(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】オーバレイ及びエッジ配置誤差の計量及び制御
(51)【国際特許分類】
G03F 9/00 20060101AFI20221116BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2020546104
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(86)【国際出願番号】 US2019020471
(87)【国際公開番号】W WO2019173171
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-02
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シチェグロフ アンドレイ ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ラスケ フランク
(72)【発明者】
【氏名】グトマン ナダフ
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0068515(US,A1)
【文献】米国特許第09093458(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2001/0055720(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0343903(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0069398(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0065736(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0003609(US,A1)
【文献】特開2014-016174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G03F 9/00
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量システムであって、
プログラム命令群を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有するコントローラを備え、当該1個又は複数個のプロセッサが、
光可分解フィーチャ群及びデバイススケールフィーチャ群を有するハイブリッドオーバレイターゲットに関する光学ツール誤差調整値を、それら光可分解フィーチャに依拠した光学オーバレイ計測値と、それらデバイススケールフィーチャに依拠したデバイススケールオーバレイ計測値と、の間の差異を計測することで生成し、
そのハイブリッドオーバレイターゲットに関するターゲット対デバイス調整値を、デバイスエリアにおける諸フィーチャの位置に基づき生成し、
これら光学オーバレイ計測値、光学ツール誤差調整値及びターゲット対デバイス調整
値に基づき、そのデバイスエリア内の一個所又は複数個所に関するデバイス関連オーバレイ計測値を求め、且つ
それらデバイス関連オーバレイ計測値に基づき、前記デバイスエリアに関するオーバレイコレクタブルをリソグラフィツールに供給することで、少なくとも1回の後続露出に関する露出条件を修正するよう、
それらプログラム命令が構成されている計量システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計量システムであって、前記デバイスエリアにおける諸フィーチャの位置であり前記ターゲット対デバイス調整値を求めるためのものに、
前記ハイブリッドオーバレイターゲットと前記デバイスエリア内の諸フィーチャとの間のパターン配置距離でありその標本の2個以上の層に関するものが含まれる、計量システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計量システムであって、前記ハイブリッドオーバレイターゲットと前記デバイスエリア内の諸フィーチャとの間のパターン配置距離が、
前記標本を固持する並進ステージであり、そのハイブリッドオーバレイターゲットとそのデバイスエリア内の諸デバイススケールフィーチャとの間の分離間隔に少なくとも等しい可動域を有する並進ステージと、
撮像システムと、
を備えるエッジ配置計量ツールから受け取ったパターン配置距離であり、前記並進ステージにより計測された前記ハイブリッドオーバレイターゲット・前記デバイススケールフィーチャ間の距離が含まれるものである計量システム。
【請求項4】
請求項3に記載の計量システムであって、前記エッジ配置計量ツールが、
前記光学オーバレイ計測値を生成するように構成された光学計量ツール及び
前記デバイススケールオーバレイ計測値を生成するように構成された粒子ビーム式計量ツールのうち少なくとも一方の内部に統合されている計量システム。
【請求項5】
請求項1に記載の計量システムであって、前記デバイスエリアにおける諸フィーチャの位置であり前記ターゲット対デバイス調整値を求めるためのものに、
そのデバイスエリアにおけるオーバレイ計測値が含まれる計量システム。
【請求項6】
請求項5に記載の計量システムであって、前記デバイスエリアにおける前記オーバレイ計測値に、
そのデバイスエリア内の諸デバイスフィーチャのオーバレイ計測値が含まれる計量システム。
【請求項7】
請求項5に記載の計量システムであって、前記デバイスエリアにおける前記オーバレイ計測値に、
そのデバイスエリア内の諸デバイススケールオーバレイターゲットのオーバレイ計測値が含まれる計量システム。
【請求項8】
請求項1に記載の計量システムであって、前記光可分解フィーチャがセグメント化されており、それにより組み込まれた周期分布するフィーチャ群によって複数個の計測個所がもたらされており、それら複数個の計測個所に依拠し求められたオーバレイが、前記光学オーバレイ計測値に含まれる計量システム。
【請求項9】
請求項1に記載の計量システムであって、前記デバイススケールフィーチャがセグメント化されており、それにより組み込まれた周期分布するフィーチャ群によって複数個の計測個所がもたらされており、それら複数個の計測個所に依拠し求められたオーバレイが、前記デバイススケールオーバレイ計測値に含まれる計量システム。
【請求項10】
請求項1に記載の計量システムであって、前記コントローラが光学計量ツールから前記光学オーバレイ計測値を受け取る計量システム。
【請求項11】
請求項10に記載の計量システムであって、前記光学計量ツールが画像依拠オーバレイツールであり、前記光学オーバレイ計測値が画像依拠オーバレイ計測値である計量システム。
【請求項12】
請求項10に記載の計量システムであって、前記光学計量ツールがスキャタロメトリ依拠オーバレイツールであり、前記光学オーバレイ計測値がスキャタロメトリ依拠オーバレイ計測値である計量システム。
【請求項13】
請求項1に記載の計量システムであって、前記コントローラが粒子ビーム式計量ツールから前記デバイススケールオーバレイ計測値を受け取る計量システム。
【請求項14】
請求項13に記載の計量システムであって、前記粒子ビーム式計量ツールが、
走査型電子顕微鏡計量ツールを備える計量システム。
【請求項15】
請求項14に記載の計量システムであって、前記走査型電子顕微鏡計量ツールが、
限界寸法走査型電子顕微鏡を備える計量システム。
【請求項16】
請求項13に記載の計量システムであって、前記粒子ビーム式計量ツールが、
集束イオンビーム式計量ツールを備える計量システム。
【請求項17】
請求項1に記載の計量システムであって、前記デバイスエリアがその標本のダイである計量システム。
【請求項18】
請求項1に記載の計量システムであって、前記ハイブリッドオーバレイターゲットがその標本のスクライブライン内に配置された計量システム。
【請求項19】
請求項1に記載の計量システムであって、前記ハイブリッドオーバレイターゲットの光学オーバレイ計測値、そのハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケールオーバレイ計測値、並びに前記デバイスエリアにおける諸フィーチャの位置の計測値であり前記ターゲット対デバイス調整値を求めるためのもの、のうち少なくとも一つが、
現像後検査データを含む計量システム。
【請求項20】
請求項1に記載の計量システムであって、前記ハイブリッドオーバレイターゲットの光学オーバレイ計測値、そのハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケールオーバレイ計測値、並びに前記デバイスエリアにおける諸フィーチャの位置の計測値であり前記ターゲット対デバイス調整値を求めるためのもの、のうち少なくとも一つが、
エッチング後検査データを含む計量システム。
【請求項21】
請求項1に記載の計量システムであって、
前記プロセッサは、前記光可分解フィーチャ群及び
前記デバイススケールフィーチャ群が物理的に分離されている
前記ハイブリッドオーバレイターゲットに関する前記光学ツール誤差調整値を生成する、計量システム。
【請求項22】
請求項1に記載の計量システムであって、前記光可分解フィーチャのうち少なくとも幾つかがセグメント化され、前記デバイススケールフィーチャ群がそれら光可分解フィーチャの諸セグメントを形成する計量システム。
【請求項23】
請求項1に記載の計量システムであって、前記ハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケールフィーチャ群が、前記デバイスエリア内のデバイスフィーチャ群のデザインルールに
従う計量システム。
【請求項24】
請求項1に記載の計量システムであって、オーバレイ計量システムとして構成された計量システム。
【請求項25】
請求項1に記載の計量システムであって、エッジ配置計量システムとして構成された計量システム。
【請求項26】
標本上のハイブリッドオーバレイターゲットの光可分解フィーチャ群に依拠し光学オーバレイ計測値を生成するよう構成された光学計量ツールと、
そのハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケールフィーチャ群に依拠しデバイススケールオーバレイ計測値を生成するよう構成された粒子ビーム式計量ツールと、
そのハイブリッドオーバレイターゲットを基準として前記標本のデバイスエリアにおける諸フィーチャの位置を計測するよう構成されたエッジ配置計量ツールと、
前記光学計量ツール及び前記粒子ビーム式計量ツールに可通信結合されたコントローラと、
を備え、そのコントローラが、プログラム命令群を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有し、当該1個又は複数個のプロセッサが、
前記光学計量ツールにより得られた前記光学オーバレイ計測値と、前記粒子ビーム式計量ツールにより得られた前記デバイススケールオーバレイ計測値と、の間の差異に基づき、前記ハイブリッドオーバレイターゲットに関する光学ツール誤差調整値を生成し、
そのハイブリッドオーバレイターゲットに関するターゲット対デバイス調整値を、前記デバイスエリアにおける諸フィーチャの位置であり前記エッジ配置計量ツールにより得られたものに基づき生成し、
そのデバイスエリア内の一個所又は複数個所に関するデバイス関連オーバレイ計測値を、前記光学オーバレイ計測値、前記光学ツール誤差調整値及び前記ターゲット対デバイス調整
値に基づいて求め、且つ
それらデバイス関連オーバレイ計測値に基づき、そのデバイスエリアに関するオーバレイコレクタブルをリソグラフィツールに供給することで、少なくとも1回の後続露出に関する露出条件を修正するよう、
それらプログラム命令が構成されている計量システム。
【請求項27】
