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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】焦点距離可変レンズ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20221111BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20221111BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20221111BHJP
   G02B 3/14 20060101ALI20221111BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20221111BHJP
   G02B 21/02 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/06
G02B21/36
G02B3/14
G02B7/04 C
G02B21/02 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018146605
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020021014
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 光司
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-223651(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0177376(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00 - 21/36
G02B 7/02 - 7/16
G02B 1/00 - 1/08
G02B 3/00 - 3/14
A61B 3/00 - 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される駆動信号に応じて合焦位置が周期的に変化する焦点距離可変レンズと、
前記焦点距離可変レンズを介して観察対象物に光を照射する光源と、
前記観察対象物で反射された後に前記焦点距離可変レンズによる合焦位置に対して共役関係をなす位置を通る光を導く導光部と、
前記導光部に導かれた光を前記観察対象物に照射する照明光学系と、
前記焦点距離可変レンズを通して前記観察対象物を撮像する撮像部と、
を備えることを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。
【請求項2】
請求項に記載された焦点距離可変レンズ装置において、
前記照明光学系は、前記導光部から出射した光を拡散させる拡散板を含んでいることを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。
【請求項3】
請求項または請求項に記載された焦点距離可変レンズ装置において、
前記焦点距離可変レンズは、
前記駆動信号に応じて屈折率が周期的に変化する液体レンズユニットと、
前記液体レンズユニットと同じ光軸上に配置された対物レンズと、
前記対物レンズの射出瞳と前記液体レンズユニットの主点位置とを共役にするよう配置された複数のリレーレンズと、を備えることを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点距離可変レンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屈折率が周期的に変化する液体レンズシステム(以下、単にレンズシステムと呼ぶ)を利用した焦点距離可変レンズが開発されている(例えば特許文献1参照)。
レンズシステムは、圧電材料で形成された円筒状の振動部材を、透明な液体に浸漬して形成される。レンズシステムにおいて、振動部材の内周面と外周面とに交流電圧を印加すると、振動部材が厚み方向に伸縮し、振動部材の内側の液体を振動させる。液体の固有振動数に応じて印加電圧の周波数を調整することで、液体には同心円状の定在波が形成され、振動部材の中心軸線を中心として屈折率が異なる同心円状の領域が形成される。このため、レンズシステムにおいて、振動部材の中心軸線に沿って光を通せば、この光は同心円状の領域ごとの屈折率に従って、発散または収束する経路を辿ることになる。
【0003】
焦点距離可変レンズは、前述したレンズシステムと、焦点を結ぶための対物レンズ(例えば通常の凸レンズあるいはレンズ群)とを、同じ光軸上に配置して構成される。
通常の対物レンズに平行光を入射させると、レンズを通過した光は所定の焦点距離にある焦点位置に焦点を結ぶ。これに対し、焦点距離可変レンズに平行光を入射させると、当該平行光はレンズシステムで発散または収束され、対物レンズを通過した光は元の(レンズシステムがなかった状態の)焦点位置よりも遠くまたは近くにずれた位置に焦点を結ぶ。
【0004】
