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特許7179063導波結合器のダイレクトエッチング製造の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】導波結合器のダイレクトエッチング製造の方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20221118BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20221118BHJP
   G02B 6/13 20060101ALI20221118BHJP
   G02B 6/136 20060101ALI20221118BHJP
   G02B 6/124 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B6/00 301
G02B6/13
G02B6/136
G02B6/124
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020528232
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 US2018060651
(87)【国際公開番号】W WO2019108379
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】62/592,364
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨン, マイケル ユタク
(72)【発明者】
【氏名】マクミラン, ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ティマーマン タイセン, ラトガー
(72)【発明者】
【氏名】フィッサー, ロバート ヤン
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/152771(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0003504(US,A1)
【文献】特開平06-201909(JP,A)
【文献】特開2009-004630(JP,A)
【文献】国際公開第2016/205249(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波構造を形成する方法であって、
凸型導波パターンを形成するため、スタンプをレジストに刻印することであって、前記レジストは基板の一部の表面に形成されたハードマスク上に配置され、前記凸型導波パターンは、第1の複数の回折格子パターン、導波パターン、及び第2の複数の回折格子パターンのうちの少なくとも1つを含むパターンを含み、前記第1の複数の回折格子パターン及び前記第2の複数の回折格子パターンの各々が残留層及び上部パターン面を有する、スタンプをレジストに刻印することと
前記凸型導波パターンを硬化させるための硬化プロセスを実行することと、
前記スタンプを取り外すことと、
前記残留層及び前記残留層の下に配置された前記ハードマスクを除去し、前記基板の前記表面を曝露するため、第1のエッチング処理を実行することと、
前記基板の前記表面の第1の非保護領域が露出した状態で、前記基板の前記表面をマスクすることと、
前記基板の前記表面の前記第1の非保護領域が露出した状態で前記基板がマスクされている間、第1の深度を有する第1の複数の回折格子を形成するため、第1の所定の時間だけ、第2のエッチング処理を実行することと、
前記第1の複数の回折格子を形成することに続き、前記基板の前記表面の第2の非保護領域が露出した状態で、前記基板の前記表面をマスクすることと、
前記基板の前記表面の前記第2の非保護領域が露出した状態で前記基板がマスクされている間、前記第1の深度と異なる第2の深度を有する第2の複数の回折格子を形成するため、第2の所定の時間だけ前記第2のエッチング処理を実行することと、
入力カップリング領域、導波領域、及び出力カップリング領域のうちの少なくとも1つを含む導波構造を形成するため、前記上部パターン面、前記導波パターン、並びに前記上部パターン面及び前記導波パターンの下に配置された前記ハードマスクを除去することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記上部パターン面及び前記残留層は、前記基板の前記表面に平行である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数の回折格子パターン及び前記第2の複数の回折格子パターンは、前記基板の前記表面に垂直に配向された側壁パターン面を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の複数の回折格子パターン及び前記第2の複数の回折格子パターンは、前記基板の前記表面に対してある量だけ傾斜した側壁パターン面をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のエッチング処理は、
前記残留層が除去されるまで、酸素ガス(O)含有プラズマ、フッ素ガス(F)含有プラズマ、塩素ガス(Cl)含有プラズマ、及びメタン(CH)含有プラズマのうちの少なくとも1つを使用するプラズマ灰化することと、
前記残留層の下に配置された前記ハードマスクをイオンエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、又は高選択性湿式化学エッチングすることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のエッチング処理は、角度付きイオンエッチングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記レジストが、液体材料注入キャスティング処理、スピンオンコーティング処理、液体スプレーコーティング処理、ドライパウダーコーティング処理、スクリーン印刷処理、ドクターブレーディング処理、物理気相堆積(PVD)処理、化学気相堆積(CVD)処理、流動性CVD(FCVD)処理、又は原子層堆積(ALD)処理によって、前記基板の一部の前記表面に堆積される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
