(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】研磨装置および研磨方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/30 20120101AFI20221117BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221117BHJP
B24B 37/32 20120101ALI20221117BHJP
【FI】
B24B37/30 E
H01L21/304 622K
B24B37/32 Z
(21)【出願番号】P 2018244440
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】富樫 真吾
(72)【発明者】
【氏名】福島 誠
(72)【発明者】
【氏名】並木 計介
(72)【発明者】
【氏名】鍋谷 治
(72)【発明者】
【氏名】山木 暁
(72)【発明者】
【氏名】大和田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 良和
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-510336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0324012(US,A1)
【文献】米国特許第06110025(US,A)
【文献】特開2015-233131(JP,A)
【文献】特開2014-004675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/30
H01L 21/304
B24B 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨面を有する研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、
基板を前記研磨面に押し付けるための押圧面を有する回転可能なヘッド本体と、
前記押圧面を囲むように配置され、かつ前記ヘッド本体と共に回転しながら前記研磨面を押し付けるためのリテーナリングと、
前記リテーナリングに固定され、前記リテーナリングと共に回転可能な回転リングと、
前記回転リング上に配置された静止リングと、
前記静止リングに局所荷重を加える複数の局所荷重付与装置とを備え、
前記複数の局所荷重付与装置は、前記静止リングに連結された第1押圧部材および第2押圧部材と、前記第1押圧部材および前記第2押圧部材にそれぞれ連結された第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを備え、
前記第1押圧部材は、前記研磨面の進行方向において前記リテーナリングの上流側に配置され、前記第2押圧部材は、前記研磨面の前記進行方向において前記リテーナリングの下流側に配置されており、
前記第1押圧部材および前記第2押圧部材は、前記リテーナリングの中心と前記研磨テーブルの中心とを通る基準直線と垂直に交わりかつ前記リテーナリングの中心を通る直線上に配置されている、研磨装置。
【請求項2】
研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させ、
押圧面を有するヘッド本体を回転させながら、前記押圧面で基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付け、
前記基板を囲むように配置されたリテーナリングを、前記ヘッド本体および前記基板と共に回転させながら前記研磨面に押し付け、
前記リテーナリングに固定された回転リングを前記リテーナリングと共に回転させながら、かつ第1押圧部材または第2押圧部材から前記回転リング上に配置された静止リングに局所荷重を加えながら前記基板を研磨する工程を含み、
前記第1押圧部材は、前記研磨面の進行方向において前記リテーナリングの上流側に配置され、前記第2押圧部材は、前記研磨面の前記進行方向において前記リテーナリングの下流側に配置されており、
前記第1押圧部材および前記第2押圧部材は、前記リテーナリングの中心と前記研磨テーブルの中心とを通る基準直線と垂直に交わりかつ前記リテーナリングの中心を通る直線上に配置されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハなどの基板を研磨する研磨装置に関し、特に基板を囲むリテーナリングを備えた研磨装置に関する。また、本発明は、そのような研磨装置を用いてウェーハなどの基板を研磨する研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積化・高密度化に伴い、回路の配線がますます微細化し、多層配線の層数も増加している。回路の微細化を図りながら多層配線を実現しようとすると、下側の層の表面凹凸を踏襲しながら段差がより大きくなるので、配線層数が増加するに従って、薄膜形成における段差形状に対する膜被覆性(ステップカバレッジ)が悪くなる。したがって、多層配線するためには、このステップカバレッジを改善し、然るべき過程で平坦化処理しなければならない。また光リソグラフィの微細化とともに焦点深度が浅くなるため、半導体デバイスの表面の凹凸段差が焦点深度以下に収まるように半導体デバイス表面を平坦化処理する必要がある。
