocuring,J.-P. Fouassier,Hanser Publishers(1995年)、p17~p35に記載されているα-アセトアミノフェノン誘導体及びホスフィンオキサイド誘導体が好ましい。
【0047】
ラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。開始剤と、分解促進剤、分解抑制剤等とを併用してもよい。また、開始剤をポリウレタン系又はポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化してもよい。マイクロカプセル化した開始剤は、可使時間が延長されるために好ましい。
【0048】
ラジカル重合開始剤の含有量は(a)成分及び(b)成分の総量100質量部に対して、1~15質量部であることが好ましく、2.5~10質量部であることがより好ましい。
【0049】
(ポリウレタンビーズ)
本実施形態で用いる(d)ポリウレタンビーズは、架橋されたウレタン樹脂からなる球状の有機微粒子である。
【0050】
ポリウレタンビーズはポリオール成分及びイソシアネート成分を反応させて合成することができる。ポリオールは主として2官能のものが用いられるが、3官能以上のものを併用してもよい。3官能以上のものを併用した場合には、ポリウレタンビーズの架橋度を高くできる。
【0051】
ポリオール成分としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール、芳香族系ポリオール(フタル酸系ポリオール)等が挙げられる。これらのうち、耐加水分解性が向上する点では、ポリカーボネートポリオール又は芳香族系ポリオールが好ましい。また、ポリオールとしては、ポリウレタンビーズの架橋度を高くし、弾性回復性が高くなる点では、多官能ポリオールが好ましい。多官能ポリオールとしては、例えば、3官能ポリカプロラクトン系ポリオール等が挙げられる。多官能ポリオールは重量平均分子量が大きい程、柔軟性が高くなる。これらは1種を単独で又は複数を混合して用いることができる。
【0052】
イソシアネート成分は、黄変型、無黄変型、難黄変型のいずれでもよい。イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物が挙げられる。具体的には、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。また、イソシアネート成分として、上記ジイソシアネートモノマーから形成したイソシアヌレート化合物(3官能)又はウレトジオン化合物(2官能)を用いることもできる。更に、イソシアネート成分として、末端イソシアネート基ポリイソシアネート(例えば、アダクト型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート等)を用いることもできる。これらは1種を単独で又は複数を混合して用いることができる。
【0053】
ポリウレタンビーズの平均粒子径は特に制限されないが、50nm~10μmであることが好ましく、70nm~6μmであることがより好ましく、70nm~5μmであることが更に好ましい。50nm未満のポリウレタンビーズを作製することは技術的に難しい場合があるため、入手容易性の観点から50nm以上であることが好ましい。また、10μm以下の場合、他の接着剤組成物と配合した際に凝集が発生しにくく、また、凝集が発生しても濾過性の悪化を抑制できる傾向がある。平均粒子径は例えばSEMによって確認することができる。
【0054】
ポリウレタンビーズの含有量は、(a)成分であるポリウレタン樹脂の含有量未満であることが好ましい。その上で、接着剤組成物の接着剤成分の全質量を基準として、3~50質量%であることが好ましく、4~40質量%であることがより好ましく、5~30質量%であることが更に好ましく、8~25質量%であることが特に好ましい。含有量が3質量%以上の場合、十分な接着強度が得られやすい傾向があり、50質量%以下の場合、接着剤の流動性の低下を抑制できる傾向がある。
【0055】
(非導電性無機微粒子)
(e)成分の非導電性無機微粒子としては、公知の非導電性無機微粒子を特に制限無く用いることができる。非導電性無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ-アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子などの非導電性無機微粒子が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、本実施形態において、(e)非導電性無機微粒子は導電性を有さないものであり、後述する(f)導電粒子には属さないものである。
【0056】