導波構造を形成する方法であって、
凸型導波パターンを形成するため、スタンプをレジストに刻印することであって、前記レジストは基板の一部の表面に形成されたハードマスク上に配置され、前記凸型導波パターンは、第1の複数の回折格子パターン、導波パターン、及び第2の複数の回折格子パターンのうちの少なくとも1つを含むパターンを含み、前記第1の複数の回折格子パターン及び前記第2の複数の回折格子パターンの各々が残留層、上部パターン面、及び前記基板の前記表面に対して傾斜した側壁パターン面を有する、スタンプをレジストに刻印することと、
前記凸型導波パターンを硬化させるための硬化処理を実行することと、
前記スタンプを取り外すことと、
前記残留層及び前記残留層の下に配置された前記ハードマスクを除去し、前記基板の前記表面を曝露するため、第1のエッチング処理を実行することと、
前記基板の前記表面の第1の非保護領域が露出した状態で、前記基板の前記表面をマスクすることと、
前記基板の前記表面の前記第1の非保護領域が露出した状態で前記基板がマスクされている間、第1の深度を有する第1の複数の角度付き回折格子を形成するため、第1の所定の時間だけ所定の角度でエッチングすることと、
前記基板の前記表面の第2の非保護領域が露出した状態で、前記基板の前記表面をマスクすることと、
前記基板の前記表面の前記第2の非保護領域が露出した状態で前記基板がマスクされている間、前記第1の深度と異なる第2の深度を有する第2の複数の角度付き回折格子を形成するため、第2の所定の時間だけ、前記所定の角度でエッチングすることと、
入力カップリング領域、導波領域、及び出力カップリング領域のうちの少なくとも1つを含む導波構造を形成するため、前記上部パターン面、前記導波パターン、並びに前記上部パターン面及び前記導波パターンの下に配置された前記ハードマスクを除去することと、
を含む方法。
【請求項9】
前記基板の前記表面の第3の非保護領域を曝露するため、前記基板をマスクすることと、
第3の深度を有する第3の複数の角度付き回折格子を形成するため、第3の所定の時間だけ、前記所定の角度でエッチングすることと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の深度を有する前記第1の複数の角度付き回折格子、前記第2の深度を有する前記第2の複数の角度付き回折格子、及び前記第3の深度を有する前記第3の複数の角度付き回折格子の各々は、
前記基板の前記表面に平行な上面と、
前記基板の前記表面に対してある量だけ傾斜した側壁面と、
前記基板の前記表面に対応する底面と、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記所定の角度でエッチングすることは、方向性反応性イオンエッチング(RIE)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のエッチング処理は、
前記残留層が除去されるまで、酸素ガス(O)含有プラズマ、フッ素ガス(F)含有プラズマ、塩素ガス(Cl)含有プラズマ、及びメタン(CH)含有プラズマのうちの少なくとも1つを使用するプラズマ灰化することと、
前記残留層の下に配置された前記ハードマスクをイオンエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、又は高選択性湿式化学エッチングすることと、
を含む、請求項8に記載の方法。
前記第1のエッチング処理は、前記残留層の下に配置された前記ハードマスクをイオンエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、又は高選択性湿式化学エッチングすること、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記硬化処理は、紫外線(UV)硬化、赤外線(IR)硬化、溶媒蒸発硬化、又は熱硬化を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記レジストは、液体材料注入キャスティング処理、スピンオンコーティング処理、液体スプレーコーティング処理、ドライパウダーコーティング処理、スクリーン印刷処理、ドクターブレーディング処理、物理気相堆積(PVD)処理、化学気相堆積(CVD)処理、流動性CVD(FCVD)処理、又は原子層堆積(ALD)処理によって、前記基板の一部の前記表面に堆積される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
導波構造を形成する方法であって、
凸型導波パターンを形成するため、スタンプをレジストに刻印することであって、前記レジストは基板の表面に形成されたハードマスク上に配置され、前記凸型導波パターンは、第1の複数の回折格子パターン、導波パターン、及び第2の複数の回折格子パターンのうちの少なくとも1つを含むパターンを備え、前記第1の複数の回折格子パターン及び前記第2の複数の回折格子パターンの各々が残留層、上部パターン面、及び前記基板の前記表面に対して傾斜した側壁パターン面を有する、スタンプをレジストに刻印することと、
前記凸型導波パターンを電磁放射で硬化することと、
前記スタンプを取り外すことと、
前記残留層が除去されるまでプラズマ灰化することと、
前記基板の前記表面を曝露するため、前記残留層の下に配置された前記ハードマスクを反応性イオンエッチングすることと、
前記基板の前記表面の第1の非保護領域が露出した状態で、前記基板の前記表面をマスクすることと、
前期基板の前記表面の前記第1の非保護領域が露出した状態で前記基板がマスクされている間、第1の深度を有する第1の複数の角度付き回折格子を形成するため、第1の所定の時間だけ、所定の角度での方向性反応性イオンエッチング(RIE)を行うことと、
前記基板の前記表面の第2の非保護領域が露出した状態で、前記基板の前記表面をマスクすることと、
前記基板の前記表面の前記第2の非保護領域が露出した状態で前記基板がマスクされている間、前記第1の深度と異なる第2の深度を有する第2の複数の角度付き回折格子を形成するため、第2の所定の時間だけ、前記所定の角度で方向性RIEを行うことと、
前記基板の前記表面の第3の非保護領域が露出した状態で、前記基板の前記表面をマスクすることと、
前記基板の前記表面の前記第3の非保護領域が露出した状態で前記基板がマスクされている間、第3の深度を有する第3の複数の角度付き回折格子を形成するため、第3の所定の時間だけ、前記所定の角度で方向性RIEを行うことと、
