(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器
(51)【国際特許分類】
C07C 211/54 20060101AFI20221116BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221116BHJP
C07C 211/57 20060101ALI20221116BHJP
C07C 211/61 20060101ALI20221116BHJP
C07D 307/91 20060101ALI20221116BHJP
C07D 209/86 20060101ALI20221116BHJP
C07C 211/58 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C07C211/54 CSP
H05B33/22 D
H05B33/14 A
C07C211/57
C07C211/61
C07D307/91
C07D209/86
C07C211/58
(21)【出願番号】P 2022512250
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2021013412
(87)【国際公開番号】W WO2021200876
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2020064541
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020217191
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】糸井 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】羽毛田 匡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑典
(72)【発明者】
【氏名】田中 将太
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕勝
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109485577(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109206327(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108976132(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0100709(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第108774141(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 211/00
H01L 51/00
C07D 307/00
C07D 209/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表わされる化合物。
【化1】
(式中、
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、式(10)~(14)のいずれかで表される基である。
【化2】
(式中、
R
11~R
15、R
21~R
26、R
41~R
48、R
51~R
62及びR
71~R
78は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
R
31~R
35は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、無置換の環形成炭素数3~6のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又はNR
81であり、
R
81は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
ただし、
R
11~R
15から選ばれる1つは*cに結合する単結合であり、
R
21~R
26から選ばれる1つは*dに結合する単結合であり、R
21~R
26から選ばれる他の一つは*eに結合する単結合であり、
R
45~R
48から選ばれる1つは*fに結合する単結合であり、
R
59~R
62から選ばれる1つは*gに結合する単結合であり、
R
75~R
78及びR
81から選ばれる1つは*iに結合する単結合であり、
*hは、炭素原子*4~*8から選ばれる1つに結合し、
**は中心窒素原子への結合位置を表し、
mは0又は1、nは0又は1であり、
式(10)~(12)、及び(14)において、mが0でnが0のとき、*eが中心窒素原子に結合し、mが0でnが1のとき、*cが中心窒素原子に結合し、mが1でnが0のとき、*eがR
11~R
15から選ばれる1つに結合し、
式(13)において、mが0でnが1のとき、*cが中心窒素原子に結合し、mが1でnが0のとき、*eがR
11~R
15から選ばれる1つに結合し、mが0でnが0である場合は除き、
式(14)において、mが0でnが1のとき、及びmが1でnが0のとき、R
75~R
78から選ばれる1つは*iに結合する単結合であり、
前記単結合ではないR
11~R
15から選ばれる隣接する2つ、前記いずれの単結合でもないR
21~R
26から選ばれる隣接する2つ、R
31~R
35から選ばれる隣接する2つ、前記単結合ではないR
41~R
48から選ばれる隣接する2つ、前記単結合ではないR
51~R
62から選ばれる隣接する2つ、及び前記単結合ではないR
71~R
78から選ばれる隣接する2つは、互いに結合せず、従って環構造を形成せず、
ベンゼン環Aとベンゼン環B、ベンゼン環Aとベンゼン環C、ベンゼン環Bとベンゼン環C、ベンゼン環Aとナフタレン環、及びベンゼン環Bとナフタレン環は架橋しない。)
*aは、炭素原子
*3に結合する。
R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基である。
ただし、
R
2
及びR
3
から選ばれる1つは、*bに結合する単結合であり、
*bに結合する単結合ではないR
1~R
4から選ばれる隣接する2つは、互いに結合せず、従って環構造を形成しない。
R
5~R
9は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基である。
ただし、
R
5~R
9から選ばれる隣接する2つは、それぞれ独立して、互いに結合して置換もしくは無置換の環構造を形成してもよく、互いに結合せず、従って環構造を形成しなくてもよい。)
前記R
1
~R
9
、R
11
~R
15
、R
21
~R
26
、R
31
~R
35
、R
41
~R
48
、R
51
~R
62
、R
71
~R
78
、及びR
81
における前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901
)(R
902
)(R
903
)、
-O-(R
904
)、
-S-(R
905
)、
-N(R
906
)(R
907
)、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
無置換の環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基等であり、
ここで、R
901
~R
907
は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
R
901
が2個以上存在する場合、2個以上のR
901
は、互いに同一であるか、又は異なり、
R
902
が2個以上存在する場合、2個以上のR
902
は、互いに同一であるか、又は異なり、
R
903
が2個以上存在する場合、2個以上のR
903
は、互いに同一であるか、又は異なり、
R
904
が2個以上存在する場合、2個以上のR
904
は、互いに同一であるか、又は異なり、
R
905
が2個以上存在する場合、2個以上のR
905
は、互いに同一であるか、又は異なり、
R
906
が2個以上存在する場合、2個以上のR
906
は、互いに同一であるか、又は異なり、
R
907
が2個以上存在する場合、2個以上のR
907
は、互いに同一であるか又は異なる。
ただし、前記式(1)で表わされる化合物は下記化合物を除く。
【請求項2】
Ar
1及びAr
2が、それぞれ独立して、式(20)~(24)のいずれかで表される基である、請求項1に記載の化合物。
【化3】
(式中、
R
11~R
15、R
21、R
22、R
24、R
25、R
31~R
35、R
41~R
48、R
51~R
62、R
71~R
78、*f、*g、*h、*i、X、**、m、n、ベンゼン環A、ベンゼン環B、及びベンゼン環Cは式(1)で定義したとおりである。)
【請求項3】
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、式(20)又は(21)で表される基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【化4】
(式中、
R
11~R
15、R
21、R
22、R
24、R
25、R
31~R
35、R
41~R
48、**、m、n、ベンゼン環A、ベンゼン環B、及びベンゼン環Cは式(1)で定義したとおりである。)
【請求項4】
R
45又はR
46は、*fに結合する単結合であり、
R
60又はR
61は、*gに結合する単結合であり、
*hは、炭素原子*8に結合する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
式(10)~(12)、及び(14)は、mが0でnが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
mが1でnが1である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
mが0でnが1である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、式(10)、(11)、及び(14)のいずれかで表される基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Ar
1及びAr
2の少なくとも1つが、式(11)で表される基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式(10)は、mが0でnが0であり、R
31~R
35は水素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式(10)は、mが0でnが1であり、R
31~R
35は水素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式(10)は、mが0でnが1であり、前記単結合ではないR
21~R
26は水素原子又はフェニル基であり、R
31~R
35は水素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
式(10)は、mが1でnが0であり、R
31~R
35は水素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
式(10)は、mが1でnが0であり、前記単結合ではないR
11~R
15は水素原子又はフェニル基であり、R
31~R
35は水素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
式(11)は、mが0でnが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
式(11)は、mが0でnが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
式(11)は、mが1でnが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、下記式から選ばれる置換もしくは無置換の基である、請求項1に記載の化合物。
【化5】
【請求項19】
Xは、酸素原子である、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
R
45は、*fに結合する単結合である、請求項1~19に記載の化合物。
【請求項21】
R
75は、*iに結合する単結合である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項22】
*bに結合する単結合ではないR
1~R
4が、すべて水素原子である、請求項
1~21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
R
5~R
9が、すべて水素原子である、請求項
1~22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
下記化合物群から選択されるいずれかである、請求項1に記載の化合物。
【化6】
【請求項25】
前記化合物が、少なくとも1個の重水素原子を含む、請求項
1~23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
請求項
1~25のいずれか1項に記載の化合物を有する有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項27】
陰極、陽極、及び該陰極と該陽極の間に有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該有機層が発光層を含み、該有機層の少なくとも1層が請求項
1~25のいずれか1項に記載の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項28】
前記有機層が前記陽極と前記発光層の間に正孔輸送帯域を含み、該正孔輸送帯域が前記化合物を含む請求項
27に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項29】
前記正孔輸送帯域が陽極側の第1正孔輸送層と陰極側の第2正孔輸送層を含み、該第1正孔輸送層、該第2正孔輸送層、又は双方が前記化合物を含む請求項
28に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項30】
前記第2正孔輸送層が前記化合物を含む請求項
29に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項31】
前記第2正孔輸送層が前記発光層に隣接する、請求項
29又は
30に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項32】
前記発光層が蛍光ドーパントを含む、請求項
27~31のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項33】
前記発光層が燐光ドーパントを含む、請求項
27~31のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項34】
請求項
27~33のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子及び該有機エレクトロルミネッセンス素子を含む電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、“有機EL素子”と記載することもある)は陽極、陰極、及び陽極と陰極に挟まれた有機層から構成されている。両電極間に電圧が印加されると、陰極側から電子、陽極側から正孔が発光領域に注入され、注入された電子と正孔は発光領域において再結合して励起状態を生成し、励起状態が基底状態に戻る際に光を放出する。従って、電子又は正孔を発光領域に効率よく輸送し、電子と正孔との再結合を容易にする材料の開発は高性能有機EL素子を得る上で重要である。
【0003】
特許文献1~13には、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として使用する化合物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】KR2018-0082124A
【文献】US2015/0236267A1
【文献】WO2009/145016A1
【文献】CN109485577A
【文献】KR2019-0003329A
【文献】KR2017-0088313A
【文献】WO2019/206292A1
【文献】WO2019/185060A1
【文献】US2019/0140177A1
【文献】WO2019/168367A1
【文献】US2019/0165273A1
【文献】WO2012/079678A1
【文献】WO2020004235A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、多くの有機EL素子用の化合物が報告されているが、有機EL素子の性能を更に向上させる化合物が依然として求められている。
【0006】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、有機EL素子の性能をより改善する化合物、素子性能がより改善された有機EL素子、そのような有機EL素子を含む電子機器を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記特許文献に記載の化合物及びその他の化合物を含む有機EL素子の性能について鋭意研究を重ねた結果、下記式(1)で表わされるモノアミンが、素子性能がより改善された有機EL素子を提供することを見出した。
【0008】
一態様において、本発明は下記式(1)で表される化合物を提供する。
【化1】
【0009】
(式中、
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、式(10)~(14)のいずれかで表される基である。
【化2】
(式中、
R
11~R
15、R
21~R
26、R
41~R
48、R
51~R
62及びR
71~R
78は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
R
31~R
35は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、無置換の環形成炭素数3~6のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又はNR
81であり、
R
81は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
ただし、
R
11~R
15から選ばれる1つは*cに結合する単結合であり、
R
21~R
26から選ばれる1つは*dに結合する単結合であり、R
21~R
26から選ばれる他の一つは*eに結合する単結合であり、
R
45~R
48から選ばれる1つは*fに結合する単結合であり、
R
59~R
62から選ばれる1つは*gに結合する単結合であり、
R
75~R
78及びR
81から選ばれる1つは*iに結合する単結合であり、
*hは、炭素原子*4~*8から選ばれる1つに結合し、
**は中心窒素原子への結合位置を表し、
mは0又は1、nは0又は1であり、
式(10)~(12)、及び(14)において、mが0でnが0のとき、*eが中心窒素原子に結合し、mが0でnが1のとき、*cが中心窒素原子に結合し、mが1でnが0のとき、*eがR
11~R
15から選ばれる1つに結合し、
式(13)において、mが0でnが1のとき、*cが中心窒素原子に結合し、mが1でnが0のとき、*eがR
11~R
15から選ばれる1つに結合し、mが0でnが0である場合は除き、
式(14)において、mが0でnが1のとき、及びmが1でnが0のとき、R
75~R
78から選ばれる1つは*iに結合する単結合であり、
前記単結合ではないR
11~R
