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特許7177183装置の動作を説明するパラメータ間の重要な関係の決定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】装置の動作を説明するパラメータ間の重要な関係の決定
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20221115BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221115BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G03F7/20 521
G03F7/20 501
G05B23/02 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020569728
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2019062512
(87)【国際公開番号】W WO2019238348
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】18177970.3
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】サイターマンズ、デイヴィッド、エバート、ソング、クーク
(72)【発明者】
【氏名】ブラント、マルセル、リチャード、アンドレ
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-520021(JP,A)
【文献】特開2013-074294(JP,A)
【文献】特開2009-124101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
G03F 7/20
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造で使用するための装置を分析及び/又は監視するために、前記装置の動作を説明する複数のパラメータ間の複数の関係のサブセットを決定する方法であって、
半導体製造で使用するための参照装置の複数のパラメータ間の第1の関係を説明するデータの第1のセットを決定し、
1つ又は複数の測定に基づいて、参照の又は半導体製造で使用するためのさらなる装置の複数のパラメータの間の第2の関係を説明する第2のデータセットを決定し、
第1のデータセットと第2のデータセットを比較し、
第1のデータセットと第2のデータセットの違いに基づいて、第2のデータセットから第2の関係のサブセットを選択する、方法。
【請求項2】
第1及び/又は第2の関係は、因果関係の存在または不存在を示している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のデータセットが、半導体製造で使用するために参照装置で行われる1つ又は複数の測定の第1のセットに基づいており、第2のデータセットが参照の又は半導体製造で使用するためのさらなる装置で行われる1つまたは複数の測定に基づく第2のセットに基づいている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1つ又は複数の測定値の第1のセットに基づいて、半導体製造で使用するための参照装置の複数のパラメータのうちの1つ又は複数に関連する第1の周波数データを計算し、
1つ又は複数の測定値の第2のセットに基づいて、半導体製造で使用するための参照またはさらなる装置の複数のパラメータのうちの1つ又は複数に関連する第2の周波数データを計算し、
第1の周波数データを第2の周波数データと比較し、
第1の周波数データと第2周波数データの比較に基づいて、参照又はさらなる装置の複数のパラメータのうちの1つ又は複数のパラメータを選択することをさらに含み、
第2の関係のサブセットを選択することは、第2のデータセットから、参照又はさらなる装置の選択されたパラメータの少なくとも1つに関連する1つ又は複数の関係を決定することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
あるパラメータについて第1の周波数データと第2の周波数データとの間の差が閾値よりも大きい場合に、そのパラメータが選択される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
第1の周波数データ及び第2の周波数データは、第1のデータセットと第2のデータセットとの比較の結果に基づいて計算される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
第2のデータセットが、第1のデータセットとは異なる時間に参照装置に関連する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第2のデータセットは、半導体製造で使用するためのさらなる装置に関するものであり、半導体製造で使用するためのさらなる装置は、半導体製造で使用するための参照装置に対応する装置である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第1のデータセットは、半導体製造で使用するための参照装置の設計に関する情報に基づいて計算される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
第1のデータセットが設計構造マトリックスを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
第1及び/又は第2のデータセットの1つが、それぞれの行列に格納された因果グラフ及びデータのうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのプロセッサ上で実行されると、少なくとも1つのプロセッサに装置を制御して、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項13】
半導体製造で使用するための装置を分析及び/又は監視するために、前記装置の動作を説明する複数のパラメータ間の複数の関係のサブセットを決定するための装置であって、コンピュータプログラムコードを実行して、
半導体製造で使用するための参照装置の複数のパラメータ間の第1の関係を説明するデータの第1のセットを決定し、
1つ又は複数の測定に基づいて、参照の又は半導体製造で使用するためのさらなる装置の複数のパラメータの間の第2の関係を説明する第2のデータセットを決定し、
第1のデータセットと第2のデータセットを比較し、
第1のデータセットと第2のデータセットとの間の差異に基づいて、第2のデータセットから第2の関係のサブセットを選択することを実行するように構成されたプロセッサを含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の動作を説明する複数の関係から関係のサブセットを選択するための方法及びシステムに関する。特定の構成では、装置はリソグラフィ装置であり得る。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニング装置(例えば、マスク)でのパターン(しばしば「設計レイアウト」又は「設計」とも呼ばれる)を、基板(例えばウェハ)上に提供される放射線感受性材料(レジスト)の層上に投影することができる。
【0003】
基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i-line)、248nm、193nm、及び13.5nmである。4~20nm、例えば6.7nm又は13.5nmの範囲内の波長を有する極紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置を使用して、例えば波長193nmの放射を使用するリソグラフィ装置よりも基板上に小さな特徴を形成することができる。
【0004】
