(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】低粘度速硬化性積層用接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20221118BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20221118BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J11/06
B32B27/00 D
(21)【出願番号】P 2019528504
(86)(22)【出願日】2017-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2017080028
(87)【国際公開番号】W WO2018095962
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-19
(32)【優先日】2016-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2016-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】イネス・ゼーハーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルトゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルガ・ガルマン
(72)【発明者】
【氏名】デニス・バンクマン
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527648(JP,A)
【文献】国際公開第2016/152370(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0053147(US,A1)
【文献】特開2018-030905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
C08G18/00-18/87;71/00-71/04
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン系二成分積層用接着剤組成物であって、前記積層用接着剤組成物の総重量を基準として、
(a)樹脂成分として、少なくとも40重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の含有量を有する少なくとも1つのNCO末端ポリウレタンプレポリマーと、ここで前記MDIは、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、またはそれと2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物である、
(b)3つの異なるポリオールからなる硬化成分と
を含有し、
前記硬化成分の前記3つの異なるポリオールのうちの1つは、アルキレンオキシド(AO)が加えられ、70
0未満の分子量Mwを有するトリオールであり、
前記硬化成分の前記3つの異なるポリオールのうちの1つは、<15
0の分子量を有す
る二価または多価
の脂肪族アルコールであり、
前記硬化成分の前記3つの異なるポリオールのうちの1つは、アルキレンオキシド(AO)が加えられ、700~120
0の分子量Mwを有するトリオール
であるか、またはヒマシ油であり、
前記二成分積層用接着剤組成物は、
ポリエステルを含まないか、前記接着剤組成物の総重量を基準として、10重量%未満のポリエステル含有量を有する、ポリウレタン系二成分積層用接着剤組成物。
【請求項2】
前記アルキレンオキシド(AO)が加えられ、70
0未満の分子量Mwを有するトリオールは、前記硬化成分中に、5~90重量%含有されることを特徴とする、請求項1に記載の積層用接着剤組成物。
【請求項3】
前記<15
0の分子量を有す
る二価または多価
の脂肪族アルコールは、0.5~10重量%含有されることを特徴とする、請求項1~2の
いずれか一項に記載の積層用接着剤組成物。
【請求項4】
前記アルキレンオキシド(AO)が加えられ、700~120
0の分子量Mwを有するトリオールか、ヒマシ油は前記硬化成分中に5~80重量%含有されることを特徴とする、請求項1~3の
いずれか一項に記載の積層用接着剤組成物。
【請求項5】
前記<15
0の分子量を有す
る二価または多価
の脂肪族アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール-1,4、ペンタンジオール-1,5、ヘキサンジオール-1,6、ヘプタンジオール-1,7、オクタンジオール-1,8、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4の
いずれか一項に記載の積層用接着剤組成物。
【請求項6】
硬化成分に対する樹脂成分のNCO:OH比が、1.4未満であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層用接着剤組成物。
【請求項7】
請求項1~6の
いずれか一項に記載の積層用接着剤組成物であって、
(a)前記組成物は、少なくとも1つの触媒をさらに含有し;および/または
(b)前記組成物は、40℃の温度で、500~5000mPasの粘度を有し;および/または
(c)前記組成物は、有機溶剤を実質的に含まない
ことを特徴とする積層用接着剤組成物。
【請求項8】
2つ以上のフィルムを接合するための、請求項1~7の
いずれか一項に記載の積層用接着剤組成物の使用。
【請求項9】
請求項1~7の
いずれか一
項に記載の積層用接着剤組成物を使用して、少なくとも2つの同一または異なるプラスチックフィルムをその表面の一部または全部にわたり接合することを特徴とする、複合フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記接合対象のフィルムの前記接合対象の表面のうち少なくとも1つに、1~5g/m
2の量で、前記積層用接着剤組成物を塗布することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9~10の
いずれか一項に記載の方法に従って製造された複合フィルム。
【請求項12】
包装としての請求項11に記載の複合フィルムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に積層フィルム用の二成分ポリウレタン接着剤に関し、ここで、PU接着剤は、積層用接着剤組成物の総重量を基準として、(a)樹脂成分として、少なくとも40重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(ここでMDIは、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、またはそれと2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物である)の含有量を有する少なくとも1つのNCO末端ポリウレタンプレポリマーと、(b)硬化成分として、少なくとも3つの異なるポリオールを含むポリオール混合物とを含有する。本発明はさらに、フィルムを接合するための接着剤の使用、複合フィルムの製造方法、および記載された接着剤を使用して接合された複合フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
工業界では、積層用接着剤は一般に知られている。積層用接着剤は、プラスチックフィルム、金属箔、紙または厚紙などの薄い平らな基材を互いに接合するために使用される溶剤含有または溶剤不含の架橋型または物理硬化性接着剤である。これらの場合、接合が、薄い個々の層の柔軟性をわずかに低下させるだけで、それでも十分な接着を達成することが重要である。個々のフィルム層を選択することにより、これらの多層フィルムの特定の特性、特に水、他の液体に対する透過性、耐薬品性、および酸素または他の気体に対する透過性に影響を及ぼすことが可能になる。
【0003】
このような多層フィルムから、例えば、固形、ペースト状もしくは液状の食品用包装、プラスチック製カトラリー、医療材料、化学製品、化粧品、洗浄剤または物品が製造される。さらに、そのような積層体は、可撓性導体、電気絶縁材料、翼板または太陽光発電用部品などの技術製品に使用されている。
