(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】位置検出装置及び位置検出方法、露光装置及び露光方法、並びに、デバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 9/00 20060101AFI20221115BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221115BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 521
G01B11/00 G
(21)【出願番号】P 2021120317
(22)【出願日】2021-07-21
(62)【分割の表示】P 2016108505の分割
【原出願日】2016-05-31
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】長山 匡
(72)【発明者】
【氏名】星 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】大橋 道雄
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-327318(JP,A)
【文献】特開昭63-298102(JP,A)
【文献】特開平11-121357(JP,A)
【文献】特表2015-528584(JP,A)
【文献】特開平11-135406(JP,A)
【文献】特開2003-224057(JP,A)
【文献】特開2001-267211(JP,A)
【文献】特開2005-268237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの計測光で、物体に形成されたマークの位置を検出する位置検出装置であって、
前記マークを介した前記計測光の反射光及び回折光の少なくとも一部を減衰する減衰部材と、
前記マークを介した前記反射光のうち前記減衰部材が減衰した第1反射光成分、前記マークを介した前記回折光のうち前記減衰部材が減衰した第1回折光成分、前記マークを介した前記反射光のうち前記減衰部材が減衰していない第2反射光成分、及び、前記マークを介した前記回折光のうち前記減衰部材が減衰していない第2回折光成
分を検出する検出器と
を備える位置検出装置。
【請求項2】
前記検出器の検出結果に基づいて、前記マークの位置の検出誤差に関する誤差情報を少なくとも算出するコントローラを更に備える
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記検出器が
前記第1又は第2回折光成分として検出した
±N(尚、Nは、1以上の整数)次の回折光成分の強度に関する第1情報と、前記検出器が検出した前記反射光及び前記回折光のうちの少なくとも一つの強度に関する第2情報とに基づいて、前記誤差情報を算出する
を備える請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第1情報は、
前記検出器が前記第2回折光成分
として検出した前記±N次の回折光成分の強度の関係に関し、
前記第2情報は、前記第1反射光成分の強度及び前記第2回折光成分の強度に関する
請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記第1情報は、
前記検出器が前記第2回折光成分
として検出した前記±N次の回折光成分の強度の差に関し、
前記第2情報は、前記第1反射光成分の強度で正規化した前記第2回折光成分の強
度に関する
請求項4に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記検出器は、前記第1反射光成分及び前記第1回折光成分を検出するための第1検出領域と、前記第2反射光成分及び前記第2回折光成分を検出するための第2検出領域とを含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記マークを介した前記反射光及び前記回折光のうちの少なくとも一方の光路を複数の光路に分岐する分岐部材を備え、
前記減衰部材は、前記複数の光路のうちの一つの光路に配置される
請求項1から6のいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記マークを介した前記計測光の反射光及び回折光の一部を遮光する遮光部材を更に備え、
前記検出器は、前記遮光部材を介した前記反射光及び前記回折光の少なくとも一方を検出する
請求項1から7のいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記遮光部材は、前記マークのうちの第1マークを介した前記反射光及び前記回折光の少なくとも一部を遮光する一方で、前記マークのうちの前記第1マークとは異なる第2マークを介した前記反射光及び前記回折光を遮光しない
請求項8に記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記遮光部材は移動可能である
請求項8又は9に記載の位置検出装置。
【請求項11】
前記遮光部材は、第1方向に沿って延びた形状の第1部材と、前記第1部材の一方の端部から前記第1方向に交差する第2方向に沿って突出した形状の第2部材と、前記第1部材の他方の端部から前記第2方向に沿って且つ前記第2部材が突出した側に向かって突出した形状の第3部材とを備える第1遮光部材を含む
請求項8から10のいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項12】
前記第1部材、前記第2部材、及び前記第3部材は一体化されている
請求項11に記載の位置検出装置。
【請求項13】
前記第1遮光部材は、前記第1方向に沿って移動可能である
請求項11
又は12に記載の位置検出装置。
【請求項14】
前記遮光部材は、前記第2方向に沿って並ぶ一対の前記第1遮光部材を備える
請求項11から
13のいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項15】
前記一対の第1遮光部材の一方の前記第2及び第3部材の夫々は、前記一対の第1遮光部材の他方に向かって突出しており、
前記一対の第1遮光部材の他方の前記第2及び第3部材の夫々は、前記一対の第1遮光部材の一方に向かって突出している
請求項
14に記載の位置検出装置。
【請求項16】
前記一対の第1遮光部材は、前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を遮光可能な第1遮光領域と、前記第1方向に沿って前記第1遮光領域に隣接し且つ前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を通過させることができる第1光通過領域と、前記第2方向に沿って前記第1遮光領域に隣接し且つ前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を通過させることができる第2光通過領域と、前記第2方向に沿って前記第1光通過領域に隣接し、前記第1方向に沿って前記第2光通過領域に隣接し且つ前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を遮光可能な第2遮光領域とを規定する
請求項
14又は
15に記載の位置検出装置。
【請求項17】
前記第1遮光領域は、前記一対の第1遮光部材の一方の前記第2又は第3部材によって規定され、
前記第2遮光領域は、前記一対の第1遮光部材の他方の前記第2又は第3部材によって規定され、
前記第1光通過領域は、前記一対の第1遮光部材の一方の前記第1から第3部材によって囲まれる部分によって規定され、
前記第2光通過領域は、前記一対の第1遮光部材の他方の前記第1から第3部材によって囲まれる部分によって規定される
請求項
16に記載の位置検出装置。
【請求項18】
請求項1から
17のいずれか一項に記載の位置検出装置の検出結果を用いて物体を露光する露光装置。
【請求項19】
請求項1から
17のいずれか一項に記載の位置検出装置の検出結果を用いて物体を露光する露光方法。
【請求項20】
請求項
19に記載の露光方法を用いて、感光剤が塗布された前記物体を露光し、当該物体に所望のパターンを転写し、
露光された前記感光剤を現像して、前記所望のパターンに対応する露光パターン層を形成し、
前記露光パターン層を介して前記物体を加工するデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体に形成されたマークの位置を検出可能な位置検出装置及び位置検出方法、露光装置及び露光方法、並びに、デバイス製造方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
デバイスパターンを基板に転写する露光装置は、アライメント計測を行うために、基板上に形成されたアライメントマークに対して計測光を照射することでアライメントマークの位置を検出する。アライメント計測は、主として、基板上に既に形成済みのデバイスパターンと、基板上に新たに転写しようとしているデバイスパターンとの位置合わせを行うために行われる。しかしながら、場合によっては、アライメントマークの位置を適切に検出することができない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
位置検出装置の第1の態様は、光源からの計測光で、物体に形成されたマークの位置を検出する位置検出装置であって、前記マークを介した前記計測光の回折光を少なくとも検出する検出器と、前記検出器の検出結果を用いて前記マークの非対称性及び前記マークの高低に起因する位置の検出誤差に関する誤差情報を算出し、前記マークの検出位置に関する位置情報を補正するコントローラとを備える。
【0005】
位置検出装置の第2の態様は、光源からの計測光で、物体に形成されたマークの位置を検出する位置検出装置であって、前記マークを介した前記計測光の回折光を少なくとも検出する検出器と、前記検出器の検出結果を用いて、前記マークの検出位置に関する位置情報を算出すると共に前記マークの非対称性及び前記マークの高低に起因する位置の検出誤差に関する誤差情報を算出するコントローラとを備える。
【0006】
位置検出装置の第3の態様は、光源からの計測光で、物体に形成されたマークの位置を検出する位置検出装置であって、前記マークを介した前記計測光の反射光及び回折光を検出する検出器と、2種類の前記回折光の強度の関係に関する第1情報と、前記反射光及び前記回折光のうちの少なくとも一つの強度に関する第2情報とに基づいて、前記マークの位置の検出誤差に関する誤差情報を算出するコントローラとを備える。
【0007】
位置検出装置の第4の態様は、光源からの計測光で、物体に形成されたマークの位置を検出する位置検出装置であって、前記マークを介した前記計測光の反射光及び回折光の少なくとも一部を減衰する減衰部材と、前記マークを介した前記反射光のうち前記減衰部材が減衰した第1反射光成分、前記マークを介した前記回折光のうち前記減衰部材が減衰した第1回折光成分、前記マークを介した前記反射光のうち前記減衰部材が減衰していない第2反射光成分、及び、前記マークを介した前記回折光のうち前記減衰部材が減衰していない第2回折光成分のうちの少なくとも一つを検出する検出器とを備える。
【0008】
位置検出装置の第5の態様は、光源からの計測光で、物体に形成されたマークの位置を検出する位置検出装置であって、前記マークを介した前記計測光の反射光及び回折光の一部を遮光する遮光部材と、前記遮光部材を介した前記反射光及び前記回折光の少なくとも一方を検出する検出器とを備え、前記遮光部材は、第1方向に沿って延びた形状の第1部材と、前記第1部材の一方の端部から前記第1方向に交差する第2方向に沿って突出した形状の第2部材と、前記第1部材の他方の端部から前記第2方向に沿って且つ前記第2部材が突出した側に向かって突出した形状の第3部材とを備える第1遮光部材を含む。
【0009】
位置検出装置の第6の態様は、光源からの計測光で、物体に形成されたマークの位置を検出する位置検出装置であって、前記マークを介した前記計測光の反射光及び回折光の一部を遮光する遮光部材と、前記遮光部材を介した前記反射光及び前記回折光の夫々を検出する検出器とを備え、前記遮光部材は、前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を遮光可能な第1遮光領域と、第1方向に沿って前記第1遮光領域に隣接し且つ前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を通過させることができる第1光通過領域と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って前記第1遮光領域に隣接し且つ前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を通過させることができる第2透過領域と、前記第2方向に沿って前記第1光通過領域に隣接し、前記第1方向に沿って前記第2光通過領域に隣接し且つ前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を遮光可能な第2遮光領域とを規定する。
【0010】
位置検出装置の第7の態様は、光源からの計測光で、物体に形成されたマークの位置を検出する位置検出装置であって、前記マークに照射された前記計測光によって発生する第1回折光及び第2回折光を検出する検出器と、前記第1回折光の強度に関する情報と、前記第1回折光と前記第2回折光との関係に関する情報とに少なくとも基づいて、前記マークの位置の検出誤差に関する誤差情報を算出し、前記マークの検出位置に関する位置情報を補正するコントローラとを備える。
【0011】
位置検出装置の第8の態様は、光源からの計測光で、物体に形成されたマークの位置を検出する位置検出装置であって、前記マークに照射された前記計測光によって発生する第1回折光及び第2回折光を検出する検出器と、前記第1回折光及び前記第2回折光の強度に関する情報に少なくとも基づいて、前記マークの検出位置に関する位置情報を算出すると共に、前記第1回折光の強度に関する情報と、前記第1回折光と前記第2回折光との関係に関する情報とに少なくとも基づいて、前記マークの位置の検出誤差に関する誤差情報を算出するコントローラとを備える。
【0012】
位置検出方法の第1の態様は、物体に形成されたマークに計測光を照射することと、前記マークを介した前記計測光の回折光を少なくとも検出することと、前記回折光の検出結果を用いて前記マークの位置の検出誤差に関する誤差情報を算出することと、前記誤差情報を用いて、前記マークの検出位置に関する位置情報を補正することとを含む。
【0013】
位置検出方法の第2の態様は、物体に形成されたマークに計測光を照射することと、前記マークを介した前記計測光の回折光を少なくとも検出することと、前記回折光の検出結果を用いて前記マークの位置の検出誤差に関する誤差情報を算出することと、前記回折光の検出結果を用いて前記マークの検出位置に関する位置情報を算出することとを含む。
【0014】
位置検出方法の第3の態様は、物体に形成されたマークに計測光を照射することと、前記マークを介した前記計測光の反射光及び回折光を検出することと、2種類の前記回折光の強度に関する第1情報と、前記反射光及び前記回折光のうちの少なくとも一つの強度に関する第2情報とに基づいて、前記マークの位置の検出誤差に関する誤差情報を算出することとを含む。
