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特許7176390傾き補正装置、読取装置、画像形成装置および傾き補正方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】傾き補正装置、読取装置、画像形成装置および傾き補正方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20221115BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/00 567Q
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018231935
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2020096260
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】白土 寛貴
(72)【発明者】
【氏名】久保 宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 公治
(72)【発明者】
【氏名】長尾 佳明
(72)【発明者】
【氏名】橋本 歩
(72)【発明者】
【氏名】中田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】小野 智彦
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 達也
(72)【発明者】
【氏名】塚原 元
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092560(JP,A)
【文献】特開平03-053756(JP,A)
【文献】特開2010-214741(JP,A)
【文献】特開昭59-064450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00-1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読取位置に搬送する搬送部と、
前記読取位置で前記原稿を撮像し、前記読取位置の画像情報を生成する撮像部と、
前記読取位置よりも搬送方向上流側に設けられ、前記原稿の通過位置情報を取得する通過位置情報取得部と、
前記通過位置情報に応じて傾き量検知領域を設定し、前記撮像部にて生成された画像情報にて前記原稿の傾き量の検知を行う傾き量検知部と、
前記通過位置情報と、前記撮像部にて生成された画像情報にて得られた前記原稿の傾き量とに応じて前記画像情報における前記原稿の傾きを補正する傾き補正部と、
を備え
前記傾き量検知部は、前記通過位置情報取得部に設けられる前記原稿の通過位置情報を検知するための各センサの検知時間差の結果に応じて、前記傾き量検知領域を切り替え、前記画像情報における前記原稿の傾き量の検知のための直線式の算出において、サンプリングポイントから除外するように、該傾き量検知領域の情報を前記傾き補正部に伝達する、
ことを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記傾き量検知部は、前記通過位置情報取得部で取得された前記原稿の通過位置情報に応じて設定された前記傾き量検知領域にて、前記搬送方向の下流側の前記原稿の先端エッジを検知する、
ことを特徴とする請求項に記載の読取装置。
【請求項3】
前記傾き量検知部は、前記通過位置情報取得部で取得された前記原稿の通過位置情報に応じて設定された前記傾き量検知領域にて、前記搬送方向における前記原稿の左端側ないし右端側のエッジを検知する、
ことを特徴とする請求項またはに記載の読取装置。
【請求項4】
前記傾き量検知部および前記傾き補正部は、前記通過位置情報取得部で取得された前記原稿の通過位置情報に応じて、前記画像情報における前記原稿の傾き量の検知および傾きの補正を実施する/しないを切り替える、
ことを特徴とする請求項ないしの何れか一項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記傾き量検知部および前記傾き補正部は、前記通過位置情報取得部で取得された前記原稿の通過位置情報にかかわらず、前記画像情報における前記原稿の傾き量の検知および傾きの補正を実施する/しないを切り替える、
ことを特徴とする請求項ないしの何れか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記傾き量検知部は、前記通過位置情報取得部に設けられる前記原稿の通過位置情報を検知するための各センサの検知時間差の結果から傾き量を推定し、その後、前記画像情報における前記原稿の傾き量を検知する際に前記検知時間差による前記傾き量に対して予め設定した閾値よりも差が大きい部分を前記画像情報における前記原稿の傾き量の算出に使用しない、
ことを特徴とする請求項ないしの何れか一項に記載の読取装置。
【請求項7】
請求項ないしの何れか一項に記載の読取装置と、
前記読取装置で読み取った原稿画像に基づき画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
原稿を読取位置に搬送する搬送工程と、
前記読取位置で前記原稿を撮像し、前記読取位置の画像情報を生成する撮像工程と、
前記読取位置よりも搬送方向上流側に設けられ、前記原稿の通過位置情報を取得する通過位置情報取得工程と、
前記通過位置情報に応じて傾き量検知領域を設定し、前記撮像工程にて生成された画像情報にて前記原稿の傾き量の検知を行う傾き量検知工程と、
前記通過位置情報と、前記撮像工程にて生成された画像情報にて得られた前記原稿の傾き量とに応じて前記画像情報における前記原稿の傾きを補正する傾き補正工程と、
を含み、
前記傾き量検知工程は、前記通過位置情報取得工程で得られる前記原稿の通過位置情報を検知するための各センサの検知時間差の結果に応じて、前記傾き量検知領域を切り替え、前記画像情報における前記原稿の傾き量の検知のための直線式の算出において、サンプリングポイントから除外するように、該傾き量検知領域の情報を前記傾き補正工程に伝達する、
