IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ADEKAの特許一覧

特許7179006水系ゲル化剤を含む化粧料組成物、並びに該水系ゲル化剤及び該化粧料組成物の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】水系ゲル化剤を含む化粧料組成物、並びに該水系ゲル化剤及び該化粧料組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/87 20060101AFI20221118BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20221118BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20221118BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20221118BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
A61K8/87
A61K8/81
A61K8/73
A61Q1/00
A61Q19/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019540903
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2018031707
(87)【国際公開番号】W WO2019049725
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2017172301
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】坂本 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】津島 康宏
(72)【発明者】
【氏名】竹石 友紀
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-534747(JP,A)
【文献】特開昭63-113013(JP,A)
【文献】特開2010-095592(JP,A)
【文献】特開2015-091771(JP,A)
【文献】特開2000-239649(JP,A)
【文献】国際公開第2014/084174(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物をモル比で2に対して、一般式(2)で表されるアルコール化合物をモル比で1.5~2.4及び一般式(3)で表されるポリアルキレングリコールをモル比で0.5~1.4の量で加え、高級脂肪酸金属塩の存在下でこれらを反応させることを含む、下記一般式(1)で表される水系ゲル化剤の製造方法。
【化6】
(式中、R1、R2、R8及びR9はそれぞれ独立して炭素数4~20の炭化水素基を表し、R3、R5及びR7はそれぞれ独立して炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、R4及びR6はそれぞれ独立して炭素数3~16の2価の炭化水素基を表し、a及びeはそれぞれ独立して10~100の数を表し、dは100~500の数を表し、gは0~10の数を表す。)
【化7】
(式中、R10及びR11は、それぞれ独立して炭素数4~20の炭化水素基を表し、R12は炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、rは10~100の数を表す。)
【化8】
(式中、R13は炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、tは100~500の数を表す。)
【化9】
(式中、Qは、炭素数3~16の2価の炭化水素基を表わす。)
【請求項2】
前記高級脂肪酸金属塩が、ラウリン酸金属塩、ミリスチン酸金属塩、パルミチン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、オレイン酸金属塩の群から選択される1種又は2種以上の高級脂肪酸金属塩である、請求項に記載の製造方法。
【請求項3】
前記高級脂肪酸金属塩が、ラウリン酸金属塩である請求項に記載の製造方法。
【請求項4】
前記水系ゲル化剤は化粧料組成物を製造するために用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
下記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物をモル比で2に対して、一般式(2)で表されるアルコール化合物をモル比で1.5~2.4及び一般式(3)で表されるポリアルキレングリコールをモル比で0.5~1.4の量で加え、高級脂肪酸金属塩の存在下でこれらを反応させて、下記一般式(1)で表される水系ゲル化剤を得る工程、及び
前記水系ゲル化剤及び高分子増粘剤を組み合わせる工程を含む、化粧料組成物の製造方法。
【化10】
(式中、R1、R2、R8及びR9はそれぞれ独立して炭素数4~20の炭化水素基を表し、R3、R5及びR7はそれぞれ独立して炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、R4及びR6はそれぞれ独立して炭素数3~16の2価の炭化水素基を表し、a及びeはそれぞれ独立して10~100の数を表し、dは100~500の数を表し、gは0~10の数を表す。)
【化11】
(式中、R10及びR11は、それぞれ独立して炭素数4~20の炭化水素基を表し、R12は炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、rは10~100の数を表す。)
【化12】
(式中、R13は炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、tは100~500の数を表す。)
【化13】
(式中、Qは、炭素数3~16の2価の炭化水素基を表わす。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度の耐塩性及び温度安定性が高く、乳化時の経時安定性が高く、更には使用時の感触が良好な化粧料組成物、該化粧料組成物に含まれる水系ゲル化剤の製造方法及び該化粧料組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘性調整剤の中でも、ゲル化剤としてよく知られているものに、カルボキシメチルセルロースやヒド口キシエチルセルロースなどの天然系ゲル化剤、ポリアクリル酸やポリアクリル酸含有コポリマ一などのアルカリで増粘するタイプのアルカリ増粘型ゲル化剤、ウレタン変性ポリエーテルなどのウレタン型ゲル化剤などが挙げられる。これらの中でもウレタン型ゲル化剤は、他のゲル化剤と比較して様々な種類の製品を自由にゲル化できること、添加した製品に多様な粘性を付与できること、pHや塩の影響を受け難いことなどの理由から多くの種類が製造され多用されている。
【0003】
特に、疎水変性ポリエーテルウレタンは、独特なぷるぷるとした(柔らかく)弾力のあるゲルを形成し、温度安定性にも優れたゲルが得られることから、様々な化粧料などに配合され、多用されている(例えば、特許文献1~4)。
【0004】
疎水変性ポリエーテルウレタンは、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどの高分子増粘剤とも併用することができ、使用性に優れた化粧料組成物が得られることが知られている。例えば、特許文献5には、疎水変性ポリエーテルウレタンと、カルボキシビニルポリマー及びキサンタンガムを含み、前記疎水変性ポリエーテルウレタンは水性溶媒中で疎水性相互作用により会合することを特徴とする化粧料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-080329号公報
【文献】特開2011-006371号公報
【文献】特開2016-023180号公報
【文献】特開2014-040385号公報
【文献】特開2000-239120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献5に記載の化粧料組成物は、粘度の耐塩性及び温度安定性に関しては十分な性能を満たす場合はあっても、乳化時の経時安定性及び使用時の感触を含め、すべての特性が実用性の水準を満たされているわけではなく、上記性能は不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者などは鋭意検討し、これまで知られていた化粧料組成物と比較し、より性能が改良された化粧料組成物を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記の成分(A)及び(B)を含有する化粧料組成物であって、成分(A)の25℃での1質量%水溶液の粘度が1,000~5,000mPa・sであり、成分(A)の1質量%水溶液の曇点が60℃以上80℃以下であり、成分(A)の重量平均分子量が10,000~30,000である化粧料組成物である。
