(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法、メンブレンアセンブリ、リソグラフィ装置、及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/62 20120101AFI20221110BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
G03F1/62
G03F7/20 503
(21)【出願番号】P 2018531133
(86)(22)【出願日】2016-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2016079606
(87)【国際公開番号】W WO2017102383
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-11-25
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】クルートウィック,ヨハン,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン アインデン,ウィルヘルムス,セオドロス,アントニウス,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ズドラフコフ,アレクサンダー,ニコロフ
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/182483(WO,A1)
【文献】特開平09-213620(JP,A)
【文献】特表2011-507231(JP,A)
【文献】特開2014-049677(JP,A)
【文献】特表2010-541267(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0243558(US,A1)
【文献】米国特許第06623893(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0168824(US,A1)
【文献】特表2018-513395(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0231647(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0022273(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0370423(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0104817(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86、7/20-7/24、9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、前記平面基板が内部領域と、前記内部領域の周りの境界領域と、前記境界領域の周りのブリッジ領域と、前記ブリッジ領域の周りのエッジ領域とを含み、前記平面基板は酸化層および非酸化層を含み、前記平面基板の前記非酸化層がエッチングされるときに前記酸化層がエッチバリアを形成し、
前記エッチバリアは、前記少なくとも1つのメンブレン層に隣接する上部エッチバリア及び下部エッチバリアを含み、前記下部エッチバリアは、前記少なくとも1つのメンブレン層と前記平面基板との間にあり、前記上部エッチバリア及び前記下部エッチバリアの80%以上がテトラエチルオルトシリケートを含むことと、
前記内部領域と前記ブリッジ領域の第1の部分とを選択的に除去して、
前記内部領域にわたって形成され、かつ前記少なくとも1つのメンブレン層から形成された自立形のメンブレンと、
前記メンブレンを保持する境界であって、前記平面基板の前記境界領域から形成された境界と、
前記境界の周りのエッジセクションであって、前記平面基板の前記エッジ領域から形成されたエッジセクションと、
前記境界と前記エッジセクションとの間のブリッジであって、前記少なくとも1つのメンブレン層及び前記平面基板の前記ブリッジ領域の第2の部分から形成されたブリッジと、
を含むメンブレンアセンブリを提供することと、
前記ブリッジを切断又は破断することにより前記エッジセクションを前記境界から分離して、前記エッジセクションを取り除いたメンブレンアセンブリを提供することと、
を含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法。
【請求項2】
前記スタックが、前記少なくとも1つのメンブレン層が保護層と前記平面基板との間になるように前記スタックの少なくとも上面の上並びに前記スタックの側面の上の保護層であって、前記内部領域及び前記ブリッジ領域の前記第1の部分を選択的に除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある保護層を更に含み、
前記上部エッチバリアは、前記少なくとも1つのメンブレン層と前記保護層との間にあ
り、
前記方法が、前記内部領域及び前記ブリッジ領域の前記第1の部分が除去された後に前記保護層を除去することを更に含み、少なくとも前記上部エッチバリアが前記保護層を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記保護層と、前記少なくとも1つのメンブレン層の一部分を一緒に挟んでいる前記上部エッチバリアの一部分及び前記下部エッチバリアの一部分とを除去することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、前記平面基板が内部領域と、前記内部領域の周りの境界領域と、前記境界領域の周りのブリッジ領域と、前記境界領域の周りのエッジ領域とを含むことと、
前記少なくとも1つのメンブレン層が第1の保護層と前記平面基板との間になるように前記スタックの少なくとも上面の上並びに前記スタックの側面の上に第1の保護層を付設することと、
前記スタック及び前記第1の保護層に第1の除去プロセスを適用して、前記平面基板の前記ブリッジ領域の少なくとも一部分を選択的に除去し、それにより前記平面基板の前記境界領域と前記エッジ領域との間の一体接続部を薄型化又は除去することであって、前記第1の保護層が前記第1の除去プロセスに対して耐性があることと、
前記エッジ領域及び前記エッジ領域上に形成された層を含むエッジセクションを除去することと、
前記エッジ領域の除去後に基板アセンブリの少なくとも側面の上に第2の保護層を付設することと、
第2の除去プロセスを適用して前記内部領域を選択的に除去して、前記エッジセクションを取り除いたメンブレンアセンブリを提供することであって、前記メンブレンアセンブリは、
前記内部領域にわたって形成され、かつ前記少なくとも1つのメンブレン層から形成された自立形のメンブレンと、
前記メンブレンを保持する境界であって、前記平面基板の前記境界領域から形成された境界と、
を含み、前記第2の保護層が前記第2の除去プロセスに対して耐性があることと、
を含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法。
【請求項5】
前記スタックが上部エッチバリアと下部エッチバリアとを更に含み、前記少なくとも1つのメンブレン層が前記上部エッチバリアと前記下部エッチバリアとの間に位置し、
前記方法が、前記内部領域が除去された後に前記第2の保護層を除去することを更に含み、少なくとも前記上部エッチバリアが前記第2の保護層を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
平面基板と少なくとも1つのメンブレン層と保護層とを含むスタックを設けることであって、前記少なくとも1つのメンブレン層が前記保護層と前記平面基板との間にあり、前記平面基板が内部領域と、前記内部領域の周りの境界領域と、前記境界領域の周りのブリッジ領域と、前記ブリッジ領域の周りのエッジ領域とを含み、前記平面基板は酸化層および非酸化層を含み、前記平面基板の前記非酸化層がエッチングされるときに前記酸化層がエッチバリアを形成し、
前記エッチバリアが、前記少なくとも1つのメンブレン層と前記保護層との間にある上部エッチバリア及び前記少なくとも1つのメンブレン層と前記平面基板との間にある下部エッチバリアを含み、前記上部エッチバリア及び前記下部エッチバリアの80%以上がテトラエチルオルトシリケートを含むことと、
除去プロセスを使用して前記内部領域及び前記ブリッジ領域の少なくとも一部分を選択的に除去し、それにより前記平面基板の前記境界領域と前記エッジ領域との間の一体接続部を薄型化又は除去することであって、前記保護層が前記除去プロセスに対して耐性があることと、
前記エッジ領域及び前記エッジ領域上に形成された層を含むエッジセクションを基板アセンブリから分離し、その後、前記保護層を除去して、前記エッジセクションを取り除いたメンブレンアセンブリを提供することであって、前記メンブレンアセンブリは、
前記内部領域にわたって形成され、かつ前記少なくとも1つのメンブレン層から形成された自立形のメンブレンと、
前記メンブレンを保持する境界であって、前記平面基板の前記境界領域から形成された境界と、
を含むことと、
を含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法。
【請求項7】
少なくとも前記上部エッチバリアが前記保護層を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、前記平面基板が内部領域と、前記内部領域の周りの境界領域と、前記境界領域の周りのエッジ領域とを含むことと、
前記エッジ領域及び前記エッジ領域上に形成された層を含むエッジセクションを除去することと、
前記少なくとも1つのメンブレン層が保護層と前記平面基板との間になるように前記スタックの少なくとも上面の上並びに前記スタックの側面の上に保護層を付設することと、
第1の除去プロセスを使用して前記内部領域を選択的に除去することであって、前記保護層が前記第1の除去プロセスに対して耐性があることと、
第2の除去プロセスを使用して前記保護層を除去して、前記エッジセクションを取り除いたメンブレンアセンブリを提供することであって、前記メンブレンアセンブリは、
前記内部領域にわたって形成され、かつ前記少なくとも1つのメンブレン層から形成された自立形のメンブレンと、
前記メンブレンを保持する境界であって、前記平面基板の前記境界領域から形成された境界と、
を含むことと、
を含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法。
【請求項9】
前記スタックが、上部エッチバリアが前記少なくとも1つのメンブレン層と前記保護層との間になるように前記保護層が付設される上部エッチバリアと、前記少なくとも1つのメンブレン層と前記平面基板との間にある下部エッチバリアとを更に含み、少なくとも前記上部エッチバリアが前記保護層を除去するために使用される前記第2の除去プロセスに対して耐性がある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、前記平面基板が内部領域と、前記内部領域の周りの境界領域と、前記境界領域の周りのブリッジ領域と、前記ブリッジ領域の周りのエッジ領域とを含むことと、
エッチ抵抗コーティングで前記スタックをカプセル化し、前記スタックの下側の前記エッチ抵抗コーティングにパターン形成して、前記エッチ抵抗コーティングによって保護される前記スタックの領域及び前記エッチ抵抗コーティングによって保護されない前記スタックの領域を規定することと、
前記平面基板の前記内部領域、境界領域、及びブリッジ領域の上の前記スタックの上側の領域に機械的研磨プロセスを適用して、前記エッチ抵抗コーティングの第1の部分を除去することと、
前記平面基板の前記内部領域、境界領域、及びブリッジ領域の上の前記スタックの上側の前記領域に前記エッチ抵抗コーティングをエッチングするために効果的なエッチングプロセスを適用して、前記エッチ抵抗コーティングの第2の部分を除去することと、
前記スタックの少なくとも上側を覆う保護層を付設することと、
除去プロセスを使用して前記内部領域及び前記ブリッジ領域の少なくとも一部分を選択的に除去し、それにより前記平面基板の前記境界領域と前記エッジ領域との間の一体接続部を薄型化又は除去して、
前記内部領域にわたって形成され、かつ前記少なくとも1つのメンブレン層から形成された自立形のメンブレンと、
前記メンブレンを保持する境界であって、前記平面基板の前記境界領域から形成された境界と、
前記境界の周りのエッジセクションであって、前記平面基板の前記エッジ領域から形成されたエッジセクションと、
前記境界と前記エッジセクションとの間のブリッジであって、前記少なくとも1つのメンブレン層及び前記平面基板の前記ブリッジ領域の残りの部分から形成されたブリッジと、
を含むメンブレンアセンブリを提供することと、
前記ブリッジを切断又は破断することにより前記エッジセクションを前記境界から分離して、前記エッジセクションを取り除いたメンブレンアセンブリを提供することと、
を含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法。
【請求項11】
前記スタックが上部エッチバリアと下部エッチバリアとを更に含み、前記少なくとも1つのメンブレン層が前記上部エッチバリアと前記下部エッチバリアとの間に位置し、
前記方法が、前記内部領域が除去された後に前記保護層を除去することを更に含み、少なくとも前記上部エッチバリアが前記保護層を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2015年12月18日に出願された欧州特許出願第15201073.2号及び2016年5月25日に出願された欧州特許出願第16171233.6号の優先権を主張し、参照により全体が本明細書に取り入れられる。
【0002】
[0002] 本発明は、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法、メンブレンアセンブリ、リソグラフィ装置、及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0004】
[0004] リソグラフィは、IC及びその他のデバイス及び/又は構造を製造する際の主要なステップの1つとして広く認識されている。しかし、リソグラフィを使用して製造される特徴の寸法がより微細になると共に、リソグラフィは小型IC又はその他のデバイス、及び/又は構造の製造を可能にするためのより決定的なファクタになってきている。
【0005】
[0005] パターン印刷の限界の理論的な推定値は式(1)に示すようなレイリーの解像基準によって得られる。
【数1】
但し、λは使用される放射の波長、NAはパターンを印刷するために使用される投影システムの開口数、k
1はレイリー定数とも呼ばれるプロセス依存調整係数であり、CDは印刷される特徴のフィーチャサイズ(又は、限界寸法)である。式(1)から、特徴の印刷可能な最小サイズの縮小は3つの方法で達成できることが分かる。すなわち、露光波長λの短縮によるもの、開口数NAの増加によるもの、又はk
1の値の減少によるものである。
【0006】
[0006] 露光波長を短くするため、したがって、最小印刷可能サイズを縮小するために、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、10~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。更には、10nm未満の波長、例えば、6.7nm又は6.8nmといった5~10nmの範囲内の波長を有するEUV放射が使用され得ることも提案されている。そのような放射は、極端紫外線放射又は軟x線放射と呼ばれる。考えられる放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、又は電子蓄積リングによって提供されるシンクロトロン放射に基づく放射源が含まれる。
【0007】
[0007] リソグラフィ装置はパターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)を含む。放射は、基板上に像を形成するために、パターニングデバイスを通って提供されるか又はパターニングデバイスで反射される。空中浮遊粒子(airborne particle)及びその他の形の汚染からパターニングデバイスを保護するために、メンブレンアセンブリを設けることができる。パターニングデバイスを保護するためのメンブレンアセンブリはペリクルと呼ぶことができる。パターニングデバイスの表面上の汚染は基板上に製造欠陥を引き起こす可能性がある。メンブレンアセンブリは、境界(border)と、境界の全域に引き伸ばされたメンブレンとを含むことができる。例えば、メンブレンの薄さのために、プロセスにおいてメンブレンアセンブリを変形させずにメンブレンアセンブリを製造することは困難である。
【0008】
[0008] また、プロセスにおいてメンブレンアセンブリを損傷又は汚染せずにメンブレンアセンブリを製造することも困難である。例えば、メンブレンアセンブリを製造するプロセス中に、メンブレンが望ましくないほど酸化されるか又は不要な汚染物質粒子がメンブレンに付着する可能性がある。
【0009】
[0009] その製造中にペリクルなどのメンブレンアセンブリが変形、損傷、又は汚染される可能性を低減することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 本発明の一態様により、平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、平面基板が内部領域と、内部領域の周りの境界領域と、境界領域の周りのブリッジ領域と、ブリッジ領域の周りのエッジ領域とを含むことと、内部領域とブリッジ領域の第1の部分とを選択的に除去して、少なくとも1つのメンブレン層から形成されたメンブレンと、メンブレンを保持する境界であって、平面基板の境界領域から形成された境界と、境界の周りのエッジセクションであって、平面基板のエッジ領域から形成されたエッジセクションと、境界とエッジセクションとの間のブリッジであって、少なくとも1つのメンブレン層及び平面基板のブリッジ領域の第2の部分から形成されたブリッジとを含むメンブレンアセンブリを提供することと、ブリッジを切断又は破断することによりエッジセクションを境界から分離することとを含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法が提供される。