低klリソグラフィは、リソグラフィ装置の古典的な解像度限界よりも小さい寸法を有する特徴を処理するために使用され得る。このようなプロセスでは、分解能の式はCD=kl×λ/NAとして表すことができ、ここで、λは使用する放射線の波長、NAはリソグラフィ装置の投影光学系の開口数、CDは「クリティカルディメンション」(通常、プリントされる最小のフィーチャサイズであるが、この場合はハーフピッチ)であり、klは経験的な解像度係数である。一般に、klが小さいほど、特定の電気的機能と性能を実現するために回路設計者が計画した形状と寸法に似たパターンを基板上に再現することが難しくなる。これらの困難を克服するために、洗練された微調整ステップがリソグラフィ投影装置及び/又は設計レイアウトに適用され得る。これらには、例えば、NAの最適化、カスタマイズされた照明スキーム、位相シフトパターニングデバイスの使用、光近接効果補正(OPC、「光学及びプロセス補正」とも呼ばれることもある)、又は一般に「解像度向上手法」(RET)として定義されるその他の方法などの設計レイアウトのさまざまな最適化が含まれる。あるいは、リソグラフィ装置の安定性を制御するための厳密な制御ループを使用して、低klでのパターンの再現を改善することができる。
【0005】
リソグラフィ装置(又は検査装置若しくは計測装置などの他の装置)は、装置内で相互作用する多くの構成要素を含む複合体である。装置が効果的に機能するのを助けるために、異なるコンポーネントのメンテナンスが必要になる場合があり、予知保全方法を使用して、機械の全体又は一部のメンテナンスをいつ実行するかを決定できる。リソグラフィ装置は、装置に関連する測定に基づくことができる複数のパラメータを使用して説明することができる。いくつかのパラメータは相互に関連している可能性があり、パラメータ間の関係を使用して、装置を記述及び分析することができる。装置を説明するパラメータ間の関係は、因果関係を有することがある。装置のパラメータ間の因果関係の存在は、WO2017/055073A1に記載されている方法及び装置を使用して決定することができる。これらの関係の分析は、例えば、WO2017/182269A1に記載されているように、装置の全体又は一部の保守がいつ必要になるかを決定するために使用することができる。WO2017/055073A1及びWO2017/182269A1の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、半導体製造で使用するための装置の動作を説明する複数のパラメータ間の複数の関係のサブセットを決定する方法であって、半導体製造で使用するための参照装置の複数のパラメータ間の第1の関係を説明するデータの第1のセットを決定し、1つ又は複数の測定に基づいて、参照の又は半導体製造で使用するためのさらなる装置の複数のパラメータの間の第2の関係を説明する第2のデータセットを決定し、第1のデータセットと第2のデータセットを比較し、第1のデータセットと第2のデータセットの違いに基づいて、第2のデータセットから第2の関係のサブセットを選択する方法が提供される。
【0007】
選択的に、1つ又は複数の関係が因果関係である。
【0008】
選択的に、第1のデータセットが、半導体製造で使用するために参照装置で行われる1つ又は複数の測定の第1のセットに基づいており、第2のデータセットが参照の又は半導体製造で使用するためのさらなる装置で行われる1つまたは複数の測定に基づく第2のセットに基づいている。
【0009】
選択的に、1つ又は複数の測定値の第1のセットに基づいて、半導体製造で使用するための参照装置の複数のパラメータのうちの1つ又は複数に関連する第1の周波数データを計算し、1つ又は複数の測定値の第2のセットに基づいて、半導体製造で使用するための参照またはさらなる装置の複数のパラメータのうちの1つ又は複数に関連する第2の周波数データを計算することをさらに含む。
【0010】
選択的に、第1の周波数データを第2の周波数データと比較し、第1の周波数データと第2周波数データの比較に基づいて、参照又はさらなる装置の複数のパラメータのうちの1つ又は複数のパラメータを選択することをさらに含む。
【0011】
選択的に、第1の周波数データと第2の周波数データとの間の差が閾値よりも大きい場合に、パラメータが選択される。
【0012】
選択的に、第2の関係のサブセットを選択することは、第2のデータセットから、参照又はさらなる装置の選択されたパラメータの少なくとも1つに関連する1つ又は複数の関係を決定することをさらに含む。
【0013】
選択的に、第1の周波数データ及び第2の周波数データは、第1のデータセットと第2のデータセットとの比較の結果に基づいて計算される。
【0014】
選択的に、第2のデータセットが、第1のデータセットとは異なる時間に参照装置に関連する。
【0015】
選択的に、第2のデータセットは、半導体製造で使用するためのさらなる装置に関するものであり、半導体製造で使用するためのさらなる装置は、半導体製造で使用するための参照装置に対応する装置である。
【0016】
選択的に、第1のデータセットは、半導体製造で使用するための参照装置の設計に関する情報に基づいて計算される。
【0017】
選択的に、第1のデータセットが設計構造マトリックスを含む。
【0018】
選択的に、第1及び/又は第2のデータセットの1つが、それぞれの行列に格納された因果グラフ及びデータのうちの少なくとも1つを含む。
【0019】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ上で実行されると、少なくとも1つのプロセッサに装置を制御して上述のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0020】
本発明の一態様によれば、半導体製造で使用するための装置の動作を説明する複数のパラメータ間の複数の関係のサブセットを決定するための装置であって、コンピュータプログラムコードを実行して、半導体製造で使用するための参照装置の複数のパラメータ間の第1の関係を説明するデータの第1のセットを決定し、1つ又は複数の測定に基づいて、参照の又は半導体製造で使用するためのさらなる装置の複数のパラメータの間の第2の関係を説明する第2のデータセットを決定し、第1のデータセットと第2のデータセットを比較し、第1のデータセットと第2のデータセットとの間の差異に基づいて、第2のデータセットから第2の関係のサブセットを選択することを実行するように構成されたプロセッサを含む装置が提供される。
【0021】
次に、本発明の実施形態を、一例として、添付の概略図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】リソグラフィ装置の概略図を示す。
図2】リソグラフィセルの概略図を示す。
図3】半導体製造を最適化するための3つの主要技術間の協力を表すホリスティックリソグラフィの概略図を示す。
図4】装置のパラメータ間の関係のサブセットを決定するための方法のフロー図を示す。
図5a】グラフで表されたデータのセットの概略図を示す。
図5b】マトリックスで表されたデータのセットの概略的な概要を示す。
図6】関係データと頻度データの比較に基づいて関係のサブセットを決定するための方法のフロー図を示す。
図7a】関係データと頻度データを独立して比較するための方法のフロー図を示す。
図7b】関係データと頻度データを順番に比較する方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線放射(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)及びEUV(極紫外線放射、例えば約5~100nmの範囲の波長を有する)を含むすべてのタイプの電磁放射を包含する。
【0024】
本明細書で使用される「レチクル」、「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、入射放射線ビームに、基板のターゲット部分に作成されるパターンに対応するパターン化された断面を与えるために使用できる一般的なパターニングデバイスを指すと広く解釈され得る。「ライトバルブ」という用語は、この文脈でも使用できる。従来のマスク(透過性又は反射性、バイナリ、位相シフト、ハイブリッドなど)に加えて、他のそのようなパターニングデバイスの例には、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルFCDアレイが含まれる。
