(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】スパッタリングシャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20221111BHJP
C23C 14/00 20060101ALI20221111BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20221111BHJP
C23C 16/56 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
C23C14/34 T
C23C14/00 B
C23C16/505
C23C16/56
(21)【出願番号】P 2019515490
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(86)【国際出願番号】 US2017051614
(87)【国際公開番号】W WO2018057396
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-14
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニ, アナンタ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】グン, ツァ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】ゴパルラジャ, プラバラム
(72)【発明者】
【氏名】ポネカンティ, ハリ ケー.
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-109655(JP,A)
【文献】特開平10-060658(JP,A)
【文献】国際公開第2006/059602(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/34
C23C 14/00
C23C 16/505
C23C 16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積チャンバであって、
チャンバ本体と、
スパッタリングシャワーヘッドアセンブリとを備え、前記スパッタリングシャワーヘッドアセンブリが、
面板であって、
ターゲット材料を備えたスパッタリング表面、及び
前記スパッタリング表面の反対側の第2の表面を備え、
前記スパッタリング表面から前記第2の表面へ複数のガス通路が延在する、面板、
前記面板の前記第2の表面に
対向して位置決めされたバッキング板であって、
第1の表面、及び
前記第1の表面の反対側の第2の表面を備えた、バッキング板、
前記バッキング板の前記第1の表面と前記面板の前記第2の表面とによって画定されるプレナム、並びに
前記バッキング板の前記第2の表面に沿って位置決めされた1以上のマグネトロン、を備え、
前記堆積チャンバが更に、
前記スパッタリングシャワーヘッドアセンブリの下方に配置された基板支持体と
可動ライナとを備え、
前記チャンバ本体と前記スパッタリングシャワーヘッドアセンブリとが、内部空間を画定し、前記可動ライナが、前記スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ
に向けて上方に移動して、
スパッタリング処理中に前記内部空間内でプラズマ生成領域を画定する、堆積チャンバ。
【請求項2】
前記ターゲット材料が、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタル、タングステン、窒化タングステン、チタン、それらの合金、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の堆積チャンバ。
【請求項3】
前記複数のガス通路が、前記面板の表面エリアにわたり均一に分布している、請求項1に記載の堆積チャンバ。
【請求項4】
前記面板が、第1のRF電源に接続されている、請求項1に記載の堆積チャンバ。
【請求項5】
前記基板支持体が、第2のRF電源に接続されている、請求項4に記載の堆積チャンバ。
【請求項6】
前記面板が凹部を有し、前記プレナムが、前記凹部と前記バッキング板の前記第1の表面とによって画定される、請求項1に記載の堆積チャンバ。
【請求項7】
前記プレナムが、前記内部空間の上方に位置決めされ、前記複数のガス通路を介して前記内部空間と流体連結している、請求項6に記載の堆積チャンバ。
【請求項8】
堆積方法であって、
基板を基板支持体上に位置決めすること、
スパッタリングシャワーヘッドアセンブリの面板を通して内部空間の中へ前駆体流体を流し、前記基板上に第1の層を堆積させることであって、前記内部空間が前記スパッタリングシャワーヘッドアセンブリと前記基板支持体との間に配置されている、前記基板上に第1の層を堆積させること、及び
前記スパッタリングシャワーヘッドアセンブリの前記面板から1以上の金属をスパッタリングして、前記第1の層の上に第2の層を堆積させることを含み、
