(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】オルガノシロキサン及びオルガノシロキサンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/08 20060101AFI20221117BHJP
B01J 31/24 20060101ALI20221117BHJP
B01J 31/18 20060101ALI20221117BHJP
C07F 7/18 20060101ALI20221117BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
C07F7/08 X CSP
B01J31/24 Z
B01J31/18 Z
C07F7/18 X
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2019542318
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2018034239
(87)【国際公開番号】W WO2019054498
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2017177629
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 靖
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 正安
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一彦
(72)【発明者】
【氏名】島田 茂
【審査官】大木 みのり
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-136023(JP,A)
【文献】特開2006-111533(JP,A)
【文献】国際公開第2012/172176(WO,A2)
【文献】特開昭52-039633(JP,A)
【文献】特開昭58-065750(JP,A)
【文献】国際公開第2017/074918(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/141796(WO,A1)
【文献】特開2016-008176(JP,A)
【文献】国際公開第2016/186866(WO,A1)
【文献】特開2001-354676(JP,A)
【文献】特開2017-001972(JP,A)
【文献】TAKIGUCHI, T et al.,The Preparation of Several Triphenylsiloxysilanes,Bulletin of the Chemical Society of Japan,日本化学会,1966年,Vol. 39, No. 3,pp. 619-620
【文献】LEBEDEV, EP et al.,Cocondensation of organodisilazanes and organochlorosilanes with organosilanols and siloxanols,Zhurnal Obshchei Khimii,1979年,Vol. 49, No. 1,pp. 147-150
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅錯体の存在下、下記式(a)で表される構造を有するシラノールと下記式(b)で表される構造を有するヒドロシランを反応させて下記式(c)で表される構造を有するオルガノシロキサンを生成する反応工程を含み、
前記シラノールが、下記式(A-1)~(A-5)の何れかで表される化合物であり、
前記ヒドロシランが、下記式(B-1)~(B-6)の何れかで表される化合物である、オルガノシロキサンの製造方法。
【化1】
(式(b)及び(c)中、R
は炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
【化2】
(式(A-1)~(A-5)中、R
1はそれぞれ独立し
て炭素原子数1~20の炭化水素基を、R
2
は炭素原子数1~20のn価の炭化水素基を、R
3はそれぞれ独立してヒドロキシル基、又
は炭素原子数1~20の炭化水素基を、nは2~10の整数を表す。)
【化3】
(式(B-1)~(B-6)中、R
4
は炭素原子数1~20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立し
て炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
【請求項2】
前記銅錯体が、下記式(P-1)~(P-4)の何れかで表される化合物及び下記式(I)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を配位子として含む錯体である、請求項1に記載のオルガノシロキサンの製造方法。
【化4】
(式(P-1)~(P-4)中、R
5はそれぞれ独立して水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、R
6はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~30のh価の炭化水素基を、R
7はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の2価の炭化水素基を、R
8はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、hは2~10の整数を、iは1~3の整数を、jはそれぞれ独立して0~4の整数を表す。但し、R
5の2以上が炭化水素基である場合、R
5の2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよく、jが2以上の整数である場合、R
8の2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
【化5】
(式(I)中、R
9はそれぞれ独立して水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、R
10はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、kは0~2の整数を表す。但し、k=2である場合、R
10の2つの炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
【請求項3】
前記オルガノシロキサンが、下記式(C-1)~(C-4)の何れかで表される化合物である、請求項1又は2に記載のオルガノシロキサンの製造方法。
【化6】
(式(C-1)~(C-4)中、R
1はそれぞれ独立し
て炭素原子数1~20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立し
て炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノシロキサン及びオルガノシロキサンの製造方法に関し、より詳しくは銅触媒を用いたオルガノシロキサン及びオルガノシロキサンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シロキサン結合(Si-O-Si)は、有機骨格である炭素-炭素(C-C)結合や炭素-酸素(C-O)結合よりも結合エネルギーが大きく、耐熱性、耐候性等に優れており、シリコーンオイルやシリコーンゴム等に利用され、有機無機ハイブリッド素材の原料としても注目されている重要な化合物である。
【0003】
シロキサン結合の形成方法(オルガノシロキサンの架橋方法)としては、イリジウム錯体の存在下で反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンと反応性≡SiOH単位を示す少なくとも1種のオルガノシロキサンを脱水素縮合させる方法が報告されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オルガノシロキサンの中でも、アルコキシシリル基を有するオルガノシロキサンは、アルコキシシリル基が加水分解・脱水縮合反応等に利用できることから、特に有用な化合物であると言える。また、トリオルガノシロキシ基を有するオルガノシロキサンは、メソポーラスシリカや多次元ネットワークを持つシリコーン材料の原料として有用なことから、特に有用な化合物であると言える。
本発明は、アルコキシシリル基又はトリオルガノシロキシ基を有するオルガノシロキサンを効率良く製造することができるオルガノシロキサンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、銅錯体の存在下でシラノールとアルコキシ基又はトリオルガノシロキシ基を有するヒドロシランを反応させることにより、アルコキシシリル基又はトリオルガノシロキシ基を有するオルガノシロキサンを効率良く製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
