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特許7176634トランスミッタ、管理システム、および管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】トランスミッタ、管理システム、および管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20221115BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20221115BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
A61B5/256 210
A61B5/00 102B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021530420
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2019027303
(87)【国際公開番号】W WO2021005740
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄三
(72)【発明者】
【氏名】島村 俊重
(72)【発明者】
【氏名】中辻 怜納
(72)【発明者】
【氏名】沖川 仁
(72)【発明者】
【氏名】土居 芳行
(72)【発明者】
【氏名】吉橋 伸知
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0013538(US,A1)
【文献】特表2002-507131(JP,A)
【文献】特表2010-504155(JP,A)
【文献】特開2016-9259(JP,A)
【文献】特開2017-38839(JP,A)
【文献】特開2018-310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 17/00-17/06
A61B 5/00- 5/398
A61B 90/00-90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を検出する電極を備えたウェアに装着するトランスミッタであって、
前記電極から前記生体情報を受信する受信部と、
前記生体情報をデータ収集装置に送信する通信部と、
記ウェアの利用者を特定する識別情報を表示する表示部と
を備える
ランスミッタ。
【請求項2】
前記通信部と前記データ収集装置とのペアリングが実施済の状態で、前記ウェアに装着される
請求項1に記載のトランスミッタ。
【請求項3】
生体情報を検出する電極を備えたウェアを管理する管理システムであって、
前記電極から前記生体情報を受信する受信部と、前記生体情報をデータ収集装置に送信する通信部と、前記ウェアの利用者を特定する識別情報を表示する表示部とを備えるトランスミッタと、
記トランスミッタが前記ウェアに装着される前に収納されている収納ボックスと、
前記収納ボックスにおける収納位置情報、前記トランスミッタの識別情報、前記データ収集装置の識別情報、および前記利用者の前記識別情報を対応付けて管理する管理装置と
を備える管理システム。
【請求項4】
前記通信部は、対応する前記データ収集装置とペアリングされている
請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記利用者の識別情報と前記データ収集装置の間の対応情報、および前記データ収集装置と前記トランスミッタの間のペアリング情報を前記データ収集装置に送信する
ように構成される
請求項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記収納ボックスには、前記トランスミッタの収納位置に近距離無線通信部が設置されており、
前記管理装置は、
記トランスミッタが収納される収納位置情報と前記近距離無線通信部が取得した前記トランスミッタの識別情報の間の対応情報を前記収納ボックスから取得する
請求項3~5の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項7】
生体情報を検出する電極を備えたウェアを管理する管理システムにおける管理方法であって、
記管理システムは、
前記電極から前記生体情報を受信する受信部と、前記生体情報をデータ収集装置に送信する通信部と、前記ウェアの利用者を特定する識別情報を表示する表示部とを備えるトランスミッタと、
記トランスミッタが前記ウェアに装着される前に収納される収納ボックスを備えており、
