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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】多地点制御方法、装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10L 19/00 20130101AFI20221115BHJP
   H04M 3/56 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G10L19/00 220Z
H04M3/56 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019006306
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2020115611
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】守谷 健弘
(72)【発明者】
【氏名】鎌本 優
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 亮介
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-182142(JP,A)
【文献】特開平09-083987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/56
G10L 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
M地点(Mは2以上の整数)の第一通信網端末装置とN地点(Nは1以上の整数)の第二通信網端末装置とが通信路を介して接続された多地点制御装置における多地点制御方法であって、
各時間区間について、
前記各第一通信網端末装置から前記多地点制御装置に通信路を介して入力されるビット列は、該第一通信網端末装置に入力された2個以上のチャンネルの音信号を混合した信号を第1の符号化方式で符号化して得られたモノラル符号CFM(mは1以上M以下の各整数)と、前記入力された2個以上のチャンネルの音信号の差分に相当する情報を表す符号を含む拡張符号CFEと、を音信号を表す符号として含むビット列であり、
前記各第二通信網端末装置から前記多地点制御装置に通信路を介して入力されるビット列は、該第二通信網端末装置に入力された1チャンネルの音信号を前記第1の符号化方式で符号化して得られたモノラル符号CMM(nは1以上N以下の各整数)を音信号を表す符号として含むビット列であり、
前記多地点制御装置が、M地点の前記第一通信網端末装置とN地点の第二通信網端末装置のうちから1地点または2地点を選択する地点選択ステップと、
前記多地点制御装置が、前記選択された地点がM地点とM地点の2地点(Mは1以上M以下の整数、Mは1以上M以下でありMとは異なる整数)の前記第一通信網端末装置である場合に、選択されなかった地点の前記各第一通信網端末装置に対するビット列として、前記M地点の音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1と前記M地点の音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM2とを音信号を表す符号として含むビット列を生成して出力するビット列生成ステップと、
を含む多地点制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の多地点制御方法であって、
前記ビット列生成ステップは、
前記選択された地点が前記M地点と前記M地点の前記第一通信網端末装置である場合に、更に、
前記M地点と前記M地点の前記第一通信網端末装置それぞれに対するビット列として、前記選択された地点のうちの自地点以外の地点m’(m’はMまたはM)の音信号を表す符号であるモノラル符号CFMm’と拡張符号CFEm’を音信号を表す符号として含むビット列を生成して出力する、
多地点制御方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多地点制御方法であって、
前記ビット列生成ステップは、
前記選択された地点が前記M地点と前記M地点の前記第一通信網端末装置である場合に、更に、
前記M地点の音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1を前記第1の符号化方式に対応する第1の復号方式で復号して第1復号音信号を得て、前記M地点の音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM2を前記第1の復号方式で復号して第2復号音信号を得て、前記第1復号音信号と前記第2復号音信号を混合して混合音信号を得て、前記混合音信号を前記第1の符号化方式で符号化してモノラル符号CTMM1M2を得て、前記混合音信号から得た前記モノラル符号CTMM1M2を音信号を表す符号として含むビット列を前記各第二通信網端末装置に対するビット列として生成して出力する、
多地点制御方法。
【請求項4】
M地点(Mは2以上の整数)の第一通信網端末装置とN地点(Nは1以上の整数)の第二通信網端末装置とが通信路を介して接続された多地点制御装置であって、
各時間区間について、
前記各第一通信網端末装置から前記多地点制御装置に通信路を介して入力されるビット列は、該第一通信網端末装置に入力された2個以上のチャンネルの音信号を混合した信号を第1の符号化方式で符号化して得られたモノラル符号CFM(mは1以上M以下の各整数)と、前記入力された2個以上のチャンネルの音信号の差分に相当する情報を表す符号を含む拡張符号CFEと、を音信号を表す符号として含むビット列であり、
前記各第二通信網端末装置から前記多地点制御装置に通信路を介して入力されるビット列は、該第二通信網端末装置に入力された1チャンネルの音信号を前記第1の符号化方式で符号化して得られたモノラル符号CMM(nは1以上N以下の各整数)を音信号を表す符号として含むビット列であり、
M地点の前記第一通信網端末装置とN地点の第二通信網端末装置のうちから1地点または2地点を選択する地点選択部と、
前記選択された地点がM地点とM地点の2地点(Mは1以上M以下の整数、Mは1以上M以下でありMとは異なる整数)の前記第一通信網端末装置である場合に、選択されなかった地点の前記各第一通信網端末装置に対するビット列として、前記M地点の音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1と前記M地点の音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM2とを音信号を表す符号として含むビット列を生成して出力するビット列生成部と、
を含む多地点制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の多地点制御装置であって、
前記ビット列生成部は、
前記選択された地点が前記M地点と前記M地点の前記第一通信網端末装置である場合に、更に、
前記M地点と前記M地点の前記第一通信網端末装置それぞれに対するビット列として、前記選択された地点のうちの自地点以外の地点m’(m’はMまたはM)の音信号を表す符号であるモノラル符号CFMm’と拡張符号CFEm’を音信号を表す符号として含むビット列を生成して出力する、
多地点制御装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の多地点制御装置であって、
前記ビット列生成部は、
前記選択された地点が前記M地点と前記M地点の前記第一通信網端末装置である場合に、更に、
前記M地点の音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1を前記第1の符号化方式に対応する第1の復号方式で復号して第1復号音信号を得て、前記M地点の音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM2を前記第1の復号方式で復号して第2復号音信号を得て、前記第1復号音信号と前記第2復号音信号を混合して混合音信号を得て、前記混合音信号を前記第1の符号化方式で符号化してモノラル符号CTMM1M2を得て、前記混合音信号から得た前記モノラル符号CTMM1M2を音信号を表す符号として含むビット列を前記各第二通信網端末装置に対するビット列として生成して出力する、
多地点制御装置。
【請求項7】
請求項1から3の何れかの多地点制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多地点で電話会議をするための多地点制御装置(Multipoint Control Unit, MCU)における制御技術、各地点における音信号の符号化技術、各地点における音信号の復号技術、の少なくとも何れかに関する。
【背景技術】
【0002】
多地点で電話会議をするための多地点制御装置における制御、各地点における音信号の符号化、各地点における音信号の復号の先行技術としては、特許文献1の技術がある。特許文献1の技術は、基本品質符号化と品質拡張符号化によるエンベデッド符号化を用いるものである。各地点の音信号の符号化装置は、入力された音信号について基本品質符号化と品質拡張符号化によるエンベデッド符号化を行って符号を得て多地点制御装置に対して出力する。多地点制御装置は、基本品質符号化の部分については、全地点の符号を復号して音信号を得て、得た音信号をミキシングして、ミキシング後の音信号を符号化して、ミキシング後の音信号から得た符号を各地点に対して送出する。一方、多地点制御装置は、品質拡張符号化の部分については、最重要の1地点の符号を選択してその符号を各地点に対して送出するか、または、重要度が高い複数地点の符号を復号して音信号を得て、得た音信号をミキシングして、ミキシング後の音信号を符号化して、ミキシング後の音信号から得た符号を各地点に対して送出する。各地点の音信号の復号装置は、多地点制御装置が送出した符号を復号することで、全地点の基本品質部分と重要度が高い地点の品質拡張部分とを含む音信号を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-229259公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、基本品質部分については多地点制御装置において必ず復号してから符号化しており、符号化と復号の組がタンデム接続されている。従って、特許文献1の技術を移動通信で用いられるような高圧縮で演算処理量や所要メモリ量が多い符号化復号方式を用いて実装した場合には、符号化と復号の組がタンデム接続されることによる音質の劣化が顕著となる課題や、多くの復号処理と符号化処理を行うために多地点制御装置の演算処理量や所要メモリ量が多くなってしまう課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による多地点制御方法は、M地点(Mは2以上の整数)の第一通信網端末装置とN地点(Nは1以上の整数)の第二通信網端末装置とが通信路を介して接続された多地点制御装置における多地点制御方法であって、各時間区間について、各第一通信網端末装置から多地点制御装置に通信路を介して入力されるビット列は、該第一通信網端末装置に入力された2個以上のチャンネルの音信号を混合した信号を第1の符号化方式で符号化して得られたモノラル符号CFM(mは1以上M以下の各整数)と、入力された2個以上のチャンネルの音信号の差分に相当する情報を表す符号を含む拡張符号CFEと、を音信号を表す符号として含むビット列であり、各第二通信網端末装置から多地点制御装置に通信路を介して入力されるビット列は、該第二通信網端末装置に入力された1チャンネルの音信号を第1の符号化方式で符号化して得られたモノラル符号CMM(nは1以上N以下の各整数)を音信号を表す符号として含むビット列であり、多地点制御装置が、M地点の第一通信網端末装置とN地点の第二通信網端末装置のうちから1地点または2地点を選択する地点選択ステップと、多地点制御装置が、選択された地点がM地点とM地点の2地点(Mは1以上M以下の整数、Mは1以上M以下でありMとは異なる整数)の第一通信網端末装置である場合に、選択されなかった地点の各第一通信網端末装置に対するビット列として、M地点の音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1とM地点の音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM2とを音信号を表す符号として含むビット列を生成して出力するビット列生成ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、移動通信で用いられるような高圧縮な符号化方式を用いて実装した場合であっても、符号化と復号の組のタンデム接続による音質劣化の発生を少なくすることができ、また、多地点制御装置の演算処理量や所要メモリ量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】多地点電話接続システムの例を示すブロック図。
図2】固定通信端末装置の例を示すブロック図。
図3】移動通信端末装置の例を示すブロック図。
図4】多地点制御装置の例を示すブロック図。
図5】選択地点情報がケース1の情報である場合の音信号を表す符号列の例を模式的に示した図。
図6】選択地点情報がケース2の情報である場合の音信号を表す符号列の例を模式的に示した図。
図7】選択地点情報がケース3の情報である場合の音信号を表す符号列の例を模式的に示した図
図8】選択地点情報がケース4の情報である場合の音信号を表す符号列の例を模式的に示した図。
図9】選択地点情報がケース5の情報である場合の音信号を表す符号列の例を模式的に示した図。
図10】固定通信端末装置の音信号固定送信側装置の処理の例を示す流れ図。
図11】固定通信端末装置の音信号固定受信側装置の処理の例を示す流れ図。
図12】移動通信端末装置の音信号固定送信側装置の処理の例を示す流れ図。
図13】移動通信端末装置の音信号固定受信側装置の処理の例を示す流れ図。
図14】多地点制御装置の処理の例を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
多地点電話接続システム10は、図1に示す通り、多地点制御装置100と、第一通信網端末装置200-m(mは1以上M以下の各整数)と、第二通信網端末装置300-n(nは1以上N以下の各整数)と、を含む。多地点制御装置100と各第一通信網端末装置200-mは、第一通信網の各伝送路400-mを介して接続されている。多地点制御装置100と各第二通信網端末装置300-nは、第二通信網の各伝送路500-nを介して接続されている。第一通信網と第二通信網とは、リアルタイム伝送可能な通信容量が異なる通信網である。第一通信網の各伝送路400-mの各方向の通信容量は第二通信網の各伝送路500-nの各方向の通信容量のK倍以上(Kは2以上の整数)であり、第一通信網端末装置と第二通信網端末装置の合計個数はK+1以上であり、K+1個以上の端末装置には少なくとも1個の第一通信網端末装置と少なくとも1個の第二通信網端末装置が含まれており、各端末装置では最大K地点の端末装置の音信号に対応する復号音信号を再生可能であるとする。すなわち、本発明では、Mが1以上であり、かつ、Nが1以上であり、かつ、M+NがK+1以上であればよく、本発明には、各通信網が固定通信であるか移動通信であるか、すなわち、各通信網の伝送路が有線伝送路であるか無線伝送路であるか、などの制約はない。
【0009】
本発明は、例えば、第一通信網が既存の固定電話の通信網であり第二通信網が既存の携帯電話の通信網である場合にも適用可能である。そこで、理解し易さを考慮して、以降の各実施形態では、第一通信網が既存の固定電話の通信網であり第二通信網が既存の携帯電話の通信網であることを想定した例、具体的には、図1に示す通り、第一通信網端末装置200-mが固定通信端末装置200-mであり、第二通信網端末装置300-nが移動通信端末装置300-nであり、第一通信網の伝送路400-mが固定伝送路400-mであり、第二通信網の伝送路500-nが移動伝送路500-nである例で説明する。
【0010】
<第一実施形態>
まず、第一実施形態の多地点電話接続システムの構成と多地点電話接続システムに含まれる各装置について説明する。
【0011】
≪多地点電話接続システム10≫
第一実施形態の多地点電話接続システム10は、図1に示す通り、多地点制御装置100と、複数個(M個)の固定通信端末装置200-m(mは1以上M以下の各整数)と、複数個(N個)の移動通信端末装置300-n(nは1以上N以下の各整数)と、を含む。本実施形態では、固定通信端末装置200-mと移動通信端末装置300-nがそれぞれ2個以上であるとして説明する。すなわち、本実施形態では、Mは2以上の整数であり、Nは2以上の整数であるとする。多地点制御装置100と各固定通信端末装置200-mは、例えば固定電話の音声回線用の上り下りの各方向が64kbpsの伝送路などの、固定電話用の電話帯域音声の符号化方式の1チャンネル分の符号をリアルタイム伝送可能な通信容量の各固定伝送路400-mを介して接続されている。固定電話用の電話帯域音声の符号化方式とは、例えばITU-T G.711である。多地点制御装置100と各移動通信端末装置300-nは、例えば携帯電話の音声回線用の上り下りの各方向が13.2kbpsの伝送路などの、携帯電話用の電話帯域音声の符号化方式の1チャンネル分の符号をリアルタイム伝送可能な通信容量の各移動伝送路500-nを介して接続されている。携帯電話用の電話帯域音声の符号化方式とは、例えば3GPP EVS規格(3GPP TS26.442)の13.2kbpsモードである。
【0012】
≪固定通信端末装置200-m≫
固定通信端末装置200-mは、例えば高機能電話機やマイクロホンとスピーカを備えたPCであり、図2に示す通り、音信号固定送信側装置210-mと音信号固定受信側装置220-mを含む。音信号固定送信側装置210-mは収音部211-mと符号化部212-mと制御情報付与部213-mを含む。音信号固定受信側装置220-mは制御情報解析部221-mと復号部222-mと再生部223-mを含む。
固定通信端末装置200-mの音信号固定送信側装置210-mは、図10及び以下に例示するステップS211からステップS213の処理を行い、固定通信端末装置200-mの音信号固定受信側装置220-mは、図11及び以下に例示するステップS221からステップS223の処理を行う。
【0013】
<<音信号固定送信側装置210-m>>
音信号固定送信側装置210-mは、例えば20msの所定の時間区間ごとに、すなわちフレームごとに、2個のチャンネルのディジタル音信号に対応する符号を含むビット列である固定端末送出ビット列を得て固定伝送路400-mに出力する。すなわち、音信号固定送信側装置210-mは固定端末送出ビット列を固定伝送路400-mを介して多地点制御装置100に対して出力する。
【0014】
<収音部211-m>
音信号固定送信側装置210-mの収音部211-mは、2個のマイクロホンと2個のAD変換部を含む。各マイクロホンと各AD変換部は一対一に対応付けられている。マイクロホンは、マイクロホンの周辺の空間領域で発生した音を収音してアナログの電気信号に変換してAD変換部に出力する。AD変換部は、入力されたアナログの電気信号を例えばサンプリング周波数が8kHzのPCM信号であるディジタル音信号に変換して出力する。すなわち、収音部211-mは、2個のマイクロホンのそれぞれで収音した音に対応する2個のチャンネルのディジタル音信号、例えば左チャンネルと右チャンネルの2チャンネルステレオのディジタル音信号、を音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mに出力する(ステップS211)。