請求項26に記載の計量システムであって、前記デバイスエリアにおける諸フィーチャの位置であり前記ターゲット対デバイス調整値を求めるためのものに、
前記ハイブリッドオーバレイターゲットと前記デバイスエリア内の諸フィーチャとの間のパターン配置距離でありその標本の2個以上の層に関するものが含まれる、計量システム。
【請求項28】
請求項27に記載の計量システムであって、前記エッジ配置計量ツールが、
前記標本を固持する並進ステージであり、前記ハイブリッドオーバレイターゲットと前記デバイスエリア内の諸デバイススケールフィーチャとの間の分離間隔に少なくとも等しい可動域を有する並進ステージと、
撮像システムと、
を備え、前記パターン配置距離に、この並進ステージにより計測された前記ハイブリッドオーバレイターゲット・前記デバイススケールフィーチャ間の距離が含まれる計量システム。
【請求項29】
請求項26に記載の計量システムであって、前記エッジ配置計量ツールが、前記光学計量ツール及び前記粒子ビーム式計量ツールのうち少なくとも一方の内部に統合されている計量システム。
【請求項30】
請求項26に記載の計量システムであって、前記デバイスエリアにおける諸フィーチャの位置であり前記ターゲット対デバイス調整値を求めるためのものに、更に、
前記デバイスエリアにおけるオーバレイ計測値であり光学計量ツール及び粒子ビーム式計量ツールのうち少なくとも一方を用い計測されたものが含まれる計量システム。
【請求項31】
請求項30に記載の計量システムであって、前記デバイスエリアにおける前記オーバレイ計測値に、
前記デバイスエリア内の諸デバイスフィーチャのオーバレイ計測値が含まれる計量システム。
【請求項32】
請求項30に記載の計量システムであって、前記デバイスエリアにおける前記オーバレイ計測値に、
前記デバイスエリア内の諸デバイススケールオーバレイターゲットのオーバレイ計測値が含まれる計量システム。
【請求項33】
請求項26に記載の計量システムであって、前記光可分解フィーチャがセグメント化されており、それにより組み込まれた周期分布するフィーチャ群によって複数個の計測個所がもたらされており、それら複数個の計測個所に依拠し求められたオーバレイが、前記光学オーバレイ計測値に含まれる計量システム。
【請求項34】
請求項26に記載の計量システムであって、前記デバイススケールフィーチャがセグメント化されており、それにより組み込まれた周期分布するフィーチャ群によって複数個の計測個所がもたらされており、それら複数個の計測個所に依拠し求められたオーバレイが、前記デバイススケールオーバレイ計測値に含まれる計量システム。
【請求項35】
請求項26に記載の計量システムであって、前記光学計量ツールが画像依拠オーバレイツールであり、前記光学オーバレイ計測値が画像依拠オーバレイ計測値である計量システム。
【請求項36】
請求項26に記載の計量システムであって、前記光学計量ツールがスキャタロメトリ依拠オーバレイツールであり、前記光学オーバレイ計測値がスキャタロメトリ依拠オーバレイ計測値である計量システム。
【請求項37】
請求項26に記載の計量システムであって、前記粒子ビーム式計量ツールが、
走査型電子顕微鏡計量ツールを備える計量システム。
【請求項38】
請求項37に記載の計量システムであって、前記走査型電子顕微鏡計量ツールが、
限界寸法走査型電子顕微鏡を備える計量システム。
【請求項39】
請求項26に記載の計量システムであって、前記粒子ビーム式計量ツールが、
集束イオンビーム式計量ツールを備える計量システム。
【請求項40】
請求項26に記載の計量システムであって、オーバレイ計量システムとして構成された計量システム。
【請求項41】
請求項26に記載の計量システムであって、エッジ配置計量システムとして構成された計量システム。
【請求項42】
標本上におけるハイブリッドオーバレイターゲットの光学オーバレイを、そのハイブリッドオーバレイターゲットの光可分解要素群に依拠して計測するステップと、
そのハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケールオーバレイを、そのハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケール要素群に依拠して計測するステップと、
それら光学オーバレイ・デバイススケールオーバレイ間の差異に基づき、そのハイブリッドオーバレイターゲットに関する光学ツール誤差調整値を決めるステップと、
そのハイブリッドオーバレイターゲットを基準として、デバイスエリア内の1個又は複数個のフィーチャに関するターゲット対デバイス配置誤差を計測するステップと、
それらターゲット対デバイス配置誤差に基づき、そのデバイスエリアに関する1個又は複数個のターゲット対デバイス調整値を生成するステップと、
そのデバイスエリア内の1個又は複数個の位置に関するデバイス関連オーバレイ計測値を、前記光学オーバレイ、前記光学ツール誤差調整値及び前記ターゲット対デバイス調整値に基づいて求めるステップと、
それらデバイス関連オーバレイ計測値に基づき、そのデバイスエリアに関するオーバレイコレクタブルをリソグラフィツールに供給することで、少なくとも1個の後続標本に関する露出条件を修正するステップと、
を有する計量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は総じてオーバレイ計量に関し、より具体的には、光学計量ツールを用いたデバイス関連オーバレイ計量値の決定に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は、「半導体デバイス用オーバレイ及びエッジ配置誤差計量及び制御システム及び方法」(SYSTEMS AND METHODS FOR METROLOGY AND CONTROL OF OVERLAY AND EDGE PLACEMENT ERRORS FOR SEMICONDUCTOR DEVICES)と題しAndrei V. Shchegrov、Frank Laske及びNadav Gutmanを発明者とする2018年3月5日付米国仮特許出願第62/638900号に基づき、米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張するものであるので、参照によりその全容を本願に繰り入れることにする。
【0003】
半導体製造では、通常、構造上に複数個の層を作成し、またそれらの層のうち一部又は全てにフィーチャ(外形特徴)を作成することが求められる。オーバレイ計量とは、標本の様々な層上にある諸構造の相対位置の計測のことであり、それら相対位置は被製造デバイスの性能にとり肝要であるので、通常は、タイトな公差内に制御されなければならない。例えば、オーバレイ計量により、相異なる標本層上にある諸フィーチャの相対位置を計測して、製造ツールの層毎アライメント(位置揃え)の物差しにすることができる。また例えば、オーバレイ計量により、同じ層上にある諸フィーチャの相対位置を計測して、その標本層を対象とした複数回の露出工程のアライメントの物差しにすることができる。
【0004】
全てのデバイスフィーチャレイアウトで、直接的なオーバレイ計測を行えるわけではない。更に、オーバレイ計測により諸デバイスフィーチャの性能が損傷その他、影響を受けることがありうる。そのため、オーバレイ計測は、通例、高感度オーバレイ計測向けに設計されたフィーチャ群を有する専用のオーバレイターゲットを対象にして実行されており、デバイスフィーチャを対象にして直に実行されてはいない。とはいえ、オーバレイターゲットのサイズ、向き、密度及び/又は標本上での所在個所には、デバイスフィーチャのそれに対する差異があるので、そのターゲットにて計測されたオーバレイと諸デバイスフィーチャの実オーバレイとの間に不整合が入り込みうる。そのため、オーバレイターゲットを対象としたデバイス関連オーバレイ計測の確実化が、オーバレイ計量における継続的な難題であり続けている。
【0005】
更に、デバイス関連オーバレイ計測を達成するための努力をスループット要件とバランスさせることが、通常は必要とされる。例えば、デバイススケールフィーチャ群を有するオーバレイターゲットにより、デバイス関連オーバレイ値を提供することができる。しかしながら、デバイススケールフィーチャは、通常、これに限られるものではないが走査型電子顕微鏡(SEM)等の粒子ビーム式計量ツールを用い分解・解像可能であるとはいえ、そうすると生産環境におけるスループットが制限されかねない。これに対し、光学オーバレイ計量であればより高いスループットを提供できるが、デバイスフィーチャよりもかなり大きなオーバレイターゲットフィーチャが必要とされうるし、ひいては誤差が起きやすくなりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2018/004511号パンフレット
【文献】米国特許第9704238号明細書
【文献】米国特許第9093458号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0307256号明細書
【文献】米国特許第9329033号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0035888号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、スループット要件とバランスさせつつデバイス関連オーバレイ正確性をもたらすオーバレイ計量システム及び方法を提供することが、望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従いオーバレイ計量システムが開示される。ある例証的実施形態に係るシステムはコントローラを有する。また、ある例証的実施形態では、そのコントローラが、光可分解フィーチャ群及びデバイススケールフィーチャ群を有するハイブリッドオーバレイターゲットに関する光学ツール誤差調整値を、それら光可分解フィーチャに依拠した光学オーバレイ計測値と、それらデバイススケールフィーチャに依拠したデバイススケールオーバレイ計測値と、の間の差異を計測することで生成する。また、ある例証的実施形態では、そのコントローラが、そのハイブリッドオーバレイターゲットに関するターゲット対デバイス調整値を、そのデバイスエリアにおける諸フィーチャの位置に基づき生成する。また、ある例証的実施形態では、そのコントローラが、そのデバイスエリア内の一個所又は複数個所に関するデバイス関連オーバレイ計測値を、光学オーバレイ計測値、光学ツール誤差調整値及びターゲット対デバイス調整値のうち少なくとも一つに基づき求める。また、ある例証的実施形態では、そのコントローラが、それらデバイス関連オーバレイ計測値に基づき、そのデバイスエリアに関するオーバレイコレクタブル(補正変数)をリソグラフィツールに供給することで、少なくとも1回の後続露出に関する露出条件を修正する。
【0009】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従いオーバレイ計量システムが開示される。ある例証的実施形態に係るシステムは、標本上のハイブリッドオーバレイターゲットの光可分解フィーチャ群に依拠し光学オーバレイ計測値を生成するよう構成された、光学計量ツールを有する。また、ある例証的実施形態に係るシステムは、そのハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケールフィーチャ群に依拠しデバイススケールオーバレイ計測値を生成するよう構成された、粒子ビーム式計量ツールを有する。また、ある例証的実施形態に係るシステムは、そのハイブリッドオーバレイターゲットを基準としてその標本のデバイスエリアにおける諸フィーチャの位置を計測するよう構成された、エッジ配置計量ツールを有する。また、ある例証的実施形態に係るシステムは、それら光学計量ツール及び粒子ビーム式計量ツールに可通信結合されたコントローラを有する。また、ある例証的実施形態では、そのコントローラが、そのハイブリッドオーバレイターゲットに関する光学ツール誤差調整値を、光学計量ツールにより得られた光学オーバレイ計測値と、粒子ビーム式計量ツールにより得られたデバイススケールオーバレイ計測値と、の間の差異に基づき生成する。また、ある例証的実施形態では、そのコントローラが、そのハイブリッドオーバレイターゲットに関するターゲット対デバイス調整値を、そのデバイスエリアにおける諸フィーチャの位置でありエッジ配置計量ツールにより得られたものに基づき生成する。また、ある例証的実施形態では、そのコントローラが、そのデバイスエリア内の一個所又は複数個所に関するデバイス関連オーバレイ計測値を、光学オーバレイ計測値、光学ツール誤差調整値及びターゲット対デバイス調整値のうち少なくとも一つに基づき求める。また、ある例証的実施形態では、そのコントローラが、それらデバイス関連オーバレイ計測値に基づき、そのデバイスエリアに関するオーバレイコレクタブルをリソグラフィツールに供給することで、少なくとも1回の後続露出に関する露出条件を修正する。