15から選ばれる隣接する2つ、前記いずれの単結合でもないR
21~R
26から選ばれる隣接する2つ、R
31~R
35から選ばれる隣接する2つ、前記単結合ではないR
41~R
48から選ばれる隣接する2つ、前記単結合ではないR
51~R
62から選ばれる隣接する2つ、及び前記単結合ではないR
71~R
78から選ばれる隣接する2つは、互いに結合せず、従って環構造を形成せず、
ベンゼン環Aとベンゼン環B、ベンゼン環Aとベンゼン環C、ベンゼン環Bとベンゼン環C、ベンゼン環Aとナフタレン環、及びベンゼン環Bとナフタレン環は架橋しない。)
*aは、炭素原子*1~*3から選ばれる1つに結合する。
R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基である。
ただし、
R
1~R
4から選ばれる1つは、*bに結合する単結合であり、
*bに結合する単結合ではないR
1~R
4から選ばれる隣接する2つは、互いに結合せず、従って環構造を形成しない。
R
5~R
9は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基である。
ただし、
R
5~R
9から選ばれる隣接する2つは、それぞれ独立して、互いに結合して置換もしくは無置換の環構造を形成してもよく、互いに結合せず、従って環構造を形成しなくてもよい。)
【0010】
他の態様において、本発明は前記式(1)で表される化合物を含む有機EL素子用材料を提供する。
【0011】
さらに他の態様において、本発明は、陽極、陰極、及び該陽極と陰極の間に配置された有機層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該有機層が発光層を含み、該有機層の少なくとも1層が前記式(1)で表される化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【0012】
さらに他の態様において、本発明は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を含む電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0013】
前記式(1)で表される化合物を含む有機EL素子は改善された素子性能を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一態様に係る有機EL素子の層構成の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明の一態様に係る他の有機EL素子の層構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[定義]
本明細書において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、即ち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、及び三重水素(tritium)を包含する。
【0016】
本明細書において、化学構造式中、「R」等の記号や重水素原子を表す「D」が明示されていない結合可能位置には、水素原子、即ち、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子が結合しているものとする。
【0017】
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記される「環形成炭素数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジン環は環形成炭素数5であり、フラン環は環形成炭素数4である。また、例えば、9,9-ジフェニルフルオレニル基の環形成炭素数は13であり、9,9’-スピロビフルオレニル基の環形成炭素数は25である。
また、ベンゼン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ベンゼン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているベンゼン環の環形成炭素数は、6である。また、ナフタレン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ナフタレン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているナフタレン環の環形成炭素数は、10である。
【0018】
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば、単環、縮合環、及び環集合)の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子の結合を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される「環形成原子数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ピリジン環の環形成原子数は6であり、キナゾリン環の環形成原子数は10であり、フラン環の環形成原子数は5である。例えば、ピリジン環に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子の数は、ピリジン環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているピリジン環の環形成原子数は、6である。また、例えば、キナゾリン環の炭素原子に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子については、キナゾリン環の環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているキナゾリン環の環形成原子数は10である。
【0019】
本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX~YYのZZ基」という表現における「炭素数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表し、置換されている場合の置換基の炭素数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0020】
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX~YYのZZ基」という表現における「原子数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表し、置換されている場合の置換基の原子数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0021】
本明細書において、無置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「無置換のZZ基」である場合を表し、置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「置換のZZ基」である場合を表す。
本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「無置換」とは、ZZ基における水素原子が置換基と置き換わっていないことを意味する。「無置換のZZ基」における水素原子は、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子である。
また、本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「置換」とは、ZZ基における1つ以上の水素原子が、置換基と置き換わっていることを意味する。「AA基で置換されたBB基」という場合における「置換」も同様に、BB基における1つ以上の水素原子が、AA基と置き換わっていることを意味する。
【0022】
「本明細書に記載の置換基」
以下、本明細書に記載の置換基について説明する。別途記載のない限り、本明細書に記載の各置換基は以下のように定義される。
【0023】
本明細書に記載の「無置換のアリール基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルケニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルキニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のシクロアルキル基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~6である。
本明細書に記載の「無置換のアリーレン基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の2価の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキレン基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
【0024】
・「置換もしくは無置換のアリール基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」の具体例(具体例群G1)としては、以下の無置換のアリール基(具体例群G1A)及び置換のアリール基(具体例群G1B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「無置換のアリール基」である場合を指し、置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「置換のアリール基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アリール基」という場合は、「無置換のアリール基」と「置換のアリール基」の両方を含む。
「置換のアリール基」は、「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアリール基」としては、例えば、下記具体例群G1Aの「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの置換のアリール基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアリール基」の例、及び「置換のアリール基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアリール基」には、下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」におけるアリール基自体の炭素原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0025】
・無置換のアリール基(具体例群G1A):
フェニル基、
p-ビフェニル基、
m-ビフェニル基、
o-ビフェニル基、
p-ターフェニル-4-イル基、
p-ターフェニル-3-イル基、
p-ターフェニル-2-イル基、
m-ターフェニル-4-イル基、
m-ターフェニル-3-イル基、
m-ターフェニル-2-イル基、
m-ターフェニル-3’-イル基、
o-ターフェニル-4-イル基、
o-ターフェニル-3-イル基、
o-ターフェニル-2-イル基、
1-ナフチル基、
2-ナフチル基、
アントリル基、
ベンゾアントリル基、
フェナントリル基、
ベンゾフェナントリル基、フェナレニル基、
ピレニル基、
クリセニル基、
ベンゾクリセニル基、
トリフェニレニル基、
ベンゾトリフェニレニル基、
テトラセニル基、
ペンタセニル基、
フルオレニル基、
9,9’-スピロビフルオレニル基、
ベンゾフルオレニル基、
ジベンゾフルオレニル基、
フルオランテニル基、
ベンゾフルオランテニル基、
ペリレニル基、及び
下記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価のアリール基。
【0026】
【0027】
【0028】
・置換のアリール基(具体例群G1B):
o-トリル基、
m-トリル基、
p-トリル基、
パラ-キシリル基、
メタ-キシリル基、
オルト-キシリル基、
パラ-イソプロピルフェニル基、
メタ-イソプロピルフェニル基、
オルト-イソプロピルフェニル基、
パラ-t-ブチルフェニル基、
メタ-t-ブチルフェニル基、
オルト-t-ブチルフェニル基、
3,4,5-トリメチルフェニル基、
9,9-ジメチルフルオレニル基、
9,9-ジフェニルフルオレニル基
9,9-ビス(4-メチルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-イソプロピルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルオレニル基、
シアノフェニル基、
トリフェニルシリルフェニル基、
トリメチルシリルフェニル基、
フェニルナフチル基、
ナフチルフェニル基、及び
前記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から誘導される1価の基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基。
【0029】
・「置換もしくは無置換の複素環基」
本明細書に記載の「複素環基」は、環形成原子にヘテロ原子を少なくとも1つ含む環状の基である。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、及びホウ素原子が挙げられる。本明細書に記載の「複素環基」は、単環の基であるか、又は縮合環の基である。
本明細書に記載の「複素環基」は、芳香族複素環基であるか、又は非芳香族複素環基である。
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」の具体例(具体例群G2)としては、以下の無置換の複素環基(具体例群G2A)、及び置換の複素環基(具体例群G2B)等が挙げられる。(ここで、無置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「無置換の複素環基」である場合を指し、置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「置換の複素環基」である場合を指す。)本明細書において、単に「複素環基」という場合は、「無置換の複素環基」と「置換の複素環基」の両方を含む。
「置換の複素環基」は、「無置換の複素環基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換の複素環基」の具体例は、下記具体例群G2Aの「無置換の複素環基」の水素原子が置き換わった基、及び下記具体例群G2Bの置換の複素環基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換の複素環基」の例や「置換の複素環基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換の複素環基」には、具体例群G2Bの「置換の複素環基」における複素環基自体の環形成原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G2Bの「置換の複素環基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0030】
具体例群G2Aは、例えば、以下の窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1)、酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2)、硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4)を含む。
【0031】
具体例群G2Bは、例えば、以下の窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1)、酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2)、硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4)を含む。
【0032】
・窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1):
ピロリル基、
イミダゾリル基、
ピラゾリル基、
トリアゾリル基、
テトラゾリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ピリジル基、
ピリダジニル基、
ピリミジニル基、
ピラジニル基、
トリアジニル基、
インドリル基、
イソインドリル基、
インドリジニル基、キノリジニル基、
キノリル基、
イソキノリル基、
シンノリル基、
フタラジニル基、
キナゾリニル基、
キノキサリニル基、
ベンゾイミダゾリル基、
インダゾリル基、
フェナントロリニル基、
フェナントリジニル基、
アクリジニル基、
フェナジニル基、
カルバゾリル基、
ベンゾカルバゾリル基、
モルホリノ基、
フェノキサジニル基、
フェノチアジニル基、
アザカルバゾリル基、及びジアザカルバゾリル基。
【0033】
・酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2):
フリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
キサンテニル基、
ベンゾフラニル基、
イソベンゾフラニル基、
ジベンゾフラニル基、
ナフトベンゾフラニル基、
ベンゾオキサゾリル基、
ベンゾイソキサゾリル基、
フェノキサジニル基、
モルホリノ基、
ジナフトフラニル基、
アザジベンゾフラニル基、
ジアザジベンゾフラニル基、
アザナフトベンゾフラニル基、及び
ジアザナフトベンゾフラニル基。
【0034】
・硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3):
チエニル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ベンゾチオフェニル基(ベンゾチエニル基)、
イソベンゾチオフェニル基(イソベンゾチエニル基)、
ジベンゾチオフェニル基(ジベンゾチエニル基)、
ナフトベンゾチオフェニル基(ナフトベンゾチエニル基)、
ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、
フェノチアジニル基、
ジナフトチオフェニル基(ジナフトチエニル基)、
アザジベンゾチオフェニル基(アザジベンゾチエニル基)、
ジアザジベンゾチオフェニル基(ジアザジベンゾチエニル基)、
アザナフトベンゾチオフェニル基(アザナフトベンゾチエニル基)、及び
ジアザナフトベンゾチオフェニル基(ジアザナフトベンゾチエニル基)。
【0035】
・下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4):
【0036】
【0037】
【0038】
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、XA及びYAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、NH、又はCH2である。ただし、XA及びYAのうち少なくとも1つは、酸素原子、硫黄原子、又はNHである。
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、XA及びYAの少なくともいずれかがNH、又はCH2である場合、前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基には、これらNH、又はCH2から1つの水素原子を除いて得られる1価の基が含まれる。
【0039】
・窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1):