ことを特徴とする読取方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、画像形成装置および読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検知対象物を撮像した画像の読み取る時における読取画像データの傾き(スキュー)を、当該読取画像データからスキュー量(スキュー角度)やレジスト位置を検知した情報に基づく画像処理にて補正するスキュー補正技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、原稿の幅に応じたスキュー量を検知する目的で、既存の原稿幅検出センサの各センサの検知時間差を用いて原稿の幅及びスキュー量を検知する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスキュー補正によれば、検知精度向上のため、読取画像からエッジ検知等で原稿の輪郭を検知し、その領域で原稿境界や影を使ってスキュー量を検知しないといけない。このため、原稿幅を検知するための画像処理の追加や、その原稿幅に応じてスキュー量検知用のパラメータを変えなければならず、スキュー量の検知/スキュー補正後の画像データの遅延による生産性劣化やデータ格納のメモリ量の肥大化が発生してしまう。
【0005】
また、特許文献1に開示された技術によれば、下記の点で検知精度悪化や検知不可が発生し、スキュー量の検知精度が確保できないという問題がある。
・原稿幅検出センサの数のみでのサンプリングのためポイントが少ない点
・センサ間の検知誤差が実際の画像からのスキュー量検知誤差となる点
・透過型センサの場合、OHP等の透明原稿では検知できない点
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、スキュー量検知の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、原稿を読取位置に搬送する搬送部と、前記読取位置で前記原稿を撮像し、前記読取位置の画像情報を生成する撮像部と、前記読取位置よりも搬送方向上流側に設けられ、前記原稿の通過位置情報を取得する通過位置情報取得部と、前記通過位置情報に応じて傾き量検知領域を設定し、前記撮像部にて生成された画像情報にて前記原稿の傾き量の検知を行う傾き量検知部と、前記通過位置情報と、前記撮像部にて生成された画像情報にて得られた前記原稿の傾き量とに応じて前記画像情報における前記原稿の傾きを補正する傾き補正部と、を備え、前記傾き量検知部は、前記通過位置情報取得部に設けられる前記原稿の通過位置情報を検知するための各センサの検知時間差の結果に応じて、前記傾き量検知領域を切り替え、前記画像情報における前記原稿の傾き量の検知のための直線式の算出において、サンプリングポイントから除外するように、該傾き量検知領域の情報を前記傾き補正部に伝達する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スキュー量検知の精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
図2図2は、スキャナの概略構成を模式的に示す断面図である。
図3図3は、ADFの概略構成を模式的に示す断面図である。
図4図4は、原稿幅センサの概略構成を模式的に示す図である。
図5図5は、画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図6は、画像処理装置の機能を示すブロック図である。
図7図7は、画像読取処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図8-1】図8-1は、原稿の幅検出結果と傾き量検知領域(搬送方向下流側エッジ)との関係の一例を示す図である。
図8-2】図8-2は、原稿の幅検出結果と傾き量検知領域(搬送方向下流側エッジ)との関係の一例を示す図である。
図9図9は、画像処理にかかる各種処理のタイミングを従来と比較して示す図である。
図10-1】図10-1は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の原稿の幅検出結果とエッジ探索領域との関係の一例を示す図である。
図10-2】図10-2は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の原稿の幅検出結果とエッジ探索領域との関係の一例を示す図である。
図11図11は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置の原稿の幅検出結果と傾き量検知領域との関係の一例を示す図である。
図12図12は、第4の実施の形態にかかる画像形成装置の原稿の幅検出結果と傾き量検知領域との関係の一例を示す図である。
図13図13は、第5の実施の形態にかかる画像形成装置の原稿の幅検出結果及びスキュー直線の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、傾き補正装置、読取装置、画像形成装置および傾き補正方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置100の概略構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置100は、給紙部103、装置本体104、スキャナ101及び自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)102を備える。
【0013】
画像形成装置100は、装置本体104内に、画像形成部であるプロッタ120を備える。プロッタ120は、タンデム方式の作像部105と、作像部105に給紙部103から搬送路107を介して記録紙を供給するレジストローラ108と、光書き込み装置109と、定着部110と、両面トレイ111と、を備えている。
【0014】
