(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム計測システムの帯電効果と放射線損傷を最小化する走査戦略
(51)【国際特許分類】
G01B 15/00 20060101AFI20221111BHJP
H01J 37/147 20060101ALI20221111BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20221111BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20221111BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20221111BHJP
G03F 9/00 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
G01B15/00 B
H01J37/147 B
H01J37/22 502H
H01J37/20 Z
H01L21/66 J
G03F9/00 H
(21)【出願番号】P 2020546371
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 US2019020630
(87)【国際公開番号】W WO2019173252
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-07
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ホン
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-210140(JP,A)
【文献】特表2007-504664(JP,A)
【文献】特開2012-80131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 15/00
H01J 37/147
H01J 37/22
H01J 37/20
H01L 21/66
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上に形成された少なくとも2つのレイヤを有するターゲット上にオーバーレイ計測を実行する方法であって、
少なくとも2つのオーバーレイ方向におけるオーバーレイを測定するための複数の周期構造を有するターゲットを配設し、
荷電粒子ビームを、ターゲットの複数の走査スワスにわたり、ターゲットに対して第1のチルトで第1の方向に走査して、その結果、前記周期構造の各エッジが傾斜して走査されるようにし、
前記荷電粒子ビームを、前記複数の走査スワスにわたり、前記第1の方向と反対の第2の方向に、前記第1のチルトから180°である第2のチルトで走査し、
第1と第2の方向の走査オペレーションを、異なる第1と第2のチルトで、また前記ターゲットの異なる複数の走査スワスで繰り返して、その結果、前記ターゲットが対称に走査されるようにし、
前記第1と第2の方向の走査オペレーションによって生成されたイメージを合成して合成イメージを形成し、
前記合成イメージを分析することに基づいて前記ターゲットのオーバーレイエラーを決定し報告する、
ことを含む方法。
【請求項2】
前記第2の方向の走査オペレーションによって引き起こされる前記周期構造への帯電効果は、前記第1の方向の走査オペレーションによって引き起こされる帯電効果に対して対称である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターゲットは、XおよびYオーバーレイ両方の周期構造を含み、前記第1と第2の方向の走査オペレーションを繰り返すことは、前記ターゲットが45°、135°、225°および315°の角度で走査されることをもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
45°、135°、225°および315°の前記角度は、前記荷電粒子ビームを前記第1と第2の両方向に走査し、前記走査対象ターゲットをラスタパターンで回転させ並進させることによって達成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記荷電粒子ビームを単一の並進方向に走査し、前記ターゲットを、それぞれ45°、135°、225°および315°の角度で回転させることによって45°、135°、225°および315°の角度が達成される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記合成イメージは、前記第1と第2の方向の走査オペレーション故に対称な帯電効果を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1と第2の走査オペレーションは、走査スワスの各連続ペア間の周期構造の複数のスキップされるラインをスキップすることを含み、前記合成イメージはそのようなスキップされるラインのイメージ部分を除外し、前記スキップされるラインの総数は8以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記スキップされるラインの総数は100以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記周期構造はXおよびYライングレーティングを含み、前記走査スワスはそのようなXおよびYライングレーティングのいずれの長軸にも平行にならないように保たれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記周期構造は、第1の方向に長軸を有する第1のライングレーティングと、前記第1の方向とは異なり前記第1の方向に対して垂直でない第2の方向に第2のグレーティングを含み、前記走査スワスはそのような第1と第2のライングレーティングのいずれの長軸にも平行にならないように保たれる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
上に形成された少なくとも2つのレイヤを有するターゲット上にオーバーレイ計測を実行するための荷電粒子ビームシステムであって、
荷電粒子ビームを生成するためのビーム源と、
少なくとも2つのオーバーレイ方向におけるオーバーレイを測定するための複数の周期構造を有するターゲットに粒子ビームを指向させ走査するための光学素子と、
上に配置されたターゲットを保持し、前記荷電粒子ビームに対して移動させるためのステージと、
前記ターゲットにわたる前記荷電粒子ビームの走査に応答して前記ターゲットからの信号を受信するための検出器アセンブリと、
コントローラを備え、前記コントローラは、ビーム源、光学素子、ステージおよび検出器アセンブリと連携して、
荷電粒子ビームを、前記ターゲットの複数の走査スワスにわたり、前記ターゲットに対して第1のチルトで第1の方向に走査して、その結果、前記周期構造の各エッジが傾斜して走査されるようにし、
前記荷電粒子ビームを、前記複数の走査スワスにわたり、前記第1の方向と反対の第2の方向に、前記第1のチルトから180°である第2のチルトで走査し、
第1と第2の方向の走査オペレーションを、異なる第1と第2のチルトで、また前記ターゲットの異なる複数の走査スワスで繰り返して、その結果、前記ターゲットが対称に走査されるようにし、
前記第1と第2の方向の走査オペレーションによって生成されたイメージを合成して合成イメージを形成し、
前記合成イメージを分析することに基づいて、前記ターゲットのオーバーレイエラーを決定し報告する、
オペレーションを実行するように構成されているシステム。
【請求項12】
前記第2の方向の走査オペレーションによって引き起こされる周期構造への帯電効果は、前記第1の方向の走査オペレーションによって引き起こされる帯電効果に対して対称である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ターゲットは、XおよびYオーバーレイ両方の周期構造を含み、前記第1と第2の方向の走査オペレーションを繰り返すことは、前記ターゲットが45°、135°、225°および315°の角度で走査されることをもたらす、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
45°、135°、225°および315°の前記角度は、前記荷電粒子ビームを前記第1と第2の両方向に走査し、前記走査対象ターゲットをラスタパターンで回転させ並進させることによって達成される請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
45°、135°、225°および315°の前記角度は、前記荷電粒子ビームを単一の並進方向に走査し、前記ターゲットを45°、135°、225°および315°の各角度に回転させることによって達成される請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記合成イメージは、前記第1と第2の方向の走査オペレーション故に対称な帯電効果を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1と第2の走査オペレーションは、走査スワスの各連続ペア間の周期構造の複数のスキップされるラインをスキップすることを含み、前記合成イメージはそのようなスキップされるラインのイメージ部分を除外し、前記スキップされるラインの総数は8以上である、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記スキップされるラインの総数は100以上である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記周期構造はXおよびYライングレーティングを含み、前記走査スワスはそのようなXおよびYライングレーティングのいずれの長軸にも平行にならないように保たれる、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記周期構造は、第1の方向に長軸を有する第1のライングレーティングと、前記第1の方向とは異なり前記第1の方向に対して垂直でない第2の方向に第2のグレーティングを含み、前記走査スワスはそのような第1と第2のライングレーティングのいずれの長軸にも平行にならないように保たれる、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体製造プロセスで使用される測定技術に関する。より具体的には、本発明は、半導体ウェハスタックの異なるレイヤ間の、又は同じレイヤ上の異なるパターン間のオーバーレイエラーを測定する、並びにクリティカルディメンション(CD)等の他の特性を測定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2018年3月7日に出願されたHong Xiaoによる米国仮特許出願第62/639,603号の利益を主張し、同出願はあらゆる目的で参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0003】