【0025】
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射又はEUV放射)を調整するように構成された照射システム(例えば、照明器とも呼ばれる)IL、パターニングデバイス(例えばマスク)を支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MT、基板(例えばレジストコートされたウェハ)を保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板サポートを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板サポートWT、及びパターニングデバイスMAにより放射ビームBに与えられたパターンをターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSを含む。
【0026】
動作中、照射システムILは、放射線源SOからビームデリバリシステムBD経由で放射線ビームを受け取る。照射システムILは、放射を方向付け、成形、及び/又は制御するために、屈折、反射、磁気、電磁、静電、及び/又は他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含み得る。照射器ILを使用して、パターニング装置MAの平面で、放射ビームBの断面に所望の空間的及び角度強度分布を有するように調整することができる。
【0027】
本明細書で使用される「投影システム」PSという用語は、使用されている放射線、及び/又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因のため、露光に適切な、屈折、反射、反射屈折、アナモルフィック、磁気、電磁気及び/又は静電光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含すると広く解釈されるべきである。
本明細書における「投影レンズ」という用語の使用は、より一般的な用語「投影システム」PSと同義であると見なされ得る。
【0028】
リソグラフィ装置LAは、基板の少なくとも一部が、投影システムPSと基板Wとの間の空間を満たすように、比較的高い屈折率を有する液体、例えば、水によって覆われ得るタイプのものであってもよく、これは液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術の詳細は、US6952253に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
リソグラフィ装置LAはまた、2つ以上の基板支持体WT(「デュアルステージ」とも呼ばれる)を有するタイプのものであるのがよい。そのような「多段」機械では、基板支持体WTを並行して使用することができ、及び/又は基板Wのその後の露光の準備におけるステップを、他の基板支持体WT上の基板Wが他の基板W上のパターンを露光するために使用されている間、基板支持体WTの一方に配置された基板W上で実行することができる。
【0030】
基板支持WTに加えて、リソグラフィ装置LAは、測定ステージを含んでもよい。測定ステージは、センサ及び/又は洗浄装置を保持するように構成されている。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するように構成され得る。測定ステージは、複数のセンサを保持し得る。洗浄装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば、投影システムPSの一部又は液浸液を提供するシステムの一部を洗浄するように構成され得る。測定ステージは、基板サポートWTが投影システムPSから離れているときに、投影システムPSの下に移動することができる。
【0031】
動作中、放射線ビームBは、マスクサポートMTによって支持されたパターニングデバイス、例えばマスクMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターン化される。マスクMAを通過した後、放射線ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2のポジショナーPW及び位置測定システムIFの助けを借りて、基板サポートWTを正確に移動させることができ、例えば、放射線ビームBの経路内の異なるターゲット部分Cを集束され整列された位置に配置することができる。同様に、第1のポジショナーPM及び場合によっては別の位置センサー(図1には明示的に示されていない)を使用して、放射線ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に配置することができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされる。図示の基板位置合わせマークP1、P2は専用の標的部分を占めるが、それらは標的部分の間の空間に配置され得る。基板アライメントマークP1、P2は、これらがターゲット部分Cの間に配置されている場合、スクライブレーンアライメントマークとして知られている。
【0032】
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、リソグラフィセル又は(リソ)クラスタとも呼ばれるリソグラフィセルLCの一部を形成してもよく、これは、しばしば、基板W上で露光前及び露光後プロセスを実行する装置も含む。従来、これらには、レジスト層を堆積するためのスピンコーターSC、露光されたレジストを開発するための現像剤DE、例えば基板Wの温度を調整するための例えばレジスト層のコンディショニング溶剤用のようなチルプレートCH及びベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラー、又はロボットROは、入力/出力ポートI/O1、I/O2から基板Wをピックアップし、それらを異なるプロセス装置間で移動し、基板Wをリソグラフィ装置LAのローディングベイLBに送る。リソセル内のデバイスは、まとめてトラックとも呼ばれることが多く、通常、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、トラック制御ユニットTCU自体は、例えばリソグラフィ制御ユニットLACU経由で、リソグラフィ装置LAを制御する監視制御システムSCSによって制御できる。
【0033】
リソグラフィ装置LAによって露光された基板Wが正しくかつ一貫して露光されるために、基板を検査して、後続の層間のオーバーレイエラー、線の太さ、クリティカルディメンション(CD)などのパターン化された構造の特性を測定することが望ましい。この目的のために、検査ツール(図示せず)がリソセルLCに含まれるのがよい。エラーが検出された場合、特に、同じバッチ又はロットの露光されるべき、又は処理されるべき他の基板Wが検査される前に検査が行われる場合は、後続の基板の露光又は基板Wで実行される他の処理ステップに調整を加えることができる。
【0034】
計測装置とも呼ばれる検査装置を使用して、基板Wの特性、特に、異なる基板Wの特性がどのように変化するか、又は同じ基板Wの異なる層に関連する特性がレイヤー毎にどのように変化するかを決定する。あるいは、検査装置は、基板W上の欠陥を識別するように構築されてもよく、例えば、リソセルLCの一部であってもよく、又はリソグラフィ装置LAに統合されてもよく、又はスタンドアロンデバイスであってもよい。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層の画像)、又は半潜像(露光後のベークステップPEB後のレジスト層の画像)、現像されたレジスト画像(レジストの露光部分又は非露光部分が除去されている)、又はエッチングされた画像(エッチングなどのパターン転写ステップ後)上の特性を測定できる。
【0035】