非導電性無機微粒子の平均粒子径は、1μm未満であることが好ましく、0.1~0.5μmであることがより好ましい。なお、ここでいう平均粒子径とは、回路接続材料中に存在するときの長軸方向のモード径である。また、(e)成分の平均1次粒子径は、100nm以下であることが好ましく、10~30nmであることがより好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径及び平均1次粒子径は、画像解析によって測定される値を示す。
【0057】
非導電性無機微粒子としては、分散性に優れることから、表面を有機基で修飾した微粒子を好適に用いることができる。有機基としては、例えば、ジメチルシロキサン基、ジフェニルシロキサン基等が挙げられる。
【0058】
非導電性無機微粒子の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、1~30質量%であることが好ましく、2~25質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることが更に好ましい。(e)成分の含有量が上記範囲であると、本開示の効果が一層顕著に奏される。
【0059】
(導電粒子)
本実施形態の接着剤組成物は、(f)導電粒子を更に含有していてもよい。導電粒子の構成材料としては、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、はんだ等の金属、カーボンなどが挙げられる。また、非導電性の樹脂、ガラス、セラミック、プラスチック等を核とし、この核に上記金属(金属粒子等)又はカーボンを被覆した被覆導電粒子でもよい。被覆導電粒子又は熱溶融金属粒子は、加熱加圧により変形性を有するため、接続時に回路電極の高さのばらつきを解消し、接続時に電極との接触面積が増加することから信頼性が向上するため好ましい。
【0060】
導電粒子の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1~30μmであることが好ましく、2~25μmであることがより好ましく、3~20μmであることが更に好ましい。導電粒子の平均粒径は、例えば、レーザー回折法等の機器分析を用いて測定することができる。
【0061】
導電粒子の含有量は、導電性に優れる観点から、接着剤組成物の接着剤成分の全体積100体積部に対して、0.1体積部以上が好ましく、1体積部以上がより好ましい。導電粒子の含有量は、電極(回路電極等)の短絡を抑制しやすい観点から、接着剤組成物の接着剤成分の全体積を基準として、50体積部以下が好ましく、20体積部以下がより好ましく、10体積部以下が更に好ましく、5体積部以下が特に好ましく、3体積部以下が極めて好ましい。これらの観点から、導電粒子の含有量は、0.1~50体積部が好ましく、0.1~20体積部がより好ましく、1~20体積部が更に好ましく、1~10体積部が特に好ましく、1~5体積部が極めて好ましく、1~3体積部が非常に好ましい。なお、「体積部」は、23℃の硬化前の各成分の体積をもとに決定されるが、各成分の体積は、比重を利用して質量から体積に換算することができる。また、対象成分を溶解したり膨潤させたりせず且つ対象成分をよくぬらす適当な溶剤(水、アルコール等)をメスシリンダー等に入れた容器に対象成分を投入し増加した体積を対象成分の体積として求めることもできる。
【0062】
(シランカップリング剤)
本実施形態に係る接着剤組成物は、シランカップリング剤を含有していてもよい。シランカップリング剤は、好ましくは、下記式(2)で表される化合物である。
【0063】
【化2】
式(2)中、R
1、R
2及びR
3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルコキシカルボニル基又はアリール基を示す。R
1、R
2及びR
3のうち少なくとも1つはアルコキシ基である。R
4は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、イソシアネート基、イミダゾール基、メルカプト基、アミノアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、ウレイド基、グリシジル基又はグリシドキシ基を示す。aは0~10の整数を示す。
【0064】
式(2)のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0065】
シランカップリング剤の含有量は、(a)成分及び(b)成分の総量100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.25~5質量部であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が0.1質量部以上であれば、回路部材と回路接続材料の界面の剥離、及び気泡の発生を抑制する効果がより大きくなる傾向があり、シランカップリング剤の含有量が10質量部以下であると、接着剤組成物のポットライフが長くなる傾向がある。
