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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】捻り包装品の検査方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20221109BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20221109BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221109BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20221109BHJP
   B07C 5/342 20060101ALN20221109BHJP
【FI】
G01N21/88 J
B65B57/00 A
G06T7/00 350C
G06T7/00 610C
G01N21/85 Z
B07C5/342
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018086687
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019191086
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 信行
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-218275(JP,A)
【文献】特開平11-253113(JP,A)
【文献】特開2018-045608(JP,A)
【文献】特開2016-090476(JP,A)
【文献】特開2017-211259(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0082106(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G06N 20/00-20/20
G06T 7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を包み込んだ透明又は半透明の包装フィルムが一端又は両端で捻られて前記包装フィルムで包み込まれた前記被包装物が前記包装フィルム越しに視認される捻り包装品の良否を検査する、捻り包装品の検査方法であって、
捻り包装機から送られてくる前記捻り包装品のうち、包装状態が規格内の前記捻り包装品を良品として撮像した良品画像と、前記包装フィルムで包み込まれなかった前記被包装物のみを前記捻り包装品の不良品として撮像した被包装物単体画像の不良品画像と、前記被包装物が包み込まれなかった透明又は半透明の前記包装フィルムのみを前記捻り包装品の不良品として撮像した包装フィルム単体画像の不良品画像とを、学習用画像群として取得する学習用画像群取得工程と、
前記学習用画像群を用いて、前記良品及び前記不良品の特徴を畳み込みニューラルネットワークに学習させる学習工程と、
検査対象とする前記捻り包装品の外観を撮像した撮像画像を取得する画像取得工程と、
学習済みの前記畳み込みニューラルネットワークを用いて、前記撮像画像内の前記捻り包装品が前記良品であるか、被包装物単体の不良品であるか、又は、包装フィルム単体の不良品であるか否かを判定する判定工程と、を備え
前記学習用画像群及び前記撮像画像を取得する際には、
前記被包装物の色と反対色で、かつ凹凸のない平坦状に形成されている、前記搬送装置の載置面と対向するようにして、前記載置面から所定距離離れた位置に設置された撮像装置によって、前記載置面上の前記捻り包装品を撮像するとともに、
前記載置面の面法線上に発光面が配置され、かつ、リング状に形成されて中央の貫通孔に前記撮像装置のレンズが配置された照明装置から、前記撮像装置の撮像範囲全体に亘って前記載置面の前記捻り包装品に対して照明光を均一に照射し、前記被包装物及び前記包装フィルムの影が撮像画像内へ写り込むことを抑制する、
捻り包装品の検査方法。
【請求項2】
前記学習用画像群取得工程では、
前記包装フィルムの捻り状態に関する外観不良を示した捻り不良画像と、前記包装フィルム越しに視認される前記被包装物の前記包装フィルム内での状態に関する内部不良を示した被包装物不良画像とについても前記不良画像として用いる、
請求項1に記載の捻り包装品の検査方法。
【請求項3】
前記学習用画像群取得工程では、
前記捻り不良画像は、前記包装フィルムの捻りがほどけている画像であり、
前記被包装物不良画像は、前記被包装物の一部が欠けている欠損画像と、余分な前記被包装物が前記包装フィルムに包み込まれた不要物内包画像と、である、
請求項2に記載の捻り包装品の検査方法。
【請求項4】
光を拡散させる拡散板が前記照明装置に装着されており、前記学習用画像群及び前記撮像画像を取得する際には、前記照明装置からの照明光を前記拡散板により拡散し、拡散させた照明光を前記検査対象の正面に照射する、
請求項1に記載の捻り包装品の検査方法。
【請求項5】
被包装物を包み込んだ透明又は半透明の包装フィルムが一端又は両端で捻られて前記包装フィルムで包み込まれた前記被包装物が前記包装フィルム越しに視認される捻り包装品の良否を検査する、捻り包装品の検査装置であって、
捻り包装機から送られてくる前記捻り包装品のうち、包装状態が規格内の前記捻り包装品を良品として撮像した良品画像と、前記包装フィルムで包み込まれなかった前記被包装物のみを前記捻り包装品の不良品として撮像した被包装物単体画像の不良品画像と、前記被包装物が包み込まれなかった透明又は半透明の前記包装フィルムのみを前記捻り包装品の不良品として撮像した包装フィルム単体画像の不良品画像とを、学習用画像群として取得する学習用画像群取得部と、
