(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】定着装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G15/20 510
(21)【出願番号】P 2018245338
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】関 貴之
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-134094(JP,A)
【文献】特開2016-071284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられた無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトを加圧する加圧部材と、
発熱部と非発熱部とを有し、前記定着ベルトに内接し、前記定着ベルトを加熱するための加熱部材と、
前記定着ベルトにその長手方向で部分的に接触する接触部材とを備えた定着装置であって、
前記加熱部材の長手方向において、前記接触部材が前記定着ベルトに接触する位置における前記非発熱部の熱容量を、前記接触部材が前記定着ベルトに接触しない位置における前記非発熱部の熱容量よりも小さくし
、
前記加熱部材は、前記発熱部を、当該加熱部材の長手方向に複数分割して有し、
前記加熱部材の長手方向において、前記発熱部同士の隙間に対応する位置における前記非発熱部の熱容量を、前記発熱部に対応する位置における前記非発熱部の熱容量よりも小さくしたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記非発熱部は、基材、絶縁層、給電線のいずれかを少なくとも有し、前記基材、前記絶縁層、前記給電線の少なくともいずれかの熱容量を小さくすることにより、前記発熱部同士の隙間に対応する位置、および、前記接触部材が前記定着ベルトに接触する位置における前記非発熱部の熱容量を小さくする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
回転可能に設けられた無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトを加圧する加圧部材と、
発熱部と、非発熱部とを有し、前記定着ベルトに内接し、前記定着ベルトを加熱する
面状の加熱部材と、
前記定着ベルトにその長手方向で部分的に接触する接触部材とを備えた定着装置であって、
前記加熱部材の長手方向において、前記接触部材が前記定着ベルトに接触する位置における前記非発熱部の熱容量を、前記接触部材が前記定着ベルトに接触しない位置における前記非発熱部の熱容量よりも小さくし
、
前記非発熱部は、基材、絶縁層、給電線のいずれかを少なくとも有し、前記基材、前記絶縁層、前記給電線の少なくともいずれかの熱容量を小さくすることにより、前記接触部材が前記定着ベルトに接触する位置における前記非発熱部の熱容量を小さくすることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
前記加熱部材の長手方向の所定位置における断面積を変化させることにより、前記熱容量を変化させる請求項1から3いずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記接触部材は、前記定着ベルトに内接し、当該定着ベルトの回転をガイドするガイド部材、または、前記定着ベルト表面の温度を検知するための温度検知部材、または、前記定着ベルトから記録媒体を分離するための分離部材のいずれかである請求項1から4いずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
請求項1から5いずれか1項に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの電子写真方式の画像形成装置において、未定着画像が形成された用紙などの記録媒体を、定着ベルトとこれに対向接触する加圧ローラなどの加圧部材との間(ニップ部)に搬送し、このニップ部で記録媒体を加熱および加圧することで、未定着画像を定着する定着装置が知られている。
【0003】
このような定着装置には、定着ベルトを加熱するための加熱部材が、定着ベルトの内側から、その長手方向(幅方向)にわたって接触しており、定着ベルトを所定の定着温度まで加熱することができる。しかし、定着ベルトの熱が部分的に他の部材によって奪われたり、加熱部材による加熱量が長手方向に不均一になったりすることで、定着ベルトの温度が長手方向に不均一になってしまうと、記録媒体上の画像の光沢ムラや定着不良を生じてしまうという課題がある。特に近年では、定着装置の省エネルギー化及び高速化のために、定着部材として低熱容量の定着ベルトが用いられており、このような温度ムラの問題が顕著になっている。
【0004】
例えば特許文献1(特許第6172360号公報)では、
図22に示すように、ヒータ100は、その長手方向(図の左右方向)に複数の分割された抵抗発熱体101と、抵抗発熱体101の短手方向両側に、長手方向に延在する給電体102,103とを有する。