【0007】
<1> 銅錯体の存在下、下記式(a)で表される構造を有するシラノールと下記式(b)で表される構造を有するヒドロシランを反応させて下記式(c)で表される構造を有するオルガノシロキサンを生成する反応工程を含むことを特徴とするオルガノシロキサンの製造方法。
【化1】
(式(b)及び(c)中、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
<2> 前記シラノールが、下記式(A-1)~(A-5)の何れかで表される化合物である、<1>に記載のオルガノシロキサンの製造方法。
【化2】
(式(A-1)~(A-5)中、R
1はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、R
2はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20のn価の炭化水素基を、R
3はそれぞれ独立してヒドロキシル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、nは2~10の整数を表す。)
<3> 前記ヒドロシランが、下記式(B-1)~(B-6)の何れかで表される化合物である、<1>又は<2>に記載のオルガノシロキサンの製造方法。
【化3】
(式(B-1)~(B-6)中、R
4はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
<4> 前記銅錯体が、下記式(P-1)~(P-4)の何れかで表される化合物及び下記式(I)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を配位子として含む錯体である、<1>~<3>の何れかに記載のオルガノシロキサンの製造方法。
【化4】
(式(P-1)~(P-4)中、R
5はそれぞれ独立して水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、R
6はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~30のh価の炭化水素基を、R
7はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の2価の炭化水素基を、R
8はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、hは2~10の整数を、iは1~3の整数を、jはそれぞれ独立して0~4の整数を表す。但し、R
5の2以上が炭化水素基である場合、R
5の2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよく、jが2以上の整数である場合、R
8の2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
【化5】
(式(I)中、R
9はそれぞれ独立して水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、R
10はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、kは0~2の整数を表す。但し、k=2である場合、R
10の2つの炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
<5> 前記オルガノシロキサンが、下記式(C-1)~(C-4)の何れかで表される化合物である、<1>~<4>の何れかに記載のオルガノシロキサンの製造方法。
【化6】
(式(C-1)~(C-4)中、R
1はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
<6> 下記式(C-1)~(C-4)の何れかで表されるオルガノシロキサン。
【化7】
(式(C-1)~(C-4)中、R
1はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オルガノシロキサンを効率良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の詳細を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
【0010】
<オルガノシロキサンの製造方法>
本発明の一態様であるオルガノシロキサンの製造方法(以下、「本発明の製造方法」と略す場合がある。)は、銅錯体の存在下、下記式(a)で表される構造を有するシラノールと下記式(b)で表される構造を有するヒドロシランを反応させて下記式(c)で表される構造を有するオルガノシロキサンを生成する反応工程(以下、「反応工程」と略す場合がある。)を含むことを特徴とする。
【化8】
(式(b)及び(c)中、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
本発明者らは、アルコキシシリル基又はトリオルガノシロキシ基を有するオルガノシロキサンを効率良く製造することができる方法を求めて検討を重ねた結果、銅錯体の存在下で式(a)で表される構造を有するシラノールと式(b)で表される構造を有するヒドロシランを反応させることにより、アルコキシシリル基又はトリオルガノシロキシ基を有するオルガノシロキサンを効率良く製造することができることを見出したのである。反応工程は、銅錯体を触媒とするシラノールとヒドロシランの脱水素縮合反応(脱水素カップリング反応)であり、得られるオルガノシロキサンには活性なアルコキシシリル基が維持されるため、又は、かご型シルセスキオキサン(POSS)などの合成に利用できるトリオルガノシロキシ基を有するため、有機ケイ素化合物の原料として有用な化合物となる。特にトリアルコキシヒドロシラン又はトリオルガノシロキシヒドロシランを効率良く反応させることができるため、下記式で表されるように、三次元的な反応に利用できる、トリアルコキシシリル基又はトリオルガノシロキシ基を有するオルガノシロキサンを製造することができる特長を有する。
【化9】
なお、式(a)、(b)、及び(c)中の波線は、その先の構造が任意であることを意味し、反応に関与しない官能基等を含んでいてもよいものとする。
以下、「式(a)で表される構造を有するシラノール」、「式(b)で表される構造を有するヒドロシラン」、「反応工程」の条件、「式(c)で表される構造を有するオルガノシロキサン」等について詳細に説明する。
【0011】
反応工程に使用する「式(a)で表される構造を有するシラノール」の具体的種類は、特に限定されず、製造目的であるオルガノシロキサンに応じて適宜選択すべきであるが、下記式(A-1)~(A-5)の何れかで表される化合物が挙げられる。以下、「式(A-1)~(A-5)の何れかで表される化合物」について詳細に説明する。
【化10】
(式(A-1)~(A-5)中、R
1はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、R
2はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20のn価の炭化水素基を、R
3はそれぞれ独立してヒドロキシル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、nは2~10の整数を表す。)
式(A-1)~(A-5)中のR
1は、それぞれ独立して「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基」を表しているが、「炭化水素基」は、分岐構造、環状構造、及び炭素-炭素不飽和結合(炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合)のそれぞれを有していてもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよいものとする。
また、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」とは、炭化水素基の水素原子がヘテロ原子、即ち、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等を含む1価の官能基で置換されていてもよいほか、炭化水素基の炭素骨格内部の炭素原子が窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含む2価以上の官能基(連結基)で置換されていてもよいことを意味する。
R
1の炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、R
1が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R
