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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
G05F1/56 310K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019064415
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166384
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 透
(72)【発明者】
【氏名】笛木 洋一
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-108585(JP,A)
【文献】特開2001-147746(JP,A)
【文献】特開2006-018409(JP,A)
【文献】特開2007-026337(JP,A)
【文献】特開2005-242898(JP,A)
【文献】特開2013-025695(JP,A)
【文献】特開2011-065634(JP,A)
【文献】特開2015-050648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常動作に引き続いてスリープ動作に切り替わる電源回路であって、
前記スリープ動作のとき、前記スリープ動作のための電圧であるスリープ電圧を生成し、前記スリープ電圧を出力端子へ出力するサブLDO部と、
前記通常動作のとき、ソースが第1の内部電圧に接続されており、ゲートに印加される電圧の大きさに応じた、前記ソース及びドレイン間に流れる電流の大きさの制御により規定される前記ドレインの電圧である第2の内部電圧を前記出力端子へ出力するPMOSトランジスタを備え、前記スリープ動作のとき、前記PMOSトランジスタの前記ゲート及びバックゲートに、前記スリープ電圧より高い他の電圧印加されるメインLDO部と、
を含む電源回路。
【請求項2】
前記メインLDO部は、
ソースが前記他の電圧に接続され、かつ、ドレインが前記PMOSトランジスタの前記ゲートに接続された第2のPMOSトランジスタと、
ソースが前記第1の内部電圧に接続され、かつ、ドレインが前記PMOSトランジスタの前記バックゲートに接続された第3のPMOSトランジスタと、
ソースが前記他の電圧に接続され、かつ、ドレインが前記PMOSトランジスタのバックゲートに接続された第4のPMOSトランジスタと、
を更に含み、
前記通常動作のとき、前記第3のPMOSトランジスタが、導通状態であり、かつ、前記第2のPMOSトランジスタ及び前記第4のPMOSトランジスタが、遮断状態であり、
前記スリープ動作のとき、前記第3のPMOSトランジスタが、遮断状態であり、かつ、前記第2のPMOSトランジスタ及び前記第4のPMOSトランジスタが、導通状態である、請求項1に記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された電源回路は、リークによる消費電流をスイッチにより抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-147746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した消費電流の抑制に関連して、例えば、無線システムに用いられる電源回路では、通常動作、及び、必要最小限の動作のみを行うスリープ動作が時系列で交互に切り替わる。電源回路内では、基本的に、電源回路の出力端子へ電圧を出力することを、通常動作のときには、メインLDO部(LDO:Low DropOut)が行い、他方で、スリープ動作のときには、サブLDO部が行う。前者について詳しくは、図4に示されるように、メインLDO部10は、DC/DCコンバータ部(図示無し)が生成する第1の内部電圧Vin1(例えば、1.7V)から第2の内部電圧Vin2(例えば、1.4V)を生成し、第2の内部電圧Vin2を出力端子TMへ出力する。
【0005】
メインLDO10は、通常動作のときに出力すべき、上記した第2の内部電圧Vin2のレベルを安定させるべく、フィードバック系を有する。フィードバック系は、増幅器A10と、トランジスタTR10(例えば、PMOSFET(P-channel Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor))と、スイッチSW10と、抵抗器R10、R20と、から構成される。増幅器A10は、バイアス部(図示無し)から出力される基準電圧Vref(例えば、1.2V)と、第2の内部電圧Vin2を抵抗器R1、R2により分圧することによって規定される分圧電圧Vdiv(例えば、1.2Vの近傍)とを差動増幅し、差動増幅により得られる電圧Vg(ゲート電圧Vg)を、トランジスタTR10のゲートへ出力する。メインLDO10部では、基準電圧Vrefを参照した上でゲート電圧Vgを高低させることにより、トランジスタTR10のソース・ドレイン電流を増減させる。それにより、トランジスタTR10のドレイン電圧である第2の内部電圧Vin2を上記の1.4Vに安定させる。
