(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221114BHJP
B23K 26/57 20140101ALI20221114BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20221114BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20221114BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20221114BHJP
【FI】
H01L21/78 C
H01L21/78 B
B23K26/57
B23K26/364
B23K26/53
B23K26/00 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021122824
(22)【出願日】2021-07-27
(62)【分割の表示】P 2020057175の分割
【原出願日】2020-03-27
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】10 2019 204 457.3
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】カール、ハインツ、プリーワッサー
(72)【発明者】
【氏名】アルギロフ、ツァニミール
(72)【発明者】
【氏名】湯平 泰吉
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-005610(JP,A)
【文献】特開2014-082317(JP,A)
【文献】特開2012-230955(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0106543(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/57
B23K 26/364
B23K 26/53
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの分割ライン(12)が形成された第1面(4)と、前記第1面(4)の反対側の第2面(6)と、を有する基板(2)であって、裏面層(14)が前記第2面(6)に形成されている基板(2)を処理する方法であって、
レーザービーム(LB)を前記基板(2)に前記第1面(4)の側から照射するステップであって、前記基板(2)は、前記レーザービーム(LB)に対して透過性を有する材料で作製され、前記レーザービーム(LB)の焦点を前記基板(2)の内部の位置であって、前記第1面(4)より前記第2面(6)に近い位置に配置した状態で、前記レーザービーム(LB)を前記基板(2)に照射することにより、複数の位置合わせ用マーク(16)が、前記裏面層(14)及び/又は前記裏面層(14)が存在しない前記第2面(6)の領域に形成されるステップと、
基板材料を前記少なくとも1つの分割ライン(12)に沿って前記第2面(6)の側から基板材料除去手段(26)を使用して除去するステップと、
を備える方法において、
前記位置合わせ用マーク(16)は、前記基板材料除去手段(26)を前記少なくとも1つの分割ライン(12)に対して位置合わせするために使用される、
方法。
【請求項2】
前記裏面層(14)は、金属層である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
保護シート(30)を前記第1面(4)に取り付けるステップを更に備え、
前記保護シート(30)は、前記レーザービーム(LB)に対して透過性を有する材料で作製され、
前記レーザービーム(LB)は、前記基板(2)に前記保護シート(30)を介して照射される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
レーザービーム(LB)を前記基板(2)に前記第1面(4)の側から照射するステップを更に備え、
前記基板(2)は、前記レーザービーム(LB)に対して透過性を有する材料で作製され、
前記レーザービーム(LB)を、前記少なくとも1つの分割ライン(12)に沿った複数の位置において前記基板(2)に照射することにより、複数の改質領域(18)が前記基板(2)に形成される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
特に前記基板(2)を前記少なくとも1つの分割ライン(12)に沿って機械的に切断することにより、前記基板材料は前記少なくとも1つの分割ライン(12)に沿って機械的に除去される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記基板材料は、レーザーカットにより、特にレーザーアブレーションにより、前記少なくとも1つの分割ライン(12)に沿って除去される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基板材料は、前記基板(2)
の厚さの一部のみに沿って、前記第2面(6)から前記第1面(4)に向かう方向において除去される、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
基板材料を前記少なくとも1つの分割ライン(12)に沿って除去するステップの後に、外力を前記基板(2)に付与して前記基板(2)を前記少なくとも1つの分割ライン(12)に沿って分割するステップを更に備える、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの分割ラインが形成された第1面と、第1面の反対側の第2面と、を有する基板を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体ウエハ等のウエハの基板に、集積回路(IC)、大規模集積回路(LSI)、発光ダイオード(LED)等のデバイスが、基板の前面にデバイスエリアを設けることにより形成される。基板は、例えば、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ガリウムヒ素(GaAs)、シリコン(Si)等からなるウエハであり得る。デバイスは、例えば、省電力製品用に設計されたパワー半導体用の半導体デバイスであり得る。
【0003】
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、複数の分割ライン(「ストリート」とも呼ばれる)により仕切られた複数のデバイスを持つデバイスエリアを有するウエハが、個々のダイスに分割される。この製造プロセスは、一般に、ウエハを分割ラインに沿って切断して個々のダイスを得る切断ステップを備える。ウエハは、分割ラインに沿って、その表側又は裏側から切断され得る。
【0004】
光学デバイスの製造プロセスにおいて、例えば、n型窒化物半導体層及びp型窒化物半導体層からなる光学デバイス層が、サファイア基板、炭化珪素基板又は窒化ガリウム基板等の単結晶基板の前面に形成される。光学デバイス層は、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード等の光学デバイスがそれぞれ形成される個別の領域を画成する分割ラインにより仕切られる。光学デバイス層を単結晶基板の表側に設けることにより、光学デバイスウエハが形成される。光学デバイスウエハを、光学デバイスが形成された別個の領域に分割するための分割ラインに沿って分離、例えば切断することにより、チップやダイス等の個々の光学デバイスが得られる。
【0005】
このような基板を分割する方法として、基板を分割ラインにそって、この分割ラインが形成されている表側から、例えばブレードダイシングやレーザーカットにより切断することが当業界において従来から行われている。このようにして、基板を切断するための切断手段を切断すべき分割ラインに対してアラインメント(位置合わせ/整列)することが非常に容易とされている。しかしながら、基板の表側にはデバイスエリアも形成されているため、デバイスの品質が切断プロセスにより影響を受ける場合がある。特に、表側及び/又は裏側のチッピングや、得られたチップやダイスのダイ強度の劣化等の問題が頻発する。
【0006】
このような問題を回避するように、基板を分割ラインに沿ってその裏面から切断することが提案されてきた。しかしながら、このアプローチによれば、切断手段を切断すべき分割ラインに対して位置合わせすることが非常に困難になり、位置合わせ精度が著しく低下する。位置合わせ精度の低下は、一般に、切断線を幅広にすることで切断手段の位置合わせ許容誤差を大きくすることにより、埋め合わせ必要がある。しかしながら、このように切断ラインを幅広にすることにより、基板上に収容可能なデバイスの個数が少なくなり、生産効率に影響を及ぼすとともに基板材料が無駄になる。この問題は、SiCやGaAs等の高価な基板材料の場合に特に顕著である。
【0007】
上述の問題は、金属層等の裏面層が基板の裏側に存在する場合に更に悪化する。一般に、このような裏面層の存在により、基板の裏側から分割ラインを検出すること、したがって切断手段を位置合わせすることが更に困難になる。特に、裏面層は、可視及び/又は赤外線(IR)範囲の光の透過を遮断し得る。例えば、切断手段を分割ラインに対して位置合わせすべく、2つの別個のカメラを使用して基板をその表側及び裏側から同時に撮像する場合、カメラを相互に正確に同期させることは非常に困難であり、不十分な位置合わせ精度しか得られないことが多い。
【0008】
したがって、基板を正確且つ効率的な態様で処理することを可能にする基板処理方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の目的は、基板を正確且つ効率的な態様で処理することを可能にする基板処理方法を提供することである。この目標は、請求項1の技術的特徴を有する基板処理方法、及び請求項6の技術的特徴を有する基板処理方法により達成される。本発明の好適な実施形態は、従属請求項から得られる。
【0010】