1に含まれる官能基や連結基としては、アミノ基(-N<)、エーテル基(オキサ基、-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
R
1としては、メチル基(-CH
3,-Me)、エチル基(-C
2H
5,-Et)、n-プロピル基(-
nC
3H
7,-
nPr)、i-プロピル基(-
iC
3H
7,-
iPr)、n-ブチル基(-
nC
4H
9,-
nBu)、t-ブチル基(-
tC
4H
9,-
tBu)、n-ペンチル基(-
nC
5H
11)、n-ヘキシル基(-
nC
6H
13,-
nHex)、シクロヘキシル基(-
cC
6H
11,-Cy)、アリル基(-CH
2CH=CH
2)、ビニル基(-CH=CH
2)、フェニル基(-C
6H
5,-Ph)等が挙げられる。
【0012】
式(A-5)中のR2は、「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20のn価の炭化水素基」を表しているが、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」はR1の場合と同義であり、「n価の炭化水素基」はn個の結合位置を有する炭化水素基を意味する。
R2の炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、R2が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R2に含まれる官能基や連結基としては、アミノ基(-N<)、エーテル基(オキサ基、-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
R2としては、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-C2H4-)、n-プロピレン基(-nC3H6-)、i-プロピレン基(-iC3H6-)、n-ブチレン基(-nC4H8-)、n-ペンチレン基(-nC5H10-)、n-ヘキシレン基(-nC6H12-)、フェニレン基(-C6H4-)等が挙げられる。
【0013】
式(A-5)中のR3は、それぞれ独立して「ヒドロキシル基」、又は「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基」を表しているが、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」はR1の場合と同義である。
R3が炭化水素基である場合の炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、R3が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R3に含まれる官能基や連結基としては、アミノ基(-N<)、ヒドロキシル基(-OH)、エーテル基(オキサ基、-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
R3としては、ヒドロキシル基(-OH)、メチル基(-CH3,-Me)、エチル基(-C2H5,-Et)、n-プロピル基(-nC3H7,-nPr)、i-プロピル基(-iC3H7,-iPr)、n-ブチル基(-nC4H9,-nBu)、t-ブチル基(-tC4H9,-tBu)、n-ペンチル基(-nC5H11)、n-ヘキシル基(-nC6H13,-nHex)、シクロヘキシル基(-cC6H11,-Cy)、アリル基(-CH2CH=CH2)、ビニル基(-CH=CH2)、フェニル基(-C6H5,-Ph)等が挙げられる。
【0014】
式(a)で表される構造を有するシラノールとしては、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【化11】
【0015】
反応工程に使用する「式(b)で表される構造を有するヒドロシラン」の具体的種類は、特に限定されず、製造目的であるオルガノシロキサンに応じて適宜選択すべきであるが、下記式(B-1)~(B-6)の何れかで表される化合物が挙げられる。以下、「式(B-1)~(B-6)の何れかで表される化合物」について詳細に説明する。
【化12】
(式(B-1)~(B-6)中、R
4はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
式(B-1)~(B-6)中のR
4は、「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基」を表しているが、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」はR
1の場合と同義である。
R
4の炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、R
4が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R
4に含まれる官能基や連結基としては、アミノ基(-N<)、エーテル基(オキサ基、-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
R
4としては、メチル基(-CH
3,-Me)、エチル基(-C
2H
5,-Et)、n-プロピル基(-
nC
3H
7,-
nPr)、i-プロピル基(-
iC
3H
7,-
iPr)、n-ブチル基(-
nC
4H
9,-
nBu)、t-ブチル基(-
tC
4H
9,-
tBu)、n-ペンチル基(-
nC
5H
11)、n-ヘキシル基(-
nC
6H
13,-
nHex)、シクロヘキシル基(-
cC
6H
11,-Cy)、アリル基(-CH
2CH=CH
2)、ビニル基(-CH=CH
2)、フェニル基(-C
6H
5,-Ph)、4-メチルフェニル基(-C
6H
4CH
3)等が挙げられる。
【0016】
式(B-1)~(B-6)中のRは、それぞれ独立して「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基」、又は「-SiR’3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)」を表しているが、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」はR1の場合と同義であり、3つの炭化水素基R’はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
「-SiR’3」は好ましくはトリアルキルシリル基であり、「トリアルキルシリル基」の「アルキル」は直鎖状のアルキル基に限られず、分岐構造、環状構造のシクロアルキル基を含むことを意味する。
Rの炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、Rが芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。また、R’の炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、R’が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
Rに含まれる官能基や連結基としては、アミノ基(-N<)、エーテル基(オキサ基、-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
Rとしては、メチル基(-CH3,-Me)、エチル基(-C2H5,-Et)、n-プロピル基(-nC3H7,-nPr)、i-プロピル基(-iC3H7,-iPr)、n-ブチル基(-nC4H9,-nBu)、t-ブチル基(-tC4H9,-tBu)、n-ペンチル基(-nC5H11)、n-ヘキシル基(-nC6H13,-nHex)、シクロヘキシル基(-cC6H11,-Cy)、アリル基(-CH2CH=CH2)、ビニル基(-CH=CH2)、フェニル基(-C6H5,-Ph)、トリメチルシリル基(-SiMe3,TMS)、トリエチルシリル基(-SiEt3,TES)、t-ブチルジメチルシリル基(-Si(CH3)2C(CH3)3,TBDMS)、トリフェニルシリル基(-Si(C6H5)3,-SiPh3,TPhS)等が挙げられる。
【0017】
式(b)で表される構造を有するアルコキシヒドロシランとしては、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【化13】
式(b)で表される構造を有するトリオルガノシロキシヒドロシランとしては、具体的には、トリス(トリメチルシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0018】
反応工程における「式(b)で表される構造を有するヒドロシラン」の使用量は、「式(a)で表される構造を有するシラノール」のシラノール基に対して物質量換算で、通常0.5当量以上、好ましくは0.75当量以上、より好ましくは1当量以上であり、通常5当量以下、好ましくは4当量以下、より好ましくは2当量以下である。前記範囲内であると、オルガノシロキサンが収率良く生成し易くなる。