可動ライナが、前記スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ
に向けて上方に移動して
、スパッタリング処理中に前記内部空間内でプラズマ生成領域を画定する、方法。
【請求項9】
前記第1の層が酸化物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の層が金属含有層である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スパッタリングシャワーヘッドアセンブリの前記面板を通して前記内部空間の中へ前記前駆体流体を流した後で、且つ、前記面板から1以上の金属をスパッタリングする前に、前記内部空間を排気することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記スパッタリングシャワーヘッドアセンブリの前記面板を通して前記内部空間の中へ前記前駆体流体を流すこと、及び、前記面板から1以上の金属をスパッタリングすること、を繰り返すことを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記スパッタリングシャワーヘッドアセンブリが、
前記面板であって、
ターゲット材料を備えたスパッタリング表面、及び
前記スパッタリング表面の反対側の第2の表面を備え、
前記面板の前記スパッタリング表面から前記面板の前記第2の表面へ複数のガス通路が延在する、面板、
前記面板の前記第2の表面に
対向して位置決めされたバッキング板であって、
第1の表面、及び
前記第1の表面の反対側の第2の表面を備えた、バッキング板、
前記バッキング板の前記第1の表面と前記面板の前記第2の表面とによって画定される、プレナム、並びに
前記バッキング板の前記第2の表面に沿って位置決めされた1以上のマグネトロン、を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記ターゲット材料が、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタル、タングステン、窒化タングステン、チタン、それらの合金、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明される実施態様は、広くは、材料を堆積させるための装置及び方法に関し、特に、物理的気相堆積と化学気相堆積の両方が可能なスパッタリングシャワーヘッドを有する気相堆積チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の製造では、化学気相堆積(CVD)又は物理的気相堆積(PVD)などの堆積プロセスが、半導体基板上に様々な材料の膜を堆積させるために使用される。これらの堆積プロセスは、しばしば、分離閉鎖型処理チャンバで行われる。
【0003】
プロセスガスが使用されて、CVDチャンバ内の基板上に膜を堆積させる。プロセスガスは、基板支持体上に位置決めされた基板に供給され得る。プロセスガスを除去するためにパージガスが供給され得る。処理エリアでパージガスがプロセスガスと混合することを防止するために、プロセスガスとパージガスは、処理チャンバの外周などの、処理エリアから離れて配置された共通の排気孔を使用して処理チャンバから除去され得る。
【0004】
PVDプロセスは、プラズマ領域内で生成されたイオンを用いて、原料物質を含んだターゲットをスパッタリングし、放出された原料物質を基板へ移動させる。放出された原料物質は、基板上で生成された負電圧又はバイアスを介して基板に向けて加速され得る。あるPVD処理チャンバは、均一性を高めるためにターゲットにRFエネルギーを供給する。
【0005】
2つの処理チャンバが、堆積のための非常に異なるプロセス条件を採用する。CVDプロセスは、PVDプロセスよりもかなり高い温度で動作し、特殊な前駆体の使用を伴う。基板上に酸化物と金属の複数の層を堆積させるために、基板は1つのチャンバから次のチャンバへ、そして、再び元のチャンバへ移動される。上述された構成を使用すると、殊に、酸化物と金属の交互の層を堆積させようとするときに、1つのシステムから次のシステムへの移行の最中に、基板上に汚染物及び他の不純物が堆積する場合があり、半導体膜内に不均一性をもたらし得る。
【0006】
したがって、基板上に酸化物と金属を堆積させるための改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書で説明される実施態様は、広くは、材料を堆積させるための装置及び方法に関し、特に、物理的気相堆積と化学気相堆積の両方が可能なスパッタリングシャワーヘッドを有する気相堆積チャンバに関する。一実施態様では、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリが提供される。スパッタリングシャワーヘッドアセンブリは、ターゲット材料を含むスパッタリング表面とスパッタリング表面の反対側の第2の表面とを備えた面板を備え、複数のガス通路がスパッタリング表面から第2の表面へ延在する。スパッタリングシャワーヘッドアセンブリは、面板の第2の表面に隣接して位置決めされたバッキング板を更に備える。バッキング板は、第1の表面と第1の表面の反対側の第2の表面を備える。スパッタリングシャワーヘッドアセンブリは、バッキング板の第1の表面と面板の第2の表面とによって画定されたプレナムを有する。スパッタリングシャワーヘッドアセンブリは、バッキング板の第2の表面に沿って位置決めされた1以上のマグネトロンを更に備える。