【0015】
位置検出方法の第4の態様は、物体に形成されたマークに計測光を照射することと、前記マークを介した前記計測光の反射光及び回折光の少なくとも一部を減衰することと、前記マークを介した前記反射光のうち前記減衰することによって減衰した第1反射光成分、前記マークを介した前記回折光のうち前記減衰することによって減衰した第1回折光成分、前記マークを介した前記反射光のうち前記減衰することによって減衰していない第2反射光成分、及び、前記マークを介した前記回折光のうち前記減衰することによって減衰していない第2回折光成分のうちの少なくとも一つを検出することとを含む。
【0016】
位置検出方法の第5の態様は、物体に形成されたマークに計測光を照射することと、第1方向に沿って延びた形状の第1部材と、前記第1部材の一方の端部から前記第1方向に交差する第2方向に沿って突出した形状の第2部材と、前記第1部材の他方の端部から前記第2方向に沿って且つ前記第2部材が突出した側に向かって突出した形状の第3部材とを備える第1遮光部材を含む遮光部材を移動して、前記マークを介した前記計測光の反射光及び回折光の一部を遮光することと、前記遮光部材を介した前記反射光及び前記回折光の夫々を検出することとを含む。
【0017】
位置検出方法の第6の態様は、物体に形成されたマークに計測光を照射することと、前記マークを介した前記計測光の反射光及び回折光の光路に、前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を遮光可能な第1遮光領域と、第1方向に沿って前記第1遮光領域に隣接し且つ前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を通過させることができる第1光通過領域と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って前記第1遮光領域に隣接し且つ前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を通過させることができる第2光通過領域と、前記第2方向に沿って前記第1光通過領域に隣接し、前記第1方向に沿って前記第2光通過領域に隣接し且つ前記マークを介した前記反射光及び前記回折光の一部を遮光可能な第2遮光領域とを設定することと前記第1及び第2光通過領域を介した前記計測光の反射光及び回折光を検出することとを含む。
【0018】
位置検出方法の第7の態様は、物体に形成されたマークに計測光を照射することと、前記マークに照射された前記計測光によって発生する第1回折光及び第2回折光を検出することと、前記第1回折光の強度に関する情報と、前記第1回折光と前記第2回折光との関係に関する情報とに少なくとも基づいて、前記マークの位置の検出誤差に関する誤差情報を算出することと、前記誤差情報を用いて、前記マークの検出位置に関する位置情報を補正することとを含む。
【0019】
位置検出方法の第8の態様は、物体に形成されたマークに計測光を照射することと、前記マークに照射された前記計測光によって発生する第1回折光及び第2回折光を検出することと、前記第1回折光及び前記第2回折光の強度に関する情報に少なくとも基づいて、前記マークの検出位置に関する位置情報を算出することと、前記第1回折光の強度に関する情報と、前記第1回折光と前記第2回折光との関係に関する情報とに少なくとも基づいて、前記マークの位置の検出誤差に関する誤差情報を算出することとを含む。
【0020】
露光装置の第1の態様は、位置検出装置の第1の態様から第8の態様のいずれか一つの計測結果を用いて物体を露光する。
【0021】
露光方法の第1の態様は、位置検出方法の第1の態様から第8の態様のいずれか一つの計測結果を用いて物体を露光する。
【0022】
デバイス製造方法の第1の態様は、露光方法の第1の態様を用いて、感光剤が塗布された前記物体を露光し、当該物体に所望のパターンを転写し、露光された前記感光剤を現像して、前記所望のパターンに対応する露光パターン層を形成し、前記露光パターン層を介して前記物体を加工する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本実施形態の露光システムの構成の一例を示す構成図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の露光装置の構成の一例を示す構成図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の位置検出装置の構成の一例を示す構成図である。
【
図4】
図4(a)から
図4(b)は、夫々、照明系の構成の一例を示す構成図である。
【
図5】
図5(a)から
図5(b)は、夫々、計測光の照射態様の一例を示す側面図である。
【
図6】
図6は、導光光学系の構成の一例を示す構成図である。
【
図7】
図7(a)から
図7(d)は、夫々、絞り機構の構成の一例を示す平面図である。
【
図8】
図8(a)、
図8(c)及び
図8(e)は、夫々、アライメントマークの一例を示す平面図であり、
図8(b)、
図8(d)及び
図8(f)は、夫々、可変視野絞りが規定する開口(透過領域及び遮光領域)の一例を示す平面図である。
【
図9】
図9(a)は、撮像素子の構成を示す平面図であり、
図9(b)は、撮像素子が撮像する像が示す光強度分布を模式的に示す模式図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は、夫々、アライメントマークからの出射光の強度分布を示すグラフであり、
図10(c)は、テンプレート関数を示すグラフである。
【
図11】
図11(a)から
図11(b)は、夫々、アライメントマークの非対称な形状を簡略化したモデルを示す断面図であり、
図11(c)は、ボトム段差と第1非対称パラメータとの関係を示すグラフであり、
図11(d)は、マーク段差と第2非対称パラメータとの関係を示すグラフである。
【
図12】
図12は、アライメントマークの形状の変化と第1及び第2非対称パラメータとの関係を示すグラフである。
【
図13】
図13は、アライメントマークの形状の変化と第1及び第2非対称パラメータとの関係を示すグラフである。
【
図14】
図14(a)及び
図14(b)の夫々は、可変視野絞りが規定する開口(透過領域及び遮光領域)の一例を示す平面図である。
【
図15】
図15(a)は、露光システムの構成の一例を示す構成図であり、
図15(b)は、重ね合わせ精度と非対称パラメータとの相関を示すグラフである。
【
図16】
図16は、デバイス製造方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明が以下に説明する実施形態に限定されることはない。
(1)露光システムSYSの構成
はじめに、
図1を参照しながら、本実施形態の露光システムSYSの構成の一例について説明する。
図1に示すように、露光システムSYSは、露光装置1と、アライメント装置2と、基板処理装置3と、記憶装置4とを備えている。
【0025】
露光装置1は、物体を露光する。以下では、説明の便宜上、物体は、レジストが塗布された半導体基板等の基板141であるものとする。この場合、露光装置1は、基板141を露光することで、基板141にデバイスパターン(例えば、半導体素子パターン)を転写する。つまり、露光装置1は、半導体素子等のデバイスを製造するための露光装置であるものとする。但し、後述するように、露光装置1は、任意の物体を露光する又は任意の物体に光を照射する任意の露光装置であってもよい。
【0026】
アライメント装置2は、露光装置1が基板141を露光する前に、当該基板141に対してアライメント計測を行う。具体的には、アライメント装置2は、基板141に形成されたアライメントマークMに対して照明光L21を照射する。アライメント装置2は、照明光L21が照射されたアライメントマークMを撮像する。アライメント装置2は、撮像結果に基づいて、アライメントマークMを検出する。アライメント装置2は、アライメントマークMの検出結果と、基板141の位置の計測結果とに基づいて、アライメントマークMの位置を計測する。アライメント装置2は、アライメントマークMの位置の計測結果に基づいて、EGA(Enhanced Global Alignment)演算を行う。その結果、アライメント装置2は、基板141上に規定されている複数のショット領域の夫々の設計上の位置座標と複数のショット領域の夫々の実際の位置(つまり、実際に計測されたアライメントマークMの位置から算出可能な各ショット領域の実際の位置)との関係を示すアライメントパラメータを算出することができる。アライメント装置2が算出したアライメントパラメータは、露光装置1が基板141を露光する際に、基板141上に既に形成済みのデバイスパターンと基板141上に新たに転写しようとしているデバイスパターンとの位置合わせを行うために用いられる。
【0027】
基板処理装置3は、露光装置1が露光した基板141に対して所定の処理を行う。例えば、基板処理装置3は、露光装置1が露光した基板141に対して現像処理を行なってもよい。例えば、基板処理装置3は、現像処理が行われた基板141に対して、感光剤(言い換えれば、レジスト)を塗布する塗布処理を行なってもよい。尚、以下の説明では、基板処理装置3は、基板141に対して現像処理及び塗布処理を行うコータ・デベロッパであるものとする。
【0028】
基板141は、不図示の搬送装置によって、露光装置1、アライメント装置2及び基板処理装置3の間で搬送される。例えば、搬送装置は、露光装置1が露光した基板141を露光装置1から取り出し、取り出した基板141を基板処理装置3に搬送する。例えば、搬送装置は、基板処理装置3が現像処理及び塗布処理を行った基板141を基板処理装置3から取り出し、取り出した基板141をアライメント装置2に搬送する。例えば、搬送装置は、アライメント装置2がアライメント計測を行った基板141をアライメント装置2から取り出し、取り出した基板141を露光装置1に搬送する。
【0029】
記憶装置4は、アライメント装置2が特定したアライメントパラメータを記憶可能である。記憶装置4が記憶しているアライメントパラメータは、露光装置1によって適宜読み出し可能である。
【0030】
露光装置1、アライメント装置2、基板処理装置3及び記憶装置4は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続されている。このため、露光装置1、アライメント装置2、基板処理装置3及び記憶装置4は、ネットワークを介して互いに通信可能である。
(2)露光装置1の構成
続いて、
図2を参照しながら、露光装置1の構成の一例について説明する。尚、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、露光装置1を構成する構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。
【0031】
図2に示すように、露光装置1は、マスクステージ11と、照明系12と、投影光学系13と、基板ステージ14と、アライメント系15と、制御装置16とを備えている。
【0032】
マスクステージ11は、基板141に転写されるデバイスパターンが形成されたマスク111を保持可能である。マスクステージ11は、マスク111を保持した状態で、照明系12から射出される露光光ELが照射される照明領域を含む平面(例えば、XY平面)に沿って移動可能である。例えば、マスクステージ11は、モータを含む駆動システム112の動作により移動する。マスクステージ11は、駆動システム112の動作により、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向、並びに、θX方向、θY方向及びθZ方向のうちの少なくとも一つに沿って移動可能である。マスクステージ11の位置は、位置計測装置113によって適宜計測される。位置計測装置113は、例えば、レーザ干渉計及びエンコーダシステムのうちの少なくとも一方を含む。
【0033】
照明系12は、露光光ELを射出する。露光光ELは、例えば、水銀ランプから射出される輝線(例えば、g線、h線若しくはi線等)であってもよい。露光光ELは、例えば、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)やArFエキシマレーザ光(波長193nm)等の遠紫外光(DUV光:Deep Ultra Violet光)であってもよい。露光光ELは、例えば、F2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光:Vacuum Ultra Violet光)であってもよい。照明系12が射出した露光光ELは、マスク111の一部に照射される。
【0034】
投影光学系13は、マスク111を透過した露光光EL(つまり、マスク111に形成されたデバイスパターンの像)を、基板141に投影する。
【0035】
基板ステージ14は、基板141を保持する。基板ステージ14は、基板141を保持した状態で、投影光学系13によって露光光ELが投影される投影領域を含む平面(例えば、XY平面)に沿って移動可能である。例えば、基板ステージ14は、モータを含む駆動システム142の動作により移動する。基板ステージ14は、駆動システム142の動作により、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向、並びに、θX方向、θY方向及びθZ方向のうちの少なくとも一つに沿って移動可能である。基板ステージ14の位置は、位置計測装置143によって適宜計測される。位置計測装置143は、例えば、レーザ干渉計及びエンコーダシステムのうちの少なくとも一方を含む。
【0036】
アライメント系15は、基板141上のマーク領域MAに形成されたアライメントマークMを検出する。具体的には、アライメント系15は、アライメントマークMに対して照明光L11を照射する。アライメント系15は、照明光L11が照射されたアライメントマークMからの光(つまり、照明光L11の反射光及び回折光のうちの少なくとも一方)を受光することで、アライメントマークMを撮像する。アライメント系15は、撮像結果に基づいて、アライメントマークMを検出する。このため、アライメント系15は、画像処理方式のFIA(Field Image Alingment)である。但し、アライメント系15は、その他の方式のアライメント系であってもよい。アライメント系15は、アライメントマークMの検出結果を、制御装置16に出力する。
【0037】
アライメント系15は、投影光学系13の側面に配置されている。このため、アライメント系15は、投影光学系13を介することなく、照明光L11をアライメントマークMに照射する。更に、アライメント系15は、投影光学系13を介することなく、アライメントマークMからの光を受光することで、アライメントマークMを撮像する。つまり、アライメント系15は、オフアクシス方式のアライメント系である。但し、アライメント系15は、投影光学系13を介して、照明光L11をアライメントマークMに照射してもよい。アライメント系15は、投影光学系13を介して、アライメントマークMからの光を受光することで、アライメントマークMを撮像してもよい。
【0038】
