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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20221114BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20221114BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20221114BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20221114BHJP
   H01M 50/10 20210101ALI20221114BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/052
H01M10/0566
H01M10/0587
H01M50/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019128371
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2020013789
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2019-07-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0083083
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】清野 博史
(72)【発明者】
【氏名】安 正哲
(72)【発明者】
【氏名】金 相賢
【合議体】
【審判長】井上 猛
【審判官】土屋 知久
【審判官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-73243(JP,A)
【文献】特開2004-228078(JP,A)
【文献】特開2005-56658(JP,A)
【文献】特開2005-126452(JP,A)
【文献】特開2011-60456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
HG01M10/04
H01M10/587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体、
前記電極組立体を収容するパウチ型ケース、および
前記電極組立体の外面に付着された仕上げテープを含み、
前記仕上げテープは前記パウチ型ケースの内面と接触し、
前記仕上げテープは前記パウチ型ケースの内面と同じ材質で形成されており、
前記仕上げテープは無延伸ポリプロピレンフィルムで形成されており、
前記仕上げテープは無延伸ポリプロピレンフィルム、前記無延伸ポリプロピレンフィルムの一面に位置した粘着層および前記無延伸ポリプロピレンフィルムの他面に位置して、プラズマ処理を通じて形成されたパターン層を含む、二次電池。
【請求項2】
前記仕上げテープの融点は140℃より高い、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記仕上げテープが電解液に浸漬された状態の時、前記仕上げテープと前記パウチ型ケースの内面との静摩擦係数は5より大きい、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記仕上げテープが電解液に浸漬された状態の時、前記仕上げテープと前記パウチ型ケースの内面との動摩擦係数は3.5より大きい、請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極組立体は、前記仕上げテープと前記パウチ型ケースの内面の間の摩擦力によって、前記パウチ型ケース内で流動が防止される、請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記パウチ型ケースは前記電極組立体が収納される下部ケースと、前記下部ケースに結合される上部ケースと、を含み、
前記仕上げテープは、前記電極組立体の前記上部ケースと対向する面に付着されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池(secondary battery)は充電が不可能な一次電池とは異なり、充電および放電が可能な電池である。低容量の二次電池はスマートフォン、フィーチャーフォン、ノートパソコン、デジタルカメラおよびビデオカメラのように携帯可能な小型の電子機器に使われ、大容量の二次電池はハイブリッド自動車、電気自動車などのモーター駆動用電源および電力保存用電池などとして広く使われている。
【0003】
このような二次電池は正極及び負極からなる電極組立体、これを収容するケース、電極組立体に連結される電極端子などを含む。ケースはその形状により、円型、角型、パウチ型などに区分することができる。このうち、パウチ型の二次電池は多様な形状への変形が容易であり、重量が小さいラミネート外装材で形成され得る。