【0008】
別の一実施態様では、堆積チャンバが提供される。堆積チャンバは、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリとスパッタリングシャワーヘッドアセンブリの下方に配置された基板支持体とを備える。スパッタリングシャワーヘッドアセンブリは、ターゲット材料を含むスパッタリング表面とスパッタリング表面の反対側の第2の表面とを備えた面板を備え、複数のガス通路がスパッタリング表面から第2の表面へ延在する。スパッタリングシャワーヘッドアセンブリは、面板の第2の表面に隣接して位置決めされたバッキング板を更に備える。バッキング板は、第1の表面と第1の表面の反対側の第2の表面を備える。スパッタリングシャワーヘッドアセンブリは、バッキング板の第1の表面と面板の第2の表面とによって画定されたプレナムを有する。スパッタリングシャワーヘッドアセンブリは、バッキング板の第2の表面に沿って位置決めされた1以上のマグネトロンを更に備える。
【0009】
更に別の一態様では、堆積方法が提供される。該方法は、基板を基板支持体上に位置決めすること、及び、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリの面板を通して内部空間の中へ前駆体流体を流して、基板上に第1の層を堆積させることを含む。内部空間は、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリと基板支持体との間に配置される。該方法は、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリの面板から1以上の金属をスパッタリングして、第1の層の上に第2の層を堆積させることを更に含む。
【0010】
上記の本開示の特徴を詳しく理解し得るように、上記で簡単に要約されている本実施態様のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られてよい。一部の実施態様は、添付の図面に示されている。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施態様も許容し得るため、添付の図面は、本開示の典型的な実施態様のみを示しており、したがって、本発明の範囲を限定すると見なすべきではないことは、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書で説明される実施態様による、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリを含むプラズマチャンバの断面部分概略側面図を描く。
【
図2】本明細書で説明される実施態様による、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリのバッキング板の概略側面図を描く。
【
図3A】本明細書で説明される実施態様による、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリの面板の概略側面図を描く。
【
図4】本明細書で説明される実施態様による、材料を堆積させるための方法の一実施態様のプロセスフロー図を描く。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、図に共通する同一の要素を指し示すのに、可能な限り同一の参照番号を使用した。1つの実施態様の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施態様に有益に組み込まれることがあると想定されている。
【0013】
以下の開示は、物理的気相堆積(PVD)プロセス及び化学気相堆積(CVD)プロセスの両方を実行するスパッタリングシャワーヘッドアセンブリ、及び該スパッタリングシャワーヘッドアセンブリを包含する処理チャンバを説明する。本開示の様々な実施態様を完全に理解させるため、特定の詳細が以下の説明及び
図1~
図4で提示される。様々な実施態様の説明を不必要に不明確化するのを避けるため、PVD及びCVDにしばしば関連付けられる周知の構造及びシステムを説明する他の詳細は、以下の開示では明記しない。
【0014】
図面に示す詳細、寸法、角度、及び他の特徴の多くは、特定の実施態様の単なる例示に過ぎない。したがって、他の実施態様は、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度、及び特徴を有することが可能である。加えて、本開示の更なる実施態様は、以下で説明される詳細のうちの幾つかがなくても、実施することが可能である。
