(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】硬化膜形成組成物、配向材および位相差材
(51)【国際特許分類】
C08G 65/34 20060101AFI20221116BHJP
C08F 8/14 20060101ALI20221116BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C08G65/34
C08F8/14
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2019509909
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2018012503
(87)【国際公開番号】W WO2018181356
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2017061707
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018003675
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】菅野 裕太
(72)【発明者】
【氏名】畑中 真
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-027048(JP,A)
【文献】特開2016-173380(JP,A)
【文献】特開2013-109151(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0073024(KR,A)
【文献】特開2002-317155(JP,A)
【文献】特開2011-253175(JP,A)
【文献】特開2009-258650(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147987(WO,A1)
【文献】特開2016-224151(JP,A)
【文献】特開昭60-247639(JP,A)
【文献】特開2015-026050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G65/00- 65/48
C08F 6/00-246/00
G02B 5/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ基を有するポリマーと下記式(1)で表される桂皮酸誘導体との反応生成物、並びに
(B)
メチロール基またはアルコキシメチル基を有する架橋剤
を含有する硬化膜形成組成物。
【化1】
(式(1)中、A
1とA
2はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R
1は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のハロアルキル基、炭素原子数3~8のシクロアルキル基、炭素原子数3~8のハロシクロアルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数2~6のハロアルケニル基、炭素原子数3~8のシクロアルケニル基、炭素原子数3~8のハロシクロアルケニル基、炭素原子数2~6のアルキニル基、炭素原子数2~6のハロアルキニル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6のハロアルコキシ基、(炭素原子数1~6のアルキル)カルボニル基、(炭素原子数1~6のハロアルキル)カルボニル基、(炭素原子数1~6のアルコキシ)カルボニル基、(炭素原子数1~6のハロアルコキシ)カルボニル基、(炭素原子数1~6のアルキルアミノ)カルボニル基、(炭素原子数1~6のハロアルキル)アミノカルボニル基、ジ(炭素原子数1~6のアルキル)アミノカルボニル基、シアノ基及びニトロ基からなる群から選ばれる置換基を表し、R
2は2価の芳香族基、2価の脂環族基、2価の複素環式基または2価の縮合環式基を表し、R
3は単結合、酸素原子、-CO
O-または-OCO-を表し、R
4~R
7はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のハロアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6のハロアルコキシ基、シアノ基、及びニトロ基からなる群から選ばれる置換基を表し、nは0~3の整数である。)
【請求項2】
(C)ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するポリマーをさらに含有する、請求項
1に記載の硬化膜形成組成物。
【請求項3】
(D)架橋触媒をさらに含有する、請求項1
または2に記載の硬化膜形成組成物。
【請求項4】
(E)1つ以上の重合性基と、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基A又は該基Aと反応する少なくとも1つの基とを有する化合物を含有する、請求項1乃至
3のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物。
【請求項5】
(A)成分100質量部に基づいて、1質量部~500質量部の(B)成分を含有する、請求項1乃至
4のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物。
【請求項6】
(A)成分及び(B)成分の合計量の100質量部に対して1質量部~400質量部の(C)成分を含有する、請求項
2に記載の硬化膜形成組成物。
【請求項7】
(A)成分及び(B)成分の合計量の100質量部に対して0.01質量部~20質量部の(D)成分を含有する、請求項
3に記載の硬化膜形成組成物。
【請求項8】
(A)成分及び(B)成分の合計量の100質量部に対して1質量部~100質量部の(E)成分を含有する、請求項
4に記載の硬化膜形成組成物。
【請求項9】
請求項1乃至
8のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物を用いて得られる硬化膜。
【請求項10】
請求項1乃至
8のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物を用いて形成される配向材。
【請求項11】
請求項1乃至
8のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物を用いて得られる硬化膜を有する位相差材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶分子を配向させる光配向用液晶配向剤として用いることができる硬化膜形成組成物、配向材および位相差材に関する。特に本発明は、円偏光メガネ方式の3Dディスプレイに用いられるパターニングされた位相差材や、有機ELディスプレイの反射防止膜として使用される円偏光板に用いられる位相差材を作製するのに有用な光配向用液晶配向剤として用いることができる硬化膜形成組成物、配向材および位相差材に関する。
【背景技術】
【0002】
円偏光メガネ方式の3Dディスプレイの場合、液晶パネル等の画像を形成する表示素子の上に位相差材が配置されるのが通常である。この位相差材は、位相差特性の異なる2種類の位相差領域がそれぞれ複数、規則的に配置されており、パターニングされた位相差材を構成している。尚、以下、本明細書においては、このような位相差特性の異なる複数の位相差領域を配置するようにパターン化された位相差材をパターン化位相差材と称する。
【0003】
パターン化位相差材は、例えば、特許文献1に開示されるように、重合性液晶からなる位相差材料を光学パターニングすることで作製することができる。重合性液晶からなる位相差材料の光学パターニングは、液晶パネルの配向材形成で知られた光配向技術を利用する。すなわち、基板上に光配向性の材料からなる塗膜を設け、これに偏光方向が異なる2種類の偏光を照射する。そして、液晶の配向制御方向の異なる2種類の液晶配向領域が形成された配向材として光配向膜を得る。この光配向膜の上に重合性液晶を含む溶液状の位相差材料を塗布し、重合性液晶の配向を実現する。その後、配向された重合性液晶を硬化してパターン化位相差材を形成する。
【0004】
有機ELディスプレイの反射防止膜は、直線偏光板、1/4波長位相差板により構成され、画像表示パネルのパネル面に向かう外来光を直線偏光板により直線偏光に変換し、続く1/4波長位相差板により円偏光に変換する。ここでこの円偏光による外来光は、画像表示パネルの表面等で反射するものの、この反射の際に偏光面の回転方向が逆転する。その結果、この反射光は、到来時とは逆に、1/4波長位相差板より、直線偏光板により遮光される方向の直線偏光に変換された後、続く直線偏光板により遮光され、その結果、外部への出射が著しく抑制される。
【0005】
この1/4波長位相差板に関して、特許文献2には、1/2波長板、1/4波長板を組み合わせて1/4波長位相差板を構成することにより、この光学フィルムを逆分散特性により構成する方法が提案されている。この方法の場合、カラー画像の表示に供する広い波長帯域において、正の分散特性による液晶材料を使用して逆分散特性により光学フィルムを構成することができる。
【0006】
また近年、この位相差層に適用可能な液晶材料として、逆分散特性を備えるものが提案されている(特許文献3、4)。このような逆分散特性の液晶材料によれば、1/2波長板、1/4波長板を組み合わせて2層の位相差層により1/4波長位相差板を構成する代わりに、位相差層を単層により構成して逆分散特性を確保することができ、これにより広い波長帯域において所望の位相差を確保することが可能な光学フィルムを簡易な構成により実現することができる。
【0007】
液晶を配向させるためには配向層が用いられる。配向層の形成方法としては、例えばラビング法や光配向法が知られており、光配向法はラビング法の問題点である静電気や塵の発生がなく、定量的な配向処理の制御ができる点で有用である。
【0008】
光配向法を用いた配向材形成では、利用可能な光配向性の材料として、側鎖にシンナモイル基およびカルコン基等の光二量化部位を有するアクリル樹脂やポリイミド樹脂等が知られている。これらの樹脂は、偏光UV照射することにより、液晶の配向を制御する性能(以下、液晶配向性とも言う。)を示すことが報告されている(特許文献5~特許文献7を参照。)。
【0009】
また、配向層には、液晶配向能の他、耐溶剤性が要求される。例えば、配向層が、位相差材の製造過程にて熱や溶剤にさらされる場合がある。配向層が溶剤にさらされると、液晶配向能が著しく低下するおそれがある。
【0010】
そこで、例えば特許文献8には、安定した液晶配向能を得るために、光により架橋反応の可能な構造と熱によって架橋する構造とを有する重合体成分を含有する液晶配向剤、および、光により架橋反応の可能な構造を有する重合体成分と熱によって架橋する構造を有する化合物とを含有する液晶配向剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2005-49865号公報
【文献】特開平10-68816号公報
【文献】米国特許第8119026号明細書
【文献】特開2009-179563号公報
【文献】特許第3611342号公報
【文献】特開2009-058584号公報
【文献】特表2001-517719号公報
【文献】特許第4207430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上のように、位相差材は、配向材である光配向膜の上に、硬化された重合性液晶の層を積層して構成される。そのため、優れた液晶配向性と耐溶剤性を両立することができる配向材の開発が必要とされている。
【0013】
しかしながら、本発明者の検討によれば、側鎖にシンナモイル基やカルコン基等の光二量化部位を有するアクリル樹脂は、位相差材の形成に適用した場合に充分な特性が得られないことが見出された。特に、これらの樹脂に偏光UVを照射して配向材を形成し、その配向材を用いて重合性液晶からなる位相差材を作製するためには、多くの偏光UV露光量が必要となる。その偏光UV露光量は、通常の液晶パネル用の液晶を配向させるのに十分な偏光UV露光量(例えば、30mJ/cm2程度。)より格段に多くなる。
【0014】
偏光UV露光量が多くなる理由としては、位相差材形成の場合、液晶パネル用の液晶と異なり、重合性液晶が溶液の状態で用いられ、配向材の上に塗布されることが挙げられている。
【0015】
側鎖にシンナモイル基等の光二量化部位を有するアクリル樹脂等を用いて配向材を形成し、重合性液晶を配向させようとする場合、そのアクリル樹脂等においては、光二量化反応による光架橋を行う。そして、重合性液晶溶液に対する耐性が発現するまで、多くの露光量の偏光照射を行う必要がある。液晶パネルの液晶を配向させるためには、通常、光配向性の配向材の表面のみを二量化反応すればよい。しかし、上述のアクリル樹脂等の従来材料を用いて配向材に溶剤耐性を発現させようとすると、配向材の内部まで反応をさせる必要があり、より多くの露光量が必要となる。その結果、従来材料の配向感度は非常に小さくなってしまうという問題があった。
【0016】
また、上述の従来材料である樹脂にこのような溶剤耐性を発現させるため、架橋剤を添加する技術が知られている。しかし、架橋剤による熱硬化反応を行った後、形成される塗膜の内部には3次元構造が形成され、光反応性は低下するという問題が生じる。すなわち、配向感度が大きく低下してしまい、従来材料に架橋剤を添加して使用しても、所望とする効果は得られていない。
【0017】
以上より、配向材の配向感度を向上させ、偏光UV露光量を低減できる光配向技術と、その配向材の形成に用いられる光配向用液晶配向剤として用いることができる硬化膜形成組成物が求められている。そして、高効率に位相差材を提供することができる技術が求められている。
【0018】
本発明の目的は、以上の知見や検討結果に基づいてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、優れた耐溶剤性を有し、高感度で重合性液晶を配向させることができる配向材を提供するための光配向用液晶配向剤として用いることができる硬化膜形成組成物を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、(A)エポキシ基を有するポリマーと特定の桂皮酸誘導体との反応生成物、(B)架橋剤をベースとする硬化膜形成材料を選択することにより、優れた耐溶剤性を有し、高感度で重合性液晶を配向させることができる硬化膜(配向材)を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0021】
