IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニコンの特許一覧

<>
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図1
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図2
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図3
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図4
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図5
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図6
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図7
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図8
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図9
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図10
  • 特許-撮像素子および撮像装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/3745 20110101AFI20221115BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20221115BHJP
【FI】
H04N5/3745 700
H04N5/369 600
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020509362
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2019014350
(87)【国際公開番号】W WO2019189892
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2018067700
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 大輝
(72)【発明者】
【氏名】壽圓 正博
(72)【発明者】
【氏名】平田 友希
(72)【発明者】
【氏名】松本 繁
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-177429(JP,A)
【文献】特開2013-255188(JP,A)
【文献】特開2013-172210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225-5/378
H04N 9/00-9/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と、前記第1光電変換部に入射する光の一部を遮光する遮光部とをそれぞれ有し、前記第1光電変換部で生成された電荷に基づく信号を出力する、第1方向に設けられる第1画素と第2画素と、
光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部をそれぞれ有し、前記第2光電変換部で生成された電荷に基づく信号を出力する、前記第1方向に設けられる第3画素と第4画素と、
前記第1画素と、前記第2画素と、前記第3画素と、前記第4画素とにそれぞれ電気的に接続可能であり、前記第1方向に設けられる第1信号線と第2信号線と、
前記第1画素の信号を前記第1信号線へ出力させ、前記第2画素の信号を前記第2信号線へ出力させる第1制御と、前記第3画素の信号と前記第4画素の信号とを前記第1信号線へ出力させる第2制御を行う制御部と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1画素と前記第2画素とは、焦点検出に用いる信号をそれぞれ出力し、
前記第3画素と前記第4画素とは、画像生成に用いる信号をそれぞれ出力する撮像素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1制御において、前記第1画素の信号を前記第1信号線へ出力させる間に、前記第2画素の信号を前記第2信号線へ出力させる撮像素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1制御において、前記第1画素の信号を前記第1信号線へ出力させると同時に、前記第2画素の信号を前記第2信号線へ出力させる撮像素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第2制御において、前記第3画素の信号を出力させた後に、前記第4画素の信号を前記第1信号線または前記第2信号線へ出力させる撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1制御と前記第2制御とを異なるタイミングで行う撮像素子。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1制御を前記第2制御の前に行う撮像素子。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1制御において、前記第1画素の信号を前記第1方向へ出力させ、前記第2画素の信号を前記第1方向と異なる第2方向へ出力させる撮像素子。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第2制御において、前記第3画素の信号と前記第4画素の信号とを前記第1方向へ出力させる撮像素子。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1画素の信号と前記第2画素の信号とを前記第1信号線または前記第2信号線へ出力させる第3制御を行う撮像素子。
【請求項11】
請求項10に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第3制御において、前記第1画素の信号と前記第2画素の信号とを、前記第1信号線または前記第2信号線へ順次出力させる撮像素子。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1制御と前記第3制御とを切り替え可能な撮像素子。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素、前記第2画素、前記第3画素、前記第4画素は第1分光特性を有する第1フィルタをそれぞれ有し、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とは前記第1フィルタを透過した光を光電変換する撮像素子。
【請求項14】
請求項13に記載の撮像素子において、
前記第1分光特性と異なる第2分光特性を有する第2フィルタと、前記第2フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する第3光電変換部とを有し、前記第3光電変換部で生成された電荷に基づく信号を出力する第5画素を有し、
前記制御部は、前記第2制御において、前記第3画素の信号を前記第1信号線へ出力させ、前記第5画素の信号を前記第2信号線へ出力させる、または前記第3画素の信号を前記第2信号線へ出力させ、前記第5画素の信号を前記第1信号線へ出力させる撮像素子。
【請求項15】
請求項14に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第2制御において、前記第3画素の信号を前記第1信号線へ出力させる間に、前記第5画素の信号を前記第2信号線へ出力させる、または前記第3画素の信号を前記第2信号線へ出力させる間に、前記第5画素の信号を前記第1信号線へ出力させる撮像素子。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第2制御において、前記第3画素の信号を前記第1信号線へ出力させると同時に、前記第5画素の信号を前記第2信号線へ出力させる、または前記第3画素の信号を前記第2信号線へ出力させると同時に、前記第5画素の信号を前記第1信号線へ出力させる撮像素子。
【請求項17】
請求項1から請求項16までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1信号線に接続され、前記第1信号線に出力された信号を読み出す第1読出部と、