【0010】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従いオーバレイ計量方法が開示される。ある例証的実施形態に係る方法では、標本上におけるハイブリッドオーバレイターゲットの光学オーバレイを、そのハイブリッドオーバレイターゲットの光可分解要素群に依拠して計測する。また、ある例証的実施形態に係る方法では、そのハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケールオーバレイを、そのハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケール要素群に依拠して計測する。また、ある例証的実施形態に係る方法では、そのハイブリッドオーバレイターゲットに関する光学ツール誤差調整値を、それら光学オーバレイ・デバイススケールオーバレイ間の差異に基づいて決める。また、ある例証的実施形態に係る方法では、そのハイブリッドオーバレイターゲットを基準として、そのデバイスエリア内の1個又は複数個のフィーチャに関するターゲット対デバイス配置誤差を計測する。また、ある例証的実施形態に係る方法では、それらターゲット対デバイス配置誤差に基づき、そのデバイスエリアに関する1個又は複数個のターゲット対デバイス調整値を生成する。また、ある例証的実施形態に係る方法では、そのデバイスエリア内の1個又は複数個の位置に関するデバイス関連オーバレイ計測値を、それら光学オーバレイ、光学ツール誤差調整値及びターゲット対デバイス調整値に基づき求める。また、ある例証的実施形態に係る方法では、それらデバイス関連オーバレイ計測値に基づき、そのデバイスエリアに関するオーバレイコレクタブルをリソグラフィツールに供給することで、少なくとも1個の後続標本に関する露出条件を修正する。
【0011】
理解し得るように、上掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示且つ説明用のものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部分を構成し、本発明の諸実施形態を描出するものであり、概略記述と相俟ち本発明の諸原理を説明する役目を負っている。
【0012】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、以下の添付図面への参照により、多々ある本件開示の長所をより良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るオーバレイ計量システムの概念図である。
【
図1B】本件開示の1個又は複数個の実施形態における光学計量ツールの概念図である。
【
図1C】本件開示の1個又は複数個の実施形態における粒子ビーム式計量ツールの概念図である。
【
図1D】本件開示の1個又は複数個の実施形態におけるEPMツールの概念図である。
【
図2】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るデバイス関連光学オーバレイ方法にて実行される諸ステップを描いたフロー図である。
【
図3】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、その光可分解フィーチャがデバイススケールフィーチャ群にセグメント化されたハイブリッドオーバレイターゲットの一連の画像を示す図である。
【
図4】本件開示の1個又は複数個の実施形態におけるオーバレイターゲット配置を描いた概念的ウェハダイ頂面図である。
【
図5】本件開示の1個又は複数個の実施形態におけるデバイスフィーチャ及び空間分離されたオーバレイターゲットについての概念的オーバレイ誤差プロファイル図である。
【
図6】本件開示の1個又は複数個の実施形態におけるターゲット対デバイス調整値生成サブステップ群を描いたフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に描かれている被開示主題を詳細に参照する。ある種の実施形態及びその具体的諸特徴との関連で本件開示を具体的に図示及び記述してある。本願にて説明される諸実施形態は限定としてではなく例証として把握されるべきである。いわゆる当業者には直ちに察せられるべきことに、形態及び細部における様々な改変及び修正を、本件開示の神髄及び技術的範囲からの離隔なしでなすことができる。
【0015】
本件開示の諸実施形態は、デバイス関連補正値で以て光学オーバレイ計測値を調整することでデバイス関連オーバレイ計測値を生成するシステム及び方法を指向している。例えば、オーバレイターゲットの光学オーバレイ値と、標本上の注目デバイスフィーチャの実オーバレイと、の間の不整合に係る誤差を、デバイス関連補正値により補償することができる。
【0016】
光学計量ツールによれば、インラインオーバレイ制御に適した高スループットオーバレイ計測を実現することができる。例えば、撮像依拠光学オーバレイによって、複数個の標本層上の諸フィーチャを同時に撮像し、それらフィーチャ間の相対変位に基づきオーバレイ値を求めることができる。また例えば、スキャタロメトリ(散乱計測法)依拠光学計量によって、標本から散乱及び/又は回折されてきた光を、これに限られるものではないが重複諸層内の格子構造等といった既知の標本フィーチャに依拠する期待パターンと比較するモデル依拠手法を用い、オーバレイ値を求めることができる。オーバレイターゲットの諸フィーチャのうち光学的特性解明に適するものを付加的にセグメント化することで、単一視野内で複数個の計測ポイントを提供することができるので、反復する諸構造の統計的平均化に依拠した低ノイズ高精密オーバレイ計測を容易に行うことができる。更に、光学計量ツールによれば、これは必須ではないが0.2~1秒/サイトのオーダで計測値を提供することができ、従って生産ラインにおける標本1個当たり及び1ロット当たり計測頻度に関しかなりの柔軟性を提供することができる。
【0017】
しかしながら、光学計量ツールの分解能では、デバイスフィーチャよりもかなり大きなオーバレイターゲットフィーチャが必要となりうるし、ひいては計測オーバレイ・デバイス関連オーバレイ間に系統誤差が持ち込まれることとなりうる。例えば、デバイス関連オーバレイ(OVL
device)を、これは必須ではないが、
【数1】
と表すことができる。式中、OVL
targetはオーバレイターゲットのところで計測された光学オーバレイであり、(OpticalToolError)
targetは、光可分解フィーチャ群に依拠した光学計測値と、ターゲット所在個所におけるデバイス関連オーバレイと、の間のバイアスに係るターゲット誤差であり、ΔPPE
target_to_deviceは、オーバレイターゲット・注目デバイスフィーチャ間の物理的分離間隔に関連した、空間的に変動する製造ばらつきに係るターゲット対デバイス誤差である。例えば、ΔPPE
target_to_deviceによって、標本上の相異なる層に関し、オーバレイターゲット・注目デバイスフィーチャ間パターン配置誤差(PPE)間の差異を表すことができる。
【0018】
本件開示の付加的諸実施形態は、光可分解フィーチャ群及びデバイススケールフィーチャ群を有するハイブリッドオーバレイターゲットのオーバレイを複数個の計量ツールで以て計測することを、指向している。例えば、光学計量ツールにより、それら光可分解フィーチャに依拠したオーバレイを何らかの光学オーバレイ技術(例.画像依拠光学計量、スキャタロメトリ依拠光学計量等)を用い計測することができ、また、それらデバイススケールフィーチャを十分に分解しうる分解能を有する付加的な計量ツールにより、それらデバイススケールフィーチャに依拠したオーバレイを計測することができる。その際、等式1の(OpticalToolError)targetに、同じターゲット上での光学オーバレイ計測値・デバイススケールオーバレイ計測値間の差異が含まれることとなりうる。
【0019】
その付加的計量ツールには、デバイススケールフィーチャ群からオーバレイ値を求めるに適したあらゆる種類の計量ツールが含まれうる。例えば、これに限られるものではないが走査型電子顕微鏡(SEM)計量ツール(例.限界寸法SEM(CD-SEM)等)や集束イオンビーム(FIB)式計量ツール等といった粒子ビーム式計量ツールが、その付加的計量ツールに含まれうる。更に、粒子ビーム式計量ツールでは、その粒子ビームエネルギ次第で様々な層上のフィーチャを解明することができる。例えば、低エネルギ粒子ビームは頂層(例.現層)を解明するのに用いることができ、また比較的高エネルギな粒子ビームは標本内により深く浸透しうるのでそれにより先行作成層上のフィーチャを解明することができる。
【0020】
本件開示の付加的諸実施形態は、これは必須ではないが製造中の視野内ばらつきに係るそれ等、視野内での場所特有オーバレイ差異につながるターゲット対デバイス誤差を計測することを、指向している。視野内ばらつきは、これに限られるものではないがそのリソグラフィツールにて熱により引き起こされた乱流・攪乱やレンズ収差等、露出工程におけるリソグラフィツールの逸脱により持ち込まれうる。それとの関連で、等式1のΔPPEtarget_to_deviceには、計測されたターゲット対デバイス誤差が含まれうる。例えば、ハイブリッドオーバレイターゲットとそのダイ内の様々なフィーチャとの間のパターン配置距離を、その位置が密に監視される並進ステージを有するエッジ位置計量(EPM)ツールを用い、直に計測することができる。その際に、そのハイブリッドオーバレイターゲットとそのダイ内のフィーチャ群とを、そのEPMツールを用い撮像することができ、またそのパターン配置距離を、その並進ステージの座標に基づき求めることができる。更に、そのEPMツールが、これに限られるものではないが光学撮像や粒子ビーム撮像(例.電子ビーム、イオンビーム等)等、どのような種類の撮像テクノロジに依拠していていもよい。エッジ配置計量を用いた諸構造の位置及び寸法の計測については、「パターン配置及びパターンサイズ計測装置及び方法並びにそのためのコンピュータプログラム」(APPARATUS AND METHOD FOR THE MEASUREMENT OF PATTERN PLACEMENT AND SIZE OF PATTERN AND COMPUTER PROGRAM THEREFOR)と題する2018年1月4日発行の特許文献1、並びに「光学誤差に関し位置計測値を補正する方法及びマスクライタ誤差判別方法」(METHOD FOR CORRECTING POSITION MEASUREMENTS FOR OPTICAL ERRORS AND METHOD FOR DETERMINING MASK WRITER ERRORS)と題する2017年7月11日発行の特許文献2にて概述されているので、参照により両者の全容を本願に繰り入れることにする。
【0021】