通常、リソグラフィ装置LAにおけるパターニングプロセスは、基板W上の構造の寸法決定及び配置の高精度を必要とする処理における最も重要なステップの1つである。この高精度を確実にするために、図3に概略的に示されているように3つのシステムをいわゆる「全体的な」制御環境として組み合わせることができる。これらのシステムの1つは、計測ツールMT(第2のシステム)及びコンピュータシステムCL(第3のシステム)に(仮想的に)接続されているリソグラフィ装置LAである。このような「全体的な」環境の鍵は、これら3つのシステム間の連携を最適化して、プロセスウィンドウ全体を強化し、厳密な制御ループを提供して、リソグラフィ装置LAによって実行されるパターニングがプロセスウィンドウ内にとどまるようにすることである。プロセスウィンドウは、特定の製造プロセスが定義された結果(機能的な半導体デバイスなど)を生成するプロセスパラメータの範囲(たとえば、線量、焦点、オーバーレイ)を定義し、通常、その範囲内で、リソグラフィプロセス又はパターニングプロセスのプロセスパラメータの変化が許される。
【0036】
コンピュータシステムCLは、パターン化されるべき設計レイアウト(の一部)を使用して使用すべき解像度向上技術を予測し、どのマスクレイアウト及びリソグラフィ装置設定がパターンニングプロセス(図3では、第1のスケールSC1の二重矢印で示す)の最大の全体的なプロセスウィンドウを達成するかを計算リソグラフィシミュレーションし、及び計算する。典型的には、解像度向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニングの可能性に一致するように配置されている。コンピュータシステムCLを使用して、プロセスウィンドウ内のリソグラフィ装置LAが現在動作している場所を検出して(例えば、計測ツールMTからの入力を使用して)、例えば、最適ではない処理(図3では、2番目のスケールSC2の「0」を指す矢印で示される)による欠陥が存在する可能性があるかどうかを予測することもできる。
【0037】
計測ツールMTは、正確なシミュレーション及び予測を可能にするためにコンピュータシステムCLに入力を提供してもよく、可能性のあるドリフト、例えばリソグラフィ装置LAの校正状態(図3に第3のスケールSC3の複数の矢印で示されている)を識別するためにリソグラフィ装置LAにフィードバックを提供してもよい。
【0038】
リソグラフィ装置LA、リソグラフィセルLC、及び計測ツールMTはすべて、システム内の複雑な問題を診断するために使用できる大量のデータを生成する。この場合のシステムは、リソグラフィ装置LA、リソグラフィセルLC、計測ツールMT、それらの間の接続、及び/又は他の特徴の全体又は一部のうちの1つ又は複数を含むことがある。システムは、任意選択で、検査装置及び/又は集積回路の半導体製造に使用される任意の装置を含んでもよいことに留意すべきである。システムに関連するデータは、照射システムIL、放射源SO、ビーム送達システムBD、放射線ビームB、マスクサポート、基板サポート、パターニングデバイス、基板ポジショナー、パターニングデバイスポジショナー、投影システムPS、センサー及び/若しくは洗浄装置を備えた測定ステージを含む、リソグラフィ装置LAの1つ又は複数の構成要素に関連するデータ、スピンコーターSC、現像剤DE、チルプレートCH、ベイクプレートBK、基板ハンドラー、制御ユニット、制御システム、及び検査ツールを含む、リソグラフィーセルLCの1つ又は複数のコンポーネントに関連するデータ、並びに/又は計測ツールに関連する及び/又は計測ツールによって取得されたデータを含むがこれに限定されない。データの分析を使用して、データが関連するシステムの1つ又は複数のコンポーネント又は部分のメンテナンスをいつ実行する必要があるかを示す、時間の経過に伴うデータの変化を判断できる。
【0039】
このようなデータは、データセットに組み合わせることができる。セット内のデータは、構造を有することができ、例えば、データは、システム又は装置の複数のパラメータに関連することができる。パラメータは、装置内の1つ又は複数のセンサの測定値、装置の1つ又は複数の設定値、1つ又は複数のユーザ入力値、装置の部品の動作を制御するための制御信号を表す1つ又は複数の値などを含んでもよい。パラメータのより具体的な例には、閾値を超える位置決めエラー、制限を超えるモーター電流、モーター電流のスパイク、制限を超える小さな周波数帯域でのパワースペクトル密度、平均値の突然の変化、平均勾配値の突然の変化、及び例えば温度、圧力、流量、湿度、電圧、電流、速度、加速度、トルク、力などと上記の組み合わせの何れかが含まれる。当業者は、本明細書のパラメータとして使用できる他の値を想定できるであろう。
【0040】
パラメータは、システム又は装置、例えばリソグラフィ装置LAの動作の全体又は一部を説明することができる。データセットは、システム又は装置のパラメータ間の関係を記述し得、ある期間にわたって測定された各パラメータのいくつかの値を含んでもよい。データセットによって記述される関係は、システム又は装置のパラメータ間の因果関係である可能性がある。パラメータ及びそれらの間の因果関係などの関係は、因果グラフである可能性があるグラフで表すことができる。因果グラフは、測定値又はその他のデータに基づく因果推論から生じる場合がある。あるいは、パラメータと関係をマトリックスで表すこともできる。他の構成では、パラメータ及び関係は、他の適切な方法を使用して表すことができる。
【0041】
データセットは、大量のパラメータ、及びそれらの間の大量の関係を記述している場合がある。データセット内のパラメータ間の可能な関係の量は、パラメータの量の2乗に比例する。データセットには、システムに関する大量の情報が含まれている。リソグラフィ装置LA、リソグラフィセルLC、計測ツールMT、及び関連する構造は非常に複雑であるため、これらのシステムのあらゆる側面とコンポーネントを分析及び監視するには、多大な時間と労力が必要になる。したがって、より詳細に分析又は監視するために、システムのパラメータのサブセットを情報に基づいて選択することが望ましい。例えば、変化する又は予期しない動作を示すシステムのそのような要素を監視することが望ましい場合がある。エラー、障害、又は問題を示すシステムのコンポーネント又は要素を監視することも望ましい場合がある。大規模なデータセットには、時間の経過に伴う複数のパラメータに関するデータ、及びパラメータ間の関係が含まれる場合がある。データセットの分析により、パラメータと関係のサブセットの選択をより綿密に監視できる場合がある。例えば、データセットを分析して、パラメータ及び関係データの予期しない変更を特定及び選択することができる。
【0042】
図4は、データセット内の複数の関係のサブセットを決定する方法のフロー図を示す。データセット内の関係は、リソグラフィ装置などの装置の動作を説明するパラメータ間の関係であり得る。データセット内のパラメータ間の関係を記述するデータセットは、関係データと呼ばれることもある。
【0043】
関係には関連するパラメータがあり、関係の関連するパラメータは、その関係が存在するパラメータを包含すると理解される。例えば、第1の測定されたパラメータは、関係に従って、第2の測定されたパラメータによって影響を受ける可能性がある。このような場合、第と第2のパラメータは、関係に関連付けられたパラメータである。
【0044】
図4の例示的な方法は、参照装置の複数のパラメータ間の第1の関係を説明する第1のデータセット(FSD)102を決定する。この方法はまた、複数のパラメータ間の第2の関係を説明する第2のデータセット(SSD)104を決定し、パラメータは、参照装置又はさらなる装置に関連し得る。第1及び/又は第2の関係は、因果関係であり得る。2番目のデータセットは、1つ以上の測定値に基づいている。以下でより詳細に説明するように、例示的な方法及び装置を使用して、異なる時間における同じ装置の性能又は動作を評価するか、又は参照装置に対応するさらなる装置の性能又は動作を評価することができる。この文脈における対応する装置は、参照装置と同じ又は同様の設計で製造された可能性がある同じ目的で使用される装置を包含する。他の例では、第1のデータセットは、装置の性能又は動作のモデルに基づいて設計者によって生成され、第2のデータセットは、同じ装置の例で測定値を取得することによって決定され得る。そのような構成において、本明細書に開示される方法及び装置は、モデルが予測しなかったかもしれないパラメータ間の関係に関する情報を提供し得る。
【0045】
