(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
G01N35/00 F
(21)【出願番号】P 2020559850
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2019044472
(87)【国際公開番号】W WO2020116106
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2018228789
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】千田 悟
(72)【発明者】
【氏名】圷 正志
(72)【発明者】
【氏名】河 治國
(72)【発明者】
【氏名】横塚 聖
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-249757(JP,A)
【文献】特開2003-083960(JP,A)
【文献】国際公開第2013/035471(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/163745(WO,A1)
【文献】特開2015-092197(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168432(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/221386(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/073684(WO,A1)
【文献】特開2004-028932(JP,A)
【文献】特開2010-145151(JP,A)
【文献】特開2005-346013(JP,A)
【文献】特開2014-089129(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107727647(CN,A)
【文献】国際公開第2018/056202(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00~35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の分析を実行する分析部と、
前記分析部を含めた装置内のメンテナンスに関係する情報を表示する表示装置と、
前記表示装置の表示画面に常時表示領域を表示するよう制御する
表示制御部
と、
装置のメンテンナンス動作を含む動作を制御する動作制御部と、を備え、
前記
表示制御部は、
前記動作制御部によりバックグランドで
前記装置内の
前記メンテナンス
動作が実行され、かつメンテナンス画面以外の画面が前記表示装置に表示されているタイミングで、
ユーザ自身による作業が必要な作業があるときは、前記表示装置に前記常時表示領域を表示させた状態で通知情報を表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記通知情報の表示では、前記常時表示領域に表示されたメンテナンスに関係するボタンを強調表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記
表示制御部は、前記ボタンが押下されたときはメンテナンス操作画面を表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動分析装置において、
前記メンテナンス操作画面には、ユーザが次に実行すべき操作が表示される
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項3に記載の自動分析装置において、
前記
表示制御部は、前記ボタンが押下されたときは少なくとも前記分析部のメンテナンスの実行状況の情報を含むメンテナンス状況画面を表示させ、その後、メンテナンス操作画面を表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自動分析装置において、
前記
表示制御部は、メンテナンスを実行する対象の前記分析部が少なくとも2以上あるときは、前記ボタンが押下されたときに前記メンテナンス状況画面を表示させ、前記メンテナンス状況画面においても前記メンテナンス状況を通知する対象の前記分析部を強調表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項3に記載の自動分析装置において、
前記メンテナンス操作画面では、ユーザが次に実行すべき操作に加えて、操作ガイド情報を表示する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記強調表示は、前記ボタンを点滅させる、あるいは前記ボタンの表示色を変える、のうち少なくともいずれかである
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項3に記載の自動分析装置において、
複数の前記分析部を用いるメンテナンスを実施する際、前記メンテナンス操作画面の中にユーザに対して複数の前記分析部に対する操作順を指示する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記通知情報の表示では、前記常時表示領域が表示されている画面にポップアップ領域を表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項10に記載の自動分析装置において、
前記
表示制御部は、前記ポップアップ領域にユーザが次に実行すべき操作を表示する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載の自動分析装置において、
前記ポップアップ領域の中で複数の前記分析部に対する表示を行う際には、複数の前記分析部の情報をまとめて表示する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項13】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記
表示制御部は、前記通知情報をどのように通知するかを選択する選択画面を表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項14】