成分(A):下記の一般式(1)で表される水系ゲル化剤
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、R1、R2、R8及びR9はそれぞれ独立して炭素数4~20の炭化水素基を表し、R3、R5及びR7はそれぞれ独立して炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、R4及びR6はそれぞれ独立して炭素数3~16の2価の炭化水素基を表し、a及びeはそれぞれ独立して10~100の数を表し、dは100~500の数を表し、gは0~10の数を表す。)
成分(B):高分子増粘剤
【0010】
また、本発明は、後述する一般式(2)~(4)の化合物及び高級脂肪酸金属塩を触媒として用いる、一般式(1)で表される水系ゲル化剤の製造方法も提供する。
さらに、本発明は上記の製造方法で得られた水系ゲル化剤と高分子増粘剤を組み合わせる工程を含む、化粧料組成物の製造方法も提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、これまで知られていた化粧料組成物と比較し、より性能が改良された化粧料組成物を提供することが可能である。具体的には、本発明の化粧料組成物は、粘度の耐塩性及び温度安定性が高く、更には、乳化時の経時安定性及び使用時の感触が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の化粧料組成物を構成する成分(A)は、下記の一般式(1)で表される水系ゲル化剤である。
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、R1、R2、R8及びR9はそれぞれ独立して炭素数4~20の炭化水素基を表し、R3、R5及びR7はそれぞれ独立して炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、R4及びR6はそれぞれ独立して炭素数3~16の2価の炭化水素基を表し、a及びeはそれぞれ独立して10~100の数を表し、dは100~500の数を表し、gは0~10の数を表す。)
【0015】
一般式(1)において、R1、R2、R8及びR9はそれぞれ独立して炭素数4~20の炭化水素基を表し、該炭化水素基としては、例えば、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、分岐鎖ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、n-ヘキシル基、分岐鎖ヘキシル基、第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、n-ヘプチル基、分岐鎖ヘプチル基、第2級ヘプチル基、第3級ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、第2級オクチル基、第3級オクチル基、n-ノニル基、分岐鎖ノニル基、第2級ノニル基、第3級ノニル基、n-デシル基、分岐鎖デシル基、第2級デシル基、第3級デシル基、n-ウンデシル基、分岐鎖ウンデシル基、第2級ウンデシル基、第3級ウンデシル基、n-ドデシル基、分岐鎖ドデシル基、第2級ドデシル基、第3級ドデシル基、n-トリデシル基、分岐鎖トリデシル基、第2級トリデシル基、第3級トリデシル基、n-テトラデシル基、分岐鎖テトラデシル基、第2級テトラデシル基、第3級テトラデシル基、n-ペンタデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、第2級ペンタデシル基、第3級ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、第2級ヘキサデシル基、第3級ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、第2級ヘプタデシル基、第3級ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、第2級オクタデシル基、第3級オクタデシル基、n-ノナデシル基、分岐鎖ノナデシル基、第2級ノナデシル基、第3級ノナデシル基、n-イコシル基、分岐鎖イコシル基、第2級イコシル基、第3級イコシル基などの飽和脂肪族炭化水素基;1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-ヘプテニル基、6-ヘプテニル基、1-オクテニル基、7-オクテニル基、8-ノネニル基、1-デセニル基、9-デセニル基、10-ウンデセニル基、1-ドデセニル基、4-ドデセニル基、11-ドデセニル基、12-トリデセニル基、13-テトラデセニル基、14-ペンタデセニル基、15-ヘキサデセニル基、16-ヘプタデセニル基、1-オクタデセニル基、17-オクタデセニル基、1-ノナデセニル基、1-イコセニル基などの不飽和脂肪族炭化水素基;
【0016】
フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p-クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基などの芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6-テトラメチルシクロヘキシル基、1,3-ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1-シクロブテニル基、1-シクロペンテニル基、3-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基、3-シクロヘキセニル基、3-シクロヘプテニル基、4-シクロオクテニル基、2-メチル-3-シクロヘキセニル基、3,4-ジメチル-3-シクロヘキセニル基などの脂環式炭化水素基が挙げられる。本発明においては、R1、R2、R8及びR9がこのような炭化水素基でなければ、本発明の効果をすべて満たす化粧料組成物を得ることができず、特に、乳化時の経時安定性が高い化粧料組成物を得ることができない。
【0017】
1、R2、R8及びR9は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。中でも、本発明の効果が得られやすく、原料の調達及び製造が容易であることから、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数5~18の飽和脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数8~14の飽和脂肪族炭化水素基が更により好ましく、炭素数10~12の飽和脂肪族炭化水素基が最も好ましい。
【0018】
一般式(1)において、R3、R5及びR7はそれぞれ独立して炭素数2~4の2価の炭化水素基を表す。該炭化水素基としては、例えば、エチレン基;プロパン-1,3-ジイル(直鎖プロピレン)基;プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基などの分岐鎖プロピレン基;ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基などの直鎖ブチレン基;2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基などの分岐鎖ブチレン基などが挙げられる。中でも、本発明の効果が得られやすいことから、炭素数2~4の2価の直鎖の炭化水素基が好ましく、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル(直鎖プロピレン)基がより好ましく、エチレン基が更に好ましい。なお、R3は、全て同一の基であってもよく、異なる基であってもよく、R5もまた、全て同一の基であってもよく、異なる基であってもよく、R7もまた、全て同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
【0019】
一般式(1)において、R4及びR6はそれぞれ独立して炭素数3~16の2価の炭化水素基を表す。該炭化水素基としては、例えば、炭素数3~16の2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基は、炭素数3~16の範囲内であればいずれでもよい。しかしながら、製造が容易であり且つ原料の入手が容易であることから、後に記載する一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物から、2つのイソシアネート基を除いた基であることが好ましい。これについては、後で詳しく説明される。
