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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20221114BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20221114BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018158655
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2019049544
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2017173485
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127498
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100146329
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】加集 功士
(72)【発明者】
【氏名】四宮 由隆
(72)【発明者】
【氏名】屋鋪 大三郎
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10539517(US,B2)
【文献】特開平8-201306(JP,A)
【文献】特開2006-18400(JP,A)
【文献】特開2013-205123(JP,A)
【文献】特開2007-240217(JP,A)
【文献】特開平3-78647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
G06T 1/00-5/50,7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が円形の面である円形外形面を有している対象物を、当該円形の中心を通り当該円形外形面と略垂直な方向に伸びる線を軸として回転させながら検査する検査装置であって、
前記対象物が、非水電解液二次電池用セパレータがコアに対して捲回されてなるセパレータ捲回体を含み、
検査に供されている状態の上記セパレータ捲回体に関し、
上記円形外形面に対して電磁波を照射する少なくとも1つの電磁波発生源と、
上記セパレータ捲回体を透過した上記電磁波を受ける電磁波受信領域を有している画像取得部とを備えており、
上記画像取得部は、上記円形外形面の平面視において、上記円形の中心から離れた上記電磁波受信領域の部分ほど、移動の速い被写体の撮影に適し
上記電磁波受信領域は、上記円形外形面の平面視において、上記円形外形面の中心側の、上記中心から同一の距離だけ離れた上記円形の径方向の位置に照射された上記電磁波が到達する位置から上記外形に照射された上記電磁波が到達する位置まで、上記径方向に沿って延伸する、複数の小領域を含み、
前記複数の小領域が、前記円形の中心に対して放射状に延伸する検査装置。
【請求項2】
上記複数の小領域の各々は、互いに異なるタイミングで上記円形外形面における同一部分を通過する上記電磁波を受け、
上記検査装置は、上記複数の小領域の各々が上記電磁波を受けることによって得られた、複数の上記同一部分の画像を重ねあわせることにより、当該同一部分に付着する異物の有無を検査する請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
上記検査装置は、上記少なくとも1つの電磁波発生源として、上記複数の小領域毎に対応付けられた、複数の電磁波発生源を備えており、
上記複数の電磁波発生源の各々は、上記複数の小領域のうち対応するいずれかに対して、上記円形外形面と略垂直な方向に配置されている請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
上記電磁波受信領域は、複数の画像取得単位からなり、
上記検査装置は、上記少なくとも1つの電磁波発生源として、上記複数の画像取得単位毎に対応付けられた、複数の電磁波発生源を備えており、
上記複数の電磁波発生源の各々は、上記複数の画像取得単位のうち対応するいずれかに対して、上記円形外形面と略垂直な方向に配置されている請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