オーバーレイ測定は一般に、第1のパターンレイヤが、第1のパターンレイヤ上または下に配置された第2のパターンレイヤに対してどの程度正確にアラインするか、または、第1のパターンが、同じレイヤ上に配置された第2のパターンに対してどの程度正確にアラインするかを指定する。オーバーレイエラーは典型的に、ワークピース(例えば、半導体ウェハ)の1つ以上のレイヤ上に形成された構造を有するオーバーレイターゲットで決定される。構造はグレーティングの形態を取ってもよく、これらのグレーティングは周期性であってよい。2つのレイヤまたはパターンが正しく形成されていれば、1つのレイヤまたはパターン上の構造は、別のレイヤまたはパターン上の構造に対して特定の測定可能な配向でアラインする傾向にある。2つのレイヤまたはパターンが正しく形成されていない場合、1つのレイヤまたはパターン上の構造は、この特定の配向に対してオフセットまたは位置ずれする傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2017/0047197号
【文献】米国特許第2005/0048741号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オーバーレイを測定し決定するための改良された技術および装置に対する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下は、本発明の特定の実施形態の基本的理解を提供するための簡略化した開示の要約を提示する。この要約は本開示の網羅的概要ではなく、本発明の主な/必須の要素を特定したり、本発明の範囲を限定したりするものでもない。その唯一の目的は、本明細書に開示の幾つかの概念を、以後提示するさらに詳細な説明の序章として簡略な形式で提示することである。
【0007】
一実施形態において、上に形成された少なくとも2つのレイヤを有するターゲットにオーバーレイ計測を実行する方法が開示される。少なくとも2つのオーバーレイ方向におけるオーバーレイを測定するための複数の周期構造を有するターゲットが提供される。荷電粒子ビームは、ターゲットの複数の走査スワスにわたり、ターゲットに対して第1のチルトで第1の方向に走査され、その結果、周期構造の各エッジが斜めに走査される。荷電粒子ビームは、ターゲットの複数の走査スワスにわたり、第1の方向と反対の第2の方向に、第1のチルトから180°の第2のチルトで走査される。第1および第2の方向の走査オペレーションは次に、ターゲットの異なる第1と第2のチルトおよび異なる複数の走査スワスに関して繰り返され、その結果、ターゲットは対称に走査される。第1および第2の方向の走査オペレーションによって生成されたイメージは、合成されて合成イメージを形成し、ターゲットのオーバーレイエラーが、合成イメージを分析することに基づいて決定され報告される。
【0008】
一例では、ターゲットはXオーバーレイとYオーバーレイの両方に関する周期構造を含み、第1および第2の方向の走査オペレーションを繰り返した結果、ターゲットが45°、135°、225°および315°の角度で走査されることになる。別の態様では、45°、135°、225°および315°の角度は、荷電粒子ビームを第1の方向と第2の方向の両方に走査して、走査対象のターゲットをラスタパターンで回転させ並進させることによって達成される。別の態様では、これらの角度は、荷電粒子ビームを、単一の並進方向に走査し、ターゲットをそれぞれ45°、135°、225°および315°の角度に回転させることによって達成される。
【0009】
特定の実施形態では、第2の方向の走査オペレーションによって引き起こされた周期構造への帯電効果は、第1の方向の走査オペレーションによって引き起こされた周期構造への帯電効果に対して対称である。別の実施形態では、合成イメージは、第1と第2の方向への走査オペレーション故に対称な帯電効果を有する。
【0010】
別の態様では、第1と第2の走査オペレーションは、走査スワスの各連続ペア間の周期構造の複数のスキップされるラインをスキップすることを含み、合成イメージは、そのようなスキップされるラインのイメージ部分を除外する。この態様では、スキップされるラインの総数は8以上である。別の例では、スキップされるラインの総数は100以上である。
【0011】
別の特定の実施形態では、周期構造はXライングレーティングとYライングレーティングを含み、走査スワスは、そのようなXおよびYライングレーティングのいずれの長軸にも平行にならないように保たれる。別の態様では、周期構造は、第1の方向に長軸を有する第1のライングレーティングと、第1の方向とは異なり第1の方向に対して垂直でない第2の方向に第2のライングレーティングとを含み、走査スワスは、そのような第1および第2のライングレーティングのいずれの長軸にも平行にならないように保たれる。
【0012】
別の態様では、第1と第2の走査オペレーションは、走査スワスの各連続ペア間の周期構造の複数のスキップされるラインをスキップすることを含み、合成イメージは、そのようなスキップされるラインのイメージ部分を除外し、スキップされるラインの総数は8以上である。別の例では、スキップされるラインの総数は100以上である。別の実装では、周期構造はXライングレーティングとYライングレーティングを含み、走査スワスは、そのようなXおよびYライングレーティングのいずれの長軸にも平行にならないように保たれる。別の態様では、周期構造は、第1の方向に長軸を有する第1のライングレーティングと、第1の方向とは異なり第1の方向に対して垂直でない第2の方向に第2のライングレーティングとを含み、走査スワスは、そのような第1および第2のライングレーティングのいずれの長軸にも平行にならないように保たれる。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、上に形成された少なくとも2つのレイヤを有するターゲットにオーバーレイ計測を実行するための荷電粒子ビームシステムに関する。システムは、荷電粒子ビームを生成するためのビーム源と、少なくとも2つのオーバーレイ方向におけるオーバーレイを測定するための複数の周期構造を有するターゲットに粒子ビームを指向させ走査するための光学素子を含む。システムはさらに、その上に配置されたターゲットを保持し荷電粒子ビームに対して移動させるためのステージと、ターゲットにわたる荷電粒子ビームの走査に応答してターゲットからの信号を受信するための検出器アセンブリを含む。システムはさらに、ビーム源、光学素子、ステージおよび検出器アセンブリと連携して上記のオペレーションのうちいずれかを実行するように構成されたコントローラを含む。
【0014】
本発明のこれらおよび他の態様を、図面を参照して以下にさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】それぞれX方向とY方向における2つの異なる処理レイヤ間でのオーバーレイエラーを測定するための2つのオーバーレイターゲットの上面図である。
【
図2A】荷電粒子ビームでX方向に走査することによる、グレーティングターゲットの非対称イメージングを示す図である。
【
図2B】荷電粒子ビームでY方向に走査することによる、グレーティングターゲットの非対称イメージングを示す図である。
【
図2C】
図2Bに示した荷電粒子ビーム走査と反対の方向にグレーティングターゲットにわたり荷電粒子ビームを対称に戻り方向に走査するためのプロセスを示す図である。
【
図2D】本発明の一実施形態に係る対称な合成イメージを形成するために使用され得る、Y方向グレーティング構造に対して垂直な対称ビーム走査を含む走査パターンを示す図である。
【
図3A】別の対称ビーム走査パターンが、本発明の特定の実施形態に従って使用され得る合成XYオーバーレイマークの上面図である。
【
図3B】本発明の特定の実装に係る合成XYターゲットに対して45°である走査パスを有する別のビーム走査パターンを示す図である。
【
図3C】本発明の一実施形態に係る対称ビーム走査でオーバーレイを決定するための手順を示す図である。
【
図3D】本発明の別の実施形態に係るラインスキップを含む対称走査プロセスの図表示である。
【
図3E】本発明の特定の実装に係る、ターゲットが仕様外であるかどうかを決定するための
図3Cのオペレーションを示すフローチャートである。
【
図4A】本発明の種々の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装される複数の異なる合成XYターゲットを示す。
【
図4B】本発明の種々の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装される複数の異なる合成XYターゲットを示す。
【
図4C】本発明の種々の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装される複数の異なる合成XYターゲットを示す。
【
図4D】本発明の種々の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装される複数の異なる合成XYターゲットを示す。
【
図4E】本発明の種々の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装される複数の異なる合成XYターゲットを示す。
【
図4F】本発明の種々の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装される複数の異なる合成XYターゲットを示す。
【
図4G】本発明の種々の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装される複数の異なる合成XYターゲットを示す。
【
図4H】本発明の種々の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装される複数の異なる合成XYターゲットを示す。
【
図4I】本発明の種々の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装される複数の異なる合成XYターゲットを示す。
【
図5】本発明の特定の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装され得る、重畳する周期的ライン構造を有する別の合成XYオーバーレイマークの上面図である。
【
図6】本発明の特定の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装され得る、XYオーバーレイ構造を有する別のターゲットの図である。
【
図7】本発明の特定の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装され得る、異なるレイヤ且つ互いにチルトした方向にある周期的ライン構造を有する別のターゲット部分の上面図である。
【
図8】本発明の特定の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装され得る、複数のコンタクト構造から形成された別の合成XYオーバーレイマークの上面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る走査電子顕微鏡(SEM)オーバーレイ計測システムの図表示である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明において、本発明の完全な理解を提供するために数々の特定の詳細が記載されている。本発明は、これらの特定の詳細のうち一部または全部がなくても実行され得る。別の事例では、本発明を不必要に不明確にしないために、よく知られた処理オペレーションについては説明していない。本発明は特定の実施形態と併せて説明されるが、それにより本発明をその実施形態に限定する意図はないことを理解されたい。