ステップ106において、この方法は、第1のデータセットを第のデータセット(比較FSD及びSSD)と比較する。比較は、データの第1のセットとデータの第2のセットとの間の差異108の決定につながる(差分FSD及びSSD)。ステップ110において、方法は、第1のデータセットと第2のデータセットとの間で決定された差異に基づいて、第2のデータセット(SSDのサブセット)から第2の関係のサブセットを選択する。関係のサブセットを選択することに加えて、この方法はまた、選択された関係に関連する関連するパラメータを選択することを含み得る。
【0046】
データの第1のセットと第2のセットとの間の差に基づいてパラメータのサブセットを選択することにより、装置内のパラメータ間の関係を評価する際の計算負荷の量を減らすことができる。この意味で、サブセットは、システム又は装置の動作に関する有用な情報を提供するという点で、重要なパラメータのセットと見なすことができる。
【0047】
上記のように、第1及び/又は第2の関係は因果関係であり得る。因果関係は、第1のパラメータから第2のパラメータへの因果関係の存在の表示を含み、すなわち、第1のパラメータの変化が第2のパラメータの変化を引き起こす場合、第1のパラメータは、第2のパラメータとの因果関係を有し得る。因果関係は、あるパラメータから別のパラメータへの方向性を有する。第1のパラメータが第2のパラメータと因果関係を持っている一方で、その第2のパラメータが第1のパラメータと因果関係を持っていないこともある。例えば、温度は線量に影響を与える可能性があるが、線量は温度に影響を与えない。あるいは、因果関係は双方向であることもある。因果関係には、2つのパラメータ間に因果関係がないことを示すものも含まれる場合がある。つまり、第1のパラメータを変更しても第2のパラメータが変更されない場合でも、それは因果関係として定義される可能性がある。
【0048】
第1のデータセット及び第2のデータセットの一方又は両方は、図5aに示されるような因果グラフなどのグラフに格納される。図5aのグラフでは、パラメータP1、P2、P3、P4、及びP5がノードで表されている。パラメータP1~P5間の関係は、ノード間のエッジで表される。図5aのグラフのエッジは方向性があり、あるノードから別のノードへの矢印を形成する。パラメータを表すノードは、例えば、パラメータの複数の値がデータセット内に含まれている場合、そのパラメータの複数の値を表す場合がある。
【0049】
リソグラフィ、計測、検査装置などの半導体製造で使用する装置は、駆動及び応答パラメータ(又は観測量)のネットワーク、つまり原因と結果の関係に関する因果関係グラフとして説明できる。移動エントロピーの概念を、パラメータのペア間の因果関係を決定するために使用できる。これにより、パラメータの因果関係のマッピングが可能になり、そこから障害から障害へのパス及びルート例外を判別できる。
【0050】
移動エントロピーは、同時に観測され、場合によっては結合された時系列の任意のペア間のビット単位の情報転送の計算を通じて、パラメーターのネットワークの因果グラフの推論を可能にする。時系列は、例えば、イベントログデータ、パフォーマンスパラメータ、ボードダンプ、テストデータ、計測データ、又はトレースデータから取得できる。結果として得られる移動エントロピーは、駆動と応答の観測量を区別し、それらの相互作用の時間非対称性を検出することができる。モデルを必要とせずに任意の線形及び非線形の因果効果を特定できるノンパラメトリック尺度であるため、移動エントロピーは、半導体製造で使用する装置の基礎となるダイナミクスを効果的に理解することができる。これは、正確な故障の診断と予測、及び構造設計の改善に役立つ。これは、以下の方法で実現できる:
・観測された時系列からのリソグラフィ装置の因果関係の再構築;
・障害の進展と伝播経路の分析;
・リソグラフィ装置の制御性能の分析;及び/又は
・測定された時系列から観察可能なリソグラフィ装置の観察可能性分析。
【0051】
移動エントロピーは、非対称情報フローの方向性の尺度であり、Schreiber T.による「情報伝達の測定」(Physical Review Letters 85(2):461-464)に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。移動エントロピーは、その観測の以前の値(それ自体の過去)のみに基づく将来の観測と、その観測の以前の値と別の観測の以前の値(それ自体の過去他の観測の過去)に基づく対応する将来の観測との間のエントロピー差の尺度である。言い換えると、プロセスXから別のプロセスYへの移動エントロピーは、Yの過去の値が与えられたときにXの過去の値を知ることによって、Yの将来の値で減少する不確実性の量である。
【0052】
情報理論では、エントロピー(より具体的には、シャノンエントロピー)は、受信した各メッセージ(例えば、イベント又は時系列又は他のデータストリーム内の値)に含まれる情報の期待値(平均)の尺度である。より具体的には、シャノンエントロピーH(Yt)は、確率分布p(y)に従って、離散変数Ytの独立した描画を最適にエンコードするために必要な平均ビット数を表す:
【数1】
【0053】
移動エントロピーTは、以下のように表せる。
【数2】
ここで、p(a、b)はイベントaとbが同時に発生する同時確率であり、p(b|a)はp(a、b)/ pに等しい条件付き確率である。y [k]及びx [l]は、それぞれ時系列Xt及びYtの時間シリーズk及びlの即時履歴である。上記のラグパラメータωは、Yに関するほとんどの情報を提供するYの長さの履歴kが、ω=1での直接の履歴ではなく、ω>1タイムステップ前にあるという状況を説明している(タイムステップはΔ又はdの単位である)。同様に、タイムラグτにより、距離tでのXの長さ履歴lで考慮することができ、Y自身の履歴に含まれるものに加えて追加情報が提供される。Tは、Y自身の長さ履歴kには存在しないXtの長さの履歴lから得られるYtの現在の状態の不確実性の減少を測定する。
【0054】
l=k=ω=1でああり、タイムラグtが不明であると仮定すると、移動エントロピーTの式は次のように簡略化できる:
【数3】
【0055】
この説明では、移動エントロピーTは、yt-1による貢献に加えて、タイムラグτにわたるxtにより、yに貢献する情報の測定である。多くのタイムラグにわたってTを計算することにより、XtからYtからの方向性結合のタイムスケールを評価することができる。式(7)は、コンポーネントのシャノンエントロピーHに関して、異なる形式で記述できる:
【数4】
ここで、(例えば)H(X、Y)は、2つのパラメーターXとYの間の結合エントロピーである。情報理論の意味で、エントロピーの他の測定値を転送エントロピーの決定に使用できることに注意すべきである。シャノンエントロピーの使用は一例に過ぎない。
【0056】
移動エントロピーTの値は、複数のパラメーターの時系列のセットに基づいて、パラメーターのすべてのペア(移動エントロピーは非対称であるため、両方向である必要があります)に対して計算できる。これは、例えば、式(2)、式(3)又は式(4)を使用して、複数のタイムラグに対して実行され得る。
【0057】
計算された各移動エントロピー値の統計的有意性を計算できる。これは、移動エントロピー値によって記述されるパラメーターの関係が、無関係な時系列間のランダムな偶然によって発生するパラメーターの関係よりも強いかどうかのテストである。これは、各移動エントロピー値Tを有意性閾値Tと比較することで実行できる。有意性閾値Tは、シャッフルされた代理移動エントロピーに基づいて決定できる。Tが時系XとYの間の転送エントロピーを表す場合、シャッフルされた代理移動エントロピーは、時系列X及びYの移動エントロピーになる。ここで、時系列X及びYは、時系列XとYのそれぞれランダムに(時間内に)シャッフルされる。このシャッフルは、時系列間の時間相関を破壊する。移動エントロピー値Tが有意性閾値Tより大きい場合にのみ、関連するパラメーター間に有意な情報の流れがあると推定される。有意性の閾値Tを下回る移動エントロピー値は、有意な結合の確立にとって統計的に意味があるとは見なされない。特定の方法では、シャッフルされた時系列X及びYのいくつかの実現について、シャッフルされた代理移動エントロピーが計算され、代理移動エントロピーのガウス分布が得られる。有意性の閾値Tは、このガウス分布の平均に基づいており、例えば、平均より上の標準偏差の数に設定できる。
【0058】
