(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】冷却管
(51)【国際特許分類】
F25C 1/00 20060101AFI20221118BHJP
F25C 1/08 20060101ALI20221118BHJP
F25D 15/00 20060101ALI20221118BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20221118BHJP
F28D 20/02 20060101ALI20221118BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
F25C1/00 D
F25C1/08 A
F25D15/00
F24F5/00 102S
F28D20/02 D
F25B1/00 396D
(21)【出願番号】P 2018168123
(22)【出願日】2018-09-07
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】594071712
【氏名又は名称】日本ビー・エー・シー 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】福本 浩通
(72)【発明者】
【氏名】忽那 都志夫
(72)【発明者】
【氏名】上原 研人
(72)【発明者】
【氏名】八重樫 聖一
(72)【発明者】
【氏名】高田 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】羽生 忠司
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-106718(JP,A)
【文献】特開2001-174138(JP,A)
【文献】特開2007-187413(JP,A)
【文献】特開平08-152162(JP,A)
【文献】登録実用新案第3027671(JP,U)
【文献】実開昭53-113463(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00
F25C 1/08
F25D 15/00
F24F 5/00
F28D 20/02
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷蓄熱槽の内部に配設され、内部をCO
2冷媒が流通する冷却管であって、
上方から前記CO
2冷媒が流入するとともに、上下方向に延在する供給冷媒竪管と、
下側の一端が前記供給冷媒竪管の最下部に連結するとともに、前記氷蓄熱槽の内部を上方に向けて蛇行するように配置され、上側の他端から前記CO
2冷媒が流出する
とともに、蛇行する平面に直交する直交方向に沿って複数設けられる蛇行パイプと、
複数の前記蛇行パイプの上側の端部を互いに連結する連結管と、
前記連結管に連結するとともに前記上下方向に延在する延在パイプと、を有し、
複数の前記蛇行パイプの前記一端は、前記直交方向に沿って延在する水平ヘッダーを介して、前記供給冷媒竪管の前記最下部に連結する冷却管。
【請求項2】
前記蛇行パイプは、
前記上下方向に沿って複数設けられ、左右方向に延在する水平コイルと、
前記上下方向に隣り合う複数の前記水平コイル同士を、互いに連結する垂直ベンド管と、を有し、
前記水平コイルおよび前記垂直ベンド管は、溶接によって固定されている、請求項1に記載の冷却管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却管に関し、特に冷凍装置システムに用いられる冷却管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水槽(氷蓄熱槽)内の冷却管に対して、主にフロン系冷媒を供給して循環させ、冷却管外に氷を成長させる技術が知られている。
【0003】
冷却管に冷媒を供給する方法としては、例えば、冷却管の直近に膨張弁を設置し、高圧液を断熱膨張して低圧蒸気になった冷媒を直接コイルに供給する直膨式が挙げられる(例えば特許文献1)。直膨式の場合、膨張弁の下流に配置された分配器を介して、最上段の冷却管からフロン系冷媒を供給(トップフィード)している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、CO2を冷媒として用いた場合、フロン系冷媒等と比較して常用圧力が高いために、高圧化に耐えうるように上述の分配器の強度を上げなければならず手間である。