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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】被覆電線ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/08 20060101AFI20221117BHJP
   H01R 4/38 20060101ALI20221117BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20221117BHJP
   H01B 7/24 20060101ALI20221117BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H02G15/08
H01R4/38 B
H01B7/00 305
H01B7/24
H01B7/00 302
H02G1/14
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019065525
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167825
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】長田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】力久 弘昭
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 雄大
(72)【発明者】
【氏名】佐川 正彦
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-040765(JP,A)
【文献】特開平08-251779(JP,A)
【文献】特開2017-098106(JP,A)
【文献】特開2018-186029(JP,A)
【文献】特開2016-018634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/00-15/196
H02G 1/14- 1/16
H01B 7/00
H01B 7/24
H01R 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3以上の被覆電線が厚み方向に積層された被覆電線ユニットにおいて、
それぞれの前記被覆電線は、断面が扁平な内部導体と、当該内部導体の周囲を覆う絶縁被覆と、を有しており、
前記被覆電線には、前記内部導体から電力又は電気信号を取り出す取出導体を接続可能な接続部が形成されており、
2以上の前記被覆電線には、厚み方向で見たときに幅方向に凹んだ凹み形状又は孔形状の開放部がそれぞれ形成されており、
厚み方向で見たときに、前記被覆電線の前記接続部と重なる位置に、別の2以上の前記被覆電線の前記開放部が形成されており、
厚み方向で見たときに重なる複数の前記開放部は、前記接続部から厚み方向に離れるに従って開放される部分の大きさが大きくなることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の被覆電線ユニットであって、
前記被覆電線のうち、前記接続部が形成されている領域であって、別の前記被覆電線の前記開放部によって露出している領域を露出領域と称したときに、
前記露出領域には、切欠きが形成されていないことを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の被覆電線ユニットであって、
厚み方向で見たときに、前記被覆電線の前記接続部と重なる位置において、別の全ての前記被覆電線に前記開放部が形成されていることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の被覆電線ユニットであって、
前記被覆電線の前記接続部の厚み方向の両側に配置される別の2つの前記被覆電線に前記開放部が形成されていることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項5】
請求項1からまでの何れか一項に記載の被覆電線ユニットであって、
前記開放部の縁部の断面において、前記内部導体が前記絶縁被覆又は他の絶縁体で覆われていることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項6】
請求項1からまでの何れか一項に記載の被覆電線ユニットであって、
前記開放部は、厚み方向で見たときに幅方向に凹んだ凹み形状であり、
前記開放部は、幅方向の端部である開放端に近づくに従って幅方向に直交する長さである開放長さが短くなる部分がある形状、前記開放長さが一定の部分を有する形状、又は、前記開放端に近づくに従って前記開放長さが長くなる部分がある形状の何れかであることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項7】
請求項1からまでの何れか一項に記載の被覆電線ユニットであって、
前記接続部には、前記取出導体を接続するためのボルトを取付可能な取付孔が形成されていることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項8】
請求項1からまでの何れか一項に記載の被覆電線ユニットであって、
前記接続部には、前記取出導体を挿入して接続するための導通溝が形成されていることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項9】