【0011】
[0011] 本発明の一態様により、平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、平面基板が内部領域と、内部領域の周りの境界領域と、境界領域の周りのブリッジ領域と、境界領域の周りのエッジ領域とを含むことと、少なくとも1つのメンブレン層が第1の保護層と平面基板との間になるようにスタックの少なくとも上面の上並びにスタックの側面の上に第1の保護層を付設することと、スタック及び第1の保護層に第1の除去プロセスを適用して、平面基板のブリッジ領域の少なくとも一部分を選択的に除去し、それにより平面基板の境界領域とエッジ領域との間の一体接続部を薄型化又は除去することであって、第1の保護層が第1の除去プロセスに対して耐性があることと、エッジ領域及びエッジ領域上に形成された層を除去することと、エッジ領域の除去後に基板アセンブリの少なくとも側面の上に第2の保護層を付設することと、第2の除去プロセスを適用して内部領域を選択的に除去して、少なくとも1つのメンブレン層から形成されたメンブレンと、メンブレンを保持する境界であって、平面基板の境界領域から形成された境界とを含むメンブレンアセンブリを提供することであって、第2の保護層が第2の除去プロセスに対して耐性があることとを含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法が提供される。
【0012】
[0012] 本発明の一態様により、平面基板と少なくとも1つのメンブレン層と保護層とを含むスタックを設けることであって、少なくとも1つのメンブレン層が保護層と平面基板との間にあり、平面基板が内部領域と、内部領域の周りの境界領域と、境界領域の周りのブリッジ領域と、ブリッジ領域の周りのエッジ領域とを含むことと、除去プロセスを使用して内部領域及びブリッジ領域の少なくとも一部分を選択的に除去し、それにより平面基板の境界領域とエッジ領域との間の一体接続部を薄型化又は除去することであって、保護層が除去プロセスに対して耐性があることと、エッジ領域及びエッジ領域上に形成された層を基板アセンブリから分離し、その後、保護層を除去して、少なくとも1つのメンブレン層から形成されたメンブレンと、メンブレンを保持する境界であって、平面基板の境界領域から形成された境界とを含むメンブレンアセンブリを提供することとを含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法が提供される。
【0013】
[0013] 本発明の一態様により、平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、平面基板が内部領域と、内部領域の周りの境界領域と、境界領域の周りのブリッジ領域と、ブリッジ領域の周りのエッジ領域とを含むことと、エッチ抵抗コーティングでスタックをカプセル化し、スタックの下側のエッチ抵抗コーティングにパターン形成して、エッチ抵抗コーティングによって保護されるスタックの領域及びエッチ抵抗コーティングによって保護されないスタックの領域を規定することと、平面基板の内部領域、境界領域、及びブリッジ領域の上のスタックの上側の領域に機械的研磨プロセスを適用して、エッチ抵抗コーティングの第1の部分を除去することと、平面基板の内部領域、境界領域、及びブリッジ領域の上のスタックの上側の領域にエッチ抵抗コーティングをエッチングするために効果的なエッチングプロセスを適用して、エッチ抵抗コーティングの第2の部分を除去することと、スタックの少なくとも上側を覆う保護層を付設することと、除去プロセスを使用して内部領域及びブリッジ領域の少なくとも一部分を選択的に除去し、それにより平面基板の境界領域とエッジ領域との間の一体接続部を薄型化又は除去して、少なくとも1つのメンブレン層から形成されたメンブレンと、メンブレンを保持する境界であって、平面基板の境界領域から形成された境界と、境界の周りのエッジセクションであって、平面基板のエッジ領域から形成されたエッジセクションと、境界とエッジセクションとの間のブリッジであって、少なくとも1つのメンブレン層及び平面基板のブリッジ領域の残りの部分から形成されたブリッジとを含むメンブレンアセンブリを提供することと、ブリッジを切断又は破断することによりエッジセクションを境界から分離することとを含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法が提供される。
【0014】
[0014] 本発明の一態様により、平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、平面基板が内部領域と、内部領域の周りの境界領域と、境界領域の周りのエッジ領域とを含むことと、エッジ領域及びエッジ領域上に形成された層を除去することと、少なくとも1つのメンブレン層が保護層と平面基板との間になるようにスタックの少なくとも上面の上並びにスタックの側面の上に保護層を付設することと、第1の除去プロセスを使用して内部領域を選択的に除去することであって、保護層が第1の除去プロセスに対して耐性があることと、第2の除去プロセスを使用して保護層を除去して、少なくとも1つのメンブレン層から形成されたメンブレンと、メンブレンを保持する境界であって、平面基板の境界領域から形成された境界とを含むメンブレンアセンブリを提供することとを含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法が提供される。
【0015】
[0015] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0016]本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を図示している。
【
図2】[0017]リソグラフィ装置のより詳細な図である。
【
図3】[0018]平面基板のエッジ領域の分離の前に基板のブリッジ領域が部分的にのみエッチングで貫通しているメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図4】[0018]平面基板のエッジ領域の分離の前に基板のブリッジ領域が部分的にのみエッチングで貫通しているメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図5】[0018]平面基板のエッジ領域の分離の前に基板のブリッジ領域が部分的にのみエッチングで貫通しているメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図6】[0018]平面基板のエッジ領域の分離の前に基板のブリッジ領域が部分的にのみエッチングで貫通しているメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図7】[0018]平面基板のエッジ領域の分離の前に基板のブリッジ領域が部分的にのみエッチングで貫通しているメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図8】[0018]平面基板のエッジ領域の分離の前に基板のブリッジ領域が部分的にのみエッチングで貫通しているメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図9】[0018]平面基板のエッジ領域の分離の前に基板のブリッジ領域が部分的にのみエッチングで貫通しているメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図10】[0018]平面基板のエッジ領域の分離の前に基板のブリッジ領域が部分的にのみエッチングで貫通しているメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図11】[0019]一実施形態により
図3~
図10に示されている段階に続く段階を概略的に図示している。
【
図12】[0019]一実施形態により
図3~
図10に示されている段階に続く段階を概略的に図示している。
【
図13】[0019]一実施形態により
図3~
図10に示されている段階に続く段階を概略的に図示している。
【
図14】[0019]一実施形態により
図3~
図10に示されている段階に続く段階を概略的に図示している。
【
図15】[0020]代替実施形態により
図3~
図10に示されている段階に続く段階を概略的に図示している。
【
図16】[0020]代替実施形態により
図3~
図10に示されている段階に続く段階を概略的に図示している。
【
図17】[0020]代替実施形態により
図3~
図10に示されている段階に続く段階を概略的に図示している。
【
図18】[0021]代替実施形態により形成されたキャッピング層によって覆われたメンブレンアセンブリを概略的に図示している。
【
図19】[0022]個々のメンブレンアセンブリの分離の前に複数のメンブレンアセンブリが単一の平面基板から形成されるメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図20】[0022]個々のメンブレンアセンブリの分離の前に複数のメンブレンアセンブリが単一の平面基板から形成されるメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図21】[0022]個々のメンブレンアセンブリの分離の前に複数のメンブレンアセンブリが単一の平面基板から形成されるメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図22】[0022]個々のメンブレンアセンブリの分離の前に複数のメンブレンアセンブリが単一の平面基板から形成されるメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図23】[0022]個々のメンブレンアセンブリの分離の前に複数のメンブレンアセンブリが単一の平面基板から形成されるメンブレンアセンブリを製造する方法における段階を概略的に図示している。
【
図24】[0023]
図23に示されている配置の概略下面図である。
【
図25】[0024]
図19~
図24に図示されている段階に続くメンブレンアセンブリの分離を図示している。
【
図26】[0024]
図19~
図24に図示されている段階に続くメンブレンアセンブリの分離を図示している。
【
図27】[0025]平面基板のブリッジ領域が平面基板の内部領域より早い段階でエッチングで除去される、製造プロセスにおける段階を概略的に図示している。
【
図28】[0026]
図27に示されている配置の概略下面図である。
【
図29】[0027]平面基板のエッジ領域の分離後の
図27及び
図28の製造方法における更なる段階を示している。
【
図30】[0027]平面基板のエッジ領域の分離後の
図27及び
図28の製造方法における更なる段階を示している。
【
図31】[0027]平面基板のエッジ領域の分離後の
図27及び
図28の製造方法における更なる段階を示している。
【
図32】[0027]平面基板のエッジ領域の分離後の
図27及び
図28の製造方法における更なる段階を示している。
【
図33】[0027]平面基板のエッジ領域の分離後の
図27及び
図28の製造方法における更なる段階を示している。
【
図34】[0028]デブリ又はフレークを除去するために研磨プロセスが上面に適用される、メンブレンアセンブリを製造する方法における段階を示している。
【
図35】[0028]デブリ又はフレークを除去するために研磨プロセスが上面に適用される、メンブレンアセンブリを製造する方法における段階を示している。
【
図36】[0028]デブリ又はフレークを除去するために研磨プロセスが上面に適用される、メンブレンアセンブリを製造する方法における段階を示している。
【
図37】[0028]デブリ又はフレークを除去するために研磨プロセスが上面に適用される、メンブレンアセンブリを製造する方法における段階を示している。
【
図38】[0028]デブリ又はフレークを除去するために研磨プロセスが上面に適用される、メンブレンアセンブリを製造する方法における段階を示している。
【
図39】[0028]デブリ又はフレークを除去するために研磨プロセスが上面に適用される、メンブレンアセンブリを製造する方法における段階を示している。
【
図40】[0029]分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図41】[0029]分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図42】[0029]分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図43】[0030]ブリッジ領域63のすべてが除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図44】[0030]ブリッジ領域63のすべてが除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図45】[0030]ブリッジ領域63のすべてが除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図46】[0030]ブリッジ領域63のすべてが除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図47】[0031] ブリッジ領域のすべてが除去される、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図48】[0031] ブリッジ領域のすべてが除去される、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図49】[0031] ブリッジ領域のすべてが除去される、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図50】[0031] ブリッジ領域のすべてが除去される、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図51】[0032]分離の前に保護層が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図52】[0032]分離の前に保護層が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図53】[0032]分離の前に保護層が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図54】[0033] 分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための更なる代替処理例を概略的に図示している
【
図55】[0033] 分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための更なる代替処理例を概略的に図示している。
【
図56】[0033] 分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための更なる代替処理例を概略的に図示している。
【
図57】[0033] 分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための更なる代替処理例を概略的に図示している。
【
図58】[0033] 分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための更なる代替処理例を概略的に図示している。
【
図59】[0033] 分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための更なる代替処理例を概略的に図示している。
【
図60】[0033] 分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための更なる代替処理例を概略的に図示している。
【
図61】[0034]平面基板の内部領域の除去の前にスタックがダイシングされる、メンブレンアセンブリを製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図62】[0034]平面基板の内部領域の除去の前にスタックがダイシングされる、メンブレンアセンブリを製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図63】[0034]平面基板の内部領域の除去の前にスタックがダイシングされる、メンブレンアセンブリを製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図64】[0035] 平面基板の内部領域の除去の前にスタックがダイシングされる、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図65】[0035] 平面基板の内部領域の除去の前にスタックがダイシングされる、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図66】[0035] 平面基板の内部領域の除去の前にスタックがダイシングされる、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図67】[0035] 平面基板の内部領域の除去の前にスタックがダイシングされる、メンブレンアセンブリを製造するための代替処理例を概略的に図示している。
【
