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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/539 20060101AFI20221121BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20221121BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
A61F13/539
A61F13/49 312Z
A61F13/49 413
A61F13/496 100
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017253885
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019118472
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 純子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 悦子
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/212886(WO,A1)
【文献】特開平4-22359(JP,A)
【文献】国際公開第2011/043373(WO,A1)
【文献】特開2013-255679(JP,A)
【文献】特開2012-61138(JP,A)
【文献】特開2013-13580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と、
前記前後方向に直交する幅方向と、
前胴回り域と、
後胴回り域と、
前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、
前記股下域、前記前胴回り域及び前記後胴回り域に跨がって配置された吸収性本体と、
前記吸収性本体の非肌面側において、少なくとも前記前胴回り域及び前記後胴回り域に配置された外装体と、を有する吸収性物品であって、
前記後胴回り域の前端部には、前記吸収性本体の外側部と前記外装体が接合されていない後非接合領域が設けられ、
前記前胴回り域の後端部には、前記吸収性本体の外側部と前記外装体が接合された前接合領域が設けられており、
前記後非接合領域よりも前記幅方向の内側には、前記吸収性本体と前記後胴回り域の前記外装体が接合された第1後接合領域が設けられており、
前記前接合領域の外側縁は、前記後非接合領域と前記第1後接合領域の境界よりも前記幅方向の外側かつ前記後非接合領域の外側縁よりも前記幅方向の内側に位置し、
前記後非接合領域は、前記後胴回り域の前端縁から後方に向かって延びており、
前記後非接合領域の前記前後方向の長さは、5mm以上20mm以下である、吸収性物品。
【請求項2】
前後方向と、
前記前後方向に直交する幅方向と、
前胴回り域と、
後胴回り域と、
前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、
前記股下域、前記前胴回り域及び前記後胴回り域に跨がって配置された吸収性本体と、
前記吸収性本体の非肌面側において、少なくとも前記前胴回り域及び前記後胴回り域に配置された外装体と、を有する吸収性物品であって、
前記後胴回り域の前端部には、前記吸収性本体の外側部と前記外装体が接合されていない後非接合領域が設けられ、
前記前胴回り域の後端部には、前記吸収性本体の外側部と前記外装体が接合された前接合領域が設けられており、
前記後非接合領域よりも前記幅方向の内側には、前記吸収性本体と前記後胴回り域の前記外装体が接合された第1後接合領域が設けられており、
前記前接合領域の外側縁は、前記後非接合領域と前記第1後接合領域の境界よりも前記幅方向の外側かつ前記後非接合領域の外側縁よりも前記幅方向の内側に位置し、
前記吸収性物品は、前記前胴回り域の外側部と前記後胴回り域の外側部を接合するサイド接合部を更に備えており、
前記後非接合領域の前記前後方向の範囲は、前記サイド接合部の前記股下域側の端縁から後方に向かって前記サイド接合部の前後方向全域に対する30%までの範囲である、吸収性物品。
【請求項3】
前後方向と、
前記前後方向に直交する幅方向と、
前胴回り域と、
後胴回り域と、
前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、
前記股下域、前記前胴回り域及び前記後胴回り域に跨がって配置された吸収性本体と、
前記吸収性本体の非肌面側において、少なくとも前記前胴回り域及び前記後胴回り域に配置された外装体と、を有する吸収性物品であって、
前記後胴回り域の前端部には、前記吸収性本体の外側部と前記外装体が接合されていない後非接合領域が設けられ、
前記前胴回り域の後端部には、前記吸収性本体の外側部と前記外装体が接合された前接合領域が設けられており、
前記後非接合領域よりも前記幅方向の内側には、前記吸収性本体と前記後胴回り域の前記外装体が接合された第1後接合領域が設けられており、
前記前接合領域の外側縁は、前記後非接合領域と前記第1後接合領域の境界よりも前記幅方向の外側かつ前記後非接合領域の外側縁よりも前記幅方向の内側に位置し、
前記吸収性本体は、吸収コアを有しており、
前記後非接合領域と前記第1後接合領域の境界は、前記吸収コアの外側縁よりも前記幅方向の外側に位置している、吸収性物品。
