(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】荷重分散板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2018032065
(22)【出願日】2018-02-26
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】長島 秀明
【審査官】綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-194946(JP,A)
【文献】特開2008-311313(JP,A)
【文献】特開2016-181639(JP,A)
【文献】特開2017-183495(JP,A)
【文献】特開2014-150168(JP,A)
【文献】特開2000-326432(JP,A)
【文献】特開2017-069428(JP,A)
【文献】特開2014-181461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/64
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローバを支持する支持脚部
に設けられ、前記支持脚部と床面との間に設置される荷重分散板であって、
前記荷重分散板は、複数のセルが区画形成された隔壁を有するハニカム構造板を有
し、
前記荷重分散板は、前記支持脚部が固定される金具を有し、
前記荷重分散板のうち前記金具が固定される固定位置を含む一部の領域に前記ハニカム構造板が備えられ、前記一部の領域を除く他の領域には、前記荷重分散板を前記床面に固定するための孔が形成される、
荷重分散板。
【請求項2】
前記セルの断面形状は六角形以上である、
請求項1に記載の荷重分散板。
【請求項3】
前記荷重分散板は、前記ハニカム構造板の前記床面側の面に裏板が設けられる、
請求項1または2に記載の荷重分散板。
【請求項4】
前記荷重分散板は、前記ハニカム構造板の前記床面とは反対側の面に表板が設けられる、
請求項1または2に記載の荷重分散板。
【請求項5】
前記床面はグレーチング構造である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の荷重分散板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハに形成された複数のチップの電気的特性の検査を行うプローバ及びこのプローバを床面に設置するための荷重分散板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程は、多数の工程を有し、品質保証及び歩留まりの向上のために、各種の製造工程で各種の検査が行われる。例えば、半導体ウェーハに複数のチップ(半導体装置とも言う。)が形成された段階で、ウェーハレベル検査が行われる。
【0003】
ウェーハレベル検査は、各チップの電極パッドにプローブを接触させるプローバを使用して行われる(例えば、特許文献1参照)。プローブは、テストヘッドの端子に電気的に接続されており、テストヘッドからプローブを介して各チップに電源及びテスト信号を供給するとともに、各チップからの出力信号を検出して正常に動作するかを測定する。
【0004】
半導体製造工程においては、製造コストを低減するために、ウェーハの大型化と一層の微細化(集積化)が進められており、1枚のウェーハに形成されるチップの個数が非常に多くなってきている。それに伴って、プローバでの1枚のウェーハの検査に要する時間も長くなっており、スループットの向上が求められている。そこで、スループットの向上を図るため、多数のプローブを設けて複数個のチップを同時に検査できるようにするマルチプロービングが行われている。
【0005】
一方、スループットを向上させるもっとも簡単な方法として、プローバの台数を増加させることが考えられるが、プローバの台数を増加させると、製造ラインにおけるプローバの設置面積も増加するという問題が生じる。また、プローバの台数を増加させると、その分だけ装置コストも増加する。そのため、設置面積の増加と装置コストの増加を抑えてスループットを向上させることが求められている。
【0006】
このような問題に対し、特許文献2には、多段状に積層された複数の測定部を有するプローバが開示されている。このプローバは、複数の測定部が多段状に積層された積層構造を有する。このため、ウェーハレベル検査を測定部毎に行うことができるので、設置面積の増加と装置コストの増加を抑えてスループットを向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-60037号公報