請求項1からまでの何れか一項に記載の被覆電線ユニットであって、
前記接続部は、前記被覆電線の前記絶縁被覆が除去されて前記内部導体が露出している部分であることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項10】
請求項に記載の被覆電線ユニットであって、
前記導通溝は、前記被覆電線の厚み方向の両側に形成されていることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項11】
請求項又は10に記載の被覆電線ユニットであって、
前記導通溝に加え、前記取出導体を位置決めするための位置決め溝が形成されていることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の被覆電線ユニットであって、
前記導通溝と前記位置決め溝は、長手方向の長さが異なることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項13】
請求項1から12までの何れか一項に記載の被覆電線ユニットであって、
前記接続部には、前記取出導体を前記被覆電線に接続するための接続具が取り付けられており、
厚み方向に垂直な方向で見たときに、前記接続具が最外層の前記被覆電線から厚み方向において当該被覆電線の外側に突出しておらず、前記接続具の全体が積層された何れかの前記被覆電線と重なっていることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項14】
請求項1から13までの何れか一項に記載の被覆電線ユニットであって、
前記接続部の厚み方向の一方側又は両側には、前記開放部で囲まれる空間が形成されていることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項15】
請求項14に記載の被覆電線ユニットであって、
前記開放部で囲まれる空間と前記接続部の両方を覆う保護カバーを備えることを特徴とする被覆電線ユニット。
【請求項16】
請求項15に記載の被覆電線ユニットであって、
前記開放部で囲まれる空間には、前記取出導体に掛かる衝撃を吸収する衝撃吸収材が配置されていることを特徴とする被覆電線ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、被覆電線が厚み方向に積層された被覆電線ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の車両用回路体は、バックボーン幹線部を備える。バックボーン幹線部は、複数の電源ラインを幅方向に重ねたものである。それぞれの電源ラインは、平型導体と、絶縁被覆と、接続端子と、を備える。平型導体は、断面が扁平な導体である。絶縁被覆は、平型導体を覆う絶縁材である。接続端子は、絶縁材の一部を剥がした後に、平型導体から幅方向に突出するように、当該平型導体に電気的に接続される。接続端子には、ボルトを介して、電源ケーブル等が接続される。
【0003】
特許文献2の電流搬送機構は、基部導体と、端子導体と、電気絶縁部と、を備える。基部導体は、扁平な直方体状の導体である。端子導体は、基部導体から幅方向に突出するように、当該基部導体に接続される。電気絶縁部は、基部導体と端子導体を覆う絶縁材である。また、特許文献2には、電気絶縁部を切り開いて、端子導体を露出させる工程を行うことが記載されている。端子導体には、別の電線のコネクタ等が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/129534号
【文献】特開2018-110112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び2の構造は、導体部(平型導体、基部導体)から幅方向に突出する端子(接続端子、端子導体)を備える。そのため、特許文献1及び2の構造では、幅方向のサイズが大きくなってしまう。そのため、幅方向のサイズが小さい構造が望まれていた。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、幅方向のサイズが小さい被覆電線ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の被覆電線ユニットが提供される。即ち、被覆電線ユニットは、厚み方向に積層された3以上の被覆電線を備える。それぞれの前記被覆電線は、断面が扁平な内部導体と、当該内部導体の周囲を覆う絶縁被覆と、を有している。前記被覆電線には、前記内部導体から電力又は電気信号を取り出す取出導体を接続可能な接続部が形成されている。2以上の前記被覆電線には、厚み方向で見たときに幅方向に凹んだ凹み形状又は孔形状の開放部がそれぞれ形成されている。厚み方向で見たときに、前記被覆電線の前記接続部と重なる位置に、別の2以上の前記被覆電線の前記開放部が形成されている。厚み方向で見たときに重なる複数の前記開放部は、前記接続部から厚み方向に離れるに従って開放される部分の大きさが大きくなる。
【0009】
これにより、接続部が被覆電線から幅方向に突出しないので、従来の構造と比較して、被覆電線ユニットの幅方向のサイズを小さくすることができる。また、積層される被覆電線毎に断面の位置が異なるため、被覆電線の内部導体同士が電気的に接続しにくくなる。また、接続部が視認し易くなるので、接続部に取出導体を接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0010】