【0015】
図1は、本明細書で説明される実施態様による、基板105を処理することができるスパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150の一実施態様を含むプラズマ処理チャンバ100の断面部分概略側面図である。
図2は、本明細書で説明される実施態様による、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150のバッキング板160の概略側面図である。
図3Aは、本明細書で説明される実施態様による、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150の面板152の概略側面図である。
図3Bは、
図3Aの面板152の上面図である。
【0016】
スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150は、複数のガス供給通路を含み且つスパッタリングターゲットとして機能する面板を含む。プラズマ処理チャンバ100は、基板上に金属又は金属酸化物を堆積させることができる物理的気相堆積(PVD)チャンバと、基板上に誘電材料を堆積させることができる化学気相堆積(CVD)チャンバと、の両方として機能する。プラズマ処理チャンバ100は、例えば、酸化物、窒化物、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタル、タングステン、窒化タングステン、及びチタンを堆積させるなどの、他の目的のためにも使用され得る。
【0017】
プラズマ処理チャンバ100は、内部空間110又はプラズマ区域を取り囲む、側壁104及び底壁106を有するチャンバ本体102と、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150とを含む。チャンバ本体102は、通常、ステンレス鋼の溶接された板、又はアルミニウムの一体型ブロックから製作される。一実施態様では、側壁104がアルミニウムを含み、底壁106がステンレス鋼を含む。側壁104は、一般的に、基板105をプラズマ処理チャンバ100へ入れるための入口と、基板105をプラズマ処理チャンバ100から出すための出口と、を提供するスリットバルブ(この図では示さず)を含む。プラズマ処理チャンバ100のスパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150は、可動シールドを併せて用いて、内部空間110内で生成されたプラズマを基板105の上方の領域に制限する。
【0018】
ペデスタルアセンブリ120は、プラズマ処理チャンバ100の底壁106から支持される。ペデスタルアセンブリ120は、処理中に基板105を支持する。ペデスタルアセンブリ120は、リフト機構122によってプラズマ処理チャンバ100の底壁106に連結されている。リフト機構122は、上側位置と下側位置との間でペデスタルアセンブリ120を移動させるように構成されている。更に、下側位置では、リフトピンがペデスタルアセンブリ120を通って移動し、基板105をペデスタルアセンブリ120から離間させて、ウエハ移動機構による基板の交換を容易にする。単一のブレードロボット(図示せず)などのウエハ移動機構は、プラズマ処理チャンバ100の外部に配置されている。任意選択的に、チャンバ本体102の内部空間110を、ペデスタルアセンブリ120の内部及びチャンバの外部から分離するために、ベローズ(図示せず)が、通常、ペデスタルアセンブリ120と底壁106との間に配置されている。
【0019】
ペデスタルアセンブリ120は、一般的に、基板支持体126を含む。基板支持体126は、アルミニウム又はセラミックから構成され得る。基板支持体126は、処理中に基板105を受け入れ且つ支持する基板受け入れ表面127を有する。基板受け入れ表面127は、面板152のスパッタリング表面154に平行な又は実質的に平行な平面を規定する。基板支持体126は、静電チャック、セラミック体、ヒータ、又はそれらの組み合わせであってよい。一実施態様では、基板支持体126が、内部に埋め込まれた導電層を有する誘電体を含む静電チャックである。誘電体は、通常、熱分解性の窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナ、又は等価材料(equivalent material)などの、高熱伝導性誘電材料から製作される。一実施態様では、基板支持体126が、(通常、マッチングネットワークを介して)RF電源121によってバイアスされた底部電極として機能する。一実施態様では、基板支持体が回転可能である。
【0020】
スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150は、一般的に、面板152、面板152に対向するバッキング板160、及び1以上のマグネトロン170a‐170f(集合的に170)を含む。1以上のマグネトロン170a‐170fは、均一性を高め且つ侵食制御を可能にし得る。面板152とバッキング板160は、プレナム180を画定する。