前記学習用画像群を用いて、前記良品及び前記不良品の特徴を畳み込みニューラルネットワークに学習させる学習部と、
前記捻り包装品の外観を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
学習済みの前記畳み込みニューラルネットワークを用いて、前記撮像画像内の前記捻り包装品が前記良品であるか、被包装物単体の不良品であるか、又は、包装フィルム単体の不良品であるか否かを判定する判定部と、を備え
前記学習用画像群及び前記撮像画像を取得する際には、
前記被包装物の色と反対色で、かつ凹凸のない平坦状に形成されている、前記搬送装置の載置面と対向するようにして、前記載置面から所定距離離れた位置に設置された撮像装置によって、前記載置面上の前記捻り包装品を撮像するとともに、
前記載置面の面法線上に発光面が配置され、かつ、リング状に形成されて中央の貫通孔に前記撮像装置のレンズが配置された照明装置から、前記撮像装置の撮像範囲全体に亘って前記載置面の前記捻り包装品に対して照明光を均一に照射し、前記被包装物及び前記包装フィルムの影が撮像画像内へ写り込むことを抑制する、
捻り包装品の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捻り包装品の検査方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、菓子やチーズ等の食品を被包装物として包装フィルムで包み込み、包装フィルムの両端側が捻られた、捻り包装品が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような捻り包装品は、包装フィルムにより被包装物全体を確実に覆うことができ、また、包装フィルムの両端を被包装物から遠ざけるように引っ張ることで被包装物を包装フィルムから簡単に取り出すことができるため、被包装物のパッケージ手法として広く用いられている。
【0003】
近年、このような捻り包装品の捻り包装は、捻り包装機を用いて自動的に行われており、捻り包装機によって、捻り包装品が短時間に大量生産されている。この際、生産された捻り包装品の中には、例えば、包装フィルムの捻りが不十分な捻り包装品等の不良品も存在している。そのため、捻り包装機から搬送路上に沿って送られてくる捻り包装品について、作業者が良品か又は不良品かを目視で判定してゆき、不良品については生産ラインから排除している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公昭56-052748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、搬送路上に沿って送られてくる大量の捻り包装品の中から作業者が目視によって、包装フィルムによる包装状態が規格内にある良品と、包装フィルムの捻りが不十分等で規格外となった不良品とを瞬時に選別してゆくには熟練を要し、作業者の負担が大きいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、捻り包装品が良品か又は不良品かの判定について、作業者の負担を軽減できる、捻り包装品の検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る捻り包装品の検査方法は、被包装物を包み込んだ透明又は半透明の包装フィルムが一端又は両端で捻られて前記包装フィルムで包み込まれた前記被包装物が前記包装フィルム越しに視認される捻り包装品の良否を検査する、捻り包装品の検査方法であって、捻り包装機から送られてくる前記捻り包装品のうち、包装状態が規格内の前記捻り包装品を良品として撮像した良品画像と、前記包装フィルムで包み込まれなかった前記被包装物のみを前記捻り包装品の不良品として撮像した被包装物単体画像の不良品画像と、前記被包装物が包み込まれなかった透明又は半透明の前記包装フィルムのみを前記捻り包装品の不良品として撮像した包装フィルム単体画像の不良品画像とを、学習用画像群として取得する学習用画像群取得工程と、前記学習用画像群を用いて、前記良品及び前記不良品の特徴を畳み込みニューラルネットワークに学習させる学習工程と、検査対象とする前記捻り包装品の外観を撮像した撮像画像を取得する画像取得工程と、学習済みの前記畳み込みニューラルネットワークを用いて、前記撮像画像内の前記捻り包装品が前記良品であるか、被包装物単体の不良品であるか、又は、包装フィルム単体の不良品であるか否かを判定する判定工程と、を備え、前記学習用画像群及び前記撮像画像を取得する際には、前記被包装物の色と反対色で、かつ凹凸のない平坦状に形成されている、前記搬送装置の載置面と対向するようにして、前記載置面から所定距離離れた位置に設置された撮像装置によって、前記載置面上の前記捻り包装品を撮像するとともに、前記載置面の面法線上に発光面が配置され、かつ、リング状に形成されて中央の貫通孔に前記撮像装置のレンズが配置された照明装置から、前記撮像装置の撮像範囲全体に亘って前記載置面の前記捻り包装品に対して照明光を均一に照射し、前記被包装物及び前記包装フィルムの影が撮像画像内へ写り込むことを抑制する、ものである。
【0008】