(9-フェニル)カルバゾリル基、
(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、
(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、
(9-ナフチル)カルバゾリル基、
ジフェニルカルバゾール-9-イル基、
フェニルカルバゾール-9-イル基、
メチルベンゾイミダゾリル基、
エチルベンゾイミダゾリル基、
フェニルトリアジニル基、
ビフェニリルトリアジニル基、
ジフェニルトリアジニル基、
フェニルキナゾリニル基、及びビフェニリルキナゾリニル基。
【0040】
・酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2):
フェニルジベンゾフラニル基、
メチルジベンゾフラニル基、
t-ブチルジベンゾフラニル基、及び
スピロ[9H-キサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0041】
・硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3):
フェニルジベンゾチオフェニル基、
メチルジベンゾチオフェニル基、
t-ブチルジベンゾチオフェニル基、及び
スピロ[9H-チオキサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0042】
・前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4):
【0043】
前記「1価の複素環基の1つ以上の水素原子」とは、該1価の複素環基の環形成炭素原子に結合している水素原子、XA及びYAの少なくともいずれかがNHである場合の窒素原子に結合している水素原子、及びXA及びYAの一方がCH2である場合のメチレン基の水素原子から選ばれる1つ以上の水素原子を意味する。
【0044】
・「置換もしくは無置換のアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」の具体例(具体例群G3)としては、以下の無置換のアルキル基(具体例群G3A)及び置換のアルキル基(具体例群G3B)が挙げられる。(ここで、無置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「無置換のアルキル基」である場合を指し、置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「置換のアルキル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキル基」という場合は、「無置換のアルキル基」と「置換のアルキル基」の両方を含む。
「置換のアルキル基」は、「無置換のアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキル基」(具体例群G3A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のアルキル基(具体例群G3B)の例等が挙げられる。本明細書において、「無置換のアルキル基」におけるアルキル基は、鎖状のアルキル基を意味する。そのため、「無置換のアルキル基」は、直鎖である「無置換のアルキル基」、及び分岐状である「無置換のアルキル基」が含まれる。尚、ここに列挙した「無置換のアルキル基」の例や「置換のアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルキル基」には、具体例群G3Bの「置換のアルキル基」におけるアルキル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G3Bの「置換のアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0045】
・無置換のアルキル基(具体例群G3A):
メチル基、
エチル基、
n-プロピル基、
イソプロピル基、
n-ブチル基、
イソブチル基、
s-ブチル基、及び
t-ブチル基。
【0046】
・置換のアルキル基(具体例群G3B):
ヘプタフルオロプロピル基(異性体を含む)、
ペンタフルオロエチル基、
2,2,2-トリフルオロエチル基、及び
トリフルオロメチル基。
【0047】
・「置換もしくは無置換のアルケニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルケニル基」の具体例(具体例群G4)としては、以下の無置換のアルケニル基(具体例群G4A)、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルケニル基とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「無置換のアルケニル基」である場合を指し、「置換のアルケニル基」とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「置換のアルケニル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アルケニル基」という場合は、「無置換のアルケニル基」と「置換のアルケニル基」の両方を含む。
「置換のアルケニル基」は、「無置換のアルケニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルケニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルケニル基」(具体例群G4A)が置換基を有する基、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアルケニル基」の例や「置換のアルケニル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルケニル基」には、具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」におけるアルケニル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0048】
・無置換のアルケニル基(具体例群G4A):
ビニル基、
アリル基、
1-ブテニル基、
2-ブテニル基、及び
3-ブテニル基。
【0049】
・置換のアルケニル基(具体例群G4B):
1,3-ブタンジエニル基、
1-メチルビニル基、
1-メチルアリル基、
1,1-ジメチルアリル基、
2-メチルアリル基、及び
1,2-ジメチルアリル基。
【0050】
・「置換もしくは無置換のアルキニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキニル基」の具体例(具体例群G5)としては、以下の無置換のアルキニル基(具体例群G5A)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルキニル基とは、「置換もしくは無置換のアルキニル基」が「無置換のアルキニル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキニル基」という場合は、「無置換のアルキニル基」と「置換のアルキニル基」の両方を含む。
「置換のアルキニル基」は、「無置換のアルキニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキニル基」(具体例群G5A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基等が挙げられる。
【0051】
・無置換のアルキニル基(具体例群G5A):
エチニル基
【0052】
・「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」の具体例(具体例群G6)としては、以下の無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A)、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)等が挙げられる。(ここで、無置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「無置換のシクロアルキル基」である場合を指し、置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「置換のシクロアルキル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「シクロアルキル基」という場合は、「無置換のシクロアルキル基」と「置換のシクロアルキル基」の両方を含む。
「置換のシクロアルキル基」は、「無置換のシクロアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のシクロアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のシクロアルキル基」(具体例群G6A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のシクロアルキル基」の例や「置換のシクロアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のシクロアルキル基」には、具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」におけるシクロアルキル基自体の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0053】
・無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A):
シクロプロピル基、
シクロブチル基、
シクロペンチル基、
シクロヘキシル基、
1-アダマンチル基、
2-アダマンチル基、
1-ノルボルニル基、及び
2-ノルボルニル基。
【0054】
・置換のシクロアルキル基(具体例群G6B):
4-メチルシクロヘキシル基。
【0055】
・「-Si(R901)(R902)(R903)で表される基」
本明細書に記載の-Si(R901)(R902)(R903)で表される基の具体例(具体例群G7)としては、
-Si(G1)(G1)(G1)、
-Si(G1)(G2)(G2)、
-Si(G1)(G1)(G2)、
-Si(G2)(G2)(G2)、
-Si(G3)(G3)(G3)、及び
-Si(G6)(G6)(G6)
が挙げられる。ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。 -Si(G1)(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G1)(G2)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G2)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G6)(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる。
【0056】
・「-O-(R904)で表される基」
本明細書に記載の-O-(R904)で表される基の具体例(具体例群G8)としては、
-O(G1)、
-O(G2)、
-O(G3)、及び
-O(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0057】
・「-S-(R905)で表される基」
本明細書に記載の-S-(R905)で表される基の具体例(具体例群G9)としては、
-S(G1)、
-S(G2)、
-S(G3)、及び
-S(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0058】
・「-N(R906)(R907)で表される基」
本明細書に記載の-N(R906)(R907)で表される基の具体例(具体例群G10)としては、
-N(G1)(G1)、
-N(G2)(G2)、
-N(G1)(G2)、
-N(G3)(G3)、及び
-N(G6)(G6)
が挙げられる。 ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-N(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる
【0059】
・「ハロゲン原子」
本明細書に記載の「ハロゲン原子」の具体例(具体例群G11)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0060】
・「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がフッ素原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合しているすべての水素原子がフッ素原子で置き換わった基(パーフルオロ基)も含む。「無置換のフルオロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のフルオロアルキル基」は、「フルオロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のフルオロアルキル基」には、「置換のフルオロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のフルオロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のフルオロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がフッ素原子と置き換わった基の例等が挙げられる。
【0061】
・「置換もしくは無置換のハロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のハロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合しているすべての水素原子がハロゲン原子で置き換わった基も含む。「無置換のハロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のハロアルキル基」は、「ハロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のハロアルキル基」には、「置換のハロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のハロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のハロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がハロゲン原子と置き換わった基の例等が挙げられる。ハロアルキル基をハロゲン化アルキル基と称する場合がある。
【0062】
・「置換もしくは無置換のアルコキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルコキシ基」の具体例としては、-O(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルコキシ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0063】
・「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」の具体例としては、-S(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルキルチオ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0064】
・「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」の具体例としては、-O(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールオキシ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0065】
・「置換もしくは無置換のアリールチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールチオ基」の具体例としては、-S(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールチオ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0066】
・「置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基」
本明細書に記載の「トリアルキルシリル基」の具体例としては、-Si(G3)(G3)(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。「トリアルキルシリル基」の各アルキル基の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~6である。
【0067】
・「置換もしくは無置換のアラルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、-(G3)-(G1)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」であり、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。従って、「アラルキル基」は、「アルキル基」の水素原子が置換基としての「アリール基」と置き換わった基であり、「置換のアルキル基」の一態様である。「無置換のアラルキル基」は、「無置換のアリール基」が置換した「無置換のアルキル基」であり、「無置換のアラルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、7~50であり、好ましくは7~30であり、より好ましくは7~18である。
「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルイソプロピル基、2-フェニルイソプロピル基、フェニル-t-ブチル基、α-ナフチルメチル基、1-α-ナフチルエチル基、2-α-ナフチルエチル基、1-α-ナフチルイソプロピル基、2-α-ナフチルイソプロピル基、β-ナフチルメチル基、1-β-ナフチルエチル基、2-β-ナフチルエチル基、1-β-ナフチルイソプロピル基、及び2-β-ナフチルイソプロピル基等が挙げられる。
【0068】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリール基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはフェニル基、p-ビフェニル基、m-ビフェニル基、o-ビフェニル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、o-ターフェニル-4-イル基、o-ターフェニル-3-イル基、o-ターフェニル-2-イル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9,9-ジメチルフルオレニル基、及び9,9-ジフェニルフルオレニル基等である。