すなわち、本発明は第1観点として、
(A)エポキシ基を有するポリマーと下記式(1)で表される桂皮酸誘導体との反応生成物、並びに
【化1】
(式(1)中、A
1とA
2はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R
1は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のハロアルキル基、炭素原子数3~8のシクロアルキル基、炭素原子数3~8のハロシクロアルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数2~6のハロアルケニル基、炭素原子数3~8のシクロアルケニル基、炭素原子数3~8のハロシクロアルケニル基、炭素原子数2~6のアルキニル基、炭素原子数2~6のハロアルキニル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6のハロアルコキシ基、(炭素原子数1~6のアルキル)カルボニル基、(炭素原子数1~6のハロアルキル)カルボニル基、(炭素原子数1~6のアルコキシ)カルボニル基、(炭素原子数1~6のハロアルコキシ)カルボニル基、(炭素原子数1~6のアルキルアミノ)カルボニル基、(炭素原子数1~6のハロアルキル)アミノカルボニル基、ジ(炭素原子数1~6のアルキル)アミノカルボニル基、シアノ基及びニトロ基からなる群から選ばれる置換基を表し、R
2は2価の芳香族基、2価の脂環族基、2価の複素環式基または2価の縮合環式基を表し、R
3は単結合、酸素原子、-COO-または-OCO-を表し、R
4~R
7はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のハロアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6のハロアルコキシ基、シアノ基、及びニトロ基からなる群から選ばれる置換基を表し、nは0~3の整数である。)
(B)架橋剤
を含有する硬化膜形成組成物に関する。
第2観点として、(B)架橋剤がメチロール基またはアルコキシメチル基を有する架橋剤である、第1観点に記載の硬化膜形成組成物に関する。
第3観点として、(C)ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するポリマーをさらに含有する、第1観点または第2観点に記載の硬化膜形成組成物に関する。
第4観点として、(D)架橋触媒をさらに含有する、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物に関する。
第5観点として、(E)1つ以上の重合性基と、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基A又は該基Aと反応する少なくとも1つの基とを有する化合物を含有する、第1観点乃至第4観点のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物に関する。
第6観点として、(A)成分100質量部に基づいて、1質量部~500質量部の(B)成分を含有する、第1観点乃至第5観点のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物に関する。
第7観点として、(A)成分及び(B)成分の合計量の100質量部に対して1質量部~400質量部の(C)成分を含有する、第3観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物に関する。
第8観点として、(A)成分及び(B)成分の合計量の100質量部に対して0.01質量部~20質量部の(D)成分を含有する、第4観点乃至第7観点のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物に関する。
第9観点として、(A)成分及び(B)成分の合計量の100質量部に対して1質量部~100質量部の(E)成分を含有する、第5観点乃至第8観点のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物に関する。
第10観点として、第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物を用いて得られる硬化膜に関する。
第11観点として、第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物を用いて形成される配向材に関する。
第12観点として、第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の硬化膜形成組成物を用いて得られる硬化膜を有する位相差材に関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、優れた耐溶剤性を有し、高感度で重合性液晶を配向させることができる硬化膜と、その形成に好適な硬化膜形成組成物を提供することができる。
本発明によれば、液晶配向性と光透過性に優れた配向材及び高精度な光学パターニングが可能な位相差材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<硬化膜形成組成物>
本発明の硬化膜形成組成物は、(A)エポキシ基を有するポリマーと特定の桂皮酸誘導体との反応生成物、及び(B)架橋剤を含有する。本発明の硬化膜形成組成物は、上記(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに、(C)成分としてヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するポリマーを含有することもできる。さらに、(D)成分として架橋触媒をも含有することができる。さらに(E)成分として1つ以上の重合性基と、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基A又は該基Aと反応する少なくとも1つの基とを有する化合物を含有することができる。そして、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他の添加剤を含有することができる。
以下、各成分の詳細を説明する。
【0024】
<(A)成分>
本発明の硬化膜形成組成物に含有される(A)成分は、エポキシ基を有するポリマーと上記式(1)で表される桂皮酸誘導体との反応生成物である。
【0025】
<エポキシ基を有するポリマー>
エポキシ基を有するポリマーは、例えばエポキシ基を有する重合性不飽和化合物の重合体またはエポキシ基を有する重合性不飽和化合物とその他の重合性不飽和化合物との共重合体であることができる。
【0026】
エポキシ基を有する重合性不飽和化合物の具体例としては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、α-n-プロピルアクリル酸グリシジル、α-n-ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸-3,4-エポキシブチル、メタクリル酸-3,4-エポキシブチル、アクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、メタクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、α-エチルアクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0027】
その他の重合性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、メタクリル酸アリールエステル、アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物類、マレイミド化合物類、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、これら以外の重合性不飽和化合物を挙げることができる。
【0028】
これらの具体例としては、メタクリル酸アルキルエステルとして、例えばヒドロキシメチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート、2-メタクリロキシエチルグリコサイド、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n-ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、n-ステアリルメタクリレート等;アクリル酸アルキルエステルとして、例えばメチルアクリレート、イソプロピルアクリレート等;メタクリル酸環状アルキルエステルとして、例えばシクロヘキシルメタクリレート、2-メチルシクロヘキシルメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルオキシエチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、コレスタニルメタクリレート等;アクリル酸環状アルキルエステルとして、例えばシクロヘキシルアクリレート、2-メチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、コレスタニルアクリレート等;メタクリル酸アリールエステルとして、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等;アクリル酸アリールエステルとして、例えばフェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等;不飽和ジカルボン酸ジエステルとして、例えばマレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等;
【0029】
ビシクロ不飽和化合物類として、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等;マレイミド化合物類として、例えばフェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等;不飽和芳香族化合物として、例えばスチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン等;共役ジエン系化合物として、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等;不飽和モノカルボン酸として、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;不飽和ジカルボン酸として、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等;不飽和ジカルボン酸無水物として、上記不飽和ジカルボン酸の各無水物;上記以外の重合性不飽和化合物として、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル等をそれぞれ挙げることができる。
【0030】
エポキシ基を有するポリマーにおけるエポキシ基を有する重合性不飽和化合物の共重合割合は、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
【0031】
エポキシ基を有するポリマーの合成は、好ましくは溶媒中、適当な重合開始剤の存在下における公知のラジカル重合法により行うことができる。
【0032】
エポキシ基を有するポリマーとしては、市販品を使用してもよい。かかる市販品としては、例えばEHPE3150、EHPE3150CE(以上、(株)ダイセル製)、UG-4010、UG-4035、UG-4040、UG-4070(以上、東亜合成(株)製ARUFONシリーズ)、ECN-1299(旭化成(株)製)、DEN431、DEN438(以上、ダウケミカル社製)、jER-152(ジャパンエポキシレジン(株)製)、エピクロンN-660、N-665、N-670、N-673、N-695、N-740、N-770、N-775(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-104S(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0033】
<カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体>
上記カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体としては、上記式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0034】
上記式(1)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。尚、本明細書中「ハロ」の表記もこれらのハロゲン原子を表す。
【0035】
上記式(1)における炭素原子数a~bのアルキル基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表し、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0036】
