(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】半導体装置および音出力装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20221109BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20221109BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G01R31/00
G01R31/28 V
H04R3/00 310
(21)【出願番号】P 2018170850
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 博次
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-183543(JP,A)
【文献】特開2012-186675(JP,A)
【文献】特開2013-64656(JP,A)
【文献】特開2004-320273(JP,A)
【文献】実開昭55-135512(JP,U)
【文献】特開2014-230016(JP,A)
【文献】特開2005-202624(JP,A)
【文献】米国特許第4887298(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
G01R 31/28
H04R 3/00
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音源を再生し再生信号を出力する音源再生部と、
前記再生信号を増幅しスピーカで音に変換する出力信号として出力する増幅部と、
前記再生信号と予め定められた第1の閾値とを比較して前記再生信号の波形を変換し変換再生信号として出力する第1の変換回路、前記出力信号と予め定められた第2の閾値とを比較して前記出力信号の波形を変換し変換出力信号として出力する第2の変換回路、前記変換再生信号と前記変換出力信号とを比較する比較回路、および前記比較回路の出力を判定する判定回路を備え、前記増幅部の故障を検出する故障検出部と、を含む
半導体装置。
【請求項2】
前記音源の信号がデジタル信号であり、
前記増幅部がデジタル信号としての前記再生信号をアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換回路を備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の変換回路は前記再生信号を2値の信号に変換して前記変換再生信号とする比較器であり、
前記第2の変換回路は前記出力信号を2値の信号に変換して前記変換出力信号とする比較器である
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記比較回路と前記判定回路との間に低域通過濾波器をさらに含み、
前記比較回路が前記変換再生信号と前記変換出力信号とが一致した場合には第1の論理値とし異なった場合には第2の論理値とすることにより、前記低域通過濾波器は第1の論理値と第2の論理値の間の値を出力し、
前記判定回路は、前記第1の論理値と前記第2の論理値との間の値の閾値を有し、前記低域通過濾波器の出力と前記閾値を比較して前記比較回路の出力を判定する
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の変換回路は前記第1の閾値として互いに異なるN(Nは3以上の整数)個の第1の閾値を有するとともに前記再生信号を(N+1)値の信号に変換し、
前記第2の変換回路は前記第2の閾値として互いに異なるN個の第2の閾値を有するとともに前記出力信号を(N+1)値の信号に変換する
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記再生信号の振幅に対する前記第1の閾値の位置を制御し、前記出力信号の振幅に対する前記第2の閾値の位置を制御する閾値制御部をさらに含み、
前記閾値制御部は前記第1の閾値の位置と前記第2の閾値の位置が同じになるように前記第1の閾値および前記第2の閾値を制御する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
外部から入力される外部信号と前記再生信号とを合成し合成再生信号とする第1の合成部と、
前記外部信号と前記出力信号とを合成し合成出力信号とする第2の合成部と、をさらに含み、
前記第1の変換回路は前記合成再生信号を変換して前記変換再生信号を出力し、
前記第2の変換回路は前記合成出力信号を変換して前記変換出力信号を出力する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記音源の信号が予め定められたビット数のデジタル信号であり、
前記増幅部がデジタル信号としての前記再生信号をアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換回路を備え、
前記デジタルアナログ変換回路の前記ビット数のビット位置を指定して前記デジタルアナログ変換回路の故障を検出するビット故障検出部をさらに含む
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記音源再生部で再生すべき信号を送る音源をさらに含む