【0015】
<符号化部212-m>
音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mは、フレームごとに、収音部211-mから入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を混合した信号を表す符号であるモノラル符号と、モノラル符号に加えて拡張符号も用いることで入力された2個のチャンネルのディジタル音信号それぞれを表すことができる拡張符号と、を得て、得たモノラル符号と拡張符号を音信号固定送信側装置210-mの制御情報付与部213-mに出力する(ステップS212)。すなわち、符号化部212-mが得る拡張符号は、拡張符号のみを用いても2個のチャンネルの復号ディジタル音信号の何れも得ることができない符号であり、モノラル符号と併せて用いることで2個のチャンネルの復号ディジタル音信号の両方を得ることができる符号であり、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を表す符号を含む符号である。
【0016】
2個のチャンネルのディジタル音信号を混合した信号とは、例えば、2個のチャンネルのディジタル音信号の対応するサンプル同士の加算による系列、2個のチャンネルのディジタル音信号の対応するサンプル同士の平均値による系列、2個のチャンネルのディジタル音信号の少なくとも何れかを変形したり時間遅れを与えたものの加算や平均値による系列、これらの加算や平均値による系列を変形して得た系列、などであり、2個のチャンネルのディジタル音信号の和に相当する信号である。
【0017】
2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を表す符号とは、2個のチャンネルのディジタル音信号の差分を表す波形の情報を符号化して得られる符号、2個のチャンネルのディジタル音信号の差分を表す特徴パラメータを表す符号、などである。2個のチャンネルのディジタル音信号の差分を表す波形の情報とは、例えば、一方のチャンネルのディジタル音信号のサンプルから他方のチャンネルのディジタル音信号の対応するサンプルを減算して得た値による系列、一方のチャンネルのディジタル音信号のサンプルから他方のチャンネルのディジタル音信号の対応するサンプルを減算して得た値を2で除算した値による系列、2個のチャンネルのディジタル音信号の少なくとも何れかを変形したり時間遅れを与えたものについて前記の減算または減算と除算をして得た系列、前記の減算または減算と除算をして得た系列を変形して得た系列、前記の何れかの系列の一部、である。2個のチャンネルのディジタル音信号の差分を表す特徴パラメータとは、2個のチャンネルのディジタル音信号の周波数帯域ごとのエネルギーの差、周波数帯域ごとの相関、周波数帯域ごとの位相差などの、チャンネル間の信号の関係や相違の度合いを表す1つまたは複数の特徴量である。
【0018】
具体的には、符号化部212-mは、フレームごとに、収音部211-mから入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を混合した信号を所定の第1の符号化方式で符号化してモノラル符号を得て、また、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を表す符号を含む拡張符号を得て、得たモノラル符号と拡張符号を音信号固定送信側装置210-mの制御情報付与部213-mに出力する。なお、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を符号化する場合には、符号化部212-mは、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を所定の第2の符号化方式で符号化して符号を得る。
【0019】
例えば、符号化部212-mは、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の対応するサンプル同士の平均値による系列(すなわち、周知のMSステレオのMチャンネルの信号)を所定の第1の符号化方式で符号化してモノラル符号を得て出力し、また、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の対応するサンプル同士について、第1のチャンネルのディジタル音信号のサンプルから第2のディジタル音信号のチャンネルのサンプルを減算して得た値を2で除算した値による系列(周知のMSステレオのSチャンネルの信号)を所定の第2の符号化方式で符号化して符号を得て、得た符号を拡張符号として出力する。
【0020】
第1の符号化方式としては、全ての音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mと、全ての音信号移動送信側装置310-nの符号化部312-nと、で同じ符号化方式を用いる。従って、第1の符号化方式としては、モノラル符号のビットレートが移動伝送路500-nの通信容量以下である符号化方式を用いる必要がある。そこで、第1の符号化方式としては、携帯電話用の電話帯域音声の符号化方式、例えば上述した3GPP EVS規格の13.2kbpsモード、を用いればよい。
【0021】
拡張符号のビットレートは、固定伝送路400-mの通信容量からモノラル符号のビットレートを減算した値以下である必要がある。従って、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を符号化する場合には、第2の符号化方式としては、全ての音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mで同じ符号化方式であり、かつ、拡張符号のビットレートが、固定伝送路400-mの通信容量からモノラル符号のビットレートを減算した値以下である符号化方式を用いる必要がある。第2の符号化方式としては、拡張符号のビットレートが上述した条件を満たす範囲内で、2個のチャンネルの音信号の差分に相当する情報、例えば2個のチャンネルの音信号の差信号、を効率良く符号化できる符号化方式を用いればよい。もちろん、第2の符号化方式として第1の符号化方式と同じ符号化方式を用いてもよく、例えば上述した3GPP EVS規格の13.2kbpsモードを第2の符号化方式として用いてもよい。
【0022】
なお、拡張符号には、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を混合した信号を第1の符号化方式で符号化したときの量子化誤差についての復号信号を復号側で得るための符号も含めてもよい。すなわち、符号化部212-mは、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を混合した信号を第1の符号化方式で符号化したときの量子化誤差を表す符号も得て、得た量子化誤差を表す符号と上述した差分に相当する情報を表す符号とを拡張符号に含めるようにしてもよい。以下では、量子化誤差を表す符号を誤差符号とも呼び、差分に相当する情報を表す符号を差分符号とも呼ぶ。
【0023】
例えば、符号化部212-mは、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の対応するサンプル同士の平均値による系列(すなわち、周知のMSステレオのMチャンネルの信号)を所定の第1の符号化方式で符号化してモノラル符号を得て出力し、第1の符号化方法に対応する復号方法である第1の復号方式でモノラル符号を復号して得られる暫定復号ディジタル音信号を得て、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を混合した信号のサンプルから暫定復号ディジタル音信号の対応するサンプルを減算して量子化誤差系列を得て、得た量子化誤差系列を符号化して誤差符号を得て、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の対応するサンプル同士について、第1のチャンネルのディジタル音信号のサンプルから第2のディジタル音信号のチャンネルのサンプルを減算して得た値を2で除算した値による系列(周知のMSステレオのSチャンネルの信号)を所定の第2の符号化方式で符号化して差分符号を得て、誤差符号と差分符号とを含む拡張符号を出力する。
【0024】
<制御情報付与部213-m>
音信号固定送信側装置210-mの制御情報付与部213-mは、フレームごとに、入力されたモノラル符号と拡張符号を音信号を表す符号として含み、音信号を表す符号列がどのような符号を含むのかを表す符号情報を表す符号である制御符号を含む、固定端末送出ビット列を得て固定伝送路400-mに出力する(ステップS213)。
【0025】
制御情報付与部213-mが出力する固定端末送出ビット列に含まれる制御符号が表す符号情報は、必ず“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”である。後述する多地点制御装置100では、入力されたビット列が固定端末送出ビット列であれば、そのビット列に含まれる音信号を表す符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることは把握可能である。従って、多地点制御装置100に入力する目的だけであれば、音信号を表す符号列がどのような符号を含むのかを表す符号情報を表す符号である制御符号を固定端末送出ビット列に含める必要はなく、音信号固定送信側装置210-mが制御情報付与部213-mを備えないようにして、符号化部212-mがモノラル符号と拡張符号を音信号を表す符号として含む固定端末送出ビット列を得て出力するようにしてもよい。なお、固定端末送出ビット列には、その固定端末送出ビット列を得た端末装置を特定する情報、その固定端末送出ビット列が対応するフレームを特定する情報、そのフレームが有音であるか無音であるか(例えば、そのフレームのディジタル音信号のパワーが所定の閾値以上であるか否か)を特定する情報、固定端末送出ビット列に含まれる各符号の固定端末送出ビット列内での位置を特定する情報、などの補助情報を含めてもよい。
【0026】
<<音信号固定受信側装置220-m>>
音信号固定受信側装置220-mは、フレームごとに、固定伝送路400-mから入力された固定端末向けビット列に基づく音を出力する。ただし、入力された固定端末向けビット列次第では、音信号固定受信側装置220-mが音を出力しない場合もある。なお、固定伝送路400-mから入力された固定端末向けビット列は、多地点制御装置100が固定通信端末装置200-mに対して出力した固定端末向けビット列である。
【0027】
<制御情報解析部221-m>
音信号固定受信側装置220-mの制御情報解析部221-mは、フレームごとに、入力された固定端末向けビット列に含まれる制御符号が表す符号情報と、入力された固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列が含む各符号とを、音信号固定受信側装置220-mの復号部222-mに出力する(ステップS221)。ただし、制御情報解析部221-mは、入力された固定端末向けビット列に音信号を表す符号列が含まれない場合には、符号は出力しない。すなわち、制御情報解析部221-mは、フレームごとに、入力された固定端末向けビット列に音信号を表す符号列が含まれている場合には、入力された固定端末向けビット列に含まれる制御符号が表す符号情報と、入力された固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列が含む各符号とを出力し、入力された固定端末向けビット列に音信号を表す符号列が含まれていない場合には、入力された固定端末向けビット列に含まれる制御符号が表す符号情報を出力する。
【0028】
多地点制御装置100の説明箇所において後述する通り、固定端末向けビット列に含まれる制御符号が表す符号情報と、固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列が含む各符号と、の組は下記のケースAからケースDの何れかである。従って、制御情報解析部221-mは、下記のケースAからケースDの何れかの符号情報を少なくとも出力し、固定端末向けビット列が音信号を表す符号列を含む場合には音信号を表す符号列が含む符号も出力する。
ケースA:符号情報は、“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”。音信号を表す符号列が含む符号は、1組のモノラル符号と拡張符号。
ケースB:符号情報は、“音信号を表す符号列が含む符号が2個のモノラル符号であることを表す情報”。音信号を表す符号列が含む符号は、2個のモノラル符号。
ケースC:符号情報は、“音信号を表す符号列が含む符号が1個のモノラル符号であることを表す情報”。音信号を表す符号列が含む符号は、1個のモノラル符号。
ケースD:符号情報は、“音信号を表す符号列が無いことを表す情報”。音信号を表す符号列が含む符号は、無し。
【0029】
<復号部222-m>
音信号固定受信側装置220-mの復号部222-mは、フレームごとに、入力された符号情報に基づいて、入力された符号がある場合には、入力された符号を復号して1個または2個の復号ディジタル音信号を得て、音信号固定受信側装置220-mの再生部223-mに出力する(ステップS222)。具体的には、復号部222-mはフレームごとに下記のケースAからケースDの何れかの処理を行う。
【0030】
[ケースA]
復号部222-mは、入力された符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”である場合には、入力されたモノラル符号を所定の第1の復号方式で復号して暫定復号ディジタル音信号を得て、入力された拡張符号に含まれる差分に相当する情報を表す符号(差分符号)から復号差分情報を得て、得た暫定復号ディジタル音信号と復号差分情報とから、暫定復号ディジタル音信号が2個の復号ディジタル音信号が混合された信号であると見做し、復号差分情報が2個の復号ディジタル音信号の差分に相当する情報であると見做して、2個の復号ディジタル音信号を得て出力する。なお、差分符号が符号化された情報である場合には、すなわち、対応する音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mが入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を所定の第2の符号化方式で符号化して差分符号を得た場合には、復号部222-mは、入力された拡張符号に含まれる差分符号を所定の第2の復号方式で復号して復号差分情報を得る。
【0031】
例えば、復号部222-mは、入力されたモノラル符号を所定の第1の復号方式で復号して第1の暫定復号ディジタル音信号を得て、入力された拡張符号に含まれる差分符号を所定の第2の復号方式で復号して第2の暫定復号ディジタル音信号を得て、第1の暫定復号ディジタル音信号が周知のMSステレオのMチャンネルの信号であるとし、第2の暫定復号ディジタル音信号が周知のMSステレオのSチャンネルの信号であるとして、第1の暫定復号ディジタル音信号と第2の暫定復号ディジタル音信号の対応するサンプル同士を加算した値による系列である第1の復号ディジタル音信号と、対応するサンプル同士について第1の暫定復号ディジタル音信号のサンプルから第2の暫定復号ディジタル音信号のサンプルを減算して得た値による系列である第2の復号ディジタル音信号と、を得て出力する。
【0032】
なお、拡張符号に差分符号と誤差符号とが含まれている場合には、復号部222-mは、入力されたモノラル符号を所定の第1の復号方式で復号して暫定復号ディジタル音信号を得て、入力された拡張符号に含まれる誤差符号から復号誤差情報を得て、入力された拡張符号に含まれる差分符号から復号差分情報を得て、得た暫定復号ディジタル音信号と復号誤差情報と復号差分情報とから、暫定復号ディジタル音信号が2個の復号ディジタル音信号が混合された信号であると見做し、復号誤差情報が暫定復号ディジタル音信号の誤差に相当する情報であると見做し、復号差分情報が2個の復号ディジタル音信号の差分に相当する情報であると見做して、2個の復号ディジタル音信号を得て出力する。
【0033】
この場合には、例えば、復号部222-mは、入力されたモノラル符号を所定の第1の復号方式で復号して第1の暫定復号ディジタル音信号を得て、入力された拡張符号に含まれる誤差符号を復号して第3の暫定復号ディジタル音信号を得て、入力された拡張符号に含まれる差分符号を所定の第2の復号方式で復号して第2の暫定復号ディジタル音信号を得て、第1の暫定復号ディジタル音信号と第3の暫定復号ディジタル音信号を加算して第4の暫定復号ディジタル音信号を得て、第4の暫定復号ディジタル音信号が周知のMSステレオのMチャンネルの信号であるとし、第2の暫定復号ディジタル音信号が周知のMSステレオのSチャンネルの信号であるとして、第4の暫定復号ディジタル音信号と第2の暫定復号ディジタル音信号の対応するサンプル同士を加算した値による系列である第1の復号ディジタル音信号と、対応するサンプル同士について第4の暫定復号ディジタル音信号のサンプルから第2の暫定復号ディジタル音信号のサンプルを減算して得た値による系列である第2の復号ディジタル音信号と、を得て出力する。
【0034】
[ケースB]
復号部222-mは、入力された符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が2個のモノラル符号であることを表す情報”である場合には、入力された2個のモノラル符号それぞれを所定の第1の復号方式で復号して2個の復号ディジタル音信号を得て出力する。
【0035】
[ケースC]
復号部222-mは、入力された符号情報が、“音信号を表す符号列が含む符号が1個のモノラル符号であることを表す情報”である場合には、入力されたモノラル符号を所定の第1の復号方式で復号して1個の復号ディジタル音信号を得て出力する。なお、この場合には、復号部222-mは、もう1個の復号ディジタル音信号として、無音であることに対応する復号ディジタル音信号、すなわち、全てのサンプルの振幅が0である復号ディジタル音信号を得て出力してもよい。また、この場合には、復号部222-mは、もう1個の復号ディジタル音信号として、所定の規則により発生させた背景雑音信号に対応する復号ディジタル音信号、例えば、振幅が小さい白色雑音やその白色雑音をフィルタリングした信号などの復号ディジタル音信号を得て出力してもよい。
【0036】
[ケースD]
復号部222-mは、“音信号を表す符号列が無いことを表す情報”である場合には、符号の復号はせずに、復号ディジタル音信号は出力しない。なお、この場合には、復号部222-mは、無音であることに対応する復号ディジタル音信号、すなわち、全てのサンプルの振幅が0である復号ディジタル音信号を1個または2個得て出力してもよい。また、この場合には、復号部222-mは、所定の規則により発生させた背景雑音信号に対応する復号ディジタル音信号、例えば、振幅が小さい白色雑音やその白色雑音をフィルタリングした信号などの復号ディジタル音信号を1個または2個得て出力してもよい。
【0037】
なお、復号部222-mは、第1の復号方式としては、音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mと音信号移動送信側装置310-nの符号化部312-nで用いた第1の符号化方式に対応する復号方式を用いる。また、復号部222-mは、第2の復号方式としては、音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mで用いた第2の符号化方式に対応する復号方式を用いる。
