(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】発光素子及び発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20221116BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20221116BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20221116BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/64
H01L33/62
H01L29/44 L
(21)【出願番号】P 2020125203
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2021-08-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】▲蔭▼山 弘明
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525822(JP,A)
【文献】国際公開第2015/160718(WO,A2)
【文献】特開2013-098515(JP,A)
【文献】国際公開第2020/137470(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上の一部に設けられた活性層と、前記活性層上に設けられた第2導電形の第2半導体層と、を有する半導体積層体であって、前記第1半導体層は、隣り合って設けられ、前記活性層及び前記第2半導体層から露出する第1領域と第2領域とを有する前記半導体積層体と、
前記半導体積層体の表面を被覆し、前記第1領域上及び前記第2領域上のそれぞれに設けられた第1開口部と、前記第2半導体層上の一部に設けられた第2開口部と、を有する第1絶縁膜と、
前記第2半導体層上に位置する前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1開口部を介して前記第1半導体層に接続された第1電極と、
前記第2開口部を介して前記第2半導体層に接続された第2電極と、
前記第1電極上に設けられ、前記第1電極に接続された第1端子と、
前記第2電極上に設けられ、前記第2電極に接続された第2端子と、
前記第2半導体層上に位置する前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1端子及び前記第2端子と電気的に絶縁された金属部材と、
前記第2半導体層上に位置する前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極と電気的に絶縁された第1金属層と、
を備え、
上面視において、前記金属部材の一部は、前記第1領域と前記第2領域の間に位置して
おり、
上面視において、前記第1金属層は、前記第1領域と前記第2領域の間に位置しており、
前記金属部材は、前記第1金属層と接続されている発光素子。
【請求項2】
前記第1電極は、上面視で前記第1領域と前記第2領域の間に位置し、前記第1絶縁膜を露出させる第1貫通孔を有し、
前記第1金属層は、前記第1貫通孔内に配置されている請求項
1に記載の発光素子。
【請求項3】
上面視において、前記金属部材の一部は前記第1領域と重なって設けられている請求項
1または
2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1半導体層は、前記第2領域に隣り合って設けられ、前記活性層及び前記第2半導体層から露出する第3領域を更に有し、
前記第1電極は、前記第2領域と前記第3領域の間に位置し、前記第1絶縁膜を露出させる第2貫通孔を更に有し、
前記第2貫通孔内に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極と電気的に絶縁された第2金属層を、更に備え、
上面視において、前記第2領域は、前記第1金属層と前記第2金属層との間に位置しており、
前記金属部材は、前記第1金属層と前記第2金属層とに接続されている請求項
1~
3のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1電極の一部、前記第2電極の一部、前記第1金属層の一部、及び前記第2金属層の一部を被覆し、前記第1電極の他の一部を露出させる第3開口部と、前記第2電極の他の一部を露出させる第4開口部と、前記第1金属層の他の一部を露出させる第5開口部と、前記第2金属層の他の一部を露出させる第6開口部と、を有する第2絶縁膜を更に備え、
前記第1端子は、前記第3開口部を介して前記第1電極に接続され、
前記第2端子は、前記第4開口部を介して前記第2電極に接続され、
前記金属部材は、前記第5開口部を介して前記第1金属層に接続され、前記第6開口部を介して前記第2金属層に接続される請求項
4に記載の発光素子。
【請求項6】
上面視において、前記金属部材は、前記第2領域を前記第2絶縁膜を介して覆っている請求項
5に記載の発光素子。
【請求項7】
上面視において、前記第1金属層の幅は前記第1領域の幅より大きい請求項
1~
6のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項8】
上面視において、前記金属部材の幅は前記第1金属層の幅より大きい請求項
1~
7のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項9】
上面視において、前記金属部材は、前記第1端子と前記第2端子の間に設けられている請求項
1~
8のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項10】
前記第1半導体層は、n形半導体層であり、
前記第2半導体層は、p形半導体層である請求項1~
9のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか1つに記載の発光素子と、
前記第1端子に接続された第1導電部材と、前記第2端子に接続された第2導電部材と、前記金属部材に接続された第3導電部材と、を有する基体と、
を備える発光装置。
【請求項12】
請求項1~
10のいずれか1つに記載の発光素子と、
前記第1端子に接続された第1導電部材と、前記第2端子及び前記金属部材に接続された第2導電部材と、を有する基体と、