また、本発明に係る捻り包装品の検査装置は、被包装物を包み込んだ透明又は半透明の包装フィルムが一端又は両端で捻られて前記包装フィルムで包み込まれた前記被包装物が前記包装フィルム越しに視認される捻り包装品の良否を検査する、捻り包装品の検査装置であって、捻り包装機から送られてくる前記捻り包装品のうち、包装状態が規格内の前記捻り包装品を良品として撮像した良品画像と、前記包装フィルムで包み込まれなかった前記被包装物のみを前記捻り包装品の不良品として撮像した被包装物単体画像の不良品画像と、前記被包装物が包み込まれなかった透明又は半透明の前記包装フィルムのみを前記捻り包装品の不良品として撮像した包装フィルム単体画像の不良品画像とを、学習用画像群として取得する学習用画像群取得部と、前記学習用画像群を用いて、前記良品及び前記不良品の特徴を畳み込みニューラルネットワークに学習させる学習部と、前記捻り包装品の外観を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、学習済みの前記畳み込みニューラルネットワークを用いて、前記撮像画像内の前記捻り包装品が前記良品であるか、被包装物単体の不良品であるか、又は、包装フィルム単体の不良品であるか否かを判定する判定部と、を備え、前記学習用画像群及び前記撮像画像を取得する際には、前記被包装物の色と反対色で、かつ凹凸のない平坦状に形成されている、前記搬送装置の載置面と対向するようにして、前記載置面から所定距離離れた位置に設置された撮像装置によって、前記載置面上の前記捻り包装品を撮像するとともに、前記載置面の面法線上に発光面が配置され、かつ、リング状に形成されて中央の貫通孔に前記撮像装置のレンズが配置された照明装置から、前記撮像装置の撮像範囲全体に亘って前記載置面の前記捻り包装品に対して照明光を均一に照射し、前記被包装物及び前記包装フィルムの影が撮像画像内へ写り込むことを抑制する、ものである。

【発明の効果】
【0009】
本発明の方法によれば、捻り包装品が良品であるか、又は、不良品であるかの判定について、作業員の熟練を必要とせずに行え、その分、従来よりも作業者の負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明における、捻り包装品の検査装置の全体構成を示す概略図である。
図2】演算処理装置の回路構成を示すブロック図である。
図3】良品画像の一例を示す写真である。
図4図4Aは、捻り不良画像の一例を示す写真であり、図4Bは、欠損画像の一例を示す写真であり、図4Cは、不要物内包画像の一例を示す写真であり、図4Dは、被包装物単体画像の一例を示す写真であり、図4Eは、包装フィルム単体画像の一例を示す写真である。
図5】良品を撮像したテスト画像の写真と、判定結果とを示した表である。
図6】不良品を撮像したテスト画像の写真と、判定結果とを示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<本発明による捻り包装品の検査装置の全体構成>
図1は、本発明による、捻り包装品2の検査装置1の全体構成を示す概略図である。検査装置1は、図示しない捻り包装機から送られてくる捻り包装品2の包装状態が、予め定めた規格内にあるか否かを検査し、規格外と判定された捻り包装品2を生産ラインから自動的に排除するものである。この場合、検査装置1は、捻り包装品2を搬送する搬送装置10と、撮像装置4と、照明装置5と、演算処理装置6と、制御装置7と、同期センサ9と、不良品排除装置8とを備える。
【0012】
検査装置1の検査対象となる捻り包装品2は、例えば、菓子(例えば、飴やチョコレート、キャラメル、ラムネ等)やチーズ等の食品を被包装物3aとして包装フィルム3bで包み込み、包装フィルム3bの両端側が捻られた構成を有する。本実施形態の場合、包装フィルム3bは、例えば、PETやポリエチレン等の材料により、透明又は半透明に形成されている。これにより、包装フィルム3bに包み込まれた被包装物3aは、包装フィルム3bに包まれた状態のまま包装フィルム3b越しに外部から視認できる。
【0013】
搬送装置10は、捻り包装品2を撮像装置4の撮像範囲に導く第1の搬送路10aと、不良品排除装置8が設けられた第2の搬送路10bとを備えている。搬送装置10は、第1の搬送路10aの下流に第2の搬送路10bが配置されており、捻り包装品2を第1の搬送路10aから第2の搬送路10bへと搬送する。これにより、捻り包装品2は、第1の搬送路10aによって撮像装置4の撮像範囲を通過した後、第2の搬送路10bによって不良品排除装置8に送られる。
【0014】
本実施形態の場合、第1の搬送路10aには、傾斜した載置面S1が設けられており、捻り包装品2が載置面S1に載置される。また、載置面S1の下端には、第2の搬送路10bの載置面S2が配置されている。
【0015】
第1の搬送路10aにおける載置面S1は、凹凸が形成されておらず、平坦状に形成されている。これにより、捻り包装品2は、第1の搬送路10aの載置面S1に載置されると、傾斜している載置面S1上を自重により滑り降り、第2の搬送路10bの載置面S2に搬送される。第2の搬送路10bは、例えば、ベルトコンベア等からなり、第1の搬送路10aから受け取った捻り包装品2を、後述する不良品排除装置8を経由させて他の装置へと搬送する。
【0016】
本実施形態の場合、第1の搬送路10aにおける載置面S1は、被包装物3aの白色系の色と反対色(補色)となる黒色系に色付けされている。なお、白色系とは、白色の他、乳白色、灰色等、白に準じた明るい色を示す。また、黒色系とは、黒色の他、黒茶色、黒紫色等、黒に準じた暗く濃い色を示す。このように、被包装物3aの色と反対色に載置面S1が色付けされていることで、載置面S1上で捻り包装品2が撮像装置4により撮像された際に、捻り包装品2の包装フィルム3bや、透明又は半透明の包装フィルム3b越しに視認される白色系の被包装物3aが、背景となる載置面S1と混同してしまうことを抑制し得る。よって、後述する撮像装置4では、捻り包装品2の外観や被包装物3aの内包状態が視認し易い撮像画像を取得することができる。
