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  • 特許-複素環化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】複素環化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20221115BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20221115BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20221115BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20221115BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221115BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
C07D487/04 142
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61P9/04
A61P9/12
A61P11/00
A61P43/00 111
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019514621
(86)(22)【出願日】2018-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2018016996
(87)【国際公開番号】W WO2018199236
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2017087950
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】北村 周治
(72)【発明者】
【氏名】池田 善一
(72)【発明者】
【氏名】生駒 実
(72)【発明者】
【氏名】渡部 浩史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 英喜
(72)【発明者】
【氏名】湯川 猛史
(72)【発明者】
【氏名】森本 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】西澤 直城
(72)【発明者】
【氏名】浅見 泰司
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-510582(JP,A)
【文献】特開2005-239611(JP,A)
【文献】YOSHIDA,M. et al.,Discovery of Novel and Potent Orally Active Calcium-Sensing Receptor Antagonists that Stimulate Puls,Journal of Medicinal Chemistry,2011年,Vol.54, No.5,p.1430-1440,ISSN 1520-4804, 全文
【文献】YOSHIDA,M. et al.,Synthesis and structure-activity relationship of tetrahydropyrazolopyrimidine derivatives-A novel st,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2010年,Vol.18, No.24,p.8501-8511,ISSN 0968-0896, 全文
【文献】YOSHIDA,M. et al.,Novel and potent calcium-sensing receptor antagonists: Discovery of (5R)-N-[1-ethyl-1-(4-ethylphenyl,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2011年,Vol.19, No.6,p.1881-1894,ISSN 0968-0896, 全文
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
環Aは、ベンゼン環を示し;
1は、水素原子またはC 1-6 アルキル基を示し;
2およびR3ともに 1-6 アルキル基を示
4 1ないし5個のC 1-6 アルキル基で置換されていてもよい 6-14 アリール基を示し;
5 は、C 1-6 アルキル基を示し;
6 は、水素原子または 1-6 アルキル基を示し;
7 は、水素原子、または、
(a)カルバモイル基、
(b)カルボキシ基、
(c)ヒドロキシ基および
(d)フェニル基
からなる群から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC 1-6 アルキル基を示す。
で表される化合物またはその塩。
【請求項2】
(5R)-N-((2R)-1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩。
【請求項3】
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩。
【請求項4】
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩。
【請求項5】
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬。
【請求項7】
カルシウム感受性受容体拮抗剤である、請求項記載の医薬。
【請求項8】
心不全の予防または治療剤である、請求項記載の医薬。
【請求項9】
肺高血圧症の予防または治療剤である、請求項記載の医薬。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項記載の化合物またはその塩を哺乳動物(ヒトを除く。)に有効量投与することを特徴とする、哺乳動物におけるカルシウム感受性受容体拮抗方法。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項記載の化合物またはその塩を哺乳動物(ヒトを除く。)に有効量投与することを特徴とする、哺乳動物における心不全の予防または治療方法。
【請求項12】
請求項1~のいずれか一項記載の化合物またはその塩を哺乳動物(ヒトを除く。)に有効量投与することを特徴とする、哺乳動物における肺高血圧症の予防または治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウム感受性受容体拮抗作用を有し、心不全、肺高血圧症などの予防または治療剤として有用な複素環化合物に関する。
【0002】
[発明の背景]
心不全とは、心筋細胞の機能不全によって心拍出量が低下した病態、および、心拍出量の維持機構による身体の負担から生じる病態を特徴とする疾患である。心筋細胞の機能は、収縮と弛緩であり、収縮および弛緩にはCa2+イオンが必要である。心筋細胞の収縮は、活動電位が横行小管に伝搬し、横行小管膜が脱分極する段階、横行小管の電位依存性L型Ca2+チャンネルからCa2+イオンが細胞内に流入する段階、および、流入したCa2+イオンが筋小胞体のCa2+放出チャンネル(リアノジン受容体、またはRYR)に結合し、筋小胞体から細胞質にCa2+イオンが放出される段階、細胞内に放出されたCa2+イオンがトロポニンCに結合して心筋細胞の収縮を誘導する段階により生じる。さらに心筋細胞の弛緩は筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼsarco/endoplasmic reticulum Ca 2+ -ATPase:SERCA)を介して筋小胞体にCa2+イオンが取り込まれ、細胞質内Ca2+イオンが低下し、トロポニンCからCa2+イオンが乖離することにより生じる。従って、上記の何らかの段階に異常が生じてCa2+イオンが細胞質に放出されないと、心筋細胞は機能不全をおこし、心不全を発症する。
【0003】
心不全治療薬としては、短期的な症状の改善や血行動態の安定化のために、β遮断薬、抗アルドステロン薬、利尿薬、ジキタリス、強心薬等が臨床現場では使用されている。しかしながらこれらの薬剤は、再入院率や長期生命予後を改善するには不十分であり、最近では、再入院率や長期生命予後を改善する新たな心不全治療薬の提供が望まれている。
【0004】
肺高血圧症は、心筋や肺血管組織の異常な増殖、リモデリング、収縮などにより肺動脈圧が上昇し、病気の進行とともに右心不全を併発して死に至る、予後がきわめて不良な疾患である。肺高血圧症に使われている主な治療薬は、エンドセリン受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、プロスタサイクリンアナログ、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤などであるが、一部症状の改善がみられるものの、依然予後が悪い。近年、この疾患の病態に複数の分子が関与していることが明らかになった。また、現行の治療薬も単剤での効果が限定的であることから、新しい治療薬の開発が望まれている。
【0005】
カルシウム感受性受容体(CaSR)は、細胞外カルシウム濃度の変化を感知するGタンパク質共役型受容体(GPCR)であり、種々の疾患に関連していることが知られている。
【0006】
複素環化合物として、特許文献1に、下記式で表される化合物またはその塩が記載されており、それらがカルシウム感受性受容体(CaSR)の調節作用(アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性)や、それによる副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌調節作用を有することが記載されている。
【0007】
【化1】
【0008】
また、特許文献2に、下記式で表される化合物またはその塩が記載されており、それらがカルシウム感受性受容体(CaSR)の調節作用(アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性)や、それによる副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌調節作用を有することが記載されている。
【0009】
【化2】
【0010】
心不全に関して、非特許文献1および2には、副甲状腺ホルモン治療により心機能が改善することが記載されているが、非特許文献3には、副甲状腺ホルモン治療により心機能が悪化することが記載されている。従って、副甲状腺ホルモン治療と心機能改善との関係はいまだ十分に解明されていない。
【0011】
また、非特許文献4には、大動脈結紮(TAC)モデルにおいてCaSR阻害剤であるCalhex231が心肥大を改善することが記載されているが、心機能低下後の効果までは解明されていない。非特許文献5には、Calhex231を投薬した結果、心臓に負荷を与えてからの投薬では心機能低下が改善しないことが示されている。さらに、非特許文献6は、CaSRアンタゴニストが虚血プレコンディショニングモデルにおいて心保護作用の無効化を引き起こすことが記載されている。従って、CaSR阻害による心機能低下改善や生存率改善との関係は十分に解明されていない。
【0012】
一方、肺高血圧症に関しては、最近、肺高血圧症患者から単離された肺動脈平滑筋細胞(PASMC)において、CaSRが過剰発現していること、機能が亢進することで、肺血管組織の異常な増殖などが引き起こされることが報告された。また、モノクロタリン(MCT)誘発性肺高血圧症ラットおよび低酸素誘発性肺高血圧症(HPH)マウスにおいて、CaSRアンタゴニストとしての作用を有する化合物NPS-2143が心肥大、右室収縮期圧の上昇、心筋組織の繊維化、および肺血管リモデリング等を抑制することが報告された(非特許文献7~11)。しかし、肺高血圧症に対する治療薬の医学的必要性は依然として高く、薬効、特異性、低毒性の点で優れた性質を有する、肺高血圧症の予防または治療のための医薬の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】WO2004/017908
【文献】特開2005-239611
【非特許文献】
【0014】
【文献】Cardiovascular research, 77: 722-731, 2008
【文献】Cardiovascular research, 93: 330-339, 2012
【文献】Experimental and molecular medicine 42, 61-68, 2010
【文献】Cell Physiol. Biochem., 36: 1597-1612, 2015
【文献】Cell Physiol. Biochem., 33: 557-568, 2014
【文献】Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol., 299: H1309-H1317, 2010
【文献】Circ. Res., 111(4): 469-481, 2012
【文献】Circ. Res., 112(4): 640-650, 2013
【文献】YAKUGAKU ZASSHI, 133(12):1351-1359, 2013
【文献】J. Smooth Muscle Res., 50: 8-17, 2014
【文献】Hypertens Res. 37(2): 116-124, 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、カルシウム感受性受容体拮抗作用を有し、心不全、肺高血圧症等の予防または治療剤として有用であると期待される化合物またはその塩を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、下記の式(I)で表される化合物またはその塩がカルシウム感受性受容体拮抗作用を有し、心不全、肺高血圧症等の予防または治療剤として有用であると期待されることを見出した。本発明は、上記知見に基づいて、本発明者らによる鋭意研究の結果、完成するに至った発明である。
【0017】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] 式(I):
【化3】
[式中、
環Aは、さらに置換されていてもよい芳香環を示し;
は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルキルチオ基、または置換されていてもよいアルコキシ基を示し;
およびRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基を示すか、またはRおよびRは、隣接する炭素原子とともに、さらに置換されていてもよい環を形成していてもよく;
およびRは、それぞれ独立して、置換されていてもよい芳香環基または置換されていてもよいアルキル基を示し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよいアルキル基を示す。]
で表される化合物またはその塩(以下、「化合物(I)」ともいう)。
[2] 環Aがベンゼン環である上記[1]記載の化合物またはその塩。
[3] Rが、水素原子またはC1-6アルキル基である上記[1]記載の化合物またはその塩。
[4] RおよびRが、ともにC1-6アルキルである上記[1]記載の化合物またはその塩。
[5] Rが、1ないし5個のC1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリール基である上記[1]記載の化合物またはその塩。
[6] Rが、C1-6アルキル基である上記[1]記載の化合物またはその塩。
[7] Rが、水素原子またはC1-6アルキル基である上記[1]記載の化合物またはその塩。
[8] Rが、水素原子、または、
(a)カルバモイル基、
(b)カルボキシ基、
(c)ヒドロキシ基および
(d)フェニル基
からなる群から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基である上記[1]記載の化合物またはその塩。
[9] 環Aがベンゼン環;
が、水素原子またはC1-6アルキル基;
およびRが、ともにC1-6アルキル基;
が、1ないし5個のC1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリール基;
が、C1-6アルキル基;
が、水素原子またはC1-6アルキル基;
が、水素原子、または、
(a)カルバモイル基、
(b)カルボキシ基、
(c)ヒドロキシ基および
(d)フェニル基
からなる群から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基である上記[1]記載の化合物またはその塩。
[10] (5R)-N-((2R)-1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩。
[11] (5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩。
[12] (5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩。
[13] (5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩。
[14] 上記[1]記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬。
[15] カルシウム感受性受容体拮抗剤である、上記[14]記載の医薬。
[16] 心不全の予防または治療剤である、上記[14]記載の医薬。
[17] 肺高血圧症の予防または治療剤である、上記[14]記載の医薬。
[18] 心不全の予防または治療に使用するための上記[1]記載の化合物またはその塩。
[19] 肺高血圧症の予防または治療に使用するための上記[1]記載の化合物またはその塩。
[20] 上記[1]記載の化合物またはその塩を哺乳動物に有効量投与することを特徴とする、哺乳動物におけるカルシウム感受性受容体拮抗方法。
[21] 上記[1]記載の化合物またはその塩を哺乳動物に有効量投与することを特徴とする、哺乳動物における心不全の予防または治療方法。
[22] 上記[1]記載の化合物またはその塩を哺乳動物に有効量投与することを特徴とする、哺乳動物における肺高血圧症の予防または治療方法。
[23] 心不全の予防または治療剤を製造するための上記[1]記載の化合物またはその塩の使用。
[24] 肺高血圧症の予防または治療剤を製造するための上記[1]記載の化合物またはその塩の使用。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、カルシウム感受性受容体拮抗作用を有し、心不全、肺高血圧症等の予防または治療剤として有用であると期待される化合物またはその塩が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、試験例5「心不全モデル動物の生存率に対する実施例1の化合物の効果」の結果、すなわちカンデサルタンシレキセチル単剤投与群、カンデサルタンシレキセチルおよび実施例1の化合物 10mg/kg体重/日併用投与群、およびカンデサルタンシレキセチルおよび実施例1の化合物 30mg/kg体重/日併用投与群それぞれの生存率を表すグラフである(log-rank検定、カンデサルタンシレキセチルおよび実施例1の化合物 10mg/kg体重/日併用投与群(p<0.05)、カンデサルタンシレキセチルおよび実施例1の化合物 30mg/kg体重/日併用投与群(p<0.01))。
【0020】
(発明の詳細な説明)
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0021】
以下、本明細書中で用いられる各置換基の定義について詳述する。特記しない限り各置換基は以下の定義を有する。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2-ブロモエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、2,2―ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4-トリフルオロブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6-トリフルオロヘキシルが挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルケニル基」としては、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニルが挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、4-メチル-2-ペンチニルが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC3-10シクロアルキル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC3-10シクロアルキル基が挙げられる。具体例としては、シクロプロピル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロプロピル、シクロブチル、ジフルオロシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリール基」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリルが挙げられる。