図68】[0036]メンブレンアセンブリのブリッジが破断された後に保護層が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図69】[0036]メンブレンアセンブリのブリッジが破断された後に保護層が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図70】[0036]メンブレンアセンブリのブリッジが破断された後に保護層が除去される、メンブレンアセンブリを製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図71】[0037]保護層が使用されない、メンブレンアセンブリを製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図72】[0037]保護層が使用されない、メンブレンアセンブリを製造するための処理例を概略的に図示している。
【
図73】[0037]保護層が使用されない、メンブレンアセンブリを製造するための処理例を概略的に図示している。
【0017】
[0038] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照符号は全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで更に明白になろう。図面では、一般に、同様の参照番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似する要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0039]
図1は、本発明の一実施形態によるソースコレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。この装置100は、
-放射ビームB(例えば、EUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)IL。
-パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構成され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
-基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、
-パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを、基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、反射投影システム)PSと、を含む。
【0019】
[0040] 照明システムILは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0020】
[0041] 支持構造MTは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスMAを保持することができる。支持構造MTは、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
【0021】
[0042] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するように、放射ビームBの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームBに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分Cに生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0022】
[0043] パターニングデバイスMAは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブル液晶ディスプレイ(LCD)パネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0023】
[0044] 照明システムILと同様、投影システムPSは、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。その他のガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。従って、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供してもよい。
【0024】
[0045] 本明細書で示すように、リソグラフィ装置100は、反射タイプである。(例えば、反射マスクを使用する。)
【0025】
[0046] リソグラフィ装置100は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブルWT(及び/又は2つ以上の支持構造MT)を有するタイプのものであってよい。そのような「マルチステージ」リソグラフィ装置においては、追加の基板テーブルWT(及び/又は追加の支持構造MT)は並行して使用するか、又は別の1つ以上の基板テーブルWT(及び/又は別の1つ以上の他の支持構造MT)を露光に使用している間に1つ以上の基板テーブルWT(及び/又は1つ以上の支持構造MT)上で予備工程を実行することができる。
【0026】
[0047]
図1を参照すると、照明システムILはソースコレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受け取る。EUV光を生成するための方法は、EUV範囲内に1つ以上の輝線を含み、例えば、キセノン、リチウム、又はスズなどの少なくとも1つの元素を有する材料をプラズマ状態に変換することを含むが、必ずしもこれに限定されない。しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれるこのような方法の1つでは、必要な線発光元素を有する材料の小滴、流れ、又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することにより、必要なプラズマを生成することができる。ソースコレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するために、
図1に示されていない、レーザを含むEUV放射システムの一部にすることができる。結果として生じるプラズマは出力放射、例えばEUV放射を放出し、この放射はソースコレクタモジュール内に配置された放射コレクタを使用して収集される。レーザ及びソースコレクタモジュールSOは、例えば燃料励起のためのレーザビームを提供するためにCO
2レーザが使用される場合に、別々の構成要素であってもよい。
【0027】
[0048] このような場合、レーザはリソグラフィ装置100の一部を形成すると見なされず、放射ビームBは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダなどを備えるビームデリバリシステムの助けにより、レーザからソースコレクタモジュールSOへと渡される。他のケースでは、例えば、放射源がしばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合は、放射源がソースコレクタモジュールSOの一体部分であってもよい。
【0028】
[0049] 照明システムILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタを備えることができる。一般に、照明システムの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、照明システムILは、ファセットされたフィールド及び瞳ミラーデバイスなどの様々な他のコンポーネントを含むことができる。照明システムILは、放射ビームを調節して、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0029】
[0050] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば、干渉計装置、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTは、例えば、異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を使用して、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0030】
[0051] コントローラ500は、リソグラフィ装置100の動作全体を制御し、特に、以下に更に記載されている動作プロセスを実行する。コントローラ500は、中央演算処理装置と、揮発性及び不揮発性記憶手段と、キーボード及びスクリーンなどの1つ以上の入出力装置と、1つ以上のネットワーク接続部と、リソグラフィ装置100の様々な部分への1つ以上のインターフェースとを含む、適切にプログラムされた汎用コンピュータとして実施することができる。制御コンピュータとリソグラフィ装置100との間の1対1の関係が不要であることは認識されるであろう。本発明の一実施形態では、1台のコンピュータが複数のリソグラフィ装置100を制御することができる。本発明の一実施形態では、複数のネットワーク化コンピュータを使用して1台のリソグラフィ装置100を制御することができる。また、コントローラ500は、リソグラフィ装置100がその一部を形成するリソセル又はクラスタ内の1つ以上の関連プロセスデバイス及び基板ハンドリングデバイスを制御するように構成してもよい。また、コントローラ500は、リソセル又はクラスタの監視制御システム及び/又は製造工場の制御システム全体に従属するように構成することもできる。
【0031】
[0052]
図2は、ソースコレクタモジュールSOと照明システムILと投影システムPSとを含むリソグラフィ装置100をより詳細に示している。EUV放射放出プラズマ210はプラズマ源によって形成することができる。EUV放射は、電磁スペクトルのEUV範囲内の放射を放出するように放射放出プラズマ210が作成される、Xeガス、Li蒸気、又はSn蒸気などのガス又は蒸気によって生成することができる。一実施形態では、EUV放射を生成するために、励起されたスズ(Sn)のプラズマが提供される。
【0032】
[0053] 放射放出プラズマ210によって放出された放射は、ソースチャンバ211からコレクタチャンバ212内に渡される。
【0033】
[0054] コレクタチャンバ212は放射コレクタCOを含んでもよい。放射コレクタCOを横断する放射は、仮想光源点IFにおいて合焦することができる。仮想光源点IFは一般に中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタモジュールSOは、仮想光源点IFが閉鎖構造220の開口部221又はその付近に位置するように配置される。仮想光源点IFは放射放出プラズマ210の像である。
【0034】
[0055] その後、放射は照明システムILを横断し、この照明システムは、パターニングデバイスMAにおけるパターンなしビーム(unpatterned beam)21の所望の角度分布並びにパターニングデバイスMAにおける放射強度の所望の均一性を提供するように配置されたファセットフィールドミラーデバイス22及びファセット瞳ミラーデバイス24を含むことができる。支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAにおいてパターンなしビーム21が反射すると、パターン付きビーム26が形成され、そのパターン付きビーム26は基板テーブルWTによって保持された基板W上に反射素子28、30を介して投影システムPSによって結像される。
【0035】
[0056] 一般に、照明システムIL及び投影システムPSには示されているものより多くの要素が存在する可能性がある。更に、図に示されているものより多くのミラーが存在する可能性があり、例えば、
図2に示されているより1~6つ追加の反射素子が投影システムPS内に存在してもよい。
【0036】
[0057] 代替的に、ソースコレクタモジュールSOはLPP放射システムの一部にすることができる。
【0037】
[0058]
図1に図示されているように、一実施形態では、リソグラフィ装置100は照明システムILと投影システムPSとを含む。照明システムILは放射ビームBを放出するように構成される。投影システムPSは介在する空間によって基板テーブルWTから分離される。投影システムPSは、放射ビームBに付与されたパターンを基板W上に投影するように構成される。このパターンは放射ビームBのEUV放射のためのものである。
【0038】
[0059] 投影システムPSと基板テーブルWTとの間に介在する空間は少なくとも部分的に真空にすることができる。介在する空間は、使用された放射がそこから基板テーブルWTに向かって誘導される固体表面によって投影システムPSの位置で区切ることができる。
【0039】
[0060] 一実施形態では、リソグラフィ装置100は動的ガスロックを含む。動的ガスロックはメンブレンアセンブリ80を含む。一実施形態では、動的ガスロックは、介在する空間に位置するメンブレンアセンブリ80によって覆われた中空部分を含む。中空部分は放射の経路の周りに位置する。一実施形態では、リソグラフィ装置100は、ガスの流れで中空部分の内側を洗い流すように構成されたガスブロワ(gas blower)を含む。放射は、基板Wに衝突する前にメンブレンアセンブリ80を通って移動する。
【0040】
[0061] 一実施形態では、リソグラフィ装置100はメンブレンアセンブリ80を含む。上記で説明したように、一実施形態では、メンブレンアセンブリ80は動的ガスブロックのためのものである。この場合、メンブレンアセンブリ80は、DUV放射を除去するためのフィルタとして機能する。追加的に又は代替的に、一実施形態では、メンブレンアセンブリ80はEUVリソグラフィ用のパターニングデバイスMAのためのペリクルである。本発明のメンブレンアセンブリ80は、動的ガスロック、ペリクル、又は他の目的のために使用することができる。一実施形態では、メンブレンアセンブリ80は、入射EUV放射の少なくとも80%を透過するように構成されたメンブレン層42を含む。
【0041】
[0062] 一実施形態では、ペリクルは、空中浮遊粒子及びその他の形の汚染からパターニングデバイスMAを保護するために、パターニングデバイスMAを密閉するように構成される。パターニングデバイスMAの表面上の汚染は基板W上に製造欠陥を引き起こす可能性がある。例えば、一実施形態では、ペリクルは、粒子がリソグラフィ装置100内のパターニングデバイスMAのステッピングフィールド内に移動する可能性を低減するように構成される。
【0042】
[0063] パターニングデバイスMAが非保護の状態で放置された場合、汚染によってパターニングデバイスMAを浄化又は廃棄することが必要になる可能性がある。パターニングデバイスMAを浄化することは貴重な製造時間を中断し、パターニングデバイスMAを廃棄することは費用のかかることである。また、パターニングデバイスMAを交換することも貴重な製造時間を中断するものである。
【0043】
[0064] 一実施形態では、EUV用のメンブレンアセンブリ80を製造する方法が提供される。この実施形態の方法の特定の例については、
図1~
図26、
図40~
図42、
図51~
図60、及び
図71~
図73に関連して以下に説明する。この方法はスタック60を設けることを含む。スタック60は平面基板40と少なくとも1つのメンブレン層42とを含む。平面基板40としてのベアシリコンウェーハから始めて、スタック60を形成することができる(
図3に示されている通り)。スタック60の層は、その後のステップで平面基板40上に形成又は付着される。このようにして形成されたスタック60の例は
図4に示されている。
【0044】
[0065] 平面基板40は、例えば、正方形、円、又は長方形などの形状を有する。平面基板40の形状は特に限定されない。平面基板40のサイズは特に限定されない。例えば、一実施形態では、平面基板40は約100mm~約500mmの範囲内、例えば約200mmの直径を有する。平面基板40の厚さは特に限定されない。例えば、一実施形態では、平面基板40は少なくとも300μm、任意選択で少なくとも400μmの厚さを有する。一実施形態では、平面基板40は多くても1000μm、任意選択で多くても800μmの厚さを有する。一実施形態では、平面基板40は約725μmの厚さを有する。一実施形態では、平面基板40は多くても600μm、任意選択で多くても400μmの厚さを有する。より薄い平面基板40を設けることにより、選択的に除去する必要がある平面基板40の量が低減される。
【0045】
[0066] シリコンは、ダイヤモンド立方晶構造に結晶化することができる。一実施形態では、平面基板40はシリコンの立方晶を含む。一実施形態では、平面基板40は<100>結晶方向を有する。
【0046】
[0067] 一実施形態では、平面基板40は研磨される。スタック60は上側と下側とを有する。上側は図面においてスタック60の最上部に図示される。下側は図面においてスタック60の最下部に図示される。
【0047】
[0068] 一実施形態では、平面基板40は酸化層を含む。酸化層は平面基板40の一部である。平面基板40の残りの部分は平面基板40の非酸化層を形成する。酸化層は犠牲層である。酸化層は、平面基板40の非酸化層がエッチングされるときにエッチバリアを形成する。
【0048】
[0069] 一実施形態では、酸化層は100nmより大きく、任意選択で200nmより大きく、任意選択で300nmより大きい厚さを有する。例えば、一実施形態では、酸化層は約300nm、350nm、又は約400nmの厚さを有する。
【0049】
[0070] 一実施形態では、酸化層は、平面基板40の外面上の酸化物の薄い層として形成される。一実施形態では、酸化層は例えば熱湿式酸化物(thermal wet oxide)として熱酸化プロセスによって形成される。一実施形態では、平面基板40をエッチングするために使用される酸化層及びエッチャントは、エッチャント内の酸化層のエッチング速度が約5nm/分未満、例えば約3nm/分になるように構成される。一実施形態では、酸化層は非晶質二酸化ケイ素を含む。
