(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】半導体デバイスにおけるパラメタ安定位置ずれ計測改善
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20221116BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221116BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G03F7/20 521
G01B11/00 H
G01B11/00 Z
(21)【出願番号】P 2021556496
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 US2019047797
(87)【国際公開番号】W WO2020190318
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-08-17
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レヴィンスキー ヴラディミール
(72)【発明者】
【氏名】パスコバー ユーリ
(72)【発明者】
【氏名】アーロン シャロン
(72)【発明者】
【氏名】マナッセン アムノン
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-538474(JP,A)
【文献】特表2005-529488(JP,A)
【文献】特開2005-11980(JP,A)
【文献】国際公開第2003/043064(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G03F 7/20
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラメタ安定位置ずれ計測改善方法であって、
その上に形成された複数個の多層半導体デバイスが備わるウェハであり
、同一と意図されたウェハのバッチのなかから選択されたものを準備し、
位置ずれ計量ツールを用い、そのウェハの少なくとも第1層・第2層間の位置ずれを複数個の計測パラメタ集合を用い複数サイトにて計測することで、前記計測パラメタ集合それぞれに係る位置ずれ計測データを生成し、
前記ウェハに係り前記計測パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれ計測データからパラメタ依存部分及び平均誤差部分を特定して除去することで、そのウェハに係る改善パラメタ安定改善位置ずれデータを生成する、
パラメタ安定位置ずれ計測改善方法。
【請求項2】
請求項1に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善方法であって、前記計測パラメタ集合が、少なくとも、位置ずれ計測に用いられる複数通りの光波長を含むパラメタ安定位置ずれ計測改善方法。
【請求項3】
請求項
1に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善方法であって、前記パラメタ依存部分及び前記平均誤差部分を特定する際に、
前記計測パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれ計測データに関しパラメタ依存部分を特定し、
前記計測パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれデータの前記パラメタ依存部分の少なくとも1個の主成分を特定し、
前記パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれ計測データの前記パラメタ依存部分の前記少なくとも1個の主成分に関し加重係数を特定し、且つ
少なくとも一通りの平均誤差部分を、当該平均誤差部分それぞれが前記計測パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれ計測データの前記パラメタ依存部分の前記少なくとも1個の主成分それぞれに対応する態で特定するパラメタ安定位置ずれ計測改善方法。
【請求項4】
請求項3に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善方法であって、前記計測パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれデータの前記パラメタ依存部分の少なくとも1個の主成分が、主成分分析を用い特定されるパラメタ安定位置ずれ計測改善方法。
【請求項5】
請求項