【0019】
反応工程で使用する「銅錯体」の具体的種類は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
銅錯体の銅原子(Cu)の酸化数は、通常0、+1、+2、+3、+4であるが、好ましくは+1である。
銅錯体の配位子若しくは対イオン、又はこれらになり得る化合物としては、下記式(P-1)~(P-4)の何れかで表される化合物、下記式(I)で表される化合物、ヒドリドイオン(H
-)、塩化物イオン(Cl
-)、臭化物イオン(Br
-)、酢酸イオン(AcO
-)等が挙げられる。以下、「式(P-1)~(P-4)の何れかで表される化合物」及び「式(I)で表される化合物」について詳細に説明する。
【化14】
(式(P-1)~(P-4)中、R
5はそれぞれ独立して水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、R
6はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~30のh価の炭化水素基を、R
7はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の2価の炭化水素基を、R
8はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、hは2~10の整数を、iは1~3の整数を、jはそれぞれ独立して0~4の整数を表す。但し、R
5の2以上が炭化水素基である場合、R
5の2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよく、jが2以上の整数である場合、R
8の2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
【化15】
(式(I)中、R
9はそれぞれ独立して水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、R
10はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、kは0~2の整数を表す。但し、k=2である場合、R
10の2つの炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
【0020】
式(P-1)~(P-4)中のR5は、それぞれ独立して「水素原子」、又は「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基」を表しているが、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」はR1の場合と同義である。また、「R5の2以上が炭化水素基である場合、R5の2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよ」いとは、例えば、1個のP原子に結合する2個のR5が連結してシクロヘプタン構造、シクロヘプテン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘキセン構造等を形成していることが挙げられる。
R5の炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、R5が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R5に含まれる官能基や連結基としては、エーテル基(オキサ基、-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
R5としては、水素原子、メチル基(-CH3,-Me)、エチル基(-C2H5,-Et)、n-プロピル基(-nC3H7,-nPr)、i-プロピル基(-iC3H7,-iPr)、n-ブチル基(-nC4H9,-nBu)、t-ブチル基(-tC4H9,-tBu)、n-ペンチル基(-nC5H11)、n-ヘキシル基(-nC6H13,-nHex)、シクロヘキシル基(-cC6H11,-Cy)、フェニル基(-C6H5,-Ph)等が挙げられる。
【0021】
式(P-2)中のR6は、「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~30のh価の炭化水素基」を表しているが、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」は、R1の場合と同義であり、「h価の炭化水素基」とは、h個の結合部位を有する炭化水素基を意味する。
R6の炭化水素基の炭素原子数は、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下であり、R6が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R6に含まれる官能基や連結基としては、エーテル基(オキサ基、-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
R6としては、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-C2H4-)、n-プロピレン基(-C3H6-)、n-ブチレン基(-C4H8-)、n-ペンチレン基(-C5H10-)、n-ヘキシレン基(-C6H12-)、フェニレン基(-C6H4-)、ビナフチル基等が挙げられる。
【0022】
式(P-3)中のR7は、それぞれ独立して「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の2価の炭化水素基」を表しているが、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」は、R1の場合と同義であり、「2価の炭化水素基」とは、2つの結合部位を有する炭化水素基を意味する。
R7の炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、R7が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R7に含まれる官能基や連結基としては、エーテル基(オキサ基、-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
R7としては、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-C2H4-)、n-プロピレン基(-C3H6-)、n-ブチレン基(-C4H8-)、n-ペンチレン基(-C5H10-)、n-ヘキシレン基(-C6H12-)、フェニレン基(-C6H4-)、ビナフチル基等が挙げられる。
【0023】
式(P-4)中のR8は、それぞれ独立して「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基」を表しているが、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」はR1の場合と同義である。また、「R8の2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい」とは、2個のR8が連結してシクロヘプタン構造、シクロヘプテン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘキセン構造等を形成していることが挙げられる。
R8の炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、R8が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R8に含まれる官能基や連結基としては、エーテル基(オキサ基、-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
R8としては、メチル基(-CH3,-Me)、エチル基(-C2H5,-Et)、n-プロピル基(-nC3H7,-nPr)、i-プロピル基(-iC3H7,-iPr)、n-ブチル基(-nC4H9,-nBu)、t-ブチル基(-tC4H9,-tBu)、n-ペンチル基(-nC5H11)、n-ヘキシル基(-nC6H13,-nHex)、シクロヘキシル基(-cC6H11,-Cy)、フェニル基(-C6H5,-Ph)等が挙げられる。
【0024】
式(P-1)~(P-4)の何れかで表される化合物としては、トリフェニルホスフィン(PPh
3)、トリ-n-ブチルホスフィン(P
nBu
3)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy
3)、ジシクロヘキシル(フェニル)ホスフィン(PCy
2Ph)、シクロヘキシルジ(フェニル)ホスフィン(PCyPh