【0066】
(その他の成分)
本実施形態の接着剤組成物は、必要に応じて、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類等の重合禁止剤を適宜含有してもよい。
【0067】
本実施形態の接着剤組成物は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー成分を重合させて得られる単独重合体又は共重合体を更に含有していてもよい。本実施形態の接着剤組成物は、応力緩和に優れる観点から、グリシジルエーテル基を有するグリシジル(メタ)アクリレートを重合させて得られる共重合体であるアクリルゴム等を含有することが好ましい。上記アクリルゴムの重量平均分子量は、接着剤組成物の凝集力を高める観点から、20万以上が好ましい。
【0068】
本実施形態の接着剤組成物は、上記導電粒子の表面を高分子樹脂等で被覆した被覆微粒子を含有してもよい。このような被覆微粒子を上記導電粒子と併用した場合、導電粒子の含有量が増加した場合であっても、導電粒子同士の接触による短絡を抑制しやすいことから、隣接した回路電極間の絶縁性を向上させることができる。導電粒子を用いることなく上記被覆微粒子を単独で用いてもよく、被覆微粒子と導電粒子とを併用してもよい。なお、接着剤組成物が被覆微粒子を含む場合、本明細書における「接着剤組成物の接着剤成分」は、接着剤組成物中の導電粒子及び被覆微粒子以外の固形分を意味する。
【0069】
本実施形態の接着剤組成物は、ゴム微粒子、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等を含有することもできる。また、本実施形態の接着剤組成物は、増粘剤、レベリング剤、耐候性向上剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
【0070】
ゴム微粒子は、導電粒子の平均粒径の2倍以下の平均粒径を有し、且つ、常温での貯蔵弾性率が、導電粒子及び接着剤組成物の常温での貯蔵弾性率の1/2以下である粒子が好ましい。特に、ゴム微粒子の材質がシリコーン、アクリルエマルジョン、SBR(Styrene-Butadiene Rubber)、NBR(Nitril-Butadiene Rubber)又はポリブタジエンゴムである場合、ゴム微粒子は、単独で又は2種以上を混合して用いることが好適である。3次元架橋したゴム微粒子は、耐溶剤性に優れており、接着剤組成物中に容易に分散される。
【0071】
充填剤は、回路電極間の電気特性(接続信頼性等)を向上させることができる。充填剤としては、例えば、導電粒子の平均粒径の1/2以下の平均粒径を有する粒子を好適に使用できる。導電性を有さない粒子を充填剤と併用する場合、導電性を有さない粒子の平均粒径以下の粒子を充填剤として使用できる。充填剤の含有量は、接着剤組成物の接着剤成分全量を基準として、0.1~60質量%であることが好ましい。上記含有量が60質量%以下であることにより、接続信頼性の向上効果を更に充分に得られる傾向がある。上記含有量が0.1質量%以上であることにより、充填剤の添加効果を充分に得られる傾向がある。
【0072】
本実施形態の接着剤組成物は、常温で液状である場合にはペースト状で使用することができる。接着剤組成物が常温で固体状である場合には、加熱して使用する他、溶剤を使用してペースト化してもよい。使用できる溶剤としては、接着剤組成物中の成分に対して反応性がなく、且つ、充分な溶解性を示す溶剤であれば、特に制限はない。溶剤は、常圧での沸点が50~150℃である溶剤が好ましい。沸点が50℃以上であると、常温での溶剤の揮発性に乏しいため、開放系でも使用できる。沸点が150℃以下であると、溶剤を揮発させることが容易であるため、接着後に良好な信頼性が得られる。
【0073】
本実施形態の接着剤組成物は、フィルム状であってもよい。必要に応じて溶剤等を含有する接着剤組成物を、例えば、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、又は、剥離性基材(離型紙等)上に塗布した後、溶剤等を除去することによりフィルム状の接着剤組成物を得ることができる。また、不織布等の基材に上記溶液を含浸させて剥離性基材上に載置した後、溶剤等を除去することによりフィルム状の接着剤組成物を得ることができる。接着剤組成物をフィルム状で使用すると、取扱性等に優れる。
【0074】