【0017】
一般に、2つの処理レイヤ間のオーバーレイエラーまたは同じレイヤ上の2セットの構造間のシフトは、特別に設計されたオーバーレイターゲットを使用して決定されることができ、そのターゲット構造は、それらの既知の対称性特性間の関係性で設計され、そのような対称性との不一致は、そのようなターゲットにおけるオーバーレイエラーに対応する。本発明で使用する場合、レイヤは、ウェハデバイスまたは試験構造の製造のために生成されパターニングされる半導体またはフォトレジストレイヤ等の任意の適切な材料を指し得る。以下のターゲットの例は、オーバーレイを測定するための2つ(またはそれ以上)のレイヤ上に構造を有するように示されているが、各ターゲットが、そのような構造のセット間のシフトエラーを決定するために、同じレイヤ上に2つ(またはそれ以上)のセットの構造を含んでもよいことは明らかである。さらに、本発明の技術は任意のタイプの周期性ターゲットに適用されてよく、そのようなターゲットは、非アクティブ領域(例えばスクライブライン)に形成されてもよく、または、製造ウェハのダイのアクティブ領域(例えば、ダイのデバイス部分の一部として)に形成されてもよい。本明細書に記載の技術は、クリティカルディメンション(CD)、CD均一性(CDU)、エッジ・プレイスメント・エラー(EPE)、パターン忠実度等の他のタイプの特性を決定するためにターゲットに適用されてもよい。
【0018】
図1は、それぞれX方向とY方向における2つの異なる処理レイヤ間でのオーバーレイエラーを測定するための2つのオーバーレイターゲットの上面図である。図示のように、第1のターゲット102は、第1のレイヤ内の第1の構造106aおよび106bのセットと、第2のレイヤ内の第2の構造108aおよび108bのセットとの、X方向に対するオーバーレイエラーを測定するために配置されている。第2のターゲット100は、第1のレイヤ内の第1の構造112aおよび112bのセットと、第2のレイヤ内の第2の構造114aおよび114bのセットとの、Y方向に対するオーバーレイエラーを測定するために配置されている。
【0019】
この実施形態において、XおよびYターゲットはそれぞれ、X方向ターゲット102がY方向ターゲット104COS114とは異なる位置を有する対称心(COS)110を有するように設計されているが、その第1の構造がその第2の構造と同じ180°回転対称心を有するように設計されている。例えば、X方向ターゲット102は、2つのグループ106aと106bに分割された第1の構造を有し、2つのグループ106aおよび106bは、それらが対称心110の周りに180°回転された場合に、第1の構造がそのような回転の前と後で同じ外観を有し得るように互いに対して配置されている。X方向ターゲット102は、2つのグループ108aと108bに分割された第2の構造をも有し、2つのグループ108aおよび108bは、それらが対称心110の周りに180°回転された場合に、これら第2の構造がそのような回転の前と後で同じ外観を有し得るように互いに対して配置されている。この図において、第1の構造のCOSは、第2の構造のCOSと同じ位置にある。ターゲット内にオーバーレイエラーが存在する場合、そのようなターゲットの第1の構造のCOSは、第2の構造のCOSからシフトされる。このシフトはオーバーレイエラーと呼ばれる。
【0020】
いくつかのターゲットでは、別個のXターゲットおよびYターゲットにおけるオーバーレイエラーは、各ターゲットが、各レイヤに、同じCOS周りに180°回転対称性を有する構造を有するように設計されているという先験的な知識に基づいて決定され得る。第1と第2のレイヤ構造のCOS間のあらゆるシフトはイメージングされて、オーバーレイエラーとして測定される。別の実施形態では、
図1のXおよび/またはYターゲットは、第1と第2の構造が既知のオフセットでのCOSを有するように配置され得る。この場合、シフトが既知のオフセットに適合しなければ、相違の量がオーバーレイエラーに対応する。
【0021】
一般に、オーバーレイターゲット上の測定は、フォトレジスト現像検査(ADI)ステップ後またはその最中に光学測定システムで実行され得る。オーバーレイがフォトレジストの現像後に評価される場合、例えば、オーバーレイ結果が仕様外であればウェハは再処理され得る。しかしながら、デバイスフィーチャサイズが縮小するにつれ、光学ターゲットのパターンは実際のデバイスパターンよりも格段に大きくなる傾向となり、信頼性の高い結果をもたらさない。したがって、格段に小さいパターンを解像しイメージングできる走査電子顕微鏡(SEM)はオーバーレイ測定アプリケーションに一層魅力的である。
【0022】
SEMオーバーレイ(SEM-OVL)またはe-ビームオーバーレイ(eOVL)測定は、アフタークリーン検査(ACI)とも呼ばれるアフターエッチ検査(AEI)を主に使用して、光学オーバーレイのスクライブラインADI測定と、エッチング後の実際のデバイスにおけるオーバーレイとの間の任意の非ゼロバイアスが較正されてきた。勿論、IC製造者は、ADIアプリケーションにSEM-OVL/eOVLを適用することにも関心を持ってきた。以下のオーバーレイ決定技術は電子ビーム走査計測システムを使用し得るが、同様の技術が、任意の適切なタイプの荷電ビームシステムに使用され得ることが想定される。
【0023】
SEMまたはe-ビームADIアプリケーションでは、一次電子がフォトレジスト(PR)レイヤ下のレイヤを貫通して下位レイヤのターゲット構造に達することを可能にするだけでなく、反射電子(BSE)も検出器に達することも可能にするために、高入射エネルギー(LE)が必要であり得る。BSE信号は通常、二次電子(SE)信号よりも有意に低いため、より高いビーム電流が好ましい。しかしながら、より高いLEおよびより高いビーム電流を伴うe-ビームは、帯電と、e-ビームによって誘起されるPR損傷をも引き起こし得る。
【0024】
図2Aは、荷電粒子ビームでのX方向(具体的には、西および東方向)における走査によって引き起こされたグレーティングターゲット部分200の非対称イメージングを示す。図示のように、荷電粒子ビームは、ターゲット200のラインに対して「東」方向にある走査パターン202でラスタ走査される。各走査につき、ビームは、グレーティングターゲット200のライン構造に対してそれぞれ垂直な方向にある複数の走査パス202に沿って走査する。
図2Bは、荷電粒子ビームで単一のY(または南)方向に走査することによって引き起こされたグレーティングターゲット250の類似した非対称イメージングを示す。
【0025】
XターゲットまたはYターゲットいずれの例においても、ライン構造は、ライン構造にわたって走査するにつれ荷電粒子ビームからの電荷を非対称に保持し、その結果、周期的ラインイメージは非対称となる。例えば、ライン204の先端204aは、同じライン204の後端204bよりも、結果として得られるイメージにより厚いホワイトエッジを有し得る。この非対称性は、ビームがそのようなラインにわたって移動するにつれたラインエッジの不均一な正帯電によって引き起こされ得、それによって、異なるエッジからの不均一な量の二次電子が検出器に到達してイメージに寄与する結果となる。
【0026】
本発明の或る実施形態は、サンプルに関して生成されたイメージの対称な帯電効果をもたらす対称な走査パターンを提供し、それは、対称なPR損傷をもたらすことにもなる。一例では、荷電粒子ビーム(例えばe-ビーム)は、各走査ライン位置(または各走査スワス)につき2つの反対方向の走査を得るために、ライン構造にわたり単純に戻り方向に走査される。
図2Cは、
図2Bに示した荷電粒子ビーム走査と反対方向にY方向グレーティングターゲットにわたり荷電粒子ビームを対称に走査して戻るためのプロセスを示し、ターゲットイメージ260を形成する。図示のように、e-ビーム走査254は、ターゲットイメージ260内の先端と後端の間に非対称性をもたらす傾向にあり、それは、
図2Bに示すような非対称ビーム走査252によって引き起こされるターゲットイメージ250における非対称性と反対である。双方向(反対または対称)走査からのイメージを合成することは、結果として合成イメージにおける対称帯電効果をもたらす傾向にある。
【0027】
図2Dは、本発明の一実施形態に係る対称な合成ターゲットイメージ270を形成するために使用され得る、Y方向グレーティング構造に対して垂直な対称ビーム走査を含む走査パターンを示す。言い換えると、荷電粒子ビームは、東西方向に向いたグレーティングにおける各ラインの長軸に対して「北」方向(上)および「南」方向(下)両方に対称に走査される。
【0028】
X方向オーバーレイターゲットに対しても類似した技術が実装され得る。例えば、
図2Aのターゲットイメージ200は、北・南に整列した長軸をそれぞれ有するグレーティングラインから得られたものである。この例において、ビームは、東方向ビーム走査202と反対の西方向にも走査され、それによって、オーバーレイターゲットグレーティング200に対して対称な東西方向走査を達成してもよい。対称走査(東・西)由来のイメージは次に合成されて対称イメージを形成してもよい。
【0029】
要約すると、+Xおよび-X(東・西)両方向、または+Yおよび-Y(北・南)両方向に走査するe-ビームパターンはそれぞれ、XおよびY方向グレーティング構造に関する合成対称ターゲットイメージを形成するために使用され得る。次に、双方向であるが対称な走査によって形成された2つの異なるイメージにおける非対称性が合成されて、対称イメージを形成する。次に、対称イメージは、正確なオーバーレイ(または、CD等の他の測定)決定のために分析され得る。
【0030】
グレーティングターゲットに対して垂直である対称(または双方向)ビーム走査は、単方向(XまたはYターゲット)にうまく働き、多方向ターゲット(例えばXおよびYターゲット)に対しては異なる配向の対称走査が使用され得る。
図3Aは、以下に詳述する本発明の特定の実施形態に従って対称ビーム走査パターンが実装され得る合成XYオーバーレイマーク330の上面図である。
図2Aおよび2Bのターゲットとは違って、
図3Aのオーバーレイマーク330は、オーバーレイを2つの別個の方向に測定するように構成される。そのため、マーク330は、オーバーレイが測定される必要がある各方向に関して1つのマークを有する必要を省く。オーバーレイマーク330は、ウェハの試験レイヤが完全アライメントにある場合に得られる構成を示している。オーバーレイマーク330は、ウェハの2つ以上の連続レイヤ間の相対シフト、またはウェハの単一のレイヤ上の2つ以上の別個に生成されたパターン間の相対シフトを決定するために一般に設けられる。説明しやすくするために、オーバーレイマーク330を、基板の異なるレイヤ間のオーバーレイを測定する文脈で説明する。しかしながら、この図におけるオーバーレイマーク(または本明細書に記載の任意の他のターゲット)は、基板の単一レイヤ上の2つ以上の別個に生成されたパターンを測定するためにも使用され得ることに留意されたい。
【0031】