上記式(1)における炭素原子数a~bのハロアルキル基の表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa~b個よりなる直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表し、このとき、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えばフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、クロロフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ブロモフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、ブロモクロロフルオロメチル基、ジブロモフルオロメチル基、2-フルオロエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2-クロロ-2-フルオロエチル基、2,2-ジクロロエチル基、2-ブロモ-2-フルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル基、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、2-ブロモ-2,2-ジフルオロエチル基、2-ブロモ-2-クロロ-2-フルオロエチル基、2-ブロモ-2,2-ジクロロエチル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエチル基、2-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、1,2-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロエチル基、2-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、2-フルオロプロピル基、2-クロロプロピル基、2-ブロモプロピル基、2-クロロ-2-フルオロプロピル基、2,3-ジクロロプロピル基、2-ブロモ-3-フルオロプロピル基、3-ブロモ-2-クロロプロピル基、2,3-ジブロモプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-ブロモ-3,3-ジフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、2,3-ジクロロ-1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2-フルオロ-1-メチルエチル基、2-クロロ-1-メチルエチル基、2-ブロモ-1-メチルエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブチル基、ノナフルオロブチル基、4-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブチル基、2-フルオロ-2-メチルプロピル基、2-クロロ-1,1-ジメチルエチル基、2-ブロモ-1,1-ジメチルエチル基、5-クロロ-2,2,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0037】
上記式(1)における炭素原子数a~bのシクロアルキル基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる環状の炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環又は複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよい。例えばシクロプロピル基、1-メチルシクロプロピル基、2-メチルシクロプロピル基、2,2-ジメチルシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0038】
上記式(1)における炭素原子数a~bのハロシクロアルキル基の表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa~b個よりなる環状の炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環又は複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよく、ハロゲン原子による置換は環構造部分であっても、側鎖部分であっても、或いはそれらの両方であってもよく、さらに、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えば2,2-ジフルオロシクロプロピル基、2,2-ジクロロシクロプロピル基、2,2-ジブロモシクロプロピル基、2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロピル基、2,2-ジクロロ-1-メチルシクロプロピル基、2,2-ジブロモ-1-メチルシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロブチル基、2-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基、3-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基、4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0039】
上記式(1)における炭素原子数a~bのアルケニル基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる直鎖状又は分岐鎖状で、且つ分子内に1個又は2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、例えばビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチルエテニル基、2-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、2-ペンテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2-エチル-2-プロペニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、2-ヘキセニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、2,4-ジメチル-2,6-ヘプタジエニル基、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0040】
上記式(1)における炭素原子数a~bのハロアルケニル基の表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa~b個よりなる直鎖状又は分岐鎖状で、且つ分子内に1個又は2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表す。このとき、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えば2,2-ジクロロビニル基、2-フルオロ-2-プロペニル基、2-クロロ-2-プロペニル基、3-クロロ-2-プロペニル基、2-ブロモ-2-プロペニル基、3-ブロモ-2-プロペニル基、3,3-ジフルオロ-2-プロペニル基、2,3-ジクロロ-2-プロペニル基、3,3-ジクロロ-2-プロペニル基、2,3-ジブロモ-2-プロペニル基、2,3,3-トリフルオロ-2-プロペニル基、2,3,3-トリクロロ-2-プロペニル基、1-(トリフルオロメチル)エテニル基、3-クロロ-2-ブテニル基、3-ブロモ-2-ブテニル基、4,4-ジフルオロ-3-ブテニル基、3,4,4-トリフルオロ-3-ブテニル基、3-クロロ-4,4,4-トリフルオロ-2-ブテニル基、3-ブロモ-2-メチル-2-プロペニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0041】
上記式(1)における炭素原子数a~bのシクロアルケニル基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる環状の、且つ1個又は2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環又は複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよく、さらに、二重結合はendo-又はexo-のどちらの形式であってもよい。例えば2-シクロペンテン-1-イル基、3-シクロペンテン-1-イル基、2-シクロヘキセン-1-イル基、3-シクロヘキセン-1-イル基、ビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2-イル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0042】
上記式(1)における炭素原子数a~bのハロシクロアルケニル基の表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa~b個よりなる環状の、且つ1個又は2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環又は複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよく、さらに、二重結合はendo-又はexo-のどちらの形式であってもよい。また、ハロゲン原子による置換は環構造部分であっても、側鎖部分であっても、或いはそれらの両方であってもよく、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていても良い。例えば2-クロロビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2-イル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0043】
上記式(1)における炭素原子数a~bのアルキニル基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる直鎖状又は分岐鎖状で、且つ分子内に1個又は2個以上の三重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、2-ペンチニル基、1-メチル-2-ブチニル基、1,1-ジメチル-2-プロピニル基、2-ヘキシニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0044】
上記式(1)における炭素原子数a~bのハロアルキニル基の表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa~b個よりなる直鎖状又は分岐鎖状で、且つ分子内に1個又は2個以上の三重結合を有する不飽和炭化水素基を表す。このとき、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていても良い。例えば2-クロロエチニル基、2-ブロモエチニル基、2-ヨードエチニル基、3-クロロ-2-プロピニル基、3-ブロモ-2-プロピニル基、3-ヨード-2-プロピニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0045】
上記式(1)における炭素原子数a~bのアルコキシ基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる前記の意味であるアルキル-O-基を表し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、i-プロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、i-ブチルオキシ基、s-ブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0046】
上記式(1)における炭素原子数a~bのハロアルコキシ基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる前記の意味であるハロアルキル-O-基を表し、例えばジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、クロロジフルオロメトキシ基、ブロモジフルオロメトキシ基、2-フルオロエトキシ基、2-クロロエトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、1,1,2,2,-テトラフルオロエトキシ基、2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエトキシ基、2-ブロモ-1,1,2-トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、2,2-ジクロロ-1,1,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,2-トリクロロ-1,1-ジフルオロエトキシ基、2-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルオキシ基、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルオキシ基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エトキシ基、ヘプタフルオロプロピルオキシ基、2-ブロモ-1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルオキシ基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0047】
上記式(1)における(炭素原子数a~bのアルキル)カルボニル基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる前記の意味であるアルキル-C(O)-基を表し、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、2-メチルブタノイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0048】
上記式(1)における(炭素原子数a~bのハロアルキル)カルボニル基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる前記の意味であるハロアルキル-C(O)-基を表し、例えばフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ジフルオロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロジフルオロアセチル基、ブロモジフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基、ヘプタフルオロブタノイル基、3-クロロ-2,2-ジメチルプロパノイル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0049】