【0021】
面板152は、内部空間110に隣接する第1の表面すなわちスパッタリング表面154、及びプレナム180に隣接し且つスパッタリング表面の反対側の第2の表面156すなわち上側表面を備える。面板152は、第2の表面156からスパッタリング表面154へ延在する複数のガス通路158を有する。複数のガス通路158は、内部空間110をプレナム180に連結し、プレナム180から内部空間110へ処理ガスを供給するための導管を提供する。複数のガス通路158は、キャリアガス、パージガス、及び/又は洗浄ガスなどの、他のガスを内部空間110に供給するためにも使用され得る。一実施態様では、複数のガス通路158が、基板支持体126の表面エリアに対応する面板152の表面エリアにわたり均一に分布している。プレナム180の中へ導入されたガスは、複数のガス通路158を通って内部空間110の中へ導入されるために、面板152の後ろで均一に分散され得る。
【0022】
一実施態様では、ガスが、ガスインプット130を通してプレナム180の中へ導入され得る。ガスは、ガス源132によって供給され得る。一実施態様では、ガス源132が、処理ガス源を備えてよい。別の一実施態様では、ガス源132が、洗浄ガス源を備えてよい。ガスは、ガス源132から遠隔プラズマ源134を通って移動し得る。RF電源138も、RFフィード136によってガスインプット130に接続され得る。ある実施態様では、DC電源が、DCフィードによってガスインプット130に接続されている。
【0023】
一実施態様では、面板152が、ターゲット材料から形成されている。面板152は、堆積プロセス中に基板105上に堆積される材料を供給する。面板152を形成するために使用され得る例示的なターゲット材料は、アルミニウム、鋼鉄、ステンレス鋼(例えば、任意選択的にニッケルを含む鉄‐クロム合金)、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタル、タングステン、窒化タングステン、チタン、それらの合金、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されるものではない。一実施態様では、面板152が平坦な円盤である。
【0024】
バッキング板160は、プレナム180に隣接する第1の表面162すなわち下側表面、及び第1の表面162の反対側の第2の表面164すなわち上側表面を備える。
【0025】
一実施態様では、バッキング板160が、金属又は金属合金などの導電性材料から形成され得る。一実施態様では、バッキング板160が金属から形成される。例示的な金属は、アルミニウム、鋼鉄、ステンレス鋼(例えば、任意選択的にニッケルを含む鉄‐クロム合金)、鉄、ニッケル、クロム、それらの合金、及びそれらの組み合わせから構成される又は成る群から選択され得る。一実施態様では、バッキング板160が平坦な円盤である。
【0026】
一実施態様では、面板152とバッキング板160との間に絶縁体(図示せず)が位置決めされている。絶縁体は、面板152とバッキング板160との間の電気的な絶縁を提供する。一実施態様では、絶縁体が、セラミック材料、例えば、窒化アルミニウム(AlxNy)又は酸化アルミニウム(Al2O3)から形成される。
【0027】
一実施態様では、面板152が凹部159を有する。
図1で描かれているように、プレナム180は、凹部159とバッキング板160の第1の表面162とによって画定されている。プレナム180は、内部空間110の上方に位置決めされ、処理ガスを内部空間110に供給するために、複数のガス通路158を介して内部空間110と流体連結している。
【0028】
1以上のマグネトロン170a‐170f(集合的に170)は、プラズマ処理チャンバ100の外部上でバッキング板160の第2の表面164に連結されている。1以上のマグネトロン170は、面板152のスパッタリング表面154の侵食を制御するように位置決めされている。一実施態様では、1以上のマグネトロン170が、面板152の上方に位置決めされている。1以上のマグネトロン170は、シャフトに連結されたベースプレートによって支持された1以上の磁石を含み得る。そのシャフトは、面板152の中心軸と軸方向に整列していてよい。磁石は、プラズマを生成するためにプラズマ処理チャンバ100内の面板152の前面の近くで磁場を生成する。それによって、かなりの量のイオンの流束が面板152に突き当り、ターゲット材料のスパッタリング放出をもたらす。磁石は、面板152のスパッタリング表面154にわたり磁場の均一性を高めるために、面板152の周りで回転することができる。1以上のマグネトロン170は、PVDプロセス中に、通常、オンであるが、CVDプロセス中には、通常、オフである。1以上のマグネトロン170が、CVDプロセス中に使用されるならば、プラズマとかなり干渉することが、本発明者たちによって分かってきた。
【0029】