オーバーレイマーク330は、2つの異なる方向における2つのウェハレイヤ間のレジストレーションエラーを決定するための複数のワーキングゾーン332を含む。図示の実施形態において、オーバーレイマーク330は、その外周79を実質的に埋めるように構成された8個の長方形のワーキングゾーン332を含む。ワーキングゾーン332は、ウェハ上の異なるレイヤ間のアライメントを計算するために使用されるマークの実領域を提示する。ワーキングゾーン332は、それらが隣接するワーキングゾーンの部分と重畳しないように、互いから空間的に離れている。この特定の構成では、ワーキングゾーンのうちいくつかは排他領域によって隔てられているが、その一方で、別のワーキングゾーンは隣接するワーキングゾーンの隣に配置されている。例えば、ワーキングゾーン332Bは排他領域333によってワーキングゾーン332Eおよび332Fから隔てられているが、その一方で、ワーキングゾーン332Eと332Fは、間に排他領域なく縁のところで互いに隣り合って配置されている。
【0032】
説明を補助するために、ワーキングゾーン332を第1のワーキンググループ334と第2のワーキンググループ336にグループ化する。第1のワーキンググループ334は、第1の方向におけるオーバーレイ情報を提供するように構成された4つのワーキングゾーン332A-Dを含む。例として、第1の方向はY方向であり得る。4つのワーキングゾーン332A-Dのうち、332Aおよび332Dの2つは第1のレイヤ内に配置され、332Bおよび332Cの2つは第2のレイヤ内に配置され(第1のレイヤは網目模様で提示され、第2のレイヤは網目模様なしで提示されている)。理解され得るように、このマーク構成では、また、ゼロオーバーレイエラーの場合(図示のように)、ワーキングゾーン332A&Dおよびワーキングゾーン332B&Cの対称心335は完全に一致する。第2のワーキンググループ336は、第1の方向に対して垂直な第2の方向におけるオーバーレイ情報を提供するように構成された4つのワーキングゾーン332E-Hを含む。例として、第2の方向はX方向であり得る。4つのワーキングゾーン332E-Hのうち、332Eおよび332Hの2つは第1のレイヤ内に配置され、332Fおよび332Gの2つは第2のレイヤ内に配置され(第1のレイヤは網目模様で提示され、第2のレイヤは網目模様なしで提示されている)。上記と同様に、このマーク構成では、また、ゼロオーバーレイエラーの場合(図示のように)、ワーキングゾーン332E&Hおよびワーキングゾーン332F&Gの対称心337は完全に一致する。このターゲット、または本明細書に記載の任意のターゲットにおいて、対称心は所定量オフセットしていてもよく、そのような所定オフセットからの逸脱はオーバーレイエラーを示唆する。
【0033】
理解され得るように、グループ334および336それぞれは「X」構成マーク(オフセットしているが)を提示する。例えば、ワーキンググループ334は、同じ第1のレイヤ上にあり互いに対して対角線上に対向する位置にあるワーキングゾーン332A&Dと、同じ第2のレイヤ上にあり互いに対角線上に対向する位置にあるワーキングゾーン332B&Cを含む。さらに、ワーキングゾーン332A&Dは、ワーキングゾーン332B&Cに対して傾斜している。さらに、ワーキングゾーン332Aはワーキングゾーン332Dから空間的にオフセットしており、ワーキングゾーン332Bはワーキングゾーン332Dから空間的にオフセットしている。
【0034】
さらに、ワーキンググループ336は、同じ第1のレイヤ上にあり互いに対して対角線上に対向する位置にあるワーキングゾーン332E&Hと、同じ第2のレイヤ上にあり互いに対角線上に対向する位置にあるワーキングゾーン332F&Gを含む。さらに、ワーキングゾーン332E&Hは、ワーキングゾーン332F&Gに対して傾斜している。さらに、ワーキングゾーン332Eはワーキングゾーン332Hから空間的にオフセットしており、ワーキングゾーン332Fはワーキングゾーン332Gから空間的にオフセットしている。要するに、この特定のマークは、互いに直交して配置された2つの「X」構成マーク、すなわちワーキンググループ394およびワーキンググループ396をもたらす。
【0035】
さらに詳細には、1つのレイヤ上のワーキングゾーンは別のレイヤ上のワーキングゾーンに対して概ね並置されている。例えば、第1のワーキンググループにおいて、ワーキングゾーン332Aはワーキングゾーン332Bに対して並置され、ワーキングゾーン332Cはワーキングゾーン332Dに対して並置されている。同様に、第2のワーキンググループにおいて、ワーキングゾーン332Eはワーキングゾーン332Hに対して並置され、ワーキングゾーン332Fはワーキングゾーン332Gに対して並置されている。2つの並置ペアのうち、第2のレイヤ上のワーキングゾーンは典型的に、第1のレイヤ上のワーキングゾーンよりも中心に近く配置されている。例えば、ワーキングゾーン332Bと332Cおよびワーキングゾーン332Fと332Gは、それぞれ、それらの並置されているワーキングゾーン332Aと332Dおよびワーキングゾーン332Eと332Hよりも関心領域344の中心342により近く配置されている。さらに、ワーキンググループそれぞれの中で、並置ペアは、グループ内の別の並置ペアに対して対向する関係(例えば対角状)に配置されている。例えば、並置ペア332A&Bは並置ペア332C&Dに対向して配置され、並置ペア332E&Fは、並置ペア332G&Hに対向して配置されている。
【0036】
理解され得るように、この特定のマークにおいて、ワーキングゾーンの構成は回転対称(マークの中心周りに+90度、180度、270度、360度)である。これは典型的に、例えば、ツール誘起シフト(TIS)を引き起こし得る非均一な光学収差および照明によって引き起こされたラジアル変動およびアキシャル変動としての、計測ルーツの視野にわたるラジアル変動およびアキシャル変動の影響を低減するために行われる。ラジアル変動とは一般に、マークの中心からマークの外側領域に放出する変動を指す。アキシャル変動とは一般に、例えば、マーク左部分から右部分にX方向に、また、マークの下部分から上部分にY方向に、マークの軸線に沿った方向に発生する変動を指す。
【0037】
ワーキングゾーン332A-Hそれぞれは、複数の粗くセグメント化されたライン340から構成される周期構造338を含む。粗くセグメント化されたラインのライン幅Dと間隔sは、広く多様であり得る。図示のように、周期構造338それぞれは、その対応するワーキングゾーン332の外周を実質的に埋める。理解され得るように、周期構造338は、その対応するワーキングゾーン332のレイヤ上に配置されてもよい。
【0038】
説明しやすくするために、周期構造338は、第1のワーキンググループ334に関連する第1の周期構造338Aと、第2のワーキンググループに関連する第2の周期構造338Bに分割され得る。図示のように、第1の周期構造338Aはすべて同じ方向に配向している、すなわち、粗くセグメント化されたライン340どうしは平行であり、互いに対して水平に配置されている。第2の周期構造338Bもすべて同じ方向に配向しており(第1の周期構造とは異なる方向であるが)、すなわち、粗くセグメント化されたライン340どうしは平行であり、互いに対して垂直に配置されている。そのため、第1のワーキンググループ334内の周期構造338Aは、第2のワーキンググループ336内の周期構造338Bに直交する。
【0039】
一例では、並置周期構造の粗くセグメント化されたラインは互いに整列している(例えば、異なるレイヤを無視すれば、それらは連続グレーティングとして見える)。例えば、ワーキングゾーン332Aの粗くセグメント化されたラインはワーキングゾーン332Bの粗くセグメント化されたラインとアラインしてよく、ワーキングゾーン332Cの粗くセグメント化されたラインはワーキングゾーン332Dの粗くセグメント化されたラインと整列してよい。さらに、ワーキングゾーン332Eの粗くセグメント化されたラインはワーキングゾーン332Fの粗くセグメント化されたラインと整列してよく、ワーキングゾーン332Gの粗くセグメント化されたラインはワーキングゾーン332Hの粗くセグメント化されたラインと整列してよい。
【0040】
図3AのXYターゲット330等の多方向ターゲットに関して、対称XまたはYビーム走査パターンは、e-ビームがターゲットラインの長軸の少なくとも一部に沿って走査されることをもたらし、それは一般に回避されることである。例えば、X軸に沿って(東西に)双方向に走査されるe-ビームは、第2のワーキンググループ336の垂線に対して垂直であり第1のワーキンググループ334の水平線に平行な走査パスを形成することになる。同様に、Y方向(北・南)に双方向に走査されるe-ビームは、第1のワーキンググループ334の水平線に対して垂直であり第2のワーキンググループ336の垂線に平行な走査パスを形成することになる。
【0041】
多方向ターゲットの任意のラインに沿った平行な走査を回避するために、本発明のいくつかの実施形態は、ターゲットのいずれのラインからも少なくとも10°、または約10~80°の範囲内である、走査エッジに対して傾斜した対称な走査パスを形成する荷電粒子ビーム走査パターンを含む。
【0042】
走査パスは、最終合成イメージにおける対称性を最大化するために、多回転の走査パスのペアを含み得る。
図3Bは、本発明の特定の実装に係るXおよびYライン両方を有する合成XYターゲット(例えば、
図3Aのターゲット330)に対して45°である対称走査パスを有する別のビーム走査パターンを示す。この例において、2つの異なる回転(または4つの異なる走査角)の複数ペアの双方向ライン走査がターゲットを対称にカバーする。
【0043】
任意の適切な技術を用いて周期性ターゲットを対称に走査してもよい。
図3Cは、本発明の一実施形態に係る、対称ビーム走査でオーバーレイを決定するための一般的手順350を示すフローチャートである。最初に、少なくとも一方向にオーバーレイを測定するための周期性ターゲットが
図3Cのオペレーション352で提供される。例えば、ターゲットは、単方向(例えばXまたはY)におけるオーバーレイを測定するための構造、または
図3AのXYターゲット330のような、2つ以上の方向(例えば、XおよびY)におけるオーバーレイを測定するための構造を含むターゲットを含み得る。
【0044】
次に、荷電粒子ビームが、ターゲットの複数の走査スワスにわたり第1の方向に且つターゲットに対して第1のチルトで走査されてよく、その結果、オペレーション354でターゲットの各走査エッジが傾斜して走査される。さらに、荷電粒子ビームは次に、オペレーション356で、第1の方向と反対の第2の方向に、同じ複数の走査スワスにわたり、第1のチルトから180°である第2のチルトで走査され得る。XまたはYオーバーレイ構造のみを含むターゲットについては、走査のパターンは、複数の走査スワスにわたりそれぞれ北・南方向の走査か、または東・西方向の走査のいずれかを含み得る。
【0045】
合成XYターゲット等の他のタイプのターゲットについては、ターゲットに対する走査における対称性を達成するために、新たなチルトでの走査オペレーションが繰り返されてよい。
図3Bの合成XYターゲットの例で示すように、ビームは、双方向スワスのセットに沿ってターゲットに対して45°、135°、225°および315°のチルトで走査される。つまり、各第1のペア342の走査スワスは45°及び225°であり、各第2のペア344の走査スワスは135°および315°である。