を備える発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光素子及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1導電形の第1半導体層、活性層、及び第2導電形の第2半導体層を有する半導体積層体と、第1半導体層に電気的に接続された第1電極と、第2半導体層に電気的に接続された第2電極と、を備える発光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、放熱性に優れた発光素子及び発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る発光素子は、第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上の一部に設けられた活性層と、前記活性層上に設けられた第2導電形の第2半導体層と、を有する半導体積層体であって、前記第1半導体層は、隣り合って設けられ、前記活性層及び前記第2半導体層から露出する第1領域と第2領域とを有する前記半導体積層体と、前記半導体積層体の表面を被覆し、前記第1領域上及び前記第2領域上のそれぞれに設けられた第1開口部と、前記第2半導体層上の一部に設けられた第2開口部と、を有する第1絶縁膜と、前記第2半導体層上に位置する前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1開口部を介して前記第1半導体層に接続された第1電極と、前記第2開口部を介して前記第2半導体層に接続された第2電極と、前記第1電極上に設けられ、前記第1電極に接続された第1端子と、前記第2電極上に設けられ、前記第2電極に接続された第2端子と、前記第2半導体層上に位置する前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1端子及び前記第2端子と電気的に絶縁された金属部材と、を備え、上面視において、前記金属部材の一部は、前記第1領域と前記第2領域の間に位置している。
【0006】
実施形態に係る発光装置は、前記発光素子と、基体と、を備える。前記基体は、前記第1端子に接続された第1導電部材と、前記第2端子に接続された第2導電部材と、前記金属部材に接続された第3導電部材と、を有する。
【0007】
実施形態に係る発光装置は、前記発光素子と、基体と、を備える。前記基体は、前記第1端子に接続された第1導電部材と、前記第2端子及び前記金属部材に接続された第2導電部材と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、放熱性に優れた発光素子及び発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る発光素子を示す模式的上面図である。
【
図2】
図1のII-II線における模式的断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線における模式的断面図である。
【
図4】実施形態に係る発光素子の半導体積層体を示す模式的上面図である。
【
図5】実施形態に係る発光素子の半導体積層体及び反射電極を示す模式的上面図である。
【
図6】実施形態に係る発光素子の半導体積層体、反射電極、及び第1絶縁膜を示す模式的上面図である。
【
図7】実施形態に係る発光素子の半導体積層体、反射電極、第1絶縁膜、第1電極、第2電極、及び金属層を示す模式的上面図である。
【
図8】実施形態に係る発光素子の半導体積層体、反射電極、第1絶縁膜、第1電極、第2電極、金属層、及び第2絶縁膜を示す模式的上面図である。
【
図9】実施形態に係る発光素子を示す模式的上面図である。
【
図10】実施形態に係る発光装置を示す模式的上面図である。
【
図12】変形例に係る発光装置を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
図1は、本実施形態に係る発光素子を示す模式的上面図である。
図2は、
図1のII-II線における模式的断面図である。
図3は、
図1のIII-III線における模式的断面図である。
本実施形態に係る発光素子100は、
図2及び
図3に示すように、基板110と、半導体積層体120と、反射電極130と、第1絶縁膜140と、第1電極151と、第2電極152と、複数の金属層153a、153b、153c、153dと、第2絶縁膜160と、第1端子171と、第2端子172と、金属部材173と、を備える。以下、発光素子100の各部について詳述する。
【0011】
基板110は、半導体積層体120をエピタキシャル成長させるための基板である。基板110は、透光性を備える基板であることが好ましい。そのような基板としては、例えば、サファイア基板等が挙げられる。
【0012】
半導体積層体120は、
図2及び
図3に示すように、基板110上に設けられている。半導体積層体120は、第1導電形の第1半導体層121と、第1半導体層121上の一部に設けられた活性層122と、活性層122上に設けられた第2導電形の第2半導体層123と、を有する。
【0013】
以下では、XYZ直交座標系を用いる。第1半導体層121から活性層122に向かう方向を「Z方向」とする。また、Z方向と直交する一の方向を「X方向」とする。また、Z方向及びX方向と直交する一の方向を「Y方向」とする。また、
図1~
図9を参照して発光素子100について説明する際に、Z方向を「上方向」ともいい、その反対方向を「下方向」というが、これらの表現は便宜上のものであり、重力方向とは無関係である。また、上方から対象部材を見ること、又は、対象部材を適宜透過させて見ることを「上面視」という。
【0014】
図4は、本実施形態に係る発光素子の半導体積層体を示す模式的上面図である。
なお、
図4では、説明をわかりやすくするため、上面視において、第1半導体層121が活性層122及び第2半導体層123から露出している領域と、第2半導体層123が露出している領域と、を相互に異なる斜線のハッチングで示している。
【0015】
第1半導体層121は、例えばn形半導体層である。すなわち、第1導電形は、本実施形態ではn形である。ただし、第1導電形はp形であってもよい。第1半導体層121は、基板110の上面の略全域を覆っている。上面視で第1半導体層121の形状は、基板110の形状と同形状であり、例えば四角形である。ただし、上面視での基板110及び第1半導体層121の形状は、上記に限定されない。
【0016】
活性層122は、第1半導体層121の上面の一部の領域121s1上に設けられている。上面視で活性層122の形状は、例えば角部が丸まった四角形である。ただし上面視での活性層122の形状は、上記に限定されない。
【0017】
第2半導体層123は、例えばp形半導体層である。すなわち、第2導電形は、本実施形態ではp形である。ただし、第2導電形はn形であってもよい。第2半導体層123は、活性層122の上面の略全域を覆っている。上面視で第2半導体層123の形状は、活性層122の形状と同形状であり、例えば角部が丸まった四角形である。ただし上面視での第2半導体層123の形状は、上記に限定されない。
【0018】
活性層122及び第2半導体層123の外周は、第1半導体層121の外周よりも内側に位置する。そのため、第1半導体層121の上面のうちの外周の領域121s2が、活性層122及び第2半導体層123から露出している。
【0019】
また、活性層122及び第2半導体層123には、複数の貫通孔124が設けられている。各貫通孔124は、
図2に示すように、活性層122及び第2半導体層123をZ方向に貫通している。そのため、
図4に示すように、第1半導体層121の上面のうち、各貫通孔124の直下に位置する領域121s3が、活性層122及び第2半導体層123から露出している。
【0020】
本実施形態では、貫通孔124の数は9個であり、9個の貫通孔124は、Y方向に3つの行が並び、かつ、X方向に3つの列が並んだ行列を成すように設けられている。上面視で各貫通孔124の形状は、円形である。ただし、上面視での各貫通孔124の形状は上記に限定されず、例えば楕円であってもよい。
【0021】