本明細書中、「C7-16アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、フェニルプロピルが挙げられる。
【0022】
本明細書中、「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルコキシ基が挙げられる。具体例としては、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4-トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルキルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキルチオ基が挙げられる。具体例としては、メチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4-トリフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキル-カルボニル基」としては、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、3-メチルブタノイル、2-メチルブタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル-カルボニル基が挙げられる。具体例としては、アセチル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイルが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルコキシ-カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリール-カルボニル基」としては、例えば、ベンゾイル、1-ナフトイル、2-ナフトイルが挙げられる。
本明細書中、「C7-16アラルキル-カルボニル基」としては、例えば、フェニルアセチル、フェニルプロピオニルが挙げられる。
本明細書中、「5ないし14員芳香族複素環カルボニル基」としては、例えば、ニコチノイル、イソニコチノイル、テノイル、フロイルが挙げられる。
本明細書中、「3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基」としては、例えば、モルホリニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピロリジニルカルボニルが挙げられる。
【0023】
本明細書中、「モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基」としては、例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルが挙げられる。
本明細書中、「モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基」としては、例えば、ベンジルカルバモイル、フェネチルカルバモイルが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキルスルホニル基」としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキルスルホニル基が挙げられる。具体例としては、メチルスルホニル、ジフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、4,4,4-トリフルオロブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリールスルホニル基」としては、例えば、フェニルスルホニル、1-ナフチルスルホニル、2-ナフチルスルホニルが挙げられる。
【0024】
本明細書中、「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいチオカルバモイル基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいスルファニル(SH)基、置換されていてもよいシリル基が挙げられる。
本明細書中、「炭化水素基」(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」を含む)としては、例えば、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基が挙げられる。
【0025】
本明細書中、「置換されていてもよい炭化水素基」としては、例えば、下記の置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。
[置換基群A]
(1)ハロゲン原子、
(2)ニトロ基、
(3)シアノ基、
(4)オキソ基、
(5)ヒドロキシ基、
(6)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、
(7)C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフトキシ)、
(8)C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ)、
(9)5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、
(10)3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、モルホリニルオキシ、ピペリジニルオキシ)、
(11)C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例、アセトキシ、プロパノイルオキシ)、
(12)C6-14アリール-カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ、1-ナフトイルオキシ、2-ナフトイルオキシ)、
(13)C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ)、
(14)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ、ジメチルカルバモイルオキシ、ジエチルカルバモイルオキシ)、
(15)C6-14アリール-カルバモイルオキシ基(例、フェニルカルバモイルオキシ、ナフチルカルバモイルオキシ)、
(16)5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、
(17)3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、モルホリニルカルボニルオキシ、ピペリジニルカルボニルオキシ)、
(18)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ)、
(19)C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、
(20)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基、
(21)5ないし14員芳香族複素環基、
(22)3ないし14員非芳香族複素環基、
(23)ホルミル基、
(24)カルボキシ基、
(25)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基、
(26)C6-14アリール-カルボニル基、
(27)5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、
(28)3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、
(29)C1-6アルコキシ-カルボニル基、
(30)C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル、2-ナフチルオキシカルボニル)、
(31)C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、
(32)カルバモイル基、
(33)チオカルバモイル基、
(34)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、
(35)C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、
(36)5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル、チエニルカルバモイル)、
(37)3ないし14員非芳香族複素環カルバモイル基(例、モルホリニルカルバモイル、ピペリジニルカルバモイル)、
(38)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、
(39)C6-14アリールスルホニル基、
(40)5ないし14員芳香族複素環スルホニル基(例、ピリジルスルホニル、チエニルスルホニル)、
(41)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル基、
(42)C6-14アリールスルフィニル基(例、フェニルスルフィニル、1-ナフチルスルフィニル、2-ナフチルスルフィニル)、
(43)5ないし14員芳香族複素環スルフィニル基(例、ピリジルスルフィニル、チエニルスルフィニル)、
(44)アミノ基、
(45)モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ)、
(46)モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、
(47)5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、
(48)C7-16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ)、
(49)ホルミルアミノ基、
(50)C1-6アルキル-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロパノイルアミノ、ブタノイルアミノ)、
(51)(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ)、
(52)C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ)、
(53)C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、
(54)C7-16アラルキルオキシ-カルボニルアミノ基(例、ベンジルオキシカルボニルアミノ)、
(55)C1-6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、
(56)C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ)、
(57)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基、
(58)C2-6アルケニル基、
(59)C2-6アルキニル基、
(60)C3-10シクロアルキル基、
(61)C3-10シクロアルケニル基、及び
(62)C6-14アリール基。
【0026】
「置換されていてもよい炭化水素基」における上記置換基の数は、例えば、1ないし5個、好ましくは1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書中、「複素環基」(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、(i)芳香族複素環基、(ii)非芳香族複素環基および(iii)7ないし10員複素架橋環基が挙げられる。
【0027】
本明細書中、「芳香族複素環基」(「5ないし14員芳香族複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環基が挙げられる。
該「芳香族複素環基」の好適な例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルなどの5または6員単環式芳香族複素環基;
ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、ピラゾロトリアジニル、ナフト[2,3-b]チエニル、フェノキサチイニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環基が挙げられる。
【0028】
本明細書中、「非芳香族複素環基」(「3ないし14員非芳香族複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(好ましくは4ないし10員)の非芳香族複素環基が挙げられる。
該「非芳香族複素環基」の好適な例としては、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロイソチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゼピニル、オキセパニル、アゾカニル、ジアゾカニルなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環基;
ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、ジヒドロナフト[2,3-b]チエニル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、4H-キノリジニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、テトラヒドロベンゾアゼピニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロフェナントリジニル、ヘキサヒドロフェノチアジニル、ヘキサヒドロフェノキサジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロナフチリジニル、テトラヒドロキナゾリニル、テトラヒドロシンノリニル、テトラヒドロカルバゾリル、テトラヒドロ-β-カルボリニル、テトラヒドロアクリジニル、テトラヒドロフェナジニル、テトラヒドロチオキサンテニル、オクタヒドロイソキノリルなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基が挙げられる。
【0029】
本明細書中、「7ないし10員複素架橋環基」の好適な例としては、キヌクリジニル、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルが挙げられる。
本明細書中、「含窒素複素環基」としては、「複素環基」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよい複素環基」としては、例えば、前記した置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。
「置換されていてもよい複素環基」における置換基の数は、例えば、1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0030】
本明細書中、「アシル基」としては、例えば、「ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基およびカルバモイル基から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、5ないし14員芳香族複素環基および3ないし14員非芳香族複素環基から選ばれる1または2個の置換基」をそれぞれ有していてもよい、ホルミル基、カルボキシ基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、ホスホノ基が挙げられる。
また、「アシル基」としては、炭化水素-スルホニル基、複素環-スルホニル基、炭化水素-スルフィニル基、複素環-スルフィニル基も挙げられる。
ここで、炭化水素-スルホニル基とは、炭化水素基が結合したスルホニル基を、複素環-スルホニル基とは、複素環基が結合したスルホニル基を、炭化水素-スルフィニル基とは、炭化水素基が結合したスルフィニル基を、複素環-スルフィニル基とは、複素環基が結合したスルフィニル基を、それぞれ意味する。
「アシル基」の好適な例としては、ホルミル基、カルボキシ基、C1-6アルキル-カルボニル基、C2-6アルケニル-カルボニル基(例、クロトノイル)、C3-10シクロアルキル-カルボニル基(例、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル)、C3-10シクロアルケニル-カルボニル基(例、2-シクロヘキセンカルボニル)、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)、チオカルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)、スルフィノ基、C1-6アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル)、スルホ基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-14アリールスルホニル基、ホスホノ基、モノ-またはジ-C1-6アルキルホスホノ基(例、ジメチルホスホノ、ジエチルホスホノ、ジイソプロピルホスホノ、ジブチルホスホノ)が挙げられる。
【0031】
本明細書中、「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルスルホニル基およびC6-14アリールスルホニル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいアミノ基が挙げられる。
置換されていてもよいアミノ基の好適な例としては、アミノ基、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル)アミノ基(例、メチルアミノ、トリフルオロメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジブチルアミノ)、モノ-またはジ-C2-6アルケニルアミノ基(例、ジアリルアミノ)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキルアミノ基(例、シクロプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ)、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル)-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例、ベンゾイルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルボニルアミノ基(例、ベンジルカルボニルアミノ)、モノ-またはジ-5ないし14員芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ニコチノイルアミノ、イソニコチノイルアミノ)、モノ-またはジ-3ないし14員非芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ピペリジニルカルボニルアミノ)、モノ-またはジ-C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、カルバモイルアミノ基、(モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル)アミノ基(例、メチルカルバモイルアミノ)、(モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル)アミノ基(例、ベンジルカルバモイルアミノ)、C1-6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、C6-14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ)、(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ)、(C1-6アルキル)(C6-14アリール-カルボニル)アミノ基(例、N-ベンゾイル-N-メチルアミノ)が挙げられる。
【0032】
本明細書中、「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいカルバモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいカルバモイル基の好適な例としては、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-カルバモイル基(例、アセチルカルバモイル、プロピオニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-カルバモイル基(例、ベンゾイルカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)が挙げられる。
【0033】