【0050】
[0071] スタック60は少なくとも1つのメンブレン層42を含む。メンブレンアセンブリ80は少なくとも1つのメンブレン層42から形成されたメンブレンを含む。一実施形態では、少なくとも1つのメンブレン層42は、非晶質、単結晶、多結晶、又はナノ結晶シリコンなど、その同素体形式の1つでシリコンを含む。ナノ結晶シリコンは、特定の非晶質シリコン含有量を含有する多結晶シリコンマトリックスを意味する。一実施形態では、多結晶又はナノ結晶シリコンは、少なくとも1つのメンブレン層42で非晶質シリコンを結晶化することによって形成される。例えば、メンブレン層42は非晶質シリコン層としてスタック60に加えられる。非晶質シリコン層は、特定の温度を超えたときに多結晶又はナノ結晶シリコン層に結晶化する。例えば、非晶質シリコン層としてのメンブレン層42は多結晶又はナノ結晶シリコン層としてのメンブレン層42に変形する。
【0051】
[0072] 一実施形態では、非晶質シリコン層はその成長中にインシチュドーピングされる。p型又はn型ドーパントを加えることにより、シリコンの導電率が増加し、これはEUV源の電力の取り扱いに積極的な影響を及ぼす。
【0052】
[0073] 一実施形態では、スタック60の上面及び下面の両方に少なくとも1つのメンブレン層42が付設される。少なくとも1つのメンブレン層42は、その後のプロセスステップでスタック60の下側から除去することができる。しかしながら、これは必ずしも該当しない。代替実施形態では、スタック60の上側のみに少なくとも1つのメンブレン層42が付設される。スタック40の上側の少なくとも1つのメンブレン層42は、この製造方法によって生成されたメンブレンアセンブリ80のメンブレン70において少なくとも1つのメンブレン層42になる。
【0053】
[0074] 一実施形態では、少なくとも1つのメンブレン層42は、例えば低圧化学蒸着法(LPCVD)又はプラズマ促進化学蒸着法(PECVD)などの化学蒸着法によってスタック60に付設される。LPCVDは比較的高品質の層を生成し、PECVDは望ましいことにより低温で実施することができる。例えば、一実施形態では、少なくとも1つのメンブレン層42は、約500~620℃の範囲内の温度、例えば約560℃で低圧化学蒸着法(LPCVD)によって付設される。しかしながら、PECVD、スパッタリング法、及び薄膜法などのその他の方法を使用することもできる。
【0054】
[0075] 一実施形態では、少なくとも1つのメンブレン層42は、EUV放射のためのその透過率が十分に高く、例えば50%より大きくなるのに十分な薄さである。一実施形態では、少なくとも1つのメンブレン層42の厚さは多くても約200nm、任意選択で多くても約150nmである。150nmの厚さの純粋Siメンブレンは入射EUV放射の約77%を透過するであろう。一実施形態では、少なくとも1つのメンブレン層42の厚さは多くても約100nmである。100nmの厚さの純粋Siメンブレンは入射EUV放射の約84%を透過するであろう。
【0055】
[0076] 一実施形態では、少なくとも1つのメンブレン層42は、メンブレンアセンブリ80がリソグラフィ装置100のパターニングデバイスMAに固定されているとき並びにリソグラフィ装置100の使用中に機械的に安定するのに十分な厚さである。一実施形態では、少なくとも1つのメンブレン層42の厚さは少なくとも約10nm、任意選択で約20nm、任意選択で少なくとも約35nmである。一実施形態では、少なくとも1つのメンブレン層42の厚さは約40nmである。
【0056】
[0077] 例えば
図4~
図17、
図40~
図42、
図51~
図60、及び
図71~
図73に図示されているように、一実施形態では、スタック60は下部キャッピングフィルム47を含む。下部キャッピングフィルム47は平面基板40と少なくとも1つのメンブレン層42との間に配置される。任意選択で、下部キャッピングフィルム47は少なくとも1つのメンブレン層42と接触している。一実施形態では、下部キャッピングフィルム47は本方法によって生成されたメンブレンアセンブリ80のメンブレン70の一部を形成する。
【0057】
[0078] 例えば
図4~
図17、
図40~
図42、
図51~
図60、及び
図71~
図73に図示されているように、一実施形態では、スタック60は上部キャッピングフィルム48を含む。上部キャッピングフィルム48は少なくとも1つのメンブレン層42の上に配置される。任意選択で、上部キャッピングフィルム48は少なくとも1つのメンブレン層42と接触している。一実施形態では、上部キャッピングフィルム48は本方法によって生成されたメンブレンアセンブリ80のメンブレン70の一部を形成する。
【0058】
[0079] リソグラフィ装置100の使用中にメンブレンアセンブリ80が破断することは起こり得ることである。メンブレンアセンブリ80が破断すると、メンブレン70は多くの粒子に分解される可能性がある。特に、少なくとも1つのメンブレン層42が脆弱な性質を有する材料から形成される場合、メンブレンアセンブリ80が破断すると、メンブレン層42は多くの粒子に粉砕される可能性がある。破断したメンブレンアセンブリ80からのデブリはリソグラフィ装置100の他の部分を汚染する可能性がある。例えば、破断したメンブレンアセンブリ80からのデブリはリソグラフィ装置100の光学コンポーネントを汚染する可能性がある。破断したメンブレンアセンブリ80のデブリによる汚染は、リソグラフィ装置100の光学コンポーネントによって実行される光学機能の品質を低減する可能性がある。
【0059】
[0080] 例えば、一実施形態では、少なくとも1つのメンブレン層42は多結晶又はナノ結晶シリコンから形成される。多結晶又はナノ結晶シリコンは脆弱な性質を有する。このため、多結晶又はナノ結晶シリコンから形成されたメンブレン層42を含むメンブレン70を含むメンブレンアセンブリ80は、メンブレンアセンブリ80が破断すると、多くの粒子に粉砕される可能性がある。
【0060】
[0081] 下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48は、メンブレン層42が破断したときに生成されるデブリを少なくとも部分的に収容し、リソグラフィ装置100のその他の部分の汚染を低減することができる。
【0061】
[0082] 一実施形態では、下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方のそれぞれの材料は窒化ケイ素である。例えば、一実施形態では、下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方のそれぞれの材料は非晶質窒化ケイ素である。しかしながら、その他の窒化ケイ素も適切である可能性がある。一実施形態では、下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方のそれぞれは、メンブレン層ブレーキ42が破断したときに下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方のそれぞれがメンブレン層42を収容するというその機能を実行できるようにするのに十分な厚さである。一実施形態では、下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方のそれぞれの厚さは少なくとも約1nm、任意選択で少なくとも約2nmである。一実施形態では、下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方のそれぞれは、下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方を含むメンブレンアセンブリ80のメンブレン70が特にEUV放射の透過について十分良好な光学特性を有するように十分な薄さである。一実施形態では、下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方のそれぞれの厚さは多くても約10nm、任意選択で多くても約5nmである。一実施形態では、下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方のそれぞれの厚さは約2.5nmである。
【0062】
[0083] 下部キャッピングフィルム47又は上部キャッピングフィルム48をスタック60に付設する方法は特に限定されない。一実施形態では、下部キャッピングフィルム47又は上部キャッピングフィルム48は、例えば、約750~900℃の範囲内の温度又は約850℃のLPCVDあるいはPECVDなどの化学蒸着によってスタックに付設される。しかしながら、代替実施形態では、下部キャッピングフィルム47又は上部キャッピングフィルム48は、例えば、スパッタリング法又は薄膜法などによってスタック60に付設される。
【0063】
[0084] 下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方のそれぞれを設けることは必要ではない。一実施形態では、スタック60は、下部キャッピングフィルム47を含まないか、上部キャッピングフィルム48を含まないか、あるいは下部キャッピングフィルム47を含まず、しかも上部キャッピングフィルム48を含まない。一実施形態では、本製造方法によって生成されるメンブレンアセンブリ80は、下部キャッピングフィルム47を含まないか、上部キャッピングフィルム48を含まないか、あるいは下部キャッピングフィルム47を含まず、しかも上部キャッピングフィルム48を含まない。
【0064】
[0085] 一実施形態では、スタック60は少なくとも1つのメンブレン層42の上に上部エッチバリア46を含む。任意選択で、上部エッチバリア46は、少なくとも1つのメンブレン層42又は設けられている場合には上部キャッピングフィルム48の上にあり、これと接触している。一実施形態では、スタック60は少なくとも1つのメンブレン層42の下に下部エッチバリア44を含む。任意選択で、下部エッチバリア44は、少なくとも1つのメンブレン層42又は設けられている場合には下部キャッピングフィルム47の下にあり、これと接触している。上部エッチバリア46及び下部エッチバリア44の両方が設けられる場合、少なくとも1つのメンブレン層42の一部分を一緒に挟んでいる上部エッチバリア46の少なくとも一部分及び下部エッチバリア44の一部分は、メンブレンアセンブリ80を形成するための処理中に除去されて、少なくとも1つのメンブレン層42を解放し、メンブレンを形成する。上部エッチバリア46及び下部エッチバリア44の一方のみが設けられる場合、設けられている上部エッチバリア46又は下部エッチバリア46の少なくとも一部分は、メンブレンアセンブリ80を形成するための処理中に除去されて、少なくとも1つのメンブレン層42を解放し、メンブレンを形成することになる。
【0065】
[0086] 一実施形態では、上部エッチバリア46及び下部エッチバリア44はそれぞれ少なくとも1つのメンブレン層42に直接隣接し、実質的に等しい引張力又は圧縮力を少なくとも1つのメンブレン層42に加えるようにそれぞれ構成される。
【0066】
[0087] 一実施形態では、上部エッチバリア46の厚さで少なくとも50%(任意選択で少なくとも80%、任意選択で少なくとも90%、任意選択で少なくとも95%、任意選択で少なくとも98%、任意選択で少なくとも99%)はそれぞれ下部エッチバリア44の厚さで少なくとも50%(任意選択で少なくとも80%、任意選択で少なくとも90%、任意選択で少なくとも95%、任意選択で少なくとも98%、任意選択で少なくとも99%)と同じ化学組成を有する。一実施形態では、上部エッチバリア46の厚さは、50%未満(任意選択で20%未満、任意選択で10%未満、任意選択で5%未満、任意選択で2%未満、任意選択で1%未満)だけ下部エッチバリア44層の厚さと異なる。従って、少なくとも1つのメンブレン層42は、上部エッチバリア46及び下部エッチバリア44によって対称的に支持される。
【0067】
[0088] 少なくとも1つのメンブレン層42を対称的に支持することにより、少なくとも1つのメンブレン層42のそれぞれの側に同じか又は同様の引張力又は圧縮力が加えられることが保証される。アンバランスな力による少なくとも1つのメンブレン層42のゆがみは低減される。更に、以下の特定の例に関連して記載されているように、下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46の80%以上がテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含む場合、加えられる力は、代替材料(熱酸化物など)と比較してかなり低い圧縮力を含むことになるか、又は引張力さえ含む可能性がある。圧縮力又は引張力がより低いと、そうでなければ平面基板40並びに下部及び上部エッチバリア44、46の除去後に発生する可能性のある、少なくとも1つのメンブレン層42におけるしわ又はふわふわした触感(fluffy texture)が低減される。従って、歩留まりを増加することができる。
【0068】
[0089] 一実施形態では、上部エッチバリア46は異なる組成の複数の層を含む。一実施形態では、複数の層のうちの最も厚い層は、LPCVD又はPECVDを使用して形成されたテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含む。一実施形態では、下部エッチバリア44は異なる組成の複数の層を含む。一実施形態では、複数の層のうちの最も厚い層は、LPCVD又はPECVDを使用して形成されたテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含む。
【0069】
[0090] 一実施形態では、下部エッチバリア44は、第1の下部エッチバリア層と、第2の下部エッチバリア層と、第3の下部エッチバリア層とを順に含む。第1の下部エッチバリア層は平面基板40に最も近い。一実施形態では、第1の下部エッチバリア層は、第2及び第3の下部エッチバリア層より薄く、平面基板40の領域を除去するための除去プロセス(例えば、KOH又はTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)エッチ)に対するエッチストップ層として作用するように構成される。一実施形態では、第1の下部エッチバリア層は窒化ケイ素を含む。窒化ケイ素の層は、例えば、750~900℃の範囲内の温度、例えば850℃のLPCVDあるいはPECVDを使用して形成することができる。一実施形態では、窒化ケイ素の層は約2~10nmの厚さを有する。一実施形態では、第2の下部エッチバリア層はテトラエチルオルトシリケート(TEOS)層を含む。TEOS層は、例えば、725℃のLPCVDあるいはPECVDを使用して形成することができる。一実施形態では、TEOS層は約500nmの厚さを有する。一実施形態では、第3の下部エッチバリア層は犠牲層である。一実施形態では、第3の下部エッチバリア層の組成は、少なくとも1つのメンブレン層42の下部キャッピングフィルム47を除去せずに、選択エッチングによって第3の下部エッチバリア層を除去できるように選択される。一実施形態では、第3の下部エッチバリア層は非晶質シリコン層を含む。一実施形態では、非晶質シリコン層は、約500~620℃の範囲内の温度、例えば約560℃のLPCVDあるいはPECVDを使用して形成される。一実施形態では、第3の下部エッチバリア層は約30nmの厚さである。
【0070】
[0091] 一実施形態では、上部エッチバリア46は、第1の上部エッチバリア層と第2の上部エッチバリア層とを含む。第1の上部エッチバリア層は少なくとも1つのメンブレン層42に最も近い。一実施形態では、第1の上部エッチバリア層は犠牲層である。一実施形態では、第1の上部エッチバリア層の組成は、少なくとも1つのメンブレン層42の上部キャッピング層48を除去せずに、選択エッチングによって第1の上部エッチバリア層を除去できるように選択される。一実施形態では、第1の上部エッチバリア層は非晶質シリコン層を含む。一実施形態では、非晶質シリコン層は、約500~620℃の範囲内の温度、例えば560℃のLPCVDあるいはPECVDを使用して形成される。一実施形態では、第1の上部エッチバリア層は約30nmの厚さである。一実施形態では、第1の上部エッチバリア層の上に位置決めされる第2の上部エッチバリア層はTEOSを含む。TEOSは、例えば725℃のLPCVDあるいはPECVDを使用して形成することができる。一実施形態では、第2の上部エッチバリア層は約500nmの厚さを有する。任意選択で、上部エッチバリア46を下部エッチバリア44と完全に対称的にするために、下部エッチバリア44の第1の下部エッチバリア層と同じ組成を有する第3の上部エッチバリア層を設けることができる。
【0071】
[0092] 例えば
図4に示されているように、平面基板40は、内部領域61と、内部領域61の周りの境界領域62(例えば、平面基板40の平面に対して垂直な方向に見たときに内部領域61を取り囲む)と、境界領域62の周りのブリッジ領域63(例えば、平面基板40の平面に対して垂直な方向に見たときに境界領域62を取り囲む)と、ブリッジ領域63の周りのエッジ領域64(例えば、平面基板40の平面に対して垂直な方向に見たときにブリッジ領域63を取り囲む)とを含む。ブリッジ領域63は第1の部分63Aと第2の部分63Bとを含む。一実施形態では、第1の部分63Aは第2の部分64Aの下にある。
【0072】
【0073】
[0094] メンブレンアセンブリ80はメンブレン70を含む。メンブレン70は少なくとも1つのメンブレン層42から形成される。メンブレン70は少なくとも1つのメンブレン層42を含む。メンブレン70は、下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48など、1つ以上の更なる層を含むことができる。