【0004】
食品に関連する上記の適用分野は、これらの多層フィルムが、健康に有害な量で包装から包装された商品へと移行する可能性があるいかなる物質も含有することができないことを意味する。最終的には、多層フィルムが好ましい視覚的外観を有することも望ましい。
【0005】
そのような適用分野のための接着剤として、先行技術では、特に二成分系、特にポリウレタン系の2K系が知られている。これらは使用前に混合され、次いで、接合対象のフィルムの1つに典型的には約1~5g/m2の量で塗布される。接着剤によって被覆されている第1のフィルムの側に第2のフィルムを積層することによって、硬化後に、特に食品用だけでなく上述した他の用途にも包装材料として使用される複合フィルムを得ることができる。この種の接着剤系は通常透明である。
【0006】
しかし、既知の系の不利な点は、ポリウレタン系二成分系が過剰のモノマーイソシアネート基を有することである。この過剰量は、完全に硬化した生成物を得るために水と反応させなければならない。この反応の間に、今度は、第一級芳香族アミン(PAA)が形成され、第一級芳香族アミンは他のイソシアネート基と反応することによって分解されなければならない。ヨーロッパの規制によると、食品は、10ppbの検出限界未満の第一級芳香族アミンを含有する包装によってのみ提供されてもよい。高い割合のモノマーイソシアネート基の別の不利な点は、硬化時間が長くなることである。しかし、そのような系を用いて比較的低い粘度を達成することができ、これにより良好な加工性が確保される。
【0007】
先行技術では、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)の使用は、第一級芳香族アミンの分解を促進することが知られている。通常、この種の系は、モノマーイソシアネート基の含有量を減らすために、予備重合成分を用いて調製される。さらに、ポリエステルポリオールを使用して接着力を高める。しかし、これらの系は比較的高い粘度を有し、積層機内での操作時間が>250m/分の場合には、加工中に望ましくないミスチングをもたらす。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、記載した欠点を有しないポリウレタン接着剤を提供することであった。
【0009】
さらに具体的には、驚くべきことに、上記の欠点は、樹脂成分として、少なくとも40重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(ここでMDIは、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、またはそれと2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物である)の含有量を有する少なくとも1つのNCO末端ポリウレタンプレポリマーと、硬化成分として、少なくとも3つの異なるポリオールを含むポリオール混合物とを含有するポリウレタン系二成分系によって克服することができることが判明した。本明細書に記載の系は、良好な加工性(低粘度、積層機内で>300m/分)および迅速な化学作用(PAA分解)ならびに物理的硬化速度を特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
したがって、第1の態様では、本発明は、特に積層フィルム用のポリウレタン系二成分積層用接着剤組成物であって、積層用接着剤組成物の総重量を基準として、
(a)樹脂成分として、少なくとも40重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(ここでMDIは、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、またはそれと2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物である)の含有量を有する少なくとも1つのNCO末端ポリウレタンプレポリマーと、
(b)硬化成分として、少なくとも3つの異なるポリオールを含むポリオール混合物と
を含有するポリウレタン系二成分積層用接着剤組成物に関する。
【0011】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の積層用接着剤組成物を使用して少なくとも2つの同一または異なるプラスチックフィルムを接合する複合フィルムの製造方法、および対応して製造された複合フィルムに関する。
【0012】
本発明はまた、このようにして製造された複合フィルムの、包装としての、特に医薬品または食品を包装するための使用にも関する。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、フィルムを接合するための、本明細書に記載の積層用接着剤組成物の使用に関する。
【0014】
他に記載のない限り、本明細書に示される分子量は、分子量の数平均(Mn)に関する。分子量Mnは、末端基分析(DIN 53240-1:2013-06に従うヒドロキシ価)に基づいて、または基準としてポリスチレンおよび溶離液としてTHFを用いてDIN 55672-1:2007-08に従ってゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。他に記載のない限り、示される分子量は、ヒドロキシル価によって決定されたものである。分子量の重量平均Mwも、先に示したように、GPCによって決定することができる。
【0015】
成分に関して、「少なくとも1つ」という表現は、成分の種類に関し、分子の絶対数には関しない。したがって、「少なくとも1つのポリオール」とは、例えば少なくとも1種のポリオールを意味し、すなわち1種のポリオール、または複数の異なるポリオールの混合物を使用することができることを意味する。重量指定とともに、この表現は、組成物/混合物に含有される示された種類のあらゆる化合物に関し、すなわち組成物が、示された量の対応する化合物以外に、この種類の他の化合物を含有しないことに関する。
【0016】
NCO末端プレポリマーの文脈で本明細書において使用される「含有量」とは、それぞれ反応混合物の総重量を基準として、プレポリマーを得ることができる反応混合物中の対応する成分の量を指す。したがって、「樹脂成分が、少なくとも40重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(ここでMDIは、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、またはそれと2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物である)の含有量を有する少なくとも1つのNCO末端ポリウレタンプレポリマーを含有する」という特徴は、反応混合物の総重量を基準として、少なくとも40重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(ここでMDIは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、またはそれと2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物である)を含有する反応混合物を反応させることによって、このNCO末端ポリウレタンプレポリマーを得ることができることを意味する。反応混合物の残部は、NCO反応性基を有する化合物、すなわち特にポリオール、または追加のポリイソシアネートによって形成することができる。
【0017】
他に明示的に示されていない限り、本明細書に記載の組成物に関連して引用されているあらゆる百分率は、それぞれの場合に関連混合物に関して、重量%に関する。
【0018】
数値に関連して本明細書で使用される「約(approximately)」または「約(ca.)」は、その数値±10%、好ましくは±5%に関する。
【0019】
ポリウレタン接着剤は一般に知られている。ポリウレタン接着剤は、多層フィルムを積層するためにも使用される。本発明による好適な接着剤は、二成分ポリウレタン接着剤である。接着剤は液体であってよい。接着剤は溶剤を含有してもよいが、溶剤を含まないのが好ましい。本発明による好適なポリウレタン接着剤の架橋は、反応性NCO基とH-酸性官能基、例えばOH基、アミノ基またはカルボキシル基との反応に基づく。別の架橋方法は、尿素基の形成を伴う、NCO基と塗布された接着剤、基材または周囲からの水分との反応を含む。これらの架橋反応は既知であり、同時に進行してもよい。この種の反応を促進するために、触媒、例えばアミン、チタンまたはスズ触媒を接着剤に導入することができる。