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、冷凍装置システムの部品(例えば分配器)の強度を上げるなどの特別な構造を採用することなく、CO2冷媒を好適に循環させることのできる冷却管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する冷却管は、氷蓄熱槽の内部に配設され、内部をCO2冷媒が流通する冷却管である。冷却管は、上方から前記CO2冷媒が流入するとともに、上下方向に延在する供給冷媒竪管と、下側の一端が前記供給冷媒竪管の最下部に連結するとともに、前記氷蓄熱槽の内部を上方に向けて蛇行するように配置され、上側の他端から前記CO2冷媒が流出するとともに、蛇行する平面に直交する直交方向に沿って複数設けられる蛇行パイプと、複数の前記蛇行パイプの上側の端部を互いに連結する連結管と、前記連結管に連結するとともに前記上下方向に延在する延在パイプと、を有し、複数の前記蛇行パイプの前記一端は、前記直交方向に沿って延在する水平ヘッダーを介して、前記供給冷媒竪管の前記最下部に連結する。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された冷却管によれば、CO2冷媒を循環させるための駆動力として、供給冷媒竪管に充填されるCO2冷媒の高さヘッドを利用することができる。したがって、冷凍装置システムの部品の強度を上げるなどの特別な構造を採用することなく、CO2冷媒を好適に循環させることのできる冷却管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置システムを示す系統図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る冷凍装置システムを示す系統図である。
【
図5】変形例1に係る冷凍装置システムを示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を、
図1~
図3を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係る冷凍装置システム1を示す系統図である。
図2は、冷却管20の構成を示す正面図である。
図3は、冷却管20の構成を示す側面図である。以下、
図1~
図3を参照して、冷凍装置システム1の構成について説明する。
【0012】
第1実施形態に係る冷凍装置システム1は、
図1に示すように、水が貯留される氷蓄熱槽10と、氷蓄熱槽10の内部に配設される冷却管20と、CO
2冷媒が循環する循環ライン30と、CO
2冷媒を気液分離する気液分離器40と、CO
2冷媒を貯留するための受液器50と、CO
2冷媒を冷却して液化する冷却機構60と、受液器50内の液状のCO
2冷媒を気液分離器40に送液する液ポンプ70と、を有する。
【0013】
氷蓄熱槽10は水槽であり、内部には水が供給され、供給された水は氷蓄熱槽10において冷却され、冷水は氷蓄熱槽10の外部に供給される。冷水は、例えばプロセス冷却に用いられる。
【0014】
冷却管20は、
図1~
図3に示すように、氷蓄熱槽10の内部に配設されている。冷却管20は、例えば、断面が円形、楕円形または長円形の管を用いることができる。冷却管20内を流通するCO
2冷媒の蒸発潜熱を利用して、氷蓄熱槽10の内部の水を冷却する。以下、
図2および
図3を参照して、冷却管20の構成について詳細に説明する。以下、理解の容易のため、
図2の左右方向をX方向、
図3の左右方向をY方向、
図2および
図3の上下方向をZ方向と称する。
【0015】
冷却管20は、
図2、
図3に示すように、Z方向に延在する供給冷媒竪管21と、氷蓄熱槽10の内部をZ方向に向けて蛇行するように、Y方向に沿って5つ配置される蛇行パイプ22と、供給冷媒竪管21の最下部21Aおよび5つの蛇行パイプ22の下側の一端22aを連結する水平ヘッダー23と、5つの蛇行パイプ22の上側の他端22bを互いに連結する連結管24と、連結管24に連結するとともにZ方向に延在する延在パイプ25と、を有する。
【0016】
供給冷媒竪管21には、上方からCO2冷媒が流入して、流入したCO2冷媒は、供給冷媒竪管21の内部を下方に向けて流通する。供給冷媒竪管21のZ方向の長さ(高さヘッド)は、氷蓄熱槽10の内部においてCO2冷媒を循環させるための駆動力となる。したがって、CO2冷媒を好適に循環させることができるように、高さヘッドを調整することが好ましい。
【0017】
蛇行パイプ22は、
図2に示すように、XZ平面上をZ方向に向けて蛇行するように一端22aから他端22bまで設けられる。蛇行パイプ22の一端22aからCO