【0074】
[0095] 例えば
図10に示されているように、内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aの選択的除去後、メンブレンアセンブリ80はメンブレン70を保持する境界を含む。境界は平面基板40の境界領域62から形成される。この段階のメンブレンアセンブリ80は境界の周りのエッジセクションを更に含む。エッジセクションは平面基板40のエッジ領域64から形成される。この段階のメンブレンアセンブリ80は境界とエッジセクションとの間のブリッジを更に含む。ブリッジは少なくとも1つのメンブレン層42及び平面基板40のブリッジ領域63の第2の部分63Bから形成される。
図10の実施形態では、以下に更に詳細に記載されるように、ブリッジはブリッジセクション63の第2の部分63Bの上に追加の層を更に含む。ブリッジ領域63の第1の部分63Aの除去により、境界領域62とエッジ領域64との間の一体接続部が維持されるが、薄型化している。以下に述べる他の実施形態では、ブリッジ領域63は完全に除去することができ、それにより境界領域62とエッジ領域64との間の一体接続部が除去される。
【0075】
[0096] 次に、
図10に示される段階までメンブレンアセンブリを製造するための処理例について更に詳細に説明する。
【0076】
[0097] 最初に、
図3に示されているように平面基板40が設けられる。
【0077】
[0098] 平面基板40は、
図4に示されているように平面基板40上の一連の層を含むスタック60を形成するように処理される。この一連の層は、平面基板40から外側に、下部エッチバリア44、下部キャッピングフィルム47、少なくとも1つのメンブレン層42、上部キャッピングフィルム48、及び上部エッチバリア46を順に含む。下部エッチバリア44、下部キャッピングフィルム47、少なくとも1つのメンブレン層42、上部キャッピングフィルム48、及び上部エッチバリア46の組成の例は上記で開示されている。
【0078】
[0099] スタック60は、
図5に示されているスタック60を形成するように更に処理される。一実施形態では、この処理は、平面基板40までスタック60の最下部の層をエッチングで除去するために、上側保護を含む、複数の連続するウェットエッチングステップ及びドライエッチングステップを含む。
【0079】
[00100] スタック60は、スタック60の最下部にKOH又はTMAHエッチバリア56を付設するために更に処理される。その後、
図6に示されている配置を形成するために、スタック60全体の周りにフォトレジスト層52が形成される。
【0080】
[00101] フォトレジスト層52は、その後のエッチングステップで除去すべき内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aの形状を規定するためにマスク54(
図7)により選択的に露出される。次に、スタック60は、
図8に示されているスタック60を形成するために、現像、ストリッピング、ドライ及びウェットエッチングを含む、複数の連続するステップを使用して処理される。
【0081】
[00102] KOH又はTMAHエッチバリア層56の開口部は、後のステップで平面基板40を通るエッチング速度が内部領域61よりブリッジ領域63の第1の部分63A内でより遅くなるように十分狭く(例えば1mm未満に)なるように形成される。このようにして、内部領域61は平面基板40上に形成された層のうちの少なくとも第1の層まで完全に除去することができ、ブリッジ領域63の第1の部分63Aのみが除去される(ブリッジ領域63の第1の部分63Aの上のブリッジ領域63の第2の部分63Bは除去されない)ように手配することができる。
【0082】
[00103]
図8のスタック60には、
図9に示されているスタックを形成するために保護層72が設けられる。このタイプの実施形態では、保護層72は少なくともスタック60の上面の上に設けられる。従って、少なくとも1つのメンブレン層42は保護層72と平面基板40との間にある。また、保護層はスタック60の側面の上にも設けられる。保護層72は、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aを選択的に除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある。
【0083】
[00104] 平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aを選択的に除去するための除去プロセスは、
図10に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために適用される。一実施形態では、除去プロセスはウェットエッチングプロセスを含む。ウェットエッチャントはKOH又はTMAHにすることができる。例えば、一実施形態では、
図9のスタック60は、KOH又はTMAHの槽内に置かれ、その後、ハンドリングツールを使用してKOH又はTMAHの槽から除去される。EDP(エチレンジアミンとピロカテコールの水溶液)などのその他のウェットエッチャントを使用することもできる。保護層72、下部エッチバリア44、及び上部エッチバリア46の存在は、平面基板40をエッチングするプロセス中にメンブレンが損傷する可能性が低くなるように少なくとも1つのメンブレン層42を機械的に支持するものである。
【0084】
[00105] 一実施形態では、保護層72は、スタック60に十分な機械的保護を提供するのに十分な厚さである。一実施形態では、保護層72は、少なくとも約1μm、任意選択で少なくとも約2μmの厚さを有する。一実施形態では、保護層72は、保護層72を付設するために必要なプロセス時間を十分に短縮するのに十分な薄さである。一実施形態では、保護層72は、多くても約10μm、任意選択で多くても約5μmの厚さを有する。一実施形態では、保護層72は約4μmの厚さを有する。
【0085】
[00106] 保護層72は、平面基板40の内部領域61を選択的に除去するステップ中に境界領域62に機械的保護を提供するために十分に機械的に頑強である。保護層72は、溶剤(例えば、室温で不溶性のもの)、湿気、腐食、薬品侵食に対する耐性があることなどの良好なバリア特性を有し、コーティングされた表面を保護するためにコンフォーマルコーティングにすることができる。一般に、保護層72はピンホールが全くなく、均一な層厚を提供することが望ましい。一実施形態では、平面基板40の内部領域61を選択的に除去するステップは、化学的エッチャント(例えば、KOH又はTMAH)を使用することを含む。このような実施形態では、保護層72は化学的エッチャントに対して化学的に耐性がある。例えば、一実施形態では、保護層72はKOH又はTMAHに対して化学的に耐性がある。これは、化学的エッチャントを使用したときに保護層72がエッチングで全く除去されないか又は平面基板40の内部領域61と比較してかなり遅いエッチング速度で除去されることを意味する。
【0086】
[00107] 一実施形態では、保護層72は、有機ポリマー、例えばパリレン又はProTEK(登録商標)タイプの材料などのポリ(p-キシリレン)ポリマーを含む。
【0087】
[00108] 一実施形態では、保護層72は窒化ケイ素を含む。窒化ケイ素はLPCVD又はPECVDを使用して付着させることができる。
【0088】
[00109] 本方法においてエッジ領域64が依然として境界領域62に接続されている段階では、メンブレンアセンブリ80の形状及びサイズは元の平面基板40の形状及びサイズとほぼ同じになる。リソグラフィ装置100での使用に適した形状を有するメンブレンアセンブリ80を提供するために、ブリッジを切断又は破断することにより、エッジセクションが境界から分離される。
【0089】
[00110] 一実施形態では、メンブレンアセンブリ80に機械的応力を加えることにより、ブリッジが破断される。代替実施形態では、レーザを使用してブリッジを切断することにより、ブリッジが破断される。時にはフレーク除去ツールと呼ばれるデブリ除去ツールを使用して、ブリッジの破断中に発生するデブリ又はフレークを除去することができる。デブリ除去ツールは、例えばブリッジの破断中に吸引を適用することができる。
【0090】
[00111]
図11は、
図11に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために
図10に示されているメンブレンアセンブリ80のブリッジを破断した結果を図示している。この実施形態では、ブリッジは、平面基板40のブリッジ領域63の第2の部分63Bと、ブリッジ領域63の第2の部分63B上に形成された層(下部エッチバリア44、下部キャッピングフィルム47、少なくとも1つのメンブレン層42、上部キャッピングフィルム48、上部エッチバリア46、及び保護層72)とを含んでいた。
【0091】
[00112] この実施形態では、
図12に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために、境界からエッジセクションを分離した後に保護層72が除去される。保護層72は、例えばO
2バレルエッチ又はRIEエッチなどの強力酸素プラズマ処理を使用するかあるいは他の除去技法を使用することにより除去することができる。少なくとも、保護層72のすぐ下に設けることができる上部エッチバリア46は、保護層72を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある。任意選択で、下部エッチバリア44も保護層72を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある。例えば、下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46のいずれか一方又は両方のそれぞれは、保護層72を除去するために適したO
2バレルエッチ、RIEエッチ、又は他の除去技法に対する耐性がある。従って、下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46は保護層72を除去するための除去プロセスのすべての間、少なくとも1つのメンブレン層42及び任意のキャッピングフィルム47、48を保護する。従って、保護層72を除去するための除去プロセスによる少なくとも1つのメンブレン層42及び任意のキャッピングフィルム47、48に対する損傷、例えばその酸化は、低減又は防止される。
【0092】
[00113]
図13に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために、ウェットエッチングを使用して下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46を除去することができる。保護層72の除去後に残存するフレーク又はデブリは、下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46と同時に除去されることになり、メンブレン70上に残存しない。下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46によって提供される機械的強度により、機械的研磨ステップさえメンブレンアセンブリ80に適用することができる。機械的研磨ステップは、エッチングのみと比較して、相対的に大きいデブリ又はフレークを除去するためにより効果的である可能性がある。例えば、機械的研磨プロセスを使用して上部エッチバリア46の第1の部分を除去することができ、上部エッチバリア46の残りの部分はウェットエッチングによって除去される。
【0093】
[00114] 平面基板40の残りの露出した部分(
図13の実施形態では境界領域62)の周りに更なるキャッピングフィルム74を設けることが望ましい可能性がある。このような更なるキャッピングフィルム74は、例えば平面基板40からのガス抜けによるリソグラフィ装置100の汚染を低減又は防止することができる。一実施形態では、更なるキャッピングフィルム74は、
図14に示されているメンブレンアセンブリ80を提供するために
図13に示されているメンブレンアセンブリ80の外面全体に付設される。
【0094】
[00115] 代替実施形態では、更なるキャッピングフィルム74は、メンブレンアセンブリ80の上面を覆わないように形成される。これは、保護層72を除去せずに少なくとも1つのメンブレン層42の下にある下部エッチバリア44の一部分を除去できるように、
図9~
図11の配置に保護層72及び下部エッチバリア44を形成することによって達成することができる。保護層72を除去せずに下部エッチバリア44の一部分を選択的に除去することにより形成されたメンブレンアセンブリ80の一例は
図15に示されている。
【0095】
[00116] その後のステップでは、少なくとも1つのメンブレン層42及び上部キャッピングフィルム48まで側面を覆うために更なるキャッピングフィルム74が設けられる。この更なるキャッピングフィルム74はメンブレンアセンブリ80の下側のすべての表面も覆う。それにより
図16に示されている配置が生成される。
【0096】
[00117] その後、
図17に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために保護層72及び上部エッチバリア46が除去される。
【0097】
[00118] 平面基板40の表面の周りの更なるキャッピングフィルム74を形成するための更なる代替実施形態では、下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方を省略することができる。下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方を省略するように
図4に示されているスタック60を形成する方法が変更されることを除いて、
図3~
図13に関連して上述したプロセスフローを使用することができる。下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方がないことを除いて、
図13に示されているメンブレンアセンブリ80と同じメンブレンアセンブリ80が形成される。次に、
図18に図示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために、メンブレンアセンブリ80のすべての周りに更なるキャッピングフィルム74(この場合はこれが唯一のキャッピングフィルムになる可能性がある)が付設される。
【0098】
[00119] 上記の諸実施形態では、上部キャッピングフィルム48の下のメンブレンアセンブリ80のすべての表面を覆うものとして更なるキャッピングフィルム74が示されている。これは不可欠なものではない。その他の実施形態では、更なるキャッピングフィルムは平面基板のすべての表面を覆うが、メンブレン70の下面は覆わない。このようにして、メンブレン70を通る透過率を減少させずに、平面基板40からのガス抜け又は汚染を低減又は回避することができる。
【0099】
[00120]
図3~
図18に関連して上述した諸実施形態は、保護層72を除去する前に境界からのエッジセクションの分離が実行される。保護層72を除去する前に分離を実行することの利点は、分離プロセスによって生成されるデブリ又はフレークが少なくとも1つのメンブレン層42上ではなく保護層72に付着することである。従って、デブリ又はフレークは容易に除去することができる。しかしながら、これは不可欠なものではない。
【0100】
[00121]
図40~
図42は、分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための処理例を図示している。
【0101】
[00122]
図5に示されている配置から始めて、
図40に示されている配置を形成するための処理が実行される。スタック60の最下部にエッチバリア56(例えば、KOH又はTMAHエッチバリア)が付設される。その後、この実施形態の処理が上部エッチバリア46も除去することを除いて、例えば
図7及び
図8に関連して上述したプロセスと類似したやり方で、開口部を実行するようにエッチバリア56にパターン形成して処理される。次に、
図40に示されているスタック60を形成するために保護層72が設けられる。保護層72は、
図40に示されているように、スタック60の上面の上、側面の上、及び下面の周縁部分の上に設けられる。エッチバリア56にパターン形成することによって形成された開口部は保護層72によって覆われない。保護層72は、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aを選択的に除去するために使用される除去プロセスに対して耐性があり、上記の保護層72のための組成のいずれか(例えばパリレン)を有することができる。
【0102】
[00123] 次に、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aを選択的に除去するための除去プロセスが適用される。メンブレン層42の下側の下部エッチバリア44も除去される(例えば、ウェットエッチングを使用する)。その後、保護層72が除去される。保護層72は、上記の保護層72を除去するための方法のいずれか(例えば強力酸素プラズマ処理)を使用して除去することができる。それにより
図41に示されているメンブレンアセンブリ80が生成される。
【0103】
[00124] その後、
図42に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために、
図41に示されているメンブレンアセンブリ80のブリッジが破断される。
【0104】
[00125]
図40~
図42に関連して上述した処理の変形例では、メンブレンアセンブリ80のブリッジが破断された後に保護層72の除去を実行することができる。保護層72は、ブリッジの破断中にメンブレン層42に対して有用な機械的支持を提供することができる。
【0105】
[00126]
図51~
