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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】ステージ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20221118BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20221118BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01L21/68 K
H01L21/30 541L
G03F7/20 504
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019074272
(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2020173317
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 保尚
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-129358(JP,A)
【文献】特開2003-229350(JP,A)
【文献】特開2010-248583(JP,A)
【文献】特開2009-76583(JP,A)
【文献】特開2015-213113(JP,A)
【文献】特開2005-19708(JP,A)
【文献】特開2007-103651(JP,A)
【文献】特開2009-65147(JP,A)
【文献】特開2004-260116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/027、21/30、21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空引きされたチャンバ内に収容され、処理対象を載置するステージ部と、
前記ステージ部と前記チャンバの内壁との間に設けられ、前記ステージ部を支持する複数の支持部とを備え、
前記複数の支持部のそれぞれは、前記ステージ部に対向する第1面と、前記チャンバに対向する第2面と、前記第1面と前記第2面との間にある側面とを含み、
前記支持部は、前記支持部の前記側面から内部に向かって第1方向および該第1方向とは反対の第2方向から切り込むように設けられた第1および第2溝部を有する、ステージ装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記第1溝部と前記第2溝部との間に、前記支持部の中心部に残置された接続部を有し、
前記支持部は、前記接続部を支点として前記第1および第2溝部の間隔を変化させるように変形可能である、請求項1に記載のステージ装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記チャンバの中心部の方向に前記第1面または前記第2面が傾くように変形可能である、請求項2に記載のステージ装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記第1溝部および前記第2溝部とは異なる高さにおいて、前記支持部の前記側面から内部に向かって第3方向および該第3方向とは反対の第4方向から切り込むように設けられた第3および第4溝部を有し、
鉛直方向から見た前記第3方向および前記第4方向は、前記第1方向および前記第2方向と垂直である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のステージ装置。
【請求項5】
前記第3溝部および前記第4溝部は、前記第1溝部および前記第2溝部が設けられる高さに近接した高さに設けられ、
前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向および前記第4方向は、前記複数の支持部の間で同じである、請求項4に記載のステージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、ステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム描画装置は、描画ステージがマスクの位置を調整しながら、マスクに所定のパターンを描画する。要求される描画精度でマスクを描画するために、描画ステージは高い姿勢安定性が求められる。この姿勢安定性の要求仕様を満たすように、描画ステージは組立および調整される。