【0038】
<再生部223-m>
音信号固定受信側装置220-mの再生部223-mは、入力された1個または2個の復号ディジタル音信号に対応する音を出力する(ステップS223)。復号ディジタル音信号が入力されなかった場合には、音を出力しない。
【0039】
再生部223-mは、例えば、2個のDA変換部と2個のスピーカを含む。DA変換部は、入力された復号ディジタル音信号をアナログの電気信号に変換して出力する。スピーカは、DA変換部から入力されたアナログの電気信号に対応する音を発生する。スピーカは、ステレオヘッドフォンやステレオイヤホンに備えられたものであってもよい。この場合には、例えば、再生部223-mは、2個の復号ディジタル音信号が入力された場合には、DA変換部とスピーカを一対一に対応付けて、2個の復号ディジタル音信号それぞれに対応する音を2個のスピーカそれぞれから発生する。また、再生部223-mは、1個の復号ディジタル音信号が入力された場合には、1個のDA変換部を用いて1個のアナログの電気信号を得て、得た1個のアナログの電気信号を1個または2個のスピーカに入力して1個または2個のスピーカから音を発生する。もちろん、2個の復号ディジタル音信号が入力された場合でも、DA変換部が得た2個のアナログの電気信号を混合して1個または2個のスピーカに入力して1個または2個のスピーカから音を発生するようにしてもよいし、スピーカを1個のみ備えるようにしてもよい。すなわち、再生部223-mは、入力された全ての復号ディジタル音信号に対応する音を発生するようにすれば、どのような構成であってもよい。
【0040】
≪移動通信端末装置300-n≫
それぞれの移動通信端末装置300-nは、例えば携帯電話機であり、図3に示す通り、音信号移動送信側装置310-nと音信号移動受信側装置320-nを含む。音信号移動送信側装置310-nは収音部311-nと符号化部312-nと送出符号生成部313-nを含む。音信号移動受信側装置320-nは入力符号分離部321-nと復号部322-nと再生部323-nを含む。
移動通信端末装置300-nの音信号移動送送信側装置310-nは、図12及び以下に例示するステップS311からステップS313の処理を行い、移動通信端末装置300-nの音信号移動受信側装置320-mは、図13及び以下に例示するステップS321からステップS323の処理を行う。
【0041】
<<音信号移動送信側装置310-n>>
音信号移動送信側装置310-nは、フレームごとに、1個のチャンネルのディジタル音信号に対応する符号を含むビット列である移動端末送出ビット列を得て、移動伝送路500-nに出力する。すなわち、音信号移動送信側装置310-nは移動端末送出ビット列を移動伝送路500-nを介して多地点制御装置100に対して出力する。
【0042】
<収音部311-n>
音信号移動送信側装置310-nの収音部311-nは、1個のマイクロホンと1個のAD変換部を含む。マイクロホンは、マイクロホンの周辺の空間領域で発生した音を収音してアナログの電気信号に変換してAD変換部に出力する。AD変換部は、入力されたアナログの電気信号を例えばサンプリング周波数が8kHzのPCM信号であるディジタル音信号に変換して出力する。すなわち、収音部311-nは、1個のマイクロホンで収音した音に対応する1個のチャンネルのディジタル音信号を音信号移動送信側装置310-nの符号化部312-nに出力する(ステップS311)。
【0043】
<符号化部312-n>
音信号移動送信側装置310-nの符号化部312-nは、フレームごとに、収音部311-nから入力された1個のチャンネルのディジタル音信号を上述した第1の符号化方式で符号化してモノラル符号を得て、得たモノラル符号を音信号移動送信側装置310-nの送出符号生成部313-nに出力する(ステップS312)。
【0044】
<送出符号生成部313-n>
音信号移動送信側装置310-nの送出符号生成部313-nは、フレームごとに、入力されたモノラル符号を音信号を表す符号として含む移動端末送出ビット列を得て移動伝送路500-nに出力する(ステップS313)。
【0045】
なお、移動端末送出ビット列には、その移動端末送出ビット列を得た端末装置を特定する情報、その移動端末送出ビット列が対応するフレームを特定する情報、そのフレームが有音であるか無音であるか(例えば、そのフレームのディジタル音信号のパワーが所定の閾値以上であるか否か)を特定する情報、移動端末送出ビット列に含まれる各符号の移動端末送出ビット列内での位置を特定する情報、などの補助情報を含めてもよいし、音信号を表す符号列がどのような符号を含むのかを表す符号情報を表す符号である制御符号を含めてもよい。また、音信号移動送信側装置310-nが送出符号生成部313-nを備えないようにして、符号化部312-nがモノラル符号を音信号を表す符号として含む移動端末送出ビット列を得て出力するようにしてもよい。
【0046】
<<音信号移動受信側装置320-n>>
音信号移動受信側装置320-nは、フレームごとに、移動伝送路500-nから入力された移動端末向けビット列に基づく音を出力する。ただし、入力された移動端末向けビット列次第では、音信号移動受信側装置320-nが音を出力しない場合もある。なお、移動伝送路500-nから入力された移動端末向けビット列は、多地点制御装置100が移動通信端末装置300-nに対して出力した移動端末向けビット列である。
【0047】
<入力符号分離部321-n>
音信号移動受信側装置320-nの入力符号分離部321-nは、フレームごとに、入力された移動端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列が含む1個のモノラル符号を音信号移動受信側装置320-nの復号部322-nに出力する(ステップS321)。ただし、入力符号分離部321-nは、入力された移動端末向けビット列に音信号を表す符号列が含まれない場合には、符号は出力しない。すなわち、入力符号分離部321-nは、フレームごとに、入力された移動端末向けビット列に音信号を表す符号列が含まれている場合には、入力された移動端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列が含む1個のモノラル符号を出力し、入力された移動端末向けビット列に音信号を表す符号列が含まれていない場合には、符号を出力しない。
【0048】
<復号部322-n>
音信号移動受信側装置320-nの復号部322-nは、フレームごとに、モノラル符号が入力された場合には、入力された1個のモノラル符号を上述した第1の復号方式で復号して1個の復号ディジタル音信号を得て、音信号移動受信側装置320-nの再生部323-nに出力する(ステップS322)。復号部322-nは、符号が入力されなかった場合には、復号部322-nは復号ディジタル音信号を出力しない。ただし、符号が入力されなかった場合には、復号部322-nは、無音であることに対応する復号ディジタル音信号、すなわち、全てのサンプルの振幅が0である復号ディジタル音信号を得て出力してもよい。また、符号が入力されなかった場合には、復号部322-nは、所定の規則により発生させた背景雑音信号に対応する復号ディジタル音信号、例えば、振幅が小さい白色雑音やその白色雑音をフィルタリングした信号などの復号ディジタル音信号を得て出力してもよい。
【0049】
<再生部323-n>
音信号移動受信側装置320-nの再生部323-nは、入力された1個の復号ディジタル音信号に対応する音を出力する(ステップS323)。復号ディジタル音信号が入力されなかった場合には、音を出力しない。
【0050】
再生部323-nは、例えば、1個以上のDA変換部と1個以上のスピーカを含む。DA変換部は、入力された復号ディジタル音信号をアナログの電気信号に変換して出力する。スピーカは、DA変換部から入力されたアナログの電気信号に対応する音を発生する。スピーカは、ヘッドセットやヘッドフォンやイヤホンに備えられたものであってもよい。スピーカとしてステレオヘッドフォンやステレオイヤホンなどの複数個のスピーカを用いる場合には、1個のDA変換部が出力したアナログの電気信号を複数個のスピーカに入力するようにしてもよいし、入力された1個の復号ディジタル音信号を複数個のDA変換部に入力して複数個のアナログの電気信号を得て複数個のスピーカに入力するようにしてもよい。すなわち、再生部323-nは、入力された1個の復号ディジタル音信号に対応する音を発生するようにすれば、どのような構成としてもよい。
【0051】
<<多地点制御装置100>>
多地点制御装置100は、図4に示す通り、地点選択部110とビット列生成部120を含む。多地点制御装置100は、図12及び以下に例示するステップS110からステップS120の処理を行う。多地点制御装置100には、固定伝送路400-mから固定端末送出ビット列が入力され、移動伝送路500-nから移動端末送出ビット列が入力される。すなわち、各固定通信端末装置200-mの音信号固定送信側装置210-mが出力した固定端末送出ビット列が各固定伝送路400-mを介して入力され、各移動通信端末装置300-nの音信号移動送信側装置310-nが出力した移動端末送出ビット列が各移動伝送路500-nを介して入力される。多地点制御装置100は、フレームごとに、入力された固定端末送出ビット列と移動端末送出ビット列とに基づいて、各固定通信端末装置200-mに対する固定端末向けビット列を生成して各固定伝送路400-mに出力し、各移動通信端末装置300-nに対する移動端末向けビット列を生成して各移動伝送路500-nに出力する。すなわち、多地点制御装置100は、フレームごとに、各固定通信端末装置200-mの音信号固定受信側装置220-mに対する固定端末向けビット列を生成して各固定伝送路400-mを介して各固定通信端末装置200-mの音信号固定受信側装置220-mに対して出力し、各移動通信端末装置300-nの音信号移動受信側装置320-nに対する移動端末向けビット列を生成して各移動伝送路500-nを介して各移動通信端末装置300-nの音信号移動受信側装置320-nに対して出力する。
【0052】
<地点選択部110>
地点選択部110には、多地点制御装置100に入力された固定端末送出ビット列と、多地点制御装置100に入力された移動端末送出ビット列と、が入力される。地点選択部110は、フレームごとに、多地点制御装置100に接続された全地点、すなわち、M個の固定通信端末装置とN個の移動通信端末装置、から1個または2個の地点を選択して、選択した地点を特定可能な情報を出力する(ステップS110)。地点選択部110は、予め定めた選択基準に基づいて地点を選択すればよく、選択基準としては、重要度合いが高い地点を選択できる基準を予め定めておき、地点選択部110が選択を実行できるようにしておけばよい。
【0053】
例えば、選択基準として音信号のパワーを用いるのであれば、地点選択部110は、フレームごとに、入力されたM個の固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号とN個の移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号のそれぞれからM+N個の復号ディジタル音信号それぞれのパワーを表す情報を得て、M+N個の復号ディジタル音信号のうちのパワーが最大である復号ディジタル音信号に対応する端末装置を特定可能な情報と、M+N個の復号ディジタル音信号のうちのパワーが2番目に大きくかつ所定の閾値以上である復号ディジタル音信号に対応する端末装置を特定可能な情報と、を得て、選択地点情報としてビット列生成部120に出力する。閾値は、例えば、復号ディジタル音信号が背景雑音のみを含むと想定される場合のパワーより大きな値などであり、予め実験等により定めておけばよい。これにより、地点選択部110は、多地点制御装置100に接続された全地点から1個または2個の地点を選択して、選択した地点を特定可能な情報を出力することになる。
【0054】
例えば、地点選択部110は、復号ディジタル音信号のパワーが最大である端末装置が固定通信端末装置200-1であれば、固定通信端末装置200-1を特定可能な情報として“Fix-1”という情報を得ればよい。また、例えば、地点選択部110は、復号ディジタル音信号のパワーが2番目に大きくかつ所定の閾値以上である端末装置が移動通信端末装置300-2であれば、移動通信端末装置300-2を特定可能な情報として“Mobile-2”という情報も得ればよい。すなわち、地点選択部110は、下記のケース1からケース5の何れかの情報を選択地点情報として出力する。
ケース1:“Fix-M”(ただし、Mは1以上M以下の何れか1つの整数。)
ケース2:“Mobile-N”(ただし、Nは1以上N以下の何れか1つの整数。)
ケース3:“Fix-M”と“Fix-M”の組(ただし、Mは1以上M以下の何れか1つの整数であり、Mは1以上M以下でありMとは異なる何れか1つの整数。)
ケース4:“Fix-M”と“Mobile-N”の組(ただし、Mは1以上M以下の何れか1つの整数であり、Nは1以上N以下の何れか1つの整数。)
ケース5:“Mobile-N”と“Mobile-N”の組(ただし、Nは1以上N以下の何れか1つの整数であり、Nは1以上N以下でありNとは異なる何れか1つの整数。)
【0055】
なお、各復号ディジタル音信号のパワーを表す情報は、入力されたM個の固定端末送出ビット列とN個の移動端末送出ビット列のそれぞれから周知の方法で得ればよい。例えば、地点選択部110は、フレームごとに、入力されたM個の固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号とN個の移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号のそれぞれを上述した第1の復号方式で復号してM+N個の復号ディジタル音信号を得て、得たM+N個の復号ディジタル音信号それぞれのパワーを計算してパワーを表す情報として得てもよい。また例えば、地点選択部110は、フレームごとに、入力されたM個の固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号に含まれるパワーを表す符号とN個の移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号に含まれるパワーを表す符号のそれぞれが表す値をパワーを表す情報として得てもよい。
【0056】
また、固定端末送出ビット列と移動端末送出ビット列のそれぞれにそのフレームが有音であるか無音であるかを特定する情報が含まれている場合には、地点選択部110は、フレームごとに、入力されたM+N個の有音であるか無音であるかを特定する情報を用いて周知の方法により1個または2個の端末装置を選択して、選択した端末装置を特定可能な情報を選択地点情報としてビット列生成部120に出力してもよい。
【0057】
<ビット列生成部120>
ビット列生成部120には、多地点制御装置100に入力された固定端末送出ビット列と、多地点制御装置100に入力された移動端末送出ビット列と、地点選択部110が出力した選択地点情報と、が入力される。ビット列生成部120は、フレームごとに、入力された選択地点情報に基づいて、入力された固定端末送出ビット列と入力された移動端末送出ビット列を用いて、各固定通信端末装置200-mに対して出力する固定端末向けビット列と各移動通信端末装置300-nに対して出力する移動端末向けビット列を生成して出力する(ステップS120)。具体的には、ビット列生成部120はフレームごとに下記の何れかの処理を行う。
【0058】
[選択地点情報がケース1の情報である場合]
ビット列生成部120は、選択地点情報が“Fix-M”という情報である場合には、下記の3通りのビット列を生成して出力する。図5は、この場合の音信号を表す符号列を模式的に示した図である。
【0059】
なお、図5及び後述する図6から図9では、固定通信端末装置200-mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号と拡張符号をそれぞれCFMとCFEと表記し、移動通信端末装置300-nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号をCMMnと表記してある。
【0060】
ビット列生成部120が出力する1通り目のビット列は、音信号を表す符号列を含まない固定端末向けビット列である。選択地点情報が“Fix-M”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音のみである。しかし、固定通信端末装置200-Mには固定通信端末装置200-Mが収音した音は存在しているので、多地点制御装置100が固定通信端末装置200-Mに対して固定通信端末装置200-Mが収音した音を伝える必要は無い。そこで、ビット列生成部120は、音信号を表す符号列を含まない固定端末向けビット列を生成して固定通信端末装置200-Mに対して出力する。具体的には、ビット列生成部120は、音信号を表す符号列を含まず、符号情報が“音信号を表す符号列が無いことを表す情報”であることを表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して固定通信端末装置200-Mが接続された固定伝送路400-Mに出力する。
【0061】
ビット列生成部120が出力する2通り目のビット列は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Fix-M”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音のみである。従って、固定通信端末装置200-M以外の各固定通信端末装置200-melse(melseは、1以上M以下でありMとは異なる各整数)では固定通信端末装置200-Mが収音した音を可能な限り高品質に出力するのが好ましい。そこで、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列を生成して、各固定通信端末装置200-melseに対して出力する。具体的には、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を音信号を表す符号として含み、符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”であることを表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して、各固定通信端末装置200-melseが接続された各固定伝送路400-melseに出力する。すなわち、固定通信端末装置200-melse向けの固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1が音信号を表す符号として含まれる。
【0062】
ビット列生成部120が出力する3通り目のビット列は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Fix-M”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音のみである。従って、各移動通信端末装置300-n(nは、1以上N以下の各整数)では固定通信端末装置200-Mが収音した音を可能な限り高品質に出力するのが好ましい。しかし、多地点制御装置100と各移動通信端末装置300-nを介する移動伝送路500-nの通信容量は、1個のモノラル符号に加えて拡張符号も送れるほど大きくない。そこで、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列を生成して、各移動通信端末装置300-nに対して出力する、すなわち、各移動通信端末装置300-nが接続された各移動伝送路500-nに出力する。すなわち、移動通信端末装置300-n向けの移動端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CFMM1が音信号を表す符号として含まれる。