前記上部パターン面及び前記導波パターンが除去されるまでプラズマ灰化することと、
入力カップリング領域、導波領域、及び出力カップリング領域のうちの少なくとも1つを含む導波構造を形成するため、前記上部パターン面及び前記導波パターンの下に配置された前記ハードマスクを反応性イオンエッチングすることと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、概して、拡張現実、仮想現実、及び混合現実のための導波器に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、基板から導波器を製造する方法を提示する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
[0002] 仮想現実は、概して、ユーザが見かけ上の物理的存在を有する、コンピュータが生成したシミュレート環境であると考えられている。仮想現実体験は、3Dで生成され、実際の環境に取って代わる仮想現実環境を表示するためのレンズとしての接眼ディスプレイパネルを有する眼鏡又は他のウェアラブルディスプレイ装置などのヘッドマウントディスプレイ(HMD)で見ることができる。
【0003】
[0003] しかしながら、拡張現実は、ユーザが眼鏡又は他のHMD装置のディスプレイレンズを通して周囲環境を見ることができるが、表示のために生成され、環境の一部として現れる仮想物体の画像も見ることができる体験を可能にする。拡張現実は、音声入力及び触覚入力のような任意のタイプの入力、並びにユーザが経験する環境を強化又は拡張する仮想画像、グラフィック及びビデオを含むことができる。新たな技術として、拡張現実には多くの課題及び設計上の制約が存在する。
【0004】
[0004] そのような課題の1つは、周囲環境に重ね合わされた仮想画像を表示することである。導波器は、画像の重ね合わせを補助するために使用される。生成された光は、光が導波器から出て周囲環境に重ね合わされるまで、導波器を通って伝搬される。導波器は不均一な特性を有する傾向があるため、導波器の製造は困難になりうる。そのため、当該技術分野で必要とされているのは、改良された拡張導波器とその製造方法である。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 一実施形態では、導波構造を形成するための方法が提示される。この方法は、凸型導波パターンを形成するために、レジストにスタンプを刻印(インプリント)することを含む。レジストは、基板の一部の表面に形成されたハードマスク上に配置される。凸型導波パターンは、第1の複数の回折格子パターン、導波パターン、及び第2の複数の回折格子パターンのうちの少なくとも1つを含むパターンを含む。第1の複数の回折格子パターン及び第2の複数の回折格子パターンの各々は、残留層及び上部パターン面を有する。凸型導波パターンを硬化させるため、硬化処理が実行される。スタンプは取り外される。残留層及び残留層の下に配置されたハードマスクを除去し、基板の表面を曝露するために、第1のエッチング処理が実行される。基板の表面の第1の非保護領域を曝露するため、基板はマスクされる。第2のエッチング処理は、第1の所定の時間だけ実行され、第1の深度を有する第1の複数の回折格子を形成する。基板の表面の第2の非保護領域を曝露するため、基板はマスクされる。第2の深度を有する第2の複数の回折格子を形成するため、第2のエッチング処理は第2の所定の時間だけ実行される。入力カップリング領域、導波領域、及び出力カップリング領域のうちの少なくとも1つを含む導波構造を形成するため、上部パターン面、導波パターン、並びに上部パターン面及び導波パターンの下に配置されたハードマスクは除去される。
【0006】
[0006] 別の実施形態では、導波構造を形成するための方法が提示される。この方法は、凸型導波パターンを形成するため、レジストにスタンプを刻印することを含む。レジストは、基板の一部の表面に形成されたハードマスク上に配置される。凸型導波パターンは、第1の複数の回折格子パターン、導波パターン、及び第2の複数の回折格子パターンのうちの少なくとも1つを含むパターンを含む。第1の複数の回折格子パターン及び第2の複数の回折格子パターンの各々は、基板の表面に対して傾斜した残留層、上部パターン面、及び側壁パターン面を有する。硬化処理は、凸型導波パターンを硬化させるために実行される。スタンプは取り外される。残留層及び残留層の下に配置されたハードマスクを除去し、基板の表面を曝露するため、第1のエッチング処理が実行される。基板の表面の第1の非保護領域を曝露するため、基板はマスクされる。第1の所定の時間だけ所定の角度でエッチングすることにより、第1の深度を有する第1の複数の角度付き回折格子が形成される。基板の表面の第2の非保護領域を曝露するため、基板はマスクされる。第2の所定の時間だけ所定の角度でエッチングすることにより、第2の深度を有する第2の複数の角度付き回折格子が形成される。入力カップリング領域、導波領域、及び出力カップリング領域のうちの少なくとも1つを含む導波構造を形成するため、上部パターン面、導波パターン、並びに上部パターン面及び導波パターンの下に配置されたハードマスクは、除去される。
【0007】
[0007] さらに別の実施形態では、導波構造を形成する方法が提示される。本方法は、スタンプをレジストに刻印して凸型導波パターンを形成することを含み、レジストは、基板の表面に形成されたハードマスク上に配置され、凸型導波パターンは、第1の複数の回折格子パターン、導波パターン、及び第2の複数の回折格子パターンのうちの少なくとも1つを含むパターンを含む。第1の複数の回折格子パターン及び第2の複数の回折格子パターンの各々は、基板の表面に対して傾斜した残留層、上部パターン面、及び側壁パターン面を有する。凸型導波パターンは、電磁放射線硬化によって硬化される。スタンプは取り外される。残留層はプラズマ灰化によって除去される。基板の表面を曝露するため、残留層の下に配置されたハードマスクは反応性イオンエッチングされる。基板の表面の第1の非保護領域を曝露するため、基板はマスクされる。第1の所定の時間だけ所定の角度で方向性反応性イオンエッチング(RIE)を行うと、第1の深度を有する第1の複数の角度付き回折格子が形成される。基板の表面の第2の非保護領域を曝露するため、基板はマスクされる。第2の所定の時間だけ所定の角度で方向性RIEを行うと、第2の複数の角度付き回折格子が形成される。基板の表面の第3の非保護領域を曝露するため、基板はマスクされる。第3の所定の時間だけ所定の角度で方向性RIEを行うと、第3の深度を有する第3の複数の角度付き回折格子が形成される。上部パターン面と導波パターンはプラズマ灰化によって除去される。上部パターン面及び導波パターンの下に配置されたハードマスクに反応性イオンエッチングを行うと、入力カップリング領域、導波領域、及び出力カップリング領域のうちの少なくとも1つを含む導波構造が形成される。