請求項13に記載の自動分析装置において、
前記選択画面では、複数の通知方法を登録することができる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項15】
請求項14に記載の自動分析装置において、
前記選択画面では、前記複数の通知方法の通知順を登録することができる
ことを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿のような生体試料(以下、検体と記載)の定性・定量分析を行う自動分析装置に係り、特に、分析動作を保守するためのメンテナンス機能を有する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精度管理試料の測定結果,一般検体試料の測定結果,検知器の正常/異常などから装置の性能,機構上の状態を的確に判断し、簡便な方法で対策する機能を具備した自動分析装置の一例として、特許文献1には、精度管理試料の測定結果,一般検体試料の測定結果,検知器の正常/異常などの条件と、装置状態を判断する基準(アルゴリズム)とを照らし合わせて、対策メニューを自動的に表示し、他の画面に遷移することなく、その表示した同一メニュー画面から選択して実行する、ことが記載されている。
【0003】
また、多忙な操作者や自動分析装置に不慣れな操作者にとっても操作しやすい画面表示を備えた自動分析装置の一例として、特許文献2には、測定結果等を表示する表示装置の画面表示上の一部に、常に表示する常時表示領域を設け、検体の測定状況や発生したアラーム情報,メンテナンス情報といった、ルーチン中に発生する割り込み作業に関する複数種類の項目に関する情報を、リアルタイムで自動的に切り替えながら表示する。また、常時表示領域を操作者が選択などして要求した時には、表示中の項目に関連した情報を表示する画面表示を示す画面に遷移する、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-97946号公報
【文献】特開2010-249757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検体の定量,定性分析を自動で行う自動分析装置は、多くの患者検体を短時間で処理する必要のある大病院,臨床検査センターを中心に普及が著しい。この自動分析装置は、処理能力に応じて大型,中型,小型の各種の処理能力を有する装置が開発されている。
【0006】
それらの自動分析装置では、より高い信頼性を保証するために定期的なメンテナンス操作が必要となる。その一方で、高い処理能力および結果出力の迅速性が求められている。
【0007】
このため、特に1日で処理する患者検体が多い施設で用いられる自動分析装置では、できる限り早く測定結果を出力するためにできる限り装置を停止させないことが望まれている。
【0008】
このためには、メンテナンス操作を簡略化し、短時間で完了させることが望まれる。このような自動分析装置として、例えば特許文献1に記載のような技術が知られている。
【0009】
検査技師による装置メンテナンスは、装置の不稼働時間を短縮するために、複数の装置メンテナンス操作を並行して実行する技術を実装することにより、効率的に実施する工夫がなされている。
【0010】
ここで、上記した特許文献1に記載の装置のように、メンテナンスを実施する際に、操作性を向上するためのガイダンス表示機能を搭載する場合、メンテナンス画面が表示されているままであれば、その画面にガイダンスを表示することでスムーズにメンテナンスを進行することができる。しかしながら、以下のような改善の余地があることが分かった。
【0011】
例えば、ある操作を実施している間は、その操作を行う画面から他の画面への移動ができないように制御されることがある。また、メンテナンス作業に並行して他の操作を実施する場合は、メンテナンス画面から他の操作を行う画面に遷移する。
【0012】
これらの場合、上述のようなガイダンスが表示されたメンテナンス画面を再度表示するためには、ユーザが自ら当該ガイダンスが表示されているメンテナンス画面に辿りつく必要がある。しかし、これには装置の操作にある程度慣れている必要があるとともに、移動にもある程度時間を必要とする。このため、多忙な操作者や自動分析装置に不慣れな操作者にとっても操作しやすい表示を行うことが望まれることが明らかとなった。
【0013】
また、特許文献2では、メンテナンスに関する情報が常時画面に表示されるようであるが、これはメンテナンス完了までの時間を表示することがメインであって、特許文献1と同様に、以下のような改善の余地があることが分かった。
【0014】
例えば、特許文献2においても、上述のようなガイダンスが表示されたメンテナンス画面を表示するためには、ユーザが自ら当該ガイダンス表示付きメンテナンス画面に辿りつく必要があり、同様に操作しやすい表示を行うことが望まれることが明らかとなった。
【0015】
本発明の目的は、メンテナンス操作と並行して他の操作を可能とし、実行中のメンテナンスにおいてユーザアクションが必要となった際にユーザに通知してガイダンス表示を行うことが可能な自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、検体の分析を実行する分析部と、前記分析部を含めた装置内のメンテナンスに関係する情報を表示する表示装置と、前記表示装置の表示画面に常時表示領域を表示するよう制御する制御部と、を備え、前記制御部は、バックグランドで前記装置内のメンテナンスが実行され、かつメンテナンス画面以外の画面が前記表示装置に表示されているタイミングで、ユーザへメンテナンス状況を通知する必要があるときは、前記表示装置の前記常時表示領域を含む画面に通知情報を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば検体の分析を実行する分析部と、前記分析部を含めた装置内のメンテナンスに関係する情報を表示する表示装置と、前記表示装置の表示画面に常時表示領域を表示するよう制御する表示制御部と、装置のメンテンナンス動作を含む動作を制御する動作制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記動作制御部によりバックグランドで前記装置内の前記メンテナンス動作が実行され、かつメンテナンス画面以外の画面が前記表示装置に表示されているタイミングで、ユーザ自身による作業が必要な作業があるときは、前記表示装置に前記常時表示領域を表示させた状態で通知情報を表示させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動分析装置の全体構成を示すシステムブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る自動分析装置のうち、分析モジュールの一構成例を表す全体構成概略図である。