【0003】
従って、半導体デバイスの製造工程においては、半導体デバイス表面の平坦化がますます重要になっている。この表面の平坦化において最も重要な技術は、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)である。この化学機械研磨(以下、CMPという)は、シリカ(SiO2)等の砥粒を含んだ研磨液(スラリー)を研磨パッドの研磨面上に供給しつつウェーハなどの基板を研磨面に摺接させて研磨を行うものである。
【0004】
CMPを行うための研磨装置は、研磨面を有する研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板を保持するための研磨ヘッドを備えている。このような研磨装置を用いた基板の研磨は次のようにして行われる。研磨テーブルを研磨パッドとともに回転させながら、研磨パッド上にスラリーを供給する。研磨ヘッドは基板を回転させながら、該基板を研磨パッドの研磨面に対して押し付ける。基板はスラリーの存在下で研磨パッドに摺接されながら、基板の表面は、スラリーの化学的作用と、スラリーに含まれる砥粒の機械的作用との組み合わせにより平坦化される。
【0005】
基板の研磨中、基板の表面は回転する研磨パッドに摺接されるため、基板には摩擦力が作用する。そこで、基板の研磨中に基板が研磨ヘッドから外れないようにするために、研磨ヘッドはリテーナリングを備えている。このリテーナリングは、基板を囲むように配置されており、基板の研磨中、リテーナリングは回転しながら基板の外側で研磨パッドを押し付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-4675号公報
【文献】特開2015-233131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、半導体デバイスやCMP工程に応じて変わりうる種々の初期膜厚プロファイルへの対応や、基板の外周縁まで平坦化することによる歩留まり向上等の理由から、基板の周縁部の研磨プロファイルをより精密に制御することへの要請が高まりつつある。
【0008】
リテーナリング全体の圧力の調整によって基板の周縁部の研磨レートを制御することは可能である。しかしながら、リテーナリング全体の圧力を変更すると、周縁部のみならず、その他の領域を含む比較的広い範囲で研磨レートが変化してしまう。したがって、この方法では、周縁部の研磨プロファイルを精密に制御することは難しい。
【0009】
そこで、本発明は、基板の周縁部の研磨プロファイルを精密に制御することができる研磨装置、およびそのような研磨装置を用いてウェーハなどの基板を研磨する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、研磨面を有する研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、基板を前記研磨面に押し付けるための押圧面を有する回転可能なヘッド本体と、前記押圧面を囲むように配置され、かつ前記ヘッド本体と共に回転しながら前記研磨面を押し付けるためのリテーナリングと、前記リテーナリングに固定され、前記リテーナリングと共に回転可能な回転リングと、前記回転リング上に配置された静止リングと、前記静止リングに局所荷重を加える複数の局所荷重付与装置とを備え、前記複数の局所荷重付与装置は、前記静止リングに連結された第1押圧部材および第2押圧部材と、前記第1押圧部材および前記第2押圧部材にそれぞれ連結された第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを備え、前記第1押圧部材は、前記研磨面の進行方向において前記リテーナリングの上流側に配置され、前記第2押圧部材は、前記研磨面の前記進行方向において前記リテーナリングの下流側に配置されており、前記第1押圧部材は、前記リテーナリングが前記基板から最も離れる位置に配置され、前記第2押圧部材は、前記リテーナリングが前記基板に接触する位置に配置されている、研磨装置が提供される。
【0011】
一態様では、前記第1押圧部材および前記第2押圧部材は、前記リテーナリングの中心と前記研磨テーブルの中心とを通る基準直線の両側に位置している。
一態様では、研磨面を有する研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、基板を前記研磨面に押し付けるための押圧面を有する回転可能なヘッド本体と、前記押圧面を囲むように配置され、かつ前記ヘッド本体と共に回転しながら前記研磨面を押し付けるためのリテーナリングと、前記リテーナリングに固定され、前記リテーナリングと共に回転可能な回転リングと、前記回転リング上に配置された静止リングと、前記静止リングに局所荷重を加える複数の局所荷重付与装置とを備え、前記複数の局所荷重付与装置は、前記静止リングに連結された第1押圧部材および第2押圧部材と、前記第1押圧部材および前記第2押圧部材にそれぞれ連結された第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを備え、前記第1押圧部材は、前記研磨面の進行方向において前記リテーナリングの上流側に配置され、前記第2押圧部材は、前記研磨面の前記進行方向において前記リテーナリングの下流側に配置されており、前記第1押圧部材および前記第2押圧部材は、前記リテーナリングの中心と前記研磨テーブルの中心とを通る基準直線と垂直に交わりかつ前記リテーナリングの中心を通る直線上に配置されている、研磨装置が提供される。