図22の拡大図に示すように、各抵抗発熱体101の長手方向端部側で、他の抵抗発熱体101に隣接する端部101sには切り欠き110が設けられ、抵抗発熱体101の短手方向の幅が、長手方向端部側に向けて小さくなっている。
【0005】
このように、長手方向に分割された複数の抵抗発熱体101を有するヒータ100の構成では、抵抗発熱体101同士のスリットSの部分で、ヒータ100による発熱量が小さくなる。しかし、端部101sに切り欠き110を設けることで、この部分における長手方向の単位長さ当たりの抵抗値を小さくすることができる。これにより、抵抗発熱体101のこの部分における発熱量を大きくすることができ、ヒータ100の長手方向における発熱量の差を小さくし、定着ベルトの温度ムラを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の方法の場合、抵抗発熱体の幅を小さくした箇所で部分的にパターンが切れやすくなってしまう等、抵抗発熱体の強度が低下するおそれがあり、必ずしも有効な対策とはならなかった。従って、特許文献1とは異なる方法で、定着ベルトの長手方向の温度ムラの問題を解決することが求められていた。
【0007】
このような事情から、本発明では、定着ベルトの長手方向における温度ムラを抑制することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、回転可能に設けられた無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを加圧する加圧部材と、発熱部と非発熱部とを有し、前記定着ベルトに内接し、前記定着ベルトを加熱するための加熱部材と、前記定着ベルトにその長手方向で部分的に接触する接触部材とを備えた定着装置であって、前記加熱部材の長手方向において、前記接触部材が前記定着ベルトに接触する位置における前記非発熱部の熱容量を、前記接触部材が前記定着ベルトに接触しない位置における前記非発熱部の熱容量よりも小さくし、前記加熱部材は、前記発熱部を、当該加熱部材の長手方向に複数分割して有し、前記加熱部材の長手方向において、前記発熱部同士の隙間に対応する位置における前記非発熱部の熱容量を、前記発熱部に対応する位置における前記非発熱部の熱容量よりも小さくしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加熱部材の長手方向の接触部材が定着ベルトに接触する位置において、加熱部材の非発熱部の熱容量を小さくすることで、発熱部から非発熱部に奪われる熱量を少なくし、定着ベルトの長手方向における温度ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の一実施形態に係る定着装置の概略構成を示す断面図である。
【
図3】ヒータホルダを示す図で、(A)図が斜視図、(B)図が左側面図である。
【
図4】ヒータホルダにヒータを取り付けた図で、(A)図が斜視図、(B)図が左側面図である。
【
図5】抵抗発熱体を直列接続した構成のヒータを示す図で、(A)図が正面図、(B)図が下面図である。
【
図6】抵抗発熱体を並列接続した構成の各ヒータを示す正面図である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係る定着装置の各部材を示す図で、(A)図がヒータホルダの正面図、(B)図がヒータの基材の正面図、(C)図が定着ベルトの長手方向の温度分布を示す図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る定着装置の各部材を示す図で、(A)図がヒータホルダの正面図、(B)図がヒータの基材の正面図である。
【
図10】本発明の第三実施形態に係る定着装置のヒータの基材を示す図で、(A)図がおもて面側の斜視図、(B)図が裏面側の斜視図である。
【
図11】本発明の第三実施形態に係る定着装置の各部材を示す図で、(A)図がヒータホルダの正面図、(B)図がヒータの基材の背面図、(C)図が基材の下面図である。
【
図12】本発明の第四実施形態に係る定着装置のヒータの基材を示す図で、(A)図がおもて面側の斜視図、(B)図が裏面側の斜視図である。
【
図13】本発明の第四実施形態に係る定着装置の各部材を示す図で、(A)図がヒータホルダの正面図、(B)図がヒータの基材の背面図、(C)図が(B)図のA-A線断面図である。
【
図14】本発明の第五実施形態に係る定着装置のヒータを示す正面図である。
【
図15】本発明の第六実施形態に係る定着装置のヒータを示す図で、(A)図がヒータの基材の正面図、(B)図が背面図、(C)図が(B)図のB-B線断面図である。
【
図16】本発明の第七実施形態に係る定着装置の各部材を示す図で、(A)図がヒータホルダの正面図、(B)図がヒータの正面図である。
【
図17】本発明の第八実施形態に係る定着装置の各部材を示す図で、(A)図がヒータホルダの正面図、(B)図がヒータの正面図、(C)図がヒータの背面図である。
【
図18】基材の材質を一部変更した構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0012】