【
図3】本実施形態における自動分析装置のメンテナンス実施フローを示す図である。
【
図4】本実施形態における自動分析装置のメンテナンス選択画面を示す図である。
【
図5】本実施形態における自動分析装置のメンテナンス実行画面を示す図である。
【
図6】本実施形態における自動分析装置のメンテナンスユーザアクション通知画面を示す図である。
【
図7】本実施形態における自動分析装置の常時表示領域を用いたユーザアクション通知画面を示す図である。
【
図8】本実施形態における自動分析装置のメンテナンス状況確認画面を示す図である。
【
図9】本実施形態における自動分析装置のユーザに対して複数の分析モジュールに対する操作順を指示する画面を示す図である。
【
図10】本実施形態における自動分析装置のユーザアクション表記を実施する際に、予めユーザが登録した操作ガイド情報を合わせて表記する画面を示す図である。
【
図11】本実施形態における自動分析装置のポップアップを用いたユーザアクション通知画面を示す図である。
【
図12】本実施形態における自動分析装置の複数の分析モジュールに対するユーザアクション表記を実施する際に、1つの操作画面に複数の分析モジュールへの情報をまとめて表示する画面を示す図である。
【
図13】本実施形態における自動分析装置のユーザアクション通知を通知する手段を事前登録する画面を示す図である。
【
図14】本実施形態における自動分析装置のユーザアクション通知を通知する手段を複数事前に登録する画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の自動分析装置の実施形態について
図1乃至
図14を用いて説明する。
【0020】
最初に、本発明の好適な一実施形態の自動分析装置の全体構成について
図1を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態による自動分析装置の全体構成を示すシステムブロック図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態による自動分析装置1は、検体ラック投入部21と、ID読取部22と、搬送ライン23と、分析モジュール24,25,26と、検体ラック回収部27と、全体管理用コンピュータ28と、を備えている。
【0022】
検体ラック投入部21は、それぞれ複数個の検体容器121(
図2参照)を保持する複数個の検体ラック120(
図2参照)を投入する部分である。
【0023】
検体ラック120によって保持された検体容器121には、血液等の検査試料(検体)に関する属性情報(受付番号,患者氏名,依頼分析項目等)を示す検体IDが記録されたラベルやバーコードなどが付与されている。また、検体ラック120自体には、ラック番号等のラック識別情報を示すラックIDを示すタグが付与されている。
【0024】
検体ラック投入部21に置かれた検体ラック120は、搬送ライン23によって搬送される。その際に、ID読取部22により検体IDや検体ラックIDに関する情報が読み取られ、全体管理用コンピュータ28に送られる。
【0025】
搬送ライン23は、検体ラック投入部21から投入された検体ラック120を、検査技師や医者等のユーザによりなされた分析依頼に従って対象となる分析モジュール24,25,26へ搬送する。また、分析モジュール24,25,26での分析が終了した検体ラック120、もしくは分析依頼がなかった検体ラック120を、検体ラック回収部27に搬送する装置である。
【0026】
搬送ライン23は、形状の異なる検体ラック120を識別し、検体ラック120の形状に応じて搬送動作を切り分けて分析モジュール24,25,26に搬送を行うように構成されている。
【0027】
分析モジュール24,25,26は、搬送ライン23を介して搬送された検体ラック120に保持された検体容器121内の検体の分析を実行するモジュールであり、搬送ライン23に沿って配置されているとともに、搬送ライン23に対して取り外し可能な接続になっている。
【0028】
分析モジュール24,25,26の数は任意に設定でき、少なくとも1つ以上配置されていればよい。本実施形態では、モジュール数が3個の場合を示している。
【0029】
全体管理用コンピュータ28は、CPUやメモリなどを備えたコンピュータであり、検体ラック投入部21、ID読取部22、搬送ライン23、および検体ラック回収部27内の必要な制御を行う。
【0030】
例えば、全体管理用コンピュータ28は、ID読取部22により読み取られた属性情報に基づいて、依頼された分析項目からどの分析モジュール24,25,26で実施するかを決定する。
【0031】
また、本実施形態の全体管理用コンピュータ28は、表示装置30の表示画面に検体に関する情報や分析項目に関する情報、分析結果に関する情報等の各種情報が表示される画面の表示制御を行う。更に、分析開始を行うための操作画面や分析の進行状況、メンテナンスの実行を指示する画面、メンテナンスの進捗状況に関する情報等、自動分析装置1の運用に関する各種画面を表示させる制御を実行する。この全体管理用コンピュータ28が制御部に相当する。
【0032】
本実施例形態の全体管理用コンピュータ28では、特に、それら各種画面において、常時表示される領域を確保させる表示制御を実行する。常時表示される領域(常時表示領域)は、例えば
図7におけるグローバル領域701や
図11におけるグローバル領域901等のような、メンテナンスボタン702やアラームボタン、プリントボタン、停止ボタン、開始ボタン等が表示される領域である。
【0033】
このグローバル領域701,901が常に表示装置30の表示画面中に表示されるため、後述する