【請求項4】
前記後非接合領域には、前記幅方向に伸縮可能な第1幅弾性部材が配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記後非接合領域よりも後側には、前記吸収性本体と前記外装体が接合された第2後接合領域が設けられている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記後胴回り域の前記外装体は、前記幅方向に伸縮可能であり、
前記第2後接合領域の前記幅方向の長さは、前記後非接合領域の前記幅方向の長さよりも長い、請求項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記後胴回り域の前記外装体は、前記幅方向に伸縮可能であり、
前記吸収性本体は、前記吸収性本体の外側部に配置され、かつ前記前後方向に伸縮可能な前後弾性部材を有し、
前記前後弾性部材の有効長部分は、前記第2後接合領域に厚さ方向に重なっている、請求項5又は請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記前後弾性部材の有効長部分と前記第2後接合領域が重なった領域には、前記幅方向に伸縮可能な第2幅弾性部材が配置されている、請求項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記前胴回り域の前記外装体は、前記幅方向に伸縮可能であり、
前記吸収性本体は、前記吸収性本体の外側部に配置され、かつ前記前後方向に伸縮可能な前後弾性部材を有し、
前記前後弾性部材の有効長部分は、前記前接合領域に厚さ方向に重なっている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記前後弾性部材の有効長部分と前記前接合領域が重なった領域には、前記幅方向に伸縮可能な第3幅弾性部材が配置されている、請求項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記後胴回り域の前端縁における前記吸収性本体の前記幅方向の長さは、前記前胴回り域の後端縁における前記吸収性本体の前記幅方向の長さよりも長い、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記吸収性物品は、前記前胴回り域の外側部と前記後胴回り域の外側部を接合するサイド接合部を更に備えており、
前記後胴回り域には、前記サイド接合部よりも前記股下域側に延出した臀部カバーが設けられている、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された使い捨ておむつは、前胴回り域及び後胴回り域に配置された外装体と、外装体の肌面側に配置され、かつ前胴回り域、後胴回り域及び股下域に跨がって配置された吸収体と、を有する。吸収体と外装体は、接合領域において互いに接合されている。接合領域は、吸収体の前後方向の外端部において吸収体の幅方向全域に亘って設けられた第1接合領域と、第1接合領域よりも股下域側に配置された第2接合領域と、を有する。第2接合領域は、吸収体の幅方向全域に設けられていない。第2接合領域よりも幅方向の外側には、吸収体と外装体が接合されていない非接合領域が設けられている。非接合領域は、前胴回り域の後端部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-194161号公報
【発明の概要】
【0004】
一般的に、着用者の脚によって挟まれる位置は、吸収性物品の前後方向中心よりも前側に偏倚している。そのため、前胴回り域の後端部は、脚によって挟まれ易い。特許文献1に記載された吸収性物品では、前胴回り域の後端部に非接合領域が設けられているため、脚によって挟まれた際に吸収体が幅方向の内側に変形するおそれがある。これにより、吸収体の幅が短くなり、前胴回り域側における吸収面積を確保し難く、漏れが発生するおそれがあった。
【0005】
そこで、前胴回り域における吸収面積を確保し、漏れを抑制できる吸収性物品が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、前胴回り域と、後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、前記股下域、前記前胴回り域及び前記後胴回り域に跨がって配置された吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌面側において、少なくとも前記前胴回り域及び前記後胴回り域に配置された外装体と、を有する吸収性物品であって、前記後胴回り域の前端部には、前記吸収性本体の外側部と前記外装体が接合されていない後非接合領域が設けられ、前記前胴回り域の後端部には、前記吸収性本体の外側部と前記外装体が接合された前接合領域が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
図2図1に示す吸収性物品のA-A断面に沿った断面図である。
図3図1に示す吸収性物品のB-B断面に沿った断面図である。
図4】実施形態に係る吸収性物品の装着状態を模式的に示した図である。