図1に示すモノクロの画像形成装置1には、感光体ドラム10が設けられている。感光体ドラム10は、表面上に現像剤としてのトナーを担持可能なドラム状の回転体であり、図の矢印方向に回転する。感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる帯電ローラ11と、感光体ドラム10の表面にトナーを供給する現像ローラ19等を備えた現像装置12と、感光体ドラム10の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード13等で構成されている。
【0013】
プロセスユニット2の上方には、露光部3が配置されている。露光部3が画像データに基づいて発したレーザ光Lbが、ミラー14を介して感光体ドラム10の表面に照射される。
【0014】
また、感光体ドラム10に対向する位置に配置され、転写チャージャを備えた転写手段15が配置されている。転写手段15は、感光体ドラム10表面上の画像を用紙Pに転写する。
【0015】
画像形成装置1の下部には給紙部4が位置しており、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙カセット16や、給紙カセット16から用紙Pを搬送路5へ搬出する給紙ローラ17等からなっている。給紙ローラ17の搬送方向下流側にはレジストローラ18が配置されている。
【0016】
定着装置6は、加熱源によって加熱される定着ベルト20、その定着ベルト20を加圧可能な加圧ローラ21等を有している。
【0017】
以下、
図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
【0018】
画像形成動作が開始されると、まず感光体ドラム10が帯電ローラ11によってその表面を帯電される。そして、画像データに基づいて露光部3からレーザービームLbが照射され、照射された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体ドラム10には、現像装置12から表面部分にトナーが供給され、トナー画像(現像剤像)として可視像化される。そして、転写後の感光体ドラム10に残されたトナー等は、クリーニングブレード13によって取り除かれる。
【0019】
一方、画像形成動作が開始されると、画像形成装置1の下部では、給紙部4の給紙ローラ17が回転駆動することによって、給紙カセット16に収容された用紙Pが搬送路5に送り出される。
【0020】
搬送路5に送り出された用紙Pは、レジストローラ18によってタイミングを計られ、感光体ドラム10表面上のトナー画像と向かい合うタイミングで転写手段15と感光体ドラム10との対向部である転写部へ搬送され、転写手段15による転写バイアス印加によりトナー画像が転写される。
【0021】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置6へと搬送され、加熱されている定着ベルト20と加圧ローラ21とによって加熱および加圧されて、トナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ベルト20から分離され、定着装置6の下流側に設けられた搬送ローラ対によって搬送され、装置外側に設けられた排紙トレイへと排出される。
【0022】
続いて、定着装置の構成について説明する。
【0023】
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置6は、無端状のベルトから成る定着ベルト20と、定着ベルト20の外周面に当接してニップ部Nを形成する加圧部材としての加圧ローラ21と、定着ベルト20を加熱する加熱部材としてのヒータ22と、ヒータ22を保持する保持部材としてのヒータホルダ23と、ヒータホルダ23を支持する支持部材としてのステー24と、定着ベルト20の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ25等を備えている。
【0024】
定着ベルト20は、例えば外径が25mmで厚みが40~120μmのポリイミド(PI)製の筒状基体を有している。定着ベルト20の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による厚みが5~50μmの離型層が形成される。基体と離型層の間に厚さ50~500μmのゴム等からなる弾性層を設けてもよい。また、定着ベルト20の基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、SUSなどの金属基体であってもよい。定着ベルト20の内周面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。
【0025】
加圧ローラ21は、例えば外径が25mmであり、中実の鉄製芯金21aと、この芯金21aの表面に形成された弾性層21bと、弾性層21bの外側に形成された離型層21cとで構成されている。弾性層21bはシリコーンゴムで形成されており、厚みは例えば3.5mmである。弾性層21bの表面は離型性を高めるために、厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層による離型層21cを形成するのが望ましい。
