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  • 特許-閉ループ自動欠陥検査および分類 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】閉ループ自動欠陥検査および分類
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20221109BHJP
   G01N 23/2251 20180101ALI20221109BHJP
   G01N 23/2252 20180101ALI20221109BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N23/2251
G01N23/2252
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021121269
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2019100987の分割
【原出願日】2014-07-18
(65)【公開番号】P2021182634
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】13/948,118
(32)【優先日】2013-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ガディー グリーンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】イダン カイザーマン
(72)【発明者】
【氏名】ジーヴ ゾーハル
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-191187(JP,A)
【文献】特開2003-107022(JP,A)
【文献】特開2009-123851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 23/2251
G01N 23/2252
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、
前記メモリに動作可能に結合されたプロセッサと、
を備え、前記プロセッサが、
第1のタイプの画像情報を収集する走査電子顕微鏡(SEM)である第1のタイプの検出器を使用する第1の画像取得モードから試料上の欠陥の第1の画像を受信し、
前記第1の画像に基づいて、前記試料上の前記欠陥に第1の分類を割り当て、
前記欠陥に対する前記第1の分類に基づいて、前記試料上の前記欠陥の第2の画像を取り込むべきかどうか、およびどの第2の画像取得モードを使用すべきかを決定し、
前記欠陥に対する前記第1の分類に基づいて、光学検査ツール、分散形X線ツールおよび前記SEMから成る群から、前記第1の画像に対する傾斜画像を取得する第2のタイプの検出器を選択し、
前記第2の画像取得モードから前記欠陥の第2の画像を取り込むべきであるとの決定に応答して、前記選択された第2のタイプの検出器に前記第2の画像を取り込んで前記第2の画像から第2のタイプの画像情報を収集するように命令し、
前記第2のタイプの検出器によって収集された前記第2のタイプの画像情報に基づいて、統合閉ループ自動欠陥分類(ADC)アルゴリズムを使用して欠陥分類基準を反復的に更新し、
前記第2の画像に適用された前記更新された欠陥分類基準に基づいて、前記欠陥に第2の分類を割り当てる、システム。
【請求項2】
前記プロセッサがさらに、
前記欠陥の前記第1の画像からの情報が前記欠陥を分類するのに不十分であると決定し、前記第2の画像を取り込むべきであるかどうかの前記決定が、前記欠陥の前記第1の画像からの前記情報が不十分であるとの前記決定に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のタイプの検出器の前記命令が、前記欠陥の前記第1の画像からの前記情報が不十分であるとの前記決定に基づく、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサがさらに、
分類された前記試料上の欠陥の数を決定し、
分類された前記試料上の欠陥の前記数がしきい値数を満たすかどうかに基づいて、前記試料上の追加的な欠陥の追加的な画像を取り込むと決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
第1のタイプの画像情報を収集する走査電子顕微鏡(SEM)である第1のタイプの検出器を使用する第1の画像取得モードから試料上の欠陥の第1の画像を受信するステップと、
前記第1の画像に基づいて、前記試料上の前記欠陥に第1の分類を割り当てるステップと、
前記欠陥の前記第1の分類に基づいて、前記試料上の前記欠陥の第2の画像を取り込むべきかどうか、およびどの第2の画像取得モードを使用すべきかをプロセッサによって決定するステップと、
前記欠陥に対する前記第1の分類に基づいて、光学検査ツール、分散形X線ツールおよび前記SEMから成る群から、前記第1の画像に対する傾斜画像を取得する第2のタイプの検出器を選択するステップと、