外形が円形の面である円形外形面を有している対象物を、当該円形の中心を通り当該円形外形面と略垂直な方向に伸びる線を軸として回転させながら検査する検査方法であって、
前記対象物が、非水電解液二次電池用セパレータがコアに対して捲回されてなるセパレータ捲回体を含み、
検査に供されている状態の上記セパレータ捲回体に関し、
上記円形外形面に対して電磁波を照射する工程と、
上記セパレータ捲回体を透過した上記電磁波を、画像取得部に含まれる電磁波受信領域によって受ける工程とを含んでおり、
上記画像取得部は、上記円形外形面の平面視において、上記円形の中心から離れた上記電磁波受信領域の部分ほど、移動の速い被写体の撮影に適し、
上記電磁波受信領域は、上記円形外形面の平面視において、上記円形外形面の中心側の、上記中心から同一の距離だけ離れた上記円形の径方向の位置に照射された上記電磁波が到達する位置から上記外形に照射された上記電磁波が到達する位置まで、上記径方向に沿って延伸する、複数の小領域を含み、
前記複数の小領域が、前記円形の中心に対して放射状に延伸する検査方法。
【請求項6】
上記複数の小領域の各々は、互いに異なるタイミングで上記円形外形面における同一部分を通過する上記電磁波を受け、
上記検査方法にて、上記複数の小領域の各々が上記電磁波を受けることによって得られた、複数の上記同一部分の画像を重ねあわせることにより、当該同一部分に付着する異物の有無を検査する請求項5に記載の検査方法。
【請求項7】
上記複数の小領域のそれぞれに対して上記円形外形面と略垂直な方向から、上記電磁波を発生させる請求項5または6に記載の検査方法。
【請求項8】
上記電磁波受信領域は、複数の画像取得単位からなり、
上記複数の画像取得単位のそれぞれに対して上記円形外形面と略垂直な方向から、上記電磁波を発生させる請求項5から7のいずれか1項に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等に用いる電池として広く使用されている。とりわけ、リチウムイオン二次電池は、従前の二次電池と比較して、COの排出量を削減し、省エネに寄与する電池として、注目されている。
【0003】
従来、非水電解液二次電池用セパレータがコアに対して捲回されてなるセパレータ捲回体の開発が進んでいる。併せて、このセパレータ捲回体に付着した異物を検出する検査が検討されている。
【0004】
対象物に付着した異物を検出する検査の一例として、特許文献1に開示されている技術が挙げられる。特許文献1に開示されている技術においては、X線源から出射されたX線をキャピラリレンズによって平行X線に変換し、この平行X線を対象物である試料に対して照射し、この試料を透過した平行X線をTDI(Time Delay Integration)センサによって受ける。TDIセンサにおいては、例えば、特許文献2に開示されているような技術が利用されている。
【0005】
ところで、外形が円形の面(セパレータ捲回体の場合、側面)を有する対象物に付着した異物を検出する検査としては、下記の検査方法が考えられる。なお、以下、対象物における外形が円形の面を、円形外形面とも言う。
【0006】
すなわち、円形外形面の外形を構成する円形の中心を通り円形外形面と略垂直な方向に伸びる線を軸として、対象物を回転させる。そして、円形外形面に対して電磁波を照射する。そして、円形外形面を透過した電磁波をセンサによって受ける。そして、センサが電磁波を受けることによって得られた画像を解析して、対象物に対して異物が付着しているかどうかの検査を行う。これにより、特許文献1に開示されている技術に対して、異物の検出を高効率化することが可能であるため、検査の高速化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-38350号公報(2016年3月22日公開)
【文献】特開昭61-22841号公報(1986年1月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、対象物が回転している場合、円形外形面の平面視において、円形の中心から離れた位置ほど、速度が速くなっている。これにより、上述した対象物を回転させて行う検査においては、例えば円形の中心付近の画像の取得を最適化した場合に、下記(A)および(B)の問題が発生する。
【0009】