【0063】
[選択地点情報がケース2の情報である場合]
ビット列生成部120は、選択地点情報が“Mobile-N”という情報である場合には、下記の3通りのビット列を生成して出力する。図6は、この場合の音信号を表す符号列を模式的に示した図である。
【0064】
ビット列生成部120が出力する1通り目のビット列は、音信号を表す符号列を含まない移動端末向けビット列である。選択地点情報が“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は移動通信端末装置300-Nが収音した音のみである。しかし、移動通信端末装置300-Nには移動通信端末装置300-Nが収音した音は存在しているので、多地点制御装置100が移動通信端末装置300-Nに対して移動通信端末装置300-Nが収音した音を伝える必要は無い。そこで、ビット列生成部120は、音信号を表す符号列を含まない移動端末向けビット列を生成して移動通信端末装置300-Nに対して出力する、すなわち、移動通信端末装置300-Nが接続された移動伝送路500-Nに出力する。
【0065】
ビット列生成部120が出力する2通り目のビット列は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は移動通信端末装置300-Nが収音した音のみである。従って、移動通信端末装置300-N以外の各移動通信端末装置300-nelse(nelseは、1以上N以下でありNとは異なる各整数)では移動通信端末装置300-Nが収音した音を可能な限り高品質に出力するのが好ましい。そこで、ビット列生成部120は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列を生成して、各移動通信端末装置300-nelseに対して出力する、すなわち、各移動通信端末装置300-nelseが接続された各移動伝送路500-nelseに出力する。すなわち、移動通信端末装置300-nelse向けの移動端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CMMN1が音信号を表す符号として含まれる。
【0066】
ビット列生成部120が出力する3通り目のビット列は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は移動通信端末装置300-Nが収音した音のみである。従って、各固定通信端末装置200-m(mは、1以上M以下の各整数)では移動通信端末装置300-Nが収音した音を可能な限り高品質に出力するのが好ましい。ただし、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれる音信号を表す符号はモノラル符号CMMN1のみであり、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列には拡張符号は含まれない。そこで、ビット列生成部120は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列を生成して、各固定通信端末装置200-mに対して出力する。具体的には、ビット列生成部120は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を音信号を表す符号として含み、符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1個のモノラル符号であることを表す情報”であることを表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して、各固定通信端末装置200-mが接続された各固定伝送路400-mに出力する。すなわち、固定通信端末装置200-m向けの固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CMMN1が音信号を表す符号として含まれる。
【0067】
[選択地点情報がケース3の情報である場合]
ビット列生成部120は、選択地点情報が“Fix-M”と“Fix-M”という情報である場合には、下記の4通りのビット列を生成して出力する。ただし、M=2の場合には、下記の3通り目のビット列を生成して出力する必要は無いため、下記の1通り目と2通り目と4通り目の3通りのビット列を生成して出力する。図7は、この場合の音信号を表す符号列を模式的に示した図である。
【0068】
ビット列生成部120が出力する1通り目のビット列は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM2と拡張符号CFEM2を音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列である。選択地点情報が“Fix-M”と“Fix-M”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音と固定通信端末装置200-Mが収音した音である。しかし、固定通信端末装置200-Mには固定通信端末装置200-Mが収音した音は存在しているので、多地点制御装置100が固定通信端末装置200-Mに対して固定通信端末装置200-Mが収音した音を伝える必要は無い。従って、固定通信端末装置200-Mでは固定通信端末装置200-Mが収音した音を可能な限り品質に出力するのが好ましい。そこで、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM2と拡張符号CFEM2を音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列を生成して、固定通信端末装置200-Mに対して出力する。具体的には、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM2と拡張符号CFEM2を音信号を表す符号として含み、符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”であることを表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して、固定通信端末装置200-Mが接続された固定伝送路400-Mに出力する。すなわち、固定通信端末装置200-M向けの固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CFMM2と拡張符号CFEM2が音信号を表す符号として含まれる。
【0069】
ビット列生成部120が出力する2通り目のビット列は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Fix-M”と“Fix-M”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音と固定通信端末装置200-Mが収音した音である。しかし、固定通信端末装置200-Mには固定通信端末装置200-Mが収音した音は存在しているので、多地点制御装置100が固定通信端末装置200-Mに対して固定通信端末装置200-Mが収音した音を伝える必要は無い。従って、固定通信端末装置200-Mでは固定通信端末装置200-Mが収音した音を可能な限り高品質に出力するのが好ましい。そこで、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列を生成して、固定通信端末装置200-Mに対して出力する。具体的には、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を音信号を表す符号として含み、符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”であることを表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して、固定通信端末装置200-Mが接続された固定伝送路400-Mに出力する。すなわち、固定通信端末装置200-M向けの固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1が音信号を表す符号として含まれる。
【0070】
ビット列生成部120が出力する3通り目のビット列は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM2とを音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Fix-M”と“Fix-M”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音と固定通信端末装置200-Mが収音した音である。従って、固定通信端末装置200-Mでも固定通信端末装置200-Mでもない各固定通信端末装置200-melse(melseは、1以上M以下でありMともMとも異なる各整数)では固定通信端末装置200-Mが収音した音と固定通信端末装置200-Mが収音した音とを可能な限り高品質に出力するのが好ましい。しかし、多地点制御装置100と各固定通信端末装置200-melseを介する固定伝送路400-melseの通信容量は、2個のモノラル符号に加えて拡張符号も送れるほど大きくない。また、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を復号して2チャンネルの復号ディジタル音信号を得て、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM2と拡張符号CFEM2を復号して2チャンネルの復号ディジタル音信号を得て、2チャンネルそれぞれについて2個の復号ディジタル音信号を混合してから符号化してモノラル符号と拡張符号を得れば、多地点制御装置100と各固定通信端末装置200-melseを介する固定伝送路400-melseの通信容量に収まる1組のモノラル符号と拡張符号とすることができるが、符号化と復号の組がタンデム接続になってしまうため、音質が劣化してしまう。そこで、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM2とを音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列を生成して、固定通信端末装置200-melseに対して出力する。具体的には、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM2とを音信号を表す符号として含み、符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が2個のモノラル符号であることを表す情報”であることを表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して、各固定通信端末装置200-melseが接続された各固定伝送路400-melseに出力する。すなわち、固定通信端末装置200-melse向けの固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CFMM1とモノラル符号CFMM2が音信号を表す符号として含まれる。
【0071】
ビット列生成部120が出力する4通り目のビット列は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM2のそれぞれを復号して得た復号ディジタル音信号を混合してから符号化して得たモノラル符号CTMM1M2を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Fix-M”と“Fix-M”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音と固定通信端末装置200-Mが収音した音である。従って、各移動通信端末装置300-n(nは、1以上N以下の各整数)では固定通信端末装置200-Mが収音した音と固定通信端末装置200-Mが収音した音とを可能な限り高品質に出力するのが好ましい。しかし、多地点制御装置100と各移動通信端末装置300-nを介する移動伝送路500-nの通信容量は、2個のモノラル符号を送れるほど大きくない。そうすると、各移動通信端末装置300-nでは、固定通信端末装置200-Mが収音した音と固定通信端末装置200-Mが収音した音とを、音質が劣化してしまったとしても最低限出力できるようにするのが望ましい。そこで、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1を復号して第1の復号ディジタル音信号を得て、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM2を復号して第2の復号ディジタル音信号を得て、第1の復号ディジタル音信号と第2の復号ディジタル音信号の対応するサンプル同士の平均値による系列を得るなどによって第1の復号ディジタル音信号と第2の復号ディジタル音信号を混合して混合ディジタル音信号を得て、混合ディジタル音信号を上述した第1の符号化方式で符号化してモノラル符号CTMM1M2を得て、混合ディジタル音信号から得たモノラル符号CTMM1M2を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列を生成して、各移動通信端末装置300-nに対して出力する、すなわち、各移動通信端末装置300-nが接続された各移動伝送路500-nに出力する。すなわち、移動通信端末装置300-n向けの移動端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CTMM1M2が音信号を表す符号として含まれる。
【0072】
なお、地点選択部110がM+N個の復号ディジタル音信号を得た場合には、第1の復号ディジタル音信号と第2の復号ディジタル信号は、地点選択部110が得たM+N個の復号ディジタル音信号のうちの2個と同じであるので、ビット列生成部120がモノラル符号を復号して復号ディジタル音信号を得ることに代えて、地点選択部110が得た復号ディジタル音信号を地点選択部110がビット列生成部120に出力して、ビット列生成部120では地点選択部110から入力された復号ディジタル音信号を用いるようにしてもよい。
【0073】
[選択地点情報がケース4の情報である場合]
ビット列生成部120は、選択地点情報が“Fix-M”と“Mobile-N”という情報である場合には、下記の4通りのビット列を生成して出力する。図8は、この場合の音信号を表す符号列を模式的に示した図である。
【0074】
ビット列生成部120が出力する1通り目のビット列は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を音信号を表す符号として含む固定端末ビット列である。選択地点情報が“Fix-M”と“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音である。しかし、固定通信端末装置200-Mには固定通信端末装置200-Mが収音した音は存在しているので、多地点制御装置100が固定通信端末装置200-Mに対して固定通信端末装置200-Mが収音した音を伝える必要は無い。従って、固定通信端末装置200-Mでは移動通信端末装置300-Nが収音した音を可能な限り高品質に出力するのが好ましい。ただし、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれる音信号を表す符号はモノラル符号CMMN1のみであり、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列には拡張符号は含まれない。そこで、ビット列生成部120は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列を生成して、固定通信端末装置200-Mに対して出力する。具体的には、ビット列生成部120は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を音信号を表す符号として含み、符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1個のモノラル符号であることを表す情報”であることを表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して、固定通信端末装置200-Mが接続された固定伝送路400-Mに出力する。すなわち、固定通信端末装置200-M向けの固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CMMN1が音信号を表す符号として含まれる。
【0075】
ビット列生成部120が出力する2通り目のビット列は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Fix-M”と“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音である。しかし、移動通信端末装置300-Nには移動通信端末装置300-Nが収音した音は存在しているので、多地点制御装置100が移動通信端末装置300-Nに対して移動通信端末装置300-Nが収音した音を伝える必要は無い。従って、移動通信端末装置300-Nでは固定通信端末装置200-Mが収音した音を可能な限り高品質に出力するのが好ましい。しかし、多地点制御装置100と移動通信端末装置300-Nを介する移動伝送路500-Nの通信容量は、1個のモノラル符号に加えて拡張符号も送れるほど大きくない。そこで、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列を生成して、移動通信端末装置300-Nに対して出力する、すなわち、移動通信端末装置300-Nが接続された移動伝送路500-Nに出力する。すなわち、移動通信端末装置300-N向けの移動端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CFMM1が音信号を表す符号として含まれる。
【0076】