【0020】
a及びeはそれぞれ独立して10~100の数を表す。中でも、原料の製造又は入手が容易であり、また本発明の効果が得られやすいことから12~50であることが好ましく、15~30であることがより好ましい。
【0021】
dは、100~500の数を表す。中でも、本発明の効果が得られやすい水系ゲル化剤が得られることから、120~450であることが好ましく、150~400であることがより好ましく、180~350であることが更に好ましく、200~300であることが最も好ましい。
【0022】
gは、0~10の数を表す。中でも、本発明の効果が得られやすいことから、0~8であることが好ましく、0~6であることがより好ましい。なお、gが0である水系ゲル化剤は、gが1~10である水系ゲル化剤と併用することでゲル化促進剤のような働きを示す。ゆえに、より発明の効果が得られやすくなることから、gが0である水系ゲル化剤とgが1~10である水系ゲル化剤の混合物であることが更に好ましく、gが0である水系ゲル化剤とgが1~8である水系ゲル化剤の混合物であることが更により好ましく、gが0である水系ゲル化剤とgが1~6である水系ゲル化剤の混合物であることが最も好ましい。
【0023】
更に詳しくは、(gが1~10である水系ゲル化剤)と(gが0である水系ゲル化剤)の質量比が、95:5~85:15の割合で混合された水系ゲル化剤であれば、本発明の効果を最大限に発揮することが可能となる。なお、(gが1~10である水系ゲル化剤)と(gが0である水系ゲル化剤)の質量比が、95:5~85:15の割合で混合された水系ゲル化剤であれば、特に良好な自己平滑性を持ち且つスプレーボトルで使用可能な弾力のある柔らかいゲルが得られることから、それら効果が必要とされる化粧料では好適に使用可能である。なお、「自己平滑性」とは、ゲルに物理的刺激(例えばゲルをすくい取る、ゲルを掻き回すなど)を与えた後に、自然と元の平滑な表面に戻る性質を指す。また、「スプレーボトルで使用可能」とは、スプレーボトルに収容されているときは弾力のある柔らかいゲルの性状をしており、スプレーボトルから噴霧する際(ゲルに剪断応力をかけた際)に水のように容易に噴霧される性質をいう。
【0024】
本発明の化粧料組成物を構成する成分(A)は、25℃での1質量%水溶液の粘度が1,000~5,000mPa・sであり、1質量%水溶液の曇点が60℃以上80℃以下であり、重量平均分子量が10,000~30,000である一般式(1)で表される水系ゲル化剤である。成分(A)の製造方法としては、上記性状の成分(A)を得る方法でなければならない。これは、下記の一般式(2)~(4)で表される化合物を原料とし、特定の触媒存在下で合成することが可能である。
【0025】
【化3】
【0026】
(式中、R10及びR11は、それぞれ独立して炭素数4~20の炭化水素基を表し、R12は炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、rは10~100の数を表す。)
【0027】
【化4】
【0028】
(式中、R13は炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、tは100~500の数を表す。)
【0029】
【化5】
【0030】
(式中、Qは、炭素数3~16の2価の炭化水素基を表わす。)
【0031】
一般式(2)において、R10及びR11はそれぞれ独立して炭素数4~20の炭化水素基を表す。該炭化水素基としては、例えば、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、分岐鎖ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、n-ヘキシル基、分岐鎖ヘキシル基、第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、n-ヘプチル基、分岐鎖ヘプチル基、第2級ヘプチル基、第3級ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、第2級オクチル基、第3級オクチル基、n-ノニル基、分岐鎖ノニル基、第2級ノニル基、第3級ノニル基、n-デシル基、分岐鎖デシル基、第2級デシル基、第3級デシル基、n-ウンデシル基、分岐鎖ウンデシル基、第2級ウンデシル基、第3級ウンデシル基、n-ドデシル基、分岐鎖ドデシル基、第2級ドデシル基、第3級ドデシル基、n-トリデシル基、分岐鎖トリデシル基、第2級トリデシル基、第3級トリデシル基、n-テトラデシル基、分岐鎖テトラデシル基、第2級テトラデシル基、第3級テトラデシル基、n-ペンタデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、第2級ペンタデシル基、第3級ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、第2級ヘキサデシル基、第3級ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、第2級ヘプタデシル基、第3級ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、第2級オクタデシル基、第3級オクタデシル基、n-ノナデシル基、分岐鎖ノナデシル基、第2級ノナデシル基、第3級ノナデシル基、n-イコシル基、分岐鎖イコシル基、第2級イコシル基、第3級イコシル基などの飽和脂肪族炭化水素基;1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-ヘプテニル基、6-ヘプテニル基、1-オクテニル基、7-オクテニル基、8-ノネニル基、1-デセニル基、9-デセニル基、10-ウンデセニル基、1-ドデセニル基、4-ドデセニル基、11-ドデセニル基、12-トリデセニル基、13-テトラデセニル基、14-ペンタデセニル基、15-ヘキサデセニル基、16-ヘプタデセニル基、1-オクタデセニル基、17-オクタデセニル基、1-ノナデセニル基、1-イコセニル基などの不飽和脂肪族炭化水素基;
【0032】
フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p-クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基などの芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6-テトラメチルシクロヘキシル基、1,3-ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1-シクロブテニル基、1-シクロペンテニル基、3-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基、3-シクロヘキセニル基、3-シクロヘプテニル基、4-シクロオクテニル基、2-メチル-3-シクロヘキセニル基、3,4-ジメチル-3-シクロヘキセニル基などの脂環式炭化水素基が挙げられる。
【0033】
10及びR11は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。中でも、本発明の効果が得られやすく、原料の調達及び製造が容易であることから、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数5~18の飽和脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数8~14の飽和脂肪族炭化水素基が更により好ましく、炭素数10~12の飽和脂肪族炭化水素基が最も好ましい。
【0034】
一般式(2)において、R12は炭素数2~4の2価の炭化水素基を表す。該炭化水素基としては、例えば、エチレン基;プロパン-1,3-ジイル(直鎖プロピレン)基;プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基などの分岐鎖プロピレン基;ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基などの直鎖ブチレン基;2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基などの分岐鎖ブチレン基などが挙げられる。中でも、本発明の効果が得られやすいことから、炭素数2~4の2価の直鎖の炭化水素基が好ましく、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル(直鎖プロピレン)基がより好ましく、エチレン基が更に好ましい。なお、R12は、全て同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
【0035】