作像部105には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(キー・プレート(ブラック))の4色に対応して4本の感光体ドラム112が並設される。各感光体ドラム112の周りには、帯電器、現像器106、転写器、クリーナ及び除電器を含む作像要素が配置されている。また、転写器と感光体ドラム112との間には、両者のニップに挟持された状態で駆動ローラと従動ローラとの間に張架された中間転写ベルト113が配置されている。
【0015】
このように構成されたタンデム方式の画像形成装置100は、ADF102から送られた原稿をスキャナ101で読み取った原稿画像に基づき、YMCKの色毎に各色に対応する感光体ドラム112に光書き込み装置109から光書き込みを行い、現像器106で各色のトナー毎に現像し、中間転写ベルト113上に例えばY,M,C,Kの順で1次転写する。そして、画像形成装置100は、1次転写により4色重畳されたフルカラーの画像を給紙部103から供給された記録紙に2次転写した後、定着部110で定着して排紙することによりフルカラーの画像を記録紙上に形成する。
【0016】
次に、スキャナ101について説明する。
【0017】
図2は、スキャナ101の概略構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、スキャナ101は、第1キャリッジ25と、第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、撮像部28とを備えており、これらの各構成部材はスキャナ101の本体フレーム101aの内部にそれぞれ配置されている。
【0018】
また、スキャナ101の本体フレーム101aの内部には、図示しない第1レール及び第2レールが副走査方向(図2中、左右方向)に延在するよう設けられている。第1レールは、副走査方向と直交する主走査方向に所定の間隔をあけて配置された2本のレールからなる。第2レールについても、第1レールと同様の構成である。
【0019】
第1キャリッジ25は、第1レールに摺動自在に取り付けられ、図示しない駆動モータにより図示しない第1キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に図2中、実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動可能に構成されている。第1キャリッジ25には、光源24と、第1ミラー部材25aとが設けられている。
【0020】
また、第2キャリッジ26は、第2レールに摺動自在に取り付けられ、図示しない駆動モータにより図示しない第2キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に図2中、実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動可能に構成されている。第2キャリッジ26には、第2ミラー部材26aと、第3ミラー部材26bとが設けられている。
【0021】
ここで、これら第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26は、2:1の速度比で副走査方向に移動する。このような移動速度の関係により、第1キャリッジ25及び第2キャリッジ26の移動があっても、原稿面から結像レンズ27までの光の光路長が変化しないようになっている。
【0022】
結像レンズ27は、各ミラー部材を介して入射された原稿からの反射光を撮像部28に集光結像する。撮像部28は、CCD等の撮像素子で構成され、結像レンズ27を介して結像された原稿の反射光像を光電変換して読取画像であるアナログ画像信号を出力する。
【0023】
次に、スキャナ101上に搭載されるADF102について説明する。
【0024】
図3は、ADF102の概略構成を模式的に示す断面図である。図3に示すように、ADF102は、原稿を載置する原稿トレイ11を備える。原稿トレイ11は、基端部を支点として図中a,b方向に回動する可動原稿テーブル41と、原稿の給紙方向に対する左右方向を位置決めする一対のサイドガイド板42とを有している。可動原稿テーブル41の回動により、原稿の給送方向前端部が適切な高さに合わせられる。
【0025】
また、原稿トレイ11には、原稿の向きが縦と横の何れになっているかを検知する原稿長さ検知センサ89,90が給送方向に離隔して設けられている。なお、原稿長さ検知センサ89,90としては、光学的手段により未接触で検知する反射型センサ、又は接触式のアクチュエータタイプのセンサを用いてもよい。
【0026】
一対のサイドガイド板42は、片側が給紙方向に対する左右方向にスライド自在であり、異なるサイズの原稿が載置可能に構成されている。
【0027】
一対のサイドガイド板42の固定側には、原稿の載置により回動するセットフィラー46が設けられている。また、セットフィラー46の先端部の移動軌跡上の最下部には、原稿トレイ11に原稿が載置されたことを検知する原稿セットセンサ82が設けられている。つまり、原稿セットセンサ82は、セットフィラー46が回動して原稿セットセンサ82から外れたか否かにより、ADF102にセットされた原稿の有無を検知する。
【0028】
ADF102は、分離給送部51と、プルアウト部52と、ターン部53と、第1読取搬送部54と、第2読取搬送部55と、排紙部56とにより構成される搬送部50を備えている。搬送部50の各搬送ローラは、1つ以上の搬送モータにより回転駆動される。
【0029】
分離給送部51は、原稿を給紙する給紙口60の近傍に配置されたピックアップローラ61と、搬送経路を挟んで対向するように配置された給紙ベルト62及びリバースローラ63とを有している。
【0030】
ピックアップローラ61は、給紙ベルト62に取り付けられた支持アーム部材64により支持されており、図示しないカム機構を介して原稿束に接触する接触位置と原稿束から離れた離隔位置との間で図中c,d方向に上下動する。ピックアップローラ61は、接触位置において原稿トレイ11上に積載された原稿のうち、数枚(理想的には一枚)の原稿をピックアップする。
【0031】