上記式(1)における(炭素原子数a~bのアルコキシ)カルボニル基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる前記の意味であるアルキル-O-C(O)-基を表し、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、i-プロピルオキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、i-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0050】
上記式(1)における(炭素原子数a~bのハロアルコキシ)カルボニル基の表記は、炭素原子数がa~b個よりなる前記の意味であるハロアルキル-O-C(O)-基を表し、例えば2-クロロエトキシカルボニル基、2,2-ジフルオロエトキシカルボニル基、2,2,2-トリフルオロエトキシカルボニル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0051】
上記式(1)における(炭素原子数a~bのアルキルアミノ)カルボニル基の表記は、水素原子の一方が炭素原子数がa~b個よりなる前記の意味であるアルキル基によって置換されたカルバモイル基を表し、例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n-プロピルカルバモイル基、i-プロピルカルバモイル基、n-ブチルカルバモイル基、i-ブチルカルバモイル基、s-ブチルカルバモイル基、t-ブチルカルバモイル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0052】
上記式(1)における(炭素原子数a~bのハロアルキル)アミノカルボニル基の表記は、水素原子の一方が炭素原子数a~b個よりなる前記の意味であるハロアルキル基によって置換されたカルバモイル基を表し、例えば2-フルオロエチルカルバモイル基、2-クロロエチルカルバモイル基、2,2-ジフルオロエチルカルバモイル基、2,2,2-トリフルオロエチルカルバモイル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0053】
上記式(1)におけるジ(炭素原子数a~bのアルキル)アミノカルボニル基の表記は、水素原子が両方とも、それぞれ同一でも又は互いに相異なっていてもよい炭素原子数がa~b個よりなる前記の意味であるアルキル基によって置換されたカルバモイル基を表し、例えばN,N-ジメチルカルバモイル基、N-エチル-N-メチルカルバモイル基、N,N-ジエチルカルバモイル基、N,N-ジ-n-プロピルカルバモイル基、N,N-ジ-n-ブチルカルバモイル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0054】
式(1)で表される桂皮酸誘導体の置換基R1、R4、R5、R6及びR5としては、中でも、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のハロアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6のハロアルコキシ基、シアノ基及びニトロ基からなる群から選ばれる置換基であることが好ましい。
【0055】
また、置換基R1としては上記定義の中で水素原子以外の置換基であることが、配向感度の点から好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のハロアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6のハロアルコキシ基、シアノ基及びニトロ基からなる群から選ばれる置換基がさらに好ましい。
【0056】
置換基R2の2価の芳香族基としては、例えば1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-フェニレン基等を;R2の2価の脂環族基としては、例えば1,2-シクロプロピル基、1,3-シクロブチレン基、1,4-シクロへキシレン基等を;R2の2価の複素環式基としては、例えば1,4-ピリジレン基、2,5-ピリジレン基、1,4-フラニレン基等を;R2の2価の縮合環式基としては、例えば2,6-ナフチレン基等を、それぞれ挙げることができる。R2としては1,4-フェニレン基が好ましい。
【0057】
上記式(1)で表される化合物の好ましい例としては、例えば下記式(1-1)~(1-5)
【化2】
(上式中、R
1は、それぞれ、上記式(1)におけるR
1と同義である。)のそれぞれで表される桂皮酸誘導体等を挙げることができる。
【0058】
上記式(1)で表される桂皮酸誘導体は、有機化学の定法を適宜に組み合わせて合成することができる。
【0059】
<エポキシ基を有するポリマーと特定の桂皮酸誘導体との反応>
本発明の硬化膜形成組成物に含有される、エポキシ基を有するポリマーと特定の桂皮酸誘導体との反応生成物は、上記の如きエポキシ基を有するポリマーと特定の桂皮酸誘導体とを、好ましくは触媒の存在下、好ましくは適当な有機溶媒中で反応させることにより合成することができる。
反応に際して使用される桂皮酸誘導体の使用割合は、エポキシ基を有するポリマーに含まれるエポキシ基1モルに対して、好ましくは0.01~1.5モルであり、より好ましくは0.05~1.3モルであり、さらに好ましくは0.1~1.1モルである。
なお、桂皮酸誘導体と反応するエポキシ基の割合としては、上記使用割合の結果、達成される範囲が好ましいが、光配向性の観点からは、エポキシ基全体の80モル%~100モル%であるのが特に好ましい。
ここで使用することのできる有機触媒としては、有機塩基またはエポキシ化合物と酸無水物との反応を促進するいわゆる硬化促進剤として公知の化合物を用いることができる。
【0060】
上記有機塩基としては、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロール等の1~2級有機アミン;トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン等の3級の有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の4級の有機アミン等を挙げることができる。これらの有機塩基のうち、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン等の3級の有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の4級の有機アミンが好ましい。
【0061】
上記硬化促進剤としては、例えばベンジルジメチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン;2-メチルイミダゾール、2-n-ヘプチルイミダゾール、2-n-ウンデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-n-ウンデシルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-フェニル-4,5-ジ〔(2’-シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-n-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1-(2-シアノエチル)-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-〔2’-メチルイミダゾリル-(1’)〕エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-n-ウンデシルイミダゾリル)エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-〔2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)〕エチル-s-トリアジン、2-メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-〔2’-メチルイミダゾリル-(1’)〕エチル-s-トリアジンのイソシアヌル酸付加物等のイミダゾール化合物;ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン化合物;
【0062】
ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ-n-ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド(エチルトリフェニルホスホニウムブロミド)、n-ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、テトラ-n-ブチルフォスフォニウムo,o-ジエチルフォスフォロジチオネート、テトラ-n-ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ-n-ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ-n-ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレート等の4級フォスフォニウム塩;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩;三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニル等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化合物;ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物等のアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性硬化促進剤;前記イミダゾール化合物、有機リン化合物や4級フォスフォニウム塩等の硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤;アミン塩型潜在性硬化剤促進剤;ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等の潜在性硬化促進剤等を挙げることができる。
これらのうち、好ましくはエチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド(エチルトリフェニルホスホニウムブロミド)等の4級フォスフォニウム塩、およびテトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩である。
【0063】
触媒の使用割合としては、エポキシ基を有するポリマー100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは0.01~100質量部、さらに好ましくは0.1~20質量部である。
【0064】
上記有機溶媒としては、例えば炭化水素化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物、アミド化合物、アルコール化合物等を挙げることができる。これらのうち、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物、アルコール化合物が原料および生成物の溶解性ならびに生成物の精製のし易さの観点から好ましい。溶媒は、固形分濃度(反応溶液中の溶媒以外の成分の質量が溶液の全質量に占める割合)が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは5~50質量%となる量で使用される。
【0065】
反応温度は、好ましくは0~200℃であり、より好ましくは50~150℃である。反応時間は、好ましくは0.1~50時間であり、より好ましくは0.5~20時間である。
【0066】
このようにして、エポキシ基を有するポリマーと特定の桂皮酸誘導体との反応生成物を含有する溶液が得られる。この溶液はそのまま硬化膜形成組成物の調製に供してもよく、溶液中に含まれる反応生成物を単離したうえで硬化膜形成組成物の調製に供してもよく、または単離した反応生成物を精製したうえで硬化膜形成組成物の調製に供してもよい。
【0067】
<(B)成分>
本発明の硬化膜形成組成物における(B)成分は、架橋剤である。
(B)成分である架橋剤としては、前記(A)成分の熱架橋可能な官能基と架橋を形成する基を2個以上有する化合物が好ましく、例えばメチロール基またはアルコキシメチル基を2個以上有する架橋剤であることが好ましい。これらの基を有する化合物としては、例えば、アルコキシメチル化グリコールウリル、アルコキシメチル化ベンゾグアナミンおよびアルコキシメチル化メラミン等のメチロール化合物が挙げられる。
【0068】
アルコキシメチル化グリコールウリルの具体例としては、例えば、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3-テトラキス(ブトキシメチル)尿素、1,1,3,3-テトラキス(メトキシメチル)尿素、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-4,5-ジヒドロキシ-2-イミダゾリノン、および1,3-ビス(メトキシメチル)-4,5-ジメトキシ-2-イミダゾリノン等が挙げられる。市販品として、日本サイテック・インダストリーズ(株)(旧三井サイテック(株))製グリコールウリル化合物(商品名:サイメル(登録商標)1170、パウダーリンク(登録商標)1174)等の化合物、メチル化尿素樹脂(商品名:UFR(登録商標)65)、ブチル化尿素樹脂(商品名:UFR(登録商標)300、U-VAN10S60、U-VAN10R、U-VAN11HV)、DIC(株)(旧大日本インキ化学工業(株))製尿素/ホルムアルデヒド系樹脂(高縮合型、商品名:ベッカミン(登録商標)J-300S、同P-955、同N)等が挙げられる。
【0069】
アルコキシメチル化ベンゾグアナミンの具体例としてはテトラメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。市販品として、日本サイテック・インダストリーズ(株)(旧三井サイテック(株))製(商品名:サイメル(登録商標)1123)、(株)三和ケミカル製(商品名:ニカラック(登録商標)BX-4000、同BX-37、同BL-60、同BX-55H)等が挙げられる。