1に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善方法であって、更に、前記パラメタ依存部分及び前記平均誤差部分を用い、前記
同一と意図されたウェハのバッチのなかから選択された少なくとも1枚の付加的ウェハに係り前記計測パラメタ集合それぞれに関する位置ずれ計測データから、パラメタ依存部分及び平均誤差部分を特定して除去することで、当該少なくとも1枚の付加的ウェハに係る改善パラメタ安定改善位置ずれデータを生成するパラメタ安定位置ずれ計測改善方法。
【請求項6】
請求項
1に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善方法であって、前記位置ずれ計量ツールが撮像式位置ずれ計量ツール
、またはスキャタロメトリ式位置ずれ計量ツールであるパラメタ安定位置ずれ計測改善方法。
【請求項7】
請求項
1に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善方法であって、前記平均誤差部分が参照位置ずれ値を用い特定されるパラメタ安定位置ずれ計測改善方法。
【請求項8】
請求項
7に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善方法であって、前記参照位置ずれ値が、参照位置ずれ計量ツールを用い前記ウェハを計測することで生成されるパラメタ安定位置ずれ計測改善方法。
【請求項9】
請求項
8に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善方法であって、前記参照位置ずれツールが電子ビーム式位置ずれ計量ツールであるパラメタ安定位置ずれ計測改善方法。
【請求項10】
請求項
1に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善方法であって、前記計測パラメタ集合が、
位置ずれ計測における焦点可変性、
位置ずれ計測に用いられる数値開口、
位置ずれ計測に用いられる光の入射角、
または
位置ずれ計測に用いられる光の偏向、
のうち少なくとも一つを含むパラメタ安定位置ずれ計測改善方法。
【請求項11】
パラメタ安定位置ずれ計測改善システムであって、
その上に形成された複数個の多層半導体デバイスが備わるウェハであり企図上同一なウェハ群からなるバッチから選択されたウェハの少なくとも第1層・第2層間の位置ずれを、複数個の計測パラメタ集合を用い複数サイトにて計測することで、当該パラメタそれぞれに係る位置ずれ計測データを生成するよう動作する位置ずれ計量ツールと、
位置ずれデータアナライザであり、
前記ウェハに係り前記計測パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれ計測データからパラメタ依存部分及び平均誤差部分を特定して除去することで、そのウェハに係る改善パラメタ安定改善位置ずれデータを生成するよう、
動作する位置ずれデータアナライザと、
を備えるパラメタ安定位置ずれ計測改善システム。
【請求項12】
請求項
11に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善システムであって、前記計測パラメタ集合が、少なくとも、位置ずれ計測に用いられる複数通りの光波長を含むパラメタ安定位置ずれ計測改善システム。
【請求項13】
請求項
11に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善システムであって、前記位置ずれデータアナライザが、更に、
前記計測パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれ計測データに関しパラメタ依存部分を特定し、
前記計測パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれデータの前記パラメタ依存部分の少なくとも1個の主成分を特定し、
前記パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれ計測データに係る前記パラメタ依存部分の少なくとも1個の主成分に関し加重係数を特定し、且つ
少なくとも一通りの平均誤差部分を、当該少なくとも一通りの平均誤差部分それぞれが前記計測パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれ計測データの前記パラメタ依存部分の前記少なくとも1個の主成分それぞれに対応する態で特定するよう、
動作するパラメタ安定位置ずれ計測改善システム。
【請求項14】