【0026】
加圧ローラ21が付勢手段によって定着ベルト20側へ付勢されることで、加圧ローラ21は定着ベルト20を介してヒータ22に圧接される。これにより、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nが形成される。また、加圧ローラ21は駆動手段によって回転駆動されるように構成されており、加圧ローラ21が
図2の矢印方向に回転すると、これに伴って定着ベルト20が従動回転する。
【0027】
ヒータ22は、定着ベルト20の長手方向(
図2の紙面に垂直な方向で、ヒータ22やヒータホルダ23の長手方向でもある)にわたって長手状に設けられた面状の加熱部材であり、板状の基材(非発熱部)30と、基材30上に設けられた抵抗発熱体(発熱部)31と、抵抗発熱体31を被覆する絶縁層(非発熱部)32等で構成されている。また、ヒータ22は、絶縁層32側で定着ベルト20の内周面に対して接触しており、抵抗発熱体31から発された熱は、絶縁層32を介して定着ベルト20へと伝達される。
【0028】
ヒータホルダ23及びステー24は、定着ベルト20の内周側に配置されている。ステー24は、金属製のチャンネル材で構成され、その両端部分が定着装置6の両側板に支持されている。ステー24によってヒータホルダ23及びこれに保持されるヒータ22が支持されていることで、加圧ローラ21が定着ベルト20に加圧された状態で、ヒータ22が加圧ローラ21の押圧力を確実に受けとめてニップ部Nを安定的に形成する。
【0029】
ヒータホルダ23は、ヒータ22の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料で形成されることが望ましい。例えば、ヒータホルダ23をLCPなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂で形成した場合は、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱が抑制され効率的に定着ベルト20を加熱することができる。また、ヒータ22に対するヒータホルダ23の接触面積を少なくし、ヒータ22からヒータホルダ23へ伝わる熱量を低減するため、ヒータホルダ23の短手方向中央側には、基材30との間に空間を設けて両者の接触面積を小さくするための逃げ部23a1を有する。逃げ部23a1を設けることで、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱量を減らし、ヒータ22がヒータホルダ23を効率的に加熱することができる。さらに、本実施形態のように、ヒータホルダ23の逃げ部23a1を、基材30の抵抗発熱体31が配置されている箇所に対応する位置に設けることで、ヒータホルダ23へ伝わる熱量をさらに低減して効率的に定着ベルト20を加熱できる。
【0030】
また、ヒータホルダ23には、定着ベルト20をガイドするガイド部材(接触部材)26が設けられている。ガイド部材26は、ヒータ22のベルト回転方向の上流側(
図2におけるヒータ22の下側)と下流側(
図2におけるヒータ22の上側)とにそれぞれ設けられている。また、
図3(A)および
図3(B)に示すように、上流側と下流側のガイド部材26は、ヒータ22の長手方向にわたって間隔をあけて複数配置されている。各ガイド部材26は、略扇型に形成されており、定着ベルト20の内周面に対向するようにベルト周方向に延在する円弧状又は凸曲面状のベルト対向面260を有する(
図2参照)。
【0031】
図3(B)に示すように、ヒータホルダ23は、定着ベルト側に凹部23aを有する。凹部23aは、短手方向中央側と端部側とでその深さが異なった段差を有し、短手方向中央側の深溝部分が、前述した逃げ部23a1であり、その上部の断面略矩形の空間が、ヒータ22を取り付けるための取付部23a2である。
図4(A)および
図4(B)に示すように、ヒータ22を取付部23a2に嵌め込むことで、ヒータ22をヒータホルダ23に保持させることができる。
【0032】
図4(A)に示すように、ヒータ22は、基材30の表面に、長手方向にわたって設けられた抵抗発熱体31を有する。この抵抗発熱体31が発熱することにより、定着ベルトを加熱することができる。なお、
図4(A)では、絶縁層の記載を省略している。また、ヒータ22のより詳細な構成については後述する。
【0033】
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置6において、印刷動作が開始されると、加圧ローラ21が回転駆動され、定着ベルト20が従動回転を開始する。このとき、定着ベルト20の内周面がガイド部材26のベルト対向面260に接触してガイドされることで、定着ベルト20は安定かつ円滑に回転する。また、ヒータ22の抵抗発熱体31に電力が供給されることで、定着ベルト20が加熱される。そして、定着ベルト20の温度が所定の目標温度(定着温度)に到達した状態で、未定着トナー画像が担持された用紙Pが、定着ベルト20と加圧ローラ21との間(ニップ部N)に搬送されることで、未定着トナー画像が加熱及び加圧されて用紙Pに定着される。
【0034】