本発明は、少なくとも1つの分割ラインが形成された第1面と、第1面の反対側の第2面と、を有する基板を処理する方法を提供する。本方法は、保護シートを第1面に取り付けるステップと、レーザービームを保護シートに照射して、複数の位置合わせ用マークを保護シートに形成するステップと、基板材料を少なくとも1つの分割ラインに沿って第2面の側から基板材料除去手段を使用して除去するステップと、を備える。位置合わせ用マークは、基板材料除去手段を少なくとも1つの分割ラインに対して位置合わせするために使用される。
【0011】
本発明の方法において、基板材料は、少なくとも1つの分割ラインに沿って第2面の側から除去される。したがって、第1面の完全性(integrity)が基板材料除去プロセスにより損なわれることが確実に回避され得る。特に、複数のデバイスを有するデバイスエリアが第1面に形成されている場合、デバイスの品質が基板材料の除去により影響を受け得るリスクを最小とすることができる。表側及び/又は裏側のチッピングや、得られるチップやダイスのダイス強度の低下等の問題の発生が防止され得る。
【0012】
更に、レーザービームを保護シートに照射して、複数の位置合わせ用マークを保護シートに形成する。このようにして、位置合わせ用マークを、効率的且つ高精度に形成することができる。
【0013】
このようにして形成された位置合わせ用マークは、基板材料除去手段を少なくとも1つの分割ラインに対して位置合わせするために使用される。したがって、基板材料除去手段を、分割ラインに対してより高い位置合わせ精度で位置合わせすることができ、これにより、基板材料除去プロセスを高精度で実施することができる。したがって、少なくとも1つの分割ラインの幅を狭くすることができるため、より多くの要素、例えばデバイスを第1面上に収容することができる。このようにして、生産効率が大幅に上昇するとともに、基板材料が無駄になることが回避される。これは、SiCやGaAs等の高価な基板材料の場合に特に有利である。
【0014】
したがって、本発明の処理方法により、基板を正確且つ効率的な態様で処理することができる。
【0015】
複数の位置合わせ用マークを保護シートに形成するように保護シートに照射されるレーザービームは、パルスレーザービームであり得る。パルスレーザービームは、例えば1fs乃至300nsの範囲のパルス幅を有し得る。
【0016】
保護シートを第1面に取り付けるステップの後に、レーザービームを保護シートに照射して複数の位置合わせ用マークが保護シートに形成され得る。このようにして、保護シートの位置合わせ用マークを少なくとも1つの分割ラインに対して位置決めする精度を、更に向上させ得る。
【0017】
レーザービームは、保護シートに基板の第1面の側から照射され得る。
【0018】
位置合わせ用マークの形状及び配置は特に限定されない。例えば、各位置合わせ用マーク又は一部の位置合わせ用マークは、例えば単数又は複数のドット、又は単数又は複数のライン、例えば、湾曲ライン及び/又は直線ラインの形態であり得る。
【0019】
複数の分割ラインが、基板の第1面に形成され得る。本方法は、基板材料を、単数又は複数、好適には全ての分割ラインに沿って、基板材料除去手段を使用して除去するステップを含み得る。この場合、位置合わせ用マークは、基板材料除去手段を、単数又は複数の分割ラインであって、これ(ら)に沿って基板材料が除去される分割ラインに対して位置合わせするために使用される。
【0020】
複数のデバイスを有するデバイスエリアが、基板の第1面に形成され得る。デバイスは、少なくとも1つの分割ラインにより仕切られ得る。デバイスエリアは、電子デバイス、半導体デバイス、例えばパワー半導体デバイス、特にエネルギー効率の高いパワー半導体デバイス等のデバイスを含み得る。デバイスは、例えば、SiC MOSFET等のMOSFET、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のトランジスタ、又はショットキーバリアダイオード等のダイオードを含み得る、又はこれらであり得る。
【0021】
保護シートは、デバイスエリアに形成されたデバイスを覆うように基板の第1面に取り付けられ得る。保護シートは、第1基板面、特にデバイスエリアに形成されたデバイスを、例えば汚染及び/又は損傷から保護し得る。
【0022】
基板は、例えば、半導体、ガラス、サファイア(Al2O3)、アルミナセラミック等のセラミック、石英、ジルコニア、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、ポリカーボネート、光学結晶材料等で作製され得る。基板は、半導体ウエハ等のウエハであり得る。
【0023】
特に、基板は、例えば、炭化珪素(SiC)、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP)、窒化珪素(SiN)、タンタル酸リチウム(LT)、ニオブ酸リチウム(LN)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化珪素(SiO2)等で作製され得る。特に好適には、基板はSiCで作製される。
【0024】
基板は、単結晶基板、ガラス基板、化合物半導体基板等の化合物基板、SiC、GaAs又はGaN基板等の半導体基板、又はセラミック基板等の多結晶基板であり得る。
【0025】
少なくとも1つの分割ラインの幅は、1μm以下であり得る。少なくとも1つの分割ラインの幅は、1μm乃至200μmの範囲、10μm乃至100μmの範囲、又は10μm乃至50μmの範囲にあり得る。
【0026】
保護シートの一部分は、基板の第1面を超えて横方向又は径方向に延在し得る。基板の横方向又は径方向は、基板の厚さ方向に対して垂直である。基板の厚さ方向は、第1基板面から第2基板面に向かって延在する。基板の第1面を超えて横方向又は径方向に延在する保護シートの一部分は、基板の第1面を取り囲み得る、特に周方向に取り囲み得る。
【0027】
保護シートの一部分は、基板の第1面を、例えば10μm乃至1000μm、又は1000μm以上超えて横方向又は径方向に延在し得る。保護シートの一部分は、基板の外縁を、例えば10μm乃至1000μm、又は1000μm以上超えて横方向又は径方向に延在し得る。
【0028】
少なくとも1つの位置合わせ用マーク、好適にはいくつかの位置合わせ用マーク、特に好適には全ての位置合わせ用マークが、第1面を超えて横方向又は径方向に延在する保護シートの一部分に形成され得る。このようにして、基板材料除去手段を、少なくとも1つの分割ラインに対して特に高い位置合わせ精度で位置合わせすることができ、これにより、基板材料除去プロセスを特に高精度で実施することができる。
【0029】
第1面を超えて横方向又は径方向に延在する保護シートの一部分は、基板の厚さ方向に沿って、第1面から第2面に向かって延在し得る。第1面を超えて横方向又は径方向に延在する保護シートの一部分は、第1面から第2面に向かって、基板の厚さの10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上に沿って延在し得る。第1面を超えて横方向又は径方向に延在する保護シートの一部分は、第1面から第2面に向かって、基板の実質的に全厚さに沿って延在し得る。
【0030】
少なくとも1つの位置合わせ用マーク、好適にはいくつかの位置合わせ用マーク、特に好適には全ての位置合わせ用マークが、第1面を超えて横方向又は径方向に延在する保護シートの一部分において、第1面より第2面に近い位置に形成され得る。このようにして、基板材料除去手段を少なくとも1つの分割ラインに対して位置合わせできる位置合わせ精度を、更に向上させ得る。
【0031】
少なくとも1つの位置合わせ用マーク、好適にはいくつかの位置合わせ用マーク、特に好適には全ての位置合わせ用マークが、第1面を超えて横方向又は径方向に延在する保護シートの一部分において、第2距離と第1距離との比率が0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、又は0.1以下である位置に形成され得る。第2距離は、基板厚さ方向における当該位置と第2面との間の距離であり、第1距離は、基板厚さ方向における当該位置と第1面との間の距離である。少なくとも1つの位置合わせ用マーク、好適にはいくつかの位置合わせ用マーク、特に好適には全ての位置合わせ用マークが、基板の第2面に少なくとも実質的に配設された位置に形成され得る。
【0032】
裏面層が、基板の第2面に形成され得る。裏面層は導電層であり得る。例えば、裏面層は金属層であり得る。裏面層は、可視及び/又は赤外(IR)範囲の光に対して少なくとも実質的に不透過性を有する金属等の材料から形成され得る。
【0033】
本発明の方法において、保護シートに形成された位置合わせ用マークは、基板材料除去手段を少なくとも1つの分割ラインに対して位置合わせするために使用される。したがって、位置合わせするプロセスが裏面層の存在により損なわれることがないため、高精度で実施され得る。このため、本方法は、金属層等の裏面層を第2基板面に有する基板を処理するのに特に有利である。
【0034】
金属層等の裏面層は、基板の第2面の全体を少なくとも実質的に覆い得る。本例においても、基板材料除去手段を少なくとも1つの分割ラインに対して、保護シートの位置合わせ用マークを使用して確実且つ正確に位置合わせすることができる。
【0035】
金属層等の裏面層は、基板の第2面の一部のみを覆い得る。特に、裏面層は、第2面の中央部分のみに設けられ得る。この場合、裏面層は、第2面の中央部分を取り囲む、すなわち周方向に取り囲む第2面の周縁又は周方向部分に存在しなくてよい。第2面の周縁又は周方向部分は、0.1mm乃至3mmの幅、例えばリング幅を有し得る。裏面層は、第1面上に形成されたデバイスエリアに対応する第2面のエリアにのみ存在し得る。
【0036】
基板は、第1面に周辺縁エリアを有し得る。周辺縁エリアは、デバイスを有さず、デバイスエリアの周囲に、すなわちこれを取り囲むように形成される。裏面層は、第1面の周辺縁エリアに対応する第2面のエリアに存在しないように配設され得る。
【0037】
保護シートは、保護フィルムを含み得る、又はこれからなり得る。
【0038】
