(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】荷電粒子のためのマルチセル検出器
(51)【国際特許分類】
H01J 37/244 20060101AFI20221121BHJP
G01T 1/24 20060101ALI20221121BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20221121BHJP
H01L 31/08 20060101ALI20221121BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
H01J37/244
G01T1/24
H01J37/28 B
H01L31/00 A
H01L31/10 H
(21)【出願番号】P 2020515710
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2018076477
(87)【国際公開番号】W WO2019063794
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-05-13
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジョー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゾン-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フー,シュエラン
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-017722(JP,A)
【文献】特開2009-105037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0133838(US,A1)
【文献】特開2011-145292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/244
H01J 37/28
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
H01L 31/00-31/02
H01L 31/08-31/10
H01L 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板であって、
第1の導電型の第1の領域を含む第1の層と、
第2の導電型の複数の第2の領域、及び、前記第1の導電型の1つ以上の第3の領域を含む、第2の層であって、前記複数の第2の領域は、前記1つ以上の第3の領域によって互いに区分される、第2の層と、
前記第1の層と前記第2の層の間の真性層と、
を備え、
前記第1の層はサンプル表面から生成される複数の二次電子ビームを受け取るように構成されており、前記複数の二次電子ビームのそれぞれがマルチビーム装置の異なるビームに関連付けられて
おり、
前記第1の領域は第1の金属によってコーティングされ、前記複数の第2の領域及び前記1つ以上の第3の領域は、第2の金属によってコーティングされる、
基板。
【請求項2】
前記第1の導電型はp形半導体であり、前記第2の導電型はn形半導体であって、前記複数の第2の領域は、前記1つ以上の第3の領域から間隔を置いて配置される、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記第2の層は、前記複数の第2の領域の各々を前記第2の層の前記1つ以上の第3の領域から分離する、真性領域を更に含む、請求項1に記載の基板。
【請求項4】
前記複数の第2の領域の各々は、前記第2の層内の前記真性領域によって囲まれる、請求項3に記載の基板。
【請求項5】
前記複数の第2の領域の幅は前記1つ以上の第3の領域の幅よりも大きい、請求項1に記載の基板。
【請求項6】
前記真性層はnドープされ、前記真性層は、前記第1の領域、前記複数の第2の領域、及び前記1つ以上の第3の領域の、ドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を有する、請求項1に記載の基板。
【請求項7】
前記真性層はpドープされ、前記真性層は、前記第1の領域、前記複数の第2の領域、及び前記1つ以上の第3の領域の、ドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を有する、請求項1に記載の基板。
【請求項8】
前記第1の金属の原子番号は前記第2の金属の原子番号よりも小さい、請求項
1に記載の基板。
【請求項9】
前記第1の金属はアルミニウムである、請求項
1に記載の基板。
【請求項10】
前記第2の金属は金である、請求項
1に記載の基板。
【請求項11】
前記第2の金属上に堆積され、前記第2の層の前記複数の第2の領域と前記1つ以上の第3の領域との間のギャップをカバーする、絶縁層、
を更に備える、請求項
1に記載の基板。
【請求項12】
前記複数の第2の領域に接続された複数の信号出力線、
を更に備える、請求項1に記載の基板。
【請求項13】
装置であって、
複数の荷電粒子ビームを発生させるように構成された荷電粒子源と、
検出器であって、
第1の導電型の第1の領域を含む第1の層、
第2の導電型の複数の第2の領域
、及び、前記第1の導電型の1つ以上の第3の領域を含む第2の層であって、前記複数の第2の領域は
、前記1つ以上の第3の領域によって互いに区分される、第2の層、及び、
前記第1の層と前記第2の層の間の真性層、
を備え、
前記複数の第2の領域は、受け取った荷電粒子に基づいて電気信号を出力するように構成され、前記第1の層はサンプル表面から生成される複数の二次電子ビームを受け取るように構成され、前記複数の二次電子ビームのそれぞれが前記複数の荷電粒子ビームの異なるビームに関連付けられて
おり、
前記第1の領域は第1の金属によってコーティングされ、前記複数の第2の領域及び前記1つ以上の第3の領域は、第2の金属によってコーティングされる、検出器と、