本明細書中、「置換されていてもよいチオカルバモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいチオカルバモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいチオカルバモイル基の好適な例としては、チオカルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、エチルチオカルバモイル、ジメチルチオカルバモイル、ジエチルチオカルバモイル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-チオカルバモイル基(例、アセチルチオカルバモイル、プロピオニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-チオカルバモイル基(例、ベンゾイルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)が挙げられる。
【0034】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいスルファモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいスルファモイル基の好適な例としては、スルファモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-スルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、N-エチル-N-メチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-スルファモイル基(例、ジアリルスルファモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-スルファモイル基(例、シクロプロピルスルファモイル、シクロヘキシルスルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-スルファモイル基(例、フェニルスルファモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-スルファモイル基(例、ベンジルスルファモイル、フェネチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-スルファモイル基(例、アセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-スルファモイル基(例、ベンゾイルスルファモイル)、5ないし14員芳香族複素環スルファモイル基(例、ピリジルスルファモイル)が挙げられる。
【0035】
本明細書中、「置換されていてもよいヒドロキシ基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルスルホニル基およびC6-14アリールスルホニル基から選ばれる置換基」を有していてもよいヒドロキシ基が挙げられる。
置換されていてもよいヒドロキシ基の好適な例としては、ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基(例、アリルオキシ、2-ブテニルオキシ、2-ペンテニルオキシ、3-ヘキセニルオキシ)、C3-10シクロアルキルオキシ基(例、シクロヘキシルオキシ)、C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフチルオキシ)、C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ)、C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、ピバロイルオキシ)、C6-14アリール-カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルボニルオキシ基(例、ベンジルカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ピペリジニルカルボニルオキシ)、C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例、tert-ブトキシカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、カルバモイルオキシ基、C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルバモイルオキシ基(例、ベンジルカルバモイルオキシ)、C1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ)、C6-14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ)が挙げられる。
【0036】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファニル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基および5ないし14員芳香族複素環基から選ばれる置換基」を有していてもよいスルファニル基、ハロゲン化されたスルファニル基が挙げられる。
置換されていてもよいスルファニル基の好適な例としては、スルファニル(-SH)基、C1-6アルキルチオ基、C2-6アルケニルチオ基(例、アリルチオ、2-ブテニルチオ、2-ペンテニルチオ、3-ヘキセニルチオ)、C3-10シクロアルキルチオ基(例、シクロヘキシルチオ)、C6-14アリールチオ基(例、フェニルチオ、ナフチルチオ)、C7-16アラルキルチオ基(例、ベンジルチオ、フェネチルチオ)、C1-6アルキル-カルボニルチオ基(例、アセチルチオ、プロピオニルチオ、ブチリルチオ、イソブチリルチオ、ピバロイルチオ)、C6-14アリール-カルボニルチオ基(例、ベンゾイルチオ)、5ないし14員芳香族複素環チオ基(例、ピリジルチオ)、ハロゲン化チオ基(例、ペンタフルオロチオ)が挙げられる。
【0037】
本明細書中、「置換されていてもよいシリル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基およびC7-16アラルキル基から選ばれる1ないし3個の置換基」を有していてもよいシリル基が挙げられる。
置換されていてもよいシリル基の好適な例としては、トリ-C1-6アルキルシリル基(例、トリメチルシリル、tert-ブチル(ジメチル)シリル)が挙げられる。
)-、-CH(CH(CH)-、-(CH(CH))-、-CH-CH(CH)-、-CH(CH)-CH-、-CH-CH-C(CH-、-C(CH-CH-CH-、-CH-CH-CH-C(CH-、-C(CH-CH-CH-CH-が挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルケニレン基」としては、例えば、-CH=CH-、-CH-CH=CH-、-CH=CH-CH-、-C(CH-CH=CH-、-CH=CH-C(CH-、-CH-CH=CH-CH-、-CH-CH-CH=CH-、-CH=CH-CH-CH-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH-CH-CH-、-CH-CH-CH-CH=CH-が挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルキニレン基」としては、例えば、-C≡C-、-CH-C≡C-、-C≡C-CH-、-C(CH-C≡C-、-C≡C-C(CH-、-CH-C≡C-CH-、-CH-CH-C≡C-、-C≡C-CH-CH-、-C≡C-C≡C-、-C≡C-CH-CH-CH-、-CH-CH-CH-C≡C-が挙げられる。
【0038】
本明細書中、「炭化水素環」としては、例えば、C6-14芳香族炭化水素環、C3-10シクロアルカン、C3-10シクロアルケンが挙げられる。
本明細書中、「C6-14芳香族炭化水素環」としては、例えば、ベンゼン、ナフタレンが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルカン」としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルケン」としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンが挙げられる。
本明細書中、「複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、芳香族複素環および非芳香族複素環が挙げられる。
【0039】
本明細書中、「芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環が挙げられる。該「芳香族複素環」の好適な例としては、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジンなどの5または6員単環式芳香族複素環;
ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、チエノピリジン、フロピリジン、ピロロピリジン、ピラゾロピリジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン、イミダゾピラジン、イミダゾピリミジン、チエノピリミジン、フロピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、オキサゾロピリミジン、チアゾロピリミジン、ピラゾロピリミジン、ピラゾロトリアジン、ナフト[2,3-b]チオフェン、フェノキサチイン、インド-ル、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、β-カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジンなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環が挙げられる。
【0040】
本明細書中、「非芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(好ましくは4ないし10員)の非芳香族複素環が挙げられる。該「非芳香族複素環」の好適な例としては、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン、テトラヒドロイソチアゾール、テトラヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロピリミジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリン、アゼパニン、ジアゼパン、アゼピン、アゾカン、ジアゾカン、オキセパンなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環;
ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイソチアゾール、ジヒドロナフト[2,3-b]チオフェン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、4H-キノリジン、インドリン、イソインドリン、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン、テトラヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロキノキサリン、テトラヒドロフェナントリジン、ヘキサヒドロフェノチアジン、ヘキサヒドロフェノキサジン、テトラヒドロフタラジン、テトラヒドロナフチリジン、テトラヒドロキナゾリン、テトラヒドロシンノリン、テトラヒドロカルバゾール、テトラヒドロ-β-カルボリン、テトラヒドロアクリジン、テトラヒドロフェナジン、テトラヒドロチオキサンテン、オクタヒドロイソキノリンなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環が挙げられる。
本明細書中、「含窒素複素環」としては、「複素環」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
【0041】
本明細書中、「芳香環」としては、例えば、「C6-14芳香族炭化水素環」および「芳香族複素環」が挙げられる。
本明細書中、「芳香環基」としては、例えば、「C6-14アリール基」および「芳香族複素環基」が挙げられる。
本明細書中、「環」としては、例えば、「炭化水素環(例、C6-14芳香族炭化水素環、C3-10シクロアルカン、C3-10シクロアルケン)」および「複素環(例、芳香族複素環、非芳香族複素環)」が挙げられる。
【0042】
以下、化合物(I)における各記号の定義について詳述する。
環Aは、さらに置換されていてもよい芳香環を示す。
一つの実施形態では、環Aの「さらに置換されていてもよい芳香環」における「芳香環」は、C6-14芳香族炭化水素環(好ましくはベンゼン環)であり、環Aの「さらに置換されていてもよい芳香環」における「芳香環」は、置換可能な位置に1ないし5個の置換基を有していてもよい。その置換基は、例えば、前記[置換基群A]から選ばれる置換基である。各置換基が複数存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
【0043】
環Aは、好ましくはさらに置換されていてもよいベンゼン環であり、より好ましくはベンゼン環である。
【0044】
は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルキルチオ基、または置換されていてもよいアルコキシ基を示す。
の「置換されていてもよいアルキル基」における「アルキル基」としては、「C1-6アルキル基」が挙げられる。
の「置換されていてもよいアルキルチオ基」における「アルキルチオ基」としては、「C1-6アルキルチオ基」が挙げられる。
の「置換されていてもよいアルコキシ基」における「アルコキシ基」としては、「C1-6アルコキシ基」が挙げられる。
で示される「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」、「置換されていてもよいアルキルチオ基」の「アルキルチオ基」および「置換されていてもよいアルコキシ基」の「アルコキシ基」は、それぞれ置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、前記[置換基群A]から選ばれる置換基が挙げられる。なお、置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0045】
は、好ましくは水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)、より好ましくは水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)である。
【0046】
およびRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基を示すか、またはRおよびRは、隣接する炭素原子とともに、さらに置換されていてもよい環を形成する。
およびRの「置換されていてもよいアルキル基」における「アルキル基」としては、「C1-6アルキル基」が挙げられる。「置換されていてもよいアルキル基」における「アルキル基」は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、前記[置換基群A]から選ばれる置換基が挙げられる。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
およびRが、隣接する炭素原子とともに形成する「さらに置換されていてもよい環」における「環」としては、「C3-10シクロアルカン」が挙げられる。「さらに置換されていてもよい環」における「環」は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、前記[置換基群A]から選ばれる置換基が挙げられる。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0047】
は、好ましくは水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)、より好ましくは水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)、さらに好ましくはC1-6アルキル基(例、メチル)である。
は、好ましくは水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)、より好ましくは水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)、さらに好ましくはC1-6アルキル基(例、メチル)である。
【0048】
およびRは、それぞれ独立して、置換されていてもよい芳香環基または置換されていてもよいアルキル基を示す。
およびRの「置換されていてもよい芳香環基」における「芳香環基」としては、「C6-14アリール基」または「芳香族複素環基」が挙げられる。「置換されていてもよい芳香環基」における「芳香環基」は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、前記[置換基群A]から選ばれる置換基が挙げられる。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
およびRの「置換されていてもよいアルキル基」における「アルキル基」としては、「C1-6アルキル基」が挙げられる。「置換されていてもよいアルキル基」における「アルキル基」は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、前記[置換基群A]から選ばれる置換基が挙げられる。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0049】
は、好ましくは置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)、より好ましくは1ないし5個のC1-6アルキル基(例、エチル)で置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)、さらに好ましくはエチル基で置換されたフェニル基(例、4-エチルフェニル基)である。
は、好ましくは置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル)、より好ましくはC1-6アルキル基(例、メチル、エチル)である。
【0050】
およびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよいアルキル基を示す。
およびRの「置換されていてもよいアルキル基」における「アルキル基」としては、「C1-6アルキル基」が挙げられる。「置換されていてもよいアルキル基」における「アルキル基」は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、前記[置換基群A]から選ばれる置換基が挙げられる。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0051】
は、好ましくは水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)、より好ましくは水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)である。
は、好ましくは水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)である。
【0052】
は、より好ましくは、水素原子、または、
(a)カルバモイル基、
(b)カルボキシ基、
(c)C1-6アルキル基(例、メチル)、
(d)アミノ基、
(e)ヒドロキシ基および
(f)フェニル基
からなる群から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)、より具体的には、
水素原子、または、
(a)カルバモイル基、
(b)カルボキシ基、
(c)ヒドロキシ基および
(d)フェニル基
からなる群から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)である。
【0053】
は、さらに好ましくは、少なくとも1つのカルバモイル基で置換され、
(a)カルバモイル基、
(b)カルボキシ基、
(c)C1-6アルキル基(例、メチル)、
(d)アミノ基、
(e)ヒドロキシ基および
(f)フェニル基
からなる群から選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)である。
【0054】
は、さらに一層好ましくは、カルバモイル基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル)である。
は、なお一層好ましくは、カルバモイル基で置換されたC1-6アルキル基(例、エチル、プロピル)である。
がカルバモイル基で置換されたC1-6アルキル基の場合、前記カルバモイル基は、RとしてのC1-6アルキル基が結合している窒素原子に最も近い炭素原子(α炭素)に結合していることが好ましい。
【0055】
化合物(I)の好ましい態様としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物A]
環Aが、さらに置換されていてもよいベンゼン環であり;
が、水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)であり;