【0003】
しかし、真空チャンバが真空引きによって変形すると、それに伴い、描画ステージの姿勢の安定性が悪化して要求仕様を満たさなくなってしまうおそれがある。これは、マスクの描画精度の劣化に繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-172635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
真空引きによるステージの変形を抑制することができるステージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によるステージ装置は、真空引きされたチャンバ内に収容され、処理対象を載置するステージ部と、ステージ部とチャンバの内壁との間に設けられ、ステージ部を支持する複数の支持部とを備え、複数の支持部のそれぞれは、ステージ部に対向する第1面と、チャンバに対向する第2面と、第1面と第2面との間にある側面とを含み、支持部は、支持部の側面から内部に向かって第1方向および該第1方向とは反対の第2方向から切り込むように設けられた第1および第2溝部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態によるステージ装置を有する荷電粒子ビーム描画装置の構成の一例を示す模式図。
図2】第1実施形態によるステージ部の構成の一例を示す斜視図。
図3】第1実施形態によるステージ部およびスペーサの構成の一例を示す図。
図4】第1実施形態によるスペーサの構成の一例を示す斜視図。
図5】第1実施形態によるステージ部に対するスペーサの配置の一例を示す平面図。
図6】第1実施形態による第3溝部および第4溝部を有しないスペーサの配置の一例を示す平面図。
図7】変形例によるステージ部に対するスペーサの配置の一例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態によるステージ装置30を有する荷電粒子ビーム描画装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示す荷電粒子ビーム描画装置は、例えば、処理対象(マスクW)に電子ビームを照射して所定のパターンを描画する。尚、本実施形態は、描画装置の他、露光装置、電子顕微鏡、光学顕微鏡等の電子ビーム(荷電粒子ビーム)や光を処理対象に照射する装置であってもよい。従って、処理対象は、マスクの他、半導体基板等であってもよい。
【0011】
荷電粒子ビーム描画装置は、チャンバ10と、電子銃20と、ステージ装置30と、レーザ測長部40とを備えている。チャンバ10は、内部が真空引きされ、ステージ部50などを収容する。電子銃20は、チャンバ10の天井部に設けられ、マスクWに電子ビームを照射する。ステージ装置30は、ステージ部50と、複数の支持部(スペーサ)60とを備えている。
【0012】
ステージ部50は、チャンバ10内に収容される。また、ステージ部50には、マスクWが載置される。ステージ部50は、載置されたマスクWの位置を調整する。ステージ部50は、XYステージ51xyと、Zステージ51zと、トップステージ51tとを有する。
【0013】
図2は、第1実施形態によるステージ部50の構成の一例を示す斜視図である。XYステージ51xyは、Y軸ガイドレール52yとX軸ガイドレール52xとを有する。このガイドレール52x,52yにより、XYステージ51xyは、Zステージ51zおよびトップステージ51tをX軸、Y軸の方向に移動させることができる。Zステージ51zは、トップステージ51tをZ軸方向に移動させることができる。このように、トップステージ51tは、X,Y,Zの3軸方向に移動することができる。
【0014】
図1を再度参照する。レーザ測長部40は、トップステージ51tの移動位置を測定する。この移動位置に基づいて、トップステージ51tの位置はフィードバック制御される。マスクWは、トップステージ51t上に載置され、トップステージ51tの位置制御によりパターンが描画される。
【0015】
スペーサ60は、ステージ部50を支持する。例えば、スペーサ60は、チャンバ底面11と、XYステージ51xyとに固定されている。また、スペーサ60は、部分的に肉厚が薄いスリット部61を有する。スペーサ60の構成については、図4を参照して後で説明する。
【0016】
図3は、第1実施形態によるステージ部50およびスペーサ60の構成の一例を示す図である。図3は、図2のY方向から見た図である。尚、図3において、Zステージ51zは省略されている。