前記の被覆電線ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記被覆電線のうち、前記接続部が形成されている領域であって、別の前記被覆電線の前記開放部によって露出している領域を露出領域と称したときに、前記露出領域には、切欠きが形成されていない。
【0011】
これにより、露出領域に切欠き等を形成する構造と比較して、露出領域の強度を高くすることができる。
【0012】
前記の被覆電線ユニットにおいては、厚み方向で見たときに、前記被覆電線の前記接続部と重なる位置において、別の全ての前記被覆電線に前記開放部が形成されていることが好ましい。
【0013】
これにより、接続部に取出導体を接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0014】
前記の被覆電線ユニットにおいては、前記被覆電線の前記接続部の厚み方向の両側に配置される別の2つの前記被覆電線に前記開放部が形成されていることが好ましい。
【0015】
これにより、接続部が被覆電線ユニットの表面に位置しないので、接続部を保護できる。
【0020】
前記の被覆電線ユニットにおいては、前記開放部の縁部の断面において、前記内部導体が前記絶縁被覆又は他の絶縁体で覆われていることが好ましい。
【0021】
これにより、積層される被覆電線の内部導体同士が電気的に接続しにくくなる。また、取出導体又はそれを取り付ける接続具等が、この断面の内部導体に電気的に接続しにくくなる。
【0022】
前記の被覆電線ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記開放部は、厚み方向で見たときに幅方向に凹んだ凹み形状である。前記開放部は、幅方向の端部である開放端に近づくに従って幅方向に直交する長さである開放長さが短くなる部分がある形状、前記開放長さが一定の部分を有する形状、又は、前記開放端に近づくに従って前記開放長さが長くなる部分がある形状の何れかである。
【0023】
これにより、目的及び要求される仕様に合う特徴を有する被覆電線ユニットを実現できる。
【0024】
前記の被覆電線ユニットにおいては、前記接続部には、前記取出導体を接続するためのボルトを取付可能な取付孔が形成されている。
【0025】
あるいは、前記の被覆電線ユニットにおいては、前記接続部には、前記取出導体を挿入して接続するための導通溝が形成されている。
【0026】
あるいは、前記の被覆電線ユニットにおいては、前記接続部は、前記被覆電線の前記絶縁被覆が除去されて前記内部導体が露出している部分である。
【0027】
以上により、様々なタイプの接続構造に対応できる。
【0028】
前記の被覆電線ユニットにおいては、前記導通溝は、前記被覆電線の厚み方向の両側に形成されていることが好ましい。
【0029】
これにより、取出導体と被覆電線の電気的接続及び機械的接続の安定性を向上できる。
【0030】
前記の被覆電線ユニットにおいては、前記導通溝に加え、前記取出導体を位置決めするための位置決め溝が形成されていることが好ましい。
【0031】
これにより、取出導体を位置決めしつつ、取出導体を被覆電線と電気的に接続することができる。
【0032】
前記の被覆電線ユニットにおいては、前記導通溝と前記位置決め溝は、長手方向の長さが異なることが好ましい。
【0033】
これにより、導通溝と位置決め溝を簡単に区別できる。
【0034】
前記の被覆電線ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記接続部には、前記取出導体を前記被覆電線に接続するための接続具が取り付けられている。厚み方向に垂直な方向で見たときに、前記接続具が最外層の前記被覆電線から厚み方向において当該被覆電線の外側に突出しておらず、前記接続具の全体が積層された何れかの前記被覆電線と重なっている。
【0035】
これにより、幅方向だけでなく厚み方向のサイズも小さい被覆電線ユニットが実現できる。
【0036】
前記の被覆電線ユニットにおいては、前記接続部の厚み方向の第1側及び第2側の少なくとも一方には、前記開放部で囲まれる空間が形成されていることが好ましい。
【0037】
これにより、接続部に取出導体を接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0038】
前記の被覆電線ユニットにおいては、前記開放部で囲まれる空間及び前記接続部を覆う保護カバーを備えることが好ましい。
【0039】
これにより、接続部を保護できる。
【0040】
前記の被覆電線ユニットにおいては、前記開放部で囲まれる空間には、前記取出導体に掛かる衝撃を吸収する衝撃吸収材が配置されていることが好ましい。
【0041】
これにより、取出導体に力が掛かっても、その力が衝撃吸収材によって吸収されるので、接続部に力が掛かりにくくなる。従って、接続部の破断を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】第1実施形態に係る被覆電線ユニットの斜視図。
図2】被覆電線ユニットの側面図。
図3】被覆電線ユニットの製造に用いる被覆電線の斜視図。
図4】切取加工と電線接続用の孔開け加工とを行った後の被覆電線の斜視図。
図5】電線接続工程を示す斜視図。
図6】第2実施形態に係る被覆電線ユニットの斜視図。
図7】第3実施形態に係る被覆電線ユニットの斜視図。
図8】第4実施形態に係る被覆電線ユニットの斜視図。
図9】第5実施形態に係る被覆電線ユニットの斜視図。
図10】第6実施形態に係る被覆電線ユニットの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0044】