本件開示の付加的諸実施形態は、光学計量計測値に対するデバイス関連調整を踏まえデバイス関連オーバレイ計測値を生成することを、指向している。本件開示の更なる諸実施形態は、それらデバイス関連オーバレイ計測値に基づきデバイス関連オーバレイコレクタブルを生成することを、指向している。その後は、それらオーバレイコレクタブルを、製造ツール(例.リソグラフィツール)にフィードバック及び/又はフィードフォワードデータとして供給すればよい。例えば、現処理工程に係るオーバレイ計測値であり標本上で計測されたものを用いることで、ドリフトを補償すること、並びに同ロット又は後続ロットに属する後続標本に対する処理工程に関しオーバレイを指定公差内に保つことができる。また例えば、現処理工程に係るオーバレイ計測値をフィードフォワードして後続処理工程を調整することで、あらゆる計測済オーバレイ誤差を補償することができる。
【0022】
本願での認識によれば、オーバレイコレクタブルが(所与標本及び/又は所与ロットを対象にして)生成されうる頻度は、諸オーバレイ計量ツールの正確性・スループット間トレードオフにより左右されうる。例えば、光学ツール誤差又はターゲット対デバイス誤差を標本毎又はロット毎に計測することは、現実的でも望ましくもない。幾つかの実施形態では、光学オーバレイ計測値に対するデバイス関連調整が、その光学オーバレイ計測よりも低頻度で実行される。この構成によれば、インラインオーバレイ計測を、光学計量ツールを用いハイブリッドオーバレイターゲットを対象に所望頻度にて実行すること、並びに先行計測によるデバイス関連調整値であり光学ツール誤差及び/又はターゲット対デバイス誤差に基づくものに基づき調整することができる。
【0023】
本件開示の付加的諸実施形態は、オーバレイ計測値を現像後検査(ADI)工程にて生成することを指向している。この構成によれば、その光学計量ツールにより、その標本を損傷させることなく、現像工程に時間的に近接している製造工程にて、標本上で直にオーバレイデータを捉えることができる。更に、潜在している諸問題をこの段階で識別することで、現ロット又は将来ロットに属する諸標本のリワークを容易に行えるようにし、時間を食う非可逆なエッチング工程に先立ちそれらの問題を正すことができる。
【0024】
以下、全般的に
図1A~
図1Dを参照し、デバイス関連光学オーバレイ計測値をもたらすオーバレイ計量システムについて述べる。
【0025】
図1Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るオーバレイ計量システム100の概念図である。一実施形態に係るオーバレイ計量システム100は、光可分解フィーチャ群に依拠しオーバレイ計測値を生成するのに適した光学計量ツール102を有している。また、一実施形態に係るオーバレイ計量システム100は、オーバレイターゲットのデバイススケールフィーチャ群及び/又はデバイスフィーチャ群に依拠しオーバレイ計測値を生成するのに適した粒子ビーム式計量ツール104を有している。また、一実施形態に係るオーバレイ計量システム100は、1個又は複数個の層におけるパターン配置位置(例.フィーチャレジストレーション(位置合わせ)位置)を求めるのに適したエッジ配置計量(EPM)ツール106を有している。
【0026】
従って、1個又は複数個のオーバレイターゲットについての光学オーバレイ計測値を光学計量ツール102により、またそれら光学オーバレイ計測値に対するデバイス関連調整に適した計測値を粒子ビーム式計量ツール104及びEPMツール106の何らかの組合せにより、提供することができる。更に、本願既述の如く、本オーバレイ計量システム100では、どの部材(例.光学計量ツール102、粒子ビーム式計量ツール104又はEPMツール106)であれ生産ラインにて何らかの指定頻度にて利用しオーバレイ正確性及びスループット要件をバランスさせることができる。例えば、光学計量ツール102をインラインオーバレイ監視に用いつつ、粒子ビーム式計量ツール104及び/又はEPMツール106をより低頻度にて選択的に用い、光学計量ツール102によりもたらされた光学オーバレイ計測値に対するデバイス関連調整値を決めることができる。
【0027】
また、一実施形態に係るオーバレイ計量システム100はコントローラ108を有している。一実施形態におけるコントローラ108は、記憶媒体112上で保持されているプログラム命令群を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサ110を有している。この構成によれば、コントローラ108に備わる1個又は複数個のプロセッサ110により、本件開示の随所に記載されている様々な処理工程をどれでも実行することができる。例えば、コントローラ108により、光学計量ツール102、粒子ビーム式計量ツール104及びEPMツール106のどれからでもデータを受け取ることができ、更にはデバイス関連オーバレイデータを生成することができる。また例えば、コントローラ108により、光学計量ツール102、粒子ビーム式計量ツール104及びEPMツール106のうち何れかからのデータに基づき、デバイス関連オーバレイコレクタブルを生成することができる。
【0028】
更に、これに限られるものではないがリソグラフィツール等、1個又は複数個の外部製造ツールにコントローラ108を可通信結合させることができる。この構成によれば、それら外部製造ツールの入力を制御するのに適した先進プロセスコントローラ(APC)としてコントローラ108を動作させることができ、それによりオーバレイを指定オーバレイ公差内に保つことができる。
【0029】
コントローラ108に備わる1個又は複数個のプロセッサ110には、本件技術分野で既知なあらゆる処理素子が含まれうる。その意味で、当該1個又は複数個のプロセッサ110には、アルゴリズム及び/又は命令群を実行するよう構成されたあらゆるマイクロプロセッサ型デバイスが含まれうる。ある実施形態によれば、当該1個又は複数個のプロセッサ110を、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサその他、プログラムを実行するよう構成された何らかのコンピュータシステム(例.ネットワーク接続されたコンピュータ)で構成することができ、またそのプログラムを、本件開示の随所に記載の如く本オーバレイ計量システム100を動作させうるよう構成することができる。更なる認識によれば、語「プロセッサ」を、非一時的記憶媒体112から得たプログラム命令群を実行する処理素子を1個又は複数個有するデバイス全てが包括されるよう、広く定義することができる。更に、本件開示の随所に記載の諸ステップを、単一のコントローラ108により実行してもよいし、それに代え複数個のコントローラにより実行してもよい。加えて、コントローラ108を、共通ハウジング内に収容され又は複数個のハウジング内に収容された1個又は複数個のコントローラを有するものとしてもよい。こうすることで、どのようなコントローラ又はコントローラコンビネーションであれ、オーバレイ計量システム100への統合に適したモジュールとして個別にパッケージングすることができる。
【0030】
記憶媒体112には、連携する1個又は複数個のプロセッサ110により実行可能なプログラム命令群を格納するのに適し本件技術分野で既知な、あらゆる格納媒体が含まれうる。例えば非一時的記憶媒体が記憶媒体112に含まれうる。また例えば、これに限られるものではないがリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光記憶デバイス(例.ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等が記憶媒体112に含まれうる。更に注記されることに、記憶媒体112を、1個又は複数個のプロセッサ110と共に共通コントローラハウジング内に収容することができる。ある実施形態によれば、記憶媒体112を、1個又は複数個のプロセッサ110及びコントローラ108の物理的在処に対し遠隔配置することができる。例えば、ネットワーク(例.インターネット、イントラネット等)を介しアクセス可能なリモートメモリ(例.サーバ)に、コントローラ108に備わる1個又は複数個のプロセッサ110がアクセスしてもよい。従って、上掲の記述は本発明に対する限定事項ではなく単なる例証として解されるべきである。
【0031】
理解し得るように、
図1Aに描かれているオーバレイ計量システム100及びそれに関連する記述は専ら例証目的で提示されており、限定として解されるべきものではない。例えば、本オーバレイ計量システム100には、
図1Aに描かれている諸要素をどのような組合せで組み込むこともできる。一例としては、本オーバレイ計量システム100に、光学計量ツール102、粒子ビーム式計量ツール104及びコントローラ108を組み込むことができる。別例としては、本オーバレイ計量システム100に、光学計量ツール102、EPMツール106及びコントローラ108を組み込むことができる。更に、本オーバレイ計量システム100のどの構成部材も、互いに近接配置し又は互いに遠隔配置することができる。幾つかの実施形態によれば、本オーバレイ計量システム100の構成部材複数個を統合して物理的に単体の装置にすることができる。例えば、これは必須ではないが、光学計量ツール102又は粒子ビーム式計量ツール104内にEPMツール106を統合することができる。
【0032】
図1Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態における光学計量ツール102の概念図である。光学計量ツール102には、これに限られるものではないが画像依拠光学計量ツールやスキャタロメトリ依拠光学計量ツール等、標本の2個以上の層に係るオーバレイデータを生成するのに適し本件技術分野で既知な、あらゆる種類の光学オーバレイ計量ツールが含まれうる。
【0033】
一実施形態における光学計量ツール102は、光学照明ビーム116を生成する光学照明源114を有している。その光学照明ビーム116には、これに限られるものではないが紫外(UV)光、可視光、赤外(IR)光を初め、一通り又は複数通りの指定波長の光が含まれうる。
【0034】
光学照明源114には、光学照明ビーム116を提供するのに適し本件技術分野で既知なあらゆる種類の照明源が含まれうる。
【0035】
光学照明源114には、光学照明ビーム116を提供するのに適したあらゆる種類の照明源が含まれうる。一実施形態における光学照明源114はレーザ光源である。例えば、光学照明源114を、これに限られるものではないが1個又は複数個の狭帯域レーザ光源、広帯域レーザ光源、超連続体(超広帯域)レーザ光源、白色光レーザ光源等を有するものと、することができる。この構成によれば、高いコヒーレンス(例.高い空間コヒーレンス及び/又は時間コヒーレンス)を有する光学照明ビーム116を、その光学照明源114により提供することができる。もう一つの実施形態は、光学照明源114がレーザ維持プラズマ(LSP)光源を有するものである。例えば、光学照明源114を、これに限られるものではないが、一種類又は複数種類の元素を収容するのに適したLSPランプ、LSPバルブ又はLSPチャンバを有し、その又はそれらの元素をレーザ光源によりプラズマ状態に励起させることで広帯域照明を放射させうるものと、することができる。もう一つの実施形態は、光学照明源114がランプ光源を有するものである。例えば、光学照明源114を、これに限られるものではないがアークランプ、放電ランプ、無電極ランプ等を有するものと、することができる。この構成によれば、低いコヒーレンス(例.低い空間コヒーレンス及び/又は時間コヒーレンス)を有する光学照明ビーム116を、その光学照明源114により提供することができる。
【0036】