2)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)、1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(dCypb)、1,1’-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン(d
iPrpf)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(Xantphos)、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)ベンゼン(DPB)、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)、1,1,1-トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン(Triphos A)、ビス(2-ジフェニルホスフィンエチル)フェニルホスフィン(Triphos B)等が挙げられる(下記式参照。)。
【化16】
【0025】
式(I)中のR9は、それぞれ独立して「水素原子」、又は「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基」を表しているが、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」はR1の場合と同義である。
R9の炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、R9が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R9に含まれる官能基や連結基としては、エーテル基(オキサ基、-O-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
R9としては、水素原子、メチル基(-CH3,-Me)、エチル基(-C2H5,-Et)、n-プロピル基(-nC3H7,-nPr)、i-プロピル基(-iC3H7,-iPr)、n-ブチル基(-nC4H9,-nBu)、t-ブチル基(-tC4H9,-tBu)、n-ペンチル基(-nC5H11)、n-ヘキシル基(-nC6H13,-nHex)、シクロヘキシル基(-cC6H11,-Cy)、フェニル基(-C6H5,-Ph)、2,6-ジイソプロピルフェニル基等が挙げられる。
【0026】
式(I)中のR10は、それぞれ独立して「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基」を表しているが、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」と「炭化水素基」はR1の場合と同義である。また、「k=2である場合、R10の2つの炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい」とは、2個のR10が連結してシクロヘプタン構造、シクロヘプテン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘキセン構造等を形成していることが挙げられる。
R10の炭化水素基の炭素原子数は、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下であり、R10が芳香族炭化水素基の場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R10に含まれる官能基や連結基としては、エーテル基(オキサ基、-O-)、フルオロ基(フッ素原子,-F)、クロロ基(塩素原子,-Cl)、ブロモ基(臭素原子,-Br)、ヨード基(ヨウ素原子,-I)等が挙げられる。
R10としては、メチル基(-CH3,-Me)、エチル基(-C2H5,-Et)、n-プロピル基(-nC3H7,-nPr)、i-プロピル基(-iC3H7,-iPr)、n-ブチル基(-nC4H9,-nBu)、t-ブチル基(-tC4H9,-tBu)、n-ペンチル基(-nC5H11)、n-ヘキシル基(-nC6H13,-nHex)、シクロヘキシル基(-cC6H11,-Cy)、フェニル基(-C6H5,-Ph)等が挙げられる。
【0027】
式(I)で表される化合物としては、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド(IPr)のカルベン体(N-ヘテロ環式カルベン(NHC))、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロリド(SIPr)のカルベン体(N-ヘテロ環式カルベン(NHC))等が挙げられる(下記式参照。)。
【化17】
銅錯体としては、具体的には、例えば、塩化銅(I)(CuCl)、酢酸銅(I)(CuOAc)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー([(PPh
3)CuH]
6)が挙げられ、好ましくは酢酸銅(I)(CuOAc)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー([(PPh
3)CuH]
6)であり、より好ましくは、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー([(PPh
3)CuH]
6)である。
なお、反応工程において、銅錯体を反応器に直接投入するほか、銅元素を含む前駆体と配位子若しくは対イオンとなり得る化合物を添加剤として投入して、反応器内で目的の配位子を有する銅錯体を形成させてもよい。その結果、形成した銅錯体は複数の構造をとることもある。
具体的には、例えば、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマーを反応器に入れ、その後、トリ-n-ブチルホスフィンをそこに添加して、目的の銅錯体を形成する方法が挙げられる。なお、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマーのような銅錯体は、銅元素を含む前駆体として用いることも出来る。
銅元素を含む前駆体としては、例えば、銅錯体で例示した化合物が挙げられ、好ましくは、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマーが挙げられる。
また、銅元素を含む前駆体と配位子の組み合わせとしては特に限定されないが、好ましくは、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマーと、上記式(P-1)~(P-4)の何れかで表される化合物との組み合わせであり、より好ましくは、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマーと、トリフェニルホスフィン(PPh
3)、トリ-n-ブチルホスフィン(P
nBu
3)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy
3)、ジシクロヘキシル(フェニル)ホスフィン(PCy
2Ph)、シクロヘキシルジ(フェニル)ホスフィン(PCyPh
2)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)、1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(dCypb)、1,1’-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン(d
iPrpf)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(Xantphos)、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)ベンゼン(DPB)、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)、1,1,1-トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン(Triphos A)、及びビス(2-ジフェニルホスフィンエチル)フェニルホスフィン(Triphos B)からなる群より選ばれる配位子との組み合わせが挙げられる。
【0028】
反応工程における「銅錯体」の使用量(仕込量)は、「式(a)で表される構造を有するシラノール」に対して物質量換算で、通常0.00001当量(0.001mol%)以上、好ましくは0.0001当量以上、より好ましくは0.001当量以上であり、通常0.50当量以下、好ましくは0.30当量以下、より好ましくは0.10当量以下である。前記範囲内であると、オルガノシロキサンが収率良く生成し易くなる。