が、置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル)であり;
が、水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子または置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)である、
化合物(I)。
【0056】
[化合物B]
環Aが、ベンゼン環であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、1ないし5個のC1-6アルキル基(例、エチル)で置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)であり;
が、C1-6アルキル基(例、メチル、エチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子、または、
(a)カルバモイル基、
(b)カルボキシ基、
(c)C1-6アルキル基(例、メチル)、
(d)アミノ基、
(e)ヒドロキシ基および
(f)フェニル基
からなる群から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)である、
化合物(I)。
【0057】
[化合物B’]
環Aが、ベンゼン環であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、1ないし5個のC1-6アルキル基(例、エチル)で置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)であり;
が、C1-6アルキル基(例、メチル、エチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子、または、
(a)カルバモイル基、
(b)カルボキシ基、
(c)ヒドロキシ基および
(d)フェニル基
からなる群から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)である、
化合物(I)。
【0058】
[化合物C]
環Aが、ベンゼン環であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、エチル基で置換されたフェニル基(例、4-エチルフェニル基)であり;
が、C1-6アルキル基(例、メチル、エチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、少なくとも1つのカルバモイル基で置換され、
(a)カルバモイル基、
(b)カルボキシ基、
(c)C1-6アルキル基(例、メチル)、
(d)アミノ基、
(e)ヒドロキシ基および
(f)フェニル基
からなる群から選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)である、
化合物(I)。
【0059】
[化合物C’]
環Aが、ベンゼン環であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、エチル基で置換されたフェニル基(例、4-エチルフェニル基)であり;
が、C1-6アルキル基(例、メチル、エチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、少なくとも1つのカルバモイル基で置換され、
(a)カルバモイル基、
(b)カルボキシ基、
(c)ヒドロキシ基および
(d)フェニル基
からなる群から選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)である、
化合物(I)。
【0060】
[化合物D]
環Aが、ベンゼン環であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、エチル基で置換されたフェニル基(例、4-エチルフェニル基)であり;
が、C1-6アルキル基(例、メチル、エチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、カルバモイル基で置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル)である、
化合物(I)。
【0061】
[化合物E]
環Aが、ベンゼン環であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、エチル基で置換されたフェニル基(例、4-エチルフェニル基)であり;
が、C1-6アルキル基(例、メチル、エチル)であり;
が、水素原子またはC1-6アルキル基(例、メチル)であり;
が、カルバモイル基で置換されたC1-6アルキル基(例、エチル、プロピル)である、
化合物(I)。
【0062】
化合物(I)の具体例としては、例えば、後述の実施例1~33の化合物が挙げられる。
化合物(I)の好ましい化合物としては、具体的には、
(5R)-N-((2R)-1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩;
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩;
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩;
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドまたはその塩;などが挙げられる。
【0063】
化合物(I)が塩である場合、このような塩としては、例えば、無機塩基との塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
【0064】
無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩などが挙げられる。
【0065】
有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
【0066】
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
【0067】
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
【0068】
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
【0069】
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0070】
これらの塩のなかでも、薬学的に許容し得る塩が好ましい。
【0071】
化合物(I)の製造法について以下に説明する。
【0072】
以下の製造方法における各工程で用いられた原料や試薬、ならびに得られた化合物は、それぞれ塩を形成していてもよい。このような塩としては、例えば、前述の化合物(I)の塩と同様のもの等が挙げられる。
【0073】
各工程で得られた化合物が遊離化合物である場合には、自体公知の方法により、目的とする塩に変換することができる。逆に各工程で得られた化合物が塩である場合には、自体公知の方法により、遊離体または目的とする他の種類の塩に変換することができる。
【0074】
各工程で得られた化合物は反応液のままか、または粗生成物として得た後に、次反応に用いることもできる、あるいは、各工程で得られた化合物を、常法に従って、反応混合物から濃縮、晶出、再結晶、蒸留、溶媒抽出、分溜、クロマトグラフィーなどの分離手段により単離および/または精製することができる。
【0075】
各工程の原料や試薬の化合物が市販されている場合には、市販品をそのまま用いることができる。
【0076】
各工程の反応において、反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載の無い場合、通常1分ないし48時間、好ましくは10分ないし16時間である。
【0077】
各工程の反応において、反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載が無い場合、通常-78℃ないし300℃、好ましくは-78℃ないし150℃である。
【0078】
各工程の反応において、圧力は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載が無い場合、通常1気圧ないし20気圧、好ましくは1気圧ないし3気圧である。
【0079】
各工程の反応において、例えば、Biotage社製InitiatorなどのMicrowave合成装置を用いることがある。反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載がない場合、通常室温ないし300℃、好ましくは50℃ないし250℃である。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載の無い場合、通常1分ないし48時間、好ましくは1分ないし8時間である。
【0080】
各工程の反応において、試薬は、特に記載が無い場合、基質に対して0.5当量ないし20当量、好ましくは0.8当量ないし5当量が用いられる。試薬を触媒として使用する場合、試薬は基質に対して0.001当量ないし1当量、好ましくは0.01当量ないし0.2当量が用いられる。試薬が反応溶媒を兼ねる場合、試薬は溶媒量が用いられる。
【0081】
各工程の反応において、特に記載が無い場合、これらの反応は、無溶媒、あるいは適当な溶媒に溶解または懸濁して行われる。溶媒の具体例としては、実施例に記載されている溶媒、あるいは以下が挙げられる。
アルコール類:メタノール、エタノール、tert-ブチルアルコール、2-メトキシエタノールなど;
エーテル類:ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンなど;
芳香族炭化水素類:クロロベンゼン、トルエン、キシレンなど;
飽和炭化水素類:シクロヘキサン、ヘキサンなど;
アミド類:N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなど;
ハロゲン化炭化水素類:ジクロロメタン、四塩化炭素など;
ニトリル類:アセトニトリルなど;
スルホキシド類:ジメチルスルホキシドなど;
芳香族有機塩基類:ピリジンなど;
酸無水物類:無水酢酸など;
有機酸類:ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸など;
無機酸類:塩酸、硫酸など;
エステル類:酢酸エチルなど;
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトンなど;
水。
上記溶媒は、二種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0082】
各工程の反応において塩基を用いる場合、例えば、以下に示す塩基、あるいは実施例に記載されている塩基が用いられる。
無機塩基類:水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムなど;
塩基性塩類:炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなど;
有機塩基類:トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、イミダゾール、ピペリジンなど;
金属アルコキシド類:ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシドなど;
アルカリ金属水素化物類:水素化ナトリウムなど;
金属アミド類:ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなど;
有機リチウム類:n-ブチルリチウムなど。
【0083】
各工程の反応において酸または酸性触媒を用いる場合、例えば、以下に示す酸や酸性触媒、あるいは実施例に記載されている酸や酸性触媒が用いられる。
無機酸類:塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸など;
有機酸類:酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、10-カンファースルホン酸など;
ルイス酸:三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、ヨウ化亜鉛、無水塩化アルミニウム、無水塩化亜鉛、無水塩化鉄など。
【0084】
各工程の反応は、特に記載の無い限り、自体公知の方法、例えば、第5版実験化学講座、13巻~19巻(日本化学会編);新実験化学講座、14巻~15巻(日本化学会編);精密有機化学 改定第2版(L. F. Tietze,Th. Eicher、南江堂);改訂 有機人名反応 そのしくみとポイント(東郷秀雄著、講談社);ORGANIC SYNTHESES Collective Volume I~VII(John Wiley & SonsInc);Modern Organic Synthesis in the Laboratory A Collection of Standard Experimental Procedures(Jie Jack Li著、OXFORD UNIVERSITY出版);Comprehensive Heterocyclic Chemistry III、Vol.1~Vol.14(エルゼビア・ジャパン株式会社);人名反応に学ぶ有機合成戦略(富岡清監訳、化学同人発行);コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(VCH Publishers Inc.)1989年刊などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
【0085】
各工程において、官能基の保護または脱保護反応は、自体公知の方法、例えば、Wiley-Interscience社2007年刊「Protective Groups in Organic Synthesis, 4thEd.」(Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts著);Thieme社2004年刊「Protecting Groups 3rdEd.」(P.J.Kocienski著)などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
アルコールなどの水酸基やフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、メトキシメチルエーテル、ベンジルエーテル、t-ブチルジメチルシリルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテルなどのエーテル型保護基;酢酸エステルなどのカルボン酸エステル型保護基;メタンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステル型保護基;t-ブチルカルボネートなどの炭酸エステル型保護基などが挙げられる。
【0086】
アルデヒドのカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメチルアセタールなどのアセタール型保護基;環状1,3-ジオキサンなどの環状アセタール型保護基などが挙げられる。
【0087】
ケトンのカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメチルケタールなどのケタール型保護基;環状1,3-ジオキサンなどの環状ケタール型保護基;O-メチルオキシムなどのオキシム型保護基;N,N-ジメチルヒドラゾンなどのヒドラゾン型保護基などが挙げられる。
【0088】
カルボキシル基の保護基としては、例えば、メチルエステルなどのエステル型保護基;N,N-ジメチルアミドなどのアミド型保護基などが挙げられる。
チオールの保護基としては、例えば、ベンジルチオエーテルなどのエーテル型保護基;チオ酢酸エステル、チオカルボネート、チオカルバメートなどのエステル型保護基などが挙げられる。
【0089】
アミノ基や、イミダゾール、ピロール、インドールなどの芳香族ヘテロ環の保護基としては、例えば、ベンジルカルバメートなどのカルバメート型保護基;アセトアミドなどのアミド型保護基;N-トリフェニルメチルアミンなどのアルキルアミン型保護基、メタンスルホンアミドなどのスルホンアミド型保護基などが挙げられる。
【0090】
保護基の除去は、自体公知の方法、例えば、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N-メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミド)を使用する方法や還元法などを用いて行うことができる。
【0091】
各工程において、還元反応を行う場合、使用される還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素テトラメチルアンモニウムなどの金属水素化物類;ボランテトラヒドロフラン錯体などのボラン類;ラネーニッケル;ラネーコバルト;水素;ギ酸などが挙げられる。炭素-炭素二重結合あるいは三重結合を還元する場合は、パラジウム-カーボンやLindlar触媒などの触媒を用いる方法がある。
【0092】
各工程において、酸化反応を行う場合、使用される酸化剤としては、m-クロロ過安息香酸(MCPBA)、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシドなどの過酸類;過塩素酸テトラブチルアンモニウムなどの過塩素酸塩類;塩素酸ナトリウムなどの塩素酸塩類;亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸塩類;過ヨウ素酸ナトリウムなどの過ヨウ素酸類;ヨードシルベンゼンなどの高原子価ヨウ素試薬;二酸化マンガン、過マンガン酸カリウムなどのマンガンを有する試薬;四酢酸鉛などの鉛類;クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、ジョーンズ試薬などのクロムを有する試薬;N-ブロモスクシンイミド(NBS)などのハロゲン化合物類;酸素;オゾン;三酸化硫黄・ピリジン錯体;四酸化オスミウム;二酸化ゼレン;2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)などが挙げられる。
【0093】
各工程において、ラジカル環化反応を行う場合、使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのアゾ化合物;4-4’-アゾビス-4-シアノペンタン酸(ACPA)などの水溶性ラジカル開始剤;空気あるいは酸素存在下でのトリエチルホウ素;過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。また、使用されるラジカル反応試剤としては、トリブチルスタナン、トリストリメチルシリルシラン、1,1,2,2-テトラフェニルジシラン、ジフェニルシラン、ヨウ化サマリウムなどが挙げられる。
【0094】
各工程において、Wittig反応を行う場合、使用されるWittig試薬としては、アルキリデンホスホラン類などが挙げられる。アルキリデンホスホラン類は、自体公知の方法、例えば、ホスホニウム塩と強塩基を反応させることで調製することができる。
【0095】
各工程において、Horner-Emmons反応を行う場合、使用される試薬としては、ジメチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチルなどのホスホノ酢酸エステル類;アルカリ金属水素化物類、有機リチウム類などの塩基が挙げられる。
【0096】
各工程において、Friedel-Crafts反応を行う場合、使用される試薬としては、ルイス酸と、酸クロリドあるいはアルキル化剤(例、ハロゲン化アルキル類、アルコール、オレフィン類など)が挙げられる。あるいは、ルイス酸の代わりに、有機酸や無機酸を用いることもでき、酸クロリドの代わりに、無水酢酸などの酸無水物を用いることもできる。
【0097】
各工程において、芳香族求核置換反応を行う場合、試薬としては、求核剤(例、アミン類、イミダゾールなど)と塩基(例、塩基性塩類、有機塩基類など)が用いられる。
【0098】
各工程において、カルボアニオンによる求核付加反応、カルボアニオンによる求核1,4-付加反応(Michael付加反応)、あるいはカルボアニオンによる求核置換反応を行う場合、カルボアニオンを発生するために用いる塩基としては、有機リチウム類、金属アルコキシド類、無機塩基類、有機塩基類などが挙げられる。
【0099】
各工程において、Grignard反応を行う場合、Grignard試薬としては、フェニルマグネシウムブロミドなどのアリールマグネシウムハライド類;メチルマグネシウムブロミドなどのアルキルマグネシウムハライド類が挙げられる。Grignard試薬は、自体公知の方法、例えばエーテルあるいはテトラヒドロフランを溶媒として、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリールと、金属マグネシウムとを反応させることにより調製することができる。
【0100】
各工程において、Knoevenagel縮合反応を行う場合、試薬としては、二つの電子求引基に挟まれた活性メチレン化合物(例、マロン酸、マロン酸ジエチル、マロノニトリルなど)および塩基(例、有機塩基類、金属アルコキシド類、無機塩基類)が用いられる。
【0101】
各工程において、Vilsmeier-Haack反応を行う場合、試薬としては、塩化ホスホリルとアミド誘導体(例、N,N-ジメチルホルムアミドなど)が用いられる。