【0004】
このような発明の背景となる技術に開示された前述した情報は本発明の背景に対する理解度を向上させるためのものに過ぎず、したがって従来技術を構成しない情報を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、パウチ型ケース内で電極組立体の流動を防止することによって、落下安全性を向上させ得る二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る二次電池は、電極組立体、前記電極組立体を収容するパウチ型ケース、および前記電極組立体の外面に付着された仕上げテープを含み、前記仕上げテープは前記パウチ型ケースの内面と接触することができる。
【0007】
前記仕上げテープは前記パウチ型ケースの内面と同じ材質で形成され得る。
【0008】
前記仕上げテープは無延伸ポリプロピレン(Casted Polypropylene:CPP)フィルムで形成され得る。
【0009】
前記仕上げテープの融点は140℃より大きくてもよい。
【0010】
前記仕上げテープの面積は前記電極組立体の面積の20%~50%であり得る。
【0011】
前記仕上げテープが電解液に浸漬された状態の時、前記仕上げテープと前記パウチ型ケースの内面との静摩擦係数は5より大きくてもよい。
【0012】
前記仕上げテープが電解液に浸漬された状態の時、前記仕上げテープと前記パウチ型ケースの内面との動摩擦係数は3.5より大きくてもよい。
【0013】
前記仕上げテープの表面にはプラズマ処理を通じてパターン層がさらに形成され得る。
【0014】
前記電極組立体は、前記仕上げテープと前記パウチ型ケースの内面の間の摩擦力によって前記パウチ型ケース内で流動が防止され得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施例に係る二次電池は、電極組立体の外面にパウチ型ケースの内面と摩擦力が大きい仕上げテープを付着してパウチ型ケース内で電極組立体の流動を防止することによって、落下または衝撃に対する安全性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の一実施例に係る二次電池は、仕上げテープとパウチ型ケースの内面の間の静摩擦力以上の力が加えられる場合には電極組立体がパウチ型ケース内で移動するようになるため、電極組立体の電極集電体の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例に係る二次電池を図示した斜視図。
図2】本発明の一実施例に係る二次電池の断面図。
図3図2のA部分を拡大した断面図。
図4】本発明の他の実施例に係る仕上げテープを図示した断面図。
図5】本発明のさらに他の実施例に係る仕上げテープを図示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0019】
本発明の実施例は当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施例は多様な他の形態に変形され得、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。かえって、これらの実施例は本開示をさらに忠実かつ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0020】
また、以下の図面において各層の厚さや大きさは説明の便宜および明確性のために誇張されたものであり、図面上で同一符号は同じ要素を指し示す。本明細書で使われた通り、用語「および/または」は該当列挙された項目のうちいずれか一つおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。また、本明細書で「連結される」という意味はA部材とB部材が直接連結される場合だけでなく、A部材とB部材の間にC部材が介在されてA部材とB部材が間接連結される場合も意味する。
【0021】
本明細書で使われた用語は特定の実施例を説明するために使われるものであって、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使われた通り、単数の形態は文脈上異なる場合を明確に指摘しない限り、複数の形態を含むことができる。また、本明細書で使われる場合、「含む(comprise、include)」および/または「含む(comprising、including)」は言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素および/またはこれらのグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素および/またはグループの存在または付加を排除するものではない。
【0022】