(A)円形の中心から離れた位置ほど、センサが取得した画像に写る円形外形面の部分の面積が回転に沿った方向に大きくなる(換言すれば、当該部分が、回転に沿った方向に伸びる)。このため、円形の中心から離れた位置の画像について、分解能が悪化してボケが生じたり、円形の中心付近の画像(分解能が悪化していない)との相対的な位置ズレが発生したりする虞がある。
【0010】
(B)センサの電磁波受信領域における複数の画像取得単位(例えば、画素)が、円形外形面のある1つの半径に沿った行と当該行に対して略垂直な列とからなる行列状に並んでいる場合を考える。この場合、円形の中心から離れた画像取得単位の列ほど、各画像取得単位間で、取得した画像に写る円形外形面の部分が大きくズレる。例えば、センサがTDIセンサである場合、同一の画像取得単位の列を構成する各画像取得単位で取得した画像を重ねあわせることになるが、当該ズレは、重ねあわせた後の画像のボケに繋がる。
【0011】
つまり、上述した対象物を回転させて行う検査においては、円形外形面の全体において鮮明な画像を得ることが難しいため、検査の精度が低くなるという問題が発生する。
【0012】
本発明の一態様は、対象物の検査を高精度かつ高速に行うことを可能とする、検査装置および検査方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る検査装置は、外形が円形の面である円形外形面を有している対象物を、当該円形の中心を通り当該円形外形面と略垂直な方向に伸びる線を軸として回転させながら検査する検査装置であって、検査に供されている状態の上記対象物に関し、上記円形外形面に対して電磁波を照射する少なくとも1つの電磁波発生源と、上記対象物を透過した上記電磁波を受ける電磁波受信領域を有している画像取得部とを備えており、上記画像取得部は、上記円形外形面の平面視において、上記円形の中心から離れた上記電磁波受信領域の部分ほど、移動の速い被写体の撮影に適している。
【0014】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る検査方法は、外形が円形の面である円形外形面を有している対象物を、当該円形の中心を通り当該円形外形面と略垂直な方向に伸びる線を軸として回転させながら検査する検査方法であって、検査に供されている状態の上記対象物に関し、上記円形外形面に対して電磁波を照射する工程と、上記対象物を透過した上記電磁波を、画像取得部に含まれる電磁波受信領域によって受ける工程とを含んでおり、上記画像取得部は、上記円形外形面の平面視において、上記円形の中心から離れた上記電磁波受信領域の部分ほど、移動の速い被写体の撮影に適している。
【0015】
上記の構成によれば、円形外形面の平面視において、円形外形面の外形を構成する円形の中心から離れた電磁波受信領域の部分ほど、移動の速い被写体の撮影に適している。このため、円形の中心から離れた位置において、画像取得部が取得した画像に写る円形外形面の部分の面積が回転に沿った方向に大きくなることを抑制することができるため、上述した問題(A)を抑制することができる。
【0016】
また、上記の構成によれば、電磁波受信領域において同一の列を構成する各画像取得単位間での、取得した画像に写る円形外形面の部分のズレを抑制することができる。このため、上述した問題(B)を抑制することができる。
【0017】
従って、上記の構成によれば、対象物の検査を高精度かつ高速に行うことが可能である。
【0018】
また、本発明の一態様に係る検査装置において、上記電磁波受信領域は、複数の小領域に分割されており、上記複数の小領域は、上記円形外形面の平面視において、上記円形外形面の縁と同心円状に配置されている。
【0019】
また、本発明の一態様に係る検査方法において、上記電磁波受信領域は、複数の小領域に分割されており、上記複数の小領域は、上記円形外形面の平面視において、上記円形外形面の縁と同心円状に配置されている。
【0020】
上記の構成によれば、円形外形面における特定の部分を通過する電磁波を小領域毎に受信することができるため、検査に用いるデータの種類を増やすことができる。
【0021】
また、本発明の一態様に係る検査装置において、上記複数の小領域の各々は、互いに異なるタイミングで上記円形外形面における同一部分を通過する上記電磁波を受け、上記検査装置は、上記複数の小領域の各々が上記電磁波を受けることによって得られた、複数の上記同一部分の画像を重ねあわせることにより、当該同一部分に付着する異物の有無を検査する。
【0022】
