(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】圧電素子
(51)【国際特許分類】
H01L 41/08 20060101AFI20221115BHJP
H01L 41/113 20060101ALI20221115BHJP
H01L 41/083 20060101ALI20221115BHJP
H04R 17/02 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01L41/08
H01L41/113
H01L41/083
H04R17/02
(21)【出願番号】P 2019025350
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177493
【氏名又は名称】長谷川 修
(72)【発明者】
【氏名】口地 博行
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-137297(JP,A)
【文献】特開2005-061840(JP,A)
【文献】特開平04-121076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/08
H01L 41/113
H01L 41/083
H04R 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端が支持基板に支持された圧電膜からなる振動板と、前記圧電膜を挟んで配置する一対の電極とを備えた圧電素子において、
前記圧電膜を貫通し該圧電膜を前記振動板として区画するスリットと、該スリットの少なくとも開口端側に積層した被覆膜とを備え、
前記被覆膜は、前記スリットに連通する開口部を備え、該開口部は、前記スリットの開口端を露出し該スリットの開口幅より広い開口幅の第1の開口部と、前記スリットの開口幅以下の開口幅の第2の開口部とを備えていることを特徴とする圧電素子。
【請求項2】
請求項1記載の圧電素子において、前記被覆膜の厚さ方向の一部の領域が、前記スリットの開口幅以下の開口幅となる第2の開口部を構成していることを特徴とする圧電素子。
【請求項3】
請求項1または2いずれか記載の圧電素子において、前記被覆膜は、前記スリットの開口端を選択的に被覆し、前記スリットの延出方向に沿って複数個に分離していることを特徴とする圧電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電素子に関し、特に高感度、低雑音となる圧電型MEMSマイクロフォン等に利用可能な圧電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に需要が拡大しているスマートフォンには、小型、薄型で、組立のハンダリフロー工程の高温処理耐性を有するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたマイクロフォンが多く使われている。さらにMEMSマイクロフォンに限らず、その他のMEMS素子が様々な分野で急速に普及してきている。
【0003】
この種のMEMS素子の多くは、音響圧力等による振動板の変位を、対向する固定板との容量変化としてとらえ、電気信号に変換して出力する容量素子である。しかし容量素子は、振動板と固定板との間隙の空気の流動によって生じる音響抵抗のために、信号雑音比の改善が限界になりつつある。そこで、圧電材料からなる薄膜(圧電膜)で構成される単一の振動板の歪みにより音響圧力等を電圧変化として取り出すことができる圧電素子が注目されている。
【0004】
従来の圧電素子は、圧電膜に
図5に示すような所望の形状のスリット1を形成して片持ち梁構造の振動板を形成している。
図5(a)では四角形の2枚の振動板2が、
図5(b)では三角形の4枚の振動板2が形成されている。この種の圧電素子は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
図6は圧電素子の断面図である。
図6に示すように支持基板となるシリコン基板3上に絶縁膜4を介して多層構造の圧電膜5a、5bが支持固定され、圧電膜5aは電極6aと電極6bにより、圧電膜5bは電極6bと電極6cによりそれぞれ挟み込まれた構造となっている。シリコン基板3には空孔7が形成されており、スリット1により区画された圧電膜および電極は、一端がシリコン基板3に固定され、他端が開放端となる振動板2を構成している。
【0006】
このような圧電素子では、振動板2が音響圧力等を受けると圧電膜5aが歪み、その内部に分極が起こり、電極6aに接続する配線金属8aと、電極6bに接続する配線金属8bから電圧信号を取り出すことが可能となる。同様に圧電膜5bが歪むとその内部に分極が起こり、電極6cに接続する配線金属8aと、電極6bに接続する配線金属8bから電圧信号を取り出すことが可能となる。
【0007】
ところで、このような片持ち梁構造の圧電膜は、残留応力が解放され反りが生じ、スリット1の開口幅が広がってしまう。このような反りによりスリットの開口幅が設計値以上となった状態の圧電素子をマイクロフォンとして使用すると、音響抵抗が低下し、低周波感度低下等の特性劣化を招いてしまう。