請求項13に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善システムであって、前記計測パラメタ集合それぞれに係る前記位置ずれデータの前記パラメタ依存部分の少なくとも1個の主成分が、主成分分析を用い特定されるパラメタ安定位置ずれ計測改善システム。
【請求項15】
請求項
11に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善システムであって、前記アナライザが、更に、前記パラメタ依存部分及び前記平均誤差部分を用い、前記企図上同一なウェハ群からなる前記バッチから選択された少なくとも1枚の付加的ウェハに係り前記計測パラメタ集合それぞれに関する前記位置ずれ計測データのなかから、
パラメタ依存部分及び平均誤差部分を特定して除去することで、当該少なくとも1枚の付加的ウェハに係る改善パラメタ安定改善位置ずれデータを生成するよう、動作するパラメタ安定位置ずれ計測改善システム。
【請求項16】
請求項
11に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善システムであって、前記位置ずれ計量ツールが撮像式位置ずれ計量ツール
、またはスキャタロメトリ式位置ずれ計量ツールであるパラメタ安定位置ずれ計測改善システム。
【請求項17】
請求項
11に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善システムであって、前記平均誤差部分が参照位置ずれ値を用い特定されるパラメタ安定位置ずれ計測改善システム。
【請求項18】
請求項
17に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善システムであって、前記参照位置ずれ値が、参照位置ずれ計量ツールを用い前記ウェハを計測することで生成されるパラメタ安定位置ずれ計測改善システム。
【請求項19】
請求項
18に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善システムであって、前記参照位置ずれツールが電子ビーム式位置ずれ計量ツールであるパラメタ安定位置ずれ計測改善システム。
【請求項20】
請求項
11に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善システムであって、前記計測パラメタ集合が、
位置ずれ計測における焦点可変性、
位置ずれ計測に用いられる数値開口、
位置ずれ計測に用いられる光の入射角、
または
位置ずれ計測に用いられる光の偏向、
のうち少なくとも一つを含むパラメタ安定位置ずれ計測改善システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総じて、半導体デバイスの製造に際する位置ずれの計測に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への参照)
本願では、「計測条件によるオーバレイ誤差変動に基づく動的な正確性最適化」(DYNAMIC ACCURACY OPTIMIZATION BASED ON OVERLAY ERROR VARIATION WITH MEASUREMENT CONDITIONS)と題する2019年3月21日付米国仮特許出願第62/821596号を参照し、その開示内容を参照により本願に繰り入れ且つそれに基づく優先権を主張することにする。
【0003】
半導体デバイスの製造に際する位置ずれの計測に関しては、様々な方法及びシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2009/0063378号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、半導体デバイスの製造に際する位置ずれの計測に関し、改善された方法及びシステムを提供することを図っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに、本発明の好適実施形態によれば、その上に形成された複数個の多層半導体デバイスが備わるウェハであり企図上同一なバッチウェハのなかから選択されたものを準備し、位置ずれ計量ツールを用い、そのウェハの少なくとも第1層・第2層間の位置ずれを複数個の計測パラメタ集合を用い複数サイトにて計測することで、それら計測パラメタ集合それぞれに係る位置ずれ計測データを生成し、そのウェハに係りそれら計測パラメタ集合それぞれに係る位置ずれ計測データからパラメタ依存部分及び平均誤差部分を特定して除去することで、そのウェハに係る改善パラメタ安定改善位置ずれデータを生成する、パラメタ安定位置ずれ計測改善方法が提供される。
【0007】