【0017】
第1の搬送路10aには、同期センサ9、撮像装置4及び照明装置5が、載置面S1と対向するようにして、当該載置面S1から所定距離離れた位置にそれぞれ設置されている。この場合、同期センサ9は、撮像装置4よりも、捻り包装品2が搬送される上流側に配置されている。同期センサ9は、載置面S1上で捻り包装品2が通過する毎に、検出信号を生成し、これを制御装置7に出力する。
【0018】
制御装置7は、検出信号を受け取ると、同期センサ9で検出した捻り包装品2が、撮像装置4の撮像範囲を通過するタイミングを示したタイミング信号を生成し、これを撮像装置4に出力する。これにより、撮像装置4は、タイミング信号に基づいて、載置面S1上において撮像範囲を通過するタイミングで捻り包装品2を撮像する。
【0019】
このようにして、撮像装置4では、載置面S1の撮像範囲を通過する捻り包装品2を、載置面S1を背景としてそれぞれ個別に撮像してゆき、各捻り包装品2毎に撮像画像を生成する。撮像装置4は、撮像画像を取得する毎に、得られた撮像画像を演算処理装置6に送出する。
【0020】
ここで、撮像装置4は、例えばCMOSカメラ等からなり、得られる撮像画像としては、白黒画像でもよく、カラー画像でもよい。本実施形態の場合、撮像装置4は、光軸が載置面S1の面法線とほぼ一致しており、載置面S1及び捻り包装品2を正面から撮像している。
【0021】
撮像装置4の近傍には、照明装置5が設置されており、照明装置5は、撮像装置4が撮像する載置面S1に向けて照明光を照射する。本実施形態の場合、照明装置5は、例えば、載置面S1の面法線上に発光面が配置され、載置面S1上の捻り包装品2に対して正面から白色系の照明光を均一に照射する。
【0022】
これにより、照明装置5は、照明光が照射されている載置面S1上の捻り包装品2を撮像装置4により撮像した際に、捻り包装品2の被包装物3aや包装フィルム3bの影が撮像画像内へ写り込むことを抑制させることができる。
【0023】
本実施形態の場合、例えば、照明装置5はリング状に形成されており、中央に設けられた貫通孔に撮像装置4のレンズが配置された構成を有する。これにより、照明装置5は、載置面S1において撮像装置4の撮像範囲全体に亘って照明光を均一に照射し得る。
【0024】
なお、撮像画像内で捻り包装品2の影が写り込み難くするために、照明装置5には、光を拡散させる拡散板を装着することが望ましい。これにより、照明装置5からの照明光を拡散板により拡散し、拡散させた照明光を捻り包装品2の正面に照射することができ、輝度ムラを抑制することができる。
【0025】
演算処理装置6は、撮像装置4から撮像画像を受け取ると、後述する学習モードにより予め学習しておいた学習済みの畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Networkとも称する)を利用して、撮像画像内に写る捻り包装品2が良品か又は不良品かを判定する良否判定処理(後述する)を実行する。演算処理装置6は、良否判定処理による判定結果を制御装置7に出力する。制御装置7は、演算処理装置6から判定結果を受け取ると、判定結果に応じた駆動信号を生成し、これを不良品排除装置8に出力する。
【0026】
ここで、不良品排除装置8は、駆動制御部12と、排除機構10cとを備えており、制御装置7からの駆動信号を駆動制御部12が受け取る。駆動制御部12は、駆動信号に基づいて、排除機構10cを開閉動作させる。
【0027】
この場合、排除機構10cは、例えばベルトコンベア等からなり、上流側の一端に回動中心軸を有している。排除機構10cは、この回動中心軸を中心に回動可能に構成されている。排除機構10cは、駆動制御部12から駆動信号として排除信号を受け取ると、回動中心軸を中心に回動し、下流側の他端を下方へ移動させる。これにより、排除機構10cは、排除機構10c上を移動している捻り包装品2を下方に落下させ、生産ラインから排除する。
【0028】
一方、排除機構10cは、駆動制御部12から駆動信号として非排除信号を受け取ると、第2の搬送路10bとの連通状態を維持して、排除機構10c上を移動している捻り包装品2を第2の搬送路10bを介して次工程の装置へと送り出す。このようにして、排除機構10cは、演算処理装置6に得られた判定結果に基づいて、不良品のみを生産ラインから排除し、良品のみを次工程の装置へ搬送させる。
【0029】
<学習モード>
本発明による検査装置1では、上述した良否判定処理を行う良否判定モードに先立ち、始めに学習モードを実行する。この学習モードでは、学習用画像群を用いて畳み込みニューラルネットワークを学習させることで、捻り包装品2の良否を自動判別可能な学習済みの畳み込みニューラルネットワークを構築する。以下、学習済みの畳み込みニューラルネットワークを構築する学習モードについて説明する。
【0030】
ここで、図2は、学習モードを実行する演算処理装置6の回路構成を示したブロック図である。演算処理装置6は、画像取得部15と、画像処理部16と、記憶部17とを備えている。学習用画像群取得部としての画像取得部15は、教師データとなる学習用画像群を撮像装置4から取得する。本実施形態では、良品となる捻り包装品2と、不良品となる捻り包装品2とを事前に用意し、撮像装置4により、載置面S1上にある各捻り包装品2を個別に撮像してゆき、学習用画像群を得る。
【0031】
ここで、学習用画像群について説明する。図3は、良品の教師データとなる捻り包装品2を撮像した撮像画像(以下、良品画像とも称する)21を示す。良品画像21では、例えば、被包装物3aの白色系の色と反対色になる黒色系に色付けされた載置面S1上で、良品の捻り包装品2が撮像されているため、包装フィルム3bに包み込まれた被包装物3aや、包装フィルム3bが、背景の載置面S1と混同することなく撮像されている。