前記第2の画像取得モードから前記欠陥の第2の画像を取り込むべきであるとの決定に応答して、前記選択された第2のタイプの検出器に前記第2の画像を取り込んで前記第2の画像から第2のタイプの画像情報を収集するように命令するステップと、
前記第2のタイプの検出器によって収集された前記第2のタイプの画像情報に基づいて、統合閉ループ自動欠陥分類(ADC)アルゴリズムを使用して欠陥分類基準を反復的に更新するステップと、
前記第2の画像に適用された前記更新された欠陥分類基準に基づいて、前記欠陥に第2の分類を割り当てるステップと
を含む、方法。
【請求項6】
前記欠陥の前記第1の画像からの情報が前記欠陥を分類するのに不十分であると決定するステップをさらに含み、前記第2の画像を取り込むべきであるかどうかの前記決定が、前記欠陥の前記第1の画像からの前記情報が不十分であるとの前記決定に基づく、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のタイプの検出器の前記命令が、前記欠陥の前記第1の画像からの前記情報が不十分であるとの前記決定に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
分類された前記試料上の欠陥の数を決定するステップと、
分類された前記試料上の欠陥の前記数がしきい値数を満たすかどうかに基づいて、前記試料上の追加的な欠陥の追加的な画像を取り込むと決定するステップと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されたときに、
第1のタイプの画像情報を収集する走査電子顕微鏡(SEM)である第1のタイプの検出器を使用する第1の画像取得モードから試料上の欠陥の第1の画像を受信するステップと、
前記第1の画像に基づいて、前記試料上の前記欠陥に第1の分類を割り当てるステップと、
前記欠陥に対する前記第1の分類に基づいて、前記試料上の前記欠陥の第2の画像を取り込むべきかどうか、およびどの第2の画像取得モードを使用すべきかを決定するステップと、
前記欠陥に対する前記第1の分類に基づいて、光学検査ツール、分散形X線ツールおよび前記SEMから成る群から、前記第1の画像に対する傾斜画像を取得する第2のタイプの検出器を選択するステップと、
前記第2の画像取得モードから前記欠陥の第2の画像を取り込むべきであるとの決定に応答して、前記選択された第2のタイプの検出器に前記第2の画像を取り込んで前記第2の画像から第2のタイプの画像情報を収集するように命令するステップと、
前記第2のタイプの検出器によって収集された前記第2のタイプの画像情報に基づいて、統合閉ループ自動欠陥分類(ADC)アルゴリズムを使用して欠陥分類基準を反復的に更新するステップと、
前記第2の画像に適用された前記更新された欠陥分類基準に基づいて、前記欠陥に第2の分類を割り当てるステップと
を含む動作を前記プロセッサに実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記動作が、
前記欠陥の前記第1の画像からの情報が前記欠陥を分類するのに不十分であると決定するステップをさらに含み、前記第2の画像を取り込むべきであるかどうかの前記決定が、前記欠陥の前記第1の画像からの前記情報が不十分であるとの前記決定に基づく、請求項9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記第2のタイプの検出器の前記命令が、前記欠陥の前記第1の画像からの前記情報が不十分であるとの前記決定に基づく、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には自動検査に関し、詳細には、製造欠陥の検出および分析のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動欠陥分類(ADC)技法は、半導体業界においてパターン付きウエハ上の欠陥の検査および測定の際に広く使用されている。これらの技法の目的は、欠陥の存在を検出することだけではなく、生産プロセスに関するより詳細なフィードバックを提供し、人間の検査員にかかる負担を軽減するために、それらの欠陥を型により自動的に分類することである。例えばADCは、ウエハ表面上の粒子状汚染物から生じる欠陥、および、マイクロ回路パターン自体の中の凹凸に関連する欠陥の型を区別するために使用されるものであり、特定の型の粒子および凹凸を識別することもまた可能である。
ADCに関する様々な方法が、特許文献において説明されている。例えば米国特許第6,256,093号では、走査されるウエハにおいてのオンザフライのADCのためのシステムを説明している。光源が、ウエハ上に照明スポットを生成するように、走査されるウエハを照明する。スポットから散乱させられた光は、少なくとも2つの隔置された検出器により感知され、ウエハ内の欠陥を検出し、欠陥を個別の欠陥の型に分類するために分析される。