2冷媒が流入し、蛇行パイプ22の他端22bからCO
2冷媒が流出する。蛇行パイプ22は、
図3に示すように、XZ平面に直交するY方向(直交方向に相当)に沿って5つ設けられる。
【0018】
1本の蛇行パイプ22は、
図2に示すように、X方向に向けて延在する水平コイル22Aと、Z方向に隣り合う水平コイル22A同士を、互いに連結する垂直ベンド管22Bと、を有する。
【0019】
水平コイル22Aは、Z方向に沿って複数(
図2では14本)設けられる。
【0020】
垂直ベンド管22Bは、直線状のパイプを折り曲げることによって構成される。垂直ベンド管22Bは、水平コイル22Aとは別体で構成されており、垂直ベンド管22Bおよび水平コイル22Aは、溶接によって互いに固定されている。このように構成された蛇行パイプ22によれば、1本からなる蛇行パイプと比較して容易に製造することができる。
【0021】
水平ヘッダー23は、
図3に示すように、Y方向に延在する。水平ヘッダー23の一端(
図3の左端)23aは、供給冷媒竪管21の最下部21Aと、液密気密に連結されている。
【0022】
連結管24は、5つの蛇行パイプ22の上側の他端22bを互いに連結する。連結管24は、
図3に示すように、Y方向に延在する。
【0023】
延在パイプ25は、
図2、
図3に示すように、Z方向に延在する。延在パイプ25の最下部25Aは、連結管24の一端(
図3の左端)24aと液密気密に連結されている。
【0024】
図1~
図3を参照して、このように構成された冷却管20において、気液分離器40から供給される液状のCO
2冷媒は、供給冷媒竪管21の上方から供給冷媒竪管21の内部に流入する。供給冷媒竪管21の内部に流入したCO
2冷媒は、供給冷媒竪管21の内部を下方に移動して最下部21Aに到達する。そして、CO
2冷媒は、水平ヘッダー23を介して、5本の蛇行パイプ22の一端22aに流入する。蛇行パイプ22の一端22aに流入したCO
2冷媒は、供給冷媒竪管21に充填されるCO
2冷媒の高さヘッドを駆動力として、5本の蛇行パイプ22の内部を上方に向けて流通し、蛇行パイプ22の他端22bに到達する。そして、CO
2冷媒は、連結管24において合流して、延在パイプ25を介して、氷蓄熱槽10の外部に流出する。このように、本実施形態に係る冷却管20によれば、氷蓄熱槽10の内部に満遍なく冷却管20が配置されるため、氷蓄熱槽10の内部の水を好適に冷却することができる。
【0025】
循環ライン30は、
図1に示すように、CO
2冷媒が循環するように構成されている。循環ライン30は、冷却管20および気液分離器40の間に配置される第1循環ライン31と、気液分離器40および受液器50の間に配置される第2循環ライン32と、を有する。
【0026】
第1循環ライン31には、電磁弁31Aおよび流量調整弁31Bが配置されている。
【0027】
気液分離器40は、第1循環ライン31を介して冷却管20と接続されている。また、気液分離器40は、第2循環ライン32を介して受液器50と接続されている。
【0028】
気液分離器40は、氷蓄熱槽10の内部の水の冷却に用いられて少なくとも一部が気化したCO2冷媒を受け入れ、このCO2冷媒を気液分離するように構成されている。気液分離器40において分離された液状のCO2冷媒は、再度、第1循環ライン31を介して冷却管20に供給される。また、気液分離器40において分離されたガス状のCO2冷媒は、第2循環ライン32を介して受液器50に供給される。
【0029】
受液器50は、CO2冷媒を貯留するように構成されている。受液器50に貯留されるCO2冷媒は、主として冷却機構60において液化されたCO2冷媒である。
【0030】
受液器50には、送りライン51が接続されており、受液器50内のガス状のCO2冷媒が送りライン51を介して、冷却機構60に送られる。また、受液器50には、戻りライン52が接続されており、冷却機構60で液化されたCO2冷媒が受液器50に戻される。受液器50に貯留されている液状のCO2冷媒は、液ポンプ70によって、気液分離器40に送られる。
【0031】