図4や
図5、
図6、
図8、
図9、
図10、
図13、14等の画面は、
図7中の検体・項目情報表示領域705の部分に表示される。これら各図の詳細は後述する。なお、グローバル領域701,901が表示されたままであれば、
図4等の画面は
図11等のポップアップ領域902のようにポップアップ領域の中に表示してもよい。
【0034】
更に、本実施形態の全体管理用コンピュータ28は、バックグランドで装置内のメンテナンスが実行され、かつメンテナンス画面以外の画面が表示装置30に表示されているタイミングで、ユーザへメンテナンス状況を通知する必要があるときは、表示装置30のグローバル領域701,901を含む画面に通知情報を表示させる制御を実行する。その詳細は後述する。
【0035】
この全体管理用コンピュータ28には、更に、データを入力するためのキーボードやマウスで構成される操作部29、データを表示するための表示装置30、データを印刷するための印刷装置32、及び分析指示情報や測定結果を記憶するための記憶装置31等が接続されている。
【0036】
表示装置30は、分析結果や分析の進行状況、分析モジュール24,25,26を含めた装置内のメンテナンスに関係する情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示機器である。
【0037】
記憶装置31は、自動分析装置1内に投入された検体に関するデータや、分析結果を記録しているフラッシュメモリ等の半導体メモリやHDD等の磁気ディスク等の記録媒体である。この記憶装置31は、また、自動分析装置1内の各機器の動作の制御や後述する各種表示処理等を実行するための様々なコンピュータプログラム等を記録している。
【0038】
次に、分析モジュール24,25,26の構成の概略について
図2を用いて説明する。
図2は、各分析モジュールの原理的な全体構成概略図である。
【0039】
なお、以下に示す
図2では、分析モジュールとしていわゆる生化学の分析項目の分析を実行する生化学分析モジュールを例に示しているが、自動分析装置に配置される分析モジュールは生化学分析モジュールに限られず、免疫の分析項目の分析を実行する免疫分析モジュールなど、他の分析項目の分析を実行するモジュールとすることができる。また、異なる分析項目の分析を実行するモジュールを1つ以上ずつ配置してもよい。
【0040】
また、生化学分析モジュールについても
図2に示す形態に限られず、他の分析項目、例えば電解質を測定する分析機器を搭載したものであってもよい。
【0041】
図2において、分析モジュール24,25,26は、反応ディスク109、試薬ディスク111、ラック搬送ベルト119、試薬分注プローブ118、検体分注プローブ113、撹拌装置114、光源116、多波長光度計117、洗浄装置115、コンピュータ123を備えている。
【0042】
反応ディスク109には反応容器110が円周上に並んでいる。反応ディスク109の近くには検体容器121を載せた検体ラック120を移動するラック搬送ベルト119が設置されている。
【0043】
反応ディスク109とラック搬送ベルト119の間には、回転および上下動可能な検体分注プローブ113が設置されている。検体分注プローブ113は回転軸を中心に円弧を描きながら移動して検体容器121から反応容器110への試料分注を行う。
【0044】
試薬ディスク111の中には複数の試薬ボトル112が円周上に載置可能である。試薬ディスク111は保冷されており、吸引口が設けられたカバーによって覆われている。
【0045】
反応ディスク109と試薬ディスク111の間には回転および上下動可能な試薬分注プローブ118が設置されている。試薬分注プローブ118は回転軸を中心に円弧を描きながら移動して、吸引口から試薬ディスク111内にアクセスし、試薬ボトル112から反応容器110への試薬の分注を行う。
【0046】
反応ディスク109の周囲には、更に、洗浄装置115、光源116、多波長光度計117、撹拌装置114が配置されている。試薬分注プローブ118、検体分注プローブ113、撹拌装置114の動作範囲上に洗浄槽(図示省略)がそれぞれ設置されている。
【0047】
検体容器121には検体が含まれ、検体ラック120に載せられて搬送ライン23を介してラック搬送ベルト119によって運ばれる。
【0048】
コンピュータ123は、CPUやメモリなどが搭載されたコンピュータから構成され、インタフェース122を介して上述した分析モジュール24,25,26内の各機構に接続されており、それらの動作をすべて制御するとともに、血液や尿等の液体試料中の所定の成分の濃度を求める演算処理を行う。このコンピュータ123は、インタフェース122を介して全体管理用コンピュータ28とも接続されている。
【0049】
以上が自動分析装置1の一般的な構成である。
【0050】
上述のような自動分析装置1による検体の分析処理は、一般的に以下の順に従い実行される。
【0051】
操作者は、表示装置30および操作部29を使って自動分析装置1に対して分析指示を与える。分析指示は、記憶装置31に記憶されると共に、全体管理用コンピュータ28を介して分析モジュール24,25,26のうち対象の分析モジュールに送信される。対象の分析モジュールは受信した分析指示に従い、次のように分析動作を行う。
【0052】
分析モジュール24,25,26では、まず、搬送ライン23を介してラック搬送ベルト119によって反応ディスク109近くに搬送された検体ラック120の上に載置された検体容器121内の検体を、検体分注プローブ113により反応ディスク109上の反応容器110へと所定量だけ分注する。
【0053】
ひとつの検体容器121に対する分注を完了したら、次の検体容器121が検体分注プローブ113の真下に来るようにラック搬送ベルト119が検体ラック120を移動させる。検体ラック120上の検体容器121全ての分注を完了したら、検体ラック120はラック搬送ベルト119により搬出する。
【0054】
反応ディスク109の回転動作により、検体が分注された反応容器110は反応ディスク109上を回転移動する。その間に、試薬分注プローブ118によって、分析に使用する試薬を試薬ディスク111上の試薬ボトル112から反応容器110の中の検体に対して分注する。
【0055】