rは、10~100の数を表す。中でも、一般式(2)の化合物の製造又は入手が容易であることから12~50であることが好ましく、15~30であることがより好ましい。
【0036】
一般式(3)において、R13は炭素数2~4の2価の炭化水素基を表し、こうした基としては、例えば、エチレン基;プロパン-1,3-ジイル(直鎖プロピレン)基;プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基などの分岐鎖プロピレン基;ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基などの直鎖ブチレン基;2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基などの分岐鎖ブチレン基などが挙げられる。中でも、本発明の効果が得られやすいことから、炭素数2~4の2価の直鎖の炭化水素基が好ましく、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル(直鎖プロピレン)基がより好ましく、エチレン基が更に好ましい。なお、R13は、全て同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
【0037】
tは、100~500の数を表し、中でも、本発明の効果が得られやすいことから、120~450であることが好ましく、150~400であることがより好ましく、180~350であることが更に好ましく、200~300であることが最も好ましい。
【0038】
一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2-ジメチルペンタンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)及び2,4,4(又は2,2,4)-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などの脂肪族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トジンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)及びナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0039】
一般式(4)のQは、炭素数3~16の2価の炭化水素基であればいずれでもよいが、上記に例示したジイソシアネート化合物から、2つのイソシアネート基を除いた基であることが好ましい。ジイソシアネートの中でも、脂肪族ジイソシアネートが好ましく、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)及び2,4,4(又は2,2,4)-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)がより好ましく、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)が更に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が最も好ましい。
【0040】
なお、前述した一般式(1)のR4及びR6はそれぞれ独立して炭素数3~16の2価の炭化水素基を表す。より具体的には、上記に例示したジイソシアネート化合物から、2つのイソシアネート基を除いた基であることが好ましく、脂肪族ジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた基であることがより好ましく、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)及び2,4,4(又は2,2,4)-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)のいずれかから2つのイソシアネート基を除いた基であることが更に好ましく、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)のいずれかから2つのイソシアネート基を除いた基であることが更により好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)から2つのイソシアネート基を除いた基であることが最も好ましい。
【0041】
成分(A)を製造する際に使用する特定の触媒としては、ラウリン酸金属塩、ミリスチン酸金属塩、パルミチン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、オレイン酸金属塩の群から選択される高級脂肪酸金属塩が挙げられ、1種又は2種以上を使用してもよい。なお、金属塩とは、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩のいずれかを指す。中でも、本発明の効果の著しい効果を示す水系ゲル化剤を製造することが可能であることから、ラウリン酸金属塩であることが好ましく、ラウリン酸カリウム若しくはラウリン酸ナトリウムであることがより好ましい。
【0042】
一般的に、一般式(1)で表される水系ゲル化剤は、触媒を使用しても使用しなくても製造され得る。もし、触媒を使用する場合は、四塩化チタン、塩化ハフニウム、塩化ジルコニウム、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化鉄、塩化スズ、フッ化硼素などの金属ハロゲン化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ソウムメチラート、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルコラート物、炭酸塩;酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ナトリウムなどの金属酸化物;テトライソプロピルチタネート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート)などの有機金属化合物;オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウムなどの石鹸等が使用できる。しかし、成分(A)の25℃での1質量%水溶液の粘度が1,000~5,000mPa・sであり、成分(A)の1質量%水溶液の曇点が60℃以上80℃以下であり、成分(A)の重量平均分子量が10,000~30,000である一般式(1)で表される水系ゲル化剤は、前述した高級脂肪酸金属塩を使用することで得ることができ、触媒を使用しなかった場合、若しくは高級脂肪酸金属塩以外を触媒として用いた場合には、1質量%水溶液粘度、1質量%水溶液曇点、重量平均分子量のいずれかが本発明の成(A)の規格から外れる場合がある。
【0043】
触媒としての高級脂肪酸金属塩の使用量は、成分(A)製造時の反応系全体の量に対して、0.01~5質量%使用することができる。中でも触媒としての十分有意な効果が得られることから、全体の系に対して、0.1~2質量%使用することが好ましく、0.5~1質量%使用することがより好ましい。0.01質量%未満であると、触媒としての機能が十分に発揮されず、本発明で使用する成分(A)が得られない場合があり、5質量%を超えると添加量に見合った効果が得られない場合がある。なお、本触媒は、成分(A)製造後、取り除く工程は行っておらず、本発明の成分(A)及び(B)を含有する化粧料中に残存することになり、当該残存量は、前述した成分(A)製造時の触媒の使用量と、後述する化粧料組成物中の成分(A)の配合量によって決まる。
【0044】
成分(A)の製造方法としては、上記に挙げた一般式(2)~(4)で表される化合物を原料とし、特定の触媒存在下で合成する方法が挙げられる。例えば、一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物2モルに対して、一般式(2)で表されるアルコール化合物を1.5~2.4モル、好ましくは1.8~2.2モル、より好ましくは1.9~2.1モル、一般式(3)で表されるポリアルキレングリコールを0.5~1.4モル、好ましくは0.8~1.2モル、より好ましくは0.9~1.1モル、更に触媒を加え反応させればよい。具体的な反応条件は、一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物と一般式(2)で表されるアルコール化合物と一般式(3)で表されるポリアルキレングリコールを系中に触媒と共に添加して、60~100℃で1~10時間反応させる方法が挙げられる。より具体的な反応条件として、一般式(2)で表されるアルコール化合物と一般式(3)で表されるポリアルキレングリコールを含む系を均一に混合した後、一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物及び触媒を添加して60~100℃で1~10時間反応させる方法が挙げられる。