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記音源再生部に再生すべき信号を送る音源と、
前記再生信号を増幅し音に変換するスピーカと、
を含む音出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および音出力装置に関し、特に故障検出機能を有する半導体装置および音出力装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
故障検出に関連して、特許文献1には、警報音を発生する警報音発生手段と、警報音を発生させるための警報信号を警報音発生手段に送信する警報信号送信手段と、警報信号を増幅するアンプと、を備えた警報器におけるアンプの異常を検出する故障検出装置であって、互いに極性及び位相の異なる二つのパルス波を有する故障検出信号をアンプに送信する検出信号送信手段と、アンプが故障検出信号を増幅してプラス側出力端子から出力する第一検出信号を検出するための第一検出回路と、アンプが故障検出信号を増幅してマイナス側出力端子から出力する第二検出信号を検出するための第二検出回路と、検出された第一検出信号と第二検出信号とに基づいてアンプの異常を判定する判定手段と、を有して構成されることを特徴とする故障検出装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、センサと、このセンサからの検出信号により異状発生と判断した時に音源ICを制御して音源データを選択するマイクロコンピュータと、音源ICから出力される音源データを増幅する増幅手段と、この増幅手段に接続されて音源データに基づく警報音を出力する警報出力手段と、警報出力手段へ検査信号を出力する故障検査手段と、を有する電子機器であって、マイクロコンピュータは、故障検査手段に検査信号を出力するように制御し、警報出力手段に検査信号が流れることを検出した場合に警報出力手段が正常であると診断する故障診断手段を備えることを特徴とする電子機器が開示されている。
【0004】
一方、特許文献3には、故障診断時にオーディオ機器の所定の回路に接続され該回路に所定電圧を供給する電圧源と、故障診断時にオーディオ機器の所定の回路と該電圧源との間に接続され該回路と分圧回路を形成する手段と、該分圧回路を形成する手段の電圧を検出し基準値と比較する手段と、該比較する手段の比較結果に対応した告知を行う手段と、を有することを特徴とするオーディオ機器の故障診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-230016号公報
【文献】特開2005-202624号公報
【文献】特開平1-176952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、現代では、さまざまな分野のさまざまな機器において、その取扱い等について音声で報知する(知らせる)ことが一般化している。例えば、自動車の分野でも、運転支援、故障の報知等において音声による報知が用いられている。
【0007】
一方、昨今「機能安全」という考え方が検討されている。機能安全とは、安全機能や安全対策によって、許容できないリスクから免れるための技術の総称である。機能安全の「機能」とは、制御対象やコントローラを監視する安全装置の役割のことを指す。通常、安全装置にはコンピュータが使われ、コントローラに故障などが発生した場合は、このコンピュータが制御対象を停止したり、ユーザに警告を出したりする。この警告の発出も音声による場合が多い。
【0008】
すなわち、現代のさまざまな機器における音出力装置は単に音声や音楽を再生するだけでなく、安全面に直結した情報を報知するための機能を有する場合が多い。従って、このような音出力装置では信頼性の確保が重要となっている。音出力装置の信頼性確保の一環として、例えばスピーカまで信号が届いていない等の故障を検出することの重要性が高まっている。この場合、信頼性の観点からは故障のより詳細な検出が望ましく、しかも大きなコストの上昇を招かないことが求められている。さらに、昨今の音出力装置ではアナログ形式の信号みならず、大部分がデジタル形式の信号のものも存在しているので、これらの音出力装置に共通に適用可能なことも求められている。
【0009】
本発明は、上記の事情を踏まえ、比較的小規模な回路できめ細かい故障検出が可能で、かつ種々の信号形式に対応可能な半導体装置および音出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一実施態様に係る半導体装置は、音源を再生し再生信号を出力する音源再生部と、前記再生信号を増幅しスピーカで音に変換する出力信号として出力する増幅部と、前記再生信号と予め定められた第1の閾値とを比較して前記再生信号の波形を変換し変換再生信号として出力する第1の変換回路、前記出力信号と予め定められた第2の閾値とを比較して前記出力信号の波形を変換し変換出力信号として出力する第2の変換回路、前記変換再生信号と前記変換出力信号とを比較する比較回路、および前記比較回路の出力を判定する判定回路を備え、前記増幅部の故障を検出する故障検出部と、を含む。
【0011】