【0006】
他方で、制御信号CTに応答して、通常動作からスリープ動作へ切り替わると、上記した通常動作のときとは対照的に、DC/DCコンバータ部は、動作停止になる。しかし、スリープ状態に先立つ通常動作のときにDC/DCコンバータ部が出力しており、かつ、トランジスタTR10のソース及びバックゲートに印加されていた第1の内部電圧Vin1が、DC/DCコンバータ部の出力端及び接地間に接続された素子(例えば、平滑コンデンサ)の影響等により、徐々に低下する。その結果、第1の内部電圧Vin1が、出力端子TMに印加されている、サブLDO部(図示無し)からの出力電圧(スリープ電圧)を下回る。即ち、トランジスタTR10では、ソース及びバックゲート印加されている第1の内部電圧Vin1が、ドレインに印加されているスリープ電圧より低くなる。これにより、トランジスタTR10のボディー・ダイオード(図示無し)にとって、順方向電圧が印加されることになり、その結果、トランジスタTR10でのリーク電流が増大するという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、リーク電流の増大を抑制することができる電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決すべく、本発明に係る電源回路は、
通常動作に引き続いてスリープ動作に切り替わる電源回路であって、
前記スリープ動作のとき、前記スリープ動作のための電圧であるスリープ電圧を生成し、前記スリープ電圧を出力端子へ出力するサブLDO部と、
前記通常動作のとき、ソースが第1の電圧に接続されており、前記ソース及びドレイン間に流れる電流の大きさの制御により規定される前記ドレインの電圧である第2の内部電圧を前記出力端子へ出力するPMOSトランジスタと、
前記スリープ動作のとき、前記PMOSトランジスタの前記ゲート及びバックゲートに、前記スリープ電圧より高い電圧が印加されるメインLDO部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電源回路によれば、前記メインLDO部では、前記スリープ動作のとき、前記PMOSトランジスタは、前記ドレインに、前記出力端子を介して、前記サブLDO部からの前記スリープ電圧が印加されているものの、前記PMOSトランジスタの前記ゲート及び前記バックゲートに、前記スリープ電圧より高い電圧が印加される。これにより、前記PMOSトランジスタのボディーダイオードには、逆バイアスが印加されることになることから、前記PMOSトランジスタでのリーク電流が増大することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の電源回路の構成を示す。
図2】実施形態のメインLDO部の構成を示す。
図3】実施形態のメインLDO部の各部の状態を示す。
図4】従来のメインLDO部の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈実施形態〉
以下、本発明に係る実施形態の電源回路について説明する。
【0012】
〈実施形態の構成〉
図1は、実施形態の電源回路の構成を示す。以下、実施形態の電源回路について、図1を参照して説明する。
【0013】
実施形態の電源回路PSは、図1に示されるように、外部電圧Vex(例えば、3.3V)を入力され、他方で、第1の内部電圧Vin1(例えば、1.7V)、第2の内部電圧Vin2(例えば、1.4V)、及び、スリープ電圧Vsp(例えば、1.4V)を出力する。電源回路PSは、前記した3つの電圧を出力すべく、メインLDO部1と、サブLDO部2と、DC/DCコンバータ部3と、バイアス部4と、制御部5とを含む。電源回路PSでは、また、消費電力を低減すべく、通常動作及びスリープ動作が、時系列で交互に切り替わる。電源回路PSは、通常動作のときには、電源回路PS及び外部の回路(電源回路PS以外の回路)を通常に動作させるべく、第1の内部電圧Vin1及び第2の内部電圧Vin2を出力する。他方で、電源回路PSは、スリープ動作のときには、消費電力を低減すべく、スリープ電圧Vspのみを出力する。
【0014】
メインLDO部1は、LDO(Low DropOut)の機能を有し、即ち、入力電圧から、当該入力電圧より低い(例えば、1V以下)出力電圧を生成するリニアレギュレータとしての機能を有する。
【0015】
メインLDO部1は、通常動作のときには、上記したLDOの機能を発揮すべく、DC/DCコンバータ部3から出力される第1の内部電圧Vin1から第2の内部電圧Vin2を生成する。メインLDO部1は、当該生成された第2の内部電圧Vin2を出力端子TMへ出力する。メインLDO部1は、第2の内部電圧Vin2の生成を、バイアス部4から出力される基準電圧Vrefに基づき行う。