露光装置1は、単一のアライメント系15を備えていてもよい。或いは、露光装置1は、複数のアライメント系15を備えていてもよい。この場合、複数のアライメント系15のうちの一つのアライメント系15がプライマリアライメント系15として用いられ、且つ、複数のアライメント系15のうちのその他のアライメント系15がセカンダリアライメント系5として用いられてもよい。更に、複数のアライメント系15は、所望方向(例えば、X軸方向又はY軸方向)に沿って配列していてもよい。複数のアライメント系5を備える露光装置は、例えば米国特許第8,054,472号公報に開示されている。
【0039】
アライメントマークMは、所望のピッチΛで形成された格子マークを含む。より具体的には、アライメントマークMは、所望のピッチΛYで第1方向(例えば、Y軸方向)に並ぶように形成された格子マークMYと、所望のピッチΛXで第1方向に直交する第2方向(例えば、X軸方向)に並ぶように形成された格子マークMXとを含む。但し、アライメントマークMは、アライメント系15が検出可能なマークである限りは、どのようなマークであってもよい。
【0040】
基板141上には、基板141上の各ショット領域に対応する一又は複数のマーク領域MAが配置されている。各マーク領域MAには、単一の格子マークMXが形成されていてもよいし、複数の格子マークMXが形成されていてもよい。各マーク領域MAには、単一の格子マークMYが形成されていてもよいし、複数の格子マークMYが形成されていてもよい。
【0041】
制御装置16は、露光装置1全体の動作を制御する。制御装置16は、露光装置1が備える各動作ブロックを動作させるための制御コマンドを、各動作ブロックに対して出力する。各動作ブロックは、制御コマンドに従って動作する。例えば、制御装置16は、位置計測装置113が計測したマスクステージ111の位置を示すマスク位置情報、位置計測装置143が計測した基板ステージ141の位置を示す基板位置情報、及び、アライメント系15によるアライメントマークMの検出結果を示すマーク検出情報を取得する。制御装置16は、マーク検出情報及び基板位置情報に基づいて、アライメントマークMの位置を示すマーク位置情報を特定する。更に、制御装置16は、記憶装置4から、アライメント装置2が算出したアライメントパラメータを取得する。制御装置6は、取得したマーク位置情報及びアライメントパラメータに基づいて、EGA演算を行う。その結果、露光装置1は、アライメント装置2が算出したアライメントパラメータよりも高精度なアライメントパラメータを算出することができる。その後、制御装置16は、算出したアライメントパラメータに基づいて、基板141上の所望のショット領域の所望位置に所望のデバイスパターンが転写されるように、マスクステージ11及び基板ステージ14の移動を制御する。
【0042】
(3)アライメント装置2の構成
続いて、
図3を参照しながら、アライメント装置2の構成について説明する。尚、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、アライメント装置2を構成する構成要素の位置関係について説明する。尚、アライメント装置2の説明で用いるXYZ直交座標系は、露光装置1の説明で用いるXYZ直交座標系とは異なるものとする。但し、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向であり、Z軸方向が鉛直方向である点は、両者のXYZ直交座標系において共通していてもよい。
【0043】
図3に示すように、アライメント装置2は、照明系21と、導光光学系201と、ハーフプリズム202と、導光光学系203と、ハーフプリズム204と、対物光学系205と、導光光学系206と、撮像素子22と、ハーフプリズム207と、反射ミラー208と、導光光学系23と、導光光学系24と、撮像素子25と、撮像素子26と、基板ステージ27と、制御装置29とを備える。
【0044】
照明系21は、制御装置29の制御下で、アライメントマークMに照射される照明光L21を射出する。照明光L21は、アライメントパラメータを算出することを主たる目的にアライメントマークMを撮像するためにアライメントマークMに照射される光である。更に、照明系21は、アライメントマークMに照射される計測光L22を射出する。計測光L22は、非対称パラメータを算出することを主たる目的にアライメントマークMを撮像するためにアライメントマークMに照射される光である。非対称パラメータは、アライメントマークMの位置の計測結果に含まれる誤差を示すパラメータである。このような誤差は、例えば、アライメントマークMの理想的な又は設計上の形状に対する歪み又はズレ等を含む形状歪みに起因して発生する。特に、このような誤差は、アライメントマークMの形状の非対称性(つまり、アライメントマークMに計測光L22を導く対物光学系205の光軸を対称軸とする非対称性)を含む形状歪みに起因して発生する。
【0045】
照明系21は、照明光L21を射出している期間中は、計測光L22を射出しない。照明系21は、計測光L22を射出している期間中は、照明光L21を射出しない。尚、照明系21の詳細な構成については、後に詳述する(
図4参照)。
【0046】
導光光学系201は、照明系21からの照明光L21及び計測光L22の夫々を、ハーフプリズム202に導く。導光光学系201は、照明系21からハーフプリズム202に至る照明光L21及び計測光L22の夫々の光路上に配置されている。導光光学系201は、屈折光学素子及び反射光学素子のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。導光光学系201は、σ値(つまり、照明光L21及び計測光L22が照明系21から対物光学系205に入射するまでの光学系に相当する照明光学系の開口数NAと対物光学系205の開口数NAとの比を表す係数)を調整するための光学素子を含んでいてもよい。
【0047】
ハーフプリズム202は、導光光学系201からの照明光L21及び計測光L22の夫々の少なくとも一部を、導光光学系203に向けて反射する。ハーフプリズム202は、導光光学系201から導光光学系203に至る照明光L21及び計測光L22の夫々の光路上に配置されている。
【0048】
導光光学系203は、ハーフプリズム202が反射した照明光L21及び計測光L22の夫々を、ハーフプリズム204に導く。導光光学系203は、ハーフプリズム202からハーフプリズム204に至る照明光L21及び計測光L22の夫々の光路上に配置されている。導光光学系203は、屈折光学素子及び反射光学素子のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0049】
ハーフプリズム204は、導光光学系203からの照明光L21及び計測光L22の夫々の少なくとも一部を、対物光学系205に向けて反射する。ハーフプリズム204は、導光光学系203から導光光学系205に至る照明光L21及び計測光L22の夫々の光路上に配置されている。
【0050】
対物光学系205は、ハーフプリズム204が反射した照明光L21及び計測光L22の夫々を、基板141に照射する。その結果、対物光学系205の下方にアライメントマークMが位置する場合には、対物光学系205は、アライメントマークMに照明光L21及び計測光L22の夫々を照射する。対物光学系205は、ハーフプリズム204から基板141(基板ステージ27)に至る照明光L21及び計測光L22の夫々の光路上に配置されている。対物光学系205は、屈折光学素子及び反射光学素子のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0051】
照明光L21が照射されたアライメントマークMからは、照明光L21の照射に起因して発生する出射光L23が出射する。具体的には、アライメントマークMに照射された照明光L21は、アライメントマークMによって反射される。このため、アライメントマークMからは、照明光L21の0次反射光L23(0)が出射光L23の少なくとも一部として出射する。更に、アライメントマークMに照射された照明光L21は、アライメントマークMによって回折する。このため、アライメントマークMからは、照明光L21の+1次回折光L23(+1)及び照明光L21の-1次回折光L23(-1)が出射光L23の少なくとも一部として出射する。但し、照明光L21が照射されたアライメントマークMからは、±1次回折光L23(±1)に加えて又は代えて、照明光L21の+K(但し、Kは2以上の整数)次回折光L23(+K)が出射してもよい。照明光L21が照射されたアライメントマークMからは、±1次回折光L23(±1)に加えて又は代えて、照明光L21の-K次回折光L23(-K)が出射してもよい。
【0052】
計測光L22が照射されたアライメントマークMからも同様に、計測光L22の照射に起因して発生する出射光L24が出射する。具体的には、アライメントマークMからは、計測光L22の0次反射光L24(0)、+1次回折光L24(+1)及び-1次回折光L24(-1)が出射光L24の少なくとも一部として出射する。但し、計測光L22が照射されたアライメントマークMからは、±1次回折光L24(±1)に加えて又は代えて、計測光L22の+K次回折光L24(+K)が出射してもよい。計測光L22が照射されたアライメントマークMからは、±1次回折光L24(±1)に加えて又は代えて、計測光L22の-K次回折光L24(-K)が出射してもよい。
【0053】
照明光L21が照射されたアライメントマークMからの出射光L23は、対物光学系205を介してハーフプリズム204に入射する。ハーフプリズム204は、対物光学系205からの出射光L23の少なくとも一部を透過する。ハーフプリズム204を透過した出射光L23は、導光光学系206に入射する。このため、ハーフプリズム204は、対物光学系205から導光光学系206に至る出射光L23の光路上に配置されている。
【0054】
導光光学系206は、ハーフプリズム204が反射した出射光L23を、撮像素子22に導く。導光光学系206は、ハーフプリズム204から撮像素子22に至る出射光L23の光路上に配置されている。導光光学系206は、屈折光学素子及び反射光学素子のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。導光光学系206は、当該導光光学系206の開口数を調整するための光学素子を含んでいてもよい。
【0055】
撮像素子22には、導光光学系206からの出射光L23が入射する。撮像素子22は、CCDセンサ又はCOMSセンサを含む。出射光L23は、撮像素子22の撮像面上で結像する。従って、撮像素子22の撮像面は、基板141の表面に対して光学的に共役な位置に配置される。撮像素子22の撮像結果を示す第1撮像情報は、制御装置29に出力される。制御装置29は、第1撮像情報を解析することで、アライメントマークMの検出結果を示すマーク検出情報を特定する。その後、制御装置29は、マーク検出情報及び位置計測装置271が計測した基板ステージ27の位置を示す基板位置情報に基づいて、アライメントマークMの位置を計測する。更に、制御装置29は、アライメントマークMの位置の計測結果に基づいてEGA演算を行う。その結果、制御装置29は、アライメントパラメータを算出することができる。
【0056】
ここで、アライメントパラメータの一例について説明する。上述したように、制御装置29は、EGA演算を行うことで、アライメントパラメータを算出する。本実施形態では、EGA演算とは、基板141上に規定されている複数のショット領域の夫々の設計上の位置座標(X、Y)と、当該設計上の位置座標(X、Y)を基準とする各ショット領域の実際の位置座標の補正量(ズレ量)(dx、dy)との関係を規定するモデル式を特定する統計演算である。尚、位置座標(X、Y)及び補正量(dx、dy)は、基板141の中心を原点とする基板座標系に対応する。本実施形態では、モデル式として、dx=a0+a1×X+a2×Y+a3×X2+a4×XY+a5×Y2+a6×X3+a7×X2Y+a8×XY2+a9×Y3・・・というモデル式及びdy=b0+b1×X+b2×Y+b3×X2+b4×XY+b5×Y2+b6×X3+b7×X2Y+b8×XY2+b9×Y3・・・というモデル式が用いられる。アライメントパラメータは当該モデル式を規定する係数(a0、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8、a9、・・・、b0、b1、b2、b3、b4、b5、b6、b7、b8、b9・・・)に相当する。
【0057】
一方で、計測光L22が照射されたアライメントマークMからの出射光L24は、対物光学系205を介してハーフプリズム204に入射する。ハーフプリズム204は、出射光L24の少なくとも一部を、導光光学系203に向けて反射する。導光光学系203は、ハーフプリズム204が反射した出射光L24を、ハーフプリズム202に導く。ハーフプリズム202は、導光光学系203からの出射光L24の少なくとも一部を透過する。ハーフプリズム202を透過した出射光L24は、ハーフプリズム207に入射する。このため、ハーフプリズム202は、導光光学系203からハーフプリズム207に至る出射光L24の光路上に配置されている。
【0058】
ハーフプリズム207は、ハーフプリズム202からの出射光L24の一部を、導光光学系23に向けて反射する。ハーフプリズム207は、更に、ハーフプリズム202からの出射光L24の他の一部を、反射ミラー208に向けて透過させる。このため、ハーフプリズム207は、ハーフプリズム202から導光光学系23に至る出射光L24の光路上であって且つハーフプリズム202から反射ミラー208に至る出射光L24の光路上に配置される。
【0059】
導光光学系23は、ハーフプリズム207が反射した出射光L24を、撮像素子25に導く。導光光学系23は、ハーフプリズム207から撮像素子25に至る出射光L24の光路上に配置されている。導光光学系23は、屈折光学素子及び反射光学素子のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。導光光学系23は、制御装置29の制御下で、格子マークMYからの出射光L24が撮像素子25に入射する一方で、格子マークMXからの出射光L24及びアライメントマークMの周辺領域からの不要な光が撮像素子25に入射しないように、ハーフプリズム207が反射した出射光L24を撮像素子25に導く。このため、導光光学系23は、出射光L24の一部を遮光可能な遮光部材(例えば、後述する可変視野絞り231、
図6及び
図7参照)を備えている。加えて、導光光学系23は、強度を所定量以上減衰させるための減衰処理が行われた出射光L24と、減衰処理が行われていない出射光L24との双方を、撮像素子25に導く。このため、導光光学系23は、ハーフプリズム207が反射した出射光L24の一部を減衰するための減衰部材(例えば、後述するケスタープリズム233、
図6参照)を備えている。尚、導光光学系23の詳細な構成については、後に詳述する(
図6から
図8参照)。
【0060】
前述した、出射光L24の一部を遮光可能な遮光部材は、基板141の表面に対して光学的に共役な位置に配置される。従って、遮光部材によりアライメントマークMから必要な領域を切り出すことが可能となる。また、撮像素子25の撮像面25aは、対物光学系205の瞳と共役となっており、さらに後述するライトガイド217の射出端面とも共役となっている。対物光学系205の瞳位置には、アライメントマークMからの回折光L24が分離した回折像が形成されている。これらの回折像は、後述するライトガイド217の射出端面に形成されている射出口217aから217e(
図4(b)参照)からの計測光L22のアライメントマークMを介した回折像である。
【0061】