同期比Tを計算して、2つのパラメーターが特定の時間スケールで大量の情報を共有するという観測の背後にある理由を判断するのに役立てることができる。同期比Tは、2つのパラメータ間の計算された転送エントロピーと、2つのパラメータ間の共有情報の尺度との比であり得る。
【0059】
識別された各結合(各移動エントロピー値)の特徴的なタイムラグを計算できる。これは、最初の統計的に有意なタイムラグ、又は移動エントロピーTが(統計的に有意であると想定で)最も高いタイムラグである可能性がある。
【0060】
多数のパラメーターが与えられると、各パラメーターをネットワーク内のノードとしてキャストし、各ノード間の転送エントロピーを計算することにより、プロセスネットワークを構築することができる。統計的に有意な結合が存在することが示されているノード間に(各方向の)リンクを表示できる。プロセスネットワークは、結合強度(移動エントロピーの値)と結合特性を示すこともできる。因果行列を作成でき、各セルは、2つのノード間に方向性のある結合があるかどうかを示す。因果行列は、3次元行列[nxnxnτ]である場合があり、ここで、npはパラメーターの数であり、nτは調査されたタイムラグの数である。ただし、計算をより管理しやすくするために、前の手順で決定した、その結合の特徴的なタイムラグに対応する各エントリの転送エントロピーの値を含む2次元行列[nxn]を使用してもよい。
【0061】
因果行列は、例えば、円形の方向チャート(ノード及び接続)、バブルチャート、及び/又はヒートマップとして表示することができる。バブルチャート又はヒートマップでは、原因となる強度(移動エントロピー値)は、それぞれバブルの直径又は色で表すことができる。
【0062】
図5bに示すように、最初のデータセットと2番目のデータセットの一方又は両方をマトリックスに格納できる。例えば、行列の行及び/又は列は、パラメータを表すことができる。図5bでは、行1~5はパラメータP1~P5を表し、列1~5はパラメータP1~P5を表す。マトリックス内の要素は、要素が配置される行と列によって表されるパラメーター間の関係を表す場合がある。図5bでは、要素は、その行のパラメーターとその列のパラメーターの間に関係が存在するかどうかを示す。行列内の要素の値は、パラメータ間の関係、たとえば因果関係の存在又は非存在を示している場合がある。例えば、図5bでは、行のパラメーターと列のパラメーターの間に因果関係があることを1で示し、この因果関係がないことを0で示すことができる。データのセットをグラフとマトリックスの両方で表すことができる。データセットの行列をグラフに変換したり、データセットのグラフを行列に変換したりできる場合がある。図5aのグラフは、図5bのマトリックスに変換でき、その逆も可能である。例えば、因果関係グラフは、装置の設計構造マトリックス(DSM)に変換できる。
【0063】
図6は、データセット内の関係のサブセットを決定する方法のフロー図を示す。図6の例では、データの第1のセット(FSD)は、参照装置で行われた1つ又は複数の測定(FSM)202の第1のセットから決定206される。データの第2のセット(SSD)は、参照装置又はさらなる装置で行われることができる1つ又は複数の測定(SSM)の第2のセットに基づいており、それに基づいて決定210される。第1及び/又は第2の測定セットは、参照装置自体によって、又は参照装置上でアクティブな他の測定機器によって行われた測定を含み得る。測定の第1及び第2のセットは、同じ方法で行うことができ、例えば、それらは、同じタイプの計測ツールを使用すること、対応するパラメータ、又は同じ期間に対して同じ数の測定を使用することができる。
【0064】
第1のデータセット及び第2のデータセットは、対応するパラメータを含んでもよい。すなわち、第1のデータセットのパラメータは、第2のデータセットの対応するパラメータを有してもよい。例えば、データの第1のセット及び第2のセットの両方は、参照装置又はさらなる装置の温度に関連するパラメータを有し得る。図6に示すフロー図のステップ214(FSDとSSDを比較)で、因果関係である可能性のある第1の関係を含む第1のデータセットが、因果関係である可能性のある第2の関係を含む第2のデータセットと比較される。2つのセットの比較は、対応するパラメータの比較及び/又は対応するパラメータ間の関係を含み得る。比較は、第1及び第2のデータセット内のパラメータ間の関係における差異(差分)218の識別及び決定を含み得る。例えば、第1のデータセットは、第1のパラメータから第2のパラメータへの関係を含み得るが、第1のパラメータから第2のパラメータへの関係は、第2のデータセットには存在しない。
【0065】
ステップ22において、方法は、第1の関係と第2の関係との間のステップ218で決定された差異に基づいて、関係の第2のセットからサブセット(サブセットSSD)を選択する。サブセットの選択は、第1のデータセットに存在する第2のデータセットに存在しない関係の選択、及び/又は第1のセットに存在しない第2のデータセットに存在するデータの関係の選択を含み得る。例示的な方法は、第1及び第2のデータセットの他方には存在しない、第1及び第2のデータセットの一方に存在するすべての関係を選択することができる。この方法は、第1のサブセットの選択された関係に関連するパラメータを選択することをさらに含み得る。選択されたパラメータは、選択されたパラメータのサブセットに含まれ得る。
【0066】
図6に示される方法は、第1の測定セットに基づいて第1周波数データ(FSFD)208のセットを決定することをさらに含む。この方法は、第2の測定セットに基づいて第2周波数データ(SSFD)212のセットを決定することをさらに含む。第1及び/又は第2の周波数データは、経時的なパラメータの測定の周波数分析に基づいて決定され得る。
【0067】
周波数データのセットは、データのセットのパラメータの少なくとも1つの周波数データを含み得る。周波数データのセットは、データのセットの複数のパラメータの周波数データを含み得る。周波数データは、そのパラメータのパワースペクトル密度である可能性がある。パワースペクトル密度は、異なる時間に取得されたそのパラメータの値のセットに基づいて計算することができ、そのパラメータの値のセットは、データセットに含まれる。
【0068】
図6に示される方法のステップ216において、データの第1のセットの第1の周波数データとデータの第2のセットの第2の周波数データが比較される(FSFDとSSFDを比較)。比較は、周波数データが決定された1つ又は複数のパラメータについて、そのパラメータの第1の周波数データとそのパラメータの第2の周波数データとの比較を含み得る。パラメータの周波数データの比較は、そのパラメータの第1及び第2のデータセットのパワースペクトル密度の比較を含み得る。この方法では、第1周波数データセットと第2周波数データセットの間の差分(差分)を決定220する。比較に基づく差異の決定220は、識別された差異が実質的であるか重要でないかどうか、差異の性質に基づいてそれが決定される分析及び決定ステップを含み得る。差異の決定は、装置の設計知識及び/又は予算の内訳、及び検討中のパラメータのパワースペクトル密度が装置の動作にどの程度寄与するかについての知識に基づくことができる。装置の正常な動作と異常な動作が観察されるデータ探索プロセスで制限が決定及び設定される実用的なアプローチを使用できる。
【0069】
差異の重要性を決定するための識別された差異の分析は、差異の大きさ、例えば、周波数データの全体の大きさのパーセンテージとしての差異の大きさに基づくことができる。第1の周波数データと第2の周波数データとの間の差は、差の大きさが閾値よりも大きい場合、実質的であると決定され得る。周波数データを有する各パラメータの方法に閾値を提供することができる。閾値は、周波数分析の感度に影響を与えるように変更される場合がある。いくつかの閾値を使用してテストを実行し、使用に適したしきい値を決定できる。閾値は、前の段落で述べたように決定することができる。
【0070】
識別された差異及びこれらの差異の重要性の分析に基づいて、第1及び第2の周波数データが異なるパラメータを含む1つ又は複数のパラメータが選択される(Psを選択する)224。パラメータの第1周波数データと第2周波数データの差が重要でないと判断された場合、そのパラメータは選択した1つ以上のパラメータに含まれていない可能性がある。パラメータについて特定された差異が有意、実質的、又は関連性があると判断された場合、そのパラメータは、選択された1つ又は複数のパラメータに含まれる場合がある。