焦点距離可変レンズを組み込んだ焦点距離可変レンズ装置においては、レンズシステムに入力される駆動信号(内部の液体に定在波を発生させる周波数の交流電圧)を印加し、この駆動信号の振幅を増減させることで、焦点距離可変レンズの焦点位置を一定の範囲内(対物レンズの焦点位置を基準としてレンズシステムにより変化させることのできる所定の範囲内)で任意に制御することができる。
【0005】
焦点距離可変レンズ装置において、レンズシステムに入力される駆動信号としては、例えば正弦波状の交流信号が用いられる。このような駆動信号が入力されると、焦点距離可変レンズ装置の焦点位置は正弦波状に変化する。この際、駆動信号の振幅が0のとき、レンズシステムを通る光は屈折されず、焦点距離可変レンズの焦点位置は対物レンズの焦点位置と一致する。駆動信号の振幅が正負のピークにあるとき、レンズシステムを通る光は最も大きく屈折され、焦点距離可変レンズ装置の焦点位置は対物レンズの焦点位置から最も離れた状態となる。
【0006】
このような焦点距離可変レンズ装置において、観察対象物の画像を取得する際には、駆動信号の正弦波の位相に同期した発光信号を出力してパルス照明を行う。これにより、正弦波状に変化する焦点位置のうち、所定の焦点位置にある状態でパルス照明を行うことで、この焦点位置にある観察対象物の画像が検出される。一周期のうち複数の位相でパルス照明を行い、各位相に対応して画像検出を行えば、同時に複数の焦点位置の画像を得ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2010/0177376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した焦点距離可変レンズ装置においては、パルス照明のタイミングを調整することにより、焦点位置が観察対象物の表面に一致した瞬間の画像(合焦画像)を取得することができる。しかし、パルス照明のタイミング調整は、画像のコントラスト情報などを元にして手動で行われるため、多くの手間と時間を必要とする。
【0009】
本発明の目的は、合焦画像を簡単に取得できる焦点距離可変レンズ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による焦点距離可変レンズ装置は、入力される駆動信号に応じて合焦位置が周期的に変化する焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズを介して観察対象物に検出光を照射する光源と、前記観察対象物で反射された前記検出光を受光して受光信号を出力する受光部と、入力される前記受光信号に基づき、前記検出光が前記観察対象物の表面で合焦した合焦タイミングに同期した発光信号を出力する信号処理部と、入力される前記発光信号に基づいて前記観察対象物に照明光をパルス照射する照明部と、前記焦点距離可変レンズを通して前記観察対象物を撮像する撮像部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明では、焦点距離可変レンズによる合焦位置が、入力される駆動信号に応じて周期的に変化する。このため、光源から出射された検出光は、焦点距離可変レンズを通過することにより、光軸方向の集光位置を変化させながら観察対象物に照射される。
受光部は、観察対象物で反射された検出光を受光して受光信号を出力する。信号処理部は、受光部から入力された受光信号に基づき、検出光が観察対象物の表面で合焦した合焦タイミングに同期した発光信号を出力する。
なお、受光信号に基づいて合焦タイミングを求める方法は、共焦点法、ダブルピンホール法、非点収差法、ナイフエッジ法など、様々な焦点検出法を利用することができる。例えば、共焦点法を利用する場合、受光部は、焦点距離可変レンズによる合焦位置が観察対象物の表面に一致しているときに受光信号がピークとなるよう配置される。これにより、信号処理部は、受光信号のピークを合焦タイミングとして検出し、当該合焦タイミングに同期した発光信号を出力することができる。
【0012】
照明部は、信号処理部から入力された発光信号に基づいて、観察対象物に照明光を照射する。すなわち、観察対象物は、合焦タイミングに合わせて照明光をパルス照射される。このため、撮像部は、焦点距離可変レンズによる合焦位置が観察対象物の表面に一致したときの画像(合焦画像)を取得することができる。
以上のように、本発明では、合焦画像を取得するためのパルス照明のタイミングが自動で調整され、従来技術のような手動での調整を必要としない。よって、観察対象物の合焦画像を簡単に取得することができる。
なお、本発明におけるパルス照射とは、撮像部が焦点ブレに問題のない画像を取得できる程度の極短い時間、照明光が照射されることを意味しており、当該パルス照射は、焦点距離可変レンズの駆動周期に合わせて繰り返されてもよいし、1回単独であってもよい。
【0013】
本発明の焦点距離可変レンズ装置において、前記焦点距離可変レンズは、入力される前記駆動信号に応じて屈折率が周期的に変化する液体レンズユニットと、前液体レンズユニットと同じ光軸上に配置された対物レンズと、前記対物レンズの射出瞳と前記液体レンズユニットの主点位置とを共役にするよう配置された複数のリレーレンズと、を備えることが好ましい。