ビット列生成部120が出力する3通り目のビット列は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1とを音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Fix-M”と“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音である。従って、固定通信端末装置200-M以外の各固定通信端末装置200-melse(melseは、1以上M以下でありMとは異なる各整数)では固定通信端末装置200-Mが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音とを可能な限り高品質に出力するのが好ましい。ただし、多地点制御装置100と各固定通信端末装置200-melseを介する固定伝送路400-melseの通信容量は、2個のモノラル符号に加えて拡張符号も送れるほど大きくない。また、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を復号して2チャンネルの復号ディジタル音信号を得て、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を復号してモノラルの復号ディジタル音信号を得て、2チャンネルのうちの一方のチャンネルの復号ディジタル音信号とモノラルの復号音ディジタル音信号を混合し、2チャンネルのうちのもう一方のチャンネルの復号ディジタル音信号とモノラルの復号音ディジタル音信号を混合してから符号化してモノラル符号と拡張符号を得れば、多地点制御装置100と各固定通信端末装置200-melseを介する固定伝送路400-melseの通信容量に収まる1組のモノラル符号と拡張符号とすることができるが、符号化と復号の組がタンデム接続になってしまうため、音質が劣化してしまう。そこで、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1とを音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列を生成して、固定通信端末装置200-melseに対して出力する。具体的には、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1とを音信号を表す符号として含み、符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が2個のモノラル符号であることを表す情報”であること表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して、各固定通信端末装置200-melseが接続された各固定伝送路400-melseに出力する。すなわち、固定通信端末装置200-melse向けの固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CFMM1とモノラル符号CMMN1が音信号を表す符号として含まれる。
【0077】
ビット列生成部120が出力する4通り目のビット列は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1と移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1のそれぞれを復号して得た復号ディジタル音信号を混合してから符号化して得たモノラル符号CTMM1N1を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Fix-M”と“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は固定通信端末装置200-Mが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音である。従って、移動通信端末装置300-N以外の各移動通信端末装置300-nelse(nelseは、1以上N以下でありNとは異なる各整数)では固定通信端末装置200-Mが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音とを可能な限り高品質に出力するのが好ましい。しかし、多地点制御装置100と各移動通信端末装置300-nelseを介する移動伝送路500-nelseの通信容量は、2個のモノラル符号を送れるほど大きくはない。そうすると、各移動通信端末装置300-nelseでは、固定通信端末装置200-Mが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音とを、音質が劣化してしまったとしても最低限出力できるようにするのが望ましい。そこで、ビット列生成部120は、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CFMM1を復号して第1の復号ディジタル音信号を得て、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を復号して第2の復号ディジタル音信号を得て、第1の復号ディジタル音信号と第2の復号ディジタル音信号の対応するサンプル同士の平均値による系列を得るなどによって第1の復号ディジタル音信号と第2の復号ディジタル音信号を混合して混合ディジタル音信号を得て、混合ディジタル音信号を上述した第1の符号化方式で符号化してモノラル符号CTMM1N1を得て、混合ディジタル音信号から得たモノラル符号CTMM1N1を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列を生成して、移動通信端末装置300-nelseに対して出力する、すなわち、各移動通信端末装置300-nelseが接続された各移動伝送路500-nelseに出力する。すなわち、移動通信端末装置300-nelse向けの移動端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CTMM1N1が音信号を表す符号として含まれる。
【0078】
なお、地点選択部110がM+N個の復号ディジタル音信号を得た場合には、第1の復号ディジタル音信号と第2の復号ディジタル信号は、地点選択部110が得たM+N個の復号ディジタル音信号のうちの2個と同じであるので、ビット列生成部120がモノラル符号を復号して復号ディジタル音信号を得ることに代えて、地点選択部110が得た復号ディジタル音信号を地点選択部110がビット列生成部120に出力して、ビット列生成部120では地点選択部110から入力された復号ディジタル音信号を用いるようにしてもよい。
【0079】
[選択地点情報がケース5の情報である場合]
ビット列生成部120は、選択地点情報が“Mobile-N”と“Mobile-N”という情報である場合には、下記の4通りの何れかであるビット列を生成して出力する。ただし、N=2の場合には、下記の3通り目のビット列を生成して出力する必要は無いため、下記の1通り目と2通り目と4通り目の3通りのビット列を生成して出力する。図9は、この場合の音信号を表す符号列を模式的に示した図である。
【0080】
ビット列生成部120が出力する1通り目のビット列は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN2を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列である。選択地点情報が“Mobile-N”と“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は移動通信端末装置300-Nが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音である。しかし、移動通信端末装置300-Nには移動通信端末装置300-Nが収音した音は存在しているので、多地点制御装置100が移動通信端末装置300-Nに対して移動通信端末装置300-Nが収音した音を伝える必要は無い。従って、移動通信端末装置300-Nでは移動通信端末装置300-Nが収音した音を可能な限り高品質に出力するのが好ましい。そこで、ビット列生成部120は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN2を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列を生成して、移動通信端末装置300-Nに対して出力する、すなわち、移動通信端末装置300-Nが接続された移動伝送路500-Nに出力する。すなわち、移動通信端末装置300-N向けの移動端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CMMN2が音信号を表す符号として含まれる。
【0081】
ビット列生成部120が出力する2通り目のビット列は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Mobile-N”と“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は移動通信端末装置300-Nが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音である。しかし、移動通信端末装置300-Nには移動通信端末装置300-Nが収音した音は存在しているので、多地点制御装置100が移動通信端末装置300-Nに対して移動通信端末装置300-Nが収音した音を伝える必要は無い。従って、移動通信端末装置300-Nでは移動通信端末装置300-Nが収音した音を可能な限り高品質に出力するのが好ましい。そこで、ビット列生成部120は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列を生成して、移動通信端末装置300-Nに対して出力する、すなわち、移動通信端末装置300-Nが接続された移動伝送路500-Nに出力する。すなわち、移動通信端末装置300-N向けの移動端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CMMN1が音信号を表す符号として含まれる。
【0082】
ビット列生成部120が出力する3通り目のビット列は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1と移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN2のそれぞれを復号して得た復号ディジタル音信号を混合してから符号化して得たモノラル符号CTMN1N2を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Mobile-N”と“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は移動通信端末装置300-Nが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音である。従って、移動通信端末装置300-Nでも移動通信端末装置300-Nでもない各移動通信端末装置300-nelse(nelseは1以上N以下でありNともNとも異なる各整数)では移動通信端末装置300-Nが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音とを可能な限り高品質に出力するのが好ましい。しかし、多地点制御装置100と各移動通信端末装置300-nelseを介する移動伝送路500-nelseの通信容量は、2個のモノラル符号を送れるほど大きくない。そうすると、各移動通信端末装置300-nelseでは、移動通信端末装置300-Nが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音とを、音質が劣化してしまったとしても最低限出力できるようにするのが望ましい。そこで、ビット列生成部120は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1を復号して第1の復号ディジタル音信号を得て、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN2を復号して第2の復号ディジタル音信号を得て、第1の復号ディジタル音信号と第2の復号ディジタル音信号の対応するサンプル同士の平均値による系列を得るなどによって第1の復号ディジタル音信号と第2の復号ディジタル音信号を混合して混合ディジタル音信号を得て、混合ディジタル音信号を上述した第1の符号化方式で符号化してモノラル符号CTMN1N2を得て、混合ディジタル音信号から得たモノラル符号CTMN1N2を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列を生成して、各移動通信端末装置300-nelseに対して出力する、すなわち、各移動通信端末装置300-nelseが接続された各移動伝送路500-nelseに出力する。すなわち、移動通信端末装置300-nelse向けの移動端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CTMN1N2が音信号を表す符号として含まれる。
【0083】
なお、地点選択部110がM+N個の復号ディジタル音信号を得た場合には、第1の復号ディジタル音信号と第2の復号ディジタル信号は、地点選択部110が得たM+N個の復号ディジタル音信号のうちの2個と同じであるので、ビット列生成部120がモノラル符号を復号して復号ディジタル音信号を得ることに代えて、地点選択部110が得た復号ディジタル音信号を地点選択部110がビット列生成部120に出力して、ビット列生成部120では地点選択部110から入力された復号ディジタル音信号を用いるようにしてもよい。
【0084】
ビット列生成部120が出力する4通り目のビット列は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1と移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN2とを音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列である。上述した通り、選択地点情報が“Mobile-N”と“Mobile-N”であるということは、各端末装置で必要な音は移動通信端末装置300-Nが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音である。従って、各固定通信端末装置200-m(mは1以上M以下の各整数)では移動通信端末装置300-Nが収音した音と移動通信端末装置300-Nが収音した音とを可能な限り高品質に出力するのが好ましい。そこで、ビット列生成部120は、移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1と移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN2とを音信号を表す符号として含む固定端末向けビット列を生成して、固定通信端末装置200-mに対して出力する。具体的には、ビット列生成部120は、移動通信端末装置300-Nが出力した固定端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN1と移動通信端末装置300-Nが出力した移動端末送出ビット列に含まれるモノラル符号CMMN2とを音信号を表す符号として含み、符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が2個のモノラル符号であることを表す情報”であることを表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して、各固定通信端末装置200-mが接続された各固定伝送路400-mに出力する。すなわち、固定通信端末装置200-m向けの固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号列には、モノラル符号CMMN1とモノラル符号CMMN2が音信号を表す符号として含まれる。
【0085】
≪多地点電話接続システム10の動作≫
次に、第一実施形態の多地点電話接続システム10のフレームごとの動作、すなわち、第一実施形態の多地点電話接続システム10がフレームごとに行う多地点電話接続方法を説明する。
【0086】
多地点電話接続システム10は、多地点制御装置100に各端末装置からビット列が伝えられるところまでは、後述する何れのケースの場合でも同じ動作をする。具体的には、後述する何れのケースの場合でも、各固定通信端末装置200-mは、収音した2個のチャンネルのディジタル音信号が混合された信号を第1の符号化方式で符号化してモノラル符号CFMを得て、収音した2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を表す符号を拡張符号CFEとして得て、得たモノラル符号CFMと拡張符号CFEとを収音した2個のチャンネルのディジタル音信号を表す符号として多地点制御装置100に対して出力する。また、後述する何れのケースの場合でも、各移動通信端末装置300-nは、収音した1個のチャンネルのディジタル音信号を第1の符号化方式で符号化してモノラル符号CMMを得て、得たモノラル符号CMMを収音した1個のチャンネルのディジタル音信号を表す符号として多地点制御装置100に対して出力する。
【0087】
一方、多地点電話接続システム10は、多地点制御装置100に各端末装置からビット列が伝えられた後は、後述するケースごとに下記の動作をする。
【0088】
[固定通信端末装置200-M(Mは1以上M以下の何れか1つの整数)のみが選択されるケース]
選択基準として音信号のパワーを用いる上述した例であれば、M+N個の端末装置のうちの音信号のパワーが最大であるのが固定通信端末装置200-Mであり、パワーが2番目に大きい音信号はパワーが閾値より小さい場合がこのケースに該当する。
【0089】
このケースの場合には、多地点制御装置100の地点選択部110が上述したケース1の選択地点情報を出力し、多地点制御装置100のビット列生成部120が上述した[選択地点情報がケース1の情報である場合]の動作を行うことから、以降の各端末装置の動作も含めると、多地点電話接続システム10としては下記のように動作することになる。
・多地点制御装置100は、固定通信端末装置200-Mに対しては、音信号を表す符号を出力しない。固定通信端末装置200-Mは、音信号を表す符号を復号せずに、復号音信号を得ない。
・多地点制御装置100は、固定通信端末装置200-M以外の各固定通信端末装置200-melse(melseは1以上M以下でありMとは異なる各整数)に対しては、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号を表すモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を出力する。各固定通信端末装置200-melseは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1から、上述したケースAの処理を行って、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号に対応する2チャンネルステレオの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、各移動通信端末装置300-n(nは1以上N以下の各整数)に対しては、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1のみを出力する。各移動通信端末装置300-nは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CFMM1から、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号が混合されたモノラルの復号音信号を得る。
【0090】
なお、音声会議の例であれば、固定通信端末装置200-Mのみが発声地点であるフレームがこのケースに相当し、多地点電話接続システム10としては下記のように動作することになる。
・多地点制御装置100は、発声地点の固定通信端末装置200-Mに対しては、音信号を表す符号を出力しない。固定通信端末装置200-Mは、音信号を表す符号を復号せずに、復号音信号を得ない。
