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特許7179425ウニピューレ及びポテトグラニュールスを使用したウニ含有ソース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】ウニピューレ及びポテトグラニュールスを使用したウニ含有ソース
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20221121BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20221121BHJP
【FI】
A23L23/00
A23L17/00 H
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019123301
(22)【出願日】2019-07-02
(65)【公開番号】P2021007349
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100130661
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 義嗣
(72)【発明者】
【氏名】小川 紀子
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107853555(CN,A)
【文献】特開2018-046801(JP,A)
【文献】特開2015-039346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 23/00
A23L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウニピューレを使用したウニ含有ソースであって、ウニピューレ100質量部に対してポテトグラニュールスを20質量部以上40質量部以下使用することを特徴とするウニ含有ソース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウニピューレ及びポテトグラニュールスを使用したウニ含有ソースに関する。
【背景技術】
【0002】
ウニをソースに使用する例としては、ウニの風味とコクを引き立たせるため、ウニ、卵黄、及び食用油脂を含有し、pHが5以上7.5以下であるウニ含有水中油型乳化ソースにおいて、コハク酸塩を配合し、ソース全量に対して食用油脂を25%以上75%以下配合し、卵黄固形分1部に対する食用油脂の割合が1.25部以上300 部以下であり、25℃ における粘度が1Pa・s以上100Pa・s以下である、ウニ含有水中油型乳化ソースが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、レトルト殺菌されてもぼそぼそとした食感になることはなく、口当たりが滑らかな食感を有し、さらにウニの風味や食感が強く感じられることを目的として、ウニと水とを含有し、レトルト殺菌されたウニ含有ソースにおいて、ソース全量に対してウニを40質量%以上含有し、所定の条件で3回測定した場合のソースの流れた距離の平均が20.0cm以上であることを特徴とするウニ含有ソースが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-39346号公報
【文献】特開2018-46801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウニ含有ソースに使用するウニは、ウニの漁獲量の減少等で一般に高価であり、ウニの使用量を減らした場合でも風味や食感を補う方法が求められている。
従って、本発明の目的は、ウニ含有ソースに使用するウニピューレの使用量を減らした場合でも食感の低下が抑えられたウニ含有ソースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ウニ含有ソースに使用するウニピューレに対して特定量のポテトグラニュールスを使用することによりウニ含有ソースに使用するウニピューレの使用量を減らした場合でも食感の低下が抑えられたウニ含有ソースを得ることができることを見出し本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、ウニピューレを使用したウニ含有ソースであって、ウニピューレ100質量部に対してポテトグラニュールスを20質量部以上40質量部以下使用することを特徴とするウニ含有ソースである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のウニ含有ソースはウニピューレの使用量を減らした場合でも食感の低下が抑えられている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するウニピューレとは、アカウニ、ムラサキウニ、バフンウニ等の食用ウニの生殖腺(精巣や卵巣)をピューレ状に加工して加熱殺菌したもので、様々なメーカーから市販されている。
本発明で使用するウニピューレは、ウニ由来の原料が100質量%であるウニピューレの他、必要に応じて、塩、調味料、色素等を5質量程度まで含むウニピューレも使用できる。
本発明のウニ含有ソースは、冷凍・解凍したウニピューレも使用できる。
【0008】
本発明で使用するポテトグラニュールスとは、乾燥ポテトのうち顆粒状のものをいい、様々なメーカーから市販されている。
なお、乾燥ポテトには、様々な形状があり、例えば、フレークス状、粉状等が挙げられる。
【0009】
一般にウニ含有ソースには、ウニピューレが約5質量%~10質量%使用されている。
ウニピューレの配合量が少なくなるに従って、ウニピューレによる風味や食感がなくなっていき水っぽい食感になるため配合量の下限は5質量%程度になっている。
また、ウニピューレの配合量は多ければ多いほど、ウニの風味や食感が増すが、ウニは一般に高価であり、10質量%程度の使用に抑えられている。
ウニピューレの配合量を減らした場合、風味の減少に関しては香料で補うことができるが、食感の低下(水っぽくなる)を補うことができなかった。
本発明のウニ含有ソースは、ウニピューレ100質量部に対してポテトグラニュールスを20質量部以上40質量部以下使用することで食感の低下(水っぽくなる)を補うことができ、ウニピューレの配合量を5質量%~10質量%に対して3.5質量%~7.0質量%まで減らしても、同様の食感を得ることができる。
ウニピューレ100質量部に対してポテトグラニュールスの使用量が20質量部未満では、十分な効果を得ることができず、40質量部を超えるとポテトの風味が強くなるため好ましくない。
なお、本発明は、ウニピューレの配合量を減らした場合に食感の低下(水っぽくなる)を補うことができるが、ウニピューレの代替えではないので、ウニピューレの使用量は一定程度、必要である。
また、ウニピューレの配合量を減らした場合の風味は従来通り香料で補うことができる。
【0010】
本発明のウニ含有ソースは、ポテトグラニュールスを従来のウニ含有ソースの原料として使用する以外は、従来のウニ含有ソースと同様にして製造することができる。
ポテトグラニュールスは、従来のウニ含有ソースの原料として使用されている油脂、澱粉、調味料等と同時に配合すればよく、特別な配合方法は不要である。
例えば、澱粉、油脂、調味料、香料、水等をニーダーに投入し加熱して製造することができ、使用状態も、従来のウニ含有ソースと同様でよい。
得られたウニ含有ソースは、そのまま、又は、冷却して、又は冷凍後解凍して使用することができる。
【0011】
本発明のウニ含有ソースの用途は従来のウニ含有ソースと同様でよく、例えば、パスタソース、ピザ等のトッピング、ドレッシング、グラタンソース、スープ、ごはんのトッピングとして使用できる。
【実施例
【0012】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1~4、比較例1~3]
ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉1.0質量部、サラダオイル10.0質量部、調味料12.0質量部(食塩2.5質量部、グルタミン酸ナトリウム2.0質量部、魚介エキス2.0質量部、砂糖4.0質量部、醸造酢1.5質量部)及び表1に示す原料を表1に示す配合量でニーダーに投入し、全体が100質量部になるように水を加え、85℃達温まで加熱してウニソースを製造した。
これを冷却後、急速凍結した。
2週間後、レンジ解凍して以下の評価基準で10名のパネラーにより評価を行った。
・食感
5点 粒感があり非常に良い
4点 やや粒感が感じられ良い
3点 普通
2点 やや水っぽく粒感があまり感じられず悪い
1点 水っぽく粒感が感じられず非常に悪い
【0013】
得られた評価結果を表1に示す。
表中、評価は点数を付けた人数と平均点を示している。
実施例及び比較例とも、ポテトの風味は許容範囲内であった。
食感はウニピューレの配合量が5質量部のものをコントロール(3.0点)として、これよりも劣るものを不合格とした。
【0014】
【表1】