本発明では、焦点距離可変レンズによる合焦位置が変動しても、撮像部に入射する像の倍率は一定になるため、視野の変動がなく良好な観察が可能である。
【0014】
本発明の他の態様による焦点距離可変レンズ装置は、入力される駆動信号に応じて合焦位置が周期的に変化する焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズを介して観察対象物に光を照射する光源と、前記観察対象物で反射された後に前記焦点距離可変レンズによる合焦位置に対して共役関係をなす位置を通る光を導く導光部と、前記導光部に導かれた光を前記観察対象物に照射する照明光学系と、前記焦点距離可変レンズを通して前記観察対象物を撮像する撮像部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明では、上述した一態様と同様、焦点距離可変レンズによる合焦位置は、入力される駆動信号に応じて周期的に変化する。このため、光源から出射された光は、焦点距離可変レンズを通過することにより、光軸方向の集光位置を変化させながら観察対象物に照射される。
ここで、光源からの光が観察対象物の表面で合焦した合焦タイミングのときのみ、当該観察対象物で反射された光は、焦点距離可変レンズの後側焦点位置で集光され、導光部に入射する。そして、導光部に導かれた光は、照明光学系を介して観察対象物に照射される。すなわち、本発明では、光源から出射して観察対象物で反射された光が、合焦タイミングにのみ、戻り光として観察対象物に照射される。このため、観察対象物は、合焦タイミングに合わせて光をパルス照射される。よって、撮像部は、合焦位置が観察対象物の表面に一致したときの画像(合焦画像)を取得することができる。
【0016】
したがって、本発明では、合焦画像を取得するためのパルス照明のタイミングが自動で調整され、従来技術のような手動での調整を必要としない。よって、観察対象物の合焦画像を簡単に取得することができる。
また、本発明では、照明光源や発光信号の処理装置を必要せず、コストを削減することができる。
【0017】
本発明の焦点距離可変レンズ装置において、前記照明光学系は、前記導光部から出射した光を拡散させる拡散板を含んでいることが好ましい。
本発明では、観察対象物に照射される光の開口数を高めることができるため、照明状態の選択肢を増やすことができる。
【0018】
本発明の焦点距離可変レンズ装置において、前記焦点距離可変レンズは、前記駆動信号に応じて屈折率が周期的に変化する液体レンズユニットと、前記液体レンズユニットと同じ光軸上に配置された対物レンズと、前記対物レンズの射出瞳と前記液体レンズユニットの主点位置とを共役にするよう配置された複数のリレーレンズと、を備えることが好ましい。
本発明では、焦点距離可変レンズによる合焦位置が変動しても、撮像部に入射する像の倍率は一定になるため、視野の変動がなく良好な観察が可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、合焦画像を簡単に取得できる焦点距離可変レンズ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る焦点距離可変レンズ装置を示す模式図。
図2】前記第1実施形態の液体レンズユニットの構成を示す模式図。
図3】前記第1実施形態の液体レンズユニットの振動状態を示す模式図。
図4】前記第1実施形態の液体レンズユニットによる合焦位置を示す模式図。
図5】前記第1実施形態の制御部の構成を模式的に示すブロック図。
図6】前記第1実施形態の合焦位置、受光信号および発光信号を示すグラフ。
図7】本発明の第2実施形態に係る焦点距離可変レンズ装置を示す模式図。
図8】前記第2実施形態の照明光学系を示す模式図。
図9】前記第2実施形態の変形例による照明光学系を示す模式図。
図10】前記第2実施形態の変形例による照明光学系の拡散板を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態を図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、焦点距離可変レンズ装置1は、周期的に合焦位置が変化する焦点距離可変レンズ10を含んで構成され、焦点距離可変レンズ10を通る光軸Aに交差して配置された観察対象物Wの画像を取得するものである。
具体的には、焦点距離可変レンズ装置1は、検出光を出射する光源6と、検出光の光路を形成する光学系(導光部7およびコリメートレンズ75)と、焦点距離可変レンズ10を構成する対物レンズ2および液体レンズユニット3と、観察対象物Wで反射された検出光を受光する受光部8と、観察対象物Wに照明光をパルス照射する照明部4と、焦点距離可変レンズ10を通して観察対象物Wを撮像する撮像部5と、を備えている。
さらに、焦点距離可変レンズ装置1は、液体レンズユニット3の動作を制御するレンズ制御部95と、レンズ制御部95を操作するための制御部9と、を備えている。制御部9は、受光信号Sdを取り込んで処理し、照明部4に発光信号Ciを出力する機能も含んでいる。
【0022】
(焦点距離可変レンズ)
図1に示すように、焦点距離可変レンズ10は、対物レンズ2および液体レンズユニット3を含んで構成される。
