(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/52 20100101AFI20221116BHJP
G02B 7/00 20210101ALI20221116BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H01L33/52
G02B7/00 F
H01L23/02 F
(21)【出願番号】P 2017189247
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】芝野 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 智陽
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-038999(JP,A)
【文献】特開2013-179228(JP,A)
【文献】特表2017-516314(JP,A)
【文献】特開2013-219223(JP,A)
【文献】特開2013-171958(JP,A)
【文献】特開2013-168467(JP,A)
【文献】特開2009-099806(JP,A)
【文献】特開2008-147234(JP,A)
【文献】特開2002-025764(JP,A)
【文献】特開平07-249750(JP,A)
【文献】実開昭63-084956(JP,U)
【文献】特開昭63-104355(JP,A)
【文献】特開昭61-256656(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0292621(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00 - 33/64
H01L 21/54 - 21/56
H01L 23/00 - 23/10
H01L 23/16 - 23/31
H01S 5/00 - 5/50
G02B 7/00 - 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に発光装置が配置された基板を準備する工程と、
前記発光装置を囲む前記基板の上面において環状の外周部に、上面視において直線又は
曲線に連続した線状接着剤と、前記線状接着剤と離間する点状接着剤と、を配置する工程
と、
前記線状接着剤上及び前記点状接着剤上にレンズ部材を載置する工程と、
前記レンズ部材を押圧し、前記線状接着剤と前記点状接着剤とを接触させて一体化させ
た環状接着剤とし、加熱又は紫外光により前記環状接着剤を硬化する工程と、
を備え、
前記点状接着剤の内縁は、上面視において前記線状接着剤の端部に挟まれた領域であっ
て、前記線状接着剤の端部の外縁同士を結ぶ仮想線の外側に配置される、発光モジュール
の製造方法。
【請求項2】
前記基板の上面から前記点状接着剤の上面の高さと、前記基板の上面から前記線状接着
剤の上面の高さは、同じ高さである、請求項
1に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記基板の上面から前記点状接着剤の上面の高さと、前記基板の上面から前記線状接着
剤の上面の高さは、異なる高さである、請求項1に記載の発光モジュールの
製造方法。
【請求項4】
前記基板の上面から前記点状接着剤の上面の高さと、前記基板の上面から前記線状接着
剤の上面の高さは、いずれか高い方の高さが、低い方の高さの50%以上である、請求項
3記載の発光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置とレンズとを備えた発光モジュールが知られている。レンズは、接着剤を用いて固定されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-516314号公報
【文献】特開2012-38999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズを固定するために接着剤を硬化する際に、ボイドが発生する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態は、以下の構成を含む。
上面に発光装置が配置された基板を準備する工程と、基板の上面の発光装置を囲む外周部に、直線又は曲線に連続した線状接着剤と、線状接着剤と離間する点状接着剤と、を配置する工程と、線状接着剤上及び点状接着剤上にレンズ部材を載置する工程と、レンズ部材を押圧し、線状接着剤と点状接着剤とを接触させて一体化させた環状接着剤とし、加熱又は紫外光により環状接着剤を硬化する工程と、を備える発光モジュールの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
以上により、接着剤中のボイドの発生を抑制した発光モジュールの製造方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】実施形態に係る発光モジュールの概略上面図である。
【
図1B】実施形態に係る発光モジュールの概略斜視図である。
【
図2A】発光モジュールに用いられる発光装置の概略斜視図である。
【
図2B】
図2AのIIB-IIB線における概略断面図である。