以下、第1半導体層121の上面のうち、活性層122及び第2半導体層123に覆われている領域121s1を「被覆領域121s1」という。また、第1半導体層121の上面のうち、活性層122及び第2半導体層123から露出する外周の領域121s2を「第1露出領域121s2」といい、各貫通孔124の直下に位置する領域121s3を「第2露出領域121s3」という。
【0022】
第1露出領域121s2は、
図2に示すように、被覆領域121s1よりも下方に位置する。また、各第2露出領域121s3は、被覆領域121s1よりも下方向に凹んでいる。第1露出領域121s2及び各第2露出領域121s3は、例えば、第1半導体層121の上面の略全域に活性層122及び第2半導体層123を形成した後、第1半導体層121の一部、活性層122の一部、及び第2半導体層123の一部を除去することによって形成される。
【0023】
第2露出領域121s3の数は、貫通孔124の数に対応しており、
図4に示すように例えば9個である。9個の第2露出領域121s3は、貫通孔124と同様に、Y方向に3つの行が並び、かつ、X方向に3つの列M1、M2、M3が並んだ行列を成すように配列されている。すなわち、各列M1、M2、M3には、Y方向に配列された3つの第2露出領域121s3が設けられている。以下では、X方向に並んだ3つの列M1、M2、M3を順に、「第1列M1」、「第2列M2」、及び「第3列M3」という。また、第2列M2にY方向に並んで設けられた3つの第2露出領域121s3を順に、「第1領域A1」、「第2領域A2」、及び「第3領域A3」ともいう。ただし、第2露出領域121s3の数は2以上であれば、上記に限定されない。また、第2露出領域121s3の位置は、上記に限定されない。
【0024】
このように、第1半導体層121は、隣り合って設けられ、活性層122及び第2半導体層123から露出する第1領域A1と第2領域A2とを有する。また、第1半導体層121は、第2領域A2と隣り合い、活性層122及び第2半導体層123から露出する第3領域A3を更に有する。
【0025】
図5は、本実施形態に係る発光素子の半導体積層体及び反射電極を示す模式的上面図である。
なお、
図5では、説明をわかりやすくするため、反射電極130が設けられている領域を斜線のハッチングで示している。
【0026】
反射電極130は、金属材料からなる。反射電極130に用いられる金属材料としては、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)又はこれらの金属を主成分とする合金等が挙げられる。反射電極130は、活性層122が発する光に対して高い反射率を有することが好ましい。例えば、反射電極30が活性層122からの光の波長に対して、70%以上の反射率、好ましくは80%以上の反射率を有していることが好ましい。
【0027】
反射電極130は、第2半導体層123上に設けられ、第2半導体層123に接続されている。本明細書で2つの部材が「接続されている」とは、2つの部材が電気的に接続されていることを意味する。例えば、2つの部材同士が接触することにより電気的に接続されている場合、及び、2つの部材の間に導電性の部材が配置されており導電性の部材により2つの部材が電気的に接続されている場合の両方を含む。本実施形態では、反射電極130は、
図2に示すように、第2半導体層123の上面に接している。
【0028】
反射電極130は、本実施形態では、第2半導体層123の上面の一部の上に設けられている。具体的には、反射電極130は、
図5に示すように、第2半導体層123の外周よりも内側に位置する。これにより、第2半導体層123の上面のうちの外周の領域123aが反射電極130から露出する。上面視で反射電極130の形状は、例えば第2半導体層123の形状に対応した形状であって、角部が丸まった四角形である。ただし、上面視での反射電極130の形状は、上記に限定されない。
【0029】
また、反射電極130には、複数の第2露出領域121s3に対応する複数の貫通孔131が設けられている。各貫通孔131は、第2露出領域121s3の直上に位置する。上面視で各貫通孔131の形状は、例えば第2露出領域121s3の形状に対応しており、円形である。ただし、上面視での各貫通孔131の形状は、上記に限定されない。各貫通孔131は、
図2に示すように、Z方向に反射電極130を貫通している。各貫通孔131の直径は、活性層122及び第2半導体層123に設けられた貫通孔124の直径よりも大きい。そのため、第2半導体層123の上面において各貫通孔124の周囲の領域123bは、貫通孔131から露出している。ただし、各貫通孔131の直径は、活性層122及び第2半導体層123に設けられた貫通孔124の直径と同一であってもよい。また、反射電極130は、第2半導体層123の上面の全域を覆ってもよい。
【0030】
図6は、本実施形態に係る発光素子の半導体積層体、反射電極、及び第1絶縁膜を示す模式的上面図である。
なお、
図6では、説明をわかりやすくするため、第1絶縁膜140が設けられている領域を斜線のハッチングで示している。
【0031】
第1絶縁膜140は、半導体積層体120の表面を被覆している。第1絶縁膜140は、本実施形態では、2層構造である。具体的には、第1絶縁膜140は、第1層141と、第1層141上に設けられた第2層142と、を有する。第1層141の材料と第2層142の材料は、例えば、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸化物(SiO2)等である。本実施形態では、第1層141の材料と第2層142の材料は、相互に異なる。第1層141の材料は、例えば、シリコン窒化物(SiN)等の窒化物であり、第2層142の材料は、例えば、シリコン酸化物(SiO2)等の酸化物である。ただし、第1層141及び第2層142の材料は、上記に限定されない。また、第1層141及び第2層142の材料は同一であってもよい。また、第1絶縁膜140は1層構造であってもよいし、3層以上の構造であってもよい。
【0032】
第1層141は、
図2に示すように、反射電極130の表面の一部及び第2半導体層123の上面のうち反射電極130から露出した領域を被覆している。第2半導体層123の上面のうち反射電極130から露出した領域は、本実施形態では、外周の領域123a及び第2露出領域121s3の周囲の領域123bである。また、第1層141は、第1露出領域121s2、各第2露出領域121s3、及び反射電極130の上面のうちの一部の領域130aを露出している。
【0033】
第1層141の外周は、反射電極130の外周よりも外側に位置する。上面視で第1層141の形状は、例えば反射電極130の形状に対応しており、角部が丸まった四角形である。ただし、上面視での第1層141の形状は、上記に限定されない。
図2に示すように、反射電極130の外周面は、第1層141に被覆されている。
【0034】
また、第1層141には、
図6に示すように、複数の第2露出領域121s3に対応する複数の開口部141aが設けられている。各開口部141aは、第2露出領域121s3の直上に位置する。上面視で各開口部141aの形状は、例えば第2露出領域121s3の形状と概ね同じであり、円形である。ただし、上面視での各開口部141aの形状は、上記に限定されない。各開口部141aの直径は、
図2に示すように、活性層122及び第2半導体層123に設けられた貫通孔124の直径と略同一であり、反射電極130の貫通孔131の直径より小さい。各開口部141aは、Z方向に第1層141を貫通している。これにより、各第2露出領域121s3が第1層141から露出する。また、これにより、第1層141は、反射電極130の各貫通孔131の側面130b及び第2半導体層123の上面のうち各貫通孔124の周囲の領域123bを被覆する。