【0017】
XYステージ51xyの上部およびガイドレール522yは、ころ523y(転動体)が転がることによりY軸方向に移動する。尚、XYステージ51xyの下部およびガイドレール521yは移動しない。大気中では、ころ523yとガイドレール521y,522yとは接している。従って、XYステージ51xyは、ガイドレール52yに沿って安定して走行することができる。
【0018】
ここで、チャンバ10内が真空引きされると、チャンバ10内の圧力が下がる。従って、図3に示すように、大気圧によりチャンバ底面11がお椀状に変形する。チャンバ底面11の変形がXYステージ51xyに伝わると、例えば、図3の矢印Aに示すように、ガイドレール521yが反るように歪み、ころ(転動体)523yとガイドレール521yとの間に隙間Gが生じる場合がある。この場合、ころ523yとガイドレール521yとの間にがたつきが生じ、XYステージ51xyの走行精度が不安定になる。この結果、XYステージ51xyの行きと帰りで姿勢にずれが生じて、姿勢再現性が劣化する。姿勢は、ヨー角、ピッチ角、ロール角で表される。姿勢再現性とは、ステージの角度変化(ヨーイング、ピッチング、ローリング)の繰り返しの再現性である。例えば、姿勢再現性の劣化は、ステージを或る方向に動作させた際のステージの傾斜角とその反対方向に動作させた際のステージの傾斜角との差(姿勢角誤差)が大きくなることである。姿勢再現性が悪い場合、測長アッベ誤差の観点からマスクWの描画精度が劣化してしまう。ここで、アッベ誤差とは、レーザ測長軸AX2とマスクWの電子ビーム照射位置との距離(オフセットOS)と姿勢角誤差との積である。尚、図3はY軸方向への走行の例を示しているが、X軸方向においても同様である。
【0019】
そこで、本実施形態では、スペーサ60にスリット部61を設ける。これにより、スペーサ60は、チャンバ底面11の変形に追従して変形可能となり、チャンバ底面11の変形を緩和(吸収)し、その変形をステージ部50に伝達させない。以下、図4および図5を参照して、スペーサ60の詳細について説明する。
【0020】
図4は、第1実施形態によるスペーサ60の構成の一例を示す斜視図である。図4のスペーサ60の中央部に設けられるねじ穴62は、例えば、ステージ部50との固定に用いられる。ねじ穴62の周囲の3つの穴63は、例えば、チャンバ底面11との固定に用いられる。
【0021】
スリット部61は、或る高さの第1水平面S1において第1方向D1にスペーサ60の側面から内部に向かって設けられている第1溝部611と、第1水平面S1において第1方向D1とは反対の第2方向D2にスペーサ60の側面から内部に向かって設けられている第2溝部612とを含む。鉛直方向から見た第1溝部611および第2溝部612の形状は、例えば、略半円形状となる(図5を参照)。また、第1溝部611および第2溝部612は、スペーサ60の中心部を残置させるようにスペーサ60の両側面から切り込みを入れるように設けられている。さらに、第1溝部611および第2溝部612は、スペーサ60の中心を通過するD3、D4方向の中心線に関して略対称の形状を有する。一方、第1溝部611および第2溝部612は、スペーサ60の中心部においては互いに繋がっていない。従って、スペーサ60は、第1水平面S1の中心近傍において薄肉部(接続部)65として残置されており、上下に分離されてはいない。薄肉部65が僅に歪むことによってスリット部61のうち第1溝部611および第2溝部612の鉛直方向の間隔が変化し、第1溝部611および第2溝部612は、第1水平面S1から傾斜するように変形する。
【0022】
また、スリット部61は、第1水平面S1と異なる高さ(図4のHを参照)の第2水平面S2において第3方向D3にスペーサ60の側面から内部に向かって設けられている第3溝部613と、第2水平面S2において第3方向D3とは反対の第4方向D4にスペーサ60の側面から内部に向かって設けられている第4溝部614とをさらに含む。また、鉛直方向から見た第3方向D3および第4方向D4は、第1方向D1および第2方向D2と垂直である。鉛直方向から見た第3溝部613および第4溝部614の形状は、例えば、略半円形状となる(図5を参照)。また、第3溝部613および第4溝部614は、スペーサ60の中心部を残置させるようにスペーサ60の両側面から切り込みを入れるように設けられている。さらに、第3溝部613および第4溝部614は、スペーサ60の中心を通過する第1方向D1、第2方向D2の中心線に関して略対称の形状を有する。一方、第3溝部613および第4溝部614は、スペーサ60の中心部においては互いに繋がっていない。従って、スペーサ60は、第2水平面S2の中心近傍において薄肉部(接続部)66として残置されており、上下に分離されてはいない。薄肉部66が僅に歪むことによってスリット部61のうち第3溝部613および第4溝部614の鉛直方向の間隔が変化し、第3溝部613および第4溝部614は、第2水平面S2から傾斜するように変形する。