また、一実施形態における光学照明源114は、光学照明ビーム116を照明路120経由で標本118へと差し向けている。その照明路120には、光学照明ビーム116を修正及び/又は調光するのに適した1個又は複数個の照明路レンズ122又は付加的光学部材124を、設けることができる。例えば、当該1個又は複数個の光学部材124には、これに限られるものではないが1個又は複数個の偏光子、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のビームスプリッタ、1個又は複数個の散光器、1個又は複数個のホモジナイザ、1個又は複数個のアポダイザ或いは1個又は複数個のビーム整形器が含まれうる。照明路120には、更に、光学照明ビーム116を標本118に差し向けるよう構成された対物レンズ126を設けることができる。
【0037】
また、ある実施形態では標本118が標本ステージ128上に配置される。標本ステージ128には、どのような装置であれ、光学計量ツール102内で標本118を位置決め及び/又は走査するのに適した装置を設けることができる。例えば、標本ステージ128を、リニア並進ステージ、回動ステージ、ティップ/ティルトステージ等の何らかの組合せを有するものと、することができる。
【0038】
また、一実施形態における光学計量ツール102は、標本118に発する光を集光路132経由で捉えるよう構成された検出器130を有している。集光路132には、これに限られるものではないが、標本118からの光を集める1個又は複数個の集光路レンズ134を設けることができる。例えば、標本118から(例.鏡面反射、拡散反射等を通じ)反射又は散乱されてきた光を、1個又は複数個の集光路レンズ134を介し検出器130にて受光することができる。また例えば、標本118により生成された光(例.光学照明ビーム116の吸収に係るルミネッセンス等)を検出器130にて受光することができる。また例えば、標本118からの光のうち一通り又は複数通りの回折次数(例.0次回折、±1次回折、±2次回折等)を検出器130にて受光することができる。
【0039】
検出器130には、標本1184から受け取った照明を計測するのに適し本件技術分野で既知なあらゆる種類の検出器が含まれうる。例えば、検出器130には、これに限られるものではないがCCD型検出器、TDI式検出器、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)等が含まれうる。また、一実施形態に係る検出器130には、標本118に発する光の波長を識別するのに適した分光型検出器が含まれうる。
【0040】
集光路132には、更に、これに限られるものではないが1個又は複数個の集光路レンズ134、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個の偏光子或いは1個又は複数個のビームブロックを初め、標本118から集めた照明を差し向け及び/又は修正する光学素子を、何個でも設けることができる。
【0041】
一実施形態における検出器130は、標本118の表面に対しほぼ直交配置されている。また、一実施形態における光学計量ツール102はビームスプリッタ136を有しており、それが然るべく方向設定されているので、対物レンズ126により、光学照明ビーム116を標本118に差し向けるのと同時にその標本118に発する光を集めることができる。更に、照明路120と集光路132とで1個又は複数個の付加的素子(例.対物レンズ126、アパーチャ、フィルタ等)を共有することができる。
【0042】
光学計量ツール102により、これに限られるものではないが画像依拠技術やスキャタロメトリ依拠技術等、本件技術分野で既知な何らかの技術に依拠しオーバレイを計測することができる。例えば、撮像モードで動作している光学計量ツール102により標本118のうち一部分を照明し、その標本118の被照明部分の像を検出器130上で捉えることができる。捉える像を、これに限られるものではないが明視野像、暗視野像、位相コントラスト像等、本件技術分野で既知な何れの種類の像としてもよい。更に、捉えた像同士を(例.光学計量ツール102、コントローラ108等により)一体に縫合することで、その標本118の合成像を形成することができる。また例えば、光学計量ツール102では、集束光学照明ビーム116により標本118を横断走査することができ、その標本118に発する光及び/又は粒子を1個又は複数個の検出器130上で一通り又は複数通りの計測角にて捉えて画像を画素毎に生成することができる。その集束光学照明ビーム116による標本118の横断走査は、(例.ガルバノミラー、圧電ミラー等を用い)ビーム路を修正すること、及び/又は、標本118を並進させてその集束ビームの焦点体積内に通すことで、行うことができる。従って、2個以上の標本層に係るオーバレイ値を、それら2個以上の標本層上に所在する諸フィーチャの相対位置に基づき求めることができる。
【0043】
また例えば、光学照明ビーム116に応答し標本118にて散乱及び/又は回折された光のパターンに基づきオーバレイ値を求めることにより、その光学計量ツール102をスキャタロメトリ依拠計量ツールとして動作させることができる。例えば、光学計量ツール102により(例.検出器130で以て)、その標本に発する光の角度分布を含め、(例.オーバレイターゲットの相異なる領域の)1個又は複数個の瞳面像を捉えることができる。従って、層毎にサイズ及び分布が既知なオーバレイターゲットフィーチャ群からの散乱及び/又は回折のモデル化結果に基づき、それら瞳面像から2個以上の標本層間のオーバレイ値を求めることができる。
【0044】
更に、検出器130が受け取った信号(例.標本118の像、瞳面の像等)が少なくとも2個の層間のオーバレイを示すものとなるよう、光学照明ビーム116を現層内で伝搬させて1個又は複数個の先行作成層上のフィーチャ群と相互作用させることで、何れの製造工程でも光学計量ツール102によりオーバレイを計測することができる。例えば、現層露出後に現像後検査(ADI)工程として、光学計量ツール102により先行作成層・現層間のオーバレイを計測することができる。この構成によれば、非露出フィーチャ群に対する露出フィーチャ群の屈折率差に基づき、現層及びあらゆる先行層についてのオーバレイ計測値を生成することができる。また例えば、現像されたパターンがレリーフ構造として現層内にエッチングされた後に、エッチング後検査(AEI)工程として、光学計量ツール102により先行作成層・現層間のオーバレイを計測することができる。
【0045】
図1Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態における粒子ビーム式計量ツール104の概念図である。粒子ビーム式計量ツール104には、これに限られるものではないが電子ビーム式計量ツール(例.SEM、CD-SEM等)やイオンビーム式計量ツール(例.集束イオンビーム(FIB)式計量ツール)等、デバイスフィーチャ群又はデバイススケールフィーチャ群を分解するのに適したあらゆる種類の計量ツールが含まれうる。
【0046】
一実施形態における粒子ビーム式計量ツール104は、粒子ビーム140(例.電子ビーム、粒子ビーム等)を生成する粒子源138(例.電子ビーム源、イオンビーム源等)を有している。粒子源138には、粒子ビーム140を生成するのに適し本件技術分野で既知なあらゆる粒子源が含まれうる。例えば、粒子源138が、これに限られるものではないが電子銃又はイオン銃を有していてもよい。また、一実施形態における粒子源138は、提供する粒子ビーム140のエネルギを調整しうるよう構成されている。例えば、電子源を有する粒子源138にて、これに限られるものではないが0.1kV~30kV域内の加速電圧での電子ビームを提供することができる。また例えば、イオン源を有する粒子源138により、これは必須ではないが1~50keV域内のエネルギを有するイオンビームを提供することができる。
【0047】
また、一実施形態における粒子ビーム式計量ツール104は1個又は複数個の粒子集束素子142を有している。例えば、当該1個又は複数個の粒子集束素子142が、これに限られるものではないが単一の粒子集束素子であっても、1個又は複数個の粒子集束素子で複合システムを形成するものであってもよい。また、一実施形態における1個又は複数個の粒子集束素子142は粒子対物レンズ144を含んでおり、標本ステージ146上に所在する標本118に粒子ビーム140を差し向けるようそれが構成されている。更に、当該1個又は複数個の粒子源138には、これに限られるものではないが静電レンズ、磁気レンズ、ユニポテンシャルレンズ、ダブルポテンシャルレンズ等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる種類の電子レンズが含まれうる。
【0048】
また、一実施形態における粒子ビーム式計量ツール104は、標本118に発する粒子を検出例えば撮像する少なくとも1個の粒子検出器148を有している。実施形態の一つは、粒子検出器148が電子コレクタ(例.二次電子コレクタ、後方散乱電子検出器等)を有するものである。もう一つの実施形態は、粒子検出器148が、標本表面からの電子及び/又は光子を検出する光子検出器(例.フォトディテクタ、X線検出器、光電子増倍管(PMT)型検出器に結合されたシンチレーティング素子等)を、有するものである。
【0049】
理解し得るように、
図1Cに示した粒子ビーム式計量ツール104についての記述及びそれに関連する上掲の記述は専ら例証目的で提供されており、限定として解されるべきものではない。例えば、粒子ビーム式計量ツール104が、標本118への同時問いかけに適したマルチビーム及び/又はマルチカラムシステムを有していてもよい。更なる実施形態によれば、標本118の一個所又は複数個所に一通り又は複数通りの電圧を印加しうるよう構成された1個又は複数個の部材(例.1個又は複数個の電極)を、粒子ビーム式計量ツール104に設けることができる。この構成の粒子ビーム式計量ツール104によれば、電圧コントラスト撮像データを生成することができる。
【0050】
更に、粒子ビーム式計量ツール104により、どの製造工程にてオーバレイを計測してもよい。例えば、現層の露出及び/又は現像後に、現像後検査(ADI)工程として、先行作成層・現層間オーバレイを粒子ビーム式計量ツール104により計測することができる。また例えば、現像されたパターンがレリーフ構造として現層内にエッチングされた後に、エッチング後検査(AEI)工程として、先行作成層・現層間オーバレイを粒子ビーム式計量ツール104により計測することができる。
【0051】
本願での認識によれば、標本118における粒子ビーム140の浸透深度はその粒子エネルギにより左右されうるもので、通常は、より高エネルギなビームほどその標本118内により深く浸透することとなる。一実施形態における粒子ビーム式計量ツール104は、標本118内への粒子ビーム140の浸透深度に基づき相異なるエネルギの粒子を利用し、そのデバイスの相異なる層に問いかける。例えば、粒子ビーム式計量ツール104により、比較的低エネルギの電子ビーム(例.約1keV以下)を利用することができ、またより高エネルギなビーム(例.約10keV以上)を先行作成層の解明に利用することができる。本願での認識によれば、浸透深度と粒子エネルギとの関係は素材の違いにより変わりうるので、個々の層に係る粒子エネルギの選択は素材の違いにより変わりうる。
【0052】
図1Dは、本件開示の1個又は複数個の実施形態におけるEPMツール106の概念図である。EPMツール106には、標本118の2個以上のフィーチャを対象としてパターン配置距離を計測するのに適し本件技術分野で既知な、あらゆる種類の計量ツールが含まれうる。エッジ配置計量を用いた、諸構造の位置及び寸法の計測について、「パターン配置及びパターンサイズ計測装置及び方法並びにそのためのコンピュータプログラム」(APPARATUS AND METHOD FOR THE MEASUREMENT OF PATTERN PLACEMENT AND SIZE OF PATTERN AND COMPUTER PROGRAM THEREFOR)と題する2018年1月4日発行の特許文献1、並びに「光学誤差に関し位置計測値を補正する方法及びマスクライタ誤差判別方法」(METHOD FOR CORRECTING POSITION MEASUREMENTS FOR OPTICAL ERRORS AND METHOD FOR DETERMINING MASK WRITER ERRORS)と題する2017年7月11日発行の特許文献2にて概述されているので、参照により両者の全容を本願に繰り入れることにする。