本実施形態の接着剤組成物は、加熱又は光照射と共に加圧することにより接着させることができる。加熱及び光照射を併用することにより、更に低温短時間で接着できる。光照射は、150~750nmの波長域の光を照射することが好ましい。光源は、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯(超高圧水銀灯等)、キセノンランプ、メタルハライドランプなどを使用することができる。照射量は、0.1~10J/cm2であってよい。加熱温度は、特に制限はないが、50~170℃の温度が好ましい。圧力は、被着体に損傷を与えない範囲であれば、特に制限はないが、0.1~10MPaが好ましい。加熱及び加圧は、0.5秒~3時間の範囲で行うことが好ましい。
【0075】
本実施形態の接着剤組成物は、同一種の被着体の接着剤として使用してもよく、熱膨張係数の異なる異種の被着体の接着剤として使用してもよい。具体的には、異方導電接着剤、銀ペースト、銀フィルム等に代表される回路接続材料;CSP(Chip Size Package)用エラストマー、CSP用アンダーフィル材、LOC(Lead on Chip)テープ等に代表される半導体素子接着材料などとして使用することができる。
【0076】
<構造体及びその製造方法>
本実施形態の構造体は、本実施形態の接着剤組成物又はその硬化物を備える。本実施形態の構造体は、例えば、回路接続構造体等の半導体装置である。本実施形態の構造体の一態様として、回路接続構造体は、第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有する第二の回路部材と、第一の回路部材及び第二の回路部材の間に配置された回路接続部材と、を備える。第一の回路部材は、例えば、第一の基板と、当該第一の基板上に配置された第一の回路電極と、を有する。第二の回路部材は、例えば、第二の基板と、当該第二の基板上に配置された第二の回路電極と、を有する。第一の回路電極及び第二の回路電極は、相対向すると共に電気的に接続されている。回路接続部材は、本実施形態の接着剤組成物又はその硬化物を含んでいる。本実施形態に係る構造体は、本実施形態に係る接着剤組成物又はその硬化物を備えていればよく、上記回路接続構造体の回路部材に代えて、回路電極を有していない部材(基板等)を用いてもよい。
【0077】
本実施形態の構造体の製造方法は、本実施形態の接着剤組成物を硬化させる工程を備える。本実施形態の構造体の製造方法の一態様として、回路接続構造体の製造方法は、第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有する第二の回路部材との間に、本実施形態の接着剤組成物を配置する配置工程と、第一の回路部材と第二の回路部材とを加圧して第一の回路電極と第二の回路電極とを電気的に接続させると共に、接着剤組成物を加熱して硬化させる加熱加圧工程と、を備える。配置工程において、第一の回路電極と第二の回路電極とが相対向するように配置することができる。加熱加圧工程において、第一の回路部材と第二の回路部材とを相対向する方向に加圧することができる。
【0078】
以下、図面を用いて、本実施形態の一態様として、回路接続構造体及びその製造方法について説明する。
図1は、構造体の一実施形態を示す模式断面図である。
図1に示す回路接続構造体100aは、相対向する回路部材(第一の回路部材)20及び回路部材(第二の回路部材)30を備えており、回路部材20と回路部材30との間には、これらを接続する回路接続部材10が配置されている。回路接続部材10は、本実施形態の接着剤組成物の硬化物を含む。
【0079】
回路部材20は、基板(第一の基板)21と、基板21の主面21a上に配置された回路電極(第一の回路電極)22とを備えている。基板21の主面21a上には、場合により絶縁層(図示せず)が配置されていてもよい。
【0080】
回路部材30は、基板(第二の基板)31と、基板31の主面31a上に配置された回路電極(第二の回路電極)32とを備えている。基板31の主面31a上には、場合により絶縁層(図示せず)が配置されていてもよい。
【0081】
回路接続部材10は、絶縁性物質(導電粒子を除く成分の硬化物)10a及び導電粒子10bを含有している。導電粒子10bは、少なくとも、相対向する回路電極22と回路電極32との間に配置されている。回路接続構造体100aにおいては、回路電極22及び回路電極32が導電粒子10bを介して電気的に接続されている。
【0082】