前記第2信号線に接続され、前記第2信号線に出力された信号を読み出す第2読出部と、
を備える撮像素子。
【請求項18】
請求項17に記載の撮像素子において、
前記第1読出部は、前記第1方向において、前記第2画素よりも前記第1画素側に設けられ、
前記第2読出部は、前記第1方向において、前記第1画素よりも前記第2画素側に設けられる撮像素子。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載の撮像素子において、
前記第1読出部および前記第2読出部は、アナログ信号からデジタル信号に変換する変換部である撮像素子。
【請求項20】
請求項1から請求項19までのいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記第1画素の信号と前記第2画素の信号とに基づいて焦点検出を行う検出部と、
前記第3画素の信号と前記第4画素の信号とに基づいて画像データを生成する生成部と、
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焦点検出用の信号と画像信号とを読み出す撮像素子について知られている(例えば特許文献1)。このような撮像素子では、信号読み出しの高速化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2017-34606号公報
【発明の概要】
【0004】
発明の第1の態様によると、撮像素子は、光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と、前記第1光電変換部に入射する光の一部を遮光する遮光部とをそれぞれ有し、前記第1光電変換部で生成された電荷に基づく信号を出力する、第1方向に設けられる第1画素と第2画素と、光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部をそれぞれ有し、前記第2光電変換部で生成された電荷に基づく信号を出力する、前記第1方向に設けられる第3画素と第4画素と、前記第1画素と、前記第2画素と、前記第3画素と、前記第4画素とにそれぞれ電気的に接続可能であり、前記第1方向に設けられる第1信号線と第2信号線と、前記第1画素の信号を前記第1信号線へ出力させ、前記第2画素の信号を前記第2信号線へ出力させる第1制御と、前記第3画素の信号と前記第4画素の信号とを前記第1信号線へ出力させる第2制御を行う制御部と、を備える。
発明の第2の態様によると、撮像装置は、第1の態様による撮像素子と、前記第1画素の信号と前記第2画素の信号とに基づいて焦点検出を行う検出部と、前記第3画素の信号と前記第4画素の信号とに基づいて画像データを生成する生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。
図3】第1の実施の形態に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。
図4】第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
図5】第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。
図6】第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
図7】第1の実施の形態に係る撮像素子の別の動作例を示すタイミングチャートである。
図8】第1の実施の形態に係る撮像素子の別の動作例を示すタイミングチャートである。
図9】変形例1に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
図10】変形例1に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。
図11】変形例2に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。図1では、第1の実施の形態に係る撮像装置の一例であるカメラ1の構成例を示す。カメラ1は、撮像光学系(結像光学系)2、撮像素子3、制御部4、メモリ5、表示部6、及び操作部7を備える。撮像光学系2は、焦点調節レンズ(フォーカスレンズ)を含む複数のレンズ及び開口絞りを有し、撮像素子3に被写体像を結像する。なお、撮像光学系2は、カメラ1から着脱可能にしてもよい。
【0007】
撮像素子3は、例えばCMOSイメージセンサである。撮像素子3は、撮像光学系2の射出瞳を通過した光束を受光して、被写体像を撮像する。撮像素子3には、光電変換部を有する複数の画素が二次元状(例えば行方向及び列方向)に配置される。光電変換部は、例えばフォトダイオード(PD)によって構成される。撮像素子3は、受光した光を光電変換して信号を生成し、生成した信号を制御部4に出力する。
【0008】
撮像素子3は、撮像画素とAF画素(焦点検出画素)とを有する。撮像画素は、画像生成に用いる信号(撮像信号)を出力する。AF画素は、焦点検出に用いる信号(焦点検出信号)を出力する。後述するが、AF画素は、撮像画素の一部に置換して配置され、撮像素子3の撮像面のほぼ全面に分散して配置される。なお、以下の説明では、単に画素と称する場合は、撮像画素およびAF画素のいずれか一方または両方を指す。
【0009】
メモリ5は、例えば、メモリカード等の記録媒体である。メモリ5には、画像データ等が記録される。メモリ5へのデータの書き込みや、メモリ5からのデータの読み出しは、制御部4によって行われる。表示部6は、画像データに基づく画像、シャッター速度や絞り値等の撮影に関する情報、及びメニュー画面等を表示する。操作部7は、レリーズボタン、電源スイッチなどの各種設定スイッチ等を含み、それぞれの操作に応じた操作信号を制御部4へ出力する。
【0010】
制御部4は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等のメモリによって構成され、制御プログラムに基づいてカメラ1の各部を制御する。制御部4は、画像データ生成部4aと、焦点検出部4bとを有する。画像データ生成部4aは、撮像素子3から出力される撮像信号に各種の画像処理を行って画像データを生成する。画像処理には、例えば、階調変換処理、色補間処理、輪郭強調処理等の公知の画像処理が含まれる。
【0011】
焦点検出部4bは、公知の位相差検出方式により、撮像光学系2の自動焦点調節(AF)に必要な焦点検出処理を行う。具体的には、焦点検出部4bは、撮像光学系2による像が撮像素子3の撮像面上に合焦するためのフォーカスレンズの合焦位置を検出する。焦点検出部4bは、撮像素子3から出力される一対の焦点検出信号に基づき、第1及び第2の像の像ズレ量を検出する。焦点検出部4bは、検出した像ズレ量に基づいて、フォーカスレンズの現在の位置と合焦位置とのずれ量(デフォーカス量)を算出する。フォーカスレンズがデフォーカス量に応じて駆動されることにより、焦点調節が自動で行われる。
【0012】
制御部4は、撮像素子3を制御して、AF画素が配置された画素の行(以下、AF画素行と称する)からの信号の読み出しと、AF画素が配置されていない画素の行(以下、撮像画素行と称する)からの信号の読み出しとを分けて行う処理を行う。また、制御部4は、AF画素行の信号読み出しと撮像画素行の信号読み出しとを分けて行わずに、全ての画素行を順次選択して、各画素の信号を読み出す処理も行う。
【0013】
例えば、制御部4は、表示部6に被写体のスルー画像(ライブビュー画像)を表示する場合や動画撮影を行う場合に、AF画素行の各画素の信号の読み出しと撮像画素行の各画素の信号の読み出しとを分けて行う。また、制御部4は、高解像度の静止画撮影を行う場合には、全ての画素行を順次選択して、各画素の信号を読み出す処理を行う。
【0014】
図2は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の構成例を示す図である。撮像素子3は、画素部(画素領域)100と、垂直制御部30と、画素部100の上下に配置される複数の読み出し部40(第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40b)とを有する。撮像素子3の画素部100では、画素が二次元状(行方向及び列方向)に配置される。なお、画素部100に配置される画素の数及び配置は、図示した例に限られない。画素部100には、例えば、数百万~数億、又はそれ以上の画素が設けられる。
【0015】