【
図3A】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図3B】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図3C】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図4A】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図4B】
図4AのIVC-IVC線における概略端面図である。
【
図5】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図6】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図7】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図8】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図9】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図10A】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図10B】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図11A】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図11B】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図12】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図13】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図14】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図15】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図16】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【
図17】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光モジュールの製造方法を例示するものであって、本発明は、発光モジュールの製造方法を以下に限定するものではない。
【0009】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明を実施形態にのみ限定する趣旨ではない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。尚、環状接着剤、線状接着剤、点状接着剤は、硬化前及び硬化後において同じ名称を用いる。また、「線状接着剤」とは、平面上で直交する2つの方向(例えばX方向とY方向)において、長さの比が2.0倍以上である接着剤を指す。例えば、X方向の長さが4.0mmで、Y方向の長さが5.5mmである接着剤を指す。また、「点状接着剤」とは、平面上で直交する2つの方向(例えばX方向とY方向)において、その長さの比が2.0より小さい接着剤を指す。例えば、X方向の長さが0.3mm、Y方向の長さが0.3mmである接着剤を指す。線状接着剤は、直線又は曲線とすることができる。
【0010】
図1A~
図1Cは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法によって得られる発光モジュール100を示す。発光モジュール100は、主な構成部材として、発光装置10と、基板20と、レンズ部材30と、環状接着剤40と、を備える。発光装置10は基板20上に配置されており、その発光装置10を覆うようにレンズ部材30が配置されている。レンズ部材30は、環状接着剤40によって基板20と接合されている。基板20とレンズ部材30と環状接着剤40とによって形成される空間は気密封止された空間である。発光装置10は、このような気密封止された空間に配置されることで、外気や水分、埃等による影響を受けにくくなる。このような構成とすることで、信頼性に優れた発光モジュール100とすることができる。
発光モジュール100の製造方法について、以下、詳説する。
【0011】
(発光装置が配置された基板を準備する工程)
図2A、
図2Bは、発光装置10の一例を示す図である。発光装置10は、発光モジュール100の光源となる部材であり、主として上面に発光面を備える発光装置10が好適に用いられる。
【0012】
発光装置10は、発光素子11を備えており、更に、透光部材13と、被覆部材12と、を備える。発光素子11は、発光層を含む半導体層を備えた積層構造体11aと、素子電極11bと、を備える。積層構造体11aは、発光面と電極形成面と、側面と、を備える。透光部材13は、発光素子11の発光面側に配置されている。透光部材13は、発光素子11からの光を異なる波長の光に変換する蛍光体を含んでいてもよい。被覆部材12は、発光素子11の側面を被覆するように配置されており、発光素子11からの光を反射する。発光装置10は、更に、発光素子11と透光部材13の間に、導光部材14を備えてもよい。導光部材14は、発光素子11の側面に備えられていてもよい。導光部材14は、発光素子11からの光を透光部材13に導光させるための部材である。