【0012】
一態様では、研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させ、押圧面を有するヘッド本体を回転させながら、前記押圧面で基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付け、前記基板を囲むように配置されたリテーナリングを、前記ヘッド本体および前記基板と共に回転させながら前記研磨面に押し付け、前記リテーナリングに固定された回転リングを前記リテーナリングと共に回転させながら、かつ第1押圧部材または第2押圧部材から前記回転リング上に配置された静止リングに局所荷重を加えながら前記基板を研磨する工程を含み、前記第1押圧部材は、前記研磨面の進行方向において前記リテーナリングの上流側に配置され、前記第2押圧部材は、前記研磨面の前記進行方向において前記リテーナリングの下流側に配置されており、前記第1押圧部材は、前記リテーナリングが前記基板から最も離れる位置に配置され、前記第2押圧部材は、前記リテーナリングが前記基板に接触する位置に配置されている、方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
研磨面の進行方向における静止リングの上流側と下流側のそれぞれに局所荷重を加えると、研磨面の一部が盛り上がり、上向きの局所反発力を発生させる。これらの局所反発力は、基板の研磨中に基板の半径方向において基板の周縁部上の異なる位置に作用する。したがって、基板の研磨レートを局所的に変化させることができる。結果として、基板の周縁部の研磨プロファイルを精密に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】リテーナリングが研磨面を押し付けているときの状態を模式的に示した縦断面図である。
【
図4】研磨中のウェーハと押圧部材との位置関係を模式的に示した上面図である。
【
図5】ウェーハと局所反発力との位置関係を模式的に示した縦断面図である。
【
図7】回転リングおよび静止リングの断面図である。
【
図8】ローラーと円環レールとを示す斜視図である。
【
図9】
図8に示すローラーと円環レールを下から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、研磨装置の一実施形態を示す模式図である。
図1に示すように、研磨装置1は、基板の一例であるウェーハを保持し回転させる研磨ヘッド10と、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、研磨パッド2に研磨液(スラリー)を供給する研磨液供給ノズル5とを備えている。研磨パッド2の上面は、ウェーハを研磨する研磨面2aを構成する。研磨パッド2は、研磨テーブル3と一体に回転するように構成されている。
【0016】
研磨ヘッド10は研磨ヘッドシャフト12の下端に連結されている。この研磨ヘッドシャフト12はヘッドアーム16により回転自在に保持されている。ヘッドアーム16内には、研磨ヘッドシャフト12を回転させる回転装置(図示せず)と、研磨ヘッドシャフト12を上昇および下降させる昇降装置(図示せず)が配置されている。研磨ヘッド10は回転装置により研磨ヘッドシャフト12を介して回転し、昇降機構により研磨ヘッド10が研磨ヘッドシャフト12を介して上昇および下降されるようになっている。ヘッドアーム16は旋回軸15に固定されており、旋回軸15の回転により研磨ヘッド10を研磨テーブル3の外側に移動させることが可能となっている。
【0017】
研磨ヘッド10は、その下面に真空吸引によりウェーハを保持できるように構成されている。研磨ヘッド10および研磨テーブル3(研磨パッド2)は、矢印で示すように同じ方向に回転し、この状態で研磨ヘッド10は、ウェーハを研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。研磨液供給ノズル5からは研磨液が研磨パッド2の研磨面2a上に供給され、ウェーハは、研磨液の存在下で研磨面2aとの摺接により研磨される。
【0018】
研磨ヘッド10は、ウェーハを研磨パッド2に対して押圧するヘッド本体11と、ウェーハを囲むように配置されたリテーナリング20とを備えている。ヘッド本体11およびリテーナリング20は、研磨ヘッドシャフト12と一体に回転するように構成されている。リテーナリング20は、ヘッド本体11とは独立して上下動可能に構成されている。リテーナリング20は、ヘッド本体11から半径方向外側に張り出している。ウェーハの研磨中、リテーナリング20は研磨パッド2の研磨面2aに接触し、回転しながらウェーハの外側で研磨パッド2を押し付ける。