保護フィルムは、保護フィルムの前面全体が第1面と直接的に接触するように第1面に適用され得る。この場合、材料、特に接着剤が保護フィルムの前面と第1面との間に存在しない。
【0039】
したがって、例えば基板における接着剤層又は接着剤残留物の接着力を原因とする第1面の汚染や損傷のリスクが、確実に排除され得る。
【0040】
保護フィルムを第1面に適用するステップにおいて、及び/又はその後に、保護フィルムに外的刺激を印加することにより、保護フィルムは第1面に取り付けられ得る。外的刺激を保護フィルムに印加するステップは、保護フィルムを加熱するステップ、及び/又は保護フィルムを冷却するステップ、及び/又は保護フィルムに真空を印加するステップ、及び/又は例えばレーザービームを使用して保護フィルムに光等の放射線を照射するステップを含み得る、又はこれらからなり得る。外的刺激は、化学化合物、及び/又は電子又はプラズマ照射、及び/又は圧力、摩擦又は超音波印加等の機械的処理、及び/又は静電気を含み得る、又はこれらであり得る。
【0041】
代替的に又は追加的に、保護フィルムには接着剤層が設けられ得る。接着剤層は、保護フィルムの前面の周縁エリアにのみ設けられ得る。周縁エリアは、保護フィルムの前面の中央エリアを取り囲む。本例において、保護フィルムの前面の中央エリアには接着剤が存在しない。保護フィルムの前面の中央エリアにおいて、保護フィルムの前面と第1面とは互いに直接的に接触する。保護フィルムは、接着剤層が第1面の周縁部分のみに接触するようにして第1面に適用され得る。接着剤層が接触する第1面の周縁部分は、例えばデバイスが存在しない第1面の周辺縁エリアであり得る。
【0042】
したがって、例えば基板における接着剤層又は接着剤残留物の接着力を原因とする第1面の汚染や損傷のリスクが、顕著に低減され得る、又は排除され得る。
【0043】
保護フィルムは、単一の材料、特に単一の均質な材料で作製され得る。
【0044】
保護フィルムは、ポリマー等のプラスチック材料で作製され得る。例えば、保護フィルムは、ポリオレフィンで作製され得る。特に、保護フィルムは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、又はポリブチレン(PB)で作製され得る。
【0045】
保護フィルムは、最大で180℃以上の温度、好適には最大で220℃以上の温度、より好適には最大で250℃以上の温度、更に好適には最大で300℃の温度に対する耐熱性を有し得る。
【0046】
保護フィルムは、5乃至200μm、好適には8乃至100μm、より好適には10乃至80μm、更に好適には12乃至50μmの範囲の厚さを有し得る。
【0047】
保護シートは、クッション層を含み得る、又はこれからなり得る。保護シートは、保護フィルムとクッション層とを含み得る、又はこれらからなり得る。
【0048】
クッション層は、保護フィルムの前面の反対側の後面に取り付けられ得る。クッション層が保護フィルムの後面に取り付けられる場合、基板の厚さ方向に沿って第1面から突出する凸部がクッション層に埋設され得る。
【0049】
保護シート、特にクッション層を含む、又はこれからなる保護シートは、基板材料を少なくとも1つの分割ラインに沿って第2面の側から基板材料除去手段を使用して除去するステップにおいて、基板を支持するキャリアとして機能し得る。このようにして、基板又は基板から得られるチップやダイス等の要素が不所望にずれることが、確実に回避され得る。
【0050】
クッション層の材料は特に限定されない。特にクッション層は、基板の厚さ方向に沿って突出する凸部を埋設可能な任意のタイプの材料から形成され得る。例えば、クッション層は、樹脂、接着剤、ゲル等から形成され得る。
【0051】
クッション層は、紫外線、熱、電場、及び/又は化学剤等の外的刺激により硬化可能であり得る。この場合、クッション層は、外的刺激の印加により、少なくともある程度硬化する。例えば、クッション層は、硬化性樹脂、硬化性接着剤、硬化性ゲル等から形成され得る。
【0052】
クッション層は、最大で180℃以上の温度、好適には最大で220℃以上の温度、より好適には最大で250℃以上の温度、更に好適には最大で300℃の温度に対する耐熱性を有し得る。
【0053】
クッション層は、10乃至300μm、好適には20乃至250μm、より好適には50乃至200μmの範囲の厚さを有し得る。
【0054】
保護シートは、ベースシートを含み得る、又はこれからなり得る。保護シートは、クッション層とベースシートとを含み得る、又はこれらからなり得る。保護シートは、保護フィルムとクッション層とベースシートとを含み得る、又はこれらからなり得る。
【0055】
ベースシートは、クッション層の前面の反対側の後面に取り付けられ得る。クッション層の前面は、保護フィルムに取り付けられている。
【0056】
ベースシートの材料は特に限定されない。ベースシートは、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)又はポリオレフィン等のポリマー材料等の軟質又は柔軟な材料で作製され得る。
【0057】
或いは、ベースシートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及び/又はシリコン、及び/又はガラス、及び/又はステンレス鋼(SUS)等の剛性又は硬質の材料で作製され得る。
【0058】
また、ベースシートを、上に列挙した材料を組み合わせて形成してもよい。
【0059】
ベースシートは、最大で180℃以上の温度、好適には最大で220℃以上の温度、より好適には最大で250℃以上の温度、更に好適には最大で300℃の温度に対する耐熱性を有し得る。
【0060】
ベースシートは、30乃至1500μm、好適には40乃至1200μm、より好適には50乃至1000μmの範囲の厚さを有し得る。
【0061】
ベースシートの前面は、クッション層の後面と接触し得る。ベースシートの前面の反対側のその後面は、基板の第2面に対して実質的に平行であり得る。したがって、基板材料を少なくとも1つの分割ラインに沿って第2面の側から基板材料除去手段を使用して除去する際、例えばベースシートの後面をチャックテーブルに載置することにより、この後面に適切な対向する圧力を付与することができる。
【0062】
保護シートは、レーザービームに対して、すなわち、複数の位置合わせ用マークを保護シートに形成するように照射されるレーザービームに対して透過性を有する材料で作製され得る。保護フィルムは、レーザービームに対して透過性を有する材料で作製され得る。クッション層は、レーザービームに対して透過性を有する材料で作製され得る。ベースシートは、レーザービームに対して透過性を有する材料で作製され得る。
【0063】
複数の位置合わせ用マークのうちの1つ、いくつか、又は全てを保護フィルム、及び/又はクッション層、及び/又はベースシートに形成するように、レーザービームは保護シートに照射され得る。
【0064】
第1面を超えて横方向又は径方向に延在するとともに、基板の厚さ方向に沿って第1面から第2面に向かって延在する保護シートの一部分は、少なくとも実質的に、クッション層の一部分であり得る。
【0065】
本発明は、更に、少なくとも1つの分割ラインが形成された第1面と、第1面の反対側の第2面と、を有する基板であって、裏面層が第2面に形成されている基板を処理する方法を提供する。本方法は、レーザービームを基板に第1面の側から照射するステップであって、基板は、レーザービームに対して透過性を有する材料で作製され、レーザービームの焦点を基板の内部の位置であって、第1面より第2面に近い位置に配置した状態で、レーザービームを基板に照射することにより、複数の位置合わせ用マークが、裏面層及び/又は裏面層が存在しない第2面の領域に形成されるステップを含む。本方法は、更に、基板材料を少なくとも1つの分割ラインに沿って第2面の側から基板材料除去手段を使用して除去するステップを含む。位置合わせ用マークは、基板材料除去手段を少なくとも1つの分割ラインに対して位置合わせするために使用される。
【0066】
基板、少なくとも1つの分割ライン、裏面層、及び位置合わせ用マークは、上述のように、同一の特徴、特性及び性質を有し得る。
【0067】
本発明の方法において、基板材料は、少なくとも1つの分割ラインに沿って第2面の側から除去される。したがって、第1面の完全性が基板材料除去プロセスにより損なわれることが確実に回避され得る。特に、複数のデバイスを有するデバイスエリアが第1面に形成されている場合、デバイスの品質が基板材料の除去により影響を受け得るリスクを最小とすることができる。表側及び/又は裏側のチッピングや、得られるチップやダイスのダイス強度の低下等の問題の発生が防止され得る。
【0068】
更に、レーザービームの焦点を基板の内部の位置であって、第1面より第2面に近い位置に配置した状態で、レーザービームを基板に照射することにより、複数の位置合わせ用マークが、裏面層及び/又は裏面層が存在しない第2面の領域に形成される。このようにして、位置合わせ用マークを、効率的且つ高精度に形成することができる。特に、レーザービームの焦点を基板の内部の位置であって、第1面より第2面に近い位置に配置することにより、位置合わせ用マークが第2面の側からはっきりと見えることが確実に保証され得る。
【0069】
このようにして形成された位置合わせ用マークは、基板材料除去手段を少なくとも1つの分割ラインに対して位置合わせするために使用される。したがって、基板材料除去手段を、少なくとも1つの分割ラインに対して高い位置合わせ精度で位置合わせすることができ、これにより、基板材料除去プロセスを高精度で実施することができる。したがって、少なくとも1つの分割ラインの幅を狭くすることができるため、より多くの要素、例えばデバイスを第1面上に収容することができる。このようにして、生産効率が大幅に上昇するとともに、基板材料が無駄になることが回避される。これは、SiCやGaAs等の高価な基板材料の場合に特に有利である。
【0070】
したがって、本発明の処理方法により、基板を正確且つ効率的な態様で処理することができる。
【0071】