【0046】
これらの走査スワスは、ターゲットが並進および回転的に移動される間に荷電粒子ビームを2つの並進方向に走査することによって達成され得る。例えば、ターゲットは、ターゲットを4つのフレームで走査するために荷電粒子ビームで直線的または回転的に移動される。言い換えると、ターゲットは、第1のセットのスワスを第1の方向且つ第1のチルト(例えば45°)で走査するためにビームの走査方向に対して垂直に移動される。ターゲットは次に、ビームが第1のセットのスワスに対して第2の反対方向に効果的に走査するように、第1のチルトから180°である第2のチルト(例えば225°)に回転され得る。ターゲットは次に、同じ第1のセットのスワスを、第1の方向と反対の第2の方向に走査するために、ビームの走査方向に対して垂直な方向に並進される。このプロセスは次に、別の2つのチルトペア135°および315°に関して繰り返されてよい。
【0047】
勿論、荷電粒子は2つの反対の直線方向に走査されてよく、ターゲットは、そのような双方向ビーム走査に関して2つのみのチルト位置に回転されてよい。各チルト位置およびビーム方向で、ターゲットは、複数のラインをビームの方向にラスタ走査するために、ビーム走査の方向に対して垂直な方向にビーム下で並進される。例えば、ターゲットは、ビームが複数のライン/スワスにわたり2方向に、また、ターゲットに対して45°と225°の第1のペアのチルトで走査するように、荷電粒子ビームに対して回転および並進されてよい。次に、ターゲットは次いでもう一度回転され、ターゲットは、ビームが複数のライン/スワスにわたり2方向に、また、ターゲットに対して135°と315°の第2のペアのチルトで走査するように並進される。
【0048】
対称荷電粒子走査パターンは、XYオーバーレイターゲット等の広範なターゲット構成向けにエッジシャープネスと対称性における改善をもたらし得る。別の実施形態では、ビームは、ターゲットの回転ありまたは回転なしのいずれかで、走査スワス342または走査スワス344いずれかに沿った反対方向にのみ走査され、それによって同じ走査スワスに沿った2つの対称方向を達成する。
【0049】
例えばフォトレジスト材料への損傷を低減するために、各逐次走査は、本発明の別の実施形態によれば、スワス(またはライン)をスキップしてもよい。
図3Dは、本発明の別の実施形態に係る、ラインのスキップを含む対称走査プロセスの図表示である。互いに当接または重畳するスワスイメージをもたらす逐次走査スワスからなる走査パターン372とは対照的に、走査パターン374は、スワスまたはラインをスキップする逐次走査ラインを含む。例えば、各逐次スワス走査間に8ラインがスキップされる。勿論、走査パターンは図示の走査ライン374の上をトレースする反対方向(右から左へ)の走査も含み得る。さらに、スキップされるラインは走査されないままであり、オーバーレイは、ビームが2つの反対の対称方向に走査ライン374それぞれにわたって移動したことに応答して生成される信号またはイメージの組み合わせに基づいて決定され得る。例えば、走査ライン374に応答して得られた対称イメージ部分は合成されて、ターゲットのスキップされたラインからイメージデータを除外した合成イメージを形成する。
【0050】
走査される材料への損傷を最小にし、オーバーレイ等を正確に決定するための十分なデータを得るために、任意の適切な数のラインがスキップされてよい。一般に、ラインをスキップする走査パターンは、荷電粒子ビームによって走査される領域において収縮する傾向にあるフォトレジスト等の特定の材料に、より少ない損傷を生じさせる。スキップされるラインの数は、収縮の量が、ラインエッジ粗さに匹敵する傾向になるように、また、全体的ラインエッジに有意に影響しないように選択され得る。一例では、8以上のラインがスキップされる。別の実施形態では、例えば、8k×8k視野(FOV)に関して100以上のラインがスキップされる。
【0051】
スキップが対称走査間に発生するか否かに係らず、各スワス走査は、例えばシステムの検出器およびプロセッサシステムによる信号またはイメージの生成をもたらす。
図3Cに示されたプロセスに戻って参照すると、第1と第2の方向の走査からのイメージは次に、オペレーション358で合成イメージに合成されてよい。
図2Dは、ラインがスキップされていないY方向ターゲット部分に関する合成イメージの図を示す。ラインがスキップされていれば、個々に走査されたラインのイメージ部分は互いに圧縮されて、互いに当接して合成イメージとなる。例として、8ラインがスキップされていれば、結果として得られる合成イメージは、ラインをスキップせずに形成されたイメージのサイズの1/8のサイズとなる。
【0052】
一般に、イメージはターゲットの走査スワスの各ペアが収集されるにつれ合成され得る。代替的に、イメージは、特定のオーバーレイ方向に関するスワスの全ペアのイメージが収集された後で、または、全てのオーバーレイ方向に関するスワスの全ペアのイメージが収集された後で合成され得る。
【0053】
合成イメージは次にオペレーション360で分析されて、オーバーレイ(または、CD等の別の特性)を決定する。各走査スワスに関する各合成イメージが個別に分析されてもよく、または、全スワスに関する単一の合成イメージが分析されてもよい。
【0054】
次に、オペレーション362で、プロセスが仕様外であるかどうかが決定される。ターゲットが仕様内にあるかどうかを、本明細書でさらに説明するように、本発明の実施形態によって生成された合成イメージに基づいて任意の適切な方式で決定してもよい。プロセスが仕様外でない場合、手順は終了する。
【0055】
プロセスが仕様外である場合、問題を緩和するためにいくつかの技術が実装され得る。
第1の技術では、オペレーション364で、後続のプロセスを調整して仕様外であるプロセスを補償してもよい。例えば、フォトレジストパターンのいずれかの部分が位置ずれしていると判断された場合、フォトレジストは剥離されて、位置ずれを排除するために修正済みパターンで再塗布されてよい。次に、オペレーション366で、同じウェハの製造を続けるために後続プロセスが実行される。例えば、ウェハはパターニングされてよい。第2の技術では、オペレーション368でウェハの処理が停止されて、次にウェハは廃棄されてよい。次に、オペレーション369で、仕様外であるプロセスが、後続のウェハに関して調整されてよい。
【0056】
図3Eは、本発明の特定の実装に係る、ターゲットが仕様外であるかどうかを決定するための
図3Cのオペレーション362を示すフローチャートである。この手順を、180°回転COSでの構造を有するターゲットに関して説明するが、勿論、この手順は、ミラー対称性または他のタイプの対称性を備えた構造向けに容易に修正され得る。
【0057】
図3Eに図示の例では、オペレーション382で、イメージングされるターゲット構造の中心は、最初に検査ツールのFOCの中心に移動される。次に、オペレーション384で各レイヤの関心領域(ROI)が決定される。
図1のXターゲット構造を用いて、
図3Eの手順を説明する。例えば、4つのROIが、破線で示すように、
図1のX方向ターゲット構造106a、106b、108aおよび108bに関して形成され得る。破線102は検査ツールのFOVを表し得るのに対し、十字110はXターゲット構造の中心を表す。
【0058】
第1と第2のレイヤからの構造106および108の各セットそれぞれに関するCOSは、任意の適切な技術を用いて決定され得る。例えば、エッジ技術は、各レイヤ内の構造に関するCOSを決定するために使用され得る。図示の実施形態では、オペレーション386で、各レイヤの各ROIの外側エッジを用いて各レイヤに関するCOSが決定される。構造106および108に関して各ROIの外側エッジが決定され、次に、エッジを用いて、構造の各セットの外側エッジ間(例えば、構造106aと構造106bの間)の中心位置を見出す。解像度以下のフィーチャを有する構造(例えば、以下に説明する
図4Aのターゲット)に関しては、解像度以下のライン(例えば、各粗いセットのライン402の一部を形成する微細なライン404)の各セットのエッジが、単一のエッジとして測定され得る。
【0059】
別のCOS決定技術は相関技術と呼ばれる。この技術において、オペレーション388で、初期COS位置が各レイヤの構造のROI間で推定される。構造106に関して示すように、COS110の初期推定は、構造106aと106bの間に位置してよい。次に、初期COSから等距離である位置にある2セットの構造にわたって測定することによって2つのリニアアレイが得られる。構造106aおよび106bは、3つのピーク強度値を備えた1つの周期信号をそれぞれもたらす傾向にある。2つの得られたリニアアレイは次に、水平および垂直にフリップされてマッチングされ、積等の相関のメトリクスが計算される。アレイは互いに対して移動されて、各オフセットに関してメトリクスが計算される。メトリクスは次にプロットされて、相関メトリクスの最大値を見出すことによって正しいCOSが位置特定される。正しいCOS位置を効率的に特定するために、インテリジェント検索アルゴリズム(例えばバイナリ検索)も使用されてよい。
【0060】
言い換えると、オペレーション390で、各レイヤの各ROIセットに関して、その180°回転カウンターパートが初期COSに基づいて自動配置される。オペレーション392で、COSは、回転イメージと各レイヤの元のイメージの間の最高の相関が見出されるまで、各レイヤに関して絶えず移動される。最高の相関が見出された後でCOSが見出される。
【0061】
任意の適切な技術を用いてCOSが見出された後で、次にオペレーション394で、第1のレイヤ構造のCOSが第2のレイヤ構造のCOSよりも所定値を超えて異なるかどうかが判断される。所定値を超えて異なっていない場合、オペレーション398で、分析対称ターゲットは仕様外でないことが判断される。しかしながら、所定量を超えて異なっている場合、オペレーション396で、分析対象ターゲットは仕様外であることが判断される。すると、ターゲットが仕様外であることを決定するための手順は終了する。
【0062】
反対方向であり、チルトしている(オーバーレイ方向またはターゲットラインの長軸に対して)走査パターンは、
図3Aの例以外にも、XおよびYターゲットの任意の適切なタイプの組み合わせに適用されてよい。いくつかの周期性オーバーレイターゲットは、2017年7月11日に発行されたGhinovkerらによる米国特許第9,702,693号にさらに説明されており、同特許は参照により本明細書に援用される。
図4A乃至4Iは、対称ビーム走査技術が本発明の種々の実施形態に従って実装され得る複数の異なる合成XYターゲットを示す。
【0063】
図4Aは、別の多方向オーバーレイマーク400の上面図である。この特定の実施形態では、粗くセグメント化されたライン402は、複数の細かくセグメント化された要素404によって形成されている。
【0064】
図4Bは、別のターゲットによるオーバーレイマーク410の上面図である。例として、オーバーレイマーク410は一般に、ボックスインボックスオーバーレイ構造418を追加した、XおよびYライングレーティングを含む。