面板152のスパッタリング表面154は、プラズマ処理チャンバ100の内部空間110に曝されている。面板152は、PVDプロセス中に基板上に堆積される材料を供給する。面板152とチャンバ本体102との間に絶縁リング184が配置されて、面板152とチャンバ本体102とを電気的に分離させている。
【0030】
面板152は、(通常、マッチングネットワークを介して)RF電源140によって、地上、例えば、チャンバ本体102に対してバイアスされている。別の一実施態様では、アルゴンなどのガスが、プレナム180及び複数のガス通路158を介して、ガス源142から内部空間110に供給される。ガス源142は、アルゴン又はキセノンなどの非反応性ガスを含み得る。非反応性ガスは、面板152上に強く衝突し、面板152からターゲット材料をスパッタリングすることができる。ガス源142は、酸素含有ガス、窒素含有ガス、及びメタン含有ガスのうちの1以上などの、反応性ガスも含み得る。それらは、スパッタリングされたターゲット材料と反応して、基板上に層を形成することができる。ガス源142は、CVDプロセスを介して基板105上に膜を堆積させるための処理ガスを含むこともできる。使用済プロセスガス及び副産物が、排気ポート146を通してプラズマ処理チャンバ100から排気される。排気ポート146は、使用済プロセスガスを受け取り、スロットルバルブを有する排気導管148へ使用済プロセスガスを導いて、プラズマ処理チャンバ100内のガスの圧力を制御する。排気導管148は、1以上の排気ポンプ149に連結されている。通常、プラズマ処理チャンバ100内のスパッタリングガスの圧力は、真空環境などの大気圧以下のレベル、例えば、0.6mTorrから400mTorrまでのガス圧に設定されている。基板105と面板152との間で、ガスからプラズマが生成される。プラズマ内のイオンは、面板152に向けて加速され、材料を面板152から遊離させる。遊離されたターゲット材料は、基板105上に堆積する。
【0031】
一実施態様では、プラズマ処理チャンバ100が、チャンバ本体102内で接地された可動ライナ174を含む。可動ライナ174は、側壁104及び絶縁リング184から内部空間110をシールドする。側壁104は、アルミニウム又はステンレス鋼であってよい。側壁104は、前駆体と反応し、内部空間110内に汚染をもたらす場合がある。可動ライナ174は、より高い圧力のCVD処理中に下方へ移動し、低い圧力のPVD処理中に暗部(dark space)を形成するために面板152に向けて上方へ移動し得る。PVD処理中に、可動ライナ174が面板152に向けて上方へ移動すると、絶縁リング184上の金属の堆積が低減される。検査が行われないと、絶縁リング184上の金属の堆積は、金属の側壁104とスパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150との間の短絡をもたらし得る。一実施態様では、可動ライナ174が、ペデスタルアセンブリ120に連結されており、ペデスタルアセンブリ120と共に上下移動する。別の一実施態様では、分離したリフト機構が使用されて、可動ライナ174を移動させる。可動ライナ174は、石英又は他の耐プロセス材料から製作されてよい。
【0032】
プラズマ処理チャンバ100は、プラズマ処理チャンバ100の構成要素を動作させて、プラズマ処理チャンバ100内で基板を処理するための、指示命令セットを有するプログラムコードを備えた、コントローラ190によって制御される。例えば、コントローラ190は、ペデスタルアセンブリ120を動作させるための基板位置決め指示命令セット、ガス流量制御バルブを動作させてプラズマ処理チャンバ100へのスパッタリングガスの流量を設定するための、ガス流量制御指示命令セット、スロットルバルブを動作させてプラズマ処理チャンバ100内の圧力を維持するための、ガス圧制御指示命令セット、ペデスタルアセンブリ120又は側壁104内の温度制御システム(図示せず)を制御して、それぞれ、基板又は側壁104の温度を設定するための、温度制御指示命令セット、及びプラズマ処理チャンバ100内のプロセスをモニタするための、プロセスモニタリング指示命令セットを含む、プログラムコードを備え得る。
【0033】
図4は、本明細書で説明される実施態様による、材料を堆積させるための方法400の一実施態様のプロセスフロー図を描いている。方法400は、動作410で、基板(例えば、基板105)を
図1で描かれているプラズマ処理チャンバ100などの処理チャンバの中へ位置決めすることによって開始する。基板105は、基板支持体126上に位置決めされる。基板105は、電気チャック(図示せず)を通じて基板支持体126と電気的に連結され得る。本明細書で説明されるように、基板支持体126は、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150に対向して位置決めされている。スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150は、プラズマ処理チャンバ100の内部空間110内に配置されている。
【0034】