【0035】
また、第1層141には、
図6に示すように、開口部141bが設けられている。開口部141bは、第1開口領域141s1と、4つの第2開口領域141s2と、を有する。第1開口領域141s1の形状は、Y方向を長手方向とする略長方形である。第1開口領域141s1は、第1露出領域121s2と第1列M1との間に位置する。4つの第2開口領域141s2は、Y方向にそれぞれ配列されている。4つの第2開口領域141s2は、第1開口領域141s1からX方向に延在している。上面視において、Y方向に隣り合う第2開口領域141s2の間には、第1列M1の第2露出領域121s3が配置されている。ただし、上面視での開口部141bの形状は、上記に限定されない。開口部141bは、
図2に示すように、Z方向に第1層141を貫通している。これにより、反射電極130の上面の領域130aが、第1層141から露出する。
【0036】
第2層142の外周は、
図6に示すように、第1層141の外周よりも外側に位置する。上面視で第2層142の形状は、例えば第1層141の形状に対応しており、角部が丸まった四角形である。ただし、上面視での第2層142の形状は、上記に限定されない。
【0037】
また、第2層142には、複数の第2露出領域121s3に対応する複数の開口部142aが設けられている。各開口部142aは、第2露出領域121s3の直上に位置する。上面視で各開口部142aの形状は、例えば第2露出領域121s3の形状に対応しており、円形である。ただし、上面視での各開口部142aの形状は、上記に限定されない。各開口部142aの直径は、
図2に示すように、第2露出領域121s3の直径、すなわち活性層122及び第2半導体層123に設けられた貫通孔124の直径よりも小さい。各開口部142aは、第2層142をZ方向に貫通している。そのため、各第2露出領域121s3の中央の領域が第2層142から露出する。また、第2層142は、活性層122及び第2半導体層123に設けられた各貫通孔124の側面、及び各第2露出領域121s3の外周の領域を被覆している。
【0038】
また、第2層142には、開口部142bが設けられている。開口部142bは、第1層141の開口部141bの直上に位置する。開口部142bは、Z方向に第2層142を貫通している。これにより、反射電極130の上面の領域130aが、第2層142から露出する。上面視で開口部142bの形状は、
図6に示すように、例えば第1層141の開口部141bの形状と概ね同じである。また、開口部141bの側面と開口部142bの側面とは概ね面一である。ただし、上面視での開口部141bの形状は、上記に限定されない。
【0039】
以下、各開口部142aを、「第1開口部142a」という。また、第1層141の開口部141bとその直上に位置する第2層142の開口部142bは、一つの開口部143を形成している。以下、開口部143を「第2開口部143」という。なお、本実施形態では、第1層141及び第2層142を設けているが、第1層141が設けられていない場合、第2層142の開口部142bが第2開口部143に相当する。このように、第1絶縁膜140は、各第2露出領域121s3上に設けられた第1開口部142aと、第2半導体層123上の一部に設けられた第2開口部143と、を有する。
【0040】
図7は、本実施形態に係る発光素子の半導体積層体、反射電極、第1絶縁膜、第1電極、第2電極、及び金属層を示す模式的上面図である。
なお、
図7では、説明をわかりやすくするため、第1電極151、第2電極152、及び複数の金属層153a、153b、153c、153dが設けられている領域を相互に異なる斜線のハッチングで示している。
【0041】
第1電極151は、第2半導体層123上に位置する第1絶縁膜140上に設けられ、第1開口部142aを介して第1半導体層121に接続されている。第1電極151の外周は第1絶縁膜140の外周よりも外側に位置しており、第1電極151は、
図2に示すように、第1露出領域121s2に接している。また、第1電極151は、各第1開口部142a内に設けられており、各第2露出領域121s3に接している。このように、第1電極151は、第1露出領域121s2及び各第2露出領域121s3に接することにより、第1半導体層121に接続されている。上面視で第1電極151の形状は、例えば第1絶縁膜140の形状に対応しており、角部が丸まった四角形である。ただし、上面視での第1電極151の形状は、上記に限定されない。第1電極151は、例えばアルミニウム(Al)等の金属材料を含む。
【0042】
第1電極151には、
図7に示すように、複数の貫通孔151a、151b、151c、151dが設けられている。上面視において、複数の貫通孔151a、151b、151c、151dは、Y方向に配列されている。Y方向において、複数の貫通孔151a、151b、151c、151dは、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3と交互に配列されている。具体的には貫通孔151aは、上面視で第1露出領域121s2と第1領域A1との間に位置する。貫通孔151bは、上面視で第1領域A1と第2領域A2との間に位置する。貫通孔151cは、上面視で第2領域A2と第3領域A3との間に位置する。貫通孔151dは、上面視で、第3領域A3と第1露出領域121s2との間に位置する。
【0043】
上面視で各貫通孔151a、151b、151c、151dの形状は、角部が丸まった四角形である。ただし、上面視での各貫通孔151a、151b、151c、151dの形状は上記に限定されず、角部が丸まった四角形以外の多角形、角部が丸まっていない多角形、又は、円形であってもよい。各貫通孔151a、151b、151c、151dは、
図3に示すように、Z方向に第1電極151を貫通している。これにより、第1電極151から第1絶縁膜140の一部が露出する。
【0044】
以下、貫通孔151bを「第1貫通孔151b」ともいう。また、貫通孔151cを「第2貫通孔151c」ともいう。また、貫通孔151aを「第3貫通孔151a」ともいう。また、貫通孔151dを「第4貫通孔151d」ともいう。
【0045】
第1電極151には、
図7に示すように、第1絶縁膜140の第2開口部143を露出する開口部151eが設けられている。開口部151eは、第2開口部143の直上に位置する。開口部151eの形状は、例えば第2開口部143の形状に対応している。具体的には、開口部151eは、Y方向を長手方向とする略長方形の第1開口領域と、第1開口領域からX方向に延び、Y方向に配列された4つの第2開口領域と、を有する形状である。ただし、上面視での開口部151eの形状は、上記に限定されない。開口部151eは、第2開口部143よりも大きい。
【0046】
第2電極152は、第1絶縁膜140の第2開口部143を介して第2半導体層123に接続されている。具体的には、第2電極152は、第1電極151の開口部151e内と第2開口部143とに配置され、開口部151e及び第2開口部143を介して第2半導体層123と接続されている。第2電極152の形状は、例えば第2開口部143の形状に対応している。具体的には、第2電極152は、Y方向を長手方向とする略長方形の基部と、基部からX方向に延び、Y方向に配列された4つの延伸部と、を有する。ただし、上面視での第2電極152の形状は、上記に限定されない。第2電極152は、