図3Aのオーバーレイマーク330と同様に、オーバーレイマーク410は、2つの異なる方向における2つのウェハレイヤ間(1つのレイヤを網掛けで表すが、別のレイヤは網掛けしていない)のレジストレーションエラーを決定するための8つのワーキングゾーン412A-Hを含む。各ワーキングゾーンは、複数の粗くセグメント化されたライン416からなる周期構造414を含む。ワーキングゾーン412は、マーク410の中心に付加的な構造418を収容するために配置されている。図示の実施形態において、ワーキングゾーン412A-Hは、マークの外部領域の周りに配置されているのに対し、付加的な構造418はマークの中心に配置されている。付加的な構造418は、標準的ボックスインボックスオーバーレイ構造を表し得る。
【0065】
図4Cは、別のターゲットによるオーバーレイマーク420の上面図である。
図3Aのマークのように、
図4Cのオーバーレイマーク420は、2つの別個の方向におけるオーバーレイを測定するように構成される。
図3Aのマークとは対照的に、マーク420は、三角形のワーキングゾーン
422を含む。
【0066】
ワーキングゾーンの第1のセット422A-Dは、第1の方向におけるオーバーレイ情報を提供するように構成されている。例として、第1の方向はY方向であり得る。4つのワーキングゾーン422A-Dのうち、422AおよびDの2つは第1のレイヤ内に配置され、422Bおよび422Cの2つは第2のレイヤ内に配置されている。理解され得るように、このマーク構成では、また、ゼロオーバーレイの場合(図示のように)、ワーキングゾーン422A&Dおよびワーキングゾーン422B&Cの対称心425は完全に一致する。ワーキングゾーンの第2のセット422E-Hは、第1の方向に対して垂直な第2の方向におけるオーバーレイ情報を提供するように構成されている。例として、第2の方向はX方向であり得る。4つのワーキングゾーン422E-Hのうち、422Eおよび422Hの2つは第1のレイヤ内に配置され、422Fおよび422Gの2つは第2のレイヤ内に配置されている。上記と同様に、このマーク構成では、また、ゼロオーバーレイの場合(図示のように)、ワーキングゾーン422E&Hおよびワーキングゾーン422F&Gの対称心427は完全に一致する。さらに、すべてのワーキングゾーン422はマークの中心に対して均分に配置されている。ワーキングゾーン422それぞれは、複数の粗くセグメント化されたライン421からなる周期構造428を含む。図示していないが、各粗くセグメント化されたラインは、このマークまたは本明細書に記載の任意のマークをさらに増強するために複数の細かくセグメント化された要素によって形成されてもよい。
【0067】
図4Dは、別のターゲットによるオーバーレイマーク430の上面図である。図示のように、マーク430は
図4Cのマーク420と同じ一般的レイアウトおよび特性、すなわち、8つの三角形のワーキングゾーンを有する。しかしながら、マーク430は、2つのレイヤのうち1つに形成されたグレーティングパターン432でマークの中心にバイアスすることにおいてマーク420とは異なっている。グレーティングパターン432は典型的に、1つのレイヤのマーク品質が、コントラストまたは粒状性によって別のレイヤのマーク品質よりも劣る場合に使用される。つまり、コントラストが低いレイヤ内の情報(例えば、エッジ)が増加される。代替的に、1つのレイヤでFOVの中心をバイアスすることはさらに、プロセスダメージから中心を保護する。グレーティングパターン432は広く変動してよい。例えば、グレーティングパターンは、任意の数の分布およびサイズでの任意の数のラインを含んでよい。この特定の実施形態では、グレーティングパターンは第2のレイヤ上に形成され、マークの中心の周りに方向が交番する(例えばX方向とY方向)2つの粗くセグメント化されたライン434のグループを含む。
【0068】
図4Eは、別のターゲットによるオーバーレイマーク440の上面図である。
図3Aのオーバーレイマークと同様に、オーバーレイマーク440は、2つの別個の方向におけるオーバーレイを測定するように構成されている。オーバーレイマーク440は、2つの異なる方向における2つのウェハレイヤ間のレジストレーションエラーを決定するための複数のワーキングゾーン442を含む。図示の実施形態において、オーバーレイマーク442はその外周を実質的に埋めるように構成された16の方形のワーキングゾーン442を含む。各ワーキングゾーン442は粗くセグメント化されたラインの周期構造を含む。16のワーキングゾーンのうち、8つのワーキングゾーン442AはX方向に配向し、8つのワーキングゾーン442BはY方向に配向している(その上に配置された周期構造によって示されるように)。8つのワーキングゾーン442のうち、任意の所与の配向(AまたはB)において、4つのワーキングゾーン442’は第1のレイヤにプリントされる(網掛けで表される)のに対し、4つのワーキングゾーン442”は第2のレイヤにプリントされる(網掛けで示していない)。
【0069】
図4Fは、別のターゲットによるオーバーレイマーク450の上面図である。
図4Eのオーバーレイマークと同様に、オーバーレイマーク450は、2つの別個の方向におけるオーバーレイを測定するように構成されている。オーバーレイマーク450は、2つの異なる方向における2つのウェハレイヤ間のレジストレーションエラーを決定するための複数のワーキングゾーン452を含む。ワーキングゾーン452はそれぞれ粗くセグメント化されたラインの周期構造を含む。16のワーキングゾーンのうち、8つのワーキングゾーン452AはX方向に配向し、8つのワーキングゾーン452BはY方向に配向している(その上に配置された周期構造によって示されるように)。ワーキングゾーン452Aの8つのうち、任意の所与の配向(AまたはB)において、4つのワーキングゾーン452’は第1のレイヤにプリントされる(網掛けで表される)のに対し、4つのワーキングゾーン452”は第2のレイヤにプリントされる(網掛けで示していない)。
【0070】
図4Gは、別のターゲットによるオーバーレイマーク460の上面図である。
図4Eのオーバーレイマークと同様に、オーバーレイマーク460は、2つの別個の方向におけるオーバーレイを測定するように構成されている。オーバーレイマーク460は、2つの異なる方向における2つのウェハレイヤ間のレジストレーションエラーを決定するための複数のワーキングゾーン462を含む。ワーキングゾーン462はそれぞれ粗くセグメント化されたラインの周期構造を含む。16のワーキングゾーンのうち、8つのワーキングゾーン462AはX方向に配向し、8つのワーキングゾーン462BはY方向に配向している(その上に配置された周期構造によって示されるように)。8つのワーキングゾーン462のうち、任意の所与の配向(AまたはB)において、4つのワーキングゾーン462’は第1のレイヤにプリントされる(網掛けで表される)のに対し、4つのワーキングゾーン462”は第2のレイヤにプリントされる(網掛けで示していない)。
【0071】
図4Hは、別の構造によるオーバーレイマーク480の上面図である。
図4Eのオーバーレイマークと同様に、オーバーレイマーク480は、2つの別個の方向におけるオーバーレイを測定するように構成されている。オーバーレイマーク480は、2つの異なる方向における2つのウェハレイヤ間のレジストレーションエラーを決定するための複数のワーキングゾーン482を含む。ワーキングゾーン482はそれぞれ粗くセグメント化されたラインの周期構造を含む。16のワーキングゾーンのうち、8つのワーキングゾーン482AはX方向に配向し、8つのワーキングゾーン482BはY方向に配向している(その上に配置された周期構造によって示されるように)。8つのワーキングゾーン482のうち、任意の所与の配向(AまたはB)において、4つのワーキングゾーン482’は第1のレイヤにプリントされる(網掛けで表される)のに対し、4つのワーキングゾーン482”は第2のレイヤにプリントされる(網掛けで表されない)。さらに、8つのワーキングゾーン482のうち、任意の所与の配向(AまたはB)において、4つのワーキングゾーン482は第1の周期の周期構造M(細線で表される)を有するのに対し、4つのワーキングゾーン482は第1の周期とは異なる第2の周期の周期構造N(太線で表される)を有する。
【0072】
図4Iは、別の構造によるオーバーレイマーク490の上面図である。
図4Eのオーバーレイマークと同様に、オーバーレイマーク490は、2つの別個の方向におけるオーバーレイを測定するように構成されている。しかしながら、オーバーレイマーク490は、ウェハの3つの連続したレイヤ間の、またはウェハの単一のレイヤ上の3つの別個に生成されたパターン間の相対シフトを決定するようにも構成されている。図示の実施形態では、オーバーレイマーク490は16の方形ワーキングゾーン492を含む。ワーキングゾーン492それぞれは、粗くセグメント化されたラインの周期構造を含む。
【0073】
16のワーキングゾーン492のうち、8つのワーキングゾーン492’は第1のレイヤにプリントされており(網掛けで表される)、4つのワーキングゾーン492”は第2のレイヤにプリントされており(白塗りつぶしで示される)、4つのワーキングゾーン492”’は第3のレイヤにプリントされている(黒塗りつぶしで示される)。この特定の実施形態では、第1のレイヤ(シングルプライムによっても表される)は、第2のレイヤ(ダブルプライムによっても表される)の上に配置され、第2のレイヤは第3のレイヤ(トリプルプライムによっても表される)の上に配置される。例として、第1のレイヤはレジストレイヤを表してもよく、第2のレイヤは第1の金属レイヤを表してもよく、第3のレイヤは第2の金属レイヤを表してもよい。上記の構成は広範に変動し得ることに留意されたい。例えば、任意の所与の配向(AまたはB)での8つのワーキングゾーンのうち、2つは第1のレイヤにプリントされてもよいのに対し、各付加的なペアのグレーティングは3つの以前のレイヤのうち何層までにプリントされてもよい。
【0074】
図5は、本発明の特定の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装され得る、重畳する周期的ライン構造を有する別の合成XYオーバーレイマーク500の上面図である。このターゲット500は、解像度以下のXおよびYフィーチャの複合パターンを含み、X構造の一部がY構造とインタリーブされている。例えば、ワーキンググループ502Aは、拡張された領域501に示されるように、第1のレイヤに関して、インタリーブされたXおよびYの解像度以下のフィーチャを含む。ワーキングゾーンのうち一部は、第1のレイヤの後で第1のレイヤの上に形成された第2のレイヤのためのオーバーレイされたワーキングゾーンをも含む。例えば、ワーキングゾーン502Bは、第1のレイヤ内にXおよびYの解像度以下の周期的フィーチャを含み、Xコースの周期構造の第2の層が第1のレイヤの周期構造の上に形成されている。オーバーレイは一般に、現在形成されたレイヤパターンと以前のレイヤパターンの対称心/重心間の差によって決定され得る。
【0075】
図6は、本発明の特定の実施形態に従って対称ビーム走査技術が実装され得る、XYオーバーレイ構造を有する別のターゲット600である。図示のように、ワーキンググループ602Aは3つの異なるレイヤ(白、黒および網掛け)でのYオーバーレイグレーティング構造を含むのに対し、ワーキンググループ602Bは同じ3つの異なるレイヤ(白、黒および網掛け)にXオーバーレイグレーティング構造を含む。この例において、各ワーキンググループ内の各レイヤの構造は、ゼロオーバーレイエラーがある場合に同じ中心位置604を有するように配置される。オーバーレイは一般に、現在形成されたレイヤパターンと以前のレイヤパターンの重心間の差(または、重心間の所定のオフセットからの逸脱)によって決定され得る。