【0008】
そこで本願出願人は、
図7に示すように振動板上に薄膜9を積層形成した圧電素子を提案した(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5936154号公報
【文献】特開2018-137297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願出願人が先に提案した圧電素子は、薄膜9を備える構造とすることで圧電膜の残留応力に起因するスリット1の開口幅の広がりと、それに伴う特性劣化を抑制することができる。しかしながら、その製造工程においては、スリット1を形成した後、そのスリット1に連通するように薄膜9の開口を形成するため、製造工程のばらつき(位置合わせのずれ)を考慮し、薄膜9の開口幅をスリット1の開口幅より広く形成する必要があった。そのため薄膜9は振動板の弾性係数を大きくすることにより振動板の変形を抑制するという効果は得られるものの、薄膜9を形成しても振動板の変形が完全に抑えられない場合には、スリット1の開口幅が設計値以上となってしまい、圧電素子をマイクロフォンとして使用した場合に、音響抵抗を低下させ、低周波感度低下等の特性劣化を抑制することができなかった。本発明はこのような課題を解決し、圧電膜の残留応力の影響を抑制するとともに、高感度で信号雑音比を改善した圧電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、少なくとも一端が支持基板に支持された圧電膜からなる振動板と、前記圧電膜を挟んで配置する一対の電極とを備えた圧電素子において、前記圧電膜を貫通し該圧電膜を前記振動板として区画するスリットと、該スリットの少なくとも開口端側に積層した被覆膜とを備え、前記被覆膜は、前記スリットに連通する開口部を備え、該開口部は、前記スリットの開口端を露出し該スリットの開口幅より広い開口幅の第1の開口部と、前記スリットの開口幅以下の開口幅の第2の開口部とを備えていることを特徴とする。
【0012】
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載の圧電素子において、前記被覆膜の厚さ方向の一部の領域が、前記スリットの開口幅以下の開口幅となる第2の開口部を構成していることを特徴とする。
【0013】
本願請求項3に係る発明は、請求項1または2いずれか記載の圧電素子において、前記被覆膜は、前記スリットの開口端を選択的に被覆し、前記スリットの延出方向に沿って複数個に分離していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の圧電素子は、圧電膜上のスリットの開口端側に被覆膜を備え、この被覆膜の開口部の形状をスリットが形成されている被覆膜の底面部分(第1の開口部)ではスリットの開口幅より広くし、被覆膜の表面側に至る開口部(第2の開口部)ではスリットの開口幅以下となる開口部とすることで、圧電膜の残留応力が開放され設計値以上にスリットの開口幅が広がったとしても、第2の開口部によりスリット幅より狭い開口幅を保つことが可能となる。圧電膜の変形を想定して第2の開口部の開口幅を設計することも可能で、特性の優れた圧電素子を提供することが可能となる。また第2の開口幅の深さ(被覆膜の厚さ)も適宜設定することで、所望の特性の圧電素子を提供することが可能となる。
【0015】
本発明の被覆膜の第1の開口部をスリットの開口幅より広く設定することで、被覆膜の開口部を形成する際の微細な位置合わせを不要としている点で容易に製造することが可能となる。
【0016】
さらに被覆膜を所望の位置に配置する構成とすると、圧電膜の変形も制御することができ、第2の開口部をその変形度合いに合わせて設計することで、優れた特性の圧電素子を提供することも可能となる。
【0017】
本発明の圧電素子を音響トランスデューサとして使用した場合、残留応力による悪影響を緩和し、音響抵抗を高く維持することができるため、低周波領域の感度低下や信号雑音比の低減を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施例の圧電素子の説明図である。
【
図2】本発明の第1の実施例の被覆膜の配置を説明する図である。
【
図3】本発明の第2の実施例の被覆膜の配置を説明する図である。
【
図4】本発明の第3の実施例の圧電素子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る圧電素子は、支持基板に支持された圧電膜を所望の形状のスリットで区画した振動板を備えている。この振動板(圧電膜)上には、スリットの少なくとも開口部端を覆うように被覆膜を配置している。この被覆膜はスリットに連通する開口部を備え、この開口部の断面形状を所望の形状とし、圧電膜の残留応力が開放され、設計値以上にスリットが広がった場合でも特性劣化のない圧電素子としている。以下本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の第1の実施例について説明する。本発明の圧電素子は、先に従来例で説明した