「下部(beneath)」、「下(below)」、「低い(lower)」、「上部(above)」、「上(upper)」のような空間と関連した用語が、図面に図示された一つの要素または特徴と他の要素または特徴の容易な理解のために利用され得る。このような空間と関連した用語は本発明の多様な工程状態または使用状態により本発明を容易に理解するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。例えば、図面の要素または特徴がひっくり返されると、「下部」または「下」で説明された要素または特徴は「上部」または「の上に」となる。したがって、「下部」は「上部」または「下」を包括する概念である。
【0023】
図1は、本発明の一実施例に係る二次電池を図示した斜視図である。図2は、本発明の一実施例に係る二次電池の断面図である。
【0024】
図1および図2を参照すると、本発明の一実施例に係る二次電池100は、電極組立体110、パウチ型ケース120および仕上げテープ130を含む。
【0025】
電極組立体110は、第1電極111と第2電極112および前記第1電極111と第2電極112の間に介在されたセパレーター113を含む。電極組立体110は、第1電極111、セパレーター113および第2電極112の積層体をジェリー-ロール形態に巻き取って形成することができる。ここで、第1電極111は正極として作用することができ、第2電極112は負極として作用することができる。
【0026】
第1電極111は、アルミニウムのような金属フォイルで形成された第1電極集電体に遷移金属酸化物などの第1電極活物質を塗布することによって形成される。前記第1電極111には第1電極活物質が塗布されていない第1電極無地部が形成され、前記第1電極無地部には第1電極タブ114が付着される。第1電極タブ114の一端は第1電極111に電気的に連結され、他端はパウチ型ケース120の外部に露出する。第1電極タブ114には絶縁部材114aが付着されてパウチ型ケース120と第1電極タブ114の間のショートを防止する。
【0027】
第2電極112は、銅またはニッケルのような金属フォイルで形成された第2電極集電体に黒鉛または炭素などの第2電極活物質を塗布することによって形成される。第2電極112には第2電極活物質が塗布されていない第2電極無地部が形成され、前記第2電極無地部には第2電極タブ115が付着される。第2電極タブ115の一端は第2電極112に電気的に連結され、他端はパウチ型ケース120の外部に露出する。第2電極タブ115には絶縁部材115aが付着されてパウチ型ケース120と第2電極タブ115の間のショートを防止する。
【0028】
セパレーター113は第1電極111と第2電極112の間に位置してショートを防止し、リチウムイオンの移動を可能とさせる役割をする。前記セパレーター113はポリエチレンや、ポリプロピレンや、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルムで形成され得る。
【0029】
このような電極組立体110は、実質的に電解液と共にパウチ型ケース120に収納される。電解液はEC、PC、DEC、EMC、DMCのような有機溶媒にLiPF、LiBFのようなリチウム塩からなり得る。また、電解液は液体、固体またはゲル相であり得る。
【0030】
パウチ型ケース120は電極組立体110が収納される下部ケース120aと前記下部ケース120aに結合される上部ケース120bを含む。パウチ型ケース120は一体に形成された長方形のパウチ膜の中間を折り曲げることによって、上部ケース(120b)と下部ケース120aに区分され得る。また、下部ケース120aにはプレス加工等を通して電極組立体110が収容される収容溝120cが形成され、上部ケース120bとシーリングのためのシーリング部120dが形成される。シーリング部120dは上部ケース120bと下部ケース120aが一体に接している一辺と残りの三辺に沿ってすべて形成され得る。パウチ型ケース120は上部ケース120bと下部ケース120aが向き合う二つの長辺と前記二つの長辺と垂直をなして向き合う二つの短辺を含む。ここで、電極組立体110の第1電極タブ114と第2電極タブ115は、二つの短辺のうち上部ケース120bと下部ケース120aが連結される短辺と向かい合う側の短辺を通じて引き出される。この時、第1電極タブ114および第2電極タブ115に付着した絶縁部材114a、115aがシーリング部120dにシーリングされる。すなわち、絶縁部材114a、115aは第1電極タブ114、第2電極タブ115とシーリング部120dが接触する部分に形成され、第1電極タブ114、第2電極タブ115がパウチ型ケース120とショートすることを防止する。
【0031】
また、パウチ型ケース120は第1絶縁層121、金属層122および第2絶縁層123を有する多層構造で形成される。
【0032】