【0076】
上述のXYターゲットそれぞれに関して、走査パターンは一般に、逐次走査間にラインのスキッピングがある場合もない場合も、ラインエッジに対してチルトしておりターゲットに対称な双方向走査を含み得る。例えば、ビームは、45°、135°、225°および315°でチルトしている、またはオーバーレイターゲットの配向に対して任意の適切な対称な角度の組み合わせでチルトしているスワスのセットに沿って合成XYターゲットに対して走査され得る。例えば、チルト角は、e-ビームが
図7のトップレイヤパターン(例えば701)に対して垂直に走査され得るように、19°~21°および199°~201°を含み得る。
【0077】
本明細書に記載の走査技術は、
図4A-4IのXY合成ターゲットのように互いに対して垂直以外の方向で互いに対してチルトしているサブ構造を含む周期構造を有するターゲットに適用されてもよい。
図7は、鉛垂直または平行角を除外した角度で互いに対してチルトしている、異なるレイヤおよび方向の周期的ライン構造を有する別のターゲット部分700の上面図である。つまり、2つのグレーティング間のチルト角は0°よりも大きく90°未満である。この図において、ターゲットは、網掛け影付きで示される第1のレイヤ内のラインのセットと、白の影付きで示される第2のレイヤ内のラインのセットを有する。第2のレイヤのラインは、約21°の角度で第1のレイヤのラインに対してチルトしている。
【0078】
図7の例ならびに別のタイプのターゲットにおいて、荷電粒子ビームは、チルト角の任意の適切な対称な組み合わせでの、対称走査のペアで走査され得る。各走査のペアは、互いに対して対称な走査の2つの反対方向のセットを含み、全走査ペアの結果として得られる走査パスは、ターゲットのいずれの長軸にも平行でない。一般に、ビーム走査パターンは、ラインセットそれぞれに対して垂直であるか、またはラインセットそれぞれに対してチルトしているかのいずれかである走査を含み得る。例として、ターゲット700に関しては、荷電粒子ビームは、第2のレイヤの水平線がそれらの長軸に沿って走査される結果となり得るため、東西方向に走査されることはない。
図7のターゲットのオーバーレイは一般に、現在形成されたレイヤパターンと以前のレイヤパターンの重心間の差によって決定され得る。
【0079】
別の実施形態では、ターゲットは分離したXおよびY構造を含まず、一体化したXY構造を含む。
図8は、XおよびYオーバーレイが決定され得る複数のコンタクト構造から形成された別のオーバーレイマーク810の上面図である。図示のように、オーバーレイマーク810は、2つの別個の方向におけるオーバーレイを測定するように構成されている。そのため、マーク810はオーバーレイが測定されることになっている各XおよびY方向について別個に配置されたまたはオフセットした構造を有する必要を省く。オーバーレイマーク810は、ウェハの試験レイヤが完全なアライメントにある場合にもたらされる構成で示されている。
【0080】
オーバーレイマーク810は、2つの異なる方向における2つのウェハレイヤ間のレジストレーションエラーを決定するための複数のワーキングゾーン812を含む。図示の実施形態において、オーバーレイマーク810は、オーバーレイマーク810をイメージングするために使用される計測ツールの視野(図示せず)を実質的に埋めるように構成された4つの方形ワーキングゾーン812を含む。ワーキングゾーン812は、ウェハ上の異なるレイヤ間のアライメントを計算するために使用されるマークの実領域を表す。前述のように、ワーキングゾーン812は、第2のレイヤの隣接するワーキングゾーンの部分と重畳しないように、互いから空間的に離されている。
【0081】
この例において、ワーキングゾーンは、例えば、X方向およびY方向等の2つの方向におけるオーバーレイ情報を提供するように構成されている。4つのワーキングゾーン812A-Dのうち、2つのワーキングゾーン812Aおよび812Dは第1のレイヤに配置されており、2つのワーキングゾーン812Bおよび812Cは第2のレイヤに配置されており(第1のレイヤは単色塗りつぶしで表され、第2のレイヤは塗りつぶしなしで表されている)。同じ第1のレイヤ上に配置されたワーキングゾーン812Aおよび812Dは、第1の鉛垂直で互いの反対側に配置され、その一方で、同じ第2のレイヤ上に配置されたワーキングゾーン812Bおよび812Cは、第2の鉛垂直で(例えば対角状に)互いの反対側に配置されている。これらのcross-positioned構造は、「X」形状パターンを形成する。
【0082】
ワーキングゾーン812それぞれは、例えば、周期構造814A-D等の個々の周期構造814を含む。図示のように、周期構造814それぞれは実質的に、その対応するワーキングゾーン812の外周を実質的に埋める。理解され得るように、周期構造814それぞれは、その対応するワーキングゾーン812のレイヤ内に形成される。周期構造814は、間隔を空けた行と列に配置された粗くセグメント化された要素816を含む。任意選択的に、粗くセグメント化された要素816それぞれのほうは細かくセグメント化された要素818によって形成されていてもよい。細かくセグメント化された要素818は間隔を空けた行と列に配置されている。個々の粗くセグメント化された要素816および細かくセグメント化された要素818は、種々のサイズ、形状および分布で構成されてよい。図示の実施形態では、粗くセグメント化された要素816と細かくセグメント化された要素818は両方とも方形であり、隣接する要素から等間隔で離隔している。理解され得るように、オーバーレイマーク810は、互いに対して垂直である2つの別個の方向における位置ずれ値を測定するために使用され得るが、それは、マーク810が垂直方向に同じ反復構造パターンを有するからである。
【0083】
オーバーレイコンタクトアレイターゲット810は、北、南、東および西方向に走査されても、北・南方向のみ(Yオーバーレイについて)、または東・西方向のみ(Xオーバーレイについて)に走査されてもよい。走査パターンはいずれもラインをスキップすることを含んでよい。別の合成例では(図示せず)、ターゲットは十字型構造のアレイを含み得る。この後者の例では、ビームは、本明細書に記載の合成XYターゲットのようなターゲットに対してチルト角で走査されてよい。
【0084】
上述の技術のいずれかを実装するために、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの任意の適切な組み合わせが使用されてよい。
図9は、本発明の一実施形態に係る走査電子顕微鏡(SEM)オーバーレイ計測システムの図表示である。周期構造にわたり対称な方向で走査することは、電子の増大によって引き起こされるイメージの非対称性を回避することができ、結果として不正確なオーバーレイ測定(等)を極減する。
【0085】
幾つかの実施形態では、システム900は、限定はしないが、SEMオーバーレイオプション付き欠陥レビュー(DR)SEMツール、SEMオーバーレイオプション付きクリティカルディメンション(CD)SEMツール、スタンドアローンSEMツール、一体型SEMオーバーレイ計測付きリソグラフィー/エッチツール、または、イメージング光学オーバーレイ、スキャトロメトリ光学オーバーレイ、スキャトロメトリCD等のフィーチャ付きリソグラフィー/エッチ計測クラスタ、およびSEMオーバーレイオプション付きCDSEMを含み得る。システム900は、オーバーレイエラー(例えば、関心対象の少なくとも2つのレイヤ間のミスアライメントまたは空間的オフセット)を決定するために、限定はしないが、上に形成された2つ以上のレイヤを有するウェハ(例えば半導体ウェハ)等のサンプル906を電子ビーム904で走査するように構成されてよい。
【0086】
システム900は、当技術分野で知られる任意の走査モードで動作してよい。例えば、システム900は、サンプル906の表面にわたり電子ビーム904を走査する場合にスワスモードで動作してよい。これに関して、システム900は、サンプルが移動しており、サンプルの動作方向に対して走査方向が名目上垂直な状態で、サンプル906にわたり電子ビーム904を走査してよい。別の例として、システム900は、サンプル906の表面にわたり電子ビーム904を走査する場合にステップアンド走査モードで動作してよい。これに関して、システム900は、ビーム904が走査されている場合に名目上静置状態であるサンプル906にわたり電子ビーム904を走査してよい。
【0087】
システム900は、1つ以上の電子ビーム904を生成するための電子ビーム源902を含んでよい。電子ビーム源902は、当技術分野で知られる任意の電子源を含み得る。例えば、電子ビーム源902は、限定はしないが、1つ以上の電子銃を含み得る。幾つかの実施形態では、コンピューティングシステム924またはコントローラは電子ビーム源902に通信可能に結合されてよい。コンピューティングシステム924は、1つ以上の電子源パラメータを、電子ビーム源902への制御信号を介して調整するように構成され得る。例えば、コンピューティングシステム924は、源902によって放出される電子ビーム904のビーム電流を、電子ビーム源902の回路構成を制御するために伝送される制御信号を介して変更するように構成され得る。
【0088】
サンプル906は、走査中にサンプル906を支持するように構成されたサンプルステージ908上に配置され得る。幾つかの実施形態では、サンプルステージ908は作動可能なステージである。例えば、サンプルステージ908は、限定はしないが、サンプル906を1つ以上の直線方向(例えばx方向、y方向および/またはz方向)に沿って選択的に並進させるのに適した1つ以上の並進ステージを含んでよい。別の例として、サンプルステージ908は、限定はしないが、サンプル906を回転方向に沿って選択的に回転させるのに適した1つ以上の回転ステージを含み得る。別の例として、サンプルステージ908は、限定はしないが、サンプルを直線方向に沿って選択的に並進させる、および/またはサンプル906を回転方向に沿って選択的に回転させるのに適した回転ステージおよび並進ステージを含み得る。
【0089】
幾つかの実施形態では、コンピューティングシステム924またはコントローラは、サンプルステージ908に通信可能に結合されている。コンピューティングシステム924は、1つ以上のステージパラメータを、サンプルステージ908に伝送された制御信号を介して調整するように構成され得る。コンピューティングシステム924は、サンプルステージ908の回路構成を制御するために伝送された制御信号を介して、サンプル走査速度を変更するおよび/または走査方向を制御するように構成され得る。例えば、コンピューティングシステム924は、速度を変更するおよび/またはサンプル906が電子ビーム904に対して直線状に並進する方向(例えばx方向またはy方向)を制御するように構成され得る。本明細書でさらに説明するように、サンプル906は、オーバーレイ計測ターゲットを形成するターゲット構造またはサンプル906上のマークのフィーチャ配置に対してチルトした配向(例えば、パターンラインの長軸に対して垂直またはチルトした配向)で走査され得る。