【0071】
図6に示される方法のステップ226において、関係データの第1及び第2のセットの差異に基づいて選択されたサブセットのパラメータが、周波数データの第1及び第2のセットの差異に基づいて選択された1つ又は複数のパラメータと比較される(Psとサブセットを比較)。サブセット内のパラメータと選択された1つ又は複数のパラメータの両方にどのパラメータが存在するかが決定される228(Psを決定)。サブセット内のパラメータと選択された1つ又は複数のパラメータとの比較は、データ230の第2のセットからのパラメータのサブセットからのパラメータのさらなる選択につながる(サブセットからPsを選択する)。サブセット内のパラメータと選択された1つ又は複数のパラメータの両方に存在するパラメータは、パラメータのサブセットからのさらなる選択に追加され得る。周波数データが利用できなかったサブセットに存在するパラメーターは、オプションで、サブセット内のパラメーターからのさらなる選択に追加することができる。サブセットに存在するが、選択された1つ又は複数のパラメーターには存在しないパラメーターは、サブセット内のパラメーターからのさらなる選択から除外される場合がある。関係のサブセットの決定は、サブセット内のパラメーターからのさらなる選択にさらに基づくことができ、選択内のパラメーターの量を減らすことは、最終的なサブセット内の関係の量を減らすことができるという利点を有する。さらに選択されたパラメータを使用して、対応するものをサブセット内の関係からさらに選択することができる。
【0072】
上記の方法と図6に示されている方法は、図7aのフローチャートに示されている分析構造に対応している。この方法300では、2つのデータセットがステップ310で決定され、関係データ比較320及び周波数データ比較330が独立して実行され、2つの比較の結果が組み合わされ、ステップ340でパラメータのサブセットを導くために再度比較される。図7bでは、分析方法302の構造は、ステップ310での第1及び第2のデータセットの同じ決定から始まる。方法302は、最初に関係データ比較322を実行するので、方法300とは異なる。次に、この方法は、周波数データ分析332と、関係データ比較の結果として選択されたパラメータについてのみ比較を実行する。関係比較に基づいてサブセットで選択されたパラメータの周波数データが比較され、ステップ342でサブセットからパラメータをさらに選択するために使用される。
【0073】
図7bに示されている方法は、上記の図6に関連して説明されているような関係及び関連するパラメータのサブセットを決定及び選択することを含む。続いて、この方法は、少なくとも1つ、場合によってはそのサブセットの複数のパラメータについて、第1の周波数データ及び第2の周波数データを決定することを含む。第1及び第2のデータセットの選択されたパラメータの周波数データが比較され、第1及び第2の周波数データの差が、上記の図6に関連して説明されたように決定される。
【0074】
関係の最終サブセットには、異なる第1及び第2周波数データを持つ少なくとも1つの関連パラメーターを持つサブセットからの関係が選択される。異なる第1及び第2の周波数データに関連付けられたパラメーターを持たない最初のサブセットからの関係は、関係の最後のサブセットから除外される場合がある。
【0075】
例えば、例えば図7a及び7bに示される方法による、例えば上記のような周波数及び関係データ比較の組み合わせの利点は、監視されるサブセット内の関係の選択を減らすことを可能にすることである。
【0076】
セット内のパラメーターの関係データの利点は、パラメーター間のリンクが表示されるため、システムでさまざまな変更がどのように発生し、それらが相互にどのように影響しているかをより明確に把握できることである。これは、パラメーターが相互にどのように影響しているのかを理解するのに役立ち、たとえば、観察された問題が別のコンポーネントにリンクされたパラメーターの問題又は異常な動作によって引き起こされているかどうかを識別するのに役立。周波数データ分析の利点は、物理システムに関する情報が含まれていることである。特定のパラメータに関する詳細情報を提供でき、周波数特性の検出された変化の物理的原因の診断に役立つ場合がある。周波数分析に基づく物理的特性と差異及び行動の変化の性質の分析と、さまざまなパラメーターの相互接続性の概要を組み合わせることで、問題の特定、診断、及び解決に利点がもたらされる。
【0077】
図6、7a、及び7bに示されている方法では、パラメータ間の関係を説明する最初のデータセットは、参照装置で行われた測定に基づいている。本発明のいくつかの実施形態では、データの第2のセットは、参照装置のパラメータ間の関係を説明する。したがって、第1及び第2のデータは、ここでは参照装置と呼ばれる同じ装置に関連している。データの最初のセットは、最初の期間又はある瞬間のセットの間に行われた測定に基づくことができる。データの第2のセットは、第2の期間又は時間のセットの間に行われた測定に基づくことができる。第1の期間又は一連の瞬間は、第2の期間又は一連の瞬間の前に落ちる可能性がある。 第1及び第2の期間又は時間のセットは、重ならないように決定又は選択され得る。第1及び第2のデータセットの比較を使用して、経時的な装置の性能を分析及び/又は監視することができ、例えば、経時的な装置の性能を監視するか、又は装置で発生するエラーを検索及び検出することができる。
【0078】
本発明によるいくつかの他の実施形態では、データの第2のセットは、さらなる装置のパラメータ間の関係を説明する。さらなる装置は、参照装置とは異なる装置である。さらなる装置は、参照装置に対応する装置であり得る、すなわち、さらなる装置は、参照装置と同じ又は同様の動作を有し得る。さらなる装置は、例えば、参照装置のコピー、参照装置と同じタイプの装置の異なるユニットであり得る。さらなる装置と参照装置との比較は、例えば、装置の新しいユニットの性能を装置の既知のユニットと比較すること、又は異なる特性を有する別の装置の性能に対してさらなる装置の性能を監視することであり得る。たとえば、古い、若い、使用量が多い、少ない、又はさまざまなアプリケーションに使用されている。
【0079】
本発明の別の態様では、データの第1のセットは、参照装置の設計に関連する情報に基づく。情報は、装置又は関連する装置の工学設計知識に基づくことができる。データの最初のセットは、この情報から計算できる。情報には、設計、設定、又は測定された装置の特性に基づく設計情報が含まれる場合があり、予測、計算された特性、及び参照装置以外の装置から行われた測定データが含まれる場合がある。データの最初のセットは、設計構造マトリックスである場合がある。参照装置の設計構造マトリックスは、システムの動作を説明する複数のパラメータ、及びパラメータ間の関係を説明するマトリックスを含み得る。データの第2のセットは、さらなる装置又は参照装置の測定に基づくことができ、さらなる装置は、参照装置と動作が同じ又は類似であり、参照装置と同じタイプの装置のユニットであり得る。第1の関係データ及び第2の関係データを比較して、例えば設計及び/又は予測されたパラメータ及び関係などの取得された情報に基づく第1のデータセットと、測定に基づく第2のデータセットとの間の差異を決定することができる。第1のデータセットと第2のデータセットとの間の比較の一部として、この方法は、測定された第2のデータセットと予測及び/又は設計された第1のデータセットとの間の差異を識別する。この方法は、これらの違いに基づいて関係を選択する。例えば、2番目のセットには存在するが最初のセットには存在しない関係、又は最初のセットに存在するか2番目のセットには存在しない関係などがある。選択された関係は、最初のデータセットを改善するために使用できる。例えば、選択された関係をより厳密に監視又は分析して、予測と設計が測定データに続く関係に対応しない理由を判断できる。あるいは、設計構造マトリックスと測定に基づくデータのセットとの違いは、選択された関係のサブセット及び関連するパラメータに関連する装置の問題を示している可能性がある。
【0080】