また、本発明の他の実施態様に係る音出力装置は、上記の半導体装置と、前記音源再生部に再生すべき信号を送る音源と、前記再生信号を増幅し音に変換するスピーカと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、比較的小規模な回路できめ細かい故障検出が可能で、かつ種々の信号形式に対応可能な半導体装置および音出力装置を提供することが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態に係る半導体装置および音出力装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】変形例に係る半導体装置および音出力装置における、複数の閾値を設けた場合のコンパレータの動作を説明する図である。
【
図3】第2の実施の形態に係る半導体装置および音出力装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】第3の実施の形態に係る半導体装置および音出力装置の一例を示すブロック図である。
【
図5】第4の実施の形態に係る半導体装置および音出力装置の一例を示すブロック図である。
【
図6】第5の実施の形態に係る半導体装置および音出力装置の一例を示すブロック図である。
【
図7】第6の実施の形態に係る半導体装置および音出力装置の一例を示すブロック図である。
【
図8】第7の実施の形態に係る半導体装置および音出力装置の一例を示すブロック図である。
【
図9】第8の実施の形態に係る半導体装置および音出力装置の一例を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態に係る半導体装置の、形態ごとの観測点の位置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の実施の形態では、本発明に係る音出力装置として自動車等の移動体に搭載され、運転等の支援音声を出力する音出力装置に適用した形態を例示し、また本発明に係る半導体装置として音再生装置に適用した形態を例示して説明する。さらに、以下の実施の形態に係る音出力装置(半導体装置)が図示を省略するMCU(Micro Controller Unit)に接続され、該MCUの制御を受ける形態を例示して説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1を参照して、本実施の形態に係る半導体装置および音出力装置について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る音出力装置1Aは、半導体装置10A、音源14、およびスピーカ30を含んで構成されている。
【0016】
音源14は、半導体装置10Aで再生する信号を記憶した部位である。音源14には一例として上記支援音声がPCM(Pulse Code Modulation)等の信号形式で格納されている。音源14としては例えばCD等の記憶媒体に記憶された音源や、上記MCUの記憶部に格納された音源が用いられ、半導体装置10A内の図示しないインタフェースを介して音源再生部11に入力される。なお、本実施の形態では、音源14が半導体装置10Aの外部に接続される形態を例示して説明するが、むろん音源14として半導体装置10Aの内部に設けられたメモリ等に記憶され、随時読み出される音源を用いてもよい。
【0017】
半導体装置10Aは、音源再生部11、DAC(Digital Analog Converter)12、アナログアンプ13A、および故障検出回路20Aを含んで構成されている。音源再生部11は、後述するDACあるいはデジタルアンプの入力信号を生成する回路であり、一例としてサンプリングタイミング含めた音声データになっている信号を出力する。音源再生部11には、例えば、MP3、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)等のデコーダのような、圧縮音源をDACもしくはデジタルアンプの入力信号に変換する回路も含まれる。すなわち、音源再生部11は音源14から受け取ったスピーカ30で出力するPCM信号を再生(デコード)し、サンプリングされたデジタル信号(以下、「再生信号」)とする回路である。アナログアンプ13AはDAC12からのアナログ信号を増幅する回路である。
【0018】
一方、故障検出回路20Aは、デジタルコンパレータ21A、コンパレータ22A、遅延部23、比較部24、比較フィルタ25、および判定部26を含んで構成されている。
【0019】
デジタルコンパレータ21Aは予め設定された閾値を有し、入力された再生信号を該閾値と比較して該閾値より大きい信号と小さい信号の2値に変換する回路である。一方コンパレータ22Aも予め定められた閾値を有し、入力されたアナログアンプ13Aからのアナログ信号(以下、「出力信号」)を該閾値と比較して該閾値より大きい信号と小さい信号の2値に変換する回路である。本実施の形態に係る半導体装置10Aでデジタルコンパレータ21A、およびコンパレータ22Aを用いる理由は、後述の比較部24で再生信号と出力信号とを論理的に比較するが、その際再生信号と出力信号とを比較可能な信号形式(振幅等)に変換するためである。なお、「デジタルコンパレータ21A」が本発明に係る「第1の変換回路」の一例、「コンパレータ22A」が本発明に係る「第2の変換回路」の一例である。以下では、「第1の変換回路」および「第2の変換回路」を総称して、「変換回路」という場合がある。
【0020】