レーザービームの焦点は、基板の内部の位置であって、第2距離と第1距離との比率が0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、又は0.1以下である位置に形成され得る。第2距離は、基板厚さ方向における当該位置と第2面との間の距離であり、第1距離は、基板厚さ方向における当該位置と第1面との間の距離である。レーザービームの焦点は、基板の内部の位置であって、少なくとも実質的に基板の第2面に配設された位置に配置され得る。レーザービームの焦点は、基板の内部の位置であって、基板の第2面と裏面層との界面に少なくとも実質的に配設された位置に配置され得る。
【0072】
レーザービームの焦点は、基板の内部の位置であって、第1面より第2面に近い位置に配置されるため、レーザービームの大部分が、第2基板面において、及び/又はその付近で、例えば、第2基板面と裏面層との界面において、及び/又はその付近で吸収されることが確実になる。したがって、位置合わせ用マークを、特に第2面の側からはっきりと見えるように効率的且つ高精度に形成することができる。例えば、位置合わせ用マークは、少なくとも部分的に裏面層を溶融させることにより裏面層に形成され得る。
【0073】
複数の位置合わせ用マークを裏面層及び/又は裏面層が存在しない第2面の領域に形成するように基板に照射されるレーザービームは、パルスレーザービームであり得る。パルスレーザービームは、例えば1fs乃至300nsの範囲のパルス幅を有し得る。
【0074】
位置合わせ用マークの形状及び配置は特に限定されない。例えば、各位置合わせ用マーク又はいくつかの位置合わせ用マークは、例えば単数又は複数のドット、又は単数又は複数のライン、例えば、湾曲ライン及び/又は直線ラインの形態であり得る。
【0075】
複数の分割ラインが、基板の第1面に形成され得る。本方法は、基板材料を、単数又は複数、好適には全ての分割ラインに沿って、基板材料除去手段を使用して除去するステップを含み得る。この場合、位置合わせ用マークは、基板材料除去手段を、単数又は複数の分割ラインであって、これ(ら)に沿って基板材料が除去される分割ラインに対して位置合わせするために使用される。
【0076】
複数のデバイスを有するデバイスエリアが、基板の第1面に形成され得る。デバイスは、少なくとも1つの分割ラインにより仕切られ得る。デバイスエリアは、電子デバイス、半導体デバイス、例えばパワー半導体デバイス、特にエネルギー効率の高いパワー半導体デバイス等のデバイスを含み得る。デバイスは、例えば、SiC MOSFET等のMOSFET、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のトランジスタ、又はショットキーバリアダイオード等のダイオードを含み得る、又はこれらであり得る。
【0077】
裏面層は、導電層であり得る。例えば、裏面層は金属層であり得る。裏面層は、可視及び/又は赤外(IR)範囲の光に対して少なくとも実質的に不透過性を有する金属等の材料から形成され得る。
【0078】
本発明の方法において、裏面層及び/又は裏面層が存在しない第2面の領域に形成された位置合わせ用マークは、基板材料除去手段を少なくとも1つの分割ラインに対して位置合わせするために使用される。したがって、位置合わせするプロセスが裏面層の存在により損なわれることがないため、高精度で実施され得る。
【0079】
金属層等の裏面層は、基板の第2面の全体を少なくとも実質的に覆い得る。裏面層が第2基板面の全体を覆う場合、全ての位置合わせ用マークは裏面層に形成される。この場合、裏面層の位置合わせ用マークを使用して、基板材料除去手段を少なくとも1つの分割ラインに対して確実且つ正確に位置合わせすることができる。
【0080】
金属層等の裏面層は、基板の第2面の一部のみを覆い得る。特に、裏面層は、第2面の中央部分のみに設けられ得る。この場合、裏面層は、第2面の中央部分を取り囲む、すなわち周方向に取り囲む第2面の周縁又は周方向部分に存在しなくてよい。裏面層は、第1面上に形成されたデバイスエリアに対応する第2面のエリアにのみ存在し得る。
【0081】
基板は、第1面に周辺縁エリアを有し得る。周辺縁エリアは、デバイスを有さず、デバイスエリアの周囲に、すなわちこれを取り囲むように形成される。裏面層は、第1面の周辺縁エリアに対応する第2面のエリアに存在しないように配設され得る。
【0082】
裏面層が第2基板面の一部のみを覆う場合、全ての位置合わせ用マークは裏面層に形成され得る、全ての位置合わせ用マークは裏面層が存在しない第2面の領域に形成され得る、又は、位置合わせ用マークの一部が裏面層に形成され得るとともに、位置合わせ用マークの一部が裏面層に存在しない第2面の領域に形成され得る。いずれの場合においても、位置合わせ用マークを使用して、基板材料除去手段を少なくとも1つの分割ラインに対して確実且つ正確に位置合わせすることができる。
【0083】
本方法は、更に、保護シートを第1面に取り付けるステップを含み得る。保護シートは、レーザービームに対して、すなわち、複数の位置合わせ用マークを裏面層及び/又は裏面層が存在しない第2面の領域に形成するように照射されるレーザービームに対して透過性を有する材料で作製され得る。保護シートは、レーザービームを基板に照射するステップの前に、第1面に取り付けられ得る。レーザービームは、基板に保護シートを介して照射され得るため、すなわちレーザービームは保護シートを透過する。
【0084】
保護シートは、デバイスエリアに形成されたデバイスを覆うように基板の第1面に取り付けられ得る。保護シートは、第1基板面、特にデバイスエリアに形成されたデバイスを、例えば汚染及び/又は損傷から保護し得る。
【0085】
保護シートは、上述のように、同一の特徴、特性及び性質を有し得る。特に、上述のように、保護シートは、保護フィルム、及び/又はクッション層、及び/又はベースシートを含み得る、又はこれらからなり得る。
【0086】
本発明の方法は、更に、レーザービームを基板に第1面の側から照射するステップを含み得る。基板は、レーザービームに対して透過性を有する材料で作製される。レーザービームを、少なくとも1つの分割ラインに沿った複数の位置において基板に照射することにより、複数の改質領域が基板に形成される。
【0087】
複数の改質領域を基板に形成するように基板に照射されるレーザービームは、パルスレーザービームであり得る。パルスレーザービームは、例えば1fs乃至300nsの範囲のパルス幅を有し得る。
【0088】
基板に複数の改質領域を形成するように基板に照射されるパルスレーザービームは、複数の位置合わせ用マークを保護シートに形成するように保護シートに照射されるレーザービームと同一のレーザービームであっても、異なるレーザービームであってもよい。
【0089】
基板に複数の改質領域を形成するように基板に照射されるパルスレーザービームは、複数の位置合わせ用マークを裏面層及び/又は裏面層が存在しない第2面の領域に形成するように基板に照射されるレーザービームと同一のレーザービームであっても、異なるレーザービームであってもよい。
【0090】
複数の位置合わせ用マークを裏面層及び/又は裏面層が存在しない第2面の領域に形成するためのレーザービームを基板に照射するステップの後に、複数の改質領域を基板に形成するためのレーザービームが、基板に照射され得る。このようにして、位置合わせ用マークを特に高精度に形成することが保証され得る。特に、基板に形成された改質領域が、位置合わせ用マークを裏面層及び/又は裏面層が存在しない第2面の領域に形成するようにパルスレーザービームを照射するプロセスを妨げることが確実に回避され得る。
【0091】
或いは、位置合わせ用マークを裏面層及び/又は裏面層が存在しない第2面の領域に形成するためのレーザービームを基板に照射するステップの前に、複数の改質領域を基板に形成するためのレーザービームを基板に照射してもよい。
【0092】
複数の位置合わせ用マークを保護シートに形成するためのレーザービームを保護シートに照射するステップの後に、複数の改質領域を基板に形成するためのレーザービームを基板に照射してもよい。
【0093】
或いは、複数の位置合わせ用マークを保護シートに形成するためのレーザービームを保護シートに照射するステップの前に、複数の改質領域を基板に形成するためのレーザービームを基板に照射してもよい。
【0094】
複数の分割ラインが第1基板面に形成されている場合、本方法は、レーザービームを基板に第1面の側から、単数又は複数、好適には全ての分割ラインに沿った少なくとも複数の位置において、照射するステップを含み得る。この場合、複数の改質領域が、基板において、単数又は複数、好適には全ての分割ラインに沿った少なくとも複数の位置に形成される。
【0095】
レーザービームの焦点が、第1面から第2面に向かう方向において第1面から距離を置いて位置する状態で、レーザービームは、基板に、少なくとも1つの分割ラインに沿った少なくとも複数の位置において照射され得る。或いは、レーザービームの焦点が、第1面から第2面に向かう方向と反対の方向において第1面から距離を置いて位置する状態で、レーザービームは、基板に、少なくとも1つの分割ラインに沿った少なくとも複数の位置において照射され得る。
【0096】
各改質領域は、基板の容積内に、すなわち基板の内部に完全に配設され得る。この場合、改質領域は、第1面までいっぱいに、すなわち、第1面に到達するように、延在していない。また、改質領域は、第2面までいっぱいに、すなわち、第2面に到達するように、延在していない。或いは、改質領域のうちに少なくとも1つ、一部、又は全部が、第1及び/又は第2面まで延在し得る。
【0097】
改質領域は、パルスレーザービーム等のレーザービームの照射により改質された基板の領域である。例えば、改質領域は、レーザービームの照射により基板材料の構造が改質された基板の領域であり得る。
【0098】
改質領域は、アモルファス領域、又は亀裂が形成された領域を含み得る、又はそれであり得る。改質領域は、基板材料の内部にキャビティ等の空間を含み得る、又はこれからなり得る。この空間は、アモルファス領域又は亀裂が形成された領域により取り囲まれる。
【0099】
改質領域が、亀裂が形成されている領域を含む場合、すなわち亀裂が形成された領域を含む場合、又は当該領域である場合、亀裂は微小亀裂であり得る。亀裂は、μm範囲の長さ及び/又は幅等の寸法を有し得る。例えば、亀裂は、0.1μm乃至100μmの範囲の幅、及び/又は1μm乃至1000μmの範囲の長さを有し得る。