図5】実施形態に係る吸収性物品の装着状態を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、前胴回り域と、後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、前記股下域、前記前胴回り域及び前記後胴回り域に跨がって配置された吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌面側において、少なくとも前記前胴回り域及び前記後胴回り域に配置された外装体と、を有する吸収性物品であって、前記後胴回り域の前端部には、前記吸収性本体の外側部と前記外装体が接合されていない後非接合領域が設けられ、前記前胴回り域の後端部には、前記吸収性本体の外側部と前記外装体が接合された前接合領域が設けられている。
【0009】
前胴回り域の後端部では、吸収性本体の外側部と外装体が接合されている。よって、着用時に着用者の脚等によって前胴回り域の後端部に力がかかった際に、前胴回り域の吸収性本体が幅方向に変形し難い。よって、前胴回り域における吸収性本体の幅方向の長さを確保し、前胴回り域側における吸収面積を確保し易い。また、後胴回り域の前端部では、吸収性本体の外側部と外装体が接合されていない。よって、後胴回り域の前端部では外装体が吸収性本体に対して移動可能であり、脚回り開口部が広がるように変形できる。よって、装着時に脚を挿入する際に、脚回り開口部に脚をスムーズに挿入し易い。また、着用時に着用者が脚を動かした際に脚回り開口部が広がるように変形でき、着用者が脚をスムーズに動かすことができる。
【0010】
好ましい一態様によれば、前記後非接合領域には、前記幅方向に伸縮可能な第1幅弾性部材が配置されてよい。
【0011】
本態様によれば、後胴回り域の前端部が、第1幅弾性部材によって幅方向に収縮し、着用者の脚にフィットし易くなる。このとき、後胴回り域の前端部では、脚回り開口部が広がるように変形でき、第1幅弾性部材の収縮によって脚にフィットし過ぎず、装着感の悪化を抑制できる。適度な脚へのフィット性と脚の動き易さを両立できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記後非接合領域は、前記後胴回り域の前端縁から後方に向かって延びており、
前記後非接合領域の前記前後方向の長さは、5mm以上20mm以下であってよい。
【0013】
後胴回り域の前端縁から後方に向かって5mm以上20mm以下の範囲は、脚の挿入時や脚を動かした際に特に脚の動きによって力がかかり易い領域である。当該範囲に非接合領域が設けられているため、着用者は、装着時に脚をスムーズに脚を挿入し易く、着用時に脚をスムーズに動かすことができる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前胴回り域の外側部と前記後胴回り域の外側部を接合するサイド接合部を更に備えており、
前記後非接合領域の前記前後方向の範囲は、前記サイド接合部の前記股下域側の端縁から後方に向かって前記サイド接合部の前後方向全域に対する30%までの範囲であってよい。
【0015】
サイド接合部の前記股下域側の端縁から後方に向かってサイド接合部の前後方向全域に対する30%までの範囲は、脚の挿入時や脚を動かした際に特に脚の動きによって力がかかり易い領域である。当該範囲に非接合領域が設けられているため、着用者は、装着時に脚をスムーズに脚を挿入し易く、着用時に脚をスムーズに動かすことができる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記吸収性本体は、吸収コアを有しており、
前記後非接合領域よりも前記幅方向の内側には、前記吸収性本体と前記外装体が接合された第1後接合領域が設けられており、
前記後非接合領域と前記第1後接合領域の境界は、前記吸収コアの外側縁よりも前記幅方向の外側に位置してよい。
【0017】
装着時に外装体が幅方向の外側に引っ張られると、外装体を介して吸収性本体が幅方向の外側に引っ張られる。このとき、吸収コアの外側縁は、外装体と吸収性本体が接合された第1後接合領域に重なっている。よって、装着時に外装体を幅方向の外側に引っ張った際に、吸収コアの外側縁も幅方向の外側に引っ張ることができる。後胴回り域における吸収コアの幅方向の長さも確保し易くなり、漏れをより抑制できる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記後非接合領域よりも後側には、前記吸収性本体と前記外装体が接合された第2後接合領域が設けられてよい。
【0019】
後非接合領域の後側に設けられた第2後接合領域において外装体と吸収性本体を接合することにより、外装体が吸収性本体に対してめくれたり、吸収性本体が幅方向の内側に倒れたりする不具合を抑制できる。外装体及び吸収性本体を着用者の体に適切に当て、漏れをより抑制できる。
【0020】
好ましい一態様によれば前記後胴回り域の外装体は、前記幅方向に伸縮可能であり、前記第2後接合領域の前記幅方向の長さは、前記後非接合領域の幅方向の長さよりも長くてよい。
【0021】
外装体と吸収性本体が接合された第2後接合領域の幅方向の長さが、外装体と吸収性本体が接合されていない後非接合領域の幅方向の長さよりも長く、外装体の幅方向における収縮を吸収性本体に伝達し易い。よって、装着時に外装体を幅方向の外側に引っ張った際に吸収性本体も幅方向の外側に引っ張ることができる。後胴回り域においても吸収性本体の幅方向の長さを確保し易く、漏れをより抑制できる。
【0022】
好ましい一態様によれば、前記後胴回り域の外装体は、前記幅方向に伸縮可能であり、