第1絶縁層121はパウチ型ケース120の内面であって、絶縁性および熱接着性を有する物質で形成される。また、第1絶縁層121は金属層122の第1面に形成され、電極組立体110と対向するパウチ型ケース120の内面をなす。第1絶縁層121は電解液などと反応しない無延伸ポリプロピレン(Casted Polypropylene:CPP)およびその等価物の中から選択されたいずれか一つで形成され得るが、本発明でこれを限定しない。下部ケース120aの収容溝(120c)に電極組立体110を収納して上部ケース120bで覆うと、第1絶縁層121が互いに接触するようになる。したがって、パウチ型ケース120のシーリング部120dを熱融着させると、第1絶縁層121が互いに接着されてパウチ型ケース120が密封される。
【0033】
金属層122は第1絶縁層121と第2絶縁層123の間に介在されており、外部から水分と酸素が流入することを防止し、パウチ型ケース120の内部に満たされた電解液が外部に流出することを防止する役割をする。また、金属層122はパウチ型ケース120の機械的強度を維持する役割をする。金属層122はアルミニウム、ステンレス、銅またはその等価物で形成され得る。しかし、成形性および軽量性を考慮して、一般的に金属層122はアルミニウムで形成されることが好ましい。
【0034】
第2絶縁層123はパウチ型ケース120の外面であって、外部の電子機器との機械的、化学的衝撃を緩和する役割をする。また、第2絶縁層123は金属層122の第2面に形成され、パウチ型ケース120の外面をなす。第2絶縁層123はナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)およびその等価物の中から選択されたいずれか一つで形成され得るが、本発明でこれを限定しない。
【0035】
一方、パウチ型ケースと電極組立体の間には余裕空間が存在するため、二次電池の性能試験中の落下試験時に電極組立体の流動が発生する。これに伴い、電極組立体の角部分がショートしたり電極タブが短絡したりする場合が発生する。したがって、本発明では電極組立体110の外面にパウチ型ケース120との摩擦力が大きい仕上げテープ130を付着させて、パウチ型ケース120内で電極組立体110の流動を防止することによって、二次電池100の安全性を向上させることができる。
【0036】
仕上げテープ130は電極組立体110の外面を包み込むように付着する。仕上げテープ130はパウチ型ケース120の内面、すなわち、第1絶縁層121との摩擦力が大きい物質で形成されてパウチ型ケース120内で電極組立体110が流動することを防止する。すなわち、仕上げテープ130とパウチ型ケース120の第1絶縁層121との摩擦力によって、電極組立体110とパウチ型ケース120の間の固定力を確保できるようになる。また、仕上げテープ130はパウチ型ケース120に接着されたものではないため、仕上げテープ130と第1絶縁層121の間の静摩擦力以上の力が加えられる場合、電極組立体110がパウチ型ケース120内で移動するようになり、電極組立体110の電極集電体の損傷を防止することができる。一例として、電極組立体がパウチ型ケースに完全に付着した場合には両方間の固定力が非常に強いため、落下試験時の衝撃によって電極組立体内の電極集電体、特にアルミニウムからなる第1電極集電体が壊れる現象が発生することになる。このため、二次電池のショートの原因となったり容量の低下などの問題が発生したりすることになる。しかし、本発明では仕上げテープ130とパウチ型ケース120の第1絶縁層121の間の摩擦力によって、電極組立体110がパウチ型ケース120の内部で固定力を有するものであるため、仕上げテープ130と第1絶縁層121の間の静摩擦力以上の力が加えられる場合、電極組立体110がパウチ型ケース120内で移動するようになり、電極組立体110の電極集電体の損傷を防止することができる。
【0037】
図3は、図2のA部分を拡大した断面図である。
【0038】
一例として、仕上げテープ130はパウチ型ケース120の内面、すなわち、第1絶縁層121の材質と同じ材質で形成され得る。換言すれば、仕上げテープ130は無延伸ポリプロピレン(Casted polypropylene、CPP)フィルムが使われ得る。具体的には、図3に図示された通り、仕上げテープ130はCPPフィルム131と、CPPフィルム131に粘着剤を塗布して形成された粘着層132を含む。ここで、粘着層132は電極組立体110に付着する面であり、CPPフィルム131はパウチ型ケース120の内面、すなわち、第1絶縁層121と接触する面である。ここで、粘着層132に使われる粘着剤はゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤またはホットメルト(Hot melt)等が使われ得る。
【0039】
また、仕上げテープ130は140℃以上の融点を有する高分子を含むことができる。このような融点を有する高分子の例としては、無延伸ポリプロピレン(CPP)、無延伸ポリプロピレンとポリエチレンの組み合わせ(CPP-PE)または無延伸ポリプロピレンとコポリマーの組み合わせ(CPP-copolymer)等が挙げられる。ここで、コポリマーとしては、Maleic anhydride、Vinyl acetate、n-Butyl acrylateまたは1,4-Hexadieneなどを使うことができ、コポリマーの比率は10mol%以下に設定されることが好ましい。