【0016】
他方で、メインLDO部1は、スリープ動作のときには、上記した通常動作のときとは対照的に、第2の内部電圧Vin2を生成せず、従って、出力端子TMへ何らの電圧も出力しない。
【0017】
メインLDO部1が通常動作及びスリープ動作のうちのいずれで動作すべきかは、制御部5から出力される制御信号CTにより決定される。
【0018】
サブLDO部2は、メインLDO部1と同様に、LDOの機能を有し、即ち、入力電圧から、当該入力電圧より低い(例えば、1V以下)出力電圧を生成するリニアレギュレータとしての機能を有する。サブLDO部2は、メインLDO部1とは対照的な動作を行う。
【0019】
サブLDO部2は、スリープ動作のときには、上記したLDOの機能を発揮すべく、上記した外部電圧Vexから上記したスリープ電圧Vspを生成する。サブLDO部2は、当該生成されたスリープ電圧Vspを出力端子TMへ出力する。
【0020】
他方で、サブLDO部2は、通常動作のときには、実質的には何らの動作をせず、即ち、ウォームスタンバイであり、換言すれば、出力端子TMへ何らの電圧も出力しない。
【0021】
サブLDO部2が通常動作及びスリープ動作のうちのいずれで動作すべきか、メインLDO部1と同様に、制御部5から出力される制御信号CTにより決定される。
【0022】
DC/DCコンバータ部3は、一の直流電圧を他の直流電圧へ変換(降圧)する機能を有する。詳しくは、DC/DCコンバータ部3は、上記した外部電圧Vexから、上記した第1の内部電圧Vin1を生成する。DC/DCコンバータ部3は、当該生成された第1の内部電圧Vin1を、外部の回路(負荷LDに相当)へ出力し、また、当該第1の内部電圧Vin1は、上記した外部の回路へ出力されることを経て、メインLDO部1へも入力される。
【0023】
バイアス部4は、メインLDO部1が第1の内部電圧Vin1から第2の内部電圧Vin2を生成するときの参照に供すべく、上記した基準電圧VrefをメインLDO部1へ出力する。
【0024】
制御部5は、通常動作及びスリープ動作のうちのいずれで動作すべきかを示す制御信号CTを、メインLDO部1、サブLDO部2、DC/DCコンバータ部3、及び、バイアス部4へ出力する。ここで、「制御信号」は、単に、例えば、1または0、高い電圧または低い電圧、という具体的な信号(例えば、デジタル信号)を意味するのではなく、通常動作及びスリープ電圧のうちのいずれで動作すべきかを示すという抽象的な信号(概念的な信号)を意味する。制御部5が、通常動作で動作すべき旨を示す制御信号CTを出力するとき、メインLDO部1、DC/DCコンバータ部3、及び、バイアス部4が、動作する(サブLDO部2は、実質的には動作しない)。これとは反対に、制御部5が、スリープ動作で動作すべき旨を示す制御信号CTを出力するとき、サブLDO部2のみが、動作する。
【0025】
上記した構成を有する電源回路PSが出力する第1の内部電圧Vin1には、一つ以上の外部の回路(負荷LD)が、接続されている。また、第1の内部電圧Vin1を安定させるべく、電源回路PSでの、第1の内部電圧Vin1の入力端及び接地間に、平滑コンデンサC1が、設けられている。更に、第1の内部電圧Vin1を外部の回路(負荷LD)間で引き回すための配線により生起される容量(図示無し)も、存在し得る。
【0026】
電源回路PSの出力端子TMからは、上記したように、通常動作のときには、メインLDO部1から出力される第2の内部電圧Vin2が出力され、他方で、スリープ動作のときには、サブLDO部2から出力されるスリープ電圧Vspが出力される。出力端子TMから出力される、第2の内部電圧Vin2またはスリープ電圧Vspは、外部の回路(上記した外部の回路と同一であるか相違するかを問わない。)に印加される。当該出力端子TMには、平滑コンデンサC1の機能と同様に、第2の内部電圧Vin2及びスリープ電圧Vspを安定させるべく、出力端子及び接地間に、平滑コンデンサC2が設けられている。
【0027】
図2は、実施形態のメインLDOの構成を示す。以下、実施形態のメインLDOについて、図2を参照して説明する。
【0028】
メインLDO部1は、図2に示されるように、増幅器A1と、PMOSFET(P-channel Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であるトランジスタTR1、TR2、TR3、TR4、と、スイッチSW1、SW2と、抵抗器R1、R2とを有する。
【0029】
増幅器A1は、第1の内部電圧Vin1で動作し、差動増幅を行う。増幅器A1は、また、2つの入力端子及び1つの出力端子を備える。増幅器A1の一方の入力端子には、バイアス部4から出力される基準電圧Vrefが入力される。増幅器A1の他方の入力端子には、フィードバック機能を確保すべく、後述される分圧電圧Vdivが入力(帰還)される。増幅器A1は、基準電圧Vrefと分圧電圧Ddivとの電圧差を増幅することにより、増幅電圧Vampを生成し、当該増幅電圧Vampを出力端子から出力する。