また、本発明の一態様に係る検査方法において、上記複数の小領域の各々は、互いに異なるタイミングで上記円形外形面における同一部分を通過する上記電磁波を受け、上記検査方法にて、上記複数の小領域の各々が上記電磁波を受けることによって得られた、複数の上記同一部分の画像を重ねあわせることにより、当該同一部分に付着する異物の有無を検査する。
【0023】
上記の構成によれば、TDIセンサの原理を応用して、複数の同一部分の画像を重ねあわせることにより、検査の精度を向上させることが可能である。
【0024】
また、本発明の一態様に係る検査装置において、上記検査装置は、上記少なくとも1つの電磁波発生源として、上記複数の小領域毎に対応付けられた、複数の電磁波発生源を備えており、上記複数の電磁波発生源の各々は、上記複数の小領域のうち対応するいずれかに対して、上記円形外形面と略垂直な方向に配置されていてもよい。
【0025】
また、本発明の一態様に係る検査方法において、上記複数の小領域のそれぞれに対して上記円形外形面と略垂直な方向から、上記電磁波を発生させてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、各小領域に向かう電磁波の進行方向を揃えることができる。これにより、対象物の厚み等に応じて、各小領域が取得した画像との間でズレが生じることを抑制することができる。
【0027】
また、本発明の一態様に係る検査装置において、上記電磁波受信領域は、複数の画像取得単位からなり、上記検査装置は、上記少なくとも1つの電磁波発生源として、上記複数の画像取得単位毎に対応付けられた、複数の電磁波発生源を備えており、上記複数の電磁波発生源の各々は、上記複数の画像取得単位のうち対応するいずれかに対して、上記円形外形面と略垂直な方向に配置されていてもよい。
【0028】
また、本発明の一態様に係る検査方法において、上記電磁波受信領域は、複数の画像取得単位からなり、上記複数の画像取得単位のそれぞれに対して上記円形外形面と略垂直な方向から、上記電磁波を発生させてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様によれば、対象物の検査の高精度化および高速化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態1および実施の形態2に係る検査装置を示す概略図である。
図2】対象物を回転させている状態を示す図であり、(a)は円形外形面の平面視を示しており、(b)は対象物を横から見た状態を示している。
図3】(a)および(b)は、本発明の実施の形態1に係る電磁波受信領域の構成を示す図であり、円形外形面の平面視を示している。
図4】円形の中心から離れた画像取得単位の列ほど、各画像取得単位間で、取得した画像に写る円形外形面の部分が大きくズレる問題の抑制効果を説明する図である。
図5】円形の中心から離れた画像取得単位の列ほど、各画像取得単位間で、取得した画像に写る円形外形面の部分が大きくズレる問題の抑制効果を説明する図である。
図6】円形の中心から離れた画像取得単位の列ほど、各画像取得単位間で、取得した画像に写る円形外形面の部分が大きくズレる問題の抑制効果を説明する図である。
図7】円形の中心から離れた画像取得単位の列ほど、各画像取得単位間で、取得した画像に写る円形外形面の部分が大きくズレる問題の抑制効果を説明する図である。
図8図3の(a)に示した電磁波受信領域の変形例の構成を示す図であり、円形外形面の平面視を示している。
図9】本発明の実施の形態2に係る電磁波受信領域の構成を示す図であり、円形外形面の平面視を示している。
図10】本発明の実施の形態3に係る検査装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための形態について、図1図10を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態1および実施の形態2に係る検査装置10を示す概略図である。検査装置10は、対象物1を検査する、具体的には、対象物1に付着する異物の有無を検査するものである。検査装置10は、電磁波発生源20、およびセンサ(画像取得部)30を備えている。
【0033】