【0032】
良品となる捻り包装品2は、包装フィルム3bによる被包装物3aの包装状態が予め定めた規格内にあるものである。具体的には、被包装物3aが包装フィルム3bに包み込まれており、包装フィルム3bの両端が捻られ、被包装物3aの対向した両端付近に捻り部3cが形成されている捻り包装品2を良品とする。
【0033】
一方、図4A図4B図4C図4D及び図4Eは、不良品の教師データとなる撮像画像23a~23eを示し、良品画像21と同様に、黒色系に色付けされた載置面S1上で不良品となる捻り包装品2等を撮像したものである。
【0034】
不良品となる捻り包装品2は、包装フィルム3bによる被包装物3aの包装状態が予め定めた規格から外れるものである。図4Aは、包装フィルム3bに捻り状態に関する外観不良を有した捻り包装品2を、不良品として撮像した撮像画像(以下、捻り不良画像とも称する)23aである。より具体的には、図4Aに示す捻り不良画像23aでは、包装フィルム3bの一端側の捻りがほどけており、包装フィルム3bの一端に捻り部3cが形成されておらず、包装フィルム3bが広がった開放部3eが形成されている捻り包装品2を、不良品として撮像している。
【0035】
図4Bは被包装物不良画像の1つであり、包装フィルム3bの両端に捻り部3cが形成されているものの、一部が欠けている被包装物3fが包装フィルム3bに包まれている内部不良の捻り包装品2を、不良品として撮像した撮像画像(以下、欠損画像とも称する)23bである。
【0036】
図4Cは被包装物不良画像の1つであり、包装フィルム3bの両端に捻り部3cが形成されているものの、本来の被包装物に加えて、さらに余分な被包装物(不要物)3gが包装フィルム3bに包まれている内部不良の捻り包装品2を、不良品として撮像した撮像画像(以下、不要物内包画像とも称する)23cである。
【0037】
図4Dは、包装フィルム3bに包まれていない被包装物3a単体を、不良品として撮像した撮像画像(以下、被包装物単体画像とも称する)23dである。図4Eは、被包装物3aを包んでいない包装フィルム3b単体を、不良品として撮像した撮像画像(以下、包装フィルム単体画像とも称する)23eである。
【0038】
画像取得部15は、複数の良品画像21と、複数の捻り不良画像23aと、複数の欠損画像23bと、複数の不要物内包画像23cと、複数の被包装物単体画像23dと、複数の包装フィルム単体画像23eとを撮像装置4から受け取り、これを学習用画像群とする。
【0039】
画像取得部15は、撮像装置4から取得した良品画像21、捻り不良画像23a、欠損画像23b、不要物内包画像23c、被包装物単体画像23d及び包装フィルム単体画像23e(以下、これらをそれぞれ単に学習用画像とも称する)に対し、後述する画像処理部16にて処理可能な縦横サイズに縮小する。本実施形態では、例えば縦640×横480ピクセルで得られた各学習用画像を、縦227×横227ピクセルでなる学習用画像に変換する。
【0040】
このようにして得られた学習用画像は、それぞれ被包装物3aの色と反対色(この場合、黒色系)に付された載置面S1を背景に各捻り包装品2等が撮像されていることから、検査対象となる被包装物3aや包装フィルム3b以外の箇所に特徴が表れないようになっている。
【0041】
この場合、画像処理部16は、学習部18と判定部19とを備えている。学習モード時、画像処理部16は、学習部18が画像取得部15から学習用画像群を受け取る。学習部18は、学習用画像群に対して畳み込みニューラルネットワークを利用した画像認識処理を実行し、良品及び不良品の特徴量を抽出した、学習済みの畳み込みニューラルネットワークを構築する。
【0042】
ここで、学習部18において、学習済みの畳み込みニューラルネットワークを構築する際に用いる画像解析用ソフトウェアとしては、例えば、MathWorks社のMATLAB(登録商標)を利用することができる。畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み層とプーリング層とを交互に階層的に配置した構成を有し、最終のプーリング層の後に全結合層とソフトマックス層とを順次有している。
【0043】
畳み込みニューラルネットワークでは、畳み込み層とプーリング層の積み重ねにより、学習用画像内にある特徴量を抽出し、その特徴量に基づく分類を、全結合層とソフトマックス層とで行うことができる。
【0044】
この場合、学習部18には、学習モード時、学習用画像と、この学習用画像が良品画像又は不良品画像かを示す正解情報とが畳み込みニューラルネットワークに入力される。これにより、学習部18は、畳み込みニューラルネットワークにおいて、誤差逆伝播法を用いた確率的勾配降下法(SGD:Stochastic Gradient Descent)により、畳み込み層の重みや全結合層の結合重み等のパラメータが最適化されてゆき、畳み込みニューラルネットワークの学習が行われる。
【0045】
具体的には、学習部18には、所定数の良品画像が入力されるとともに、入力された各良品画像毎に、良品であることを示す良品情報が作業者によって入力される。また、学習部18には、所定数の不良品画像が入力されるとともに、入力された各不良品画像毎に、不良品であることを示す不良品情報が作業者によって入力される。
【0046】
なお、学習データとして畳み込みニューラルネットワークに入力する学習用画像としては、例えば、良品画像が200枚以上、不良品画像が200枚以上であることが望ましい。また、畳み込みニューラルネットワークの学習時におけるエポック数は、5回以下であることが望ましい。