【0030】
スイッチSW1は、増幅器A1の後段に設けられている。スイッチSW1では、一端が、増幅器A1の出力端子に接続されており、他端が、トランジスタTR1のゲート、及び、トランジスタTR2のドレインに接続されている。
【0031】
トランジスタTR1は、スイッチSW1の後段に設けられている。トランジスタTR1では、ソースが、第1の内部電圧Vin1に接続されており、ドレインが、出力端子TM、及び、スイッチSW2の一端に接続されており、バックゲートが、トランジスタTR3のドレイン、及び、トランジスタTR4のドレインに接続されている。
【0032】
スイッチSW2では、他端が、抵抗器R1の一端に接続されている。
【0033】
抵抗器R1、R2は、出力端子TMに出力される第2の内部電圧Vin2を分圧すべく、直列接続されている。抵抗器R1の他端は、抵抗器R2の一端に接続されており、抵抗器R2の他端は、接地電位に接続されている。第2の内部電圧Vin2が、直列接続された抵抗器R1、R2により分圧されることにより、両抵抗器R1、R2の接続点に、上記した分圧電圧Vdivが規定される。
【0034】
トランジスタTR2では、ゲートに、制御信号CTが入力され、ソースが、外部電圧Vexに接続されている。
【0035】
トランジスタTR3では、ゲートに、制御信号CTが入力され、ソースが、第1の内部電圧Vin1に接続されている。
【0036】
トランジスタTR4では、ゲートに、制御信号CTが入力され、ソースが、外部電圧Vexに接続されている。
【0037】
〈実施形態の動作〉
実施形態のメインLDOの動作について説明する。
【0038】
図3は、実施形態のメインLDOの各部の状態を示す。以下、実施形態のメインLDOの動作について、図2及び図3を参照して説明する。
【0039】
〈通常動作のとき〉
メインLDO部1は、制御部5から、通常動作で動作すべき旨を示す制御信号CT(図1図2に図示)を入力される。当該制御信号CTに応答して、メインLDO部1では、トランジスタTR2、TR4が、オフ状態(遮断状態)になり、他方で、トランジスタTR3、及び、スイッチSW1、SW2が、オン状態(導通状態)になる。
【0040】
トランジスタTR2が上記の遮断状態になることにより、トランジスタTR1のゲートは、外部電圧Vexから切り離され、即ち、トランジスタTR1のゲートに、外部電圧Vexが、印加されない。他方で、スイッチSW1が上記の導通状態になることにより、トランジスタTR1のゲートは、増幅器A1の出力端子に接続され、即ち、トランジスタTR1のゲートに、増幅器A1から出力される増幅電圧Vampが、印加される。
【0041】
トランジスタTR4が上記の遮断状態になることにより、トランジスタTR1のバックゲートは、外部電圧Vexから切り離され、即ち、トランジスタTR1のバックゲートに、外部電圧Vexが、印加されない。他方で、トランジスタTR3が上記の導通状態になることにより、トランジスタTR1のバックゲートは、第1の内部電圧Vin1に接続され、即ち、トランジスタTR1のバックゲートに、第1の内部電圧Vin1が、印加される。
【0042】
スイッチSW2が上記の導通状態になることにより、トランジスタTR1のドレインの電圧が、抵抗器R1、R2により分圧され、それにより、抵抗器R1、R2の接続点に、分圧電圧Vdivが規定される。増幅器A1は、一方の入力端子に基準電圧Vrefを入力されていることに加えて、他方の入力端子に、分圧電圧Vdivを入力される。増幅器A1は、基準電圧Vrefと分圧電圧Vdivとの電圧差を増幅することにより、増幅電圧Vampを出力する。
【0043】
トランジスタTR1では、上記したように、ゲートに、増幅器A1から出力される増幅電圧Vampが印加されると、増幅電圧Vampの大きさに対応する大きさのソース・ドレイン電流が流れ、換言すれば、増幅電圧Vampの高低(大小)に応じて、ソース・ドレイン電流が増減する。ソース・ドレイン電流の増減により、トランジスタTR1のドレインでの電圧、即ち、第2の内部電圧Vin2は、その変動を抑止される。このようにして、変動を抑止された、即ち、安定している第2の内部電圧Vin2が、出力端子TMへ出力される。
【0044】
〈スリープ動作のとき〉
メインLDO部1は、制御部5から、スリープ状態で動作すべき旨を示す制御信号CT(図1図2に図示)を入力される。当該制御信号CTに応答して、メインLDO部1では、スリープ動作のときは反対に、トランジスタTR2、TR4が、オン状態(導通状態)になり、他方で、トランジスタTR3、及び、スイッチSW1、SW2が、オフ状態(遮断状態)になる。
【0045】
トランジスタTR2が上記の導通状態になることにより、トランジスタTR1のゲートは、外部電圧Vexに接続され、即ち、トランジスタTR1のゲートに、外部電圧Vexが印加される。他方で、スイッチSW1が上記の遮断状態になることにより、トランジスタTR1のゲートは、増幅器A1の出力端子から切り離され、即ち、トランジスタTR1のゲートに、増幅器A1から出力される増幅電圧Vampが、印加されない。