【0069】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、ベンゾイミダゾリル基、フェナントロリニル基、カルバゾリル基(1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、又は9-カルバゾリル基)、ベンゾカルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ナフトベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、ジアザジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ナフトベンゾチオフェニル基、アザジベンゾチオフェニル基、ジアザジベンゾチオフェニル基、(9-フェニル)カルバゾリル基((9-フェニル)カルバゾール-1-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-2-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-3-イル基、又は(9-フェニル)カルバゾール-4-イル基)、(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、ジフェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルトリアジニル基、ビフェニリルトリアジニル基、ジフェニルトリアジニル基、フェニルジベンゾフラニル基、及びフェニルジベンゾチオフェニル基等である。
【0070】
本明細書において、カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0071】
【0072】
本明細書において、(9-フェニル)カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0073】
【0074】
前記一般式(TEMP-Cz1)~(TEMP-Cz9)中、*は、結合位置を表す。
【0075】
本明細書において、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0076】
【0077】
前記一般式(TEMP-34)~(TEMP-41)中、*は、結合位置を表す。
【0078】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアルキル基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等である。
【0079】
・「置換もしくは無置換のアリーレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリーレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアリーレン基」の具体例(具体例群G12)としては、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0080】
・「置換もしくは無置換の2価の複素環基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の2価の複素環基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換の2価の複素環基」の具体例(具体例群G13)としては、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0081】
・「置換もしくは無置換のアルキレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアルキレン基」の具体例(具体例群G14)としては、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0082】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリーレン基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-42)~(TEMP-68)のいずれかの基である。
【0083】
【0084】
【0085】
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、Q1~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、*は、結合位置を表す。
【0086】
【0087】
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、Q1~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
式Q9及びQ10は、単結合を介して互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、*は、結合位置を表す。
【0088】
【0089】
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、Q1~Q8は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、*は、結合位置を表す。
【0090】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の2価の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-69)~(TEMP-102)のいずれかの基である。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
前記一般式(TEMP-69)~(TEMP-82)中、Q1~Q9は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
前記一般式(TEMP-83)~(TEMP-102)中、Q1~Q8は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0100】
以上が、「本明細書に記載の置換基」についての説明である。
【0101】
・「結合して環を形成する場合」
本明細書において、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず」という場合は、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合しない」場合と、を意味する。
本明細書における、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(以下、これらの場合をまとめて「結合して環を形成する場合」と称する場合がある。)について、以下、説明する。母骨格がアントラセン環である下記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物の場合を例として説明する。
【0102】
【0103】
例えば、R921~R930のうちの「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、環を形成する」場合において、1組となる隣接する2つからなる組とは、R921とR922との組、R922とR923との組、R923とR924との組、R924とR930との組、R930とR925との組、R925とR926との組、R926とR927との組、R927とR928との組、R928とR929との組、並びにR929とR921との組である。
【0104】
上記「1組以上」とは、上記隣接する2つ以上からなる組の2組以上が同時に環を形成してもよいことを意味する。例えば、R921とR922とが互いに結合して環QAを形成し、同時にR925とR926とが互いに結合して環QBを形成した場合は、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-104)で表される。
【0105】
【0106】
「隣接する2つ以上からなる組」が環を形成する場合とは、前述の例のように隣接する「2つ」からなる組が結合する場合だけではなく、隣接する「3つ以上」からなる組が結合する場合も含む。例えば、R921とR922とが互いに結合して環QAを形成し、かつ、R922とR923とが互いに結合して環QCを形成し、互いに隣接する3つ(R921、R922及びR923)からなる組が互いに結合して環を形成して、アントラセン母骨格に縮合する場合を意味し、この場合、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-105)で表される。下記一般式(TEMP-105)において、環QA及び環QCは、R922を共有する。
【0107】
【0108】
形成される「単環」、又は「縮合環」は、形成された環のみの構造として、飽和の環であっても不飽和の環であってもよい。「隣接する2つからなる組の1組」が「単環」、又は「縮合環」を形成する場合であっても、当該「単環」、又は「縮合環」は、飽和の環、又は不飽和の環を形成することができる。例えば、前記一般式(TEMP-104)において形成された環QA及び環QBは、それぞれ、「単環」又は「縮合環」である。また、前記一般式(TEMP-105)において形成された環QA、及び環QCは、「縮合環」である。前記一般式(TEMP-105)の環QAと環QCとは、環QAと環QCとが縮合することによって縮合環となっている。前記一般式(TMEP-104)の環QAがベンゼン環であれば、環QAは、単環である。前記一般式(TMEP-104)の環QAがナフタレン環であれば、環QAは、縮合環である。
【0109】
「不飽和の環」とは、芳香族炭化水素環、又は芳香族複素環を意味する。「飽和の環」とは、脂肪族炭化水素環、又は非芳香族複素環を意味する。
芳香族炭化水素環の具体例としては、具体例群G1において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
芳香族複素環の具体例としては、具体例群G2において具体例として挙げられた芳香族複素環基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
脂肪族炭化水素環の具体例としては、具体例群G6において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
「環を形成する」とは、母骨格の複数の原子のみ、あるいは母骨格の複数の原子とさらに1以上の任意の元素で環を形成することを意味する。例えば、前記一般式(TEMP-104)に示す、R921とR922とが互いに結合して形成された環QAは、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、1以上の任意の元素とで形成する環を意味する。具体例としては、R921とR922とで環QAを形成する場合において、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922とが結合するアントラセン骨格の炭素原子と、4つの炭素原子とで単環の不飽和の環を形成する場合、R921とR922とで形成する環は、ベンゼン環である。
【0110】
ここで、「任意の元素」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、炭素元素、窒素元素、酸素元素、及び硫黄元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素である。任意の元素において(例えば、炭素元素、又は窒素元素の場合)、環を形成しない結合は、水素原子等で終端されてもよいし、後述する「任意の置換基」で置換されてもよい。炭素元素以外の任意の元素を含む場合、形成される環は複素環である。
単環または縮合環を構成する「1以上の任意の元素」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは2個以上15個以下であり、より好ましくは3個以上12個以下であり、さらに好ましくは3個以上5個以下である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」、及び「縮合環」のうち、好ましくは「単環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「飽和の環」、及び「不飽和の環」のうち、好ましくは「不飽和の環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」は、好ましくはベンゼン環である。
本明細書に別途記載のない限り、「不飽和の環」は、好ましくはベンゼン環である。
「隣接する2つ以上からなる組の1組以上」が、「互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、又は「互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、母骨格の複数の原子と、1個以上15個以下の炭素元素、窒素元素、酸素元素、及び硫黄元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素とからなる置換もしくは無置換の「不飽和の環」を形成する。
【0111】
上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
上記の「飽和の環」、又は「不飽和の環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
以上が、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(「結合して環を形成する場合」)についての説明である。
【0112】
・「置換もしくは無置換の」という場合の置換基
本明細書における一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基(本明細書において、「任意の置換基」と呼ぶことがある。)は、例えば、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
無置換の環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基等であり、
ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
R901が2個以上存在する場合、2個以上のR901は、互いに同一であるか、又は異なり、
R902が2個以上存在する場合、2個以上のR902は、互いに同一であるか、又は異なり、
R903が2個以上存在する場合、2個以上のR903は、互いに同一であるか、又は異なり、
R904が2個以上存在する場合、2個以上のR904は、互いに同一であるか、又は異なり、
R905が2個以上存在する場合、2個以上のR905は、互いに同一であるか、又は異なり、
R906が2個以上存在する場合、2個以上のR906は、互いに同一であるか、又は異なり、
R907が2個以上存在する場合、2個以上のR907は、互いに同一であるか又は異なる。
【0113】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~50のアルキル基、
環形成炭素数6~50のアリール基、及び
環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0114】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~18のアルキル基、
環形成炭素数6~18のアリール基、及び
環形成原子数5~18の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0115】
上記任意の置換基の各基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基の具体例である。
【0116】
本明細書において別途記載のない限り、隣接する任意の置換基同士で、「飽和の環」、又は「不飽和の環」を形成してもよく、好ましくは、置換もしくは無置換の飽和の5員環、置換もしくは無置換の飽和の6員環、置換もしくは無置換の不飽和の5員環、又は置換もしくは無置換の不飽和の6員環を形成し、より好ましくは、ベンゼン環を形成する。
本明細書において別途記載のない限り、任意の置換基は、さらに置換基を有してもよい。任意の置換基がさらに有する置換基としては、上記任意の置換基と同様である。
【0117】
本明細書において、「AA~BB」を用いて表される数値範囲は、「AA~BB」の前に記載される数値AAを下限値とし、「AA~BB」の後に記載される数値BBを上限値として含む範囲を意味する。
【0118】
以下、本発明の化合物を説明する。
本発明の化合物は下記式(1)で表される。以下、式(1)及び後述する各式で表される本発明の化合物を単に“発明化合物”と称することがある。
【化24】
【0119】
以下、式(1)及び後述する各式中の記号を説明する。なお、特に断らない限り、以下の式において同じ記号は同じ意味を有する。
【0120】
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、式(10)~(14)のいずれかで表される基である。
【化25】
【0121】
R11~R15、R21~R26、R41~R48、R51~R62及びR71~R78は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
R31~R35は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、無置換の環形成炭素数3~6のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又はNR81であり、R81は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
Xは、好ましくは酸素原子である。
R81は、好ましくは置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、より好ましくは置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、さらに好ましくはフェニル基である。
ただし、R11~R15から選ばれる1つは*cに結合する単結合であり、R21~R26から選ばれる1つは*dに結合する単結合であり、R21~R26から選ばれる他の一つは*eに結合する単結合であり、R45~R48から選ばれる1つは*fに結合する単結合であり、R59~R62から選ばれる1つは*gに結合する単結合であり、R75~R78及びR81から選ばれる1つは*iに結合する単結合であり、*hは、炭素原子*4~*8から選ばれる1つに結合する。
R45又はR46は、*fに結合する単結合であることが好ましく、R45が、*fに結合する単結合であることがより好ましい。
R60又はR61は、*gに結合する単結合であることが好ましい。
本発明の一態様において、R75~R78が*iに結合する単結合であることが好ましく、R75が*iに結合する単結合であることがより好ましい。
本発明の他の態様において、mが0でnが0のとき、又はmが1でnが1のとき、R81は*iに結合する単結合であることが好ましい。
*hは、炭素原子*8に結合することが好ましい。
前記単結合ではないR11~R15から選ばれる隣接する2つ、前記いずれの単結合でもないR21~R26から選ばれる隣接する2つ、R31~R35から選ばれる隣接する2つ、前記単結合ではないR41~R48から選ばれる隣接する2つ、前記単結合ではないR51~R62から選ばれる隣接する2つ、及び前記単結合ではないR71~R78から選ばれる隣接する2つは、互いに結合せず、従って環構造を形成しない。
前記単結合ではないR11~R15がすべて水素原子であってもよく、前記いずれの単結合でもないR21~R26がすべて水素原子であってもよく、R31~R35がすべて水素原子であってもよく、前記単結合ではないR41~R48がすべて水素原子であってもよく、前記単結合ではないR51~R62がすべて水素原子であってもよく、前記単結合ではないR71~R78がすべて水素原子であってもよい。
【0122】
**は中心窒素原子への結合位置を表し、mは0又は1、nは0又は1である。
式(10)~(12)、及び(14)において、mが0でnが0のとき、*eが中心窒素原子に結合し、mが0でnが1のとき、*cが中心窒素原子に結合し、mが1でnが0のとき、*eがR11~R15から選ばれる1つに結合する。