反応器内で目的の銅錯体を形成させる場合の配位子(添加剤)の使用量(仕込量)は、銅元素を含む前駆体の銅(Cu)原子1個に対して物質量換算で、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、通常10当量以下、好ましくは5当量以下、より好ましくは3当量以下である。前記範囲内であると、オルガノシロキサンが収率良く生成し易くなる。
【0029】
反応工程は、溶媒を使用しても、無溶媒であってもよい。溶媒を使用する場合の溶媒の種類は、特に限定されないが、原料や触媒が反応しない化合物であるヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒等が挙げられる。
【0030】
反応工程の反応温度は、通常-80℃以上、好ましくは0℃以上、通常200℃以下、好ましくは100℃以下である。
反応工程の反応時間は、通常96時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下、特に好ましくは16時間以下である。
反応工程は、通常窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行う。
前記範囲内であると、オルガノシロキサンがより収率良く生成し易くなる。
【0031】
反応工程によって生成するオルガノシロキサンの具体的種類は、特に限定されず、製造目的に応じて適宜選択することができるが、1つのケイ素原子に3つのアルコキシ基が結合している下記式(C-1)~(C-4)の何れかで表される化合物が挙げられる。
【化18】
(式(C-1)~(C-4)中、R
1はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
なお、R
1、Rは、「式(a)で表される構造を有するシラノール」、「式(b)で表される構造を有するヒドロシラン」のものと同義である。
【0032】
<オルガノシロキサン>
反応工程によって式(C-1)~(C-4)の何れかで表される化合物が生成することを前述したが、下記式(C-1)~(C-4)の何れかで表されるオルガノシロキサンも本発明の一態様である。
【化19】
(式(C-1)~(C-4)中、R
1はそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基、又は-SiR’
3(R’はそれぞれ独立して炭素数1~20の炭化水素基)を表す。)
なお、R
1、Rは、「式(a)で表される構造を有するシラノール」、「式(b)で表される構造を有するヒドロシラン」のものと同義である。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0034】
<実施例1>
反応容器にトリエチルシラノール(66.1mg、0.5mmol)、トリエトキシシラン(82.1mg、0.5mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(9.8mg、0.005mmol)、トルエン(1mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。下記生成物(Product)の収率は37%であった。
生成物の収率はフェニルトリメチルシラン(60.1mg、0.4mmol)を内部標準として用いた29Si-NMRで求めた。結果を表1に示す。
【0035】
<実施例2>
さらにトリフェニルホスフィン(PPh3)を0.03mmol添加した以外、実施例1と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表1に示す。
【0036】
<実施例3>
トリフェニルホスフィン(PPh3)の添加量を0.06mmolに変更した以外、実施例2と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表1に示す。
【0037】
<実施例4>
トリフェニルホスフィン(PPh3)の添加量を0.09mmolに変更した以外、実施例2と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表1に示す。
【0038】
<実施例5>
さらにトリ-n-ブチルホスフィン(PnBu3)を0.03mmol添加した以外、実施例1と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表1に示す。
【0039】
<実施例6>
トリ-n-ブチルホスフィン(PnBu3)の添加量を0.06mmolに変更した以外、実施例5と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表1に示す。
【0040】
<実施例7>
トリ-n-ブチルホスフィン(PnBu3)の添加量を0.09mmolに変更した以外、実施例5と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表1に示す。
【0041】
<実施例8>
トリ-n-ブチルホスフィン(PnBu3)添加量を0.15mmolに変更した以外、実施例5と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表1に示す。
【0042】
【0043】
【0044】
<実施例9>
トリフェニルホスフィン(PPh3)をトリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)に変更した以外、実施例3と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表2に示す。
【0045】
<実施例10>
トリフェニルホスフィン(PPh3)をジシクロヘキシル(フェニル)ホスフィン(PCy2Ph)に変更した以外、実施例3と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表2に示す。
【0046】
<実施例11>
トリフェニルホスフィン(PPh3)をシクロヘキシルジ(フェニル)ホスフィン(PCyPh2)に変更した以外、実施例3と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表2に示す。
【0047】
<実施例12>
トリフェニルホスフィン(PPh3)を1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド(IPr)に変更した以外、実施例3と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表2に示す。
【0048】
<実施例13>
トリフェニルホスフィン(PPh3)を1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロリド(SIPr)に変更した以外、実施例3と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表2に示す。
【0049】
【0050】
【0051】
<実施例14>
反応容器にトリエチルシラノール(66.1mg、0.5mmol)、トリエトキシシラン(82.1mg、0.5mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(9.8mg、0.005mmol)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)(12mg、0.003mmol)、トルエン(1mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。下記生成物(Product)の収率は78%であった。
生成物の収率はフェニルトリメチルシラン(60.1mg、0.4mmol)を内部標準として用いた29Si-NMRで求めた。結果を表3に示す。
【0052】
<実施例15>
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)を1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)に変更した以外、実施例14と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表3に示す。
【0053】
<実施例16>
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)を1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)に変更した以外、実施例14と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表3に示す。
【0054】
<実施例17>
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)を1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(dCypb)に変更した以外、実施例14と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表3に示す。