【0019】
研磨ヘッド10は、内部に複数のローラー(後述する)が配置された回転リング51と、静止リング91とをさらに備えている。回転リング51は、リテーナリング20の上面に固定されており、リテーナリング20と共に回転可能に構成されている。静止リング91は、回転リング51上に配置されている。回転リング51はリテーナリング20と共に回転するが、静止リング91は回転せず、静止している。
【0020】
研磨装置1は、リテーナリング20の一部に局所荷重を加える第1局所荷重付与装置30Aと、リテーナリング20の一部に局所荷重を加える第2局所荷重付与装置30Bをさらに備えている。局所荷重付与装置30A,30Bは、リテーナリング20の上方に配置されている。局所荷重付与装置30A,30Bは、ヘッドアーム16に固定されている。研磨中のリテーナリング20はその軸心周りに回転するが、局所荷重付与装置30A,30Bはリテーナリング20とは一体に回転せず、静止している。静止リング91は、局所荷重付与装置30A,30Bに連結されている。第1局所荷重付与装置30Aは、研磨パッド2の研磨面2aの進行方向においてリテーナリング20の上流側(研磨面2aが流入するリテーナリング20の一方側)に配置されており、第2局所荷重付与装置30Bは、研磨パッド2の研磨面2aの進行方向においてリテーナリング20の下流側(研磨面2aが流出するリテーナリング20の反対側)に配置されている。
【0021】
図2は局所荷重付与装置30A,30Bを示す斜視図である。
図2に示すように、複数の局所荷重付与装置30A,30Bは、静止リング91に下向きの局所荷重を与える複数の押圧部材31A,31Bと、複数のブリッジ33A,33Bと、下向きの力を発生する複数のエアシリンダ35A,35Bと、エアシリンダ35A,35B内の圧縮気体の圧力を調節する複数の圧力レギュレータR1,R2と、複数のリニアガイド38A,38Bと、複数のガイドロッド39A,39Bと、複数のユニットベース40A,40Bとを備えている。
【0022】
具体的には、第1局所荷重付与装置30Aは、第1押圧部材31Aと、第1ブリッジ33Aと、第1エアシリンダ35Aと、第1圧力レギュレータR1と、第1リニアガイド38Aと、第1ガイドロッド39Aと、第1ユニットベース40Aとを備えている。第2局所荷重付与装置30Bは、第2押圧部材31Bと、第2ブリッジ33Bと、第2エアシリンダ35Bと、第2圧力レギュレータR2と、第2リニアガイド38Bと、第2ガイドロッド39Bと、第2ユニットベース40Bとを備えている。
【0023】
第1エアシリンダ35Aのピストンロッド36aは、第1ブリッジ33Aを介して第1押圧部材31Aに連結され、第1押圧部材31Aの端部は静止リング91に連結されている。したがって、第1エアシリンダ35Aによって発生した力は第1押圧部材31Aに伝えられ、第1押圧部材31Aは静止リング91の一部に局所荷重を加える。同様に、第2エアシリンダ35Bのピストンロッド36bは、第2ブリッジ33Bを介して第2押圧部材31Bに連結され、第2押圧部材31Bの端部は静止リング91に連結されている。したがって、第2エアシリンダ35Bによって発生した力は第2押圧部材31Bに伝えられ、第2押圧部材31Bは静止リング91の一部に局所荷重を加える。
【0024】
本実施形態では、第1エアシリンダ35Aと第1圧力レギュレータR1との組み合わせは、第1押圧部材31Aから静止リング91に加えられる局所荷重を調節する第1アクチュエータ37Aを構成し、第2エアシリンダ35Bと第2圧力レギュレータR2との組み合わせは、第2押圧部材31Bから静止リング91に加えられる局所荷重を調節する第2アクチュエータ37Bを構成する。一実施形態では、第1アクチュエータ37Aおよび第2アクチュエータ37Bのそれぞれは、サーボモータと、ボールねじ機構と、モータドライバとの組み合わせから構成されてもよい。
【0025】
第1押圧部材31Aは2つの押圧ロッド32aを含んでおり、第2押圧部材31Bは2つの押圧ロッド32bを含んでいる。押圧ロッド32aおよび押圧ロッド32bは静止リング91に連結されている。第1押圧部材31Aは、研磨パッド2の研磨面2aの進行方向においてリテーナリング20の上流側で静止リング91に接続されており、第2押圧部材31Bは、研磨パッド2の研磨面2aの進行方向においてリテーナリング20の下流側で静止リング91に接続されている。言い換えれば、第1押圧部材31Aは、研磨パッド2の研磨面2aの進行方向において静止リング91の上流側の部分に局所荷重を加えるように構成されており、第2押圧部材31Bは、研磨パッド2の研磨面2aの進行方向において静止リング91の下流側の部分に局所荷重を加えるように構成されている。
【0026】
局所荷重付与装置30A,30Bは、ユニットベース40A,40Bを介してヘッドアーム16に固定されている。したがって、ウェーハの研磨中、研磨ヘッド10およびウェーハは回転している一方、局所荷重付与装置30A,30Bは静止している。同様に、ウェーハの研磨中、回転リング51は研磨ヘッド10と共に回転している一方で、静止リング91は静止している。
【0027】
