(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】リステリア・モノサイトゲネス検出方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/689 20180101AFI20221116BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20221116BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20221116BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20221116BHJP
【FI】
C12Q1/689 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
C12Q1/686 Z
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2017141201
(22)【出願日】2017-07-20
【審査請求日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2016192055
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(73)【特許権者】
【識別番号】503335179
【氏名又は名称】株式会社ファスマック
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綱 美香
(72)【発明者】
【氏名】原田 義孝
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】高崎 一人
【審査官】中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0257894(US,A1)
【文献】TAO, Tingting et al.,Mining of novel species-specific primers for PCR detection of Listeria monocytogenes based on genomi,World J. Microbiol. Biotechnol.,2015年,Vol.31,p.1955-1966,特に要旨
【文献】TAN, Mui Fern et al.,Development of ListeriaBase and comparative analysis of Listeria monocytogenes,BMC Genomics,Vol.16,2015年,755; p.1-19,特に要旨
【文献】Paul, Debarati et al.,Genome comparison of Listeria monocytogenes serotype 4a strain HCC23 with selected lineage I and lin,Genomics Data,2014年08月07日,Vol.2,p.219-225,特に要旨, 第223頁左欄第1段落
【文献】DENG, Xiangyu et al.,Probing the pan-genome of Listeria monocytogenes: new insights into intraspecific niche expansion an,BMC Genomics,2010年,Vol.11,500; p.1-21,特に要旨, 表5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00- 15/90
C12Q 1/00- 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リステリア・モノサイトゲネスのlmo0084遺伝子又はlmo2736遺伝子の部分領域を増幅する下記のいずれかのプライマーセットを含む、リステリア・モノサイトゲネス検出用プライマーセット。
(A-1) 配列番号26に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-2) 配列番号26に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-3) 配列番号27に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-4) 配列番号27に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-5) 配列番号28に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-6) 配列番号28に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-7) 配列番号29に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-8) 配列番号29に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(C-1) 配列番号32に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号37に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(D-1) 配列番号33に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号38に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(E-1) 配列番号34に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号38に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(F-1) 配列番号34に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号39に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(G-1) 配列番号34に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号40に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(H-1) 配列番号35に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号39に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(I-1) 配列番号35に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号40に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(J-1) 配列番号35に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(K-1) 配列番号36に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号39に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(L-1) 配列番号36に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号40に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
【請求項2】
下記のいずれかのセットを含む、リステリア・モノサイトゲネス検出用プライマーセット。
(A-9) 配列番号67に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(A-10) 配列番号68に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(D-2) 配列番号70に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号74に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(E-2) 配列番号71に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号74に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(F-2) 配列番号71に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号75に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(G-2) 配列番号71に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(H-2) 配列番号72に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号75に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(I-4) 配列番号72に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(J-2) 配列番号72に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配
列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(K-3) 配列番号73に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号75に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(L-2) 配列番号73に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(N-1) 配列番号71に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配
列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(O-1) 配列番号73に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配
列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
【請求項3】
下記のいずれかのセットを含む、リステリア・モノサイトゲネス検出用ループ媒介等温増幅プライマーセット。
(i) 配列番号42に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号43に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号44に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号45に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
(ii) 配列番号46に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号47に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号48に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号49に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
(iii) 配列番号50に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号51に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号52に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号53に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
(iv) 配列番号54に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号55に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号56に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号57に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプライマーセットを使用した核酸増幅法により、lmo0084遺伝子又はlmo2736遺伝子の部分領域を増幅する工程を含む、リステリア・モノサイトゲネスの検出方法。
【請求項5】
部分領域の増幅がPCR法又は等温増幅法により行われる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