【0020】
驚くべきことに、移行した物質を特定するための試験では、本明細書に記載の系は、他の組成物の先行技術で一般的な系と比較して、放出する第一級芳香族アミン(PAA)が少なく、その結果、PAAの減衰時間として知られているものが大幅に減少することが見出された。ポリウレタンを硬化させる場合、水分の作用下で反応して対応するアミンを生成する遊離ポリイソシアネートから、これらのPAAが生じる。PAAは健康に有害と考えられているため、それらの形成または包装された商品へのそれらの移行を減少または防止することが望ましい。硬化が進行するにつれて、その間に形成されたPAAは余剰のイソシアネートと反応するが、中間段階で形成されるPAAが多いほど、実質的に「移行のない」複合体を達成するのにかかる時間は長くなる。
【0021】
さらに、驚くべきことに、本明細書に記載の二成分(2K)調製物のために、選択された系の接合接着力は、ポリエステルポリオール含有量が低いにもかかわらず低下せず、場合によっては増加さえすることが示された。これは、本明細書に記載の調製物が、接着剤の性能を向上させることができることを意味する。機械的性質もまた向上させることができる。例えば、接着剤組成物中の10重量%未満のポリエステルという可能な限り低い含有量は粘度を低下させ、これにより、塗布機を迅速に通過することが可能になることが見出された。さらに、ポリエステル含有接着剤組成物に典型的であり、通常ポリエステル接着剤組成物が塗布機を通過する際に生じるミスチングが防止される。本明細書に記載の調製物の接合接着力の形成速度もまた、先行技術で既知の系と同等であるか、それよりも速い。
【0022】
本発明による接着剤は、二成分(2K)ポリウレタン接着剤である。本発明によれば、接着剤は、樹脂成分として少なくとも1つのNCO末端ポリウレタンプレポリマーと、硬化成分として少なくとも1つのポリオール混合物とを含有する。
【0023】
樹脂成分のイソシアネート(NCO)末端PUプレポリマーは、ポリオールまたはポリオール混合物と化学量論的に過剰のポリイソシアネートとを反応させることによって得られる。プレポリマーを製造する際に使用されるポリオールは、ポリウレタン合成に通常使用されるあらゆるポリオール、例えばポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールまたはそれらの2つ以上の混合物であってよい。
【0024】
ポリエーテルポリオールは、1つ以上の第一級または第二級アルコール基を含有する複数のアルコールから製造されてもよい。第三級アミノ基を含有しないポリエーテルの製造のための開始剤として、以下の化合物、または該化合物の混合物を例として使用することができる:水、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ヘキサンジオール、3-ヒドロキシフェノール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルメタンおよびソルビトール。エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールおよびトリメチロールプロパンが使用されることが好ましく、特に好ましくはエチレングリコールおよびプロピレングリコールが使用され、特に好ましい実施形態ではプロピレングリコールが使用される。
【0025】
アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシドもしくはテトラヒドロフランまたはこれらのアルキレンオキシドの混合物が、上記のポリエーテルを製造するための環状エーテルとして使用されてもよい。プロピレンオキシド、エチレンオキシドもしくはテトラヒドロフランまたはそれらの混合物が使用されるのが好ましい。プロピレンオキシドもしくはエチレンオキシドまたはそれらの混合物が使用されるのが特に好ましい。プロピレンオキシドが使用されるのが最も特に好ましい。
【0026】
ポリエステルポリオールは、例えば、低分子量のアルコール、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセロールまたはトリメチロールプロパンとカプロラクトンとを反応させることによって製造することができる。1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,4-ブタントリオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールも、ポリエステルポリオールを製造するための多官能性アルコールとして適している。
【0027】
重縮合によって、さらに好適なポリエステルポリオールを製造してもよい。したがって、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸、またはジカルボン酸もしくはトリカルボン酸の混合物、またはそれらの反応性誘導体の欠乏を有する二官能性および/または三官能性アルコールを縮合して、ポリエステルポリオールを形成してもよい。好適なジカルボン酸は、例えば、アジピン酸またはコハク酸、および16個までの炭素原子を有するそれらの高級同族体、また不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸またはフマル酸および芳香族ジカルボン酸、特に異性体フタル酸、例えばフタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸である。好適なトリカルボン酸は、例えばクエン酸またはトリメリット酸である。上記酸は、単独でまたはそれらの2つ以上の混合物として使用することができる。特に好適なアルコールは、ヘキサンジオール、ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパノエートもしくはトリメチロールプロパンまたはそれらの2つ以上の混合物である。特に好適な酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸もしくはドデカン二酸またはそれらの混合物である。高分子量を有するポリエステルポリオールには、例えば、多官能性、好ましくは二官能性アルコール(任意に少量の三官能性アルコールと一緒に)と多官能性、好ましくは二官能性カルボン酸との反応生成物が挙げられる。遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または対応するポリカルボン酸エステルも、(可能な場合には)好ましくは1~3個の炭素原子を有するアルコールとともに使用することができる。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族もしくは複素環式、または両方とすることができる。それらは任意に、例えばアルキル基、アルケニル基、エーテル基またはハロゲンで置換されてもよい。好適なポリカルボン酸は、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、グルタル酸無水物、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、二量体脂肪酸もしくは三量体脂肪酸またはそれらの2つ以上の混合物である。
【0028】
例えば、「ポリカプロラクトン」とも呼ばれるε-カプロラクトンに基づいてラクトンから得ることができるポリエステル、またはω-ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸も使用することができる。
【0029】
もっとも、油脂化学起源のポリエステルポリオールを使用することも可能である。この種のポリエステルポリオールは、例えば、1~12個の炭素原子を有する1つ以上のアルコールを有する少なくとも部分的にオレフィン性不飽和である脂肪酸を含有する脂肪混合物のエポキシ化トリグリセリドを完全に開環し、それに続いてトリグリセリド誘導体を部分エステル交換して、アルキル基中に1~12個の炭素原子を有するアルキルエステルポリオールを形成することによって製造することができる。