【0070】
アルコキシメチル化メラミンの具体例としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。市販品として、日本サイテック・インダストリーズ(株)(旧三井サイテック(株))製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:サイメル(登録商標)300、同301、同303、同350)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:マイコート(登録商標)506、同508)、(株)三和ケミカル製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:ニカラック(登録商標)MW-30、同MW-22、同MW-11、同MS-001、同MX-002、同MX-730、同MX-750、同MX-035)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:ニカラック(登録商標)MX-45、同MX-410、同MX-302)等が挙げられる。
【0071】
また、架橋剤として、アミノ基の水素原子がメチロール基またはアルコキシメチル基で置換されたメラミン化合物、尿素化合物、グリコールウリル化合物及びベンゾグアナミン化合物を縮合させて得られる化合物であってもよい。例えば、米国特許第6323310号明細書に記載されているメラミン化合物およびベンゾグアナミン化合物から製造される高分子量の化合物が挙げられる。前記メラミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)303等が挙げられ、前記ベンゾグアナミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)1123(以上、日本サイテック・インダストリーズ(株)(旧三井サイテック(株))製)等が挙げられる。
【0072】
さらに、(B)成分の架橋剤として、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド等のヒドロキシメチル基(すなわちメチロール基)またはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物またはメタクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーも用いることができる。
【0073】
そのようなポリマーとしては、例えば、ポリ(N-ブトキシメチルアクリルアミド)、N-ブトキシメチルアクリルアミドとスチレンとの共重合体、N-ヒドロキシメチルメタクリルアミドとメチルメタクリレートとの共重合体、N-エトキシメチルメタクリルアミドとベンジルメタクリレートとの共重合体、及びN-ブトキシメチルアクリルアミドとベンジルメタクリレートと2-ヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
【0074】
また、そのようなポリマーとして、N-アルコキシメチル基とC=C二重結合とを含む重合性基とを有する重合体を用いることも出来る。
【0075】
C=C二重結合を含む重合性基としては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基、マレイミド基等が挙げられる。
【0076】
上記のようなポリマーを得る方法は、特に限定されない。一例を挙げれば、予めラジカル重合などの重合方法によって、特定官能基を有するアクリル重合体を生成する。次いで、アクリル重合体の有する特定官能基と、末端に不飽和結合を有する化合物(以下、特定化合物と称す。)とを反応させることにより、(B)成分であるポリマーにC=C二重結合を含む重合性基を導入することができる。
【0077】
ここで、特定官能基とは、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシ基、活性水素を有するアミノ基、フェノール性ヒドロキシ基若しくはイソシアネート基などの官能基、または、これらから選ばれる複数種の官能基を言う。
【0078】
上述した反応において、アクリル重合体の有する特定官能基と、特定化合物が有する官能基であって反応に関与する基との好ましい組み合わせは、カルボキシル基とエポキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、フェノール性ヒドロキシ基とエポキシ基、カルボキシル基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基、または、ヒドロキシ基と酸クロリド基などである。さらに、より好ましい組み合わせは、カルボキシル基とグリシジルメタクリレート中のエポキシ基、または、ヒドロキシ基とイソシアネートエチルメタクリレート中のイソシアネート基である。
【0079】
このようなポリマーの重量平均分子量(ポリスチレン換算値)は、1,000~500,000であり、好ましくは、2,000~200,000であり、より好ましくは3,000~150,000であり、更に好ましくは3,000~50,000である。
【0080】
これらの架橋剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0081】
本発明の硬化膜形成組成物における(B)成分の架橋剤の含有量は、(A)成分である反応生成物100質量部に基づいて1質量部~500質量部であることが好ましく、より好ましくは5質量部~400質量部である。架橋剤の含有量が過小である場合には、硬化膜形成組成物から得られる硬化膜の溶剤耐性が低下し、液晶配向性が低下する。他方、含有量が過大である場合には液晶配向性および保存安定性が低下することがある。
【0082】
<(C)成分>
本発明の硬化膜形成組成物は、(C)成分として、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するポリマーを含有しても良い。
【0083】
(C)成分であるポリマーとしては、例えば、アクリル重合体、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルポリカルボン酸、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、セルロース類(セルロースまたはその誘導体)、フェノールノボラック樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等の直鎖構造または分岐構造を有するポリマー、並びにシクロデキストリン類等の環状ポリマー等が挙げられる。
【0084】
(C)成分であるポリマーとしては、好ましくは、アクリル重合体、シクロデキストリン類、セルロース類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
【0085】
(C)成分のポリマーの好ましい一例であるアクリル重合体としては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、ビニル化合物等の不飽和二重結合を有するモノマーを重合して得られる重合体であって、特定官能基2[ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基アルコキシシリル基、および下記式(2)で表される基からなる群から選ばれる基]を有するモノマーを含むモノマーまたはその混合物を重合させることにより得られる重合体であればよく、アクリル重合体を構成する高分子の主鎖の骨格および側鎖の種類などについて特に限定されない。
【0086】
特定官能基2を有するモノマーとしては、ポリエチレングリコールエステル基を有するモノマー、炭素原子数2~5のヒドロキシアルキルエステル基を有するモノマー、フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、アルコキシシリル基を有するモノマー、及び下記式(2)
【化3】
(式中、R
41は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基又はフェニル基を表す。)で表される基を有するモノマーが挙げられる。
【0087】
上述したポリエチレングリコールエステル基を有するモノマーとしては、H-(OCH2CH2)n-OHのモノアクリレートまたはモノメタクリレートが挙げられる。そのnの値は2~50であり、好ましくは2~10である。
【0088】
上述した炭素原子数2~5のヒドロキシアルキルエステル基を有するモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレートが挙げられる。
【0089】
上述したフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、p-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシスチレンが挙げられる。
【0090】
上述したカルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸が挙げられる。
【0091】
上述したアミノ基を有するモノマーとしては、例えば、2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルアクリレート及びアミノプロピルメタクリレートが挙げられる。
【0092】
上述したアルコキシシリル基を有するモノマーとしては、例えば、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン及びアリルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0093】
上記式(2)中、R
41における炭素原子数1~12のアルキル基及び炭素原子数1~12のアルコキシ基としては、上記に例示したアルキル基又はアルコキシ基のうち該当する炭素原子数の基が挙げられる。
上述した式(2)で表される基を有するモノマーとしては、例えば以下の式[2-1]乃至[2-5]で表される基を有するモノマー等が挙げられる。
【化4】
【0094】
また、本実施形態においては、(C)成分の例であるアクリル重合体を合成するに際し、本発明の効果を損なわない限り、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、アルコキシシリル基、および上記式(2)で表される基のいずれも有さないモノマーを併用することができる。
【0095】
そのようなモノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
【0096】
アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルアクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルアクリレート、及び、8-エチル-8-トリシクロデシルアクリレート等が挙げられる。
【0097】
メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3-メトキシブチルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルメタクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルメタクリレート、及び、8-エチル-8-トリシクロデシルメタクリレート等が挙げられる。
【0098】
マレイミド化合物としては、例えば、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、及びN-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0099】
スチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
【0100】
ビニル化合物としては、例えば、ビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、及び、プロピルビニルエーテル等が挙げられる。
【0101】
(C)成分の例であるアクリル重合体を得るために用いる特定官能基2を有するモノマーの使用量は、(C)成分であるアクリル重合体を得るために用いる全モノマーの合計量に基づいて、2モル%以上であることが好ましい。特定官能基2を有するモノマーが過小の場合は、得られる硬化膜の耐溶剤性が不充分となり易い。
【0102】
(C)成分の例であるアクリル重合体を得る方法は特に限定されないが、例えば、特定官能基2を有するモノマーを含むモノマーと、所望により特定官能基2を有さないモノマーと、重合開始剤等とを共存させた溶剤中において、50℃~110℃の温度下で重合反応により得られる。その際、用いられる溶剤は、特定官能基2を有するモノマーと、所望により用いられる特定官能基2を有さないモノマーおよび重合開始剤等を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する[溶剤]の項に記載する。
【0103】
以上の方法により得られる(C)成分の例であるアクリル重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
【0104】
また、上記方法で得られた(C)成分の例であるアクリル重合体の溶液を、攪拌下のジエチルエーテルや水等に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後に、常圧または減圧下で、常温乾燥または加熱乾燥し、(C)成分の例であるアクリル重合体の粉体とすることができる。上述の操作により、(C)成分の例であるアクリル重合体と共存する重合開始剤および未反応のモノマーを除去することができ、その結果、精製した(C)成分の例であるアクリル重合体の粉体が得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解させ、上述の操作を繰り返し行えば良い。
【0105】