等温増幅法がループ媒介等温増幅法である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
PCR法がリアルタイムPCR法である、請求項5記載の方法。
【請求項8】
以下のいずれかのプライマー及びプローブのセットを含む、リステリア・モノサイトゲネス検出のためのリアルタイムPCR用プライマー及びプローブセット。
[1] 配列番号67に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号77又は80に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブとのセット。
[2] 配列番号67に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号85(ngaanはtgaaa又はcgaac)に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含む混合プローブとのセット。
[3] 配列番号68に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号77又は80に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブとのセット。
[4] 配列番号68に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号85(ngaanはtgaaa又はcgaac)に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含む混合プローブとのセット。
[5] 配列番号32に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号37に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号81に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブとのセット。
[6] 配列番号70に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号74に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号82に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブとのセット。
[7] 配列番号72に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号86(ngcaanはggcaag又はcgcaac)に示す配列のオリゴヌクレオチド部分を含む混合プローブとのセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リステリア・モノサイトゲネスを特異的に検出する方法及びそのためのプライマーに関する。
【背景技術】
【0002】
リステリア症とは、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes、以下「モノサイトゲネス菌」ということがある)によって引き起こされる感染症である。リステリア属には10菌種程度が知られているが、ヒトにリステリア症を引き起こすのはモノサイトゲネス菌のみである。
【0003】
欧米諸国では本菌は重要な食中毒菌として捉えられており、我が国においても、肉製品や乳製品等の種々の食品からモノサイトゲネス菌がしばしば検出されている。モノサイトゲネス菌は通常の加熱調理で死滅するため、加熱調理を要する食品で食中毒が起こることはまれである。しかしながら、モノサイトゲネス菌は冷蔵庫内等の低温条件下でも増殖するため、チーズをはじめとする乳製品やハム、サラミ、スモークサーモンなどの加熱調理なしで喫食する食品では、低温で適正に保存していてもモノサイトゲネス菌による食中毒の危険が伴うことになる。
【0004】
モノサイトゲネス菌の公定の定性試験法では、ALOA寒天培地やクロモアガー寒天培地などの選択分離培地上で乳白色のハローを伴うコロニーが形成された場合にはモノサイトゲネス菌と判定される(非特許文献1)。しかしながら、リステリア属菌にはモノサイトゲネス菌以外にもハローを形成する種があり、そのようなリステリア属菌が混入していた場合にはモノサイトゲネス菌陽性の判定となってしまう。その他、選択分離培地を用いる公定法には、数日間の確認培養が必要で判定までに日数がかかる、当該確認培養には熟練を要する等の問題点もある。
【0005】
リアルタイムPCRなどによりモノサイトゲネス菌を検出するためのプライマーが種々報告されており(例えば特許文献1、2)、市販のキットも存在する。これらの先行技術では、モノサイトゲネス菌の病原性に関与する遺伝子をターゲットとしている。しかしながら、市販の検査キットも含め、公知の手法では偽陰性や偽陽性の発生を十分に抑えることができておらず、モノサイトゲネス菌のみを特異的に検出する検査法として十分に満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-263873号公報
【文献】特開2007-61061号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】食安発1128第2号「リステリア・モノサイトゲネスの検査について」、平成26年11月28日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、他のリステリア属菌と区別してモノサイトゲネス菌のみを十分に高い精度で検出することを可能にする手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者らは、モノサイトゲネス菌のゲノムを鋭意に解析し、核酸増幅法を利用してモノサイトゲネス菌を他のリステリア属菌と区別して特異的に検出できる標的領域として2つの遺伝子を同定した。これら2つの遺伝子の塩基配列をさらに詳細に検討し、多数のプライマーを設計し、モノサイトゲネス菌株及びその他のリステリア属菌株のゲノムDNAに対してプライマーを種々組み合わせて鋭意検討した結果、モノサイトゲネス菌のみを高い精度で特異的に検出するプライマー設定領域の同定に成功し、好ましいPCRプライマーセット及びLAMPプライマーセットの具体例をも確立するに至り、本願発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、リステリア・モノサイトゲネスのlmo0084遺伝子又はlmo2736遺伝子の部分領域を増幅する下記のいずれかのプライマーセットを含む、リステリア・モノサイトゲネス検出用プライマーセットを提供する。
(A-1) 配列番号26に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-2) 配列番号26に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-3) 配列番号27に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-4) 配列番号27に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-5) 配列番号28に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-6) 配列番号28に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-7) 配列番号29に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(A-8) 配列番号29に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(C-1) 配列番号32に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号37に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(D-1) 配列番号33に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号38に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(E-1) 配列番号34に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号38に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(F-1) 配列番号34に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号39に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(G-1) 配列番号34に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号40に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(H-1) 配列番号35に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号39に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(I-1) 配列番号35に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号40に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(J-1) 配列番号35に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(K-1) 配列番号36に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号39に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(L-1) 配列番号36に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号40に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
【0011】
また、本発明は、下記のいずれかのセットを含む、リステリア・モノサイトゲネス検出用プライマーセットを提供する。
(A-9) 配列番号67に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(A-10) 配列番号68に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(D-2) 配列番号70に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号74に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(E-2) 配列番号71に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号74に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(F-2) 配列番号71に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号75に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(G-2) 配列番号71に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(H-2) 配列番号72に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号75に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(I-4) 配列番号72に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(J-2) 配列番号72に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(K-3) 配列番号73に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号75に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(L-2) 配列番号73に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。
(N-1) 配列番号71に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
(O-1) 配列番号73に示す塩基配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。
【0012】
さらに、本発明は、下記のいずれかのセットを含む、リステリア・モノサイトゲネス検出用ループ媒介等温増幅プライマーセットを提供する。
