(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】AD変換回路
(51)【国際特許分類】
H03K 5/26 20060101AFI20221116BHJP
H03K 3/03 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H03K5/26 P
H03K3/03
(21)【出願番号】P 2018167657
(22)【出願日】2018-09-07
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】石原 昇
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-307468(JP,A)
【文献】特開2003-254992(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0164583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 99/00
H03K3/00-H03K3/86
H03K5/00-H03K5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1遅延回路をループ内に備え第1パルス信号を発振する第1リング発振回路と、第2遅延回路をループ内に備え第2パルス信号を発振する第2リング発振回路と、前記第1リング発振回路と前記第2リング発振回路の発振動作を同時に開始させるトリガ信号が入力するトリガ入力端子と、前記第1パルス信号の”H”又は”L”の一方のエッジで前記第2パルス信号をラッチするラッチ回路と、該ラッチ回路のラッチした結果に応じて前記第1パルス信号の通過を制御する第1ゲート回路と、
前記第1ゲート回路を通過した前記第1パルス信号をカウントするカウンタとを備え、
前記ラッチ回路は、前記第1パルス信号の前記エッジで前記第2パルス信号をラッチした結果が直前にラッチした結果から変化したとき前記第1ゲート回路を遮断し、
前記第2遅延回路は、所定の物理現象の検出結果により値が変化する遅延素子を有することを特徴とするAD変換回路。
【請求項2】
請求項1に記載のAD変換回路において、
前記第2遅延回路の前記遅延素子は、可変抵抗又は可変キャパシタであることを特徴とするAD変換回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のAD変換回路において、
二つの第1入力端子と出力端子を有する2入力の第2ゲート回路と、二つの第2入力端子と出力端子を有する2入力の第3ゲート回路と、を備え、
一方の
前記第1入力端子と
前記第1リング発振回路の出力端子
とが
直接あるいは間接に接続され
て前記第2ゲート回路が前記第1リング発振回路のループ内に挿入接続されるとともに、一方の
前記第2入力端子と
前記第2リング発振回路の出力端子
とが
直接あるいは間接に接続され
て前記第3ゲート回路が前記第2リング発振回路のループ内に挿入接続され、前記第2ゲート回路の他方の
前記第1入力端子と前記第3ゲート回路の他方の
前記第2入力端子が前記トリガ入力端子に接続され、前記トリガ入力端子に入力するトリガ信号によって前記第2及び第3ゲート回路がゲートを開くことで前記第1及び第2リング発振回路が発振動作を開始することを特徴とするAD変換回路。
【請求項4】
請求項3に記載のAD変換回路において、
前記第2及び第3ゲート回路は、NAND回路、AND回路、NOR回路、又はOR回 路であることを特徴とするAD変換回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体集積回路で構成されるAD変換回路に係り、特にチップコストの低減、消費電流の低減等を実現したAD変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
AD変換回路としてTDC(Time to Digital Converter)回路が知られている。TDC回路は、電圧情報をディジタルデータに変換する通常のAD変換回路と異なって、時間情報をディジタルデータに変換する回路であり、そのうちのバーニア型TDC回路70は、例えば
図5に示すように構成されている。
【0003】
この
図5のTDC回路70は、簡単のために4段構成の例を示したもので、基準信号VREFが初段に入力する4段縦続接続の遅延回路71-1~71-4と、入力信号VINが初段に入力する4段縦続接続の遅延回路72-1~72-4が設けられる。さらに、遅延回路71-1と72-1の組、遅延回路71-2と72-2の組、遅延回路71-3と72-3の組、遅延回路71-4と72-4の組の出力端子ごとに、DFF回路73-1~73-4が接続されている。各DFF回路73-1~73-4のQ端子の出力データD1~D4は、エンコーダ74によってエンコードされる。75は基準信号VREFが入力する入力端子、76は入力信号VINが入力する入力端子、77はディジタルデータDOUTの出力端子である。この構成と類似のものは特許文献1に記載されている。
【0004】
図6に
図5のTDC回路70の動作波形図を示す。この
図6は4個の遅延回路71-1~71-4の遅延時間がtaで、4個の遅延回路72-1~72-4の遅延時間がtbの場合(ta>tb)を示す波形図であり、基準信号VREFの“L”から“H”への立上りに対して、入力信号VINが時間差Δtだけ遅れて“L”から“H”に立ち上がっている場合の例である。