遅延部23は、音源再生部11-デジタルコンパレータ21Aの経路における遅延時間と、音源再生部11-DAC12-アナログアンプ13A-コンパレータ22Aの経路における遅延時間との差を抑えるための回路である。すなわち、主としてDAC12、アナログアンプ13Aを通過する分だけ後者の経路の遅延時間は前者の経路の遅延時間より大きくなる。そのため、両者の比較部24に入力する時間が一致するように遅延部23が設けられている。デジタルコンパレータ21Aによりビット幅が小さくなるため、遅延段数に対し回路が小さくなるメリットを有する。むろん当該遅延時間の差が問題とならなければ、遅延部23は省略してもよい。
【0021】
比較部24は、遅延部23からの再生信号と、コンパレータ22Aからの出力信号とを論理的(デジタル的)に比較する回路である。比較部24は例えば排他的論理和(XOR)回路を用いて構成されており、例えば再生信号と出力信号とが一致した場合には論理値「0」を出力し、異なった場合には論理値「1」を出力する。
【0022】
比較フィルタ25は、比較部24における比較結果を平滑化するLPF(Low Pass Filter:低域通過濾波器)である。比較フィルタ25の出力Foは、再生信号と出力信号との統計的な一致度に応じて0<Fo<1の値をとる。比較部24の出力の論理が上記のようである場合は、Foの値が0に近いほど再生信号(再生された音源信号)と出力信号(スピーカの入力信号)との一致度が高い、すなわち故障が発生していないと判断される。
【0023】
判定部26は、比較フィルタ25の出力に基づいて再生信号と出力信号が一致しているか否かを判定する。上記のように比較フィルタ25の出力Foは、0<Fo<1の範囲のアナログ値をとるので、判定部26には閾値Vtfを設定しておき、閾値Vtfに対する大小関係から一致しているか否かを判定する。すなわち、0<Fo<Vtfであれば、再生信号と出力信号が一致しており、Vtf<Fo<1であれば、再生信号と出力信号は異なっている、つまり故障が発生していると判定する。判定部26における判定結果は例えば図示しないMCUに送信され、判定結果を受け取ったMCUは、例えば図示しないUI(User Interface)等を介して必要な報知等を行う。
【0024】
以上詳述したように、本実施の形態に係る半導体装置10Aは故障検出回路20Aを備えている。そしてこの故障検出回路20Aは、音源14が音源再生部11で再生された直後のデジタル信号と、スピーカ30に入力される直前のアナログ信号とを比較し、この2つの信号の抽出点間、すなわち本実施の形態では主としてDAC12およびアナログアンプ13Aの部分の故障を検出する。
【0025】
また、本実施の形態に係る半導体装置10Aおよび音出力装置1Aでは、音源再生部11から出力される再生信号(本実施の形態ではデジタル信号)とスピーカ30に入力される出力信号(本実施の形態ではアナログ信号)とが信号形式、信号レベル等の違いから直接比較できない信号同士であることに鑑み、変換回路(デジタルコンパレータ21A、コンパレータ22A)を導入して双方の信号が比較可能なように変換している。この考え方は以下で説明する他の実施の形態に係る半導体装置、および音出力装置でも同様である。
【0026】
上記のように、本実施の形態に係る半導体装置10A、および音出力装置1Aよれば、比較的小規模な回路できめ細かい故障検出が可能な半導体装置および音出力装置を提供することが可能となっている。また、半導体装置10A、および音出力装置1Aよれば、故障検出区間の前後の信号を比較するために、該前後の信号同士を比較可能な信号形式、レベル等にするために変換回路を備えている。そのため、再生信号に対し出力信号がアナログ信号であっても、また信号形式、レベル等の異なるデジタル信号であっても本発明を適用することが可能となっている。換言すれば、本発明は種々の信号形式に対応可能な半導体装置および音出力装置を提供することが可能となっている。
【0027】
ここで、
図10を参照し、信号形式の違いによる音出力装置の具体的形態例の概要について説明する。
図10(a)から(c)に示す形態例の詳細は後述の実施の形態において説明する。なお、
図10に示す観測点[1]-[5]は、以下の実施の形態に係る半導体装置における観測点に対応している。
【0028】
図10(a)は、音源再生部11の後段にDAC12、アナログアンプ13A、およびスピーカ30が接続された形態である。アナログアンプ13Aとしては、例えばA級、AB級、B級等のアナログアンプが用いられる。本形態では、
図10(a)中の<1>で示されたアナログ信号によってスピーカ30が駆動される。上記音出力装置1Aはこの形態の音出力装置である。
【0029】
図10(b)は、音源再生部11の後段にデジタルアンプ13B、LPF15、およびスピーカ30が接続された形態である。すなわち、再生信号をDACを介さずデジタル信号のまま増幅する。デジタルアンプ13Bとしては例えばD級デジタルアンプが用いられる。LPF15はデジタルアンプ13Bの出力から音声信号(オーディオ信号)を抽出するフィルタである。
図10(b)中の<2>、<3>は、LPF15の入出力波形を示している。なお、デジタルアンプ13Bの内部にDACを備え一旦アナログ信号に変換しているような場合には、該DACの入力の位置から出力信号と比較すべき信号を取り出すことによって該DACの故障検出も可能である。
【0030】
図10(c)は、音源再生部11の後段にフィルタレスD級のデジタルアンプ13B、およびスピーカ30を接続した形態である。すなわち、再生信号がデジタルアンプ13Bを通すだけでスピーカ30に送られる。