給紙ベルト62は、給送方向に回転し、リバースローラ63は、給送方向と逆方向に回転する。また、リバースローラ63は、原稿が重送された場合に、給紙ベルト62に対して逆方向に回転するが、リバースローラ63が給紙ベルト62に接している場合、又は原稿を一枚のみ搬送している場合には、図示しないトルクリミッタの働きにより、給紙ベルト62に連れ回りする。これにより、原稿の重送が防止される。
【0032】
プルアウト部52は、搬送経路52aを挟むように配置された一対のローラからなるプルアウトローラ65を有している。プルアウト部52は、プルアウトローラ65とピックアップローラ61の駆動タイミングにより、送り出された原稿を一次突当整合(いわゆる、スキュー補正)し、整合後の原稿を引き出し搬送する。
【0033】
ターン部53は、上から下に向けて湾曲した搬送経路53aを挟むように配置された一対のローラからなる中間ローラ66及び読取入口ローラ67を有している。ターン部53は、中間ローラ66により引き出し搬送された原稿を、湾曲した搬送経路を搬送することによりターンさせて、読取入口ローラ67により原稿の表面を下方に向けて原稿の読取位置(撮像位置)であるスリットガラス7の近傍まで搬送する。
【0034】
ここで、プルアウト部52からターン部53への原稿の搬送速度は、第1読取搬送部54における搬送速度よりも高速に設定されている。これにより、第1読取搬送部54に搬送される原稿の搬送時間の短縮が図られている。
【0035】
第1読取搬送部54は、スリットガラス7に対向するよう配置された第1読取ローラ68と、読取終了後の搬送経路55aに配置された第1読取出口ローラ69とを有している。第1読取搬送部54は、スリットガラス7の近傍まで搬送された原稿の表面を第1読取ローラ68によりスリットガラス7に接触させながら搬送する。この際、原稿は、スリットガラス7を介して、スキャナ101にて読み取られる。このとき、スキャナ101の第1キャリッジ25および第2キャリッジ26は、ホームポジションの位置で停止した状態である。第1読取搬送部54は、読取終了後の原稿を第1読取出口ローラ69によりさらに搬送する。
【0036】
第2読取搬送部55は、原稿の裏面を読み取る第2読取部91と、搬送経路55aを挟んで第2読取部91に対向するよう配置された第2読取ローラ70と、第2読取部91の搬送方向下流に配置された第2読取出口ローラ71とを有している。
【0037】
第2読取搬送部55では、表面読取後の原稿の裏面が第2読取部91により読み取られる。裏面が読み取られた原稿は、第2読取出口ローラ71により排紙口に向けて搬送される。第2読取ローラ70は、第2読取部91における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部91におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。両面読み取りを行わない場合には、原稿は第2読取部91を素通りするようになっている。
【0038】
排紙部56は、排紙口の近傍に一対の排紙ローラ72が設けられ、第2読取出口ローラ71により搬送された原稿を排紙トレイ12に排紙する。
【0039】
また、ADF102には、搬送経路に沿って、突き当てセンサ84、レジストセンサ81、排紙センサ83などの各種センサが設けられており、原稿の搬送距離や搬送速度等の搬送制御に用いられる。
【0040】
さらに、プルアウトローラ65と中間ローラ66との間には、通過位置情報取得部として機能する原稿幅センサ85が設けられている。なお、原稿の搬送方向の長さは、突き当てセンサ84やレジストセンサ81での原稿の先端及び後端を読み取りによりモータパルスから検知される。
【0041】
次に、原稿幅センサ85について説明する。
【0042】
図4は、原稿幅センサ85の概略構成を模式的に示す図である。図4に示すように、原稿幅センサ85は、ADF102の給紙口60から原稿を給紙する際の基準位置(例えば、サイドガイド板42の固定側)から一般的な定型原稿の幅サイズを判別できる間隔に、5つの幅検出センサSN1~SN5を並べて設けている。
【0043】
幅検出センサSN1~SN5の種類としては、原稿が通過したときに反応する透過/反射型のセンサやフィラーが原稿によって中に収納されたことを検知するセンサ等がある。本実施の形態の幅検出センサSN1~SN5は受光素子を備えており、搬送経路を挟んで対向位置に設けられた照射光からの受光結果に基づき原稿幅を検知する。
【0044】
上述したように、原稿は、給紙直後にプルアウトローラ65と中間ローラ66との間に設けられた原稿幅センサ85を通過する。原稿幅センサ85における幅検出センサSN1~SN5のそれぞれの受光結果に基づき、原稿の通過位置情報である幅情報を後述する画像処理装置200(図5参照)が検知する。具体的には、原稿幅センサ85のどの幅検出センサSN1~SN5が受光するかにより、画像処理装置200は、原稿の幅をその間隔単位で検知することができる。例えば、5つの幅検出センサSN1~SN5が全て受光した場合には、幅E以上の原稿を搬送させていることがわかる。また、3つの幅検出センサSN1~3が受光した場合には、幅C以上D未満の原稿が搬送されていることがわかる。
【0045】
次に、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0046】
ここで、図5は画像形成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図5に示すように、画像形成装置100にはスキャナ101で読み取った原稿画像に所定の処理を施し、画像データとしてプロッタ120に出力する画像処理装置200が設けられている。スキャナ101とADF102と画像処理装置200は、傾き補正装置および読取装置を構成する。
【0047】
画像処理装置200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、メインメモリ205、チップセット206、画像処理ASIC207、コントローラASIC208、メインメモリ209、I/O ASIC210を備える。なお、ASICは、application specific integrated circuit(特定用途向け集積回路)の略称である。