【0013】
図3Aは、発光装置10が配置された基板20を示す一例である。ここで示す例では、基板20は平板状であり、その上面21の略中央に1つの発光装置10が配置されている。基板20は、発光装置10を囲む領域に、外周部22を備える。換言すると、基板20の上面21の面積は、発光装置10の面積よりも大きく、基板20の上面21の端部と発光装置10の間に外周部22が位置する。
【0014】
また、外周部22は、後述の環状接着剤が配置される領域でもある。
図3A~
図3Cで示す例では、環状接着剤を配置する領域の一例としての外周部22を図示している。ここでは、外周部22の上面視形状は四角環状である。外周部22の上面視形状は、これに限らず、発光装置10を囲む環状であればよく、載置されるレンズ部材の形状に適した形状とすることができる。外周部22の上面視形状は、四角環状のほか、例えば、円環状、四角環状、あるいは、不定形とすることができる。
【0015】
1つの基板20に、
図3Aに示すように1つの発光装置10を配置することができるほか、
図3B、
図3Cに示すように複数の発光装置10を配置することができる。複数の発光装置10を配置する場合、外周部22は、複数の発光装置10を囲む領域に位置する。基板20上に配置する発光装置10の数や、配置する位置等については、目的や用途等に応じて、適宜選択することができる。
【0016】
発光装置10は、基板20の上面21に配置されており、基板20配線と発光装置10の電極15とは、はんだ等の導電性接合部材を介して電気的に接続されている。これにより、発光装置10が基板20に固定されている。
【0017】
(線状接着剤と点状接着剤を配置する工程)
図4A、
図4Bは、基板20の外周部22に、線状接着剤50と点状接着剤60を配置した状態を示す図である。尚、ここでは、
図3Aに示すような四角環状の外周部22に、線状接着剤50と点状接着剤60とを配置した例について説明する。
【0018】
図4Aに示す例では、線状接着剤50は、外周部の4つの辺及び3つの角にわたって連続して配置される。換言すると、線状接着剤50は、4本の直線を繋げて、3つの屈曲部を有する1つの連続した線状に配置される。1つの線状接着剤50の2つの端部が、四角形の外周部の1つの角部の近辺に配置されている。
【0019】
点状接着剤60は、四角形の外周部の1つの角部に配置されており、その少なくとも一部が、線状接着剤50に挟まれた領域に配置されている。
図4Aに示す例では、1つの線状接着剤50の両端に挟まれて、1つの点状接着剤60が配置されている。詳細には、1つの線状接着剤50と、1つの点状接着剤60と、が1つの基板20上に配置されており、線状接着剤50と点状接着剤60とは、2つの隙間部Sを介して配置されている。そのため、後述の硬化工程において、線状接着剤50と点状接着剤60とを接触させる部分、すなわち、隙間部Sを埋めるようにして両者を一体化させる部分が、2か所となる。隙間部Sの数が少ない程、線状接着剤50と点状接着剤60とを押圧によって広げる量を少なくできるため好ましい。点状接着剤60は、その全てが、線状接着剤50に挟まれた領域に配置されてもよく、その一部が線状接着剤50で挟まれた領域に配置されていてもよい。
【0020】
線状接着剤50の高さは、
図4Bに示すように、点状接着剤60の高さより、やや高くすることができる。これにより基板20とレンズ部材30の接合強度を向上することができる。また、これに限らず、線状接着剤50の高さを、点状接着剤60の高さよりも低くすることができる。これにより線状接着剤50又は点状接着剤60が、過剰にはみ出すことを抑制することができる。あるいは、線状接着剤50の高さを、点状接着剤60の高さと同じ高さとすることができる。これにより線状接着剤50及び点状接着剤60を同一条件下で塗布することができる。尚、線状接着剤50と点状接着剤60の高さを変える場合は、いずれか高い方の高さが、低い方の高さの50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。これにより、両者の間の隙間Sを埋めやすくすることができる。
【0021】
図4Aでは、点状接着剤60は四角形の外周部の1つの角部に配置されている例を示しており、これによりボイドの発生を抑制し、基板20とレンズ部材30の接合強度を向上させることができ好ましい。ただし、点状接着剤60の位置は、これに限られるものではなく、点状接着剤60は、
図5に示すように、四角形の外周部の辺に配置してもよい。これにより、線状接着剤と点状接着剤の間隔を広げることが可能となり、ボイド発生を抑制しつつ接着剤を繋げることができる。
【0022】
図5に示す例では、線状接着剤51は、四角形の外周部のうちの、4つの辺と4つの角部に配置されている。ただし、1つの辺において、線状接着剤51の2つの端部が配置されており、2つの端部は隙間Sを空けて離間して配置されている。このように、四角形の外周部の4つの角部の全てに線状接着剤51を配置することで、ボイドの発生を効率よく抑制することができる。