【0040】
前記仕上げテープ130の引張強度は5.5N/4mm~7.0N/4mmであり得る。このような範囲内の引張強度を有する場合、パウチ型ケース120内での電極組立体110の流動を効果的に抑制することができる。
【0041】
前記仕上げテープ130のせん断弾性率は0.1GPa~0.2GPaであり得る。このような範囲内のせん断弾性率を有する場合、パウチ型ケース120内での電極組立体110の流動を効果的に抑制することができる。
【0042】
前記仕上げテープ130のYoung率は0.4GPa~0.6GPaであり得る。このような範囲内のYoung率を有する場合、パウチ型ケース120内での電極組立体110の流動を効果的に抑制することができる。
【0043】
前記仕上げテープ130とパウチ型ケース120の第1絶縁層121との静摩擦係数は5~7であり、動摩擦係数は3.5~4.6であり得る。ここで、静摩擦係数と動摩擦係数は、仕上げテープ130が電解液に浸漬された状態の時、すなわち、wet状態の時、仕上げテープ130と第1絶縁層121の間の静摩擦係数および動摩擦係数を指す。このような範囲内の静摩擦係数および動摩擦係数を有する場合、パウチ型ケース120内での電極組立体110の流動を効果的に抑制することができる。
【0044】
前記仕上げテープ130の延伸率は650%~850%であり得る。このような範囲内の延伸率を有する場合、パウチ型ケース120内での電極組立体110の流動を効果的に抑制することができる。
【0045】
また、図面で仕上げテープ130は電極組立体110の一面にのみ付着されたものとして図示したが、前記仕上げテープ130は電極組立体110の両面に付着されてもよい。仕上げテープ130の面積は電極組立体110の面積の20%~50%で形成され得る。ここで、仕上げテープ130の面積が電極組立体110の面積の20%より小さいと、電極組立体110とパウチ型ケース120の間の固定力を確保し難い。また、仕上げテープ130の面積が電極組立体110の面積の50%より大きいと、必要以上に大きくなって二次電池100の体積が大きくなる。
【0046】
仕上げテープ130の厚さは10μm~40μmに形成され得る。仕上げテープ130の厚さが10μm~40μmに形成されると、二次電池100の容量に対する影響が少なく、強度が高く、優秀な生産性を有する。具体的には、仕上げテープ130の厚さが10μmより薄いと製造が難しく、仕上げテープ130の厚さが40μmより厚いと必要以上に厚くなって二次電池100の体積が大きくなる。
【0047】
図4は、本発明の他の実施例に係る仕上げテープを図示した断面図である。
【0048】
図4を参照すると、仕上げテープ230は表面にプラズマ処理をしてパウチ型ケース120の内面との摩擦力をさらに高くすることができる。すなわち、仕上げテープ230はCPPフィルム131、CPPフィルム131の一面に位置した粘着層132およびCPPフィルム131の他面に位置したパターン層233を含むことができる。ここで、粘着層132は電極組立体110に付着する面であり、パターン層233はパウチ型ケース120の内面、すなわち、第1絶縁層121と接触する面である。このようなパターン層233は、CPPフィルム131に真空プラズマ処理または大気圧プラズマ処理をすることで、屈曲やパターンを形成したものである。したがって、パターン層233は仕上げテープ230とパウチ型ケース120との摩擦力を向上させることができる。
【0049】
図5は、本発明のさらに他の実施例に係る仕上げテープを図示した断面図である。
【0050】
図5を参照すると、仕上げテープ330はCPPフィルム131の内側に別途の高分子層333をさらに含むことができる。すなわち、仕上げテープ330はCPPフィルム131、第1粘着層132、高分子層333および第2粘着層132の順序で積層され得る。前記高分子層333は、PET(PolyEthylene Terephthalate)、OPS(Orientated PolyStyrene)、TPU(Thermoplastic PolyUrethane)、PVDF(PolyVinylidene DiFluoride)、OPP(Oriented Polypropylene)の中から選択されたいずれか一つで形成され得る。併せて、高分子層333はCPPフィルム131の内側に位置してパウチ型ケース120と接触しないため、仕上げテープ330とパウチ型ケース120の間の摩擦力に影響を与えない。
【0051】
併せて、本発明に係る二次電池の安全性性能を確認するために、次のような落下試験を行った。
【0052】