【0053】
一実施形態におけるEPMツール106はEPM撮像システム150及び精密監視標本ステージ152を有している。この構成のEPMツール106によれば、2個のフィーチャ(例.本願既述の通りハイブリッドオーバレイターゲットとダイ内の1個又は複数個のフィーチャ)を撮像して、標本ステージ152の座標に基づきそれら2個のフィーチャ間のパターン配置距離を求めることができる。
【0054】
更に、EPMツール106のEPM撮像システム150には、本件技術分野で既知なあらゆる種類の撮像システムが含まれうる。例えば、EPM撮像システム150には光学撮像システムが含まれうる。一例としては、これは必須ではないがKLA-Tencor発のIPRO(商標)シリーズ計量ツールが、EPM撮像システム150に含まれうる。また例えば、EPM撮像システム150には、これに限られるものではないがKLA-Tencor初のSEM依拠電気プロセスモニタ(EPM)計量ツール等といった粒子ビーム式撮像システムが含まれうる。更に、これは必須ではないが、
図1Bに描かれている光学計量ツール102内及び/又は
図1Cに描かれている粒子ビーム式計量ツール104内に、EPMツール106を統合することができる。また例えば、EPMツール106を、
図1B又は
図1Cに描かれている部材と機能的に等価な1個又は複数個の部材を有していて、光学計量ツール102又は粒子ビーム式計量ツール104内に統合されていないものと、することができる。
【0055】
一実施形態におけるEPM撮像システム150は、照明ビーム156を生成する照明源154を有している。照明源154は、これに限られるものではないが、光ビームを生成する光学照明源や、粒子ビーム(例.電子ビーム、イオンビーム等)を生成する粒子照明源等、照明ビーム156を生成するのに適し本件技術分野で既知な何れの種類の照明源にすることもできる。
【0056】
また、一実施形態におけるEPM撮像システム150は、標本ステージ152上に搭載された標本118へと照明ビーム156を差し向ける集束素子158を有している。また、一実施形態におけるEPM撮像システム150は、標本118に発する輻射(例.電磁輻射、粒子等)を検出例えば撮像する検出器160を有している。検出器160には、これに限られるものではないが、光学検出器(例.フォトディテクタ、X線検出器、光電子増倍管(PMT)型検出器に結合されたシンチレーティング素子等)や、電子コレクタ(例.二次電子コレクタ、後方散乱電子検出器等)等、あらゆる種類の検出器が含まれうる。更に、検出器160は、標本118に発する輻射を直に捉えるようにも、1個又は複数個の付加的素子にて捉えられた輻射を検出するようにも、向き設定することができる。一例としては、
図1Dに描かれているように、EPMツール106にビームスプリッタ162を設けることで、集束素子158により集められた輻射のうち少なくとも一部分が検出器160に向かうようにすることができる。
【0057】
標本ステージ152には、2本以上の運動軸に沿い標本118を指定公差(例.正確度公差、再現性公差等)内で位置決めするのに適したあらゆる種類の並進ステージが組み込まれうる。例えば、標本ステージ152には、これに限られるものではないがエアベアリングステージやローラベアリングステージ等、あらゆる種類のベアリングテクノロジが組み込まれうる。更に、標本ステージ152には、これに限られるものではないがダイレクトドライブアクチュエータやボールスクリュアクチュエータ等、あらゆる種類の駆動システムが組み込まれうる。
【0058】
また、一実施形態におけるEPM撮像システム150は、1本又は複数本の軸に沿い標本ステージ152の位置を精密に追跡するステージ追跡装置164を有している。実のところ、必ずしもそうであるとは言えないが、標本ステージ152の位置を制御する制御システムよりも高い正確度及び/又は精度で以て、その標本ステージ152の実位置を求めることができる。従って、EPMツール106により、標本118上の1個又は複数個のフィーチャの(例.視野に対する)位置を、少なくとも部分的には、ステージ追跡装置164により生成された実ステージ位置に基づき求めることができる。
【0059】
ステージ追跡装置164は、1本又は複数本の軸に沿い標本ステージ152の位置及び/又はその他の追跡データ(例.速度、加速度等)を監視するのに適し本件技術分野で既知な、何れの種類のステージ追跡装置ともすることができる。一実施形態におけるステージ追跡装置164は1個又は複数個の干渉計(例.レーザ依拠干渉計等)を有するものである。
【0060】
また、一実施形態における標本ステージ152は、安定な搭載面を提供するのに適した計測テーブル166上に搭載されている。例えば、標本ステージ152搭載用の精密且つ安定な平面を提供する頑健面(例.花崗岩等)を、計測テーブル166に設けることができる。また例えば、計測テーブル166を振動分離システム168上に搭載することで、ステージ追跡計測の正確度及び/又は精度を低下させかねない機械振動を抑圧することができる。
【0061】
図2は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るデバイス関連光学オーバレイ方法200にて実行される諸ステップを描いたフロー図である。出願人の注記によれば、オーバレイ計量システム100の脈絡に沿い本願中で既に述べられた諸実施形態及びその実現テクノロジが方法200に敷衍されるものと、解されるべきである。とはいえ、更なる注記によれば、本方法200はオーバレイ計量システム100のアーキテクチャに限定されるものではない。
【0062】
一実施形態に係る方法200は、標本上におけるハイブリッドオーバレイターゲットの光学オーバレイを、そのハイブリッドオーバレイターゲットの光可分解フィーチャ群に依拠して計測する、ステップ202を有している。例えば、これに限られるものではないが光学計量ツール102等の光学オーバレイ計量ツールを用い、ステップ202を実行することができる。また、一実施形態に係る方法200は、そのハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケールオーバレイを、そのハイブリッドオーバレイターゲットのデバイススケールフィーチャ群に依拠して計測する、ステップ204を有している。例えば、これに限られるものではないが粒子ビーム式計量ツール104等の高分解能計量ツールを用い、ステップ204を実行することができる。また、一実施形態に係る方法200は、そのハイブリッドオーバレイターゲットに関する光学ツール誤差調整値を、それら光学オーバレイ・デバイススケールオーバレイ間の差異に基づき決める、ステップ206を有している。例えば、これに限られるものではないがコントローラ108等の光学オーバレイ計量ツールを用いステップ206を実行することができる。
【0063】
本件開示の目的上、語「光可分解」は、少なくとも一部のフィーチャを指定光学計量ツール(例.光学計量ツール102)で以て指定公差内で分解しうることを、指している。更に、「デバイススケール」フィーチャは、製造済デバイスに組み込まれているべきデバイスフィーチャに類する一通り又は複数通りの特性(例.ライン幅、フィーチャ間分離距離等)を呈しうるものである。本願での認識によれば、ある種のデバイスフィーチャは、指定光学計量ツールにて少なくとも部分的に分解しうるものの、指定光学計量ツールの分解能未満の特性をも有するものとなろう。理解し得るように、語「光可分解」フィーチャ及び「デバイススケール」フィーチャは例証的であり、標本上の何れかのパターン化フィーチャのサイズ、向き又は分布を限定する意図を有していない。
【0064】
本願での更なる認識によれば、オーバレイターゲットの光可分解フィーチャ群に依拠した光学オーバレイ計測値には、注目デバイスフィーチャに対する光可分解フィーチャ群のサイズ、向き及び/又は密度の差異に係る光学ツール誤差が現れうる。従って、オーバレイターゲットの光学オーバレイ計測値には、注目デバイスフィーチャの実オーバレイに対する系統誤差が現れうる。
【0065】
本方法200のステップ202~206によれば、光可分解フィーチャ群及びデバイススケールフィーチャ群の双方を有するハイブリッドオーバレイターゲットを用い、光学ツール誤差を解明することができる。即ち、ステップ202にて、光可分解フィーチャ群を用いハイブリッドオーバレイターゲットのオーバレイを計測することができ、ステップ204にて、デバイススケールフィーチャ群を用い同じハイブリッドオーバレイターゲットのオーバレイを計測することができる。その上で、それら光学オーバレイ・デバイススケールオーバレイ間の差異の大きさ及び方向を用いることで、どの現在又は将来計測でも系統的光学ツール誤差に関し補正することができる。
【0066】
例えば、ステップ206の光学ツール誤差調整値がひとたび決まれば、ハイブリッドオーバレイターゲットの光学オーバレイを計測すること、並びに既知の光学ツール誤差調整値で以てその光学オーバレイを調整することで、デバイス関連オーバレイ値を効率的に生成することができる。その際、オーバレイ計量システム(例.オーバレイ計量システム100等)によって、これに限られるものではないが反復的フィーチャ群の使用により実現される低ノイズ計測性や高スループット能等、光学オーバレイ計量の長所を有効利用しつつ、デバイス関連オーバレイ計測値を生成することができる。
【0067】
ハイブリッドオーバレイターゲットの光可分解フィーチャ群及びデバイススケールフィーチャ群は、同じ方向又は方向群に沿い光学及びデバイススケールオーバレイ双方を提供するに適するものであれば、そのハイブリッドオーバレイターゲット内でどのような向き及び分布を呈していてもよい。実施形態の一つは、光可分解フィーチャ群及びデバイススケールフィーチャ群が物理的に分離されたものである。例えば、埋込デバイススケールフィーチャ群を有する光学計量ターゲットについて、「埋込SEM構造オーバレイターゲットによるOVL向けデバイス相関計量(DCM)」(DEVICE CORRELATED METROLOGY (DCM) FOR OVL WITH EMBEDDED SEM STRUCTURE OVERLAY TARGETS)と題する2015年7月28日発行の特許文献3にて概述されているので、参照によりその全容を本願に繰り入れることにする。また、実施形態の一つは、ハイブリッドオーバレイターゲットの光分解フィーチャのうち少なくとも幾つかが、あるデバイススケールピッチで以てセグメント化されたものである。この構成によれば、光学オーバレイ計測及びデバイススケールオーバレイ計測を同じ物理的位置にて実行することができ、それによりオーバレイツール誤差を高い正確度で提供することができる。例えば、光可分解フィーチャ群及びデバイススケールフィーチャ群を有するセグメント化ターゲット群について、「プロセス互換セグメント化ターゲット及び設計方法」(Process Compatible Segmented Targets and Design Methods)と題する2014年10月16日発行の特許文献4にて概述されているので、参照によりその全容を本願に繰り入れることにする。
【0068】