【0102】
各工程において、アルコール類、アルキルハライド類、スルホン酸エステル類のアジド化反応を行う場合、使用されるアジド化剤としては、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、トリメチルシリルアジド、アジ化ナトリウムなどが挙げられる。例えば、アルコール類をアジド化する場合、ジフェニルホスホリルアジドと1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)を用いる方法やトリメチルシリルアジドとルイス酸を用いる方法などがある。
【0103】
各工程において、還元的アミノ化反応を行う場合、使用される還元剤としては、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素、ギ酸などが挙げられる。基質がアミン化合物の場合は、使用されるカルボニル化合物としては、パラホルムアルデヒドの他、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、シクロヘキサノンなどのケトン類が挙げられる。基質がカルボニル化合物の場合は、使用されるアミン類としては、アンモニア、メチルアミンなどの1級アミン;ジメチルアミンなどの2級アミンなどが挙げられる。
【0104】
各工程において、光延反応を行う場合、試薬としては、アゾジカルボン酸エステル類(例、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)など)およびトリフェニルホスフィンが用いられる。
【0105】
各工程において、エステル化反応、アミド化反応、あるいはウレア化反応を行う場合、使用される試薬としては、酸クロリド、酸ブロミドなどのハロゲン化アシル体;酸無水物、活性エステル体、硫酸エステル体など活性化されたカルボン酸類が挙げられる。カルボン酸の活性化剤としては、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCD)などのカルボジイミド系縮合剤;4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロライド-n-ハイドレート(DMT-MM)などのトリアジン系縮合剤;1,1-カルボニルジイミダゾール(CDI)などの炭酸エステル系縮合剤;ジフェニルリン酸アジド(DPPA);ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩(BOP試薬);ヨウ化2-クロロ-1-メチル-ピリジニウム(向山試薬);塩化チオニル;クロロギ酸エチルなどのハロギ酸低級アルキル;O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩(HATU);1-(クロロ-1-ピロリジニルメチレン)ピロリジニウムヘキサフルオロりん酸塩(PyCIU);硫酸;あるいはこれらの組み合わせなどが挙げられる。カルボジイミド系縮合剤を用いる場合、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N-ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの添加剤をさらに反応に加えてもよい。
【0106】
各工程において、カップリング反応を行う場合、使用される金属触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、塩化1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)などのパラジウム化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)などのニッケル化合物;塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)などのロジウム化合物;コバルト化合物;酸化銅、ヨウ化銅(I)などの銅化合物;白金化合物などが挙げられる。さらに反応に塩基を加えてもよく、このような塩基としては、無機塩基類、塩基性塩類などが挙げられる。
【0107】
各工程において、チオカルボニル化反応を行う場合、チオカルボニル化剤としては、代表的には五硫化二リンが用いられるが、五硫化二リンの他に、2,4-ビス(4-メトキシフェニル-1,3,2,4-ジチアジホスフェタン-2,4-ジスルフィド(Lowesson試薬)などの1,3,2,4-ジチアジホスフェタン-2,4-ジスルフィド構造を持つ試薬を用いてもよい。
【0108】
各工程において、Wohl-Ziegler反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤としては、N-ヨードコハク酸イミド、N-ブロモコハク酸イミド(NBS)、N-クロロコハク酸イミド(NCS)、臭素、塩化スルフリルなどが挙げられる。さらに、熱、光、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤を反応に加えることで、反応を加速させることができる。
【0109】
各工程において、ヒドロキシ基のハロゲン化反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤としては、ハロゲン化水素酸と無機酸の酸ハロゲン化物、具体的には、塩素化では、塩酸、塩化チオニル、オキシ塩化リンなど、臭素化では、48%臭化水素酸などが挙げられる。また、トリフェニルホスフィンと四塩化炭素または四臭化炭素などとの作用により、アルコールからハロゲン化アルキル体を得る方法を用いてもよい。あるいは、アルコールをスルホン酸エステルに変換の後、臭化リチウム、塩化リチウムまたはヨウ化ナトリウムと反応させるような2段階の反応を経てハロゲン化アルキル体を合成する方法を用いてもよい。
【0110】
各工程において、Arbuzov反応を行う場合、使用される試薬としては、ブロモ酢酸エチルなどのハロゲン化アルキル類;トリエチルフォスファイトやトリ(イソプロピル)ホスファイトなどのホスファイト類が挙げられる。
【0111】
各工程において、スルホンエステル化反応を行う場合、使用されるスルホン化剤としては、メタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。
【0112】
各工程において、加水分解反応を行う場合、試薬としては、酸または塩基が用いられる。また、t-ブチルエステルの酸加水分解反応を行う場合、副生するt-ブチルカチオンを還元的にトラップするためにギ酸やトリエチルシランなどを加えることがある。
【0113】
各工程において、脱水反応を行う場合、使用される脱水剤としては、硫酸、五酸化二リン、オキシ塩化リン、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、アルミナ、ポリリン酸などが挙げられる。
【0114】
化合物(1)は化合物(2)および(3)を用いてアミド化反応により製造することができる。
【0115】
【化4】
式中、Rはカルボキシル基の保護基、その他の記号は前記と同意義を示す。
【0116】
化合物(2)、(3)および(5)は、それぞれ、市販の試薬を使用できるほか、あるいは、自体公知の方法に従って製造することができる。
【0117】
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体を含有する場合には、これらも化合物(I)として含有されるとともに、自体公知の合成手法、分離手法(例えば、濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)によりそれぞれを単品として得ることができる。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、該化合物から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。
【0118】
光学異性体は自体公知の方法により製造することができる。具体的には、光学活性な合成中間体を用いる、または、最終物のラセミ体を常法に従って光学分割することにより光学異性体を得る。
【0119】
光学分割法としては、自体公知の方法、例えば、分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法等が用いられる。
【0120】
1)分別再結晶法
ラセミ体と光学活性な化合物(例えば、(+)-マンデル酸、(-)-マンデル酸、(+)-酒石酸、(-)-酒石酸、(+)-1-フェネチルアミン、(-)-1-フェネチルアミン、シンコニン、(-)-シンコニジン、ブルシン等)と塩を形成させ、これを分別再結晶法によって分離し、所望により、中和工程を経てフリーの光学異性体を得る方法。
【0121】
2)キラルカラム法
ラセミ体またはその塩を光学異性体分離用カラム(キラルカラム)にかけて分離する方法。例えば、液体クロマトグラフィーの場合、ENANTIO-OVM(東ソー社製)あるいは、CHIRALシリーズ(ダイセル化学工業社製)等のキラルカラムに光学異性体の混合物を添加し、水、種々の緩衝液(例、リン酸緩衝液等)、有機溶媒(例、エタノール、メタノール、2-プロパノール、アセトニトリル、トリフルオロ酢酸、ジエチルアミン等)を単独あるいは混合した溶液として展開させることにより、光学異性体を分離する。また、例えば、ガスクロマトグラフィーの場合、CP-Chirasil-DeX CB(ジーエルサイエンス社製)等のキラルカラムを使用して分離する。
【0122】
3)ジアステレオマー法
ラセミ体の混合物を光学活性な試薬と化学反応によってジアステレオマーの混合物とし、これを通常の分離手段(例えば、分別再結晶、クロマトグラフィー法等)等を経て単一物質とした後、加水分解反応等の化学的な処理により光学活性な試薬部位を切り離すことにより光学異性体を得る方法。例えば、化合物(I)が分子内にヒドロキシまたは1,2級アミノを有する場合、該化合物と光学活性な有機酸(例えば、MTPA〔α-メトキシ-α-(トリフルオロメチル)フェニル酢酸〕、(-)-メントキシ酢酸等)等とを縮合反応に付すことにより、それぞれエステル体またはアミド体のジアステレオマーが得られる。一方、化合物(I)がカルボキシ基を有する場合、該化合物と光学活性アミンまたはアルコール試薬とを縮合反応に付すことにより、それぞれアミド体またはエステル体のジアステレオマーが得られる。分離されたジアステレオマーは、酸加水分解あるいは塩基性加水分解反応に付すことにより、元の化合物の光学異性体に変換される。
【0123】
化合物(I)は、結晶であってもよい。
化合物(I)の結晶は、化合物(I)に自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
【0124】
ここで、結晶化法としては、例えば、溶液からの結晶化法、蒸気からの結晶化法、溶融体からの結晶化法等が挙げられる。
【0125】
「溶液からの結晶化法」としては、化合物の溶解度に関係する因子(溶媒組成、pH、温度、イオン強度、酸化還元状態等)または溶媒の量を変化させることによって、飽和していない状態から過飽和状態に移行させる方法が一般的であり、具体的には、例えば、濃縮法、徐冷法、反応法(拡散法、電解法)、水熱育成法、融剤法等が挙げられる。用いられる溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム等)、飽和炭化水素類(例、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、ケトン類(例、アセトン等)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド等)、酸アミド類(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)、エステル類(例、酢酸エチル等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、2-プロパノール等)、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは二種以上を適当な割合(例、1:1ないし1:100(容積比))で混合して用いられる。必要に応じて種晶を使用することもできる。
【0126】
「蒸気からの結晶化法」としては、例えば、気化法(封管法、気流法)、気相反応法、化学輸送法等が挙げられる。
【0127】
「溶融体からの結晶化法」としては、例えば、ノルマルフリージング法(引上げ法、温度傾斜法、ブリッジマン法)、帯溶融法(ゾーンレベリング法、フロートゾーン法)、特殊成長法(VLS法、液相エピタキシー法)等が挙げられる。
【0128】
結晶化法の好適な例としては、化合物(I)を20ないし120℃の温度下において、適当な溶媒(例、メタノール、エタノール等のアルコール類等)に溶解し、得られる溶液を溶解時の温度以下(例えば、0ないし50℃、好ましくは0ないし20℃)に冷却する方法等が挙げられる。
【0129】
このようにして得られる本発明の結晶は、例えば、ろ過等によって単離することができる。
【0130】
得られた結晶の解析方法としては、粉末X線回折による結晶解析の方法が一般的である。さらに、結晶の方位を決定する方法としては、機械的な方法または光学的な方法等も挙げられる。
【0131】
上記の製造法で得られる化合物(I)の結晶は、高純度、高品質であり、吸湿性が低く、通常条件下で長期間保存しても変質せず、安定性に優れることが期待される。また、生物学的性質(例、体内動態(吸収性、分布、代謝、排泄)、薬効発現等)にも優れ、医薬として有用であり得る。
【0132】
化合物(I)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物[例、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert-ブチル化された化合物等];化合物(I)の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例、化合物(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);化合物(I)のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物[例、化合物(I)のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等]等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
【0133】
また、化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
【0134】
本明細書中、化合物(I)、化合物(I)のプロドラッグを纏めて「本発明化合物」と略記することがある。
【0135】
化合物(I)は、無溶媒和物であっても、溶媒和物であってもよい。溶媒和物の溶媒は、エタノールや水などの溶媒であり得る。取り込まれる溶媒が水である溶媒和物は、水和物である。水和物には、化学量論的な水和物に加えて、様々な量の水を含むものが包含される。
【0136】
化合物(I)は、同位元素(例、H、13C、14C、18F、35S、125I)等で標識されていてもよく、同位元素で標識または置換された化合物は、例えば、陽電子断層法(Positron Emission Tomography,PET)において使用するトレーサー(PETトレーサー)として用いることができ、医療診断などの分野において有用であり得る。
【0137】
さらに、HをH(D)に変換した重水素変換体も、化合物(I)に包含される。
互変異性体も、化合物(I)に包含される。
【0138】
化合物(I)は、薬学的に許容され得る共結晶または共結晶塩であってもよい。ここで、共結晶または共結晶塩とは、各々が異なる物理的特性(例えば、構造、融点、融解熱、吸湿性、溶解性および安定性等)を持つ、室温で二種またはそれ以上の独特な固体から構成される結晶性物質を意味する。共結晶または共結晶塩は、自体公知の共結晶化法に従い製造することができる。
【0139】
化合物(I)は、カルシウム感受性受容体に対する優れた拮抗作用を有する。
【0140】
化合物(I)は毒性が低く、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、イヌ、ウサギ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ等)に安全に投与することができる。
【0141】
従って、本発明化合物を含有する医薬は、カルシウム感受性受容体拮抗薬であり、カルシウム感受性受容体が関連する疾患、例えば、心不全;肺高血圧症;甲状腺機能亢進症;低カルシウム血症;骨関節疾患(例、閉経後骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症、二次的骨粗鬆症、骨軟化症、腎性骨異栄養症、骨折、変形性関節炎、関節リウマチ、骨肉腫、骨髄腫);中枢神経系疾患等の疾患の予防又は治療に有用であることが期待される。
【0142】
本発明化合物の心不全に対する予防又は治療用途についてさらに詳述する。
【0143】
心不全の臨床状態は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)が重症度に応じて表1に示す4段階に分類している。
【0144】
【表1】
【0145】
また、AHA/ACCステージ分類(American Heart Association/American College of Cardiology)が、重症度に応じて表2に示す4段階に分類している。
【0146】
【表2】
【0147】
NYHA分類とAHA/ACCステージ分類との対応関係は概ね以下の表3に示す通りとされている。
【0148】
【表3】
【0149】
本発明化合物は、上記した報告により判定される心不全、心拍出量の低下、虚血性心不全または非虚血性心不全、非代償性心不全、急性心不全、急性非代償性心不全の予防又は治療剤として用いられる。
本発明化合物は、心不全の対象において、駆出率(ejection fraction)低下を改善する、または駆出率を増加させることにも用いることができる。
本発明化合物は、また、心不全の対象において、心機能の増悪の抑制または増悪の進行を抑制することができる。本発明化合物は、また、心不全の対象において、心臓の負荷を軽減することができ、心肥大を抑制することができ、間質繊維化を抑制することができ、およびアポトーシス増加を抑制することができる。
【0150】
本発明化合物の肺高血圧症に対する予防又は治療用途についてさらに詳述する。
【0151】
肺高血圧症の判定基準については、例えば、日本循環器学会による肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)に記載されている。
【0152】
ヒトにおける肺高血圧症の診断は、通常は、安静時に右心カテーテル検査により実測した肺動脈平均圧(mean PAP)に基づきなされ、肺動脈平均圧が25mmHg以上である場合に肺高血圧症と診断することができる。近年の心エコーの発展により、非観血的に肺動脈圧を推定することが可能になり、肺動脈圧の推定値に基づいて肺高血圧症の診断を行うこともある。
【0153】
肺高血圧症は、ダナポイント分類により第1群から第5群までの5つに臨床学的に分類される。第1群は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、第2群は、左心室性心疾患に伴う肺高血圧症、第3群は、肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症、第4群は、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、および第5群は、詳細不明な複合的要因による肺高血圧症である。また、第1群の亜型として、第1’群(肺静脈塞栓性疾患および/または肺毛細血管腫症)と第1’’群(新生児遷延性肺高血圧症)が知られる。
【0154】
第1群の肺動脈性肺高血圧症は、もっとも典型的な肺高血圧症であり、特発性PAHと遺伝性PAH、薬物・毒物誘発性PAH、各疾患に伴うPAHに大別される。
【0155】
本発明化合物は、上記した報告により判定される肺高血圧症の予防または治療剤として用いられ、また、対象において肺動脈圧を低下させるなど、肺高血圧症に付随する種々の症状(右心室圧の上昇など)を改善させることができる。
【0156】
本発明化合物は、心筋症及び不整脈などの心疾患の予防又は治療用途に用いることができる。
【0157】
本発明化合物は、以下に示す心筋症に対して、心筋肥大、心筋リモデリング、心筋細胞障害、不整脈の発生、心蔵ポンプ機能障害や突然死の予防または治療剤として用いることができる。
【0158】
心筋症には、いくつかの分類法があり、(i)WHO/ISFC(1995 年)の提案、(ii)アメリカ心蔵学会(AHA, 2006 年)の提案、(iii)欧州心蔵学会(ESC, 2008 年)の提案などにより定義されている。心筋症の病型の詳細は以下に示す。
【0159】
(i)WHO/ISFC の1995年の提案(表4)