前記収納ボックスにおける収納位置情報、前記トランスミッタの識別情報、前記データ収集装置の識別情報、および前記利用者の前記識別情報を対応付けて管理する
理方法。
【請求項8】
前記通信部は、対応する前記データ収集装置とペアリングされている
請求項7に記載の管理方法。
【請求項9】
記管理システムは、
前記利用者の識別情報と前記データ収集装置の間の対応情報、および前記データ収集装置と前記トランスミッタの間のペアリング情報を前記データ収集装置に送信する
請求項に記載の管理方法。
【請求項10】
前記収納ボックスには、前記トランスミッタの収納位置に近距離無線通信部が設置されており、
記管理システムは、
記トランスミッタが収納される収納位置情報と前記近距離無線通信部が取得した前記トランスミッタの識別情報の間の対応情報を前記収納ボックスから取得する
請求項7~9の何れか1項に記載の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療施設や作業現場等において、患者や作業者等の生体情報を取得するスマートウェアを管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設や作業現場等において、患者や作業者が装着したウェアラブルデバイス(スマートウェア)により取得した生体情報を、トランスミッタにより外部のシステムへ送信し、管理者が患者や作業者の健康管理を行う技術の研究開発が進んでいる。
【0003】
従来の健康管理システムの構成例を図9Aに示す。図9Bは、従来の健康管理システムの作業フロー例である。従来の健康管理システムでは、まず始めに、利用者(患者)1がバイタル信号等の生体信号を検出する電極が設置されたスマートウェア2を着衣する。続いて、医療スタッフ(療法士、介護士、介助者等)から渡された生体情報のデータを送信するためのトランスミッタを、利用者(患者)がスマートウェアに装着する。この時点では、トランスミッタは起動されていない。
【0004】
トランスミッタの装着後、トランスミッタからデータ収集を行うスマートフォン等のシステムへデータ送信ができるように、医療スタッフがトランスミッタのシステム接続作業を実施する。医療スタッフは、まずトランスミッタを起動して、無線通信機能(ブルートゥース(登録商標)等)をONにし、スマートフォンとトランスミッタの間のペアリング作業を行う。ペアリング作業に続いて、計測開始作業を行い、スマートフォンのビューワ機能を用いて、利用者の生体情報が正常に送信されているかを確認する。以上の作業を実施した後、利用者(患者)は、リハビリ等を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-207851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記動作フローでは、スマートフォンとトランスミッタの間のペアリング作業において、近隣に同様に無線通信機能がONになったトランスミッタがある場合、それらと間違ってペアリングしてしまう可能性がある。そのような状況は、特定の部屋、例えば、リハビリルーム等に利用者が集まる場合や、ナースステーション付近で利用者が集合してトランスミッタを受け取る場合等において、発生することが想定される。
【0007】
また、システム接続作業を行う医療スタッフがIT機器の操作に不慣れな場合や、利用者(患者)がシステム接続作業待ちの行列を作っているため迅速にペアリング作業を行う必要がある場合などでは、ペアリング間違いの発生リスクは大きくなる。ペアリング間違いは、利用者(患者)の取り違いとなるため、重大なインシデントにつながる可能性もある。
【0008】
さらに、トランスミッタにおける計測開始操作を忘れてしまうことで、スマートウェアを装着しているにもかかわらず、正常にバイタルデータ等の生体情報を取得できない事態も発生しうる。なお、トランスミッタの起動やペアリング作業は利用者自身が行うことも可能であるが、上述のリスクがあることに変わりはない。
【0009】
ここで、特許文献1のように複数のセンサを同時収容できるデータ収集機器を利用する場合も考えられる。ペアリングの対象となるデータ収集機器には、IoTゲートウェイ機器のほか、複数の同時ペアリング機能を有するスマートフォンも含まれる。特許文献1では、複数のセンサとのペアリングを行うために、ペアリング間違いを起こす可能性がより高くなるという問題がある。
【0010】