回路部材20及び30は、単数又は複数の回路電極(接続端子)を有している。回路部材20及び30としては、例えば、電気的接続を必要とする電極を有する部材を用いることができる。回路部材としては、半導体チップ(ICチップ)、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品;プリント基板、半導体搭載用基板等の基板などを用いることができる。回路部材20及び30の組み合わせとしては、例えば、半導体チップ及び半導体搭載用基板が挙げられる。基板の材質としては、例えば、半導体、ガラス、セラミック等の無機物;ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂等の有機物;ガラスとエポキシ等との複合物などが挙げられる。基板は、プラスチック基板であってもよい。
【0083】
図2は、構造体の他の実施形態を示す模式断面図である。
図2に示す回路接続構造体100bは、回路接続部材10が導電粒子10bを含有していないこと以外は、回路接続構造体100aと同様の構成を有している。
図2に示す回路接続構造体100bでは、回路電極22と回路電極32とが導電粒子を介することなく直接接触して電気的に接続されている。
【0084】
回路接続構造体100a及び100bは、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、接着剤組成物がペースト状である場合、接着剤組成物を塗布及び乾燥することにより、接着剤組成物を含む樹脂層を回路部材20上に配置する。接着剤組成物がフィルム状である場合、フィルム状の接着剤組成物を回路部材20に貼り付けることにより、接着剤組成物を含む樹脂層を回路部材20上に配置する。続いて、回路電極22と回路電極32とが対向配置されるように、回路部材20上に配置された樹脂層の上に回路部材30を載せる。そして、接着剤組成物を含む樹脂層に加熱処理又は光照射を行うことにより、接着剤組成物が硬化して硬化物(回路接続部材10)が得られる。以上により、回路接続構造体100a及び100bが得られる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本開示についてより具体的に説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0086】
(ポリウレタン樹脂の合成)
還流冷却器、温度計及び撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、エーテル結合を有するジオールであるポリプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製、数平均分子量Mn=2000)1000質量部、及び、メチルエチルケトン(溶剤)4000質量部を加えた後、40℃で30分間撹拌して反応液を調製した。上記反応液を70℃まで昇温した後、ジメチル錫ラウレート(触媒)0.0127質量部を加えた。次いで、この反応液に対して、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート125質量部をメチルエチルケトン125質量部に溶解して調製した溶液を、1時間かけて滴下した。その後、赤外分光光度計(日本分光株式会社製)によってイソシアネート基由来の吸収ピーク(2270cm-1)が見られなくなるまで上記温度で撹拌を続けて、ポリウレタンのメチルエチルケトン溶液を得た。次いで、この溶液の固形分濃度(ポリウレタンの濃度)が30質量%となるように溶剤量を調整した。得られたポリウレタン(ポリウレタン樹脂)の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定の結果、320000(標準ポリスチレン換算値)であった。GPCの測定条件を表1に示す。
【0087】
【0088】
(ウレタンアクリレートの合成)
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を装着した2L(リットル)の四つ口フラスコに、ポリカーボネートジオール(アルドリッチ社製、数平均分子量2000)4000質量部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート238質量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.49質量部と、スズ系触媒4.9質量部とを仕込んで反応液を調製した。70℃に加熱した反応液に対して、イソホロンジイソシアネート(IPDI)666質量部を3時間かけて均一に滴下し、反応させた。滴下完了後、15時間反応を継続し、NCO%(NCO含有量)が0.2質量%以下となった時点を反応終了とみなし、ウレタンアクリレートを得た。NCO%は、電位差自動滴定装置(商品名:AT-510、京都電子工業株式会社製)によって確認した。GPCによる分析の結果、ウレタンアクリレートの重量平均分子量は8500(標準ポリスチレン換算値)であった。なお、GPCによる分析は、上記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量の分析と同様の条件で行った。