・多地点制御装置100は、発声地点以外の各固定通信端末装置200-Melseに対しては、発声地点の2チャンネルステレオの音信号を表すモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を出力する。発声地点以外の各固定通信端末装置200-Melseは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1から、上述したケースAの処理を行って、発声地点の2チャンネルステレオの音信号に対応する音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、2チャンネルステレオの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、各移動通信端末装置300-nに対しては、発声地点の2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1のみを出力する。各移動通信端末装置300-nは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CFMM1から、発声地点の2チャンネルステレオの音信号が混合された音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、モノラルの復号音信号を得る。
【0091】
[移動通信端末装置300-N(Nは1以上N以下の何れか1つの整数)のみが選択されるケース]
選択基準として音信号のパワーを用いる上述した例であれば、M+N個の端末装置のうちの音信号のパワーが最大であるのが移動通信端末装置300-Nであり、パワーが2番目に大きい音信号はパワーが閾値より小さい場合がこのケースに該当する。
【0092】
このケースの場合には、多地点制御装置100の地点選択部110が上述したケース2の選択地点情報を出力し、多地点制御装置100のビット列生成部120が上述した[選択地点情報がケース2の情報である場合]の動作を行うことから、以降の各端末装置の動作も含めると、多地点電話接続システム10としては下記のように動作することになる。
・多地点制御装置100は、移動通信端末装置300-Nに対しては、音信号を表す符号を出力しない。移動通信端末装置300-Nは、音信号を表す符号を復号せずに、復号音信号を得ない。
・多地点制御装置100は、移動通信端末装置300-N以外の各移動通信端末装置300-nelse(nelseは1以上N以下でありNとは異なる各整数)に対しては、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1を出力する。各移動通信端末装置300-nelseは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CMMN1から、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号に対応するモノラルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、各固定通信端末装置200-m(mは1以上M以下の各整数)に対しては、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1を出力する。各固定通信端末装置200-mは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CMMN1から、上述したケースCの処理を行って、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号に対応するモノラルの復号音信号を得る。
【0093】
なお、音声会議の例であれば、移動通信端末装置300-Nのみが発声地点であるフレームがこのケースに相当し、多地点電話接続システム10としては下記のように動作することになる。
・多地点制御装置100は、発声地点の移動通信端末装置300-Nに対しては、音信号を表す符号を出力しない。移動通信端末装置300-Nは、音信号を表す符号を復号せずに、復号音信号を得ない。
・多地点制御装置100は、発声地点以外の各移動通信端末装置300-nelseに対しては、発声地点のモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1を出力する。発声地点以外の発声地点以外の各移動通信端末装置300-nelseは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CMMN1から、発声地点のモノラルの音信号に対応する音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、モノラルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、各固定通信端末装置200-mに対しては、発声地点のモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1を出力する。各固定通信端末装置200-mは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CMMN1から、上述したケースCの処理を行って、発声地点のモノラルの音信号に対応する音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、モノラルの復号音信号を得る。
【0094】
[固定通信端末装置200-M(Mは1以上M以下の何れか1つの整数)と固定通信端末装置200-M(Mは1以上M以下でありMとは異なる何れか1つの整数)が選択されるケース]
選択基準として音信号のパワーを用いる上述した例であれば、M+N個の端末装置のうちの音信号のパワーが最大のものとパワーが2番目に大きく閾値以上であるものが、固定通信端末装置200-Mと固定通信端末装置200-Mである場合がこのケースに該当する。
【0095】
このケースの場合には、多地点制御装置100の地点選択部110が上述したケース3の選択地点情報を出力し、多地点制御装置100のビット列生成部120が上述した[選択地点情報がケース3の情報である場合]の動作を行うことから、以降の各端末装置の動作も含めると、多地点電話接続システム10としては下記のように動作することになる。
・多地点制御装置100は、固定通信端末装置200-Mに対しては、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号を表すモノラル符号CFMM2と拡張符号CFEM2を出力する。固定通信端末装置200-Mは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CFMM2と拡張符号CFEM2から、上述したケースAの処理を行って、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号に対応する2チャンネルステレオの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、固定通信端末装置200-Mに対しては、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号を表すモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1を出力する。固定通信端末装置200-Mは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CFMM1と拡張符号CFEM1から、上述したケースAの処理を行って、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号に対応する2チャンネルステレオの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、固定通信端末装置200-Mでも固定通信端末装置200-Mでもない各固定通信端末装置200-melse(melseは1以上M以下でありMともMとも異なる各整数)に対しては、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1と固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM2とを出力する。各固定通信端末装置200-melseは、多地点制御装置100が出力した2個のモノラル符号CFMM1とCFMM2から、上述したケースBの処理を行って、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号が混合されたモノラルの復号音信号と、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号が混合されたモノラルの復号音信号と、の計2個のチャンネルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、各移動通信端末装置300-n(nは1以上N以下の各整数)に対しては、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1を復号して得た音信号と固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1を復号して得た音信号とを混合してから符号化して得たモノラル符号CTMM1M2を出力する。各移動通信端末装置300-nは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CTMM1M2から、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号と固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号が混合された音信号に対応する1個のモノラルの復号音信号を得る。
【0096】
なお、音声会議の例であれば、固定通信端末装置200-Mと固定通信端末装置200-Mの2地点が発声地点であるフレームがこのケースに相当し、多地点電話接続システム10としては下記のように動作することになる。
・多地点制御装置100は、発声地点の固定通信端末装置200-Mと固定通信端末装置200-Mのそれぞれに対しては、他方の発声地点の2チャンネルステレオの音信号を表すモノラル符号CFMMx(xは1または2)と拡張符号CFEMxを出力する。発声地点の固定通信端末装置200-Mと固定通信端末装置200-Mのそれぞれは、多地点制御装置100が出力したモノラル符号CFMMxと拡張符号CFEMxから、上述したケースAの処理を行って、他方の発声地点の2チャンネルステレオの音信号に対応する音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、2チャンネルステレオの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、発声地点以外の各固定通信端末装置200-melseに対しては、2個の発声地点それぞれの2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちののモノラル符号CFMM1とCFMM2を出力する。発声地点以外の各固定通信端末装置200-melseは、多地点制御装置100が出力した2個のモノラル符号CFMM1とCFMM2から、上述したケースBの処理を行って、各発声地点の2チャンネルステレオの音信号が発声地点ごとに混合された音信号に対応する2個のモノラルの音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、計2個のチャンネルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、各移動通信端末装置300-nに対しては、2個の発声地点それぞれの2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1とCFMM2を復号して得た2個の音信号を混合して符号化して得た1個の音信号を表すモノラル符号CTMM1M2を出力する。各移動通信端末装置300-nは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CTMM1M2から、2個の発声地点の全ての音信号が混合されたモノラルの音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続された音信号である、1個の復号音信号を得る。
【0097】
[固定通信端末装置200-M(Mは1以上M以下の何れか1つの整数)と移動通信端末装置300-N(Nは1以上N以下の何れか1つの整数)が選択されるケース]
選択基準として音信号のパワーを用いる上述した例であれば、M+N個の端末装置のうちの音信号のパワーが最大のものとパワーが2番目に大きく閾値以上であるものが、固定通信端末装置200-Mと移動通信端末装置300-Nである場合がこのケースに該当する。
【0098】
このケースの場合には、多地点制御装置100の地点選択部110が上述したケース4の選択地点情報を出力し、多地点制御装置100のビット列生成部120が上述した[選択地点情報がケース4の情報である場合]の動作を行うことから、以降の各端末装置の動作も含めると、多地点電話接続システム10としては下記のように動作することになる。
・多地点制御装置100は、固定通信端末装置200-Mに対しては、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1を出力する。固定通信端末装置200-Mは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CMMN1から、上述したケースCの処理を行って、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号に対応するモノラルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、移動通信端末装置300-Nに対しては、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1を出力する。移動通信端末装置300-Nは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CFMM1から、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号が混合されたモノラルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、固定通信端末装置200-Mではない各固定通信端末装置200-melse(melseは1以上M以下でありMとは異なる各整数)に対しては、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1と移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1とを出力する。各固定通信端末装置200-melseは、多地点制御装置100が出力した2個のモノラル符号CFMM1とCMMN1から、上述したケースBの処理を行って、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号が混合されたモノラルの音信号と、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号に対応するモノラルの音信号と、の計2個のチャンネルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、移動通信端末装置300-Nではない各移動通信端末装置300-nelse(nelseは1以上N以下でありNとは異なる各整数)に対しては、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオ音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1を復号して得た音信号と移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1を復号して得た音信号とを混合してから符号化して得たモノラル符号CTMM1N1を出力する。各移動通信端末装置300-nelseは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CTMM1N1から、固定通信端末装置200-Mが収音した2チャンネルステレオの音信号と移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号が混合された音信号に対応する1個のモノラルの復号音信号を得る。
【0099】
なお、音声会議の例であれば、固定通信端末装置200-Mと移動通信端末装置300-Nの2地点が発声地点であるフレームがこのケースに相当し、多地点電話接続システム10としては下記のように動作することになる。
・多地点制御装置100は、発声地点の固定通信端末装置200-Mに対しては、他方の発声地点の音信号を表すモノラル符号CMMN1を出力する。発声地点の固定通信端末装置200-Mは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CMMN1から、上述したケースCの処理を行って、他方の発声地点のモノラルの音信号に対応するモノラルの音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、モノラルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、発声地点の移動通信端末装置300-Nに対しては、他方の発声地点の2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1のみを出力する。移動通信端末装置300-Nは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CFMM1から、他方の発声地点の2チャンネルステレオの音信号が混合された音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、モノラルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、発声地点以外の各固定通信端末装置200-melseに対しては、2個の発声地点の音信号を表す2個のモノラル符号CFMM1とCMMN1を出力する。すなわち、1つの発声地点の2チャンネルステレオの音信号を表す符号のうちのモノラル符号CFMM1と別の発声地点のモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1を出力する。発声地点以外の各固定通信端末装置200-melseは、多地点制御装置100が出力した2個のモノラル符号CFMM1とCMMN1から、上述したケースBの処理を行って、2個の発声地点それぞれのモノラルの音信号に対応する音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、計2個のチャンネルの復号音信号を得る。2個の発声地点それぞれのモノラルの音信号に対応する音信号とは、1つの発声地点の2チャンネルステレオの音信号が混合された音信号に対応する音信号と、別の発声地点のモノラルの音信号に対応する音信号と、である。
・多地点制御装置100は、発声地点以外の各移動通信端末装置300-nelseに対しては、2個の発声地点のモノラル符号CFMM1とCMMN1を復号して得た音信号を混合して符号化して得た1個の音信号を表すモノラル符号CTMM1N1を出力する。発声地点以外の各移動通信端末装置300-nelseは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CTMM1N1から、2個の発声地点の全ての音信号が混合されたモノラルの音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続され混合された音信号である、1個の復号音信号を得る。
【0100】
[移動通信端末装置300-N(Nは1以上N以下の何れか1つの整数)と移動通信端末装置300-N(Nは1以上N以下でありNとは異なる何れか1つの整数)が選択されるケース]