【0048】
CPU201は、画像形成装置100を制御するためのものである。メインメモリ205は、CPU201が画像形成装置100を制御するためのプログラムが展開されそのワーク領域として使用されたり、扱う画像データなどを一時保管したりするもの(画像メモリ)である。チップセット206は、CPU201と共に用いられコントローラASIC208、I/O ASIC210がメインメモリ205へアクセスすることを制御する。
【0049】
本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0050】
さらに、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0051】
スキャナ101は、コピー処理する画像データや外部インターフェイスへ出力するための画像データを読み取る機能を有している。プロッタ120は、メインメモリ209へ置かれた画像データを印刷するための機能を有している。
【0052】
画像処理ASIC207は、スキャナ101より読み取られた画像データに対して画像処理を行いコントローラASIC208へ画像データを出力する。また、画像処理ASIC207は、コントローラASIC208からの画像データをプロッタ120にて印刷できるように画像処理したり、プロッタ120の印刷タイミングにあわせて画像データを送ったりするものである。
【0053】
コントローラASIC208は、チップセット206越しのメインメモリ205を使って画像形成装置100で扱う画像データの回転、および編集などを行い、HDD211に蓄積し画像処理ASIC207と画像データを送受信する。メインメモリ209は、コントローラASIC208が画像処理を行う画像メモリとして使用される。HDD(Hard Disk Drive)211は、画像処理した画像データを一時保管するため使用される。
【0054】
I/O ASIC210は、画像形成装置100に付加機能を与えるための外部インターフェイスである。例えば、I/O ASIC210は、ネットワークインターフェイス、USB、SDカード、操作部、SPI、I2C、原稿幅センサ85(幅検出センサSN1~SN5)などのインターフェイスや画像処理を高速化するためのハードウェアアクセラレータ、暗号化処理回路などが具備されている。
【0055】
次に、画像処理装置200により発揮される機能について説明する。
【0056】
ここで、図6は画像処理装置200の機能を示すブロック図である。なお、ここでは、画像処理装置200が発揮する機能のうち、本実施の形態における特徴的な機能について説明する。
【0057】
図6に示すように、画像処理装置200は、原稿幅情報制御部300と、傾き量検知部310と、傾き補正部320と、を有する。本実施の形態においては、チップセット206が原稿幅情報制御部300を有し、コントローラASIC208が傾き量検知部310および傾き補正部320を有する。なお、これに限るものではなく、CPU201がプログラムを実行することにより、原稿幅情報制御部300と、傾き量検知部310と、傾き補正部320と、を実現するものであってもよい。
【0058】
原稿幅情報制御部300は、スキャナ101の撮像部28による原稿読取前における原稿幅センサ85(幅検出センサSN1~SN5)での検知結果である原稿の原稿幅情報(傾き量検知領域等の設定情報)を原稿毎に傾き量検知部310に伝達する。伝達手段としては、例えば信号での伝達手法でもよいし、メインメモリ205に格納された原稿幅情報をCPU201が読みに行き、それに応じた原稿幅情報(傾き量検知領域等の設定情報)を傾き量検知部310および傾き補正部320を有するコントローラASIC208に施す手法でもよい。
【0059】
傾き量検知部310は、原稿幅情報に基づいて傾き量検知領域を予め設定し、スキャナ101で読み取った画像データの傾き量(スキュー量)の検知を行う。
【0060】
画像情報を使った原稿のスキュー量検知に際して、一般的には搬送方向下流側の原稿先端部のエッジを検知し、その直線式を算出することでスキューの角度(スキュー量)を検知することが多い。なお、原稿先端部は、原稿自体の先端部をADF102の読取位置の背景と読取原稿の境界を検出する手法もあれば、原稿の影を用いて、エッジを検出する手法もある。
【0061】
しかしながら、前者の手法は、原稿先端部付近の模様により、背景と同一色の部分があった場合に直線式を誤検知する可能性がある。一方で、後者の手法は、原稿の模様や色によらず影でスキューを検知するため、前者の手法のような問題はないが、ADF102の読取位置のメカの組み付け具合によっては、幅方向に沿って影の幅が変わってしまい、原稿のスキュー角度と影のスキュー角度とが局所的に異なるケースがある。また、原稿がカールした場合も、原稿先端部の挙動が直線とならず、誤検知する可能性がある。したがって、どちらの手法も、原稿の幅まで検知領域を広げて直線式の精度をあげる必要があり、従来技術では、画像読取時にその画像情報を使って原稿の輪郭を抽出していた。
【0062】
そこで、本実施の形態の傾き量検知部310は、スキャナ101の撮像部28による原稿読取前の原稿幅センサ85(幅検出センサSN1~SN5)で取得する原稿幅情報に基づいて傾き量検知領域を予め設定し、スキュー量の検知を行う。
【0063】
傾き補正部320は、スキャナ101で読み取った画像データの傾き量(スキュー量)に応じて傾きを補正する。より詳細には、傾き補正部320は、傾き量検知部310で検知したスキュー量に基づいて回転処理を施し、スキュー補正後画像を出力する。
【0064】
次に、本実施の形態の画像形成装置100における画像読取処理について説明する。
【0065】
ここで、図7は画像読取処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図7に示すように、ADF102により原稿搬送が開始されると、画像処理装置200(原稿幅情報制御部300)は、スキャナ101の撮像部28による原稿読取前における原稿幅センサ85(幅検出センサSN1~SN5)での検知結果である原稿の原稿幅情報(傾き量検知領域等の設定情報)を原稿毎に傾き量検知部310に伝達する(ステップS1)。