式(13)において、mが0でnが1のとき、*cが中心窒素原子に結合し、mが1でnが0のとき、*eがR11~R15から選ばれる1つに結合し、mが0でnが0である場合は除く。
式(14)において、mが0でnが1のとき、及びmが1でnが0のとき、R75~R78から選ばれる1つは*iに結合する単結合である。
本発明の一態様において、式(10)~(12)、及び(14)はmが0でnが0である。本発明の他の態様において、式(10)~(13)、及び(14)はmが1でnが1である。さらに他の態様において、式(10)~(13)はmが0でnが1である。
【0123】
ベンゼン環Aとベンゼン環B、ベンゼン環Aとベンゼン環C、ベンゼン環Bとベンゼン環C、ベンゼン環Aとナフタレン環、及びベンゼン環Bとナフタレン環は架橋しない。
【0124】
式(10)で表わされる基は、好ましくは下記式から選ばれる置換もしくは無置換の基である。
【化26】
(式中、任意の置換基は省略した。)
【0125】
式(11)で表わされる基は、好ましくは下記式から選ばれる置換もしくは無置換の基である。
【化27】
(式中、任意の置換基は省略した。)
【0126】
式(12)で表わされる基は、好ましくは下記式から選ばれる置換もしくは無置換の基である。
【化28】
(式中、任意の置換基は省略した。)
【0127】
式(13)で表わされる基は、好ましくは下記式から選ばれる無置換の基である。
【化29】
(式中、任意の置換基は省略した。)
【0128】
本発明の一態様において、式(14)で表わされる基は、好ましくは式(14-1)で表される基である。
本発明の他の態様において、式(14)で表わされる基は、好ましくは式(14-2)で表される基である。
【化30】
(式中、
R
11~R
15、R
21~R
26、R
71~R
78、*c、*d、*e、X、**、m、n、ベンゼン環A、ベンゼン環Bは式(1)で定義したとおりである。
R
75~R
78から選ばれる1つは*jに結合する単結合である。)
式(14-1)において、R
75は*iに結合する単結合であることが好ましい。
【0129】
本発明の一態様において、式(14)で表わされる基は、好ましくは式(14-1-1)で表される基である。
【化31】
(式中、
R
11~R
15、R
71~R
78、*c、X、**、m、ベンゼン環Aは式(1)で定義したとおりである。
R
75~R
78から選ばれる1つは*jに結合する単結合である。)
式(14-1-1)において、R
75は*iに結合する単結合であることが好ましい。
【0130】
式(14)で表わされる基は、好ましくは下記式から選ばれる置換もしくは無置換の基である。
【化32】
(式中、任意の置換基は省略した。)
【0131】
Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、式(10)、(11)、及び(14)のいずれかで表される基であることが好ましく、Ar1及びAr2の少なくとも1つが、式(11)で表される基であることがより好ましい。
【0132】
Ar
1及びAr
2は、好ましくは、それぞれ独立して、式(20)~(24)のいずれかで表される基である。
【化33】
(式中、
R
11~R
15、R
21、R
22、R
24、R
25、R
31~R
35、R
41~R
48、R
51~R
62、R
71~R
78、*f、*g、*h、*i、X、**、m、n、ベンゼン環A、ベンゼン環B、及びベンゼン環Cは式(1)で定義したとおりである。)
【0133】
本発明の一態様において、式(20)~(22)、及び(24)はmが0でnが0である。本発明の他の態様において、式(20)~(24)はmが1でnが1である。さらに他の態様において、式(20)~(24)はmが0でnが1である。
【0134】
本発明の一態様において、式(24)で表わされる基は、好ましくは式(24-1)で表される基である。
本発明の他の態様において、式(24)で表わされる基は、好ましくは式(24-2)で表される基である。
【化34】
(式中、
R
11、R
12、R
14、R
15、R
21、R
22、R
24、R
25、R
71~R
78、X、**、m、n、ベンゼン環A、及びベンゼン環Bは式(1)で定義したとおりである。
R
75~R
78から選ばれる1つは*jに結合する単結合である。)
式(24-1)において、R
75は*iに結合する単結合であることが好ましい。
【0135】
本発明の一態様において、式(24)で表わされる基は、好ましくは式(24-1-1)で表される基である。
【化35】
(式中、
R
11、R
12、R
14、R
15、R
71~R
78、X、**、m、ベンゼン環Aは式(1)で定義したとおりである。
R
75~R
78から選ばれる1つは*jに結合する単結合である。)
【0136】
*aは、炭素原子*1~*3から選ばれる1つに結合する。
*aは、炭素原子*2又は*3に結合することが好ましく、*3に結合することがより好ましい。
【0137】
R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基である。
ただし、R1~R4から選ばれる1つ、好ましくはR2及びR3は、*bに結合する単結合である。
*bに結合する単結合ではないR1~R4から選ばれる隣接する2つは、互いに結合せず、従って環構造を形成しない。
*bに結合する単結合ではないR1~R4が、すべて水素原子であってもよい。
【0138】
R5~R9は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基である。
ただし、R5~R9から選ばれる隣接する2つは、それぞれ独立して、互いに結合して置換もしくは無置換の環構造を形成してもよく、互いに結合せず、従って環構造を形成しなくてもよい。
R5~R9から選ばれる隣接する2つが、それぞれ独立して、互いに結合して置換もしくは無置換の環構造を形成する場合、下記式が好ましい。
【0139】
【0140】
R5~R9は、すべて水素原子であってもよい。
【0141】
前記各式の定義に記載した置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基の詳細は「本明細書に記載の置換基」において上記したとおりである。
該無置換のアルキル基は、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、又はn-ペンチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基であり、さらに好ましくはメチル基、t-ブチル基である。
【0142】
前記各式の定義に記載した置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基の詳細は「本明細書に記載の置換基」において上記したとおりである。
前記置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基は、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、p-ビフェニル基、m-ビフェニル基、o-ビフェニル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-3’-イル基、o-ターフェニル-4-イル基、o-ターフェニル-3-イル基、及びo-ターフェニル-2-イル基から選ばれることが好ましい。
【0143】
前記各式の定義に記載した隣接する2つが形成する任意の置換もしくは無置換の環構造の詳細は「本明細書に記載の置換基」において上記したとおりであり、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素環、置換もしくは無置換の芳香族複素環、及び置換もしくは無置換の非芳香族複素環から選ばれる。
【0144】
前記芳香族炭化水素環は、例えば、ベンゼン環、ビフェニレン環、ナフタレン環、又はフルオレン環であり、好ましくはナフタレン環、又はフルオレン環である。
前記脂肪族炭化水素環は、例えば、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、又は、前記芳香族炭化水素環を部分的に水素化して得られる炭化水素環である。
【0145】
前記芳香族複素環は、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾイミダゾール環、インダゾール環、ジベンゾフラン環、ナフトベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトベンゾチオフェン環、カルバゾール環、又はベンゾカルバゾール環であり、好ましくはジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、又はカルバゾール環である。
前記非芳香族複素環は、例えば、上記芳香族複素環を部分的に水素化して得られる複素環である。
【0146】
前記各式の定義中の各基が任意の置換基を有する場合、「置換もしくは無置換の」で示される任意の置換基の詳細は、「「置換もしくは無置換の」という場合の置換基」において記載したとおりである。該任意の置換基は、好ましくは炭素数1~50のアルキル基又は環形成炭素数6~50のアリール基であり、該アルキル基及び該アリール基の詳細は上記したとおりである。
【0147】
上記したように、本明細書において使用する「水素原子」は軽水素原子、重水素原子、及び三重水素原子を包含する。従って、発明化合物は天然由来の重水素原子を含んでいてもよい。
又、原料化合物の一部又はすべてに重水素化した化合物を使用することにより、発明化合物に重水素原子を意図的に導入してもよい。従って、本発明の一態様において、発明化合物は少なくとも1個の重水素原子を含む。すなわち、発明化合物は、式(1)で表される化合物であって、該化合物に含まれる水素原子の少なくとも一つが重水素原子である化合物であってもよい。
【0148】
R1~R4のいずれかが表す水素原子;R1~R4のいずれかが表す置換もしくは無置換のアルキル基が有する水素原子;
R5~R9のいずれかが表す水素原子;R5~R9のいずれかが表す置換もしくは無置換のアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基が有する水素原子;
R11~R15、R21~R26、R31~R35、R41~R48、R51~R62及びR71~R78のいずれかが表す水素原子;R11~R15、R21~R26、R31~R35、R41~R48、R51~R62及びR71~R78のいずれかが表す置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基が有する水素原子;
R81が表す水素原子;R81が表す置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基が有する水素原子;
式(1)上で明記される中心窒素原子と結合するフェニレン基が有する水素原子(すなわち、下記式(1D)中の環Dが有する水素原子);
式(1)上で明記される中心窒素原子とは結合せず、かつ無置換のフェニル基が有する水素原子(すなわち、下記式(1D)中の環Eが有する水素原子);
から選ばれる少なくとも一つの水素原子が重水素原子であってもよい。
【0149】
【化37】
式(1D)中、Ar
1、Ar
2、R
1~R
9、*a、*b及び*1~*3は、式(1)において定義したとおりである。
【0150】
発明化合物の重水素化率は使用する原料化合物の重水素化率に依存する。所定の重水素化率の原料を用いたとしても、天然由来の一定の割合で軽水素同位体が含まれ得る。従って、下記で示される発明化合物の重水素化率の態様は、単に化学式で表される重水素原子の数をカウントして求められる割合に対し、天然由来の微量の同位体を考慮した比率が含まれる。
発明化合物の重水素化率は、1%以上、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、よりさらに好ましくは50%以上である。
である。
【0151】
発明化合物は、重水素化された化合物と重水素化されていない化合物を含む混合物、異なる重水素化率を有する2以上の化合物の混合物であってもよい。このような混合物の重水素化率は、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上、よりさらに好ましくは10%以上、よりさらに好ましくは50%以上、かつ、100%未満である。
また、発明化合物中の全水素原子数に対する重水素原子数の割合は、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上、よりさらに好ましくは10%以上、かつ、100%以下である。
【0152】
発明化合物は、当業者であれば、下記合成例及び公知の合成方法を参考にして容易に製造することができる。
【0153】
以下に発明化合物の具体例を示すが、以下の例示化合物に限定されるものではない。
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
有機EL素子用材料
本発明の有機EL素子用材料は発明化合物を含む。有機EL素子用材料における発明化合物の含有量は、1質量%以上(100%を含む)であり、10質量%以上(100%を含む)であることが好ましく、50質量%以上(100%を含む)であることがより好ましく、80質量%以上(100%を含む)であることがさらに好ましく、90質量%以上(100%を含む)であることが特に好ましい。本発明の有機EL素子用材料は、有機EL素子の製造に有用である。
【0221】
有機EL素子
本発明の有機EL素子は陽極、陰極、及び該陽極と陰極の間に配置された有機層を含む。該有機層は発光層を含み、該有機層の少なくとも一層が発明化合物を含む。
発明化合物が含まれる有機層の例としては、陽極と発光層との間に設けられる正孔輸送帯域(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、励起子阻止層等)、発光層、スペース層、陰極と発光層との間に設けられる電子輸送帯域(電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。発明化合物は好ましくは蛍光又は燐光EL素子の正孔輸送帯域又は発光層の材料、より好ましくは正孔輸送帯域の材料、更に好ましくは正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、又は励起子阻止層の材料、特に好ましくは正孔注入層又は正孔輸送層の材料として用いられる。
【0222】
本発明の有機EL素子は、蛍光又は燐光発光型の単色発光素子であっても、蛍光/燐光ハイブリッド型の白色発光素子であってもよいし、単独の発光ユニットを有するシンプル型であっても、複数の発光ユニットを有するタンデム型であってもよく、中でも、蛍光発光型の素子であることが好ましい。ここで、「発光ユニット」とは、有機層を含み、そのうちの少なくとも一層が発光層であり、注入された正孔と電子が再結合することにより発光する最小単位をいう。
【0223】
例えば、シンプル型有機EL素子の代表的な素子構成としては、以下の素子構成を挙げることができる。
(1)陽極/発光ユニット/陰極
また、上記発光ユニットは、燐光発光層や蛍光発光層を複数有する多層型であってもよく、その場合、各発光層の間に、燐光発光層で生成された励起子が蛍光発光層に拡散することを防ぐ目的で、スペース層を有していてもよい。シンプル型発光ユニットの代表的な層構成を以下に示す。括弧内の層は任意である。
(a)(正孔注入層/)正孔輸送層/蛍光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(b)(正孔注入層/)正孔輸送層/燐光発光層電子輸送層(/電子注入層)
(c)(正孔注入層/)正孔輸送層/第1蛍光発光層/第2蛍光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(d)(正孔注入層/)正孔輸送層/第1燐光発光層/第2燐光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(e)(正孔注入層/)正孔輸送層/燐光発光層/スペース層/蛍光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(f)(正孔注入層/)正孔輸送層/第1燐光発光層/第2燐光発光層/スペース層/蛍光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(g)(正孔注入層/)正孔輸送層/第1燐光発光層/スペース層/第2燐光発光層/スペース層/蛍光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(h)(正孔注入層/)正孔輸送層/燐光発光層/スペース層/第1蛍光発光層/第2蛍光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(i)(正孔注入層/)正孔輸送層/電子阻止層/蛍光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(j)(正孔注入層/)正孔輸送層/電子阻止層/燐光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(k)(正孔注入層/)正孔輸送層/励起子阻止層/蛍光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(l)(正孔注入層/)正孔輸送層/励起子阻止層/燐光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(m)(正孔注入層/)第1正孔輸送層/第2正孔輸送層/蛍光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(n)(正孔注入層/)第1正孔輸送層/第2正孔輸送層/燐光発光層/電子輸送層(/電子注入層)
(o)(正孔注入層/)第1正孔輸送層/第2正孔輸送層/蛍光発光層/第1電子輸送層/第2電子輸送層(/電子注入層)
(p)(正孔注入層/)第1正孔輸送層/第2正孔輸送層/燐光発光層/第1電子輸送層/第2電子輸送層(/電子注入層)
(q)(正孔注入層/)正孔輸送層/蛍光発光層/正孔阻止層/電子輸送層(/電子注入層)
(r)(正孔注入層/)正孔輸送層/燐光発光層/正孔阻止層/電子輸送層(/電子注入層)
(s)(正孔注入層/)正孔輸送層/蛍光発光層/励起子阻止層/電子輸送層(/電子注入層)
(t)(正孔注入層/)正孔輸送層/燐光発光層/励起子阻止層/電子輸送層(/電子注入層)
【0224】
上記各燐光又は蛍光発光層は、それぞれ互いに異なる発光色を示すものとすることができる。具体的には、上記発光ユニット(f)において、(正孔注入層/)正孔輸送層/第1燐光発光層(赤色発光)/第2燐光発光層(緑色発光)/スペース層/蛍光発光層(青色発光)/電子輸送層といった層構成等が挙げられる。
なお、各発光層と正孔輸送層あるいはスペース層との間には、適宜、電子阻止層を設けてもよい。また、各発光層と電子輸送層との間には、適宜、正孔阻止層を設けてもよい。電子阻止層や正孔阻止層を設けることで、電子又は正孔を発光層内に閉じ込めて、発光層における電荷の再結合確率を高め、発光効率を向上させることができる。
【0225】
タンデム型有機EL素子の代表的な素子構成としては、以下の素子構成を挙げることができる。
(2)陽極/第1発光ユニット/中間層/第2発光ユニット/陰極
ここで、上記第1発光ユニット及び第2発光ユニットとしては、例えば、それぞれ独立に上述の発光ユニットから選択することができる。
上記中間層は、一般的に、中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、第1発光ユニットに電子を、第2発光ユニットに正孔を供給する、公知の材料構成を用いることができる。
【0226】