局所荷重付与装置30A,30Bは同一の構成を有する。以下の説明は第1局所荷重付与装置30Aに関するものであるが、第2局所荷重付与装置30Bにも同様に適用される。第1ユニットベース40Aには、第1エアシリンダ35Aおよび第1リニアガイド38Aが取り付けられている。第1エアシリンダ35Aのピストンロッド36aおよび第1ガイドロッド39Aは、第1ブリッジ33Aに接続されている。第1ガイドロッド39Aは第1リニアガイド38Aにより低摩擦で上下動自在に支持されている。第1リニアガイド38Aにより、第1ブリッジ33Aは傾くことなく滑らかに上下動可能となっている。
【0028】
エアシリンダ35A,35Bは、気体移送ラインF1,F2を通じて圧縮気体供給源(図示せず)に接続されている。圧力レギュレータR1,R2は、気体移送ラインF1,F2にそれぞれ設けられている。圧縮気体供給源からの圧縮気体は、圧力レギュレータR1,R2を通ってエアシリンダ35A,35Bにそれぞれ独立に供給される。
【0029】
圧力レギュレータR1,R2は、エアシリンダ35A,35B内の圧縮気体の圧力を調節するように構成されている。圧力レギュレータR1,R2は、エアシリンダ35A,35B内の圧縮気体の圧力を互いに独立して変化させることが可能であり、これにより、エアシリンダ35A,35Bは、互いに独立して力を発生させることが可能となる。
【0030】
研磨装置1は、制御部42をさらに備えている。制御部42は、その内部に記憶装置42aと、演算装置42bを備えている。演算装置42bは、記憶装置42aに格納されているプログラムに従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などを含む。記憶装置42aは、演算装置42bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。
【0031】
圧力レギュレータR1,R2は、制御部42に電気的に接続されている。ウェーハWの研磨中、制御部42は、圧力レギュレータR1,R2のうちのいずれか1つに指令を出して、エアシリンダ35Aまたはエアシリンダ35B内の圧縮気体の圧力を調節させる。
【0032】
エアシリンダ35A,35Bが発生させた力は、ブリッジ33A,33Bにそれぞれ伝えられる。ブリッジ33A,33Bは、押圧部材31A,31Bを介して静止リング91に接続されており、押圧部材31A,31Bはブリッジ33A,33Bに加えられたエアシリンダ35A,35Bの力を静止リング91に伝達する。すなわち、第1押圧部材31Aは、第1エアシリンダ35Aが発生させた力に相当する局所荷重で、静止リング91の一部を押圧し、第2押圧部材31Bは、第2エアシリンダ35Bが発生させた力に相当する局所荷重で静止リング91の一部を押圧する。
【0033】
局所荷重付与装置30A,30Bのそれぞれは、静止リング91および回転リング51を介してリテーナリング20の一部に下向きの局所荷重を与える。すなわち、下向きの局所荷重は、静止リング91および回転リング51を通じてリテーナリング20に伝達される。
【0034】
研磨装置1は、リテーナリング20に固定された回転リング51をリテーナリング20と共に回転させながら、かつ第1押圧部材31Aまたは第2押圧部材31Bから静止リング91に局所荷重を加えながらウェーハを研磨する。ウェーハの研磨中、リテーナリング20は研磨パッド2の研磨面2aに接触し、回転しながらウェーハの外側で研磨パッド2を押し付け、かつ研磨面2aの一部に下向きの局所荷重を与える。
【0035】
図3に示すように、リテーナリング20が研磨面2aの一部に下向きの局所荷重を与えると、研磨面2aの一部が上方に盛り上がる。上方に盛り上がった研磨面2aはウェーハWに局所的な上向きの力を加える。以下の説明では、この局所的な上向きの力を局所反発力と称する。
図3では、説明のために、研磨面2aの盛り上がった部分のみがウェーハWに接触しているが、実際の研磨中では、ウェーハWの下面(被研磨面)の全体が研磨面2aに接触している。局所反発力を受けた部分のウェーハWの研磨レートは大きくなる。局所反発力の大きさはリテーナリング20が研磨パッド2を押し付ける力の大きさに依存し、局所反発力の大きさに依存して研磨レートは変化する。すなわち、局所反発力が大きくなるほど、研磨レートは大きくなる。局所反発力が発生する位置は、リテーナリング20が研磨面2aに与える局所荷重位置に依存する。
【0036】
したがって、第1押圧部材31Aまたは第2押圧部材31Bから静止リング91に局所荷重を加えながらウェーハを研磨することによって、それぞれの局所荷重に対応した局所反発力を発生させ、局所反発力を受ける部分のウェーハの研磨レートを変化させることができる。例えば、制御部42は、第1押圧部材31Aが与える局所荷重を上げたいときは、圧力レギュレータR1に指令を出して、エアシリンダ35A内の圧縮気体の圧力を上昇させる。第2押圧部材31Bが与える局所荷重を上げたいときは、圧力レギュレータR2に指令を出して、エアシリンダ35B内の圧縮気体の圧力を上昇させる。
【0037】
図4は、研磨中のウェーハWと押圧部材31A,31Bとの位置関係を模式的に示した上面図であり、
図5は、ウェーハWと局所反発力との位置関係を模式的に示した縦断面図である。