以上のように、従来の健康管理システムでは、ペアリング作業に手間がかかり、患者や利用者の取り違えのリスクが高いという問題がある。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ペアリング作業を効率化し、利用者の取り違えリスクの低減が可能なスマートウェア管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のトランスミッタは、生体情報を検出する電極を備えたウェアに装着するトランスミッタであって、前記電極から前記生体情報を受信する受信部と、前記生体情報をデータ収集装置に送信する通信部と、前記ウェアの利用者を特定する識別情報を表示する表示部とを備える
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の管理システムは、生体情報を検出する電極を備えたウェアを管理する管理システムであって、前記電極から前記生体情報を受信する受信部と、前記生体情報をデータ収集装置に送信する通信部と、前記ウェアの利用者を特定する識別情報を表示する表示部とを備えるトランスミッタと、前記トランスミッタが前記ウェアに装着される前に収納されている収納ボックスと、前記収納ボックスにおける収納位置情報、前記トランスミッタの識別情報、前記データ収集装置の識別情報、および前記利用者の前記識別情報を対応付けて管理する管理装置とを備える。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の管理方法は、生体情報を検出する電極を備えたウェアを管理する管理システムにおける管理方法であって、前記管理システムは、前記電極から前記生体情報を受信する受信部と、前記生体情報をデータ収集装置に送信する通信部と、前記スマートウェアの利用者を特定する識別情報を表示する表示部とを備えるトランスミッタと、前記トランスミッタが前記ウェアに装着される前に収納される収納ボックスを備えており、前記収納ボックスにおける収納位置情報、前記トランスミッタの識別情報、前記データ収集装置の識別情報、および前記利用者の前記識別情報を対応付けて管理する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ペアリング作業を効率化し、利用者の取り違えリスクの低減が可能なスマートウェア管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A図1Aは、本発明のスマートウェア管理システムの構成例を示す図である。
図1B図1Bは、本発明のスマートウェア管理システムにおける作業フロー例を示す図である。
図2A図2Aは、本発明の名札トランスミッタの構成例(表面)を示す図である。
図2B図2Bは、本発明の名札トランスミッタの構成例(裏面)を示す図である。
図2C図2Cは、本発明の名札トランスミッタの構成例(断面)を示す図である。
図3図3は、本発明の名札トランスミッタの構成例を示す図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態に係るスマートウェア管理システムの構成例を示す図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態に係る管理画面の構成例を示す図である。
図6図6は、本発明の第1の実施の形態に係るスマートウェア管理方法の動作シーケンス例を示す図である。
図7図7は、本発明の第2の実施の形態に係る収納ボックスの構成例を示す図である。
図8図8は、本発明の第3の実施の形態に係る収納ボックスの構成例を示す図である。
図9A図9Aは、従来の健康管理システムの構成例である。
図9B図9Bは、従来の健康管理システムの作業フロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。本発明は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に説明する本発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
<スマートウェア管理システムの構成と動作フロー>
図1Aは、本発明のスマートウェア管理システムの構成例を示す図である。スマートウェア2は、生体情報を検出するための電極3を備えており、名札トランスミッタ10を接続するための接続部4を有している。名札トランスミッタ10をスマートウェア2に装着することにより、電極3から送信された生体情報をスマートフォン30等のデータ収集装置に送信できるように構成されている。
【0019】
本発明における生体情報のデータを送信するトランスミッタは、利用者(患者)の氏名や個人ID等の利用者の識別情報を表示することができる。利用者の識別情報の表示は、電子的に表示(ディスプレイ)させてもよいし、手書きやシール添付による表示であっても構わない。利用者の氏名等が明記されていれば、外観上は名札と同じであるため、本発明の説明では、利用者(患者)の氏名等の識別情報を表示したトランスミッタを、「名札トランスミッタ」と呼ぶこととする。