(i) 配列番号42に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号43に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号44に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号45に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
(ii) 配列番号46に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号47に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号48に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号49に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
(iii) 配列番号50に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号51に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号52に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号53に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
(iv) 配列番号54に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号55に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号56に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号57に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
【0013】
さらに、本発明は、上記本発明のプライマーセットを使用した核酸増幅法により、lmo0084遺伝子又はlmo2736遺伝子の部分領域を増幅する工程を含む、リステリア・モノサイトゲネスの検出方法を提供する。
【0015】
さらにまた、本発明は、以下のいずれかのプライマー及びプローブのセットを含む、リステリア・モノサイトゲネス検出のためのリアルタイムPCR用プライマー及びプローブセットを提供する。
[1] 配列番号67に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号77又は80に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブとのセット。
[2] 配列番号67に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号85(ngaanはtgaaa又はcgaac)に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含む混合プローブとのセット。
[3] 配列番号68に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号77又は80に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブとのセット。
[4] 配列番号68に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号85(ngaanはtgaaa又はcgaac)に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含む混合プローブとのセット。
[5] 配列番号32に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号37に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号81に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブとのセット。
[6] 配列番号70に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号74に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号82に示す塩基配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブとのセット。
[7] 配列番号72に示す塩基配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列をその3'側に含むリバースプライマーと、配列番号86(ngcaanはggcaag又はcgcaac)に示す配列のオリゴヌクレオチド部分を含む混合プローブとのセット。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、モノサイトゲネス菌の各種菌株をモノサイトゲネス菌以外のリステリア属菌と区別して特異的に検出できるプライマーが提供される。本発明の手法によれば、従来の核酸増幅法による検査法と比べて、偽陰性や偽陽性の発生が大きく低減される。リステリア属菌の中には、モノサイトゲネス菌以外にも選択分離培地上で乳白色のハローを伴うコロニーを形成する種が存在するが、本発明によればそのような菌株でも増幅が起こらず、核酸増幅法の結果のみでもモノサイトゲネス菌と区別することが可能である。また、下記実施例のTaqMan(登録商標)プローブ0084TMP535-558(CC)のように、個々の血清型に特徴的な多型配列をターゲットとしてプローブを設計し、リアルタイムPCRを行なうことで、モノサイトゲネス菌の血清型判別も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1-1】モノサイトゲネス菌をALOA寒天培地及びクロモアガー寒天培地で培養したコロニーの画像である(ハローを形成した陽性コロニー、及びハローを形成しない偽陰性のコロニーの画像の一例)。
【
図1-2】モノサイトゲネス菌以外のリステリア属菌をALOA寒天培地及びクロモアガー寒天培地で培養したコロニーの画像である(ハローを形成した偽陽性のコロニーの画像の一例)。
【
図1-3】モノサイトゲネス菌以外のリステリア属菌をALOA寒天培地及びクロモアガー寒天培地で培養したコロニーの画像である(ハローを形成しない陰性のコロニーの画像の一例)。
【
図2-1】実施例で設計したリステリア・モノサイトゲネス検出用PCRプライマーによるPCRの結果の一例である。lmo00084遺伝子を対象としたPrime set No. 4を使用してPCRし、2%のアガロースゲル電気泳動により検出した。矢印で示した476 bpのPCR産物がモノサイトゲネス菌の特異的増幅産物である。各レーンに付した番号は表5-1及び表5-2に示した菌株番号に対応する。1~10がモノサイトゲネス(1から順番に血清型1/2a、1/2b、1/2c、3a、3b、3c、4a、4b、4d、5)であり、11~22がモノサイトゲネス以外のリステリア属菌である。
【
図2-2】実施例で設計したリステリア・モノサイトゲネス検出用PCRプライマーによるPCRの結果の一例である。lmo02736遺伝子を対象としたPrime set No. 1を使用してPCRし、2%のアガロースゲル電気泳動により検出した。矢印で示した168 bpのPCR産物がモノサイトゲネス菌の特異的増幅産物である。矢印が特異的増幅産物。各レーンに付した番号は
図2-1と同じ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明では、モノサイトゲネス菌のゲノム中に存在する下記2つの遺伝子のいずれかを検出対象とする。
【0019】
【0020】
配列表の配列番号1~12には、モノサイトゲネス菌の血清型1/2a, 1/2b, 1/2c, 3a, 3b, 3c, 4a, 4b, 4c, 4d, 4e, 7のlmo0084遺伝子の塩基配列をそれぞれ示す。配列番号13~25には、モノサイトゲネス菌の上記血清型のlmo2736遺伝子の塩基配列をそれぞれ示す(4bは配列番号20、21に2種類示した)。本明細書では、各遺伝子の部分領域を特定するに当たり、lmo0084遺伝子は配列番号1に示す血清型1/2aの塩基配列を、lmo2736遺伝子は配列番号13に示す血清型1/2aの塩基配列を基準として用いる。例えば、「配列番号1に示すlmo0084遺伝子における306位~737位の領域」といった場合には、各種血清型のlmo0084遺伝子における306位~737位の領域が包含される。lmo2736遺伝子についても同様である。配列番号1~25の配列のAccession番号は下記表2の通りである。
【0021】
【0022】
モノサイトゲネス菌の特異的検出は、lmo0084遺伝子又はlmo2736遺伝子の領域内に特異的にハイブリダイズするリステリア・モノサイトゲネス検出用プライマーを用いた核酸増幅法により行なうことができる。核酸増幅法としては、PCR法や等温増幅法など種々の公知の手法を用いることができる。本発明において、プライマーという語には、PCRプライマー及び等温増幅プライマーが包含される。なお、本発明において、PCR法とは、温度変化を繰り返して目的領域を増幅させる核酸増幅法をいう。
【0023】
「特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイブリダイズの条件下において、対象とする領域にのみハイブリダイズし、その他の領域には実質的にハイブリダイズしないという意味である。「通常のハイブリダイズの条件下」とは、通常のPCRのアニーリングに用いられる条件下のことをいい、例えば、Taqポリメラーゼを用いたPCRの場合には、50mM KCl、10mM Tris-HCl(pH 8.3~9.0)、1.5mM MgCl2といった一般的な緩衝液を用いて、54℃~60℃程度の適当なアニーリング温度で反応を行なうことをいう。ただし、適当なアニーリング温度は、上記例示に限定されず、プライマーのTm値及び実験者の経験則に基づいて定められ、当業者であれば容易に定めることができる。「実質的にハイブリダイズしない」とは、全くハイブリダイズしないか、するとしても対象とする領域にハイブリダイズする量よりも大幅に少なく、相対的に無視できる程度の微量しかハイブリダイズしないという意味である。
【0024】
前記核酸増幅法により得られた増幅産物の検出は、公知の検出法であれば何れも適用することができる。PCR法であれば電気泳動法やインターカレーション法、クエンチャー媒介蛍光検出法等により行ってもよいし、等温増幅法であれば増幅副産物であるピロリン酸の不溶化法やインターカレーション法、クエンチャー媒介蛍光検出法等により行ってもよく、また、増幅産物を核酸クロマトグラフィーにより検出してもよい。
【0025】
PCR法という語にはリアルタイムPCR法も包含される。リアルタイムPCRでは、一般にインターカレーション法又はクエンチャー媒介蛍光検出法により増幅産物の検出・モニタリングが行われる。下記実施例には、クエンチャー媒介蛍光検出法の一例であるTaqMan(登録商標)プローブ法を用いたリアルタイムPCR検出系の具体例が記載されているが、これに限定されず、各種の手法を採用することができる。
【0026】
核酸クロマトグラフィーであれば、まず本発明のモノサイトゲネス菌検出用プライマーのセットを用いて核酸増幅を行ない、その増幅産物と特異的に結合する捕捉物質をライン状等に固定したストリップ上を展開することにより検出することができる。増幅産物を捕捉するために、例えば、フォワード又はリバースプライマーの5’側にビオチンやDIG等の標識化合物や任意の塩基配列を付加し、ストリップ上にアビジンや抗DIG抗体等の標識化合物特異的結合物質や任意の塩基配列と相補的な塩基配列を有するオリゴ核酸プローブを捕捉物質として固定化することができる。検出の特異性をより高めるために、ストリップ上の捕捉プローブとして、プライマーによる増幅領域内のいずれかの部分配列に特異的にハイブリダイズする塩基配列を有するプローブを用いることができる。このような捕捉プローブは、プライマーによる増幅領域内の部分領域を適宜選択し、配列番号1~12に示した各血清型のlmo0084遺伝子、又は配列番号13~25に示した各血清型のlmo2736遺伝子の塩基配列を参考に、各血清型の増幅産物にハイブリダイズできるプローブを設計すればよい。検出系は、公知の核酸クロマトグラフィー法と同様に構築すればよく、例えば、ペルオキシダーゼ等の酵素、金コロイドや着色ラテックス等の粒子を用いた発色検出法が挙げられる。
【0027】
等温増幅法は特に限定されず、ループ媒介等温増幅(Loop-Mediated Isothermal Amplification; LAMP)法、鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification; SDA)法、キメラプライマー等温核酸増幅(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids; ICAN)法、ヘリカーゼ依存増幅(Helicase-Dependent Amplification; HDA)法、ニッキング酵素増幅反応(Nicking Enzyme Amplification Reaction; NEAR)法等の各種の等温増幅法を用いることができる。等温増幅プライマーの一例として、下記実施例で設計されたLAMPプライマーを挙げることができる。
【0028】