【0030】
ポリカーボネートポリオールは、例えば、プロピレングリコール、ブタンジオール-1,4もしくはヘキサンジオール-1,6、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくはテトラエチレングリコールまたは上記ジオールの混合物などのジオールと、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネートまたはホスゲンとの反応によって得ることができる。
【0031】
プレポリマーを合成するために使用されるポリオールの分子量は、好ましくは100~20,000g/mol、特に330~4,500g/molの範囲である。平均官能価は、2~4.5の範囲であってよい。PUプレポリマーは、好ましくはポリエーテル/ポリエステル主鎖を有する。しかし、好ましい実施形態では、本発明による組成物は、接着剤組成物の総重量を基準として10重量%未満のポリエステル含有量を有する。
【0032】
PUプレポリマー中の化学量論的に過剰のポリイソシアネートは、NCO対OH基のモル比に基づいて、特に1:1~1.8:1、好ましくは1:1~1.6:1、特に好ましくは1.05:1~1.5:1である。
【0033】
既知のコーティングまたは接着性ポリイソシアネートを使用してもよく、これらは2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートである。好適なポリイソシアネートは、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化MDI(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ジ-およびテトラアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,3-または1,4-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、1-メチル-2,4-ジイソシアナト-シクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、メチレントリフェニルトリイソシアネート(MIT)、フタル酸-ビス-イソシアナトエチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,12-ジイソシアナトドデカンならびに二量体脂肪酸ジイソシアネートである。
【0034】
好適な少なくとも三官能性のイソシアネートは、ジイソシアネートの三量体化もしくはオリゴマー化によって、またはジイソシアネートとヒドロキシルまたはアミノ基を含有する低分子量の多官能性化合物との反応によって得られるポリイソシアネートである。商業的に入手可能な例は、イソシアネートHDI、MDIもしくはIPDIの三量体化生成物、またはジイソシアネートおよび低分子量トリオール、例えばトリメチロールプロパンもしくはグリセロールの付加物である。追加の例には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレートおよびイソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレートが挙げられる。
【0035】
原則として、脂肪族、脂環式または芳香族イソシアネートが使用されてもよいが、芳香族ジイソシアネートが特に適している。特に好ましい芳香族ジイソシアネートは4,4-メチレンジフェニルジイソシアネートであり、これは単独でまたは2,4-メチレンジフェニルジイソシアネートとの混合物として使用することができる。本発明によるPU接着剤は、PUプレポリマーとしてイソシアネートを反応形態で含有してもよく、またはそれらは少なくともある割合の低分子量の(任意にオリゴマーの)イソシアネートを含有する。
【0036】
PUプレポリマーは、上記のポリオールおよびポリイソシアネートから既知の方法で製造されてもよい。この場合、NCO基を含有するプレポリマーは、ポリオールおよびイソシアネートから製造されてもよい。その例は、欧州特許出願公開第951493号明細書、欧州特許出願公開第1341832号明細書、欧州特許出願公開第150444号明細書、欧州特許出願公開第1456265号明細書および国際公開第2005/097861号パンフレットに記載されている。
【0037】
少なくとも1つのNCO末端PUプレポリマーは、好ましくは、1つ以上のポリエーテルポリオールまたはポリエーテル/ポリエステルポリオール混合物および芳香族ジイソシアネート、例えばMDIの芳香族イソシアネート末端、さらに好ましくはMDI末端ポリウレタンプレポリマーである。
【0038】
本発明によれば、接着剤組成物の樹脂成分は少なくとも40重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の含有量を有し、MDIは、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、またはそれと2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物である。2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートは、好ましくは含有されないか、比較的少量、すなわち2重量%未満、好ましくは1重量%未満含有される。
【0039】
様々な実施形態では、前述のMDIに加えて、イソシアネートの三量体、特にヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)の三量体化も、例えば5~15重量%の量で使用することができる。
【0040】
対応するプレポリマーは、通常、5~20重量%のNCO含有量(Spielberger、DIN EN ISO 11909:2007-05に従って決定)を有し、2~3の平均NCO官能価を有する。
【0041】
使用される過剰のイソシアネートのために、NCO末端PUプレポリマーは、通常、ある量のイソシアネートモノマーを含有し、すなわち、典型的にはプレポリマーおよびモノマーの総重量を基準として0.1~25重量%の量で、特に芳香族ポリイソシアネートモノマー、例えばMDIを含有する。
【0042】
プレポリマーの分子量(Mn)は、1,500g/mol~100,000g/mol、特に好ましくは2,000g/mol~50,000g/molの範囲である。
【0043】
本発明によるバインダー系には、樹脂成分に加えて硬化成分が含有される。本発明によれば、硬化成分は、少なくとも3つの異なるポリオールを含む。
【0044】
好適なポリオールは、1分子当たり2~6個、好ましくは2~4個のOH基を有する脂肪族および/または芳香族アルコールである。OH基は、第一級および第二級の両方であってよい。
【0045】
好適な脂肪族アルコールには、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1-6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオールおよびそれらの高級同族体または異性体が挙げられる。さらに官能性の高いアルコール、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、および記載された物質のオリゴマーエーテルも同様に適している。
【0046】
ポリオール成分としては、低分子量の多官能性アルコールとアルキレンオキシドとの反応生成物が使用されるのが好ましい。アルキレンオキシドは、好ましくは2~4個の炭素原子を有する。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ヘキサンジオールもしくは4,4'-ジヒドロキシジフェニルプロパンと、エチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシドまたはそれらの2つ以上の混合物との反応生成物が適している。ポリエーテルポリオールを形成するには、多官能性アルコール、例えば、グリセロール、トリメチロールエタン、もしくはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールもしくは糖アルコール、またはそれらの2つ以上の混合物と、記載されたアルキレンオキシドとの反応生成物もまた適している。本発明の文脈で慣用の追加のポリオールは、テトラヒドロフランの重合(ポリTHF)から製造される。