図2に示すように、第2開口部143内に設けられており、反射電極130の上面において第2開口部143から露出した領域130aに接している。これにより、第2電極152は、第2半導体層123に接続されている。また、第2電極152は、第1絶縁膜140の上面における第2開口部143の周囲の領域上に設けられている。第2電極152は、例えばアルミニウム(Al)等の金属材料を含む。
【0047】
金属層153a、153b、153c、153dは、第2半導体層123上に位置する第1絶縁膜140上にそれぞれ設けられ、第1電極151及び第2電極152と電気的に絶縁されている。ここで、「金属層153a、153b、153c、153dが第1電極151及び第2電極152と電気的に絶縁されている」とは、発光素子100内において金属層153a、153b、153c、153dが第1電極151及び第2電極152と電気的に絶縁されていることを意味する。なお、例えば後述する変形例において発光素子100が基体に実装された際に、基体の導電部材を介して金属層153a、153b、153c、153dと第2電極152とが電気的に接続されていてもよい。金属層153a、153b、153c、153dは、例えばアルミニウム(Al)等の金属材料を含む。放熱性を向上させる観点から、金属層153a、153b、153c、153dの厚さは、例えば、0.8μm以上2μm以下とすることが好ましい。
【0048】
金属層153aは、
図7に示すように、第3貫通孔151a内に配置されている。金属層153bは、第1貫通孔151b内に配置されている。金属層153cは、第2貫通孔151c内に配置されている。金属層153dは、第4貫通孔151d内に配置されている。金属層153a、153b、153c、153dは、第1電極151からそれぞれ離隔している。
【0049】
以下、第1貫通孔151b内に設けられた金属層153bを「第1金属層153b」ともいう。また、第2貫通孔151c内に設けられた金属層153cを「第2金属層153c」ともいう。また、第3貫通孔151a内に設けられた金属層153aを「第3金属層153a」ともいう。また、第4貫通孔151d内に設けられた金属層153dを「第4金属層153d」ともいう。
【0050】
上面視で、第3金属層153aは、第1露出領域121s2と第1領域A1との間に位置する。また、上面視で第1金属層153bは、第1領域A1と第2領域A2との間に位置する。また、上面視で第2金属層153cは、第2領域A2と第3領域A3との間に位置する。換言すれば、第2領域A2は、上面視で第1金属層153bと第2金属層153cとの間に位置する。また、上面視で第4金属層153dは、第3領域A3と第1露出領域121s2との間に位置する。
【0051】
上面視で金属層153a、153b、153c、153dの形状は、例えば各貫通孔151a、151b、151c、151dの形状にそれぞれ対応しており、角部が丸まった四角形である。ただし、上面視での各金属層153a、153b、153c、153dの形状は上記に限定されない。
【0052】
金属層153a、153b、153c、153dのX方向における幅W11は、略同一である。金属層153a、153b、153c、153dの幅W11は、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3のX方向における幅W21、すなわち活性層122及び第2半導体層123に設けられた貫通孔124の直径よりも大きい。ただし、各金属層の幅W11は、同一でなくてもよい。
【0053】
第1電極151の位置、第2電極152の位置、及び各金属層153a、153b、153c、153dの位置は、上記に限定されない。また、金属層の数は、1以上であれば特に限定されない。また、第1列M1の第2露出領域121s3と第2列M2の第2露出領域121s3との間に金属層を配置してもよい。また、第2列M2の第2露出領域121s3と第3列M3の第2露出領域121s3との間に金属層を配置してもよい。
【0054】
図8は、本実施形態に係る発光素子の半導体積層体、反射電極、第1絶縁膜、第1電極、第2電極、金属層、及び第2絶縁膜を示す模式的上面図である。
なお、
図8では、説明をわかりやすくするため、第2絶縁膜160が設けられている領域を斜線のハッチングで示している。
【0055】
第2絶縁膜160は、第1電極151の一部、第2電極152の一部、金属層153a、153b、153c、153dの一部を被覆している。第2絶縁膜160の材料は、例えば、シリコン酸化物(SiO2)等の酸化物である。ただし、第2絶縁膜160の材料は、上記に限定されない。
【0056】
第2絶縁膜160には、第1電極151の他の一部151fを露出させる第3開口部161が設けられている。第3開口部161は、上面視で、第1露出領域121s2と第3列M3との間に位置する。第3開口部161は、
図2に示すように、第2絶縁膜160をZ方向に貫通している。そのため、第3開口部161から露出した第1電極151の他の一部151fは、本実施形態では、第1電極151において第1絶縁膜140上の部分である。ただし、第3開口部161の位置は、上記に限定されない。
【0057】
第2絶縁膜160には、
図8に示すように、第2電極152の他の一部152aを露出させる第4開口部162が設けられている。第4開口部162は、第2電極152の直上に位置する。第4開口部162の形状は、例えば第2電極152の形状に対応している。具体的には、第4開口部162は、Y方向を長手方向とする略長方形の第1開口領域と、第1開口領域からX方向に延び、Y方向に配列された4つの第2開口領域と、を有する形状である。ただし、上面視での第4開口部162の形状は、上記に限定されない。第4開口部162は、第2電極152よりも小さい。第4開口部162は、
図2に示すように、第2絶縁膜160をZ方向に貫通している。これにより、第2電極152の他の一部152aが第2絶縁膜160から露出する。
【0058】
第2絶縁膜160には、
図8に示すように、第1金属層153bの他の一部153e1を露出させる第5開口部163bと、第2金属層153cの他の一部153e2を露出させる第6開口部163cと、第3金属層153aの他の一部153e3を露出させる第7開口部163aと、第4金属層153dの他の一部153e4を露出させる第8開口部163dと、が設けられている。
【0059】
第5開口部163bは、第1金属層153bの直上に位置する。第6開口部163cは、第2金属層153cの直上に位置する。第7開口部163aは、第3金属層153aの直上に位置する。第8開口部163dは、第4金属層153dの直上に位置する。上面視で開口部163a、163b、163c、163dの形状は、例えば各金属層153a、153b、153c、153dの形状にそれぞれ対応しており、角部が丸まった四角形である。ただし上面視での各開口部163a、163b、163c、163dの形状は、上記に限定されない。上面視において、開口部163a、163b、163c、163dの大きさは、金属層153a、153b、153c、153dの大きさよりも小さい。開口部163a、163b、163c、163dは、
図3に示すように、第2絶縁膜160をZ方向に貫通している。
【0060】