【0045】
本発明の化粧料組成物を構成する成分(A)の25℃での1質量%水溶液の粘度は、1,000~5,000mPa・sである。中でも本発明の効果がより顕著に現れることから、当該粘度が1,500~4,000mPa・sであることが好ましく、2,000~3,500mPa・sであることがより好ましい。25℃での1質量%水溶液の粘度の測定方法としては、JIS Z 8803:2011に記載の25℃でのB型粘度計による粘度測定方法を用いることができる。
【0046】
本発明の化粧料組成物を構成する成分(A)の1質量%水溶液の曇点は、60℃以上80℃以下である。中でも本発明の効果がより顕著に現れることから、当該曇点が60℃以上70℃以下であることが好ましい。曇点の測定方法としては、成分(A)の1質量%水溶液を調製し、徐々に加温して濁りが生じる温度を曇点とする方法を用いることができる。
【0047】
本発明の化粧料組成物を構成する成分(A)の重量平均分子量は、10,000~30,000である。中でも本発明の効果がより顕著に現れることから、当該重量平均分子量が12,000~25,000であることが好ましく、15,000~20,000であることがより好ましい。重量平均分子量の測定方法は、GPC(Gel Permeation Chromatographyゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算により測定する方法を用いることができる。本発明においては、重量平均分子量がこの範囲にある成分(A)を含有することで、本発明の効果をすべて満たす化粧料組成物を得ることができ、特に、乳化時の経時安定性が高い化粧料組成物を得ることができる。
【0048】
本発明の化粧料組成物を構成する成分(A)は、室温で固体あるいは粘稠物である。化粧料に配合する際、取扱いが容易であることから、あらかじめ水などの溶媒に溶解させて液状にしておくことが好ましい。溶媒の量は特に規定されないが、取扱いが容易であることから、成分(A)が10~50質量%になるように調整することが好ましく、15~40質量%になるように調整することがより好ましい。
【0049】
使用できる溶媒としては、例えば、水若しくは、メタノール、エタノール、プロパノールなどの揮発性一級アルコール化合物が挙げられる。一方で、使用現場によっては揮発性溶媒が規制される場合があるため、これらの中でも水が最も好ましい。
【0050】
本発明の化粧料組成物を構成する成分(A)は、その配合量は特に規定されないが、本発明の効果が得られやすい水系ゲルを形成するために、化粧料組成物全量に対して、0.05~20質量%配合することが好ましく、0.1~10質量%配合することがより好ましく、0.5~5質量%配合することが更に好ましく、1~3質量%配合することが最も好ましい。
【0051】
本発明の化粧料組成物を構成する成分(B)は高分子増粘剤である。化粧料業界で一般的に知られている高分子増粘剤であれば特に制限されない(なお前述の一般式(1)で表される化合物は高分子増粘剤に該当しない)。本発明の化粧料組成物に適した高分子増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体などの合成系高分子増粘剤;グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、アルブミン、コラーゲン、セルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ケラト硫酸、カロニン酸などの天然系高分子増粘剤;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、メチルデンプン、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、カチオン化グアーガム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩(例えばナトリウム塩)などの半合成系高分子増粘剤等が挙げられる。中でも本発明の効果が得られやすいことから、合成系高分子増粘剤及び天然系高分子増粘剤であることが好ましく、合成系高分子増粘剤の中では、カルボキシビニルポリマーが最も好ましく、天然系高分子増粘剤の中では、キサンタンガムが最も好ましい。
なお、本発明に用いる高分子増粘剤は特に限定されないが、本発明の効果が得られやすいことから、重量平均分子量が10,000~10,000,000であることが好ましく、40,000~5,000,000であることがより好ましく、100,000~2,000,000であることがさらに好ましい。
【0052】
本発明の化粧料組成物を構成する成分(B)である高分子増粘剤は、1種又は2種以上を組み合わせて配合してもよい。また、その配合量は特に規定されないが、顕著な本発明の効果が得られることから、化粧料組成物全量に対して、0.005~10質量%配合することが好ましく、0.01~5質量%配合することがより好ましく、0.05~5質量%配合することが更に好ましく、0.1~2質量%配合することが更により好ましい。
【0053】
成分(A)と成分(B)の配合比に関しては特に制限されないが、本発明の効果が得られやすいことから、成分(A):成分(B)=1:0.001~1:50の質量比で併用することが好ましく、成分(A):成分(B)=1:0.01~1:30の質量比で併用することがより好ましく、成分(A):成分(B)=1:0.05~1:10の質量比で併用することが更に好ましい。
【0054】
本発明の化粧料組成物は、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲内であれば、適宜様々な特性を付与する目的で、化粧料組成物で一般に使用されるその他の添加剤を使用することができる。例えば、粉末成分、液体油脂、エステル油、シリコーン油、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、ポリオール化合物、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、保湿剤、金属イオン封鎖剤、糖(多糖を除く)、アミノ酸及びその誘導体、有機アミン、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、血行促進剤、消炎剤、賦活剤、美白剤、抗脂漏剤、抗炎症及び各種抽出物などが挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を任意に配合することができる。
【0055】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、ーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素など);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末など);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛など);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄など);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄など);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土など);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタンなど);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレットなど);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルトなど);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青など);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔など);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダーなど);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキなどの有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号など);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチンなど)などが挙げられる。
【0056】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリンなどが挙げられる。