被覆電線ユニット1は、車両に配置される電気回路のバックボーン(基幹線)である。被覆電線ユニット1は、複数の被覆電線10を備えている。それぞれの被覆電線10には、当該被覆電線10から電力又は電気信号(通信用の電気信号)を取り出すための取出電線30が接続される。取出電線30は、車両に配置されるバッテリー、制御装置、及びヒューズボックス等の電装品に接続される。なお、取出電線30は、取出導体が被覆された電線である。取出電線30に代えて、例えばバスバー等が取出導体として設けられていてもよい。被覆電線ユニット1を備えることにより、複数の電線をまとめて取り扱うことができる。そのため、電線を車両に取り付ける作業が容易になる。また、電線を保護するプロテクタの数を減らしたり、電線を車両に取り付けるための接続部品の数を減らしたりすることができる。
【0045】
図1に示すように、被覆電線ユニット1は、複数の被覆電線10を厚み方向に積層した構成である。本実施形態の被覆電線ユニット1では、被覆電線10の積層数は5であるが、積層数は3以上であればよい。
【0046】
被覆電線ユニット1を構成する複数の被覆電線10は、それぞれ同じ形状である。被覆電線10を長手方向に垂直な方向で切った断面の形状は長方形である。以下では、この断面の短辺の方向を厚み方向と称し、この断面の長辺の方向を幅方向と称する。なお、被覆電線10の断面は、短辺側と長辺側との区別が可能であれば、長方形に限られず、例えば長円であってもよい。また、被覆電線10は、内部導体11と、絶縁被覆12と、を備える。
【0047】
内部導体11は金属等の導電性の部材で構成されている。内部導体11は、長手方向に垂直な方向で切った断面が扁平である。具体的には、内部導体11は板状であり、その断面は長方形である。なお、内部導体11は、断面が扁平であれば、長方形以外であってもよい。
【0048】
絶縁被覆12は、軟性樹脂等の絶縁材で構成されている。絶縁被覆12は、内部導体11の周囲を覆う。
【0049】
次に、図3から図5を参照して、被覆電線10から被覆電線ユニット1を製造する工程について説明する。
【0050】
図3には、被覆電線ユニット1を製造するための複数の被覆電線10が示されている。複数の被覆電線10には、1又は複数の切取り線21が形成されている。切取り線21は、被覆電線10の一部を所定形状(略U字状)に切り取るための部分である。切取り線21は、例えば、切取り位置に沿って所定間隔で孔が形成されることで、強度が低くなっている。従って、作業者は、切取り工具等を用いることで、切取り線21に沿って容易に切取り作業(打抜き作業)を行うことができる。
【0051】
本実施形態では、被覆電線ユニット1を製造するために用いる被覆電線10は、全て共通である。従って、それぞれの被覆電線10は、切取り線21が形成される位置も同じである。一方で、切取りを行う箇所は、被覆電線10に応じて異なる。従って、作業者は、被覆電線10に形成された全ての切取り線21を切り取る訳ではなく、予め定められた切取り線21のみに切取りを行う。
【0052】
被覆電線ユニット1を製造するために用いる被覆電線10を共通にすることで、製造時に必要な被覆電線10の種類を減らすことができる。そのため、被覆電線10の在庫管理が容易になる。更に、様々な種類の被覆電線10を製造する方法と比較して、被覆電線10の製造コストも低減できる。
【0053】
なお、被覆電線ユニット1を製造するために用いる被覆電線10は複数種類であってもよい。この場合、切取りが必要な箇所のみに切取り線21が形成されていてもよい。また、切取り線21ではなく、切取り位置の目印のみが示される構成であってもよい。あるいは、切取り位置の目印も省略してもよい。
【0054】
図4には、切取りが行われた後の被覆電線10が示されている。切取り作業を行うことにより、被覆電線10には、開放部22が形成される。開放部22は、例えば、被覆電線10の一部を除去することで開放された部分である。なお、被覆電線10を除去する工程は必須ではなく、初めから図4に示す形状の被覆電線10を製造してもよい。また、本実施形態の開放部22は、幅方向に凹んだ形状(凹み形状、切欠き形状)である。更に詳細に説明すると、被覆電線10の一部は、内部導体11及び絶縁被覆12が形成されていないために他よりも幅が狭くなっており、この内部導体11及び絶縁被覆12等が形成されていない部分が開放部22である。また、本実施形態では、開放部22は幅方向の一方側が開放されて他方側が閉じている形状であるが、開放部22は幅方向の両側が閉じている形状(即ち、孔形状)であってもよい。
【0055】
本実施形態では、全ての被覆電線10の全ての箇所の開放部22は同じ形状であるが、何れかの開放部22の形状が他と異なっていてもよい。
【0056】
次に、作業者は、開放部22の形成前又は形成後において、電線接続孔23を被覆電線10に形成する。また、電線接続孔23が形成される部分が接続部に相当する。電線接続孔23は、取出電線30を接続するために用いる部分である。図4には、電線接続孔23が形成された後の被覆電線10が示されている。本実施形態では、図1に示すようにボルト41を用いて取出電線30が固定される。従って、電線接続孔23は、ボルト41を取り受けるための取付孔である。電線接続孔23は切取り線21で囲まれる領域に形成される。言い換えれば、ある被覆電線10で電線接続孔23が形成される位置は、別の被覆電線10で開放部22が形成される位置である。
【0057】