【0066】
次いで、画像処理装置200は、ADF102により読取位置であるスリットガラス7に搬送された原稿をスキャナ101が読み取った画像データを取得する(ステップS2)。
【0067】
次いで、画像処理装置200(傾き量検知部310)は、ステップS1において伝達された原稿の原稿幅情報(傾き量検知領域等の設定情報)に基づく傾き量検知領域にてスキュー量を検知する(ステップS3)。
【0068】
ここで、図8-1および図8-2は原稿の幅検出結果と傾き量検知領域(搬送方向下流側エッジ)との関係の一例を示す図である。図8-1および図8-2において、(a)は原稿の幅検出結果を示し、(b)は傾き量検知領域を示すものである。図8-1は、幅E以上の原稿の場合を示し、図8-2は、幅C~Dの原稿の場合を示すものである。
【0069】
なお、図8-1および図8-2中の黒丸は、画像中のサンプリングポイントを示しており、一例として影で検知する方式でのスキュー量検知のための直線式を示している。図4に示す原稿幅センサ85の例で説明すると、幅検出センサSN1~SN5の全てで受光した場合、幅E以上の原稿(最大サイズ)が搬送されているため、傾き量検知部310は、スキュー量検知のための直線式の算出ポイントの傾き量検知領域を幅Eとする。
【0070】
なお、当然のことながら、読取位置にて取得した画像情報に対して自動的に原稿幅に対してスキュー量検知のための直線式の算出ポイント領域がほぼ同じとなる。
【0071】
一方で、幅検出センサSN1~SN3で受光した場合、幅C以上D未満の原稿が搬送されているため、傾き量検知部310は、スキュー量検知のための直線式の算出ポイントの傾き量検知領域を幅Cとする。
【0072】
当然、このケースでも読取位置にて取得した画像情報に対して自動的に原稿幅に対してスキュー量検知のための直線式の算出ポイント領域がほぼ同じとなる。
【0073】
なお、図8-1および図8-2では、基準位置をADF102の奥側として説明したため、原稿の左端が原稿サイズによらず同じ位置となっている。しかしながら、原稿の左端の基準位置が原稿サイズによって異なる中央位置基準のADFの場合には、原稿サイズに応じて原稿左端の領域がシフトするため、算出ポイントの領域の左端部もシフトすることになる。
【0074】
次いで、画像処理装置200(傾き補正部320)は、傾き量検知部310で検知したスキュー量に基づいて回転処理を施すスキュー補正を実行し、スキュー補正後画像を出力する(ステップS4)。
【0075】
以上のステップS1~S4の処理は、ADF102により搬送される全ての原稿について実行される。
【0076】
これにより、スキャナ101の撮像部28での原稿画像の読取前に原稿幅情報に基づく傾き量検知領域設定がすでに傾き量検知部310に設定されているため、画像読取時に処理パラメータを変える処理や検知のための画像処理を省略することができる。
【0077】
ここで、図9は画像処理にかかる各種処理のタイミングを従来と比較して示す図である。図9(a)に示すように、従来では画像取得時にエッジ検出用のために画像データを数ライン蓄積し、原稿エッジを検出し、原稿幅を検知した後にパラメータ切り替えを実施し、スキュー量検知/スキュー補正処理を実施していた。
【0078】
一方、図9(b)に示すように、本実施の形態においては、スキャナ101の撮像部28での原稿画像の読取前に原稿幅情報に基づいた傾き量検知領域の情報が原稿毎に、すでに傾き量検知部310に設定されているため、画像読取時に画像データ蓄積、原稿幅検出、スキュー量検知用パラメータを変える処理を省略することができる。
【0079】
これにより、大まかな精度で良い原稿幅を既存の幅検出センサSN1~SN5を使って予め取得し、スキュー量検知は画像にて精度良く行うことで、原稿幅に最適、且つスキュー量検知精度を維持したまま、スキュー量検知用のパラメータを変える処理や幅検出のための画像処理を省略できるので、画像(スキュー補正後)出力の完了が遅れることなく、スキュー補正精度向上を維持したまま、スキュー量の検知/スキュー補正後の画像データの遅延による生産性劣化やデータ格納のメモリ量の肥大化を防止することができる。
【0080】
このように本実施の形態によれば、従来では画像取得時に対象物情報(原稿の通過位置情報)を取得し、パラメータ切り替え後に画像処理を実施していたが、スキャナ101の撮像部28での画像取得前に設定情報が対象物(原稿)毎に、すでに傾き量検知部310に設定されているため、画像取得時に画像処理パラメータを変える処理や対象物情報取得のための画像処理を省略することができる。これにより、スキュー量の出力の完了が遅れることなく、生産性低下を防止することができる。すなわち、スキュー量検知の精度を向上させることができる。
【0081】
また、画像形成装置100によれば、ADF102を使った画像読取によるコピーにて生産性の劣化やメモリ肥大化がなく、原稿毎に適切にスキュー量の検知/スキュー補正を実施することができる。
【0082】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0083】
第2の実施の形態は、検出された原稿幅(原稿の通過位置情報)に応じて設定された傾き量検知領域にて、原稿搬送方向における原稿の左端側ないし右端側のエッジを検出する点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0084】
図10-1および図10-2は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置100の原稿の幅検出結果とエッジ探索領域との関係の一例を示す図である。図10-1は、幅E以上の原稿の場合を示し、図10-2は、幅C~Dの原稿の場合を示すものである。
【0085】
本実施の形態においては、原稿左端の基準位置が原稿サイズによって異なる中央位置基準のADF102を想定する。すなわち、本実施の形態のADF102は、原稿サイズによらず中心を基準にして原稿を搬送する。この場合には、原稿サイズに応じて原稿左端の領域がシフトするため、算出ポイントの領域の左端部もシフトすることになる。これに伴い、図10-1および図10-2に示すように、原稿幅センサ85は、3つの幅検出センサSN1~SN3を主走査方向の中央から左端に向けて並べている。