図53は、分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための代替処理例を図示している。
【0106】
[00127]
図9の配置から始めて、
図51に示されている配置を実行するための処理が実行される。平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aを選択的に除去するための除去プロセスが実行される。メンブレン層42の下側の下部エッチバリア44も除去される(例えば、ウェットエッチングを使用する)。その後、保護層72が除去される。保護層72は、上記の保護層72を除去するための方法のいずれか(例えば強力酸素プラズマ処理)を使用して除去することができる。それにより
図51に示されているメンブレンアセンブリ80が生成される。上部エッチバリア46は保護層72の除去中に少なくとも1つのメンブレン層42を保護する。
【0107】
[00128] その後、
図52に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために、上部エッチバリア46が除去される(例えば、ウェットエッチングを使用する)。
【0108】
[00129] その後、
図53に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために、
図52に示されているメンブレンアセンブリ80のブリッジが破断される。
【0109】
[00130]
図54~
図60は、分離の前に保護層72が除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための代替処理例を図示している。
【0110】
[00131]
図54に示されている平面基板40から始めて、
図55に示されているように平面基板40上に一連の層を含むスタック60が生成される。この一連の層は、平面基板40から外側に、下部犠牲層76、下部エッチバリア44、下部キャッピングフィルム47、少なくとも1つのメンブレン層42、上部キャッピングフィルム48、及び上部エッチバリア46を順に含む。下部エッチバリア44、下部キャッピングフィルム47、少なくとも1つのメンブレン層42、上部キャッピングフィルム48、及び上部エッチバリア46の組成の例は上記で開示されている。
【0111】
[00132] 一実施形態では、下部犠牲層76は窒化ケイ素を含む。下部犠牲層76を付着させる方法は特に限定されない。一実施形態では、下部犠牲層76は化学蒸着によって平面基板40に付設される。例えば、一実施形態では、下部犠牲層76はLPCDV又はPECVDによって付設される。代替的に、下部犠牲層は、スパッタリング法を使用して又は薄膜法によって付設することができる。下部犠牲層76の厚さは特に限定されない。一実施形態では、下部犠牲層76の厚さは10nm~150nmの範囲内、任意選択で100nmの範囲内である。
【0112】
[00133]
図56に示されているスタック60を形成するために、スタック60は更に処理される。一実施形態では、この処理は、平面基板40までスタック60の最下部の層をエッチングで除去するために、上側保護を含む、複数の連続するウェットエッチングステップ及びドライエッチングステップを含む。その後、スタック60の周りにエッチバリア56(例えば、KOH又はTMAHエッチバリア)が付設される。その後、
図56に示されているスタック60を生成するために、例えば
図7及び
図8に関連して上述したプロセスと類似したやり方で、開口部を実行するようにスタック56の最下部のエッチバリア56にパターン形成して処理される。
【0113】
[00134] 次に、スタック60の上面の上、側面の上、及び下面の周縁部分の上に保護層72が設けられる。エッチバリア56にパターン形成することによって形成された開口部は保護層72によって覆われない。保護層72は、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aを選択的に除去するために使用される除去プロセスに対して耐性があり、上記の保護層72のための組成のいずれか(例えばパリレン)を有することができる。その後、
図57に示されているメンブレンアセンブリを生成するために、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aを選択的に除去するための除去プロセスが実行される。
【0114】
[00135] その後、保護層72が除去される。保護層72は、上記の保護層72を除去するための方法のいずれか(例えば強力酸素プラズマ処理)を使用して除去することができる。それにより
図58に示されているメンブレンアセンブリ80が生成される。この実施形態では少なくとも1つのメンブレン層42は対称的に支持される。エッチバリア56及び上部エッチバリア46は少なくとも1つのメンブレン層42の一方の側に存在する。下部犠牲層76及び下部エッチバリア44は少なくとも1つのメンブレン層42のもう一方の側に存在する。エッチバリア56は下部犠牲層76と同じ組成及び/又は厚さを有することができる。追加的に又は代替的に、上部エッチバリア46は下部エッチバリア44と同じ組成及び/又は厚さを有することができる。上記のように、少なくとも1つのメンブレン層42を対称的に支持することにより、望ましいことに、少なくとも1つのメンブレン層42のそれぞれの側に同じか又は同様の引張力又は圧縮力が加えられることが保証される。
【0115】
[00136] その後、
図59に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために、下部犠牲層76、下部エッチバリア44、上部エッチバリア46、及びエッチバリア56が除去される(例えばウェットエッチングによる)。
【0116】
[00137] その後、
図60に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために、
図59に示されているメンブレンアセンブリ80のブリッジが破断される。
【0117】
[00138]
図54~
図60に関連して上述した処理の変形例では、メンブレンアセンブリ80のブリッジが破断された後に保護層72の除去を実行することができる。保護層72は、ブリッジの破断中にメンブレン層42に対して有用な機械的支持を提供することができる。このタイプの一実施形態では、
図57の配置から始まるブリッジの破断により
図68のメンブレンアセンブリを提供することになるであろう。保護層72の除去(例えば強力酸素プラズマ処理を使用する)は
図69のメンブレンアセンブリを提供する。その後、
図70に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために、下部犠牲層76、下部エッチバリア44、上部エッチバリア46、及びエッチバリア56が除去される(例えばウェットエッチングによる)。
【0118】
[00139]
図54~
図60に関連して上述した処理の更なる変形例では、保護層72は使用されない。このタイプの一実施形態では、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aを選択的に除去し、それにより
図71に示されているメンブレン80を生成するために、
図56に示されているスタック60が直接的に処理される。その後、
図72に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために、
図71に示されているメンブレンアセンブリ80のブリッジが除去される。その後、
図73に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために、下部犠牲層76、下部エッチバリア44、上部エッチバリア46、及びエッチバリア56が除去される(例えばウェットエッチングによる)。
【0119】
[00140]
図3~
図18に関連して上述した諸実施形態では、ブリッジ領域63はエッチングによって不完全に除去されるだけである。これは不可欠なものではない。これらの実施形態は、平面基板40の一部分を選択的に除去するための除去プロセスによって内部領域61及びブリッジ領域63のすべてを選択的に除去し、それにより平面基板40の境界領域62とエッジ領域64との間の一体接続部を除去するように適合させることができる。この手法は、ブリッジ領域63の不完全な除去に関連する利点から恩恵を受けるものではない(後述する)。しかしながら、保護層72の除去の前にエッジセクションを境界から分離することに関連する利点は保持される(これが実行される場合)。
【0120】
[00141] ブリッジ領域63のすべてが除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための処理例について、
図43~
図46に関連して説明する。
【0121】
[00142]
図5に示されている配置から始めて、
図43に示されている配置を形成するための処理が実行される。スタック60の最下部にエッチバリア56が付設される(例えばKOH又はTMAHエッチバリア)。その後、この実施形態の処理が上部エッチバリア46も除去することを除いて、例えば
図7及び
図8に関連して上述したプロセスと類似したやり方で、開口部を実行するようにエッチバリア56にパターン形成して処理される。次に、
図43に示されているスタック60を形成するために保護層72が設けられる。保護層72は、
図43に示されているように、スタック60の上面の上、側面の上、及び下面の周縁部分の上に設けられる。エッチバリア56にパターン形成することによって形成された開口部は保護層72によって覆われない。保護層72は、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63のすべてを選択的に除去するために使用される除去プロセスに対して耐性があり、上記の保護層72のための組成のいずれか(例えばパリレン)を有することができる。
【0122】
[00143] 次に、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63のすべてを選択的に除去するための除去プロセスが適用される。
図44に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために、メンブレン層42の下側の下部エッチバリア44も除去される(例えば、ウェットエッチングを使用する)。
【0123】
[00144] その後、
図45に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために、エッジ領域64が境界領域62から分離される。保護層72はこのプロセス中に機械的支持を提供する。
【0124】
[00145] その後、保護層72が除去される。保護層72は、上記の保護層72を除去するための方法のいずれか(例えば強力酸素プラズマ処理)を使用して除去することができる。それにより
図46に示されているメンブレンアセンブリ80が生成される。
【0125】
[00146] ブリッジ領域63のすべてが除去される、メンブレンアセンブリ80を製造するための代替処理例について、
図47~
図50に関連して説明する。
【0126】
[00147]
図5に示されている配置から始めて、
図47に示されている配置を形成するための処理が実行される。スタック60の最下部にエッチバリア56が付設される(例えばKOH又はTMAHエッチバリア)。その後、例えば
図7及び
図8に関連して上述したプロセスと類似したやり方で、開口部を実行するようにエッチバリア56にパターン形成して処理される。次に、
図47に示されているスタック60を形成するために保護層72が設けられる。保護層72は、
図47に示されているように、スタック60の上面の上、側面の上、及び下面の周縁部分の上に設けられる。エッチバリア56にパターン形成することによって形成された開口部は保護層72によって覆われない。保護層72は、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63のすべてを選択的に除去するために使用される除去プロセスに対して耐性があり、上記の保護層72のための組成のいずれか(例えばパリレン)を有することができる。
【0127】
[00148] 次に、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63のすべてを選択的に除去するための除去プロセスが実行される。メンブレン層42の下側の下部エッチバリア44も除去される(例えば、ウェットエッチングを使用する)。
【0128】
[00149] その後、
図48に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために、保護層72が除去される。保護層72は、上記の保護層72を除去するための方法のいずれか(例えば強力酸素プラズマ処理)を使用して除去することができる。
【0129】
[00150] その後、
図49に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために、エッジ領域64が境界領域62から分離される。エッジ領域64の分離はエッジ領域の除去と呼ぶこともできる。
【0130】
[00151] その後、
図50に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために、上部エッチバリア46が除去される(例えばウェットエッチングによる)。
図19~
図26は、代替実施形態による方法における段階を図示している。この実施形態は、ブリッジ領域63の第1の部分63Aの上の第2の部分63Bを除去せずに第1の部分63Aを選択的に除去することにより平面基板40のエッジ領域64の分離が達成されるという点で
図3~
図18に関連して上述した諸実施形態と同様のものである。第2の部分63Bから形成されたブリッジは、その後、機械的応力を加えるか又はレーザを使用することによって破断される。
【0131】
[00152] この方法は、
図3に関連して上述した平面基板40を使用して始めることができる。平面基板40は、その後、
図19に示されているように平面基板40上の一連の層を含むスタック60を形成するように処理することができる。この一連の層は、平面基板40から外側に、下部犠牲層76、下部エッチバリア44、少なくとも1つのメンブレン層42、及び上部エッチバリア46を順に含む。下部エッチバリア44、少なくとも1つのメンブレン層42、及び上部エッチバリア46は、例えば
図3~
図18に関連して上述したように形成することができる。スタック60は、任意選択で
図3~
図18に関連して上述したように形成された少なくとも1つのメンブレン層42の周りに下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方を任意選択で更に含むことができる。
【0132】
[00153] 下部犠牲層76の特徴例は上述されている。
【0133】
[00154] スタック60は、
図20に示されているスタック60を形成するように更に処理される。この処理は、スタック60の最下部の層をエッチングで除去するために、上側保護を含む、複数の連続するウェットエッチングステップ及びドライエッチングステップを含むことができる。
【0134】
[00155] スタック60は、スタック60の周りに保護層72を形成するように更に処理される。保護層72は、例えば
図9に関連して上述したように形成することができる。次に、
図21に図示されているスタック60を形成するために、スタック60の最下部にパターン付きKOH又はTMAHバッチエリア56が形成される。この処理は、例えば、
図7及び
図8に関連して上述したように、現像、ストリッピング、ドライ及びウェットエッチングが続く、マスク及びフォトレジスト層の使用を含むことができる。
【0135】
[00156]
図21は、平面基板40の内部領域61、境界領域62、ブリッジ領域63、及びエッジ領域64を図示している。
【0136】
[00157]
図22に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために、平面基板40の内部領域61及びブリッジ領域63の第1の部分63Aを選択的に除去するための除去プロセスが適用される。この除去プロセスは、例えば
図10に関連して上述したように実行することができる。
【0137】
[00158]
図23に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために保護層72が除去される。保護層72は、例えば
図12に関連して上述したように除去することができる。
図24は
図23のメンブレンアセンブリ80の下面図である。
【0138】
[00159] この実施形態では、平面基板80は複数のメンブレンアセンブリ80を提供するように構成される。複数のメンブレンアセンブリ80のレイアウト例は
図24に示されている。この概略例では、10個の対応する内部領域61の除去により下部エッチバリア44が目に見える10個の領域が示されている。10個の領域のそれぞれは境界領域62から形成された境界によって取り囲まれる。それぞれの境界は(
図24で見ると)平面基板40のブリッジ領域63の残りの第2の部分63Bによって形成された閉じたループによって取り囲まれる。次に、第2の部分63Aのすべては平面基板40のエッジ領域64によって形成されたエッジセクションによって取り囲まれる。
【0139】
[00160] この実施形態により複数のメンブレンアセンブリ80を平面基板40から形成することは必要ではない。本方法は、単一のメンブレンアセンブリ80のみを形成するように適合させることができる。また、
図3~
図18に関連して上述した方法が平面基板40から単一のメンブレンアセンブリ80のみを形成することも不可欠なものではない。これらの方法は複数のメンブレンアセンブリ80を形成するように適合させることができる。
【0140】
[00161]
図23及び
図24に示されているメンブレンアセンブリ80は、下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46を除去し、線78(