図3は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、その光可分解フィーチャがデバイススケールフィーチャ群にセグメント化されたハイブリッドオーバレイターゲットの一連の画像である。光学画像302に現れているのは先進撮像計量(AIM)オーバレイターゲット304であり、2個の標本層間のオーバレイを計測するのに適している。例えば、このターゲット304内に4個の象限306a~dを設け、各象限が標本第1層内の第1層フィーチャ308並びに標本第2層内の第2層フィーチャ310を有するようにすることで、第1層フィーチャ308・第2層フィーチャ310間の相対位置により第1層・第2層間オーバレイが示されるようにすることができる。更に、それら象限のうち2個(例.象限306a,c)により第1方向沿いオーバレイ、象限のうち2個(例.象限306b,d)により第2方向沿いオーバレイを、提供することができる。
【0069】
ある実施形態によれば、光学画像302のフィーチャ群(例.第1層フィーチャ308及び/又は第2層フィーチャ310)をセグメント化することで、光可分解要素群及びデバイススケール要素群双方を設けることができる。例えば、光学画像302に現れている通り、第1層フィーチャ308をセグメント化することで、光可分解な幅314を有し光可分解なピッチ316で以て分布する第1層光可分解セグメント312を設けることができる。同様に、第2層フィーチャ310をセグメント化することで、光可分解な幅314及び光可分解なピッチ316を有する第2層光可分解セグメント318を設けることができる。
【0070】
更に、光学画像302のフィーチャ(例.第1層光可分解セグメント312及び/又は第2層光可分解セグメント318)のうち少なくとも幾つかを更にセグメント化することで、デバイススケールフィーチャ群を設けることができる。デバイススケール画像320にはターゲット304のうち一部分322が現れ、より高い倍率で示されている。例えば、第1層光可分解セグメント312をセグメント化し、指定光学計量ツール(例.光学計量ツール102)では指定公差内で分解できないサブ分解能幅326及び/又はサブ分解能ピッチ328を有するデバイススケールフィーチャ324にすることができる。同様に、第2層光可分解セグメント318をセグメント化して、サブ分解能ピッチ328及びサブ分解能幅326を有するデバイススケールフィーチャ330にすることができる。
【0071】
従って、第1層光可分解セグメント312及び第2層光可分解セグメント318の相対位置に基づき(例.光学計量ツール102で以て)第1層・第2層間光学オーバレイ値を生成しうる一方、第1層デバイススケールフィーチャ324及び第2層デバイススケールフィーチャ330の相対位置に基づき(例.粒子ビーム式計量ツール104で以て)デバイススケールオーバレイ値を生成することができる。そして、それら光学オーバレイ・デバイススケールオーバレイ間の差異に基づき、光学ツール誤差(例.等式1の(OpticalToolError)target)を決めることができる。
【0072】
理解し得るように、
図3に描かれている画像依拠ターゲット304及びそれに関連する上掲の記述は専ら例証目的で提示されており、限定として解されるべきものではない。例えば、光学オーバレイ計測に適したオーバレイターゲットが、標本118の何れの層上にどのような分布で光可分解フィーチャ群を有していてもよい。また例えば、これに限られるものではないがスキャタロメトリ依拠技術等、非画像依拠オーバレイ技術を用いるオーバレイ計測向けに、オーバレイターゲットを構成してもよい。その場合、複数個の注目標本層上のオーバレイターゲットフィーチャ群に対する光学照明ビーム116の同時的相互作用に係る諸次回折光を光学計量ツール102により捉え、捉えた信号についてのモデル依拠分析を用いオーバレイを判別すればよい。
【0073】
また例えば、これに限られるものではないがターゲット304等のターゲットが、周期的な構造(例.一方向又は複数方向に沿い周期的に分布するフィーチャ群)を有していてもよい。本願での認識によれば、1個又は複数個の層内に周期的フィーチャ群を有するターゲットにより、複数個の計測個所を提供することができる。例えば、それら周期的要素のどれを基準としてオーバレイを計測してもよい。その際、ターゲットが周期的要素群を1個又は複数個の層内に有しているため、オーバレイ計測(例.デバイススケールフィーチャ群の粒子依拠オーバレイ計測又は光学オーバレイ計測)の正確性及び/又はスループットを増強することができる。一例としては、そのオーバレイ計測に係る照明照射量(例.単位標本面積当たり付与エネルギ)が所与値であるときに、それら複数個の計測個所に依拠した周期的フィーチャ群のオーバレイ計測値の方が、単一の計測個所(例.単一のフィーチャ)に依拠したオーバレイ計測値よりも、高い正確度を有するものとなりうる。別例としては、単一の計測個所に依拠したオーバレイ計測値に比べ、複数個の計測個所に依拠したときには、用いる照明照射量を少なめにして所与オーバレイ計測正確度を得ることができる。本願での更なる認識によれば、オーバレイ計測を実行するのに必要な照明照射量を減らすことで、標本118の損傷を軽減すること及び/又は計測スループットを高めることができる。
【0074】
また、一実施形態に係る方法200は、そのハイブリッドオーバレイターゲットを基準としてデバイスエリア内の1個又は複数個のフィーチャに関するターゲット対デバイス配置誤差を計測するステップ208を有している。また、一実施形態に係る方法200は、それらターゲット対デバイス配置誤差に基づきそのデバイスエリアに関する1個又は複数個のターゲット対デバイス調整値を生成するステップ210を有している。
【0075】
本願での認識によれば、オーバレイ誤差はほぼ全ての製造段階にて入り込みうるものであり、またその標本上で空間的に、或いはある標本からその次の標本にかけて又はある標本ロットからその次の標本ロットにかけて生産運転中に経時的に、変動しうるものである。例えば、リソグラフィツール(例.ステッパ、スキャナ等)は、通常は標本全体よりも小さい視野を有していて、標本を一連の(例.グリッド状の)露出野に区分してそれらを個別に露出することができる。1個又は複数個の露出野の露出工程におけるレティクル対標本ミスアライメントに係るグリッド誤差は、その標本上で空間的に変動するオーバレイ誤差のもととなりうる。加えて、露出中のリソグラフィツールにおける逸脱(例.レンズ収差、熱に係る攪乱等)により、空間変動性のパターン配置誤差が単一の露出野内で生じることがある。また例えば、オーバレイ誤差のなかには、露出パターンに基づく標本上での三次元構造の製造に係るプロセス誤差が含まれうる。プロセス誤差には、これに限られるものではないがリソグラフィにおける露出パターンの歪、エッチング誘起誤差、研磨誤差、或いはその標本のばらつきに係る誤差が含まれうる。結果として、オーバレイターゲットのところで計測されるオーバレイは、オーバレイターゲット・デバイスフィーチャ間変位に根底がある空間変動性のターゲット対デバイス誤差に左右されやすい。
【0076】
オーバレイターゲットは、一般に、標本上のどの個所にも配置することができる。とはいえ、ターゲット配置はターゲットにおける諸フィーチャのサイズ、向き及び/又は密度の影響を受けうる。例えば、光可分解フィーチャ群を有するオーバレイターゲットは、ダイ内にデバイスフィーチャ群向けのスペースを取りおくことを狙い、及び/又は、光可分解フィーチャ群はプロセスデザインルールに従わなくてもよいので、通常は標本のダイ間にあるスクライブライン内に配置される。また例えば、プロセスデザインルールに従うフィーチャ群を有するオーバレイターゲットは、通常は、標本ダイ内で注目デバイスフィーチャ群の付近に、或いはスクライブライン内に配置すればよい。
【0077】
図4は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るオーバレイターゲット配置を描いた概念的ウェハダイ頂面図である。標本118は、少なくとも1個のデバイスエリア(例.ダイ402)を有し、それがスクライブライン404により囲まれたものと、することができる。更に、ダイ402には製造対象デバイスに係るデバイスフィーチャ群を設けることができ、それらダイ402間の緩衝領域をスクライブライン404により提供することができる。実施形態の一つは、光可分解フィーチャ群及びデバイススケールフィーチャ群の双方を有するハイブリッドオーバレイターゲット406を少なくとも1個、スクライブライン404内に配置したものである。ひいては、高感度なオーバレイ計測値がもたらされるようハイブリッドオーバレイターゲット406を設計することができ、また標本118上のデバイスフィーチャ群向け利用可能スペースがターゲットのサイズにより減らされないようにすることができる。例えば、ハイブリッドオーバレイターゲット406には、これは必須ではないが光可分解フィーチャ群を組み込むことができ、またそれをセグメント化することで、
図3に描かれているハイブリッドオーバレイターゲット304等、デバイススケールフィーチャ群を組み込むことができる。また、ある実施形態によれば、デバイススケールフィーチャ群を有する1個又は複数個のデバイススケールオーバレイターゲット408を、ダイ402と共に(例.ドロップインターゲットとして)指定個所に配置することができる。例えば、ハイブリッドオーバレイターゲット406を、デバイスデザインルールに従うよう設計することができ、比較的小さくすることができ、また、これは必須ではないが
図3に描かれているそれら等、デバイススケール特性を有するフィーチャ群を有するものとすることができる。
【0078】
図5は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るデバイスフィーチャ502及び空間分離されたオーバレイターゲット504についての概念的オーバレイ誤差プロファイル図である。
【0079】
一実施形態における、オーバレイターゲット504の第1層506・第2層508間ターゲット対デバイスオーバレイ誤差は、少なくとも部分的に、層毎のオーバレイターゲット・デバイスフィーチャ間パターン配置距離間の差異に基づいている(例.等式1のΔPPE
target_to_device)。例えば、第1層ターゲットフィーチャ504a・デバイスフィーチャ502a間の第1層パターン配置距離510は、デバイスフィーチャ502aの露出野横断方向沿い位置との関係で変動しうる。同様に、第2層ターゲットフィーチャ504b・デバイスフィーチャ502b間の第2層パターン配置距離512は、デバイスフィーチャ502bの露出野横断方向沿い位置との関係で変動しうる。更に、それら第1層パターン配置距離510及び第2層パターン配置距離512はどこであれ所与位置にて互いに異なりうるものであり、それにより位置依存的なターゲット対デバイスオーバレイ誤差が生じることがある。従って、ステップ210にて、ダイ402内の様々な個所にて計測された第1層パターン配置距離510・第2層パターン配置距離512間差異(例.等式1のΔPPE
target_to_device)に基づき、ターゲット対デバイス調整値を生成するのがよい。理解し得るように、
図5にはある単一の方向に沿ったオーバレイ計測が描かれているが、複数通りの方向に沿い変位を計測してもよい。
【0080】
実施形態の一つは、これに限られるものではないがオーバレイ計量システム100のEPMツール106等といったEPMツールを用い、パターン配置距離を層毎に直に計測するものである。
図6は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るターゲット対デバイス調整値生成サブステップ群600を描いたフロー図である。一実施形態に係るステップ210は、第1層506の露出及びエッチング後のAEI工程として、ダイ402内の1個又は複数個のデバイススケールフィーチャ(例.デバイススケールオーバレイターゲット、注目デバイスフィーチャ等)に関し第1層パターン配置距離510を計測するサブステップ602を含んでいる。また、一実施形態に係るステップ210は、第2層508の露出後のADI工程として、それらデバイススケールフィーチャのところでオーバレイを計測するサブステップ604を含んでいる。例えば、サブステップ604により、計測された諸層に関し、パターン配置距離計測値間の校正値を提供することができる。また、一実施形態に係るステップ210は、第2層508の露出後のADI工程として、1個又は複数個のデバイススケールフィーチャに関し第2層パターン配置距離512を計測するサブステップ606を含んでいる。従って、ターゲット対デバイス調整値を、第1層パターン配置距離510・第2層パターン配置距離512間差異に基づき決めることができる。