【0055】
<実施例18>
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)を1,1’-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン(diPrpf)に変更した以外、実施例14と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表3に示す。
【0056】
<実施例19>
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)を4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(Xantphos)に変更した以外、実施例14と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表3に示す。
【0057】
<実施例20>
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)を1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)ベンゼン(DPB)に変更した以外、実施例14と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表3に示す。
【0058】
<実施例21>
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)を2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)に変更した以外、実施例14と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表3に示す。
【0059】
<実施例22>
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)を1,1,1-トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン(Triphos A)に変更した以外、実施例14と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表3に示す。
【0060】
<実施例23>
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)をビス(2-ジフェニルホスフィンエチル)フェニルホスフィン(Triphos B)に変更した以外、実施例14と同様の方法により、反応を行った。生成物(Product)等の収率を表3に示す。
【0061】
【0062】
【0063】
<実施例24>
【化23】
トリエチルシラノール(264.6mg、2.0mmol)、トリエトキシシラン(328.8mg、2.0mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(39.2mg、0.02mmol)、dppp(49.5mg、0.12mmol)、トルエン(4mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、クーゲルロールで生成物を蒸留精製し、化合物の同定を
1H-NMR、
13C-NMR、
29Si-NMRおよびGC-MSを用いて行った。上記の化合物の単離収率55%であった。
δ
H (600 MHz; d-benzene)
3.86 (q, 6H, J = 7.0 Hz, SiOCH
2CH
3), 1.19 (t, 9H, J = 7.0 Hz, SiOCH
2CH
3), 1.08 (t, 9H, J = 8.0 Hz, SiCH
2CH
3), 0.68 (q, 6H, J = 7.9 Hz, SiCH
2CH
3)
δ
C (150 MHz; d-benzene)
59.5, 18.8, 7.28, 6.8
δ
Si (119 MHz; d-benzene)
12.8 (Et
3Si), -86.7 (Si(OEt)
3)
【0064】
<実施例25>
【化24】
tert-ブチルジメチルシラノール(264.6mg、2.0mmol)、トリエトキシシラン(328.8mg、2.0mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(39.2mg、0.02mmol)、dppp(49.5mg、0.12mmol)、トルエン(4mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、アセトニトリル(10mL)とヘキサン(20mL)で分液抽出し、ヘキサン層を回収し濃縮することで生成物の単離を行った。化合物の同定は
1H-NMR、
13C-NMR、
29Si-NMRおよびGC-MSを用いて行った。上記の化合物の単離収率74%であった。
δ
H (600 MHz; d-benzene)
3.85-7.87 (q, 6H, J = 7.0 Hz, SiOCH
2CH
3), 1.18 (t, 9H, J = 7.0 Hz, SiOCH
2CH
3), 1.02 (s, 9H, (CH
3)
2SiC(CH
3)
3), 0.19 (s, 6H, (CH
3)
2SiC(CH
3)
3)
δ
C (150 MHz; d-benzene)
59.5, 26.2, 18.8, 2.7
δ
Si (119 MHz; d-benzene)
13.3 ((CH
3)
2SiC(CH
3)
3), -86.7 (Si(OEt)
3)
【0065】
<実施例26>
【化25】
トリフェニルシラノール(829.2mg、3.0mmol)、トリエトキシシラン(492.8mg、3.0mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(29.4mg、0.015mmol)、Xantphos(52.1mg、0.09mmol)、トルエン(3mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、ODSカラムで中圧分取液体クロマトグラフ(展開溶媒はアセトニトリルを使用)で生成物を分離し単離を行った。化合物の同定は
1H-NMR、
13C-NMR、
29Si-NMRおよびGC-MSを用いて行った。上記の化合物の単離収率92%であった。
δ
H (600 MHz; d-benzene)
7.85-7.87 (m, 6H, SiPh), 7.16-7.20 (m, 9H, SiPh), 3.81 (q, 6H, J = 7.0 Hz, SiOCH
2CH
3), 1.09 (t, 9H, J = 7.0 Hz, SiOCH
2CH
3)
δ
C (150 MHz; d-benzene)
136.3, 135.9, 130.6, 128.5, 59.7, 18.61
δ
Si (119 MHz; d-benzene)
-18.9 (SiPh
3), -87.0 (Si(OEt)
3)
【0066】
<実施例27>
【化26】
ジフェニルシランジオール(226.4mg、1.0mmol)、トリイソプロポキシシシラン(412.7mg、2.0mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(39.2mg、0.02mmol)、Xantphos(69.4mg、0.12mmol)、トルエン(4mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、アセトニトリル(10mL)とヘキサン(20mL)で分液抽出し、ヘキサン層を回収し濃縮することで生成物の単離を行った。化合物の同定は
1H-NMR、
13C-NMR、
29Si-NMRおよびGC-MSを用いて行った。上記の化合物の単離収率76%であった。
δ
H (600 MHz; d-benzene)
7.82 (s, 4H, SiC
6H
4Si), 4.31 (septet, 6H, J = 6.1 Hz, Si(OCH(CH
3)
2)
3, 1.22 (d, 36H,
3J (H-H) = 6.1 Hz, Si(OCH(CH
3)
2)
3), 0.49 (s, 12H, SiMe
2)
δ
C (150 MHz; d-benzene)
141.2, 133.2, 66.3, 26.0, 1.1
δ
Si (119 MHz; d-benzene)
0.0 (SiC
6H
4Si), -89.5 (Si(O
iPr)
3)
【0067】
<実施例28>
【化27】