図10(c)の<4>はデジタルアンプ13Bからの出力波形を示している。なお、デジタルアンプ13Bの内部にDACを備え一旦アナログ信号に変換しているような場合には、該DACの入力の位置から出力信号と比較すべき信号を取り出すことによって該DACの故障検出も可能である。
【0031】
<変形例>
図2を参照して、本変形例に係る半導体装置および音出力装置について説明する。本実施の形態は変換回路(上記実施の形態では、デジタルコンパレータ21A、コンパレータ22A)の閾値にヒステリシスを設けた形態、さらに閾値を複数とした形態である。なお、以下の説明では閾値をVt1とVt2の2つとした形態を例示して説明する。
図2(a)から(d)の各図において、<1>はコンパレータの入力波形を、<2>は入力信号と閾値Vt1、Vt2との配置関係を、<3>はコンパレータの出力波形を、各々示している。
【0032】
図2(a)の<1>コンパレータ入力に示す波形は、
図10<1>に示す波形と同じアナログ信号を示す波形である。この場合のコンパレータは
図1のコンパレータ22Aに相当する。該アナログ信号にVt1およびVt2の2つの閾値を設定すると、コンパレータからの出力は<3>に示すように3値の波形となる。
【0033】
図2(b)の<2>コンパレー入力に示す波形は
図10<2>に示す波形と同じデジタル信号を示す波形である。当該デジタル信号にVt1およびVt2の2つの閾値を設定すると3値の波形となるが、外形上はコンパレータからの出力は<3>に示すように入力信号と変わらない。
【0034】
図2(c)の<1>コンパレータ入力に示す波形は、
図10<3>に示す波形と同じアナログ信号を示す波形である。該アナログ信号にVt1およびVt2の2つの閾値を設定すると、コンパレータからの出力は<3>に示すように3値の波形となる。なお、<3>に示す出力波形の+1のパルス、あるいは-1を示すパルスの立ち上がり、あるいは立ち下りが複数に分離しているのは、閾値Vt1、Vt2の各々のレベルでサンプリング値が+1側になるか-1側になるかのあいまいさがあるからである。
【0035】
図2(d)の<1>コンパレータ入力に示す波形は、
図10<4>に示す波形と同じデジタル信号を示す波形である。この場合のコンパレータは
図1のデジタルコンパレータ21Aに相当する。当該デジタル信号にVt1およびVt2の2つの閾値を設定すると3値の波形となるが、外形上はコンパレータからの出力は<3>に示すように入力信号と変わらない。
【0036】
ここで、閾値が1つの場合であっても、例えば上記実施の形態のコンパレータ22Aおよびデジタルコンパレータ21Aの閾値にヒステリシスを設けることで、例えばスピーカ30の入力に小レベルのノイズが混入し、かつ再生音が無音だった場合、ノイズの影響を低減できる。さらに
図2に示すように、閾値を2つとし、各閾値にそれぞれヒステリシスを設けることも考えられる。また、複数の閾値は、外部から調整可能なように構成してもよい。
【0037】
複数の閾値は、例えば以下のような場合に用いる。すなわち、フィルタレスD級アンプの出力のように予め中間値を有する波形(
図10<4>参照)においては、該中間値を長く出力する状態において、コンパレータあるいはデジタルコンパレータがハイレベルもしくはロウレベル(前状態による)を維持する際、本来の信号の周波数とは大きく異なった周波数成分の信号を出力することがある。そのため、本変形例のように、コンパレータおよびデジタルコンパレータの閾値を複数とし、中間値等の値を識別できるようにする(中間値を固定する)ことにより、該大きな周波数成分の発生を抑制することができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
図3を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Bおよび音出力装置1Bについて説明する。
【0039】
本実施の形態は、上記実施の形態に係る半導体装置10Aにおいて、アナログアンプ13Aをデジタルアンプ13Bに置き換え、故障検出回路20Aを故障検出回路20Bに置き換え、DAC12を省いた形態である。従って、半導体装置10Aと同様の構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。音出力装置1Bでは、スピーカ30より発する音を、音源14から音源再生部11で再生された直後のデジタル信号と、デジタルアンプ13Bの出力の信号とを比較し、この2つの経路間で生じた故障を検出するものである。
【0040】
上記実施の形態とは異なり、本実施の形態に係る半導体装置10Bでは、まずデジタルアンプ13Bの出力をコンパレータ22Aでサンプリングし、その後デジタルLPF27でスピーカ30から再生される音の周波数成分のみを抽出し、さらにデジタルコンパレータ21Bで波形変換する。そして、デジタルコンパレータ21Aからの再生信号と、デジタルコンパレータ21Bからの出力信号とを比較部24において比較する。その後の比較フィルタ25および判定部26における処理は、上記実施の形態と同様である。このような半導体装置10Bの構成を採用することにより、デジタルコンパレータ21A、21Bに入力される波形は、どちらも主にスピーカ30で再生される周波数成分で構成された波形となるので、上記実施の形態と同様の構成で比較することができる。なお、この際に用いるコンパレータ22Aおよびデジタルコンパレータ21A、21Bは、上記変形例の構成、すなわち閾値を複数設ける構成としてもよい。