【0023】
また、
図4Aに示す例では、点状接着剤60の外縁60Aは、線状接着剤50の外縁50Aよりも外側に配置される。このようにすることで、点状接着剤60と線状接着剤50の間隔をたとえば0.3mm程度とすることができるため、ボイドの発生を効率よく抑制できる。さらに、
図4Aでは、点状接着剤60の内縁60Aは、線状接着剤50の外縁50Aよりも内側に配置される。つまり、線状接着剤50の2つの端部で挟まれた領域に、点状接着剤60の一部が配置されている。
【0024】
図5に示す例では、点状接着剤60の内縁60Bは、線状接着剤51の外縁51Aよりも外側に位置している。換言すると、点状接着剤60は、線状接着剤51に挟まれた領域に位置していない。例えば、線状接着剤50の間隔を近づけないと線状接着剤が繋がらずその位置ではボイドが発生するような場合は、このような配置とすることで、点状接着剤が繋がる役割を果たすため、ボイドの発生を抑制しつつ接着剤を繋げることができる。
【0025】
また、
図6に示す例では、点状接着剤60の外縁は、線状接着剤51の内縁51Bよりも内側に位置している。換言すると、点状接着剤60は、線状接着剤51に挟まれた領域に位置していない。例えば、1つの発光モジュール100には、複数のレンズ部材30を接合することができる。そのような場合は、点状接着剤60の外縁が、線状接着剤51の内縁51Bよりも内側に位置することで、
図14に示すように、環状接着剤40を、外側に大きく広げることなく配置することができる。これにより、複数のレンズ部材30を近接して配置し易くすることができる。
【0026】
尚、
図5及び
図6に示すように、線状接着剤51に挟まれた領域に点状接着剤60が位置しないように配置させることは、点状接着剤60が四角形の外周部の辺に配置される場合だけに限らず、
図4Aに示すような、点状接着剤60が角部に配置される場合にも適用できる。
【0027】
図7~
図9は、線状接着剤と点状接着剤の配置の変形例を示している。
図7では、四角形の外周部に、2つの線状接着剤52と、2つの点状接着剤60を配置した例を示している。線状接着剤52は、それぞれ、隣接する2つの辺と1つの角部に配置されており、上面視形状はL字状である。点状接着剤60は、対角に位置する2つの角部に配置されており、それぞれ、2つの線状接着剤52に挟まれた領域に配置されている。このように、2つの線状接着剤52と、2つの点状接着剤60とが、それぞれ隙間Sを介して配置されていることで、1つの外周部において、4つの隙間Sを有することになる。隙間Sの数が多くなることで、ボイドの発生を抑制することに加え、基板20とレンズ部材30の接合強度を向上させることができる。また、
図7に示す例では、四角形の外周部において対向する2つの角部近辺にそれぞれ2つずつの隙間Sが形成されている。このように、発光装置10を中心にして、2つの角部にそれぞれ隙間Sが配置されることで、レンズ部材を押圧して線状接着剤52と点状接着剤60とを接触させて一体化させる際に、均一に圧力がかかりやすい。そのため、ボイドの発生を効率よく抑制することに加え、レンズ部材が傾きにくくすることができる。
【0028】
図8では、基板20の上面の四角形の外周部に、4つの線状接着剤53と、4つの点状接着剤60を配置した例を示している。点状接着剤60は、4つの角部にそれぞれ配置されている。線状接着剤53は、4つの辺に、それぞれ配置されており、上面視形状が直線状である。このような配置とすることで、四角形の外周部の4つの角部の全てにおいて、その近傍に隙間Sが配置される。そのため、そのため、ボイドの発生を効率よく抑制することに加え、レンズ部材が傾きにくくすることができる。
【0029】
図9は、
図8に示したような、4つの線状接着剤54と、4つの点状接着剤60と、を備える。線状接着剤54は、複数のドット径(例えばドット541の直径が0.5mm)が連なって形成されたものである。このような複数のドット541が連続体である線状接着剤54とすることで、ボイドの発生をより抑制することができる。
【0030】
以上において例示した線状接着剤50~54と点状接着剤60は、
図10A、
図10Bに示すように、ディスペンスノズル70を用いて、硬化前の接着部材を、外周部に塗布することで形成することができる。線状接着剤50~54と点状接着剤60は、どちらを先に形成しても構わない。また、硬化前の接着部材の塗布時には、基板20を固定し、ディスペンスノズル70を移動させてもよく、あるいは、ディスペンスノズル70を固定し、基板20を移動させてもよい。線状接着剤50~54と、点状接着剤60とは、同じ吐出径のディスペンスノズル70を用いてもよく、異なる吐出径のディスペンスノズル70を用いてもよい。また、ディスペンスノズル70を用いず、例えば、所定の開口部を備えたマスクを用いて、硬化前の接着部材を印刷塗布したり、スプレー塗布したりしてもよい。
【0031】
(レンズ部材を載置する工程)
次に、
図11Aに示すように、レンズホルダ80でレンズ部材30を保持し、
図11Bに示すように、線状接着剤50と点状接着剤60の両方の上にレンズ部材30を載置する。詳細には、レンズ部材30の脚部33が、線状接着剤50と点状接着剤60の両方の上配置されるように載置する。ここでは、点状接着剤60が、線状接着剤50よりも0.1mm程度高さが高いため、レンズ部材30は、先に点状接着剤60に接している。