撮像素子25には、導光光学系23からの出射光L24(つまり、格子マークMYからの出射光L24)が入射する。撮像素子25の撮像結果を示す第2撮像情報(Y)は、制御装置29に出力される。尚、撮像素子25の詳細な構成については、後に詳述する(
図9参照)。
【0062】
一方で、反射ミラー208は、ハーフプリズム207が透過した出射光L24を、導光光学系24に向けて反射する。反射ミラー208は、ハーフプリズム207から導光光学系24に至る出射光L24の光路上に配置されている。
【0063】
導光光学系24は、反射ミラー208が反射した出射光L24を、撮像素子26に導く。導光光学系24は、反射ミラー208から撮像素子26に至る出射光L24の光路上に配置されている。導光光学系24は、屈折光学素子及び反射光学素子のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。導光光学系24は、制御装置29の制御下で、格子マークMXからの出射光L24が撮像素子26に入射する一方で、格子マークMYからの出射光L24及びアライメントマークMの周辺領域から不要な光が撮像素子26に入射しないように、反射ミラー208が反射した出射光L24を撮像素子26に導く。このため、導光光学系24は、出射光L24の一部を遮光可能な遮光部材(例えば、後述する視野絞り231、
図6及び
図7参照)を備えている。加えて、導光光学系24は、強度を所定量以上減衰させるための減衰処理が行われた出射光L24と、減衰処理が行われていない出射光L24との双方を、撮像素子26に導く。このため、導光光学系24は、反射ミラー208が反射した出射光L24の一部を減衰するための減衰部材(例えば、後述するケスタープリズム233、
図6参照)を備えている。尚、導光光学系24の構成は、導光光学系23の構成と同一であってもよい。
【0064】
前述した、出射光L24の一部を遮光可能な遮光部材は、基板141の表面に対して光学的に共役な位置に配置される。よって、遮光部材によりアライメントマークMから必要な領域を切り出すことが可能となる。また、撮像素子26の撮像面は、対物光学系205の瞳と共役となっており、さらに後述するライトガイド217の射出端面とも共役となっている。対物光学系205の瞳位置には、アライメントマークMからの回折光L24が分離した回折像が形成されている。これらの回折像は、後述するライトガイド217の射出端面に形成されている射出口217aから217e(
図4(b)参照)からの計測光L22のアライメントマークMを介した回折像である。
【0065】
撮像素子26には、導光光学系24からの出射光L24(つまり、格子マークMXからの出射光L24)が入射する。撮像素子26の撮像結果を示す第2撮像情報(X)は、制御装置29に出力される。尚、撮像素子26の構成は、撮像素子25の構成と同一であってもよい。
【0066】
尚、ハーフプリズム202とハーフプリズム207との間に、導光光学系23及び24の少なくとも一部の機能を持たせた導光光学系が配置されていてもよい。また、反射ミラー208等の折り曲げミラー等は、実際の光学系の設置制約に合わせ、光学系内の任意の場所に追加が可能である。
【0067】
制御装置29は、第2撮像情報(X)に基づいて、格子マークMXの非対称性に関する非対称パラメータを算出する。制御装置29は、第2撮像情報(Y)に基づいて、格子マークMYの非対称性に関する非対称パラメータを算出する。本実施形態では、制御装置29は、非対称パラメータとして、第1非対称パラメータ及び第2非対称パラメータを算出する。第1非対称パラメータは、+1次回折光L24(+1)の強度と-1次回折光L24(-1)の強度との間の差分(或いは、当該差分から算出可能な任意の係数)である。第2非対称パラメータは、出射光L24のうちの0次反射光L24(0)の強度に対する+1次回折光L24(+1)の強度と-1次回折光L24(-1)の強度との平均値の比(或いは、当該比から算出可能な任意の係数)である。
【0068】
このため、制御装置29は、第2撮像情報(X)を解析することで、格子マークMXからの0次反射光L24(0)、+1次回折光L24(+1)及び-1次回折光L24(-1)の夫々の強度を算出する。その後、制御装置29は、算出した強度に基づいて、格子マークMXの非対称性に関する第1及び第2非対称パラメータを算出する。更に、制御装置29は、第2撮像情報(Y)を解析することで、格子マークMYからの0次反射光L24(0)、+1次回折光L24(+1)及び-1次回折光L24(-1)の夫々の強度を算出する。その後、制御装置29は、算出した強度に基づいて、格子マークMYの非対称性に関する第1及び第2非対称パラメータを算出する。
【0069】
アライメントマークMの形状が非対称である場合には、上述した第1撮像情報(或いは、第1撮像情報から特定されるマーク検出情報)が、アライメントマークMの非対称な形状に起因した誤差を含む可能性がある。尚、アライメントマークMの形状が非対称である状態の一例として、格子マークMYを構成する単位構造物(例えば、溝や壁等)のZ軸を含む断面が、XY平面上における単位構造物の中心に対して非対称な状態があげられる。アライメントマークMの形状が非対称である状態の他の一例として、格子マークMXを構成する単位構造物のZ軸を含む断面が、XY平面上における単位構造物の中心に対して非対称な状態があげられる。
【0070】
このため、アライメントマークMの形状が非対称である場合には、第1撮像情報から特定されるマーク位置情報に基づいて行われるEGA演算の精度が悪化する可能性がある。具体的には、アライメントパラメータの算出精度が悪化する可能性がある。そこで、本実施形態では、制御装置29は、第1撮像情報とは別に、第2撮像情報(X)及び第2撮像情報(Y)を取得すると共に、当該第2撮像情報(X)及び第2撮像情報(Y)に基づいて、アライメントマークMの非対称な形状に関する非対称パラメータを取得する。その後、アライメント装置2は、非対称パラメータに基づいてマーク位置情報を補正することで、アライメントマークMの形状の非対称性に起因してマーク位置情報に残留してしまいかねない誤差成分を除去可能である。その結果、非対称パラメータに基づいてマーク位置情報が補正されない場合と比較して、相対的に高精度なアライメントパラメータが算出される。
【0071】
基板ステージ27は、基板141を保持する。基板ステージ27は、基板141を保持した状態で、対物光学系205によって照明光L21及び計測光L22の夫々が照射される照射領域を含む平面(例えば、XY平面)に沿って移動可能である。例えば、基板ステージ27は、モータを含む不図示の駆動システムの動作により移動する。基板ステージ27は、駆動システムの動作により、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向、並びに、θX方向、θY方向及びθZ方向のうちの少なくとも一つに沿って移動可能である。基板ステージ27の位置は、位置計測装置271によって適宜計測される。位置計測装置271は、例えば、レーザ干渉計及びエンコーダシステムのうちの少なくとも一方を含む。
(3-2)アライメント装置2が備える照明系21の構成
続いて、
図4(a)から
図4(b)を参照しながら、照明系21の構成について説明する。本実施例では、光源輝度が高く且つ波長域が短い光源であるレーザ光源としてLD(Laser Diode)素子を採用した例について説明するが、原理的には、LED素子の様な干渉性の低く波長域の狭い光源や、Xeランプ等の広い波長域を持つ光源から狭い波長域を切り出した光源等も採用可能である。但し、光源としてレーザ光源が採用される場合、レーザ光のコヒーレンシーが高いので、XY計測を同時に行う(つまり、格子マークMX及びMYの双方に同時にレーザ光を照射する)と、XY計測結果(つまり、第2撮像情報(X)及び第2撮像情報(Y))に相互作用成分が混入する恐れがある。よって、X計測用とY計測用の2つの光源を用いた例を示す。また、本実施例では、高速な計測と高輝度な中継が可能な光学系を示す。
【0072】
図4(a)に示すように、照明系21は、LD(Laser Diode)素子211aと、LD素子211bと、広帯域波長切り換え光源211cと、導光ファイバ212aと、導光ファイバ212bと、ライトガイドファイバ212cと、ファイバ中継器213a1と、ファイバ中継器213a2と、ファイバ中継器213bと、3分岐ライトガイドファイバ214abdと、2分岐ライトガイドファイバ214ceと、2重構造のライトガイドファイバ214fと、光シャッタ215aと、光シャッタ215bと、光シャッタ215cと、光シャッタ215dと、光シャッタ215eと、ライトガイド分岐部216aと、ライトガイド分岐部216bと、ライトガイド分岐部216cと、ライトガイド分岐部216dと、ライトガイド分岐部216eとを備えている。ライトガイド分岐部216aから216eとライトガイドファイバ214fにより、これら6つのライトガイドを合成したライトガイド217が構成されている。
【0073】
LD素子211a及び211bの夫々は、所望波長のレーザ光を、計測光L22として射出する。LD素子211a及び211bの夫々は、夫々波長が異なる複数種類のレーザ光を射出可能であってもよいし、単一の波長を有する単一種類のレーザ光を射出可能であってもよい。夫々波長が異なる複数種類のレーザ光をLD素子211a及び211bの夫々が射出可能である場合には、LD素子211a及び211bの夫々は、制御装置29の制御下で、アライメントマークMのピッチΛに応じて、計測光L22として射出するレーザ光の波長を選択してもよい。具体的には、計測光L22として用いられるレーザ光の波長及びピッチΛの夫々に応じて、アライメントマークMからの±1次回折光L24(±1)の回折角度が変化する。このため、LD素子211a及び211bの夫々は、ピッチΛに応じて、±1次回折光L24(±1)が適切に撮像素子25及び26の夫々に入射する状態を実現可能な波長を有するレーザ光を、計測光L22として射出してもよい。また、計測光L22は、アライメントマークMを構成する複雑な物質構造(例えば、透明層、メタル層など)に依存して回折光量が変化する特性を有している。このため、回折光量が相対的に大きい(例えば、回折光量が所定量以上になる)波長を有する計測光L22が用いられてもよい。
【0074】
広帯域波長切り換え光源211cは、所望波長の光を、照明光L21として射出する。
【0075】
導光ファイバ212a及び212bの夫々は、光ファイバを含む。導光ファイバ212a及び212bの夫々は、シングルコアタイプの光量伝送型であり、偏波面保持型は必ずしも想定していない。導光ファイバ212a及び212bは、夫々、LD素子211a及び211bが射出する計測光L22をファイバ中継器213aに導く。ライトガイドファイバ212cは、光ファイバを含むバンドル型ライトガイドで光量を伝送する。ライトガイドファイバ212cは、広帯域波長切り換え光源211cが射出する照明光L21をファイバ中継器213bに導く。
【0076】
ファイバ中継器213a1及び213a2は、夫々、LD素子211a及び211bが射出した計測光L22を3分岐ライトガイド214abd及び2分岐ライトガイド214ceへ導光する。ファイバ中継器213a1及び213a2の夫々の内部には、レーザ光(つまり、計測光L22)の拡散処理及び整形処理のうちの少なくとも一方を行う導光用のレンズが設置されていてもよい。3分岐ライトガイド214abdは、ライトガイド分岐部214a、214b及び214dを備えている。ライトガイド分岐部214a、214b及び214dの夫々は、光ファイバを含むバンドル型ライトガイドである。3分岐ライトガイド214abdの素線束を分岐することにより、ライトガイド分岐部214a、214b及び214dが形成される。3分岐ライトガイド214abdのバンドル内の最小素線数は3本であるが、素線の本数は多い方が光源ムラを減少させるミキシング効果を期待できる。同様に2分岐ライトガイド214ceは、ライトガイド分岐部214c及び214eを備えている。ライトガイド分岐部214c及び214eの夫々は、光ファイバを含むバンドル型ライトガイドである。2分岐ライトガイド214ceの素線束を分岐することにより、ライトガイド分岐部214c及び214eが形成される。2分岐ライトガイド214ceのバンドル内の最小素線数は2本であるが、素線の本数は多い方が光源ムラを減少させるミキシング効果を期待できる。
【0077】
ライトガイド分岐部214aは、分岐動作によって得られた5つの計測光L22のうちの第1計測光L22aを、光シャッタ215aに導く。ライトガイド分岐部214bは、分岐動作によって得られた5つの計測光L22のうちの第2計測光L22bを、光シャッタ215bに導く。ライトガイド分岐部214cは、分岐動作によって得られた5つの計測光L22のうちの第3計測光L22cを、光シャッタ215cに導く。ライトガイド分岐部214dは、分岐動作によって得られた5つの計測光L22のうちの第4計測光L22dを、光シャッタ215dに導く。ライトガイド分岐部214eは、分岐動作によって得られた5つの計測光L22のうちの第5計測光L22eを、光シャッタ215eに導く。
【0078】
ファイバ中継部213bは、入射してきた照明光L21を、2重構造のライトガイドファイバ214fを介して、6つのライトガイドを合成したライトガイド217に導く。
【0079】
光シャッタ215aは、第1計測光L22aの光路に配置される。光シャッタ215aの状態は、制御装置29の制御下で、光シャッタ215aが第1計測光L22aを遮光する状態と光シャッタ215aが第1計測光L22aを遮光しない状態との間で切り替え可能である。光シャッタ215aが第1計測光L22aを遮光しない場合には、第1計測光L22aは、ライトガイド分岐部216aを介して、ライトガイド217に入射する。
【0080】
光シャッタ215bは、第2計測光L22bの光路に配置される。光シャッタ215bの状態は、制御装置29の制御下で、光シャッタ215bが第2計測光L22bを遮光する状態と光シャッタ215bが第2計測光L22bを遮光しない状態との間で切り替え可能である。光シャッタ215bが第2計測光L22bを遮光しない場合には、第2計測光L22bは、ライトガイド分岐部216bを介して、ライトガイド217に入射する。
【0081】
光シャッタ215cは、第3計測光L22cの光路に配置される。光シャッタ215cの状態は、制御装置29の制御下で、光シャッタ215cが第3計測光L22cを遮光する状態と光シャッタ215cが第3計測光L22cを遮光しない状態との間で切り替え可能である。光シャッタ215cが第3計測光L22cを遮光しない場合には、第3計測光L22cは、ライトガイド分岐部216cを介して、ライトガイド217に入射する。
【0082】
光シャッタ215dは、第4計測光L22dの光路に配置される。光シャッタ215dの状態は、制御装置29の制御下で、光シャッタ215dが第4計測光L22dを遮光する状態と光シャッタ215dが第4計測光L22dを遮光しない状態との間で切り替え可能である。光シャッタ215dが第4計測光L22dを遮光しない場合には、第4計測光L22dは、ライトガイド分岐部216dを介して、ライトガイド217に入射する。
【0083】
光シャッタ215eは、第5計測光L22eの光路に配置される。光シャッタ215eの状態は、制御装置29の制御下で、光シャッタ215eが第5計測光L22eを遮光する状態と光シャッタ215eが第5計測光L22eを遮光しない状態との間で切り替え可能である。光シャッタ215eが第5計測光L22eを遮光しない場合には、第5計測光L22eは、ライトガイド分岐部216eを介して、ライトガイド217に入射する。