作業者は、被覆電線10に開放部22及び電線接続孔23を形成した後に、それぞれの被覆電線10を厚み方向に積層して、被覆電線10同士を接合する。接合方法は、特に限定されず、例えば接着剤で接合してもよいし、バンド等を巻き付けることで接合してもよい。以上の工程を行うことにより、被覆電線ユニット1を製造できる。なお、上述した処理の少なくとも一部は、作業者ではなく機械が行ってもよい。また、被覆電線10を積層した後に、開放部22及び電線接続孔23を形成してもよい。
【0058】
次に、本実施形態の被覆電線ユニット1の特徴及び効果について説明する。図5には、それぞれの被覆電線10を積層した状態の被覆電線ユニット1が示されている。図5に示すように、ある被覆電線10について電線接続孔23が形成された位置には、別の全ての被覆電線10について開放部22が形成されている。言い換えると、厚み方向で見たときに(視線方向と厚み方向を揃えたときに)、ある被覆電線10に電線接続孔23が形成されている位置では、残りの全ての被覆電線10に開放部22が形成されている。これにより、電線接続孔23が形成される面が露出することとなる。以下、この露出した領域を露出領域24と称する。また、本実施形態では、電線接続孔23の厚み方向の両側(第1側及び第2側)に開放部22が形成されている。言い換えれば、電線接続孔23の厚み方向の両側には、開放部22で囲まれる空間が形成される。
【0059】
以上により、この空間を用いて電線接続孔23に取出電線30を取り付ける作業を行うことができる。このように、本実施形態の構成では、特許文献1及び2とは異なり、電線接続孔23を被覆電線10から幅方向に突出させない。従って、被覆電線ユニット1の幅方向のサイズを小さくすることができる。
【0060】
また、特許文献2では、端子導体が電気絶縁部から露出しており、かつ、端子導体の両側に空間(切欠き)が形成されている(特許文献2の図9を参照)。言い換えれば、端子導体は幅方向の一端でのみ基部導体に接続されている。この構成では、端子導体に力が掛かった場合に、端子導体の幅方向の一端のみに力が集中し易いので、端子導体が破断し易い。この点、本実施形態では、露出領域24には、切欠きが形成されていない。言い換えれば、厚み方向で見たときに、他の開放部22と重なる領域の全てにおいて、被覆電線10が残存している。その結果、電線接続孔23を介して露出領域24に力が掛かったとしても、露出領域24に掛かる力が分散する。従って、取出電線30を介して伝達される力への耐性を高くすることができる。
【0061】
本実施形態では、積層される被覆電線10のうち、同じ位置では電線接続孔23の形成数は0か1である。しかし、同じ位置に2以上の電線接続孔23が形成されてもよい。また、電線接続孔23は、何れの被覆電線10に形成されていてもよい。また、本実施形態では、ある被覆電線10に電線接続孔23が形成されている場合、同じ位置の他の被覆電線10には全て開放部22が形成されている。しかし、少なくとも1つに開放部22が形成されていなくてもよい。
【0062】
被覆電線10の積層後、作業者は、電線接続孔23に取出電線30を接続する。本実施形態では、取出電線30を取り付けるための接続具として、ボルト41及びナット42が用いられる。具体的に説明すると、取出電線30は、端子部31と電線部32とを有している。端子部31には、貫通孔が形成されている。端子部31の貫通孔と電線接続孔23の位置を合わせて、ボルト41を挿入し、ナット42で締め付けることで、取出電線30が電線接続孔23に機械的及び電気的に接続される。
【0063】
また、本実施形態の被覆電線ユニット1は、厚み方向に垂直な方向で見たときに(即ち図2において)、ボルト41及びナット42が、最外層の(図2の最も上側又は最も下側の)被覆電線10から厚み方向の外側に突出していない。即ち、ボルト41及びナット42は、被覆電線ユニット1から厚み方向に突出していない。そのため、厚み方向で見たときに、ボルト41及びナット42の全体が何れかの被覆電線10(被覆電線ユニット1)と重なっている。特に、本実施形態では、ボルト41のヘッド部よりもネジ部の方が厚み方向の突出量が多い。そのため、ネジ部が被覆電線10から突出しないように、ボルト41の向きが定められている。例えば、図2の右側の取付箇所では、上から2番目の被覆電線10に取出電線30が取り付けられている。そのため、電線接続孔23の上側の空間が狭くなる。そのため、電線接続孔23の上側にボルト41のヘッド部が位置するように、ボルト41の向きが定められる。
【0064】
ボルト41及びナット42が被覆電線10から厚み方向に突出しないことで、被覆電線ユニット1の厚み方向のサイズが小さくなる。更に、突出している部分がないため、被覆電線ユニット1を取扱う際に他の電線等に引っ掛かりにくい。
【0065】
次に、図6を参照して、第2実施形態について説明する。なお、以後の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0066】
第1実施形態では、全ての被覆電線10の全ての切取り線21及び開放部22の大きさは同じである。これに代えて、第2実施形態では、切取り線21及び開放部22の大きさが複数種類存在する。
【0067】
具体的には、被覆電線10には、3種類の大きさの切取り線21が形成されている。3つの切取り線21は相似形であるが、相似でなくてもよい。3種類の大きさの切取り線21をどのように切り取るかは様々であるが、例えば以下のように切り取ることが好ましい。即ち、作業者は、電線接続孔23に隣接する被覆電線10については、最も小さい切取り線21を切り取る。また、作業者は、次に電線接続孔23に近い被覆電線10については、2番目に小さい切取り線21を切り取る。作業者は、それ以外の被覆電線10については、最も大きい切取り線21を切り取る。