画素部100には、複数の撮像画素10とAF画素13(13a、13b)とが配置される。図2においては、左上隅の画素を第1行第1列の撮像画素10(1,1)とし、右下隅のAF画素を第16行第8列のAF画素13b(16,8)として、撮像画素10(1,1)からAF画素13b(16,8)までの128個の画素を図示している。なお、図2に示した行方向8画素×列方向16画素の128個の画素は、撮像素子3の撮像面の任意の領域に配置された画素群を表すものであり、図2の第1列~第8列及び第1行~第16行の名称も128個の画素に対して付したものである。従って、撮像素子3では、図2の第8列目の画素の右側及び第16行目の画素の下側は勿論のこと、第1列目の画素の左側及び第1行目の画素の上側にも画素が存在しうる。
【0016】
撮像画素10には、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の異なる分光特性を有する3つのカラーフィルタ(色フィルタ)41のいずれかが設けられる。Rのカラーフィルタ41は主に赤色の波長域の光を透過し、Gのカラーフィルタ41は主に緑色の波長域の光を透過し、Bのカラーフィルタ41は主に青色の波長域の光を透過する。画素は、配置されたカラーフィルタ41によって異なる分光特性を有する。これにより、撮像画素10には、赤(R)の分光特性を有する画素(以下、R画素と称する)と、緑(G)の分光特性を有する画素(以下、G画素と称する)と、青(B)の分光特性を有す画素(以下、B画素と称する)とがある。R画素とG画素とB画素とは、ベイヤー配列に従って配置されている。
【0017】
第1及び第2のAF画素13a、13bは、上述のようにベイヤー配列されたR、G、Bの撮像画素10の一部に置換して配置される。第1及び第2のAF画素13a、13bには、カラーフィルタ41及び遮光膜43が設けられる。例えば、第1及び第2のAF画素13a、13bには、カラーフィルタ41として、Gのカラーフィルタが配置される。第1のAF画素13aと第2のAF画素13bとは、その遮光部43の位置が異なる。これにより、第1のAF画素13aの光電変換部は、撮像光学系2の射出瞳の第1及び第2の領域のうちの第1の領域を通過した光束を受光する。また、第2のAF画素13bの光電変換部は、撮影光学系2の射出瞳の第1及び第2の領域のうちの第2の領域を通過した光束を受光する。
【0018】
撮像素子3は、図2に示すように、R画素10rとG画素10gとが左右方向、即ち行方向に交互に配置される第1の撮像画素行401と、G画素10gとB画素10bとが行方向に交互に配置される第2の撮像画素行402とを有する。また、撮像素子3は、G画素10gと第1のAF画素13aとが行方向に交互に配置される第1のAF画素行403aと、G画素10gと第2のAF画素13bとが行方向に交互に配置される第2のAF画素行403bとを有する。
【0019】
垂直制御部30は、カメラ1の制御部4によって制御され、制御信号を各画素に供給して、各画素の動作を制御する。第1の読み出し部40a及び第2の読み出し部40bは、それぞれアナログ/デジタル変換部(AD変換部)を含んで構成される。垂直制御部30によって選択される画素部100の画素の信号は、その画素に接続された第1の垂直信号線VoutAまたは第2の垂直信号線VoutBに出力される。第1の垂直信号線VoutAに出力された画素の信号は、第1の読み出し部40aによりデジタル信号に変換された後に、制御部4に出力される。また、第2の垂直信号線VoutBに出力された画素の信号は、第2の読み出し部40bによりデジタル信号に変換された後に、制御部4に出力される。
【0020】
図3は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の画素の構成を示す図である。各画素(図3においては画素10a、10b)は、それぞれ光電変換部11と転送部12とを含んで構成される。画素10aは、光電変換部11aと転送部12aを有し、画素10bは、光電変換部11bと転送部12bを有する。光電変換部11は、フォトダイオードPDであり、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する。
【0021】
また、本実施の形態に係る撮像素子3は、破線20で示すように、隣り合う2つの画素がフローティングディフュージョン(FD)15と、リセット部16と、増幅部17と、第1の選択部18と、第2の選択部19とを共有する構成となる。
【0022】
画素10aの転送部12aは、信号TX1により制御されるトランジスタM1から構成され、光電変換部11aで光電変換された電荷をFD15に転送する。即ち、転送部12aは、光電変換部11a及びFD15の間に電荷転送路を形成する。画素10bの転送部12bは、信号TX2により制御されるトランジスタM2から構成され、光電変換部11bで光電変換された電荷をFD15に転送する。即ち、転送部12bは、光電変換部11b及びFD15の間に電荷転送路を形成する。トランジスタM1、M2は、それぞれ転送トランジスタである。FD15の容量Cは、FD15に転送された電荷を蓄積(保持)して、容量値で除算した電圧に変換する。
【0023】
増幅部17は、FD15の容量Cに蓄積された電荷による信号を増幅して出力する。増幅部17は、ドレイン(端子)、及びゲート(端子)がそれぞれ、電源VDD、FD15に接続されるトランジスタM5により構成される。また、トランジスタM5のソース(端子)は、第1の選択部18を介して第1の垂直信号線VoutAに接続され、第2の選択部19を介して第2の垂直信号線VoutBに接続される。増幅部17は、後述する電流源(図4の電流源25a、25b)を負荷電流源として、ソースフォロワ回路の一部として機能する。トランジスタM5は、増幅トランジスタである。
【0024】
リセット部16は、信号RSTにより制御されるトランジスタM4から構成され、FD15の電荷をリセットし、FD15の電圧をリセットする。トランジスタM4は、リセットトランジスタである。
【0025】
第1の選択部18は、信号SELAにより制御されるトランジスタM6から構成され、増幅部17と第1の垂直信号線VoutAとを電気的に接続又は切断する。第1の選択部18のトランジスタM6は、オン状態の場合に、増幅部17からの信号を第1の垂直信号線VoutAに出力する。第2の選択部19は、信号SELBにより制御されるトランジスタM7から構成され、増幅部17と第2の垂直信号線VoutBとを電気的に接続又は切断する。第2の選択部19のトランジスタM7は、オン状態の場合に、増幅部17からの信号を第2の垂直信号線VoutBに出力する。トランジスタM6は、第1の選択トランジスタであり、トランジスタM7は、第2の選択トランジスタである。
【0026】
上述のように、光電変換部11で光電変換された電荷は、転送部12によってFD15に転送される。そして、FD15に転送された電荷に応じた信号(画素信号)が、第1の垂直信号線VoutAまたは第2の垂直信号線VoutBに出力される。画素信号は、光電変換部11によって光電変換された電荷に基づいて生成されるアナログ信号である。撮像画素10から出力される画素信号は、読み出し部40による信号処理が施された後に、撮像信号として制御部4に出力される。
【0027】
なお、本実施の形態にあっては、第1のAF画素13a及び第2のAF画素13bの回路構成は、撮像画素10の回路構成とそれぞれ同一である。第1のAF画素13a及び第2のAF画素13bから出力される画素信号は、読み出し部40による信号処理が施された後に、一対の焦点検出信号として制御部4に出力される。
【0028】
図4は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の一部の構成を示す図である。図4では、第1方向である列方向(垂直方向)及び第1方向に交差する第2方向である行方向(水平方向)に配置された複数の画素のうちの、列方向に配置された複数の画素列の一つの画素列の一部を示している。他の画素列の構成も、図4の画素列の構成と同様である。撮像素子3は、垂直制御部30と、複数の読み出し部40(第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40b)とを備える。なお、垂直制御部30は、複数の画素列に対して共通に設けられる。
【0029】