対物レンズ2は、既存の凸レンズあるいはレンズ群で構成される。対物レンズ2は、液体レンズユニット3と同じ光軸A上に配置されている。
液体レンズユニット3は、内部にレンズシステムが構成され、レンズ制御部95から入力される駆動信号Cfに応じて屈折率が変化する。駆動信号Cfは、液体レンズユニット3に定在波を発生させる周波数の交流であって、正弦波状の交流信号である。
焦点距離可変レンズ10を通過する光の合焦位置Pfは、対物レンズ2の焦点距離を基本としつつ、液体レンズユニット3の屈折率を変化させることで、任意に変化させることができる。
【0023】
図2図4は、焦点距離可変レンズ10の基本的構成を説明するためのものであり、図2および図4では、焦点距離可変レンズ10のうち、対物レンズ2の射出瞳のリレー行うリレーレンズ52,53等の図示を省略している。
図2において、液体レンズユニット3は、円筒形のケース31を有し、ケース31の内部には円筒状の振動部材32が設置されている。振動部材32は、その外周面33とケース31の内周面との間に介装されたエラストマ製のスペーサ39で支持されている。
振動部材32は、圧電材料を円筒状に形成したものであり、外周面33と内周面34との間に駆動信号Cfの交流電圧が印加されることで、厚み方向に振動する。
ケース31の内部には、透過性の高い液体35が充填されており、振動部材32は全体を液体35に浸漬され、円筒状の振動部材32の内側は液体35で満たされている。駆動信号Cfの交流電圧は、振動部材32の内側にある液体35に定在波を発生させる周波数に調整されている。
【0024】
図3に示すように、液体レンズユニット3においては、振動部材32を振動させると、内部の液体35に定在波が生じ、屈折率が交替する同心円状の領域が生じる(図3(A)部および図3(B)部参照)。
このとき、液体レンズユニット3の中心軸線からの距離(半径)と液体35の屈折率との関係は、図3(C)部に示す屈折率分布Rのようになる。
【0025】
図4において、駆動信号Cfは正弦波状の交流信号であるため、液体レンズユニット3における液体35の屈折率分布Rの変動幅もこれに従って変化する。そして、液体35に生じる同心円状の領域の屈折率が正弦波状に変化し、これにより合焦位置Pfが正弦波状に変動する。なお、図4では、対物レンズ2の焦点位置から合焦位置Pfまでの距離Dが示される。
図4(A)の状態では、屈折率分布Rの振れ幅が最大となり、液体レンズユニット3は通過する光を収束させ、合焦位置Pfは対物レンズ2に最も近くなっている。
図4(B)の状態では、屈折率分布Rが平坦となり、液体レンズユニット3は通過する光をそのまま通過させ、合焦位置Pfは標準的な値となっている。
図4(C)の状態では、屈折率分布Rが図4(A)と逆極性で振れ幅が最大となり、液体レンズユニット3は通過する光を拡散させ、合焦位置Pfは対物レンズ2から最も遠くなっている。
図4(D)の状態では、再び屈折率分布Rが平坦となり、液体レンズユニット3は通過する光をそのまま通過させ、合焦位置Pfは標準的な値となっている。
図4(E)の状態では、再び図4(A)の状態に戻っており、以下同様の変動を繰り返すことになる。
このように、焦点距離可変レンズ10においては、駆動信号Cfは正弦波状の交流信号であり、合焦位置Pfも、図4の焦点変動波形Mfのように正弦波状に変動する。
なお、焦点距離可変レンズ10では、焦点距離可変レンズ10の主点が変動することで、焦点距離(焦点距離可変レンズ10の主点から合焦位置Pfまでの距離)が一定のまま、合焦位置Pfが変化する場合も含む。
【0026】
また、図1に示すように、焦点距離可変レンズ10は、上述した対物レンズ2および液体レンズユニット3だけでなく、リレーレンズ52,53および絞り54を含む。リレーレンズ52,53は、対物レンズ2の射出瞳と液体レンズユニット3の主点位置とを共役にするように、対物レンズ2および液体レンズユニット3の間に配置され、絞り54は、リレーレンズ52,53間に配置される。リレーレンズ52,53および絞り54は、テレセントリック光学系を保ちながら対物レンズ2の射出瞳のリレーを行うため、焦点距離可変レンズ10による合焦位置Pfが変動しても、撮像部5に入射する像の倍率は一定になる。
【0027】
(撮像光学系)
焦点距離可変レンズ装置1において撮像を行うための撮像光学系について、図1を参照して説明する。
照明部4は、観察対象物Wに照明光Liをパルス照射するものであり、照明光Liを出射する照明光源41、照明光源41から出射した照明光Liを導くライトガイド42、および、ライトガイド42から出射した照明光Liを調整して対物レンズ2に入射させる照明光学系43を有する。
照明光源41は、LEDなどの発光素子を含んで構成され、入力されるパルス状の発光信号Ciに基づいて照明光Liを出射する。具体的には、照明光源41は、発光信号Ciがハイレベルの間だけ照明光Liを出射し、発光信号Ciがローレベルの間は照明光Liの出射を停止する。
ライトガイド42は、光ファイバなどから構成され、照明光源41に接続されている。ライトガイド42は、照明光源41から出射された照明光Liを、照明光学系43に伝送する。
【0028】