【文献】特開2014-150168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところでプローバは、通常、プローバ本体(筐体)の底部に複数本の支持脚部(例えば、レベルパッド)が設けられている。プローバは、これらの支持脚部を介して半導体工場のクリーンルームの床に設置されるが、クリーンルームの床はグレーチング構造のものが多い。グレーチング構造の床は、コンクリート製の床と比較して耐荷重が低い。
【0009】
このようなグレーチング構造の床に、特許文献2のような高さ方向に大型化したプローバを設置した場合、支持脚部から床にかかるプローバの荷重が増加する。グレーチング構造の床には、単位面積当たりの許容荷重が設定されているが、支持脚部の接地部分ではその許容荷重を局所的に超えてしまう場合がある。
【0010】
このような局所的な荷重印加を避けるため、支持脚部と床との間に支持脚部の接地面積よりも面積の大きい金属板(例えば、厚さ10mmのアルミニウム板、又は厚さ5mmのステンレス板などの金属板)を敷設することが考えられる。このような金属板を使用することにより、グレーチング構造の床にかかるプローバの荷重が分散するので、床の単位面積当たりにかかる荷重を減らすことができる利点がある。
【0011】
しかしながら、プローバの重量がかなり大きなものになると、その荷重に耐え得るように金属板の厚さを厚くせざるを得ないため、金属板の重量も無視できなくなる。例えば、1m2の金属板を敷設すると想定した場合、厚さ10mmのアルミニウム板の重量は27kgとなり、厚さ5mmのステンレス板の重量は40kgとなる。このため、プローバの荷重を金属板によって分散することができても、金属板を含むプローバの総重量によってグレーチング構造の床の許容荷重を超えてしまうという懸念があった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、プローバの荷重を効果的に分散することができる軽量な荷重分散板及びその荷重分散板を備えたプローバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の荷重分散板は、本発明の目的を達成するために、プローバを支持する支持脚部と床面と、の間に設置される荷重分散板であって、荷重分散板は、複数のセルが区画形成された隔壁を有するハニカム構造板を有する。
【0014】
本発明の荷重分散板の一形態は、セルの断面形状は六角形以上であることが好ましい。
【0015】
本発明の荷重分散板の一形態は、ハニカム構造板の床面側の面に裏板が設けられることが好ましい。
【0016】
本発明の荷重分散板の一形態は、ハニカム構造板の床面とは反対側の面に表板が設けられることが好ましい。
【0017】
本発明のプローバは、本発明の目的を達成するために、プローバを支持する支持脚部に、本発明の荷重分散板が備えられている。
【0018】
本発明のプローバの一形態は、多段状に積層された複数の測定部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、プローバの荷重を効果的に分散することができる軽量な荷重分散板及びその荷重分散板を備えたプローバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプローバの全体構成を示した外観図
【
図3】
図1の測定ユニットの内部構造を示した測定ユニットの正面図
【
図4】
図1の測定ユニットの内部構造を示した測定ユニットの側面図
【
図8】支持脚部を床に直接設置した場合に床にかかるプローバの荷重を説明した説明図
【
図9】支持脚部と床との間に金属板を敷設した場合に床にかかるプローバの荷重を説明した説明図
【
図10】実施形態の荷重分散板を介して支持脚部を床に設置した場合に床にかかるプローバの荷重を説明した説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るプローバ10の全体構成を示した外観図である。
図2は、
図1に示したプローバ10の平面図である。
【0023】
図1及び
図2に示すように、実施形態のプローバ10は、クリーンルームの床であるグレーチング構造の床100の床面に、荷重分散板102を介して設置される。