続いて、撹拌装置114で反応容器110内の検体と試薬との反応液の撹拌を行う。
【0056】
その後、光源116から発生させた光を反応液の入った反応容器110を透過させ、透過光の光度を多波長光度計117により測定する。
【0057】
多波長光度計117により測定された吸光度信号はA/Dコンバータ124、インタフェース122を介してコンピュータ123に送信する。
【0058】
コンピュータ123は、この吸光度信号から、あらかじめ被検物質ごとに設定された分析法に基づき、標準液検体の場合は設定された濃度データから検量線データを算出し、患者検体及びコントロール検体の場合は標準液検体の測定で得られる検量線データから濃度データを算出する。これらのデータは測定結果として、検体の種類を記号化した情報を付加した後、インタフェース122を介して全体管理用コンピュータ28に送信される。
【0059】
平行して、洗浄装置115によって分析の終了した反応容器110が洗浄され、次の分析に使用される。
【0060】
全体管理用コンピュータ28は、受信した測定結果を記憶装置31に記憶すると共に、表示装置30および印刷装置32に出力する。
【0061】
なお、自動分析装置は
図1に示すような複数の分析モジュールで構成される場合に限られず、
図2に示す各分析モジュール単体で構成される場合もある。このような場合、
図2のコンピュータ123が
図2の全体管理用コンピュータ28と同等の各種機能を搭載していればよい。
【0062】
次に、本実施形態の自動分析装置1におけるメンテナンス動作の詳細について
図3以降を用いて説明する。最初にメンテナンスの流れについて
図3を用いて説明する。
図3は本発明の一実施形態による自動分析装置におけるメンテナンス実施フローを示す図である。
【0063】
図3に示した動作フローの自動分析装置1の制御は、全体管理用コンピュータ28によって行われる。また、
図4乃至
図14に表示される画面は、表示装置30に表示される。
【0064】
図3において、操作者は、表示装置30および操作部29を使って自動分析装置1に対してメンテナンス開始指示を与える。全体管理用コンピュータ28は、この開始指示に基づいてメンテナンス処理を開始する(ステップS301)。
【0065】
次いで、全体管理用コンピュータ28は、
図4に示すメンテナンス選択画面を表示装置30に表示させる(ステップS302)。これにより、ユーザに対して操作部29を操作させ、メンテナンスアイテムボタン401を用いてメンテナンス項目を選択させる(ステップS302)。
【0066】
選択ボタン402が押下されたことを認識したときは、全体管理用コンピュータ28は、
図5に示すメンテナンス実行画面501を表示装置30に表示させる。このメンテナンス実行画面501では、ユーザに対して、実行対象分析モジュール選択ボタン502、および503を用いてメンテナンスを実行する対象のAU(Analysis Unit:分析モジュール)1、AU2を選択させ(ステップS303)、実行ボタン504を押下させることで、メンテナンスを実行する(ステップS304)。
【0067】
ここで示す
図5のメンテナンス実行画面501は、自動分析装置1が複数の分析モジュール24,25,26を備える例であって、検体ラック投入部21・搬送ライン23・検体ラック回収部27から構成されるサンプラモジュール(SU)、各分析モジュール24,25,26(それぞれAU1、AU2、AU3とする)のうちの対象となるモジュールを選択するための画面の一例を示す図である。
【0068】
その後、全体管理用コンピュータ28は、実行中のメンテナンスにおいて、ユーザアクションの通知(通知情報)が必要となった際には、ユーザアクション通知の表示制御を実施する(ステップS305)。
【0069】
以下、ユーザアクション通知として、
図5に示すメンテナンス実行画面501から、ユーザが次に実行すべき操作が表示される、
図6に示すようなメンテナンス実行画面601へ遷移する場合について説明する。
図6にユーザアクション通知を行う画面表示の一例を示す。
【0070】
図6に示すメンテナンス実行画面601では、対象のユニットのモジュールボタン602が強調表示され、ユーザアクション通知エリア603に通知表示が実施されている。この通知表示を参照することにより、ユーザは実行中のメンテナンスにおいて自分に求められている作業の詳細を容易に把握することができる。
【0071】
ユーザはこのユーザアクション通知エリア603に表示されている「部品Aを清掃後、継続ボタンを押下してください。」とのメッセージに基づいて部品Aを清掃し、清掃が終了した後は継続ボタン604を押下することでメンテナンスを継続する。
【0072】
また、
図6に示すメンテナンス実行画面601では、モジュールボタン602が点滅する、あるいは表示色が変わるなどの強調表示によって、どの分析モジュールに対してユーザアクション通知が表示されているかを確認することができる。
図6では、当該分析モジュールに対する表示パターンを変更して表示する一例を示している。
【0073】
これらのメンテナンス実行画面601の表示により、ユーザはユーザアクション通知を確認し、アクションを実施する。
【0074】
なお、
図5に示すメンテナンス実行画面501や
図6に示すメンテナンス実行画面601は、メンテナンス項目ごとに異なる画面表示であり、他のメンテナンス項目が実行されている場合に表示されるメンテナンス実行画面は
図5や
図6に示す画面とは異なる画面とすることができる。
【0075】
アクション実施後は、ユーザは操作部29を操作して継続ボタン604を押下する。全体管理用コンピュータ28は、継続ボタン604を押下されたことを認識した(ステップS306)ときは、ユーザアクション承認が実施されたとして、メンテナンス動作を継続実行することができる(ステップS307)。
【0076】
その後、必要なメンテナンス動作が全て実行されたと判断されるときは、メンテナンス動作を終了させる(ステップS308)。
【0077】
以下、メンテナンスを実行している最中に、
図3のステップS305に示すユーザアクション通知が実施される前にユーザの操作によりメンテナンス実行画面501が閉じられ、他の画面が表示装置30に表示されている場合に、ユーザアクション通知が必要になった場合のユーザアクション通知の通知方法と、他の画面が表示されている場合のメンテナンス操作の一例について