【0047】
ビニルポリマーによって変性されたポリエーテルもポリオール成分としての使用に同様に適している。そのような生成物は、例えば、ポリエーテルの存在下でスチレンもしくはアクリロニトリルまたはそれらの混合物を重合することによって得られる。
【0048】
追加の好適なポリオールはポリエステルポリオールである。
【0049】
これらの例は、低分子量のアルコール、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセロールまたはトリメチロールプロパンとカプロラクトンとを反応させることによって得られるポリエステルポリオールである。
【0050】
重縮合によって、さらに好適なポリエステルポリオールを製造してもよい。この種のポリエステルポリオールは、好ましくは、多官能性、好ましくは二官能性アルコールと多官能性、好ましくは二官能性および/または三官能性カルボン酸またはポリカルボン酸無水物との反応生成物を含む。このようなポリエステルポリオールを製造するのに適した化合物は、特に、ヘキサンジオール、1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,4-ブタントリオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールである。また、三官能性アルコールの割合が加えられてもよい。
【0051】
ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族もしくは複素環式、または両方とすることができる。それらは任意に、例えばアルキル基、アルケニル基、エーテル基またはハロゲンで置換されてもよい。好適なポリカルボン酸は、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、グルタル酸無水物、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、二量体脂肪酸もしくは三量体脂肪酸またはそれらの2つ以上の混合物である。また、トリカルボン酸の割合が任意に加えられてもよい。
【0052】
もっとも、油脂化学起源のポリエステルポリオールを使用することも可能である。この種のポリエステルポリオールは、例えば、1~12個の炭素原子を有する1つ以上のアルコールを有する少なくとも部分的にオレフィン性不飽和である脂肪酸を含有する脂肪混合物のエポキシ化トリグリセリドを完全に開環し、それに続いてトリグリセリド誘導体を部分エステル交換して、アルキル官能基中に1~12個の炭素原子を有するアルキルエステルポリオールを形成することによって製造することができる。追加の好適なポリオールは、ポリカーボネートポリオールおよび二量体ジオール(Henkel製)およびヒマシ油ならびにそれらの誘導体である。例えば、商品名Poly-bd(登録商標)の下に入手可能であるようなヒドロキシ官能性ポリブタジエンが、本発明による組成物のためのポリオールとして使用されてもよい。
【0053】
しかし、少なくとも1つのPUプレポリマーに関連して既に述べたように、好ましい実施形態では、本発明による組成物は、接着剤組成物の総重量を基準として10重量%未満のポリエステル含有量を有する。
【0054】
ポリアセタールもポリオール成分として同様に適している。ポリアセタールとは、グリコール、例えば、ジエチレングリコールもしくはヘキサンジオール、またはそれらとホルムアルデヒドとの混合物から得られる化合物を意味すると理解される。本発明の文脈で使用することができるポリアセタールは、環状アセタールの重合によって同様に得られてもよい。ポリカーボネートはさらにポリオールとして適している。ポリカーボネートは、例えば、プロピレングリコール、ブタンジオール-1,4もしくはヘキサンジオール-1,6、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくはテトラエチレングリコールまたはそれらの2つ以上の混合物などのジオールと、ジアリールカーボネート、例えば、ジフェニルカーボネートまたはホスゲンとの反応によって得られてもよい。ポリラクトンのヒドロキシエステルも同様に適している。
【0055】
ポリオールの別の群は、OH官能性ポリウレタンポリオール、例えば、OH末端ポリウレタンプレポリマーであってよい。
【0056】
OH基を有するポリアクリレートもポリオール成分として同様に適している。これらのポリアクリレートは、例えば、OH基を有するエチレン性不飽和モノマーの重合によって得られてもよい。この目的に適したエチレン性不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸もしくはマレイン酸またはそれらとC1~C2アルコールとのエステルである。OH基を有する対応するエステルは、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレートもしくは3-ヒドロキシプロピルメタクリレートまたはそれらの2つ以上の混合物である。
【0057】
いくつかの実施形態では、硬化成分の前記少なくとも3つの異なるポリオールのうちの1つは、トリオール、特にグリセロールまたはトリメチロールプロパン(TMP)系のトリオールであって、これは、アルキレンオキシド(AO)、特にプロピレンオキシド(PO)が加えられ、700g/mol未満、好ましくは400~<700g/mol、さらに好ましくは450~<700g/molの分子量Mwを有する。いくつかの実施形態では、本発明による組成物の硬化成分は、5~90重量%、好ましくは15~60重量%、特に25~40重量%の少なくとも1つのそのようなトリオールを含む。いくつかの実施形態によれば、この少なくとも1つのトリオールは、特に、プロピレンオキシドが加えられているグリセロールまたはTMP開始分子(TMP-initiated molecule)などのプロピレンオキシド(PO)系トリオールであってよい。好ましい実施形態によれば、前記少なくとも1つのトリオールは、少なくとも400、特に少なくとも450~<700g/molの分子量Mwを有するプロピレンオキシド系トリオールである。
【0058】
いくつかの実施形態では、硬化成分の前記少なくとも3つの異なるポリオールのうちの1つは、好ましくは<150g/molの分子量を有し、および/または好ましくは700~2000mgKOH/g、さらに好ましくは1200~1900mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、脂肪族、二価または多価、好ましくは2~4価のアルコールである。いくつかの実施形態では、本発明による組成物の硬化成分は、0.5~10重量%、好ましくは2~8重量%、特に3~7重量%の少なくとも1つのそのような脂肪族アルコールを含む。いくつかの実施形態によれば、この少なくとも1つの脂肪族アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1-8-オクタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールからなる群から選択される脂肪族アルコールであってよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの脂肪族アルコールは、特にトリメチロールプロパンである。
【0059】
いくつかの実施形態では、硬化成分の前記少なくとも3つの異なるポリオールのうちの1つは、上で定義された通りの高分子量AO系トリオールであるが、700g/mol超、好ましくは>700~1200g/molの分子量Mwを有するもの、またはヒマシ油である。いくつかの実施形態では、本発明による組成物の硬化成分は、5~80重量%、好ましくは15~70重量%、特に20~65重量%の少なくとも1つのそのようなトリオールまたはヒマシ油を含む。この種のトリオールは、Voranol(登録商標)CP 755またはCP 1055(Dow Chemical)として市販されている。ヒマシ油はエステル基を含有するが、ヒマシ油はエステル基を介して結合した繰り返し単位に基づいていないため、本発明の意味の範囲内ではポリエステルではない。
【0060】