【0047】
このようにして、学習用画像及び良否情報(良品情報及び不良品情報)が畳み込みニューラルネットワークに入力される毎に、畳み込みニューラルネットワークにおける畳み込み層の重みや全結合層の結合重み等のパラメータが更新されてゆき最適化されてゆく。学習部18は、このようにして学習済みの畳み込みニューラルネットワークを構築すると、これを判定部19に出力する。
【0048】
なお、記憶部17は、画像処理部16に接続されており、学習モード時に画像取得部15から画像処理部16に出力される学習用画像群や、後述する良否判定モード時に画像取得部15から画像処理部16に出力される撮像画像等、各種情報を記憶する。
【0049】
<良否判定モード>
検査装置1は、上述したように学習モードにより、学習済みの畳み込みニューラルネットワークを構築すると、良否判定モードに移行し、その後に撮像装置4により撮像された撮像画像内の捻り包装品2について良否判定を行うことができる。この場合、検査装置1は、図1に示したように、良品か又は不良品かを検査する捻り包装品2を、第1の搬送路10aの載置面S1上に載置し、載置面S1上の捻り包装品2を撮像装置4の撮像範囲まで搬送する。撮像装置4は、載置面S1上の捻り包装品2を撮像し、得られた撮像画像を演算処理装置6に出力する。
【0050】
ここで、捻り包装品2が撮像された撮像画像でも、黒色系の載置面S1を背景に捻り包装品2が撮像されていることから、検査対象となる被包装物3aや包装フィルム3b以外の箇所に特徴が表れないようになっている。
【0051】
図2に示すように、演算処理装置6は、撮像装置4からの撮像画像を画像取得部15により受け取ると、画像処理部16にて処理可能な縦横サイズに縮小し、これを判定部19に出力する。なお、本実施形態では、学習モード時と同じ画像縮小処理を行い、例えば、縦640×横480ピクセルでなる撮像画像を、縦227×横227ピクセルでなる撮像画像に変換する。
【0052】
判定部19は、撮像画像を学習済みの畳み込みニューラルネットワークに入力する。判定部19は、学習モードで良品及び不良品の特徴量を抽出した学習済みの畳み込みニューラルネットワークに基づいて、撮像画像内の捻り包装品2等を解析し、撮像画像内の捻り包装品2等が良品である適合確率と、不良品である適合確率とを算出する。
【0053】
判定部19は、良品である適合確率と、不良品である適合確率とを比較する。その結果、判定部19は、良品である適合確率が不良品である適合確率よりも高いと、撮像画像内に写る捻り包装品2は良品であると判定する。一方、判定部19は、不良品である適合確率が良品である適合確率よりも高いと、撮像画像内に写る捻り包装品2等は不良品であると判定する。
【0054】
このようにして、判定部19は、撮像画像内に写る捻り包装品2等が良品であるか、又は、不良品であるかの判定結果を、学習済みの畳み込みニューラルネットワークから得ることができる。判定部19は、このような良否判定処理により得られた判定結果を不良品排除装置8(図1)に出力する。
【0055】
これにより、不良品排除装置8は、例えば、撮像画像内の捻り包装品2等が不良品であることを示す判定結果を判定部19より受け取ると、排除機構10cにより、不良品と判定された捻り包装品2等を生産ラインから排除する。また、不良品排除装置8は、例えば、撮像画像内の捻り包装品2が良品であることを示す判定結果を判定部19より受け取ると、排除機構10cにより、良品と判定された捻り包装品2をそのまま次の装置に搬送する。
【0056】
<作用および効果>
以上の構成において、捻り包装品2の検査装置1では、包装状態が規格内の捻り包装品2を良品として撮像した良品画像21と、包装状態が規格外の捻り包装品2を不良品として撮像した不良品画像(捻り不良画像23a、欠損画像23b、不要物内包画像23c、被包装物単体画像23d及び包装フィルム単体画像23e)と、を学習用画像群として取得する(学習用画像群取得工程)。
【0057】
検査装置1では、得られた学習用画像群を用いて、良品及び不良品の特徴を畳み込みニューラルネットワークに学習させる(学習工程)。その後、検査装置1では、良品又は不良品の検査対象とする捻り包装品の外観を撮像した撮像画像を取得し(画像取得工程)、学習済みの畳み込みニューラルネットワークを用いて、撮像画像内の捻り包装品が良品又は不良品であるか否かを判定する(判定工程)。
【0058】
これにより、検査装置1では、捻り包装品が良品であるか、又は、不良品であるかの判定について、作業員の熟練を必要とせずに行え、その分、従来よりも作業者の負担を軽減させることができる。
【0059】
また、本実施形態の検査装置1では、被包装物3aの色と反対色(黒色系)に付され平坦な載置面S1に載置された捻り包装品2を搬送する搬送装置10と、載置面S1の捻り包装品2を撮像する撮像装置4と、を設け、搬送装置10で順次送られてくる捻り包装品2を、載置面S1を背景にして撮像装置4で撮像するようにした。
【0060】
これにより、検査装置1では、搬送装置10により順次搬送されてくる捻り包装品2を撮像した際に、各撮像画像内において検査対象となる被包装物3aや包装フィルム3b以外の箇所に特徴が表れないようにし、撮像画像に対して学習済みの畳み込みニューラルネットワークを利用した判定処理を行う際に一段と正確な判定結果を得ることができる。
【0061】
<他の実施形態>