【0084】
光シャッタ215aから215eの夫々は、対応する計測光L22を遮光する状態と対応する計測光L22を遮光しない状態との間で状態を切り替えることが可能である限りは、どのような構成を有していてもよい。光シャッタ215aから215eの夫々は、対応する計測光L22の光路に対して挿脱可能な遮光板と、当該遮光板を駆動するアクチュエータとを備えていてもよい。光シャッタ215aから215eの夫々は、液晶シャッタであってもよい。
【0085】
6つのライトガイドを合成したライトガイド217は、第1計測光L22aから第5計測光L22eのうちの少なくとも一つを、計測光L22として射出する。
図4(b)に示すように、ライトガイド217の射出端面には、第1計測光L22aを射出するための射出口217aと、第2計測光L22bを射出するための射出口217bと、第3計測光L22cを射出するための射出口217cと、第4計測光L22dを射出するための射出口217dと、第5計測光L22eを射出するための射出口217eとが形成されている。射出口217aは、ライトガイド分岐部216a又はライトガイド分岐部216aに光学的に接続された他の光ファイバの端面である。射出口217bは、ライトガイド分岐部216b又はライトガイド分岐部216bに光学的に接続された他の光ファイバの端面である。射出口217cは、導光ファイバ216c又はライトガイド分岐部216cに光学的に接続された他の光ファイバの端面である。射出口217dは、ライトガイド分岐部216d又はライトガイド分岐部216dに光学的に接続された他の光ファイバの端面である。射出口217eは、ライトガイド分岐部216e又はライトガイド分岐部216eに光学的に接続された他の光ファイバの端面である。射出口217aは、ライトガイド217の射出端面の中心(或いは、中心の近傍)に形成されている。射出口217bから217eは、ライトガイド217の射出端面の外縁に沿って同心円状に且つ等角度間隔で形成されている。
【0086】
射出口217aは、基板141の表面に対して垂直に入射可能な計測光L22を射出する。この場合、
図5(a)に示すように、アライメントマークMからは、0次反射光L24(0)、+1次回折光L24(+1)及び-1次回折光L24(-1)が出射する。このため、射出口217aが計測光L22を射出する場合には、アライメント装置2は、アライメントマークMに対して計測光L22を1回照射すれば、0次反射光L24(0)、+1次回折光L24(+1)及び-1次回折光L24(-1)の像を撮像することができる。つまり、アライメント装置2は、格子マークMYに対して計測光L22を1回照射すれば、格子マークMYからの0次反射光L24(0)、+1次回折光L24(+1)及び-1次回折光L24(-1)の夫々の強度を算出することができる。同様に、アライメント装置2は、格子マークMXに対して計測光L22を1回照射すれば、格子マークMXからの0次反射光L24(0)、+1次回折光L24(+1)及び-1次回折光L24(-1)の夫々の強度を算出することができる。
【0087】
一方で、射出口217bから射出口217eの夫々は、基板141の表面に対して斜入射可能な計測光L22を射出する。つまり、射出口217bから射出口217eの夫々は、0度より大きく且つ90度未満の入射角度で基板141に入射可能な計測光L22を射出する。この場合、
図5(b)に示すように、アライメントマークMからは、0次反射光L24(0)と、+1次回折光L24(+1)及び+1次回折光L24のうちのいずれか一方が出射する(但し、アライメントマークMのピッチΛ及び計測光L22の波長によっては、+1次回折光L24(+1)及び+1次回折光L24の双方が出射することもあるし、さらに、計測光L22の+K(但し、Kは2以上の整数)次回折光L24(+K)や、計測光L22の-K次回折光L24(-K)が出射することもある)。このため、射出口217bから射出口217eの夫々が計測光L22を射出する場合には、アライメント装置2は、同じアライメントマークMに対して計測光L22を少なくとも2回照射すれば、0次反射光L24(0)、+1次回折光L24(+1)及び-1次回折光L24(-1)の像を撮像することができる。つまり、アライメント装置2は、
図5(b)の左側に示すように、射出口217bを介して格子マークMYに対して計測光L22を1回照射することで、格子マークMYからの0次反射光L24(0)及び+1次回折光L24(+1)の夫々の強度を算出する。更に、アライメント装置2は、
図5(b)の右側に示すように、射出口217bと180度の角度間隔を隔てて配置されている射出口217dを介して格子マークMYに対して計測光L22を1回照射することで、格子マークMYからの0次反射光L24(0)及び-1次回折光L24(-1)の夫々の強度を算出する。同様に、アライメント装置2は、射出口217cを介して格子マークMXに対して計測光L22を1回照射することで、格子マークMXからの0次反射光L24(0)及び+1次回折光L24(+1)の夫々の強度を算出する。更に、アライメント装置2は、射出口217cと180度の角度間隔を隔てて配置されている射出口217eを介して格子マークMXに対して計測光L22を1回照射することで、格子マークMXからの0次反射光L24(0)及び-1次回折光L24(-1)の夫々の強度を算出する。
【0088】
射出口217aは、アライメントマークMのピッチΛが相対的に大きい(例えば、所定ピッチ以上である)場合に計測光L22を射出する。一方で、射出口217bから217eの夫々は、アライメントマークMのピッチΛが相対的に小さい(例えば、所定ピッチ以下である)場合に計測光L22を射出する。
制御装置29は、光シャッタ215aから215eを制御することで、射出口217aから217eのいずれを、計測光L22を射出するための射出口として用いるかを決定することができる。射出口217aが計測光L22を射出する場合には、制御装置29は、光シャッタ215aが第1計測光L22aを遮光しない一方で、光シャッタ215bから215eが夫々第2計測光L22bから第5計測光L22eを遮光するように、光シャッタ215aから215eを制御する。射出口217bが計測光L22を射出する場合には、制御装置29は、光シャッタ215bが第2計測光L22bを遮光しない一方で、光シャッタ215a及び215cから215eが夫々第1計測光L22a及び第3計測光L22cから第5計測光L22eを遮光するように、光シャッタ215aから215eを制御する。射出口217cが計測光L22を射出する場合には、制御装置29は、光シャッタ215cが第3計測光L22cを遮光しない一方で、光シャッタ215aから215b及び215dから215eが夫々第1計測光L22aから第2計測光L22b及び第4計測光L22dから第5計測光L22eを遮光するように、光シャッタ215aから215eを制御する。射出口217dが計測光L22を射出する場合には、制御装置29は、光シャッタ215dが第4計測光L22dを遮光しない一方で、光シャッタ215aから215c及び215eが夫々第1計測光L22aから第3計測光L22c及び第5計測光L22eを遮光するように、光シャッタ215aから215eを制御する。射出口217eが計測光L22を射出する場合には、制御装置29は、光シャッタ215eが第5計測光L22eを遮光しない一方で、光シャッタ215aから215dが夫々第1計測光L22aから第4計測光L22dを遮光するように、光シャッタ215aから215eを制御する。
【0089】
更に、本実施例では、光源として照明系21が2つのLD素子211a及び211bを備えているため、格子マークMXと格子マークMYの計測(検出)を同時に行うことが可能となる。この場合、射出口217b及び217dが計測光L22を射出する場合には、制御装置29は、光シャッタ215b及び215dが夫々第2計測光L22b及び第4計測光L22dを遮光しない一方で、光シャッタ215a、215c及び215eが夫々第1計測光L22a、第3計測光L22c及び第5計測光L22eを遮光するように、光シャッタ215aから215eを制御する。射出口217cと217eが計測光L22を射出する場合には、制御装置29は、光シャッタ215c及び215eが夫々第3計測光L22c及び第5計測光L22eを遮光しない一方で、光シャッタ215a、215b及び215dが夫々第1計測光L22a、第2計測光L22b及び第4計測光L22dを遮光するように、光シャッタ215aから215eを制御する。XYの計測を同時に行っても、光源として異なるLD素子211a及び211bを使っているので、アライメントマークMに照射されたレーザ光は干渉することはなく、計測が可能となる。
【0090】
ライトガイド217は、更に、照明光L21を射出する。
図4(b)に示すように、ライトガイド217の射出端面は、照明光L21を射出するための射出領域として、第1射出領域217f-1と、第2射出領域217f-2とを含む。第1射出領域217f-1は、ライトガイド217の射出端面の中心を含む円形の領域である。第2射出領域217f-2は、第1射出領域217f-2を取り囲む環状の領域である。第1射出領域217f-1及び217f-2の夫々は、複数の光ファイバをバンドルすることで得られるバンドルファイバの端面に相当する。
【0091】
第1射出領域217f-1は、対物光学系205の開口数が相対的に大きい(例えば、所定数以上である)場合に照明光L21を射出して、明視野照明による結像を実現する射出領域である。第2射出領域217f-2は、対物光学系205の開口数が相対的に小さい(例えば、所定数以下である)場合に照明光L21を射出して、暗視野照明による結像を実現する領域である。このため、制御装置29は、導光ファイバ214fからの照明光L21の出力先を第1射出領域217f-1及び第2射出領域217f-2の間で切り替える不図示の光スイッチや切り換えミラー等を制御してもよい。その結果、導光ファイバ214fからの照明光L21の出力先が第1射出領域217f-1に設定されている場合には、第1射出領域217f-1が照明光L21を射出する一方で、第2射出領域217f-2が照明光L21を射出しない。一方で、導光ファイバ214fからの照明光L21の出力先が第2射出領域217f-2に設定されている場合には、第2射出領域217f-2が照明光L21を射出する一方で、第1射出領域217f-1が照明光L21を射出しない。また、先述したが、導光光学系201にσ値を調整するための可変σ絞りといった光学素子を含んでいる場合は、例えば、照明光L21の出力先の第1射出領域217f-1と第2射出領域217f-2との間での切り換えと併用することにより、特殊照明を含む各種照明条件を実現することも可能となる。
(3-3)アライメント装置2が備える導光光学系23の構成
続いて、
図6を参照しながら、導光光学系23の構成について説明する。
図6に示すように、導光光学系23は、可変視野絞り231と、リレーレンズ232と、ケスタープリズム233とを備えている。
【0092】
可変視野絞り231は、格子マークMYからの出射光L24が撮像素子25に入射する一方で、格子マークMXからの出射光L24が撮像素子25に入射しないように、ハーフプリズム207が反射した出射光L24の一部を遮光する。出射光L24の一部を遮光するために、可変視野絞り231は、
図7(a)に示す絞り機構2311、
図7(b)に示す絞り機構2312、
図7(c)に示す絞り機構2313及び
図7(d)に示す絞り機構2314を備えている。尚、
図7(a)から
図7(d)は、夫々、出射光L24の光路に直交する面に沿った絞り機構2311から2314を示す。また、説明の便宜上、
図7(a)から
図7(d)の夫々の紙面横方向及び紙面縦方向が、夫々、基板141上におけるX軸方向及びY軸方向に対応するものとする。
【0093】
図7(a)に示すように、絞り機構2311は、絞り羽根2311aと、絞り羽根2311bとを備えている。絞り羽根2311a及び2311bの夫々は、X軸方向に沿って延びた(つまり、X軸方向が長手方向となった)形状を有する。絞り羽根2311a及び2311bは、Y軸方向に沿って、所望の間隔を隔てて並んでいる。絞り羽根2311a及び2311bは、絞り羽根2311aと絞り羽根2311bとの間の間隙に、出射光L24が通過可能な開口(
図7(a)中の点線の領域参照)を規定する。絞り羽根2311a及び2311bの夫々は、制御装置29が制御する不図示のアクチュエータの動作により、Y軸方向(或いは、X軸に交差する任意の方向)に沿って移動可能である。このため、絞り機構2311は、Y軸方向に沿った開口のサイズを調整可能である。
【0094】
図7(b)に示すように、絞り機構2312は、絞り羽根2312aと、絞り羽根2312bとを備えている。絞り羽根2312a及び2312bの夫々は、Y軸方向に沿って延びた(つまり、Y軸方向が長手方向となった)形状を有する。絞り羽根2312a及び2312bは、X軸方向に沿って、所望の間隔を隔てて並んでいる。絞り羽根2312a及び2312bは、絞り羽根2312aと絞り羽根2312bとの間の間隙に、出射光L24が通過可能な開口(
図7(b)中の点線の領域参照)を規定する。絞り羽根2312a及び2312bの夫々は、制御装置29が制御する不図示のアクチュエータの動作により、X軸方向(或いは、Y軸に交差する任意の方向)に沿って移動可能である。このため、絞り機構2312は、X軸方向に沿った開口のサイズを調整可能である。
【0095】
図7(c)に示すように、絞り機構2313は、絞り羽根2313aと、絞り羽根2313bとを備えている。絞り羽根2313a及び2313bの夫々は、X軸方向に沿って延びた(つまり、X軸方向が長手方向となった)形状を有する。絞り羽根2313a及び2313bは、出射光L24の光路に沿って(つまり、
図7(c)の紙面に垂直な方向に沿って)絞り羽根2313aの少なくとも一部が絞り羽根2313bの少なくとも一部と重なるように配置されている。絞り羽根2313a及び2313bは、絞り羽根2313a及び2313bの両側(つまり、絞り羽根2313a及び2313bの+Y側及び-Y側)に、出射光L24が通過可能な開口(
図7(c)中の点線の領域参照)を規定する。絞り羽根2313a及び2313bの夫々は、制御装置29が制御する不図示のアクチュエータの動作により、Y軸方向(或いは、X軸に交差する任意の方向)に沿って移動可能である。絞り羽根2313a及び2313bの夫々は、制御装置29が制御する不図示のアクチュエータの動作により、Y軸方向に沿って移動可能である。このため、絞り機構2313は、Y軸方向に沿って並ぶ2つの開口の間の間隔を調整可能である。
【0096】
図7(d)に示すように、絞り機構2314は、絞り羽根2314aと、絞り羽根2314bとを備えている。絞り羽根2314aは、第1羽根部分2314a-1と、第2羽根部分2314a-2と、第3羽根部分2314a-3とを含んでいる。第1羽根部分2314a-1は、Y軸方向に沿って延びた形状を有する。第2羽根部分2314a-2は、Y軸方向に沿った第1羽根部分2314a-1の一方の端部を起点に、X軸方向に沿って且つ絞り羽根2314bに向かって突出した形状を有する。第3羽根部分2314a-3は、Y軸方向に沿った第1羽根部分2314a-1の他方の端部を起点に、X軸方向に沿って且つ絞り羽根2314bに向かって突出した形状を有する。絞り羽根2314bは、第1羽根部分2314b-1と、第2羽根部分2314b-2と、第3羽根部分2314b-3とを含んでいる。第1羽根部分2314b-1は、Y軸方向に沿って延びた形状を有する。第2羽根部分2314b-2は、Y軸方向に沿った第1羽根部分2314b-1の一方の端部を起点に、X軸方向に沿って且つ絞り羽根2314aに向かって突出した形状を有する。第3羽根部分2314b-3は、Y軸方向に沿った第1羽根部分2314b-1の他方の端部を起点に、X軸方向に沿って且つ絞り羽根2314aに向かって突出した形状を有する。つまり、絞り羽根2314a及び2314bの夫々は、U字型の形状を有している。絞り羽根2314a及び2314bは、絞り羽根2314aと絞り羽根2314bとによって囲まれた位置に、出射光L24が通過可能な開口(