対象物1は、外形が円形の面である円形外形面2aおよび円形外形面2bを有している。図1においては、円形外形面2aが電磁波発生源20側に位置しており、円形外形面2bがセンサ30側に位置している。対象物1の形状としては、ドーナツ状、円盤状、円筒状、および円柱状等が挙げられる。対象物1の具体例として、非水電解液二次電池用セパレータがコアに対して捲回されてなるセパレータ捲回体、および非水電解液二次電池用セパレータが捲回されるコア等が挙げられる。
【0034】
図2は、対象物1を回転させている状態を示す図である。図2の(a)は、円形外形面2bの平面視を示している。また、図2の(b)は、対象物1を横から見た状態を示している。具体的に、図2の(b)においては、電磁波発生源20側を左側とし、センサ30側を右側として見た状態を示している。
【0035】
なお、各実施の形態においては、互いに垂直な3方向である、X方向、Y方向、およびZ方向を規定している。X方向は対象物1の幅方向、Y方向は対象物1の高さ方向、Z方向はX方向およびY方向の両方と垂直であり円形外形面2aおよび円形外形面2bを垂直に貫く方向を示している。
【0036】
対象物1が検査装置10による検査に供されている状態において、対象物1は、円形外形面2bの外形を構成する円形の中心3を通り円形外形面2bと略垂直な方向(Z方向)に伸びる線を軸4として回転される。対象物1と円形外形面2aとの間においても、同様の関係が成立する。回転の方向は、円形外形面2bの平面視において時計回りとしているが、円形外形面2bの平面視において反時計回りとしてもよい。
【0037】
電磁波発生源20は、円形外形面2aに対して電磁波21を照射するものである。電磁波21の一例としては、X線が挙げられる。電磁波発生源20から円形外形面2aに対して照射された電磁波21は、対象物1を透過し、円形外形面2bから出る。
【0038】
センサ30は、例えばTDIセンサであり、電磁波受信領域31を有している。電磁波受信領域31は、複数の画素を有しており、これら複数の画素により対象物1を透過した電磁波21を受ける。電磁波受信領域31には、複数の画素を覆う少なくとも1つのレンズが設けられていてもよい。センサ30は、電磁波受信領域31にて電磁波21を受けることによって、円形外形面2aおよび円形外形面2bにおける電磁波21が通過した部分の画像を取得することができるものである。
【0039】
以下の実施の形態1および実施の形態2では、電磁波受信領域31の具体的な構成例としての、電磁波受信領域31a~電磁波受信領域31cについて説明を行う。
【0040】
〔実施の形態1〕
図3の(a)および(b)は、本実施の形態に係る電磁波受信領域31aの構成を示す図であり、円形外形面2bの平面視を示している。図3の(a)においては、図示を簡潔にするために、円形外形面2b、中心3、および電磁波受信領域31a以外の構成の図示を省略している。図3の(b)は、図3の(a)に示す電磁波受信領域31aのみの拡大図である。
【0041】
円形外形面2bの平面視において、電磁波受信領域31aは、図2に示す要領で対象物1を1回転させたとき、円形外形面2bの全てが電磁波受信領域31aと重なるように配置されている。電磁波受信領域31aは、複数の画素311を有している。複数の画素311は、M行N列の行列状に配置されている。当該M行の各々は、円形外形面2bの半径Rに沿っており、当該N列の各々は、当該M行の各々に対して略垂直である。
【0042】
図3の(a)および(b)においては、上記M行に関し、上記対象物1の回転の最も上流側に位置する行から順に、第1行、第2行、・・・、第M行としている。また、図3の(a)および(b)においては、上記N列に関し、中心3に最も近い順に、第1列、第2列、・・・、第N列としている。図3の(a)および(b)においては、第m(1≦m≦M)行第n(1≦n≦N)列に配置された画素311を、画素311(m,n)としている。
【0043】
ここで、電磁波受信領域31aは、円形外形面2bの平面視において、中心3から離れた電磁波受信領域31aの部分ほど、移動の速い被写体の撮影に適しているように構成されている。ここで、「移動の速い被写体の撮影に適している」とは、高速で移動する被写体の画像の取得に関し、ボケの無い鮮明な画像を取得することができる程度に、対応するセンサ30の性能が確保されていることを意味している。換言すれば、移動の速い被写体の撮影に対する適性を昇順で並べた場合、第1列を構成する各画素311(1,1)~311(M,1)、第2列を構成する各画素311(1,2)~311(M,2)、・・・、第N列を構成する各画素311(1,N)~311(M,N)の順となる。
【0044】