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、捻り包装品として、透明又は半透明でなる包装フィルム3bで被包装物3aを包み、包装フィルム3b越しに内部の被包装物3aの状態が視認できる捻り包装品2を適用したが、本発明はこれに限らず、非透明な材料からなる包装フィルムで被包装物3aを包み、包装フィルム3b越しに内部の被包装物3aの状態が視認できない捻り包装品を適用してもよい。
【0062】
なお、包装フィルムを非透明な材料により形成した場合には、図4Aに示すように、包装フィルム3bの一端に捻り部3cが形成されていない捻り包装品2を、不良品として撮像した捻り不良画像23aと、図4Dに示すように、包装フィルム3bに包まれていない被包装物3a単体を、不良品として撮像した被包装物単体画像23dと、図4Eに示すように、被包装物3aを包んでいない包装フィルム3b単体を、不良品として撮像した包装フィルム単体画像23eとを不良品画像として用いることができる。
【0063】
また、上述した実施形態においては、被包装物3aを包み込んだ包装フィルム3bが両端で捻られた捻り包装品2を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、被包装物を包み込んだ包装フィルムが一端のみで捻られた捻り包装品を適用してもよい。
【0064】
また、上述した実施形態においては、学習用画像群を撮像装置4から取得するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、他の装置等で生成された各種画像を学習用画像群として取得するようにしてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態においては、良否判定モード時、撮像画像内に写る捻り包装品2等が良品か又は不良品かを判定する場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、不良品について、(i)包装フィルム3bの捻りが不十分な捻り包装品2、(ii)一部が欠けている被包装物3fが包装フィルム3bに包まれている捻り包装品2、(iii)余分な被包装物3gが包装フィルム3bに包まれている捻り包装品2、(iV)包装フィルム3bに包まれていない被包装物3a単体、又は、(V)被包装物3aを包んでいない包装フィルム3b単体である等、どのような不良品であるかを判定するようにしてもよい。
【0066】
この場合、学習モード時、教師データとして、捻り不良画像23a、欠損画像23b、不要物内包画像23c、被包装物単体画像23d及び包装フィルム単体画像23eを、畳み込みニューラルネットワークに入力するとともに、各捻り不良画像23a、欠損画像23b、不要物内包画像23c、被包装物単体画像23d及び包装フィルム単体画像23e毎にそれぞれ不良品を識別する識別情報を畳み込みニューラルネットワークに入力する。
【0067】
これにより、これら捻り不良画像23a、欠損画像23b、不要物内包画像23c、被包装物単体画像23d及び包装フィルム単体画像23e(学習用画像)と、各学習用画像にそれぞれ対応した識別情報とが、畳み込みニューラルネットワークに入力される毎に、畳み込みニューラルネットワークにおける畳み込み層の重みや全結合層の結合重み等のパラメータが更新されてゆき最適化されてゆく。
【0068】
その結果、良品の他に、捻りが不十分の不良品(図4A)、一部が欠けた被包装物3fを含む不良品(図4B)、余分な被包装物3gを含む不良品(図4C)、被包装物3a単体の不良品(図4D)、及び、包装フィルム3b単体の不良品(図4E)について、それぞれ特徴量を抽出した学習済みの畳み込みニューラルネットワークを構築することができる。
【0069】
判定部19は、このようにして構築された学習済みの畳み込みニューラルネットワークを用いることで、良否判定モード時に取得した撮像画像内に写る捻り包装品2等が、良品であるか、捻りが不十分の不良品(図4A)であるか、一部が欠けた被包装物3fを含む不良品(図4B)であるか、余分な被包装物3gを含む不良品(図4C)であるか、被包装物3a単体の不良品(図4D)であるか、又は、包装フィルム3b単体の不良品(図4E)であるかの判定結果を得ることができる。
【0070】
また、上述した実施形態においては、被包装物の色と反対色に付された載置面として、被包装物3aの白色系の色と反対色になる黒色系に付された載置面S1を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、被包装物の色と反対色であれば種々の色に付した載置面を適用してもよい。例えば、被包装物が赤色系(赤色や、赤紫色、橙色等、赤に準じた色)の場合には、色相環に基づいて載置面を緑色系(緑色や、黄緑色等、緑に準じた色)としてもよく、また、被包装物が黄色系(黄色や、黄色に近い橙黄色等、黄色に準じた色)の場合には、色相環に基づいて載置面を紫色系(紫色や、赤紫色等、紫に準じた色)としてもよい。
【0071】
なお、上述した良品画像や、不良品画像、撮像画像等の各種画像は、ディスプレイ等に表示される具体的な画像としての形態だけでなく、画像として生成される前のデータも含まれるものである。
【0072】
<検証試験>
ここでは、上述した演算処理装置6を利用し、複数の良品画像及び不良品画像を学習用画像群として用いて学習済みの畳み込みニューラルネットワークを実際に構築した。そして、学習済みの畳み込みニューラルネットワークを用いて、撮像画像について良品又は不良品の判定を行う検証試験を行った。この検証試験では、画像解析用ソフトウェアとして、MathWorks社のMATLAB(登録商標)を利用し、学習済みの畳み込みニューラルネットワークを構築した。
【0073】