別の例として米国特許第6,922,482号では、境界および微細構成の情報を用いるコア分類器を使用して、いくつかのコアクラスの1つに半導体ウエハの表面上の欠陥を自動的に分類するための方法および装置を説明している。次いで欠陥は、コアクラスに関連し、限られた数の関係のあるコアクラスのみからの欠陥を分類するように訓練される、特定の適応分類器を使用してサブクラスにさらに分類される。コア分類器または特定の適応分類器により分類され得ない欠陥は、完全分類器により分類される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第6,256,093号
【文献】米国特許第6,922,482号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書において下記で説明される本発明の実施形態は、欠陥の自動検査および分類のための、改善された方法、システム、およびソフトウェアを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって本発明の実施形態によって、試料上の異なるそれぞれの位置で欠陥の画像を取り込むように構成されるイメージングモジュールを含む検査装置が提供される。プロセッサが、欠陥にそれぞれの分類を自動的に割り当てるよう画像を処理するように、および、割り当てられた分類に応答して画像を取り込み続けるようイメージングモジュールを自律的に制御するように結合される。
一部の実施形態ではプロセッサは、イメージングモジュールにより取り込まれた画像内に出現する欠陥の第1の組に分類を割り当てた後に、第1の組内の欠陥の分類の分布に応答して欠陥の第2の組のさらなる画像を取り込むようイメージングモジュールに命令するように構成される。プロセッサは、分類の1つまたは複数に属する欠陥のそれぞれの数を計数するように、および、数の少なくとも1つが所定の判定基準を満足するまでさらなる画像を取り込み続けるようイメージングモジュールに命令するように構成され得る。典型的にはプロセッサは、イメージングモジュールに、所与の分類に属する欠陥の数が所定のしきい値に達するまでさらなる画像を取り込み続けさせ、次いで試料の検査を終結させるように構成される。
【0006】
1つの実施形態では装置は、ユーザインターフェースを含み、プロセッサは、ユーザインターフェースを介してユーザから受信される命令に応答して、画像を処理しイメージングモジュールを制御するように結合される。追加的または代替的にプロセッサは、ネットワークを介してサーバから受信される命令に応答して、画像を処理しイメージングモジュールを制御するように結合される。
一部の実施形態ではプロセッサは、異なる検査モダリティを使用するさらなる分析のために欠陥の1つまたは複数を識別するように構成される。イメージングモジュールは、異なるそれぞれのモダリティによって画像を取り込むように構成される少なくとも第1および第2の検出器を含む複数の検出器を含み得るものであり、プロセッサは、第1の検出器により取り込まれた第1の画像を処理することにより欠陥の1つまたは複数を識別するように、および、第2の検出器を使用して欠陥の1つまたは複数の第2の画像を取り込むようイメージングモジュールに命令するように構成され得る。開示される実施形態ではプロセッサは、第1の画像に基づいて、指定されたクラスに属すると、欠陥の1つまたは複数を識別するように、および、指定されたクラスに応じて第2の画像を取り込むための第2の検出器を選定するように構成される。複数の検出器は、電子検出器、X線検出器、および光学検出器からなる検出器の群から選択され得る。
【0007】
1つの実施形態では装置は、多次元特徴空間でのそれぞれの分類規則に関する複数の欠陥クラスの規定を記憶するように構成されるメモリを含み、プロセッサは、画像から欠陥の特徴を抽出するように、および、抽出された特徴に分類規則を適用することによりそれぞれの分類を割り当てるように構成される。
開示される実施形態では、イメージングモジュールは走査電子顕微鏡(SEM)を含み、試料は半導体ウエハを含む。
本発明の実施形態によって、イメージングモジュールを使用して試料上の異なるそれぞれの位置で欠陥の画像を取り込むステップを含む、検査のための方法もまた提供される。欠陥にそれぞれの分類を割り当てるよう画像が自動的に処理され、割り当てられた分類に応答して画像を取り込み続けるようイメージングモジュールが自律的に制御される。
本発明は、図面とともに行う本発明の実施形態の以下の詳細な説明から、より十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態による欠陥検査および分類システムの概略的な絵で表した図である。