【0041】
[第3の実施の形態]
図4を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Cおよび音出力装置1Cについて説明する。
【0042】
半導体装置10Cは、故障検出回路20Cを備えている。故障検出回路20Cは、上記実施の形態に係る半導体装置10Aの故障検出回路20A(
図1)に閾値制御部28を設けた形態である。従って、半導体装置10Aと同様の構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
図4に示すように、閾値制御部28は、遅延部23の出力信号を受け取って必要な処理を実行し、デジタルコンパレータ21Aの閾値を制御する信号を生成し、この制御信号を用いてデジタルコンパレータ21Aの閾値を制御する。また、閾値制御部28は、コンパレータ22Aの出力信号を受け取って必要な処理を実行し、コンパレータ22Aの閾値を制御する信号を生成し、この制御信号を用いてコンパレータ22Aの閾値を制御する。むろん閾値制御部28はデジタルコンパレータ21Aの閾値およびコンパレータ22Aの閾値の双方を制御する必要はなく、少なくとも一方を制御すればよい。
【0044】
本実施の形態で、デジタルコンパレータ21Aの閾値あるいはコンパレータ22Aの閾値を制御する理由は以下の通りである。すなわち、デジタルコンパレータ21Aに入力されるデジタル信号の波形は
図2(d)<1>に示すような波形であり、コンパレータ22Aに入力される波形は
図2(a)<1>に示すような波形である。そして、各々の入力波形に対して設定された閾値を境界として2値信号に変換するが、その際2つの入力波形の振幅に対する閾値の位置(以下、「閾値設定値」という場合がある)が所定値以上乖離すると、たとえデジタルコンパレータ21Aの入力波形の振幅とコンパレータ22Aの入力波形の振幅とが同じであったとしても、両者の出力が大きく異なる結果となる場合がある。この閾値設定値の差は、例えばアナログアンプ13Aの出力レベルが大きい場合等において発生する。
【0045】
そこで、半導体装置10Cでは閾値制御部28によってデジタルコンパレータ21Aの閾値あるいはコンパレータ22Aの閾値を、両者の閾値設定値が略一致するように自動制御する。より具体的には、デジタルコンパレータ21Aの出力、あるいはコンパレータ22Aの出力の各々について、フィルタ(LPF)を用いて振幅情報に変換しピークと閾値との差分を算出し、該差分に基づく制御により閾値設定値が同等となるように閾値を調整する。この際、両者の閾値設定値を独立に調整してもよいし、一方の閾値設定値を他方の閾値設定値に合わせるように調整してもよい。なお、上記変形例のように複数の閾値を設定する場合は、該フィルタを省略することも可能である。
【0046】
[第4の実施の形態]
図5を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Dおよび音出力装置1Dについて説明する。
【0047】
半導体装置10Dは故障検出回路20Dを備えている。故障検出回路20Dは、上記実施の形態に係る半導体装置10Bの故障検出回路20B(
図3)に閾値制御部28を設けた形態である。従って、半導体装置10Bと同様の構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0048】
図5に示すように、閾値制御部28は、遅延部23の出力信号を受け取って必要な処理を実行し、デジタルコンパレータ21Aの閾値を制御する信号を生成し、この制御信号を用いてデジタルコンパレータ21Aの閾値を制御する。また、閾値制御部28は、デジタルコンパレータ21Bの出力信号を受け取って必要な処理を実行し、コンパレータ22Aの閾値を制御する信号を生成し、この制御信号を用いてコンパレータ22Aの閾値を制御する。むろん閾値制御部28はデジタルコンパレータ21Aの閾値およびコンパレータ22Aの閾値の双方を制御する必要はなく、少なくとも一方を制御すればよい。なお、デジタルコンパレータもしくはコンパレータの閾値を変える手段として、デジタルコンパレータもしくはコンパレータの閾値は一定としながら、デジタルコンパレータもしくはコンパレータの入力信号を増幅もしくは減衰させて振幅を調整することにより閾値を変える手段を用いてもよい。この点に関しては後述するデジタルコンパレータもしくはコンパレータにおいて閾値を変える場合についても同様である。
【0049】
半導体装置10Dで、デジタルコンパレータ21Aの閾値およびコンパレータ22Aの閾値の少なくとも一方を制御する理由および原理は上記半導体装置10Cと同様なので、詳細な説明は省略する。半導体装置10Dでは、2つのデジタルコンパレータ21A、21Bの入力の信号レベルに対する閾値の設定、すなわち閾値設定値が同等になるよう、2つのデジタルコンパレータ21A、21Bの出力を用いコンパレータ22Aとデジタルコンパレータ21Aの閾値を自動制御する。半導体装置10Dでも半導体装置10C同様、デジタルコンパレータ21Aの出力、あるいはコンパレータ22Aの出力の各々について、フィルタ(LPF)を用いて振幅情報に変換しピークと閾値との差分を算出し、該差分に基づく制御により閾値設定値が同等となるよう閾値を調整する。なお、上記変形例のように複数の閾値を設定する場合は、フィルタを省略することも可能である。