【0057】
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸プロピレングコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリヘキサン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル等が挙げられる。
【0058】
シリコーン油としては、ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチコン、アミノ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーンなどが挙げられる。
【0059】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油などが挙げられる。
【0060】
ロウとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテルなどが挙げられる。
【0061】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
【0062】
高級脂肪酸としては、例えば、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、12-ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などが挙げられる。
【0063】
高級アルコールとしては、例えば、デシルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコールなどの直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの分岐鎖アルコールなどが挙げられる。
【0064】
ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、糖アルコールなどが挙げられる。
【0065】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンなど);グリセリン・ポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、POE-モノステアリン酸グリセリン、モノイソステアリン酸ポリグリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、ステアリン酸リンゴ酸グリセリルなど);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコールなど);硬化ヒマシ油誘導体類;グリセリン・ポリグリセリンアルキルエーテル類(例えば、ポリグリセリル・ポリオキシブチレンステアリルエーテルなど);POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンテトラオレエートなど);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレートなど);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレートなど;POE-ジ脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-ジオレエートなど);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテルなど);プルロニック型類(例えば、プルロニックなど);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-ラウリルエーテル、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテルなど);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニックなど);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体類(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸など);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体類(例えば、POE-ソルビットミツロウなど);アルカノールアミド類(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミドなど);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル類;POE-アルキルアミン類;N-メチルアルキルグルカミド類(例えば、N-メチルラウリルグルカミドなど)N-ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド類;POE-脂肪酸アミド類;ショ糖脂肪酸エステル類(例えば、ショ糖モノステアレート、ショ糖モノラウレート、POP-ショ糖モノラウレートなど);アルキルエトキシジメチルアミンオキシド類;トリオレイルリン酸などが挙げられる。なお、POEはポリオキシエチレンの略であり、POPはポリオキシプロピレンの略である。
【0066】
カチオン界面活性剤としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェートなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩;セチルトリエチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリエチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリエチルアンモニウムクロリド、セチルトリエチルアンモニウムメトサルフェート、ベヘニルトリエチルアンモニウムメトサルフェートなどのアルキルトリエチルアンモニウム塩;ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドなどのジアルキルジメチルアンモニウム塩;ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;N,N-ジメチルベヘニルアミン、N,N-ジメチルステアリルアミンなどのアルキルジメチルアミンが有機酸又は無機酸と反応して生成した塩;N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミンなどのアルコキシジメチルアミンが有機酸又は無機酸と反応して生成した塩;ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミドなどのアミド化合物などが挙げられる。
【0067】
アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩型界面活性剤、スルホン酸塩型界面活性剤、硫酸エステル塩型界面活性剤、リン酸エステル塩型界面活性剤、スルホコハク酸塩型界面活性剤などが挙げられる。
高級脂肪酸塩型界面活性剤としては、例えば、炭素数12~18の飽和又は不飽和脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸などの塩(カリウム塩、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩など)など;アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルアリルエーテルカルボン酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩などが挙げられる。より具体的には、例えば、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシンナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム、ヤシ油脂肪酸イセチオン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0068】
スルホン酸塩型界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N-アシルアミノスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩などが挙げられる。より具体的には、例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルメチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、N-ココイル-N-メチルタウリンナトリウムなどが挙げられる。