本発明において検査対象となる典型的なサンプルは、食品(原材料、加工食品を包含する)から採取したサンプルであるが、これに限定されず、食品工場の製造ラインや従業者の手指などのぬぐい液など、モノサイトゲネス菌の検査が望まれる種々のサンプルが対象となり得る。
【0029】
モノサイトゲネス菌を他のリステリア属菌及び他の食中毒病原菌と区別して特異的に検出するための、PCR法及び等温増幅法等の核酸増幅法に使用するプライマーセットは、配列番号1に示すlmo0084遺伝子配列又は配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列の領域内に特異的にハイブリダイズするプライマーセットを使用することができる。プライマーセットの設計においては、プライマーの長さ、GC含量、Tm値、塩基の偏り、連続配列、プライマー内及びプライマー間の相補性、増幅産物の分子量、更には標的領域の遺伝子多型等を考慮すればよい。PCR法に使用するプライマーセットであれば、その長さは15~30塩基程度、GC含量は40~60%程度、Tm値は50~70℃程度になるように設計すればよい。PCR法以外の核酸増幅法では、例えば下記に示すLAMP法のようにその原理に応じてプライマーセットを設計することができる。
【0030】
このようなプライマーセットを構成する各プライマーは、一般には、各血清型間で配列の多様性が少ない領域に設計することが望ましいが、少数の遺伝子多型を含む領域に設計してもよい。遺伝子多型を含む領域にプライマーを設計する場合、配列番号1又は配列番号13に示す血清型1/2aの各遺伝子配列に対して、遺伝子多型を反映させた塩基置換を加えてプライマーを設計することができる。遺伝子多型を反映させた塩基置換の個数は、1のプライマーに対して20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。より具体的には、付加配列を含まない鎖長20塩基のプライマーの場合、その20塩基の領域内の遺伝子多型部位において4個以下、好ましくは3個以下の塩基が置換された配列でプライマーを設計してもよい。そのようにして設計されたプライマーは、他の血清型の遺伝子配列の部分領域又はその相補鎖と同一の配列となる場合もあり得る。遺伝子多型部位における置換を含むプライマーを使用する場合、遺伝子多型毎のプライマーを使用してもよく、遺伝子多型毎のプライマーを混合した混合プライマーを使用してもよく、遺伝子多型部位を遺伝子多型に応じた混合塩基になる様に合成したミックスプライマー(例えば、ある部位の塩基が一部の血清型でGであり、他の血清型でCである場合には、その部位の塩基をS(G or C)としたミックスプライマー)を使用してもよい。
【0031】
本発明では、モノサイトゲネス菌を特異的に検出するプライマーは、以上のことを勘案して下記(1)~(14)のいずれかの領域内に特異的にハイブリダイズするプライマーを設計すればよい。
【0032】
(1) 配列番号1に示すlmo0084遺伝子配列における261位~325位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO0084-F286A(配列番号26)、LMO0084-F286B(配列番号27)、LMO0084-F281A(配列番号28)、LMO0084-F281B(配列番号29)は、当該261位~325位の領域と相補的な領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーの具体例である。また、LMO0084-F286/M(配列番号67)、LMO0084-F281/M(配列番号68)は、当該領域と相補的な領域内にハイブリダイズする混合フォワードプライマーの具体例である。また、配列番号59に示す塩基配列をその3'側に含むプライマー、例えば実施例のLAMPプライマーのLMO84 BIP(配列番号45)は、当該261位~325位の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーの具体例である。
【0033】
(2) 配列番号1に示すlmo0084遺伝子配列における718位~777位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO0084-R757A(配列番号30)、LMO0084-R757B(配列番号31)は、当該718位~777位の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーの具体例である。また、LMO0084-R757/M(配列番号69)は、当該領域内にハイブリダイズする混合リバースプライマーの具体例である。
【0034】
(3) 配列番号1に示すlmo0084遺伝子配列における108位~166位の領域又は該領域と相補的な領域。
配列番号58に示す塩基配列をその3'側に含むプライマー、例えば実施例のLAMPプライマーのLMO84 FIP(配列番号44)は、当該108位~166位の領域と相補的な領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーの具体例である。
【0035】
(4) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における1位~47位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO2736-F8(配列番号32)は、当該1位~47位の領域と相補的な領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーの具体例である。
【0036】
(5) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における202位~261位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO2736-F222(配列番号33)は、当該202位~261位の領域と相補的な領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーの具体例である。また、LMO2736-F222/M(配列番号70)は、当該領域と相補的な領域内にハイブリダイズする混合フォワードプライマーの具体例である。
【0037】
(6) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における468位~527位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO2736-F488(配列番号34)は、当該468位~527位の領域と相補的な領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーの具体例である。また、LMO2736-F488/M(配列番号71)は、当該領域と相補的な領域内にハイブリダイズする混合フォワードプライマーの具体例である。
【0038】
(7) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における510位~569位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO2736-F530(配列番号35)や、配列番号60又は62に示す塩基配列をその3'側に含むプライマー、例えば実施例のLMO2736-1 FIP(配列番号48)及びLMO2736-2 FIP(配列番号52)は、当該510位~569位の領域と相補的な領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーの具体例である。また、LMO2736-F530/M(配列番号72)は、当該領域と相補的な領域内にハイブリダイズする混合フォワードプライマーの具体例である。
【0039】
(8) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における552位~611位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO2736-F572(配列番号36)は、当該552位~611位の領域と相補的な領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーの具体例であり、LMO2736-F572/M(配列番号73)は、当該領域と相補的な領域内にハイブリダイズする混合フォワードプライマーの具体例であり、LMO2736-R591(配列番号38)は、当該552位~611位の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーの具体例である。
【0040】
(9) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における137位~196位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO2736-R176(配列番号37)は、当該137位~196位の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーの具体例である。
【0041】
(10) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における646位~705位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO2736-R685(配列番号39)は、当該646位~705位の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーの具体例である。LMO2736-R685/M(配列番号75)は、当該領域内にハイブリダイズする混合リバースプライマーの具体例である。
【0042】
(11) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における732位~791位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO2736-R771(配列番号40)や、配列番号61に示す塩基配列をその3'側に含むプライマー、例えば実施例のLMO2736-1 BIP(配列番号49)及びLMO2736-2 BIP(配列番号53)は、当該732位~791位の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーの具体例である。また、LMO2736-R771/M(配列番号76)は、当該領域内にハイブリダイズする混合リバースプライマーの具体例である。
【0043】
(12) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における953位~1012位の領域又は該領域と相補的な領域。
実施例のLMO2736-R992(配列番号41)は、当該953位~1012位の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーの具体例である。
【0044】
(13) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における496位~560位の領域又は該領域と相補的な領域。
配列番号63に示す塩基配列をその3'側に含むプライマー、例えば実施例のLAMPプライマーのLMO2736-10 FIP(配列番号56)は、当該496位~560位の領域と相補的な領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーの具体例である。
【0045】
(14) 配列番号13に示すlmo2736遺伝子配列における721位~775位の領域又は該領域と相補的な領域。
配列番号64に示す塩基配列をその3'側に含むプライマー、例えば実施例のLAMPプライマーのLMO2736-10 BIP(配列番号57)は、当該721位~775位の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーの具体例である。
【0046】
上記(1)~(3)のlmo0084遺伝子の領域内に特異的にハイブリダイズするプライマーは、例えば、配列番号1に示す塩基配列中の261位~325位の領域、718位~777位の領域、若しくは108位~166位の領域、若しくはこれらのいずれかと相補的な領域中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上からなる配列、又は該配列内の遺伝子多型部位において20%以下の塩基が置換された配列を、その3'側に含むプライマーであり得る。
【0047】
上記(4)~(14)のlmo2736遺伝子の領域内に特異的にハイブリダイズするプライマーは、例えば、配列番号13に示す塩基配列中の1位~47位の領域、202位~261位の領域、468位~527位の領域、510位~569位の領域、552位~611位の領域、137位~196位の領域、646位~705位の領域、732位~791位の領域、953位~1012位の領域、496位~560位の領域、若しくは721位~775位の領域、若しくはこれらのいずれかと相補的な領域中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上からなる配列、又は該配列内の遺伝子多型部位において20%以下の塩基が置換された配列を、その3'側に含むプライマーであり得る。
【0048】