【0020】
名札トランスミッタ(10-1~10-3)は、ナースセンタやIT機器管理室等で集中的に保管・管理されており、収納ボックス20に収納されている。集中的に保管・管理することにより、利用予定者の一覧やそれぞれに使用する名札トランスミッタ10の準備状況や在庫情報が一目瞭然となるため、医療スタッフによる名札トランスミッタ10の管理が容易になる。本発明では、生体情報のデータの送信先であるスマートフォン(30-A)とのペアリングが実施済の状態の名札トランスミッタ(10-1)がスマートウェア2に装着される。
【0021】
図1Bは、本発明のスマートウェア管理システムにおける作業フロー例を示す図である。医療スタッフは、利用者がリハビリ訓練等を行うために集合するのに先立って、名札トランスミッタ10を起動し、予めペアリング等のシステム接続作業を実施する。このとき、名札トランスミッタ10の利用者は、まだリハビリ訓練等の場所に現れてはいないが、名札トランスミッタ10には利用者の識別情報である氏名が記載されているので、名札トランスミッタ10を利用者と見立てて、名札トランスミッタ装着前にペアリング作業を行うことができる。
【0022】
医療スタッフとしては、利用者を前にして一人ずつペアリング作業を行う必要がないため、落ち着いて作業をすることができるので、ペアリング間違いをするリスクが大幅に低くなる。さらに、医療スタッフは、名札トランスミッタ10の利用者への装着前に計測開始操作までの操作を行う。この時点では、名札トランスミッタ10は、利用者のスマートウェアに装着されていないので、バイタル信号等の生体情報はまだ取得されていない状態である。
【0023】
スマートフォンとのペアリング及び計測開始操作を行った段階で、名札トランスミッタを装着するために利用者が集められ、各利用者に名札トランスミッタが渡される。利用者には、あらかじめ各自の体のサイズに合ったスマートウェアを渡しておき、利用者は、それを着衣した状態で集合する。利用者が入院患者であれば自らのベッドで着替えてもよい。通院患者であれば、受け付け時にスマートウェアを受け取って更衣室で着替えてもよいし、あるいは、スマートウェアを事前に渡しておくことにより自宅でスマートウェアを着衣してからリハビリ訓練等の場所に来てもよい。
【0024】
医療スタッフは、各利用者に名札トランスミッタを渡し、各利用者は自分の氏名が記載された名札トランスミッタであることを確認して、自らのスマートウェアに装着する。ここで、名札トランスミッタは、すでにペアリングが実施済であり計測開始状態になっているため、スマートウェアに装着した時点からバイタル信号等の生体情報の取得が開始され、取得された生体情報のデータはスマートフォンやシステムへ伝送されることとなる。
【0025】
図9Bの従来の作業フローでは、利用者の作業と医療スタッフの作業が混在していたために、作業のための待ち時間が発生する可能性があった。一方、本発明の名札トランスミッタを用いた作業フローでは、利用者の作業と医療スタッフの作業を独立して行うことができるので、利用者を長時間待機させる事態を回避し、効率よくペアリング作業を行うことができる。さらに、本発明の名札トランスミッタでは、スマートウェアに装着される際に、利用者との対応付けおよびスマートフォンとのペアリングが実施済であるため、利用者の取り違えリスクも大幅に減少する。さらには、計測開始操作済の状態で装着することで、計測開始漏れのリスクも減少するという効果が得られる。
【0026】
なお、上述した作業フローでは、リハビリ患者を対象として医療機関にてリハビリ訓練を行う場合を想定したが、本発明の利用対象は、医療機関におけるリハビリ訓練に限定されるものではない。健康診断や人間ドック、トレーニングジム、作業現場などにおいて、スマートウェアを用いて生体情報を取得する場合にも適用可能である。その場合は、上述した医療スタッフは、施設スタッフや作業管理者等と読み替えればよい。特に、一度にたくさんの人数(利用者)を設定する場合等、取り違えのリスクが大きい場合に、本発明の効果が発揮されることが期待できる。
【0027】
<名札トランスミッタの構成>
図2A図2Cは、本発明の名札トランスミッタの構成例を示す図である。名札トランスミッタ10の表面には、利用者(患者)を特定できる氏名もしくは個人ID等の識別情報を表示できる表示部15が備えられている。利用者の識別情報の表示部15は、電子的に表示するディスプレイとしてもよいし、手書きやシール添付による表示であっても構わない。図2Aに示すように、名札トランスミッタ10の表面に、電源のON/OFF及びバッテリ残量などがわかる表示類が装備されていてもよい。