【0068】
この構成により、図6に示すように、段差状の空間が形成される。従って、厚み方向で隣接する被覆電線10同士で、開放部22の大きさが異なる。その結果、切取り線21に沿って切取りを行うことで露出した断面の位置が被覆電線10によって異なる。そのため、これらの断面の内部導体11同士の接触をより確実に防ぐことができる。
【0069】
また、電線接続孔23から離れるに連れて開放部22を大きくすることで、上方から見たときに電線接続孔23が視認し易くなるので、取出電線30取り付ける作業の作業性が向上する可能性がある。更に、電線接続孔23に隣接する被覆電線10の開放部22が小さいため、露出領域24も小さくなる。その結果、露出領域24に力が掛かった場合に、露出領域24が変位しにくいので、取出電線30を介して伝達される力への耐性を高くすることができる。
【0070】
次に、図7を参照して、第3実施形態について説明する。
【0071】
第3実施形態では、切取り線21に沿って切取りを行うことで露出した断面(開放部22の縁部の断面)に、絶縁シート25が貼り付けられている。絶縁シート25に代えて、シート状以外の絶縁体を用いてもよい。あるいは、切取り線21に沿って切取りを行う時又はその後に、絶縁被覆12を熱又は力等で変形させることによって、この断面の内部導体11を絶縁被覆12で覆ってもよい。
【0072】
この構成により、開放部22の縁部の断面の内部導体11同士が接触すること(導通すること)をより確実に防ぐことができる。また、開放部22の縁部の断面の内部導体11に、ボルト41等の導体が接触すること(導通すること)をより確実に防ぐことができる。
【0073】
次に、図8を参照して、第4実施形態について説明する。
【0074】
第4実施形態では、開放部22の形状が他の実施形態とは異なる。図8では、1つの被覆電線ユニット1に3種類の形状の開放部22が形成されているが、1つの被覆電線ユニット1に、図8の何れか1種類の開放部22のみが形成されていてもよい。
【0075】
以下の説明では、図8に示すように、開放部22のうち被覆電線10の幅方向の端部を「開放端」と称する。また、被覆電線10の長手方向(幅方向に直交する方向)における開放部22の長さを「開放長さ」と称する。
【0076】
図8の位置Aには馬蹄形の開放部22が形成されている。馬蹄形とは、略楕円形であって一端が閉じておらず開放されている形状である。また、馬蹄形は、開放端に近づくに従って徐々に開放長さが短くなる部分を有し、開放長さが短くなりつつ開放端に達する形状である。従って、開放端における開放長さが短いため、電線接続孔23と取出電線30の接続箇所が保護され易い。
【0077】
図8の位置Bには長方形の開放部22が形成されている。長方形は、幅方向の位置に関係なく、開放長さが一定の部分を有する。従って、開放端における開放長さは中程度であるため、電線接続孔23と取出電線30の接続箇所をある程度保護しつつ、電線接続孔23に取出電線30を取り付ける作業の作業性も確保できる。
【0078】
図8の位置Cには長辺が開放端に一致した台形状の開放部22が形成されている。この開放部22は、開放端に近づくに従って徐々に開放長さが長くなる部分を有し、開放長さが長くなりつつ開放端に達する形状である。従って、開放端における開放長さが長いため、電線接続孔23に取出電線30を取り付ける作業の作業性が高い。
【0079】
第1実施形態及び第4実施形態で示す開放部22の形状は一例であり、それ以外の形状(例えば、短辺が開放端に一致した台形、又は三角形)であってもよい。
【0080】
次に、図9を参照して、第5実施形態について説明する。
【0081】
第5実施形態では、取出電線30の接続構造が他の実施形態とは異なる。図9では、1つの被覆電線ユニット1に3種類の接続構造を適用した例が示されているが、1つの被覆電線ユニット1に、図9の何れか1種類の接続構造のみが用いられていてもよい。
【0082】
図9の位置Aには、溶接により取出電線30を接続した構造が示されている。溶接を行うことにより、溶接痕43が形成されている。溶接を行う場合、露出領域24に電線接続孔23を形成してもよいし、形成しなくてもよい。
【0083】
図9の位置Bには、孔ではなく溝で取出電線30を接続するための構造が示されている。露出領域24には、被覆電線10の絶縁被覆12を除去することで内部導体11を露出させた導通溝26が複数形成されている。また、導通溝26が形成される部分が接続部に相当する。導通溝26は、被覆電線10の厚み方向の両側に形成されているが、片側のみに形成されていてもよい。また、導通溝26は非貫通状の溝であるが貫通状の溝(長孔、切欠き)を形成してもよい。また、取出電線30の端子部31には、これらの導通溝26と対応した位置に導通片31aが形成されている。この構成により、取出電線30の導通片31aを導通溝26に差し込むことで、内部導体11と取出電線30が機械的及び電気的に接続される。
【0084】
図9の位置Cには、導通溝26に加え、位置決め溝27が形成されている。位置決め溝27は、取出電線30の位置決めのために設けられている。従って、位置決め溝27では内部導体11が露出していてもよいし、露出していなくてもよい。なお、内部導体11が露出する場合は、金属部分で位置決めを行うため、位置決めの精度が高くなるとともに安定して保持できる。また、端子部31には、位置決め溝27に対応した位置に固定片31bが形成されている。固定片31bは導体であってもよいし、そうでなくてもよい。この構成により、取出電線30の固定片31bが位置決め溝27に差し込まれることで、取出電線30が位置決めされる。更に、取出電線30に力が掛かった場合に、固定片31bと位置決め溝27が引っ掛かることで、端子部31が外れにくくなる。