照明光学系43は、コレクタレンズ44、コンデンサレンズ45、視野絞り46および開口絞り47を有しており、ライトガイド42から伝搬された照明光Liを適宜調整して対物レンズ2に入射させる。
また、照明光学系43は、対物レンズ2と後述のリレーレンズ52との間に配置されたビームスプリッタ48を有している。ビームスプリッタ48は、コンデンサレンズ45側から入射する照明光Liを対物レンズ2側に反射する。ビームスプリッタ48で反射された照明光Liは、対物レンズ2を介して観察対象物Wに照射される。
また、ビームスプリッタ48は、リレーレンズ52側から入射する光(後述の検出光Ls)を対物レンズ2側に透過させると共に、観察対象物Wで反射して対物レンズ2側から入射する光(照明光Li、検出光Ls)をリレーレンズ52側に透過させる。
【0029】
撮像光学系51は、ビームスプリッタ55、反射板56および結像レンズ57を備えている。
ビームスプリッタ55は、焦点距離可変レンズ10とコリメートレンズ75との間に配置される。ビームスプリッタ55は、焦点距離可変レンズ10側から入射する光(照明光Liおよび検出光Lsを含む光)を分離し、一方の光束を反射板56側に反射すると共に、他方の光束をコリメートレンズ75側に透過させる。また、ビームスプリッタ55は、コリメートレンズ75側から入射する光(検出光Ls)を焦点距離可変レンズ10側に透過させる。
ビームスプリッタ55で反射された一方の光束は、反射板56で反射された後、結像レンズ57によって撮像部5上で結像する。
【0030】
撮像部5は、既存のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどにより構成されている。撮像部5は、焦点距離可変レンズ10を通して観察対象物Wを撮像し、撮像した画像Imを所定の信号形式で制御部9に出力する。
【0031】
(検出光学系)
次に、焦点距離可変レンズ装置1において、受光信号Sdを取得するための検出光学系について説明する。
光源6は、例えばレーザ光源であり、照明光Liとは異なる波長の検出光Lsを連続的に出射する。
導光部7は、ファイバスプリッタ71および光ファイバ72~74を有する。ファイバスプリッタ71は、光ファイバ72~74のそれぞれの一端部が接合される光路を有しており、光ファイバ73から入射される光を光ファイバ72に導き、光ファイバ72から入射される光を光ファイバ74に導くように構成されている。
【0032】
光ファイバ73の他端部は、光源6に接続されている。このため、光源6から出射した検出光Lsは、光ファイバ73、ファイバスプリッタ71、および光ファイバ72を経由し、光ファイバ72の端面720から出射する。ここで、光ファイバ72の端面720は、点光源として機能する。
また、光ファイバ74の他端部は、受光部8に接続されている。このため、光ファイバ72の端面720に入射された検出光Lsは、光ファイバ72、ファイバスプリッタ71および光ファイバ74を経由して受光部8に入射される。
ここで、光ファイバ72の端面720は、コリメートレンズ75の後側焦点位置Pcに配置されている。すなわち、光ファイバ72の端面720は、焦点距離可変レンズ10による合焦位置Pfに対して共役関係を成す位置に配置されている。
【0033】
コリメートレンズ75は、光軸A上において、光ファイバ72の端面720と、焦点距離可変レンズ10との間に配置される。
コリメートレンズ75は、光ファイバ72の端面720から出射した検出光Lsを平行光に変換し、焦点距離可変レンズ10に入射させる。また、コリメートレンズ75は、観察対象物Wで反射して焦点距離可変レンズ10を再通過した検出光Lsを集光する。
【0034】
受光部8は、例えば光電子倍増管やフォトダイオード等であり、光ファイバ74の他端部に接続されている。受光部8は、光ファイバ74を介して入射される検出光Lsを受光し、受光した光の強度に応じた受光信号Sdを出力する。
【0035】
以上の構成において、光源6から出射した検出光Lsは、導光部7を経由して光ファイバ72の端面720から出射した後、コリメートレンズ75によって光軸Aに沿って平行化され、焦点距離可変レンズ10を介して観察対象物Wに照射される。観察対象物Wの表面で反射された検出光Lsは、焦点距離可変レンズ10を再通過した後、コリメートレンズ75により集光される。
ここで、焦点距離可変レンズ10による合焦位置Pfは、光軸A方向に周期的に変化するものである。このため、合焦位置Pfが観察対象物Wの表面に一致しているときのみ、当該表面で反射した検出光Lsが、コリメートレンズ75の後側焦点位置Pcにスポットを形成し、光ファイバ72の端面720に入射される。
よって、受光部8に入射される検出光Lsは、合焦位置Pfが観察対象物Wの表面に一致しているときに極大化する。すなわち、受光部8が出力する受光信号Sdは、合焦位置Pfが観察対象物Wの表面に一致したときにピークを示す。
【0036】
(制御部)
図5に示すように、制御部9は、例えばCPU(Central Precessing Unit)およびメモリ等を有するパーソナルコンピュータ等により構成される。制御部9は、所定のソフトウェアを実行することで所期の機能が実現されるものであり、レンズ制御部95の設定を行うレンズ設定部91と、入力される各種信号の処理を行う信号処理部92と、画像処理部93とを有する。