【0089】
(導電粒子の作製)
ポリスチレン粒子の表面に厚さ0.2μmのニッケル層を形成した。更に、このニッケル層の外側に厚さ0.04μmの金層を形成させた。これにより、平均粒径4μmの導電粒子を作製した。
【0090】
[実施例1~7及び比較例1~4]
(フィルム状接着剤の作製)
表2に示す成分を、表2に示す質量比(固形分)で混合して混合物を得た。この混合物に上記導電粒子を1.5体積部の割合(基準:接着剤組成物の接着剤成分の全体積100体積部に対する割合)で分散させて、フィルム状接着剤を形成するための塗工液を得た。この塗工液を厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、塗工装置を用いて塗布した。塗膜を70℃で10分熱風乾燥して、厚さ18μmのフィルム状接着剤を形成させた。
【0091】
なお、表2に示す各成分の詳細は以下の通りである。
ポリウレタン樹脂:上記のとおり合成したポリウレタン樹脂を用いた。
フェノキシ樹脂:PKHC(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名、重量平均分子量45000)40gをメチルエチルケトン60gに溶解して調製した40質量%溶液の形態で用いた。
ラジカル重合性化合物A:上記のとおり合成したウレタンアクリレートを用いた。
ラジカル重合性化合物B:イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(商品名:M-215、東亜合成株式会社製)を用いた。
ラジカル重合性化合物C(リン酸エステル):2-メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(商品名:ライトエステルP-2M、共栄社化学株式会社製)を用いた。
過酸化物(ラジカル重合開始剤):1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(商品名:パーオクタO、日油株式会社製、1分間半減期温度:124.3℃)を用いた。
ポリウレタンビーズA:P-800T(根上工業株式会社製、商品名、平均粒子径:6μm、ガラス転移温度:-34℃)10gをメチルエチルケトン90gに分散した10質量%溶液の形態で用いた。
ポリウレタンビーズB:JB-800T(根上工業株式会社製、商品名、平均粒子径:6μm、ガラス転移温度:-52℃)10gをメチルエチルケトン90gに分散した10質量%溶液の形態で用いた。
シリカ微粒子(非導電性無機微粒子):R104(日本アエロジル株式会社製、商品名)10gをトルエン45g及び酢酸エチル45gの混合溶剤に分散させた10質量%の分散液の形態で用いた。
【0092】
(接続体の作製)
実施例1~7及び比較例1~4のフィルム状接着剤を用いて、ライン幅75μm、ピッチ150μm(スペース75μm)及び厚さ18μmの銅回路を2200本有するフレキシブル回路基板(FPC)と、ガラス基板、及び、ガラス基板上に形成された厚さ0.2μmの窒化珪素(SiNx)の薄層を有するSiNx基板(厚さ0.7mm)とを接続した。接続は、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング株式会社製)を用い、170℃、3MPaで5秒間の加熱及び加圧により行った。これにより、幅1.5mm及び幅1.0mmにわたりFPCとSiNx基板とがフィルム状接着剤の硬化物により接続された接続体(構造体)を作製した。加圧の圧力は、圧着面積を、幅1.5mmの場合は0.495cm2、幅1.0mmの場合は0.330cm2として計算した。
【0093】
<接着強度の測定>
得られた接続体の接着強度を、JIS-Z0237に準じて90度剥離法で測定した。接着強度の測定装置として、テンシロンUTM-4(東洋ボールドウィン株式会社製、商品名、剥離強度50mm/min、25℃)を使用した。結果を表2に示す。
【0094】
【0095】
表2より、実施例のフィルム状接着剤は、比較例のフィルム状接着剤と比較して1.0mm幅接続時においても高い接着強度(8N/cm以上)が得られることが確認された。比較例1のフィルム状接着剤では、1.5mm幅接続時は高い接着強度が得られたが、1.0mm幅接続時には十分な接着強度が得られなかった。比較例2~4のフィルム状接着剤では、1.5mm幅接続時においても十分な接着強度が得られなかった。
【符号の説明】
【0096】
10…回路接続部材、10a…絶縁性物質、10b…導電粒子、20…第一の回路部材、21…第一の基板、21a…主面、22…第一の回路電極、30…第二の回路部材、31…第二の基板、31a…主面、32…第二の回路電極、100a,100b…回路接続構造体。