【0008】
[0008] 上述の本開示の特徴を詳細に理解しうるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかし、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による導波結合器の斜視正面図である。
図2】一実施形態による導波構造を形成するための方法の工程を示すフロー図である。
図3A】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図3B】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図3C】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図3D】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図3E】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図4A】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図4B】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図4C】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図4D】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図4E】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図5】一実施形態による、導波構造を形成するための方法の工程を概略的に示すフロー図である。
図6A】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図6B】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図6C】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図6D】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
図6E】一実施形態による、製造中の導波器の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0015] 理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると、想定される。
【0011】
[0016] 本明細書に記載の実施形態は、基板から導波構造を製造するための方法に関する。導波構造は、基板から形成される、入力カップリング領域、導波領域、及び出力カップリング領域を有するように形成される。この領域は、基板の表面に形成されたハードマスク上に配置されたレジストにスタンプを刻印して凸型導波パターンを形成することによって形成される。凸型導波パターンの一部及びその部分の下に配置されたハードマスクは除去される。基板はマスクされ、エッチングされて、入力カップリング領域および出力カップリング領域に回折格子が形成される。基板から形成された入力カップリング領域、導波領域、及び出力カップリング領域を有する導波構造を形成するため、凸型導波パターンの残留部分及びその残留部分の下に配置されたハードマスクは除去される。一実施形態では、基板は、ガラス材料およびプラスチック材料のうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、基板は、約1.5から約2.5の間の屈折率を有する。
【0012】
[0017] 図1は、導波結合器100の斜視正面図である。後述する導波結合器100は、例示的な導波結合器であることを理解されたい。導波結合器100は、複数の回折格子108によって画定される入力カップリング領域102と、導波領域104と、複数の回折格子110によって画定される出力カップリング領域106とを含む。
【0013】
[0018] 入力カップリング領域102は、マイクロディスプレイから強い光(仮想画像)の入射ビームを受け取る。複数の回折格子108の各回折格子は、入射ビームを各ビームがモードを有する複数のモードに分割する。ゼロ次モード(T0)ビームは、導波結合器100内で屈折して戻されるか、又は失われ、正の1次モード(T1)ビームは、導波結合器100を通って導波領域104から出力カップリング領域106まで内部全反射(TIR)を受け、また、負の1次モード(T1)ビームは、導波結合器100内をT1ビームとは反対の方向に伝播する。T1ビームは、T1ビームが出力カップリング領域106内の複数の回折格子110に接触するまで、導波結合器100を通って内部全反射(TIR)を受ける。T1ビームは、複数の回折格子110の格子に接触し、そこでT1ビームは、導波結合器100内で屈折して戻されるか又は失われるT0ビームと、T1ビームが複数の回折格子110の別の格子に接触するまで出力カップリング領域106内でTIRを受けるT1ビームと、導波結合器100からカップリングされるT1ビームとに分割される。
【0014】
[0019] 図2は、導波構造を形成する方法200の工程を示すフロー図である。一実施形態では、導波構造300は、導波結合器100の入力カップリング領域102、導波領域104、及び出力カップリング領域106のうちの少なくとも1つに対応する。工程201では、凹型導波パターンを有するスタンプが、基板の一部の表面に形成されたハードマスク上に配置されたレジストに刻印され、凸型導波パターンが形成される。凸型導波パターンは、パターンを含む。パターンは、入力カップリング部、導波器部、及び出力カップリング部のうちの少なくとも1つを含み、その結果、導波器結合器100の入力カップリング領域102、導波領域104、及び出力カップリング領域106のうちの少なくとも1つが形成される。パターンは、残留層及び上部パターン面を含む複数の回折格子パターンを含む。一実施形態では、パターンは、複数の回折格子パターン及び導波パターンを含む。