(C)成分の好ましい例であるアクリル重合体は、重量平均分子量が3000~200000であることが好ましく、4000~150000であることがより好ましく、5000~100000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が200000を超えて過大なものであると、溶剤に対する溶解性が低下しハンドリング性が低下する場合があり、重量平均分子量が3000未満で過小なものであると、熱硬化時に硬化不足になり溶剤耐性が低下する場合がある。尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準試料としてポリスチレンを用いて得られる値である。以下、本明細書においても同様とする。
【0106】
次に、(C)成分のポリマーの好ましい一例であるポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコールやビスフェノールA、トリエチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコールにプロピレンオキサイドやポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を付加したものが挙げられる。ポリエーテルポリオールの具体例としてはADEKA製アデカポリエーテルPシリーズ、Gシリーズ、EDPシリーズ、BPXシリーズ、FCシリーズ、CMシリーズ、日油製ユニオックス(登録商標)HC-40、HC-60、ST-30E、ST-40E、G-450、G-750、ユニオール(登録商標)TG-330、TG-1000、TG-3000、TG-4000、HS-1600D、DA-400、DA-700、DB-400、ノニオン(登録商標)LT-221、ST-221、OT-221等が挙げられる。
【0107】
(C)成分のポリマーの好ましい一例であるポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸等の多価カルボン酸にエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジオールを反応させたものが挙げられる。ポリエステルポリオールの具体例としてはDIC製ポリライト(登録商標)OD-X-286、OD-X-102、OD-X-355、OD-X-2330、OD-X-240、OD-X-668、OD-X-2108、OD-X-2376、OD-X-2044、OD-X-688、OD-X-2068、OD-X-2547、OD-X-2420、OD-X-2523、OD-X-2555、OD-X-2560、クラレ製ポリオールP-510、P-1010、P-2010、P-3010、P-4010、P-5010、P-6010、F-510、F-1010、F-2010、F-3010、P-1011、P-2011、P-2013、P-2030、N-2010、PNNA-2016等が挙げられる。
【0108】
(C)成分のポリマーの好ましい一例であるポリカプロラクトンポリオールとしては、トリメチロールプロパンやエチレングリコール等の多価アルコールを開始剤としてε-カプロラクトンを開環重合させたものが挙げられる。ポリカプロラクトンポリオールの具体例としてはDIC製ポリライト(登録商標)OD-X-2155、OD-X-640、OD-X-2568、ダイセル製プラクセル(登録商標)205、L205AL、205U、208、210、212、L212AL、220、230、240、303、305、308、312、320等が挙げられる。
【0109】
(C)成分のポリマーの好ましい一例であるポリカーボネートポリオールとしては、トリメチロールプロパンやエチレングリコール等の多価アルコールと炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート等を反応させたものが挙げられる。ポリカーボネートポリオールの具体例としてはダイセル製プラクセル(登録商標)CD205、CD205PL、CD210、CD220、クラレ製のC-590、C-1050、C-2050、C-2090、C-3090等が挙げられる。
【0110】
(C)成分のポリマーの好ましい一例であるセルロース類としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース類およびセルロース等が挙げられ、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類が好ましい。
【0111】
(C)成分のポリマーの好ましい一例であるシクロデキストリン類としては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンおよびγ-シクロデキストリン等のシクロデキストリン、メチル-α-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリンおよびメチル-γ-シクロデキストリン等のメチル化シクロデキストリン、ヒドロキシメチル-α-シクロデキストリン、ヒドロキシメチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシメチル-γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシエチル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシエチル-γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、3-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、3-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、2,3-ジヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2,3-ジヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2,3-ジヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン等のヒドロキシアルキルシクロデキストリン等が挙げられる。
【0112】
(C)成分のポリマーの好ましい一例であるメラミンホルムアルデヒド樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとを重縮合して得られる樹脂である。
【0113】
(C)成分のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、保存安定性の観点からメラミンとホルムアルデヒドの重縮合の際に生成したメチロール基がアルキル化されていることが好ましく、そのようなメラミンホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【化5】
上記式中、R
21は水素原子または炭素原子数1~4のアルキル基を表し、nは繰り返し単位の数を表す自然数である。
【0114】
(C)成分のメラミンホルムアルデヒド樹脂を得る方法は特には限定されないが、一般的にメラミンとホルムアルデヒドを混合し、炭酸ナトリウムやアンモニア等を用いて弱アルカリ性にした後60℃~100℃にて加熱することにより合成される。さらにアルコールと反応させることでメチロール基をアルコキシ化することができる。
【0115】
(C)成分のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、重量平均分子量が250~5000であることが好ましく、300~4000であることがより好ましく、350~3500であることがさらに好ましい。重量平均分子量が5000を超えて過大なものであると、溶剤に対する溶解性が低下しハンドリング性が低下する場合があり、重量平均分子量が250未満で過小なものであると、熱硬化時に硬化不足になり溶剤耐性の向上効果が十分に現れない場合がある。
【0116】
本発明の実施形態においては、(C)成分のメラミンホルムアルデヒド樹脂は液体形態で、あるいは精製した液体を後述する溶剤に再溶解した溶液形態で用いてもよい。
【0117】
(C)成分のポリマーの好ましい一例であるフェノールノボラック樹脂としては、例えば、フェノール-ホルムアルデヒド重縮合物などが挙げられる。
【0118】
本実施形態の硬化膜形成組成物において、(C)成分のポリマーは、粉体形態で、または精製した粉末を後述する溶剤に再溶解した溶液形態で用いてもよい。
【0119】
また、本実施の形態の硬化膜形成組成物において、(C)成分は、(C)成分として例示されたポリマーの複数種の混合物であってもよい。
【0120】
本発明の硬化膜形成組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分である反応生成物及び(B)成分の架橋剤の合計量の100質量部に対して、通常400質量部以下、好ましくは1~400質量部、より好ましくは10質量部~380質量部、更に好ましくは40質量部~360質量部である。(C)成分の含有量が過大の場合は液晶配向性が低下し易い。
【0121】
<(D)成分>
本発明の硬化膜形成組成物は、前記(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに(D)成分として架橋触媒を含有することができる。
(D)成分である架橋触媒としては、例えば、酸または熱酸発生剤を好適に使用できる。この(D)成分は、本発明の硬化膜形成組成物の熱硬化反応を促進させることにおいて有効である。
(D)成分は、具体的には、上記酸としてスルホン酸基含有化合物、塩酸またはその塩が挙げられる。そして上記熱酸発生剤としては、加熱処理時に熱分解して酸を発生する化合物、すなわち温度80℃から250℃で熱分解して酸を発生する化合物であれば、特に限定されるものではない。
【0122】
上記酸の具体例としては、例えば、塩酸またはその塩;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-フェノールスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、p-キシレン-2-スルホン酸、m-キシレン-2-スルホン酸、4-エチルベンゼンスルホン酸、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロ(2-エトキシエタン)スルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタン-1-スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基含有化合物またはその水和物や塩等が挙げられる。
【0123】
また熱により酸を発生する化合物としては、例えば、ビス(トシルオキシ)エタン、ビス(トシルオキシ)プロパン、ビス(トシルオキシ)ブタン、p-ニトロベンジルトシレート、o-ニトロベンジルトシレート、1,2,3-フェニレントリス(メチルスルホネート)、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム塩、p-トルエンスルホン酸モルホニウム塩、p-トルエンスルホン酸エチルエステル、p-トルエンスルホン酸プロピルエステル、p-トルエンスルホン酸ブチルエステル、p-トルエンスルホン酸イソブチルエステル、p-トルエンスルホン酸メチルエステル、p-トルエンスルホン酸フェネチルエステル、シアノメチルp-トルエンスルホネート、2,2,2-トリフルオロエチルp-トルエンスルホネート、2-ヒドロキシブチルp-トルエンスルホネート、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、さらに下記式で表される化合物:
【化6】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
本発明の硬化膜形成組成物における(D)成分の含有量は、(A)成分である反応生成物及び(B)成分の架橋剤の合計量の100質量部に対して、好ましくは0.01質量部~20質量部、より好ましくは0.1質量部~15質量部、更に好ましくは0.5質量部~10質量部である。(D)成分の含有量を0.01質量部以上とすることで、充分な熱硬化性および溶剤耐性を付与することができる。しかし、20質量部より多い場合、組成物の保存安定性が低下する場合がある。
【0130】
<(E)成分>
本発明は(E)成分として、形成される硬化膜の接着性を向上させる成分(以下、密着向上成分とも言う。)を含有することもできる。
【0131】
(E)成分を含有する本実施形態の硬化膜形成組成物から形成される硬化膜を配向材として用いる場合、配向材と重合性液晶の層との密着性が向上するよう、重合性液晶の重合性官能基と配向材の架橋反応部位を共有結合によりリンクさせることができる。その結果、本実施形態の配向材上に硬化した重合性液晶を積層してなる本実施形態の位相差材は、高温高質の条件下でも、強い密着性を維持することができ、剥離等に対する高い耐久性を示すことができる。
【0132】
(E)成分としては、1つ以上の重合性基と、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基A又は該基Aと反応する少なくとも1つの基とを有する化合物を使用できる。
(E)成分としては、ヒドロキシ基及びN-アルコキシメチル基から選ばれる基と、重合性基とを有するモノマー及びポリマーが好ましい。
このような(E)成分としては、ヒドロキシ基と(メタ)アクリル基とを有する化合物、N-アルコキシメチル基と(メタ)アクリル基とを有する化合物、N-アルコキシメチル基と(メタ)アクリル基を有するポリマー等が挙げられる。以下、それぞれ具体例を示す。
【0133】
(E)成分の一例として、ヒドロキシ基を含有した多官能アクリレート(以下、ヒドロキシ基含有多官能アクリレートとも言う。)を挙げることができる。
(E)成分の例であるヒドロキシ基含有多官能アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびジペンタエリトリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0134】
(E)成分の一例として、1つの(メタ)アクリル基と、1つ以上のヒドロキシ基とを有する化合物も挙げられる。このような、1つの(メタ)アクリル基と、1つ以上のヒドロキシ基とを有する化合物の好ましい例を挙げる。尚、(E)成分の化合物は、以下の化合物例に限定されるものではない。
【0135】
【0136】
(上記式中、R11は水素原子またはメチル基を表し、mは1~10の整数を表す。)
【0137】