図9は、本実施形態に係る発光素子を示す模式的上面図である。
図9では、説明をわかりやすくするために、第1端子171、第2端子172、及び金属部材173が設けられている領域を斜線のハッチングで示している。
【0061】
第1端子171は、第1電極151上に設けられ、第1電極151に接している。これにより、第1端子171は、第1電極151に接続されている。具体的には、第1端子171は、
図2及び
図9に示すように、第2絶縁膜160の第3開口部161内に設けられ、第1電極151の他の一部151fに接している。このように、第1端子171は、第3開口部161を介して第1電極151に接続されている。また、第1端子171は、第2絶縁膜160の上面のうち第3開口部161の周囲の領域上に設けられている。そして、第1端子171は、第2絶縁膜160を介して第1電極151において第3列M3の3つの第2露出領域121s3のそれぞれの直上に位置する部分を覆っている。すなわち、第1端子171は、上面視で第3列M3の3つの第2露出領域121s3のそれぞれと重なっている。ただし、第1端子171を設ける位置は、第1電極151に接続可能な位置である限り上記に限定されない。第1端子171は、例えばニッケル(Ni)、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、銅(Cu)、及び金(Au)等の金属材料を含む。放熱性を向上させる観点から、第1端子171の厚さは、例えば、0.8μm以上2μm以下とすることが好ましい。
【0062】
第2端子172は、第2電極152上に設けられ、第2電極152に接続されている。具体的には、第2端子172は、
図2及び
図9に示すように、第2絶縁膜160の第4開口部162内に設けられ、第2電極152に接している。このように、第2端子172は、第4開口部162を介して第2電極152に接続されている。また、第2端子172は、第2絶縁膜160の上面において第4開口部162の周囲の領域上に設けられている。そして、第2端子172は、第2絶縁膜160を介して第2電極152において第1列M1の3つの第2露出領域121s3のそれぞれの直上に位置する部分を覆っている。すなわち、第2端子172は、上面視で第1列M1の3つの第2露出領域121s3のそれぞれと重なっている。ただし、第2端子172を設ける位置は、第2電極152に接続可能な位置である限り上記に限定されない。第2端子172は、例えば、第1端子171と同様の金属材料からなる。第2端子172の厚さは、例えば、第1端子171と同様に0.8μm以上2μm以下とすることが好ましい。
【0063】
上面視で第2端子172の形状は、角部が丸まった四角形である。上面視で第1端子171の形状は、Y方向に平行な線に対して第2端子172の形状と対称な四角形の一の角部を切り欠いたような形状である。このように、第1端子171の形状と第2端子172の形状とは、相互に異なる。そのため、第1端子171と第2端子172とを判別し易い。ただし、上面視での第1端子171及び第2端子172の形状は、上記に限定されない。例えば上面視で第1端子171の形状と第2端子172の形状は同じであってもよい。
【0064】
金属部材173は、第2半導体層123上に位置する第1絶縁膜140上に設けられている。本実施形態において、金属部材173は、金属層153a、153b、153c、153d上のそれぞれに設けられ、第1端子171及び第2端子172と電気的に絶縁されている。ここで、「金属部材173が第1端子171及び第2端子172と電気的に絶縁されている」とは、発光素子100内において金属部材173が第1端子171及び第2端子172と電気的に絶縁されていることを意味する。なお、例えば後述する変形例において基体に実装された際に、基体の導電部材を介して金属部材173と第2端子172とが電気的に接続されていてもよい。金属部材173は、第1端子171や第2端子172と同様の金属材料からなる。放熱性を向上させる観点から、金属部材173の厚さは、例えば、0.8μm以上2μm以下とすることが好ましい。
【0065】
金属部材173は、第1端子171と第2端子172との間に配置されている。また、金属部材173は、
図3に示すように、第2絶縁膜160の第5開口部163b、第6開口部163c、第7開口部163a、及び第8開口部163d内に設けられ、金属層153a、153b、153c、153dとそれぞれ接している。上面視において、金属部材173の一部は、第1領域A1と第2領域A2の間に位置している。
【0066】
また、金属部材173は、第2絶縁膜160の上面において隣り合う第5開口部163bと第6開口部163cの間の領域上に設けられている。同様に、金属部材173は、第2絶縁膜160の隣り合う第5開口部163bと第7開口部163aの間の領域上に設けられている。同様に、金属部材173は、第2絶縁膜160の上面において隣り合う第6開口部163cと第8開口部163dの間の領域上に設けられている。そのため、金属部材173は、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3を第2絶縁膜160を介して覆っている。すなわち、金属部材173の一部は、
図9に示すように、上面視で第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3と重なっている。上面視において、金属部材173は、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3を第2絶縁膜160を介して完全に覆っている。
【0067】
上面視で金属部材173の形状は、例えば角部が丸まった四角形である。ただし、上面視での金属部材173の形状は、上記に限定されない。
【0068】
また、上面視において、金属部材173のX方向における幅W31は金属層153a、153b、153c、153dの幅W11より大きい。ただし、幅W31は幅W11以下であってもよい。
【0069】
図10は、本実施形態に係る発光装置を示す模式的上面図である。
図11は、
図10のXI-XI線における模式的断面図である。
本実施形態に係る発光装置10は、発光素子100と、発光素子100が実装された基体200と、を備える。なお、以下で
図10~
図11を参照して発光装置10について説明する際は、説明をわかりやすくするために、Z方向の逆方向を「上方向」としている。
【0070】
基体200は、
図11に示すように、支持体210と、絶縁部材240と、第1導電部材221と、第2導電部材222と、第3導電部材223と、を有する。
【0071】
支持体210は、例えば、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属材料からなる。絶縁部材240は、例えば、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン窒化物(SiN)等の誘電体材料からなる。
【0072】
導電部材221、222、223は、例えば、銅(Cu)等の金属材料からなる。導電部材221、222、223は、支持体210上に設けられている。
【0073】
絶縁部材240は、支持体210と第1導電部材221との間及び支持体210と第2導電部材222との間に設けられている。支持体210と第3導電部材223との間には、絶縁部材240が設けられていない。
【0074】