図7乃至
図14を用いて説明する。
【0078】
以下、自動分析装置1におけるメンテナンス操作の1つとして、測定結果表示画面が表示されており、測定済検体情報の測定結果の検証を実施している際に、メンテナンスにおけるユーザアクションを確認する通知情報の表示を例に説明する。
【0079】
最初に、常時表示領域を用いたユーザアクション通知(通知情報)の表示制御を実施する画面の一例について
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態の自動分析装置における常時表示領域を用いたユーザアクション通知を実施する画面表記の一例を示す図である。
【0080】
メンテナンス画面以外の画面が表示されている際にバックグランドにて実行中のメンテナンスにおいて、ユーザ自身による作業が必要な作業が必要になったときは、全体管理用コンピュータ28は、ユーザアクション通知の表示制御を実施する。
【0081】
具体的には、全体管理用コンピュータ28は、グローバル領域701に表示するメンテナンスボタン702の色を変えて表示する。これによりユーザアクション通知が実施される。
【0082】
ユーザがこの色が変わって表示されたメンテナンスボタン702を押下されたことを認識すると、全体管理用コンピュータ28は、
図8に示すメンテナンス状況確認画面801を表示させる。
【0083】
なお、メンテナンスボタン702を点滅表示させてもよいし、その他の方法で強調表示してもよい。本実施形態では、モジュールボタン602の表示パターンを変更して表示する場合を例に示している。
【0084】
これにより、ユーザは、他の操作を実施している際においても、既に実施済であるメンテナンスに対するユーザアクション通知状況を確認することができる。
【0085】
また、本実施形態ではメンテナンスを実行する対象の分析モジュール24,25,26が少なくとも2以上ある場合について説明しているため、メンテナンスボタン702が押下されたときにまず
図8に示すメンテナンス状況確認画面801に遷移する場合について説明するが、メンテナンスを実行する対象のモジュールが1つだけの場合に、メンテナンスボタン702が押下されたときは
図6に示すようなメンテナンス実行画面601に直接遷移することができる。
【0086】
なお、
図6におけるシステム状態703では、システム全体の装置状態を表示している。このシステム状態703に表示された情報を確認することにより、ユーザは、システムがどのような状態であるかを確認することができる。
【0087】
また、
図6における残時間情報704では、実行中のメンテナンスの残時間を表示する。ユーザは、本情報を確認することによって、現在実行中のメンテナンスが終了する時刻を予想することができる。残時間情報704に表示される時間が経過した場合は、システムはスタンバイ状態へと遷移する。
【0088】
図8に示す、メンテナンス状況確認画面801は、モジュールボタン602が押下されたときに表示される画面であり、分析モジュール状況情報ボタン802を確認することで、ユーザアクション通知対象の分析モジュールを確認することができる。
【0089】
分析モジュール状況情報ボタン802は、少なくとも分析モジュール24,25,26のメンテナンスの実行状況に関する情報を表示する領域である。
【0090】
図8のメンテナンス状況確認画面801では、サンプラモジュールSUや分析モジュールAU3はスタンバイ状態であり、メンテナンスの最終実行日が表示されている。分析モジュールAU1は項目Aのメンテナンスが現在実行中であり、且つユーザアクション通知がなされていることが強調表示によって明示されている。また、項目Aのメンテナンスの最終実行日が表示されている。分析モジュールAU2も項目Aのメンテナンスが現在実行中であることが明示されている。なおAU2はユーザアクション通知がなされていないため、特段の強調表示がなされていない。
【0091】
ユーザは、確認した分析モジュールに対して分析モジュール状況情報ボタン802を用いて選択し、選択ボタン803を押下することで、対象の分析モジュールにおけるユーザアクション通知が表示される、
図6に示すメンテナンス実行画面601を表示させることができる。
【0092】
ユーザは、
図6に示すメンテナンス実行画面601のユーザアクション通知エリア603に表示された通知表示を確認し、メンテナンス操作を継続して実施することができる。
【0093】
ユーザに対してユーザアクション通知が必要なモジュールが2つ以上あるときは、
図8における分析モジュール状況情報ボタン802を対象のモジュール全てに対して強調表示することが望ましい。この場合は、強調表示されたいずれか一つの分析モジュール状況情報ボタン802が押下されたときには
図9に示すようなメンテナンス実行画面1001を表示させる。
【0094】
図9に示すメンテナンス実行画面に1001では、ユーザアクションが必要な対象のモジュールのモジュールボタン1002が全て強調表示されている。これによって、どの分析モジュールに対してユーザアクション通知が表示されているかを確認することができる。
【0095】
また、ユーザアクション通知エリア1003には、ユーザに対して複数の分析モジュールに対する操作順が指示されている。
図9に示すように、最初に実行すべき「AU2の分析モジュールに対する部品Aの清掃」と、その後に行うべき「AU1の分析モジュールに対するAU2のyyy動作が完了した後での継続ボタン1005の押下」の2つの作業が順序に表示される。
【0096】
なお、ユーザアクション通知エリア1003では、順位付けを行って、動作順序を数字で明示して、よりわかりやすく表示することができる。
【0097】
ユーザは、このユーザアクション通知エリア1003に表示された情報に基づいて、まずAU2の部品Aの清掃を行う。清掃完了後、継続ボタン1004を押下する。その後AU2のメンテナンス動作が再開し、AU2でのyyy動作が完了したときには継続ボタン1005を押下する。これによりメンテナンスを先に進めることができる。
【0098】
メンテナンス実行画面では、予めユーザが登録した操作ガイド情報を合わせて表記することができる。以下
図10を用いて説明する。
【0099】