WHO/ISFC(1995年)の提案では、心筋症は「心機能障害を伴う心筋疾患」と定義されている。心筋症の病型としては、臨床病態に基づいて、1)拡張型心筋症、2)肥大型心筋症、3)拘束型心筋症、4)不整脈源性右室心筋症、5)分類不能の心筋症に分類されている。一方、原因または全身疾患との関連性が明らかな心筋疾患については特定心筋症と分類されている。特定心筋症としては、虚血性(狭心症、心筋梗塞など)弁膜症性(心蔵弁膜症等)、高血圧性、炎症性(感染性、心筋炎など)、代謝性(甲状腺機能異常、副腎皮質機能不全などの内分泌疾患、アミロイドーシス、栄養障害、グリコーゲン蓄積症、ファブリー病などの遺伝性代謝異常など)、過敏・中毒性(アルコール性心筋症、薬剤性、放射線性など)、産褥性(妊娠・出産の体調不良)、筋ジストロフィー(強直性筋萎縮症など)、神経・筋疾患(ヌーナン症候群、フリードライヒ失調症など)や全身疾患(膠原病、サルコイドーシス、関節リウマチ、強皮症など)に伴う心筋症などが含まれる。
【0160】
【表4】
【0161】
(ii)アメリカ心蔵学会(AHA, 2006年)の提案(表5)
AHA(2006年)の提案では、 心筋症とは「しばしば不適切な心室の肥大や拡張を呈するような心筋の器質的あるいは電気生理学的機能異常を伴う多様な疾患群であり、その原因は多岐にわたるが、しばしば遺伝子異常による」と定義されている(心筋症の定義と分類(AHAの提言)(表5))。病変の部位により、病変の主座が心臓にあるものを原発性心筋症、全身疾患関連の心筋病変であるものを二次性心筋症と分類している。さらに原発性心筋症は遺伝性、後天性およびその混合型の3つに分類されている。遺伝性には肥大型心筋症、不整脈原性右室心筋症、左室緻密化障害、グリコーゲン蓄積症(PPKA2, Danon病)、伝導異常、ミトコンドリア心筋症、イオンチャネル異常症(QT延長症候群、ブルガタ症候群、QT短縮症候群、カテコラミン誘発多形成心室頻拍や Asian SUNDS(夜間突然死症候群))などが含まれる。後天性には炎症性(心筋炎)、ストレス誘発性(タコツボ心筋症)、産褥性、頻脈誘発性、インスリン依存性母体から出生した幼児の心筋症などが含まれる。混合型には拡張型心筋症、拘束型心筋症(左室肥大・拡大なし)が含まれる。
【0162】
【表5】
【0163】
(iii)欧州心蔵学会(ESC, 2008 年)の提案(表6)
ESC(2008年)の提案では、心筋症を「冠動脈疾患、高血圧、弁膜疾患、先天性心疾患に起因するものではない、心筋に構造的、機能的異常を伴う心筋疾患」と定義している(表6)。心筋症の病型は、WHO/ISFCの分類と同様、1)拡張型心筋症、2)肥大型心筋症、3)拘束型心筋症、4)不整脈源性右室心筋症、5)分類不能の心筋症の5つに大別されている。AHA分類と同様に、遺伝性/非遺伝性という概念を導入し、これらの疾患をそれぞれ家族性/遺伝性、非家族性/非遺伝性の2群に分類している。
【0164】
【表6】
【0165】
本発明化合物は、以下に示す不整脈の発生、不整脈に伴う突然死などの予防または治療剤として用いることができる。
【0166】
不整脈は症状から徐脈性不整脈と頻脈性不整脈に大別される。不整脈の発生機序は主に心筋障害による(i)刺激生成異常と(ii)刺激伝導異常(興奮伝導異常)とされている。さまざまな原因(遺伝素因、環境ストレスなど)により心筋が障害されると、心筋局所では電気信号が伝わりやすい部位や異常な興奮が発生する部位が生じ、その結果として不整脈が発生する。
【0167】
不整脈は、発生機序(原因)によっても以下のように分類される。
(i)刺激生成異常に起因する不整脈の種類と主な原因
・洞徐脈(主な原因として、心筋梗塞、洞不全症候群、甲状腺機能低下症、黄疸(重症)、ジゴキシン・β遮断薬・カルシウム拮抗薬などの薬物に起因するもの、頭蓋内圧亢進、特発性などに起因するものが挙げられる)
・心房期外収縮(主な原因として、高血圧性心疾患、狭心症、心筋梗塞、心蔵弁膜症、心筋症、心筋炎、心不全、先天性心疾患、肺疾患、甲状腺機能亢進症、気管支拡張薬・カテコラミンなどの薬物に起因するもの、特発性などに起因するものが挙げられる)
・発作性上室頻拍(主な原因として甲状腺機能亢進症、高血圧性心疾患、アトロピンなどの薬物に起因するもの、特発性などに起因するものが挙げられる)
・心房細動(主な原因として僧帽弁狭窄症、甲状腺機能亢進症、虚血性心疾患、心房内圧上昇、低酸素血症、洞不全症候群、心筋症、肺疾患、特発性(孤立性)などに起因するものが挙げられる)
・心房粗動(主な原因として僧帽弁あるいは三尖弁疾患、肺性心、冠動脈疾患、心筋症、心筋炎、甲状腺機能亢進症、電解質異常、カテコラミンなどの薬物に起因するもの、特発性などに起因するものが挙げられる)
・房室結合部調律(主な原因として急性心筋梗塞、その他の虚血性心疾患、高血圧、心筋炎、特発性などに起因するものが挙げられる)
・心室期外収縮(主な原因として急性心筋梗塞、心筋症、特発性などに起因するものが挙げられる)
・心室細動(主な原因として急性心筋梗塞、心筋症、WPW症候群、QT延長症候群、ブルガタ症候群、カテコラミン誘発多形性心室頻拍、特発性などに起因するものが挙げられる)
・心室頻拍(主な原因として急性心筋梗塞、心筋症、心蔵弁膜症、特発性などに起因するものが挙げられる)
(ii)刺激伝導異常に起因する不整脈の種類と主な原因
・徐脈性心房細動(主な原因としてジキタリス中毒、特発性などに起因するものが挙げられる)
・洞不全症候群(主な原因として加齢、冠動脈疾患、キニジン・ジゴキシンなどの薬物に起因するもの、特発性などに起因するものが挙げられる)
・洞房ブロック(主な原因として心筋梗塞、冠動脈閉塞症、ジゴキシン・抗不整脈薬・β遮断薬・カルシウム拮抗薬などの薬物に起因するもの、特発性などに起因するものが挙げられる)
・房室ブロック(主な原因として急性心筋梗塞、心蔵弁膜症、心筋症・ジゴキシン・β遮断薬などの薬物に起因するもの、加齢、先天性、特発性などに起因するものが挙げられる)
・脚ブロック(主な原因として高血圧性心疾患、心筋梗塞、心筋症、心蔵手術による脚の損傷、先天性、特発性などに起因するものが挙げられる)
・心室期外収縮(主な原因としてジキタリス中毒、心筋梗塞、心筋症、電解質異常、特発性などに起因するものが挙げられる)
【0168】
これらの不整脈疾患のうち、特に心筋イオンチャネルなどの遺伝子異常が原因と特性されている疾患がある。これらの疾患は、比較的若い世代において致死性不整脈を発症し、突然死を引き起こす難治性疾患群であり、効果的な予防、治療により患者のQOLが向上するのみならず社会経済的な効果も期待できる。遺伝性不整脈疾患の例としては、先天性QT延長症候群、QT短縮症候群、ブルガタ症候群、カテコラミン誘発多形成心室頻拍、進行性心蔵伝導障害(家族性心蔵ブロック)、先天性洞不全症候群、家族性心房細動、不整脈源性右室心筋症、後天性QT延長症候群、早期再分極症候群などが挙げられる。
【0169】
本発明の特定の態様では、本発明の医薬は、以下の肺高血圧症:肺動脈性肺高血圧症;肺静脈塞栓性疾患による肺高血圧症;肺毛細血管腫症による肺高血圧症;新生児遷延性肺高血圧症;左室収縮不全、左室拡張不全、弁膜疾患、または先天性/後天性の左心流入路/流出路閉塞を伴う肺高血圧症;慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、梗塞性と閉塞性の混合障害を伴う他の肺疾患、睡眠呼吸障害、肺胞低換気障害、高所における慢性暴露、または発育障害による肺高血圧症;慢性血栓塞栓性肺高血圧症;血液疾患(慢性溶血性貧血、骨髄増殖性疾患または脾摘出)、全身性疾患(サルコイドーシス、肺ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ脈管筋腫症、神経線維腫症、または血管炎)、代謝性疾患(糖原病、ゴーシェ病(Gaucher病)、または甲状腺疾患)、またはその他肺血管の圧迫(腫瘍塞栓、線維性縦隔炎、または慢性腎不全)を伴う肺高血圧症;から選択される肺高血圧症の予防または治療に用いることができる。本発明の医薬は、好ましくは、肺動脈性肺高血圧症の予防または治療に用いられる。
【0170】
本発明のさらなる特定の態様では、本発明の医薬は、肺高血圧症の対象において右心室圧、右心室収縮圧、生存率、および心肥大からなる群から選ばれる1以上の状態を改善するための医薬である。
【0171】
本発明の医薬は、式(I)で表される化合物またはその塩を含む。本発明の医薬はさらに、薬学的に許容し得る担体と、必要に応じて製剤添加物とを含んでいてもよい。
【0172】
薬学的に許容し得る担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、または崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、または無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤、着色剤、または甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
【0173】
本発明の医薬は、ある態様では、非経口投与用または経口投与用の医薬とすることができる。
【0174】
経口投与用の医薬は、散剤、顆粒剤、錠剤若しくはカプセル剤などの固形製剤、または、シロップ剤若しくは乳剤などの液剤のいずれであってもよい。
【0175】
本発明の医薬は、製剤の形態に応じて、例えば、混和、混練、造粒、打錠、コーティング、滅菌処理、乳化などの慣用の方法で製造できる。なお、製剤の製造に関して、例えば日本薬局方製剤総則の各項などを参照できる。また本発明の医薬は、有効成分と生体内分解性高分子化合物とを含む徐放剤に成形してもよい。
【0176】
投与量は、投与対象、投与ルート、疾患、症状などにより異なるが、例えば、心不全または肺高血圧症の治療を目的として、ヒト(体重約50kg)に経口投与する場合、化合物(I)として約0.1mgないし約500mgの範囲、好ましくは約1mgないし約100mgの範囲、非経口投与の場合、約0.01mgないし約100mgの範囲、好ましくは約0.1mgないし約10mgの範囲から選択できる。この量を1日1ないし数回(例、1日1ないし3回)に分けて投与することができる。
【0177】
本発明の医薬は、他の薬物(併用薬物)と併用して用いることができる。
【0178】
本発明の特定の態様では、本発明の医薬は、他の薬剤と心不全の治療または予防目的に併用される。他の薬剤としては、例えば、以下の薬物のいずれか1以上を用いることができる。
(1)心不全治療薬
(i)β受容体拮抗薬:カルベジロール、メトプロロール、アテノロール;
(ii)利尿薬:ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、フロセミド、インダパミド、ベンドロフルアジド、シクロペンチアジド、ブメタニド、エタクリン酸;
(iii)強心薬:ジゴキシン、ドブタミン;
(iv)抗アルドステロン薬:スピロノラクトン、エプレレノン;
(v)心拍数低下薬:イバブラジン;
(vi)静注強心薬:h-ANP;
(vii)その他:リラキシン;
(2)その他
(viii)Ca感受性増強薬:MCC-135;
(ix)Caチャネル拮抗薬:ニフェジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、塩酸ロメリジン、ベシル酸アムロジピン;
(x)抗血小板薬、抗凝固薬:ヘパリン、アスピリン、ワルファリン、ダビガトラン、リバロキサバン、ピキサバン、エドキサバン;
(xi)HMG-CoA還元酵素阻害薬:アトロバスタチン、シンバスタチン;
(xii)尿酸低下薬:プロベネシド、アロプリノール、フェブキソスタット;
(xiii)アルファ遮断薬:ドキサゾシン;
(xiv)経口吸着薬:クレメジン;
(xv)高カリウム血しょう治療薬:カルチコール;
(xvi)高リン血しょう治療薬:セベラマー、炭酸ランタン;
(xvii)代謝アシドーシス改善薬:重炭酸ナトリウム;
(xviii)その他:活性型ビタミン;
【0179】
本発明の別の態様では、本発明の医薬は、肺高血圧症をその必要のある対象において予防または治療するための医薬であって、化合物(I)を含み、かつ、他の薬物(併用薬物)と併用し得る医薬である。
【0180】
本発明の特定の態様では、本発明の医薬は、他の薬剤と肺高血圧症の治療または予防目的に併用される。他の薬剤としては、例えば、以下の薬物のいずれか1以上を用いることができる。
(i)エンドセリン受容体拮抗薬:マシテンタン、ボセンタン、アンブリセンタンなどのエンドセリン受容体拮抗薬;
(ii)プロスタグランジン製剤:エポプロステノール、ベラプロスト、トレプロスチニル、イロプロスト、セレキシパグなどのプロスタグランジン製剤(またはプロスタサイクリン製剤);
(iii)ホスホジエステラーゼ-5阻害剤:シルデナフィル、タダラフィルなどのホスホジエステラーゼ-5阻害剤;
(iv)可溶性アデニル酸シクラーゼ刺激剤:リオシグアトなどの可溶性アデニル酸シクラーゼ刺激剤;
(v)カルシウムチャネル拮抗剤:ニフェジピン、ジルチアゼム、アムロジピンなどのカルシウムチャネル拮抗剤;
(vi)Rhoキナーゼ阻害剤:ファスジルなどのRhoキナーゼ阻害剤;
(vii)その他:イマニチブ、ソラフェニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤、Warfarin, Aspirin などの抗凝固剤、Furosemide, spironolactone などの利尿剤、Dopamin, digoxin などの cardiac stimulants。
【0181】
本発明の医薬と他の薬物とが併用される医薬、ないし本発明の医薬に他の薬物が配合される医薬には、化合物(I)と併用薬物とを含有する医薬として単一に製剤化されたもの、および化合物(I)と併用薬物とが別個に製剤化されたもののいずれもが含まれる。以下、これらを総称して本発明の併用剤と略記する。
【0182】
本発明の併用剤は、化合物(I)と併用薬物とを、別々にあるいは同時に、そのまま若しくは薬学的に許容され得る担体などと混合し、上述した化合物(I)を含む医薬と同様の方法により製剤化することができる。
【0183】
本発明の併用剤の一日投与量は、症状の程度;投与対象の年齢、性別、体重、感受性差;投与の時期、間隔、医薬の性質、調剤、種類;有効成分の種類などによって異なり、特に限定されない。
【0184】
本発明の併用剤を投与するに際しては、化合物(I)と併用薬物とを同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、化合物(I)またはその塩を投与してもよいし、化合物(I)またはその塩を先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分ないし3日以内、好ましくは10分ないし1日以内、より好ましくは15分ないし1時間以内に化合物(I)またはその塩を投与する方法が挙げられる。化合物(I)を先に投与する場合、当該成分を投与した後、1分ないし1日以内、好ましくは10分ないし6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が挙げられる。
【0185】
化合物(I)と併用薬物とを一緒に含む本発明の併用剤において、化合物(I)および併用薬物のそれぞれの含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対して約0.01ないし90重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
【0186】
本発明の併用剤における担体の含有量は、通常、製剤全体に対して、約0ないし99.8重量%、好ましくは約10ないし99.8重量%、さらに好ましくは約10ないし90重量%程度である。
【0187】
また、化合物(I)またはその塩と併用薬物とを別個に含む併用剤において、併用薬物を含む併用剤は、化合物(I)またはその塩と同様にして製造して用いることができる。
【0188】
本発明の化合物および医薬に係る発明は、他の実施形態の発明、例えば疾患の予防または治療方法や、医薬を製造するための化合物等の使用といった発明に転換することができる。
【0189】
本発明の特定の側面では、心不全をその必要のある対象において予防または治療する方法であって、化合物(I)を該対象に投与することを含む方法が提供される。
【0190】
本発明の特定の側面では、心不全をその必要のある対象において予防または治療することに用いるための医薬を製造するための、化合物(I)の使用が提供される。
【0191】
本発明の特定の側面では、肺高血圧症をその必要のある対象において予防または治療する方法であって、化合物(I)を該対象に投与することを含む方法が提供される。
【0192】
本発明の特定の側面では、肺高血圧症をその必要のある対象において予防または治療するための医薬を製造するための、化合物(I)の使用が提供される。
【0193】
これらの本発明の方法に関する技術的事項、例えば治療対象となる疾患や症状は、本発明の医薬についての前述したような技術的事項と同様のものとすることができる。本発明の方法において、化合物(I)を投与する場合、化合物(I)またはその塩を含む医薬を投与してもよい。
【実施例
【0194】
本発明は、更に以下の実施例、試験例および製剤例によって詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0195】
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約35℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
【0196】
実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出は、特に言及しない限り、TLC(Thin Layer Chromatography,薄層クロマトグラフィー)による観察下に行った。TLC観察においては、TLCプレートとしてメルク(Merck)社製の60 F254を用い、展開溶媒として、カラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いた溶媒を用いた。また、検出にはUV検出器を採用した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおいて、NHと記載した場合はアミノプロピルシラン結合シリカゲルを、Diolと記載した場合は3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)プロピルシラン結合シリカゲルを用いた。分取HPLC(高速液体クロマトグラフィー)において、C18と記載した場合はオクタデシル結合シリカゲルを用いた。溶出溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。
【0197】
H NMRの解析にはACD/SpecManager(商品名)ソフトウエアなどを用いた。水酸基やアミノ基などのプロトンピークが非常に緩やかなピークについては記載していないことがある。
【0198】
MSは、LC/MSにより測定した。イオン化法としては、ESI法、または、APCI法を用いた。データは実測値 (found) を示す。通常、分子イオンピークが観測されるがフラグメントイオンとして観測されることがある。塩の場合は、通常、フリー体の分子イオンピークもしくはフラグメントイオンピークが観測される。
【0199】
旋光度([α])における試料濃度(c)の単位はg/100 mLである。
【0200】
元素分析値(Anal.)は計算値(Calcd)と実測値(Found)として示す。
【0201】
実施例の粉末X線回折によるピークは、線源としてCu Kα線を用い、Ultima IV(Rigaku Corporation,Japan)を使って室温において測定されるピークを意味する。測定条件は以下のとおりである。
Electric pressure/Electric current:40 kV/50 mA
Scan speed:6 degree/min
Scan range of 2 Theta:2-35 degree。
実施例の粉末X線回折による結晶化度はHermans法により算出した。
【0202】
以下の実施例においては下記の略号を使用する。
mp:融点
MS:マススペクトル
M:モル濃度
N:規定度
CDCl:重クロロホルム
DMSO-d:重ジメチルスルホキシド
H NMR:プロトン核磁気共鳴
LC/MS:液体クロマトグラフ質量分析計
ESI:electrospray ionization、エレクトロスプレーイオン化
APCI:atomospheric pressure chemical ionization、大気圧化学イオン化
PyCIU : 1-(クロロ-1-ピロリジニルメチレン)ピロリジニウムヘキサフルオロホスファート
HATU : (ジメチルアミノ)-N,N-ジメチル(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イルオキシ)メタンイミニウム ヘキサフルオロホスファート
DIPEA : N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン
DMA : N,N-ジメチルアセトアミド
DMF : N,N-ジメチルホルムアミド
THF : テトラヒドロフラン。
【0203】
[実施例1]
(5R)-N-((2R)-1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【0204】
A) メチル (2R)-2-アミノ-2-(4-エチルフェニル)ブタノアート
メチル 2-アミノ-2-(4-エチルフェニル)ブタノアート(44.9 g)をSFC(CHIRALPAK IC(商品名)、30 mmID×250 mmL)、移動相:二酸化炭素/(メタノール/ジエチルアミン=1000/3)=900/100(v/v))にて分取し、保持時間の小さい方の画分を濃縮した。残渣に酢酸エチルおよび水を加え、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮して標題化合物(18.2 g)を得た。
光学純度:>99.9% e.e.