図1は本発明の有機EL素子の構成の一例を示す概略図である。有機EL素子1は、基板2、陽極3、陰極4、及び該陽極3と陰極4との間に配置された発光ユニット10とを有する。発光ユニット10は、発光層5を有する。発光層5と陽極3との間に正孔輸送帯域6(正孔注入層、正孔輸送層等)、発光層5と陰極4との間に電子輸送帯域7(電子注入層、電子輸送層等)を有する。また、発光層5の陽極3側に電子阻止層(図示せず)を、発光層5の陰極4側に正孔阻止層(図示せず)を、それぞれ設けてもよい。これにより、電子や正孔を発光層5に閉じ込めて、発光層5における励起子の生成効率をさらに高めることができる。
【0227】
図2は、本発明の有機EL素子の他の構成を示す概略図である。有機EL素子11は、基板2、陽極3、陰極4、及び該陽極3と陰極4との間に配置された発光ユニット20とを有する。発光ユニット20は、発光層5を有する。陽極3と発光層5の間に配置された正孔輸送帯域は、正孔注入層6a、第1正孔輸送層6b及び第2正孔輸送層6cから形成されている。また、発光層5と陰極4の間に配置された電子輸送帯域は、第1電子輸送層7a及び第2電子輸送層7bから形成されている。
【0228】
なお、本発明において、蛍光ドーパント(蛍光発光材料)と組み合わされたホストを蛍光ホストと称し、燐光ドーパントと組み合わされたホストを燐光ホストと称する。蛍光ホストと燐光ホストは分子構造のみにより区分されるものではない。すなわち、燐光ホストとは、燐光ドーパントを含有する燐光発光層を形成する材料を意味し、蛍光発光層を形成する材料として利用できないことを意味しているわけではない。蛍光ホストについても同様である。
【0229】
基板
基板は、有機EL素子の支持体として用いられる。基板としては、例えば、ガラス、石英、プラスチックなどの板を用いることができる。また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニルからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0230】
陽極
基板上に形成される陽極には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛、酸化タングステンおよび酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、グラフェン等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または前記金属の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0231】
これらの材料は、通常、スパッタリング法により成膜される。例えば、酸化インジウム-酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1~10wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを、酸化タングステンおよび酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5~5wt%、酸化亜鉛を0.1~1wt%含有したターゲットを用いることにより、スパッタリング法で形成することができる。その他、真空蒸着法、塗布法、インクジェット法、スピンコート法などにより作製してもよい。
【0232】
陽極に接して形成される正孔注入層は、陽極の仕事関数に関係なく正孔注入が容易である材料を用いて形成されるため、電極材料として一般的に使用される材料(例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物、元素周期表の第1族または第2族に属する元素)を用いることができる。
仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびこれらを含む合金を用いて陽極を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。さらに、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
【0233】
正孔注入層
正孔注入層は、正孔注入性の高い材料(正孔注入性材料)を含む層であり、陽極と発光層の間、又は、存在する場合には、正孔輸送層と陽極の間に形成される。
【0234】
発明化合物以外の正孔注入性材料としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。
【0235】
低分子の有機化合物である4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’-ビス(N-{4-[N’-(3-メチルフェニル)-N’-フェニルアミノ]フェニル}-N-フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等も正孔注入層材料として挙げられる。
【0236】
高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることもできる。
【0237】
さらに、下記式(K)で表されるヘキサアザトリフェニレン(HAT)化合物などのアクセプター材料を用いることも好ましい。
【化104】
【0238】
(上記式中、R21~R26は、それぞれ独立にシアノ基、-CONH2、カルボキシル基、又は-COOR27(R27は炭素数1~20のアルキル基又は炭素数3~20のシクロアルキル基を表す)を表す。また、R21及びR22、R23及びR24、及びR25及びR26から選ばれる隣接する2つが互いに結合して-CO-O-CO-で示される基を形成してもよい。)
R27としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0239】
正孔輸送層
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い材料(正孔輸送性材料)を含む層であり、陽極と発光層の間、又は、存在する場合には、正孔注入層と発光層の間に形成される。発明化合物を単独で又は下記の化合物と組み合わせて正孔輸送層に用いてもよい。
【0240】
正孔輸送層は、単層構造でもよく、2以上の層を含む多層構造でもよい。例えば、正孔輸送層は第1正孔輸送層(陽極側)と第2正孔輸送層(陰極側)を含む2層構造であってもよい。本発明の一態様において、前記単層構造の正孔輸送層は発光層に隣接していることが好ましく、又、前記多層構造中の最も陰極に近い正孔輸送層、例えば、上記2層構造の第2正孔輸送層、は発光層に隣接していることが好ましい。本発明の他の態様において、前記単層構造の正孔輸送層と発光層の間に、又は、前記多層構造中の最も発光層に近い正孔輸送層と発光層の間に、後述する電子阻止層などを介在させてもよい。
前記2層構造の正孔輸送層において、発明化合物は第1正孔輸送層と第2正孔輸送層の一方に含まれていてもよいし、双方に含まれていてもよい。
本発明の一態様においては、発明化合物が第1正孔輸送層のみに含まれるのが好ましく、他の態様においては、発明化合物が第2正孔輸送層のみに含まれるのが好ましく、さらに他の態様においては、発明化合物が第1正孔輸送層と第2正孔輸送層に含まれるのが好ましい。
【0241】
本発明の一態様において、前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層の一方又は双方に含まれる発明化合物は、製造コストの観点から、軽水素体であることが好ましい。
前記軽水素体とは、発明化合物中のすべての水素原子が軽水素原子である発明化合物のことである。
従って、本発明は、前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層の一方又は双方が実質的に軽水素体のみからなる発明化合物を含む有機EL素子を含む。「実質的に軽水素体のみからなる発明化合物」とは、発明化合物化合物の総量に対する軽水素体の含有割合が、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上(それぞれ100%を含む)であることを意味する。
【0242】
発明化合物以外の正孔輸送層材料としては、例えば、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体等を使用することができる。
芳香族アミン化合物としては、例えば、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BAFLP)、4,4’-ビス[N-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’,4”-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4”-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、及び、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)が挙げられる。上記化合物は、10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する。
【0243】
カルバゾール誘導体としては、例えば、4,4’-ジ(9-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、9-[4-(9-カルバゾリル)フェニル]-10-フェニルアントラセン(略称:CzPA)、及び、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:PCzPA)が挙げられる。
アントラセン誘導体としては、例えば、2-t-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、及び、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)が挙げられる。
ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
但し、電子輸送性よりも正孔輸送性の方が高い化合物であれば、上記以外の化合物を用いてもよい。
【0244】
発光層のドーパント材料
発光層は、発光性の高い材料(ドーパント材料)を含む層であり、種々の材料を用いることができる。例えば、蛍光発光材料や燐光発光材料をドーパント材料として用いることができる。蛍光発光材料は一重項励起状態から発光する化合物であり、燐光発光材料は三重項励起状態から発光する化合物である。
【0245】
発光層に用いることができる青色系の蛍光発光材料として、ピレン誘導体、スチリルアミン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フルオレン誘導体、ジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体等が使用できる。具体的には、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などが挙げられる。
【0246】
発光層に用いることができる緑色系の蛍光発光材料として、芳香族アミン誘導体等を使用できる。具体的には、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCABPhA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)]-N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-フェニルアントラセン-2-アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9-トリフェニルアントラセン-9-アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。
【0247】
発光層に用いることができる赤色系の蛍光発光材料として、テトラセン誘導体、ジアミン誘導体等が使用できる。具体的には、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)テトラセン-5,11-ジアミン(略称:p-mPhTD)、7,14-ジフェニル-N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)アセナフト[1,2-a]フルオランテン-3,10-ジアミン(略称:p-mPhAFD)などが挙げられる。
【0248】
発光層に用いることができる青色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体等の金属錯体が使用される。具体的には、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2-(3’,5’ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)などが挙げられる。
【0249】
発光層に用いることができる緑色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体等が使用される。トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス(1,2-ジフェニル-1H-ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)2(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)2(acac))などが挙げられる。
【0250】
発光層に用いることができる赤色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、白金錯体、テルビウム錯体、ユーロピウム錯体等の金属錯体が使用される。具体的には、ビス[2-(2’-ベンゾ[4,5-α]チエニル)ピリジナト-N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)2(acac))、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)2(acac))、(アセチルアセトナート)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。
【0251】
また、トリス(アセチルアセトナート)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)3(Phen))、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)3(Phen))、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)3(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光発光材料として用いることができる。
【0252】
発光層のホスト材料
発光層は、上述したドーパント材料を他の材料(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ドーパント材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高占有軌道準位(HOMO準位)が低い材料を用いることが好ましい。
【0253】
ホスト材料としては、例えば
(1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、又は亜鉛錯体等の金属錯体、
(2)オキサジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、又はフェナントロリン誘導体等の複素環化合物、
(3)カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、又はクリセン誘導体等の縮合芳香族化合物、
(4)トリアリールアミン誘導体又は縮合多環芳香族アミン誘導体等の芳香族アミン化合物が使用される。
【0254】
例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体;
2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物;
9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,9’-ビアントリル(略称:BANT)、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12-ジメトキシ-5,11-ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物;及び
N,N-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、N,9-ジフェニル-N-{4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPBA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4,4’-ビス[N-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物を用いることができる。ホスト材料は複数種用いてもよい。
【0255】
特に、青色蛍光素子の場合には、下記のアントラセン化合物をホスト材料として用いることが好ましい。
【0256】
【0257】
【0258】
【0259】
電子輸送層
電子輸送層は電子輸送性の高い材料(電子輸送性材料)を含む層であり、発光層と陰極の間、又は、存在する場合は、電子注入層と発光層の間に形成される。
電子輸送層は、単層構造でもよく、2以上の層を含む多層構造でもよい。例えば、電子輸送層は第1電子輸送層(陽極側)と第2電子輸送層(陰極側)を含む2層構造であってもよい。本発明の一態様において、前記単層構造の電子輸送層は発光層に隣接していることが好ましく、又、前記多層構造中の最も陽極に近い電子輸送層、例えば、上記2層構造の第1電子輸送層、は発光層に隣接していることが好ましい。本発明の他の態様において、前記単層構造の電子輸送層と発光層の間に、又は、前記多層構造中の最も発光層に近い電子輸送層と発光層の間に、後述する正孔阻止層などを介在させてもよい。
【0260】
電子輸送層には、例えば、
(1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、
(2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、
(3)高分子化合物を使用することができる。
【0261】
金属錯体としては、例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)が挙げられる。
【0262】
複素芳香族化合物としては、例えば、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(ptert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-(4-エチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:p-EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)が挙げられる。
【0263】
高分子化合物としては、例えば、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)が挙げられる。
【0264】
上記材料は、10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する材料である。なお、正孔輸送性よりも電子輸送性の高い材料であれば、上記以外の材料を電子輸送層に用いてもよい。
【0265】
電子注入層