図7(d)中の点線の領域参照)を規定する。具体的には、絞り羽根2314a及び2314bは、第1羽根部分2314a-1と、第2羽根部分2314a-2と、第3羽根部分2314a-3と、第3羽根部分2314b-3とによって囲まれた空隙に開口を規定する。更に、絞り羽根2314a及び2314bは、第1羽根部分2314b-1と、第2羽根部分2314b-2と、第3羽根部分2314b-3と、第3羽根部分2314a-3とによって囲まれた空隙に開口を規定する。このため、絞り機構2314は、出射光L24を遮光可能な第1遮光領域(例えば、
図7(d)における第3羽根部分2314a-3に対応する領域)と、Y軸方向に沿って第1遮光領域に隣接し且つ出射光24が通過可能な第1光通過領域(例えば、
図7(d)における、左上の開口に相当する領域)と、X軸方向に沿って第1遮光領域に隣接し且つ出射光L24が通過可能な第2光通過領域(例えば、
図7(d)における、右下の開口に相当する領域)と、X軸方向に沿って第1光通過領域に隣接し、Y軸方向に沿って第2光通過領域に隣接し且つ出射光L24を遮光可能な第2遮光領域(例えば、
図7(d)における第3羽根部分2314b-3に対応する領域)とを規定する。つまり、絞り機構2314は、X軸方向及びY軸方向の双方に交差する方向に沿って並ぶ2つの開口を規定する。絞り羽根2314a及び2314bの夫々は、制御装置29が制御する不図示のアクチュエータにより、Y軸方向に沿って移動可能である。このため、絞り機構2314は、X軸方向及びY軸方向に交差する方向に沿って並ぶ2つの開口の間隔及びサイズの少なくとも一方を調整可能である。
【0097】
可変視野絞り231は、このような絞り機構2311から2314のうちの少なくとも一つを用いて、任意のアライメントマークMを対象に、格子マークMYからの出射光L24を通過させ且つ格子マークMXからの出射光L24を遮光する視野絞りを規定する。例えば、第1象限及び第3象限に格子マークMXが配置され、第2象限及び第4象限に格子マークMYが配置されているアライメントマークM(
図8(a)参照)に対しては、
図8(b)に示すように、可変視野絞り231は、絞り機構2311及び2314を用いて、格子マークMYからの出射光L24を通過させ且つ格子マークMXからの出射光L24を遮光する視野絞りを規定可能である。例えば、第1象限及び第3象限に格子マークMYが配置され、第2象限及び第4象限に格子マークMXが配置されているアライメントマークM(
図8(c)参照)に対しては、
図8(d)に示すように、可変視野絞り231は、絞り機構2311及び2314を用いて、格子マークMYからの出射光L24を通過させ且つ格子マークMXからの出射光L24を遮光する視野絞りを規定可能である。尚、
図8(b)に示す可変視野絞り231は、絞り羽根2314a及び2314bの夫々がY軸方向に沿って移動することで、
図8(d)に示す可変視野絞り231へと切り替わる。例えば、夫々が第1方向(例えば、Y軸方向)に沿って延び且つ第2方向(例えば、X軸方向)に沿って並ぶ3つの領域に、夫々、格子マークMX、格子マークMY及び格子マークMXが形成されているアライメントマークM(
図8(e)参照)に対しては、
図8(f)に示すように、可変視野絞り231は、絞り機構2311及び2312を用いて、格子マークMYからの出射光L24を通過させ且つ格子マークMXからの出射光L24を遮光する開口を規定可能である。例えば、夫々が第1方向(例えば、Y軸方向)に沿って延び且つ第2方向(例えば、X軸方向)に沿って並ぶ3つの領域に、夫々、格子マークMY、格子マークMX及び格子マークMYが形成されているアライメントマークM(
図8(g)参照)に対しては、
図8(h)に示すように、可変視野絞り231は、絞り機構2311から2313を用いて、格子マークMYからの出射光L24を通過させ且つ格子マークMXからの出射光L24を遮光する開口を規定可能である。
【0098】
再び
図6において、可変視野絞り231を通過した出射光L24(つまり、格子マークMYからの出射光L24)は、リレーレンズ232を介してケスタープリズム233の第1光学面233aに入射する。第1光学面233aに入射した出射光L24は、第1光学面233aを通過して、ケスタープリズム233の第2光学面233bに入射する。
【0099】
第2光学面233bに入射した出射光L24の一部は、第2光学面233bによって反射される。第2光学面233bが反射した出射光L24は、第1光学面233a上に形成されている反射領域233a-1に入射する。反射領域233a-1に入射した出射光L24は、反射領域233a-1によって反射される。反射領域233a-1が反射した出射光L24は、ケスタープリズム233の第3光学面233cに入射する。第3光学面233cに入射した出射光L24は、第3光学面233cを通過して、撮像素子25に入射する。
【0100】
一方で、第2光学面233bに入射した出射光L24の他の一部は、第2光学面233bを透過する。つまり、第2光学面233bは、ケスタープリズム233に入射した出射光L24の光路を複数の光路に分岐する。第2光学面233bが透過した出射光L24は、ケスタープリズム233の第4光学面233d上に形成されている反射領域233d-1に入射する。反射領域233d-1に入射した出射光L24は、反射領域233d-1によって反射される。但し、反射領域233d-1の反射率は、反射領域233a-1の反射率よりも小さい。例えば、反射領域233d-1の反射率は、反射領域233a-1の反射率の1/P(但し、P>1であり、例えばP=10)である。従って、反射領域233d-1は、出射光L24を反射することで、実質的には、出射光L24を所定量以上減衰していると言える。反射領域233d-1が反射した出射光L24は、第3光学面233dを通過して、撮像素子25に入射する。このため、撮像素子25には、反射領域233d-1によって減衰された出射光L24と、反射領域233d-1によって減衰されていない出射光L24との双方が入射する。
【0101】
尚、上述したように導光光学系24の構成が導光光学系23の構成と同一であるため、上述した導光光学系23の説明は、その説明中の導光光学系23に対応する文言を導光光学系24に対応する文言に置き換えることで、実質的には導光光学系24の構成の説明にも相当する。
(3-4)アライメント装置2が備える撮像素子25の構成
続いて、
図9(a)及び
図9(b)を参照しながら、撮像素子25の構成について説明する。
図9(a)に示すように、撮像素子25の撮像面25aは、第1撮像領域25a-1と、第2撮像領域25a-2とを含む。第1撮像領域25a-1は、反射領域233d-1によって減衰されていない出射光L24が入射する領域である。一方で、第2撮像領域25a-2は、反射領域233d-1によって減衰された出射光L24が入射する領域である。
【0102】
このため、
図9(b)に示すように、撮像素子25は、第1撮像領域25a-1を用いて、反射領域233d-1によって減衰されていない0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)が結像することで得られる像を撮像可能である。更に、撮像素子25は、第2撮像領域25a-2を用いて、反射領域233d-1によって減衰された0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)が結像することで得られる像を撮像可能である。尚、0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)が結像することで得られる像は、0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の強度分布に応じた像となる。
図9(b)は、0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の強度分布を模式的に示している。
【0103】
このように撮像面25aが第1撮像領域25a-1及び第2撮像領域25a-2を含んでいるがゆえに、反射領域233d-1によって減衰されていない0次反射光L24(0)の強度のピーク値が撮像素子25aのダイナミックレンジに収まらない場合であっても、アライメント装置2は、0次反射光L24(0)の強度を算出することができる。
【0104】
尚、上述したように撮像素子26の構成が撮像素子25の構成と同一であるため、上述した撮像素子25の説明は、その説明中の撮像素子25に対応する文言を撮像素子26に対応する文言に置き換えることで、実質的には撮像素子26の構成の説明にも相当する。
(4)露光装置1及びアライメント装置2によるアライメント計測の流れ
続いて、露光装置1及びアライメント装置2によるアライメント計測の流れについて説明する。上述したように、アライメント装置2は、露光装置1が基板141を露光する前に、当該基板141に対してアライメント計測を行う。その後、露光装置1は、アライメント装置2が行ったアライメント計測によって得られたアライメントパラメータを用いて、基板141に対してアライメント計測を行う。このため、以下では、アライメント装置2が行うアライメント計測の流れを説明した後に、露光装置1が行うアライメント計測の流れを説明する。
【0105】
アライメント装置2がアライメント計測を行う際には、制御装置29は、基板141上のアライメントマークMに対して照明光L21を照射するように照明系21及び基板ステージ27を制御する。本実施形態では、アライメント装置2は、基板141上の複数のショット領域の全てを対象に、各ショット領域に対応する一又は複数のアライメントマークMの位置を示すマーク位置情報を取得する。このため、制御装置29は、複数のショット領域の夫々に対応する一又は複数のアライメントマークMに対して照明光L21を照射するように照明系21及び基板ステージ27を制御する。但し、アライメント装置2は、基板141上の複数のショット領域の一部を対象に(例えば、複数のサンプルショット領域を対象に)、各ショット領域に対応する一又は複数のアライメントマークMの位置を示すマーク位置情報を取得してもよい。
【0106】
照明光L21が照射された場合には、撮像素子22は、照明光L21が照射されたアライメントマークMを撮像する。その結果、制御装置29は、第1撮像情報を取得する。その後、制御装置29は、第1撮像情報を解析することで、マーク検出情報を取得する。マーク検出情報の取得と並行して、制御装置29は、位置計測装置271から、基板ステージ27の位置(つまり、基板141の位置)を示す基板位置情報を取得する。その後、制御装置29は、マーク検出情報及び基板位置情報に基づいて、照明光L21が照射されたアライメントマークMの位置を示すマーク位置情報を特定する。
【0107】
同一のショット領域に対応する他のアライメントマークMが存在する場合には、アライメント装置2は、他のアライメントマークMに対して上述した動作を行うことで、他のアライメントマークMの位置を示すマーク位置情報を特定する。
【0108】
その後、制御装置29は、照明系21が射出する光を、照明光L21から計測光L22に切り替える。その結果、照明光L21が照射されていたアライメントマークMに対して、照明光L21に代えて計測光L22が照射される。各ショット領域に対応するアライメントマークMのピッチΛが相対的に大きい場合には、制御装置29は、射出口217aを介した計測光L22(つまり、基板141に垂直に入射する計測L22)を射出するように、照明系21を制御する。一方で、各ショット領域に対応するアライメントマークMのピッチΛが相対的に小さい場合には、制御装置29は、射出口217bから217eを介した計測光L22(つまり、基板141に斜入射する計測L22)を射出するように、照明系21を制御する。この場合、制御装置29は、射出口217bを介した計測光L22(つまり、第1の方向から格子マークMYに照射される計測光L22)及び射出口217dを介した計測光L22(つまり、第1の方向とは逆側の第2の方向から格子マークMYに照射される計測光L22)を射出し、その後、射出口217cを介した計測光L22(つまり、第3の方向から格子マークMXに照射される計測光L22)及び射出口217eを介した計測光L22(つまり、第3の方向とは逆側の第4の方向から格子マークMXに照射される計測光L22)を射出するように、照明系21を制御する。但し、アライメント系2は、格子マークMX及びMYの計測を重複させることで、アライメント計測を高速化してもよい。この場合、制御装置29は、射出口217bを介した計測光L22(つまり、第1の方向から格子マークMYに照射される計測光L22)と射出口217cを介した計測光L22(つまり、第3の方向から格子マークMXに照射される計測光L22)を同時に射出し、その後、射出口217dを介した計測光L22(つまり、第1の方向とは逆側の第2の方向から格子マークMYに照射される計測光L22)と射出口217eを介した計測光L22(つまり、第3の方向とは逆側の第4の方向から格子マークMXに照射される計測光L22)を同時に射出するように照明系21を制御する。
【0109】
加えて、制御装置29は、計測光L22が照射されるアライメントマークMのパターンに基づいて、格子マークMYからの出射光L24が撮像素子25に入射する一方で格子マークMXからの出射光L24が撮像素子25に入射しないように、導光光学系23が備える可変視野絞り231を制御する。更に、制御装置29は、計測光L22が照射されるアライメントマークMのパターンに基づいて、格子マークMXからの出射光L24が撮像素子26に入射する一方で格子マークMYからの出射光L24が撮像素子26に入射しないように、導光光学系24が備える可変視野絞り231を制御する。
【0110】
その結果、撮像素子25には、計測光L22が照射された格子マークMYからの出射光L24が入射する。従って、制御装置29は、撮像素子25から、第2撮像情報(Y)を取得する。同様に、撮像素子26には、計測光L22が照射された格子マークMYからの出射光L24が入射する。従って、制御装置29は、撮像素子26から、第2撮像情報(X)を取得する。
【0111】
制御装置29は、第2撮像情報(Y)に基づいて、撮像素子25の撮像面25a上での光強度分布(つまり、撮像面25aに入射した光の強度分布)を算出する。その結果、
図10(a)に示すように、制御装置29は、格子マークMYからの出射光L24の強度分布をいわば3次元的に示す光強度分布を取得する。更に、制御装置29は、第2撮像情報(X)に基づいて、撮像素子26の撮像面上での光強度分布(つまり、撮像面に入射した光の強度分布)を算出する。その結果、
図10(b)に示すように、制御装置29は、格子マークMXからの出射光L24の強度分布をいわば3次元的に示す光強度分布を取得する。尚、
図10(a)及び