図4の矢印は、研磨面2aの進行方向を表す。リテーナリング20の中心Pと、研磨テーブル3の中心Oを通る直線を基準直線LOとすると、第1押圧部材31Aおよび第2押圧部材31Bは、基準直線LOの両側に位置している。より具体的には、第1押圧部材31Aは、研磨面2aの進行方向において基準直線LOよりも上流側に位置し、第2押圧部材31Bは、研磨面2aの進行方向において基準直線LOよりも下流側に位置している。本実施形態では、第1押圧部材31Aおよび第2押圧部材31Bは、基準直線LOと垂直に交わりかつ中心Pを通る直線LP上に配置されている。
図4に示すように、ウェーハWは、その研磨中、回転しながらリテーナリング20の内側で下流側に偏る。したがって、
図5に示すように、第1押圧部材31Aから静止リング91に局所荷重を与えたときに発生する局所反発力のウェーハWに対する相対位置は、第2押圧部材31Bから静止リング91に局所荷重を与えたときに発生する局所反発力のウェーハWに対する相対位置と異なる。
図5では、説明のために、研磨面2aの盛り上がった部分のみがウェーハWに接触しているが、実際の研磨中では、ウェーハWの下面(被研磨面)の全体が研磨面2aに接触している。
【0038】
研磨面2aは、その進行方向に関して基準直線LOの上流側と、基準直線LOの下流側とに分けることができる。基準直線LOの上流側および基準直線LOの下流側は、言い換えれば、研磨面2aの進行方向に関してリテーナリング20および静止リング91の上流側および下流側である。
【0039】
図4において、直線LPとリテーナリング20の外周縁との2つの交点のうち上流側の交点を角度0度とし、下流側の交点を角度180度とする。基準直線LOとリテーナリング20の外周縁との2つの交点のうち、研磨面中心側の交点を角度270度、研磨面外周側の交点を角度90度とする。一実施形態では、第1押圧部材31Aは、0度±30度の範囲内に配置され、かつ第2押圧部材31Bは、180度±30度の範囲内に配置されてもよい。さらに一実施形態では、第1押圧部材31Aは、0度±60度の範囲内に配置され、かつ第2押圧部材31Bは、180度±60度の範囲内に配置されてもよい。さらに一実施形態では、第1押圧部材31Aは、0度±90度の範囲内に配置され、かつ第2押圧部材31Bは、180度±90度の範囲内に配置されてもよい。
【0040】
さらに一実施形態では、リテーナリング20の内径を変更してもよい。リテーナリング20の内径を変更することにより、上記局所反発力のウェーハWに対する相対位置を変えることができる。
【0041】
第1押圧部材31Aおよび第2押圧部材31Bを上述した各実施形態のように配置することにより、ウェーハWの研磨中、第1押圧部材31Aから静止リング91に局所荷重を与えたときは、ウェーハWの周縁部内の外側領域の研磨レートを大きくすることができ、第2押圧部材31Bから静止リング91に局所荷重を与えたときは、ウェーハWの周縁部内の内側領域の部分の研磨レートを大きくすることができる。したがって、ウェーハWの周縁部の研磨プロファイルを精密に制御することが可能となる。
【0042】
上述した各実施形態によれば、研磨面2aの進行方向における静止リング91の上流側と下流側のそれぞれに局所荷重を加えることにより、ウェーハWの異なる位置に作用する局所反発力を発生させ、ウェーハの周縁部の研磨レートを局所的に変化させることができる。結果として、ウェーハの周縁部の研磨プロファイルを精密に制御することができる。
【0043】
次に、研磨ヘッド10の詳細について説明する。
図6は、研磨ヘッド10の断面図である。研磨ヘッド10は、ヘッド本体11とリテーナリング20とを備えている。ヘッド本体11は、研磨ヘッドシャフト12(
図1参照)に連結されたキャリア43と、キャリア43の下面に取り付けられた弾性膜(メンブレン)45と、キャリア43に対するリテーナリング20の傾動および上下移動を許容しつつリテーナリング20を支持する球面軸受47とを備えている。リテーナリング20は連結部材75を介して球面軸受47に連結され、支持されている。連結部材75はキャリア43内で上下動可能に配置されている。
【0044】
弾性膜45の下面は押圧面45aを構成しており、この押圧面45aはウェーハWの上面(被研磨面とは反対側の面)に接触している。弾性膜45には複数の通孔(図示せず)が形成されている。キャリア43と弾性膜45との間には圧力室46が形成されている。この圧力室46は圧力調整装置(図示せず)に接続されている。圧力室46に加圧流体(例えば、加圧空気)が供給されると、圧力室46内の流体圧力を受けた弾性膜45の押圧面45aは、ウェーハWを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付ける。圧力室46内に負圧が形成されると、ウェーハWは弾性膜45の押圧面45aに真空吸引により保持される。一実施形態では、複数の圧力室がキャリア43と弾性膜45との間に設けられてもよい。
【0045】
リテーナリング20は、ウェーハWおよび弾性膜45の押圧面45aを囲むように配置されている。このリテーナリング20は、研磨パッド2に接触するリング部材20aと、このリング部材20aの上部に固定されたドライブリング20bとを有している。リング部材20aは、図示しない複数のボルトによってドライブリング20bに結合されている。リング部材20aは、ウェーハWの外周縁および弾性膜45の押圧面45aを囲むように配置されている。