第1導電部材221は、接合部材230を介して第1端子171に接続されている。第2導電部材222は、接合部材230を介して第2端子172に接続されている。第3導電部材223は、接合部材230を介して金属部材173に接続されている。第3導電部材223の上方に、接合部材230、金属部材173、第2金属層153c、及び第2半導体層123が位置している。接合部材230は、例えば、錫(Sn)等のはんだ材料を含む導電部材からなる。
【0075】
本実施形態の発光素子100は、金属部材173に接続される複数の金属層153a、153b、153c、153dが、第1電極151及び第2電極152と電気的に絶縁されている。支持体210として比較的熱伝導率の高いアルミニウムや銅等の導電材料を用いる場合、支持体210と第1導電部材221及び第2導電部材222との電気的な接続を抑制するために支持体210と第1導電部材221及び第2導電部材222との間に絶縁部材240を設ける必要がある。本実施形態では金属部材173が第1電極151及び第2電極152と電気的に絶縁しているため、支持体210と第3導電部材223との間に絶縁部材240を設けなくてもよい。そのため、第3導電部材223と支持体210とが接した状態で発光素子100を実装することができ、支持体210と金属部材173が接続された導電部材との間に絶縁部材240を設けている場合に比べて放熱性を向上させることができる。
【0076】
次に、本実施形態に係る発光装置の動作について説明する。
第1導電部材221は、第1端子171及び第1電極151を介して、第1半導体層121に接続されている。また、第2導電部材222は、第2端子172、反射電極130、及び第2電極152を介して、第2半導体層123に接続されている。第1導電部材221と第2導電部材222との間に電圧を印加することで半導体積層体120の活性層122が発光する。
【0077】
この際、第2半導体層123の表面において反射電極130に接している領域から、第1半導体層121の各第2露出領域121s3に向かって電流が流れる。複数の第2露出領域121s3の総面積は、第2半導体層123の表面において反射電極130に接している領域の面積よりも小さい。そのため、1つの第2露出領域121s3における電流密度は、第2半導体層123の表面において反射電極130に接している領域の電流密度よりも高くなり易い。したがって、第2半導体層123の表面において反射電極130に接している領域よりも1つの第2露出領域121s3に熱が集中しやすい。
【0078】
発光素子100においては、
図1に示すように、上面視で隣り合う第1領域A1と第2領域A2との間に第1金属層153bが配置されている。そのため、第1領域A1及び第2領域A2において生じた熱の少なくとも一部は、第1金属層153bに伝搬する。また、上面視で隣り合う第2領域A2と第3領域A3との間に第2金属層153cが配置されている。そのため、第2領域A2及び第3領域A3において生じた熱の少なくとも一部は、第2金属層153cに伝搬する。また、上面視で隣り合う第1露出領域121s2と第1領域A1との間に第3金属層153aが配置されている。そのため、第1領域A1において生じた熱の少なくとも一部は、第3金属層153aに伝搬する。また、上面視で隣り合う第3領域A3と第1露出領域121s2との間に第4金属層153dが配置されている。そのため、第3領域A3において生じた熱の少なくとも一部は、第4金属層153dに伝搬する。
【0079】
金属層153a、153b、153c、153dは、金属部材173に接続されている。金属部材173は、基体200の第3導電部材223に接続されている。そのため、金属層153a、153b、153c、153dに伝搬した熱は、金属部材173及び第3導電部材223により効率的に放熱できる。
【0080】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る発光素子100は、半導体積層体120と、第1絶縁膜140と、第1電極151と、第2電極152と、第1金属層153bと、第1端子171と、第2端子172と、金属部材173と、を備える。半導体積層体120は、第1導電形の第1半導体層121と、第1半導体層121上の一部に設けられた活性層122と、活性層122上に設けられた第2導電形の第2半導体層123と、を有する。第1半導体層121は、隣り合って設けられ、活性層122及び第2半導体層123から露出する第1領域A1と第2領域A2とを有する。第1絶縁膜140は、半導体積層体120の表面を被覆し、第1領域A1上及び第2領域A2上のそれぞれに設けられた第1開口部142aと、第2半導体層123上の一部に設けられた第2開口部143と、を有する。第1電極151は、第2半導体層123上に位置する第1絶縁膜140上に設けられ、第1開口部142aを介して第1半導体層121に接続されている。第2電極152は、第2開口部143を介して第2半導体層123に接続されている。第1端子171は、第1電極151上に設けられ、第1電極151に接続されている。第2端子172は、第2電極152上に設けられ、第2電極152に接続されている。金属部材173は、第2半導体層123上に位置する第1絶縁膜140上に設けられ、第1端子171及び第2端子172と電気的に絶縁されている。上面視において、金属部材173の一部は、第1領域A1と第2領域A2の間に位置している。
【0081】
このような発光素子100においては、第1半導体層121の第1領域A1及び第2領域A2において生じた熱の少なくとも一部を、上面視で第1領域A1と第2領域A2との間に配置された金属部材173により効率的に放熱できる。
【0082】
また、発光素子100は、第2半導体層123上に位置する第1絶縁膜140上に設けられ、第1電極151及び第2電極152と電気的に絶縁された第1金属層153bをさらに有する。上面視において、第1金属層153bは、第1領域A1と第2領域A2の間に位置している。金属部材173は、第1金属層153bと接続されている。このような発光素子100においては、第1半導体層121の第1領域A1及び第2領域A2において生じた熱の少なくとも一部を、上面視で第1領域A1と第2領域A2との間に配置された第1金属層153bと、金属部材173と、により効率的に放熱できる。また、第1絶縁膜140上に第1金属層153bを設けることで、金属部材173を設ける位置の第2絶縁膜160を除去し開口部を形成する際、第1絶縁膜140が除去されることを抑制できる。例えば、第1金属層153b上に位置する第2絶縁膜160を除去することで、第1金属層153bにより第1絶縁膜140が除去されることが抑制される。その結果、発光素子100の信頼性を向上できる。
【0083】
また、第1電極151は、第1領域A1と第2領域A2の間に位置し、第1絶縁膜140を露出させる第1貫通孔151bを有する。第1金属層153bは、第1貫通孔151b内に配置されている。このような発光素子100においては、第1領域A1及び第2領域A2から第1電極151に伝搬した熱を、第1金属層153bにより効率的に放熱できる。
【0084】
また、上面視において、金属部材173の一部は第1領域A1と重なって設けられている。このような発光素子100においては、第1領域A1において生じた熱を、真上に設けられた金属部材173により短い距離で放熱できる。
【0085】
