(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】管理タグ及び管理タグ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20221109BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B65D25/20 P
G01N35/02 C
(21)【出願番号】P 2018075850
(22)【出願日】2018-04-11
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503460323
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 真人
(72)【発明者】
【氏名】和田 宏之
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-176473(JP,A)
【文献】特開2015-121598(JP,A)
【文献】特開2000-103434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
G01N 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平板状をなし、筒状の容器に取り付ける管理タグであって、
前記容器を挿通させる挿通孔と、前記挿通孔から見て一方向に延びて管理情報を含むシールを貼付可能であるか、又は前記管理情報を印刷可能な所定の平面領域を有する情報付加部と、
前記挿通孔と前記情報付加部との間の切り欠きと、を有し、
前記挿通孔の周縁部と前記切り欠きとが同一面上に位置し、
前記容器が連結部を介して連結される蓋を有する場合に、前記切り欠きに前記連結部を係合可能であることを特徴とする管理タグ。
【請求項2】
前記挿通孔に、前記容器の抜けを防止するための径方向内側に突出する係止片が周方向に離間して複数個設けられている請求項1に記載の管理タグ。
【請求項3】
前記シールがバーコードラベルである請求項1又は2に記載の管理タグ。
【請求項4】
筒状の容器に、請求項1~3のいずれか一項に記載の管理タグを取付けてなる管理タグ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や検査機関の検体管理用などの容器の管理に用いる管理タグ及び管理タグ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や検査機関において、検体管理はプラスチック等の専用の試料収集・保存容器(バイアル等)が用いられ、患者の個人情報と共に検査に関する所定事項が検査票または名前バーコードを印刷したラベルやICタグ等で管理されている。このバーコードの多くは容器の側面に貼付されている。
そこで、既存の容器本体の開口部に、ICタグを備えた封止部材を取り付けることで、ICタグを容器に容易に装着できると共にICタグを容易に取り外して容器とICタグの再利用を可能にした技術が記載されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の技術の場合、安価なバーコードラベルや手書きのシールを用いる場合には適用できないという問題がある。又、もともと蓋が無い容器であれば、封止部材を取り付けることができるが、蓋を有する容器に適用できない。
一方、ラベルやシールを容器に貼付する従来技術の場合、容器の側面にラベルやシールを貼付しなければならず、ラベルの内容等を視認したり、バーコードリーダで読み取る際に一々リーダを側面に向ける作業が煩雑であるという問題がある。
又、例えば血液等を採取した管(バイアル)と、その血液を遠心分離する際に用いる遠心管とは容器が異なるが、バイアルに貼付したラベルを剥がして遠心管に再貼付するのは難しい。そこで、バイアルに輪ゴム等でラベル等を仮止めしているが、ラベルが落下して紛失するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、容器に確実かつ簡易に取り付けることができると共に、取り外しも容易で、管理情報の確認が容易に行え、蓋付きの容器にも適用できる管理タグ及び管理タグ付き容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の管理タグは、略平板状をなし、筒状の容器に取り付ける管理タグであって、前記容器を挿通させる挿通孔と、前記挿通孔から見て一方向に延びて管理情報を含むシールを貼付可能であるか、又は前記管理情報を印刷可能な所定の平面領域を有する情報付加部と、前記挿通孔と前記情報付加部との間の切り欠きと、を有し、前記挿通孔の周縁部と前記切り欠きとが同一面上に位置し、前記容器が連結部を介して連結される蓋を有する場合に、前記切り欠きに前記連結部を係合可能であることを特徴とする。
【0007】
この管理タグによれば、挿通孔に容器を挿通すれば、管理タグを容器に確実かつ簡易に取り付けることができると共に、取り外しも容易である。又、容器の蓋に管理タグが干渉しないので、蓋付きの容器にも適用できる
さらに、情報付加部の上面に管理情報を設けることで、管理情報を上から確認できるので、管理情報の確認が容易に行える。又、情報付加部の平面にシールを貼ればよいので、容器の湾曲した側面に貼付する場合に比べ、例えば手袋等をしたままでも容易に貼付できる。同様に、情報付加部の平面に印刷すればよいので、容器の湾曲した側面に印刷する場合に比べて印刷が容易かつ正確である。
【0008】
又、この管理タグによれば、折り畳んで省スペースとなるので、管理タグがそれぞれ取り付けられた多数の容器を隣接して並べることができる。
又、この管理タグによれば、容器に試料溶液を出し入れする際に、蓋が邪魔にならず、作業性が向上する。
【0009】
本発明の管理タグにおいて、前記挿通孔に、前記容器の抜けを防止するための径方向内側に突出する係止片が周方向に離間して複数個設けられていてもよい。