【0046】
連結部材75は、ヘッド本体11の中心部に配置された軸部76と、この軸部76から放射状に延びる複数のスポーク78とを備えている。軸部76はヘッド本体11の中央部に配置された球面軸受47内を縦方向に延びている。軸部76は、球面軸受47に縦方向に移動自在に支持されている。ドライブリング20bはスポーク78に接続されている。このような構成により、連結部材75およびこれに接続されたリテーナリング20は、ヘッド本体11に対して縦方向に移動可能となっている。
【0047】
球面軸受47は、内輪48と、内輪48の外周面を摺動自在に支持する外輪49とを備えている。内輪48は、連結部材75を介してリテーナリング20に連結されている。外輪49はキャリア43に固定されている。連結部材75の軸部76は、内輪48に上下動自在に支持されている。リテーナリング20は、連結部材75を介して球面軸受47により傾動可能に支持されている。
【0048】
球面軸受47は、リテーナリング20の上下移動および傾動を許容する一方で、リテーナリング20の横方向の移動(水平方向の移動)を制限する。ウェーハWの研磨中は、リテーナリング20はウェーハWと研磨パッド2との摩擦に起因した横方向の力(ウェーハWの半径方向外側に向かう力)をウェーハWから受ける。この横方向の力は球面軸受47によって受けられる。このように、球面軸受47は、ウェーハWの研磨中に、ウェーハWと研磨パッド2との摩擦に起因してリテーナリング20がウェーハWから受ける横方向の力(ウェーハWの半径方向外側に向かう力)を受けつつ、リテーナリング20の横方向の移動を制限する(すなわちリテーナリング20の水平方向の位置を固定する)支持機構として機能する。
【0049】
キャリア43には、複数対の駆動カラー80が固定されている。各対の駆動カラー80は各スポーク78の両側に配置されており、キャリア43の回転は、駆動カラー80を介してリテーナリング20に伝達され、これによりヘッド本体11とリテーナリング20とは一体に回転する。駆動カラー80はスポーク78に接触しているだけであり、連結部材75およびリテーナリング20の上下動および傾動を妨げない。
【0050】
リテーナリング20の上部は、環状のリテーナリング押圧機構60に連結されている。このリテーナリング押圧機構60は、リテーナリング20の上面(より具体的には、ドライブリング20bの上面)の全体に均一な下向きの荷重を与え、リテーナリング20の下面(すなわち、リング部材20aの下面)を研磨パッド2の研磨面2aに対して押圧する。
【0051】
リテーナリング押圧機構60は、ドライブリング20bの上部に固定された環状のピストン61と、ピストン61の上面に接続された環状のローリングダイヤフラム62とを備えている。ローリングダイヤフラム62の内部には圧力室63が形成されている。この圧力室63は圧力調整装置(図示せず)に接続されている。圧力室63に加圧流体(例えば、加圧空気)が供給されると、ローリングダイヤフラム62がピストン61を下方に押し下げ、さらに、ピストン61はリテーナリング20の全体を下方に押し下げる。このようにして、リテーナリング押圧機構60は、リテーナリング20の下面を研磨パッド2の研磨面2aに対して押圧する。
【0052】
図7は、回転リング51および静止リング91の断面図である。回転リング51は、複数のローラー52と、これらローラー52をそれぞれ支持するローラーシャフト54と、ローラーシャフト54が固定されるローラーハウジング55とを備えている。
図7では、1つのローラー52および1つのローラーシャフト54のみが描かれている。ローラーハウジング55は環状の形状を有しており、リテーナリング20の上面に固定されている。ローラー52は、ローラーシャフト54に取り付けられた軸受57を有しており、ローラー52はローラーシャフト54を中心として回転自在となっている。
【0053】
静止リング91は、ローラー52の頂部に接触する円環レール92と、円環レール92が固定される環状のレールベース94とを備えている。円環レール92の下面には、環状溝95が形成されており、各ローラー52の頂部は環状溝95に接触している。ローラー52は、円環レール92に転がり接触しながら回転するように構成されている。レールベース94の上部には押圧ロッド32a,32b(押圧ロッド32bは図示せず)が連結されている。
【0054】
ローラー52の軸受57の内輪を貫通するローラーシャフト54は、ローラーハウジング55の内側の壁と外側の壁に支持され、内側の壁に挿入されたねじ58で固定される。そのためローラーシャフト54には雌ねじが形成されており、雌ねじの反対側はねじ58の締結時に空回りしないようにマイナスドライバが嵌る溝54aが形成されている。回転リング51はリテーナリング20のドライブリング20bの上面に乗せられる。ドライブリング20bと回転リング51とは位置決めピン(図示せず)で位置決めされ、リテーナリング20に対して回転リング51が滑らない構造となっている。
【0055】