本発明の様々な実施形態では、硬化成分は、少なくとも2つ、好ましくは3つすべての上述のポリオール、すなわち、(1)アルキレンオキシド(AO)、特にプロピレンオキシド(PO)が加えられ、700g/mol未満、好ましくは400~<700g/mol、さらに好ましくは450~<700g/molの分子量MWを有する、特にグリセロールもしくはトリメチロールプロパン(TMP)系の少なくとも1つのトリオール;(2)少なくとも1つの脂肪族二価もしくは多価、好ましくは2~4価の好ましくはモノマーアルコール;および(3)アルキレンオキシド(AO)、特にプロピレンオキシド(PO)が加えられ、700g/mol超、好ましくは>700~1200g/molの分子量MWを有する、特にグリセロールもしくはトリメチロールプロパン(TMP)系の少なくとも1つのトリオール、またはヒマシ油を含有する。様々な実施形態では、硬化成分は、上記の少なくとも2つの異なるトリオール、またはこれらのトリオールおよびヒマシ油のうちの1つ、好ましくは、(1)アルキレンオキシド(AO)、特にプロピレンオキシド(PO)が加えられ、700g/mol未満、好ましくは400~<700g/mol、さらに好ましくは450~<700g/molの分子量MWを有する、特にグリセロールもしくはトリメチロールプロパン(TMP)系の少なくとも1つのトリオールおよび(2)アルキレンオキシド(AO)、特にプロピレンオキシド(PO)が加えられ、700g/mol超、好ましくは>700~1200g/molの分子量MWを有する、特にグリセロールもしくはトリメチロールプロパン(TMP)系の少なくとも1つのトリオール、またはヒマシ油を含有する。特に好ましい実施形態では、第3の成分、すなわち脂肪族二価または多価、好ましくは2~4価の好ましくはモノマーアルコールも含有される。
【0061】
様々な実施形態では、積層用接着剤組成物中のポリエステルの含有量はできるだけ少ないこと、すなわち、組成物の総重量を基準として、例えば10重量%未満であることが好ましくてもよい。本明細書中の「ポリエステル」とは、樹脂成分中のポリエステル単位および硬化成分中のポリエステル単位を指す。ただし、同じことが硬化成分にのみ適用することもでき、すなわち、硬化成分は、その総重量を基準として10重量%未満のポリエステルを含有する。特に好ましい実施形態では、本発明による硬化成分、さらに好ましくは本発明による組成物は、ポリエステルを含まない。この文脈で使用される「含まない」とは、対応する組成物が、記載された成分、すなわちポリエステルを含有しないか、意図的に加えられた成分としてポリエステルを含有しないことを意味する。したがって、特定の組成物中の該成分の量は、好ましくは1重量%未満、さらに好ましくは0.5重量%未満、さらに一層好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満または検出限界未満である。
【0062】
いくつかの実施形態では、樹脂成分の硬化成分に対するNCO:OH比は、1.4未満、好ましくは1.3未満、特に1.25未満、さらに好ましくは1.0~1.2である。
【0063】
様々な実施形態では、本明細書に記載のバインダー系はまた、特にSnもしくはTi系の金属触媒またはアミン触媒から選択される少なくとも1つの触媒を含有してもよい。好適な触媒は先行技術で既知である。触媒は、好ましくは硬化成分中に、すなわち、ヒドロキシ官能化成分中の本発明による好ましい系中に含有される。
【0064】
本発明による接着剤はまた、通常の添加剤を含有してもよい。追加の成分は、例えば、樹脂(粘着付与剤)、安定剤、架橋剤もしくは粘度調整剤、顔料、可塑剤または酸化防止剤である。
【0065】
さらに、本発明による接着剤はまた、充填剤を含有してもよい。しかし、本発明の様々な実施形態では、接着剤組成物は、少なくとも90%の充填剤粒子が4μm以下の粒径を有し、3以下のモース硬度を有する固体粒状充填剤を含有せず、特に接着剤組成物を基準として5~50重量%の量で固体粒状充填剤を含有しない。様々な実施形態では、充填剤は炭酸カルシウムではなく、特に、上記の粒径およびモース硬度の仕様を満たす炭酸カルシウムではない。さらなる実施形態では、組成物は好ましくは充填剤を実質的に含まなくてもよいか、含まなくてもよい。
【0066】
本発明によるポリウレタン接着剤は、適用温度で液体である。本発明によるPU接着剤は、室温で液体であることが好ましい。様々な実施形態では、本明細書に記載の組成物は、40℃の温度で、DIN ISO 2555(ブルックフィールド型粘度計RVT、スピンドル番号4、25℃;5rpm)に従って決定される500~5000、特に600~900mPasの粘度を有する。
【0067】
本明細書に記載の接着剤は、溶剤を含有してもよいか、溶剤を含まなくてもよい。原則として、当業者に既知のあらゆる溶剤、特にエステル、ケトン、ハロゲン化炭化水素、アルカン、アルケンおよび芳香族炭化水素を溶剤として使用することができる。この種の溶剤の例は、塩化メチレン、トリクロロエチレン、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、酢酸メトキシブチル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジクロロベンゼン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジオキサン、酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、酢酸2-エチルヘキシル、グリコールジアセテート、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソブチル、イソオクタン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランもしくはテトラクロロエチレンまたは記載された溶剤の2つ以上の混合物である。
【0068】
しかし、好ましい実施形態では、本明細書に記載の接着剤組成物は有機溶剤を実質的に含まない。上記で使用される「含まない」とは、対応する組成物が、記載された成分を含有しないか、意図的に加えられた成分として記載された成分を含有しないことを意味する。したがって、特定の組成物中の該成分の量は、好ましくは1重量%未満、さらに好ましくは0.5重量%未満、さらに一層好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満または検出限界未満である。
【0069】
接着剤は、従来の装置を使用して、かつ一般に使用されているあらゆる塗布方法を使用して、例えば、噴霧、ドクタリング、無溶剤系を使用する場合は3/4ローラー塗布アセンブリ、または溶剤含有系を使用する場合は2ローラー塗布アセンブリによって、接合対象の基材、特にフィルムに塗布される。塗布後、接合対象の基材は、既知の方法で互いに接合される。この場合、さらに良好な塗布およびさらに速い架橋反応を達成するために、任意に高温を使用するのが好都合である。しかし、本発明による接着剤は、室温または40℃などのわずかに高い温度で非常に好ましい硬化を既に示す。
【0070】
本発明によるポリウレタン接着剤は、フィルム用の積層用接着剤として特に適している。それらは、PP、PE、OPA、ポリアミド、PET、ポリエステルおよび金属箔などのポリマー系の既知のフィルムが互いに接合される方法に使用されてもよい。この場合、本発明による接着剤は、任意に前処理されたまたは印刷されたフィルムに塗布される。塗布量は通常1~5g/m2である。これは、薄くて均一なコーティングを得るために高温で実施されてもよい。次いで、圧力下で、同一または異なる材料の第2のフィルムをその上に積層する。熱を加えてもよく、接着剤が架橋し、多層フィルムが得られる。このフィルムは、任意に2つより多い層からなってもよい。
【0071】
フィルムは通常、製造後に保存される。この間に、本発明による接着剤はさらに架橋することが可能である。
【0072】
本発明による液体またはホットメルト接着剤を積層用接着剤として使用することにより、食品または医療用包装への適合性に関する厳しい要件を満たす積層二層または多層フィルムを得ることが可能である。
【0073】
PU接着剤に関連して本明細書に開示されたあらゆる実施形態はまた、記載された使用および方法に使用することができ、その逆もまた同様であることは容易に理解されるであろう。
【0074】
いくつかの実施例を参照して、本発明を以下にさらに詳細に説明する。他に記載のない限り、指定された量は重量%単位である。