レンズ設定部91は、レンズ制御部95に対して、駆動信号Cfの周波数、振幅、最大駆動電圧の設定などを行う。
なお、液体レンズユニット3は、周囲温度の変化等により共振変化数が変化する。このため、レンズ設定部91は、フィードバック制御により駆動信号Cfの周波数をリアルタイムに変化させ、液体レンズユニット3の安定した動作を実現する。
【0037】
信号処理部92は、入力される受光信号Sdに基づいて照明光源41に発光信号Ciを出力する。
画像処理部93は、撮像部5から画像Imを取り込んで所定の処理を行う。
レンズ制御部95は、駆動信号Cfを液体レンズユニット3に出力することにより、液体レンズユニット3の動作を制御する。
【0038】
(パルス照明)
次に、本実施形態におけるパルス照明の方法について説明する。
焦点距離可変レンズ10の動作開始後、信号処理部92は、図6に示すような受光信号Sdを取得する。
図6において、焦点距離可変レンズ10による合焦位置Pfは、駆動信号Cfに同期して周期的に変化している。なお、図6には、光軸A上の合焦位置Pfの変化範囲における観察対象物Wの表面の位置(観察対象物位置Pwを)を例示している。受光信号Sdは、合焦位置Pfが観察対象物位置Pwに一致したタイミング(合焦タイミングT)でピークを示し、駆動信号Cfの1周期当たりに2回のピークを示す。
【0039】
図6に示すように、信号処理部92は、受光信号Sdが閾値Vt以上になったタイミングで発光信号Ciをハイレベルにし、所定時間Δt経過後、発光信号Ciをローレベルに切り替える。また、信号処理部92は、受光信号Sdの値が閾値Vtより小さい間、発光信号Ciをローレベルに維持している。
【0040】
照明光源41は、入力された発光信号Ciがハイレベルの間、照明光Liの照射を継続する。ここで、発光信号Ciがハイレベルを維持する所定時間Δtは、撮像部5が焦点ブレに問題のない画像を取得できる程度の極短い時間に設定されており、照明光源41は、照明光Liをパルス照射する。
なお、受光信号Sdの閾値Vtは、特に限定されないが、発光信号Ciのハイレベル期間(照明光Liがパルス照射される期間)と、受光信号Sdのピーク(合焦タイミングT)とが重なるように設定される。これにより、信号処理部92は、合焦タイミングTに同期した発光信号Ciを照明光源41に出力できる。
【0041】
従って、焦点距離可変レンズ装置1では、照明部4が、発光信号Ciに基づき、合焦タイミングTを含む極短期間、照明光Liを観察対象物Wにパルス照射する。観察対象物Wに照射された照明光Liは、焦点距離可変レンズ10および結像レンズ57等を介して像を形成し、撮像部5に入射する。撮像部5は、照明光Liにより形成された観察対象物Wの像を撮像する。これにより、撮像部5は、合焦位置Pfが観察対象物位置Pwに一致したときの画像(合焦画像)を撮像することができる。
【0042】
なお、受光部8に入射する光束には、検出光Lsの他に照明光Li由来の光が含まれてもよい。同様に、撮像部5に入射する光束には、照明光Liの他に検出光Ls由来の光が含まれていてもよい。本実施形態では、検出光Lsおよび照明光Liの各波長が異なっており、かつ、受光部8の検出波長および撮像部5の撮像波長が互いに異なっているため、合焦画像における検出光Ls由来の光スポットの影響を抑制することができる。
また、照明部4によるパルス照射は、撮像部5が焦点ブレに問題のない画像を取得できる程度の極短い時間、照明光Liが照射されるものであればよく、当該パルス照射は、焦点距離可変レンズの駆動周期に合わせて合焦タイミングT毎に繰り返されてもよいし、任意の1回単独であってもよい。
【0043】
〔第1実施形態の効果〕
以上のように、本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1では、信号処理部92が、入力される受光信号Sdに基づき、合焦タイミングTに同期した発光信号Ciを出力する。そして、照明部4は、入力される発光信号Ciに基づいて観察対象物Wに照明光Liをパルス照射する。このため、合焦画像を取得するためのパルス照明のタイミングが自動で調整され、従来技術のような手動での調整を必要としない。よって、観察対象物Wの合焦画像を簡単に取得することができる。
また、本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1は、照明光源41を利用して照明部4を構成しているため、照明光源41の光量を調整することにより、任意の照明光量を実現することができる。
【0044】
本実施形態に対する比較例として、焦点変動波形Mfに対して所定の位相角に発光信号Ciを設定することが考えられる。しかし、液体レンズユニット3における焦点変動波形Mfの振幅やピーク値が何らかの原因により変化した場合、変化の前後で、発光信号Ciの発光時点の合焦位置Pfにずれが生じてしまい、ずれを解消するための補正を必要とする。
これに対し、本実施形態では、焦点変動波形Mfの振幅やピーク値が変化した場合であっても、発光信号Ciが受光信号Sdのピークである合焦タイミングTに同期しているため、補正を行わずとも、パルス照射時点の合焦位置Pfは、観察対象物位置Pwに自動的に調整される。このため、煩雑な処理を行うことなしに、合焦画像を常に正しく取得することができる。