【0050】
[第5の実施の形態]
図6を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Eおよび音出力装置1Eについて説明する。
【0051】
図6に示すように、半導体装置10Eは、上記実施の形態に係る半導体装置10A(
図1)の故障検出回路20Aを故障検出回路20Eに置き換え、波形合成部16を追加した形態である。故障検出回路20Eは故障検出回路20Aに対し、コンパレータ22B、デジタルLPF27、および合成部29を追加した形態となっている。従って、半導体装置10Aと同様の構成には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0052】
図6に示すように本実施の形態では外部から外部入力が入力される。本実施の形態に係る「外部入力」とは、例えば音楽をコンテンツとするアナログのオーディオ信号であり、音源14のオーディオ信号と同時にスピーカで再生される。すなわち、アナログ信号である外部入力は波形合成部16でアナログ信号であるDAC12の出力信号と合成される。合成されたアナログ信号(以下、「合成出力信号」)という場合がある)はアナログアンプ13Aで増幅され、スピーカ30で音に変換される。一方、スピーカ30の入力で分岐されたアナログアンプ13Aの出力は、半導体装置10Aと同様コンパレータ22Aに入力される。
【0053】
上記のようにアナログアンプ13Aから出力される音声信号に外部入力の音声信号が重畳されていることに対応し、再生信号側に新たにコンパレータ22BおよびデジタルLPF27を追加している。つまり、分岐された他方の外部入力はコンパレータ22Bで2値に変換され、さらにデジタルLPF27を介して低域成分を抽出される。そして、コンパレータ22BおよびデジタルLPF27を通過した外部信号と、音源再生部11からの再生信号とを合成部29で合成し、合成された音声信号をデジタルコンパレータ21Aに入力する。その際合成部29は、音源再生部11からの再生信号のレベルと外部入力のレベルとが適切になるよう調整する機能も有している。以下では、合成部29で合成された信号を「合成再生信号」という場合がある。
【0054】
デジタルコンパレータ21Aによって波形変換された合成再生信号と、コンパレータ22Aによって波形変換された合成出力信号(再生信号と外部入力の信号が合成された信号)は比較部24によって比較される、比較部24以降の処理は上記各実施の形態と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0055】
なお、本実施の形態では第1の実施の形態に係る半導体装置10Aに外部入力を適用した形態を例示して説明したが、これに限られず、各々第2の実施の形態から第4の実施の形態に係る半導体装置10Bから10Dに適用してもよい。
【0056】
なお、半導体装置10Eでは遅延部23を省略しているが、デジタルコンパレータ21A側の経路と、コンパレータ22A側の経路との比較部24の入力でみた場合の遅延差が問題となる場合には、いずれかの側、あるいは双方に遅延部23を設けてもよい。また、波形合成部16、あるいは合成部29での合成の際に遅延差が問題になる場合には、音源再生部11と合成部29との間、デジタルLPF27と合成部29との間、DAC12と波形合成部16との間、外部入力の分岐の前後等から適切な位置を選択して遅延部23を設けてもよい。その際、デジタルコンパレータ21Aの出力、あるいはコンパレータ22Bの出力に遅延を挿入することで、ビット幅が狭いことから回路を小さくできる。
【0057】
[第6の実施の形態]
図7を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Fおよび音出力装置1Fについて説明する。半導体装置10Fは、第2の実施の形態に係る半導体装置10B(
図3)に信号合成部17を追加した形態であり、故障検出回路20Fは故障検出回路20Bと同じものである。従って、半導体装置10Bと同様の構成には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0058】
上記第5の実施の形態では外部入力がアナログ信号であったが、本実施の形態は外部入力がデジタル信号の場合である。本実施の形態に係る外部入力は音源再生部11の出力の信号形式に相当する信号形式(つまり、デコードされたPCM信号)となっているので、外部入力との合成を行う信号合成部17は音源再生部11とデジタルコンパレータ21Aとの間に配置される。すなわち、信号合成部17の出力が再生信号に相当する信号となる。以降の処理は、半導体装置10Bと同様なので詳細な説明を省略する。
【0059】
[第7の実施の形態]
図8を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Gおよび音出力装置1Gについて説明する。本実施の形態はDAC12の故障検出をより詳細に行う形態である。
【0060】
図8に示すように、半導体装置10GはDAC12、アナログアンプ13A、および故障検出回路20Gを含んで構成されている。故障検出回路20Gは、テストデータ生成部40、コンパレータ22A、判定部26、およびテストデータ制御部41を含んで構成されている。
【0061】