選択基準として音信号のパワーを用いる上述した例であれば、M+N個の端末装置のうちの音信号のパワーが最大のものとパワーが2番目に大きく閾値以上であるものが、移動通信端末装置300-N(Nは1以上N以下の何れか1つの整数)と移動通信端末装置300-N(Nは1以上N以下でありNとは異なる何れか1つの整数)である場合がこのケースに該当する。
【0101】
このケースの場合には、多地点制御装置100の地点選択部110が上述したケース5の選択地点情報を出力し、多地点制御装置100のビット列生成部120が上述した[選択地点情報がケース5の情報である場合]の動作を行うことから、以降の各端末装置の動作も含めると、多地点電話接続システム10としては下記のように動作することになる。
・多地点制御装置100は、移動通信端末装置300-Nに対しては、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN2を出力する。移動通信端末装置300-Nは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CMMN2から、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号に対応するモノラルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、移動通信端末装置300-Nに対しては、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1を出力する。移動通信端末装置300-Nは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CMMN1から、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号に対応するモノラルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、移動通信端末装置300-Nでも移動通信端末装置300-Nでもない各移動通信端末装置300-nelse(nelseは1以上N以下でありNともNとも異なる各整数)に対しては、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1を復号して得た音信号と移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN2を復号して得た音信号とを混合してから符号化して得たモノラル符号CMMN1N2を出力する。各移動通信端末装置300-nelseは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CMMN1N2から、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号と移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号が混合された音信号に対応する1個のモノラルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、各固定通信端末装置200-m(mは1以上M以下の各整数)に対しては、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN1と移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMN2とを出力する。各固定通信端末装置200-mは、多地点制御装置100が出力した2個のモノラル符号CMMN1とCMMN2から、上述したケースBの処理を行って、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号に対応する音信号と、移動通信端末装置300-Nが収音したモノラルの音信号に対応する音信号と、の計2個のチャンネルの復号音信号を得る。
【0102】
なお、音声会議の例であれば、移動通信端末装置300-Nと移動通信端末装置300-Nの2地点が発声地点であるフレームがこのケースに相当し、多地点電話接続システム10としては下記のように動作することになる。
・多地点制御装置100は、発声地点の移動通信端末装置300-Nと移動通信端末装置300-Nのそれぞれに対しては、他方の発声地点のモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMMx(xは1または2)を出力する。発声地点の移動通信端末装置300-Nと移動通信端末装置300-Nのそれぞれは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CMMMxから、他方の発声地点のモノラルの音信号に対応する音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、モノラルの復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、発声地点以外の各移動通信端末装置300-nelseに対しては、2個の発声地点それぞれのモノラルの音信号を表すモノラル符号CMMM1とCMMM2を復号して得た音信号を混合して符号化して得た1個の音信号を表すモノラル符号CTMM1M2を出力する。発声地点以外の各移動通信端末装置300-nelseは、多地点制御装置100が出力した1個のモノラル符号CTMM1M2から、2個の発声地点の全ての音信号が混合されたモノラルの音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続され混合された音信号である、1個の復号音信号を得る。
・多地点制御装置100は、各固定通信端末装置200-mに対しては、2個の発声地点のモノラルの音信号を表す2個のモノラル符号CMMM1とCMMM2を出力する。各固定通信端末装置200-mは、多地点制御装置100が出力した2個のモノラル符号CMMM1とCMMM2から、上述したケースBの処理を行って、2個の発声地点それぞれのモノラルの音信号に対応する2個のモノラルの音信号であり、符号化と復号の組がタンデム接続ではない音信号である、計2個のチャンネルの復号音信号を得る。
【0103】
<第二実施形態>
第一実施形態の固定通信端末装置の符号化部では、拡張符号のみを用いても2個のチャンネルの復号ディジタル音信号の何れも得ることができない符号であり、モノラル符号と併せて用いることで2個のチャンネルの復号ディジタル音信号の両方を得ることができる符号を拡張符号として得るようにしていたが、モノラル符号と併せて用いずに拡張符号のみを用いることで2個のチャンネルの復号ディジタル音信号の両方を得ることができる符号を拡張符号として得るようにしてもよい。この形態を第二実施形態として説明する。
【0104】
第二実施形態の多地点電話接続システム10の構成及びと多地点電話接続システム10に含まれる各装置の構成は、第一実施形態の多地点電話接続システム10の構成及び多地点電話接続システム10に含まれる各装置と同じである。第二実施形態が第一実施形態と異なるのは、固定通信端末装置200-mの音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mと固定通信端末装置200-mの音信号固定受信側装置220-mの復号部222-mの動作であるので、以下では第二実施形態が第一実施形態と異なる点について説明する。
<符号化部212-m>
第二実施形態の符号化部212-mは、フレームごとに、収音部211-mから入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を混合した信号を上述した第1の符号化方式で符号化してモノラル符号を得て、また、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を所定の第3の符号化方式でステレオ符号化して拡張符号を得て、得たモノラル符号と拡張符号を制御情報付与部213-mに出力する。
【0105】
第3の符号化方式としては、全ての音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mで同じ符号化方式を用いる。第3の符号化方式としては、拡張符号のビットレートが固定伝送路400-mの通信容量からモノラル符号のビットレートを減算した値以下である符号化方式を用いる必要がある。第3の符号化方式としては、拡張符号のビットレートが上述した条件を満たす範囲内で、第1の符号化方式で得たモノラル符号と併せて用いずに拡張符号のみを用いることで2個のチャンネルの復号ディジタル音信号の両方を得ることができる符号を拡張符号として得るように、2個のチャンネルの音信号を効率良く符号化できる符号化方式を用いればよい。もちろん、第3の符号化方式として、2個のチャンネルの音信号それぞれを上述した第1の符号化方式で符号化する方式を用いてもよく、例えば、2個のチャンネルの音信号それぞれを上述した3GPP EVS規格の13.2kbpsモードで符号化するようにしてもよい。
【0106】
<復号部222-m>
第二実施形態の復号部222-mは、第一実施形態の復号部222-mと同様に、フレームごとに、入力された符号情報に基づいて、入力された符号がある場合には入力された符号を復号して1個または2個の復号ディジタル音信号を得て、再生部223-mに出力する。ただし、第二実施形態の復号部222-mは、第一実施形態の復号部222-mの上述したケースAに代えて、下記のケースA’の処理を行う。
【0107】
[ケースA’]
第二実施形態の復号部222-mは、入力された符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”である場合には、入力された拡張符号を所定の第3の復号方式で復号して2個の復号ディジタル音信号を得て出力する。すなわち、復号部222-mは、モノラル符号は復号せずに、拡張符号のみを復号して2個の復号ディジタル音信号を得て出力する。なお、第二実施形態の復号部222-mは、第3の復号方式としては、第二実施形態の音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mで用いた第3の符号化方式に対応する復号方式を用いる。
【0108】
<第二実施形態の変形例1>
第二実施形態の固定通信端末装置の復号部では、上述したケースA’の場合にはモノラル符号は用いない。従って、この場合には固定通信端末装置の制御情報解析部はモノラル符号を出力しないでもよい。この形態を第二実施形態の変形例1として、第二実施形態と異なる点について説明する。
【0109】
<制御情報解析部221-m>
第二実施形態の変形例1の制御情報解析部221-mは、入力された固定端末向けビット列に含まれる制御符号が表す符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”である場合には、入力された固定端末向けビット列に含まれる制御符号が表す符号情報と、入力された固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号のうちの拡張符号と、を出力する。第二実施形態の変形例1の制御情報解析部221-mは、上記以外の場合、すなわち、入力された固定端末向けビット列に含まれる制御符号が表す符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”以外である場合には、第二実施形態の制御情報解析部221-mと同じ動作をする。
【0110】
<第二実施形態の変形例2>
第二実施形態の固定通信端末装置の復号部では、上述したケースA’の場合にはモノラル符号は用いない。従って、この場合には多地点制御装置のビット列生成部はモノラル符号を出力しないでもよい。この形態を第二実施形態の変形例2として、第二実施形態と異なる点について説明する。
【0111】
<ビット列生成部120>
第二実施形態の変形例2のビット列生成部120は、第二実施形態のビット列生成部120と同様に、フレームごとに、入力された選択地点情報に基づいて、入力された固定端末送出ビット列と入力された移動端末送出ビット列を用いて、各固定通信端末装置200-mに対して出力する固定端末向けビット列と各移動通信端末装置300-nに対して出力する移動端末向けビット列を生成して出力する。ただし、第二実施形態の変形例2のビット列生成部120は、選択地点情報が“Fix-M”という情報である場合に、固定通信端末装置200-M以外の各固定通信端末装置200-melse(melseは、1以上M以下でありMとは異なる各整数)に対しては、固定通信端末装置200-Mが出力した固定端末送出ビット列に含まれる拡張符号CFEM1のみを音信号を表す符号として含み、符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1個の拡張符号であることを表す情報”であることを表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して、各固定通信端末装置200-melseが接続された各固定伝送路400-melseに出力する。
【0112】
<制御情報解析部221-m>
第二実施形態の変形例2の制御情報解析部221-mは、入力された固定端末向けビット列に含まれる制御符号が表す符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1個の拡張符号であることを表す情報”である場合には、入力された固定端末向けビット列に含まれる制御符号が表す符号情報と、入力された固定端末向けビット列に含まれる音信号を表す符号である1つの拡張符号と、を出力する。第二実施形態の変形例2の制御情報解析部221-mは、上記以外の場合、すなわち、入力された固定端末向けビット列に含まれる制御符号が表す符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1個の拡張符号であることを表す情報”以外である場合には、第二実施形態の制御情報解析部221-mと同じ動作をする。
【0113】
<復号部222-m>
第二実施形態の変形例2の復号部222-mは、入力された符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1個の拡張符号であることを表す情報”である場合には、入力された拡張符号を上述した第3の復号方式で復号して2個の復号ディジタル音信号を得て出力する。第二実施形態の変形例2の復号部222-mは、上記以外の場合、すなわち、入力された符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1個の拡張符号であることを表す情報”以外である場合には、第二実施形態の復号部222-mと同じ動作をする。
【0114】
<第三実施形態>
固定通信端末装置の符号化部が得る拡張符号は、第一実施形態では、拡張符号のみを用いても2個のチャンネルの復号ディジタル音信号の何れも得ることができない符号であり、モノラル符号と併せて用いることで2個のチャンネルの復号ディジタル音信号の両方を得ることができる符号であり、第二実施形態では、モノラル符号と併せて用いずに拡張符号のみを用いることで2個のチャンネルの復号ディジタル音信号の両方を得ることができる符号であったが、第一実施形態の拡張符号と第二実施形態の拡張符号のうちの何れか1つをフレームごとに選択するようにしてもよい。この形態を第三実施形態として説明する。
【0115】
第三実施形態の多地点電話接続システム10の構成及び多地点電話接続システム10に含まれる各装置の構成は、第一実施形態及び第二実施形態の多地点電話接続システム10の構成及び多地点電話接続システム10に含まれる各装置と同じである。以下では第三実施形態が第一実施形態と異なる点について説明する。
【0116】
<符号化部212-m>
第三実施形態の符号化部212-mは、第一実施形態及び第二実施形態の符号化部212-mと同様に、フレームごとに、収音部211-mから入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を混合した信号を上述した第1の符号化方式で符号化してモノラル符号を得て、得たモノラル符号を音信号固定送信側装置210-mの制御情報付与部213-mに出力する。
【0117】
また、第三実施形態の符号化部212-mは、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を表す符号を含む拡張符号、または、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を上述した第3の符号化方式でステレオ符号化して得た拡張符号を、音信号固定送信側装置210-mの制御情報付与部213-mに出力する。
【0118】
例えば、第三実施形態の符号化部212-mは、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を混合した信号を上述した第1の符号化方式で符号化してモノラル符号を得て、得たモノラル符号を第1の復号方式で復号をして暫定復号ディジタル音信号を得て、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を上述した第2の符号化方式で符号化して第1の暫定拡張符号を得て、得た第1の暫定拡張符号を第2の復号方式で復号をして差分に相当する復号情報を得て、得た暫定復号ディジタル音信号と差分に相当する復号情報とから、暫定復号ディジタル音信号が2個のチャンネルの第1の復号ディジタル音信号が混合された信号であると見做し、差分に相当する復号情報が2個のチャンネルの第1の暫定復号ディジタル音信号の差分に相当する情報であると見做して、2個のチャンネルの第1の暫定復号ディジタル音信号を得る。また、符号化部212-mは、2個のチャンネルのディジタル音信号を上述した第3の符号化方式で符号化して第2の暫定拡張符号を得て、得た第2の暫定拡張符号を第3の復号方式で復号をして2個のチャンネルの第2の暫定復号ディジタル音信号を得る。そして、符号化部212-mは、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号と2個のチャンネルの第1の暫定復号ディジタル音信号とから求まる符号化歪みと、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号と2個のチャンネルの第2の暫定復号ディジタル音信号とから求まる符号化歪みと、のうちの符号化歪みが小さいほうに対応する暫定拡張符号を拡張符号として出力する。また例えば、第三実施形態の符号化部212-mは、第1の暫定復号ディジタル音信号の符号化歪みの推定値を第1の推定符号化歪みとして得て、第2の暫定復号ディジタル音信号の符号化歪みの推定値を第2の推定符号化歪みとして得て、第1の推定符号化歪みと第2の推定符号化歪みのうちの推定符号化歪みが少ないほうの符号化処理を行って拡張符号を得て出力する。
【0119】
また例えば、第三実施形態の符号化部212-mは、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を上述した第2の符号化方式で符号化して第1の暫定拡張符号を得て、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を上述した第3の符号化方式でステレオ符号化して第2の暫定拡張符号を得て、第1の暫定拡張符号と第2の暫定拡張符号のうちの符号量が少ないほうを選択して拡張符号として出力する。また例えば、第三実施形態の符号化部212-mは、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を上述した第2の符号化方式で符号化して得られる拡張符号の符号量の推定値を第1の推定符号量として得て、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を上述した第3の符号化方式でステレオ符号化して得られる拡張符号の符号量の推定値を第2の推定符号量として得て、第1の推定符号量と第2の推定符号量のうちの推定符号量が少ないほうの符号化処理を行って拡張符号を得て出力する。