本発明の好適実施形態によれば、その計測パラメタ集合が、少なくとも、位置ずれ計測に用いられる複数通りの光波長を含むものとされる。
【0008】
好ましくは、それらパラメタ依存部分及び平均誤差部分を特定する際に、各計測パラメタ集合に係る位置ずれ計測データに関しパラメタ依存部分を特定し、各計測パラメタ集合に係る位置ずれデータのパラメタ依存部分の少なくとも1個の主成分を特定し、各パラメタ集合に係る位置ずれ計測データのパラメタ依存部分の少なくとも1個の主成分に関し加重係数を特定し、更に少なくとも一通りの平均誤差部分を、各平均誤差部分が各計測パラメタ集合に係る位置ずれ計測データのパラメタ依存部分の少なくとも1個の主成分それぞれに対応する態で特定する。
【0009】
本発明の好適実施形態に係るパラメタ安定位置ずれ計測改善方法では、更に、それらパラメタ依存部分及び平均誤差部分を用い、企図上同一なバッチウェハのなかから選択された少なくとも1枚の付加的ウェハに係り各計測パラメタ集合に係る位置ずれ計測データから、パラメタ依存部分及び平均誤差部分を特定して除去することで、当該少なくとも1枚の付加的ウェハに係る改善パラメタ安定改善位置ずれデータを生成する。
【0010】
本発明の好適実施形態によれば、その位置ずれ計量ツールが撮像式位置ずれ計量ツールとされる。本発明の別の好適実施形態によれば、その位置ずれ計量ツールがスキャタロメトリ(散乱計測法)式位置ずれ計量ツールとされる。
【0011】
好ましくは、各計測パラメタ集合に係る位置ずれデータのパラメタ依存部分の少なくとも1個の主成分を、主成分分析を用い特定する。
【0012】
本発明の好適実施形態によれば、その平均誤差部分が参照位置ずれ値を用い特定される。好ましくは、その参照位置ずれ値を、参照位置ずれ計量ツールを用いそのウェハを計測することで生成する。好ましくはその参照位置ずれツールを電子ビーム式位置ずれ計量ツールとする。
【0013】
本発明の別の好適実施形態によれば、その平均誤差部分が統計モデルを用い特定される。好ましくは、その統計モデルを、そのウェハについての複数回の位置ずれ計測をもとに編纂(コンパイル)する。好ましくは、その統計モデルを、モデル化部分及び非モデル化部分を有するものとする。
【0014】
本発明の好適実施形態によれば、その計測パラメタ集合が、位置ずれ計測における焦点可変性、位置ずれ計測に用いられる数値開口、位置ずれ計測に用いられる光の入射角並びに位置ずれ計測に用いられる光の偏向、のうち少なくとも一つを含むものとされる。
【0015】
また、本発明の別の好適実施形態によれば、その上に形成された複数個の多層半導体デバイスが備わるウェハであり企図上同一なウェハ群からなるバッチから選択されたウェハの少なくとも第1層・第2層間の位置ずれを、複数個の計測パラメタ集合を用い複数サイトにて計測することで、当該パラメタそれぞれに係る位置ずれ計測データを生成するよう動作する位置ずれ計量ツールと、そのウェハに係り各計測パラメタ集合に係る位置ずれ計測データからパラメタ依存部分及び平均誤差部分を特定して除去することで、そのウェハに係る改善パラメタ安定改善位置ずれデータを生成するよう動作する位置ずれデータアナライザと、を有するパラメタ安定位置ずれ計測改善システムが提供される。
【0016】
後掲の詳細記述と併せ以下の図面から、本発明をより全面的に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】パラメタ安定位置ずれ計測改善システムの概略模式図である。
【
図2】
図1のパラメタ安定位置ずれ計測改善システムにより用いられうるパラメタ安定位置ずれ計測改善方法を描出する概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図2を参照し以下記述されるシステム及び方法は半導体デバイス製造プロセスの一部分を形成するものであり、
図1及び
図2を参照し以下記述されるシステム及び方法により計測された位置ずれを用い半導体デバイス製造プロセスを調整することで、製造されている半導体デバイスの諸層をより密に整列させることができる。
【0019】
ここで、パラメタ安定位置ずれ計測改善システム(PSMMAS)100の概略模式図たる
図1と、PSMMAS100により用いられうるパラメタ安定位置ずれ計測改善方法(PSMMAM)200を描出する概略フローチャートたる
図2とを参照する。
【0020】