下記光学分析条件にて保持時間の小さい方
カラム:CHIRALPAK IC(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/(メタノール/ジエチルアミン=1000/3)=900/100(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.74 (3H, t, J = 7.4 Hz), 1.16 (3H, t, J = 7.6 Hz), 1.73-2.09 (2H, m), 2.17 (2H, s), 2.57 (2H, q, J = 7.6 Hz), 3.59 (3H, s), 7.15 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.30-7.40 (2H, m)。
【0205】
B) メチル (2R)-2-(4-エチルフェニル)-2-((((5R)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)ブタノアート
メチル (2R)-2-アミノ-2-(4-エチルフェニル)ブタノアート (233 mg)、DIPEA (299 mg)およびDMA (3 ml)の混合物にPyCIU (385 mg)を0℃で加えた。その後、(5R)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸 (300 mg)のDMA (1 ml)溶液を0℃で滴下し、混合物を60℃で2時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製した。得られた画分を減圧下濃縮し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、ヘキサン/酢酸エチル)で精製して標題化合物 (332 mg)を得た。
MS: [M+H]+ 489.2。
【0206】
C) (2R)-2-(4-エチルフェニル)-2-((((5R)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)ブタン酸
メチル (2R)-2-(4-エチルフェニル)-2-((((5R)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)ブタノアート (10.2 g)、THF (100 ml)、メタノール(100 mL)および8 M水酸化ナトリウム水溶液(100 mL)の混合物を50℃で2時間撹拌した。反応混合物を0℃で6 M塩酸を用いて酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮して標題化合物 (10.2 g)を得た。
MS: [M+H]+ 475.2。
【0207】
D) (5R)-N-((2R)-1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
(2R)-2-(4-エチルフェニル)-2-((((5R)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)ブタン酸 (8.47 g)、L-アラニンアミド塩酸塩 (2.67 g)およびDMF (85 ml)の混合物にHATU (8.14 g)およびDIPEA (6.92 g)を0℃で加えた。混合物を70 ℃で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、次いで酢酸エチル/メタノール)で精製した。得られた画分を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物 (5.24 g)を非晶質固体として得た。
【0208】
上記の方法で得た標題化合物(5.93 g)を再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、得られた画分を減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチル/ジエチルエーテルにより結晶化させた。混合物を減圧下濃縮した後、酢酸エチル/ヘキサンによる再結晶を行い標題化合物(3.72 g)を結晶として得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.77 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.06 (3H, d, J = 7.2 Hz), 1.16 (3H, t, J = 7.6 Hz), 1.45 (3H, s), 1.47 (3H, s), 1.94-2.15 (2H, m), 2.44 (3H, s), 2.52-2.77 (4H, m), 4.07-4.21 (1H, m), 4.61 (1H, dd, J = 11.1, 3.2 Hz), 6.28 (1H, s), 6.98 (1H, s), 7.14 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.20-7.44 (8H, m), 7.50 (1H, d, J = 7.4 Hz), 7.61 (1H, s)。
【0209】
[実施例2]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【0210】
A) メチル 2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタノアート
(5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸 (1.655 g)、HATU (2.78 g)、DIPEA (0.946 g)およびDMF (15 ml)の混合物を室温で5分間撹拌した。その後、メチル 2-アミノ-2-(4-エチルフェニル)ブタノアート (1.35 g)およびDMF (5 ml)の混合物を加え、混合物を80 ℃で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物 (1.50 g)を得た。
MS: [M+H]+ 475.2。
【0211】
B) 2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタン酸
メチル 2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタノアート (1.45 g)、THF (10 ml)、メタノール(10 mL)および8 M水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)の混合物を75℃で1時間撹拌した。混合物を0 ℃にて6 M塩酸で酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮して標題化合物 (1.40 g)を得た。
MS: [M+H]+ 461.2。
【0212】
C) (5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタン酸 (331 mg)、L-アラニンアミド塩酸塩 (107 mg)、HATU (328 mg)、DIPEA (279 mg)およびDMF (4 ml)の混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物 (217 mg)を得た。
【0213】
[実施例3]
(5R)-N-((2S)-1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【0214】
A) メチル 2-(4-エチルフェニル)-2-((((5R)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)ブタノアート
(5R)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸 (516 mg)、HATU (825 mg)、DIPEA (280 mg)およびDMA (5 ml)の混合物を室温で5分間撹拌した。その後、メチル 2-アミノ-2-(4-エチルフェニル)ブタノアート (400 mg)およびDMA (2 ml)の混合物を加え、得られた混合物を80 ℃で2日間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物 (178 mg)を得た。
MS: [M+H]+ 489.2。
【0215】
B) 2-(4-エチルフェニル)-2-((((5R)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)ブタン酸
メチル 2-(4-エチルフェニル)-2-((((5R)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)ブタノアート (178 mg)、THF (2 ml)、メタノール(2 mL)および8 M 水酸化ナトリウム水溶液(2 mL)の混合物を75℃で1時間撹拌した。混合物を0 ℃にて6 M塩酸で酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮して標題化合物 (191 mg)を得た。
MS: 475.3。
【0216】
C) (5R)-N-((2S)-1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
2-(4-エチルフェニル)-2-((((5R)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)ブタン酸 (191 mg)、L-アラニンアミド塩酸塩 (60.2 mg)、HATU (184 mg)、DIPEA (156 mg)およびDMF (2 ml)の混合物を室温で終夜、次いで70℃で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、得られた画分を減圧下濃縮した。残渣をHPLC(CHIRALPAK IC(商品名)、50 mmID×500 mmL)、移動相:ヘキサン/2-プロパノール=500/500(v/v))にて分取し、保持時間の大きい方を標題化合物 (31.9 mg)として得た。
光学純度:98.2% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の大きい方
カラム:CHIRALPAK IC(商品名)4.6 mmID×250 mmL
移動相:ヘキサン/2-プロパノール=500/500(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.72 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.10-1.20 (6H, m), 1.44 (3H, s), 1.48 (3H, s), 1.94-2.14 (2H, m), 2.39-2.60 (6H, m), 2.62-2.76 (1H, m), 4.20 (1H, quin, J = 7.1 Hz), 4.59 (1H, dd, J = 11.0, 3.1 Hz), 6.35 (1H, s), 6.95 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.14 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.24-7.45 (7H, m), 7.49 (1H, s), 7.61 (1H, d, J = 7.4 Hz)。
【0217】
[実施例4]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(217 mg)をHPLC(CHIRALPAK IA(商品名)、50 mmID×500 mmL)、移動相:ヘキサン/エタノール=650/350(v/v))にて分取し、保持時間の大きい方を標題化合物 (90.1 mg)として得た。
光学純度:99.9% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の大きい方
カラム:CHIRALPAK IA(商品名)4.6 mmID×250 mmL
移動相:ヘキサン/エタノール=650/350(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.74 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.05-1.22 (6H, m), 1.48 (3H, s), 1.49 (3H, s), 2.00-2.20 (2H, m), 2.32-2.62 (4H, m), 4.07-4.19 (1H, m), 4.65 (1H, dd, J = 11.2, 3.0 Hz), 6.26 (1H, s), 6.95 (1H, s), 7.13 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.20 (1H, s), 7.27-7.44 (7H, m), 7.64 (1H, d, J = 7.4 Hz), 7.74 (1H, s), 7.85 (1H, s)。
【0218】
[実施例5]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(217 mg)をHPLC(CHIRALPAK IA(商品名)、50 mmID×500 mmL)、移動相:ヘキサン/エタノール=650/350(v/v))にて分取し、保持時間の小さい方を標題化合物 (69.2 mg)として得た。
光学純度:>99.9% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の小さい方
カラム:CHIRALPAK IA(商品名)4.6 mmID×250 mmL
移動相:ヘキサン/エタノール=650/350(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.69 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.08-1.22 (6H, m), 1.48 (3H, s), 1.49 (3H, s), 1.97-2.20 (2H, m), 2.31-2.52 (2H, m), 2.58 (2H, q, J = 7.6 Hz), 4.02-4.13 (1H, m), 4.66 (1H, dd, J = 11.1, 2.9 Hz), 6.33 (1H, s), 6.94 (1H, s), 7.18 (3H, d, J = 8.2 Hz), 7.26-7.48 (7H, m), 7.68-7.84 (2H, m), 7.93 (1H, s)。
【0219】
[実施例6]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタン酸 (150 mg)、(2S)-2-アミノブタンアミド塩酸塩 (54.2 mg)、HATU (149 mg)、DIPEA (126 mg)およびDMF (1 ml)の混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、次いで酢酸エチル/メタノール)で精製し、得られた画分を濃縮した。残渣をSFC(CHIRALPAK IC(商品名)、20 mmID×250 mmL、移動相:二酸化炭素/エタノール=600/400(v/v))にて分取し、保持時間の小さい方を標題化合物(48.4 mg)として得た。
光学純度:>99% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の小さい方
カラム:CHIRALPAK IC(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/エタノール=600/400(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.54 (3H, t, J = 7.4 Hz), 0.72 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.11-1.19 (3H, m), 1.37-1.54 (7H, m), 1.55-1.75 (1H, m), 2.01-2.19 (2H, m), 2.37-2.48 (2H, m), 2.56 (2H, d, J = 7.6 Hz), 3.98-4.07 (1H, m), 4.64 (1H, dd, J = 11.1, 3.0 Hz), 6.25 (1H, s), 6.97 (1H, s), 7.13 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.21 (1H, s), 7.26-7.47 (7H, m), 7.53 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.76 (1H, s), 7.83 (1H, s)。
【0220】
[実施例7]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタン酸 (150 mg)、(2S)-2-アミノブタンアミド塩酸塩 (54.2 mg)、HATU (149 mg)、DIPEA (126 mg)およびDMF (1 ml)の混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、次いで酢酸エチル/メタノール)で精製し、得られた画分を濃縮した。残渣をSFC(CHIRALPAK IC(商品名)、20 mmID×250 mmL、移動相:二酸化炭素/エタノール=600/400(v/v))にて分取し、保持時間の大きい方を標題化合物(46.8 mg)として得た。
光学純度:>99% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の大きい方
カラム:CHIRALPAK IC(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/エタノール=600/400(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.56 (3H, t, J = 7.4 Hz), 0.70 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.12-1.19 (3H, m), 1.38-1.59 (7H, m), 1.65-1.83 (1H, m), 1.95-2.20 (2H, m), 2.32-2.44 (1H, m), 2.51-2.65 (3H, m), 3.88-3.99 (1H, m), 4.66 (1H, dd, J = 11.1, 2.7 Hz), 6.33 (1H, s), 6.93 (1H, s), 7.17 (3H, d, J = 8.4 Hz), 7.28-7.49 (7H, m), 7.64 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.77 (1H, s), 7.95 (1H, s)。
【0221】
[実施例8]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
【0222】
A) メチル 2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)プロパノアート
(5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸 (321 mg)、HATU (539 mg)、DIPEA (183 mg)およびDMA (3 ml)の混合物を室温で5分間撹拌した。その後、メチル 2-アミノ-2-(4-エチルフェニル)プロパノアート (490 mg)およびDMA (3 ml)の混合物を加え、混合物を80℃で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物 (385 mg)を得た。
MS: [M+H]+ 461.2。
【0223】
B) 2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)プロパン酸
メチル 2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)プロパノアート (370 mg)、THF (3 ml)、メタノール(3 mL)および8 M 水酸化ナトリウム水溶液(3 mL)の混合物を75℃で1時間撹拌した。混合物を0 ℃にて6 M塩酸で酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮して標題化合物 (357 mg)を得た。
MS: 447.2。
【0224】
C) (5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)プロパン酸 (345 mg)、L-ロイシンアミド (121 mg)、HATU (353 mg)、DIPEA (120 mg)およびDMF (4 ml)の混合物を70℃で6時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、得られた画分を減圧下濃縮した。残渣をHPLC(CHIRALPAK ID(商品名)、50 mmID×500 mmL、移動相:ヘキサン/エタノール=400/600(v/v))にて分取し、保持時間の小さい方を標題化合物(63.7 mg)として得た。
光学純度:>99.9% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の小さい方
カラム:CHIRALPAK ID(商品名)4.6 mmID×250 mmL
移動相:ヘキサン/エタノール=400/600(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.49 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.70 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.12-1.24 (5H, m), 1.49 (7H, d, J = 1.9 Hz), 1.76 (3H, s), 1.92-2.06 (1H, m), 2.18 (1H, d, J = 13.0 Hz), 2.58 (2H, q, J = 7.6 Hz), 3.96-4.05 (1H, m), 4.68 (1H, d, J = 8.8 Hz), 6.40 (1H, s), 6.91 (1H, brs), 7.13-7.48 (10H, m), 7.78-7.88 (1H, m), 7.91-8.03 (2H, m)。
【0225】
[実施例9]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)プロパン酸 (345 mg)、L-ロイシンアミド (121 mg)、HATU (353 mg)、DIPEA (120 mg)およびDMF (4 ml)の混合物を70℃で6時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、得られた画分を減圧下濃縮した。残渣をHPLC(CHIRALPAK ID(商品名)、50 mmID×500 mmL、移動相:ヘキサン/エタノール=400/600(v/v))にて分取し、保持時間の大きい方を標題化合物(44.9 mg)として得た。
光学純度:99.9% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の大きい方
カラム:CHIRALPAK ID(商品名)4.6 mmID×250 mmL
移動相:ヘキサン/エタノール=400/600(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.69 (6H, t, J = 6.8 Hz), 1.10-1.26 (5H, m), 1.41-1.54 (7H, m), 1.75 (3H, s), 1.95-2.06 (1H, m), 2.12-2.21 (1H, m), 2.56 (2H, q, J = 7.7 Hz), 4.02-4.13 (1H, m), 4.64 (1H, dd, J = 11.2, 2.7 Hz), 6.32 (1H, s), 6.88 (1H, s), 7.06-7.18 (3H, m), 7.27-7.46 (7H, m), 7.81 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.88 (1H, s), 7.95 (1H, s)。
【0226】
[実施例10]
(5R)-N-(1-(((2S,3S)-1-アミノ-3-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタン酸 (150 mg)、L-イソロイシンアミド塩酸塩 (65.1 mg)、HATU (149 mg)、DIPEA (126 mg)およびDMF (1 ml)の混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、次いで酢酸エチル/メタノール)で精製し、得られた画分を減圧下濃縮した。残渣をSFC(CHIRALPAK IC(商品名)、20 mmID×250 mmL、移動相:二酸化炭素/エタノール=600/400(v/v))にて分取し、保持時間の小さい方を標題化合物(50.9 mg)として得た。
光学純度:>99% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の小さい方
カラム:CHIRALPAK IC(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/エタノール=600/400(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.52-0.62 (3H, m), 0.63-0.78 (7H, m), 1.01-1.19 (4H, m), 1.47 (3H, s), 1.51 (3H, s), 1.54-1.65 (1H, m), 2.00-2.22 (2H, m), 2.44 (2H, q, J = 7.1 Hz), 2.56 (2H, q, J = 7.6 Hz), 3.97-4.07 (1H, m), 4.63 (1H, dd, J = 11.1, 3.0 Hz), 6.27 (1H, s), 6.99 (1H, s), 7.13 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.22-7.45 (9H, m), 7.75 (1H, s), 7.81 (1H, s)。