前記吸収性本体は、前記吸収性本体の外側部に配置され、かつ前記前後方向に伸縮可能な前後弾性部材を有し、
前記前後弾性部材の有効長部分は、前記第2後接合領域と前記厚さ方向において重なってよい。
【0023】
前後弾性部材は、吸収性本体の外側部に配置され、着用者の脚回りに沿って配置される。前後弾性部材の有効長部分が第2後接合領域と厚さ方向において重なっているため、後胴回り域における外装体の幅方向の収縮と前後弾性部材による前後方向の収縮が連動し易い。前後弾性部材によって収縮する部分が着用者側に立ち上がり易くなり、後胴回り域における排泄物の横漏れを抑制できる。
【0024】
好ましい一態様によれば、前記前後弾性部材の有効長部分と前記第2後接合領域が重なった領域には、前記幅方向に伸縮可能な第2幅弾性部材が配置されてよい。
【0025】
前後弾性部材の有効長部分と第2後接合領域に重なった領域に第2幅弾性部材が配置されているため、第2幅弾性部材による幅方向の収縮と前後弾性部材による前後方向の収縮が連動し易い。前後弾性部材によって収縮する部分が着用者側により立ち上がり易くなり、後胴回り域における排泄物の横漏れをより抑制できる。
【0026】
好ましい一態様によれば、前記前胴回り域の外装体は、前記幅方向に伸縮可能であり、前記吸収性本体は、前記吸収性本体の外側部に配置され、かつ前記前後方向に伸縮可能な前後弾性部材を有し、前記前後弾性部材の有効長部分は、前記前接合領域と厚さ方向において重なってよい。
【0027】
前後弾性部材の有効長部分が前接合領域に重なっているため、前胴回り域における外装体の幅方向の収縮と前後弾性部材による前後方向の収縮が連動し易い。前後弾性部材によって収縮する部分が着用者側に立ち上がり易くなり、前胴回り域における排泄物の横漏れを抑制できる。
【0028】
好ましい一態様によれば、前記前後弾性部材の有効長部分と前記前接合領域が重なった領域には、前記幅方向に伸縮可能な第3幅弾性部材が配置されてよい。
【0029】
本態様によれば、前後弾性部材の有効長部分と前接合領域に重なった領域に第3幅弾性部材が配置されているため、第3幅弾性部材による幅方向の収縮と前後弾性部材による前後方向の収縮が連動し易い。前後弾性部材によって収縮する部分が着用者側により立ち上がり易くなり、排泄物の横漏れをより抑制できる。
【0030】
好ましい一態様によれば、前記後胴回り域の前端縁における前記吸収性本体の前記幅方向の長さは、前記前胴回り域の後端縁における前記吸収性本体の前記幅方向の長さよりも長くてよい。
【0031】
一般的に着用者の臀部の膨らみの頂点どうしの間の距離は、鼠径溝どうしの間の距離よりも広い。後胴回り域における前記吸収性本体の幅方向の長さは、前記前胴回り域における前記吸収性本体の幅方向の長さよりも長いため、着用者の臀部の膨らみを適切に覆い易い。臀部を適切に覆うことにより、横漏れを抑制できる。
【0032】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前記前胴回り域の外側部と前記後胴回り域の外側部を接合するサイド接合部を更に備えており、
前記後胴回り域は、前記サイド接合部よりも前記股下域側に延出した臀部カバーを有してよい。
【0033】
外装体は、後胴回り域の前端部において吸収性本体の外側部に接合されてなく、着用者の脚の動き等によって後側に引き上がってしまうおそれがある。臀部カバーが設けられていることにより、後胴回り域の前端部が後側に引き上がってしまった場合においても臀部を覆い続け、臀部からの横漏れを抑制できる。
【0034】
(2)吸収性物品の全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0035】
吸収性物品は、テープ型であってもよいし、パンツ型であってもよい。吸収性物品は、使い捨ておむつであってもよいし、ショーツ型生理用ナプキンであってよい。第1実施形態の吸収性物品は、パンツ型の使い捨ておむつである。図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の模式平面図である。図1に示す模式平面図は、後述するサイド接合部60を展開した状態において吸収性物品10を皺が形成されない状態まで伸長させた伸長状態を示している。
【0036】
吸収性物品10は、互いに直交する前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、前後方向Lは、展開された吸収性物品10において前後に延びる方向である。また、吸収性物品10は、前後方向Lと幅方向Wの両方の直交する厚さ方向Tを有する。
【0037】
吸収性物品10は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用者の前胴回り(腹部)に対向する領域である。後胴回り域S2は、着用者の後胴回り(背部)に対向する領域である。股下域S3は、着用者の股下に位置し、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域である。
【0038】
本実施形態では、吸収性物品10は、外装体15と、吸収性本体40と、を有していてよい。外装体15は、吸収性本体40の非肌面側において、少なくとも前胴回り域S1及び後胴回り域S2に配置されている。外装体15は、前側外装体20と、後側外装体30と、を有してよい。前側外装体20は、前胴回り域S1に配置されている外装体である。後側外装体30は、前側外装体20と前後方向Lに離間し、かつ後胴回り域S2に配置されている外装体である。