【0015】
[0020] 工程202では、凸型導波パターンを硬化するため、硬化処理が実行される。工程203では、スタンプがレジストから取り外される。工程204では、残留層及び残留層の下に配置されたハードマスクは、基板の一部の表面を曝露するために、第1のエッチング処理を実行することによって除去される。工程205では、基板の表面の第1の非保護領域を曝露するため、基板はマスクされる。工程206では、第1の所定の時間だけ第2のエッチング処理を実行することによって、第1の深度を有する第1の複数の回折格子が形成される。一実施形態では、第1の複数の回折格子は、入力カップリング領域102の複数の回折格子108及び出力カップリング領域106の複数の回折格子110のうちの少なくとも1つの第1の部分である。別の実施形態では、第1の複数の回折格子は、入力カップリング領域102の複数の回折格子108及び出力カップリング領域106の複数の回折格子110のうちの少なくとも1つである。
【0016】
[0021] 工程207では、基板の表面の第2の非保護領域を曝露するため、基板はマスクされる。工程208では、第2の所定の時間だけ第2のエッチング処理を実行することによって、第2の深度を有する第2の複数の回折格子が形成される。一実施形態では、第2の複数の回折格子は、入力カップリング領域102の複数の回折格子108及び出力カップリング領域106の複数の回折格子110のうちの少なくとも1つの第2の部分である。別の実施形態では、第2の複数の回折格子は、入力カップリング領域102の複数の回折格子108及び出力カップリング領域106の複数の回折格子110のうちの少なくとも1つである。工程209では、上部パターン面、導波パターン、並びに上部パターン面及び導波パターンの下に配置されたハードマスクが除去されて、導波構造が形成される。導波構造は、導波結合器100の入力カップリング領域102、導波領域104、及び出力カップリング領域106のうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
[0022] 図3A図3Eを参照し、導波構造300の製造に関して、スタンプの刻印、硬化処理の実施、スタンプの取り外し、第1のエッチング処理の実施、第2のエッチング処理の実施、並びに上部パターン面、導波パターン、及びハードマスクの除去をさらに詳細に説明する。
【0018】
[0023] 図3Aに示したように、凸型導波パターン313を形成するため、スタンプ326は、基板301の一部330の表面302上に形成されたハードマスク303上に配置されたレジスト325に刻印される。スタンプ326は、逆パターン331を含む凹型導波パターン312を有する。逆パターン331は、入力カップリング部314、逆導波器部316、及び逆出力カップリング部318のうちの少なくとも1つを含む。スタンプ326は、マスタパターンを有する導波器マスタから製造される。一実施形態では、マスタパターンは、マスタ入力カップリング部、マスタ導波器部、およびマスタ出力カップリング部のうちの少なくとも1つを含む。スタンプ326は、導波器マスタから成形される。
【0019】
[0024] スタンプ326は、溶融シリカ又はポリジメチルシロキサン(PDMS)などの半透明材料を含み、工程202では、赤外線(IR)放射又は紫外線(UV)放射などの放射に曝露することによって凸型導波パターン313を硬化させることができる。一実施形態では、レジスト325は、PDMSを含むスタンプ326によってナノ刻印可能なUV硬化性材料(Micro Resist Technology社から入手可能なmrN210など)を含む。凸型導波パターン313は代替的に、工程202で熱硬化されてもよい。一実施形態では、基板301の表面302は、UVオゾン処理、酸素(O)プラズマ処理、又はプライマー(Micro Resist Technology社から入手可能なmrAPS1など)の適用によって、UV硬化性材料のスピンコーティングのために準備される。別の実施形態では、レジスト325は、溶媒蒸発硬化処理によって硬化されうる熱硬化性材料を含む。溶媒蒸発硬化処理は、熱加熱または赤外線照射加熱を含みうる。レジスト325は、液体材料注入キャスティング処理、スピンオンコーティング処理、液体スプレーコーティング処理、ドライパウダーコーティング処理、スクリーン印刷処理、ドクターブレーディング処理、物理気相堆積(PVD)処理、化学気相堆積(CVD)処理、流動性CVD (FCVD)処理、または原子層堆積(ALD)処理を使用して、表面302上に配置することができる。
【0020】
[0025] 凸型導波パターン313は、パターン322を含む。パターン322は、入力カップリング部315、導波器部317、及び出力カップリング部319のうちの少なくとも1つを含む。パターン322は、第1の複数の回折格子パターン305、導波パターン333、及び第2の複数の回折格子パターン327のうちの少なくとも1つを含む。第1の複数の回折格子パターン305及び第2の複数の回折格子パターン327の各々は、しばしば底部パターン面と称される残留層311と、基板301の表面302に平行な上部パターン面307と、基板301の表面302に垂直に配向された側壁パターン面309とを有する。
【0021】
[0026] 図3Bは、スタンプ323が工程203で取り外された後の概略的な断面図を示す。一実施形態では、スタンプ326は、フッ素コーティングなどの粘着防止表面処理コーティングを単層でコーティングすることができるので、スタンプ326は、工作機械によって、又は手で剥離することによって機械的に除去することができる。別の実施形態では、スタンプ326を水に溶かして除去するように、スタンプ326は水溶性のポリビニルアルコール(PVA)材料で構成されてもよい。さらに別の実施形態では、スタンプ326は、機械的強度を高めるため、ガラスシートなどの硬い裏打ちシートを含む。
【0022】