ローラー52は、ローラーシャフト54に取り付けられた軸受57と、軸受57の外輪に固定されたホイール59とから構成されている。ホイール59は、耐摩耗性の高い樹脂、例えばポリアセタール、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PPS(ポリエチレンサルファイド)、MCナイロン(登録商標)などの材料から構成される。円環レール92の材料はステンレス鋼(SUS304)などの耐食性の高い金属が好ましい。軸受57には単列深溝玉軸受が使用され、軸受57の外輪に樹脂製のホイール59を圧入することで、ホイール59が軸受57に取り付けられる。
【0056】
ローラーハウジング55の内部には環状凹部55aが形成されており、この環状凹部55a内に複数のローラー52が収容されている。各ローラー52の下面、両側面は、環状凹部55aによって囲まれている。回転リング51のローラーハウジング55と静止リング91のレールベース94との間にはシール100A,100Bが配置されている。より具体的には、円環レール92の外側には外側シール100Aが配置され、円環レール92の内側には内側シール100Bが配置されている。環状凹部55aを構成する両側面および底面には開口は存在せず、静止リング91と回転リング51との間にはシール100A,100Bが配置されている。したがって、ローラー52および円環レール92から発生する摩耗粉は環状凹部55a内に閉じ込められ、研磨パッド2上には落下しない。
【0057】
図7に示す実施形態では、外側シール100Aおよび内側シール100Bはラビリンスシールである。外側シール100Aは、円環レール92の外側に配置された第1の周壁101と、第1の周壁101の外側に配置された第2の周壁102とを備えている。第1の周壁101はローラーハウジング55から上方に延びており、ローラーハウジング55と一体に形成されている。第2の周壁102はレールベース94から下方に延びており、レールベース94と一体に形成されている。第1の周壁101と第2の周壁102との間には極めて微小な隙間が形成されている。内側シール100Bも同様に、円環レール92の内側に配置された第1の周壁101と、第1の周壁101の内側に配置された第2の周壁102とを備えている。
【0058】
図8は、ローラー52と円環レール92とを示す斜視図であり、
図9は、
図8に示すローラー52と円環レール92を下から見た図である。本実施形態では、24個のローラー52が設けられている。ウェーハの研磨中、これらのローラー52はリテーナリング20と一体に回転する一方で、円環レール92は静止している。したがって、各ローラー52は、円環レール92に転がり接触する。
図7を参照して説明したローラー52の構成により、ローラー52は滑らかに回転することができ、かつ円環レール92を損傷させずに荷重を伝達できる。第1局所荷重付与装置30Aおよび第2局所荷重付与装置30Bの荷重は円環レール92からローラー52に伝達される。ローラー52は、荷重の作用点を通過する際にのみ荷重を受ける。
【0059】
ローラー52の数は、ローラー52の外径と円環レール92の直径に基づいて決定される。荷重のスムーズな伝達のためには、ローラー52の数をできるだけ多くしてローラー52間の間隔が小さくなるようにした方がよい。ローラー52は滑らかな外周面を有しており、より大きな荷重を伝達できるようにするために、広い接触面積で円環レール92に接触している。円環レール92はローラー52上に置かれる。ローラー52は円環レール92に転がり接触する。円環レール92の横方向位置はローラー52の湾曲断面形状の角部と円環レール92の湾曲断面形状の隅との接触でガイドされる。この場合、第1局所荷重付与装置30Aおよび第2局所荷重付与装置30Bの荷重は主に円環レール92からローラー52の外周面に伝達される。
【0060】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0061】
1 研磨装置
2 研磨パッド
2a 研磨面
3 研磨テーブル
5 研磨液供給ノズル
10 研磨ヘッド
11 ヘッド本体
12 研磨ヘッドシャフト
15 旋回軸
16 ヘッドアーム
20 リテーナリング
20a リング部材
20b ドライブリング
30A,30B 局所荷重付与装置
31A,31B 押圧部材
32a,32b 押圧ロッド
33A,33B ブリッジ
35A,35B エアシリンダ
36a,36b ピストンロッド
37A,37B アクチュエータ
38A,38B リニアガイド
39A,39B ガイドロッド
40A,40B ユニットベース
42 制御部
42a 記憶装置
42b 演算装置
43 キャリア
45 弾性膜(メンブレン)
46 圧力室
47 球面軸受
48 内輪
49 外輪
51 回転リング
52 ローラー
54 ローラーシャフト
55 ローラーハウジング
55a 環状凹部
57 軸受
58 ねじ
59 ホイール
60 リテーナリング押圧機構
61 ピストン
62 ローリングダイヤフラム
63 圧力室
75 連結部材
76 軸部
78 スポーク
80 駆動カラー
91 静止リング
92 円環レール
94 レールベース
95 環状溝
100A 外側シール
100B 内側シール
101 第1の周壁
102 第2の周壁