また、撮像素子3には、列方向に並んだ複数の画素の列である画素列に対して、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBが設けられる。また、第1の垂直信号線VoutAに対して第1の電流源25a及び第1の読み出し部40aが設けられ、第2の垂直信号線VoutBに対して第2の電流源25b及び第2の読み出し部40bが設けられる。なお、図4に示す例では、説明を簡略化するために、行方向1画素×列方向6画素のみ図示している。図4では、図2に示す複数の画素のうち、第1行第2列のG画素10g(1,2)と、第2行第2列のB画素10b(2,2)と、第3行第2列のG画素10g(3,2)と、第4行第2列のB画素10b(4,2)と、第5行第2列のG画素10g(5,2)と、第6行第2列のB画素10b(6,2)とを図示している。
【0030】
第1の電流源25aは、第1の垂直信号線VoutAを介して各画素に接続され、第2の電流源25bは、第2の垂直信号線VoutBを介して各画素に接続される。第1の電流源25a及び第2の電流源25bは、各画素から信号を読み出すための電流を生成する。第1の電流源25aは、生成した電流を第1の垂直信号線VoutAと各画素の第1の選択部18及び増幅部17とに供給する。同様に、第2の電流源25bは、生成した電流を第2の垂直信号線VoutBと各画素の第2の選択部19及び増幅部17とに供給する。
【0031】
第1の読み出し部40aは、AD変換部を含んで構成され、各画素から第1の垂直信号線VoutAを介して入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。第2の読み出し部40bは、AD変換部を含んで構成され、各画素から第2の垂直信号線VoutBを介して入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0032】
垂直制御部30は、信号TX1、信号TX2、信号RST、信号SELA、信号SELBを各画素に供給して、各画素の動作を制御する。具体的には、垂直制御部30は、画素の各トランジスタのゲートに信号を供給して、トランジスタをオン状態(接続状態、導通状態、短絡状態)又はオフ状態(切断状態、非導通状態、開放状態、遮断状態)とする。
【0033】
垂直制御部30は、制御部4により撮像画素行(図2の第1の撮像画素行401、第2の撮像画素行402)の各画素の信号の読み出しが指示された場合、撮像画素行を2行単位で選択して画素信号を読み出す処理(第1の読み出し制御)を行う。
垂直制御部30は、制御部4によりAF画素行(図2の第1のAF画素行403a、第2のAF画素行403b)の各画素の信号の読み出しが指示された場合、AF画素行を2行ずつ選択して画素信号を読み出す処理(第2の読み出し制御)を行う。
また、垂直制御部30は、AF画素行から信号の読み出しを行う場合、AF画素行を1行ずつ選択して画素信号を読み出す処理(第3の読み出し制御)も行うことができる。
【0034】
このように、本実施の形態に係る垂直制御部30は、第1の読み出し制御、第2の読み出し制御、及び第3の読み出し制御を行う。カメラ1の制御部4は、垂直制御部30を制御して、画素信号の読み出し方法を切り替えることができる。以下では、第1の読み出し制御、第2の読み出し制御、及び第3の読み出し制御について、それぞれ説明する。
【0035】
先ず、第1の読み出し制御について、図4を参照して説明する。第1の読み出し制御では、垂直制御部30は、撮像素子3の撮像画素行を2行毎に選択し、画素から信号を順次読み出す。以下では、B画素10b(2,2)、G画素10g(3,2)、B画素10b(4,2)、G画素10g(5,2)から画素信号を読み出す場合を例にして、第1の読み出し制御について説明する。
【0036】
垂直制御部30は、第2行目の画素であるB画素10b(2,2)の第2の選択部19、即ち、第1行目のG画素10g(1,2)及び第2行目のB画素10b(2,2)で共有される第2の選択部19をオン状態とする。また、垂直制御部30は、B画素10b(2,2)の第1の選択部18、即ち、G画素10g(1,2)及びB画素10b(2,2)で共有される第1の選択部18をオフ状態とする。また、垂直制御部30は、第3行目の画素であるG画素10g(3,2)の第1の選択部18、即ち、第3行目のG画素10g(3,2)及び第4行目のB画素10b(4,2)で共有される第1の選択部18をオン状態とする。また、垂直制御部30は、G画素10g(3,2)の第2の選択部19、即ち、G画素10g(3,2)及びB画素10b(4,2)で共有される第2の選択部19をオフ状態とする。垂直制御部30は、第1行目、第2行目、第3行目、及び第4行目とは異なる他の行の画素の第1の選択部18及び第2の選択部19を、それぞれオフ状態とする。
【0037】
第2行目のB画素10b(2,2)の光電変換部11bで生成された電荷に基づく画素信号は、B画素10b(2,2)の第2の選択部19を介して第2の垂直信号線VoutBに出力される。また、第3行目のG画素10g(3,2)の光電変換部11aで生成された電荷に基づく画素信号は、G画素10g(3,2)の第1の選択部18を介して第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0038】
第2行目及び第3行目の画素からの画素信号の読み出し後に、垂直制御部30は、第4行目の画素であるB画素10b(4,2)の第2の選択部19をオン状態とし、B画素10b(4,2)の第1の選択部18をオフ状態とする。また、垂直制御部30は、第5行目の画素であるG画素10g(5,2)の第1の選択部18をオン状態とし、G画素10g(5,2)の第2の選択部19をオフ状態とする。垂直制御部30は、第3行目、第4行目、第5行目、及び第6行目とは異なる他の行の画素の第1の選択部18及び第2の選択部19を、それぞれオフ状態とする。
【0039】
第4行目のB画素10b(4,2)の画素信号は、B画素10b(4,2)の第2の選択部19を介して第2の垂直信号線VoutBに出力される。また、第5行目のG画素10g(5,2)の画素信号は、G画素10g(5,2)の第1の選択部18を介して第1の垂直信号線VoutAに出力される。同様に、撮像素子3では、第6行目以降も撮像画素行が2行ずつ選択され、画素信号が出力される。
【0040】
このように、第1の読み出し制御の場合は、撮像素子3では、撮像画素行が2行ずつ選択されて、一方の行の撮像画素から第1の垂直信号線VoutAに画素信号が出力される。これと同時に他方の行の撮像画素から第2の垂直信号線VoutBに画素信号が出力される。第1の垂直信号線VoutAに順次出力される画素信号は、第1の読み出し部40aに入力され、第2の垂直信号線VoutBに順次出力される画素信号は、第2の読み出し部40bに入力される。このため、第1の垂直信号線VoutAに出力される画素信号と、第2の垂直信号線VoutBに出力される画素信号とを同時に(並列に)信号処理することができる。各撮像画素10から出力された画素信号は、読み出し部40によりデジタル信号に変換された後に、撮像信号として制御部4に出力される。
【0041】
本実施の形態では、同一列内の複数のG画素10g(図4ではG画素10g(1,2)、G画素10g(3,2)、G画素10g(5,2))の画素信号は、同一の第1の垂直信号線VoutAに出力されて、同一の第1の読み出し部40aに入力される。第1の読み出し部40aのAD変換部は、入力された各G画素10gの画素信号をデジタル信号に変換する。各G画素10gの画素信号に対して同じAD変換部によって処理が行われる。また、同一列内の複数のB画素10b(図4ではB画素10b(2,2)、B画素10b(4,2)、B画素10b(6,2))の画素信号は、同一の第2の垂直信号線VoutBに出力されて、同一の第2の読み出し部40bに入力されて処理が行われる。このように、本実施の形態では、同一列内の同色のカラーフィルタ41が配置される撮像画素10の画素信号は、同一の読み出し部40に入力されて処理される。
【0042】
互いに離れた位置に設けられる読み出し部では、製造ばらつき等に起因して、読み出し部毎に特性のばらつきが生じるおそれがある。例えば、アナログ信号である画素信号をデジタル信号に変換する際の変換ゲイン(AD変換ゲイン)が、読み出し部毎に異なることになる。このため、同一列内の同色画素の画素信号が互いに異なる読み出し部に入力されると、デジタル信号に変換された各画素信号に、AD変換ゲインずれに起因する差異が生じてしまう。
【0043】
これに対して、本実施の形態による撮像素子3では、同一列内の同色画素の画素信号は、同一の読み出し部40に入力されるため、画素信号に読み出し部40毎の特性のばらつきに起因する差異を抑制することができる。例えば、各撮像画素10の画素信号に、AD変換ゲインずれに起因する差異を抑制できる。この結果、撮像信号を用いて生成される画像の画質低下を防ぐことができる。
【0044】