【0005】
この例では、DFF回路73-1~73-4のQ端子のデータD1、D2、D3、D4として、“H”、“H”、“L”、“L”が得られている。このデータD1、D2、D3、D4は温度計コードであり、エンコーダ74によって所定ビットの例えばBCDコード等のディジタルデータDOUTに変換されて出力端子77から出力される。
【0006】
ところで、上記した時間差Δtは何らかの物理現象を示す情報である。物理現象は何らかのセンサによって検出されるものである。そこで、従来ではセンサで得られた結果を時間差Δtの情報に変換する
図7に示すような変換回路80が使用されている。
【0007】
変換回路80において、C3は容量値が固定のキャパシタ、C4は容量湿度センサ等として働く可変キャパシタ、81、82は電流値が同じI1の電流源、83、84は基準電圧Vthが設定された比較器、SW1、SW2は同時にオン/オフするトリガスイッチである。
【0008】
図7において、トリガスイッチSW1、SW2が同時にオンすると、キャパシタC3、C4の電荷が放電され比較器83、84の出力電圧は“L”となる。この後、トリガスイッチSW1、SW2が同時にオフすると、キャパシタC3、C4に対して電流源81、82による充電が同時に開始する。そして、キャパシタC3の電圧V1が基準電圧Vthに達すると、比較器83の出力電圧VREFが“L”から“H”になる。また、キャパシタC4の電圧V2が基準電圧Vthに達すると、比較器84の出力電圧VINが“L”から“H”になる。
【0009】
このとき、例えば可変キャパシタC4の容量が固定キャパシタC3の容量よりも小さくなっているとすると、TDC回路70の入力端子76に入力する信号VINは、入力端子75に入力する信号VREFに対して、例えば
図6で示したように時間差Δtだけ遅れた信号となる。このようにして、湿度等の物理現象のセンサ結果を示す可変キャパシタC4の容量値の変化を、変換回路80によって時間差Δtの情報に変換してTDC回路70に入力させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、
図5のTDC回路70では、DFF回路73-1~73-4のQ端子の出力データD1~D4が温度計コードであることから、それを扱いが容易なBCDコード等のディジタルデータに変換するために、特別にエンコーダ74が必要となり、回路規模が大きくなって消費電流が大きくなる。
【0012】
また、
図5のTDC回路70では、エンコーダ74から出力するディジタルデータDOUTにより、時間差Δtをnビットの分解能で検出するためには、遅延時間taの遅延回路、遅延時間がtbの遅延回路、及びDFF回路を1組とする単位セルが2
n個だけ必要となる。このため、時間差Δtの検出の分解能を例えば10ビットとする場合は、その単位セルが1024個必要となり、回路規模が大きくなってこの面でも消費電流が大きくなる問題がある。また、遅延回路の遅延時間の相対誤差が大きくなり線形性が劣化し高分解能化が困難になる。
【0013】
さらに、
図5のTDC回路70では、物理現象のセンサ結果を時間差Δtの情報に変換するために
図7に示すような変換回路80が特別に必要になり、この面でも回路規模が大きくなり消費電流が増大するという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、回路規模が小さくて済み低消費電流を実現でき高分解能化も可能になったAD変換回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明のAD変換回路は、第1遅延回路をループ内に備え第1パルス信号を発振する第1リング発振回路と、第2遅延回路をループ内に備え第2パルス信号を発振する第2リング発振回路と、前記第1リング発振回路と前記第2リング発振回路の発振動作を同時に開始させるトリガ信号が入力するトリガ入力端子と、前記第1パルス信号の”H”又は”L”の一方のエッジで前記第2パルス信号をラッチするラッチ回路と、該ラッチ回路のラッチした結果に応じて前記第1パルス信号の通過を制御する第1ゲート回路と、前記第1ゲート回路を通過した前記第1パルス信号をカウントするカウンタとを備え、前記ラッチ回路は、前記第1パルス信号の前記エッジで前記第2パルス信号をラッチした結果が直前にラッチした結果から変化したとき前記第1ゲート回路を遮断し、前記第2遅延回路は、所定の物理現象の検出結果により値が変化する遅延素子を有することを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のAD変換回路において、前記第2遅延回路