【0032】
(環状接着剤を硬化する工程)
【0033】
レンズホルダ80を用いて、レンズ部材30を下方に押圧することで、線状接着剤50と点状接着剤60とを、それぞれ横方に広がるように変形させる。これにより、線状接着剤50と点状接着剤60とを接触させて一体化させ、
図12に示すような環状接着剤40となる。尚、
図12では、レンズ部材30を省略した状態を図示している。
【0034】
加熱又は紫外光を照射することで硬化された環状接着剤40は、線状接着剤50及び点状接着剤60よりも幅が広くなっている。また、レンズ部材30で押圧する前に存在していた隙間Sは、変形した線状接着剤50と点状接着剤60とで埋められることで消滅している。そして、基板20の上面と、レンズ部材30と環状接着剤40とで囲まれた気密空間が形成される。
【0035】
【0036】
このように、あらかじめ離間して形成された線状接着剤50と、点状接着剤60とをレンズ部材30で押圧しながら一体化させて環状接着剤40とする際に、レンズ部材30の空間部の気体を隙間Sから逃がすことで、環状接着剤40にボイドが発生することを抑制することができる。点状接着剤と点状接着剤、線状接着剤と線状接着剤の組み合わせでは、隙間Sの間隔を十分に広げることができないため、押圧後にボイドを発生させずに環状接着剤とすることが困難である。
【0037】
以上の工程により、
図1A~
図1Cに示すような、発光装置10を気密封止した発光モジュール100とすることができる。
【0038】
以下、発光モジュールの各構成要素について説明する。
【0039】
(発光装置)
発光モジュール100の光源である発光装置10は、
図2A等に示した形状に限られず、公知の発光装置を用いることができる。また、発光色についても、白色、青色、緑色、赤色、更にはこれらを組み合わせた種々の発光色の発光装置を用いることができる。
【0040】
(基板)
基板は、配線等を備えた板状部材であり、発光装置及びレンズ部材を載置可能な上面を備える。基板は、例えば、セラミック、ガラスエポキシ、樹脂等の基材と、その基材の上面に形成された銅、鉄、アルミ、等の配線と、を備える。
【0041】
(点状接着剤、線状接着剤、環状接着剤)
点状接着剤と線状接着剤は、基板とレンズ部材とを接着させるための部材であり、接着時に一体化されて環状接着剤となる。点状接着剤、線状接着剤としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線硬化樹脂等の樹脂材料を用いることができる。具体的には、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、等を用いることができる。これらの樹脂材料に、酸化チタン、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、等を添加することができる。点状接着剤と線状接着剤は、同じ材料を用いてもよく、異なる材料を用いてもよい。環状接着剤は、
図1Cに示すように、レンズ部材の脚部の幅よりも広い幅で形成されている。
【0042】
(レンズ部材)
レンズ部材は、発光装置から出射される光の配光等を制御するための部材であり、基板上に環状接着剤を介して接合される。レンズ部材は、レンズ部と、そのレンズ部の周辺に配置されるレンズ保持部と、を備える。レンズ保持部は、下面側に突出した脚部を備えている。レンズ部材の脚部の底面は、基板上に接合される部分である。
【0043】
レンズ部材のレンズ部は、凸レンズ、凹レンズ、フレネルレンズ等の種々のレンズ機能を備えた部分であり、発光装置の大きさ、配置、所望の配光特性等に応じて適宜選択することができる。
図1A~
図1Cに示す例では、レンズ部材のレンズ部はフレネルレンズである。レンズ部の光軸と、発光装置の光軸が一致するように、レンズ部が配置されることが好ましい。
【0044】
レンズ部材の脚部は、レンズ部の周囲に配置されており、脚部で囲まれた領域に発光装置が配置可能なような高さ及び大きさで配置される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の実施形態に係る発光モジュールは、各種照明器具、各種インジケーター用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源、液晶のバックライト用光源、センサー用光源、信号機等、などの用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
100…発光モジュール
10…発光装置
11…発光素子(11a…積層構造体、11b…素子電極)
12…被覆部材
13…透光部材
14…導光部材
15…電極
20…基板
21…基板の上面
22…外周部
30…レンズ部材
31…レンズ部
32…レンズ保持部
33…脚部
40…環状接着剤
50、51、52、53…線状接着剤
50A、51A、52A…線状接着剤の外縁
50B、52B…内縁
541…ドット
60…点状接着剤
60A…点状接着剤の外縁
60B…点状接着剤の内縁
S…隙間部
70…ディスペンスノズル
80…レンズホルダ