図5は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の第1の読み出し制御の一例を示すタイミングチャートである。図5に示すタイミングチャートにおいて、横軸は時刻を示しており、第1の読み出し制御の場合に図4の撮像素子3の各部に入力される制御信号を示している。また、図5において、ハイレベル(例えば電源電位)の制御信号が入力されるトランジスタはオン状態となり、ローレベル(例えば接地電位)の制御信号が入力されるトランジスタはオフ状態となる。
【0045】
図5に示す時刻t1では、信号RST<0>及び信号RST<1>がハイレベルになる。信号RST<0>がハイレベルになることで、第1行目のG画素10g(1,2)及び第2行目のB画素10b(2,2)で共有されるリセット部16のトランジスタM4がオンになる。これにより、G画素10g(1,2)及びB画素10b(2,2)で共有されるFD15の容量Cの電荷がリセットされ、FD15の電位がリセット電位になる。
また、信号RST<1>がハイレベルになることで、第3行目のG画素10g(3,2)及び第4行目のB画素10b(4,2)で共有されるリセット部16のトランジスタM4がオンになる。これにより、G画素10g(3,2)及びB画素10b(4,2)で共有されるFD15の容量Cの電荷がリセットされ、FD15の電位がリセット電位になる。
【0046】
また、時刻t1において、信号SELB<0>及び信号SELA<1>がハイレベルになる。信号SELB<0>がハイレベルになることで、B画素10b(2,2)のリセット電位に基づく信号が、B画素10b(2,2)の増幅部17及び第2の選択部19により第2の垂直信号線VoutBに出力される。即ち、B画素10b(2,2)のFD15の電荷をリセットした後の信号(リセット信号)が、第2の垂直信号線VoutBに出力される。
また、信号SELA<1>がハイレベルになることで、G画素10g(3,2)のリセット信号が、G画素10g(3,2)の増幅部17及び第1の選択部18により第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0047】
このようにして、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBに、それぞれ第3行目のG画素10g(3,2)、第2行目のB画素10b(2,2)からリセット信号が同時に出力される。第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBにそれぞれ出力されたリセット信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。
【0048】
時刻t2では、信号TX2<0>及び信号TX1<1>がハイレベルになる。信号TX2<0>がハイレベルになることで、B画素10b(2,2)において、転送部12bのトランジスタM2がオンになり、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、信号TX1<1>がハイレベルになることで、G画素10g(3,2)において、転送部12aのトランジスタM1がオンになり、光電変換部11aで光電変換された電荷がFD15に転送される。
【0049】
また、時刻t2では、信号SELB<0>がハイレベルであるため、B画素10b(2,2)の光電変換部11bで生成された電荷に基づく画素信号が、増幅部17及び第2の選択部19によって第2の垂直信号線VoutBに出力される。また、信号SELA<1>がハイレベルであるため、G画素10g(3,2)の画素信号が、増幅部17及び第1の選択部18により第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0050】
このようにして、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBに、それぞれ第3行目のG画素10g(3,2)、第2行目のB画素10b(2,2)から画素信号が同時に出力される。第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBにそれぞれ出力された画素信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換されたリセット信号と画素信号とは、不図示の信号処理部に入力される。信号処理部は、リセット信号と画素信号との差分処理を行う相関二重サンプリング等の信号処理を行った後に、処理後の画素信号を制御部4に出力する。
【0051】
時刻t3では、信号RST<1>及び信号RST<2>がハイレベルになる。信号RST<1>がハイレベルになることで、第3行目のG画素10g(3,2)及び第4行目のB画素10b(4,2)で共有されるリセット部16のトランジスタM4がオンになる。これにより、G画素10g(3,2)及びB画素10b(4,2)で共有されるFD15の容量Cの電荷がリセットされる。
また、信号RST<2>がハイレベルになることで、第5行目のG画素10g(5,2)及び第6行目のB画素10b(6,2)で共有されるリセット部16のトランジスタM4がオンになる。これにより、G画素10g(5,2)及びB画素10b(6,2)で共有されるFD15の容量Cの電荷がリセットされる。
【0052】
また、時刻t3において、信号SELB<1>及び信号SELA<2>がハイレベルになる。信号SELB<1>がハイレベルになることで、B画素10b(4,2)のリセット信号が、増幅部17及び第2の選択部19により第2の垂直信号線VoutBに出力される。また、信号SELA<2>がハイレベルになることで、G画素10g(5,2)のリセット信号が、増幅部17及び第1の選択部18により第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0053】
このようにして、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBに、それぞれ第5行目のG画素10g(5,2)、第4行目のB画素10b(4,2)からリセット信号が同時に出力される。第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBにそれぞれ出力されたリセット信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。
【0054】
時刻t4では、信号TX2<1>及び信号TX1<2>がハイレベルになる。信号TX2<1>がハイレベルになることで、B画素10b(4,2)において、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、信号TX1<2>がハイレベルになることで、G画素10g(5,2)において、光電変換部11aで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、時刻t4では、信号SELB<1>がハイレベルであるため、B画素10b(4,2)の画素信号が、増幅部17及び第2の選択部19によって第2の垂直信号線VoutBに出力される。また、信号SELA<2>がハイレベルであるため、G画素10g(5,2)の画素信号が、増幅部17及び第1の選択部18により第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0055】
このようにして、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBに、それぞれ第5行目のG画素10g(5,2)、第4行目のB画素10b(4,2)から画素信号が同時に出力される。第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBにそれぞれ出力された画素信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換されたリセット信号と画素信号とは、不図示の信号処理部に入力される。信号処理部は、相関二重サンプリング等の信号処理を行った後に、処理後の画素信号を制御部4に出力する。
【0056】
時刻t5以降の期間では、時刻t1から時刻t5までの期間の場合と同様にして、撮像画素行が2行ずつ選択され、リセット信号の読み出しと、画素信号の読み出しとが行われる。このように、図5に示す第1の読み出し制御では、撮像画素行を2行ずつ選択し、画素信号を複数行で同時に読み出すことができる。
【0057】