図25参照)に沿って個々のメンブレンアセンブリ80を分離するブリッジを破断することにより、複数のメンブレンアセンブリ80を形成するように処理される。それによりエッジセクションはそれぞれの境界から分離される。
図26は、
図25に示されている線78に沿って破断した後に形成された2つのメンブレンアセンブリ80を一例として示している。ブリッジは、例えば
図11に関連して上述したように破断することができる。
【0141】
[00162] 上記の実施形態により、メンブレンアセンブリ80は、少なくとも1つのメンブレン層42と設けられている場合に下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48とを除いてメンブレン70内のすべての層の除去の後に比較的遅れて分離される。この手法により、元の平面基板40と同じサイズのオブジェクトの取り扱いに適したハンドリング装置を使用して製造プロセスの大部分を実行することができる。これは、元の平面基板40が標準的なシリコンウェーハサイズである場合にコストを低減するものである。
【0142】
[00163]
図3~
図18に関連して記載されている方法とは対照的に、この実施形態では、境界からのエッジセクションの分離は保護層72を除去した後に実行される。これは不可欠なものではない。この方法は、保護層72を除去する前に分離を実行するように適合させることができる。保護層72を除去する前に分離を実行することの利点は、分離プロセスによって生成されるデブリ又はフレークが少なくとも1つのメンブレン層42上ではなく保護層72に付着することである。従って、デブリ又はフレークはより容易に除去することができる。保護層72を除去した後に分離を実行することの利点は、保護層72を切断又は破断することが必要ではないので分離をより容易に実行できることである。この段階で保護層72がないことにより、生成されるデブリ又はフレークの量を低減することができる。
【0143】
[00164] 本発明者は、平面基板40がエッチングで完全に貫通していない(例えば、ブリッジ領域63の第2の部分63Bが残存するような)ブリッジを使用してメンブレンアセンブリ80を形成すると、メンブレンアセンブリ80のエッジにおける脆性を低減し、デブリ又はフレークの発生を低減又は回避することに気付いている。脆性の低減は、平面基板40の側面が平面基板40の上面と接する場合に平面基板40の材料の薄型化の低減に関連すると考えられている。エッチングは垂直方向に対して斜角(例えば約54度)で進行する傾向がある。エッチングが完全に平面基板40を貫通して進行することが可能であるときに、斜角は側面と上面が接する場合に薄いくさび様の形状を提供する。ブリッジがエッチングで完全に貫通していない場合、この薄型化は低減又は回避される。例えば、ブリッジの破断が近垂直線に沿った分割を伴う場合、側面は約90度で上面と接し、いかなる薄型化も発生しない(ブリッジ領域63の第1の部分63Aの除去に関連する薄型化を除く)。
【0144】
[00165]
図27~
図33は、代替実施形態によりメンブレンアセンブリ80を製造する方法における段階を図示している。この実施形態では、スタック60が設けられる。スタック60は平面基板40と少なくとも1つのメンブレン層42とを含む。平面基板40から外側に、下部犠牲層76、下部エッチバリア44、少なくとも1つのメンブレン層42、及び上部エッチバリア46という一連の層を順に設けることができる。下部エッチバリア44、少なくとも1つのメンブレン層42、及び上部エッチバリア46は、例えば
図3~
図18に関連して上述したように形成することができる。スタック60は、任意選択で
図3~
図18に関連して上述したように形成された少なくとも1つのメンブレン層42の周りに下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方を任意選択で更に含むことができる。
【0145】
[00166] 平面基板40は、内部領域61と、内部領域61の周りの境界領域62と、境界領域62の周りのブリッジ領域63と、境界領域63の周りのエッジ領域64とを含む。
【0146】
[00167] 第1の保護層72Aはスタック60の少なくとも上面の上に設けられる。少なくとも1つのメンブレン層42は第1の保護層72Aと平面基板40との間にある。第1の保護層72Aはスタック60の側面の上にも設けられる。このような配置の一例は
図27に示されている。第1の保護層72Aは、例えば
図3~
図26に関連して上述した保護層72と同じ組成を有することができる。一実施形態では、第1の保護層72Aは窒化ケイ素を含む。窒化ケイ素はLPCVD又はPECVDを使用して付着させることができる。窒化ケイ素の厚さは10nm~150nmの範囲内、任意選択で100nmの範囲内にすることができる。
【0147】
[00168] 平面基板40のブリッジ領域63の少なくとも一部分を選択的に除去するために、スタック60及び第1の保護層72Aに第1の除去プロセスが適用される。それにより境界領域62とエッジ領域64との間の一体接続部が薄型化又は除去される。第1の保護層72Aは第1の除去プロセスに対して耐性がある。第1の除去プロセスは、
図3~
図26に関連して上述した保護層72を除去するための除去プロセスと同じであるか又は異なるものにすることができる。
【0148】
[00169] 一実施形態では、第1の除去プロセスは、
図27に図示されているスタック60を形成するためにスタック60の最下部にパターン付きKOH又はTMAHエッチバリア56を形成することを含む。この処理は、例えば、
図7及び
図8に関連して上述したように、現像、ストリッピング、ドライ及びウェットエッチングが続く、マスク及びフォトレジスト層の使用を含むことができる。
【0149】
[00170]
図28は、
図27に示されているスタック60の概略下面図である。それぞれが上に重なる内部領域61及び境界領域62を保護する複数の領域56は、エッチャントが接触して、少なくとも部分的にブリッジ領域63を除去する場所を規定する狭いギャップ57によってそれぞれ取り囲まれる。ブリッジ領域63の少なくとも部分的な除去の後、エッジ領域64及びエッジ領域64上に形成された層を除去し、それにより複数の分離スタック61を形成することができる。複数の分離スタック62を生成することは不可欠なものではない。その他の実施形態では、初期平面基板40は、(例えば、ブリッジ領域63の残りの部分及びブリッジ領域63上に形成された層を切断又は破断することによる)エッジ領域64及びエッジ領域46上に形成された層の除去後に単一のスタック60のみをもたらす可能性がある(例えば、形成すべきメンブレンアセンブリ80のサイズが比較的大きく、例えば初期平面基板40と同程度のサイズである場合)。
【0150】
[00171]
図29は、エッジ領域64の除去後に基板アセンブリの少なくとも側面の上に第2の保護層72Bを付設した後の分離スタック61の1つを示している。第1の保護層72Aの残りの部分と第2の保護層72Bとを組み合わせると、この段階で分離スタック61が完全にカプセル化される。
図29は、平面基板40内の内部領域61及び境界領域62の位置を示すための一点鎖線を含む。第2の保護層72Bは、第1の保護層72Aと同じ組成又は異なる組成を有することができる。一実施形態では、第2の保護層72Bは窒化ケイ素を含む。窒化ケイ素はLPCVD又はPECVDを使用して付着させることができる。窒化ケイ素の厚さは10nm~150nmの範囲内、任意選択で100nmの範囲内にすることができる。
【0151】
[00172] 内部領域61を選択的に除去するために、第2の除去プロセスが適用される。第2の保護層72Bは第2の除去プロセスに対して耐性がある。この選択的除去は、
図30に示されているように第1又は第2の保護層72A、72Bに開口部73を形成するために第1又は第2の保護層72A、72Bを選択的に除去することによって達成することができる。一実施形態では、開口部73はリソグラフィ及びドライエッチングを使用して形成される。第2の除去プロセスは第1の除去プロセスと同じであるか又は異なるものにすることができる。一実施形態では、第2の除去プロセスはKOH又はTMAHエッチを含む。
【0152】
[00173] 内部領域61の除去によりメンブレンアセンブリ80が形成される。このようなメンブレンアセンブリ80の一例は
図31に示されている。メンブレンアセンブリ80は少なくとも1つのメンブレン層42から形成されたメンブレン70を含む。メンブレンアセンブリ80は、メンブレン70を保持する境界を更に含む。境界は平面基板40の境界領域62から形成される。
【0153】
[00174] メンブレンアセンブリ80は、第1及び第2の保護層72A、72Bを除去するために更に処理することができる(
図32参照)。第1及び第2の保護層72A、72Bは、例えばウェットエッチングを使用して除去することができる。
【0154】
[00175] メンブレンアセンブリ80は、下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46を除去するために更に処理することができる(
図33参照)。下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46は、例えばウェットエッチングを使用して除去することができる。
【0155】
[00176] メンブレンアセンブリ80は、残りの犠牲層(例えば非晶質シリコン層)を除去するために更に処理することができる。残りの犠牲層は、例えばウェットエッチングを使用して除去することができる。
【0156】
[00177]
図27~
図33に示されているタイプの諸実施形態では、エッチングを使用して平面基板40から個々のメンブレンアセンブリ80を分離する(例えば切り取る)ことができる。レーザ切断などの代替分離プロセスを使用するよりエッチングを使用して滑らかな側壁を設ける方が容易である。より滑らかな側壁を設けると、保護層(第2の保護層72Bなど)の効率的かつ信頼できる付設が容易になる。
【0157】
[00178]
図34~
図39は、代替実施形態によりメンブレンアセンブリ80を製造する方法における段階を図示している。この実施形態では、スタック60が設けられる。スタック60は平面基板40と少なくとも1つのメンブレン層42とを含む。平面基板40から外側に、下部犠牲層、下部エッチバリア44、少なくとも1つのメンブレン層42、及び上部エッチバリア46という一連の層を順に設けることができる。下部エッチバリア44、少なくとも1つのメンブレン層42、及び上部エッチバリア46は、例えば
図3~
図18に関連して上述したように形成することができる。スタック60は、任意選択で
図3~
図18に関連して上述したように形成された少なくとも1つのメンブレン層42の周りに下部キャッピングフィルム47及び上部キャッピングフィルム48のいずれか一方又は両方を任意選択で更に含むことができる。スタック60の下側は平面基板40の下側までエッチングで除去される。この処理は、スタック60の最下部の層をエッチングで除去するために、上側保護を含む、複数の連続するウェットエッチングステップ及びドライエッチングステップを含むことができる。スタック60は、例えば
図5又は
図20に関連して上述したように形成することができる。
【0158】
[00179] 一実施形態では、スタック60はエッチ抵抗コーティング82でカプセル化される。エッチ抵抗コーティング82は、エッチ除去プロセスから保護されるスタック60の領域及びエッチ除去プロセスから保護されないスタック60の領域を規定するために、スタック60の下側でパターン形成される。この処理は、例えば、
図7及び
図8に関連して上述したように、現像、ストリッピング、ドライ及びウェットエッチングが続く、マスク及びフォトレジスト層の使用を含むことができる。一実施形態では、エッチ除去プロセスはKOH又はTMAHエッチであり、エッチ抵抗コーティング82は上記のKOH又はTMAHエッチバリア56と同じ組成を有する。一実施形態では、エッチ抵抗コーティング82は窒化ケイ素を含む。一実施形態では、スタック60の下側にパターンを形成するために窒化物ドライエッチングが適用される。
【0159】
[00180] エッチ抵抗コーティング82の第1の部分を除去するために、平面基板40の内部領域61、境界領域62、及びブリッジ領域63の上のスタック60の上側の領域に機械的研磨ステップが適用される。機械的研磨ステップは、エッチングのみと比較して、相対的に大きいデブリ又はフレークを除去するためにより効果的である可能性がある。その後、エッチ抵抗コーティング82の第2の部分を除去するために、平面基板40の内部領域61、境界領域62、及びブリッジ領域63の上のスタック60の上側の領域にエッチ抵抗層82のエッチングに効果的なエッチングプロセスが適用される。第2の部分は第1の部分の下にあったものである。結果として生じる配置は
図34に示されている。エッチ抵抗コーティング82の開口部84は、エッチ抵抗コーティング82の第1の部分及び第2の部分が除去される前に位置していた場所である。
【0160】
[00181] その後、少なくともスタック60の最上部のスタック60と、任意選択でスタック60の側面に保護層72が付設される(
図35参照)。保護層72は、例えば
図3~
図26に関連して上述した組成を有することができる。
【0161】
[00182] 内部領域61及びブリッジ領域63の少なくとも一部分を選択的に除去するために除去プロセスが適用され、それにより平面基板40の境界領域62とエッジ領域64との間の一体接続部を薄型化又は除去して、
図36に示されているメンブレンアセンブリ80を形成する。この除去プロセスは例えばKOH又はTMAHエッチを含むことができる。保護層72は、より容易に及び/又はスタックの破損あるいはデブリ又はフレークの発生という危険性がより少ない状態でクリーニングプロセスを適用できるようにするのに十分な機械的強度を提供する。
【0162】
[00183] その後のステップでは、
図37に示されている配置を提供するために、保護層72が除去される。下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46は、保護層72を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性があり、除去プロセスによる損傷から少なくとも1つのメンブレン層42を保護する。
【0163】
[00184] その後のステップでは、
図38に示されている配置を提供するために、ブリッジを切断又は破断することによりエッジセクションが境界から分離される。内部領域61、境界領域62、及びブリッジ領域63の上のエッチ抵抗コーティング82の第1の部分及び第2の部分を除去すると、ブリッジの切断又は破断が容易になり、この段階でのデブリ又はフレークの発生が低減される。
【0164】
[00185] その後のステップでは、
図39に示されているメンブレンアセンブリ80を提供するために、下部エッチバリア44及び上部エッチバリア46が除去される。
【0165】
[00186]
図61~
図67は、メンブレンアセンブリ80を製造するための更なる代替処理フローを図示している。例えば
図61及び
図64に示されているように、このタイプの諸実施形態では、平面基板40と少なくとも1つのメンブレン層42とを含むスタック60が設けられる。平面基板40は、内部領域61と、内部領域61の周りの境界領域62と、境界領域62の周りのエッジ領域64とを含む。
【0166】
[00187] その後、エッジ領域64(及びエッジ領域64の上又は下に形成された任意の層)を除去することができる。このプロセスはダイシングと呼ぶことができる。
【0167】
[00188] エッジ領域64の除去後、少なくとも1つのメンブレン層42が保護層72と平面基板40との間になるようにスタックの少なくとも上面の上並びにスタック60の側面の上に保護層72が付設される。エッジ領域の除去前に保護層72が付設される、この方法の変形例については
図47~
図50に関連して上述されている。
【0168】
[00189] その後、除去プロセスを使用して内部領域61を選択的に除去する。保護層72は除去プロセスに対して耐性がある。この段階までの処理の結果の例は
図62及び
図65に示されている。
【0169】
[00190] その後、少なくとも1つのメンブレン層42から形成されたメンブレン70を含むメンブレンアセンブリ80を提供するために、保護層72が除去される。メンブレンアセンブリ80は、メンブレン70を保持する境界を含む。境界は平面基板40の境界領域62から形成される。この段階までの処理の結果の例は
図63及び
図67に示されている。
【0170】
[00191] 次に、処理フローの例に関する更なる詳細について、
図61~
図63及び
図64~
図67に関連して示す。どちらの例でも、少なくとも1つのメンブレン層42が少なくとも上部エッチバリア46及び下部エッチバリア44によって上下が取り囲まれる間に、エッジ領域64からの平面基板40の内部領域61及び境界領域62の分離が実行される。少なくとも1つのメンブレン層42は上部エッチバリア46及び下部エッチバリア44によって保護される。
【0171】
[00192]
図5に示されている配置から始めて、
図61に示されているスタック60を形成するための処理が実行される。スタック60の最下部にエッチバリア56が付設される(例えばKOH又はTMAHエッチバリア)。その後、例えば
図7及び
図8に関連して上述したプロセスと類似したやり方で、開口部を形成するようにエッチバリア56にパターン形成して処理される。
【0172】
[00193] その後、エッジ領域64から平面基板40の内部領域61及び境界領域62を分離するために、スタック60がダイシングされる(
図61に一点鎖線114によって示される)。次に、スタック60の上面の上、側面の上、及び下面の周縁部分の上に保護層72が設けられる。エッチバリア56にパターン形成することによって形成された開口部は保護層72によって覆われない。保護層72は、平面基板40の内部領域61を選択的に除去するために使用される除去プロセスに対して耐性があり、上記の保護層72のための組成のいずれか(例えばパリレン)を有することができる。次に、平面基板40の内部領域61を選択的に除去するための除去プロセスが適用される。メンブレン層42の下側の下部エッチバリア44も除去される(例えば、ウェットエッチングを使用する)。それにより