の前記遅延素子は、可変抵抗又は可変キャパシタであることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のAD変換回路において、二つの第1入力端子と出力端子を有する2入力の第2ゲート回路と、二つの第2入力端子と出力端子を有する2入力の第3ゲート回路と、を備え、一方の前記第1入力端子と前記第1リング発振回路の出力端子とが直接あるいは間接に接続されて前記第2ゲート回路が前記第1リング発振回路のループ内に挿入接続されるとともに、一方の前記第2入力端子と前記第2リング発振回路の出力端子とが直接あるいは間接に接続されて前記第3ゲート回路が前記第2リング発振回路のループ内に挿入接続され、前記第2ゲート回路の他方の前記第1入力端子と前記第3ゲート回路の他方の前記第2入力端子が前記トリガ入力端子に接続され、前記トリガ入力端子に入力するトリガ信号によって前記第2及び第3ゲート回路がゲートを開くことで前記第1及び第2リング発振回路が発振動作を開始することを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載のAD変換回路において、前記第2及び第3ゲート回路は、NAND回路、AND回路、NOR回路、又はOR回路であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のAD変換回路によれば、物理現象のセンサ結果を時間差の情報に変換する変換回路が不要でありエンコーダも不要であるので、回路規模が小さくて済み低消費電流を実現できる。また、第1及び第2リング発振回路の発振周期やカウンタの最大カウント値を適宜設定することで分解能を高くすることも容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施例のAD変換回路の回路図である。
【
図2】本発明の第2実施例のAD変換回路の回路図である。
【
図7】
図5のTDC回路の前段に接続される変換回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施例>
図1に本発明の第1実施例のAD変換回路100を示し、
図3にその動作波形を示す。101はトリガ信号TRGが入力するトリガ入力端子、102はディジタルデータDOUTの出力端子である。
【0019】
10は第1リング発振回路であり、インバータ11~15、2入力のNAND回路16、及び第1遅延回路17をループ接続して構成され、NAND回路16の一方の入力端子に前記したトリガ入力端子101から発振開始のためのトリガ信号TRGが入力する。第1遅延回路17は抵抗R1とキャパシタC1を備える。
【0020】
20は第2リング発振回路であり、インバータ21~25、2入力のNAND回路26、及び第2遅延回路27をループ接続して構成され、NAND回路26の一方の入力端子に前記したトリガ入力端子101から発振開始のためのトリガ信号TRGが入力する。第2遅延回路27は抵抗R2と可変キャパシタC2を備える。この可変キャパシタC2は所定の物理現象の検出結果に応じてその容量値が変化するセンサ(例えば、容量湿度センサ、容量紫外線センサ等)で構成される。
【0021】
30はラッチ回路であり、CK端子に第1リング発振回路10のノードN1のパルス信号が入力し、D端子に第2リング発振回路20のノードN2のパルス信号が入力する第1DFF回路31と、“L”エッジ型のCK端子に第1DFF回路31のQ端子が接続されD端子に“H”(=VDD)の電圧が入力する第2DFF回路32とで構成されている。
【0022】
40は2入力のNOR回路であり、その一方の入力端子(ノードN4)にDFF回路32のQ端子の信号が入力し、他方入力端子(ノードN5)にノードN1の信号をインバータ50で反転した信号が入力する。
【0023】
60はカウンタであり、NOR回路40の出力側のノードN6に現れるパルス信号の“H”エッジをカウントする。このカウンタ60は、例えば、TFF回路をn段縦続接続し各段のTFF回路の出力を1ビットとして取り出すよう構成すると、nビットの出力データDOUTを得ることができる。
【0024】
なお、本実施例では、請求項に記載した第1ゲート回路はNOR回路40で実現し、第2ゲート回路はNAND回路16で実現し、第3ゲート回路はNAND回路26で実現している。
【0025】
さて、
図1のAD変換回路100では電源投入によって、
図3に示すように、ノードN1、N2、N6が“H”に、ノードN3、N4、N5が“L”に初期化されている。この状態で、トリガ入力端子101の電圧が“L”から“H”に立ち上がると、第1リング発振回路10はNAND回路16がゲートを開いて発振動作を開始し、第2リング発振回路20はNAND回路26がゲートを開いて発振動作を開始する。
【0026】
このとき、第1リング発振回路10の発振周期T1、第2リング発振回路20の発振周期T2は、
で与えられる。
【0027】
Kswは、第1及び第2第1リング発振回路10、20内のスレッショルド電圧をVt、電源電圧をVDDとすると、
で与えられる。Ksw=0.5となるように電圧Vt、VDDを設定すると、発振周期T1、T2は、
となる。発振周期T1の第1リング発振回路10を基準側として、抵抗R1とキャパシタC1を固定値とする。また、発振周期T2の第2リング発振回路20をセンサ側として、抵抗R2を固定値、可変キャパシタC2を物理現象によって容量値が変化するものとする。これによって、第1リング発振回路10、20の発振周期T1、T2に差を持たせることができる。
【0028】
T1>T2とするとその時間差は「T1-T2」となる。第1リング発振回路10のノードN1の出力パルスをDFF回路31のCK端子に入力することで、第1リング発振回路10の1サイクルごとに第2リング発振回路20のノードN2のパルスのデータがラッチされる。ノードN1のパルスの“H”エッジとノードN2のパルスの“H”エッジの最初の遅延時間差をΔTとすると、その遅延時間差ΔTは、第1リング発振回路10の1サイクル当り、「T1-T2」づつ毎回詰められて、