図1に示す荷重分散板102は、本発明の荷重分散板の一例であり、この荷重分散板102については後述する。
【0024】
プローバ10は、検査するウェーハW(
図5参照)を供給及び回収するローダ部14と、ローダ部14に隣接して配置され、複数の測定部16を有する測定ユニット12とを備えている。測定ユニット12では、ローダ部14から各測定部16にウェーハWが供給されると、各測定部16でそれぞれウェーハWの各チップの電気的特性の検査(ウェーハレベル検査)が行われる。そして、各測定部16で検査されたウェーハWはローダ部14により回収される。ローダ部14及び測定ユニット12は、筐体30(
図3及び
図4参照)に収容されている。なお、プローバ10は、操作パネル21、及び各部を制御する制御装置(不図示)なども備えている。
【0025】
ローダ部14は、ウェーハカセット20が載置されるロードポート18と、測定ユニット12の各測定部16とウェーハカセット20との間でウェーハWを搬送する搬送ユニット22とを有する。搬送ユニット22は、図示しない搬送ユニット駆動機構を備えており、X方向及びZ方向に移動可能に構成されるとともに、θ方向(Z方向周り)に回転可能に構成されている。また、搬送ユニット22は、搬送アーム24を備えており、上記搬送ユニット駆動機構により搬送アーム24を前後に伸縮させることが可能となっている。搬送アーム24の上面部には図示しない吸着パッドが設けられており、搬送アーム24は、この吸着パッドでウェーハWの裏面を真空吸着してウェーハWを保持する。これにより、ウェーハカセット20内のウェーハWは、搬送ユニット22の搬送アーム24によって取り出され、その上面に保持された状態で測定ユニット12の各測定部16に搬送される。また、検査の終了した検査済みのウェーハWは逆の経路で各測定部16からウェーハカセット20に戻される。
【0026】
図3及び
図4は、
図1の測定ユニット12の内部構造を示した図である。
図3は測定ユニット12を正面側(ローダ部14側)から見た図であり、
図4は測定ユニット12を側面側から見た図である。
【0027】
図3及び
図4に示すように、測定ユニット12は、複数の測定部16が多段状に積層された積層構造を有しており、各測定部16はX方向及びZ方向に沿って2次元的に配列されている。実施形態では、一例として、X方向に4台の測定部16がZ方向に3段積み重ねられた測定ユニット12が示されている。このため、このような測定ユニット12を有する実施形態のプローバ10は、高さ方向に大型化した構造となっている。
【0028】
測定ユニット12は、複数のフレームを格子状に組み合わせた格子形状を有する筐体30を備えている。すなわち、この筐体30は、X方向、Y方向、Z方向にそれぞれ延びる複数のフレームを格子状に組み合わせて構成されたものであり、これらのフレームで囲まれた空間部は略直方体形状になっている。そして、この空間部に測定部16の構成要素が配置される。
【0029】
また、筐体30の底部30Aには、筐体30を荷重分散板102に設置する複数本の支持脚部32が設けられている。この支持脚部32はレベルパッドで構成されており、グレーチング構造の床100に対する筐体30の水平及び高さ方向を容易に調整することが可能となっている。
【0030】
【0031】
図5に示すように、各測定部16は、いずれも同一の構成を有しており、ウェーハWを保持するウェーハチャック50と、ヘッドステージ52と、テストヘッド54と、プローブカード56と、テストヘッド54とプローブカード56との間に介在するポゴフレーム58とを備えている。
【0032】
テストヘッド54は、不図示の支持部材によってヘッドステージ52の上方に支持されている。テストヘッド54は、プローブカード56のプローブ66に電気的に接続され、電気的検査のために各チップに電源及びテスト信号を供給するとともに、各チップからの出力信号を検出して正常に動作するかを測定する。
【0033】
ヘッドステージ52は、筐体30の一部を構成するフレーム部材34に支持されており、ポゴフレーム58の平面形状に対応した円形状の開口からなるポゴフレーム取付部53を有する。ポゴフレーム取付部53は位置決めピン63を有しており、ポゴフレーム58は位置決めピン63により位置決めされた状態でポゴフレーム取付部53に固定される。
【0034】