次に、第2の読み出し制御について、図6及び図7を参照して説明する。なお、図6に示す例では、説明を簡略化するために、図2に示す複数の画素のうち、第7行第2列のG画素10g(7,2)と、第8行第2列の第1のAF画素13a(8,2)と、第15行第2列のG画素10g(15,2)と、第16行第2列の第2のAF画素13b(16,2)とを図示している。第2の読み出し制御では、垂直制御部30は、撮像素子3のAF画素行を2行毎に順次選択し、画素から信号を順次読み出す。
【0058】
垂直制御部30は、AF画素行である第8行目の第1のAF画素13a(8,2)の第1の選択部18をオン状態とし、第1のAF画素13a(8,2)の第2の選択部19をオフ状態とする。また、垂直制御部30は、AF画素行である第16行目の第2のAF画素13b(16,2)の第2の選択部19をオン状態とし、第2のAF画素13b(16,2)の第1の選択部18をオフ状態とする。垂直制御部30は、第7行目、第8行目、第15行目、及び第16行目とは異なる他の行の画素の第1の選択部18及び第2の選択部19を、それぞれオフ状態とする。これにより、第8行目の第1のAF画素13a(8,2)の画素信号は、第1のAF画素13a(8,2)の第1の選択部18を介して第1の垂直信号線VoutAに出力される。また、第16行目の第2のAF画素13b(16,2)の画素信号は、第2のAF画素13b(16,2)の第2の選択部19を介して第2の垂直信号線VoutBに出力される。同様に、撮像素子3では、第17行目以降のAF画素行についても、AF画素行が2行ずつ順次選択され、画素信号が出力される。
【0059】
このように、第2の読み出し制御の場合は、撮像素子3では、AF画素行が2行ずつ選択されて、一方の行のAF画素から第1の垂直信号線VoutAに画素信号が出力される。これと同時に他方の行のAF画素から第2の垂直信号線VoutBに画素信号が出力される。このため、撮像素子3に配置された各AF画素13から信号を高速に読み出すことができる。即ち、撮像素子3は、AF画素13の信号の読み出し時間を短縮することができる。これにより、制御部4は、焦点検出および焦点調節に要する時間を短縮することができる。
【0060】
また、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBに出力される画素信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。各AF画素13の画素信号が第1及び第2の読み出し部40a、40bにより並列処理されるため、各AF画素の画素信号に対するAD変換処理を高速に行うことができる。第1のAF画素13aの画素信号と第2のAF画素13bの画素信号は、それぞれ読み出し部40によりデジタル信号に変換された後に、一対の焦点検出信号として制御部4に出力される。
【0061】
図7は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の第2の読み出し制御の一例を示すタイミングチャートである。図7に示すタイミングチャートにおいて、横軸は時刻を示しており、第2の読み出し制御の場合に図6の撮像素子3の各部に入力される制御信号を示している。
【0062】
図7に示す時刻t1では、信号RST<3>及び信号RST<4>がハイレベルになる。信号RST<3>がハイレベルになることで、第7行目のG画素10g(7,2)及び第8行目の第1のAF画素13a(8,2)において、FD15の容量Cの電荷がリセットされる。また、信号RST<4>がハイレベルになることで、第15行目のG画素10g(15,2)及び第16行目の第2のAF画素13b(16,2)において、FD15の容量Cの電荷がリセットされる。
【0063】
また、時刻t1において、信号SELA<3>及び信号SELB<4>がハイレベルになる。信号SELA<3>がハイレベルになることで、第1のAF画素13a(8,2)のリセット信号が、増幅部17及び第1の選択部18により第1の垂直信号線VoutAに出力される。また、信号SELB<4>がハイレベルになることで、第2のAF画素13b(16,2)のリセット信号が、増幅部17及び第2の選択部19により第2の垂直信号線VoutBに出力される。
【0064】
このようにして、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBに、それぞれ第8行目の第1のAF画素13a(8,2)、第16行目の第2のAF画素13b(16,2)からリセット信号が同時に出力される。第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBにそれぞれ出力されたリセット信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。
【0065】
時刻t2では、信号TX2<3>及び信号TX2<4>がハイレベルになる。信号TX2<3>がハイレベルになることで、第8行目の第1のAF画素13a(8,2)において、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、信号TX2<4>がハイレベルになることで、第16行目の第2のAF画素13b(16,2)において、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD15に転送される。
また、時刻t2では、信号SELA<3>がハイレベルであるため、第1のAF画素13a(8,2)の画素信号が、増幅部17及び第1の選択部18によって第1の垂直信号線VoutAに出力される。また、信号SELB<4>がハイレベルであるため、第2のAF画素13b(16,2)の画素信号が、増幅部17及び第2の選択部19により第2の垂直信号線VoutBに出力される。
【0066】
このようにして、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBに、それぞれ第8行目の第1のAF画素13a(8,2)、第16行目の第2のAF画素13b(16,2)から画素信号が同時に出力される。第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBにそれぞれ出力された画素信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換されたリセット信号と画素信号とは、不図示の信号処理部に入力される。信号処理部は、リセット信号と画素信号との差分処理を行う相関二重サンプリング等の信号処理を行った後に、処理後の画素信号を制御部4に出力する。
【0067】
次に、第3の読み出し制御について、図6及び図8を参照して説明する。第3の読み出し制御では、垂直制御部30は、撮像素子3のAF画素行を1行毎に順次選択し、画素から信号を順次読み出す。
【0068】
垂直制御部30は、AF画素行である第8行目の第1のAF画素13a(8,2)の第1の選択部18をオン状態とし、第1のAF画素13a(8,2)の第2の選択部19をオフ状態とする。また、垂直制御部30は、第7行目及び第8行目とは異なる他の行の画素の第1の選択部18及び第2の選択部19を、それぞれオフ状態とする。これにより、第8行目の第1のAF画素13a(8,2)の画素信号は、第1の選択部18を介して第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0069】
第8行目の画素からの画素信号の読み出し後に、AF画素行である第16行目の第2のAF画素13b(16,2)の第1の選択部18をオン状態とし、第2のAF画素13b(16,2)の第2の選択部19をオフ状態とする。また、垂直制御部30は、第15行目及び第16行目とは異なる他の行の画素の第1の選択部18及び第2の選択部19を、それぞれオフ状態とする。これにより、第16行目の第2のAF画素13b(16,2)の画素信号は、第1の選択部18を介して第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0070】
なお、AF画素13の画素信号を第1の垂直信号線VoutAに出力する例について説明したが、第1の選択部18をオフ状態、第2の選択部19をオン状態とした場合は、第2の垂直信号線VoutBにAF画素13から画素信号を出力することができる。
【0071】
このように、第3の読み出し制御の場合は、撮像素子3では、AF画素行が1行ずつ選択されて、AF画素行の各画素から第1の垂直信号線VoutA(又は第2の垂直信号線VoutB)に画素信号が出力される。同一列内の各AF画素の画素信号は、同一の読み出し部40のAD変換部に入力される。このため、各AF画素から出力された画素信号にAD変換ゲインずれに起因する差異を抑制することができる。この結果、焦点検出信号を用いた焦点検出の精度低下を防ぐことができる。