【0086】
ところで、スキュー量の検知の方式によっては、スキュー量の検知処理時に回転補正のための原稿左上原点抽出等のために、左右のエッジを特定しないといけない場合がある。その場合に、画像のレベルの変化等で位置を特定するが、探索領域を背景領域の左端から全域検出しようとすると検知処理に時間がかかってしまう。
【0087】
これに対して、傾き量検知部310は、原稿幅情報があるため、エッジ探索領域を幅検出センサSN1~SN3の間隔で限定した状態での探索が可能となり、エッジ検出の時間を短縮することができる。
【0088】
図10-1に示すように、原稿幅E(幅検出センサSN1~SN3の全てで受光)の場合、左端エッジ探索領域は、幅検出センサSN1の外側の領域であって、探索幅は幅検出センサSNの間隔となる。一方、右端エッジ探索領域は、原稿Eの中央を基準した線対称の位置の外側の領域であって、探索幅は幅検出センサSNの間隔となる。
【0089】
図10-2に示すように、原稿幅C(幅検出センサSN2~SN3で受光)の場合、左端エッジ探索領域は、幅検出センサSN2の外側の領域であって、探索幅は幅検出センサSNの間隔となる。一方、右端エッジ探索領域は、原稿Cの中央を基準した線対称の位置の外側の領域であって、探索幅は幅検出センサSNの間隔となる。
【0090】
このように本実施の形態によれば、ADF102の原稿読取前の幅検出センサSN1~SN3等で取得する原稿の通過位置情報に基づいて外来要因(ノイズ汚れ)を外した領域である左端及び右端のエッジ検出を行う構成により、画像読取時にエッジ検出用のサンプリングポイント数や間隔を変える処理や検出の際に誤検知の要因となる外来要因(ノイズ汚れ)などの影響を低減し、原稿幅に最適なエッジ検出をすることができる。これにより、スキュー量の検知精度向上を図ることができる。
【0091】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0092】
第3の実施の形態は、検出された原稿幅(原稿の通過位置情報)に応じてスキュー補正を実施する/しないを切り替えるようにした点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0093】
図11は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置100の原稿の幅検出結果と傾き量検知領域との関係の一例を示す図である。図11は、図4における幅検出センサSN1のみが一定時間反応した場合(幅A以上B未満の原稿)を示すものである。図11において、(a)は原稿の幅検出結果を示し、(b)は傾き量検知領域を示すものである。なお、図11は、影で検知する方式でのスキュー量検知のための直線式を示している。
【0094】
図11に示すように、スキュー量検知のための直線式の算出ポイント領域は、幅Aとなる。しかしながら、原稿幅に応じた算出領域でスキュー量検知を行うようにした場合であっても、誤差要因(原稿先端部の模様や影幅の局所的な分布、ゴミ、ノイズによる直線式の誤検出)が算出領域全体に発生していると、スキュー量検知のための直線式が誤検出されてしまう。すなわち、小サイズ原稿においては、スキュー量検知/スキュー補正をしてしまうと、図11に示すように、原稿エッジのスキューと検出した近似直線のスキューが異なり、補正不十分や誤補正が発生する可能性がある。このような誤差の影響は、原稿のサイズが小さいほど大きくなる。
【0095】
そこで、本実施の形態においては、傾き量検知部310および傾き補正部320は、原稿幅センサ85(幅検出センサSN1~SN5)の検知結果がある一定未満の原稿幅(例えば、幅検出センサSN1のみで受光)だった場合に、スキュー量検知/スキュー補正を実施しないようにする。
【0096】
このような制御にした場合であっても、原稿搬送上流の段階で実施有無を確定できるため、画像読取時に処理パラメータを変える処理や原稿幅によるスキュー量検知/スキュー補正の実施有無判断のための画像処理を省略することができる。
【0097】
このように本実施の形態によれば、搬送経路によって小サイズ原稿時は原稿のカールや原稿影の影響を受けやすく、スキュー補正を実施しない方がいい場合があるため、サイズ混載時の連続読取時において、補正実施有無を自動で切り替えることができる。
【0098】
なお、近年では、名刺等をADF102で連続読取をするために、小サイズ原稿読取用の補助トレイが装着される場合がある。この場合、補助トレイがADF102に装着された時点で小サイズ原稿が読み取られることがわかるため、補助トレイが装着されたことを検知した時点で、スキュー量検知/スキュー補正を自動的にOFFにする構成も同様の効果を得ることができる。
【0099】
また、スキャナ101のユーザ側で意図的にスキューさせて読みたいユースケースがある。この場合、ユーザがスキュー補正を実行する/実行しないようにすることを操作部等で任意に選択し、その情報を傾き量検知部310および傾き補正部320に送ることで、スキュー量の低減を図ることが可能である。このように、検出された原稿幅に関わらず、ユーザが任意でスキュー補正の実施有無で切り替えることも可能である。
【0100】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0101】
第4の実施の形態は、原稿幅(原稿の通過位置情報)を検出するための各センサの検知時間差の結果に応じて、傾き量検知領域を切り替える点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第4の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0102】
図12は、第4の実施の形態にかかる画像形成装置100の原稿の幅検出結果と傾き量検知領域との関係の一例を示す図である。図12において、(a)は原稿の幅検出結果を示し、(b)は傾き量検知領域を示すものである。図12は、図4における幅検出センサSN1~SN5の全てが受光できない場合(幅Eの原稿)を示すものである。