ジフェニルシランジオール(216.3mg、1.0mmol)、トリイソプロポキシシシラン(412.7mg、2.0mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(39.2mg、0.02mmol)、Xantphos(69.4mg、0.12mmol)、トルエン(4mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、アセトニトリル(10mL)とヘキサン(20mL)で分液抽出し、ヘキサン層を回収し濃縮することで生成物の単離を行った。化合物の同定は
1H-NMR、
13C-NMR、
29Si-NMRおよびGC-MSを用いて行った。上記の化合物の単離収率72%であった。
δ
H (600 MHz; d-benzene)
8.07-8.08 (m, 4H, SiPh
2), 7.25-7.27 (m, 4H, SiPh
2), 7.19-7.22 (m, 2H, SiPh
2), 4. 37 (septet, 6H, J = 6.1 Hz, Si(OCH(CH
3)
2)
3, 1.23 (d, 36H,
3J (H-H) = 6.1 Hz, Si(OCH(CH
3)
2)
3)
δ
C (150 MHz; d-benzene)
136.2, 135.5, 130.7, 128.7, 66.5, 25.9
δ
Si (119 MHz; d-benzene)
-46.9 (SiPh
2)), -91.2 (Si(O
iPr)
3)
【0068】
<実施例29>
【化28】
フェニルシラントリオール(156.2mg、1.0mmol)、トリイソプロポキシシシラン(619,1mg、3.0mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(49.0mg、0.025mmol)、Xantphos(86.8mg、0.15mmol)、トルエン(5mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、アセトニトリル(10mL)とヘキサン(20mL)で分液抽出し、ヘキサン層を回収し濃縮することで生成物の単離を行った。化合物の同定は
1H-NMR、
13C-NMR、
29Si-NMRおよびGC-MSを用いて行った。上記の化合物の単離収率61%であった。
δ
H (600 MHz; d-benzene)
8.20-8.21 (m, 2H, SiPh), 7.23-7.30 (m, 2H, SiPh), 7.20-7.22 (m, 1H, SiPh), 4.43 (septet, 9H, J = 6.1 Hz, Si(OCH(CH
3)
2)
3, 1.29 (d, 54H,
3J (H-H) = 6.1 Hz, Si(OCH (CH
3)
2)
3)
δ
C (150 MHz; d-benzene)
135.5, 130.7, 128.7, 127.9, 66.3, 26.0
δ
Si (119 MHz; d-benzene)
-82.0 (SiPh), -91.9 (Si(O
iPr)
3)
【0069】
<実施例30>
【化29】
トリフェニルシラノール(552.8mg、2.0mmol)、ジエトキシメチルシラン(268.5mg、2.0mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(39.2mg、0.02mmol)、Xantphos(69.4mg、0.12mmol)、トルエン(4mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、ODSカラムで中圧分取液体クロマトグラフ(展開溶媒はアセトニトリルを使用)で生成物を分離し単離を行った。化合物の同定は
1H-NMR、
13C-NMR、
29Si-NMRおよびGC-MSを用いて行った。上記の化合物の単離収率69%であった。
δ
H (600 MHz; d-benzene)
7.81-7.82 (m, 6H, SiPh), 7.19-7.21 (m, 9H, SiPh), 3.69-3.76 (m, 4H, SiOCH
2CH
3), 1.08 (t, 6H, J = 7.0 Hz, SiOCH
2CH
3), 0.18 (s, 3H, SiCH
3)
δ
C (150 MHz; d-benzene)
136.5, 135.8, 130.6, 128.6, 58.7, 18.7, 4.6
δ
Si (119 MHz; d-benzene)
-19.7 (SiPh
3), -49.5 (Si(OEt)
2Me)
【0070】
<実施例31>
【化30】
トリフェニルシラノール(552.8mg、2.0mmol)、エトキシジメチルシラン(208.4mg、2.0mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(39.2mg、0.02mmol)、Xantphos(69.4mg、0.12mmol)、トルエン(4mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、ODSカラムで中圧分取液体クロマトグラフ(展開溶媒はアセトニトリルを使用)で生成物を分離し単離を行った。化合物の同定は
1H-NMR、
13C-NMR、
29Si-NMRおよびGC-MSを用いて行った。上記の化合物の単離収率81%であった。
δ
H (600 MHz; d-benzene)
7.76-7.77 (m, 6H, SiPh), 7.19-7.20 (m, 9H, SiPh), 3.61 (q, 2H, J = 7.0 Hz, SiOCH
2CH
3), 1.06 (t, 3H, J = 7.0 Hz, SiOCH
2CH
3), 0.16 (s, 6H, SiMe
2)
δ
C (150 MHz; d-benzene)
136.7, 135.8, 130.5, 128.7, 58.5, 18.9, -0.3
δ
Si (119 MHz; d-benzene)
-11.0 (Si(OEt)Me
2), -20.2 (SiPh
3)
【0071】
<実施例32>
【化31】
トリフェニルシラノール(276.4mg、1.0mmol)、トリス(トリメチルシロキシ)シラン(296.7mg、1.0mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(39.2mg、0.01mmol)、Xantphos(69.4mg、0.06mmol)、トルエン(2mL)を加え、アルゴン雰囲気下、40℃、16時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、リサイクル分取HPLCで生成物を分離し単離を行った。化合物の同定は
1H-NMR、
13C-NMR、
29Si-NMRおよびGC-MSを用いて行った。上記の化合物の単離収率83%であった。
δ
H (600 MHz; d-benzene)
7.82-7.84 (m, 6H, SiPh), 7.20-7.24 (m, 9H, SiPh), 0.14 (s, 27H, Si(OSiMe
3)
3)
δ
C (150 MHz; d-benzene)
136.5, 136.0, 130.5, 128.4, 2.0
δ
Si (119 MHz; d-benzene)
9.5 (Si(OSiMe
3)
3), -20.0 (SiPh
3), -104.7 (Si(OSiMe
3)
3)
【0072】
<実施例33>
【化32】
ジフェニルシランジオール(216.3mg、1.0mmol)、トリエトキシシラン(328.8mg、2.0mmol)、水素化(トリフェニルホスフィン)銅ヘキサマー(39.2mg、0.02mmol)、Xantphos(69.4mg、0.12mmol)、トルエン(4mL)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、16時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、リサイクル分取HPLCで生成物を分離し単離を行った。化合物の同定は
1H-NMR、
13C-NMR、
29Si-NMRおよびGC-MSを用いて行った。上記の化合物の単離収率71%であった。
δ
H (600 MHz; d-benzene)
8.02-8.04 (m, 4H, SiPh
2), 7.19-7.25 (m, 6H, SiPh
2), 3.89 (q, 12H, J = 7.0 Hz, Si (OCH
2CH
3)
3), 1.16 (t, 18H, J = 7.0 Hz, Si(OCH
2CH
3)
3)
δ
C (150 MHz; d-benzene)
135.8, 135.2, 130.8, 128.7, 59.7, 18.6
δ
Si (119 MHz; d-benzene)
-46.3 (SiPh
2)), -88.0 (Si(OEt)
3)
【0073】
【0074】
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の製造方法によって製造されたオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンゴム、有機無機ハイブリッド素材等の原料として使用することができる。