【0085】
次に、図10を参照して、第6実施形態について説明する。
【0086】
第6実施形態は、保護カバー15を備える点において、他の実施形態とは異なる。図10に示すように、保護カバー15は、第1カバー60と、第2カバー70と、を備える。
【0087】
第1カバー60は、露出領域24の一方側(第1側)を覆うカバーである。第1カバー60は、収容部61と、表面保護板62と、側面保護板63と、を備える。収容部61は、厚み方向の一方側(図10の下側)が開放した容器状の部分であり、被覆電線10と取出電線30の接続箇所を含む部分が覆われる。表面保護板62は、厚み方向の一方側を保護する板状の部分である。側面保護板63は、幅方向の一方側を保護する板状の部分である。側面保護板63には、取出電線30を挿通させる挿通孔64が形成されている。
【0088】
第2カバー70は、露出領域24の他方側(第2側)を覆うカバーである。第2カバー70は、収容部71と、表面保護板72と、側面保護板73と、を備える。収容部71、表面保護板72、及び側面保護板73は、それぞれ、収容部61、表面保護板62、及び側面保護板63と同様の形状(反転させた形状)であるため、説明を省略する。
【0089】
開放部22により開放された空間に保護カバー15が取り付けられることで、取出電線30と内部導体11の接続部分を衝撃等から保護できる。また、保護カバー15は、防水構造を有していてもよい。また、収容部61及び収容部71に軟性樹脂等の弾性変形が可能な衝撃吸収材が充填されていてもよい。衝撃吸収材を充填することで、取出電線30を介して伝達される力への耐性を高くすることができる。また、この衝撃吸収材が防水性を有していてもよい。衝撃吸収材は、液体又はジェル状の部材を投入して硬化させる方法で設けられてもよいし、初めから固体の部材を取り付けることで設けられてもよい。
【0090】
本実施形態の保護カバー15は、露出領域24の両側を覆うが片側のみを覆う構成であってもよい。また、保護カバー15から収容部61及び収容部71を省略してもよい。本実施形態の保護カバー15は、幅方向及び厚み方向において被覆電線10から僅かに突出するが、突出しない形状であってもよい。
【0091】
以上に説明したように、上記実施形態の被覆電線ユニット1は、厚み方向に積層された3以上の被覆電線10を備える。それぞれの被覆電線10は、断面が扁平な内部導体11と、当該内部導体11の周囲を覆う絶縁被覆12と、を有している。被覆電線10には、内部導体11から電力又は電気信号を取り出す取出電線30を接続可能な接続部(電線接続孔23、導通溝26が形成される部分)が形成されている。2以上の被覆電線10には、厚み方向で見たときに幅方向に凹んだ凹み形状又は孔形状の開放部22がそれぞれ形成されている。厚み方向で見たときに、被覆電線10の接続部と重なる位置に、別の2以上の被覆電線10の開放部22が形成されている。
【0092】
これにより、接続部が被覆電線10から幅方向に突出しないので、従来の構造と比較して、被覆電線ユニット1の幅方向のサイズを小さくすることができる。
【0093】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1では、被覆電線10のうち、接続部が形成されている領域であって、別の被覆電線10の開放部22によって露出している領域を露出領域24と称したときに、露出領域24には、切欠きが形成されていない。
【0094】
これにより、露出領域24に切欠き等を形成する構造と比較して、露出領域24の強度を高くすることができる。
【0095】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1では、厚み方向で見たときに、被覆電線10の接続部と重なる位置において、別の全ての被覆電線10に開放部22が形成されている。
【0096】
これにより、接続部に取出電線30を接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0097】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1では、被覆電線10の接続部の厚み方向の両側に配置される別の2つの被覆電線10に開放部22が形成されている。
【0098】
これにより、接続部が被覆電線ユニット1の表面(最外層)に位置しないので、接続部を保護できる。
【0099】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1では、厚み方向で見たときに重なる複数の開放部22は、接続部から厚み方向に離れるに従って、開放される部分の大きさが大きくなる。
【0100】
これにより、積層される被覆電線10毎に断面の位置が異なるため、被覆電線10の内部導体11同士が電気的に接続しにくくなる。また、接続部が視認し易くなるので、接続部に取出電線30を接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0101】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1において、厚み方向で見たときに重なる全ての開放部22の形状が同一である。
【0102】
これにより、開放部22を形成するために掛かる手間及びコストを低減できる。
【0103】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1において、開放部22の縁部の断面において、内部導体11が絶縁被覆12又は他の絶縁体で覆われている。