【0227】
[実施例11]
(5R)-N-(1-(((2S,3S)-1-アミノ-3-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタン酸 (150 mg)、L-イソロイシンアミド塩酸塩 (65.1 mg)、HATU (149 mg)、DIPEA (126 mg)およびDMF (1 ml)の混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、次いで酢酸エチル/メタノール)で精製し、得られた画分を減圧下濃縮した。残渣をSFC(CHIRALPAK IC(商品名)、20 mmID×250 mmL、移動相:二酸化炭素/エタノール=600/400(v/v))にて分取し、保持時間の大きい方を標題化合物(45.0 mg)として得た。
光学純度:>99% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の大きい方
カラム:CHIRALPAK IC(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/エタノール=600/400(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.63-0.77 (9H, m), 0.86-1.01 (1H, m), 1.12-1.19 (3H, m), 1.22-1.35 (1H, m), 1.47 (3H, s), 1.50 (3H, s), 1.63-1.80 (1H, m), 2.02-2.19 (2H, m), 2.35 (1H, dq, J = 14.2, 7.1 Hz), 2.45-2.64 (3H, m), 3.98-4.10 (1H, m), 4.63 (1H, dd, J = 11.0, 3.1 Hz), 6.28 (1H, s), 6.95 (1H, s), 7.14 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.20-7.47 (9H, m), 7.77 (1H, s), 7.88 (1H, s)。
【0228】
[実施例12]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタン酸 (150 mg)、L-バリンアミド塩酸塩 (59.6 mg)、HATU (149 mg)、DIPEA (126 mg)およびDMF (1 ml)の混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、次いで酢酸エチル/メタノール)で精製し、得られた画分を減圧下濃縮した。残渣をSFC(CHIRALPAK IC(商品名)、20 mmID×250 mmL、移動相:二酸化炭素/エタノール=660/340(v/v))にて分取し、保持時間の小さい方を標題化合物(53.5 mg)として得た。
光学純度:99% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の小さい方
カラム:CHIRALPAK IC(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/エタノール=660/340(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.53 (3H, d, J = 6.8 Hz), 0.63-0.76 (6H, m), 1.11-1.19 (3H, m), 1.47 (3H, s), 1.50 (3H, s), 1.86 (1H, dq, J = 13.4, 6.8 Hz), 1.98-2.17 (2H, m), 2.35-2.47 (2H, m), 2.56 (2H, q, J = 7.7 Hz), 4.01-4.09 (1H, m), 4.64 (1H, dd, J = 11.2, 3.0 Hz), 6.27 (1H, s), 7.02 (1H, s), 7.13 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.26-7.44 (9H, m), 7.75 (1H, s), 7.81 (1H, s)。
【0229】
[実施例13]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタン酸 (150 mg)、L-バリンアミド塩酸塩 (59.6 mg)、HATU (149 mg)、DIPEA (126 mg)およびDMF (1 ml)の混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、次いで酢酸エチル/メタノール)で精製し、得られた画分を減圧下濃縮した。残渣をSFC(CHIRALPAK IC(商品名)、20 mmID×250 mmL、移動相:二酸化炭素/エタノール=660/340(v/v))にて分取し、保持時間の大きい方を標題化合物(50.1 mg)として得た。
光学純度:99% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の大きい方
カラム:CHIRALPAK IC(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/エタノール=660/340(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.59-0.78 (9H, m), 1.11-1.19 (3H, m), 1.47 (3H, s), 1.50 (3H, s), 1.91-2.19 (3H, m), 2.27-2.45 (1H, m), 2.45-2.66 (3H, m), 3.98-4.08 (1H, m), 4.64 (1H, dd, J = 11.0, 3.2 Hz), 6.28 (1H, s), 6.97 (1H, s), 7.15 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.20-7.48 (9H, m), 7.77 (1H, s), 7.88 (1H, s)。
【0230】
[実施例15]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
【0231】
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド (98.5 mg)をHPLC(CHIRALPAK IC(商品名)、50 mmID×500 mmL、移動相:ヘキサン/エタノール=600/400(v/v))にて分取し、保持時間の小さい方を標題化合物(18.3 mg)として得た。
光学純度:>99.9% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の小さい方
カラム:CHIRALPAK IC(商品名)4.6 mmID×250 mmL
移動相:ヘキサン/エタノール=600/400(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.59 (3H, d, J = 6.4 Hz), 0.64 (3H, d, J = 6.6 Hz), 0.72 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.11-1.18 (3H, m), 1.21-1.46 (3H, m), 1.48 (3H, s), 1.50 (3H, s), 2.00-2.19 (2H, m), 2.40-2.61 (4H, m), 4.03-4.19 (1H, m), 4.63 (1H, dd, J = 11.4, 2.8 Hz), 6.25 (1H, s), 6.89 (1H, s), 7.07 (1H, s), 7.12 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.28-7.46 (7H, m), 7.60 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.77 (1H, s), 7.84 (1H, s)。
【0232】
[実施例16]
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
(5R)-N-(1-(((2S)-1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド (98.5 mg)をHPLC(CHIRALPAK IC(商品名)、50 mmID×500 mmL、移動相:ヘキサン/エタノール=600/400(v/v))にて分取し、保持時間の大きい方を標題化合物(17.9 mg)として得た。
光学純度:99.4% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の大きい方
カラム:CHIRALPAK IC(商品名)4.6 mmID×250 mmL
移動相:ヘキサン/エタノール=600/400(v/v)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ0.46 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.65-0.74 (6H, m), 1.03-1.25 (4H, m), 1.33-1.54 (8H, m), 1.92-2.20 (2H, m), 2.29-2.41 (1H, m), 2.52-2.63 (3H, m), 3.91-4.13 (1H, m), 4.67 (1H, dd, J = 11.2, 2.6 Hz), 6.35 (1H, s), 6.88 (1H, brs), 7.07 (1H, brs), 7.16 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.26-7.47 (7H, m), 7.74 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.83 (1H, s), 8.01 (1H, s)。
【0233】
[実施例27]
(5R)-N-(1-アミノ-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
【0234】
(5R)-N-(1-アミノ-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド (20.6 mg)をSFC(CHIRALPAK ASH(商品名)、20 mmID×250 mmL、移動相:二酸化炭素/メタノール=820/180(v/v))にて分取し、保持時間の小さい方を標題化合物(9.1 mg)として得た。
光学純度:>99% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の小さい方
カラム:CHIRALPAK ASH(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/メタノール=820/180(v/v)。
【0235】
[実施例28]
(5R)-N-(1-アミノ-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
(5R)-N-(1-アミノ-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド (20.6 mg)をSFC(CHIRALPAK ASH(商品名)、20 mmID×250 mmL、移動相:二酸化炭素/メタノール=820/180(v/v))にて分取し、保持時間の大きい方を標題化合物(7.0 mg)として得た。
光学純度:98% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の大きい方
カラム:CHIRALPAK ASH(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/メタノール=820/180(v/v)。
【0236】
[実施例30]
(5R)-N-(2-(4-エチルフェニル)-1-(メチルアミノ)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
【0237】
(5R)-N-(2-(4-エチルフェニル)-1-(メチルアミノ)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド (81.2 mg)をSFC(CHIRALPAK ASH(商品名)、20 mmID×250 mmL、移動相:二酸化炭素/エタノール=900/100(v/v))にて分取し、保持時間の小さい方を標題化合物(30.1 mg)として得た。
光学純度:>99% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の小さい方
カラム:CHIRALPAK ASH(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/エタノール=900/100(v/v)。
【0238】
[実施例31]
(5R)-N-(2-(4-エチルフェニル)-1-(メチルアミノ)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
(5R)-N-(2-(4-エチルフェニル)-1-(メチルアミノ)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド (81.2 mg)をSFC(CHIRALPAK ASH(商品名)、20 mmID×250 mmL、移動相:二酸化炭素/エタノール=900/100(v/v))にて分取し、保持時間の大きい方を標題化合物(27.2 mg)として得た。
光学純度:>99% d.e.
下記光学分析条件にて保持時間の大きい方
カラム:CHIRALPAK ASH(商品名)4.6 mmID×150 mmL
移動相:二酸化炭素/エタノール=900/100(v/v)。
【0239】
[実施例32]
(5R)-N-(1-(ジメチルアミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
【0240】
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタン酸 (100 mg)、N-メチルメタンアミン塩酸塩 (53.1 mg)、HATU (99 mg)、DIPEA (126 mg)およびDMF (1 ml)の混合物を70℃で4時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、より低極性の画分を減圧下濃縮して標題化合物 (40.0 mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ0.68 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.14-1.18 (3H, m), 1.44 (3H, s), 1.51 (3H, s), 2.02-2.16 (2H, m), 2.21-2.39 (1H, m), 2.51-3.09 (9H, m), 4.60 (1H, dd, J = 10.3, 4.2 Hz), 6.24 (1H, s), 7.17 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.25-7.49 (7H, m), 7.73 (1H, s), 7.87 (1H, s)。
【0241】
[実施例33]
(5R)-N-(1-(ジメチルアミノ)-2-(4-エチルフェニル)-1-オキソブタン-2-イル)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(光学異性体)
2-((((5R)-7,7-ジメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルボニル)アミノ)-2-(4-エチルフェニル)ブタン酸 (100 mg)、N-メチルメタンアミン塩酸塩 (53.1 mg)、HATU (99 mg)、DIPEA (126 mg)およびDMF (1 ml)の混合物を70℃で4時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、より高極性の画分を減圧下濃縮して標題化合物 (39.6 mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ0.66 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.15-1.21 (3H, m), 1.47 (3H, s), 1.49 (3H, s), 2.02-2.17 (2H, m), 2.33 (1H, dq, J = 14.1, 7.2 Hz), 2.53-2.95 (9H, m), 4.65 (1H, dd, J = 11.4, 2.9 Hz), 6.25 (1H, s), 7.19 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.26-7.50 (7H, m), 7.77 (1H, s), 7.83 (1H, s)。
【0242】
実施例化合物を以下の表に示す。表中のMSは実測値を示す。上記の実施例に示した方法またはそれらに準じた方法に従って、以下の表中の実施例14、17~26、29の化合物を製造した。
【0243】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【表7-7】
【表7-8】
【表7-9】
【0244】
[試験例1]CYP誘導
凍結保存された肝細胞を培養培地(In VitroGROTM CP Medium, Celsis In Vitro Technologies, U.S.A)中で融解し、40000生細胞/ウェルの濃度でBioCoatTM Matrigel(R)TM Matrix Thin-Layer 96 well(Becton Dickinson, U.S.A)に添加した。24時間培養した後、培養培地を除去し、インキュベーション培地(In VitroGROTM HI Medium with Torpedo Antibiotic Mix, Celsis In Vitro Technologies, U.S.A)と交換した。さらに3日間細胞を培養した。4日目に培地を除去し、10 μmol/L rifampicin存在下もしくは非存在下で、被験化合物を含む誘導培地で3日間処理した。なお、誘導培地は1日ごとに交換した。10 μmol/L rifampicin存在下の被験化合物添加ウェルは、rifampicinによるCYP3A活性誘導能に対する被験化合物の阻害作用を評価するために使用した。CYP3A活性は、2 μmol/L luciferin-IPA添加後のluciferin生成量をP450-GloTM CYP3A4 assay systems (Promega, U.S.A)を用いて測定し、評価した。全ての培養は37℃、5%CO2、加湿環境下で行った。Rifampicinによる誘導能を100%とし、被験化合物の誘導能(% of positive control)を下記の式より算出した。
[(rifampicin非存在下かつ被験化合物存在下のルシフェリン蛍光強度)-(rifampicinおよび被験化合物非存在下のルシフェリン蛍光強度)/(rifampicin存在下かつ被験化合物非存在下のルシフェリン蛍光強度)-(rifampicinおよび被験化合物非存在下のルシフェリン蛍光強度)]×100
【0245】
結果を表8に示す。
【0246】
【表8】
【0247】
[試験例2]CYP3A4 TDI
Xenotech, LLC社 (Lenexa, KS)から購入したヒト肝ミクロソームを使用した。試験化合物はアセトニトリルまたはDMSO/アセトニトリル(1:4, v/v)で溶解した。リン酸バッファー(pH 7.4)で調整したヒト肝ミクロソーム液に試験化合物溶液を添加し、試験化合物濃度30μMのヒト肝ミクロソーム反応液とした。ヒト肝ミクロソーム反応液にNADPH産生系を添加し、37℃で0分もしくは60分間プレインキュベーションした。プレインキュベーション後、プローブ基質であるテストステロンを添加し、CYP3A4の酵素活性をテストステロンの代謝物である6β-hydroxytestosteroneをLC/MS/MSで分析した。
【0248】
各プレインキュベーション時点の酵素活性(% of control)は下記の式より算出した。
% of control = {(試験化合物添加群の活性)/(試験化合物非添加群の活性)} ×100。
プレインキュベーション60分後の残存活性 (% remaining)は下記の式より算出した。
Remaining activity (%) = {60分後の活性 (% of control 60min)}/{0分後の活性 (% of control 0min)} ×100。
【0249】
結果を表9に示す。
【0250】
【表9】
【0251】
[試験例3]ヒトCaSRアンタゴニスト活性
CaSRアンタゴニスト活性測定はBright-Glo Luciferase assay system (Promega)を用いて実施した。ヒトCaSRおよびNFAT-Luciferase reporter geneを強制発現させたCHO細胞を10%透析血清 (HyClone)を含む MEM alpha (和光純薬)に懸濁し、384ウェル白色プレート (Corning)に10,000個/20 μL/ウェルで播種し、37 ℃、5 % CO2インキュベーター内で一日培養した。アッセイバッファー(10 mM HEPES (Life Technologies)、10% 透析血清を含むMEM alpha)で希釈調製した被検化合物を5 μL/ウェル添加し、37 ℃で10分間静置した。アッセイバッファーで希釈調製した7.8 mM CaCl2 (最終濃度1.3 mM)を5 μL/ウェル添加し37 ℃、5 % CO2インキュベーター内で2時間静置した。Bright-Glo試薬 (Promega)を10 μL/ウェル添加し5分間攪拌した後Multi-label reader Envision (PerkinElmer)を用いて発光強度を測定した。被検化合物の代わりにDMSOを添加した場合の発光強度を0%阻害、最終濃度10 μMの(5R)-N-(1-エチル-1-(4-エチルフェニル)プロピル)-2,7,7-トリメチル-5-フェニル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドを添加した場合の発光強度を100%阻害と定義して被検化合物の活性(%)を算出した。
【0252】
結果を表10に示す。下記のように、化合物(I)は、優れたCaSRアンタゴニスト活性を有することが示された。
【0253】
【表10】
【0254】
[試験例4]心不全モデル動物における実施例1の化合物の心重量低下作用
本試験例では、CSQ-Tgマウスを心不全のモデル動物として用いて、実施例1の化合物(本明細書において「実施例1」という)の心重量の低下作用について評価した。
【0255】
実施例1を0.5%メチルセルロース水溶液(以下、試験例において「ビヒクル」ということがある)に懸濁し(10mL/kg)、心不全を発症した5週齢の雌性CSQ-Tgマウスに30mg/kg体重/日(n=7)あるいは90mg/kg体重/日(n=9)の用量で1日1回(QD)の頻度で21日間にわたり経口投与した。陰性対照(ビヒクル投与群)には、0.5%メチルセルロース水溶液を投与した(n=7)。その後、心重量を測定した。秤量は左心室、右心室、左心房、右心房の4つに分画して行い、その和を心重量とした。心重量を表11に、各分画重量を表12に示した。
【0256】
【表11】
【0257】
【表12】
【0258】
[試験例5]心不全モデル動物の生存率に対する実施例1の効果
本試験例では、心不全モデル動物を用いて生存率に対する実施例1の効果を調べた。心不全モデルであるカルセクエストリン(CSQ)の心臓特異的トランスジェニックマウス(CSQ-Tgマウス)は、Larry R. Jones et al., J. Clin. Invest. 101: 1385-1393, 1998で報告されたマウスをIndiana Universityから入手し、自社で繁殖させたものを使用した。試験には雌のマウスを用い、5週齢から投薬を開始した。動物は室温20ないし26℃、湿度40ないし70%、照明時間12時間/日(7:00-19:00)の条件下で、固形飼料(CE-2、日本クレア)および水道水を与えた。CSQ-Tgマウスは、既に報告されているように、Ca2+の細胞内放出が抑制されて心筋収縮が低下し、心拍出量が低下して心肥大と心不全とを発症した。
【0259】
5週齢の雌性CSQ-Tgマウスにカンデサルタンシレキセチル(1mg/kg体重/日)併用下で、実施例1を10mg/kg体重/日あるいは30mg/kg体重/日の用量で、1日1回(QD)の頻度で68日間にわたり経口投与した(いずれもn=18)。対照群には、カンデサルタンシレキセチル(1mg/kg体重/日)を投与した(n=18)。結果は、図1に示される通りであった。
【0260】
[製剤例1]カプセルの製造
1)実施例1の化合物 30 mg
2)微粉末セルロース 10 mg
3)乳糖 19 mg
4)ステアリン酸マグネシウム 1 mg
計 60 mg
1)、2)、3)および4)を混合して、ゼラチンカプセルに充填する。
【0261】
[製剤例2]錠剤の製造
1)実施例1の化合物 30 g
2)乳糖 50 g
3)トウモロコシデンプン 15 g
4)カルボキシメチルセルロースカルシウム 44 g
5)ステアリン酸マグネシウム 1 g
1000錠 計 140 g
1)、2)、3)の全量および30gの4)を水で練合し、真空乾燥後、整粒を行う。この整粒末に14gの4)および1gの5)を混合し、打錠機により打錠する。このようにして、1錠あたり実施例1の化合物30mgを含有する錠剤1000錠を得る。
【産業上の利用可能性】
【0262】
本発明の化合物は、カルシウム感受性受容体拮抗作用を有し、心不全、肺高血圧症等の疾患の予防または治療剤として有用であると期待される。
図1