電子注入層は、電子注入性の高い材料を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属、及びこれらの金属を含む化合物を用いることができる。そのような化合物としては、例えば、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属含有有機錯体、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属含有有機錯体、希土類金属酸化物、希土類金属ハロゲン化物、及び希土類金属含有有機錯体が挙げられる。また、これらの化合物を複数混合して用いることもできる。
その他、電子輸送性を有する材料にアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を含有させたもの、具体的にはAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いてもよい。なお、この場合には、陰極からの電子注入をより効率良く行うことができる。
あるいは、電子注入層に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、有機化合物が電子供与体から電子を受け取るため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、受け取った電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層を構成する材料(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す材料であればよい。具体的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
【0266】
陰極
陰極には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。
なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金を用いて陰極を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
なお、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、グラフェン、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム-酸化スズ等様々な導電性材料を用いて陰極を形成することができる。これらの導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することができる。
【0267】
絶縁層
有機EL素子は、超薄膜に電界を印加するために、リークやショートによる画素欠陥が生じやすい。これを防止するために、一対の電極間に絶縁性の薄膜層からなる絶縁層を挿入してもよい。
絶縁層に用いられる材料としては、例えば、酸化アルミニウム、弗化リチウム、酸化リチウム、弗化セシウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、弗化マグネシウム、酸化カルシウム、弗化カルシウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化バナジウム等が挙げられる。なお、これらの混合物や積層物を用いてもよい。
【0268】
スペース層
上記スペース層とは、例えば、蛍光発光層と燐光発光層とを積層する場合に、燐光発光層で生成する励起子を蛍光発光層に拡散させない、あるいは、キャリアバランスを調整する目的で、蛍光発光層と燐光発光層との間に設けられる層である。また、スペース層は、複数の燐光発光層の間に設けることもできる。
スペース層は発光層間に設けられるため、電子輸送性と正孔輸送性を兼ね備える材料であることが好ましい。また、隣接する燐光発光層内の三重項エネルギーの拡散を防ぐため、三重項エネルギーが2.6eV以上であることが好ましい。スペース層に用いられる材料としては、上述の正孔輸送層に用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0269】
阻止層
電子阻止層、正孔阻止層、励起子阻止層などの阻止層を発光層に隣接して設けてもいい。電子阻止層とは発光層から正孔輸送層へ電子が漏れることを防ぐ層であり、正孔阻止層とは発光層から電子輸送層へ正孔が漏れることを防ぐ層である。励起子阻止層は発光層で生成した励起子が周辺の層へ拡散することを防止し、励起子を発光層内に閉じ込める機能を有する。
【0270】
前記有機EL素子の各層は従来公知の蒸着法、塗布法等により形成することができる。例えば、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)などの蒸着法、あるいは、層を形成する化合物の溶液を用いた、ディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。
【0271】
各層の膜厚は特に制限されないが、一般に膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に厚すぎると高い駆動電圧が必要となり効率が悪くなるため、通常5nm~10μmであり、10nm~0.2μmがより好ましい。
【0272】
前記有機EL素子は、有機ELパネルモジュール等の表示部品、テレビ、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の表示装置、及び、照明、車両用灯具の発光装置等の電子機器に使用できる。
【実施例】
【0273】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0274】
実施例1~22の有機EL素子の製造に用いた発明化合物
【化108】
【0275】
【0276】
比較例1~4の有機EL素子の製造に用いた比較化合物
【化110】
【0277】
有機EL素子の製造に用いた他の化合物
【化111】
【0278】
有機EL素子の作製
実施例1
25mm×75mm×1.1mmのITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄した後、30分間UVオゾン洗浄した。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極付き前記ガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極が形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HT1と化合物HI1を共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。化合物HT1と化合物HI1の質量比(HT1:HI1)は97:3であった。
次に、正孔注入層上に化合物HT1を蒸着し、膜厚80nmの第1正孔輸送層を形成した。
次に、この第1正孔輸送層上に化合物Inv-2を蒸着し、膜厚10nmの第2正孔輸送層を形成した。
次に、この第2正孔輸送層上に、化合物BH(ホスト材料)と化合物BD(ドーパント材料)を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。化合物BHと化合物BDの質量比(BH:BD)は96:4であった。
次に、この発光層の上に、化合物ET1を蒸着して膜厚10nmの第1電子輸送層を形成した。
次に、この第1電子輸送層上に、化合物ET2とLiqを共蒸着して膜厚15nmの第2電子輸送層を形成した。化合物ET2とLiqの質量比は50:50であった。
次に、この第2電子輸送層上に、LiFを蒸着して膜厚1nmの電子注入性電極を形成した。
そして、この電子注入性電極上に金属Alを蒸着して膜厚80nmの金属陰極を形成した。
このようにして得られた実施例1の有機EL素子の層構成を以下に示す。
ITO (130)/HT1: HI1 = 97:3 (10)/HT1 (80)/化合物Inv-2 (10)/BH:BD = 96:4 (25)/ET1 (10)/ET2:Liq = 50:50 (15)/LiF (1)/Al (80)
上記層構成において、括弧内の数字は膜厚(nm)であり、比は質量比である。
【0279】
比較例1
化合物Inv-2の代わりに比較化合物Ref-1を用いた以外は実施例1と同様にして各有機EL素子を製造した。
【0280】
実施例2~22、比較例2~4
実施例2~22及び比較例2~4の有機EL素子を、化合物Inv-2の代わりに化合物Inv-1、3~22、比較化合物Ref-2~4を、この順に用い、正孔注入層の化合物HT1及び第1正孔輸送層の化合物HT1の代わりに、HT2を用いた以外は実施例1と同様にして製造した。
【0281】
素子寿命(LT90)の測定
得られた有機EL素子を室温下、電流密度50mA/cm2で直流定電流駆動により発光させ、輝度が初期輝度の90%に減少するまでの時間を測定し、これを90%寿命(LT90)とした。結果を表1及び2に示す。
【0282】
外部量子効率(EQE)の測定
得られた有機EL素子を室温下、電流密度10mA/cm2で直流定電流駆動した。輝度計(ミノルタ社製分光輝度放射計CS-1000)を用いて輝度を測定し、その結果から外部量子効率(%)を求めた。結果を表1に示す。
【0283】
【0284】
【0285】
表1及び2の結果から明らかなように、発明化合物(化合物Inv-1~22)を含む有機EL素子は、比較化合物(Ref-1~4)を含む有機EL素子よりも、寿命が長いことが分かる。また、表1の結果から明らかなように、発明化合物(化合物Inv-2)を含む有機EL素子は、比較化合物(Ref-1)を含む有機EL素子よりも、高い発光効率を示すことが分かる。
【0286】
【0287】
【0288】
【0289】
中間体Aの合成
アルゴン雰囲気下、3,4-ジブロモアニリン85.0g、フェニルボロン酸99.0g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)7.83g、2M炭酸ナトリウム水溶液813mL、及び1,2-ジメトキシエタン800mLを混合させ、80℃で3時間撹拌した。その後、酢酸エチルで抽出した。この有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、[1,1’:2’,1”-ターフェニル]-4’-アミン(中間体A)78.5gを得た。収率は94%であった。
【0290】
中間体Bの合成
アルゴン雰囲気下、(1,1’:2’,1”-ターフェニル)-4’-アミン25.0g、アセトニトリル360mLをフラスコに入れ、完全溶解させた。そこへ、p-トルエンスルホン酸58.2gを加え、その後、0℃にした。その混合物に、ヨウ化カリウム42.3g、及び、亜硝酸ナトリウム14.1gが溶解した水溶液180mLを、30分かけ滴下して加えた。氷冷下30分攪拌後、水600mLを加え、室温に戻しつつ、さらに2時間攪拌した。続いて、生じた固体をろ取し、これをトルエン500mLに溶解させ、更に硫酸ナトリウム水溶液を加え抽出した。この有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、ヘキサンで洗浄し、4’-ヨード-1,1’:2’,1”-ターフェニル(中間体B)29.0gを得た。収率は80%であった。
【0291】
中間体Cの合成
アルゴン雰囲気下、中間体B22.5g、4-クロロフェニルボロン酸9.88g、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)1.34g、2M炭酸ナトリウム水溶液60mL、及び1,2-ジメトキシエタン240mLを混合させ、80℃で1.5時間撹拌した。その後、水を加え、析出した個体をろ取した。この固体をトルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶し、4’-(4-クロロフェニル)-1,1’:2’,1”-ターフェニル(中間体C)18.3gを得た。収率は85%であった。
【0292】
化合物Inv-1の合成
アルゴン雰囲気下、N-([1,1‘-ビフェニル]-4-イル)ナフタレン-1-アミン3.18g、中間体C3.50g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.188g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.238g、ナトリウム-t-ブトキシド1.48g、トルエン50mLを混合させ、110℃にて5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体3.36gを得た。収率は55%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量599.78に対しm/e=600)、化合物Inv-1であった。
【0293】
【0294】
アルゴン雰囲気下、N-(4-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)フェニル)ナフタレン-1-アミン3.75g、中間体C3.25g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.175g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.221g、ナトリウム-t-ブトキシド1.38g、トルエン53mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温にて冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体4.23gを得た。収率は64%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量689.86に対しm/e=690)、化合物Inv-2であった。
【0295】
【0296】
中間体Dの合成
アルゴン雰囲気下、1-ナフタレン-2,3,4,5,6,7,8-d7-アミン3.75g、ブロモベンゼンd53.25g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.175g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.221g、ナトリウム-t-ブトキシド5.24g、トルエン53mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体の中間体D8.75gを得た。収率は77%であった。
【0297】
中間体Eの合成
アルゴン雰囲気下、中間体D4.99g、N-ブロモスクシンイミド6.45g、及びジクロロメタン(脱水)180mLを混合させ、室温で4時間撹拌した。続いて、水100mLを加え、室温で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、黄色固体の中間体E6.78gを得た。収率は80%であった。
【0298】
中間体Fの合成
アルゴン雰囲気下、中間体E4.42g、ビス(ピナコラト)ジボロン5.39g、酢酸パラジウム(II)0.064g、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(XPhos)0.270g、酢酸カリウム7.55g、1,4-ジオキサン(脱水)80mLを混合させ、100℃にて4時間撹拌した。続いて、水50mLを加え、室温で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、白色固体の中間体F6.44gを得た。収率は81%であった。
【0299】
中間体Gの合成
アルゴン雰囲気下、中間体F3.99g、ブロモベンゼン0.74mL、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.164g、2M炭酸ナトリウム水溶液40mL、及び1,2-ジメトキシエタン100mLを混合させ、80℃で3時間攪拌をした。その後、トルエンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体G2.26gを得た。収率は62%であった。
【0300】
化合物Inv-3の合成
アルゴン雰囲気下、中間体G2.53g、4’-ヨード-1,1’:2’,1”-ターフェニル1.76g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.114g、2M炭酸ナトリウム水溶液14mL、及び1,2-ジメトキシエタン40mLを混合させ、80℃で3時間攪拌をした。その後、トルエンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体2.09gを得た。収率は69%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量614.87に対しm/e=615)、化合物Inv-3であった。
【0301】
【0302】
アルゴン雰囲気下、ジ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)アミン3.33g、中間体C3.54g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.196g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.240g、ナトリウム-t-ブトキシド2.99g、トルエン58mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体4.67gを得た。収率は72%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量625.82に対しm/e=626)、化合物Inv-4であった。
【0303】
【0304】
アルゴン雰囲気下、N-(4-(ナフタレン-1-イル)フェニル)ナフタレン-1-アミン3.21g、中間体C3.25g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.170g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.216g、ナトリウム-t-ブトキシド2.68g、トルエン53mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体6.04gを得た。収率は68%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量649.84に対しm/e=650)、化合物Inv-5であった。
【0305】
【0306】
アルゴン雰囲気下、N-(4-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)フェニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン3.01g、中間体C2.97g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.160g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.202g、ナトリウム-t-ブトキシド2.51g、トルエン48mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体4.42gを得た。収率は78%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量649.84に対しm/e=650)、化合物Inv-6であった。
【0307】
【0308】