図2】本発明の実施形態による閉ループ欠陥検査および分類のための方法を概略的に例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ADCの一般的なモデルでは、画像取り込みおよび画像分析の機能は分離しており、走査電子顕微鏡(SEM)などのイメージングシステムは最初に、半導体ウエハなどの試料上の異なる位置のある決まった数の画像を取り込むことになり、次いでこれらの画像は、事後分析のためにADCシステムに渡されることになる。任意の所与の型のどれだけ多くの欠陥が所与のウエハ上で発見されることになるかを事前に予測することは困難であるので、事後の手法は、効果的な処理分析のために必要とされるより、はるかに多くの画像をもたらすことになる場合がある。他の場合には、SEMは不十分な情報をもたらすことになり、その結果ウエハは再走査されなければならないことになる。そのような追加的な走査は、特定の欠陥または欠陥の群のクラスにとって固有のものである、追加的な画像または情報を提供することが目的とされたものであり得る。例えば粒子型欠陥が、エネルギー分散形X線(EDX)分析により分析されることになり、電気短絡回路の画像が、異なるイメージングの角度で、傾斜モードで取得され得る。上記の種類の状況は、時間およびテスト資源を浪費する結果になる。
【0010】
本発明の実施形態は、これらの問題に、ADC能力を、SEMなどのイメージングモジュール、光学検査ユニット、または任意の他の適した型の検査デバイスに統合することにより対処する。ADCプロセッサは、欠陥を分類し、ユーザにより規定された判定基準によって、それらの欠陥が「関心を引き起こす」ものであるかどうかを決定するために、イメージングモジュールが生み出す各々の画像を分析する。例えば所与のユーザが、自分は粒子型欠陥などのある決まった欠陥クラスのみに関心があり、ウエハにつき50個のそのような欠陥を検査したいと決心する場合がある。この場合イメージングモジュールは、そのイメージングモジュールが50個の粒子型欠陥の画像を取り込むまで、各々のウエハ上でランダムに選択された異なる位置を走査し得る。各々の位置でイメージングモジュールにより取り込まれた欠陥型を分類することは、ADC能力をイメージングモジュールに統合することによりオンラインで行われる。本例ではイメージングモジュールは、各々のウエハから粒子型欠陥の50個の画像を出力することになり、次いで次のウエハの処理に進むことになる。
【0011】
他の実施形態では、イメージングモジュールが複数の検査モダリティを支持する場合、統合されたADCプロセッサは、欠陥型によって欠陥を分類することが可能であり、次いで、異なる型に異なる追加的な検査動作を適用するようイメージングモジュールに命令することが可能である。この種類の反復式の検査ループが、分類結果に応じて任意の所与の欠陥位置で複数回使用され得る。例えば、
・ADCプロセッサは、所与の欠陥を、欠陥のSEM画像を分析することにより粒子として分類し、次いでこの分類に基づいて、同じウエハ位置でEDX分析を遂行するようイメージングモジュールに命令することが可能である。次いでADCプロセッサは、EDX分析に基づいて、EDXから取得される新しい情報を使用して第2の分類ステップを遂行することが可能である。
・ADCプロセッサは、欠陥をSEM画像分析により電気短絡として分類することが可能であり、次いでこの分類に基づいて、傾斜画像を取得するようイメージングモジュールに命令することが可能である。次いでADCプロセッサは、傾斜画像から取得される新しい情報を使用して第2の分類ステップを遂行することが可能である。
・ADCプロセッサが初期に、欠陥を未知の欠陥クラスに属するとして分類する場合、ADCプロセッサは、光学画像取得を遂行するようイメージングモジュールに命令することが可能であり、次いで光学画像の分析に基づいて、光学画像から取得される新しい情報を使用して欠陥の第2の分類を遂行することが可能である。
【0012】
これらの手順は、閉ループ分類に基づいて、必要な分析を遂行し、再イメージングすることにより、欠陥クラスの一部を分析するために必要とされる時間を削減する。すべての必要な情報は、複数の異なるモダリティで複数回ウエハを走査しなければならないのではなく、欠陥位置にわたる1回の走査で集められ得る。
【0013】
このように本発明の実施形態によって、SEMなどのイメージングモジュールは、そのイメージングモジュールの資源をより効率的に使用することが可能になる。ADC能力をイメージングモジュールに統合することによって、イメージングモジュールは、例えば余分な画像に関して時間を浪費するのではなく、特定の型の欠陥の定められた数の画像を取り込むこと、および、イメージングモジュールがその割り当て数量を満たすと画像を取り込むことを停止することが可能になる。追加的または代替的に、上記で解説されたように、所与のウエハ上で初期に取り込まれた欠陥の分類結果は、特定のモダリティおよびセッティングを使用して特定の位置で引き続き画像を取り込むようイメージングモジュールを自動的にガイドするために使用され得る。初期のADC結果に基づいてイメージングモジュールは、エネルギー分散形X線(EDX)分析、または、光学モダリティを含む、他の形式の材料分析および異なる画像取得モード、ならびに人間のオペレータによる検査などの、別の検査モダリティを使用する、特定のウエハ位置でのさらなる分析を遂行するようにガイドされ得る。
【0014】