基板105は、基板105上に形成された実質的に平坦な表面、不均一な表面、又は構造を有し得る。ある実施態様では、1以上の材料層が基板105上に存在する。一実施態様では、1以上の材料層が、積層膜の一部分であり得る。その積層膜は、NAND構造などの論理又はメモリデバイスのための前工程又は後工程において、ゲート構造、接触構造、相互接続構造、又はシャロートレンチアイソレーション(STI)構造を形成するために利用され得る。材料層が存在しない実施態様では、方法400が、基板の表面上で直接的に実行される。
【0035】
一実施態様では、材料層が、NAND構造のためのゲート構造を形成するために利用される酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素の層の反復層を含む、積層膜であり得る。代替的に、材料層は、ゲート電極を形成するために利用されるケイ素材料であってよい。更に別の一実施態様では、材料層が、酸化ケイ素層、ケイ素層の上に堆積した酸化ケイ素層を含み得る。更に別の一実施態様では、材料層が、半導体デバイスを製作するために利用される他の誘電材料のうちの1以上の層を含み得る。誘電体層の適切な例は、必要に応じて、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、又は任意の適切な低誘電率若しくは多孔性の誘電材料を含む。また更に別の一実施態様では、材料層が、任意の金属層を含まない。
【0036】
動作420では、プラズマ処理チャンバ100内のCVDプロセスを介して基板上に第1の層が堆積される。CVDプロセスは、プラズマCVDプロセスであってよい。CVDプロセスは、より高い圧力(例えば、約10Torrから約20Torrまで)で実行され得る。可動ライナ174が存在する実施態様では、可動ライナ174が、通常、CVDプロセス中に面板152から離れるように移動される。1以上のマグネトロン170は、動作420のCVDプロセス中に、通常、オフである。1以上のマグネトロン170が活動していると、それらは、動作420中に内部空間110内で生成されたプラズマと干渉し得ることを、本発明者たちは発見した。内部空間110は、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150と基板支持体126との間に配置されている。
【0037】
一実施態様では、第1の層が誘電体層である。一実施態様では、第1の層が高誘電率の誘電体層である。一実施態様では、第1の層が酸素含有層である。一実施態様では、第1の膜層が、酸化ケイ素含有層、窒化ケイ素含有層、又はケイ素含有層である。一実施態様では、第1の層が酸化ケイ素層である。
【0038】
前駆体流体は、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150の面板152を通して、内部空間110の中へ流される。前駆体流体は、基板105上に第1の層を堆積させる1以上のプロセスガスであり得る。一実施態様では、前駆体流体が、ケイ素含有ガスと任意選択的に反応ガスとを含む。ケイ素含有ガスの適切な例は、シラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、四フッ化ケイ素(SiF4)、四塩化ケイ素(SiCl4)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、テトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS)などを含むが、それらに限定されるものではない。反応ガスは、酸化ケイ素含有層を形成するための酸素含有ガス、窒化ケイ素含有層を形成するための窒素含有ガス、又は炭化ケイ素含有層を形成するための炭素含有ガスであってよい。酸素含有ガスの適切な例は、O2、N2O、NO2、O3、H2Oなどを含む。窒素含有ガスの適切な例は、N2、N2O、NO2、NH3、N2H2、NF3などを含む。炭素含有ガスの適切な例は、CO2、CO、CH4、CF4、他の適切な炭素ベースのポリマーガスなどを含む。代替的に、1以上の不活性ガスが、プラズマ処理チャンバ100に供給される前駆体流体内に含まれてよい。不活性ガスは、Ar、He、Xe、又はN2などの希ガスを含み得るが、それらに限定されるものではない。一実施態様では、前駆体流体が、NF3などのハロゲン含有ガスを含む。一実施態様では、前駆体流体が、5~25秒間だけ内部空間110の中へ流される。
【0039】
本明細書で説明される一実施態様では、ケイ素含有ガスがTEOSであり、反応ガスがN2Oなどの酸素含有ガスであり、不活性ガスがアルゴンであり、酸化ケイ素の層などの第1の膜層を形成する。
【0040】
動作420中に、前駆体流体が処理チャンバの中へ供給されている間に、幾つかの処理パラメータが調整される。一実施態様では、処理チャンバ内の前駆体流体の圧力が、約10mTorrと約15Torrとの間で調整され、基板温度が、摂氏約200度と摂氏約700度との間で維持される。
【0041】