次に、ヒータ22の構成について、より詳細に説明する。なお、本実施形態のヒータ22として、
図5に示す各抵抗発熱体が直列に接続されたものと、
図6に示す並列に接続されたものとを説明する。なお、下記で示す抵抗発熱体の配置やその数は一例であり、定着装置に通紙される用紙の種類等に応じて、適宜、変更が可能である。また本実施形態では、基材30に後述する切り欠き部が設けられているが、便宜上、
図5および
図6ではその記載を省略し、基材30を略矩形状に図示している。
【0035】
図5(A)および
図5(B)に示すように、長手の板状部材である基材30の表面には、長手方向に延在する2列の抵抗発熱体31、31と、給電線33a~33cと、電極34a、34b等が設けられている。そして、基材30の表面、および、これらの部材を覆うようにして設けられ、これらを絶縁する絶縁層32が設けられる。
【0036】
基材30の材料としては、アルミナや窒化アルミなどのセラミック、ガラス、マイカ、ポリイミド(PI)等の耐熱性樹脂材料が耐熱性および絶縁性に優れ好ましい。他にも、導電材料の上に前述の絶縁性材料を積層したものでも良い。例えば、導電材料としては、アルミや銅、銀、グラファイトやグラフェンなど、高熱伝導率の材料は熱伝導の作用によりヒータ全体の温度を均一化することで画像品位を高められるので、より好ましい。
【0037】
抵抗発熱体31,31や給電線33a~33cの材料としては、銀(Ag)やパラジウム(Pd)、白金(Pt)、酸化ルテニウム(RuO2)などを調合した導電材料ペーストをスクリーン印刷等により塗工し、その後の焼成によって形成することができる。
【0038】
絶縁層32としては、アルミナや窒化アルミなどのセラミック、ガラス、マイカ、ポリイミド等の耐熱性樹脂材料により形成することで、絶縁層32が耐熱性および絶縁性に優れ、好ましい。
【0039】
各抵抗発熱体31、31は、長手方向一端側で給電線33a、33bを介して電極34a、34bにそれぞれ接続されている。また、各抵抗発熱体31、31は、その長手方向他端側で、短手方向に延在する給電線33cを介して互いに接続されている。基材30およびこれらの部材は、絶縁層32によって被覆されている。
【0040】
次に、
図6を用いて、各抵抗発熱体35が並列に接続された構成のヒータ222について説明する。
図6(A)に示すように、基材30上に、長手方向に複数の(本実施形態では8つの)抵抗発熱体(発熱部)35が配置されている。各抵抗発熱体35は、基材30の短手方向両側に設けられた給電線33d、33eにそれぞれ長手方向の両端が接続されており、各抵抗発熱体35が並列に接続されている。各給電線33d、33eは、その一端側で電極34d、34cに接続されている。
【0041】
本実施形態では、各抵抗発熱体35は、正の温度抵抗係数(TCR=Temperature Coefficient of Resistance)を有する材料で構成され、抵抗発熱体35の温度が上昇するほど、その電気抵抗値も大きくなり、その部分におけるヒータ22の出力が低下する特徴を有する。
【0042】
抵抗発熱体35は、前述の抵抗発熱体31と同様に、銀(Ag)やパラジウム(Pd)、白金(Pt)、酸化ルテニウム(RuO2)などを調合した導電材料ペーストをスクリーン印刷等により塗工し、その後の焼成によって形成することができる。
【0043】
本実施形態では、幅の小さい小サイズ紙が定着装置6に通紙された場合に、定着ベルトの長手方向端部側、および、それに対応する位置の(つまり、長手方向端部側の)抵抗発熱体35は、用紙Pに熱を奪われず相対的に高温になるため、その抵抗値も相対的に大きくなる。この際、各抵抗発熱体31にかかる電圧は一定のため、長手方向端部側の抵抗発熱体35の出力が相対的に低下し、発熱量が小さくなる。従って、非通紙領域におけるヒータ22の発熱量を抑制し、非通紙領域の定着ベルトが過昇温することを防止できる。
【0044】
これに対して、例えば
図5で示した抵抗発熱体が直列接続されたヒータ22の場合、印刷速度を低下させることで定着ベルトの長手方向端部側の過昇温を防止する必要があったが、抵抗発熱体が並列接続されたヒータ22では、印刷速度の低下を抑制しつつ、定着ベルトの過昇温を防止することができる。
【0045】
また、
図6(B)に示すように、各抵抗発熱体35を傾斜させて略平行四辺形状に設けてもよい。
図6(A)のように略矩形状の抵抗発熱体35を配置した場合には、ヒータ22の長手方向において、抵抗発熱体35同士の隙間部分で、その他の部分に比べてヒータ22の発熱量が大きく低下し、温度ムラができてしまう。しかし、本実施形態のように略平行四辺形状とすることで、ヒータ22の長手方向において、隣接する抵抗発熱体35同士をオーバーラップさせることができ、上記の温度ムラを抑制することができる。
【0046】
さらに、
図6(C)に示すように、各抵抗発熱体35を、細長の線部として設け、この線部を折り返し蛇行状に設けた構成とすることもできる。抵抗発熱体35を細長の形状とすることで、抵抗発熱体35に、抵抗値が低い安価な材料を使用しても要求する発熱量を得ることができ、ヒータ22のコストダウンを図ることができる。
【0047】
以上のように、本発明のヒータとして、抵抗発熱体が直列接続された直列ヒータと並列接続されたヒータとを用いることができる。以下では、一例として、