【実施例】
【0075】
実施例1(本発明による)
樹脂系:
NCO含有量12~14重量%およびNCO:OH比3.9:1を有するNCO末端MDIプレポリマーは、以下のものからなる。
【0076】
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)50重量%;Mw=400g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)5重量%;Mw=1000g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)25重量%;Mw=2000g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)10重量%;ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)三量体10重量%。
【0077】
硬化剤:
OH価330~370mgKOH/gおよび官能価f=3を有するポリオール混合物は、以下のものからなる。
【0078】
トリメチロールプロパン5重量%;Mw=450g/molを有する三官能性ポリプロピレングリコール(PPG)70重量%;ヒマシ油25重量%。
【0079】
樹脂:硬化剤=100:40重量部の混合比
【0080】
実施例2(本発明による)
樹脂系:
NCO含有量12~14重量%およびNCO:OH比3.9:1を有するNCO末端MDIプレポリマーは、以下のものからなる。
【0081】
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)50重量%;Mw=400g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)5重量%;Mw=1000g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)25重量%;Mw=2000g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)10重量%;ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)三量体10重量%。
【0082】
硬化剤:
OH価270~310mgKOH/gおよび官能価f=3を有するポリオール混合物は、以下のものからなる。
【0083】
トリメチロールプロパン5重量%;Mw=450g/molを有する三官能性ポリプロピレングリコール(PPG)30重量%;ヒマシ油65重量%。
【0084】
樹脂:硬化剤=100:50重量部の混合比
【0085】
実施例3(本発明による)
樹脂系:
NCO含有量11.5~13.5重量%およびNCO:OH比3.9:1を有するNCO末端MDIプレポリマーは、以下のものからなる。
【0086】
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)50重量%;Mw=400g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)5重量%;Mw=1000g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)25重量%;Mw=2000g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)10重量%;トルエンジイソシアネート(TDI)プレポリマー*10重量%。
【0087】
硬化剤:
OH価330~370mgKOH/gおよび官能価f=3を有するポリオール混合物は、以下のものからなる。
【0088】
トリメチロールプロパン5重量%;Mw=450g/molを有する三官能性ポリプロピレングリコール(PPG)70重量%;ヒマシ油25重量%。
【0089】
*TDIプレポリマー:2,4’-TDIと、Mw=400~1000を有し、脱モノマー化されたポリエーテルジオールとの反応生成物
【0090】
樹脂:硬化剤=100:40重量部の混合比
【0091】
実施例4(比較例)
樹脂系:
NCO含有量12.0~13.5重量%およびNCO:OH比3.1:1を有するNCO末端MDIプレポリマーは、以下のものからなる。
【0092】
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)55重量%;Mw=1000g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)15重量%;Mw=400g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)15重量%;二官能性ポリエステル*15重量%。
【0093】
硬化剤:
OH価155~175mgKOH/gおよび官能価f=3を有するポリオール混合物は、以下のものからなる。
【0094】
ヒマシ油100重量%。
【0095】
*イソフタル酸、アジピン酸、1,2-プロパンジオール、ジエチレングリコール系のポリエステル。
【0096】
樹脂:硬化剤=100:75重量部の混合比
【0097】
実施例5(比較例)
樹脂系:
NCO含有量13.0~15.0重量%およびNCO:OH比3.7:1を有するNCO末端MDIプレポリマーは、以下のものからなる。
【0098】
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)51重量%;1,6-ヘキサンジイソシアネート(HDI)三量体10重量%;Mw=1000g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)13重量%;Mw=400g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)13重量%;二官能性ポリエステル*13重量%。
【0099】
硬化剤:
OH価200~230mgKOH/gおよび官能価f約2.3を有するポリオール混合物は、以下のものからなる。
【0100】
二官能性ポリエステル75重量%;Mw=450g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)トリオール22重量%;トリメチロールプロパン3重量%。
【0101】
*イソフタル酸、アジピン酸、1,2-プロパンジオール、ジエチレングリコール系のポリエステル。
【0102】
樹脂:硬化剤=100:65重量部の混合比
【0103】
実施例6(比較例)
樹脂系:
NCO含有量11.0~13.0重量%およびNCO:OH比2.6:1を有するNCO末端MDIプレポリマーは、以下のものからなる。
【0104】
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)30重量%;トルエンジイソシアネート(TDI)5重量%;1,6-ヘキサンジイソシアネート(HDI)三量体10重量%;Mw=400g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)15重量%;Mw=1000g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)20重量%;Mw=2000g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)10重量%;二官能性ポリエステル*10重量%。
【0105】
*イソフタル酸、アジピン酸、1,2-プロパンジオール、ジエチレングリコール系のポリエステル。
【0106】
硬化剤:
OH価240~270mgKOH/gおよび官能価f約2.3を有するポリオール混合物は、以下のものからなる。
【0107】
二官能性ポリエステルA*15重量%;二官能性ポリエステルB**50重量%;Mw=400g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)10重量%;Mw=450g/molを有するポリプロピレングリコール(PPG)トリオール20重量%;トリメチロールプロパン5重量%。
【0108】
樹脂:硬化剤=100:45重量部の混合比
【0109】
*イソフタル酸、アジピン酸、1,2-プロパンジオール、ジエチレングリコール系のポリエステルA。
【0110】
**イソフタル酸、アジピン酸、ジエチレングリコール系のポリエステルB。
【0111】
実施例7(比較例)