図1は、本発明の実施形態による自動欠陥検査および分類のためのシステム20の概略的な絵で表した図である。パターン付き半導体ウエハ22などの試料が、イメージングモジュール24内に挿入される。このモジュールは典型的には、1つまたは複数の検出器36、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)、または光学検査デバイス、または当技術分野で知られている任意の他の適した種類の検査装置を備える。モジュール24は典型的には、ウエハ22の表面を走査し、画像データを感知し取り込み、ウエハ上の欠陥の画像を出力する。用語「画像」は、本特許出願の文脈において、および特許請求の範囲において、所与の欠陥位置に関連し得る任意の種類の局所的特徴に関するデータを指すように幅広く使用される。そのような特徴は、例えば、サイズ、形状、散乱強度、方向性、および/またはスペクトル品質、および当技術分野で知られている任意の他の適した特徴を含み得る。
【0015】
プロセッサ26は、イメージングモジュール24により出力される画像を受信および処理する。プロセッサ26は、ウエハ22の画像から関連性のある検査特徴値を抽出するように画像を処理する分類器モジュール30を備える。典型的にはモジュール30は、特徴値に、メモリ28に記憶される分類規則を適用することにより、それぞれのクラスに欠陥を割り当てる。分類器モジュール30は、制御モジュール32に欠陥分類を渡し、制御モジュール32はそれに応じて、以下でより詳細に説明されるように、検査モジュールによる進行中の画像取り込みを制御する。プロセッサ26のこれらの動作は、典型的には自律的に、すなわち、検査処理の間にオペレータが介入することなく、所定の判定基準および命令に基づいて実行される。
【0016】
プロセッサ26は典型的には、イメージングモジュール24の筐体の内側で統合され得る、または、適した通信リンクによりイメージングモジュール24に結合され得る、汎用コンピュータプロセッサまたはそのようなプロセッサの群を備える。プロセッサはメモリ28を使用して、欠陥情報および分類規則を保持する。プロセッサ26はユーザインターフェース34に結合され、ユーザインターフェース34によって、システム20のオペレータなどのユーザは、画像を処理しイメージングモジュール24を制御する際に適用されることになる動作判定基準を規定することが可能である。プロセッサ26は、分類器モジュール30および制御モジュール32の機能を含む、本明細書で説明される機能を実行するようにソフトウェアの形でプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワークによって電子的な形式でプロセッサにダウンロードされる場合があり、またはソフトウェアは、代替的もしくは追加的に、(メモリ28内に備えられる場合もある)光学、磁気、もしくは電子的なメモリ媒体などの有形の非一時的なストレージ媒体に記憶される場合がある。代替的または追加的に、プロセッサ26の機能の少なくとも一部は、専用の、またはプログラム可能なハードウェアロジックの形で実装され得る。
【0017】
分類器モジュール30は、欠陥画像データに、当技術分野で知られている任意の適した種類のADCアルゴリズムを適用することが可能である。例えば1つの実施形態ではモジュール30は、単一クラスおよびマルチクラスの両方の分類器を含む、複数の分類器を動作させる。これらの分類器は、多次元特徴空間で指定され、特徴空間内のそれぞれの領域に関して欠陥クラスを規定する分類規則を使用する。モジュール30は、モジュール24により提供される画像から欠陥の特徴を抽出し、抽出された特徴に分類規則を適用することにより欠陥分類を割り当てる。マルチクラス分類器は、この基準を基にして(粒子欠陥、パターン欠陥等のような)所定の欠陥クラスの組の間で欠陥を分別し、一方で単一クラス分類器は、各々のクラスに対してそれぞれ規定され、クラス境界の内部または外側であるとして欠陥を分類する。この種類の分類器は、例えば、2010年7月27日に出願した米国特許出願第12/844,724号において詳細に説明されており、この出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0018】
プロセッサ26は典型的には、例えばADCサーバ38と、ネットワークを介して通信する。サーバは、欠陥分析および分類のための「方策」をプロセッサ26に提供し、時折これらの方策を更新することが可能である。プロセッサ26は、サーバに欠陥検査および分類結果を報告する。分類はイメージングモジュール24で局所的に遂行されるので、サーバ38に伝達されなければならないデータの量は、未加工の画像がADCサーバに送信されるシステムに対して大きく削減される。追加的または代替的にプロセッサ26は、さらなる処理のためにサーバ38に一部の画像データおよび/または中間分類結果を伝えることが可能である。
【0019】
図2は、本発明の実施形態による閉ループ欠陥検査および分類のための方法を概略的に例示するフローチャートである。方法はここでは、システム20の特定のアーキテクチャを参照して便宜および明確性を目的として説明されるが、その方法は、統合された欠陥分類能力を伴う他の検査システムにおいて同様に実装され得る。方法は、下記で説明されるように、イメージングモジュール24において複数の検出器36およびイメージングモダリティが利用可能であることを活用するが、方法の態様は、単一モダリティシステムにおいてもまた適用され得る。
【0020】