図5に示す直列式のヒータを用いた場合を例示する。
【0048】
図7に示すように、本実施形態では、各抵抗発熱体31に電力を供給するため電力供給回路が、交流電源200とヒータ22の電極34a、34bとを電気的に接続することで構成されている。また、電力供給回路には、供給電力量を制御するトライアック210が設けられている。制御部220は、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース等を包含するマイクロコンピュータで構成される。
【0049】
本実施形態では、温度検知部材としてのサーミスタ25が、最小通紙幅内であるヒータ22の長手方向中央領域と、ヒータ22の長手方向一端部側とに、それぞれ配置されている。さらに、ヒータ22の長手方向一端部側には、抵抗発熱体31の温度が所定温度以上となった場合に、抵抗発熱体31への電力供給を遮断する電力遮断手段としてのサーモスタット27が配置されている。サーミスタ25及びサーモスタット27は、基材30の裏面(抵抗発熱体31を配置した側とは反対側)に接触して抵抗発熱体31の温度を検知する。
【0050】
各抵抗発熱体31への供給電力量は、サーミスタ25の検知温度に基づいて制御部220がトライアック210を介して制御する。また、定着装置6への通紙時には、用紙Pに奪われる熱量を考慮して、各抵抗発熱体31への供給電力量が決定される。
【0051】
次に、本発明の各実施形態について順に説明し、各実施形態の奏する効果についても説明する。なお、各実施形態に特有の構成を中心に説明し、各実施形態に共通する説明は適宜省略する。
【0052】
図8(A)および
図8(B)に示すように、本発明の第一実施形態の定着装置では、基材30の短手方向両側で、その長手方向において、各ガイド部材26に対応する位置(つまり、ガイド部材26が定着ベルト20に接触する位置)に複数の切り欠き30aが設けられる。本実施形態では、切り欠き30aが略矩形状に設けられ、基材30の厚み方向{
図8(B)の紙面に垂直方向}に貫通して設けられる。
【0053】
ヒータ22の長手方向において、切り欠き30aが設けられた位置、つまり、ガイド部材26の位置では、基材30の断面積が小さくなり、その位置における基材30の熱容量が小さくなる。
【0054】
図8(C)は、ヒータ22の長手方向における定着ベルト20の表面温度Tの分布を示す図で、横軸がヒータ22の長手方向、縦軸が表面温度Tを示しており、図の点線部が、本実施形態と異なる構成、具体的には、基材30に切り欠き30aを設けない略矩形状の構成の場合、図の実線部が本実施形態の場合を示している。
【0055】
ヒータ22の長手方向において、ガイド部材26が設けられる位置では、定着ベルト20がガイド部材26に接触することで、定着ベルト20の熱がガイド部材26に奪われるため、表面温度Tが小さくなる。従って、
図8(C)の点線部に示すように、定着ベルト20に長手方向の温度ムラが生じてしまう。
【0056】
これに対して本実施形態では、前述のように、基材30に切り欠き30aを設けることで、長手方向のガイド部材26が設けられる位置における基材30の熱容量を小さくし、その位置において基材30を温度上昇しやすくすることができる。つまり、その位置において、抵抗発熱体から基材30に奪われる熱量を小さくすることができ、定着ベルト20を効率的に加熱することができる。これにより、
図8(C)の実線部に示すように、ガイド部材26が設けられる位置で定着ベルト20の温度をより上昇させ、定着ベルト20の長手方向の温度ムラを抑制することができる。従って、用紙Pに形成される画像の光沢ムラや画像の定着不良を防止することができる。なお、本実施形態では、ヒータ22の短手方向両側に切り欠き30aを設ける場合を示したが、片側だけに設けてもよい。
【0057】
次に、
図9(A)および
図9(B)に示すように、本発明の第二実施形態の定着装置では、基材30に設けられる切り欠き30aが、長手方向に沿ってその短手方向の幅(図の上下方向の長さ)が変化した略円弧状をなしている。つまり、切り欠き30aは、ガイド部材26の長手方向中央側に対応する位置で、短手方向の幅が最大になる。
【0058】
図8(C)で示したように、定着ベルト20の表面温度Tは、ガイド部材26が設けられる位置で小さくなり、特に、ガイド部材26の長手方向中央側で最少になる。これに対して、本実施形態のように、略円弧状をなす切り欠き30aを設けることで、定着ベルト20の表面温度Tの低下に沿って、基材30の熱容量を小さくすることができる。つまり、切り欠き30aの形状を、定着ベルト20の表面温度Tの分布に沿った形状とすることができ、定着ベルト20の温度ムラをより効果的に抑制できる。また、
図8の略矩形状の切り欠き30aと比較すると、基材30の短手方向の幅の変化が緩やかになり、基材30の端縁に角部も形成されないため、強度的にも有利であり、加工がしやすいという利点もある。
【0059】
次に、
図10(A)および
図10(B)に示すように、本発明の第三実施形態の定着装置では、ヒータ22の基材30のうち、抵抗発熱体31等が設けられる定着ベルト20側の面30d1(以下、基材30のおもて面30d1とする)とは反対側の面30d2(以下、基材30の裏面30d2とする)に、凹部30bを有する。