また、第1半導体層121は、第2領域A2に隣り合って設けられ、活性層122及び第2半導体層123から露出する第3領域A3を更に有する。第1電極151は、第2領域A2と第3領域A3の間に位置し、第1絶縁膜140を露出させる第2貫通孔151cを更に有する。発光素子100は、第2貫通孔151c内に設けられ、第1電極151及び第2電極152と電気的に絶縁された第2金属層153cを、更に備える。上面視において、第2領域A2は、第1金属層153bと第2金属層153cとの間に位置している。金属部材173は、第1金属層153bと第2金属層153cとに接続されている。このような発光素子100においては、第1電極151が第1半導体層121に接続される第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3の数を増やしつつ、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3において生じた熱の少なくとも一部を、第1金属層153b、第2金属層153c、及び金属部材173によって効率的に放熱できる。
【0086】
また、発光素子100は、第2絶縁膜160を更に備える。第2絶縁膜160は、第1電極151の一部、第2電極152の一部、第1金属層153bの一部、及び第2金属層153cの一部を被覆する。また、第2絶縁膜160は、第1電極151の他の一部を露出させる第3開口部161と、第2電極152の他の一部を露出させる第4開口部162と、第1金属層153bの他の一部を露出させる第5開口部163bと、第2金属層153cの他の一部を露出させる第6開口部163cと、を有する。第1端子171は、第3開口部161を介して第1電極151に接続されている。第2端子172は、第4開口部162を介して第2電極152に接続されている。金属部材173は、第5開口部163bを介して第1金属層153bに接続され、第6開口部163cを介して第2金属層153cに接続されている。このような発光素子100においては、第1電極151と第2電極152とを絶縁し、各金属層153b、153cと第1電極151を絶縁することができる。
【0087】
また、上面視において、金属部材173は、第2領域A2を第2絶縁膜160を介して覆っている。このような発光素子100においては、金属部材173が第1半導体層121に電気的に接続されることを抑制しつつ、第2領域A2において生じた熱を、真上に設けられた金属部材173により短い距離で放熱できる。
【0088】
また、上面視において、第1金属層153bの幅W11は第1領域A1の幅W21より大きい。このような発光素子100においては、第1金属層153bの放熱面積を大きくすることができる。これにより、第1金属層153bに伝搬した熱を効率的に放熱できる。
【0089】
また、上面視において、金属部材173の幅W31は第1金属層153bの幅W11より大きい。このような発光素子100においては、金属部材173の放熱面積を大きくすることができる。これにより、金属部材173に伝搬した熱を効率的に放熱できる。
【0090】
また、上面視において、金属部材173は、第1端子171と第2端子172の間に設けられている。このような発光素子100においては、発光素子100の内部に生じた熱を効率的に放熱できる。
【0091】
また、第1半導体層121は、n形半導体層であり、第2半導体層123は、p形半導体層である。このような発光素子100においては、第2半導体層123から第1半導体層121に向かって電流が流れた際に生じる熱を、効率的に放熱できる。
【0092】
また、本実施形態に係る発光装置10は、発光素子100と、基体200と、を備える。基体200は、第1端子171に接続された第1導電部材221と、第2端子172に接続された第2導電部材222と、金属部材173に接続された第3導電部材223と、を有する。このような発光装置10においては、第1半導体層121から金属部材173に伝搬した熱を、第3導電部材223により効率的に放熱できる。
【0093】
<変形例>
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
図12は、本変形例に係る発光装置を示す模式的断面図である。
本変形例に係る発光装置20は、基体300の構成において、上記実施形態に係る発光装置10と相違する。
なお、以下の説明においては、原則として、上記実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、上記実施形態と同様である。
【0094】
基体300は、支持体310と、第1導電部材321と、第2導電部材322と、を有する。第1導電部材321及び第2導電部材322は、支持体310上に設けられている。絶縁部材240は、支持体310と第1導電部材321との間及び支持体310と第2導電部材322との間に設けられている。第1導電部材321は、接合部材230を介して第1端子171に接続されている。第2導電部材322は、接合部材230を介して第2端子172及び金属部材173に接続されている。
【0095】
以上説明したように、本変形例に係る発光装置20は、発光素子100と、基体300と、を備える。基体300は、第1端子171に接続された第1導電部材321と、第2端子172及び金属部材173に接続された第2導電部材322と、を有する。このような発光装置20においては、第1半導体層121から金属部材173に伝搬した熱を、第2導電部材322により効率的に放熱できる。また、支持体310上に設ける導電部材の数を上記実施形態の発光装置10よりも減少させより簡素な構造とすることができる。
【0096】
上記実施形態及び変形例では、発光素子が複数の金属層を備え、各金属層が第1絶縁膜上に設けられ、第1絶縁膜に接している形態を説明したが、発光素子に金属層を設けず、金属部材が第1絶縁膜上に設けられ、第1絶縁膜に接していてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10、20:発光装置
100:発光素子
110:基板
120:半導体積層体
121:第1半導体層
121s1:被覆領域
121s2:第1露出領域
121s3:第2露出領域
122:活性層
123:第2半導体層
123a:外周の領域
123b:貫通孔の周囲の領域
124:貫通孔
130:反射電極
130a:第1絶縁膜から露出する領域
130b:側面
131:貫通孔
140:第1絶縁膜
141:第1層
141a:開口部
141b:開口部
141s1:第1開口領域
141s2:第2開口領域
142:第2層
142a:開口部(第1開口部)
142b:開口部
143:第2開口部
151:第1電極
151a:第3貫通孔
151b:第1貫通孔
151c:第2貫通孔
151d:第4貫通孔
151e:開口部
151f:他の一部
152:第2電極
152a:他の一部
153a:第3金属層
153b:第1金属層
153c:第2金属層
153d:第4金属層
153e1、151e2、151e3、153e4:他の一部
160:第2絶縁膜
161:第3開口部
162:第4開口部
163a:第7開口部
163b:第5開口部
163c:第6開口部
163d:第8開口部
171:第1端子
172:第2端子
173:金属部材
200、300:基体
210、310:支持体
221、321:第1導電部材
222、322:第2導電部材
223:第3導電部材
230:接合部材
240:絶縁部材
A1:第1領域
A2:第2領域
A3:第3領域
M1:第1列
M2:第2列
M3:第3列