また、(E)成分の化合物としては、1分子中にC=C二重結合を含む重合性基を少なくとも1つと、N-アルコキシメチル基を少なくとも1つ有する化合物が挙げられる。
【0138】
C=C二重結合を含む重合性基としては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基、マレイミド基等が挙げられる。
【0139】
N-アルコキシメチル基のN、すなわち窒素原子としては、アミドの窒素原子、チオアミドの窒素原子、ウレアの窒素原子、チオウレアの窒素原子、ウレタンの窒素原子、含窒素へテロ環の窒素原子の隣接位に結合した窒素原子等が挙げられる。従って、N-アルコキシメチル基としては、アミドの窒素原子、チオアミドの窒素原子、ウレアの窒素原子、チオウレアの窒素原子、ウレタンの窒素原子、含窒素へテロ環の窒素原子の隣接位に結合した窒素原子等から選ばれる窒素原子にアルコキシメチル基が結合した構造が挙げられる。
【0140】
(E)成分としては、上記の基を有するものであればよいが、好ましくは、例えば下記の式(X1)で表される化合物が挙げられる。
【0141】
【0142】
(式中、R31は水素原子又はメチル基を表し、R32は水素原子、又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す)
【0143】
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、n-ヘプチル基、1-メチル-n-ヘキシル基、2-メチル-n-ヘキシル基、3-メチル-n-ヘキシル基、1,1-ジメチル-n-ペンチル基、1,2-ジメチル-n-ペンチル基、1,3-ジメチル-n-ペンチル基、2,2-ジメチル-n-ペンチル基、2,3-ジメチル-n-ペンチル基、3,3-ジメチル-n-ペンチル基、1-エチル-n-ペンチル基、2-エチル-n-ペンチル基、3-エチル-n-ペンチル基、1-メチル-1-エチル-n-ブチル基、1-メチル-2-エチル-n-ブチル基、1-エチル-2-メチル-n-ブチル基、2-メチル-2-エチル-n-ブチル基、2-エチル-3-メチル-n-ブチル基、n-オクチル基、1-メチル-n-ヘプチル基、2-メチル-n-ヘプチル基、3-メチル-n-ヘプチル基、1,1-ジメチル-n-ヘキシル基、1,2-ジメチル-n-ヘキシル基、1,3-ジメチル-n-ヘキシル基、2,2-ジメチル-n-ヘキシル基、2,3-ジメチル-n-ヘキシル基、3,3-ジメチル-n-ヘキシル基、1-エチル-n-ヘキシル基、2-エチル-n-ヘキシル基、3-エチル-n-ヘキシル基、1-メチル-1-エチル-n-ペンチル基、1-メチル-2-エチル-n-ペンチル基、1-メチル-3-エチル-n-ペンチル基、2-メチル-2-エチル-n-ペンチル基、2-メチル-3-エチル-n-ペンチル基、3-メチル-3-エチル-n-ペンチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
【0144】
上記式(X1)で表される化合物の具体例としては、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物が挙げられる。なお(メタ)アクリルアミドとはメタクリルアミドとアクリルアミドの双方を意味する。
【0145】
(E)成分のC=C二重結合を含む重合性基とN-アルコキシメチル基を有する化合物の別の態様としては、好ましくは、例えば下記の式(X2)で表される化合物が挙げられる。
【化14】
式中、R
51は水素原子又はメチル基を表す。
R
52は炭素原子数2乃至20のアルキル基、炭素原子数5乃至6の1価の脂肪族環基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む1価の脂肪族基を表し、構造中にエーテル結合を含んでいてもよい。
R
53は直鎖状又は分枝鎖状の炭素原子数2乃至20のアルキレン基、炭素原子数5乃至6の2価の脂肪族環基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価の脂肪族基を表し、構造中にエーテル結合を含んでいてもよい。
R
54は直鎖状又は分枝鎖状の炭素原子数1乃至20の2価乃至9価の脂肪族基、炭素原子数5乃至6の2価乃至9価の脂肪族環基、又は炭素原子数5乃至6の脂肪族環を含む2価乃至9価の脂肪族基を表し、これらの基の一つのメチレン基または隣り合わない複数のメチレン基がエーテル結合に置き換わっていてもよい。
Zは>NCOO-、または-OCON<(ここで「-」は結合手が1つであることを示す。また、「>」「<」は結合手が2つであることを示し、かつ、どちらか1つの結合手はアルコキシメチル基(即ち-OR
52基)と結合していることを示す。)を表す。
rは2以上9以下の自然数である。
【0146】
R53の定義における炭素原子数2乃至20のアルキレン基の具体例としては、炭素原子数2乃至20のアルキル基から、さらに1個の水素原子を取り去った2価の基が挙げられる。
またR54の定義における炭素原子数1乃至20の2価乃至9価の脂肪族基の具体例としては、炭素原子数1乃至20のアルキル基から、さらに1乃至8個の水素原子を取り去った2価乃至9価の基が挙げられる。
【0147】
炭素原子数1のアルキル基はメチル基であり、また炭素原子数2乃至20のアルキル基の具体例としては、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、それらの一種または複数種が炭素原子数20までの範囲で結合した基と、これらの基の一つのメチレン基または隣り合わない複数のメチレン基がエーテル結合に置き換わった基等が一例として挙げられる。
【0148】
これらのうち、炭素原子数2乃至10のアルキレン基が好ましく、R53がエチレン基であり、R54がヘキシレン基であることが原料の入手性等の点から特に好ましい。
【0149】
R52の定義における炭素原子数1乃至20のアルキル基の具体例としては、R53の定義における炭素原子数2乃至20のアルキル基の具体例及びメチル基が挙げられる。これらのうち、炭素原子数1乃至6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基またはn-ブチル基が特に好ましい。
【0150】
rとしては、2以上9以下の自然数が挙げられるが、中でも、2乃至6の自然数が好ましい。
【0151】
本発明の実施形態の硬化膜形成組成物における(E)成分の含有量は、(A)成分である反応生成物及び(B)成分の架橋剤の合計量の100質量部に対して、好ましくは1質量部~100質量部であり、更に好ましくは5質量部~70質量部である。(E)成分の含有量を1質量部以上とすることで、形成される硬化膜に充分な密着性を付与することができる。しかし、100質量部より多い場合、液晶配向性が低下し易い。
【0152】
また、本実施形態の硬化膜形成組成物において、(E)成分は、(E)成分の化合物の複数種の混合物であってもよい。
【0153】
<溶剤>
本発明の硬化膜形成組成物は、主として溶剤に溶解した溶液状態で用いられる。その際に使用する溶剤は、(A)成分、(B)成分および必要に応じて(C)成分、(D)成分、(E)成分および/または後述するその他添加剤を溶解できればよく、その種類および構造などは特に限定されるものでない。
【0154】
溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、2-メチル-1-ブタノール、n-ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ブタノン、3-メチル-2-ペンタノン、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、シクロペンチルメチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、およびN-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
【0155】
本発明の硬化膜形成組成物を用い、樹脂フィルム上に硬化膜を形成して配向材を製造する場合は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-ヘプタノン、イソブチルメチルケトン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル等が、樹脂フィルムが耐性を示す溶剤であるという点から好ましい。
【0156】
これらの溶剤は、1種単独でまたは2種以上の組合せで使用することができる。
【0157】
<その他添加剤>
さらに、本発明の硬化膜形成組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、密着向上剤、シランカップリング剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤等を含有することができる。
【0158】
<硬化膜形成組成物の調製>
本発明の硬化膜形成組成物は、(A)成分の反応生成物および(B)成分の架橋剤を含有し、所望により(C)成分のポリマー、(D)成分の架橋触媒および(E)成分の化合物、そして更に本発明の効果を損なわない限りにおいてその他の添加剤を含有することができる組成物である。そして通常は、それらが溶剤に溶解した溶液の形態として用いられる。
【0159】
本発明の硬化膜形成組成物の好ましい例は、以下のとおりである。
[1]:(A)成分、(A)成分100質量部に基づいて、1質量部~500質量部の(B)成分を含有する硬化膜形成組成物。
[2]:(A)成分、(A)成分100質量部に基づいて、1質量部~500質量部の(B)成分、並びに、(A)成分である反応生成物及び(B)成分の架橋剤の合計量の100質量部に対して1~400質量部の(C)成分を含有する硬化膜形成組成物。
[3]:(A)成分、(A)成分100質量部に基づいて、1質量部~500質量部の(B)成分、並びに、溶剤を含有する硬化膜形成組成物。
[4]:(A)成分、(A)成分100質量部に基づいて、1質量部~500質量部の(B)成分、(A)成分である反応生成物及び(B)成分の架橋剤の合計量の100質量部に対して1~400質量部の(C)成分、並びに、溶剤を含有する硬化膜形成組成物。
[5]:(A)成分、(A)成分100質量部に基づいて、1質量部~500質量部の(B)成分、(A)成分である反応生成物及び(B)成分の架橋剤の合計量の100質量部に対して1~400質量部の(C)成分、(A)成分である反応生成物及び(B)成分の架橋剤の合計量の100質量部に対して0.01質量部~20質量部の(D)成分、並びに、溶剤を含有する硬化膜形成組成物。
[6]:(A)成分、(A)成分100質量部に基づいて、1質量部~500質量部の(B)成分、(A)成分である反応生成物及び(B)成分の架橋剤の合計量の100質量部に対して1~400質量部の(C)成分、(A)成分である反応生成物及び(B)成分の架橋剤の合計量の100質量部に対して0.01質量部~20質量部の(D)成分、(A)成分である反応生成物及び(B)成分の架橋剤の合計量の100質量部に対して1質量部~100質量部の(E)成分、並びに、溶剤を含有する硬化膜形成組成物。
【0160】
本発明の硬化膜形成組成物を溶液として用いる場合の配合割合、調製方法等を以下に詳述する。
本発明の硬化膜形成組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、1質量%~60質量%であり、好ましくは2質量%~50質量%であり、より好ましくは2質量%~20質量%である。ここで、固形分とは、硬化膜形成組成物の全成分から溶剤を除いたものをいう。
【0161】
本発明の硬化膜形成組成物の調製方法は、特に限定されない。調製法としては、例えば、溶剤に溶解した(A)成分の溶液に(B)成分、さらには(C)成分、(D)成分、(E)成分等を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法、或いは、この調製法の適当な段階において、必要に応じてその他添加剤をさらに添加して混合する方法が挙げられる。
【0162】
本発明の硬化膜形成組成物の調製においては、溶剤中の重合反応によって得られる特定共重合体(ポリマー)の溶液をそのまま使用することができる。この場合、例えば、(A)成分の溶液に前記と同様に(B)成分、さらには(C)成分、(D)成分、(E)成分等を入れて均一な溶液とする。この際に、濃度調整を目的としてさらに溶剤を追加投入してもよい。このとき、(A)成分の生成過程で用いられる溶剤と、硬化膜形成組成物の濃度調整に用いられる溶剤とは同一であってもよく、また異なってもよい。
【0163】
また、調製された硬化膜形成組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
【0164】
<硬化膜、配向材および位相差材>
本発明の硬化膜形成組成物の溶液を基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属、例えば、アルミニウム、モリブデン、クロムなどが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)やフィルム基板(例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アクリルフィルム、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルム)等の上に、バーコート、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布、印刷などによって塗布して塗膜を形成し、その後、ホットプレートまたはオーブン等で加熱乾燥することにより、硬化膜を形成することができる。該硬化膜はそのまま配向材として適用できる。
【0165】
加熱乾燥の条件としては、硬化膜(配向材)の成分が、その上に塗布される重合性液晶溶液に溶出しない程度に、架橋剤による架橋反応が進行すればよく、例えば、温度60℃~200℃、時間0.4分間~60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度および加熱時間が採用される。加熱温度および加熱時間は、好ましくは70℃~160℃、0.5分間~10分間である。
【0166】
本発明の硬化性組成物を用いて形成される硬化膜(配向材)の膜厚は、例えば、0.05μm~5μmであり、使用する基板の段差や光学的、電気的性質を考慮し適宜選択することができる。
【0167】