図11(A)~
図11(C)に示すように、各凹部30bは、ヒータ22の長手方向において、ガイド部材26に対応する位置に設けられる。
【0060】
図11(B)に示すように、各凹部30bは、その長手方向中央側へ向けてその深さが深くなる断面略円弧状をなしているが、深さが均一の矩形状であってもよい。
【0061】
本実施形態においても、定着ベルト20の長手方向で、ガイド部材26に対応する位置における基材30の断面積を小さくしてその熱容量を小さくすることができ、定着ベルト20の長手方向の温度ムラを抑制することができる。さらに本実施形態では、基材30のおもて面に切り欠きや凹部等を設けることなく基材30の熱容量を減らすことができるため、抵抗発熱体31や給電線等を配置するスペースを確保する必要がある、といった制約とは無関係に熱容量を減らすことができる。
【0062】
次に、
図12(A)および
図12(B)に示すように、本発明の第四実施形態の定着装置では、基材30の裏面30d2に、断面略矩形状の凹部30bを有する。第三実施形態では、短手方向の全域にわたって凹部30bが設けられる{
図10(B)参照}のに対して、本実施形態では、短手方向の中央側に凹部30bが設けられる。
図13(A)、および、
図13(B)に示すように、各凹部30bは、ヒータ22の長手方向において、各ガイド部材26に対応する位置に設けられる。
図13(C)に示すように、断面略矩形状の凹部30bは、基材30のおもて面側には貫通しておらず(つまり、貫通孔ではなく)、本実施形態においても、基材30のおもて面に切り欠き等を設けることなく基材30の熱容量を減らすことができる。
【0063】
以上の実施形態では、ヒータ22の長手方向において、ガイド部材26が設けられる位置に対応した位置の基材30の熱容量を減らすものとしたが、本発明はこれに限らない。つまり、
図6に示した各抵抗発熱体35が並列接続されたヒータ22の場合、その長手方向において、抵抗発熱体35同士の隙間Sの位置では、ヒータ22の発熱量が小さくなり、定着ベルト20の表面温度Tも小さくなってしまう。そこで隙間Sに対応する位置において、前述した各実施形態のように熱容量を小さくすることで、定着ベルトの温度ムラを抑制する実施形態について、以下に説明する。なお、並列式のヒータのうち、
図6(B)や
図6(C)のように、ヒータ22の長手方向において、隣接する抵抗発熱体35同士の長手方向の領域が一部オーバーラップする構成の場合、
図6(A)のように、隙間Sで抵抗発熱体35が全く設けられない構成と比較すると、その温度ムラは小さくなる。しかし、以下に示す各実施形態の構成が適用できる点では、
図6(A)~(C)の全ての構成に共通している。なお、以下の説明では、便宜上、抵抗発熱体35として、
図6(A)に示すような略矩形状の抵抗発熱体35を用いた場合を例示し、抵抗発熱体35の個数を3つに減らし、隙間Sが長手方向に2か所に設けられる場合について説明する。またヒータ22には、便宜上、電極や給電線、絶縁層などの記載は省略し、基材30と抵抗発熱体35のみを記載している。
【0064】
図14に示すように、本発明の第五実施形態の定着装置では、基材30の短手方向両側で、その長手方向において、抵抗発熱体35同士の隙間Sに対応する位置に切り欠き30aが設けられる。本実施形態では、切り欠き30aが略矩形状に設けられる。切り欠き30aを設けることにより、ヒータ22の長手方向において、その加熱量が小さくなる位置における基材30の熱容量を小さくし、定着ベルトの温度ムラを抑制することができる。
【0065】
図15(A)~(C)に示すように、本発明の第六実施形態の定着装置では、ヒータ22の基材30の裏面に略筒状の凹部30bを有する。凹部30bは、ヒータ22の長手方向において、隙間Sに対応する位置に設けられる。本実施形態でも、ヒータ22の長手方向において、その加熱量が小さくなる位置における基材30の熱容量を小さくし、定着ベルトの温度ムラを抑制することができる。
【0066】
以上の実施形態では、ヒータ22の長手方向において、ガイド部材26が定着ベルト20に接触する位置、あるいは、ヒータ22の各抵抗発熱体35同士の隙間Sの位置において、基材30の熱容量を小さくする構成を例示した。しかし、これらの両方の位置において、基材30の熱容量を小さくする各対策を施してもよい。
【0067】
例えば、
図16(A)および
図16(B)に示すように、ヒータ22の長手方向において、基材30のガイド部材26が設けられる位置に切り欠き30a1を設け、隙間Sの位置において、基材30に切り欠き30a2を設けることができる。あるいは、
図17(A)~(C)に示すように、基材30の裏面30d2側で、長手方向のガイド部材26が設けられる位置に切り欠き30b1を設け、長手方向の隙間Sの位置において、切り欠き30b2を設けることができる。
【0068】
以上のように、ガイド部材26および隙間Sのそれぞれの位置に対応して基材30の熱容量を小さくすることで、それぞれの位置における定着ベルト20の温度低下を抑制することができ、定着ベルト20の温度ムラを抑制して、用紙Pの画像の光沢ムラや定着不良を防止できる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0070】