移動の速い被写体の撮影に対する適性を高める方法として、複数の画素311とそれぞれ対応する複数の撮像機構(図示しない)に関し、下記(1)または(2)の構成をセンサ30またはその周辺装置(画像取得部)に適用することが考えられる。なお、下記(1)および(2)の構成はいずれも周知の技術で実現可能なものであるため、当該構成についての詳細な説明はここでは省略する。
【0045】
(1)画像を取得する際のシャッター速度を高くする。
【0046】
(2)第1行を構成する各画素311(1,1)~311(1,N)、第2行を構成する各画素311(2,1)~311(2,N)、・・・、第M行を構成する各画素311(M,1)~311(M,N)の順に画像を取得しつつ、移動の速い被写体の撮影に対する適性を高くする列ほど、画像の連続取得枚数を多くする。
【0047】
上記の構成によれば、画像取得部は、円形外形面2bの平面視において、中心3から離れた電磁波受信領域31aの部分ほど、移動の速い被写体の撮影に適している。このため、中心3から離れた位置において、電磁波受信領域31aにて取得した画像に写る円形外形面2bの部分の面積が回転に沿った方向に大きくなることを抑制することができるため、上述した問題(A)を抑制することができる。
【0048】
また、上記の構成によれば、電磁波受信領域31aにおいて同一の列を構成する各画素311間での、取得した画像に写る円形外形面2bの部分のズレを抑制することができる。このため、上述した問題(B)を抑制することができる。
【0049】
従って、上記の構成によれば、対象物1の検査を高精度かつ高速に行うことが可能である。
【0050】
さらに、上記(2)の構成において、円形外形面2bにおける特定の位置が常に画像の中央付近に写るように、各画素311から得られる画像を適宜均等に間引いてもよい。これにより、上述した問題(B)をさらに抑制することができる。
【0051】
ここからは、上述した問題(B)の抑制効果について、図4図7を参照してより詳細に説明する。図4図7は、上述した問題(B)の抑制効果を説明する図である。図4においては、円形外形面2bのイメージおよび複数の画素312のイメージを参照して説明を行っている。
【0052】
各画素312のサイズが十分に小さい場合、軸4を中心とする円形の円周の画像を取得する(ここでは、円形外形面2bの平面視において互いに重なり合う)画素312の個数は、近似的に当該円形の半径に比例する。
【0053】
半径rの円形の円周の画像を取得する画素312の個数を2πr個とすると、半径nr(但し、1<n)の円形の円周の画像を取得する画素312の個数は2πnr個となる。
【0054】
また、図4を参照すると、半径rの円形の円周の画像を取得する画素312の1つに外接する2つの半径によって構成される中心角をθとすると、当該画素312の1つのサイズはrθとなる。このことから、半径rの円形の円周の画像を取得する画素312の個数は、2πr/rθ=2π/θ個となる。半径nrの円形の円周の画像を取得する各画素312のサイズがrθである場合、半径nrの円形の円周の画像を取得する画素312の個数は、2πnr/rθ=2πn/θ個となる。
【0055】
ここで、図5に示すとおり、円形外形面2bの画像を取得する場合、中心3から離れた位置ほど、対象物1の回転に伴う移動速度が速い。このため、半径rの円形の円周上の画像と、半径nrの円形の円周上の画像とを互いに同じ時間をかけて取得した場合、半径nrの円形の円周上のほうが、1枚の画像を取得する毎の移動距離が長くなる。当該移動距離の違いをキャンセルするために、半径nrの円形の円周の画像を取得する各画素312と対応する撮像機構のシャッター時間を、半径rの円形の円周の画像を取得する各画素312と対応する撮像機構のシャッター時間の1/n倍とすることが有効である(図6および図7参照)。シャッター時間が1/n倍であることは、換言すれば、シャッター速度がn倍であることである。センサ30がTDIセンサである場合、半径rの円形の円周の画像を取得する各画素312については、2π/θ個のデータを積算する一方、半径nrの円形の円周の画像を取得する各画素312については、2πn/θ個のデータを積算すればよい。
【0056】
図8は、電磁波受信領域31aの変形例の構成を示す図であり、円形外形面2bの平面視を示している。当該変形例において、電磁波受信領域31aの一部は、図3の(a)に示した配置に対して、対象物1の回転に伴う円形外形面2bの移動方向に沿ってシフトされた配置である。換言すれば、当該変形例においては、電磁波受信領域31aの複数の画素311の少なくとも1つが、他の画素311と離れた位置に配置されている。