【0072】
図8は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の第3の読み出し制御の一例を示すタイミングチャートである。図8に示すタイミングチャートにおいて、横軸は時刻を示しており、第3の読み出し制御の場合に図6の撮像素子3の各部に入力される制御信号を示している。
【0073】
図8に示す時刻t1において、信号RST<3>がハイレベルになることで、第7行目のG画素10g(7,2)及び第8行目の第1のAF画素13a(8,2)において、FD15の容量Cの電荷がリセットされる。また、時刻t1において、信号SELA<3>がハイレベルになることで、第1のAF画素13a(8,2)のリセット信号が、第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0074】
時刻t2では、信号TX2<3>がハイレベルになることで、第8行目の第1のAF画素13a(8,2)において、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、時刻t2では、信号SELA<3>がハイレベルであるため、第1のAF画素13a(8,2)の画素信号が、第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0075】
時刻t3では、信号RST<4>がハイレベルになることで、第15行目のG画素10g(15,2)及び第16行目の第2のAF画素13b(16,2)において、FD15の容量Cの電荷がリセットされる。また、時刻t3において、信号SELA<4>がハイレベルになることで、第2のAF画素13b(16,2)のリセット信号が、第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0076】
時刻t4では、信号TX2<4>がハイレベルになることで、第16行目の第2のAF画素13b(16,2)において、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、時刻t4では、信号SELA<4>がハイレベルであるため、第2のAF画素13b(16,2)の画素信号が、第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0077】
第1の垂直信号線VoutAに順次出力されるリセット信号及び画素信号は、第1の読み出し部40aによってデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された画素信号は、相関二重サンプリング等の信号処理が行われた後に、制御部4に出力される。
【0078】
このように、本実施の形態に係る撮像素子3は、第1の読み出し制御、第2の読み出し制御、及び第3の読み出し制御を行うことができる。撮像素子3は、第1の読み出し制御を行うことによって、撮像画素の信号の精度を向上させることができる。また、撮像素子3は、第2の読み出し制御の場合はAF画素の信号の読み出し速度を向上させることができ、第3の読み出し制御の場合にはAF画素の信号の精度を向上させることができる。
【0079】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部(光電変換部11)と、第1光電変換部に入射する光の一部を遮光する遮光部43とをそれぞれ有し、第1光電変換部で生成された電荷に基づく信号を出力する、第1方向に設けられる第1画素(AF画素13)と第2画素(AF画素13)と、光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部をそれぞれ有し、第2光電変換部で生成された電荷に基づく信号を出力する、第1方向に設けられる第3画素(撮像画素10)と第4画素(撮像画素10)と、第1画素、第2画素、第3画素、第4画素のいずれかの信号が出力され、第1方向に設けられる第1信号線(第1の垂直信号線VoutA)と第2信号線(第2の垂直信号線VoutB)と、第1画素の信号を第1信号線へ出力させ、第2画素の信号を第2信号線へ出力させる第1制御(第2の読み出し制御)と、第3画素の信号と第4画素の信号とを第1信号線または第2信号線へ出力させる第2制御(第1の読み出し制御)を行う制御部(垂直制御部30)と、を備える。本実施の形態では、垂直制御部30は、第1制御(第2の読み出し制御)と、第2制御(第1の読み出し制御)とを行う。垂直制御部30は、第2制御を行うことによって撮像画素の信号の精度を向上させることができ、第1制御を行うことによってAF画素の信号の読み出し速度を向上させることができる。
【0080】
(2)制御部(垂直制御部30)は、第1画素の信号と第2画素の信号とを第1信号線または第2信号線へ出力させる第3制御(第3の読み出し制御)を行う。本実施の形態では、垂直制御部30は、第3制御(第3の読み出し制御)を行う。垂直制御部30は、第3制御を行うことによって、AF画素の信号の精度を向上させることができる。
【0081】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0082】
(変形例1)
図9は、変形例1に係る撮像素子の一部の構成を示す図であり、図10は、変形例1に係る撮像素子の第1の読み出し制御の一例を示すタイミングチャートである。なお、図9に示す例では、説明を簡略化するために、行方向1画素×列方向4画素のみ図示している。図9では、図2に示す複数の画素のうち、第1行第2列のG画素10g(1,2)と、第2行第2列のB画素10b(2,2)と、第3行第2列のG画素10g(3,2)と、第4行第2列のB画素10b(4,2)とを図示している。以下、図9及び図10を用いて、変形例1に係る撮像素子の第1の読み出し制御について説明する。
【0083】
図10に示す時刻t1では、信号RST<0>及び信号RST<1>がハイレベルになる。信号RST<0>がハイレベルになることで、G画素10g(1,2)及びB画素10b(2,2)で共有されるFD15の容量Cの電荷がリセットされる。
また、信号RST<1>がハイレベルになることで、G画素10g(3,2)及びB画素10b(4,2)で共有されるFD15の容量Cの電荷がリセットされる。
【0084】
また、時刻t1において、信号SELA<0>及び信号SELB<1>がハイレベルになる。信号SELA<0>がハイレベルになることで、G画素10g(1,2)のリセット信号が、G画素10g(1,2)の増幅部17及び第1の選択部18により第1の垂直信号線VoutAに出力される。
また、信号SELB<1>がハイレベルになることで、B画素10b(4,2)のリセット信号が、B画素10b(4,2)の増幅部17及び第2の選択部19により第2の垂直信号線VoutBに出力される。
【0085】
このようにして、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBには、それぞれ第1行目のG画素10g(1,2)、第4行目のB画素10b(4,2)からリセット信号が同時に出力される。第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBにそれぞれ出力されたリセット信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。
【0086】
時刻t2では、信号TX1<0>及び信号TX2<1>がハイレベルになる。信号TX1<0>がハイレベルになることで、G画素10g(1,2)において、光電変換部11aで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、信号TX2<1>がハイレベルになることで、B画素10b(4,2)において、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD15に転送される。
また、時刻t2では、信号SELA<0>がハイレベルであるため、G画素10g(1,2)の画素信号が、第1の垂直信号線VoutAに出力される。また、信号SELB<1>がハイレベルであるため、B画素10b(4,2)の画素信号が、第2の垂直信号線VoutBに出力される。
【0087】
このようにして、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBには、それぞれ第1行目のG画素10g(1,2)、第4行目のB画素10b(4,2)から画素信号が同時に出力される。第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBにそれぞれ出力された画素信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された画素信号は、相関二重サンプリング等の信号処理が施された後に、制御部4に出力される。