lmo0084遺伝子の部分領域を増幅・検出するためのプライマーに採用できる好ましい配列の具体例としては、配列番号26~31、58及び59を挙げることができる。配列番号58及び59は、LAMPプライマー配列である配列番号44及び45の3'側部分配列(lmo0084遺伝子中の標的部位にハイブリダイズするF2又はB2部分の配列)である。配列番号26~29、58はlmo0084遺伝子のセンス鎖の配列であり、該遺伝子のアンチセンス鎖にハイブリダイズするフォワードプライマーの配列として利用できる。配列番号30、31、59はlmo0084遺伝子のアンチセンス鎖の配列であり、該遺伝子のセンス鎖にハイブリダイズするリバースプライマーの配列として利用できる。
【0049】
lmo2736遺伝子の部分領域を増幅・検出するためのプライマーに採用できる好ましい配列の具体例としては、配列番号32~41、60~64を挙げることができる。配列番号60~64は、LAMPプライマー配列である配列番号48、49、52、53、56、57の3'側部分配列(lmo2736遺伝子中の標的部位にハイブリダイズするF2又はB2部分の配列)である。配列番号32~36、60、62、63はlmo2736遺伝子のセンス鎖の配列であり、該遺伝子のアンチセンス鎖にハイブリダイズするフォワードプライマーの配列として利用できる。配列番号37~41、61、64はlmo2736遺伝子のアンチセンス鎖の配列であり、該遺伝子のセンス鎖にハイブリダイズするリバースプライマーの配列として利用できる。
【0050】
なお、lmo0084遺伝子及びlmo2736遺伝子の部分領域を増幅・検出するためのプライマーに採用できる好ましい配列の具体例として例示した配列番号26~31及び配列番号32~41は、下記に示すように、その5’側に付加配列を設けることによりLAMPプライマーとして使用することができる。
【0051】
上記(1)~(14)の領域に設定した、モノサイトゲネス菌のlmo0084遺伝子又はlmo2736遺伝子の部分領域を増幅するためのフォワードプライマー及びリバースプライマーのセットとしては、以下のいずれかを含むプライマーセットが挙げられる。当該プライマーセットは、PCRプライマー、又はLAMPプライマー等の等温増幅プライマーであり得る。
(A) 前記(1)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(2)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(B) 前記(3)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(1)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(C) 前記(4)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(9)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(D) 前記(5)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(8)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(E) 前記(6)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(8)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(F) 前記(6)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(10)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(G) 前記(6)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(11)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(H) 前記(7)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(10)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(I) 前記(7)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(11)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(J) 前記(7)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(12)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(K) 前記(8)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(10)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(L) 前記(8)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(11)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(M) 前記(13)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(14)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(N) 前記(6)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(12)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
(O) 前記(8)の領域内にハイブリダイズするフォワードプライマーと、前記(12)の領域内にハイブリダイズするリバースプライマーとのセット。
【0052】
上記(A)~(O)のセットの具体例として、下記のセットを挙げることができる。アルファベットは上記(A)~(O)のそれぞれに対応しており、例えば下記の(A-1)~(A-10)は上記(A)のセットの例である。
【0053】
(A-1) 配列番号26に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号26の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号30の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO0084-F286AとLMO0084-R757Aのセットはこのセットの具体例である。
【0054】
(A-2) 配列番号26に示す塩基配列中の連続する15塩基以上の配列、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号26の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号31の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO0084-F286AとLMO0084-R757Bのセットはこのセットの具体例である。
【0055】
(A-3) 配列番号27に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号27の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号30の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO0084-F286BとLMO0084-R757Aのセットはこのセットの具体例である。
【0056】
(A-4) 配列番号27に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号27の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号31の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO0084-F286BとLMO0084-R757Bのセットはこのセットの具体例である。
【0057】
(A-5) 配列番号28に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号28の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号30の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO0084-F281AとLMO0084-R757Aのセットはこのセットの具体例である。
【0058】
(A-6) 配列番号28に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号28の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号31の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO0084-F281AとLMO0084-R757Bのセットはこのセットの具体例である。
【0059】
(A-7) 配列番号29に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号29の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号30に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号30の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO0084-F281BとLMO0084-R757Aのセットはこのセットの具体例である。
【0060】
(A-8) 配列番号29に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号29の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号31に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号31の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO0084-F281BとLMO0084-R757Bのセットはこのセットの具体例である。
【0061】
(A-9) 配列番号67に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO0084-F286/MとLMO0084-R757/Mのセットはこのセットの一例である。
【0062】
(A-10) 配列番号68に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号69に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO0084-F281/MとLMO0084-R757/Mのセットはこのセットの一例である。
【0063】
(B-1) 配列番号58に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号58の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号59に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは全長の配列、又は配列番号59の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLAMPプライマーLMO84 FIPとLMO84 BIPのセットはこのセットの具体例である。
【0064】
(C-1) 配列番号32に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号32の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号37に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号37の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F8とLMO2736-R176のセットはこのセットの具体例である。
【0065】
(D-1) 配列番号33に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号33の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号38に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号38の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F222とLMO2736-R591のセットはこのセットの具体例である。
【0066】
(D-2) 配列番号70に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号74に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F222/MとLMO2736-R591/Mのセットはこのセットの一例である。