因果グラフは、設計構造マトリックスから生成できる。設計構造マトリックスから因果グラフを生成するプロセスは自動化することができる。因果グラフは、設計知識を含むマトリックスと同じ又は類似のコンポーネントを反映する、利用可能なマシンデータの因果推論の結果である可能性がある。因果推論には、たとえば伝達エントロピーやグレンジャー因果性などの手法を使用できる。測定値に基づいて計算された2番目のデータセットは、因果グラフである可能性がある。この測定ベースの因果グラフは、正方行列である可能性がある行列として表すことができる。正方行列は隣接行列でもよい。
【0081】
設計構造マトリックスと隣接行列を比較すると、違いがわかる場合がある。設計構造マトリックスと隣接行列の違いは、真陽性、偽陽性、真陰性、及び偽陰性として表すことができる。設計構造マトリックスを参照として使用する場合、真陽性の表示は、関係が設計構造マトリックスと隣接行列に含まれていることを意味する。偽陽性は、設計構造マトリックスには見られないが隣接マトリックスには見られる関係である。真陰性は、設計構造マトリックスと隣接行列のどちらにも見られない関係であり、偽陰性は、設計構造マトリックスには見られるが隣接マトリックスには見られない関係である。偽陰性は、装置のパラメータ間の関係の存在を決定するための測定データの欠如によって引き起こされる可能性があり、したがって、設計構造マトリックスと測定された装置の少なくとも1つに問題があることを必ずしも示さない場合がある。
【0082】
さらなる実施形態は、後続の番号が付けられた節に開示されている。
1. 半導体製造で使用するための装置の動作を説明する複数のパラメータ間の複数の関係のサブセットを決定する方法であって、
半導体製造で使用するための参照装置の複数のパラメータ間の第1の関係を説明するデータの第1のセットを決定し、
1つ又は複数の測定に基づいて、参照の複数のパラメータ又は半導体製造で使用するためのさらなる装置との間の第2の関係を説明する第2のデータセットを決定し、
第1のデータセットと第2のデータセットを比較し、
第1のデータセットと第2のデータセットの違いに基づいて、第2のデータセットから第2の関係のサブセットを選択する方法。
2. 1つ又は複数の関係が因果関係である、第1項に記載の方法。
3. 第1のデータセットが、半導体製造で使用するために参照装置で行われる1つ又は複数の測定の第1のセットに基づいており、半導体製造で使用するための参照又はさらなる装置で行われる測定による第2のデータセットが第2のセットに基づいている、前述のいずれか1項に記載の方法。
4. 1つ又は複数の測定値の第1のセットに基づいて、半導体製造で使用するための参照装置の複数のパラメータのうちの1つ又は複数に関連する第1の周波数データを計算することをさらに含み、
1つ又は複数の測定値の第2のセットに基づいて、半導体製造で使用するための基準又はさらなる装置の複数のパラメータのうちの1つ又は複数に関連する第2の周波数データを計算する、第3項に記載の方法。
5. 第1の周波数データを第2の周波数データと比較し、第1の周波数データと第2の周波数データの比較に基づいて、半導体製造に使用するための参照装置又はさらなる装置の複数のパラメータのうちの1つ又は複数のパラメータを選択する第4項に記載の方法。
6. パラメータの第1の周波数データと第2の周波数データとの間の差が閾値より大きい場合にパラメータが選択される、第5項に記載の方法。
7. 第2の関係のサブセットを選択することは、第2のデータセットから、参照又はさらなる装置の選択されたパラメータの少なくとも1つに関連する1つ又は複数の関係を決定することをさらに含む、第5項又は第6項に記載の方法。
8. 第1のデータセットと第2のデータセットとの比較の結果に基づいて第1の周波数データ及び第2の周波数データが計算される、第4項~第7項のいずれかに記載の方法。
9. 第2のデータセットが、第1のデータセットとは異なる時間に参照装置に関連する、前述のいずれか1項に記載の方法。
10. 第2のデータセットが半導体製造で使用するためのさらなる装置に関するものであり、半導体製造で使用するためのさらなる装置が、半導体製造で使用するための参照装置に対応する装置である、前述のいずれか1項に記載の方法。
11. データの第1のセットが、半導体製造で使用するための参照装置の設計に関連する情報に基づいて計算される、第10項に記載の方法。
12. データの第1のセットが設計構造マトリックスを含む、第11項に記載の方法。
13. データの第1及び/又は第2のセットのうちの1つが、それぞれの行列に格納された因果グラフ及びデータのうちの少なくとも1つを含む、前項のいずれか1項に記載の方法。
14. 少なくとも1つのプロセッサ上で実行されると、少なくとも1つのプロセッサに装置を制御させて、第1項から第13項のいずれか1項に従って方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
15. 半導体製造で使用するための装置の動作を説明する複数のパラメータ間の複数の関係のサブセットを決定するための装置であって、
コンピュータプログラムコードを実行して:
半導体製造で使用するための参照装置の複数のパラメータ間の第1の関係を説明する第第1のセットを決定し、
1つ又は複数の測定に基づいて、参照の複数のパラメータ又は半導体製造で使用するためのさらなる装置との間の第2の関係を説明する第2のデータセットを決定し、
第1のデータセットと第2のデータセットを比較し、
第1のデータセットと第2のデータセットの違いに基づいて、第2のデータセットから第2の関係のサブセットを選択する、装置。
16. 第15項の装置を含む半導体製造に使用するための装置。
17. 第16条の半導体製造に使用するための装置を含むリソグラフィーセルシステム。
【0083】
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及することができるが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は他の用途を有し得ることを理解すべきである。考えられる他のアプリケーションには、統合光学システム、磁区メモリのガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が含まれる。
【0084】
本明細書では、リソグラフィ装置の文脈で本発明の実施形態を具体的に参照することができるが、本発明の実施形態は、他の装置で使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、又はウェーハ(又は他の基板)又はマスク(又は他のパターニング装置)などの物体を測定又は処理する任意の装置の一部を形成することができる。これらの装置は、一般にリソグラフィーツールと呼ばれることがある。そのようなリソグラフィーツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0085】
光学リソグラフィの文脈での本発明の実施形態の使用について上記で特定の言及がなされたが、文脈が許す場合、本発明は光学リソグラフィに限定されず、例えばインプリントリソグラフィのような他の用途で使用され得ることが理解されよう。
【0086】
本明細書では、「計測装置」又は「検査装置」に特に言及しているが、両方の用語は、例えば検査装置又は検査システムを指すこともある。本発明の実施形態を含む検査又は計測装置を使用して、基板又はウェーハ上の構造の特性を決定することができる。本発明の実施形態を含む検査装置又は計測装置を使用して、基板の欠陥又は基板又はウェーハ上の構造の欠陥を検出することができる。そのような実施形態では、基板上の構造の関心のある特性は、構造の欠陥、構造の特定の部分の欠如、又は基板又はウェーハ上の望ましくない構造の存在に関係し得る。
【0087】
本発明の特定の実施形態は上で説明されてきたが、本発明は、説明された以外の方法で実施され得ることが理解されよう。上記の説明は、限定ではなく、説明を目的としている。したがって、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されるように本発明に変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b