ポゴフレーム58は、テストヘッド54の下面(ポゴフレーム58に対向する面)に形成される各端子とプローブカード56の上面(ポゴフレーム58に対向する面)に形成される各端子とを電気的に接続する多数のポゴピン(不図示)を備えている。また、ポゴフレーム58の上面(テストヘッド54に対向する面)及び下面(プローブカード56に対向する面)の外周部には、それぞれリング状のシール部材60、62が設けられている。そして、図示しない吸引手段により、テストヘッド54とポゴフレーム58とシール部材60で囲まれた空間、及びプローブカード56とポゴフレーム58とシール部材62で囲まれた空間が減圧されることにより、テストヘッド54、ポゴフレーム58、及びプローブカード56が一体化される。
【0035】
プローブカード56は、ウェーハWの各チップの電極に対応した多数のプローブ66を有する。各プローブ66は、プローブカード56の下面(ウェーハチャック50に対向する面)から下方に向けて突出して形成されており、プローブカード56の上面(ポゴフレーム58に対向する面)に設けられる各端子に電気的に接続されている。したがって、テストヘッド54、ポゴフレーム58、及びプローブカード56が一体化されると、各プローブ66は、ポゴフレーム58の各ポゴピンを介してテストヘッド54の各端子に電気的に接続される。なお、本例のプローブカード56は、検査するウェーハWの全チップの電極に対応した多数のプローブ66を備えており、各測定部16ではウェーハチャック50に保持されたウェーハWの全チップの同時検査が行われる。
【0036】
ウェーハチャック50は、一例として真空吸着によりウェーハWを吸着して固定する。ウェーハチャック50は、アライメント装置70に着脱自在に支持され、アライメント装置70によってX、Y、Z、θ方向に移動可能となっている。また、ウェーハチャック50の上面(ウェーハ載置面)の外周部にはリング状のシール部材64が設けられている。そして、図示しない吸引手段により、プローブカード56とウェーハチャック50とシール部材64で囲まれた空間が減圧されることにより、ウェーハチャック50がプローブカード56に向かって引き寄せられる。これにより、
図6の如く、プローブカード56の各プローブ66がウェーハWの各チップの電極パッドに接触して検査を開始可能な状態となる。
【0037】
実施形態のプローバ10は、既述したように、複数の測定部16が多段状に積層された積層構造の測定ユニット12(
図3及び
図4参照)を有していることから、高さ方向に大型化した構造となっている。このため、このプローバ10をグレーチング構造の床100(
図1参照)に直接設置した場合、各支持脚部32の接地部分では床100の許容荷重を局所的に超えてしまう場合がある。そこで、実施形態のプローバ10は、床100のプローバ10の設置エリアに荷重分散板102を敷設し、この荷重分散板102に支持脚部32を接地して固定することで、床100にかかるプローバ10の荷重を分散している。つまり、実施形態のプローバ10は、各支持脚部32に荷重分散板102が設けられ、この荷重分散板102を介して床100に設置可能な構成となっている。
【0038】
図7は、荷重分散板102の構成を示した斜視図である。この荷重分散板102は、 ハニカム構造板106と、ハニカム構造板106の一方の面に配置した表板104Aと、ハニカム構造板106の他方の面に配置した裏板104Bとから構成される。すなわち、この荷重分散板102は、ハニカム構造板106を表板104A及び裏板104Bにより挟持した積層構造(サンドイッチ構造)により構成される。
【0039】
ハニカム構造板106、表板104A及び裏板104Bとしては、アルミニウム、ステンレス等の金属板を用いることができる。また、ハニカム構造板106、表板104A及び裏板104Bは同一材料で構成されていてもよいし、異種材料で構成されていてもよい。なお、表板104A及び裏板104Bは、所定の機械的強度(例えば、曲げ剛性等の剛性)を確保できるものであれば、金属板以外の素材(例えば、樹脂材等)を用いることもできる。
【0040】
ハニカム構造板106には、複数のセル106Aが区画形成された隔壁(リブ)106Bが設けられている。各セル106Aは、ハニカム構造板106の両面を貫通した孔により構成されている。また、各セル106Aの断面形状は6角形となっている。なお、各セル106Aの断面形状は、3角形状以上の多角形、特に6角形状の多角形であることが好ましい。これにより、ハニカム構造板106に所定の荷重分散機能を持たすことができる。
【0041】
このような積層構造を有する荷重分散板102によれば、例えば金属板のみで構成されるものに比べて、所定の曲げ剛性を確保しつつ、荷重分散板102を軽量化することができるので、床100の許容荷重を超えることなくプローバ10を安定して床100に設置することが可能となる。