ここで、昨今の音声信号は、振幅のステップ数が16ビットあるいは24ビットと高分解能である場合も多い。この際、このビット数に合わせてDAC12も高分解能とされる。この場合、上記実施の形態に係る半導体装置、音出力装置のように、音源再生部11で再生された再生信号と、スピーカ30の入力である出力信号とを比較して故障を検出する方式では高分解能なDAC12の下位ビットの故障まで判別可能な精度が得られない場合がある。そこで、半導体装置10Gでは、故障検知すべき目標のDAC12の分解能に相当するビット位置が判別できるように構成されている。すなわち、本実施の形態に係るコンパレータ22Aは、下位ビットまで識別可能な分解能を有する閾値設定機能を備え、この閾値設定機能を使用してDAC12の故障を検出する。
【0062】
図8において、テストデータ生成部40はDAC12の故障を検出するためのテストデータを生成する。テストデータ生成部40は、該テストデータの故障検出の対象となるビットの値を変えたテストデータを生成することができる。コンパレータ22Aは、DAC12からの出力信号を2値に変換する。判定部26は、テストデータとコンパレータ22Aからの出力信号とを比較、判定する。判定結果はテストデータ制御部41、あるいは図示を省略するMCUに送られる。判定結果を受け取ったテストデータ制御部41はテストデータを変えて、つまり対象となるビットの値を変えて次の故障検出を行う。あるいは判定結果を受け取ったMCUは報知等の必要な処理を実行する。テストデータ制御部41は、テストデータ生成部40、コンパレータ22A、および判定部26の各々を制御する。
【0063】
次に、半導体装置10Gの動作について説明する。まず、テストデータ制御部41は、故障検出の対象となるビット(以下、「検出ビット」)の値を設定したテストデータを出力するようにテストデータ生成部40を制御する。
【0064】
次に、テストデータ生成部40で設定したテストデータがDAC12を通過した後の出力信号に対して閾値を動かす(走査する)ようにコンパレータ22Aを制御する。そして、コンパレータ22Aの出力が変化した際のコンパレータ22Aの閾値を保持する。コンパレータ22Aの出力が変化したか否かは、テストデータ生成部40からのテストデータとコンパレータ22Aからの出力信号を比較判定するように判定部26を制御して行う。
テストデータ制御部41は、さらに検出ビットを変えたテストデータを生成するようにテストデータ生成部40を制御し、同様にコンパレータ22Aの出力が変化した際のコンパレータ22Aの閾値を保持する。以上を繰返し、DAC12の入力とコンパレータ22Aの閾値との関係が意図したものか否かによってDAC12のビット単位での故障の有無を判定する。なお、本実施の形態ではアナログアンプ13Aを用いた形態を例示して説明したが、アナログアンプ13Aをデジタルアンプに代えた場合でも、該デジタルアンプがDACを有する場合は該DACに対して本実施の形態に係る故障検出方法が適用できる。
【0065】
[第8の実施の形態]
図9を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Hおよび音出力装置1Hについて説明する。半導体装置10HもDAC12のビット単位での故障の検出を目的とするが、半導体装置10Hでは、上記実施の形態に係る半導体装置10Gの観測点[5]を観測点[1]、すなわち、アナログアンプ13Aの出力の位置に変更している。故障検出回路20Hは故障検出回路20Gと同じものである。従って、半導体装置10Gと同様の構成には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0066】
ここで、アナログアンプ13Aを通った後の出力において、構成によってはDC(直流)成分が通過しない場合がある。その場合には、テストデータ制御部41は経路上の周波数特性を考慮し、通過可能な周波数となるようなテストデータを生成するようにテストデータ生成部40を制御した後、当該テストデータで判定を行うように判定部26を制御する。
【0067】
なお、上記第7の実施の形態および第8の実施の形態では、DAC12の詳細な故障検出を行う形態としての半導体装置10Gおよび10Hを独立させた形態を例示して説明したがこれに限られない。例えば、第7の実施の形態に係る半導体装置10G、あるいは第8の実施の形態に係る半導体装置10Hを第1の実施の形態に係る半導体装置10Aに組み込み、通常の故障検出とDAC12の詳細な故障検出の両方が行える形態としてもよい。この場合、DAC12への入力信号は、例えばスイッチによって再生信号とテストデータが切り替え可能なように構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 音出力装置
10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H 半導体装置(音再生装置)
11 音源再生部
12 DAC
13A アナログアンプ
13B デジタルアンプ
14 音源
15 LPF
16 波形合成部
17 信号合成部
20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H 故障検出回路
21A、21B デジタルコンパレータ
22A、22B コンパレータ
23 遅延部
24 比較部
25 比較フィルタ
26 判定部
27 デジタルLPF
28 閾値制御部
29 合成部
30 スピーカ
40 テストデータ生成部
41 テストデータ制御部