図1に見られる通り、PSMMAS100は位置ずれ計量ツール110及び位置ずれデータアナライザ120を有している。位置ずれ計量ツール110は、複数個の計測パラメタ集合を用い位置ずれを計測する能力があるもの、例えば撮像式位置ずれ計量ツールやスキャタロメトリ式位置ずれ計量ツール等、好適な何れの位置ずれ計量ツールとすることもできる。好ましくは、それらパラメタのなかに、位置ずれを計測する際に用いられる複数通りの光波長を含める。PSMMAS100の一部分を形成する典型的な撮像式位置ずれ計量ツールはArcher(商標)700であり、これは米国カリフォルニア州ミルピタス所在のKLA Corporationから商業的に入手することができる。PSMMAS100の一部分を形成する典型的なスキャタロメトリ式位置ずれ計量ツールはATL100(商標)であり、これは米国カリフォルニア州ミルピタス所在のKLA Corporationから商業的に入手することができる。
【0021】
図2に見られる通り、最初のステップ202では、その上に形成された複数個の多層半導体デバイスが備わるウェハであり、企図上同一なウェハ群からなるバッチから選択されたものを準備し、位置ずれ計量ツール110により、好ましくは複数通りの光波長を含む複数個の計測パラメタ集合λを用い、複数個のサイトsにてそのウェハの少なくとも第1層・第2層間の位置ずれ、別称オーバレイを計測することで、各サイトに係り且つ各パラメタ集合に係る位置ずれ計測データOVL(λ,s)を生成する。察せられる通り、企図上同一なウェハ群からなるバッチ中の各ウェハは同じ製造工程を経たものであり、企図上同一なウェハ群からなるバッチ中の他の全てのウェハ上の対応する半導体デバイスと企図上同一な半導体デバイスを有している。
【0022】
通常、ステップ202にて計測されるウェハに備わるフィーチャ(外形特徴)は、若干数nの変形を各計測サイト内に有している。即ち、位置ずれ計測データOVL(λ,s)には、等式1に記載の通り、第1層・第2層間位置ずれOVL
0(s)に由来する成分、並びに各変形固有ベクトルE
k(λ,s)に由来する成分が共に含まれうる。
【数1】
但し、kは変形を示すインデクスであり、α
k(s)は各変形固有ベクトルE
k(λ,s)に係る加重係数である。注記されることに、ウェハの位置ずれOVL
0(s)とは違い、各変形固有ベクトルE
k(λ,s)に由来する項は、位置ずれ計測にて用いられるパラメタ、例えば光波長に依存している。更に注記されることに、各変形固有ベクトルE
k(λ,s)は、等式2に見られる通り、パラメタ依存部分ε
k(λ,s)に由来する項及び平均誤差部分μ
k(s)に由来する項を共に含んでいる。
【数2】
【0023】
注記されることに、これらパラメタ依存部分εk(λ,s)及び平均誤差部分μk(s)は共に、同じ第k変形によりもたらされる。従って、パラメタ依存部分εk(λ,s)及び平均誤差部分μk(s)が共に第k変形の振幅に比例するので、パラメタ依存部分εk(λ,s)及び平均誤差部分μk(s)は互いに数学的に関連している。
【0024】
等式1及び2を解くため、ひいては第1層・第2層間位置ずれOVL
0(s)を特定するため、PSMMAM200は、更に
図2を参照し以下詳述する通り、付加的な等式群を解く方向に進んでいる。
【0025】
次のステップ204では、等式3に見られる通り、位置ずれデータアナライザ120により、位置ずれ計測データOVL(λ,s)のサイト毎且つパラメタ集合λ毎のパラメタ依存部分OVL
ε(λ,s)と、ステップ202にて生成された位置ずれ計測データOVL(λ,s)のサイト毎の平均誤差部分OVL
μ(s)とを特定する。
【数3】
【0026】
注記されることに、等式3中の平均誤差部分OVLμ(s)には、ウェハの位置ずれOVL0(s)と、位置ずれ計測データOVL(λ,s)に係る平均誤差部分とが、共に含まれている。
【0027】
次のステップ206では、位置ずれデータアナライザ120により、位置ずれ計測データOVL(λ,s)のパラメタ依存部分集合{OVLε(λ,s)}に関し主成分分析(PCA)を用い、ステップ202にて計測されたサイトsそれぞれに含まれるn個の変形に対応する主成分集合{εk(λ,s)}を特定する。
【0028】
次のステップ208では、位置ずれデータアナライザ120により、等式4にて定義される指標M
1が最小になる加重係数α
k(s)の値を特定することで、等式1に係る好適な加重係数α
k(s)を特定する。
【数4】
【0029】
注記されることに、主成分集合{εk(λ,s)}が正規直交である場合、等式4は、{εk(λ,s)}上への{OVLε(λ,s)}の射影を表すものとなる。
【0030】
次のステップ210では、位置ずれデータアナライザ120により、各計測サイトsに関しステップ206にて特定された主成分ε
k(λ,s)それぞれに対応する平均誤差部分μ
kを特定する。本発明のある好適実施形態では、平均誤差部分μ
k(s)が等式5を用い特定される。
【数5】
但し、OVL