【0100】
少なくとも1つの分割ラインの延在方向において隣接する改質領域の中心同士の間の距離が、0.1μm乃至50μm、好適には0.1μm乃至30μm、より好適には0.1μm乃至15μmの範囲にあるようにして、複数の改質領域が基板に形成され得る。
【0101】
改質領域は、少なくとも1つの分割ラインの延在方向において、等距離を置いて離間し得る。或いは、隣接する又は近隣の改質領域の一部又は全部が、少なくとも1つの分割ラインの延在方向において互いに異なる距離を有し得る。
【0102】
改質領域は、0.1μm乃至30μm、好適には0.1μm乃至20μm、より好適には0.1μm乃至10μmの範囲の直径を有し得る。
【0103】
隣接する又は近隣の改質領域が互いに重ならないようにして、複数の改質領域は基板に形成され得る。このようにして、特に少なくとも1つの分割ラインに沿って基板材料を除去するステップにおいて、基板が十分な強度又は堅牢性を維持してその更なる取扱いや処理が効率的になることが確実に保証され得る。
【0104】
少なくとも1つの分割ラインの幅方向、及び/又は少なくとも1つの分割ラインの延在方向において隣接する又は近隣の改質領域の外縁間の距離は、少なくとも1μmであり得る。
【0105】
例えば、少なくとも1つの分割ラインの幅方向、及び/又は少なくとも1つの分割ラインの延在方向において隣接する又は近隣の改質領域が少なくとも部分的に重なるようにして、複数の改質領域は基板に形成され得る。
【0106】
改質領域は、基板の厚さの一部のみに沿って、第1面から第2面に向かう方向において延在するように形成され得る。改質領域の一部又は全部は、基板の厚さの5%以上60%以下、好適には10%以上40%以下、より好適には15%以上30%以下に沿って延在するように形成され得る。
【0107】
基板の厚さに沿った大きい延在部を有する改質領域を形成することは、基板材料除去手段、特にブレード又はソーの耐用年数の向上という観点から特に好適である。
【0108】
例えば、基板をその厚さに沿って全部又は一部切断することにより基板の厚さに沿って基板材料を全部又は一部除去することが意図されているかに応じて、一部又は全部の改質領域の基板の厚さに沿った延在量を適切に選択することができる。
【0109】
例えば、レーザービームの焦点を例えば第1面から第2面に向かう方向において第1面から適切な距離をおいて配置することにより、改質領域の基板の厚さに沿った延在量、及び改質領域の基板の厚さに沿った位置が、正確に制御され得る。
【0110】
本発明の一部の実施形態において、レーザービームが照射される少なくとも1つの分割ラインに沿った複数の位置のそれぞれにおいて、複数の改質領域、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、又は6以上の改質領域が形成され得る。複数の改質領域は、第1面から第2面に向かう方向において、すなわち、基板の厚さ方向に沿って互いに並んで配設され得る。このようにして、複数層の改質領域が形成され、複数の層は基板の厚さ方向に沿って積層されている。このような改質領域の積層体は、基板の厚さの30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上に亘って延在し得る。
【0111】
本発明の方法において、基板材料は、少なくとも1つの分割ラインに沿って機械的に除去され得る。特に、基板材料は、少なくとも1つの分割ラインに沿って基板を機械的に切断することにより、少なくとも1つの分割ラインに沿って除去され得る。
【0112】
基板材料は、少なくとも1つの分割ラインに沿って基板を切断することにより除去され得る。例えば、基板材料除去手段としてブレード又はソー等の機械的切断手段を使用して、基板を切断し得る。基板材料は、基板材料除去手段としてレーザーカット手段を使用するレーザーカット、特にレーザーアブレーションにより除去され得る。基板材料は、基板材料除去手段として例えばプラズマ源等を使用するプラズマカットにより除去され得る。基板の切断は、基板材料を少なくとも1つの分割ラインに沿って除去する特に効率的で単純且つ信頼性の高い方法である。
【0113】
複数の改質領域を基板に少なくとも1つの分割ラインに沿って形成することにより、改質領域が形成されたエリアにおいて基板の強度が低下する。したがって、基板にこのような改質領域を形成することにより、少なくとも1つの分割ラインに沿った基板材料の除去が顕著に容易となり得る。特に、少なくとも1つの分割ラインに沿った基板材料の機械的除去、例えば基板の機械的切断が、例えば速い処理速度でより効率的に実施され得る。ブレード又はソーによるダイシングプロセスの場合、ブレード又はソーのダイシング速度を大幅に加速することができる。
【0114】
本発明の方法において、基板材料は、基板の厚さの一部のみに沿って、第2面から第1面に向かう方向において除去され得る。基板材料は、基板の厚さの30%以上、好適には40%以上、より好適には50%以上、更に好適には60%以上、より更に好適には70%以上に沿って除去され得る。
【0115】
基板材料は、基板の厚さ全体に沿って除去され得る。このようにして、基板は、基板材料除去プロセスにより、少なくとも1つの分割ラインに沿って分割される。
【0116】
基板材料は、改質領域の延在部全体に沿って第1面から第2面に向かう方向において、又は当該延在部の一部のみに沿って除去され得る。基板材料を改質領域の延在部全体に沿って除去することにより、基板から得られるチップやダイス等の要素のダイス強度を更に高めることができる。基板材料は、改質領域の延長部の30%以上、好適には40%以上、より好適には50%以上、更に好適には60%以上、より更に好適には70%以上に沿って除去され得る。
【0117】
本発明の方法は、更に、基板材料を少なくとも1つの分割ラインに沿って除去するステップの後に、外力を基板に付与して基板を少なくとも1つの分割ラインに沿って分割するステップを含み得る。
【0118】
例えば、保護シートを径方向に拡張することにより、すなわち保護シートを拡張テープとして使用することにより、外力を基板に付与することができる。
【0119】
或いは、例えば、保護シートが使用されない場合、拡張テープを第1基板面に取り付けてもよい。続いて、拡張テープを径方向に拡張することにより、基板を少なくとも1つの分割ラインに沿って分割してもよい。
【0120】
以下に、本発明の非限定的な例を、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【
図1】本発明の方法の実施形態により処理される基板としてのウエハを示す断面図。
【
図2】本発明の方法の第1実施形態によるレーザービームを基板に照射するステップを示す断面図。
【
図3】
図2に示すレーザービームを基板に照射するステップの結果を示す断面図。
【
図4】本発明の方法の第1実施形態による基板をシートに取り付けるステップの結果を示す断面図。
【
図5】本発明の方法の第1実施形態による基板を切断するステップを示す断面図。
【
図6】
図5に示す基板を切断するステップの結果を示す断面図。
【
図7】本発明の方法の第1実施形態による外力を基板に付与するステップの結果を示す断面図。
【
図8】本発明の方法の第2実施形態によるレーザービームを基板に照射するステップを示す断面図。
【
図9】本発明の方法の第2実施形態の変形例によるレーザービームを基板に照射するステップを示す断面図。
【
図10】本発明の方法の第3実施形態によるレーザービームを基板に照射するステップを示す断面図。
【
図11】本発明の方法の第3実施形態の変形例によるレーザービームを基板に照射するステップを示す断面図。
【
図12】本発明の方法の第4実施形態による保護シートを基板に取り付けるステップの結果を示す断面図。
【
図13】本発明の方法の第4実施形態によるレーザービームを基板に照射するステップを示す断面図。
【
図14】本発明の方法の第4実施形態による基板をシートに取り付けるステップの結果を示すとともに、基板を切断するステップを示す断面図。
【
図15】本発明の方法の第4実施形態の変形例による保護シートを基板に取り付けるステップの結果を示す断面図。
【
図16】本発明の方法の第4実施形態の変形例によるレーザービームを基板に照射するステップを示す断面図。
【
図17】本発明の方法の第4実施形態の変形例による基板を切断するステップを示す断面図。
【
図18】本発明の方法の第5実施形態による保護シートを基板に取り付けるステップの結果を示す断面図。
【
図19】本発明の方法の第5実施形態によるレーザービームを基板に照射するステップを示す断面図。
【
図20】本発明の方法の第5実施形態による基板を切断するステップを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0122】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明する。好適な実施形態は、基板としてウエハを処理する方法に関する。
【0123】
図1は、本発明の方法の実施形態により処理される基板2の断面図である。基板2は、半導体ウエハ、特にSiCウエハである。但し、上述のように異なるタイプの基板、特に異なる基板材料を使用することができる。
【0124】
図1に示すように、基板2は、第1面4と、第1表面4の反対側の第2面6と、を有する。第1面4と第2面6とは、互いに実質的に平行である。第1面4上に、複数のデバイス10を有するデバイスエリア8が形成されている。デバイス10は、同様に第1表面4上に形成された複数の分割ライン12により仕切られている。分割ライン12は、実質的に格子パターン状に配置されている。デバイス10は、例えば、MOSFET又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のトランジスタ、又は、ショットキーバリアダイオード等のダイオードを含み得る、又はこれらであり得る。
【0125】