[0027] 図3Cは、残留層311の下に配置された残留層311及びハードマスク303を除去し、工程204で基板301の表面302を曝露する、第1のエッチング処理後の概略的な断面図である。残留層311は、酸素ガス(O)含有プラズマ、フッ素ガス(F)含有プラズマ、塩素ガス(Cl)含有プラズマ、及び/又はメタン(CH)含有プラズマを使用して、プラズマ灰化(しばしばプラズマデスカム処理と称される)によって除去することができる。一実施形態では、残留層311が除去されるまで、第1の高周波(RF)電力がO及びアルゴン(Ar)又は窒素(N)などの不活性ガスに印加される。残留層311の下に配置されたハードマスク303は、イオンエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、又は高選択性湿式化学エッチングによって除去されうる。例えば、ハードマスク303は、第1の材料を含む第1の層と、第2の材料を含む第2の層とを有してよく、第2の層は、基板301の表面302上に配置された第1の層上に形成される。第2の層は、第1の材料及び基板301の材料に対する第2の材料の高いエッチング選択性を利用することによって除去されうる。第1の層は、基板301の材料に対する第1の材料の高いエッチング選択性を利用することによって除去されうる。一実施形態では、ハードマスク303は、炭素含有層(Brewer Science社から入手可能なOptiStack(登録商標)SOC110Dなど)上に配置されたシリコン含有層(Brewer Scienceから入手可能なOptiStack(登録商標)HM825302.6など)を含む。残留層311の下に配置されたシリコン含有層は、F2含有プラズマを用いたRIEによって除去され、残留層311の下に配置された炭素含有層は、O含有プラズマを用いたRIEによって除去される。別の実施形態では、ハードマスク303は、二酸化ケイ素(SiO)含有層上に配置されたクロム含有層を含む。残留層311の下に配置されたクロム含有層は、BClなどのCl含有プラズマを使用するRIEによって除去され、二酸化ケイ素含有層は、F含有プラズマ又はCH含有プラズマを使用するRIEによって除去される。
【0023】
[0028] 図3Dは、工程205~208後の概略断面図である。工程205~208では、基板301の表面302の第1の非保護領域を曝露するため、基板301がマスクされた後、第2のエッチング処理が第1の所定の時間だけ実行され、基板301の表面302の第2の非保護領域を曝露するため、基板301がマスクされた後、第2のエッチング処理が第2の所定の時間だけ実行される。一実施形態では、チャンバに取り付けられたエッチング終点検出システムが使用される。基板301をマスキングすることは、シャドウマスクを基板301の表面302と物理的に接触させて配置すること、又はフォトマスクを基板301上に位置合わせして第1の非保護領域を露光することを含みうる。一実施形態では、シャドウマスクは金属であり、反復使用することができる。
【0024】
[0029] 一実施形態では、第1の非保護領域は、第1の領域に対応し、第2の非保護領域は、結果として生じる導波構造300の第2の領域に対応する。別の実施形態では、第1の非保護領域は、第1の領域及び第2の領域に対応し、第2の非保護領域は、第2の領域に対応する。一実施形態では、図示のように、第1の領域は入力カップリング領域102であり、第2の領域は出力カップリング領域106である。図示されていない別の実施形態では、第1の領域及び第2の領域は、入力カップリング領域102又は出力カップリング領域106の領域である。第2のエッチング処理は、第1の深度321を有する第1の複数の回折格子304を形成するために、イオン注入、イオンエッチング、RIE、有向リボンビームイオンエッチング(directed ribbon-beam ion etching)などの方向性RIE、マイクロブラスティング、ウォータージェット切断、及びレーザエッチングなどのエッチング処理を、第1の所定の時間だけ含みうる。イオン注入装置の一例は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能なVarian VIISTA(登録商標)Tridentである。イオンエッチングは、イオンエッチング速度を改善するために、エッチングガスの存在下であってもよい。
【0025】
[0030] 第1の複数の回折格子304は、基板301の表面302に対応する上面306と底面328と、基板301の表面302に垂直に配向された側壁面308とをさらに含む。第2の非保護領域を曝露するために、シャドウマスクは再配置されてもよく、或いはフォトマスクは再調整されてもよい。第2の所定の時間だけ第2のエッチング処理を行うことで、第2の深度323を有する第2の複数の回折格子310を形成する。第2の複数の回折格子310は、上面306と、底面328と、側壁面308とをさらに含む。
【0026】
[0031] 図3Eは、工程209後に形成された導波構造300の概略断面図である。導波結合器100の入力カップリング領域102、導波領域104、及び出力カップリング領域106のうちの少なくとも1つを含む導波構造300を形成するため、工程209では、上部パターン面307と、導波パターン333とが、工程207では、上部パターン面307及び導波パターン333の下に配置されたハードマスク303が除去される。上部パターン面307及び導波パターン333は、O含有プラズマ、F含有プラズマ、Cl含有プラズマ、及び/又はCH含有プラズマを使用するプラズマ灰化によって除去されうる。一実施形態では、上部パターン面307及び導波パターン333が除去されるまで、O及びアルゴン(Ar)又は窒素(N)などの不活性ガスに第2の高周波(RF)電力が印加される。上部パターン面307及び導波パターン333の下に配置されたハードマスク303は、イオンエッチング、RIE、又は高選択性湿式化学エッチングによって除去されうる。一実施形態では、ハードマスク303は、炭素含有層上に配置されたシリコン含有層を含む。シリコン含有層はF含有プラズマを用いたRIEにより除去され、炭素含有層はO含有プラズマを用いたRIEにより除去される。別の実施形態では、ハードマスク303は、SiO含有層上に配置されたクロム含有層を含む。クロム含有層は、Cl含有プラズマを用いたRIEによって除去され、二酸化ケイ素含有層は、F含有プラズマ又はCH含有プラズマを使用するRIEによって除去される。別の実施形態では、ハードマスク303は除去されず、ハードマスク303は、約1.5~約2.5の間の制御された屈折率を有するSiOおよび二酸化チタン(TiO)などの材料を含む。