【0039】
前胴回り域S1及び後胴回り域S2では、外装体15が吸収性本体40よりも幅方向Wの外側に延出している。股下域S3では、吸収性本体40が外装体15よりも幅方向Wの外側に延出している。前胴回り域S1の股下域側の境界は、前側外装体20が吸収性本体40よりも幅方向Wの外側に延出した領域の股下域側の端縁であり、後胴回り域S2の股下域側の境界は、後側外装体30が吸収性本体40よりも幅方向Wの外側に延出した領域の股下域側の端縁である。なお、本実施の形態に係る吸収性物品10は、前側外装体20が前胴回り域S1のみに配置されており、前側外装体20の前端縁20Fが前胴回り域S1の前端縁S1Fに対応し、前側外装体20の後端縁20Rが前胴回り域S1の後端縁S1Rに対応している。また、後側外装体30が後胴回り域S2のみに配置されており、後側外装体30の前端縁30Fが後胴回り域S2の前端縁S2Fに対応し、後側外装体30の後端縁30Rが後胴回り域S2の後端縁S2Rに対応している。
【0040】
前側外装体20及び後側外装体30は、例えば不織布のようなシートから構成されていてよい。前側外装体20と後側外装体30は、それぞれ肌側に位置する外装肌面シート25と、外装肌面シート25の非肌面側に位置する外装非肌面シート26と、を有してよい。
【0041】
幅方向Wにおける前胴回り域S1の外側部と、幅方向Wにおける後胴回り域S2の外側部と、を接合したサイド接合部60が設けられていてよい。ここで、図1は、サイド接合部60における接合を解除し、吸収性物品10を展開した状態を示している。サイド接合部60は、前側外装体20及び後側外装体30のそれぞれにおいて、前後方向Lに沿って延びていてよい。後胴回り域S2には、サイド接合部60よりも股下域S3側に延出した臀部カバー35が設けられてよい。臀部カバー35は、後側外装体30の一部であり、サイド接合部60よりも股下域S3側に延出した部分である。
【0042】
なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外縁である。本発明における内側部とは、幅方向Wにおける内縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Lにおける縁を含む前後方向Lに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Lにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。
【0043】
図4に示すように、サイド接合部60が形成された状態で、吸収性物品10には、着用者の胴が通される胴回り開口部71と、着用者の脚がそれぞれ挿入される一対の脚回り開口部72と、が形成される。胴回り開口部71は、前胴回り域S1の前端縁S1Fと、後胴回り域S2の後端縁S2Rとによって規定されていてよい。また、脚回り開口部72は、吸収性本体40よりも幅方向Wの外側に延出した前側外装体20の後端縁20Rと、吸収性本体40よりも幅方向Wの外側に延出した後側外装体30の前端縁30Fと、股下域S3における吸収性本体40の外側縁40Eと、によって規定されていてよい。
【0044】
吸収性本体40は、前側外装体20と後側外装体30の肌面側において、前側外装体20と後側外装体30を跨って配置されている。すなわち、吸収性本体40は、前胴回り域S1、後胴回り域S2及び股下域S3にわたって延びている。吸収性本体40は、前側外装体20及び後側外装体30とは別体として構成されていてよい。
【0045】
後胴回り域S2の前端縁S2Fにおける吸収性本体40の幅方向Wの長さW402は、前胴回り域S1の後端縁S1Rにおける吸収性本体40の幅方向Wの長さW401よりも長くてよい。一般的に着用者の臀部の膨らみの頂点どうしの間の距離は、鼠径溝どうしの間の距離よりも広い。後胴回り域S2の前端縁S2Fにおける吸収性本体40の幅方向Wの長さW402が、前胴回り域S1の後端縁S1Rにおける吸収性本体40の幅方向Wの長さW401よりも長いため、着用者の臀部の膨らみを適切に覆い易い。臀部を適切に覆うことにより、横漏れを抑制できる。また、前胴回り域S1の後端縁における吸収性本体40の幅方向Wの長さが比較的短いため、前胴回り域側における脚回り開口部の寸法を大きくすることができ、脚を前後に動かし易くなる。
【0046】
吸収性本体40は、少なくとも吸収コア50を含んでいる。吸収コア50は、例えば粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物を含んでいてよい。吸収コア50は、少なくとも股下域S3に配置されている。好ましくは、吸収コア50は、前後方向Lにおいて、前胴回り域S1から後胴回り域S2にわたって延びていてよい。吸収コア50は、コアラップによって覆われていてよい。さらに、吸収性本体40は、吸収コア50の肌面側に位置する本体肌面シート41と、吸収コア50の非肌面側に位置する本体非肌面シート42と、を有していてよい。本体肌面シート41は、吸収コア50の肌面側で吸収コア50を覆っていてよい。本体非肌面シート42は、吸収コア50の非肌面側で吸収コア50を覆っていてよい。
【0047】
本体肌面シート41は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような透液性シートによって構成されていてよい。本体肌面シート41は、1枚のシートから構成されていてもよい。この代わりに、本体肌面シート41は、複数枚のシートが互いに積層された積層シートから構成されていてもよい。