【0057】
〔実施の形態2〕
図9は、本実施の形態に係る電磁波受信領域31cの構成を示す図であり、円形外形面2bの平面視を示している。図9においては、図示を簡潔にするために、円形外形面2b、中心3、および電磁波受信領域31c以外の構成の図示を省略している。
【0058】
電磁波受信領域31cは、複数(図9においては、8つ)の小領域31ca~小領域31chに分割されている。小領域31ca~小領域31chの各々は、電磁波受信領域31a(図3の(a)および(b)参照)と同等の構成を有している。そして、小領域31ca~小領域31chは、円形外形面2bの縁5と同心円状に配置されている。
【0059】
上記の構成によれば、円形外形面2bにおける特定の部分を通過する電磁波21を小領域31ca~小領域31ch毎に受信することができるため、検査に用いるデータの種類を増やすことができる。
【0060】
また、電磁波受信領域31として複数の小領域31ca~小領域31chを有している検査装置10は、以下の構成であることが好ましい。すなわち、小領域31ca~小領域31chの各々が、互いに異なるタイミングで円形外形面2bにおける同一部分から電磁波21を受ける。そして、当該検査装置10は、小領域31ca~小領域31chの各々が電磁波21を受けることによって得られた、複数の上記同一部分の画像を重ねあわせることにより、当該同一部分に付着する異物の有無を検査する。
【0061】
上記の構成によれば、TDIセンサの原理を応用して、複数の同一部分の画像を重ねあわせることにより、検査の精度を向上させることが可能である。
【0062】
〔実施の形態3〕
図10は、本発明の実施の形態3に係る検査装置10aを示す概略図である。検査装置10aは、電磁波発生源20の代わりに、複数の電磁波発生源20a、20b、・・・を備えている点、ならびに、センサ30の代わりに、センサ30aを備えている点が、検査装置10と異なっている。
【0063】
センサ30aは、電磁波受信領域31の代わりに、電磁波受信領域31dを有している点が、センサ30と異なっている。電磁波受信領域31dは、複数の画像取得単位(例えば、1画素)31da、31db、・・・に分割されてなるものである。画像取得単位31da、31db、・・・は、それぞれ、電磁波発生源20a、20b、・・・と1対1に対応している。そして、電磁波発生源20a、20b、・・・の各々は、画像取得単位31da、31db、・・・のうち対応するいずれかに対して、円形外形面2bと略垂直な方向に配置されている。すなわち、電磁波発生源20a、20b、・・・は、それぞれ電磁波21a、21b、・・・を出射し、電磁波21a、21b、・・・は、対象物1を透過する。画像取得単位31da、31db、・・・は、それぞれ、対象物1を透過した電磁波21a、21b、・・・を受ける。
【0064】
また、検査装置10aの構成に替えて、画像取得単位31da、31db、・・・の個数よりも少ない個数の電磁波発生源20a、20b、・・・を備えていてもよい。
【0065】
また、図9に示した小領域31ca~小領域31chについて、図10と同様の要領で、複数の電磁波発生源の各々が、小領域31ca~小領域31chのうち対応するいずれかに対して、円形外形面2bと略垂直な方向に配置されていてもよい。または、当該構成に替えて、小領域31ca~小領域31chの個数よりも少ない個数の電磁波発生源を備えていてもよい。
【0066】
〔付記事項〕
なお、検査において検査装置10を用いることは必須でなく、検査装置10の動作と同様の動作を行う検査方法についても、本発明の範疇に含まれる。
【0067】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 対象物
2aおよび2b 円形外形面
3 円形外形面の外形を構成する円形の中心
4 対象物の回転軸
5 円形外形面の縁
10 検査装置
20、20a、20b、・・・ 電磁波発生源
21、21a、21b、・・・ 電磁波
30 センサ
31、31a、31c、および31d 電磁波受信領域
31ca~31ch 小領域
31da、31db、・・・ 画像取得単位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10