【0023】
尚、第3溝部613および第4溝部614は、切り込み方向(D3、D4)が第1溝部611および第2溝部612の切り込み方向(D1、D2)と略直交するが、それらの形状自体は同様でよい。従って、スペーサ60の厚みは、スリット部61の変形によって或る程度可変であり、チャンバ底面11の変形を緩和させることができる。
【0024】
第1~第4溝部611~614の幅や深さは、ステージ装置30が振動しない範囲で設定される。例えば、第1~第4溝部611~614の幅や深さを大きくすると、スペーサ60の薄肉部65、66の剛性が低下してステージ装置30全体の固有振動数が下がる。この固有振動数がステージ装置30の有する加振源の振動数と近い値になると、ステージ装置30が発振してしまう可能性がある。従って、第1~第4溝部611~614の幅や深さは、ステージ装置30全体の固有振動数とスペーサ60の変形しやすさとのバランスを考慮して設定される。尚、ステージ装置30の固有振動数は、ステージ部50の重さにも依存する。例えば、ステージ部50が重いほど、ステージ部50の固有振動数は下がる。
【0025】
薄肉部65、66の曲げ剛性は、例えば、ステージ部50の曲げ剛性よりも低い。これにより、スペーサ60は、チャンバ底面11の変形を吸収するように変形する。従って、チャンバ底面11の変形を抑制することができる。また、スペーサ60の材料は、例えば、ステンレスでよい。
【0026】
図5は、第1実施形態によるステージ部50に対するスペーサ60の配置の一例を示す平面図である。図5は、鉛直方向から見た図である。スペーサ60中の実線は第1水平面S1での第1溝部611,第2溝部612の形状を示し、破線は第2水平面S2で第3溝部613,第4溝部614の形状を示している。スペーサ60の数は、例えば、4つである。この場合、スペーサ60は、方形のステージ部50の4隅に設けられる。
【0027】
ステージ部50の4隅において、各スペーサ60は、第1~第4溝部611~614の切り込み方向(D1~D4)のいずれかをステージ部50の対角方向と略平行または略垂直にする。例えば、互いに隣接するスペーサ60は、約0°または約90°回転するように配置されている。また、複数のスペーサ60は、薄肉部65,66において変形可能である。これにより、チャンバ底面11が変形した場合であっても、チャンバ底面11の変形を効率よく吸収し、ステージ部50の変形を抑制することができる。尚、隣接するスペーサ60の間隔は必ずしも同じでなくてよい。例えば、図5に示す例では、Y軸方向のスペーサ60の間隔は、X軸方向のスペーサ60の間隔よりも短い。また、図5に示す中央部12は、ステージ部50の中央部であるが、チャンバ10の中央部であってもよい。
【0028】
もし、第1方向D1や第2方向D2がガイドレール52x、52yの延伸方向(X軸やY軸)と平行になるように設けられると、図3のXYステージ51xyの動作方向がスリット部61の切り込み方向と重複するため、XYステージ51xyの動作によるスペーサ60の剛性が大きく減少する場合がある。この場合、ステージ装置30が発振しやすくなる可能性がある。
【0029】
これに対して、第1実施形態では、図5に示すように、第1方向D1や第2方向D2がX軸やY軸に対して水平面内において傾斜しているため、XYステージ51xyの動作によるスペーサ60の剛性の低下を抑制することができる。これにより、ステージ装置30の発振を抑制することができる。
【0030】
また、複数のスペーサ60は、薄肉部65、66において変形可能である。従って、各スペーサ60の上面(第1面)または底面(第2面)は、十字方向から切り込まれた第1~第4溝部611~614により、いずれの方向にも傾くことができる。
【0031】
スリット部61が設けられない場合、スペーサ60の上面または底面の傾斜が大きくなるほど、姿勢角誤差が大きくなり、姿勢再現性が劣化する。例えば、走行時の姿勢角誤差の要求仕様が満たされなくなる。しかし、スリット部61が設けられている場合、スペーサ60の上面または底面の傾斜が大きくなっても、姿勢角誤差はほとんど変化しない。これは、スペーサ60の上面または底面が傾くようにスペーサ60が変形して、ステージ部50の変形が抑制されているためである。