【0042】
なお、実施形態では、好ましい態様の一例として、荷重分散板102は、ハニカム構造板106の両面に表板104A及び裏板104Bを配置した構成を示したが、これに限らない。例えば、荷重分散板102は、ハニカム構造板106のみで構成されていてもよい。また、ハニカム構造板106にいずれか一方の面に表板104A又は裏板104Bを配置した構成であってもよい。このような変形例の荷重分散板102であっても、軽量化が図れることはもちろん、また、床100の許容荷重を超えることなくプローバ10を安定して床100に設置することができる。
【0043】
ここで、実施形態の荷重分散板102と、例えば金属板のみで構成される荷重分散板との荷重について比較する。例えば、従来のアルミニウム板とステンレス板に対し、曲げ剛性が等しくなるように実施形態の荷重分散板102を構成した場合、実施形態の荷重分散板102は、アルミニウム板よりも1/7の重量で構成することができ、ステンレス板よりも1/11の重量で構成することができる。
【0044】
したがって、実施形態の荷重分散板102によれば、従来の金属板の曲げ剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。また、実施形態のプローバ10によれば、プローバ10の支持脚部32に、ハニカム構造板106を有する荷重分散板102が設けられているので、プローバ10から床100にかかるプローバ10の荷重を効果的に分散し、かつ軽量な荷重分散板102を備えたプローバ10を提供することができる。
【0045】
なお、実施形態の荷重分散板102を使用すれば、以下の効果も期待できる。
【0046】
すなわち、曲げ剛性を基準とすると、荷重分散板102の厚さを、アルミニウム板及びステンレス板の厚さよりも大幅に薄くすることができる。このため、実施形態の荷重分散板102を使用すれば、プローバ10の高さ方向の寸法制約に有利になる。また、厚さの薄い荷重分散板102をプローバ10に設けることにより、装置全体としての重心が下がるため、荷重分散板102を含んだ装置全体としての振動に対して有利になる。
【0047】
一方で、荷重分散板102の厚さを、上記の曲げ剛性を基準した場合の厚さよりも厚くすると、実施形態の荷重分散板102は、アルミニウム板及びステンレス板よりも遥かに高い曲げ剛性を得ることができる。
【0048】
以下、床100にかかるプローバ10の荷重について図面を参照して説明する。
【0049】
図8に示す概略図は、プローバ10の支持脚部32を床100に直接設置した場合に、床100にかかるプローバ10の荷重を説明した図である。また、
図8では、荷重の大きさを矢印で示している。また、
図8の二点鎖線で示すラインCは、床100の許容荷重を示しており、
図8において矢印で示した荷重の大きさがラインCよりも上方の場合には、その荷重が許容荷重以下であることを示し、矢印で示した荷重の大きさがラインCよりも下方の場合には、その荷重が許容荷重を超えたことを示している。なお、以下に説明する
図9及び
図10でも同様である。
【0050】
図8に示すように、支持脚部32が接地されている床100の接地部分にプローバ10の荷重が集中してかかり、接地部分で床100の許容荷重を超える許容荷重超過部Aが生じるという問題がある。
【0051】
図9に示す概略図は、支持脚部32と床100との間にアルミニウム板又はステンレス板などの金属板110を敷設した場合に、床100にかかるプローバ10の荷重を説明した図である。このような金属板110を使用することにより、床100にかかるプローバ10の荷重が分散するので、床100の単位面積当たりにかかる荷重を減らすことができる。なお、
図9の二点鎖線で示すラインDは、床100にかかる金属板110の荷重を示している。
【0052】
しかしながら、プローバ10の重量がかなり大きなものになると、その荷重に耐え得るように金属板110の厚さを厚くせざるを得ず、その重量も大きくなる。このため、プローバ10の荷重を金属板110によって分散することができても、金属板110を含むプローバ10の総重量により、支持脚部32の接地部分で許容荷重超過部Aが生じるという問題がある。
【0053】
図10に示す概略図は、プローバ10の支持脚部32を、実施形態の荷重分散板102を介して床100に設置した場合に、床100にかかるプローバ10の荷重を説明した図である。なお、
図10の二点鎖線で示すラインEは、床100にかかる荷重分散板102の荷重を示している。
【0054】