【0045】
本実施形態では、焦点距離可変レンズ10は、対物レンズ2および液体レンズユニット3の間に、複数のリレーレンズ52,53を備えている。
リレーレンズ52,53は、対物レンズ2の射出瞳と液体レンズユニット3の主点位置とを共役にするように配置され、テレセントリック光学系を保ちながら対物レンズ2の射出瞳のリレーを行っている。これにより、合焦位置Pfが変動しても、撮像部5に入射する像の倍率は一定になる。
【0046】
本実施形態では、共焦点法によって合焦タイミングTを検出している。このため、他の焦点検出方式を用いて合焦タイミングTを検出する場合よりも、観察対象物Wの表面の傾斜や粗さ等の表面性状による測定精度やの影響を受け難く、合焦タイミングTの検出精度を向上できる。
また、光ファイバ72の端面720は、共焦点光学系の点光源および検出用ピンホールの両方の役割を果たしているため、製造時の調整工数を大幅に低減することができる。
【0047】
〔第1実施形態の変形例〕
前記第1実施形態では、共焦点法によって合焦タイミングTを検出しているが、本発明はこれに限定されない。具体的には、ダブルピンホール法、非点収差法、ナイフエッジ法など、他の様々な焦点検出法を利用することにより、合焦タイミングTを検出してもよい。例えば、ダブルピンホール法を利用する場合、合焦位置Pfと共役関係を成す集光位置の前後にそれぞれ受光部を設け、各受光部から出力される受光信号に基づいて演算を行うことにより、合焦タイミングTを求めることができる。信号処理部92は、このように求めた合焦タイミングTに同期した発光信号Ciを出力してもよい。
【0048】
また、第1実施形態において、信号処理部92は、発光信号Ciをハイレベルにして所定時間Δtが経過した後、発光信号Ciをローレベルにしているが、本発明はこれに限られない。例えば、信号処理部92は、受光信号Sdが閾値Vtを下回っている間常に発光信号Ciをローレベルにし、受光信号Sdが閾値Vt以上の間だけ発光信号Ciをハイレベルにしてもよい。
【0049】
また、第1実施形態において、合焦画像における検出光Ls由来の光スポットを問題にしない場合、受光部8の検出波長および撮像部5の撮像波長の各波長範囲が重なっていてもよい。
【0050】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の焦点距離可変レンズ装置1Aについて、図7を参照して説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0051】
本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1Aは、光源6Aから出射された検出光Lsの戻り光を照明光Liとして利用する構成を備える。このため、焦点距離可変レンズ装置1Aは、第1実施形態の受光部8を備えず、制御部9Aは、第1実施形態の信号処理部92を有さない。光源6Aは、撮像部5が観察対象物Wを撮像するための照明光として使用可能な波長の光を連続的に出射する。
【0052】
また、焦点距離可変レンズ装置1Aは、観察対象物Wで反射された後にコリメートレンズ75の後側焦点位置Pcを通る光を導く導光部7Aと、導光部7Aに導かれた光を観察対象物Wに照射する照明光学系43とを有している。
導光部7Aは、第1実施形態の導光部7とは異なる構成を有し、第1実施形態では受光部8に接続されていた光ファイバ74の替わりに、光ファイバ76を有している。光ファイバ76は、一端部がファイバスプリッタ71に接続され、他端部が照明光学系43の近傍に配置されている。
照明光学系43は、第1実施形態と同様の構成を有しており、ファイバスプリッタ71の他端部から出射された光を適宜調整し、照明光Liとして対物レンズ2を介して観察対象物Wに照射する。
【0053】
以上の構成において、光源6Aから出射した検出光Lsは、導光部7Aを経由して光ファイバ72の端面720から出射した後、コリメートレンズ75によって光軸Aに沿って平行化され、焦点距離可変レンズ10を介して観察対象物Wに照射される。観察対象物Wの表面で反射された検出光Lsは、焦点距離可変レンズ10を再通過した後、コリメートレンズ75により集光される。
ここで、焦点距離可変レンズ10による合焦位置Pfは、光軸A方向に周期的に変化するものである。このため、合焦位置Pfが観察対象物Wの表面に一致しているときのみ、当該表面で反射した検出光Lsが、コリメートレンズ75の後側焦点位置Pcにスポットを形成し、光ファイバ72の端面720に入射される。光ファイバ72の端面720に入射された検出光Lsは、導光部7Aおよび照明光学系43を介して、照明光Liとして観察対象物Wに照射される。合焦位置Pfが観察対象物Wの表面に一致しているときに、観察対象物Wに対して照明光Liがパルス照射される。
【0054】
よって、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、合焦画像を取得するためのパルス照明のタイミングが自動で調整され、従来技術のような手動での調整を必要としない。よって、観察対象物Wの合焦画像を簡単に取得することができる。