本発明に係る画像形成装置は、
図1に示すモノクロ画像形成装置に限らず、カラー画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【0071】
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
【0072】
以上の実施形態では、定着ベルト20に対して、その長手方向に部分的に接触する接触部材としてガイド部材26を例示したが、本発明はこれに限らない。例えば、定着ベルト20に接触してその温度を検知する温度検知部材であってもよいし、定着ニップ部Nの下流側に設けられ、用紙Pを定着ベルト20から分離するための分離爪などの分離部材であってもよい。
【0073】
以上の実施形態では、ヒータ22の非発熱部の熱容量を変化させる例として、基材30の熱容量を小さくする場合を例示した。しかし、本発明の非発熱部はこれに限らず、絶縁層32(
図2参照)や給電線33a~33c{
図5(A)参照}、あるいは、上記実施形態のヒータ22には設けられていないが、ヒータ22の熱量を長手方向に移動させて均熱化する均熱部材であってもよい。このように、本発明の加熱部材に設けられる非発熱部は、発熱を全く行わない部分ではなく、ヒータ22の、主として発熱を行う発熱部(前述の実施形態における抵抗発熱体31、35)以外の部分を指すものである。
【0074】
また、以上の実施形態では、基材30の熱容量を小さくする例として、基材30に切り欠きを設ける等してその断面積を小さくする場合を示したが、本発明はこれに限らない。例えば、
図18に示すように、ヒータ22の長手方向において、基材30の熱容量を小さくしたい箇所の短手方向一部に、その熱容量が基材30を構成する材料よりも小さい材料で形成した低熱容量部36を設けてもよい。一例として、基材30をアルミニウムや窒化アルミ等で構成し、低熱容量部36をガラスで構成することができる。また、絶縁層32による基材30などのコーティングを行う際に、低熱容量部36をコーティング層の一部として設けてもよい。低熱容量部36により、基材30の長手方向の所定の位置における熱容量を小さくすることができる。ただし、短手方向全域を低熱容量部36とすることもできる。
【0075】
以上の実施形態で示したガイド部材26の配置や個数は一例であり、適宜その構成を変更することができる。例えば、用紙搬送方向の上流側と下流側でガイド部材26を異なる配置や個数とすることもできる。
【0076】
また、本発明は、
図2に示す定着装置のほか、例えば、
図19~
図21に示すような定着装置にも適用可能である。以下、
図19~
図21に示す各定着装置の構成について簡単に説明する。
【0077】
まず、
図19に示す定着装置6は、定着ベルト20に対して加圧ローラ21側とは反対側に、押圧ローラ44が配置されており、この押圧ローラ44とヒータ22とによって定着ベルト20を挟んで加熱するように構成されている。一方、加圧ローラ21側では、定着ベルト20の内周にニップ形成部材45が配置されている。ニップ形成部材45は、ステー24によって支持されており、ニップ形成部材45と加圧ローラ21とによって定着ベルト20を挟んでニップ部Nを形成している。また、ニップ形成部材45には、定着ベルト20をガイドするガイド部材26が設けられている。
【0078】
次に、
図20に示す定着装置6では、前述の押圧ローラ44が省略されており、定着ベルト20とヒータ22との周方向接触長さを確保するために、ヒータ22が定着ベルト20の曲率に合わせて円弧状に形成されている。その他は、
図19に示す定着装置6と同じ構成である。
【0079】
最後に、
図21に示す定着装置6では、定着ベルト20のほかに加圧ベルト46が設けられ、加熱ニップ(第1ニップ部)N1と定着ニップ(第2ニップ部)N2とを分けて構成している。すなわち、加圧ローラ21に対して定着ベルト20側とは反対側に、ニップ形成部材45とステー47とを配置し、これらニップ形成部材45とステー47を内包するように加圧ベルト46を回転可能に配置している。そして、加圧ベルト46と加圧ローラ21との間の定着ニップN2に用紙Pを通紙して加熱及び加圧して画像を定着する。その他は、
図2に示す定着装置6と同じ構成である。
【0080】
以上の各定着装置6においても、ヒータ22の長手方向において、ガイド部材26に対応する位置や抵抗発熱体同士の隙間S(
図14参照)に対応する位置において、基材30などの非発熱部の熱容量を小さくすることで、定着ベルト20の温度ムラを抑制することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置
6 定着装置
20 定着ベルト
21 加圧ローラ(加圧部材)
22 ヒータ(加熱部材)
23 ヒータホルダ
25 サーミスタ(温度検知部材)
26 ガイド部材(接触部材)
30 基材
31 抵抗発熱体(発熱部)
32 絶縁層
33a~33c 給電線
34a、34b 電極
35 抵抗発熱体(発熱部)
P 用紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】