【0090】
システム900はさらに、電子-光学素子910のセットを含み得る。電子-光学素子のセットは、電子ビーム904をサンプル906の選択された部分に集束および/または指向させるのに適した当技術分野で知られる任意の電子-光学素子を含み得る。一実施形態において、電子-光学素子のセットは1つ以上の電子-光学レンズを含む。例えば、電子-光学レンズは、限定はしないが、電子ビーム源からの電子を収集するための1つ以上のコンデンサレンズ912を含み得る。別の例として、電子-光学レンズは、限定はしないが、電子ビーム904をサンプル906の選択された領域に集束するための1つ以上の対物レンズ914を含み得る。幾つかの実施形態では、電子ビーム904は、サンプルグレーティングに対して制御された角度でサンプル906に指向され得る。座標のウェハ系統は座標のSEM系統と必ずしも一致しないため、微細な走査角を制御することは座標系間のマッチングを改善してサンプリング性能/精度に有意に貢献する。
【0091】
幾つかの実施形態では、電子-光学素子のセットは、1つ以上の電子ビーム走査素子916を含む。例えば、1つ以上の電子ビーム走査素子916は、限定はしないが、サンプル906の表面に対するビームの位置決めを制御するのに適した1つ以上の走査コイルまたはデフレクタを含み得る。これに関して、1つ以上の走査素子916は、電子ビーム904をサンプル906にわたり、選択された走査方向またはパターンで走査するために使用され得る。例えば、サンプル906は、オーバーレイ計測ターゲットまたはサンプル906上のマークを形成するターゲット構造のフィーチャ配置に対してチルトまたは垂直な双方向走査で(例えば、ターゲットラインに対して双方向であり傾斜している)走査され得る。コンピューティングシステム924またはコントローラは、1つ以上の走査素子916等の電子-光学素子910のうち1つ以上に通信可能に結合され得る。したがって、コンピューティングシステムは、1つ以上の通信可能に結合された電子-光学素子910に伝送される制御信号を介して、1つ以上の電子-光学パラメータを調整する、および/または走査方向を制御するように構成され得る。
【0092】
システム900はさらに、サンプル906から電子917を受け取るように構成された検出器アセンブリ918を含み得る。幾つかの実施形態では、検出器アセンブリ918は、電子コレクタ920(例えば、二次電子コレクタ)を含む。検出器アセンブリはさらに、例えば遅延電磁界原理に基づくエネルギーフィルタ919を含み得る。これに関して、エネルギーフィルタ919は、高エネルギー二次電子(すなわち、反射電子)を通しながら低エネルギー二次電子を止めるように構成され得る。エネルギーフィルタ919が作動されない場合、全ての二次電子が、検出システムの収集効率に従って検出される。全体的電子イメージから高エネルギー電子イメージを差し引くことによって、低エネルギー二次電子イメージが取得され得る。検出器アセンブリ918はさらに、サンプル表面から電子(例えば二次電子)を検出するための検出器922(例えば発光素子およびPMT検出器922)を含み得る。幾つかの実施形態では、検出システム922は、1つ以上の明視野(BF)検出器921および1つ以上の暗視野(DF)検出器923等の、いくつかの電子検出器を含み得る。幾つかの実施形態では、2~8(またはそれ以上であってもよい)のDF検出器923があってもよい。BF検出器921は、低い(ウェハ垂線に従って)放出角の電子を検出し、その一方で、DF検出器923はより高い放出角の電子によって担持される情報を提供する。幾つかの実施形態では、検出器アセンブリ918の検出器922は光検出器を含む。例えば、検出器922のPMT検出器のアノードは、蛍光体アノードを含んでもよく、それは、アノードによって吸収されたPMT検出器のカスケードされた電子によって励起されてその後に発光し得る。次に、光検出器は、サンプル906をイメージングするために、蛍光体アノードによって放出された光を収集してもよい。光検出器は、限定はしないが、CCD検出器またはCCD-TDI検出器等の当技術分野で知られる任意の光検出器を含み得る。システム900は、限定はしないが、エバーハート・ソンリー(Everhart-Thornley)タイプ検出器等の付加的/代替的検出器タイプを含み得る。さらに、本明細書に記載の実施形態は、単一の検出器配置および複数の検出器配置に適用可能である。
【0093】
幾つかの実施形態では、コンピューティングシステム924またはコントローラは、検出器アセンブリ918に通信可能に結合されている。コンピューティングシステム924は、検出器アセンブリ918に伝送される制御信号を介してパラメータを形成する1つ以上のイメージを調整するように構成され得る。例えば、コンピューティングシステムは、二次電子の抽出電圧または抽出場強さを調整するように構成され得る。当業者ならば、「コンピューティングシステム924」は、少なくとも1つの非一時的信号担持媒体によって記憶されたプログラム命令に埋め込まれた1つ以上の命令セットを実行するように構成された1つ以上のプロセッサ等の1つ以上のコンピューティングシステムまたはコントローラを含み得ることを理解するであろう。コンピューティングシステム924は、限定はしないが、本明細書に記載のもののような種々の走査またはサンプリングパラメータを制御し得る。
【0094】
前述の説明は、二次電子の収集の文脈での検出器アセンブリ918にフォーカスしてきたが、これを、本発明への限定と解釈すべきではない。本明細書では、検出器アセンブリ918は、サンプルの表面またはバルクを電子ビーム904で特性評価するための当技術分野で知られる任意のデバイスまたはデバイスの組み合わせを含み得ることが認識される。例えば、検出器アセンブリ918は、反射電子、オージェ電子、透過した電子または光子(例えば、入射電子に応答して表面によって放射されたx線)を収集するように構成された、当技術分野で知られる任意の粒子検出器を含み得る。幾つかの実施形態では、上述のように、検出された電子は、検出された電子のエネルギーレベルおよび/または放出角に基づいて差別化され(例えば、二次電子vs反射電子)、全体的電子イメージから高エネルギー電子を差し引くことによって、低エネルギーの二次電子イメージが取得され得る。
【0095】
コンピューティングシステム924は、データまたは情報(例えば、検出信号/イメージ、統計結果、基準または較正データ、訓練データ、モデル、抽出されたフィーチャまたは変換結果、変換済みデータセット、カーブフィッティング、定性および定量結果等)を、他のシステムから、有線および/または無線部分を含み得る伝送媒体によって受信および/または取得するように構成され得る。こうして、伝送媒体は、コンピューティングシステム924と他のシステム(例えばメモリオンボード計測システム、外部メモリ、基準測定源、または他の外部システム)との間のデータリンクとして働き得る。例えば、コンピューティングシステム924は、データリンクを介して記憶媒体(例えば、内部または外部メモリ)から測定データを受信するように構成され得る。例えば、検出システムを用いて得られた結果は、永久または半永久メモリデバイス(例えば、内部または外部メモリ)に記憶され得る。これに関して、結果はオンボードメモリから、または外部メモリシステムからインポートされてもよい。さらに、コンピューティングシステム924は、伝送媒体を介してデータを他のシステムに送信してもよい。例えば、コンピューティングシステム924によって決定されたオーバーレイ値等の定性および/または定量結果は、外部メモリに通信されて記憶されてもよい。これに関して、測定結果は別のシステムにエクスポートされてもよい。
【0096】
コンピューティングシステム924は、限定はしないが、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、パラレルプロセッサ、または当技術分野で知られる任意の他のデバイスを含み得る。一般に、用語「コンピューティングシステム」は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広範に定義され得る。プログラム命令は、コンピュータ可読媒体(例えばメモリ)に記憶されてよい。例示的コンピュータ可読媒体は、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気もしくは光ディスクまたは磁気テープを含む。
【0097】
計測ツールは、半導体製造に関する多くの異なるタイプの測定を行うように構成され得る。品質および/または定量値を決定するための本発明のいくつかの実施形態は、そのような測定を利用してよい。特定のターゲット特性を決定するための付加的な計測技術を、上述の品質決定技術と組み合わせてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ツールは信号/イメージを取得して、1つ以上のターゲットの特性(例えば、オーバーレイ、クリティカルディメンション、側壁角、膜厚、プロセス関連パラメータ(例えばフォーカスおよび/またはドーズ)を決定してもよい。ターゲットは、例えばメモリダイ内のグレーティング等の、本質的に周期性である特定の関心領域を含み得る。ターゲットは、その厚さが計測ツールによって測定され得る複数のレイヤ(または膜)を含み得る。ターゲットは、例えば、アライメントおよび/またはオーバーレイレジストレーションオペレーションで使用する、半導体ウェハ上に配置された(または既に存在する)ターゲットデザインを含み得る。あるターゲットは半導体ウェハ上の様々な位置に配置され得る。例えば、ターゲットは、スクライブライン内(例えばダイ間)に配置されてもよく、および/またはダイ自体に配置されてもよい。ある実施形態では、複数のターゲットが同じ計測ツールで、または複数の計測ツールで測定される(同時に、または異なるタイミングで)。そのような測定からのデータは合成されてよい。計測ツールからのデータは、半導体製造プロセス、例えば、プロセスへのフィードフォワード、フィードバックワードおよび/またはフィードサイドウェイ補正に使用されてもよく(例えば、リソグラフィー、エッチング)、したがって、完全プロセス制御ソリューションをもたらし得る。
【0098】
計算アルゴリズムは、計算ハードウェア、並列計算、計算の分散、負荷分散、マルチサービスサポート、動的負荷最適化等の設計および実装等の1つ以上の手法を備えた計測アプリケーション向けに通常は最適化される。アルゴリズムの異なる実装は、ファームウェア、ソフトウェア、FPGA、プログラマブル光学素子等で実行され得る。
【0099】
ここで提示した本発明のある実施形態は一般に、半導体計測およびプロセス制御の分野を対象としており、ハードウェア、アルゴリズム/ソフトウェア実装およびアーキテクチャ、および上記に要約したユースケースに限定されない。
【0100】
上記の発明を、理解の明瞭さのために特定の詳細で説明してきたが、添付の特許請求の範囲内で何らかの変更および修正が実行され得ることは明白であろう。本発明のプロセス、システムおよび装置を実装する多くの代替的方式が存在することに留意されたい。したがって、本発明の実施形態は例示的であると見なされ、限定的とは見なされず、本発明は本明細書に記載の詳細に限定されない。