【0120】
また例えば、第三実施形態の符号化部212-mは、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を分析して、その分析結果に従って、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を表す符号を含む拡張符号を得るか、または、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を上述した第3の符号化方式でステレオ符号化して拡張符号を得るかの動作をして、得た拡張符号を出力する。また例えば、第三実施形態の符号化部212-mは、固定通信端末装置200-mの図示しない制御部による制御に従って、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を表す符号を含む拡張符号を得るか、または、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を上述した第3の符号化方式でステレオ符号化して拡張符号を得るかの動作をして、得た拡張符号を出力する。
【0121】
さらに、第三実施形態の符号化部212-mは、出力する拡張符号が、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を表す符号を含む拡張符号と、入力された2個のチャンネルのディジタル音信号を上述した第3の符号化方式でステレオ符号化して得た拡張符号と、の何れであるかを特定する情報を得て制御情報付与部213-mに出力する。
【0122】
<制御情報付与部213-m>
第三実施形態の制御情報付与部213-mは、音信号を表す符号がモノラル符号と拡張符号である場合には、“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”に加えて、拡張符号が上述した何れの拡張符号であるかを特定する情報、すなわち、“拡張符号が差分に相当する情報を表す符号を含むものであるのか第3の符号化方式で得たものであるのかを特定する情報”も含む符号情報を表す制御符号を出力する。
【0123】
<復号部222-m>
第三実施形態の復号部222-mは、入力された符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”である場合のうちの“拡張符号が差分に相当する情報を表す符号を含むものであるのか第3の符号化方式で得たものであるのかを特定する情報”が拡張符号が差分に相当する情報を表す符号を含むものであることを特定する場合には、第一実施形態の復号部222-mの上述したケースAの処理を行い、入力された符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”である場合のうちの“拡張符号が差分に相当する情報を表す符号を含むものであるのか第3の符号化方式で得たものであるのかを特定する情報”が拡張符号が第3の符号化方式で得たものであることを特定する場合には、第二実施形態の復号部222-mの上述したケースA’の処理を行う。第三実施形態の復号部222-mは、それ以外の場合、すなわち、入力された符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号が1組のモノラル符号と拡張符号であることを表す情報”以外である場合には、第一実施形態及び第二実施形態の復号部222-mと同じ動作をする。
【0124】
なお、第3実施形態についても、第2実施形態を第2実施形態の変形例1や変形例2に変形したのと同様の変形をしてもよい。
【0125】
<その他の実施形態>
≪地点選択部が最大2個の地点を選択する構成における端末装置の個数≫
上述した各実施形態では、説明を簡単化するために、多地点電話接続システムには2個以上の固定通信端末装置と2個以上の移動通信端末装置が含まれる例で説明した。しかし、上述した各実施形態の多地点電話接続システムに含まれる端末装置の個数はこの限りではなく、上述した各実施形態の多地点電話接続システムには、固定通信端末装置が1個以上含まれていて、移動通信端末装置が1個以上含まれていて、固定通信端末装置と移動通信端末装置が合計3個以上含まれていればよい。すなわち、上述した各実施形態の多地点電話接続システムは、Mが1以上、かつ、Nが1以上、かつ、M+Nが3以上、であればよい。
【0126】
ただし、Mが1である場合、すなわち、多地点電話接続システムに1個の固定通信端末装置と2個以上の移動通信端末装置が含まれる場合には、多地点制御装置100の地点選択部110が選択する地点が2地点とも固定通信端末装置であることはないので、地点選択部110が出力する地点選択情報はケース3となることはなく、地点選択部110が出力する地点選択情報はケース1、2、4、5の何れかとなる。またこの場合には、地点選択部110が選択した地点に固定通信端末装置が含まれているときには地点選択部110が選択しなかった地点に固定通信端末装置が含まれていることはないので、多地点制御装置100のビット列生成部120は、地点選択情報がケース1の情報である場合の2通り目のビット列、地点選択情報がケース4の情報である場合の3通り目のビット列を出力することはなく、地点選択情報がケース1の情報である場合には1通り目と3通り目のビット列を出力し、地点選択情報がケース4の情報である場合には1通り目と2通り目と4通り目のビット列を出力する。またこの場合には、固定通信端末装置200-1の音信号固定受信側装置220-1の復号部222-1が上述したケースAの処理を行うことはなく、復号部222-1は上述したケースBからDの何れかの処理を行う。
【0127】
また、Nが1である場合、すなわち、多地点電話接続システムに2個以上の固定通信端末装置と1個の移動通信端末装置が含まれる場合には、多地点制御装置100の地点選択部110が選択する地点が2地点とも移動通信端末装置であることはないので、地点選択部110が出力する地点選択情報はケース5となることはなく、地点選択部110が出力する地点選択情報はケース1から4の何れかとなる。またこの場合には、地点選択部110が選択した地点に移動通信端末装置が含まれているときには、地点選択部110が選択しなかった地点に移動通信端末装置が含まれていることはないので、多地点制御装置100のビット列生成部120は、地点選択情報がケース2の情報である場合の2通り目のビット列、地点選択情報がケース4の情報である場合の4通り目のビット列を出力することはなく、地点選択情報がケース2の情報である場合には1通り目と3通り目のビット列を出力し、地点選択情報がケース4の情報である場合には1通り目と2通り目と3通り目のビット列を出力する。
【0128】
≪地点選択部が選択する地点の個数≫
また、上述した各実施形態では、説明を簡単化するために、多地点制御装置100の地点選択部110が1個または2個の地点を選択する例で説明した。しかし、地点選択部110が選択する地点の個数はこの限りではなく、上述した第1の符号化方式が得るモノラル符号が固定電話の音声回線用の伝送路でリアルタイム伝送可能な通信容量の範囲内に収まる個数であれば3個以上であってもよい。すなわち、多地点制御装置100の地点選択部110は最大K個(Kは2以上の整数)の地点を選択するようにすればよい。この場合には、多地点制御装置100のビット列生成部120と各固定通信端末装置200-mと各移動通信端末装置300-nと以下のように動作する。
【0129】
[自地点以外の選択された地点の個数が0個の通信端末装置と、その通信端末装置に対するビット列生成部の動作]
選択された地点が1個である場合(すなわち、Kが1である場合)には、選択された地点の端末装置については、自地点以外の選択された地点の個数が0個である。多地点制御装置100のビット列生成部120は、自地点以外の選択された地点の個数が0個である通信端末装置に対しては、第一実施形態で上述した通り、音信号を表す符号列を出力しない。自地点以外の選択された地点の個数が0個である通信端末装置は、第一実施形態で上述した通り、音信号を表す符号列を復号せずに、復号音信号を得ない。
【0130】
[自地点以外の選択された地点の個数が1個の固定通信端末装置と、その固定通信端末装置に対するビット列生成部の動作]
選択された地点が2個である場合(すなわち、Kが2である場合)には、選択された地点の端末装置については、自地点以外の選択された地点の個数が1個である。また、選択された地点が1個である場合(すなわち、Kが1である場合)には、選択されなかった地点の端末装置については、自地点以外の選択された地点の個数が1個である。多地点制御装置100のビット列生成部120は、自地点以外の選択された地点の個数が1個である固定通信端末装置に対しては、第一実施形態で上述した通り、選択された地点のモノラル符号を音信号を表す符号として少なくとも含み、選択された地点の拡張符号がある場合には選択された地点の拡張符号も音信号を表す符号として含む、ビット列を生成して出力する。すなわち、多地点制御装置100のビット列生成部120は、自地点以外の選択された地点の個数が1個である固定通信端末装置に対しては、選択された地点が固定通信端末装置である場合には、選択された地点のモノラル符号と拡張符号を音信号を表す符号として含むビット列を生成して出力し、選択された地点が移動通信端末装置である場合には、選択された地点のモノラル符号を音信号を表す符号として含むビット列を生成して出力する。自地点以外の選択された地点の個数が1個である固定通信端末装置の復号部は、第一実施形態で上述した通り、選択された地点のモノラル符号を復号し、選択された地点の拡張符号がある場合には選択された地点の拡張符号も復号して、選択された地点の復号音信号を得る。
【0131】
[自地点以外の選択された地点の個数が1個の移動通信端末装置と、その移動通信端末装置に対するビット列生成部の動作]
選択された地点が2個である場合(すなわち、Kが2である場合)には、選択された地点の端末装置については、自地点以外の選択された地点の個数が1個である。また、選択された地点が1個である場合(すなわち、Kが1である場合)には、選択されなかった地点の端末装置については、自地点以外の選択された地点の個数が1個である。多地点制御装置100のビット列生成部120は、自地点以外の選択された地点の個数が1個である移動通信端末装置に対しては、第一実施形態で上述した通り、選択された地点のモノラル符号を音信号を表す符号として含むビット列を生成して出力する。自地点以外の選択された地点の個数が1個である移動通信端末装置の復号部は、第一実施形態で上述した通り、選択された地点のモノラル符号を復号して選択された地点の復号音信号を得る。
[自地点以外の選択された地点の個数が2個以上の固定通信端末装置と、その固定通信端末装置に対するビット列生成部の動作]
選択された地点が3個以上である場合(すなわち、Kが3以上である場合)には、選択された地点の端末装置については、自地点以外の選択された地点の個数が2個以上である。また、選択された地点が2個以上である場合(すなわち、Kが2以上である場合)には、選択されなかった地点の端末装置については、自地点以外の選択された地点の個数が2個以上である。多地点制御装置100のビット列生成部120は、自地点以外の選択された地点の個数が2個以上である固定通信端末装置に対しては、選択された2個以上(k個、kは2以上K以下の整数)の通信端末装置それぞれが出力したビット列に含まれるモノラル符号k個を音信号を表す符号として含み、符号情報が“音信号を表す符号列が含む符号がk個のモノラル符号であることを表す情報”であることを表す制御符号を含む、固定端末向けビット列を生成して出力する。自地点以外の選択された地点の個数が2個以上である固定通信端末装置の音信号固定受信側装置の制御情報解析部は、“音信号を表す符号列が含む符号がk個のモノラル符号であることを表す情報”である符号情報とk個のモノラル符号を復号部に出力する。自地点以外の選択された地点の個数が2個以上である固定通信端末装置の音信号固定受信側装置の復号部は、入力されたk個のモノラル符号それぞれを上述した第1の復号方式で復号してk個の復号ディジタル音信号を得て出力する。なお、各固定通信端末装置の音信号固定受信側装置の再生部が最大K個のDA変換部と最大K個のスピーカを含むようにしてもよい。
【0132】
[自地点以外の選択された地点の個数が2個以上の移動通信端末装置と、その移動通信端末装置に対するビット列生成部の動作]
選択された地点が3個以上である場合(すなわち、Kが3以上である場合)には、選択された地点の端末装置については、自地点以外の選択された地点の個数が2個以上である。また、選択された地点が2個以上である場合(すなわち、Kが2以上である場合)には、選択されなかった地点の端末装置については、自地点以外の選択された地点の個数が2個以上である。多地点制御装置100のビット列生成部120は、自地点以外の選択された地点の個数が2個以上である移動通信端末装置に対しては、選択された2個以上(k個、kは2以上K以下の整数)の通信端末装置それぞれが出力したビット列に含まれるモノラル符号それぞれ復号してk個の復号ディジタル音信号を得て、得たk個の復号ディジタル音信号を混合して混合ディジタル音信号を得て、混合ディジタル音信号を上述した第1の符号化方式で符号化してモノラル符号を得て、混合ディジタル音信号から得た1個のモノラル符号を音信号を表す符号として含む移動端末向けビット列を生成して出力する。自地点以外の選択された地点の個数が2個以上である移動通信端末装置の復号部は、1個のモノラル符号を上述した第1の復号方式で復号して1個の復号ディジタル音信号を得て出力する。
【0133】
≪地点選択部がK個の地点を選択する構成における端末装置の個数≫
以上の2つの説明から分かる通り、多地点電話接続システムは、上述した第1の符号化方式が得るモノラル符号が固定電話の音声回線用の伝送路でリアルタイム伝送可能な通信容量の範囲内に収まる個数をK(Kは2以上の整数)としたとき、多地点制御装置100の地点選択部110が最大K個の地点を選択する構成であって、固定通信端末装置が1個以上含まれていて、移動通信端末装置が1個以上含まれていて、固定通信端末装置と移動通信端末装置が合計K+1個以上含まれていればよい。すなわち、上述した各実施形態の多地点電話接続システムは、Mが1以上、かつ、Nが1以上、かつ、M+NがK+1以上、であればよい。
【0134】
≪固定通信端末装置の音信号のチャンネル数≫
また、上述した各実施形態では、説明を簡単化するために、固定通信端末装置200-mの音信号固定送信側装置210-mが2個のチャンネルのディジタル音信号に対応する符号を含むビット列を得て出力する例で説明した。しかし、チャンネル数はこの限りではなく2以上であればよい。このチャンネル数をC(Cは2以上の整数)とすると、この場合は、固定通信端末装置200-mの音信号固定送信側装置210-mの収音部211-mはC個のマイクロホンとC個のAD変換部を含むようにすればよく、固定通信端末装置200-mの音信号固定送信側装置210-mの符号化部212-mは、フレームごとに、収音部211-mから入力されたC個のチャンネルのディジタル音信号を混合した信号を所定の第1の符号化方式で符号化してモノラル符号を得て、入力されたC個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を表す符号を含む拡張符号を得るようにすればよい。また、この場合は、固定通信端末装置200-mの音信号固定受信側装置220-mの復号部222-mは、上述したケースAに代えて、入力されたモノラル符号を所定の第1の復号方式で復号して暫定復号ディジタル音信号を得て、入力された拡張符号に含まれる差分に相当する情報を表す符号から復号差分情報を得て、得た暫定復号ディジタル音信号と復号差分情報とから、暫定復号ディジタル音信号がC個の復号ディジタル音信号が混合された信号であると見做し、復号差分情報がC個の復号ディジタル音信号の差分に相当する情報であると見做して、C個の復号ディジタル音信号を得て出力するようにすればよい。また、入力された拡張符号に、差分に相当する情報を表す符号である差分符号に加えて誤差符号も含まれている場合には、復号部222-mは、更に、入力された拡張符号に含まれる誤差符号から復号誤差情報を得て、暫定復号ディジタル音信号と復号誤差情報と復号差分情報とから、暫定復号ディジタル音信号がC個の復号音信号が混合された信号であると見做し、復号誤差情報が暫定復号ディジタル音信号の誤差に相当する情報であると見做し、復号差分情報がC個の復号ディジタル音信号の差分に相当する情報であると見做して、C個の復号ディジタル音信号を得て出力するようにすればよい。またこれらの場合は、固定通信端末装置200-mの音信号固定受信側装置220-mの再生部223-mが最大C個のDA変換部と最大C個のスピーカを含むようにしてもよい。なお、入力されたC個のチャンネルのディジタル音信号の差分に相当する情報を符号化する場合には、符号化部212-mは、入力されたC個のチャンネルのディジタル音信号のチャンネル間の差分に相当する情報を所定の第2の符号化方式で符号化して差分に相当する情報を表す符号を得て拡張符号に含めるようにし、復号部222-mは、入力された拡張符号に含まれる差分に相当する情報を表す符号を所定の第2の復号方式で復号して復号差分情報を得るようにすればよい。第2の復号方式と第2の符号化方式としては、例えば、MPEG-4 ALS規格のマルチチャンネル復号方式(ISO/IEC 14496-3 11.6.8.1.2)とこれに対応した符号化方式で使われている処理技術を用いればよい。なお、C個のチャンネルのディジタル音信号のチャンネル間の差分に相当する情報とは、第一実施形態で上述したのと同様に、C個のチャンネルのディジタル音信号の差分を表す波形情報、C個のチャンネルのディジタル音信号の差分を表す特徴パラメータなどである。
【0135】
<プログラム及び記録媒体>
第一通信網端末装置200-m、第二通信網端末装置300-n、多地点制御装置100のそれぞれの各部の処理をコンピュータにより実現してもよい。言い換えれば、第一通信網端末装置200-mに対応する符号化側の方法である符号化方法、第一通信網端末装置200-mに対応する復号側の方法である復号方法のそれぞれの各ステップの処理をコンピュータによって実行してもよい。また、第二通信網端末装置300-nに対応する方法の各ステップの処理をコンピュータによって実行してもよい。また、多地点制御装置100に対応する多地点制御方法の各ステップの処理をコンピュータによって実行してもよい。この場合、各ステップの処理はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、各ステップの処理がコンピュータ上で実現される。
これらの処理内容を記述したプログラムのそれぞれは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
また、各部の処理は、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより構成することにしてもよいし、これらの処理の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
その他、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
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