図5に示すよう所望の形状のスリット1を形成し、片持ち梁構造の圧電素子としている。
【0021】
図1は、本発明の圧電素子の断面図を示した図である。
図1に示すように、支持基板となるシリコン基板3上に絶縁膜4を介して多層構造の圧電膜5a、5bが支持固定され、圧電膜5aは電極6aと電極6bにより、圧電膜5bは電極6bと電極6cによりそれぞれ挟み込まれた構造となっている。シリコン基板1には空孔7が形成されているので、スリット1により区画された圧電膜および電極は、一端がシリコン基板3に固定され、他端が自由端となる振動板2を構成することになる。
【0022】
このような圧電素子では、振動板2が音響圧力等を受けると圧電膜5aが歪み、その内部に分極が起こり、電極6aに接続する配線金属8aと、電極6bに接続する配線金属8bから電圧信号を取り出すことが可能となる。同様に圧電膜5bが歪むとその内部に分極が起こり、電極6cに接続する配線金属8aと、電極6bに接続する配線金属8bから電圧信号を取り出すことが可能となる。
【0023】
ここで本実施例では、スリット1に沿って圧電膜上に被覆膜10が積層されている。
図1に示すように被覆膜10の断面形状は、圧電膜5bに接する部分の第1の開口部11aは、スリット1の開口端を露出し、その開口幅は、スリット1の開口幅より広くなっている。一方被覆膜10の上方は、スリット1と第1の開口部11aに連通した第2の開口部11bとなり、この第2の開口部11bの開口幅は、スリット1の開口幅と同じかスリット1の開口幅より狭くなっている。特に本実施例では、第2の開口部11bの厚さを厚くし、第2の開口部11bの長さを長くしている。
【0024】
このような被覆膜10は、スリット1を形成した後、空孔7を形成する前に圧電膜5b上に形成することができる。被覆膜10をネガ型の感光性ポリイミド膜で形成する場合は、下層膜として第1のポリイミド膜を形成し、第1の開口部11aに相当する領域と不要な領域を遮光して露光し、その後上層膜として第2のポリイミド膜を形成し、第2の開口部11bに相当する領域と不要な領域を遮光して露光する。その後現像することで、
図1に示すパターニングが可能になる。第1の開口部11aに相当する領域は、スリット1を露出するように大きな開口とし、第2の開口部11bに相当する領域は、大きな開口となる第1の開口部に連通するように位置合わせすればよいので、非常に簡便に形成することができる。
【0025】
このようにパターニングされた被覆膜10は、少なくともスリット1の開口端に形成すれば良い。例えば先に説明した
図5に示すような配置にスリット1を形成する場合、対向する振動板2に被覆膜10を形成することができる。
図2(a)に示す例では、対向する2枚の振動板2間のスリット1上に
図1に示す被覆膜10の第2の開口部11bが配置するようにすればよい。なお
図2に示す10aは、第1の開口部11aを形成する被覆膜10と振動板2(圧電膜5b)とが接触する領域を示している。領域10aは、スリット1の開口端から離れて形成できることがわかる。なお、
図2(a)に示す例では、図面左右方向に延出するスリットに被覆膜10を形成していないが、これは振動板2の残留応力が開放され振動板2が変形した場合であっても、このスリットの開口幅が大きく変わることがないからである。当然ながら、被覆膜10を形成してもよい。この場合一方の被覆膜10は振動板2上に形成され、もう一方の被覆膜10は振動板を形成しない領域に形成することになる。
【0026】
図2(b)に示す例では、対向する4枚の振動板2間のスリット1上に
図1に示す被覆膜10の第2の開口部11bが配置するようにすればよい。
図2(a)同様、
図2(b)に示す10aは、第1の開口部11aを形成する被覆膜10と振動板2(圧電膜5b)とが接触する領域を示している。この場合もスリット1から離れて形成できることがわかる。
【0027】
このように被覆膜10を備える構成とすると、圧電膜5a、5bが空孔7と逆側に反った場合、スリット1の開口幅が広がるものの、スリット1の開口幅より狭い開口幅の第2の開口部11bの広がりがスリット1の音響抵抗等となるため、特性劣化を抑えることが可能となる。このとき第2の開口部11bを厚い被覆膜で形成すると、この第2の開口部11bの音響抵抗等が大きくなり、特性劣化を抑える効果が大きくなる。スリット1の開口幅の変形量が既知である場合には、第2の開口部11bの開口幅をその変形に合わせて設定すれば良い。
【0028】
一方、圧電膜5a、5bが空孔7側に反った場合、スリット1の開口幅が広がるものの、スリット1の開口幅より狭い開口幅の第2の開口部11bがさらに狭くなるため、特性劣化を抑えることができる。この場合も、スリット1の開口幅の変形量が既知である場合には、第2の開口部11bの開口幅をその変形に合わせて設定すれば良い。
【実施例2】
【0029】