図10に示すメンテナンス実行画面1401では、ユーザアクション表記を実施する際に、予めユーザが登録した操作ガイド情報が合わせて表記されている。
【0100】
ユーザアクション通知エリア1402は、システムが定義した操作指示であり、
図6でのユーザアクション通知エリア603で表示された情報や
図9でのユーザアクション通知エリア1003で表示された情報と同じ装置からユーザ側へ提供される情報である。
【0101】
これに対し、操作ガイド情報1403は、ユーザが予め登録した情報であり、例えば自らが過去に部品Aを清掃する際に注意したほうが良いと感じた「XXX」との情報を予め登録しておくことで、部品Aを清掃する際の留意事項が併せて通知される。
【0102】
以下、常時表示領域を用いたユーザアクション通知(通知情報)の表示制御を実施する画面の他の一例について
図11を用いて説明する。
【0103】
メンテナンス画面以外の画面が表示されている際にバックグランドにて実行中のメンテナンスにおいて、ユーザ自身による作業が必要な作業が必要になったときは、全体管理用コンピュータ28は、ユーザアクション通知の表示制御を実施する際に、表示画面に関わらず常時表示するグローバル領域901に、ユーザアクション通知903を含むポップアップ領域902を表示する。
【0104】
ユーザは、ユーザアクション通知903に表示されているユーザはこのユーザアクション通知エリア603に表示されている「部品Aを清掃後、継続ボタンを押下してください。」とのメッセージに基づいて部品Aを清掃し、清掃が終了した後は継続ボタン904を押下することでメンテナンスを継続する。
【0105】
このようなポップアップを用いる場合において、ユーザに対してユーザアクション通知が必要なモジュールが2つ以上ある場合は、ポップアップ領域902の替わりに
図12に示すようなポップアップ領域1301を表示する。
【0106】
図12に示すようには、ポップアップ領域1301には複数の分析モジュールに対するユーザアクション通知をまとめて表示している。
【0107】
また、承認ボタン1302を押下することで、複数の分析モジュールに対する承認をまとめて実施することができる。
【0108】
なお、上述のポップアップ領域902,1301を用いる場合にも、
図9のユーザアクション通知エリア1003のように複数のユニットに対する操作順を表示したり、
図10の操作ガイド情報1403のようにユーザがあらかじめ登録した情報を表示したりしてもよい。
【0109】
次に、通知情報をどのように通知するかを選択する方法について
図13および
図14を用いて説明する。
図13は、ユーザアクション通知を通知する手段を事前登録する手段の一例を示す図、
図14はユーザアクション通知を通知する手段を複数事前に登録する手段の他の一例を示す図である。
【0110】
全体管理用コンピュータ28は、通知情報をどのように通知するかを選択する選択画面1101を表示させる。
図13に示す例では、通知情報の通知手段1102として、「メッセージ(
図7等)」、「ポップアップ(
図11等)」、「システムアラーム」の3つから選択することができる場合を例に示している。選択した通知方法を保存するときは保存ボタン1103を選択する。
【0111】
また、選択画面では、各メンテナンスに対して複数の通知方法を登録することができる。
図14に示す選択画面1201では、各メンテナンスに対して第1通知手段1202A、および第2通知手段1202Bを登録することができる場合を例に示している。
【0112】
この場合、最初に第1通知手段1202Aによりユーザアクション通知の表示制御がなされ、一定時間経過した後でもユーザによる承認が実施されない場合に第2通知手段1202Bによる通知を実施し、再度ユーザに対してアクション通知を実施することができる。
【0113】
なお、
図14では、第1通知手段1202Aおよび第2通知手段1202Bを登録する手段について記載したが、それ以上の複数の通知手段を設けることができる。
【0114】
また、第1通知手段1202Aによる通知後に第2通知手段1202Bによる通知がなされるまでの時間を任意に設定可能とすることができる。当然、2以上の通知手段を登録可能とする場合、それらの全てで時間を任意に設定可能である。
【0115】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0116】
上述した本実施形態の自動分析装置1は、検体の分析を実行する分析モジュール24,25,26と、分析モジュール24,25,26を含めた装置内のメンテナンスに関係する情報を表示する表示装置30と、表示装置30の表示画面にグローバル領域701,901を表示するよう制御する全体管理用コンピュータ28と、を備え、全体管理用コンピュータ28は、バックグランドで装置内のメンテナンスが実行され、かつメンテナンス画面以外の画面が表示装置30に表示されているタイミングで、ユーザへメンテナンス状況を通知する必要があるときは、表示装置30のグローバル領域701,901を含む画面に通知情報を表示させる。
【0117】
これによって、メンテナンス操作と並行し、他の操作を実施している場合においても、ユーザに対してユーザアクション通知があることを簡単に、かつ確実に通知することができる。また、ユーザはメンテナンスボタン702の強調表示やポップアップ領域902の表示によって当該メンテナンス実行画面601,1001,1401やユーザアクション通知903へ簡易に移動することができ、速やかに求められているメンテナンス操作を実施することが可能となる。
【0118】
すなわち、従来技術では困難であった、メンテナンス画面以外の画面から対話型メンテナンス画面にスムーズに誘導することができるため、効率的なメンテナンス操作を実施することができる。
【0119】
また、通知情報の表示では、グローバル領域701に表示されたメンテナンスに関係するメンテナンスボタン702を強調表示させるため、他の画面を操作している際にも、ユーザに対して注意を引く視覚的な形でユーザアクション通知があることを通知することができ、よりスムーズにメンテナンス実行画面601,1001,1401へ移行させることができる。
【0120】
更に、全体管理用コンピュータ28は、メンテナンスボタン702が押下されたときはメンテナンス実行画面601,1001,1401を表示させることで、簡易な操作で実行画面まで遷移させることができる。