裏面層14が第2面6に形成されている。裏面層14は、可視及び赤外線(IR)範囲の光に対して少なくとも実質的に不透過性を有する金属層である。裏面層14は、第2面6のわずかな周縁部分を除き、第2面6のほぼ全体を覆う(
図1参照)。
【0126】
以下では、本発明の方法の第1実施形態を、
図2乃至7を参照して説明する。
【0127】
図2の矢印で示すように、パルスレーザービームLBが、基板2に第1面4の側から照射される。パルスレーザービームLBは、例えば、1fs乃至300nsの範囲にあるパルス幅を有し得る。基板2の材料、特にSiCは、パルスレーザービームLBに対して透過性を有するため、パルスレーザービームLBは基板2を透過する。パルスレーザービームLBの焦点を基板2の第2面6と裏面層14との界面に少なくとも実質的に配設された位置に配置した状態で、パルスレーザービームLBは基板2に照射される。このような焦点の配置は
図2に示されない。焦点を基板2の第2面6と裏面層14との界面に少なくとも実質的に配置することにより、パルスレーザービームLBの大部分がこの界面で吸収されるため、少なくとも部分的に裏面層14が溶融する。このようにして、位置合わせ用マーク16が裏面層14に形成される(
図2参照)。続いて、パルスレーザービームLBの焦点を、基板2の横方向に移動させて、裏面層14の異なる位置に別の位置合わせ用マーク16を形成する。パルスレーザービームLBをこのように使用することにより、複数の位置合わせ用マーク16を、特に第2面6の側からはっきりと見えるように、裏面層14に効率的且つ高精度に形成することができる。
【0128】
例えば、複数の位置合わせ用マーク16を形成するように基板2に照射されるパルスレーザービームLBは、以下の特性を有し得る。
波長:300乃至1100nm
パルス幅:10乃至100ns
パルスエネルギー:1乃至10μJ
パルスピッチ(中心から中心):0.5乃至4μm
【0129】
第1実施形態において、位置合わせ用マーク16は、少なくとも1つの位置合わせ用マーク16が、各分割ライン12の幅方向中央に実質的に配設されるように設けられる(
図3参照)。位置合わせ用マーク16は、例えば単数又は複数のドット、又は単数又は複数のラインの形態とすることができる。但し、上述のように、位置合わせ用マーク16の形状及び配置は、特に限定されない。
【0130】
裏面層14に位置合わせ用マーク16を形成した後、パルスレーザービームLBを、基板2に第1面4の側から各分割ライン12に沿った複数の位置において照射し、基板2に複数の改質領域18を形成する(
図2及び3参照)。複数の改質領域18を形成するように基板2に照射されるパルスレーザービームLBは、複数の位置合わせ用マーク16を形成するように基板2に照射されたレーザービームLBと同一であり得る。或いは、これらの目的のために2つの異なるレーザービームを使用してもよい。
【0131】
例えば、複数の改質領域18を形成するように基板2に照射されるパルスレーザービームLBは、以下の特性を有し得る。
波長:300乃至1100nm
パルス幅:10乃至100ns
パルスエネルギー:5乃至40μJ
パルスピッチ(中心から中心):6乃至24μm
【0132】
位置合わせ用マーク16を形成した後に改質領域18を形成することにより、位置合わせ用マーク16を特に高精度で形成することが保証され得る。特に、改質領域18が、位置合わせ用マーク16を形成するようにパルスレーザービームLBを照射するプロセスを妨げることが確実に回避され得る。
【0133】
改質領域18は、パルスレーザービームLBの照射により改質された基板2の領域である。例えば、改質領域18は、アモルファス領域及び/又は亀裂が形成される領域を含み得る、又はこれらであり得る。上述のように、亀裂はμm範囲の長さ及び/又は幅等の寸法を有し得る。
【0134】
本実施形態において、
図2及び3に示すように、各改質領域18は、基板2の容積内に完全に配置される。したがって、各改質領域18は、基板2の厚さの一部のみに沿って、第1面4から第2面6に向かう方向において延在している。改質領域18の基板厚さに沿った延在量、及び改質領域18の基板厚さに沿った位置は、例えば、パルスレーザービームLBの焦点を第1表面4から適切な距離を置いて配置することにより正確に制御することができる。
【0135】
図2及び3に示すように、分割ライン12に沿った複数の位置のそれぞれにおいて、複数の、すなわち3つの改質領域18が形成される。改質領域18は、基板2の厚さ方向に沿って互いに並んで配設される。このようにして、基板厚さに沿って積層した複数層の改質領域18が形成される。但し、改質領域18の個数、配置、延在部、及び形状は特に限定されない。
【0136】
改質領域18を基板2に形成することにより、改質領域18が形成されたエリアにおいて基板2の強度が低下する。したがって、後述する分割ライン12に沿った基板材料の除去が顕著に容易となり得る。特に、分割ライン12に沿った基板材料の機械的除去、例えば基板2の機械的切断が、例えば速い処理速度でより効率的に実施され得る。ブレード又はソーによるダイシングプロセスの場合、ブレード又はソーのダイシング速度を大幅に速くすることができる。
【0137】
本実施形態において、全ての改質領域18は基板2の完全に内側に配置されているが、亀裂20は改質領域18から特に第1面4に向かって延在している。
図2及び3に示すように、選択的に、亀裂20は、第1面4までいっぱいに延在し得る。基板2内のこれらの亀裂20は、改質領域18において基板材料が改質することにより生じる。亀裂20の存在により、後述のように、分割ライン12に沿って基板2を分割するプロセスが更に容易になる。
【0138】
全ての位置合わせ用マーク16及び改質領域18が形成された後(
図3参照)、基板2はシート22に取り付けられる。具体的には、基板2の第1面4がシート22に取り付けられることにより、シート22は、デバイスエリア8に形成されたデバイス10を覆う(
図4参照)。シート22は、従来のダイシングテープ、又は上述の保護シートであり得る。例えば、上述のように、シート22は、保護フィルム、及び/又はクッション層、及び/又はベースシートを含み得る、又はこれらからなり得る。シート22はその周縁部分において環状フレーム24に支持され、環状フレーム24の内側開口がシート22により閉鎖される。
【0139】
シート22には、シート22を基板2の第1面4に取り付けるための接着剤層(図示せず)が設けられ得る。接着剤層は、シート22の前面の周縁エリアのみに配置され得る。この場合、シート22の前面の中央エリアにおいて、シート22の前面と第1面4とは、互いに直接的に接触する。したがって、例えば基板2における接着剤層又は接着剤残留物の接着力を原因とする第1面4、特にデバイス10の汚染や損傷のリスクが、顕著に低減され得る、又は排除され得る。
【0140】
基板2をシート22に取り付けた後、
図5に示すように、基板材料を、分割ライン12に沿って基板2の第2面6の側から除去する。基板材料除去手段としてダイシングブレード26を使用して基板2を分割ライン12に沿って機械的に切断することにより、基板材料は除去される。或いは、例えば、基板材料除去手段としてレーザーカット手段を使用するレーザーカット、特にレーザーアブレーションにより、基板材料を除去してもよい。基板2は、分割ライン12に沿って裏面層14を介して切断される(
図5参照)。したがって、位置合わせ用マーク16は、切断プロセスにおいて除去される。
【0141】
基板2は、シングルカットにより、又は、例えば、異なる切断幅を有するダイシングブレードを採用した切断ステップ等の異なる切断プロセスの組み合わせを利用したステップカットにより、切断され得る。上述のように、基板2を切断するプロセスは、改質領域18の存在により非常に容易となる。
【0142】
裏面層14に形成された位置合わせ用マーク16は、ダイシングブレード26を、切断すべき分割ライン12に対して位置合わせするために使用される。したがって、ダイシングブレード26を、分割ライン12に対して高い位置合わせ精度で位置合わせすることができ、これにより、基板切断プロセスを高精度で実施することができる。したがって、分割ライン12の幅を狭くすることができるため、より多くのデバイス10を第1面4上に収容することができる。このようにして、生産効率が大幅に上昇するとともに、基板材料が無駄になることが回避される。これは、SiCやGaAs等の高価な基板材料の場合に特に有利である。
【0143】
図5に示すように、基板2は、基板2の厚さの一部のみに沿って切断される。特に、基板2は、改質領域18の延在部全体に沿って、第2面6から第1面4に向かう方向において切断される。このようにして、改質領域18は、基板切断プロセスにおいて除去される。したがって、基板2から得られるダイス(
図7参照)のダイス強度を更に向上させ得る。
【0144】
基板切断プロセスにおいてダイシングブレード26により基板2に付与される力は、亀裂20の伝播を高め得る。例えば、この力により、亀裂20の一部が第1面4までいっぱいに延在し得る。このようにして、基板2を分割ライン12に沿って分割するプロセスが更に容易とされ得る。
【0145】
図6に示すように、基板2が分割ライン12に沿って切断された後、シート22は、例えば拡張ドラム等を使用することにより径方向に拡張される。このようにして、径方向の外力が基板2に付与されることで、基板2が分割ライン12に沿って個々のダイス28に分割される(
図7参照)。具体的には、基板2は分割ライン12に沿って分割されるが、分割ライン12において、基板切断工程において形成された部分的な切欠の存在により基板2の強度は低下している。第1面4に向かって、特に第1面4までいっぱいに延在する亀裂20により基板2が分割ライン12に沿って更に弱化している場合、基板2を分割するプロセスは更に容易となる。
【0146】
このようにして基板2を完全に分割した後、個々のダイス28を、シート22から、例えばピックアップ装置(図示せず)を使用して獲得することができる。
【0147】
本実施形態の方法において、基板2は、その厚さの一部のみに沿って切断され、外力を付与することにより完全に分割されるため、分割ライン12の幅を更に狭くすることができる。特に、このような幅は、ダイシングブレード26の切断幅より小さくなるように選択され得る。例えば、分割ラインの幅は、30μm以下、好適には20μm以下であり得る。