図62に示されているメンブレンアセンブリ80が提供される。
【0173】
[00194] その後、保護層72が除去される。保護層72は、上記の保護層72を除去するための方法のいずれか(例えば強力酸素プラズマ処理)を使用して除去することができる。
【0174】
[00195] その後、
図63に示されているメンブレンアセンブリ80を生成するために、上部エッチバリア46が除去される(例えばウェットエッチングによる)。
【0175】
[00196]
図61~
図63に関連して記載されている方法の変形例について、
図64~
図67に関連して以下に説明する。この変形例では、エッチバリア56のパターン形成が
図61に示されているエッチバリア56のパターン形成と同じ形式を有するように、
図56に示されているスタック60を形成するための上記の処理が変更される。それによりこのパターン形成は、複数の開口部ではなく平面基板40の内部領域61の除去によりブリッジ領域63のすべて又は一部の除去も可能になるようにする単一の開口部を規定する。それにより
図64に示されているスタック60が設けられる。
【0176】
[00197] その後、エッジ領域64から平面基板40の内部領域61及び境界領域62を分離するために、スタック60がダイシングされる(
図64に一点鎖線114によって示される)。次に、スタック60の上面の上、側面の上、及び下面の周縁部分の上に保護層72が設けられる。エッチバリア56にパターン形成することによって形成された開口部は保護層72によって覆われない。保護層72は、平面基板40の内部領域61を選択的に除去するために使用される除去プロセスに対して耐性があり、上記の保護層72のための組成のいずれか(例えばパリレン)を有することができる。次に、平面基板40の内部領域61を選択的に除去するための除去プロセスが実行される。それにより
図65に示されているメンブレンアセンブリ80が提供される。
【0177】
[00198] その後、
図66に示されているメンブレンアセンブリ80を提供するために、保護層72が除去される。保護層72は、上記の保護層72を除去するための方法のいずれか(例えば強力酸素プラズマ処理)を使用して除去することができる。
【0178】
[00199] その後、
図67に示されているメンブレンアセンブリ80を形成するために、下部犠牲層76、下部エッチバリア44、上部エッチバリア46、及びエッチバリア56が除去される(例えばウェットエッチングによる)。
【0179】
[00200] 一実施形態では、メンブレンアセンブリ80は、パターニングデバイスMAの前に置かれたペリクルとして使用することができ、従ってパターニングデバイスMAを保護することができる。本発明の一実施形態は、ペリクルの脆性の低減を達成することが期待される。本発明の一実施形態は、メンブレンアセンブリを大量に生産することをより容易にすることが期待される。また、本発明の一実施形態は、フレーム内に統合された自立形メンブレンの処理を可能にすることが期待される。
【0180】
[00201] 一実施形態では、メンブレンアセンブリ80は、13.5nmの波長を有する放射の少なくとも80%、任意選択で少なくとも90%を透過するように構成される。一実施形態では、メンブレンアセンブリ80は、DUV放射(約100~400nm)の5%未満を透過するように構成される。
【0181】
[00202] 本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0182】
[00203] 以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は、説明したものとは別の方法で実施することができることが理解されよう。例えば、様々なフォトレジスト層を、同じ機能を実行する非フォトレジスト層と置き換えることができる。
【0183】
[00204] 上記の説明は、例示的なものであり、限定するものではない。従って、以下に示す特許請求の範囲及び条項の範囲から逸脱することなく、記載された本発明に対して変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
[条項1]
平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、前記平面基板が内部領域と、前記内部領域の周りの境界領域と、前記境界領域の周りのブリッジ領域と、前記ブリッジ領域の周りのエッジ領域とを含むことと、
前記内部領域と前記ブリッジ領域の第1の部分とを選択的に除去して、
前記少なくとも1つのメンブレン層から形成されたメンブレンと、
前記メンブレンを保持する境界であって、前記平面基板の前記境界領域から形成された境界と、
前記境界の周りのエッジセクションであって、前記平面基板の前記エッジ領域から形成されたエッジセクションと、
前記境界と前記エッジセクションとの間のブリッジであって、前記少なくとも1つのメンブレン層及び前記平面基板の前記ブリッジ領域の第2の部分から形成されたブリッジと、
を含むメンブレンアセンブリを提供することと、
前記ブリッジを切断又は破断することにより前記エッジセクションを前記境界から分離することと、
を含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法。
[条項2]
前記メンブレンアセンブリに機械的応力を加えることにより、前記ブリッジが破断される、条項1記載の方法。
[条項3]
レーザを使用して前記ブリッジが切断される、条項1記載の方法。
[条項4]
前記スタックが、
前記少なくとも1つのメンブレン層が保護層と前記平面基板との間になるように前記スタックの少なくとも上面の上並びに前記スタックの側面の上の保護層であって、前記内部領域及び前記ブリッジ領域の前記第1の部分を選択的に除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある保護層と、
前記少なくとも1つのメンブレン層と前記保護層との間にある上部エッチバリア及び前記少なくとも1つのメンブレン層と前記平面基板との間にある下部エッチバリアと、
を更に含み、
前記方法が、前記内部領域及び前記ブリッジ領域の前記第1の部分が除去された後に前記保護層を除去することを更に含み、少なくとも前記上部エッチバリアが前記保護層を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある、条項1から3のいずれかに記載の方法。
[条項5]
前記保護層と、前記少なくとも1つのメンブレン層の一部分を一緒に挟んでいる前記上部エッチバリアの一部分及び前記下部エッチバリアの一部分とを除去することを更に含む、条項4記載の方法。
[条項6]
平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、前記平面基板が内部領域と、前記内部領域の周りの境界領域と、前記境界領域の周りのブリッジ領域と、前記境界領域の周りのエッジ領域とを含むことと、
前記少なくとも1つのメンブレン層が第1の保護層と前記平面基板との間になるように前記スタックの少なくとも上面の上並びに前記スタックの側面の上に第1の保護層を付設することと、
前記スタック及び前記第1の保護層に第1の除去プロセスを適用して、前記平面基板の前記ブリッジ領域の少なくとも一部分を選択的に除去し、それにより前記平面基板の前記境界領域と前記エッジ領域との間の一体接続部を薄型化又は除去することであって、前記第1の保護層が前記第1の除去プロセスに対して耐性があることと、
前記エッジ領域及び前記エッジ領域上に形成された層を除去することと、
前記エッジ領域の除去後に基板アセンブリの少なくとも側面の上に第2の保護層を付設することと、
第2の除去プロセスを適用して前記内部領域を選択的に除去して、
前記少なくとも1つのメンブレン層から形成されたメンブレンと、
前記メンブレンを保持する境界であって、前記平面基板の前記境界領域から形成された境界と、
を含むメンブレンアセンブリを提供することであって、前記第2の保護層が前記第2の除去プロセスに対して耐性があることと、
を含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法。
[条項7]
前記スタックが上部エッチバリアと下部エッチバリアとを更に含み、前記少なくとも1つのメンブレン層が前記上部エッチバリアと前記下部エッチバリアとの間に位置し、
前記方法が、前記内部領域が除去された後に前記第2の保護層を除去することを更に含み、少なくとも前記上部エッチバリアが前記第2の保護層を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある、条項6記載の方法。
[条項8]
前記少なくとも1つのメンブレン層の一部分を一緒に挟んでいる前記上部エッチバリアの一部分及び前記下部エッチバリアの一部分を除去することを更に含む、条項7記載の方法。
[条項9]
平面基板と少なくとも1つのメンブレン層と保護層とを含むスタックを設けることであって、前記少なくとも1つのメンブレン層が前記保護層と前記平面基板との間にあり、前記平面基板が内部領域と、前記内部領域の周りの境界領域と、前記境界領域の周りのブリッジ領域と、前記ブリッジ領域の周りのエッジ領域とを含むことと、
除去プロセスを使用して前記内部領域及び前記ブリッジ領域の少なくとも一部分を選択的に除去し、それにより前記平面基板の前記境界領域と前記エッジ領域との間の一体接続部を薄型化又は除去することであって、前記保護層が前記除去プロセスに対して耐性があることと、
前記エッジ領域及び前記エッジ領域上に形成された層を基板アセンブリから分離し、その後、前記保護層を除去して、
前記少なくとも1つのメンブレン層から形成されたメンブレンと、
前記メンブレンを保持する境界であって、前記平面基板の前記境界領域から形成された境界と、
を含むメンブレンアセンブリを提供することと、
を含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法。
[条項10]
前記スタックが、前記少なくとも1つのメンブレン層と前記保護層との間にある上部エッチバリア及び前記少なくとも1つのメンブレン層と前記平面基板との間にある下部エッチバリアを更に含み、少なくとも前記上部エッチバリアが前記保護層を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある、条項9記載の方法。
[条項11]
前記少なくとも1つのメンブレン層の一部分を一緒に挟んでいる前記上部エッチバリアの一部分及び前記下部エッチバリアの一部分を除去することを更に含む、条項10記載の方法。
[条項12]
平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、前記平面基板が内部領域と、前記内部領域の周りの境界領域と、前記境界領域の周りのエッジ領域とを含むことと、
前記エッジ領域及び前記エッジ領域上に形成された層を除去することと、
前記少なくとも1つのメンブレン層が保護層と前記平面基板との間になるように前記スタックの少なくとも上面の上並びに前記スタックの側面の上に保護層を付設することと、
第1の除去プロセスを使用して前記内部領域を選択的に除去することであって、前記保護層が前記第1の除去プロセスに対して耐性があることと、
第2の除去プロセスを使用して前記保護層を除去して、
前記少なくとも1つのメンブレン層から形成されたメンブレンと、
前記メンブレンを保持する境界であって、前記平面基板の前記境界領域から形成された境界と、
を含むメンブレンアセンブリを提供することと、
を含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法。
[条項13]
前記保護層を付設することが前記エッジ領域の除去後に実行される、条項12記載の方法。
[条項14]
前記保護層を付設することが前記エッジ領域の除去前に実行される、条項12記載の方法。
[条項15]
前記スタックが、上部エッチバリアが前記少なくとも1つのメンブレン層と前記保護層との間になるように前記保護層が付設される上部エッチバリアと、前記少なくとも1つのメンブレン層と前記平面基板との間にある下部エッチバリアとを更に含み、少なくとも前記上部エッチバリアが前記保護層を除去するために使用される前記第2の除去プロセスに対して耐性がある、条項12から14のいずれかに記載の方法。
[条項16]
前記少なくとも1つのメンブレン層の一部分を一緒に挟んでいる前記上部エッチバリアの一部分及び前記下部エッチバリアの一部分を除去することを更に含む、条項15記載の方法。
[条項17]
平面基板と少なくとも1つのメンブレン層とを含むスタックを設けることであって、前記平面基板が内部領域と、前記内部領域の周りの境界領域と、前記境界領域の周りのブリッジ領域と、前記ブリッジ領域の周りのエッジ領域とを含むことと、
エッチ抵抗コーティングで前記スタックをカプセル化し、前記スタックの下側の前記エッチ抵抗コーティングにパターン形成して、前記エッチ抵抗コーティングによって保護される前記スタックの領域及び前記エッチ抵抗コーティングによって保護されない前記スタックの領域を規定することと、
前記平面基板の前記内部領域、境界領域、及びブリッジ領域の上の前記スタックの上側の領域に機械的研磨プロセスを適用して、前記エッチ抵抗コーティングの第1の部分を除去することと、
前記平面基板の前記内部領域、境界領域、及びブリッジ領域の上の前記スタックの上側の前記領域に前記エッチ抵抗コーティングをエッチングするために効果的なエッチングプロセスを適用して、前記エッチ抵抗コーティングの第2の部分を除去することと、
前記スタックの少なくとも上側を覆う保護層を付設することと、
除去プロセスを使用して前記内部領域及び前記ブリッジ領域の少なくとも一部分を選択的に除去し、それにより前記平面基板の前記境界領域と前記エッジ領域との間の一体接続部を薄型化又は除去して、
前記少なくとも1つのメンブレン層から形成されたメンブレンと、
前記メンブレンを保持する境界であって、前記平面基板の前記境界領域から形成された境界と、
前記境界の周りのエッジセクションであって、前記平面基板の前記エッジ領域から形成されたエッジセクションと、
前記境界と前記エッジセクションとの間のブリッジであって、前記少なくとも1つのメンブレン層及び前記平面基板の前記ブリッジ領域の残りの部分から形成されたブリッジと、
を含むメンブレンアセンブリを提供することと、
前記ブリッジを切断又は破断することにより前記エッジセクションを前記境界から分離することと、
を含む、EUVリソグラフィ用のメンブレンアセンブリを製造する方法。
[条項18]
前記スタックが上部エッチバリアと下部エッチバリアとを更に含み、前記少なくとも1つのメンブレン層が前記上部エッチバリアと前記下部エッチバリアとの間に位置し、
前記方法が、前記内部領域が除去された後に前記保護層を除去することを更に含み、少なくとも前記上部エッチバリアが前記保護層を除去するために使用される除去プロセスに対して耐性がある、条項17記載の方法。
[条項19]
前記少なくとも1つのメンブレン層の一部分を一緒に挟んでいる前記上部エッチバリアの一部分及び前記下部エッチバリアの一部分を除去することを更に含む、条項18記載の方法。
[条項20]
前記上部エッチバリアが異なる組成の複数の層を含み、前記複数の層のうちの最も厚い層が、低圧化学蒸着法又はプラズマ促進化学蒸着法を使用して形成されたテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含む、条項4、5、7、8、10、11、15、16、及び18から19のいずれかに記載の方法。
[条項21]
前記下部エッチバリアが異なる組成の複数の層を含み、前記複数の層のうちの最も厚い層が、低圧化学蒸着法又はプラズマ促進化学蒸着法を使用して形成されたテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含む、条項4、5、7、8、10、11、15、16、及び18から20のいずれかに記載の方法。
[条項22]
前記上部エッチバリア及び前記下部エッチバリアがそれぞれ前記少なくとも1つのメンブレン層に直接隣接し、実質的に等しい引張力又は圧縮力を前記少なくとも1つのメンブレン層に加えるようにそれぞれ構成される、条項4、5、7、8、10、11、15、16、及び18から21のいずれかに記載の方法。
[条項23]
前記平面基板がシリコンウェーハを含む、条項1から22のいずれかに記載の方法。
[条項24]
前記少なくとも1つのメンブレン層が非晶質シリコンの層を含む、条項1から23のいずれかに記載の方法。
[条項25]
前記少なくとも1つのメンブレン層が前記非晶質シリコン層のそれぞれの側に窒化ケイ素層を更に含む、条項24記載の方法。
[条項26]
前記メンブレンが13.5nmの波長を有する放射に対して少なくとも80%の透過性である、条項1から25のいずれかに記載の方法。
[条項27]
前記保護層あるいは適用可能である場合に前記第1の保護層又は前記第2の保護層が、有機ポリマー層、及び低圧化学蒸着法又はプラズマ促進化学蒸着法を使用して形成された窒化物層のうちの1つ以上を含む、条項1から26のいずれかに記載の方法。
[条項28]
前記メンブレンアセンブリがパターニングデバイス又は動的ガスロック用である、条項1から27のいずれかに記載の方法。
[条項29]
条項1から28のいずれかに記載の製造方法によって得られるか又は得られたメンブレンアセンブリ。
[条項30]
放射ビームにパターンを付与するように構成されたパターニングデバイスと、
条項1から28のいずれかに記載の方法によって製造されたメンブレンアセンブリを含み、前記パターニングデバイスを保護するように構成されたペリクルと、
を含む、リソグラフィ装置。
[条項31]
リソグラフィを使用してデバイスを製造するために条項30記載のリソグラフィ装置を使用することを含む、デバイス製造方法。