【0103】
スキュー量検知のための直線式の算出において、図12に示すように、搬送されてきた原稿に耳折れや欠け部分があった場合には、局所的にスキューが変わることになってしまう。したがって、原稿に耳折れや欠け部分も直線式算出に含めてしまうと、スキュー量を誤検知してしまう、という問題がある。
【0104】
そこで、このような問題を防止するために、傾き量検知部310は、幅検出センサSN1~SN5の反応時間(原稿が通過した時間)の差に基づいて原稿の耳折れや欠け部分があることを検知する。図12では、ADF102に原稿を載置した際の基準位置側に耳折れや欠け部分があったケースを示している。この場合、幅検出センサSN2~SN5はほぼ同時に反応するが、耳折れや欠けの分、幅検出センサSN1のみ反応が遅れ、時間差が生じる。
【0105】
傾き量検知部310は、このような場合、幅検出センサSN1およびSN2に相当する原稿部分を、スキュー量検知のための直線式のサンプリングポイントから除外するように、スキュー量検知/傾き補正部にその検知領域情報を伝達する。
【0106】
なお、検知領域から除外する時間差は、原稿搬送速度や直線式に影響が出てくるサンプリングポイントのずれ量に応じて決めておくものとする。
【0107】
このように本実施の形態によれば、幅検出のための複数のセンサの検知時間差があり、それが原稿端部側で遅延があった場合、その原稿は端部が耳折れや欠けになっている可能性があるため、傾き量検知部310は、傾き量検知領域として端部を除外することでスキューの誤検知を防止できる。
【0108】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。
【0109】
第5の実施の形態は、原稿幅(原稿の通過位置情報)を検出するための幅検出センサSN1~SN5の検知時間差の結果からスキュー量を推定し、その後、スキュー量を検知する際に、時間差によるスキュー量に対して予め設定した閾値よりも差が大きい部分をスキュー量の算出に使用しないようにする点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第5の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0110】
図13は、第5の実施の形態にかかる画像形成装置100の原稿の幅検出結果及びスキュー直線の比較を示す図である。図13において、(a)は原稿の幅検出結果を示し、(b)はスキュー直線の比較を示すものである。図13では、幅E以上の原稿のスキュー発生時における幅検出センサSN1~SN5の通過時間の差を示している。図13に示すように、この場合、幅検出センサSN1からSN5まで順に反応しており、幅検出センサSN1側が先行したスキューが発生している。すなわち、傾き量検知部310は、時間差と搬送速度からスキュー量を推定し、第2のスキュー量検知結果として、スキュー量検知のための直線式算出の精度向上を図る。
【0111】
ただし、サンプリングポイント数としては幅検出センサSNの数の5箇所であり、搬送ムラや幅検出センサSNの反応速度のバラツキも含まれており、且つ読取位置での情報でないため、あくまで補助的な情報とする。
【0112】
この後、傾き量検知部310は、読み取り位置での画像情報を取得し、画像から原稿幅情報の領域でスキュー量検知を行う。傾き量検知部310は、サンプリングをしていくにあたり、誤差要因(原稿先端部の模様や影幅の局所的な分布による直線式の誤検知)、ゴミやノイズ等により、部分的に直線式のスキューが幅検出センサSN1~SN5によるスキューとある閾値以上異なっている部分(図13中の丸で囲ったサンプリングポイント)を直線式の算出に使用しないようにする。これにより、誤差要因、ゴミやノイズ等を除外し、スキュー量検知のための直線式の算出精度を向上させることができる。
【0113】
なお、上記検知領域から除外とする閾値は、スキュー量検知のための直線式に影響が出てくるサンプリングポイントのずれ量に応じて決めておく。もしくは、単純に極性だけを見て、幅検出センサSN1~SN5によるスキューと逆極性になっている部分を除外するという判断方法でも良い。
【0114】
このように本実施の形態によれば、カール原稿や誤差要因(原稿先端部の模様や影幅の局所的な分布、ゴミ、ノイズによる直線式の誤検知)がある場合、その部分を除外したスキュー量検知をすることができるので、スキューの誤補正を防止することができる。
【0115】
なお、上記各実施の形態においては、スキャナ101とADF102と画像処理装置200を傾き補正装置とし、検査対象物(原稿)の搬送時の傾き検知について説明したが、これに限るものではない。例えば、各実施の形態の傾き補正装置は、FA(Factory Automation)検査装置の検査対象物の傾き検知にも適用可能である。
【0116】
また、上記各実施の形態においては、検知対象物(原稿)を搬送して固定の撮像部28で画像取得を行っているが、逆に止まっている検知対象物(原稿)を撮像部28が移動して検知対象物(原稿)の傾きを検知する方法でも良い。
【0117】
なお、上記各実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0118】
以上、この発明の各実施の形態について説明したが、それらの各部の具体的な構成、処理の内容、データの形式等は、実施形態で説明したものに限るものではない。また、以上説明してきた実施形態の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0119】
28 撮像部
50 搬送部
85 幅情報取得部
100 画像形成装置
101、102 傾き補正装置、読取装置
120 画像形成部
310 傾き量検知部
320 傾き補正部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0120】
【文献】特開2016-163168号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10-1】
図10-2】
図11
図12
図13