【0048】
本体非肌面シート42は、不透液性のシートを含んでいてよい。本体非肌面シート42は、1枚のシートから構成されていてもよい。この代わりに、本体非肌面シート42は、複数枚のシートが互いに積層された積層シートから構成されていてもよい。この場合、複数枚のシートのうちの少なくとも1枚が不透液性を有していてよい。
【0049】
吸収コア50は、少なくとも股下域S3に配置されている。好ましくは、吸収コア50は、前後方向Lにおいて、前胴回り域S1から後胴回り域S2にわたって延びていてよい。吸収コア50は、コアラップによって包まれていてもよい。
【0050】
吸収性本体40は、吸収性本体40の外側部に配置され、かつ前後方向Lに伸縮可能な前後弾性部材65を有してよい。前後弾性部材65は、幅方向Wに間隔を空けて複数設けられていてよい。前後弾性部材65は、吸収コア50よりも幅方向Wの外側に配置されてよく、脚回り開口部72に沿って配置されてよい。前後弾性部材65は、例えば、前後方向Lに伸縮可能な糸ゴム、又は前後方向Lに伸縮可能な弾性シートによって構成されていてよい。この代わりに、前後弾性部材65は、例えば伸縮可能なシートにより構成されたサイドシート自体によって構成されていてもよい。本実施の形態の前後弾性部材65は、糸ゴムによって構成されており、厚さ方向Tにおいて本体肌面シート41と本体非肌面シート42の間に配置されている。
【0051】
前後弾性部材65は、吸収性本体40の外側部において伸長状態で配置されている。前後弾性部材65が伸長状態で配置されている領域では吸収性本体40に対して前後方向Lに収縮する力が働き、前後弾性部材65が伸長状態で配置されていない領域では吸収性本体40に対して前後方向Lに収縮する力が働かない。本明細書中では、この前後方向Lに収縮する力が働く領域の前後方向長さを前後弾性部材65の「有効長」とも呼ぶ。有効長部分は、吸収性物品の自然状態において前後弾性部材65の収縮によって皺が形成されている部分である。図1において前後弾性部材65の有効長部分66の前後方向Lの範囲を示す。有効長部分66の前端縁は、前側外装体20に厚さ方向に重なっており、有効長部分66の後端縁は、後側外装体30に厚さ方向に重なっている。
【0052】
前側外装体20及び後側外装体30は、幅方向Wに伸縮可能に構成されてよい。前側外装体20及び後側外装体30は、後述する幅弾性部材等の弾性部材によって伸縮可能に構成されてもよいし、伸縮可能な外装肌面シート25又は外装非肌面シート26によって伸縮可能に構成されてもよい。
【0053】
前胴回り域S1及び後胴回り域S2には、幅方向Wに伸縮可能な幅弾性部材が設けられていてよい。幅弾性部材は、後胴回り域S2に設けられた第1幅弾性部材61及び第2幅弾性部材62と、前胴回り域S1に設けられた第3幅弾性部材63と、を有してよい。第1幅弾性部材61は、後胴回り域S2において第2幅弾性部材62よりも後側に配置されている。幅弾性部材は、前後方向Lに間隔を空けて複数設けられていてよい。幅弾性部材は、例えば、幅方向Wに伸縮可能な糸ゴム、又は幅方向Wに伸縮可能な弾性シートによって構成されていてよい。この代わりに、幅弾性部材は、例えば伸縮可能なシートにより構成された吸収性本体40又は外装体15自体によって構成されていてもよい。幅弾性部材は、吸収性本体40に設けられていてもよいし、外装体15に設けられていてもよい。本実施の形態の第1幅弾性部材61及び第2幅弾性部材62は、後側外装体30に設けられており、第3幅弾性部材63は、前側外装体20に設けられている。幅弾性部材は、糸ゴムによって構成されており、厚さ方向Tにおいて外装肌面シート25と外装非肌面シート26の間に配置されている。
【0054】
このように構成された外装体15と吸収性本体40は、接合領域において接合されており、非接合領域において接合されていない。前胴回り域S1の後端部には、吸収性本体40の外側部と外装体15が接合された前接合領域FAが設けられている。前胴回り域S1の後端部では、吸収性本体40の外側部と外装体15が接合されている。よって、前胴回り域S1の後端部では外装体15が吸収性本体40に対して移動不可能である。
【0055】
図4及び図5は、実施形態に係る吸収性物品の装着状態を模式的に示した図である。図4は、脚を伸ばした状態、図5は、脚を曲げた状態を模式的に示した図である。実施形態に係る吸収性物品の前胴回り域S1の後端部では、外装体15が吸収性本体40に対して移動し難く、外装体15と吸収性本体40の外側縁40Eとがなす角度αが変化し難い。よって、着用時に着用者の脚等によって前胴回り域S1の後端部に力がかかった際に、前胴回り域S1の吸収性本体40が幅方向Wに変形し難い。よって、前胴回り域S1における吸収性本体40の幅方向Wの長さを確保し、前胴回り域S1側における吸収面積を確保し易い。
【0056】
前接合領域FAは、前胴回り域S1の後端縁から前方に延び、かつ吸収性本体40の外側縁から幅方向Wの内側に延びる領域に設けられてよい。前接合領域FAの後端縁は、前胴回り域S1の後端縁に一致していてもよいし、前胴回り域S1の後端縁と離間してもよい。前接合領域FAの前端縁は、前胴回り域S1の前端縁に一致していてもよいし、前胴回り域S1の前端縁と離間してもよい。前接合領域FAは、吸収性本体40の一方の外側縁から他方の外側縁まで延びていてよい。前接合領域FAの外側縁は、吸収性本体40の外側縁に一致していてもよいし、吸収性本体40の外側縁から3~5mm幅方向内側までの範囲に位置してもよい。