が成立するNサイクル目(データN)で、DFF回路32のQ端子のノードN4が“L”から“H”に反転する。つまり、ノードN1のパルス信号のエッジでノードN2のパルス信号をラッチした結果が、Nサイクル目において、前回の結果と異なった結果となり、ノードN4が“L”から“H”に変化する。
【0029】
カウンタ60は、ノードN1の“H”パルスをインバータ50で反転しさらにNOR回路40で反転したノードN6の“H”エッジをカウントしているが、ノードN4が“H”になることで、NOR回路40の出力のノードN6が“L”に固定されるので、この後のノードN5のパルスはNOR回路40で遮断され、そのカウント動作を停止する。
図3に示す波形図では、可変キャパシタC2によって設定された時間差「T1-T2」のデータNは、DOUT=「3」として得られている。
【0030】
得られるデータNの分解能、つまり時間差「T1-T2」についての分解能をnビットで設計する際は、時間分解能をTresとすると、第1リング発振回路10の発振周期T1の半周期で2
n分の比較ができればよいので、
になるように、第1リング発振回路10の発振周期T1を設定しておけばよい。このときはカウンタ60の最大ビット数をnにしておく。
【0031】
なお、時間分解能Tresが固定の場合は、データNの分解能を上げるには第1リング発振回路10の発振周期T1と第2リング発振回路20の発振周期T2を長くし、カウンタ60の最大ビット数nを増やせばよい。
【0032】
本実施例によれば、物理現象のセンサ結果が可変キャパシタC2の容量値の変化として得られるので、物理現象のセンサ結果を時間差の情報に変換する変換回路が不要である。また、カウンタ60を用いることで特別なエンコーダも不要であるので、TDC回路を用いながらも回路規模が小さくて済み低消費電流を実現できる。また、第1及び第2リング発振回路10、20の発振周期T1、T2やカウンタ60の最大カウント値を適宜設定することで分解能を高くすることも容易になる。
【0033】
<第2実施例>
図2に第2実施例のAD変換回路100Aを示す。この実施例は、
図1で説明した第1リング発振回路20を、第2遅延回路27の抵抗R2を可変抵抗R2AとしキャパシタC2を固定キャパシタC2Aにした第2遅延回路27Aに変更した第1リング発振回路20Aにしている。可変抵抗R2Aは所定の物理現象の検出結果に応じてその抵抗値が変化するセンサ(例えばサーミスタ、Cdsセル等)で構成される。また、
図1で説明したラッチ回路30を、“L”エッジ型のCK端子を有するDFF回路31Aと“H”エッジ型のCK端子を有するDFF回路32Aを使用するラッチ回路30Aに変更している。さらに、NOR回路40をOR回路40Aに変更し、カウンタ60を“L”エッジ型のカウンタ60Aに変更している。
図4にその動作波形図を示す。この波形図では、ノードN1、N2、N3、N4が“L”に、ノードN5、N6が“H”に初期化されている。この変換回路100Aの動作は第1実施例のAD変換回路100とほぼ同様であるのでその説明は省略する。
【0034】
<その他の実施例>
なお、第1及び第2実施例において、第1リング発振回路10のNAND回路16と第2リング発振回路20のNAND回路26は、それぞれAND回路に置き換え、インバータ11~15のいずれか1つを削除するか1つ増やし、インバータ21~25のいずれか1つを削除するか1つ増やしてもよい。
【0035】
また、第1リング発振回路10のNAND回路16と第1リング発振回路10のNAND回路26をそれぞれNOR回路に置き換え、トリガ端子101に入力するトリガ信号を“H”から“L”に変化させて発振を開始させるようにしてもよい。また、これらのNOR回路をそれぞれOR回路に置き換え、インバータ11~15のいずれか1つを削除するか1つ増やし、インバータ21~25のいずれか1つを削除するか1つ増やしてもよい。
【0036】
さらに、第1遅延回路17、第2遅延回路27、27Aは、NAND回路16、26への帰還経路を有する回路構成としたが、これに限られるものではない。例えば、前段回路と後段回路を接続する抵抗とその抵抗の後段回路側と接地との間に接続したキャパシタと抵抗で構成した積分回路を遅延回路として使用することもできる。この場合も、第2遅延回路27についてはキャパシタを物理現象によって容量値が変化する可変キャパシタとし、第2遅延回路27Aについては抵抗を物理現象によって抵抗値が変化する可変抵抗とすればよい。
【0037】
さらに、
図1の可変キャパシタC2や
図2の可変抵抗R2Aは、所定の物理現象の検出結果により直接的に容量や抵抗値が変化する素子の場合を説明したが、所定の物理現象の検出結果により間接的に容量や抵抗値が変化する素子、つまりセンサの検出結果の信号を受けて容量や抵抗値が変化する素子であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
100、100A:AD変換回路、101:トリガ入力端子、102:出力端子
10:第1リング発振回路、11~15:インバータ、16:NAND回路、17:第1遅延回路
20:第2リング発振回路、21~25:インバータ、26:NAND回路、27:第2遅延回路
30:ラッチ回路、31、31A、32、32A:DFF回路
40:NOR回路、40A:OR回路
50:インバータ
60、60A:カウンタ