アルゴン雰囲気下、4-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)-N-フェニルアニリン3.61g、中間体C3.67g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.197g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.250g、ナトリウム-t-ブトキシド3.10g、トルエン60mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体5.58gを得た。収率は81%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量689.86に対しm/e=690)、化合物Inv-7であった。
【0309】
【0310】
アルゴン雰囲気下、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)ジベンゾ[b,d]フラン-1-アミン2.85g、中間体C2.89g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.155g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.201g、ナトリウム-t-ブトキシド2.45g、トルエン47mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体3.69gを得た。収率は68%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量639.26に対しm/e=639)、化合物Inv-8であった。
【0311】
【0312】
アルゴン雰囲気下、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ビフェニル-9H-フルオレン-4-アミン5.86g、中間体C4.10g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.220g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.285g、ナトリウム-t-ブトキシド3.48g、トルエン67mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体5.23gを得た。収率は55%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量789.34に対しm/e=789)、化合物Inv-9であった。
【0313】
合成例10:化合物Inv-10の合成
【化123】
【0314】
アルゴン雰囲気下、4-(ナフタレン-1-イル)-N-[4-(ナフタレン-1-イル)フェニル]アニリン2.73g、中間体C2.20g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.118g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.153g、ナトリウム-t-ブトキシド1.87g、トルエン36mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体3.84gを得た。収率は82%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量725.31に対しm/e=725)、化合物Inv-10であった。
【0315】
合成例11:化合物Inv-11の合成
【化124】
【0316】
アルゴン雰囲気下、N-[4-(ナフタレン-1-イル)フェニル][1,1’-ビフェニル]-4-アミン3.51g、中間体C3.21g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.172g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.223g、ナトリウム-t-ブトキシド2.72g、トルエン52mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体4.65gを得た。収率は73%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量675.29に対しm/e=675)、化合物Inv-11であった。
【0317】
合成例12:化合物Inv-12の合成
【化125】
【0318】
アルゴン雰囲気下、N-[4-(ジベンゾ[b,d]フラン-1-イル)フェニル][1,1’-ビフェニル]-4-アミン5.33g、中間体C4.40g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.236g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.306g、ナトリウム-t-ブトキシド3.73g、トルエン72mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体6.93gを得た。収率は75%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量715.29に対しm/e=715)、化合物Inv-12であった。
【0319】
合成例13:化合物Inv-13の合成
【化126】
【0320】
アルゴン雰囲気下、4-(ナフタレン-2-イル)-N-[4-(ナフタレン-2-イル)フェニル]アニリン4.14g、中間体C3.34g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.179g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.232g、ナトリウム-t-ブトキシド2.83g、トルエン54mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体4.91gを得た。収率は69%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量725.31に対しm/e=725)、化合物Inv-13であった。
【0321】
合成例14:化合物Inv-14の合成
【化127】
【0322】
アルゴン雰囲気下、N-[4-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ナフタレン-1-アミン3.63g、中間体C3.12g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.168g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.217g、ナトリウム-t-ブトキシド2.65g、トルエン51mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体5.32gを得た。収率は82%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量699.29に対しm/e=699)、化合物Inv-14であった。
【0323】
合成例15:化合物Inv-15の合成
【化128】
【0324】
アルゴン雰囲気下、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3’-(9H-カルバゾール-9-イル)[1,1’-ビフェニル]-4-アミン4.28g、中間体C2.99g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.161g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.208g、ナトリウム-t-ブトキシド2.54g、トルエン48mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体5.90gを得た。収率は85%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量790.33に対しm/e=790)、化合物Inv-15であった。
【0325】
合成例16:化合物Inv-16の合成
【化129】
【0326】
アルゴン雰囲気下、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2’-(9H-カルバゾール-9-イル)[1,1’-ビフェニル]-4-アミン3.96g、中間体C2.77g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.148g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.192g、ナトリウム-t-ブトキシド2.35g、トルエン45mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体4.89gを得た。収率は76%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量790.33に対しm/e=790)、化合物Inv-16であった。
【0327】
合成例17:化合物Inv-17の合成
【化130】
【0328】
アルゴン雰囲気下、N-[4-(ジベンゾ[b、d]フラン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[b、d]フラン-1-アミン5.39g、中間体C4.31g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.232g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.299g、ナトリウム-t-ブトキシド3.66g、トルエン70mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体5.45gを得た。収率は59%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量729.27に対しm/e=729)、化合物Inv-17であった。
【0329】
合成例18:化合物Inv-18の合成
【化131】
【0330】
中間体Hの合成
アルゴン雰囲気下、3-(ナフタレン-1-イル)アニリン5.68g(25.9mmol)、1-ヨードナフタレン6.58g(25.9mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)474mg(0.51mmol)、BINAP645mg(1.03mmol)、ナトリウム-t-ブトキシド2.74g(28.5mmol)、トルエン130mlを加え110℃にて7時間加熱撹拌した。放冷後、ろ過し得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し中間体H7.49gを得た。収率は84%であった。
【0331】
化合物Inv-18の合成
アルゴン雰囲気下、中間体H3.2g、中間体C3.27g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.176g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.222g、ナトリウム-t-ブトキシド2.70g、トルエン54mLを混合させ、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体6.05gを得た。収率は68%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量649.84に対しm/e=650)、化合物Inv-18であった。
【0332】
合成例19:化合物Inv-19の合成
【化132】
【0333】
中間体Iの合成
アルゴン雰囲気下、アニリン-2,3,4,5,6-d5 2.19g(22.33mmol)、ブロモベンゼン-d5 3.29g(20.3mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)372mg(0.41mmol)、BINAP506mg(0.812mmol)、ナトリウム-t-ブトキシド2.15g(22.33mmol)、トルエン200mlを加え100℃にて3時間加熱撹拌した。放冷後、ろ過し得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し中間体I3.59gを得た。収率は99%であった。
【0334】
中間体J及びKの合成
アルゴン雰囲気下、中間体I2.9g(16.18mmol)、DMF55mlを混合させ、0℃でN-ブロモスクシンイミド5.76g(32.4mmol)を加えた。水と酢酸エチルを加え抽出し得られた有機層を減圧下留去し中間体Jを得た。中間体Jは精製せずに次の反応に付した。
アルゴン雰囲気下、中間体J6.41g(19.12mmol)、フェニルボロン酸5.83g(47.8mmol)、ビス(ジ-t-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)406mg(0.574mmol)、1,4-ジオキサン(100ml)を混合させ、リン酸カリウム水溶液を加えた。110℃で5時間加熱撹拌し放冷後、混合物をろ過しカラムクロマトグラフィー及び再結晶にて精製し、中間体K3.9gを得た。中間体Jを経て中間体Kを得るまでの収率は62%(2工程)であった。
【0335】
化合物Inv-19の合成
アルゴン雰囲気下、中間体J2.64g、中間体C2.86g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.147g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.186g、ナトリウム-t-ブトキシド1.08g、トルエン80mLを混合させ、110℃にて7時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体3.29gを得た。収率は65%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量633.33に対しm/e=633)、化合物Inv-19であった。
【0336】
合成例20:化合物Inv-20の合成
【化133】
【0337】
中間体Lの合成
アルゴン雰囲気下、1-ブロモ-4-ヨードベンゼン-2,3,5,6-d4 8.61g(30mmol)、[1,1’:2’,1’’-ターフェニル]-4’-イルボロン酸8.63g(31.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.39g(1.2mmol)、2Mリン酸三カリウム水溶液30mL、ジオキサン150mLを加え80℃で7時間加熱撹拌した。水を加え析出させ得られた固体をジクロロメタンに抽出し洗浄した。溶媒を留去して得られる残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体L(7.3g)を得た。収率は63%であった。
【0338】
化合物Inv-20の合成
アルゴン雰囲気下、中間体K2.64g、中間体L3.27g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.147g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.186g、ナトリウム-t-ブトキシド1.08g、トルエン80mLを混合させ、110℃にて7時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体4.11gを得た。収率は80%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量637.35に対しm/e=637)、化合物Inv-20であった。
【0339】
合成例21:化合物Inv-21の合成
【化134】
【0340】
中間体Mの合成
アルゴン雰囲気下、中間体L6.0g(15.41mmol)、1M-LiHMDSトルエン溶液23.12mL、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)282mg(0.31mmol)、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩(179mg、0.62mmol)、トルエン77mLを加え110℃で7時間加熱撹拌した。塩酸を加えトルエンにて抽出し得られる残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体M3.45gを得た。収率は69%であった。
【0341】
中間体Nの合成
アルゴン雰囲気下、中間体M3.45g(10.6mmol)、1-ヨードナフタレン2.69g(10.6mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)194mg(0.212mmol)、BINAP264mg(0.424mmol)、ナトリウム-t-ブトキシド1.12g(11.6mmol)、トルエン53mlを加え100℃にて8時間加熱撹拌した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し中間体N3.8gを得た。収率は80%であった。
【0342】
中間体Oの合成
アルゴン雰囲気下、1-ブロモ-4-ヨードベンゼン-2,3,5,6-d4 2.87g(10mmol)、1-ナフタレンボロン酸1.81g(10.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)462mg(0.4mmol)、2Mリン酸三カリウム水溶液10mL、ジオキサン50mLを加え80℃にて7時間加熱撹拌した。反応液をカラムクロマトグラフィーにて精製し中間体O(2.87g)得た。収率は99%であった。
【0343】
化合物Inv-21の合成
アルゴン雰囲気下、中間体N1.82g、中間体O1.39g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.074g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.094g、ナトリウム-t-ブトキシド0.542g、トルエン40mLを混合させ、110℃にて7時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体1.70gを得た。収率は64%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量657.33に対しm/e=657)、化合物Inv-21であった。
【0344】
合成例22:化合物Inv-22の合成
【化135】
【0345】
中間体Pの合成
中間体Oの合成において、1-ナフタレンボロン酸をフェニルボロン酸に変え同様な操作により中間体Pを得た。収率は97%であった。
【0346】
化合物Inv-22の合成
アルゴン雰囲気下、中間体N2.03g、中間体P1.28g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.082g、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロほう酸塩0.104g、ナトリウム-t-ブトキシド0.61g、トルエン45mLを混合させ、110℃にて7時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶にて精製し、白色固体2.00gを得た。収率は73%であった。
得られたものは、マススペクトル分析の結果(分子量607.31に対しm/e=607)、化合物Inv-22であった。
【符号の説明】
【0347】
1、11 有機EL素子
2 基板
3 陽極
4 陰極
5 発光層
6 正孔輸送帯域(正孔輸送層)
6a 正孔注入層
6b 第1正孔輸送層
6c 第2正孔輸送層
7 電子輸送帯域(電子輸送層)
7a 第1電子輸送層
7b 第2電子輸送層
10、20 発光ユニット