図10(b)の夫々は、0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々に対応する強度分布を含む光強度分布の例を示している。実際には、撮像面25aが第1撮像領域25a-1及び第2撮像領域25a-2を含んでいるがゆえに、制御装置29は、反射領域233d-1が減衰した0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々に対応する強度分布と、反射領域233d-1が減衰していない0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々に対応する強度分布との双方を含む光強度分布を取得する。
【0112】
ここで、取得した光強度分布には、0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々に対応する強度分布のみならず、ノイズ光に対応する強度分布も含まれる可能性がある。そこで、制御装置29は、0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々に対応する強度分布を抽出するために、フィッティング処理(言い換えれば、全体強度に自由度のあるテンプレートマッチング処理)を行う)。具体的には、制御装置29は、取得した光強度分布に対して、0次反射光L24(0)の理想的な又は設計上の強度分布を示すテンプレート関数を用いたフィッティング処理を行う。その結果、制御装置29は、光強度分布から0次反射光L24(0)に対応する強度分布を抽出することができる。このため、制御装置29は、抽出した0次反射光L24(0)に対応する強度分布に基づいて、0次反射光L24(0)の強度を算出することができる。±1次回折光L+24(±1)の強度の算出についても同様である。
【0113】
0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の強度は、半導体プロセスに依存してアライメントマークMの構造が変わるため、変化する。従って、形状がほぼ固定されたテンプレート関数を用いて、大きさを変えてフィッティングすることにより、制御装置29は、0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の強度分布全体を使って、夫々に対応する強度を抽出することが可能となる。本処理は、本手法に限定されず、アライメントマークMのピッチΛ等からあらかじめ回折光の撮像位置が予想できることから、重み付平均を行うなど、種々の手法が適用できる。
【0114】
同一のショット領域に対応する他のアライメントマークMが存在する場合には、アライメント装置2は、他のアライメントマークMに対して上述した動作を行うことで、他のアライメントマークMからの0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々の強度を算出する。
【0115】
アライメント装置2は、以上説明したマーク位置情報の取得動作と0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々の強度の算出動作とを、全てのショット領域を対象に繰り返し行う。その結果、制御装置29は、基板141上の複数のショット領域の夫々について、マーク位置情報、格子マークMYからの0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々の強度、並びに、格子マークMXからの0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々の強度を取得することができる。
【0116】
その後、制御装置29は、格子マークMYからの0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々の強度に基づいて、格子マークMYの非対称性に関する非対称パラメータを算出する。制御装置29は、格子マークMXからの0次反射光L24(0)及び±1次回折光L24(±1)の夫々の強度に基づいて、格子マークMXの非対称性に関する非対称パラメータを算出する。
【0117】
制御装置29は、数式1を用いて、第1非対称パラメータを算出する。尚、数式1において、第1非対称パラメータをP1とし、反射領域233d-1が減衰していない+1次回折光L24(+1)の強度をI1+とし、反射領域233d-1が減衰していない-1次回折光L24(-1)の強度をI1-とする。但し、反射領域233d-1が減衰した+1次回折光L24(+1)の強度をI1+とし、反射領域233d-1が減衰した-1次回折光L24(-1)の強度をI1-としてもよい。
【0118】
【0119】
数式1に示す第1非対称パラメータは、アライメントマークM毎に算出される。ここで、計測光L22の強度のばらつきが発生する場合には、一のアライメントマークMに照射された計測光L22の強度と他のアライメントマークMに照射された計測光L22の強度とが一致しない可能性がある。このため、第1非対称パラメータが単に+1次回折光L24(+1)の強度I1+と-1次回折光L24(-1)の強度I1+との差分である場合には、第1非対称パラメータは、アライメントマークMの非対称性に起因することなく、計測光L22の強度のばらつきに起因して変動してしまう可能性がある。つまり、一のアライメントマークMに対応する第1非対称パラメータと他のアライメントマークMに対応する第1非対称パラメータとが、計測光L22の強度のばらつきに起因して、適切に比較可能なパラメータにならない可能性がある。しかるに、本実施形態では、第1非対称パラメータは、+1次回折光L24(+1)の強度I1+と-1次回折光L24(-1)の強度I1+との差分を、+1次回折光L24(+1)の強度I1+と-1次回折光L24(-1)の強度I1+との総和によって正規化することで算出される。このため、第1非対称パラメータから計測光L22の強度のばらつきによる影響が排除される。
【0120】
一方で、上述したように、計測光L22が基板141に対して斜入射する場合には、アライメントマークMから±1次回折光L24(±1)を出射させるために、計測光L22が2回照射される。従って、計測光L22の強度のばらつきが発生する場合には、+1次回折光L24(+1)がアライメントマークMから出射する場合に照射された計測光L22の強度が、-1次回折光L24(-1)がアライメントマークMから出射する場合に照射された計測光L22の強度と一致しない可能性がある。このため、計測光L22が基板141に対して斜入射する場合には、制御装置29は、計測光L22の強度のばらつきの影響を排除するべく、数式1に代えて、数式2を用いて第1非対称パラメータを算出してもよい。尚、数式2において、+1次回折光L24(+1)と共にアライメントマークMから出射し且つ反射領域233d-1が減衰した0次反射光L24(0)の強度をI0+とし、-1次回折光L24(-1)と共にアライメントマークMから出射し且つ反射領域233d-1が減衰した0次反射光L24(0)の強度をI0-としている。但し、+1次回折光L24(+1)と共にアライメントマークMから出射し且つ反射領域233d-1が減衰していない0次反射光L24(0)の強度をI0+とし、-1次回折光L24(-1)と共にアライメントマークMから出射し且つ反射領域233d-1が減衰していない0次反射光L24(0)の強度をI0-としてもよい。
【0121】
【0122】
数式2では、±1次回折光L24(±1)の夫々の強度が、0次反射光L24(0)の強度によって正規化されている。その結果、計測光L22の強度のばらつきによる影響が排除される。
【0123】
尚、数式2において、強度I0+=強度I0-である場合には、数式2は、数式1に一致する。従って、数式1においても、計測光L22の強度のばらつきによる影響が排除されていることに変わりはない。つまり、本実施形態では、+1次回折光L24(+1)の強度と-1次回折光L24(-1)の強度との差分は、正規化された+1次回折光L24(+1)の強度と正規化された-1次回折光L24(-1)の強度との差分と等価である。その結果、例えば、計測光L22の強度のばらつきに起因して、一のアライメントマークMに照射された計測光L22の強度と他のアライメントマークMに照射された計測光L22の強度とが一致しない場合においても、第1非対称パラメータから計測光L22の強度のばらつきによる影響が排除される。或いは、例えば、計測光L22の強度のばらつきに起因して、一のショット領域に対応するアライメントマークMに照射された計測光L22の強度と他のショット領域に対応するアライメントマークMに照射された計測光L22の強度とが一致しない場合においても、第1非対称パラメータから計測光L22の強度のばらつきによる影響が排除される。
【0124】
更に、制御装置29は、数式3を用いて、第2非対称パラメータを算出する。尚、数式3において、第2非対称パラメータをP2とし、反射領域233d-1が減衰した(或いは、減衰していない)0次反射光L24(0)の強度をI0とする。但し、計測光L22が基板141に対して斜入射する場合には、制御装置29は、計測光L22の強度のばらつきの影響を排除するべく、数式3に代えて、数式4を用いて、第2非対称パラメータを算出してもよい。尚、数式4において、強度I0+=強度I0-である場合には、数式4は、数式3に一致する。従って、数式4においても、計測光L22の強度のばらつきによる影響が排除されていることに変わりはない。尚、数式3及び数式4は、いずれも、第2非対称パラメータが、正規化された+1次回折光L24(+1)の強度と正規化された-1次回折光L24(-1)の強度との平均と等価であることを示している。
【0125】
【0126】
【0127】
このように算出された第1及び第2非対称パラメータは、アライメントマークMの非対称性の度合いを示すパラメータとなる。以下、
図11(a)から
図11(d)を参照しながら、第1及び第2非対称パラメータとアライメントマークMの非対称性との関係について説明する。
【0128】
図11(a)及び
図11(b)は、アライメントマークMの非対称性(形状歪み)が、簡略的なモデルに置き換え可能であることを示している。具体的には、
図11(a)に示すように、非対称なアライメントマークMの一例として、溝の底面(ボトム)の形状が歪んでいる(つまり、水平にならない)アライメントマークMがあげられる。このような底面の形状は、
図11(a)の最下段に示すように、深さが異なる2つの水平な底面を備えるモデルに置き換え可能である。同様に、
図11(b)に示すように、非対称なアライメントマークMの一例として、壁(山)の頂面(トップ)の形状が歪んでいる(つまり、水平にならない)アライメントマークMがあげられる。このような頂面の形状は、
図11(b)の最下段に示すように、高さが異なる2つの水平な頂面を備えるモデルに置き換え可能である。その他、溝の側面の形状の歪み及び壁の側面の形状の歪み(更には、溝及び壁に関するあらゆる形状の歪み)も、
図11(a)及び
図11(b)に示すモデルに置き換え可能である。このような歪みは、いずれも、対物光学系205の光軸を対称軸とする非対称性を含む形状ゆがみに相当する。
【0129】
尚、実際のアライメントマークMは、半導体プロセスに依存したマーク構造を有する。例えば、アライメントマークMは、上述した底面の形状が歪んでいる溝に相当する構造や頂面の形状が歪んでいる壁に相当する構造のみならず、溝等に形成された金属層の一部に透明なパターン部が形成されている構造等を有することもある。この場合であっても、透明なパターン部が上述した段差(例えば、上述した深さが異なる底面や高さが異なる頂面)と同様の効果を示す。つまり、この場合は、透明なパターン部の底面又は頂面の形状が歪んでいるというモデルとなる。
【0130】
本実施形態では、アライメントマークMの非対称性の度合いを示すパラメータとして、2つの底面の深さの差又は2つの頂面の高さの差に相当するボトム段差(トップ段差)というパラメータと、2つの底面の平均的な深さ又は2つの頂面の平均的な高さに相当するマーク段差というパラメータとに着目する。例えば、深さがAとなる底面と深さがB(但し、B>A)となる底面とを備えるモデルのボトム段差及びマーク段差は、夫々、「B-A」及び「(A+B)/2」となる。例えば、高さがAとなる頂面と高さがB(但し、B>A)となる頂面とを備えるモデルのボトム段差(トップ段差)及びマーク段差は、夫々、「B-A」及び「(A+B)/2」となる。
【0131】
ボトム段差は、
図11(c)に示すように、第1非対称パラメータ(つまり、+1次回折光L24(+1)の強度と-1次回折光+24(-1)の強度との差分)と相関を有するパラメータとなる。つまり、第1非対称パラメータは、実質的には、アライメントマークMの非対称性の度合いを示すボトム段差を示していると言える。更に、マーク段差は、
図11(d)に示すように、第2非対称パラメータ(つまり、0次反射光L24(0)の強度に対する+1次回折光L24(+1)の強度と-1次回折光L24(-1)の強度との平均値の比)と相関を有するパラメータとなる。つまり、第2非対称パラメータは、実質的には、アライメントマークMの非対称性の度合いを示すマーク段差を示していると言える。ここで、マーク段差はマーク高低と称してもよい。
【0132】
このため、第1及び第2非対称パラメータは、アライメントマークMの形状が非対称であるか否かを特定可能な情報に相当する。更には、第1及び第2非対称パラメータは、アライメントマークMの非対称な形状が、どのような形状であるかをある程度推定可能な情報であると言える。
【0133】
逆に言えば、第1非対称パラメータが算出される一方で、第2非対称パラメータが算出されない場合には、アライメントマークMの非対称な形状がどのような形状であるかを推定することが困難になる可能性がある。例えば、
図12は、ボトム段差が一定となる状態を維持しながら、マーク段差が変わるように形状が変化する一連のアライメントマークMを示している。このようなアライメントマークMからは、
図12の右側に示す第1及び第2非対称パラメータが算出される。この場合、第1非対称パラメータが変化しない(つまり、一定の値を有する)がゆえに、第1非対称パラメータは、
図12の左側に示す一連のアライメントマークMが全て同じ形状を有するアライメントマークMであることを示している。しかしながら、実際には、一連のアライメントマークMの形状が全て異なるがゆえに、
図12の左側に太線で示すように、アライメント計測によって得られるマーク位置情報が示すアライメントマークMの位置と本来のアライメントマークMの位置との間の誤差は、アライメントマークMの形状に応じて変動している。従って、第1非対称パラメータだけでは、場合によっては、アライメントマークMの非対称性がマーク位置情報に及ぼす影響を抑制することが困難である。
【0134】
同様に、第2非対称パラメータが算出される一方で、第1非対称パラメータが算出されない場合には、アライメントマークMの非対称な形状がどのような形状であるかを推定することが困難になる可能性がある。例えば、
図13は、マーク段差が一定となる状態を維持しながら、ボトム段差が変わるように形状が変化する一連のアライメントマークMを示している。このようなアライメントマークMからは、
図13の右側に示す第1及び第2非対称パラメータが算出される。この場合、第2非対称パラメータが変化しない(つまり、一定の値を有する)がゆえに、第2非対称パラメータは、
図12の左側に示す一連のアライメントマークMが全て同じ形状を有するアライメントマークMであることを示している。しかしながら、実際には、一連のアライメントマークMの形状が全て異なるがゆえに、マーク位置情報は、アライメントマークMの形状に応じて変動する誤差を含んでいる可能性がある。従って、第2非対称パラメータだけでは、場合によっては、アライメントマークMの非対称性がマーク位置情報に及ぼす影響を抑制することが困難である。