本発明の硬化膜組成物から形成された配向材は耐溶剤性および耐熱性を有しているため、この配向材上に、垂直配向性を有する重合性液晶溶液などの位相差材料を塗布し、配向材上で配向させることができる。そして、配向状態となった位相差材料をそのまま硬化させることにより、光学異方性を有する層として位相差材を形成することができる。そして、配向材を形成する基板がフィルムである場合には、位相差フィルムとして有用となる。
【0168】
また、上記のようにして形成された、本発明の配向材を有する2枚の基板を用い、スペーサを介して両基板上の配向材が互いに向かい合うように張り合わせた後、それらの基板の間に液晶を注入して、液晶が配向した液晶表示素子とすることもできる。
このように本発明の硬化膜形成組成物は、各種位相差材(位相差フィルム)や液晶表示素子等の製造に好適に用いることができる。
【実施例】
【0169】
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
[実施例で用いる略記号]
以下の実施例で用いる略記号の意味は、次のとおりである。
<原料>
GMA:グリシジルメタクリレート
M100:3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
AIBN:α,α’-アゾビスイソブチロニトリル
BMAA:N-ブトキシメチルアクリルアミド
MMA:メタクリル酸メチル
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
<B成分>
HMM:下記の構造式で表されるメラミン架橋剤[サイメル(CYMEL)(登録商標)303(三井サイテック(株)製)]
【化15】
PL:テトラメトキシメチルグリコールウリル〔POWDERLINK(登録商標)1174(三井サイテック(株)製)]
【化16】
<D成分>
PTSA:p-トルエンスルホン酸・一水和物
<E成分>
E-1:下記の構造式で示されるヒドロキシ基およびアクリル基を有する化合物
【化17】
E-2:下記の構造式で示されるN-アルコキシメチル基およびアクリル基を有する化合物
【化18】
<溶剤>
実施例及び比較例の各樹脂組成物は溶剤を含有し、その溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)を用いた。
【0170】
<重合体の分子量の測定>
重合例におけるアクリル共重合体の分子量は、(株)Shodex社製常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC-101)、Shodex社製カラム(KD―803、KD-805)を用い以下のようにして測定した。
なお、下記の数平均分子量(以下、Mnと称す。)及び重量平均分子量(以下、Mwと称す。)は、ポリスチレン換算値にて表した。
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:昭和電工社製 標準ポリスチレン(分子量 約197,000、55,100、12,800、3,950、1,260、580)。
【0171】
<A成分の合成>
<重合例1>
GMA 15.0g、重合触媒としてAIBN 0.5gをテトラヒドロフラン 46.4gに溶解し、加熱還流下にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液を得た。得られたアクリル重合体溶液をヘキサン500.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、エポキシ基を有するアクリル重合体(P1)を得た。得られたアクリル重合体のMnは25,000、Mwは9,800であった。
【0172】
<重合例2>
M100 15.0g、重合触媒としてAIBN 0.5gをテトラヒドロフラン 46.4gに溶解し、加熱還流下にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液を得た。得られたアクリル重合体溶液をヘキサン500.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、エポキシ基を有するアクリル重合体(P2)を得た。得られたアクリル重合体のMnは35,000、Mwは15,000であった。
【0173】
<合成例1>
重合例1で得たエポキシ基を有するアクリル重合体(P1)10.0g、4-メトキシけい皮酸 11.3g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド 0.4gをPM 50.8gに溶解させ、120℃で20時間反応させた。この溶液をジエチルエーテル 500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、重合体(PA-1)を得た。得られた重合体のエポキシ価を測定し、エポキシ基が消失したことを確認した。
【0174】
<合成例2>
重合例1で得たエポキシ基を有するアクリル重合体(P1)10.0g、4-プロポキシけい皮酸 12.0g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド 0.4gをPM 50.8gに溶解させ、120℃で20時間反応させた。この溶液をジエチルエーテル 500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、重合体(PA-2)を得た。得られた重合体のエポキシ価を測定し、エポキシ基が消失したことを確認した。
【0175】
<合成例3>
重合例1で得たエポキシ基を有するアクリル重合体(P1)10.0g、3-(1,1’-ビフェニル-4-イル)アクリル酸 14.5g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド 0.4gをPM 58.8gに溶解させ、120℃で20時間反応させた。この溶液をジエチルエーテル 500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、重合体(PA-3)を得た。得られた重合体のエポキシ価を測定し、エポキシ基が消失したことを確認した。
【0176】
<合成例4>
重合例2で得たエポキシ基を有するアクリル重合体(P2)10.0g、4-メトキシけい皮酸 8.2g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド 0.3gをPM 43.2gに溶解させ、120℃で20時間反応させた。この溶液をジエチルエーテル 500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、重合体(PA-4)を得た。得られた重合体のエポキシ価を測定し、エポキシ基が消失したことを確認した。
【0177】
<合成例5>
エポキシ基を有する重合体UG-4035(東亜合成(株)製ARUFONシリーズ)10.0g、4-メトキシけい皮酸 3.1g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド 0.1gをPM 52.7gに溶解させ、120℃で20時間反応させた。この溶液をジエチルエーテル 500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、重合体(PA-5)を得た。得られた重合体のエポキシ価を測定し、エポキシ基が消失したことを確認した。
【0178】
<合成例6>
エポキシ基を有する重合体EHPE3150((株)ダイセル製)10.0g、4-メトキシけい皮酸 9.9g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド 0.4gをPM 47.2gに溶解させ、120℃で20時間反応させた。この溶液をジエチルエーテル 500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、重合体(PA-6)を得た。得られた重合体のエポキシ価を測定し、エポキシ基が消失したことを確認した。
【0179】
<合成例7>
エポキシ基を有する重合体ECN-1299(旭化成(株)製)10.0g、4-メトキシけい皮酸 10.3g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド 0.3gをPM 61.9gに溶解させ、120℃で20時間反応させた。この溶液をジエチルエーテル 700gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、重合体(PA-7)を得た。得られた重合体のエポキシ価を測定し、エポキシ基が消失したことを確認した。
【0180】
<合成例8>
重合例1で得たエポキシ基を有するアクリル重合体(P1)10.0g、4-メトキシけい皮酸 7.3g、アクリル酸 1.3g、ジブチルヒドロキシトルエン0.2g、反応触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド 0.2gをPM 44.6gに溶解させ、90℃で20時間反応させた。この溶液をジエチルエーテル 500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、重合体(PA-8)を得た。得られた重合体のエポキシ価を測定し、エポキシ基が消失したことを確認した。この重合体(PA-8)のエポキシ基のうち、4-メトキシけい皮酸と反応したものの割合は70モル%である。
【0181】
<B成分の合成>
<重合例3>
BMAA 100.0g、重合触媒としてAIBN 4.2gをPM 193.5gに溶解し、90℃にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液を得た。アクリル重合体溶液をヘキサン2000.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、重合体(PB-1)を得た。得られたアクリル重合体のMnは2,700、Mwは3,900であった。
【0182】
<重合例4>
BMAA32.0g、GMA8.0g、重合触媒としてAIBN 0.8gをテトラヒドロフラン 204.0gに溶解し、60℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体溶液をヘキサン1000.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することでアクリル共重合体(P-3)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは7,000、Mwは18,000であった。
【0183】
<合成例9>
重合例4で得たアクリル共重合体(P-3)10.0g、アクリル酸2.2g、ジブチルヒドロキシトルエン0.2g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド10mgをPM60gに溶解させ、90℃で20時間反応させた。この溶液をヘキサン500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、アクロイル基を有する重合体(PB-2)を得た。1H-NMR分析を行い、重合体(PB-2)がアクロイル基を有することを確認した。
【0184】
<C成分の合成>
<重合例5>
MMA 30.0g、HEMA 3.0g、重合触媒としてAIBN 0.3gをPM146.0gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体溶液をヘキサン1000.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することでアクリル共重合体(PC-1)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは18,000、Mwは32,800であった。
【0185】
<重合性液晶溶液の調製>
<調製例1>
重合性液晶LC242(BASF社製)29.0g、重合開始剤としてイルガキュア907(BASF社製)0.9g、レベリング剤としてBYK-361N(BYK社製)0.2g、溶媒としてのメチルイソブチルケトンを加えて固形分濃度が30質量%の重合性液晶溶液(RM-1)を得た。
【0186】
<調製例2>
重合性液晶LC242(BASF社製)29.0g、重合開始剤としてイルガキュア907(BASF社製)0.9g、レベリング剤としてBYK-361N(BYK社製)0.2g、溶媒としてのCP(シクロペンタノン)を加えて固形分濃度が30質量%の重合性液晶溶液(RM-2)を得た。
【0187】
<実施例、比較例>
表1に示す組成にて実施例及び比較例の各硬化膜形成組成物を調製した。次に、各硬化膜形成組成物を用いて硬化膜を形成し、得られた硬化膜それぞれについて、配向性の評価を行った。
【0188】
【0189】
[配向性の評価]
実施例及び比較例の各硬化膜形成組成物を、TACフィルム上にバーコーターを用いてWet膜厚4μmにて塗布した。それぞれ温度90℃又は110℃で60秒間、熱循環式オーブン中で加熱乾燥を行い、TACフィルム上にそれぞれ硬化膜を形成した。この各硬化膜に313nmの直線偏光を5mJ/cm2あるいは30mJ/cm2の露光量で垂直に照射し、配向材を形成した。TACフィルム上の配向材の上に、重合性液晶溶液(RM-1)又は(RM-2)を、バーコーターを用いてWet膜厚6μmにて塗布した。この塗膜を温度90℃のホットプレート上で60秒間乾燥後、300mJ/cm2で露光し、位相差材を作製した。作製した基板上の位相差材を一対の偏光板で挟み込み、位相差材における位相差特性の発現状況を観察し、位相差が欠陥なく発現しているものを○、位相差が発現していないものを×として「配向性」の欄に記載した。評価結果は、後に表2にまとめて示す。
【0190】
【0191】
表2に示すように、実施例1~18の硬化膜形成組成物を用いて得られた位相差材は、偏光露光量5mJ/cm2においても良好な液晶配向性を示した。
【0192】
それに対して、比較例1~3の硬化膜形成組成物を用いて得られた位相差材は、偏光露光量30mJ/cm2においても良好な液晶配向性が得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明による硬化膜形成組成物は、液晶表示素子の液晶配向膜や、液晶表示素子に内部や外部に設けられる光学異方性フィルムを形成するための配向材を形成する材料として非常に有用であり、特に、IPS-LCDや有機ELディスプレイの反射防止膜として使用される円偏光板の位相差材向け材料として好適である。