【0148】
以下では、本発明の方法の第2実施形態について、
図8及び9を参照して説明する。
【0149】
第2実施形態の方法は、パルスレーザービームLBを基板2に照射する前に、保護シート30(
図8及び9参照)が基板2の第1面4に取り付けられるという点においてのみ、第1実施形態の方法と異なる。
【0150】
パルスレーザービームLBを基板2に照射して、第1実施形態の方法と実質的に同一の態様において位置合わせ用マーク16及び改質領域18を形成する(
図8参照)。但し、パルスレーザービームLBは、保護シート30を介して照射される。保護シート30は、パルスレーザービームLBが保護シート30を透過するように、パルスレーザービームLBに対して透過性を有する材料から構成され得る。或いは、パルスレーザービームLBは、保護シート30を通過して第1基板面4に到達し得る。
【0151】
保護シート30は、デバイスエリア8に形成されたデバイス10を覆うように第1面4に取り付けられる。したがって、デバイス10は、保護シート30により、例えば、ごみ、ダスト粒子等の汚染物質及びダメージから確実に保護される。
【0152】
保護シート30は、上述の特徴、特性及び性質を有し得る。特に、上述のように、保護シート30は、保護フィルム、及び/又はクッション層、及び/又はベースシートを含み得る、又はこれらからなり得る。
【0153】
保護シート30には、保護シート30を基板2の第1面4に取り付けるための接着剤層(図示せず)が設けられ得る。接着剤層は、保護シート30の前面の周縁エリアにのみ配設され得る。この場合、保護シート30の前面の中央エリアにおいて、保護シート30の前面と第1面4とは、互いに直接的に接触する。したがって、例えば基板2における接着剤層又は接着剤残留物の接着力を原因とする第1面4、特にデバイス10の汚染や損傷のリスクが、顕著に低減され得る、又は排除され得る。
【0154】
或いは、保護シート30の前面全体が第1面4に直接的に接触するように、保護シート30を第1面4に適用してもよい。この場合、保護シート30の前面と第1面4との間に、材料、特に接着剤が存在しない。したがって、第1面4の汚染や損傷のリスクが確実に排除され得る。
【0155】
本発明の方法の第2実施形態の変形例を
図9に示す。本変形例において、第2実施形態は、環状フレーム32により保護シート30の周縁部分を支持して(
図9参照)、保護シート30により環状フレーム32の内側開口を閉鎖することによって、変形されている。第2実施形態の変形例においても、パルスレーザービームLBを基板2に照射して、第1実施形態の方法と実質的に同一の態様において位置合わせ用マーク16及び改質領域18を形成する(
図9参照)。
【0156】
環状フレーム32を設けることにより、基板処理ステップにおける基板2の取り扱いが更に容易となり得るとともに、より効率的になり得る。特に、このようにして、基板2を切断する前に基板2をシート22に取り付けるステップ(
図4参照)を省くことができる。
【0157】
第2実施形態及びその変形例において、基板2を分割ライン12に沿って切断及び分割する後続のステップは、第1実施形態の方法と実質的に同一の態様において実施される(
図5、6及び7参照)。特に、第2実施形態の変形例において、保護シート30は、例えば拡張ドラム等を使用することにより径方向に拡張される。このようにして、径方向の外力が基板2に付与されることで、基板2が分割ライン12に沿って個々のダイス28に分割される(
図7参照)。
【0158】
このようにして基板2を完全に分割した後、個々のダイス28を、例えばピックアップ装置(図示せず)を使用して獲得することができる。
【0159】
以下では、本発明の方法の第3実施形態について、
図10及び11を参照して説明する。
【0160】
第3実施形態の方法は、位置合わせ用マーク16が、裏面層14が存在しない第2面6の領域に形成される(
図10及び11参照)という点において、第1実施形態の方法と異なる。
【0161】
図10に示すように、裏面層14は、基板2の第2面6の一部のみを覆う。特に、裏面層14は、第2面6の中央部分にのみ設けられる。したがって、裏面層14は、第2面6の中央部分を取り囲む第2面6の周縁部分34には存在しない。周縁部分34は、少なくとも実質的に環状の形状を有し得る。周縁部分34は、0.1mm乃至3mmの幅、例えばリング幅を有し得る。本実施形態において、裏面層14は、第1面4に形成されたデバイスエリア8に対応する第2面6のエリアにのみ存在する。
【0162】
第3実施形態の方法において、全ての位置合わせ用マーク16は、裏面層14が存在しない第2面6の周縁部分34に形成される(
図10参照)。特に、位置合わせ用マーク16は、パルスレーザービームLBの焦点を、第2面6において少なくとも実質的にその周縁部分34に配設された位置に配置することにより形成される(
図10参照)。焦点を少なくとも実質的に第2面6に配置することにより、パルスレーザービームLBの大部分がこの表面で吸収されるため、第2面6の側からはっきりと見える位置合わせ用マーク16が周縁部分34に形成される。
【0163】
これらの位置合わせ用マーク16を使用することにより、基板2を分割ライン12に沿って切断する後続のステップのために、ダイシングブレード26を分割ライン12に対して確実且つ正確に位置合わせすることができる。
【0164】
第3実施形態の方法において、第1実施形態の方法と同一の態様で、基板2に改質領域18が形成される。複数の改質領域18を形成するように基板2に照射されるパルスレーザービームLBは、複数の位置合わせ用マーク16を形成するように基板2に照射されたレーザービームLBと同一であり得る。或いは、これらの目的のために2つの異なるレーザービームを使用してもよい。
【0165】
本発明の方法の第3実施形態の変形例を
図11に示す。本変形例において、第3実施形態は、基板2の第2面6をシート36に取り付ける(
図11参照)ことにより、変形されている。シート36の周縁部分は、環状フレーム38により支持され(
図11参照)、環状フレーム38の内側開口がシート36により閉鎖される。
【0166】
シート36は、従来のダイシングテープ、又は上述の保護シート30等の保護シートであり得る。
【0167】
基板2の第2面6を環状フレーム38に支持されたシート36に取り付けることにより、基板処理ステップにおける基板2の取り扱いが更に容易となり得るとともに、より効率的になり得る。
【0168】
第3実施形態及びその変形例において、基板2を分割ライン12に沿って切断及び分割する後続のステップは、第1実施形態の方法と実質的に同一の態様において実施される(
図5、6及び7参照)。
【0169】
このようにして基板2を完全に分割した後、個々のダイス28を、例えばピックアップ装置(図示せず)を使用して獲得することができる。
【0170】
以下では、本発明の方法の第4実施形態について、
図12乃至17を参照して説明する。
【0171】
第4実施形態の方法は、位置合わせ用マーク16が保護シートに形成されるという点において、第1実施形態の方法と実質的に異なる。
【0172】
第4実施形態の方法において、パルスレーザービームLBを基板2に照射する前に、保護シートが基板2の第1面4に取り付けられる。本実施形態において、保護シートは保護シート30であり、上述の特徴、特性及び性質を有し得る。特に、保護シート30は、上述のように、接着剤層(図示せず)を使用して、又は使用せずに、第1面4に取り付けられ得る。
【0173】
保護シート30は、デバイスエリア8に形成されたデバイス10を覆うように、第1面4に取り付けられる。保護シート30は、第1面4、特にデバイス10を汚染や損傷から保護する。
【0174】
図12に示すように、保護シート30の一部分40は、第1面4を超えて横方向に延在している。保護シート30の一部分40は、第1面4を取り囲む。一部分40は、実質的に環状の形状を有し得る。他の実施形態において、例えば、基板が矩形又は正方形の形状を有する場合、一部分40は、少なくとも実質的に、開口した矩形形状又は開口した正方形形状、すなわち、その中央に開口を有する矩形又は正方形の形状を有し得る。
【0175】
保護シート30を第1面4に取り付けた後に、
図13に示すように、改質領域18が基板2に形成されるとともに、位置合わせ用マーク16が保護シート30に形成される。これら2つのステップの順序は特に限定されない。例えば、改質領域18を位置合わせ用マーク16の前に形成してよい。或いは、位置合わせ用マーク16を改質領域18の前に形成してもよい。
【0176】
パルスレーザービームLBを基板2に照射して、第2実施形態の方法と実質的に同一の態様において改質領域18を基板2に形成する(
図8及び13参照)。特に、パルスレーザービームLBは、保護シート30を介して照射される。保護シート30は、パルスレーザービームLBが保護シート30を透過するように、パルスレーザービームLBに対して透過性を有する材料から構成され得る。或いは、パルスレーザービームLBは、保護シート30を通過して第1基板表面4に到達し得る。
【0177】
パルスレーザービームLBは、保護シート30に位置合わせ用マーク16を形成するように保護シート30に照射される。特に、位置合わせ用マーク16は、パルスレーザービームLBの焦点を、保護シート30において位置合わせ用マーク16を形成すべき位置に配置することにより、保護シート30に形成される。全ての位置合わせ用マーク16は、第1面4を超えて横方向に延在する保護シート30の一部分40に形成される(
図13参照)。このようにして、ダイシングブレード26を、特に高い位置合わせ精度で分割ライン12に対して位置合わせすることができるため、基板切断プロセス(
図14参照)が特に高い精度で実施され得る。
【0178】
本実施形態において、改質領域18を形成するように基板2に照射されるパルスレーザービームLBは、位置合わせ用マーク16を形成するように保護シート30に照射されたパルスレーザービームLBと同一であり得る。或いは、これらの目的のために2つの異なるレーザービームを使用してもよい。
【0179】