【0069】
硫酸エステル塩型界面活性剤としては、例えば、高級アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸エステル硫酸塩、二級アルコール硫酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸塩などが挙げられる。より具体的には、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0070】
リン酸エステル塩型界面活性剤としては、例えば、モノラウリルリン酸トリエタノールアミン、モノラウリルリン酸ジカリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。スルホコハク酸塩型界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0071】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、アシル第3級アミンオキサイド、アシル第3級ホスフォンオキサイドなどが挙げられる。
イミダゾリン型両性界面活性剤としては、例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩などが挙げられる。
【0072】
ベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、ホスホベタインなどが挙げられる。より具体的には、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシホスホベタイン、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油アルキル- N - ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。アシル第3級アミンオキサイドとしては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられる。アシル第3級ホスフォンオキサイドとしては、例えばラウリルジメチルホスフォンオキサイドなどが挙げられる。
【0073】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物などが挙げられる。
【0074】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウムなどが挙げられる。
【0075】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトンなど);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトールなど);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロースなど);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-プシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトースなど);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプースなど);八炭糖(例えば、オクツロースなど);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノースなど);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸など);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸など)などが挙げられる。
【0076】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類などが挙げられる。
【0077】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システインなど);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジンなど)などが挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸などが挙げられる。
【0078】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールなどが挙げられる。
【0079】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウムなどの緩衝剤などが挙げられる。
ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチンなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類などが挙げられる。
【0080】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノールなど);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントインなど);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチンなど);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻など)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体など);血行促進剤(例えば、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノールなど);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントールなど);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリンなど)などが挙げられる。
【0081】
本発明の化粧料組成物は、本発明の効果が必要とされる化粧料であれば特に制限はされず使用することができ、例えば、皮膚用化粧料組成物に使用できる。
【0082】
また、25℃での1質量%水溶液の粘度が1,000~5,000mPa・sであり、1質量%水溶液の曇点が60℃以上80℃以下であり、かつ重量平均分子量が10,000~30,000である、本発明の成分(A)の上記一般式(1)で表される水系ゲル化剤を、高分子増粘剤を含む化粧料組成物の、粘度の耐塩性、粘度の温度安定性、使用時の感触からなる群から選択される効果の少なくとも1つ、好ましくは全てを改善するために使用することができる。
【実施例
【0083】
以下本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。なお、以下の実施例などにおいて%は特に記載が無い限り質量基準である。
まず、実施例及び比較例に使用する成分(A)を製造する。
【0084】
< 成分(A)の製造に使用する原料 >
成分(A)を製造するにあたり使用した原料を以下に示す。
化合物(2)-1:一般式(2)において、R10=デシル基、R11=ドデシル基、R12=エチレン基、r=20である化合物
化合物(2)-2:一般式(2)において、R10=オクチル基、R11=デシル基、R12=エチレン基、r=20である化合物
化合物(2)-3:一般式(2)において、R10=ドデシル基、R11=テトラデシル基、R12=エチレン基、r=20である化合物
化合物(2)-4:一般式(2)において、R10=デシル基、R11=ドデシル基、R12=エチレン基、r=100である化合物
化合物(3)-1:一般式(3)において、R13=エチレン基、t=250である化合物
化合物(3)-2:一般式(3)において、R13=エチレン基、t=450である化合物
化合物(3)-3:一般式(3)において、R13=エチレン基、t=135である化合物
化合物(4)-1:ヘキサメチレンジイソシアネート
化合物(4)-2:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)
【0085】
触媒1:ラウリン酸カリウム
触媒2:ラウリン酸ナトリウム
触媒3:テトライソプロピルチタネート
触媒4:ジブチル錫ジラウレート
【0086】
< 成分(A)の製造方法 >
温度計、窒素導入管及び攪拌機を付した4つ口フラスコに、化合物(3)-1を620g(0.06mol)、化合物(2)-1を139g(0.11mol)仕込み、40~50℃に昇温し、各成分が均一になるまで撹拌し、各成分が均一に混合されたことを確認した後、化合物(4)-1を18.9g(0.11mol)、触媒1を5.8g(0.02mol)仕込み、系内を窒素置換した。その後、更に80~90℃まで昇温し、同温度で6時間反応させ、成分(A)-1を得た。