【0067】
(E-1) 配列番号34に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号34の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号38に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号38の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F488とLMO2736-R591のセットはこのセットの具体例である。
【0068】
(E-2) 配列番号71に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号74に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F488/MとLMO2736-R591/Mのセットはこのセットの一例である。
【0069】
(F-1) 配列番号34に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号34の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号39に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号39の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F488とLMO2736-R685のセットはこのセットの具体例である。
【0070】
(F-2) 配列番号71に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号75に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F488/MとLMO2736-R685/Mのセットはこのセットの一例である。
【0071】
(G-1) 配列番号34に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号34の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号40に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号40の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F488とLMO2736-R771のセットはこのセットの具体例である。
【0072】
(G-2) 配列番号71に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F488/MとLMO2736-R771/Mのセットはこのセットの一例である。
【0073】
(H-1) 配列番号35に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号35の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号39に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号39の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F530とLMO2736-R685のセットはこのセットの具体例である。
【0074】
(H-2) 配列番号72に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号75に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F530/MとLMO2736-R685/Mのセットはこのセットの一例である。
【0075】
(I-1) 配列番号35に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号35の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号40に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号40の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F530とLMO2736-R771のセットはこのセットの具体例である。
【0076】
(I-2) 配列番号60に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号60の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号61に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは全長の配列、又は配列番号61の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLAMPプライマーLMO2736-1 FIPとLMO2736-1 BIPのセットはこのセットの具体例である。
【0077】
(I-3) 配列番号62に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号62の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号61に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは全長の配列、又は配列番号61の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLAMPプライマーLMO2736-2 FIPとLMO2736-2 BIPのセットはこのセットの具体例である。
【0078】
(I-4) 配列番号72に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F530/MとLMO2736-R771/Mのセットはこのセットの一例である。
【0079】
(J-1) 配列番号35に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号35の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号41の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F530とLMO2736-R992のセットはこのセットの具体例である。
【0080】
(J-2) 配列番号72に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号41の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F530/MとLMO2736-R992のセットはこのセットの一例である。
【0081】
(K-1) 配列番号36に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号36の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号39に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号39の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F572とLMO2736-R685のセットはこのセットの具体例である。
【0082】
(K-2) 配列番号73に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号75に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F572/MとLMO2736-R685/Mのセットはこのセットの一例である。
【0083】
(L-1) 配列番号36に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号36の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号40に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号40の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F572とLMO2736-R771のセットはこのセットの具体例である。
【0084】
(L-2) 配列番号73に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号76に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合リバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F572/MとLMO2736-R771/Mのセットはこのセットの一例である。
【0085】
(M-1) 配列番号63に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは20塩基以上、さらに好ましくは全長の配列、又は配列番号63の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むフォワードプライマーと、配列番号64に示す塩基配列、又は配列番号64の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLAMPプライマーLMO2736-10 FIPとLMO2736-10 BIPのセットはこのセットの具体例である。
【0086】
(N-1) 配列番号71に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号41の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F488/MとLMO2736-R992のセットはこのセットの一例である。
【0087】
(O-1) 配列番号73に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列をその3'側に含む混合フォワードプライマーと、配列番号41に示す塩基配列中の連続する15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは全長の配列、又は配列番号41の塩基配列内の遺伝子多型部位において4個以下の塩基が置換された配列をその3'側に含むリバースプライマーとのセット。下記実施例のLMO2736-F572/MとLMO2736-R992のセットはこのセットの一例である。
【0088】
特定の配列をその3'側に含むプライマーには、当該特定の配列の5'側に任意の配列が付加されたプライマー、及び当該特定の配列からなるプライマーが包含される。例えば、配列番号26に示す塩基配列をその3'側に含むプライマーには、配列番号26に示す塩基配列の5'側に任意の配列が付加されたプライマーと、配列番号26に示す塩基配列からなるプライマーとが包含される。
【0089】
(A-1)~(O-1)に記載した各塩基配列内の遺伝子多型部位の好ましい具体例は以下の通りである。塩基置換を含むプライマーの好ましい具体例として、それぞれ、下記に示した遺伝子多型部位の具体例から選択される少なくとも1つの塩基が置換された配列を3'側に含むプライマーを挙げることができる。これらの具体例は、配列番号1~12に示した12の血清型のlmo0084遺伝子配列12種類のアライメント、及び配列番号13~25に示した12の血清型のlmo2736遺伝子配列13種類のアライメントから特定される遺伝子多型部位である。もっとも、他の血清型のモノサイトゲネス菌株や同じ血清型の他のモノサイトゲネス菌株の遺伝子配列をさらに考慮した場合には、下記具体例以外にも遺伝子多型部位が見出される可能性があり、本発明ではそのような部位における塩基置換も許容されるので、本発明における各配列内の遺伝子多型部位は下記具体例に限定されるものではない。
【0090】
配列番号26:第6位、第15位及び第16位
配列番号27:第6位、第15位及び第16位
配列番号28:第2位、第11位及び第20位
配列番号29:第2位、第11位及び第20位
配列番号30:第8位及び第11位
配列番号31:第8位及び第11位
配列番号33:第5位、第18位及び第20位
配列番号34:第5位及び第8位
配列番号35:第5位及び第11位
配列番号36:第5位及び第11位
配列番号38:第10位及び第16位
配列番号39:第14位、第15位及び第16位
配列番号40:第7位
配列番号58:第5位、第9位、第11位及び第14位
配列番号59:第1位及び第10位
配列番号60:第7位及び第13位
配列番号61:第5位
配列番号62:第7位及び第13位
配列番号63:第1位、第4位、第19位及び第25位
配列番号64:第6位及び第15位
【0091】