【0088】
時刻t3では、信号RST<0>及び信号RST<1>がハイレベルになる。信号RST<0>がハイレベルになることで、G画素10g(1,2)及びB画素10b(2,2)で共有されるFD15の容量Cの電荷がリセットされる。
また、信号RST<1>がハイレベルになることで、G画素10g(3,2)及びB画素10b(4,2)で共有されるFD15の容量Cの電荷がリセットされる。
【0089】
また、時刻t3において、信号SELB<0>及び信号SELA<1>がハイレベルになる。信号SELB<0>がハイレベルになることで、B画素10b(2,2)のリセット信号が、第2の垂直信号線VoutBに出力される。また、信号SELA<1>がハイレベルになることで、G画素10g(3,2)のリセット信号が、第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0090】
このようにして、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBには、それぞれ第3行目のG画素10g(3,2)、第2行目のB画素10b(2,2)からリセット信号が同時に出力される。第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBにそれぞれ出力されたリセット信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。
【0091】
時刻t4では、信号TX2<0>及び信号TX1<1>がハイレベルになる。信号TX2<0>がハイレベルになることで、B画素10b(2,2)において、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、信号TX1<1>がハイレベルになることで、G画素10g(3,2)において、光電変換部11aで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、時刻t4では、信号SELB<0>がハイレベルであるため、B画素10b(2,2)の画素信号が、第2の垂直信号線VoutBに出力される。また、信号SELA<1>がハイレベルであるため、G画素10g(3,2)の画素信号が、第1の垂直信号線VoutAに出力される。
【0092】
このようにして、第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBには、それぞれ第3行目のG画素10g(3,2)、第2行目のB画素10b(2,2)から画素信号が同時に出力される。第1の垂直信号線VoutA及び第2の垂直信号線VoutBにそれぞれ出力された画素信号は、それぞれ第1の読み出し部40a、第2の読み出し部40bに入力されてデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された画素信号は、相関二重サンプリング等の信号処理が施された後に、制御部4に出力される。
【0093】
時刻t5以降の期間では、時刻t1から時刻t5までの期間の場合と同様にして、撮像画素行が2行ずつ選択され、リセット信号の読み出しと、画素信号の読み出しとが行われる。このように、変形例1に係る第1の読み出し制御でも、上述した実施の形態の場合と同様に、撮像画素行を2行ずつ選択し、画素信号を複数行単位で同時に読み出すことができる。また、同一列内の同色画素の画素信号を、同一の読み出し部40に読み出すことができ、画素信号に読み出し部40毎の特性のばらつきに起因する差異を抑制することができる。
【0094】
(変形例2)
上述した第1の実施の形態では、隣り合う2つの画素がFD15等を共有する構成とする例について説明したが、画素の構成はこれに限らない。例えば、撮像素子3に設けられる複数の画素の各々が、FD15、リセット部16、増幅部17、第1の選択部18、及び第2の選択部19を有する構成としてもよい。また、3つの画素、又はそれ以上の画素で、FD15等を共有する構成としても良い。例えば、4つの画素でFD15等を共有する構成としても良い。
【0095】
図11は、4つの画素でFD15等を共有する場合の撮像素子の構成例を示す図である。図11においては、左上隅の画素を第1行第1列の撮像画素10(1,1)とし、右下隅の画素を第8行第3列の撮像画素10(8,3)として、撮像画素10(1,1)から撮像画素10(8,3)までの24個の画素を図示している。
【0096】
図11において、点線20は、4つの画素がFD15と、リセット部16と、増幅部17と、第1の選択部18と、第2の選択部19とを共有することを模式的に表している。また、図11に示すAF画素13は、上述した第1のAF画素13aまたは第2のAF画素13bである。AF画素13(2,2)はAF画素13(4,2)とFD15等を共有しており、AF画素13(6,2)は、AF画素13(8,2)とFD15等を共有している。
【0097】
本変形例に係る垂直制御部30は、第3の読み出し制御においては、例えば、AF画素13(2,2)、AF画素13(4,2)、AF画素13(6,2)、AF画素13(8,2)を順次選択して信号を読み出す。また、垂直制御部30は、第2の読み出し制御では、AF画素13(2,2)又はAF画素13(4,2)を選択して第1の垂直信号線VoutA(又は第2の垂直信号線VoutB)に画素信号を出力する。この読み出しと同時に、AF画素13(6,2)又はAF画素13(8,2)を選択して第2の垂直信号線VoutB(又は第1の垂直信号線VoutA)に画素信号を出力する。このため、複数のAF画素間でFD15等を共有する場合であっても、各AF画素13から高速に信号を読み出すことができる。
【0098】
(変形例3)
上述した実施の形態では、垂直信号線は、第1の垂直信号線VoutAと第2の垂直信号線VoutBとを配置する例について説明したが、これに限定されない。例えば、垂直信号線は3本以上配置してもよい。垂直信号線が増えれば、AF画素13の画素信号をさらに高速で読み出すことができる。
【0099】
(変形例4)
上述した実施の形態では、AF画素13には、Gのカラーフィルタ41を配置する例について説明したが、これに限定されない。例えば、AF画素13には、カラーフィルタ41として、W(白)のカラーフィルタを配置してもよいし、Bのカラーフィルタを配置してもよい。
【0100】
(変形例5)
上述した実施の形態では、撮像素子3に、原色系(RGB)のカラーフィルタを用いる場合について説明したが、補色系(CMY)のカラーフィルタを用いるようにしてもよい。
【0101】
(変形例6)
上述した実施の形態および変形例では、光電変換部としてフォトダイオードを用いる例について説明した。しかし、光電変換部として光電変換膜を用いるようにしてもよい。
【0102】
(変形例7)
上述の実施の形態および変形例で説明した撮像素子3は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内蔵のカメラ、車載カメラ、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)に搭載されるカメラ等に適用されてもよい。
【0103】
(変形例8)
上述した実施の形態および変形例で説明した撮像素子を、複数の基板(例えば、複数の半導体基板)を積層して構成される積層センサ(積層型の撮像素子)に適用してもよい。例えば、画素部100は1層目の基板に配置し、垂直制御部30と読み出し部40とは2層目の基板に配置し、垂直信号線Voutは、1層目の基板と2層目の基板との間に配置する。画素部100と垂直制御部30とは1層目の基板に配置し、読み出し部40は2層目の基板に配置してもよい。また、積層センサは3層以上にしてもよい。
【0104】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0105】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2018年第67700号(2018年3月30日出願)
【符号の説明】
【0106】
3 撮像素子、4 制御部、10 撮像画素、13a 第1のAF画素、13b 第2のAF画素、30 垂直制御部、40a 第1の読み出し部、40b 第2の読み出し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11