次に第2の実施例について説明する。上記第1の実施例では、被覆膜10をスリット1に沿って配置する例について説明した。上述の通り、被覆膜10の第2の開口部11bを構成する領域の厚さを厚くする場合、被覆膜10の厚さを厚くする必要がある。この厚い被覆膜10の形成が振動板の変形の原因となってしまう場合もある。そのような場合には、スリット1に沿って配置した被覆膜10を分離して配置することも可能である。
【0030】
先に説明した
図2同様、
図3に示す領域10aは、第1の開口部11aを形成する被覆膜10と振動板2(圧電膜5b)とが接触する領域を示している。領域10aは、スリット1から離れて形成され、さらに複数個に分割されている。このように構成することで、被覆膜10が振動板2の応力を緩和し、反りの大きさを緩和、あるいは抑制することができる。反りの大きさを小さく、あるいは無くすことができれば、上記第1の実施例で説明したように、被覆膜10の第2の開口部11bにより、簡便に、特性劣化を抑えることが可能となる。
【実施例3】
【0031】
次に第3の実施例について説明する。被覆膜10の断面形状は、上記第1の実施例で説明した断面形状に限定されるものではない。例えば本実施例では、
図4に示すように被覆膜10の断面形状は、圧電膜5bに接する部分に向かって開口幅が広くなり、表面が最も狭い開口幅となっている。この場合も、圧電膜5b表面近傍の第1の開口部11aは、スリット1の開口端を露出し、その開口幅は、スリット1の開口幅より広くなっている。一方被覆膜10の上方は、スリット1と第1の開口部11aに連通する第2の開口部11bとなり、この第2の開口部11bの開口幅は、スリット1の開口幅と同じかスリット1の開口幅より狭くなっている。
図4に示す例では、被覆膜10の表面側の一部の領域の開口幅がスリット1の開口幅と同じかスリット1の開口幅より狭くなる領域となり、第2の開口部11bを構成することになる。
【0032】
このような被覆膜10は、スリット1を形成した後、空孔7を形成する前に圧電膜5b上に形成することができる。被覆膜10をネガ型の感光性ポリイミド膜で形成する場合は、ポリイミド膜を形成し、第2の開口部11bに相当する領域と不要な領域を遮光して露光し、現像することで、
図4に示すようなオーバーハング形状のパターニングが可能となる。厚いポリイミド膜を露光する場合、圧電膜5bの表面近傍に到達する光が少なくなるため簡便にオーバーハング形状を形成することができる。本実施例は、第1の実施例で説明したように二重のポリイミド膜を形成する必要がなく非常に簡便に形成することができる。
【0033】
上記第1の実施例同様、圧電膜5a、5bが空孔7と逆側に反った場合、スリット1の開口幅が広がるものの、スリット1の開口幅より狭い開口幅の第2の開口部11bの広がりがスリット1の音響抵抗等となるため、特性劣化を抑えることが可能となる。このとき第2の開口部11bが厚い被覆膜で形成されると、第2の開口部11bの厚さが厚くなり、この第2の開口部11bの音響抵抗等が大きくなり、特性劣化を抑える効果が大きくなる。スリット1の開口幅の変形量が既知である場合には、第2の開口部11bの開口幅をその変形に合わせて設定すればよい。
【0034】
一方、圧電膜5a、5bが空孔7側に反った場合、スリット1の開口幅が広がるものの、スリット1の開口幅より狭い開口幅の第2の開口部11bがさらに狭くなるため、特性劣化を抑えることができる。この場合も、スリット1の開口幅の変形量が既知である場合には、第2の開口部11bの開口幅をその変形に合わせて設定すればよい。
【実施例4】
【0035】
次に第4の実施例について説明する。上記第3の実施例では、被覆膜10をスリット1に沿って配置する例について説明した。上述の通り、被覆膜10の第2の開口部11bを構成する領域の厚さを厚くする場合、被覆膜10の厚さを厚くする必要がある。この厚い被覆膜10の形成が振動板の変形の原因となってしまう場合もある。
【0036】
本実施例の場合も、
図3で説明したように、領域10aは、スリット1から離れて形成され、さらに複数個に分割することができる。このように構成することで、被覆膜10が振動板2の応力を緩和し、反りの大きさを緩和、あるいは抑制することができる。反りの大きさを小さく、あるいは無くすことができれば、上記第1の実施例で説明したように、被覆膜10の第2の開口部11bにより、簡便に、特性劣化を抑えることが可能となる。
【0037】
以上本発明について説明したが本発明はこれらに限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、被覆膜10の開口部の断面形状は、上記実施例に限定されるものではない。被覆膜10は、ネガ型ポリイミド膜の他、ポジ型ポリイミド膜やポリイミド膜の代わりに、他の有機膜あるいは無機膜を適宜選択して採用することができる。被覆膜10を複数個に分割する場合も、分割する数、配置等は適宜設定することができる。本発明が適用可能な圧電素子は、上記実施例で説明した多層構造の圧電膜(5a、5b)に限るものでもない。
【符号の説明】
【0038】
1: スリット、2:振動板、3:シリコン基板、4:絶縁膜、5a、5b:圧電膜、6a、6b、6c:電極、7:空孔、8a、8b:配線金属、9:薄膜、10:被覆膜、11a、:第1の開口部、11b:第2の開口部