【0135】
しかるに、本実施形態では、第1及び第2非対称パラメータの双方が算出されるがゆえに、第1及び第2非対称パラメータのいずれか一方が算出されるものの第1及び第2非対称パラメータのいずれか他方が算出されない場合と比較して、アライメントマークMの非対称性がマーク位置情報に及ぼす影響を排除することが可能である。
【0136】
非対称パラメータを算出した後、制御装置29は、算出した非対称パラメータに基づいて、マーク位置情報を補正する。具体的には、制御装置29は、アライメントマークMの形状の非対称性に起因してマーク位置情報に残留してしまいかねない誤差成分を小さくする又はゼロにするように、非対称パラメータに応じた所定の演算処理をマーク位置情報に対して行うことで、マーク位置情報を補正する。その後、制御装置29は、補正したマーク位置情報に基づいてEGA演算を行う。その結果、上述したアライメントパラメータ(つまり、モデル式を規定する係数(a0、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8、a9、・・・、b0、b1、b2、b3、b4、b5、b6、b7、b8、b9・・・))を算出する。
【0137】
その後、制御装置29は、算出したアライメントパラメータを、記憶装置4に送信する。記憶装置4は、制御装置29が送信してきたアライメントパラメータを、当該アライメントパラメータを取得した基板141を識別するための識別情報と共に記憶する。その後、搬送装置により、基板141は、アライメント装置2から露光装置1に搬送される。
【0138】
基板141が搬送された露光装置1が備える制御装置16は、アライメント系15を用いて、マーク位置情報を取得する。尚、アライメント系15が行うマーク位置情報の取得動作は、アライメント装置2が行うマーク位置情報の取得動作と同じである。また、制御装置16は、記憶装置4が記憶しているアライメントパラメータを取得する。記憶装置4が記憶しているアライメントパラメータを取得した場合は、制御装置16は、アライメントパラメータのうちの一部を算出するための簡易的なEGA演算を行えばよい。露光装置1は、アライメントパラメータのうちの他の一部については、アライメント装置2が算出したアライメントパラメータをそのまま流用可能である。
【0139】
例えば、制御装置16は、アライメントパラメータのうちの高次成分の係数(a3、a4、a5、a6、a7、a8、a9、・・・、b3、b4、b5、b6、b7、b8、b9・・・)については、アライメント装置2が算出したアライメントパラメータをそのまま流用してもよい。なぜならば、高次成分の係数(a3、a4、a5、a6、a7、a8、a9、・・・、b3、b4、b5、b6、b7、b8、b9・・・)は、主としてプロセスに起因する基板141の変形に起因して生じる成分であり、基板141がアライメント装置2から露光装置1に搬送されたとしても変化しない可能性が高いからである。この場合、制御装置16は、アライメントパラメータのうちの低次成分の係数(a0、a1、a2、b0、b1、b2)を算出するための簡易的なEGA演算を行えばよい。低次成分の係数(a0、a1、a2、b0、b1、b2)は、主として基板ステージ14による基板141の保持状態に起因する基板141の変形に起因して生じる成分であり、アライメント装置2の基板ステージ27が基板141を保持する状態から露光装置1の基板ステージ14が基板141を保持する状態への遷移に起因して変化する可能性があるからである。
【0140】
以上の動作の結果、制御装置16は、アライメントパラメータを取得する。ここで、アライメントパラメータは、非対称パラメータによって補正されたマーク位置情報に基づいて算出されたパラメータ成分を含んでいる。このため、制御装置16は、非対称パラメータに基づいてマーク位置情報が補正されない場合と比較して、相対的に高精度なアライメントパラメータを算出可能である。
【0141】
尚、上述した露光システムSYSの構成(例えば、露光システムSYSを構成する各装置(或いは、各装置を構成する各部材等)の形状や、配置位置や、サイズや、機能や、数等)はあくまで一例である。従って、露光システムSYSの構成の少なくとも一部が適宜改変されてもよい。以下、改変例の一部について説明する。
【0142】
±K次回折光L24(±K)が撮像素子25に入射する場合には、制御装置29は、+K次回折光L24(+K)の強度と-K次回折光L24(-K)の強度との差分(或いは、当該差分から算出可能な任意の係数)を、第1非対称パラメータとして採用してもよい。制御装置29は、0次反射光L24(0)の強度に対する+K次回折光L24(+K)の強度と-K次回折光L24(-K)の強度との平均値の比(或いは、当該比から算出可能な任意の係数)を、第2非対称パラメータとして採用してもよい。
【0143】
制御装置29は、0次反射光L24(0)の強度に対する+1次回折光L24(+1)又は+K次回折光L24(+K)の強度の比(或いは、当該比から算出可能な任意の係数)を、第2非対称パラメータとして採用してもよい。制御装置29は、0次反射光L24(0)の強度に対する-1次回折光L24(-1)又は-K次回折光L24(-K)の強度の比(或いは、当該比から算出可能な任意の係数)を、第2非対称パラメータとして採用してもよい。制御装置29は、0次反射光L24(0)の強度そのもの(或いは、当該強度から算出可能な任意の係数)を、第2非対称パラメータとして採用してもよい。制御装置29は、+1次回折光L24(+1)又は+K次回折光L24(+K)の強度そのもの(或いは、当該強度から算出可能な任意の係数)を、第2非対称パラメータとして採用してもよい。制御装置29は、-1次回折光L24(-1)又は-K次回折光L24(-K)の強度そのもの(或いは、当該強度から算出可能な任意の係数)を、第2非対称パラメータとして採用してもよい。
【0144】
上述した説明では、第1及び第2非対称パラメータは、正規化された+1次回折光L24(+1)の強度及び正規化された-1次回折光L24(-1)の強度から算出される。しかしながら、第1及び第2非対称パラメータは、正規化されていない+1次回折光L24(+1)の強度と正規化されていない-1次回折光L24(-1)の強度から算出されてもよい。
【0145】
第1非対称パラメータは、同じ次数の2種類の回折光L24の差分でなくてもよい。第1非対称パラメータは、同じ次数の2種類の回折光L24の間の関係に関するパラメータであってもよい。第1非対称パラメータは、異なる次数の2種類(或いは、3種類以上)の回折光L24の間の関係に関するパラメータであってもよい。
【0146】
照明系21は、照明系21の光軸に沿ってライトガイド217の射出端面を移動可能であってもよい。
【0147】
可変視野絞り231は、絞り機構2311から2314に加えて又は代えて、その他の絞り機構を備えていてもよい。例えば、可変視野絞り231は、X軸方向に沿って並ぶ2つの開口の間の間隔を調整可能な絞り機構を備えていてもよい。
【0148】
絞り機構2314に含まれる絞り羽根2314aは、第2羽根部分2314a-2及び第3羽根部分2314a-3のいずれか一方を含んでいなくてもよい。絞り羽根2314bは、第2羽根部分2314b-2及び第3羽根部分2314b-3のいずれか一方を含んでいなくてもよい。この場合であっても、絞り機構2314は、X軸方向及びY軸方向の双方に交差する方向に沿って並ぶ2つの開口を規定可能である。例えば、
図14(a)に示すように、絞り羽根2314aが第2羽根部分2314a-2を含んでおらず且つ絞り羽根2314bが第2羽根部分2314b-2を含んでいない場合であっても、絞り機構2314は、X軸方向及びY軸方向の双方に交差する方向に沿って並ぶ2つの開口(
図8(b)に示す2つの開口と等価な開口)を規定可能である。例えば、
図14(b)に示すように、絞り羽根2314aが第3羽根部分2314a-3を含んでおらず且つ絞り羽根2314bが第3羽根部分2314b-3を含んでいない場合であっても、絞り機構2314は、X軸方向及びY軸方向の双方に交差する方向に沿って並ぶ2つの開口(
図8(d)に示す2つの開口と等価な開口)を規定可能である。
【0149】
導光光学系23及び24のうちの少なくとも一方は、可変視野絞り231を備えていなくてもよい。例えば、計測光L22が格子マークMX及び格子マークMYの双方に同時に照射されない場合には、導光光学系23及び24のうちの少なくとも一方は、可変視野絞り231を備えていなくてもよい。
【0150】
導光光学系23及び24のうちの少なくとも一方は、ケスタープリズム233に加えて又は代えて、出射光L24の一部を所定量以上減衰すると共に、所定量以上減衰した出射光L24と所定量以上減衰していない出射光L24との双方を撮像素子25に導く任意の光学素子を備えていてもよい。導光光学系23及び24のうちの少なくとも一方は、ケスタープリズム233に代えて、出射光L24を2方向に分岐可能な光学素子と、一の方向に分岐した出射光を所定量以上減衰可能な光学素子とを別個に備えていてもよい。
【0151】
導光光学系23は、出射光L24の一部を所定量以上減衰しなくてもよい。導光光学系23は、所定量以上減衰していない出射光L24を撮像素子25に導く一方で、所定量以上減衰した出射光L24を撮像素子25に導かなくてもよい。この場合、撮像素子25の撮像面25aは、第1撮像領域25a-1を含む一方で、第2撮像領域25a-2を含んでいなくてもよい。或いは、導光光学系23は、所定量以上減衰した出射光L24を撮像素子25に導く一方で、所定量以上減衰していない出射光L24を撮像素子25に導かなくてもよい。この場合、撮像素子25の撮像面25aは、第2撮像領域25a-2を含む一方で、第1撮像領域25a-1を含んでいなくてもよい。導光光学系24及び撮像素子26についても同様である。
【0152】
アライメント装置2は、撮像素子25及び26のうちの少なくとも一方に加えて又は代えて、出射光L24を受光可能な任意の受光素子を備えていなくてもよい。アライメント装置2は、0次反射光L24(0)を受光する受光素子と、+1次回折光L24(+1)を受光する受光素子と、-1次回折光L24(-1)を受光する受光素子とを備えていてもよい。この場合、アライメント装置2は、各受光素子の受光結果を、0次反射光L24(0)の強度、+1次回折光L24(+1)の強度及び-1次回折光L24(-1)の強度の夫々として取り扱ってもよい。
【0153】
上述した説明では、アライメント装置2は、非対称パラメータに基づいて、アライメント装置2が行うアライメント計測で取得されるマーク位置情報を補正している。しかしながら、アライメント装置2は、非対称パラメータに基づいて、アライメント装置2が行うアライメント計測で取得されるマーク検出情報又はアライメントパラメータを補正してもよい。或いは、アライメント装置2に加えて又は代えて、露光装置1が、非対称パラメータに基づいて、露光装置1が行うアライメント計測で取得されるマーク検出情報、マーク位置情報又はアライメントパラメータを補正してもよい。この場合、アライメント装置2は、算出した非対称パラメータを記憶装置4に記憶させてもよい。露光装置1は、記憶装置4が記憶している非対称パラメータを取得してもよい。
【0154】
露光システムSYSは、
図15(a)に示すように、重ね合わせ計測装置5を備えていてもよい。重ね合わせ計測装置5は、露光装置1が転写したデバイスパターンの重ね合わせ誤差を計測する。重ね合わせ計測装置5には、不図示の搬送装置によって、基板処理装置3から基板141が搬送される。重ね合わせ計測装置5は、搬送された基板のある層に形成された計測マーク像を検出し、当該検出した計測マーク像と、異なる層に形成された計測マーク像との間の位置のずれ量(重ね合わせ誤差)を算出する。ここで、
図15(b)に示すように、重ね合わせ計測装置5が算出した重ね合わせ誤差と上述した非対称パラメータとの間に相関が出てくる場合がある。この場合には、アライメントマークMの非対称性が、露光装置1が行うアライメント計測の精度に影響を与えている可能性が高いと推定される。そこで、重ね合わせ誤差と非対称パラメータとの間に相関がある場合には、露光装置1は、アライメント計測を行う際に非対称パラメータを参照してもよい。つまり、露光装置1は、非対称パラメータに基づいて、露光装置1が行うアライメント計測で取得されるマーク位置情報を補正してもよい。その結果、アライメントマークMの非対称性に起因した悪影響がより一層排除されるがゆえに、アライメントマークMの非対称性と相関を有する重ね合わせ誤差の一層の低減が可能となる。もちろん、重ね合わせ誤差と非対称パラメータとの間に相関がない場合においても、露光装置1は、非対称パラメータに基づいて、露光装置1が行うアライメント計測で取得されるマーク位置情報を補正してもよい。
【0155】
上述の説明では、露光装置1は、半導体基板等の基板141を露光する。しかしながら、露光装置1は、ガラス板、セラミック基板、フィルム部材、又は、マスクブランクス等の任意の物体を露光してもよい。露光装置1は、液晶表示素子又はディスプレイを製造するための露光装置であってもよい。露光装置1は、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(例えば、CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ及びマスク111(或いは、レチクル)のうちの少なくとも一つを製造するための露光装置であってもよい。露光装置EXは、物体に露光光ELを照射することで物体に発生する光トラップ力を用いて物体を補足する光ピンセット装置であってもよい。
【0156】
半導体デバイス等のデバイスは、
図16に示す各ステップを経て製造されてもよい。デバイスを製造するためのステップは、デバイスの機能及び性能設計を行うステップS201、機能及び性能設計に基づいたマスク111を製造するステップS202、デバイスの基材である基板141を製造するステップS203、マスク111のデバイスパターンからの露光光ELで基板141を露光し且つ露光された基板141を現像するステップS204、デバイス組み立て処理(ダイシング処理、ボンディング処理、パッケージ処理等の加工処理)を含むステップS205及び検査ステップS206を含んでいてもよい。
【0157】
上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の要件のうちの一部が用いられなくてもよい。上述の各実施形態の要件は、適宜他の実施形態の要件と置き換えることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した露光装置等に関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0158】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う位置検出装置及び位置検出方法、露光装置及び露光方法、並びに、デバイス製造装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0159】
1 露光装置
14 基板ステージ
141 基板
143 位置計測装置
15 アライメント系
16 制御装置
2 計測装置
21 照明系
23、24 導光光学系
231 可変視野絞り
233 ケスタープリズム
25、26 撮像素子
25a 撮像面
25a-1、25a-2 撮像領域
27 基板ステージ
271 位置計測装置
29 制御装置
M アライメントマーク