【0046】
トランジスタTR4が導通状態になることにより、トランジスタTR1のバックゲートは、外部電圧Vexに接続され、即ち、トランジスタTR1のバックゲートには、外部電圧Vexが、印加される。他方で、トランジスタTR3が遮断状態になることにより、トランジスタTR1のバックゲートは、第1の内部電圧Vin1から切り離され、即ち、トランジスタTR1のバックゲートに、第1の内部電圧Vin1が、印加されない。
【0047】
スイッチSW2が上記の遮断状態になることにより、トランジスタTR1のドレインの電圧は、抵抗器R1、R2によっては分圧されない。その結果、接地電位(抵抗器R2の他端に接続された接地の電位)である分圧電圧Vdivが、増幅器A1の他方の入力端子に入力される。ここで、上記したように、スイッチSW1が遮断状態であることから、他方の入力端子に入力される分圧電圧Vdivがどのような大きさであるかは、トランジスタTR1の動作に、何らの影響を与えない。
【0048】
ここで、出力端子TMとサブLDO部2との関係について言及すると、上記したように、スリープ動作のとき、サブLDO部2は、スリープ電圧Vspを出力端子TMへ出力している。従って、出力端子TMには、当該スリープ電圧Vspが印加されており、換言すれば、トランジスタTR1のドレインに、スリープ電圧Vspが印加されている。
【0049】
スリープ動作時におけるトランジスタTR1に印加されている、上記した電圧を要約すると、以下のとおりである。(1)ソースには、第1の内部電圧Vin1が、印加されており、(2)ゲート及びバックゲートには、外部電圧Vexが、印加されており、(3)ドレインには、スリープ電圧Vspが、印加されている。
【0050】
ゲートには、ソースに印加されている第1の内部電圧Vin1より高い外部電圧Vexが、印加されていることから、換言すれば、ゲート及びソース間に、トランジスタTR1をオフ状態(遮断状態)にする逆バイアスが印加されている。これにより、トランジスタTR1は、遮断状態になり、即ち、ドレインは、ソースとの関係ではオープン(解放端)になる。
【0051】
また、バックゲートには、ドレインに印加されているスリープ電圧Vspより大きく、かつ、ソースに印加されている第1の内部電圧Vin1より大きい外部電圧Vexが、印加されていることから、トランジスタTR1のボディーダイオード(図示無し)は、オフ状態(遮断状態)になる。
【0052】
〈実施形態の効果〉
上記したように、実施形態のメインLDOでは、スリープ動作のとき、ソースに第1の内部電圧Vin1が印加されており、かつ、ドレインにスリープ電圧Vspが印加されているトランジスタTR1のゲート及びバックゲートに、第1の内部電圧Vin1及びスリープ電圧Vspより大きい外部電圧Vexが、印加される。これにより、トランジスタTR1が、遮断状態になるとともに、トランジスタTR1のボディーダイオードが、遮断状態になる。後者のボディーダイオードが遮断状態になることにより、図4での図示と異なり、第1の内部電圧Vin1が徐々に低下することに起因して、ボディーダイオードが導通状態になり、これにより、トランジスタTR1にリーク電流が流れるという事態を回避することができる。
【0053】
〈変形例〉
上述した実施形態のメインLDO部1中のトランジスタTR1~TR4に、PMOSFETを用いることに代えて、NMOSFET(N-channel Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いることも可能である。NMOSFETを用いる場合、トランジスタTR2~TR4、及び、スイッチSW1、SW2における、通常動作及びスリープ動作のときのオン状態及びオフ状態は、図3に図示された、PMOSFETを用いる場合と同様である。
【0054】
他方で、NMOSFETを用いる場合、トランジスタTR1に、スリープ動作のときに印加される電圧は、上記した実施形態と相違する。具体的には、上記した実施形態での、PMOSFETを用いたハイサイド駆動とは異なり、NMOSFETを用いたローサイド駆動であることを前提とした上で、トランジスタTR1のドレインには、ソースに印加されるスリープ電圧Vspより小さい電圧(第1の電圧)が、印加され、かつ、ゲート及びバックゲートには、ソースに印加されるスリープ電圧Vspより小さく、かつ、ドレインに印加される前記第1の電圧より小さい電圧(第2の電圧)が、印加されることを要する。これにより、PMOSFETを用いるときと同様に、トランジスタTR1及びボディーダイオードの両方を遮断状態にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
PS 電源回路、1 メインLDO部、TR1~TR4 トランジスタ、A1 増幅器、SW1、SW2 スイッチ、R1、R2 抵抗器
図1
図2
図3
図4