プライマーの5'側に存在していてもよい任意の付加配列の好ましい具体例として、LAMPプライマーを構築するための付加配列を挙げることができる。プライマーの標的領域よりも内側に位置する任意の一部領域を選択し、その一部領域の相補鎖をプライマーの5'側に付加することで、LAMPプライマーを構築することができる。LAMPプライマーを設計するためのソフトウェアは公知であり、そのような公知のソフトウェアを用いて、上記した(1)~(14)の特異的プライマー設定領域をベースにしてモノサイトゲネス菌特異的検出用のLAMPプライマーを設計することができる。
【0092】
LAMPプライマーの設計では、5'上流側からF3、F2、F1、B1、B2、B3の順に並ぶ各領域が必要であり、F1配列の相補配列(アンチセンス鎖の配列)がF2の5'末に付加したFIPプライマーと、B1配列の相補配列(センス鎖の配列)がB2の5'末の付加したBIPプライマーと、F3の領域にハイブリダイズするフォワードプライマーと、B3の領域にハイブリダイズするリバースプライマーとのセットでLAMPプライマーセットが構成される。このうちのF2及びB2の少なくともいずれか、好ましくは両方に、上記(1)~(14)の特異的プライマー設定領域を採用すればよい。上記(a)~(v)のプライマーセットをベースにして設計する場合には、増幅サイズが約200~300bp程度のセットであれば、F2及びB2の両方にプライマー設定領域と重複するものを選択すればよく、増幅サイズがこの範囲から外れるセットであれば、F2及びB2のいずれか一方にプライマー設定領域と重複するものを選択し、他方はソフトウェアが候補として挙げた配列から適宜選択すればよい。
【0093】
下記の(i)~(iv)は、(A-2)のプライマーセットの一例であるLMO0084-F286AとLMO0084-R757Bのセット、及び(I-1)のプライマーセットの一例であるLMO2736-F530とLMO2736-R771のセットをベースにしてそれぞれ設計したLAMPプライマーセットである。モノサイトゲネス菌検出用LAMPプライマーセットの好ましい具体例として、これらのセットを挙げることができる。
【0094】
(i) 配列番号42に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号43に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号44に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号45に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
(ii) 配列番号46に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号47に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号48に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号49に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
(iii) 配列番号50に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号51に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号52に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号53に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
(iv) 配列番号54に示す塩基配列からなるF3プライマーと、配列番号55に示す塩基配列からなるB3プライマーと、配列番号56に示す塩基配列からなるFIPプライマーと、配列番号57に示す塩基配列からなるBIPプライマーとのセット。
【0095】
LAMP法以外に用いられる等温増幅プライマーも、上記した(1)~(14)の特異的プライマー設定領域をベースとし、公知のソフトウェア等を用いて設計することができる。
【0096】
PCR増幅産物の検出に用いるプローブの好ましい具体例として、以下の配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブを挙げることができる。配列番号85に示す配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブとは、n---nがT---Aであるオリゴヌクレオチド部分(配列番号78)を含むプローブと、n---nがC---Cであるオリゴヌクレオチド部分(配列番号79)を含むプローブとの混合プローブである。同様に、配列番号86に示す配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブとは、n----nがG----Gであるオリゴヌクレオチド部分(配列番号83)を含むプローブと、n----nがC----Cであるオリゴヌクレオチド部分(配列番号84)を含むプローブとの混合プローブである。
<LMO0084遺伝子用プローブ>
TATTACATTCATAGAATTGACCC(配列番号77)(366位~389位に設定)
ATCTGGTGGCGAGAAGCnGAAnA(配列番号85)(535位~558位に設定、nGAAnはTGAAA又はCGAAC)
TACCAAGATTCCAAAAAGAAGCCATG(配列番号80)(686位~711位に設定)
<LMO2736遺伝子用プローブ>
AAAAAAGGCTGGACTAAAGC(配列番号81)(70位~89位に設定)
ACGTCAAAAAAATCATTATC(配列番号82)(372位~393位に設定)
GTTTTCGGTGCTCAAAAAGGnGCAAnTCC(配列番号86)(619位~647位に設定、nGCAAnはGGCAAG又はCGCAAC)
【0097】
配列番号85のプローブ、配列番号86のプローブは、2種類のオリゴヌクレオチドプローブの混合プローブであるが、2種類のプローブの混合比はモル比で1:5~5:1程度、例えば1:2~2:1程度、又は1:1.5~1.5:1程度であればよく、1:1程度で好ましく用いることができる。
【0098】
各プローブの設定位置は上記の通りであるので、この設定領域を含む領域を増幅するプライマーセットと組み合わせて用いればよい。これらの配列のオリゴヌクレオチド部分を含むプローブは、核酸クロマトグラフィーの捕捉プローブや、リアルタイムPCR用プローブとして好ましく用いることができる。リアルタイムPCR用プローブとして用いる場合、オリゴヌクレオチドの5'末端及び3'末端を蛍光物質とクエンチャー物質で修飾すればよい。5'末端を蛍光物質で、3'末端をクエンチャー物質で修飾するのが一般的である。特に好ましいプライマー・プローブの組み合わせは、下記実施例の表23、表25に記載されている。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0100】
I. 標的遺伝子の検索
モノサイトゲネス菌遺伝子検査の従来品は、モノサイトゲネス菌が有するhlyA遺伝子、clpC遺伝子、inlA遺伝子、plcA遺伝子等の病原性遺伝子をターゲットとしているが、モノサイトゲネス菌とそれ以外のリステリア属菌を十分に識別できるものではない。高い精度でモノサイトゲネス菌を他のリステリア属菌と識別できるプライマーセットの確立をめざし、前記の病原性遺伝子以外をターゲットとして検討を行なった。
【0101】
まず始めに、http://genolist.pasteur.fr/ListiList/のサイトを利用した。このサイト上にあるAccession No.NC_003210.1のモノサイトゲネスと、Accession No.NC_003212.1のイノクアの情報を活用した。リステリア属のリステリア・イノクア(遺伝子数:3,068)とリステリア・モノサイトゲネス(遺伝子数:2,941)の比較ゲノム解析を行ない、モノサイトゲネス特異的遺伝子を296遺伝子に絞り込んだ。
【0102】
次に、選択した296遺伝子のそれぞれについて、データベースに対してBLAST検索を行い、登録されているモノサイトゲネス各血清型の全ての分離株のゲノム配列中に遺伝子の存在が確認できるかどうかを調べた。いずれかの分離株で存在が確認できなかった遺伝子は候補から除外した。この検索結果の一例を表3に示す。
【0103】
【0104】
以上により、候補遺伝子を最終的に6遺伝子(LMO 0083、LMO 0084、LMO 0444、LMO 0833、LMO 2387、LMO 2736)に絞り込んだ。
【0105】
この6遺伝子のそれぞれについて、複数のPCRプライマーを設計し、モノサイトゲネス菌6株(血清型1/2a、1/2b、1/2c、4a、4b、4d)及びL. innocuaを含む他のリステリア属菌3株(L. innocua, L. grayi, L. ivanovii)を用いて実際にPCRを行ない、モノサイトゲネス菌への特異性を検証した。この際のPCRプライマーは、モノサイトゲネスの各血清型の配列(上掲表2のアクセッション番号の配列を使用)を比較し、共通領域をターゲットとして設計した。その結果、LMO 0083、LMO 0444、LMO 0833、MLO 2387では、6株のうちのいずれかを検出できないか、あるいは他のリステリア属菌も増幅してしまい、特異性の高いプライマーセットの設計が困難であった。例えば、LMO0833遺伝子の場合、プライマーF329(ggaaagcaattgtccactcga、配列番号65)とプライマーR610(tgttggtgagtagcgtggaa、配列番号66)の組合せで行った結果、リステリア属菌の増幅が見られず特異性が得られた。しかし、血清型4aのモノサイトゲネスも増幅が見られなかった。表4には、各候補遺伝子のPCR結果の一例を示す。LMO 0084及びLMO 2736では、6株のモノサイトゲネス菌のみで特異的増幅産物が得られた。比較のため、市販のモノサイトゲネス菌遺伝子検査キット2点にて、同じ菌株を用いて検出を実施してみたところ、いずれもここで用いたモノサイトゲネス菌を特異的に検出することができなかった(表4)。以上の結果より、候補遺伝子をLMO 0084及びLMO 2736に絞り込んでモノサイトゲネス菌特異的プライマーの構築を試みた。
【0106】
【0107】
II. モノサイトゲネス菌特異的プライマーセットの構築
上記で絞り込んだ2遺伝子LMO 0084及びLMO 2736の各種血清型の塩基配列をさらに詳細に検討し、プライマーを多数設計した。使用する菌株を増やしてPCRによる検証を行ない、モノサイトゲネス菌を高い精度で特異的に検出するプライマーの構築を試みた。
【0108】
<方法>
1.使用菌株
PCR試験に供した各種菌株(表5-1~表5-3)は、国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)、及び国立大学法人岐阜大学研究推進・社会連携機構微生物遺伝資源保存センター(GTC)、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー(IFO)、JA全農家畜衛生研究所(JA)、東京大学応用微生物研究所(IMCB)から入手した。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
2.プライマー及びPCR反応条件
リステリア・モノサイトゲネスの各種血清型のlmo0084遺伝子(配列番号1~12)及びlmo2736遺伝子(配列番号13~25)の配列情報をもとに種々のプライマーを設計した。表6にその一部の配列を示す。lmo0084遺伝子において、配列番号26、28、30のプライマーはモノサイトゲネス菌血清型1/2aタイプの遺伝子多型を、配列番号27、29、31のプライマーは血清型4aタイプの遺伝子多型を反映するように設計した。lmo2736遺伝子において、配列番号32、37、41のプライマーはモノサイトゲネス菌各血清型に共通する配列を、配列番号33、34、35、36、38、39、40のプライマーはモノサイトゲネス菌血清型1/2cタイプの遺伝子多型を反映するように設計した。設計したPCRプライマーは、株式会社ファスマックに委託して合成した。鋳型DNAは、各種菌株からそれぞれmericon DNA Bacteria Plus Kit(QIAGEN社)を用いてゲノムDNAを抽出して得た。
【0113】
【0114】
PCR反応液の組成を下記表7に示す。GeneAmp PCR System 9700を用いてPCRを行なった。反応サイクルは、94℃2分→(94℃20秒→60℃20秒→72℃40秒)×30サイクル→72℃7分→4℃とした。
【0115】
【0116】
3.モノサイトゲネス選択分離用培地
各種リステリア属菌をALOA寒天培地(シスメックス社)及びクロモアガー寒天培地(関東化学社)に播種して37℃で24時間程度培養し、コロニーを観察した。モノサイトゲネス菌は、ALOA寒天培地では乳白色のハローを伴う青緑色のコロニーを、クロモアガー寒天培地では乳白色のハローを伴う青色のコロニーを形成する。
【0117】
<結果>
ハロー形成試験では、モノサイトゲネス菌は、菌株番号4の様に一部ハローを形成しないコロニーが出現する株があるものの、何れもハローを形成して陽性となった。それに対して、L. ivanovii(菌株番号11、12、13、14)及びL. seeligeri(菌株番号18)で偽陽性を示した。リステリア属以外の食中毒菌26菌株(菌株番号23~48)ではコロニーの形成が確認できなかった。ハロー試験の結果の一例を図1-1~図1-3に示す。
【0118】