【0028】
図2B図2Cに示すように、名札トランスミッタ10の裏面には、スマートウェア2に装着するためのボタンやファスナー等の接続部(11-1~11-3)が設けられている。一方、スマートウェア2には、名札トランスミッタ10の接続部(11-1~11-3)に対向して接続部(11-4~11-6)が設置されている。名札トランスミッタ10は、接続部(11-1~11-3)と接続部(11-4~11-6)とが互いに接続することにより、スマートウェア2に装着される。これらの接続部(11-1~11-6)は、スマートウェア2の電極3において検出された電気信号を名札トランスミッタ10に送信するための電気接点の役割も担っている。
【0029】
名札トランスミッタ10には、図3に示すように、電極からの電気信号を受信する受信部であり、信号の増幅、A/D変換や各種フィルタ処理等の信号処理を行うアナログフロントエンド回路12、信号処理された生体情報をスマートフォン等のデータ収集装置に送信する無線通信部14、利用者の氏名もしくは個人ID等の識別情報を表示できる表示部であるディスプレイ15、各部の制御を行う中央処理部13、および各部に電力を供給するためのバッテリ管理部16及びバッテリ17、生体情報等を保存するメモリ18などが実装されている。無線通信部14には、無線信号を送信するためのアンテナ部が含まれる。無線通信部14は、ペアリングされたスマートフォン等のデータ収集装置と通信を行い、後述する名札トランスミッタの収納ボックス20との間の通信を行う。
【0030】
ここで、中央処理部13の処理は、メモリ等に記憶されたプログラムによりソフトウェアで実現してもよいし、中央処理部13や無線通信部14等の機能を、FPGA(field-programmable gate array)によって、ハードウェアで実現してもよい。
【0031】
<第1の実施の形態>
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るスマートウェア管理システムの構成例を示す図である。スマートウェア管理システム100は、名札トランスミッタ(10-1~10-8)と、名札トランスミッタ(10-1~10-8)がスマートウェア2に装着される前に収納されている収納ボックス20と、収納ボックス20における収納位置情報、名札トランスミッタの識別情報、ペアリングされているスマートフォンの識別情報、および利用者の識別情報を対応付けて管理する管理装置40、管理装置等とネットワーク接続されたプリンタ50とから構成されている。
【0032】
名札トランスミッタ(10-1~10-8)は、スマートウェア2に装着される前においては、図4に示すような収納ボックス20に収納されて管理されている。収納ボックス20には、給電機能が装備されており、Qi等の無線給電技術もしくは電気接点を介して名札トランスミッタ(10-1~10-8)を充電することができる。電気接点としては、専用の電源コネクタを用いてもよいし、名札トランスミッタ背面等の接続部(11-1~11-3)を介して給電するように構成してもよい。また、ペアリングの対象となるスマートフォン(30-A~30-H)についても、給電機能が装備されたスタンド等に収納されていてもよい。
【0033】
この名札トランスミッタ(10-1~10-8)の識別情報は、MACアドレスやデバイス名など名札トランスミッタに固有の識別情報である。収納ボックス20の収納位置番号と各収納位置に収納された名札トランスミッタ(10-1~10-8)の識別情報の間の対応関係は、両者の間をUSBケーブルで接続して通信することによって自動認識するように構成されている。収納ボックス20の収納位置番号と収納された名札トランスミッタ(10-1~10-8)の識別情報の間の対応関係は、ネットワーク200経由で、管理装置40に送信することができる。
【0034】
管理装置40は、収納ボックス20の収納位置番号と名札トランスミッタの識別情報の間の対応情報をネットワーク200経由で収納ボックス20から取得し、管理画面上に表示する。管理画面の例を図5に示す。医療スタッフは、収納ボックス20に収納された名札トランスミッタ(10-1~10-8)の状況を管理装置40の管理画面にて確認する。管理画面では、収納ボックス内の収納位置番号(No.1、No.2...)に対応する行に、その収納位置に収納されている名札トランスミッタ(10-1~10-8)の識別情報(ID)が表示されている。