【0104】
これにより、積層される被覆電線10の内部導体11同士が電気的に接続しにくくなる。また、取出電線30又はそれを取り付ける接続具等が、この断面の内部導体11に電気的に接続しにくくなる。
【0105】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1において、開放部22は、厚み方向で見たときに幅方向に凹んだ凹み形状である。開放部22は、開放端に近づくに従って開放長さが短くなる部分がある形状(馬蹄形等)、開放長さが一定の部分を有する形状(長方形等)、又は、開放端に近づくに従って開放長さが長くなる部分がある形状(台形等)の何れかである。
【0106】
これにより、目的及び要求される仕様に合う特徴を有する被覆電線ユニット1を実現できる。
【0107】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1において、接続部には、取出電線30を接続するためのボルトを取付可能な取付孔(電線接続孔23)が形成されている。
【0108】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1において、接続部には、取出電線30が有する端子を挿入して電気的及び機械的に接続するための導通溝26が形成されている。なお、接続部は、被覆電線10の絶縁被覆12が除去されて内部導体11が露出している部分であってもよい。この場合、孔や溝等を形成せずに取出電線30又はバスバー等を接続できる。
【0109】
これにより、様々なタイプの接続構造に対応できる。
【0110】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1において、導通溝26は、被覆電線10の厚み方向の両側に形成されている。
【0111】
これにより、取出電線30と被覆電線10の電気的接続及び機械的接続の安定性を向上できる。
【0112】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1では、導通溝26に加え、取出電線30を位置決めするための位置決め溝27が形成されている。
【0113】
これにより、取出電線30を位置決めしつつ、取出電線30を被覆電線10と電気的に接続することができる。
【0114】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1では、導通溝26と位置決め溝27は、長さが異なる。
【0115】
これにより、導通溝26と位置決め溝27を簡単に区別できる。
【0116】
これにより、取出電線30を位置決めしつつ、取出電線30を被覆電線10と電気的に接続することができる。
【0117】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1において、接続部には、取出電線30を被覆電線10に接続するためのボルト41及びナット42が取り付けられている。厚み方向に垂直な方向で見たときに、ボルト41及びナット42が最外層の被覆電線10から厚み方向において当該被覆電線10の外側に突出しておらず、ボルト41及びナット42の全体が何れかの被覆電線10と重なっている。
【0118】
これにより、幅方向だけでなく厚み方向のサイズも小さい被覆電線ユニット1が実現できる。
【0119】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1において、接続部の厚み方向の第1側及び第2側の少なくとも一方側には、開放部22で囲まれる空間が形成されている。
【0120】
これにより、接続部に取出電線30を接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0121】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1において、開放部22で囲まれる空間と接続部の両方を覆う保護カバー15を備える。
【0122】
これにより、接続部を保護できる。
【0123】
また、上記実施形態の被覆電線ユニット1において、開放部22で囲まれる空間には、取出電線30に掛かる衝撃を吸収する衝撃吸収材が配置されている。
【0124】
これにより、取出電線30に力が掛かっても、その力が衝撃吸収材によって吸収されるので、接続部に力が掛かりにくくなる。従って、接続部の破断を防止できる。
【0125】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0126】
第1実施形態から第6実施形態で記載した特徴は、適宜組み合わせることが可能である。例えば、第4実施形態で記載した開放部22の形状は、他の何れの実施形態にも適用可能である。それ以外の特徴についても同様である。
【0127】
上記実施形態の被覆電線ユニット1は車両用であるが、それ以外の乗物用であってもよい。また、複数の電線が配置される箇所であれば、乗物以外の用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0128】
1 被覆電線ユニット
10 被覆電線
11 内部導体
12 絶縁被覆
21 切取り線
22 開放部
23 電線接続孔
24 露出領域
25 絶縁シート(絶縁体)
26 導通溝
30 取出電線
31 端子部
32 電線部
41 ボルト(接続具)
42 ナット(接続具)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10