【0057】
後胴回り域S2の前端部には、吸収性本体40の外側部と外装体15が接合されていない後非接合領域NRが設けられている。後胴回り域S2の前端部では、吸収性本体40の外側部と外装体15が接合されていない。よって、後胴回り域S2の前端部では外装体15が吸収性本体40に対して移動可能である。
【0058】
後胴回り域S2の前端部では、外装体15が吸収性本体40に対して移動可能であり、外装体15と吸収性本体40の外側縁40Eとがなす角度βが変化可能である。当該角度βが大きくなるように変形することにより、脚回り開口部を大きくすることができる。加えて、後非接合領域NRにおいて吸収性本体40が幅方向Wの内側に移動することによっても、脚回り開口部72が大きくなる。よって、脚を挿入する際や脚を動かした際に、脚回り開口部72を大きくでき、脚をスムーズに挿入したり、脚をスムーズに動かしたりすることができる。
【0059】
後非接合領域NRは、後側外装体30の前端縁30Fから後方に延び、かつ吸収性本体40の外側縁40Eから幅方向Wの内側に延びる領域に設けられてよい。後非接合領域NRの前端縁は、後胴回り域S2の前端縁に一致していてもよいし、後胴回り域S2の前端縁と離間してもよい。後非接合領域NRの後端縁は、後胴回り域S2の後端縁よりも前後方向Lの内側に位置してよい。後非接合領域NRは、吸収性本体40の一方の外側縁から他方の外側縁まで延びていてよい。後非接合領域NRの外側縁は、吸収性本体40の外側縁に一致していてもよいし、吸収性本体40の外側縁から3~5mm幅方向内側までの範囲に位置してもよい。
【0060】
後非接合領域NRの内側縁は、幅方向Wにおいて、前胴回り域S1の後端縁における吸収性本体40の外側縁と同じ位置又は内側に位置してよい。後非接合領域NRは、吸収性本体40と外装体が接合されていないため、脚を動かすことができる領域として機能する。後非接合領域NRの内側縁は、幅方向Wにおいて、前胴回り域S1の後端縁における吸収性本体40の外側縁と同じ位置又は内側に位置することにより、前胴回り域S1側の脚回り開口部と後胴回り域S2側の脚回り開口部とで脚を動かすことができる領域を同じように確保することができる。後胴回り域S2によって臀部を覆う面積を確保しつつ、脚の動き易さ、入れやすさを確保する領域を前胴回り域S1及び後胴回り域S2で同じように確保することができる。
【0061】
後非接合領域NRには、幅方向Wに伸縮可能な第1幅弾性部材61が配置されてよい。第1幅弾性部材61は、厚さ方向において後非接合領域NRに重なっていればよい。第1幅弾性部材61が設けられていることにより、後胴回り域S2の前端部が幅方向Wに収縮し、着用者の脚にフィットし易くなる。このとき、後胴回り域S2の前端部では、脚回り開口部72が広がるように変形できる。よって、第1幅弾性部材61の収縮によって脚にフィットし過ぎることを抑制でき、装着感の悪化を抑制できる。適度な脚へのフィット性と脚の動き易さを両立できる。また、脚へのフィット性を確保するために、第1幅弾性部材61は、後非接合領域NRを超えて幅方向Wの外側に延びていてよい。
【0062】
後非接合領域NRの前後方向Lの長さは、3mm以上であってよい。後非接合領域NRの前後方向Lの長さが3mm以上であることにより、脚の動き易さ及び脚の入れ易さを向上できる。より好ましくは、後非接合領域NRの前後方向Lの長さは、5mm以上20mm以下であってよい。後胴回り域S2の前端縁から後方に向かって5mm以上20mm以下の範囲は、脚の挿入時や脚を動かした際に特に脚の動きによる力がよりかかり易い領域である。後非接合領域NRの前後方向Lの長さが3mm以上であることにより、着用者は、装着時に脚をよりスムーズに脚を挿入し易く、着用時に脚をよりスムーズに動かすことができる。さらに好適には、後非接合領域NRの前後方向Lの長さは、10mm以上であってよい。
【0063】
後非接合領域NRの前後方向Lの範囲は、サイド接合部60の股下域側の端縁から後方に向かってサイド接合部60の前後方向L全域に対する30%までの範囲であってよい。サイド接合部60の股下域側の端縁から後方に向かってサイド接合部60の前後方向L全域に対する30%までの範囲は、脚の挿入時や脚を動かした際に特に脚の動きによって力がかかり易い領域である。よって、着用者は、装着時に脚をスムーズに脚を挿入し易く、着用時に脚をスムーズに動かすことができる。
【0064】
後胴回り域S2には、サイド接合部60よりも股下域S3側に延出した臀部カバー35が設けられてよい。外装体15は、後胴回り域S2の前端部において吸収性本体40の外側部に接合されてなく、着用者の脚の動き等によって後側に引き上がってしまうおそれがある。臀部カバー35が設けられていることにより、後胴回り域S2の前端部が後側に引き上がってしまった場合においても臀部を覆い続け、臀部からの横漏れを抑制できる。
【0065】
前後弾性部材65の有効長部分66は、前接合領域FAに厚さ方向において重なってよい。前後弾性部材65は、吸収性本体40の外側部に配置され、着用者の脚回りに沿って配置される。前後弾性部材65の有効長部分66が前接合領域FAに重なっているため、外装体15における幅方向Wの収縮と前後弾性部材65による前後方向Lの収縮が連動し易い。前後弾性部材65によって収縮する部分が着用者側に立ち上がり易くなり、前胴回り域側における排泄物の横漏れを抑制できる。
【0066】