設計したプライマーを種々組み合わせて検討した結果、遺伝子多型に影響されることなく、表8-1~表8-4に示す組み合わせでモノサイトゲネス菌を特異的に検出することができた。いずれもモノサイトゲネス菌以外のリステリア属菌(菌株番号11~22)、及びその他の食中毒菌26菌株(菌株番号23~48)に対しては所定サイズのPCR産物が得られなかった(表9-1~表9-6)。PCRの結果の一例を
図2-1及び
図2-2に示す。
【0119】
特に、L. ivanovii及びL. seeligeriは、モノサイトゲネス菌選択分離用として一般に使用されているALOA寒天培地やクロモアガー寒天培地上でモノサイトゲネス菌と同様にハローを形成し、モノサイトゲネス菌との識別が困難であるが、表8-1~表8-4に示すプライマーセットによれば、これらのリステリア属菌の各種分離菌株に対しても増幅が起こらず陰性となった。一方、モノサイトゲネス菌株JMC7673(表中の菌株No. 4)はハローを形成しないコロニーも出現するが、このような菌株でもモノサイトゲネス菌として検出可能であった。これにより、表8-1~表8-4に示すプライマーセットはモノサイトゲネス菌に対する特異性が非常に優れていることが確認された。更に、表4に示した従来のモノサイトゲネス菌検出PCRキットよりも優れていることも確認された。
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
<LAMPプライマーの設計>
lmo0084遺伝子を標的とするプライマーセットF286A/R757B、及びlmo2736遺伝子を標的とするプライマーセットF530/R771をベースにLAMPプライマーを設計した。プライマー設計には、公知のLAMP法プライマー設計支援ソフトLAMP Designer 1.14 (OptiGene社製)を用いた。
【0131】
[lmo0084を標的とするLAMP法プライマーの設計]
1. 検索領域を1から984で入力した。
2. F2からB2の範囲を150から300で入力した。
3. ソフトからF3/B3、F2/B2、F1/B1のセットで配列が予測された。
4. F2、B2のどちらかが、PCRプライマーF286A、R757Bに重複するセットを選択した。
5. 最適化を行ない、F2、B2の両配列がプライマーF286A、R757Bに重複するセットを選択した。
【0132】
[lmo2736を標的とするLAMP法プライマーの設計]
1. 検索領域を491から811で入力した。
2. F2からB2の範囲を150から300で入力した。
3. F1からB1の範囲を100から200で入力した。
4. ソフトからF3/B3、F2/B2、F1/B1のセットで配列が予測された。
5. F2/B2が、PCRプライマーF530、R771に重複するセットを選択した。
6. 設計したプライマーで実際にLAMP法を行ない、選択したF2/B2を中心に最適化を行なった。
【0133】
上記の通りにして得られた、モノサイトゲネス菌を特異的に検出するためのLAMPプライマーセットを下記に示す。lmo0084LAMPプライマーセットは、モノサイトゲネス菌血清型1/2aタイプの遺伝子多型を反映するように設計した。lmo2736LAMPプライマーセットは、配列番号64を除き、モノサイトゲネス菌血清型1/2cタイプの遺伝子多型を反映するように設計した。上記の各種菌株を用いた検出試験の結果、下記表14-1~表14-3に示す通り、遺伝子多型に影響されることなく、いずれもモノサイトゲネス菌に対する特異性を確認できた。
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
<ミックスプライマーの設計>
上記表6に示したLMO0084プライマー設計部位において、さらに多くの血清型の多型配列を網羅すべく、混合塩基を使用したミックスプライマーを設計した。
【0142】
【0143】
F286/MとR757/M、F281/MとR757/Mとの組み合わせで通常のPCRを実施し、モノサイトゲネス特異的な増幅が見られるかどうかを確認した。検出試験には表5-1に示した菌株番号1~10のモノサイトゲネス菌株、表5-2に示した菌株番号11~22のリステリア属菌株、菌株番号23~48の食中毒菌(ただし菌株番号42に代えてCitrobacter freundii N-326株を使用)を用いた。
【0144】
その結果、全てのモノサイトゲネス菌で増幅が確認され、かつ、モノサイトゲネス菌以外の菌株では全て増幅が見られなかった(表16-1~16-6)。
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
LMO2736についても同様に、表6に示したlmo2736プライマー設計部位において、混合塩基を使用したミックスプライマーを設計した。「配列番号」の欄には、参照した各血清型のlmo2736遺伝子の配列番号、またはプライマーの配列を記載した配列番号を示す。
【0152】
【0153】
下記表18に示すFプライマー及びRプライマーの組み合わせで通常のPCRを実施し、モノサイトゲネス特異的な増幅が見られるかどうかを確認した。検出試験には表5-1に示した菌株番号1~10のモノサイトゲネス菌株、表5-2に示した菌株番号11~22のリステリア属菌株、菌株番号23~48の食中毒菌(ただし菌株番号42に代えてCitrobacter freundii N-326株を使用)を用いた。
【0154】
その結果、全てのモノサイトゲネス菌で増幅が確認され、かつ、モノサイトゲネス菌以外の菌株では全て増幅が見られなかった(表19-1~19-6)。
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
<TaqMan(登録商標)プローブの設計>
リアルタイムPCR検出系の構築を目指し、TaqMan(登録商標)プローブを設計した。
【0163】
〔1〕LMO0084遺伝子
TaqMan(登録商標)プローブの設計は、以下の条件が一般的である。
・TaqMan(登録商標)プローブは20mer~30merで設計する(Thermo Fisher引用)。
・増幅ターゲットの長さは、70bp~200bpが理想であり、300bp以上にならないようにする(QIAGEN引用)。
【0164】
しかしながら、LMO0084遺伝子をターゲットに上記で設計したミックスプライマーのセット(LMO0084-F286/MとLMO0084-R757/M、LMO0084-F281/MとLMO0084-R757/M)によると、増幅ターゲットの長さは約470bpであった。これより短い長さではPCRの特異性が得られなかったので、この範囲内でTaqMan(登録商標)プローブを設計した。20mer以上で、モノサイトゲネス菌に2塩基以内の共通配列を持つ配列は、増幅ターゲット内で3箇所存在した(表20)。
【0165】
【0166】
そこで、プローブ配列として以下の4種類の配列を採用した。各配列からなるオリゴヌクレオチドの5'末端を蛍光物質FAM(6-Carboxyfluorescein)で、3'末端をクエンチャー物質TAMRAで修飾してTaqMan(登録商標)プローブを調製した。
0084TMP366-389: TATTACATTCATAGAATTGACCC(配列番号77)
0084TMP535-558(TA): ATCTGGTGGCGAGAAGCTGAAAA(配列番号78)
0084TMP535-558(CC): ATCTGGTGGCGAGAAGCCGAACA(配列番号79)
0084TMP686-711: TACCAAGATTCCAAAAAGAAGCCATG(配列番号80)
【0167】
表15に示したミックスプライマーのセット(LMO0084-F286MとLMO0084-R757M、LMO0084-F281MとLMO0084-R757M)とこれらのTaqMan(登録商標)プローブを組み合わせ、試験菌株のゲノムを鋳型としてリアルタイムPCRによる検出実験を行なった。試験菌株として、表5-1に示した菌株番号1~10のモノサイトゲネス菌株、表5-2に示した菌株番号11~22のリステリア属菌株、菌株番号23~48の食中毒菌(ただし菌株番号42に代えてCitrobacter freundii N-326株を使用)を用いた。
【0168】
【0169】
[反応条件]
使用機器:Corbett Research:Roter-Gene6000
50℃・2分・hold→95℃・2分・hold→(95℃・3秒-64℃・15秒)×40サイクル
【0170】
増幅曲線の有無で評価したほか、PCR産物のアガロース電気泳動も行ない、バンドの有無及びバンドサイズの確認を行なった。
【0171】
リアルタイムPCR試験の結果を表22-1~22-3に示す。0084TMP366-389と0084TMP686-711は、どちらのプライマーセットと組み合わせてもモノサイトゲネス菌を特異的に検出できた。0084TMP535-558(TA)と0084TMP535-558(CC)は混合プローブとすることで同様にモノサイトゲネス菌を特異的に検出できることがわかった。これらを混合して用いる場合、反応液組成は100μM 0084TMP535-558(TA)を0.25μL、100μM 0084TMP535-558(CC)を0.25μLとすればよい。
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
以上の結果から、リアルタイムPCRによるLMO0084遺伝子検出に好ましく使用できるプライマー・プローブの組み合わせは下記の通りである。[]内の番号は配列表中の配列番号である。
【0176】
【0177】
〔2〕LMO2736遺伝子
表18に示したプライマーセットのうち、No.1 及びNo.2については、PCR増幅領域内にそれぞれ1個のTaqMan(登録商標)プローブを設計した(表24)。
No.3からNo.12のPCR増幅内に共通配列はほとんど存在せず、No.4からNo.12のPCR増幅領域内(488位~992位)の共通配列でTaqMan(登録商標)プローブを1箇所設定した(表24)。
【0178】
【0179】
プローブ配列としては以下の4種類の配列を採用した。各配列からなるオリゴヌクレオチドの5'末端を蛍光物質FAM(6-Carboxyfluorescein)で、3'末端をクエンチャー物質TAMRAで修飾してTaqMan(登録商標)プローブを調製した。
2736TMP70-89: AAAAAAGGCTGGACTAAAGC(配列番号81)
2736TMP372-393: ACGTCAAAAAAATCATTATC(配列番号82)
2736TMP619-647(GG): GTTTTCGGTGCTCAAAAAGGGGCAAGTCC(配列番号83)
2736TMP619-647(CC): GTTTTCGGTGCTCAAAAAGGCGCAACTCC(配列番号84)
【0180】
リアルタイムPCR試験は、下記表24に示したプライマー、プローブの組み合わせで行なった。2736TMP619-647(GG)と2736TMP619-647(CC)はそれぞれ単独で、又は混合してプローブとして用いた。表中、[]の数字は配列表中の配列番号である。使用した試験菌株、リアルタイムPCR反応液組成及び反応条件は、上記のLMO0084遺伝子の検出試験と同様とした。2736TMP619-647(SS)を用いる場合の反応液組成は、100μM 2736TMP619-647(GG)を0.25μL、100μM 2736TMP619-647(CC)を0.25μLとした。
【0181】
【0182】
結果を表26-1~26-3に示す。表25中のプライマー・プローブセット1および2は、モノサイトゲネス菌を特異的に検出できた。2736TMP619-647(GG)と2736TMP619-647(CC)は混合プローブとすることでモノサイトゲネス菌を特異的に検出できた。以上の結果から、リアルタイムPCRによるLMO2736遺伝子検出に特に好ましく使用できるプライマー・プローブの組み合わせは、表25中の1、2、5である。
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
本リアルタイムPCR検出系を用いて食品のモノサイトゲネス菌検査を行なう場合のDNAサンプル調製手順の一例を以下に記載する。
(1) 食品25gに対し、選択増菌培地225mLを加え、30℃24時間±3時間培養する。その0.1mLをBHI(Brain-Heart Infusion)培地10mLに添加する。あるいは、選択寒天培地のシングルコロニーを拾い、BHI培地10mLに釣菌し、37℃24時間±3時間培養する。
(2) この培養液1mLを遠心(13,000xg、10分、20℃)で集菌する。
(3) mericon DNA Bacteria Plus Kit(QIAGEN:69534)等のDNA抽出キットでDNAを抽出する。
(4) DNA濃度を測定する。
【0187】
以上により、LMO0084遺伝子及びLMO2736遺伝子内で設計したTaqMan(登録商標)プローブを用いることで、モノサイトゲネスを特異的に検出できることが示された。これらの遺伝子の多型配列を考慮し、複数のTaqMan(登録商標)プローブを混合して用いることで、各種血清型のモノサイトゲネス菌を網羅的にかつ特異的に検出することができる。また、表22-1、表26-1の結果は、ある血清型に特徴的な多型をターゲットとしてプローブを設計することで、血清型別にモノサイトゲネス菌を検出できること、すなわち血清型判別も可能であることを示している。例えば、0084TMP535-558(CC)は血清型4aを特異的に検出できるプローブである。モノサイトゲネス菌を特異的に検出するための標的領域として本願発明者らが特定したこれら2遺伝子内の領域、あるいは別の領域から新たなプライマー・プローブを設計し、それらを適宜組み合わせることで、モノサイトゲネス菌の血清型判定が可能となる。
【配列表】