制御モジュール32は、命令入力ステップ40で、欠陥取り込み命令を受信する。これらの命令は、例えば、ユーザインターフェース34を介して、システム20のオペレータなどのユーザによりプログラムされる場合があり、またはそれらの命令は代替的に、ネットワークを介してシステムにダウンロードされる場合があり、もしくは任意の他の適した手段によりシステムに伝えられる場合がある。典型的には命令は、システム20が探索することになる欠陥の分布に適用する1つまたは複数の判定基準を規定する。例えば命令は、欠陥の1つまたは複数のクラス、および、システムが各々のウエハ上で発見することを試行すべきである各々のそのようなクラス内の欠陥の数を指定することが可能である。命令は、例えば、ターゲットの欠陥分布に達しなくても可能性のある欠陥部位の画像をある最大数だけ取り込んだ後にウエハの検査が終結すべきであるということを指示する、時間切れ条件もまた指定することが可能である。追加的または代替的に命令は、閉ループ検査処理の各々の反復で行われる分類判断に基づいて、欠陥の1つまたは複数のクラスに適用されることになる追加的な画像取得モードを指定することが可能である。そのような画像取得モードは、EDX、傾斜イメージング、光学イメージング、および、走査の間に検出器36により収集され得る任意の他の情報を含み得る。
【0021】
制御モジュール32は、画像取り込みステップ42で、ウエハ22上の欠陥の画像を取り込むようイメージングモジュール24に命令する。モジュール24は、欠陥分類ステップ44で、分類器モジュール30に画像(および/または、画像の抽出された特徴)を渡す。モジュール30は特定のクラスに欠陥を割り当てるために、欠陥特徴に適切な規則を適用する。モジュール30は、さらなる分析のために欠陥にタグ付けすることを、欠陥がメモリ28内の規則を使用して確信をもって分類され得ないとき、または、ステップ40で提供される命令が、ある決まった型の欠陥がそのように識別されるべきであるということをプロセッサ26に命令するときなどに行ってもよい。これらの命令に応じてこれらのタグ付けされた欠陥は、イメージングモジュール24において別のイメージングモダリティを使用してさらに処理され得る。代替的または追加的に、ある決まったタグ付けされた欠陥は、人間の検査員に、および/または、X線分析ツールなどの別の検査機械に渡される場合がある。
【0022】
制御モジュール32は、分布チェックステップ46で、分類器モジュール30からの各々の欠陥の分類を受信および記録する。このステップでは、欠陥が、さらなるイメージングおよび分類のためにタグ付けされている型のものであるならば、モジュール32は、ステップ42に戻り、別の指定されたモダリティ(上記で解説されたような、EDX、傾斜または光学イメージングなど)を使用して同じ欠陥の別の画像を取り込むようイメージングモジュール24に命令することが可能である。追加的または代替的にモジュールは、ステップ46で、その時点までに分類された欠陥の分布を、ステップ40で受信された命令と比較することが可能である。命令がまだ果たされていない(または時間切れになっていない)ならば、制御モジュールは、ステップ42に戻り、別の位置で欠陥画像を取り込むようイメージングモジュール24に命令する。
【0023】
ステップ46で、命令が(例えば、すべての指定されたイメージングおよび分類のステップを遂行したこと、ならびに、指定された1つのクラスまたは複数のクラスに属する欠陥の画像を必要とされる数だけ収集したことにより)果たされた、または時間切れになったならば、モジュール32は、検査完了ステップ48で、ウエハ22の検査を終結させ、報告を発行する。報告は、命令により指定された1つのクラスもしくは複数のクラス内の欠陥の画像を含む場合があり、またはその報告は単に、ウエハ22に関する集計された欠陥データを包含する場合がある。次いでシステム20は、次のウエハの検査に移ることが可能である。
【0024】
上記の方法は、明確性を目的として、システム20およびイメージングモジュール24においての欠陥分類の特定の文脈において説明されているが、これらの方法は、自動検査の他のシステムおよびアプリケーションに同様に適用され得るものであり、決して半導体ウエハ欠陥に、またはSEM画像に限定されない。このように、上記で説明された実施形態は例として引用されているということ、および、本発明は上記で特に示され説明されたものに限定されないということが十分認識されよう。むしろ本発明の範囲は、前述の説明を読めば当業者が想到することになり、従来技術では開示されていない、上記で説明された様々な特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせの両方、ならびに、それらの変形形態および変更形態を含む。
【符号の説明】
【0025】
20 システム
22 パターン付き半導体ウエハ
24 イメージングモジュール
26 プロセッサ
28 メモリ
30 分類器モジュール
32 制御モジュール
34 ユーザインターフェース
36 検出器
38 ADCサーバ
40 命令入力ステップ
42 画像取り込みステップ
44 欠陥分類ステップ
46 分布チェックステップ
48 検査完了ステップ
図1
図2