【0035】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係るスマートウェア管理方法の動作シーケンス例を示す図である。管理装置40では、リハビリ等を行う患者(利用者)の氏名等の識別情報が登録される。この登録は、医療スタッフによる手入力に限定されず、電子カルテシステムなどの病院内のデータベースと連動させることによって、利用者の氏名をデータベースから選択するようにしてもよい。その場合は、利用者の氏名に加えて、利用者のカルテやリハビリ履歴等を参照することが可能である。利用者の氏名の入力に続いて、利用者に持たせるスマートフォン(30-A~30-H)を選択する。スマートフォン(30-A~30-H)の選択は、管理装置40の管理画面上でプルダウンメニューから選択するように構成すればよい。
【0036】
ここで、スマートフォンと利用者との間の対応情報のスマートフォンへの設定は、例えば、管理画面を確認しながらスマートフォンアプリ上で利用者を選んでもよいし、あるいは、管理画面で設定した対応付けとなるように、管理装置40からスマートフォン(30-A~30-H)に対して、利用者の識別情報とスマートフォンの間の対応情報を送信するようにしてもよい。
【0037】
管理装置40からスマートフォン(30-A~30-H)への対応情報の送信は、スマートフォン(30-A~30-H)が収納されたスタンドとスマートフォン(30-A~30-H)の間をUSBケーブル等で接続することにより行うことができる。管理装置40とスマートフォン(30-A~30-H)の間を無線LAN等の無線通信を用いて接続することにより行ってもよい。利用者の氏名等の識別情報がスマートフォン画面上に表示されるようにすれば、正しい対応付けがされたことを医療スタッフが容易に確認することができる。
【0038】
管理装置40では、図5に示したように、利用者が使用するスマートフォン(30-A~30-H)とペアリングされる名札トランスミッタ(10-1~10-8)が対応付けて管理されている。この対応付けに基づいて、スマートフォン(30-A~30-H)と名札トランスミッタ(10-1~10-8)の間のペアリング作業が実行される。
【0039】
このペアリング作業は、医療スタッフが、スマートフォンの画面を操作して、管理画面に表示された該当する名札トランスミッタ(10-1~10-8)の識別情報を選択することにより行ってもよいが、管理画面に表示された対応関係となるように、利用者とスマートフォンの間の対応情報と同様に、管理装置40からスマートフォン(30-A~30-H)に対して、スマートフォンと名札トランスミッタの間のペアリング情報を有線通信あるいは無線通信で送信するようにしてもよい。
【0040】
スマートフォン(30-A~30-H)と名札トランスミッタ(10-1~10-8)の間のペアリング情報がスマートフォンの画面上に表示されることで、正しいペアリングがされたことを医療スタッフが容易に確認することができる。また、複数のスマートフォンに対するペアリングを一括して行うことも容易である。
【0041】
以上述べたように、本実施の形態のスマートウェア管理システムにおける、利用者、名札トランスミッタ、及びスマートフォンの間の対応付けが完了する。本実施の形態によれば、利用者の氏名が表示された名札トランスミッタを用いて、利用者が使用するスマートフォンとペアリングされる名札トランスミッタを対応付けて管理し、この対応付けに基づいて、スマートフォンと名札トランスミッタの間のペアリング作業を確実に実行できるので、ペアリング間違いのリスクを大幅に減少させることが可能となる。
【0042】
ここで、名札トランスミッタに利用者の氏名等の表示を貼付する場合には、管理装置40とネットワーク200を介して接続されたプリンタ50から、利用者ごとに名札を印刷するようにしてもよい。この場合には、名札トランスミッタに直接貼付できるようにシール印刷が望ましい。また、その貼付する名札には、利用者の氏名のほか、使用するスマートフォン番号や識別情報を印刷することもできる。
【0043】
なお、一人の利用者に対して、複数の部位における生体信号の検出を同時に行い、複数の生体信号を伝送する名札トランスミッタが必要な場合には、該当する部位ごとに行を分けて設定を行う。一つのスマートフォンで複数の名札トランスミッタにペアリングすることができるスマートフォンであれば、1利用者あたり1台のスマートフォンで複数の部位における生体信号を収集・伝送することができる。
【0044】
リハビリを行う患者(利用者)は、所定の時間になると、スマートウェア2を着用して、所定の場所に集合する。そして、医療スタッフから渡された各自の名前が記載された名札トランスミッタを自身のスマートウェア2に装着する。
【0045】