【0081】
本願既述の通り、EPMには、動作に当たり光学撮像に依拠するものや粒子ビーム撮像に依拠するものがある。例えば粒子ビーム撮像に依拠するEPMツールの場合、低エネルギ粒子ビームを用いサブステップ602の第1層パターン配置距離510を計測することができ、第2層508内フィーチャ群に関しては低エネルギ粒子ビーム、第1層506内フィーチャ群に関しては高エネルギ粒子ビームを用いてデバイススケールフィーチャ群のオーバレイを計測することができ、また低エネルギ粒子ビームを用い第2層パターン配置距離512を計測することができる。
【0082】
また、一実施形態におけるターゲット対デバイス調整値は、少なくとも部分的に、ダイ402内のデバイススケールオーバレイターゲットとハイブリッドオーバレイターゲットとを対象にして計測されたデバイススケールオーバレイ間の差異に基づいている。例えば、先に参照した
図4によれば、スクライブライン404内に所在するハイブリッドオーバレイターゲット406のところで計測されたオーバレイと、ダイ402内の1個又は複数個のデバイススケールオーバレイターゲット408のところで計測されたオーバレイと、の間の差異に基づき、ターゲット対デバイス調整値を生成することができる。この構成によれば、標本118上の複数個所にて計測されたデバイススケールオーバレイ間のばらつきにより視野内ばらつきのマッピングを行うこと、またそれを対応するターゲット対デバイス調整値により補正することができる。更に、標本上でのオーバレイばらつきに基づくそうしたターゲット対デバイス調整値は、高正確度ステージ(例.標本ステージ152)を有するEPMがなくとも、オーバレイ計量ツール(例.粒子ビーム式計量ツール104)を用い生成することができる。
【0083】
先に参照した
図2によれば、一実施形態に係る方法200は、そのデバイスエリア内の1個又は複数個の位置に関するデバイス関連オーバレイ計測値を求めるステップ212を有している。一実施形態におけるデバイス関連オーバレイ計測値は、ステップ202の光学オーバレイ、ステップ206の光学ツール誤差調整値、並びにステップ210のターゲット対デバイス調整値に基づき生成される。
【0084】
例えば、先に参照した
図4及び
図5によれば、ダイ402内の個別個所におけるデバイス関連オーバレイ(例.等式1のOVL
device)を、公称位置から見た第1層デバイスフィーチャ502a・第2層デバイスフィーチャ502b間の相対変位として特徴付けることができる。このデバイス関連オーバレイ計測値は、間接的に、ハイブリッドオーバレイターゲット406の調整済計測値に基づき決めることができる(例.等式1参照)。一例としては、オンターゲット光学オーバレイ計測値(OVL
target)を、オーバレイターゲット504の光可分解フィーチャ群(
図5には示さず)に依拠し求めることができる。光学ツール誤差((OpticalToolError)
target)を、デバイススケールターゲットフィーチャ群(例.ターゲットフィーチャ504)のオンターゲットオーバレイと光学オーバレイとの間の差異に基づき、求めることができる。更に、ターゲット対デバイス誤差(ΔPPE
target_to_device)を、複数個所における第1層パターン配置距離510及び第2層パターン配置距離512の直接計測を通じ、及び/又は、デバイススケールオーバレイターゲット408のところでオーバレイばらつきを計測することで、求めることができる。
【0085】
また、一実施形態におけるデバイス関連オーバレイ計測は、ハイブリッドオーバレイターゲットについての光学オーバレイ計測値と、デバイス関連オーバレイ計測値と、の間の変換として表現される。例えば、先に参照した
図3に描かれている通り、ハイブリッドオーバレイターゲットがセグメント化された諸要素を有していて、そのセグメント化により光可分解フィーチャ群及びデバイススケールフィーチャ群の双方が設けられている場合、そのオーバレイターゲットの周期的性状を利用することで、ハイブリッドAIMオーバレイターゲットについての光学オーバレイ計測値とデバイス関連オーバレイ計測値との間の高感度変換を行うことができる。一例としては、光学計量ツール(例.光学計量ツール102)及びデバイス可分解計量ツール(例.粒子ビーム式計量ツール104)双方で以て、ある共通の注目領域についてのオーバレイを計測することで、光可分解ピッチ316及びサブ分解能ピッチ328双方に基づく空間周波数高調波を含め周期的信号を有する画像を、提供することができる。
【数2】
【数3】
式中、Ker
deviceは振幅A
i
device及び位相φ
i
deviceを有する第i次高調波で以てデバイススケールフィーチャ群を表したものであり、Ker
opticalは振幅A
i
optical及び位相φ
i
opticalを有する光可分解フィーチャ群の第i次高調波を表しており、P
deviceはサブ分解能ピッチ328であり、P
opticalは光可分解ピッチ316であり、ΔPPE
target_to_deviceは等式1のターゲット対デバイス誤差であり、そしてxは計測方向である。なお、視野内の各個所でのΔPPE
target_to_deviceはx方向沿いシフトとして表されている。
【0086】
空間周波数高調波成分Kerdevice及びKeroptical(ΔPPEtarget_to_deviceを除く)を求める際には、これに限られるものではないが、光学計量ツール及びデバイス可分解計量ツール双方で以て生成された注目領域画像の空間周波数分析等、本件技術分野で既知な何れの方法を用いてもよい。例えば、その空間周波数分析には、これに限られるものではないがフーリエ変換(FT)分析、高速フーリエ変換(FFT)分析等のフーリエ分析技術が含まれうる。
【0087】
そして、ハイブリッドオーバレイターゲット406の光可分解フィーチャ群に係る信号を、各デバイススケールオーバレイターゲット408でのデバイス関連信号に、計測されたΔPPE
target_to_device及び変換(T)で以て関連付けることができる。
【数4】
【0088】
更に、この変換(T)により、ハイブリッドオーバレイターゲット406及び/又はそのハイブリッドオーバレイターゲット406を用いたオーバレイの光学計測の付加的な不正確性を、監視及び/又は補償することができる。本願での認識によれば、オーバレイターゲットの計測値にはターゲット及び/又はシステムの不完全性に係る様々な誤差が含まれうるし、またそれを計測に先立ち知りうることも知りえないこともある。例えば、オーバレイターゲットの質及び/又は正確性を評価するための指標について、「ミスレジストレーションターゲットの不正確性を推定及び補正する方法」(METHOD FOR ESTIMATING AND CORRECTING MISREGISTRATION TARGET INACCURACY)と題する2016年5月3日発行の特許文献5、並びに「プロセス制御改善用品質指標提供方法及びシステム」(METHOD AND SYSTEM FOR PROVIDING A QUALITY METRIC FOR IMPROVED PROCESS CONTROL)と題する2013年2月7日発行の特許文献6にて概述されているので、両者の全容を参照により本願に繰り入れることにする。
【0089】
先に参照した
図2によれば、一実施形態に係る方法200は、デバイス関連オーバレイ計測値に基づきそのデバイスエリアに関するオーバレイコレクタブルをリソグラフィツールに供給することで少なくとも1回の後続露出に関する露出条件を修正するステップ214を、有している。
【0090】
例えば、ステップ214にて、これに限られるものではないがリソグラフィツール等の製造ツール向けに、デバイス関連オーバレイ値に基づき制御パラメタ(又は制御パラメタに対する補正値)を生成することができる。それら制御パラメタは、これに限られるものではないがオーバレイ計量システム100のコントローラ108等、制御システムにより生成することができる。それらオーバレイコレクタブルを、フィードバック及び/又はフィードフォワード制御ループの一部分を以て供給することができる。ある実施形態によれば、現処理工程に係るデバイス関連オーバレイ計測値であり、ある標本を対象にして計測されたものを用い、一通り又は複数通りの製造プロセスのドリフトを補償すること、ひいては同ロット又は別ロットに属する後続標本群を対象とした複数回の露出に亘り、オーバレイを指定公差内に保つことができる。また、ある実施形態によれば、現処理工程に係るデバイス関連オーバレイ計測値をフィードフォワードして後続処理工程を調整することで、計測されるあらゆるオーバレイ誤差を補償することができる。例えば、後続諸層上のパターンの露出を調整して、後続諸層のオーバレイ計測値を整合させることができる。
【0091】
オーバレイコレクタブルをどのような指定頻度で生成及び/又は送信してもよい。例えば、オーバレイコレクタブルが(所与標本上及び/又は所与ロット内で)生成されうる頻度を、オーバレイ計測のスループットに従属させてもよい。更に、光学オーバレイ計測値に対する調整値を、どのような指定頻度で生成してもよい。
【0092】
ある実施形態によれば、これに限られるものではないがステップ206にて生成される光学ツール誤差調整値及び/又はステップ210のターゲット対デバイス調整値等といったデバイス関連オーバレイ調整値を、ステップ202の光学オーバレイ計測値よりも低頻度で生成することができる。例えば、それらデバイス関連オーバレイ調整値を、これに限られるものではないがロット毎に1回、指定ロット数毎に1回等、指定間隔にて生成しつつ、ハイブリッドオーバレイターゲットの光学オーバレイ計測を、標本上の複数個所を対象にして実行することができる。その際には、各標本の光学オーバレイ計測値を、先行生成されたデバイス関連調整値を用い調整することで、正確なデバイス関連オーバレイ値を、その光学計量ツールのスループットを生産運転中のインライン制御に適したそれにしつつ、提供することができる。
【0093】
本願記載の主題は、ときとして、他の諸部材内に収容され又はそれと結合している様々な部材により描出されている。理解し得るように、そうした図示構成は単なる例示であり、実のところは、他の多くの構成を実施して同じ機能を達成することができる。概念的には、どのような部材配列であれ、同じ機能を達成するものはその所望機能が達成されるよう実質的に「連携」しているのである。即ち、本願中の何れの二部材であれ、特定の機能を達成するよう組み合わされているものは、その所望機能が達成されるよう互いに「連携」していると理解することができ、その構成及び介在部材の如何は問われない。同様に、何れの二部材であれそのように連携しているものは、その所望機能を達成すべく互いに「連結・接続」又は「結合」されているとも見ることができ、また何れの二部材であれそのように連携させうるものは、その所望機能を達成すべく互いに「結合可能」であるとも見ることができる。結合可能、の具体例としては、これに限られるものではないが、物理的に相互作用可能な及び/又は物理的に相互作用する部材、及び/又は無線的に相互作用可能な及び/又は無線的に相互作用する部材、及び/又は論理的に相互作用可能な及び/又は論理的に相互作用する部材がある。
【0094】
本件開示及びそれに付随する多くの長所については、上掲の記述で理解されるであろうし、開示されている主題から離隔することなく又はその主要な長所全てを犠牲にすることなく諸部材の形態、構成及び配列に様々な改変を施せることも察せられるであろう。本願記載の形態は単なる説明用のものであり、後掲の特許請求の範囲の意図はそうした改変を包括及び包含することにある。更に、理解し得るように、本発明は特許請求の範囲により定義される。