前後弾性部材65の有効長部分66と前接合領域FAが重なった領域には、第3幅弾性部材63が配置されてよい。前後弾性部材65の有効長部分66と前接合領域FAに重なった領域に第3幅弾性部材が配置されているため、第3幅弾性部材による幅方向Wの収縮と前後弾性部材65による前後方向Lの収縮が連動し易い。前後弾性部材65によって収縮する部分が着用者側により立ち上がり易くなり、前胴回り域側における排泄物の横漏れをより抑制できる。
【0067】
後非接合領域NRよりも幅方向Wの内側には、吸収性本体40と外装体15が接合された第1後接合領域RA1が設けられてよい。後非接合領域NRと第1後接合領域RA1の境界は、吸収コア50の外側縁よりも幅方向Wの外側に位置してよい。第1後接合領域RA1は、吸収コア50の幅方向Wの全域に設けられてよい。装着時に外装体15が幅方向Wの外側に引っ張られると、外装体15を介して吸収性本体40が幅方向Wの外側に引っ張られる。このとき、吸収コア50の外側縁は、外装体15と吸収性本体40が接合された第1後接合領域RA1に重なっている。よって、装着時に外装体15を幅方向Wの外側に引っ張った際に、吸収コア50の外側縁も幅方向Wの外側に引っ張ることができる後胴回り域においても吸収性本体の幅方向の長さを確保し易く、漏れをより抑制できる。
【0068】
後非接合領域NRよりも後側には、吸収性本体40と外装体15が接合された第2後接合領域RA2が設けられてよい。第2後接合領域RA2は、後非接合領域NRの前端縁から後方に延び、かつ吸収性本体40の外側縁から幅方向Wの内側に延びる領域に設けられている。後非接合領域NRの後側に設けられた第2後接合領域RA2において外装体15と吸収性本体40が接合されており、外装体15が吸収性本体40に対してめくれたり、吸収性本体40が幅方向Wの内側に倒れたりする不具合を抑制し、外装体15及び吸収性本体40を着用者の体に適切に当て易い。第2後接合領域RA2の外側縁は、吸収性本体40の外側縁に一致していてもよいし、吸収性本体40の外側縁から3~5mm幅方向内側までの範囲に位置してもよい。
【0069】
第2後接合領域RA2の幅方向Wの長さは、後非接合領域NRの幅方向Wの長さよりも長くてよい。第2後接合領域RA2の内側縁は、後非接合領域NRの内側縁よりも幅方向Wの内側に延びてよい。外装体15と吸収性本体40が接合された第2後接合領域RA2の幅方向Wの長さが、外装体15と吸収性本体40が接合されていない後非接合領域NRの幅方向Wの長さよりも長く、外装体15の幅方向Wにおける収縮を吸収性本体40に伝達し易い。よって、装着時に外装体15を幅方向Wの外側に引っ張った際に吸収性本体40も幅方向Wの外側に引っ張ることができ、吸収性本体40の幅方向Wの長さを確保できる。
【0070】
前後弾性部材65の有効長部分66は、第2後接合領域RA2に重なってもよい。前後弾性部材65は、吸収性本体40の外側部に配置され、着用者の脚回りに沿って配置される。前後弾性部材65の有効長部分66が第2後接合領域RA2に重なっているため、外装体15における幅方向Wの収縮と前後弾性部材65による前後方向Lの収縮が連動し易い。前後弾性部材65によって収縮する部分が着用者側に立ち上がり易くなり、後胴回り域側における漏れをより抑制できる。
【0071】
前後弾性部材65の有効長部分66と第2後接合領域RA2が重なった領域には、第2幅弾性部材が配置されてよい。前後弾性部材65の有効長部分66と第2後接合領域RA2に重なった領域に第2幅弾性部材が配置されているため、第2幅弾性部材による幅方向Wの収縮と前後弾性部材65による前後方向Lの収縮が連動し易い。前後弾性部材65によって収縮する部分が着用者側により立ち上がり易くなり、後胴回り域側における排泄物の横漏れをより抑制できる。
【0072】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0073】
変形例に係る吸収性物品は、外装体が、前側外装体20及び後側外装体30が一体化され、かつ前胴回り域S1から後胴回り域S2に亘って設けられていてもよい。変形例に係る外装体は、前胴回り域S1及び前胴回り域S1において吸収性本体40よりも幅方向Wの外側に延出し、股下域において吸収性本体40よりも幅方向Wの内側に位置してよい。このように変形例に係る吸収性物品においても、前胴回り域S1の後端部において吸収性本体40と外装体がなす角度αが変化し難くいため、前胴回り域S1の吸収面積を確保し、漏れを抑制できる。また、後胴回り域の前端部において吸収性本体40と外装体がなす角度βが変化し易いいため、後胴回り域側で脚回り開口を大きくして、脚をスムーズに動かすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
前胴回り域における吸収面積を確保し、漏れを抑制できる吸収性物品を提供することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 吸収性物品
15 外装体
20 前側外装体
30 後側外装体
40 吸収性本体
50 吸収コア
60 サイド接合部
61 第1幅弾性部材
62 第2幅弾性部材
63 第3幅弾性部材
65 前後弾性部材
NR 後非接合領域
RA1 第1後接合領域
RA2 第2後接合領域
FA 前接合領域
S1 前胴回り域
S2 後胴回り域
S3 股下域
L 前後方向
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5