【0027】
[0032] 方法200から生じる導波構造300は、実質的に均一な屈折率を有する。空気の屈折率(1.0)と比較して、約1.5から約2.5までの屈折率を有する材料を基板301に利用することにより、内部全反射、又は少なくともその高次の反射が達成され、導波構造300を通る光の伝播が容易になる。
【0028】
[0033] 図4A図4Eを参照し、導波構造400の作製に関して、スタンプの刻印、硬化処理の実施、スタンプの取り外し、第1のエッチング処理の実施、第2のエッチング処理の実施、及び上部パターン面、導波パターン、及びハードマスクの除去をさらに詳細に説明する。
【0029】
[0034] 工程201では、凸型導波パターン413を形成するため、スタンプ426は、基板401の部分430の表面402上に形成されたハードマスク403の上に配置されたレジスト425に刻印される。図4Aに示したように、スタンプ426は、逆パターン431を含む凹型導波パターン412を有する。逆パターン431は、逆入力カップリング部414、逆導波器部416、及び逆出力カップリング部418のうちの少なくとも1つを含む。工程202では、凸型導波パターン413が硬化される。
【0030】
[0035] 凸型導波パターン413は、パターン422を含む。パターン422は、入力カップリング部415、導波器部417、及び出力カップリング部419のうちの少なくとも1つを含む。パターン422は、第1の複数の回折格子パターン405、導波パターン433、及び第2の複数の回折格子パターン427のうちの少なくとも1つを含む。第1の複数の回折格子パターン405及び第2の複数の回折格子パターン427の各々は、しばしば底部パターン面と称される残留層411と、基板401の表面402に平行な上部パターン面407と、基板401の表面402に対してある量だけ傾斜した側壁パターン面409とを有する。
【0031】
[0036] 工程203では、スタンプ426はレジスト425から取り外される。工程204では、残留層411及び残留層411の下に配置されたハードマスク403は、基板401の表面402を曝露するために第1のエッチング処理を実行することによって除去される。
【0032】
[0037] 工程205では、基板401の表面402の第1の非保護領域を曝露するために、基板401はマスクされる。基板401をマスクすることは、シャドウマスクを基板401の表面402と物理的に接触させて配置すること、又はフォトマスクを基板401上に位置合わせして第1の非保護領域を曝露することを含みうる。一実施形態では、第1の非保護領域は、第1の領域に対応し、第2の非保護領域は、結果として生じる導波構造400の第2の領域に対応する。別の実施形態では、第1の非保護領域は、第1の領域及び第2の領域に対応し、第2の非保護領域は、第2の領域に対応する。一実施形態では、図示のように、第1の領域は入力カップリング領域102であり、第2の領域は出力カップリング領域106である。図示されていない別の実施形態では、第1の領域及び第2の領域は、入力カップリング領域102又は出力カップリング領域106の領域である。工程206では、第1の所定時間だけ第1の所定の角度で第2のエッチング処理を実行することによって、第1の深度421および側壁面408が基板401の表面402に対してある量だけ傾斜した第1の複数の回折格子404が形成される。所定の角度は、導波構造400の光結合効率を最大にするために、コンピュータシミュレーションによって決定されてもよく、所定の角度は、約15度から約75度の範囲内であってもよい。第1の複数の回折格子404はさらに、表面に平行な上面406と、表面302に対応する底面328とを含む。
【0033】
[0038] 所定の角度でのエッチングは、角度付きイオン注入、角度付きイオンエッチング、及び指向性リボンビームイオンエッチングなどの指向性RIEなどのエッチング処理を含みうる。角度付きイオン注入は、基板401の表面402に対して所定の角度で基板401の表面402に向かってイオンを加速すること、所定の角度で基板401にイオンを衝突させて、材料を選択的に除去して第1の複数の回折格子404を形成することを含む。一実施形態では、イオン発生源の近くにエッチングガスを導入すると、イオンエッチング速度が向上する。角度付きイオン注入装置の一例は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能なVarian VIISTA(登録商標)Tridentである。
【0034】
[0039] 工程207では、基板401の表面402の第2の非保護領域を曝露するため、基板401はマスクされる。第2の非保護領域を曝露するために、シャドウマスクは再配置されてもよく、或いはフォトマスクは再調整されてもよい。工程208では、第2の所定の時間だけ所定の角度でエッチングすることによって、第2の深度423を有する第2の複数の角度付き回折格子410が形成される。第2の複数の角度付き回折格子410は、基板401の表面402に対してある量だけ傾斜した上面406と底面428と側壁面408とをさらに含む。
【0035】
[0040] 工程209では、入力カップリング領域102、導波領域104、及び出力カップリング領域106を有する導波構造400を形成するため、上部パターン面407、導波パターン433、並びに上部パターン面407及び導波パターン433の下に配置されたハードマスク403が除去される。上部パターン面407及び導波パターン433は、導波結合器100の入力カップリング領域102、導波領域104、及び出力カップリング領域106のうちの少なくとも1つを含む導波構造400を形成するために除去されうる。別の実施形態では、ハードマスク403は除去されず、ハードマスク403は、約1.5から約2.5の間の制御された屈折率を有する材料を含む。方法200から得られる導波構造400は、実質的に均一な屈折率を有する。
【0036】
[0041] 図5は、図6A図6Eに示されたように、導波構造600を形成するための方法500の工程を示すフロー図である。一実施形態では、導波構造600は、導波結合器100の入力カップリング領域102、導波領域104、及び出力カップリング領域106のうちの少なくとも1つに対応する。工程501では、凸型導波パターン613を形成するため、基板601の一部630の表面602上に形成されたハードマスク603上に配置されたレジスト625に、スタンプ626が刻印される。図6Aに示したように、スタンプ626は、逆パターン631である凹型導波パターン612を有する。逆パターン631は、逆入力カップリング部614、逆導波器部616、及び逆出力カップリング部618のうちの少なくとも1つを含む。