この管理タグによれば、係止片が容器の側面と係合して容器の抜けを防止する。
【0010】
本発明の管理タグにおいて、前記シールがバーコードラベルであってもよい。
【0011】
本発明の管理タグ付き容器は、筒状の容器に、前記管理タグを取付けてなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容器に確実かつ簡易に取り付けることができると共に、取り外しも容易で、管理情報の確認が容易に行え、蓋付きの容器にも適用できる管理タグが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る管理タグの構成を示す平面図である。
【
図2】容器に管理タグを取付けた管理タグ付き容器を示す斜視図である。
【
図3】管理タグにバーコードラベルを貼付する別の態様を示す図である。
【
図4】管理タグを切り欠きにて折り畳んだ態様を示す図である。
【
図5】管理タグの切り欠きに容器の連結部を係合した態様を示す図である。
【
図6】管理タグに切り欠きの代わりに折り目を設けた態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る管理タグ10の構成を示す平面図、
図2は容器100に管理タグ10を取付けた管理タグ付き容器200を示す斜視図である。
図1、
図2に示すように、管理タグ10は、例えばポリプロピレン等のプラスチック板からなる略平板状をなし、円形の挿通孔10hと、挿通孔10hから見て一方向(
図1の左方向)に延びて略矩形の平面領域を有する情報付加部10sと、挿通孔10hと情報付加部10sとの間の切り欠き10nと、挿通孔10hから径方向内側に突出し周方向に離間する複数個(
図1では4個)の係止片10pと、を有する。
【0015】
挿通孔10hは、容器(蓋付きバイアル)100の外径よりやや小径とされ、容器100を挿通可能になっている。又、容器100を挿通孔10hに下から挿通すると、挿通孔10hから突出した係止片10pが容器100の側面に当接して上方に撓み、容器100と係合して容器100の抜けを防止するようになっている。
一方、容器100はプラスチック製筒状をなし、上部開口10hから試料溶液(血液等)を入れると共に、上部開口10hを閉塞する蓋100Lを有している。蓋100Lは、上部開口10hの周縁と連結部100aにて一体に連結されている。
容器100に管理タグ10を取付けて管理タグ付き容器200が構成される。
【0016】
そして、情報付加部10sの上面(容器100の上部開口10hに向く面)には、情報付加部10sの外形よりもやや小寸の略矩形のバーコードラベル51が貼付されている。バーコードラベル51には、管理情報(容器100に入っている試料溶液の持ち主の個人情報、所定事項、容器の識別情報等)が2次元バーコードとして含まれている。
なお、情報付加部10sには、バーコードラベル51等の管理情報を含むシールを貼付してもよく、管理情報を印刷してもよい。
【0017】
このように、挿通孔10hに容器100を挿通すれば、管理タグ10を容器100に確実かつ簡易に取り付けることができると共に、取り外しも容易である。又、容器100の蓋100Lに管理タグ10が干渉しないので、蓋付きの容器にも適用できる
【0018】
さらに、情報付加部10sの上面に管理情報を設けることで、管理情報を上から確認できるので、管理情報の確認が容易に行える。特に、遠心分離装置等に容器100を挿入した場合は、横から管理情報を確認することができないので、本発明がさらに有効である。
又、管理情報が上を向くようにすれば、管理者が1個ずつ並べた容器100(及びそれに取り付けられた管理タグ10)を逐一確認する際、どの容器100まで確認済で、これから確認すべき容器100がどこから始まるか等を視覚的に認識し易く、確認忘れ等を防止できる。
又、情報付加部10sの平面にシールを貼ればよいので、容器100の湾曲した側面に貼付する場合に比べ、例えば手袋等をしたままでも容易に貼付できる。同様に、情報付加部10sの平面に印刷すればよいので、容器100の湾曲した側面に印刷する場合に比べて印刷が容易かつ正確である。
【0019】
なお、管理情報の確認は、バーコードラベル51であればバーコードリーダで行うことができ、その他の情報であれば、例えば目視でラベルや印刷物の個人名や、容器の通し番号等を確認してもよい。
又、情報付加部10sは、管理情報を貼付又は印刷できる限り、なるべく寸法が小さい方が良い。
【0020】
図3に示すように、管理タグ10全体の外形と略同寸で、挿通孔10hの部分が開口するバーコードラベル52を貼付してもよい。この場合、バーコードラベル52は情報付加部10sだけでなく、管理タグ10の上面全体に貼付されるが、管理情報となる2次元バーコード52bは情報付加部10sの上面に位置している。
【0021】
図4に示すように、切り欠き10nにて管理タグ10を折り畳むことも可能である。このようにすると、容器100から延びる情報付加部10sが上方又は下方(
図4では下方)に折り畳まれて省スペースとなるので、管理タグ10がそれぞれ取り付けられた多数の容器100を隣接して並べることができる。
【0022】
図5に示すように、切り欠き10nに容器100の連結部100aを係合する(引っ掛ける)ことも可能である。このようにすると、容器100に試料溶液を出し入れする際に、蓋100Lが邪魔にならず、作業性が向上する。
又、
図6に示すように、切り欠き10nの代わりに、折り目(ミシン目等910mを設けてもよい。
【0023】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、管理タグの形状は限定されない。
【符号の説明】
【0024】
10 管理タグ
10h 挿通孔
10s 情報付加部
10n 切り欠き
10m 折り目
10p 係止片
51、52 バーコードラベル
100 容器
100a 連結部
100L 蓋
200 管理タグ付き容器