冷却機構60は、CO2冷媒を冷却して液化するように構成されている。冷却機構60は、アンモニア冷媒が循環するアンモニア冷凍サイクルである。冷却機構60は、圧縮機61と、凝縮器62と、膨張弁63と、蒸発器としての熱交換器64と、アンモニア冷媒ライン65と、を有する。冷却機構60は、一般的なアンモニア冷凍サイクルであるため、詳細な説明は省略する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る冷却管20は、氷蓄熱槽10の内部に配設され、内部をCO2冷媒が流通する冷却管20である。冷却管20は、上方からCO2冷媒が流入するとともに、Z方向に延在する供給冷媒竪管21と、一端22aが供給冷媒竪管21の最下部21Aに連結するとともに、氷蓄熱槽10の内部を上方に向けて蛇行するように配置され、他端22bからCO2冷媒が流出する蛇行パイプ22と、を有する。このように構成された冷却管20によれば、CO2冷媒を循環させるための駆動力として、供給冷媒竪管21に充填されるCO2冷媒の高さヘッドを利用することができる。したがって、冷凍装置システム1の部品の強度を上げるなどの特別な構造を採用することなく、CO2冷媒を好適に循環させることのできる冷却管20を提供することができる。
【0033】
また、蛇行パイプ22は、Z方向に沿って複数設けられ、X方向に延在する水平コイル22Aと、Z方向に隣り合う複数の水平コイル22A同士を、互いに連結する垂直ベンド管22Bと、を有し、水平コイル22Aおよび垂直ベンド管22Bは、溶接によって固定されている。このように構成された冷却管20によれば、1本のパイプからなる冷却管と比較して、製造が容易となる。
【0034】
また、蛇行パイプ22は、当該蛇行パイプ22が蛇行するXZ平面に直交するY方向に沿って、複数設けられる。また、5本の蛇行パイプ22の一端22aは、Y方向に沿って延在する水平ヘッダー23を介して、供給冷媒竪管21の最下部21Aに連結する。このように構成された冷却管20によれば、Y方向に沿って満遍なく蛇行パイプ22が配置されることになるため、好適に氷蓄熱槽10の内部の水を冷却することができる。
【0035】
<第2実施形態>
次に、
図2を参照して、本発明の第2実施形態に係る冷凍装置システム2の構成について説明する。
【0036】
図2は、第2実施形態に係る冷凍装置システム2を示す系統図である。第1実施形態と共通する部分は説明を省略し、第2実施形態のみに特徴のある個所について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付して説明し、重複した説明は省略する。第2実施形態は、第1実施形態と比較して、冷却機構60が設けられる位置などが異なる。
【0037】
第2実施形態に係る冷凍装置システム2は、
図2に示すように、氷蓄熱槽10と、冷却管20と、循環ライン30と、気液分離器40と、冷却機構60と、を有する。氷蓄熱槽10、冷却管20、循環ライン30、および気液分離器40の構成は、上述した第1実施形態に係る冷凍装置システム1と同様であるため、説明は省略する。また、第2実施形態に係る冷凍装置システム2は、液ポンプ70を有しない。
【0038】
第2実施形態に係る冷凍装置システム2の冷却機構60は、
図2に示すように、氷蓄熱槽10の上部に配置されている。このように構成された冷凍装置システム2によれば、気液分離器40内の液状のCO
2冷媒は、位置エネルギー差によって、冷却管20に移動される。よって、液ポンプを必要とすることなく、CO
2冷媒を循環させることができ、冷凍装置システム2を小型化することができる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0040】
例えば、上述した第2実施形態では、氷蓄熱槽10の内部に1つの循環ライン30が配置されていた。しかしながら、
図3に示すように、冷凍装置システム3は、氷蓄熱槽10の内部に、複数(
図3では4つ)の循環ライン30が配置される構成であってもよい。このように構成された冷凍装置システム3によれば、4つの循環ライン30を流れるCO
2冷媒の循環をオン/オフにすることによって、冷却効率を可変にすることができる。
【0041】
また、上述した実施形態では、蛇行パイプ22は、水平コイル22Aおよび垂直ベンド管22Bを有し、水平コイル22Aおよび垂直ベンド管22Bは、溶接によって互いに連結されていた。しかしながら、蛇行パイプは、1本の配管を折り曲げて構成されていてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、蛇行パイプ22は、Y方向に沿って、5本設けられた。しかしながらこれに限定されず、蛇行パイプ22は、1~4本、または6本以上設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1、2、3 冷凍装置システム、
10 氷蓄熱槽、
20 冷却管、
21 供給冷媒竪管、
21A 供給冷媒竪管の最下部、
22 蛇行パイプ、
22a 蛇行パイプの一端、
22b 蛇行パイプの他端、
22A 水平コイル、
22B 垂直ベンド管、
23 水平ヘッダー。