動作420中に、一実施態様では、処理チャンバの中へ前駆体流体を供給している間に、RF源の電力が生成され且つ混合ガスに接続されて、前駆体流体がプラズマ151などのプラズマ内の反応種の中へ解離するのを助け得る。ある実施態様では、処理チャンバの中へ堆積ガスを供給する前に、RF源の電力が生成され得る。
【0042】
第1の膜層の所望の厚さが達成された後で、堆積プロセスは終了し得る。いったん堆積が完了すると、内部空間110に隣接するエリアと基板支持体126の下方のエリアとは、排気され得る。一実施態様では、パージガスが、内部空間110に供給され得る。パージガスは、酸素、又は窒素若しくはアルゴンなどの不活性ガスであってよい。動作420中に不活性ガスが使用される実施態様では、不活性ガスが、RF電力の印加を伴って又は伴わずにパージガスとして使用され得る。
【0043】
任意選択的に、動作430の前に、可動ライナ174は、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150と接触するまで上方に移動されて、内部空間110内のプラズマ生成領域を画定し得る。可動ライナ174は、面板152に向けて上方へ移動して、動作430のPVDプロセス中に暗部(dark space)を形成し得る。PVD処理中に、可動ライナ174が面板152に向けて上方へ移動すると、絶縁リング184上の金属の堆積が低減される。検査が行われないと、絶縁リング184上の金属の堆積は、金属の側壁104とスパッタリングシャワーヘッドアセンブリ150との間の短絡をもたらし得る。一実施態様では、可動ライナ174が、ペデスタルアセンブリ120に連結されており、ペデスタルアセンブリ120と共に上下移動する。別の一実施態様では、分離したリフト機構が使用されて、可動ライナ174を移動させる。
【0044】
動作430では、プラズマ処理チャンバ100内のPVDプロセスを介して基板上に第2の層が堆積される。第2の層は、第1の層が存在するならば、第1の層の上に堆積され得る。第2の層は、金属含有層であってよい。第2の層は、金属、金属酸化物、又は金属合金の層であってよい。動作430中に、スパッタリングシャワーヘッドアセンブリの面板から1以上の金属がスパッタリングされて、第1の層の上に第2の層を堆積させる。第2の層は、金属、金属酸化物、又は金属合金であってよい。
【0045】
通常、プラズマ処理チャンバ100内のスパッタリングガスの圧力は、真空環境などの大気圧以下のレベル、例えば、0.6mTorrから400mTorrまでのガス圧に設定される。基板105と面板152との間で、ガスからプラズマが生成される。プラズマ内のイオンは、面板152に向けて加速され、ターゲット材料を面板152から遊離させる。遊離したターゲット材料は、基板105上に堆積して、第2の層を形成する。任意の適切なターゲット材料が使用され得る。一実施態様では、ターゲット材料が、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタル、タングステン、窒化タングステン、チタン、それらの合金、及びそれらの組み合わせから構成される又は成る群から選択される。
【0046】
いったんスパッタリングが完了すると、CVDプロセス及びPVDプロセスが繰り返され得る。酸化物と金属とが交互になる80から100の層が基板105上に堆積されるように、酸化物層と金属層の堆積が、約80から100回ほど繰り返され得る。
【0047】
本明細書で開示される実施態様は、均一な半導体処理のコストを低減させるための、CVDとPVDの両方を実行することができる単一のスパッタリングシャワーヘッドアセンブリに関する。更に、単一の酸化物金属堆積システムは、半導体基板上の堆積のために必要な時間を低減させる。更に、実施態様は、RFエネルギーを使用してスパッタリングし、従来のPVDプロセスと比較して基板上の損傷を低減させる能力を提供する。実施態様は、マグネトロン内の磁石及びDC電力を使用してターゲット侵食を制御するための高電子封じ込め、並びにRFエネルギーを使用して生成されたより多くの拡散プラズマ(前面侵食)、の利点を使用する能力も提供する。本明細書で説明される実施態様は、ゲートファースト及びゲートラスト統合スキームなどの、様々な統合スキームにおける適切な適用性を見出すことができることに留意されたい。
【0048】
本開示の要素、又はそれらの例示的な態様又は実施形態(複数可)を紹介する場合の、冠詞の「1つの(a、an)」及び「前記(the、said)」は、1以上の要素が存在していることを意味するためのものである。
【0049】
「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という語は、包括的であることが意図されており、列挙された要素以外にも追加の要素があり得ることを意味する。
【0050】
以上の記述は本開示の実施態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施態様及び更なる実施態様を考案してもよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。