電極組立体の面積の20%に形成され、厚さが35μmである仕上げテープを電極組立体の一面に付着した二次電池を準備した。前記仕上げテープで粘着剤が占める厚さは5μmである。また、下記の実施例別にそれぞれ30個の二次電池を準備した。そして、各実施例別にwet状態の静摩擦係数と動摩擦係数を測定して平均を記載した。併せて、1cycleを18回として合計4cycleすなわち、72回の落下試験をした時、発熱の有無、OCV低下の有無、電極組立体のAl基材のクラックの有無を順にチェックして表1に整理した。表1において発熱までの落下回数が72回以上の数は、72回の落下試験の間発熱をしていない二次電池の数を表す。そして、発熱していない二次電池の中でOCV低下の有無を判定したし、OCV判定基準は落下前後の電圧差が50mV以下であることを指す。また、表1においてOCV低下のOK数は、落下前後の電圧差が50mV以内の二次電池の数、すなわち、OCVが低下していない二次電池を指す。また、OCVが低下していない二次電池の中で電極組立体内のAL基材が損傷していない二次電池数をチェックした。
【0053】
[実施例1]
仕上げテープとしてCPPフィルムを使った。
【0054】
[実施例2]
仕上げテープとしてCPP-PEフィルムを使った。前記CPP-PEフィルムにおいてpropylene:ethyleneの比率は95mol%:5mol%である。
【0055】
[実施例3]
仕上げテープとしてCPP-PEフィルムを使った。前記CPP-PEフィルムにおいてpropylene:ethyleneの比率は70mol%:30mol%である。
【0056】
[実施例4]
仕上げテープとしてCPP-copolymerフィルムを使った。ここで、propyrene:copolymerの比率は95mol%:5mol%であり、copolymerとしてMaleic anhydrideを使った。
【0057】
[比較例1]
仕上げテープとしてOPSフィルムを使用し、パウチ型ケースと熱接着した。
【0058】
[比較例2]
仕上げテープとしてTPUフィルムを使った。
【0059】
[比較例3]
仕上げテープとしてPVDFフィルムを使った。
【0060】
[比較例4]
仕上げテープとしてPETフィルムを使った。
【0061】
[比較例5]
仕上げテープとしてOPPフィルムを使った。
【0062】
【表1】
【0063】
前記表1から確認できるように、仕上げテープとしてCPPフィルムまたはCPPにPEまたはcopolymerが含まれたフィルムを使った実施例1~実施例4は、72回の落下試験後にも発熱がなく、OCVも低下せず、Al基材のクラックもないことを確認することができた。すなわち、実施例1~実施例4はCPPフィルムからなる仕上げテープとケースの内面との摩擦力によって、落下試験時に良好な結果を示したことが分かる。
【0064】
一方、比較例1ではOPSフィルムがパウチ型ケースに熱接着されているため電極組立体の固定力が良好であり発熱には至っていないが、Al基材のクラックが発生し易い。比較例2ではTPUフィルムが電解液を吸収して膨張しシワが発生するため、ケースの内面との接触面積が減少して摩擦による落下試験の改善効果はなかった。比較例3ではPVDFフィルムが電解液を吸収して膨張しシワが発生するため、ケースの内面との接触面積が減少して摩擦による落下試験の改善効果はなかった。また、PVDFフィルムは素材自体が摩擦力および分子間力が弱い素材であるため、摩擦力が低く落下試験の耐性がないことを確認することができた。比較例4ではPETフィルムが電解液の吸収量も少なくシワも発生していないが、ケースの内面との摩擦力が高くないため電極組立体の固定力が弱く、落下試験の耐性が高くなかったことが分かった。比較例5ではOPPフィルムが二軸延伸品であったためCPPフィルムに比べてゴム弾性が劣り、摩擦力も充分でないため落下試験の耐性も不充分であることを確認することができた。併せて、比較例2~比較例5の仕上げテープのwet状態の静摩擦係数は5より小さく、実施例1~実施例4の仕上げテープのwet状態の静摩擦係数は5より大きい。また、比較例2~比較例5の仕上げテープのwet状態の動摩擦係数は3.5より小さく、実施例1~実施例4の仕上げテープのwet状態の動摩擦係数は3.5より大きい。これに伴い、実施例1~実施例4の仕上げテープは、落下試験時に電極組立体の流動を抑制して二次電池の安全性を向上させることができることが分かる。ここで、比較例1の仕上げテープのwet状態の静摩擦係数は5より大きくwet状態の動摩擦係数は3.5より大きいが、比較例1の仕上げテープはパウチ型ケースに熱接着された状態であるため、AL基材のクラックが発生しやすい。
【0065】
以上で説明したものは本発明による二次電池を実施するための一つの実施例に過ぎないものであって、本発明は前記実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲で請求するように、本発明の要旨を逸脱することなく当該発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変更実施が可能な範囲まで本発明の技術的精神があると言える。
【符号の説明】
【0066】
100:二次電池
110:電極組立体
120:パウチ型ケース
121:第1絶縁層
122:金属層
123:第2絶縁層
130、230、330:仕上げテープ
図1
図2
図3
図4
図5