前記複数の第2の領域によって出力された前記電気信号を増幅するように、及び、前記増幅された電気信号をコントローラに転送するように、構成された増幅器と、
を備える、装置。
【請求項14】
方法であって、
検出器の第1の層の第1の導電型の第1の領域に第1のバイアスを印加すること
、前記検出器の第2の層の第2の導電型の複数の第2の領域に第2のバイアスを印加すること
、及び、前記検出器の第2の層の前記第1の導電型の1つ以上の第3の領域に第3のバイアスを印加することを含み、前記検出器は、前記第1の層と前記第2の層との間に真性領域を含み、前記複数の第2の領域は
前記1つ以上の第3の領域によって互いに区分され、前記第1の層はサンプル表面から生成される複数の二次電子ビームを受け取るように構成されており、前記複数の二次電子ビームのそれぞれがマルチビーム装置の異なるビームに関連付けられ
ており、前記第1の領域は第1の金属によってコーティングされ、前記複数の第2の領域及び前記1つ以上の第3の領域は、第2の金属によってコーティングされること、
前記第2の層から出力信号を受信すること、及び、
前記受信された出力信号に基づいて荷電粒子信号を決定すること、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本願は、2017年9月29日出願の米国出願第62/566,102号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002] 本開示は、一般に荷電粒子の検出に関し、より具体的には、荷電粒子のマルチセル検出器、並びに、荷電粒子検出のシステム、方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 検出器は、物理的に観察可能な現象を感知するための様々な分野で使用される。例えば電子顕微鏡は、表面トポグラフィ及びサンプルの組成を観察するために有用なツールである。1ナノメータ未満の解像が可能な、走査型電子顕微鏡(SEM)などの荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡は、例えば、100ナノメートル未満のフィーチャサイズを有する集積回路(IC)コンポーネントを検査するための実用的なツールとして働くことができる。こうした荷電粒子ビームツールは、サンプルから投影された荷電粒子を受け取り、検出信号を出力する、検出器を備えることができる。サンプルに当たった後、二次電子、後方散乱電子、オージェ電子、X線、可視光などが放出され得る。放出エネルギーは、検出器上に入射するビームを形成することができる。検出信号は、サンプルのイメージを再構築するために使用可能であり、また例えばサンプル内の欠陥を明らかにするためにも使用可能である。
【0004】
[004] いくつかの適用例では、検出器上に入射する1つ以上のビームが存在する可能性がある。例えばマルチビームSEMを用いると、複数の一次電子ビームを使用して、検査中のウェーハの異なるエリアを同時にスキャンすることができる。ウェーハは、一次電子ビームを受け取った後、検出器に向かって誘導される二次電子を放出することができる。二次電子の強度は、ウェーハの内部又は外部構造の特性に基づいて変動可能である。したがって二次電子は、ウェーハの内部又は外部構造の様々な特徴を決定するために検出及び分析可能であり、また、ウェーハ内に存在し得るいずれかの欠陥を明らかにするために使用可能である。
【0005】
[005] しかしながら、サンプルから放出される近接ビームからの電子は、検出器表面のほぼ同じ場所に到達するように誘導される可能性がある。結果として、近接する電子ビームによって形成されるビームスポットは、互いに非常に近くなる可能性があり、いくつかの場合には部分的に重複し、クロストークにつながる可能性がある。クロストークの影響は、ノイズとして電子検出器の出力信号に付加される可能性がある。したがって、電子検出器の出力信号は、検出中の特定のサンプル構造と相関しないノイズ成分を有する可能性があり、イメージ再構築の忠実性を低下させる可能性がある。
【0006】
[006] 正確な検査を保証するために、マルチビームSEMは、異なる一次電子ビームによって発生した二次電子を区別できるものとすべきである。既存のシステムでは、複数の離散的電子感知要素を含む検出器が提供可能である。例えば、互いに物理的に間隔を置いて配置された感知要素を伴う検出器アレイが提供可能である。複数の一次電子ビームの各々は、検出器アレイ内に対応する電子感知要素を有することができる。偏向器アレイを使用して、異なる一次電子ビームによって発生した二次電子をそれらの対応する電子感知要素へと偏向させることもできる。したがって、偏向器アレイは、各電子感知要素に異なる偏向方向(又は角度)を提供することができる。しかしながら、マルチビームSEMが多数の一次電子ビーム及びしたがって電子感知要素を使用する必要がある場合、しばしば、偏向器アレイによって提供可能な異なる偏向方向の不足が存在する。偏向器アレイはより多くの偏向方向を提供するように拡張可能であるが、これによって偏向器アレイに構造上の複雑さが加わるのみならず、検出器アレイを電子感知要素と整合させることの難しさも増加する。
【発明の概要】
【0007】
[007] 本開示の実施形態は、マルチビーム検査システムにおいて使用可能なマルチセル検出器の使用に関する。いくつかの実施形態において、検出器が提供される。検出器は、第1の導電型の第1の領域を含む第1の層を含むことができる。検出器は、第2の導電型の複数の第2の領域、及び、第1の導電型の1つ以上の第3の領域を含む、第2の層も含むことができる。第2の導電型の複数の第2の領域は、第2の層の第1の導電型の1つ以上の第3の領域によって、互いに区分可能である。第2の導電型の複数の第2の領域は、第2の層内の第1の導電型の1つ以上の第3の領域から間隔を置いて配置可能であり、この第3の領域と物理的に接触しないことが可能である。検出器は更に、第1と第2の層の間に真性層を含むことができる。