捻り包装品2として、一口サイズの球状のチーズを、高密度ポリエチレン(HDPE)からなる包装フィルムで包み込み、包装フィルムの両端を捻って捻り部を設けた捻り包装品(株式会社明治、製品名:チーズキッス)を用意した。そして、包装状態を変えた500個の捻り包装品を撮像してゆき、良品画像と不良品画像とを取得した。
【0074】
ここでは、学習用画像群の良品画像として、図3に示すような良品画像21を250枚用意した。また、学習用画像群の不良品画像としては5種類の不良品画像を用意した。具体的には、不良品画像として、図4Aに示すような捻り不良画像23aを50枚用意し、図4Bに示すような欠損画像23bを50枚用意し、図4Cに示すような不要物内包画像23cを50枚用意し、図4Dに示すような被包装物単体画像23dを50枚用意し、図4Eに示すような包装フィルム単体画像23eを50枚用意した。
【0075】
包装フィルムにより包装されたチーズの形状と捻り包装状態とが共に視認し易い画像を得るために、照明装置5の照明光源として、チーズの乳白色と包装フィルムの透明色との双方の発色が良好となる白色のLEDを用いた。撮像装置4はCMOSカメラを用いた。撮像装置4と照明装置5は、捻り包装品2の真上に配置し、捻り包装品2が撮像画像の中心付近に位置するように撮影した。
【0076】
撮像装置4により得られた良品画像及び不良品画像は、縦640×横480ピクセルだったことから縦227×横227ピクセルの画像に変換した。そして、変換した500枚の学習用画像を学習用画像群として畳み込みニューラルネットワークに入力した。
【0077】
なお、畳み込みニューラルネットワークは、初期学習率を0.0001とした確率的勾配降下法(SGD)により学習させた。また、このとき、畳み込みニューラルネットワークにおいて過学習となって汎化が妨げられないようにするため、各学習用画像のエポック数(epoch)は最大5回とした。
【0078】
そして、畳み込みニューラルネットワークには、各学習用画像を入力した際に、この学習用画像が良品画像であるか、又は、不良品画像であるかについての正解情報も入力した。これにより、良品画像のグループと、不良品画像のグループとの特徴量を、畳み込みニューラルネットワークで自動的に抽出し、良品画像と不良品画像とを分類する方法を畳み込みニューラルネットワークに独習させ、学習済みの畳み込みニューラルネットワークを構築した。
【0079】
次に、図5に示すように、良品を撮像した10枚のテスト画像31a~31jを用意した。また、図6に示すように、不良品を撮像した10枚のテスト画像32a~32jを用意した。なお、テスト画像32a~32dは、包装フィルムの捻りが不十分であるときの捻り包装品を撮像した捻り不良画像(図6中、「捻り包装不良」と表記)である。
【0080】
また、テスト画像32eは、被包装物の一部が欠けている捻り包装品を撮像した欠損画像(図6中、「半欠け」と表記)である。テスト画像32f、32gは、包装フィルム内に被包装物が2個包まれている捻り包装品を撮像した不要物内包画像(図6中、「2個包装」と表記)である。テスト画像32fは、被包装物のみが撮像された被包装物単体画像(図6中、「中身だけ」と表記)である。テスト画像32i、32jは、包装フィルムのみが撮像された包装フィルム単体画像(図6中、「フィルムだけ」と表記)である。
【0081】
そして、未知のテスト画像として、これら20枚のテスト画像31a~31j、32a~32jを、学習済みの畳み込みニューラルネットワークに入力して、各テスト画像31a~31j、32a~32jについて、学習済みの畳み込みニューラルネットワークを利用して良否判定を行った。良否判定は、学習済みの畳み込みニューラルネットワークで算出された、良品の適合確率と、不良品の適合確率とを比較し、適合確率の高い方を学習済みの畳み込みニューラルネットワークの判定結果とした。
【0082】
また、この20枚のテスト画像31a~31j、32a~32jについて、それぞれ作業者が目視で確認し、各テスト画像31a~31j、32a~32jは良品か又は不良品かを判定させた。そして、学習済みの畳み込みニューラルネットワークの判定結果と、作業者による主観的な判定結果とを比較したところ、図5及び図6に示すような結果が得られた。
【0083】
作業者が良品であると判定したテスト画像31a~31jについて、学習済みの畳み込みニューラルネットワークでも、図5の「AI回答」欄に示すように、全て良品であるとの判定結果が得られた。これにより、図5の「正誤」欄に示すように、良品に関して、学習済みの畳み込みニューラルネットワークの判定結果と、作業者による判定結果とが全て一致することが確認できた。
【0084】
また、作業者が不良品であると判定したテスト画像32a~32jについて、学習済みの畳み込みニューラルネットワークでも、図6の「AI回答」欄に示すように、全て不良品であるとの判定結果が得られた。これにより、図6の「正誤」欄に示すように、不良品に関しても、学習済みの畳み込みニューラルネットワークの判定結果と、作業者による判定結果とが全て一致することが確認できた。
【0085】
このように、学習済みの畳み込みニューラルネットワークを利用して良否判定を行っても、20枚のテスト画像31a~31j、32a~32jの全てについて、作業者の判断と一致し、良品と不良品の誤認は一件も発生しなかった。
【0086】
以上より、検査装置1では、捻り包装品が良品であるか、又は、不良品であるかの判定について、作業員の熟練を必要とせずに行えることが確認できた。
【符号の説明】
【0087】
1 検査装置
4 撮像装置
5 照明装置
6 演算処理装置
15 画像取得部(学習用画像群取得部、画像取得部)
18 学習部
19 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6