【0121】
また、メンテナンス実行画面601,1001,1401には、ユーザが次に実行すべき操作が表示されることにより、ユーザは自らに求められる作業がどのようなものであるかを容易に把握させることができ、速やかに実行に移ることができるため、メンテナンスをよりスムーズに進行させることができる。
【0122】
更に、全体管理用コンピュータ28は、メンテナンスボタン702が押下されたときは少なくとも分析モジュール24,25,26のメンテナンスの実行状況の情報を含むメンテナンス状況確認画面801を表示させ、その後、メンテナンス実行画面601,1001,1401を表示させることで、分析モジュールが複数存在する場合や、メンテナンス項目によって表示されるメンテナンス操作画面が異なる場合であっても、対象となる分析モジュールがいずれであるかを容易に把握させることができる。
【0123】
また、全体管理用コンピュータ28は、メンテナンスを実行する対象の分析モジュール24,25,26が少なくとも2以上あるときは、メンテナンスボタン702が押下されたときにメンテナンス状況確認画面801を表示させ、メンテナンス状況確認画面801においてもメンテナンス状況を通知する対象の分析モジュール24,25,26を強調表示させることにより、対象となる分析モジュールがいずれであるかを更に容易に把握させることができ、さらにスムーズにメンテナンス実行画面601,1001,1401へ移行することができる。
【0124】
更に、メンテナンス実行画面1401では、ユーザが次に実行すべき操作に加えて、操作ガイド情報1403を表示することで、更なる操作性の向上を図り、メンテナンスの実効性を高めることができる。
【0125】
また、強調表示は、メンテナンスボタン702を点滅させる、あるいはメンテナンスボタン702の表示色を変える、のうち少なくともいずれかであることにより、視覚的に把握しやすい方法でユーザに通知することができる。
【0126】
更に、複数の分析モジュール24,25,26を用いるメンテナンスを実施する際、メンテナンス実行画面601,1001,1401の中にユーザに対して複数の分析モジュール24,25,26に対する操作順を指示することで、指示に従ってユーザ操作をガイダンスすることができるため、複雑な状況であってもスムーズにメンテナンスを実行することができる。
【0127】
また、通知情報の表示では、グローバル領域901が表示されている画面にポップアップ領域902を表示させることによっても、ユーザに対して注意を引く視覚的な形でユーザアクション通知があることを知らせることができ、よりスムーズにユーザによる作業が必要なメンテナンスを開始させることができる。
【0128】
更に、全体管理用コンピュータ28は、ポップアップ領域902に、少なくとも分析モジュール24,25,26のメンテナンスの実行状況、およびユーザが次に実行すべき操作を表示することで、対象となる分析モジュールがいずれであるかを容易に把握し、自らに求められる作業がどのようなものであるかを容易に把握することができる。
【0129】
また、ポップアップ領域902の中で複数の分析モジュール24,25,26に対する表示を行う際には、複数の分析モジュール24,25,26の情報をまとめて表示することにより、表記エリアを最小限とすることができ、ユーザアクション通知をスムーズに把握させることができる。
【0130】
更に、全体管理用コンピュータ28は、通知情報をどのように通知するかを選択する選択画面1101を表示させることで、各メンテナンスを実施した際、事前に登録された通知手段に従い、ユーザに対するアクション通知を実施することができ、ユーザの運用に合わせた通知手段を適用することが可能となる。
【0131】
また、選択画面1101では、複数の通知方法を登録することができることにより、各メンテナンスを実施する際に、事前に登録された通知手段に従い、段階的に通知を行うことができる。よって、ユーザに対して通知を確実に伝えることが可能となる。
【0132】
特に、選択画面1101では、複数の通知方法の通知順を登録することができることで、ユーザに対する通知をより運用に合わせた形で確実に実施することができる。
【0133】
<その他>
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【符号の説明】
【0134】
1…自動分析装置
21…検体ラック投入部
22…ID読取部
23…搬送ライン
24,25,26…分析モジュール
27…検体ラック回収部
28…全体管理用コンピュータ(制御部)
29…操作部
30…表示装置
31…記憶装置
32…印刷装置
109…反応ディスク
110…反応容器
111…試薬ディスク
112…試薬ボトル
113…検体分注プローブ
114…撹拌装置
115…洗浄装置
116…光源
117…多波長光度計
118…試薬分注プローブ
119…ラック搬送ベルト
120…検体ラック
121…検体容器
122…インタフェース
123…コンピュータ
124…A/Dコンバータ
401…メンテナンスアイテムボタン
402…選択ボタン
501…メンテナンス実行画面
502…実行対象分析モジュール選択ボタン
504…実行ボタン
601…メンテナンス実行画面(メンテナンス操作画面)
602…モジュールボタン
603…ユーザアクション通知エリア(通知情報)
604…継続ボタン
701…グローバル領域(常時表示領域)
702…メンテナンスボタン
703…システム状態
704…残時間情報
705…検体・項目情報表示領域
801…メンテナンス状況確認画面
802…分析モジュール状況情報ボタン
803…選択ボタン
901…グローバル領域(常時表示領域)
902…ポップアップ領域
903…ユーザアクション通知(通知情報)
904…継続ボタン
1001…メンテナンス実行画面(メンテナンス操作画面)
1002…モジュールボタン
1003…ユーザアクション通知エリア
1004…継続ボタン
1005…継続ボタン
1101…選択画面
1102…通知手段
1103…保存ボタン
1201…選択画面
1202A…第1通知手段
1202B…第2通知手段
1301…ポップアップ領域
1302…承認ボタン
1401…メンテナンス実行画面(メンテナンス操作画面)
1402…ユーザアクション通知エリア
1403…操作ガイド情報