また、焦点変動波形Mfの振幅やピーク値が変化した場合であっても、検出光Lsは、合焦位置Pfが観察対象物Wの表面に一致しているときのみ、戻り光として照明光Liになるため、補正を行わずとも、パルス照射時点の合焦位置Pfは、観察対象物位置Pwに自動的に調整される。このため、煩雑な処理を行うことなしに、合焦画像を常に正しく取得することができる。
さらに、第2実施形態によれば、第1実施形態における照明光源41を使用しない分、コストを削減できる。また、第1実施形態における発光信号Ciの処理を行わない分、制御部9Aにおける処理が簡単になる。
【0055】
〔第2実施形態の変形例〕
図8に示すように、第2実施形態の照明光学系43では、光ファイバ76のコア径(一般に直径1mm以下)がそのまま照明光Liのサイズになるため、観察対象物Wにおける照明光Liの開口数NAはほぼゼロである。このため、第2実施形態では、照明光Liによるコヒーレント照明のみ実現される。なお、図8では、照明光学系43のビームスプリッタ48を省略し、かつ、照明光Liの光軸を直線状に直した状態を示している。
【0056】
そこで、図9に示すように、第2実施形態の変形例として、照明光学系43Aは、光ファイバ76の出射端760とコレクタレンズ44との間に、コリメートレンズ431および拡散板432をさらに備えていてもよい。拡散板432は、例えばレンズアレイを設けたレンズ拡散板(図10参照)であるが、他の形態による拡散板であってもよい。
【0057】
この変形例では、光ファイバ76の出射端760から出射された照明光Liは、コリメートレンズ431によって平行化された後、拡散板432によって拡散される。よって、観察対象物Wに照射される照明光Liのサイズは拡大され、観察対象物Wにおける照明光Liの開口数NAは高められる。これにより、インコヒーレント照明やパーシャルコヒーレント照明を実現することができ、照明状態の選択肢が増える。
【0058】
〔その他の変形例〕
本発明は、前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれる。
【0059】
前記各実施形態では、駆動信号Cfおよび焦点変動波形Mfは正弦波であるが、これは三角波、鋸歯状波、矩形波、その他の波形であってもよい。
液体レンズユニット3の具体的構成は、適宜変更してよく、ケース31および振動部材32は円筒状のほか六角筒状などであってもよく、これらの寸法や、液体35の属性も適宜選択することができる。
【0060】
前記各実施形態において、導光部7,7Aの替わりにピンホールを利用した構成を採用してもよい。具体的には、点光源を構成するためのピンホールと、コリメートレンズ75の後側焦点に配置されるピンホールとを利用することで、前記各実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、第2実施形態の導光部7Aは、このようなピンホールとミラー等の光学系とを組み合わせて構成されることにより、観察対象物Wで反射された後にコリメートレンズ75の後側焦点位置Pcを通る光を、照明光学系43の付近にまで導くことができる。
【0061】
前記各実施形態では、焦点距離可変レンズ10は、コリメートレンズ75と共に、無限遠補正光学系(コリメートレンズ75による平行光が焦点距離可変レンズ10に入射する光学系)を構成しているが、これに限定されない。例えば、コリメートレンズ75が省略され、焦点距離可変レンズ10が有限遠補正光学系を構成してもよい。このような構成によっても、前記各実施形態と同様の効果を奏する。
【0062】
前記各実施形態では、信号処理部92は、制御部9内に構成されているが、レンズ制御部95内に構成されてもよい。また、レンズ制御部95および制御部9が一体の制御装置として構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、合焦画像を簡単に取得できる焦点距離可変レンズ装置として利用できる。
【符号の説明】
【0064】
1,1A…焦点距離可変レンズ装置、10…焦点距離可変レンズ、2…対物レンズ、3…液体レンズユニット31…ケース、32…振動部材、33…外周面、34…内周面、35…液体、39…スペーサ、4…照明部、41…照明光源、42…ライトガイド、43,43A…照明光学系、431…コリメートレンズ、432…拡散板、44…コレクタレンズ、45…コンデンサレンズ、48…ビームスプリッタ、49…光ファイバ、490…出射端、5…撮像部、51…撮像光学系、52,53…リレーレンズ、55…ビームスプリッタ、56…反射板、57…結像レンズ、6,6A…光源、7,7A…導光部、71…ファイバスプリッタ、72~73…光ファイバ、720…端面、75…コリメートレンズ、8…受光部、9,9A…制御部、91…レンズ設定部、92…信号処理部、93…画像処理部、95…レンズ制御部、A…光軸、Cf…駆動信号、Ci…発光信号、Im…画像、Li…照明光、Ls…検出光、Pf…合焦位置、Pw…観察対象物位置、Sd…受光信号、Vt…閾値、W…観察対象物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10