【0032】
以上のように、第1実施形態によれば、スペーサ60は、その側面から内部に向かって設けられたスリット部61を有している。スリット部61は、第1水平面S1において互いに反対方向である第1方向D1、第2方向D2からスリット部61の中心部へ向って切り込まれた第1溝部611と第2溝部612とを有する。これにより、スペーサ60は、第1溝部611と第2溝部612との間に薄肉部65を有する。また、スリット部61は、第2水平面S2において互いに反対方向である第3方向D3、第4方向D4からスリット部61の中心部へ向って切り込まれた第3溝部613と第4溝部614とを有する。これにより、スペーサ60は、第3溝部613と第4溝部614との間に薄肉部66を有する。スペーサ60の中心部において、薄肉部65、66は、両方とも残置されている。これにより、スペーサ60は、その中心部を支点として、その上面または底面を傾斜させるように変形することができる。従って、真空引きによるチャンバ10の底面11の変形がステージ部50に伝播することを抑制し、ステージ部50の姿勢再現性(走行精度)の劣化を抑制することができる。この結果、ステージ部50の姿勢安定性の悪化を抑制し、装置立ち上げの歩留まりの悪化を抑制することができる。
【0033】
尚、第3溝部613および第4溝部614は設けられていなくてもよい。図6は、第1実施形態による第3溝部613および第4溝部614を有しないスペーサ60の配置の一例を示す平面図である。この場合、第1溝部611および第2溝部612のみがその上面または底面を傾斜させるように変形する。例えば、変形が最も大きいチャンバ10の中央部12の方向に対してスペーサ60が変形するように、スペーサ60を配置すればよい。この場合も、ステージ部50の変形を抑制することができる。また、溝部の数が少ないため、より簡易にスペーサ60を作製することができ、スペーサ60の剛性の低下も抑制することができる。
【0034】
(変形例)
図7は、変形例によるステージ部50に対するスペーサ60の配置の一例を示す平面図である。第1実施形態の変形例によれば、スペーサ60の方向が第1実施形態と異なる。
【0035】
変形例では、第3溝部613,第4溝部614が設けられる第2水平面S2は、第1溝部611,第2溝部612が設けられる第1水平面S1と接近している。第1水平面S1と第2水平面S2との間の高さの差Hは僅かである(図4を参照)。この場合、第1溝部611,第2溝部612と第3溝部613,第4溝部614とを区別する必要がなくなる。従って、第1方向D1、第2方向D2、第3方向D3および第4方向D4は、複数のスペーサ60の間で等価と考えてよい。即ち、第1方向D1、第2方向D2、第3方向D3および第4方向D4のいずれをステージ部50の対角方向に合わせてもよい。例えば、図7に示すように、4つのスペーサ60は、全て同じ方向になるように配置されてもよい。この場合、第1方向D1および第2方向D2、または、第3方向D3および第4方向D4は、複数のスペーサ60からチャンバ10の中央部12までの方向と略平行である。
【0036】
図4に示すように、スペーサ60は、例えば、チャンバ底面11と固定するための3つの穴63を有する。この場合、チャンバ底面11のねじ穴の配置によって、スペーサ60を120°ずつしか回転させるように配置させることができない可能性がある。従って、図5に示すように、隣接するスペーサ60を略90°ずつ回転させるように配置することが難しく、スペーサ60ごとに第1~第4溝部611~614の方向を変える必要がある場合がある。これに対して、変形例では、スペーサ60の向きを全て同じ方向にすることができるので、同じスペーサ60を用いることができる。これにより、スペーサ60の作製コストを抑制することができる。
【0037】
また、スペーサ60の向き(第1~第4方向D1~D4)を気にすることなく、スペーサ60をステージ部50に取り付けることができる。さらに、変形例によるステージ装置30は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0039】
10 チャンバ、12 中央部、30 ステージ装置、50 ステージ部、60 スペーサ、61 スリット部、611 第1溝部、612 第2溝部、613 第3溝部、614 第4溝部、D1 第1方向、D2 第2方向、D3 第3方向、D4 第4方向、W マスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7