樹脂系:
NCO含有量9.0~10.5重量%を有するNCO末端TDIプレポリマーは、トルエンジイソシアネート(TDI)プレポリマー*100重量%からなる。
【0112】
硬化剤:
OH価155~175mgKOH/gおよび官能価f=2.5を有するポリエステル混合物は、以下のものからなる。
【0113】
ポリエステルC***100重量%
【0114】
*TDIプレポリマー:2,4'-TDIと、Mw=400~1000を有し、脱モノマー化されたポリエーテルジオールとの反応生成物
【0115】
***イソフタル酸、ジエチレングリコール、ヒマシ油系のポリエステルC。
【0116】
樹脂:硬化剤=100:55重量部の混合比
【0117】
複合フィルム
Super Combi 2000積層装置を使用して、複合フィルムを製造する。接合対象のフィルム(OPAまたはmetOPP)の1つに接着剤組成物を2g/m2の量で塗布し、次いで、圧力下で、このフィルムを第2のフィルム(PEまたはOPP)に積層する。積層ユニットの有効ローラー圧は、最大200N(20kg)の力に相当する。
【0118】
接合接着力:
室温で14日間硬化させた後に、DIN 53357規格に基づいて、Instron製の引張試験機(Instron 4301)によって接合接着力を決定する。この目的のために、複合フィルムの試験片(試料幅15mm)をクランプジョーの間に挟み、次いで、100m/分の引き離し速度、90℃の引き離し角度および5~10cmの引き離し長さで引き離す。15mmの試料幅に対する最大印加力の三重決定の平均値を得る。
【0119】
第一級芳香族アミン(PAA)含有量:
接着剤が「実質的に移行しない」と考えられるまでフィルムを接合した後の待ち時間を示す。これは、第一級芳香族アミン(PAA)の含有量が、充填材100ml当たり0.2pg未満の場合である。充填材または充填材模擬物として3%酢酸を使用する。使用される包装は、接着剤によって製造され、ヒートシールによって充填材を封入し、PE側が包装の内側とシーリングシームの内側とを形成するOPA/PE積層体である。ドイツ連邦共和国の食品物品飼料法典(LFGB)の第64条、方法L 00.006に準拠し、測光によって、第一級芳香族アミンの含有量を決定する。
複合材料:
OPA:延伸ポリアミド
PE:ポリエチレン
PET:ポリエチレンテレフタレート
OPP:延伸ポリプロピレン
metOPP:メタライズドOPP(アルミニウム被覆OPP)
【0120】
【表1】
本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕特に積層フィルム用のポリウレタン系二成分積層用接着剤組成物であって、前記積層用接着剤組成物の総重量を基準として、
(a)樹脂成分として、少なくとも40重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の含有量を有する少なくとも1つのNCO末端ポリウレタンプレポリマーと、ここで前記MDIは、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、またはそれと2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物である、
(b)硬化成分として、少なくとも3つの異なるポリオールを含むポリオール混合物と
を含有し、
前記二成分積層用接着剤組成物は、前記接着剤組成物の総重量を基準として、10重量%未満のポリエステル含有量を有する、ポリウレタン系二成分積層用接着剤組成物。
〔2〕前記硬化成分の前記少なくとも3つの異なるポリオールのうちの1つは、トリオール、特にグリセロールまたはトリメチロールプロパン(TMP)に基づくトリオールであり、
ここで、前記トリオールは、アルキレンオキシド(AO)、特にプロピレンオキシド(PO)が加えられ、700g/mol未満、好ましくは400~<700g/mol、さらに好ましくは450~<700g/molの分子量M
w
を有し、
前記硬化成分中に、5~90重量%、好ましくは15~60重量%、特に25~40重量%含有され、特に400~<700g/molの分子量M
w
を有するプロピレンオキシド系トリオールであることを特徴とする、〔1〕に記載の積層用接着剤組成物。
〔3〕前記硬化成分の前記少なくとも3つの異なるポリオールのうちの1つは、好ましくは<150g/molの分子量および/または700~2000mgKOH/g、さらに好ましくは1200~1900mgKOH/gのヒドロキシル価を有する脂肪族、二価または多価、好ましくは2~4価のアルコールであり、
前記硬化成分中に、前記アルコールは、0.5~10重量%、好ましくは2~8重量%、特に3~7重量%含有され、特にエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール-1,4、ペンタンジオール-1,5、ヘキサンジオール-1,6、ヘプタンジオール-1,7、オクタンジオール-1,8、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールからなる群から選択されることを特徴とする、〔1〕~〔2〕のうち少なくとも一項に記載の積層用接着剤組成物。
〔4〕前記硬化成分の前記少なくとも3つの異なるポリオールのうちの1つは、トリオール、特にグリセロールまたはトリメチロールプロパン(TMP)に基づくトリオールであり、ここで、前記トリオールは、アルキレンオキシド(AO)、特にプロピレンオキシド(PO)が加えられ、700~1200g/molの分子量M
w
を有し、特に700~1200g/molの分子量M
w
を有するプロピレン系トリオールであるか、ヒマシ油であり、
前記硬化成分中に5~80重量%、好ましくは15~70重量%、特に20~65重量%含有されることを特徴とする、〔1〕~〔3〕のうち少なくとも一項に記載の積層用接着剤組成物。
〔5〕硬化成分に対する樹脂成分のNCO:OH比が、1.4未満、好ましくは1.3未満、特に1.25未満、さらに好ましくは1.0~1.2であることを特徴とする、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の積層用接着剤組成物。
〔6〕前記積層用接着剤組成物の前記硬化成分(b)は:
(1)少なくとも1つのトリオール、特にグリセロールまたはトリメチロールプロパン(TMP)に基づくトリオール、ここで、前記トリオールは、アルキレンオキシド(AO)、特にプロピレンオキシド(PO)が加えられ、700g/mol未満、好ましくは400~<700g/mol、さらに好ましくは450~<700g/molの分子量M
W
を有する;
(2)少なくとも1つの脂肪族二価もしくは多価、好ましくは2~4価の好ましくはモノマーのアルコール;および
(3)少なくとも1つのトリオール、特にグリセロールまたはトリメチロールプロパン(TMP)に基づくトリオール、ここで、前記トリオールは、アルキレンオキシド(AO)、特にプロピレンオキシド(PO)が加えられ、700g/mol超、好ましくは>700~1200g/molの分子量M
W
を有し、またはヒマシ油
を含有することを特徴とする、〔2〕~〔5〕のいずれか一項に記載の積層用接着剤組成物。
〔7〕〔1〕~〔6〕のうち少なくとも一項に記載の積層用接着剤組成物であって、
(a)前記組成物は、特にSn系もしくはTi系の金属触媒またはアミン触媒から選択される、少なくとも1つの触媒をさらに含有し;および/または
(b)前記組成物は、40℃の温度で、500~5000mPas、特に600~900mPasの粘度を有し;および/または
(c)前記組成物は、有機溶剤を実質的に含まない
ことを特徴とする積層用接着剤組成物。
〔8〕2つ以上のフィルムを接合するための、〔1〕~〔7〕のうち少なくとも一項に記載の積層用接着剤組成物の使用。
〔9〕〔1〕~〔7〕のうち一項以上に記載の積層用接着剤組成物を使用して、少なくとも2つの同一または異なるプラスチックフィルムをその表面の一部または全部にわたり接合することを特徴とする、複合フィルムの製造方法。
〔10〕前記接合対象のフィルムの前記接合対象の表面のうち少なくとも1つに、1~5g/m
2
の量で、前記積層用接着剤組成物を塗布することを特徴とする、〔9〕に記載の方法。
〔11〕〔9〕~〔10〕のうち少なくとも一項に記載の方法に従って製造された複合フィルム。
〔12〕特に医薬品または食品を包装するための包装としての〔11〕に記載の複合フィルムの使用。