名札トランスミッタ10が装着されると、スマートウェア2と名札トランスミッタ10が電気的に接続され、バイタル信号等の生体情報が名札トランスミッタ10において取得される。取得されたバイタル信号等の生体情報は、名札トランスミッタ10に内蔵されたメモリ18に蓄積され、無線通信部14によってペアリングされたスマートフォン30に対して送信される。
【0046】
<第2の実施の形態>
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る収納ボックスの構成例を示す図である。
【0047】
第1の実施の形態と同様に、スマートウェアに装着される前においては、名札トランスミッタ(10-1~10-8)は、収納ボックス20に収納されて管理されている。管理装置40の管理画面では、第1の実施の形態と同様に、収納ボックス20内の収納位置番号(No.1、No.2...)に対応する行に、その収納位置に収納されている名札トランスミッタ(10-1~10-8)の識別情報(ID)が表示される。
【0048】
図7に示すように、第2の実施の形態では、収納ボックス20には、収納される名札トランスミッタ10の位置に合わせて近距離無線通信部21が内蔵されている。近距離無線通信部21で読み取られた名札トランスミッタ10の識別情報(ID)は、収納ボックス20の収納位置番号と対応付けられ、名札トランスミッタ10の識別情報(ID)と収納ボックス20の収納位置番号の間の対応情報が、収納ボックス20からネットワーク200を経由して管理装置40に送信され、管理装置40の管理画面上に表示される。
【0049】
管理装置40における、リハビリ等を行う患者(利用者)の氏名等の識別情報の入力、スマートフォンと利用者の対応付け、およびスマートフォンと名札トランスミッタの間のペアリング作業については、第1の実施の形態と同様である。
【0050】
<第3の実施の形態>
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る収納ボックスの構成例を示す図である。
【0051】
第1、第2の実施の形態と同様に、スマートウェアに装着される前においては、名札トランスミッタ(10-1~10-8)は、収納ボックス20に収納されて管理されている。管理装置40の管理画面では、第1の実施の形態と同様に、収納ボックス20内の収納位置番号(No.1、No.2...)に対応する行に、その収納位置に収納されている名札トランスミッタ(10-1~10-8)の識別情報(ID)が表示される。
【0052】
図8に示すように、第3の実施の形態の収納ボックス20は、別位置に設置したカメラ60で撮影した画像情報としてとらえられている。名札トランスミッタ(10-1~10-8)の識別情報と収納ボックス20の収納位置番号が対応付けられて管理画面上に表示される。医療スタッフは、この収納ボックス20の画像情報に基づいて、管理画面に収納位置番号と名札トランスミッタ10の識別番号の対応情報を登録することができる。
【0053】
管理装置40における、リハビリ等を行う患者(利用者)の氏名等の識別情報の入力、スマートフォンと利用者の対応付け、およびスマートフォンと名札トランスミッタの間のペアリング作業については、第1、第2の実施の形態と同様である。
【0054】
以上述べたように、本実施形態によれば、ペアリング作業における利用者の作業と医療スタッフの作業が独立して行われるので、利用者の待機時間を低減し、ペアリング作業の効率化が実現できる。より具体的には、利用者の氏名が記載された名札トランスミッタを用いて、利用者が使用するスマートフォンとペアリングされる名札トランスミッタを対応付けて管理し、この対応付けに基づいて、スマートフォンと名札トランスミッタの間のペアリング作業が実行されるので、ペアリング間違いのリスクを大幅に減少させることができる。この対応付けに基づいて、利用者のスマートウェアに装着される前に、利用者との対応付けとスマートフォンとの間のペアリングを確実に実行できるので、ペアリング間違いのリスクを大幅に低減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、医療施設や作業現場等において、患者や作業者等の生体情報を取得するスマートウェアを管理するシステムに利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…利用者(患者)、2…スマートウェア、3、3-1、3-2…電極、10、10-1~10-8…名札トランスミッタ、20…収納ボックス、30、30-A~30-C…スマートフォン、40…管理装置、100…スマートウェア管理システム。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B