図10に示すように、ハニカム構造板106(
図7参照)を有する荷重分散板102をプローバ10に備えることにより、プローバ10から床100にかかるプローバ10の荷重を効果的に分散することができる。しかも荷重分散板102は厚さが薄く軽量なので、支持脚部32の接地部分で許容荷重超過部Aが生じるという問題を解消することができる。
【0055】
以上の如く、実施形態のプローバ10によれば、軽量化された荷重分散板102を備えているので、高さ方向に大型化した構造に特化した問題、換言すればグレーチング構造の床100の許容荷重を超えるという問題を解消することができる。また、プローバ10を1つの荷重分散板102を介して床100に設置した構成に限らず、複数の荷重分散板102を介して床100に設置してもよい。例えば、1又は複数の支持脚部32毎に荷重分散板102を設けてもよい。
【0056】
図11は、荷重分散板102の他の一例を示した斜視図である。
図11の荷重分散板102は、複数枚(
図11では6枚)の荷重分散板102A、102B、102C、102D、102E、102Fを隙間なく敷き詰めることにより構成される。
【0057】
荷重分散板102A~102Fは、その全領域にハニカム構造板106(
図7参照)が配置されておらず、領域Bで示すH字状又は十字状の領域に配置されている。領域Bには、耐震固定金具112が固定されており、また領域Bを除く領域にはスリット状の孔114が複数形成されている。耐震固定金具112には、支持脚部32が固定され、孔114には、荷重分散板102A~102Fをグレーチング構造の床100に固定するための固定金具が挿入される。
【0058】
つまり、
図11に示す荷重分散板102A~102Fは、その全領域のうち必要な領域B(例えば、耐震固定金具112の固定位置を含む領域)のみにハニカム構造板106を備えればよいことを示している。ここで、荷重分散板102A~102Fの荷重分散能力を高めるためには、荷重分散板102A~102Fの全領域にハニカム構造板106を備えることが好ましい。しかしながら、荷重分散板102A~102Fは実質的に床100に固定されて使用されるため、荷重分散板102A~102Fには、前述の固定金具を挿入する孔114を形成する必要がある。荷重分散板102A~102Fのうち孔114の形成領域にハニカム構造板106を配置した場合、孔114から挿入した固定金具がハニカム構造板106に干渉するので好ましくない。
【0059】
そこで、実施形態の荷重分散板102A~102Fは、孔114の形成領域にはハニカム構造板106を配置しない構成として固定金具の挿入を簡易化しつつ、孔114の形成領域を除く領域Bのみにハニカム構造板106を配置して荷重分散能力を得るように構成されている。なお、孔114の形成領域には、表板104A(
図7参照)及び裏板104Bが存在しているので、荷重分散板102A~102F全体としての荷重分散能力は十分に維持されている。
【0060】
また、
図11の如く、複数枚の荷重分散板102A~102Fによって荷重分散板102を構成すれば、1枚の大型な荷重分散板102と比較して荷重分散板102A~102Fの取り扱いが容易になる。これにより、床100に対する荷重分散板102A~102Fの施工性が向上する。また、複数枚の荷重分散板102A~102Fのうち、プローバ10の大きさ(底部30Aの表面積)に対応した枚数の荷重分散板102A~102Fを選択すればよいので、荷重分散板102A~102Fの汎用性が向上するという利点もある。
【0061】
以上、本発明のプローバについて説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。例えば、本発明の荷重分散板は、多段状に積層された複数の測定部16を有するプローバ10に限定されず、1台の測定部を有するプローバにも備えることができる。
【符号の説明】
【0062】
10…プローバ、12…測定ユニット、14…ローダ部、16…測定部、18…ロードポート、20…ウェーハカセット、21…操作パネル、22…搬送ユニット、24…搬送アーム、30…筐体、50…ウェーハチャック、52…ヘッドステージ、54…テストヘッド、56…プローブカード、58…ポゴフレーム、60…シール部材、62…シール部材、64…シール部材、66…プローブ、100…グレーチング構造の床、102…荷重分散板、102A、102B、102C、102D、102E、102F…荷重分散板、104…面部材、106…ハニカム構造板、110…金属板、112…耐震固定金具、114…孔