【0087】
更に、表1に記載の原料を用いて、同様の方法にて、成分(A)-2~(A)-12を製造した。なお、成分(A)-9及び(A)-10に関しては、触媒は使用せず製造しており、成分(A)-1~(A)-12は全て原料である化合物(2)、化合物(3)及び化合物(4)の合計質量(反応系全体の質量)を統一して製造している。
【0088】
【表1】
【0089】
次に、得られた成分(A)-1~(A)-12の構造及び物性を表2に示した。なお、得られた各成分(A)は、一般式(1)においてgが1~10である水系ゲル化剤とgが0である水系ゲル化剤の混合物である場合があり、その質量比に関しても表2に示した。
【0090】
1質量%水溶液の粘度の測定方法
得られた各成分(A)をそれぞれ1質量%水溶液になるよう水を加え測定用試料を調製し、25℃にてB型粘度計(東機産業株式会社製、型番TVB-10)を用い測定した。
【0091】
1質量%水溶液の曇点の測定方法
上記調製した各成分(A)の1質量%水溶液を恒温槽に設置し、徐々に加温(約1℃/分)して濁りが生じる温度を曇点(℃)とした。
【0092】
重量平均分子量の測定方法
GPC(Gel Permeation Chromatographyゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて測定した。詳細な測定条件は以下の通りである。
GPC装置:HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgel guardcolumn SuperMP(HZ)-N(1本)、TSKgel SuperMultiporeHZ-N(4本)の5本のカラムを直列に接続して使用。
検出器:RI
サンプル濃度:5mg/ml(in THF溶液)
カラム温度:40℃
標準サンプル:ポリスチレン
【0093】
成分(A)の一般式(1)中のgが0の化合物とgが1~10である化合物の質量比は、上記GPCから得られたチャートを用いて、その面積比より算出した。
【0094】
【表2】
【0095】
< 成分(B) >
本実施例及び比較例に使用した成分(B)を以下に示す。
成分(B)-1:カルボキシビニルポリマー
成分(B)-2:キサンタンガム
【0096】
< ゲルの調製 >
次に、前述した各成分(A)と各成分(B)を表3に記載の量で配合し、各種ゲルの調製を行った(表3)。
【0097】
【表3】
【0098】
< ゲルの性能評価 >
表3にて得られたゲルに関して、性能の評価を行なった。評価項目としては、(1)粘度の耐塩性、(2)粘度の温度安定性、(3)使用時の感触(プルプル感など)である。各評価基準に関しては以下の通りである。なお、粘度の測定は、B型粘度計(東機産業株式会社製、型番TVB-10)を使用し測定を行った。
【0099】
(1)粘度の耐塩性
表3にて調製した各ゲル100gに、0.5gのNaClを加え、撹拌混合した。塩添加前後の粘度を25℃にて測定し、粘度の耐塩性を評価した。評価は以下の基準にて行った。評価がB以上を合格とした。
【0100】
A:粘度の変化率が5%未満
B:粘度の変化率が5%以上10%未満
C:粘度の変化率が10%以上30%未満
D:粘度の変化率が30%以上50%未満
E:粘度の変化率が50%以上
【0101】
(2)粘度の温度安定性
表3に記載の各ゲルをそれぞれ透明ガラス容器に100g入れ、25℃及び50℃の恒温槽にて2ヵ月間保存した。その後、サンプルの状態(粘度)を25℃にて測定し、その結果から25℃保存サンプルの粘度(基準値)と50℃保存サンプルの粘度との差を粘度変化率として算出し、以下A~Dにて評価した。評価がB以上を合格とした。
【0102】
A:25℃保存サンプルの粘度と比較し、50℃保存サンプルの粘度の変化率が10%以下であった。
B:25℃保存サンプルの粘度と比較し、50℃保存サンプルの粘度の変化率が10%より大きく、20%以下であった。
C:25℃保存サンプルの粘度と比較し、50℃保存サンプルの粘度の変化率が20%より大きく、30%以下であった。
D:25℃保存サンプルの粘度と比較し、50℃保存サンプルの粘度の変化率が30%より大きかった。
【0103】
(3)使用時の感触(プルプル感など)
使用時の感触(プルプル感など)が良いとは、具体的には(I)得られたゲルを5g程度手のひらに取り、左右に揺すった際、プルプルとした柔らかいこと、(II)更にはそのゲルを肌全体に塗り広げる際、塗り広げやすい柔らかさをもつことを指す。10人に上記(I)及び(II)について5点満点(最低点は1点)で表3に記載の各ゲルをそれぞれ総合的に評価するよう指示し、更にその合計点数を基準に以下A~Eで評価した。評価がB以上を合格とした。
【0104】
A:合計点数が45~50点
B:合計点数が40~44点
C:合計点数が35~39点
D:合計点数が30~34点
E:合計点数が29点以下
【0105】
【表4】
表4
【0106】
< 化粧料組成物の調製 >
続いて、各成分(A)と各成分(B)を配合した化粧料組成物(水中油型乳化組成物)の調製を行った(表5、6)。調製方法としては、最初に成分(A)及び(B)以外の成分を配合し、ベースの水中油型乳化組成物を調製した後に、各成分(A)及び各成分(B)を後添加し、化粧料組成物1~20とした。
【0107】
【表5】
【0108】
【表6】
【0109】
< 化粧料組成物の性能評価 >
上記表5、6にて調製した化粧料組成物に関し、(4)粘度の耐塩性、(5)粘度の温度安定性、(6)使用時の感触(プルプル感など)、(7)乳化の経時安定性について評価を行なった。各評価基準に関しては以下の通りである。なお、粘度の測定は、B型粘度計(東機産業株式会社製、型番TVB-10)を使用し測定を行った。
【0110】
(4)粘度の耐塩性
表5、6にて調製した各化粧料組成物100gに、0.5gのNaClを加え、撹拌混合した。塩添加前後の粘度を25℃にて測定し、粘度の耐塩性を評価した。評価は以下の基準にて行った。評価がB以上を合格とした。
【0111】
A:粘度の変化率が5%未満
B:粘度の変化率が5%以上10%未満
C:粘度の変化率が10%以上30%未満
D:粘度の変化率が30%以上50%未満
E:粘度の変化率が50%以上
【0112】
(5)粘度の温度安定性
表5、6に記載のサンプルをそれぞれ透明ガラス容器に100g入れ、25℃及び50℃の恒温槽にて2ヵ月間保存した。その後、サンプルの状態(粘度)を25℃にて測定し、その結果から25℃保存サンプルの粘度(基準値)と50℃保存サンプルの粘度との差を粘度変化率として算出し、以下A~Dにて評価した。評価がB以上を合格とした。
【0113】
A:25℃保存サンプルの粘度と比較し、50℃保存サンプルの粘度の変化率が10%以下であった。
B:25℃保存サンプルの粘度と比較し、50℃保存サンプルの粘度の変化率が10%より大きく、20%以下であった。
C:25℃保存サンプルの粘度と比較し、50℃保存サンプルの粘度の変化率が20%より大きく、30%以下であった。
D:25℃保存サンプルの粘度と比較し、50℃保存サンプルの粘度の変化率が30%より大きかった。
【0114】
(6)使用時の感触(プルプル感など)
使用時の感触(プルプル感など)が良いとは、具体的には(I)得られたサンプルを5g程度手のひらに取り、左右に揺すった際、プルプルとして柔らかいこと、(II)更にはそのサンプルを肌全体に塗り広げる際、塗り広げやすい柔らかさをもつことを指す。10人に上記(I)及び(II)について5点満点(最低点は1点)で表5,6に記載のサンプルをそれぞれ総合的に評価するよう指示し、更にその合計点数を基準に以下A~Eで評価した。評価がB以上を合格とした。
【0115】
A:合計点数が45~50点
B:合計点数が40~44点
C:合計点数が35~39点
D:合計点数が30~34点
E:合計点数が29点以下
【0116】
(7)乳化の経時安定性
調製した化粧料組成物100gを、50℃にて3ヵ月保存した後、乳化状態を観察した。評価は以下の基準にて行った。評価がB以上を合格とした。
A:乳化状態良好(分離なし)
B:乳化状態やや良好(一部分離あり)
C:乳化状態不良(二層に分離)
【0117】
【表7】
【0118】
【表8】
【0119】
結果、本発明品は(4)粘度の耐塩性、(5)粘度の温度安定性、(6)使用時の感触、(7)乳化の経時安定性、全ての項目において良好な化粧料組成物であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明品は、これまで知られていた化粧料組成物と比較し、より性能が改良された、粘度の耐塩性及び温度安定性が高く、乳化時の経時安定性が高く、更には使用時の感触が良好な化粧料組成物である。当該化粧料組成物はユーザーの目線に立ち、より使用感がすぐれた発明であることから、ニーズは高く、その有用性は非常に大きい。