全ての位置合わせ用マーク16及び改質領域18が形成された後、基板2を更なるシート42に取り付ける(
図14参照)。具体的には、保護シート30が設けられた基板2の第1面4をシート42に取り付ける。シート42は、従来のダイシングテープであり得る。
図14に示すように、シート42は、その周縁部分において環状フレーム44により支持され、環状フレーム44の内側開口がシート42により閉鎖される。このようにして、基板処理ステップにおける基板2の取り扱いが更に容易となり得る。
【0180】
基板2をシート42に取り付けた後、基板2を、分割ライン12に沿って第2面6の側からダイシングブレード26を使用して(
図14参照)、第1実施形態の方法と実質的に同一の態様において切断する。特に、基板2は、分割ライン12に沿って裏面層14を介して切断される。
【0181】
保護シート30の一部分40に形成された、第2面6の側からはっきりと見える位置合わせ用マーク16(
図14参照)は、ダイシングブレード26を切断すべき分割ライン12に対して位置合わせするために使用される。したがって、ダイシングブレード26を、分割ライン12に対して高い位置合わせ精度で位置合わせすることができ、これにより、基板切断プロセスを高精度で実施することができる。したがって、分割ライン12の幅を狭くすることができるため、より多くのデバイス10を第1面4上に収容することができる。このようにして、生産効率が大幅に上昇するとともに、基板材料が無駄になることが回避される。
【0182】
基板2が全ての分割ライン12に沿って切断された後、シート42は、例えば拡張ドラム等を使用することにより径方向に拡張される。このようにして、径方向の外力が基板2に付与されることで、第1実施形態の方法と実質的に同一の態様において(
図7参照)、基板2が分割ライン12に沿って個々のダイス28に分割される。
【0183】
このようにして基板2を完全に分割した後、個々のダイス28を、例えばピックアップ装置(図示せず)を使用して獲得することができる。
【0184】
本発明の方法の第4実施形態の変形例を、
図15乃至17に示す。本変形例において、第4実施形態は、第4実施形態の保護シート30よりも、第1面4を超えて更に横方向に延在する保護シート30を使用し、且つ、保護シート30の横方向において最も外側の部分を環状フレーム46に取り付ける(
図15参照)ことにより、変形されている。保護シート30が環状フレーム46に取り付けられることにより、環状フレーム46の内側開口が保護シート30により閉鎖される。
【0185】
このように環状フレーム46を設けることにより、基板処理ステップにおける基板2の取り扱いが更に容易となり得るとともに、より効率的になり得る。特に、このようにして、基板2を切断する前に基板2をシート42に取り付けるステップ(
図14参照)を、省くことができる。
【0186】
保護シート30を第1面4に取り付けた後、第4実施形態の方法と実質的に同一の態様において(
図13及び16参照)、改質領域18が基板2に形成されるとともに、位置合わせ用マーク16が保護シート30に形成される。
【0187】
全ての位置合わせ用マーク16及び改質領域18が形成された後、基板2を、分割ライン12に沿って第2面6の側からダイシングブレード26を使用して、第4実施形態の方法と実質的に同一の態様において切断する(
図14及び17参照)。
【0188】
続いて、基板2が全ての分割ライン12に沿って切断された後、保護シート30は、例えば拡張ドラム等を使用することにより径方向に拡張される。このようにして、径方向の外力が基板2に付与されることで、基板2が分割ライン12に沿って個々のダイス28に分割される(
図7参照)。第4実施形態の変形例の方法において、1つのシート、すなわち保護シート30のみが、基板2の第1表面4に取り付けられる。したがって、保護シート30を径方向に拡張することにより、基板2を分割するプロセスが、特に効率的に且つ信頼性高く実施され得る。
【0189】
このようにして基板2を完全に分割した後、個々のダイス28を、例えばピックアップ装置(図示せず)を使用して獲得することができる。
【0190】
以下では、本発明の方法の第5実施形態を、
図18乃至20を参照して説明する。第5実施形態の方法は、保護シート30の構成において第4実施形態の変形例の方法と異なる。
【0191】
特に、第5実施形態の方法において、保護シート30は、ベースシート48とクッション層50とを含む(
図18参照)。クッション層50は、第1表面4に取り付けられる。更に、上述のように、保護フィルム(図示せず)が、第1面4とクッション層50との間に配置されるように設けられる。また、保護フィルムは、基板2の側壁とクッション層50との間にも配置される。保護フィルムを設けることにより、クッション層50の材料で基板2が汚染されるリスクが確実に防止される。上述のように、保護フィルムは、第1面4に接着剤層を使用して、又は使用せずに取り付けられ得る。
【0192】
実質的に基板2の全体が、クッション層50に埋設される。但し、裏面層14の後面52は露出している。すなわち、クッション層50で覆われていない(
図18参照)。クッション層50は、基板2の厚さと実質的に同一の厚さ、例えば100乃至150μmの厚さを有し得る。
【0193】
第1面4を超えて横方向に延在する保護シート30の一部分40であって、クッション層50に大部分が形成される一部分40は、第1面4から第2面6に向かって、基板2の実質的に全厚さに沿って延在している(
図18参照)。
【0194】
ベースシート48とクッション層50と保護フィルムとを含む保護シート30は、基板切断及び分割プロセスにおいて、基板2を支持するための特に確実なキャリアとして機能する。基板2又は得られるダイス28(
図7参照)が不所望にずれることが、確実に回避され得る。
【0195】
ベースシート48の前面は、クッション層50の後面と接触している。ベースシート48の前面の反対側の後面は、基板の第2面6と実質的に平行であり得る。したがって、基板2を分割ライン12に沿って第2表面6の側からダイシングブレード26を使用して切断する際に、例えばベースシート48の後面をチャックテーブル(図示せず)に載置することにより、この後面に適切な対向する圧力が付与され得る。
【0196】
ベースシートの材料は、特に限定されない。例えば、ベースシートは、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレンビニルアセテート(EVA)、又はポリオレフィン等のポリマー材料で作製され得る。
【0197】
クッション層の材料は、特に限定されない。例えば、クッション層は、樹脂、接着剤、ゲル等から形成され得る。
【0198】
保護フィルムの材料は、特に限定されない。例えば、保護フィルムは、ポリオレフィン等のポリマー等のプラスチック材料で作製され得る。特に、保護フィルムは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、又はポリブチレン(PB)で作製され得る。
【0199】
ベースシート48、クッション層50、及び保護フィルムは、パルスレーザービームLBがベースシート48、クッション層50、及び保護フィルムを透過するように、パルスレーザービームLBに対して透過性を有する材料から構成される。
【0200】
保護シート30を第1面4に取り付けた後、
図19に示すように、改質領域18が基板2に形成されるとともに、位置合わせ用マーク16が保護シート30に形成される。これら2つのステップの順序は特に限定されない。例えば、改質領域18を位置合わせ用マーク16の前に形成してよい。或いは、位置合わせ用マーク16を改質領域18の前に形成してもよい。
【0201】
パルスレーザービームLBを基板2に照射して、第2実施形態の方法と実質的に同一の態様において改質領域18を基板2に形成する(
図8及び19参照)。特に、パルスレーザービームLBは、パルスレーザービームLBに対して透過性を有する保護シート30を介して照射される。
【0202】
パルスレーザービームLBを保護シート30に照射して、位置合わせ用マーク16を保護シート30に形成する。全ての位置合わせ用マーク16は、第1面4を超えて横方向に延在する保護シート30の一部分40に形成される。具体的には、全ての位置合わせ用マーク16は、クッション層50において、基板2の第2面6に少なくとも実質的に配設された位置に形成される(
図19参照)。このようにして、ダイシングブレード26を分割ライン12に対して位置合わせできる位置合わせ精度を(
図20参照)、更に向上させ得る。
【0203】
本実施形態において、改質領域18を形成するように基板2に照射されるパルスレーザービームLBは、位置合わせ用マーク16を形成するように保護シート30に照射されたレーザービームLBと同一であり得る。或いは、これらの目的のために2つの異なるレーザービームを使用してもよい。
【0204】
全ての位置合わせ用マーク16及び改質領域18が形成された後、基板2を、分割ライン12に沿って第2面6の側からダイシングブレード26を使用して(
図20参照)、第1実施形態の方法と実質的に同一の態様において切断する。特に、基板2は、分割ライン12に沿って裏面層14を介して切断される。
【0205】
保護シート30のクッション層50に形成された、第2面6の側から特にはっきりと見える位置合わせ用マーク16(
図20参照)は、ダイシングブレード26を切断すべき分割ライン12に対して位置合わせするために使用される。したがって、ダイシングブレード26を、分割ライン12に対してさらに高い位置合わせ精度で位置合わせすることができ、これにより、基板切断プロセスを特に高精度で実施することができる。
【0206】
基板2が全ての分割ライン12に沿って切断された後、保護シート30は、例えば拡張ドラム等を使用することにより径方向に拡張される。このようにして、径方向の外力が基板2に付与されることで、第1実施形態の方法と実質的に同一の態様において(
図7参照)、基板2が分割ライン12に沿って個々のダイス28に分割される。
【0207】
このようにして基板2を完全に分割した後、個々のダイス28を、例えばピックアップ装置(図示せず)を使用して獲得することができる。