R(s)はステップ202にて計測されたウェハの各サイトに係る参照位置ずれ値であり、PSMMAM200では、ステップ202にて計測された全てのサイトsに関し等式5の左辺・右辺間にベストマッチングをもたらす平均誤差部分μ
k(s)を特定する。
【0031】
好ましくは、参照位置ずれOVLR(s)を、ステップ202にて計測されたウェハの位置ずれを参照位置ずれ計量ツールを用い計測することで生成する。典型的な参照位置ずれ計量ツールは電子ビーム式位置ずれ計量ツール、例えばeDR7xxx(商標)であり、これは米国カリフォルニア州ミルピタス所在のKLA Corporationから商業的に入手することができる。他の好適な参照位置ずれ計量ツールには、就中、光学ツール、SEMツール、TEMツール及びAFMツールがある。
【0032】
本発明の別の実施形態では、ステップ202にて計測されたウェハについての複数通り、好ましくは少なくとも200通りの位置ずれ計測をもとに統計モデルが編纂される。通常、個々の位置ずれ計測には、実デバイス位置ずれに相当するモデル化部分と、変形に相当する非モデル化部分とが含まれている。平均誤差部分μ
k(s)は、等式6にて定義される指標M
2が最小になる平均誤差部分μ
k(s)の値を特定することで特定される。
【数6】
但し、OVL
μ|
U(s)は統計モデルに含まれている個々のサイトの位置ずれの平均誤差部分の非モデル化部分であり、α
k|
U(s)は加重係数α
k(s)の非モデル化部分である。
【0033】
次のステップ212では、位置ずれデータアナライザ120により、位置ずれ計測に用いられたパラメタそれぞれに係りそのウェハに関しステップ202にて生成された位置ずれ計測データOVL(λ,s)から、パラメタ依存部分εk(λ,s)及び平均誤差部分μk(s)を除去することで、そのウェハに係る改善パラメタ安定改善位置ずれデータOVL0(s)を生成する。
【0034】
本発明の好適実施形態では、パラメタ安定改善位置ずれデータOVL0(s)を用い、ステップ202にて計測されたウェハの選択元であり企図上同一なウェハ群からなるバッチの製造に用いられる少なくとも1個のツールを調整する。
【0035】
好ましくは、次のステップ214にて、複数個の多層半導体デバイスを有する少なくとも1枚の付加的ウェハであり、企図上同一なウェハ群からなりステップ202にてウェハの提供元となったバッチから選択されたものを、準備する。ステップ214の一部分として、位置ずれ計量ツール110により、複数個の計測パラメタ集合を用いそのウェハの少なくとも第1層・第2層間の位置ずれを複数サイトにて計測することで、各パラメタ集合に係る位置ずれ計測データを生成する。好ましくは、そのパラメタ集合に複数通りの光波長を含める。
【0036】
その上で、位置ずれデータアナライザ120により、ステップ214にて計測されたその少なくとも1枚に係るパラメタ依存部分OVLε(λ,s)を用い、当該少なくとも1枚の付加的ウェハに係る加重係数αk(s)を定める。当該少なくとも1枚の付加的ウェハに係る加重係数αk(s)がわかったら、位置ずれデータアナライザ120により、ステップ210にて特定された1個又は複数個の変形固有ベクトルEk(λ,s)を用い、当該少なくとも1枚の付加的ウェハに係り各パラメタ集合に関しステップ214にて生成された位置ずれ計測データOVL(λ,s)からパラメタ依存部分εk(λ,s)及び平均誤差部分μk(s)を特定して除去することで、当該1枚又は複数枚の付加的ウェハに係る改善パラメタ安定改善位置ずれデータOVL0(s)を生成する。察せられる通り、ステップ210にて特定される1個又は複数個の変形固有ベクトルEk(λ,s)には、等式2を参照し上述した通りパラメタ依存部分εk(λ,s)及び平均誤差部分μk(s)が含まれている。
【0037】
本発明の別の実施形態では、ステップ202にて位置ずれ計量ツール110により用いられる計測パラメタに、位置ずれ計測における焦点可変性、位置ずれ計測にて用いられる数値開口、位置ずれ計測にて用いられる光の入射角、並びに位置ずれ計測にて用いられる光の偏向のうち、少なくとも一つを含める。こうした実施形態では、変動させる少なくとも1個の位置ずれ計測パラメタの関数たる位置ずれ計測データの変動が、
図2を参照して上述した分析と同じ要領で好適にも分析され、それにより改善パラメタ安定改善位置ずれデータが生成される。
【0038】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)には理解される通り、本発明は、具体的に図示及び上述されたものに限定されない。本発明の技術的範囲には、上述した様々な特徴及びその修正物であり何れも従来技術に属していないものの組合せ及びサブコンビネーションの双方が包含される。