【0037】
[0042] 凸型導波パターン613は、パターン622を含む。パターン622は、入力カップリング部615、導波器部617、及び出力カップリング部619のうちの少なくとも1つを含む。パターン622は、第1の複数の回折格子パターン605、導波パターン633、及び第2の複数の回折格子パターン627のうちの少なくとも1つを含む。第1の複数の回折格子パターン605及び第2の複数の回折格子パターン627の各々は、しばしば底部パターン面と称される残留層611と、基板601の表面602に平行な上部パターン面607と、基板601の表面602に対してある量だけ傾斜した側壁パターン面609とを有する。
【0038】
[0043] 工程502では、凸型導波パターン613は、赤外線(IR)放射および紫外線(UV)放射などの電磁放射への曝露によって硬化される。工程503では、スタンプ626はレジスト625から取り外される。工程504では、残留層611が除去されるまで、残留層611がプラズマ灰化によって除去される。工程505では、残留層611の下に配置されたハードマスク603は、イオンエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、及び高選択性湿式化学エッチングによって除去される。
【0039】
[0044] 工程506では、基板601の表面602の第1の非保護領域を曝露するために、基板601はマスクされる。基板601をマスクすることは、シャドウマスクを基板601の表面602と物理的に接触させて配置すること、又はフォトマスクを基板601上に位置合わせして第1の非保護領域を曝露することを含みうる。一実施形態では、第1の非保護領域は第1の領域に対応し、第2の非保護領域は第2の領域に対応し、第3の非保護領域は結果として生じる導波構造600の第3の領域に対応する。別の実施形態では、第1の非保護領域は、第1の領域、第2の領域、及び第3の領域に対応し、第2の非保護領域は、第2の領域及び第3の領域に対応し、第3の非保護領域は、第3の領域に対応する。一実施形態では、図示のように、第1の領域は入力カップリング領域102であり、第2の領域及び第3の領域は出力カップリング領域106である。図示していない別の実施形態では、第1の領域、第2の領域、及び第3の領域は、入力カップリング領域102又は出力カップリング領域106の領域である。
【0040】
[0045] 工程507では、一実施形態では、第1の深度621を有する第1の複数の回折格子604が、第1の所定の時間だけ、所定の角度で方向性反応性イオンエッチング(RIE)によって、第1のエッチング深度まで形成される。第1の複数の回折格子604はさらに、基板601の表面602に平行な上面606と、基板601の表面602に対応する底面628と、基板601の表面602に対してある量だけ傾斜した側壁面608とを含む。
【0041】
[0046] 工程508では、基板601の表面602の第2の非保護領域を曝露するため、基板601はマスクされる。第2の非保護領域を曝露するために、シャドウマスクは再配置されてもよく、或いはフォトマスクは再調整されてもよい。一実施形態では、第2の非保護領域は、出力カップリング領域106の第1の部分634に対応する。別の実施形態では、第2の非保護部分は、出力カップリング領域106の第1の部分634及び第2の部分635に対応する。一実施形態では、工程509で、第1の部分634内に第2の深度623を有する第2の複数の角度付き回折格子610が、方向性RIEによって第2の所定の時間に所定の角度で形成される。第2の複数の角度付き回折格子610は、基板601の表面602に対してある量だけ傾斜した上面606、下面628、及び側壁面608をさらに含む。
【0042】
[0047] 工程510では、基板601の表面602の第3の非保護領域を曝露するため、基板601はマスクされる。シャドウマスクは、第3の非保護領域を曝露するために、再配置されてよく、或いはフォトマスクは、再調整されてもよい。一実施形態では、第3の非保護領域は、出力カップリング領域106の第2の部分635に対応する。工程511では、第3の所定の時間に、第3の深度629を有する第3の複数の角度付き回折格子632が、方向性RIEによって所定の角度で形成される。第3の複数の角度付き回折格子632はさらに、基板601の表面602に平行な上面606及び底面628と、基板601の表面602に対してある量だけ傾斜した側壁面608とを含む。
【0043】
[0048] 工程512では、上部パターン面607、導波パターン633、並びに上部パターン面607及び導波パターン633の下に配置されたハードマスク603は、プラズマ灰化によって除去される。工程513では、上部パターン面607及び導波パターン633の下に配置されたハードマスク603は、イオンエッチング、RIE、又は高選択性湿式化学エッチングによって除去され、入力カップリング領域102、導波領域104、及び出力カップリング領域106を有する導波構造600を形成する。別の実施形態では、ハードマスク603は除去されず、ハードマスク603は、約1.5から約2.5の間の制御された屈折率を有する材料を含む。方法500から得られる導波構造600は、実質的に均一な屈折率を有する。
【0044】
[0049] 要約すると、基板を利用して導波構造を製造する方法が本明細書に記載されている。基板の利用は、実質的に均一な屈折率を有する入力カップリング領域、導波領域、及び出力カップリング領域を有する導波構造をもたらす。空気の屈折率(1.0)と比較して、約1.5~約2.5の間の屈折率を有する材料を基板に利用することにより、内部全反射、又は少なくともその高次の反射が達成され、拡張された構造を通る光伝播が容易になる。
【0045】
[0050] 上記は、本開示の実施例を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施例及びさらなる実施例が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E