【0008】
[008] いくつかの実施形態において、荷電粒子ビーム装置が提供される。荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子ビームシステムの一部として提供可能である。装置は、サンプルの表面上に投影可能であり、サンプルに二次荷電粒子を発生させることが可能な、荷電粒子の1つ以上のビームを発生させるように構成された、荷電粒子源を含むことができる。装置は、第1の導電型の第1の領域を含む第1の層と、第2の導電型の複数の第2の領域を含む第2の層と、第1の層と第2の層との間の真性層とを備える、検出器を含むこともできる。複数の第2の領域は、互いに区分可能である。更に、複数の第2の領域は、受け取った荷電粒子に基づいて電気信号を出力するように構成可能である。装置は、複数の第2の領域によって出力された電気信号を増幅し、増幅された電気信号をコントローラに転送するように構成された増幅器を、更に含むことができる。コントローラは、データ処理システムを含むことができる。
【0009】
[009] いくつかの実施形態において、方法が提供される。方法は、検出器の第1の層の第1の導電型の第1の領域に第1のバイアスを印加すること、及び、検出器の第2の層の複数の第2の領域に第2のバイアスを印加することを含む。検出器は、第1の層と第2の層との間に真性領域を含むことができる。検出器内の複数の第2の領域は、1つ以上の区分領域によって互いに区分可能である。方法は、第2の層から出力信号を受信すること、及び、受信された出力信号に基づいて荷電粒子信号を決定することも含むことができる。
【0010】
[010] 開示される実施形態の追加の目的及び利点は、下記の説明において一部が示され、一部は説明から明らかになるか、又は実施形態の実践によって習得することができる。開示される実施形態の目的及び利点は、特許請求の範囲において示される要素及び組み合わせによって実現及び達成することができる。
【0011】
[011] 前述の概略的な説明及び下記の詳細な説明はどちらも例示的及び説明的なものに過ぎず、請求される開示された実施形態を制限するものではないことを理解されよう。
【0012】
[012] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面に関連して行われる例示の実施形態の説明からより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[013]本開示の実施形態に一致する、例示の電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
【
図2】[014]本開示の実施形態に一致する、
図1の例示のEBIシステムの一部であることが可能な例示の電子ビームツールを示す概略図である。
【
図3】[015]本開示の実施形態に一致する、例示の電子検出器のセンサ表面を示す図である。
【
図4】[016]本開示の実施形態に一致する、電子検出器の厚み方向の断面に沿って得られる電子検出器の例示的構造を示す図である。
【
図5】[017]本開示の実施形態に一致する、
図4に示される電子検出器の第1の金属層を示す上面図である。
【
図6】[018]本開示の実施形態に一致する、
図4に示される電子検出器の半導体層を示す平面図である。
【
図7】[019]本開示の実施形態に一致する、
図4に示される電子検出器の第2の金属層を示す平面図である。
【
図8】[020]本開示の実施形態に一致する、
図4に示される電子検出器の絶縁層を示す平面図である。
【
図9A】[021]
図4の電子検出器の断面の一部を示す拡大図である。
【
図9B】[021]
図4の電子検出器の断面の一部を示す拡大図である。
【
図9C】[021]
図4の電子検出器の断面の一部を示す拡大図である。
【
図9D】[021]
図4の電子検出器の断面の一部を示す拡大図である。
【
図10】[022]本開示の実施形態に一致する、例示の検出器の断面の一部を示す拡大図である。
【
図11】[023]本開示の実施形態に一致する、検出器の例示的構造の断面を示す図である。
【
図12】[024]本開示の実施形態に一致する、
図11に示される電子検出器の第1の金属層を示す上面図である。
【
図13】[025]本開示の実施形態に一致する、
図11に示される電子検出器の半導体層を示す平面図である。
【
図14】[026]本開示の実施形態に一致する、
図11に示される電子検出器の別の半導体層を示す平面図である。
【
図15】[027]本開示の実施形態に一致する、
図11に示される電子検出器の第2の金属層を示す平面図である。
【
図16】[028]本開示の実施形態に一致する、
図11に示される電子検出器の断面の一部を示す拡大図である。
【
図17】[029]本開示の実施形態に一致する、例示的方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[030] 次に、例示的実施形態について詳細に言及し、その例が添付の図面に示されている。下記の説明は添付の図面を指し、特に表されていない限り、異なる図面内の同じ番号は同じか又は同様の要素を表す。例示的実施形態の下記の説明に記載される実装は、開示される主題に一致するすべての実装を表すものではない。むしろそれらは、添付の特許請求の範囲に記載される課題に関する態様に一致する装置、システム、及び方法の単なる例である。例えば、いくつかの実施形態は電子ビームを利用するシステムとの関連において説明されるが、本開示はそれらに限定されるものではない。他のタイプの荷電粒子も同様に適用可能である。更に、検出のための装置、システム、及び方法を、光学結像、光検出、X線検出、イオン検出などの、他のイメージングシステム内で使用することも可能である。
【0015】
[031] 本願の態様は、走査型電子顕微鏡(SEM)などの検査ツールにおいて有用であり得る、マルチセル検出器に関する。検査ツールは、集積回路(IC)コンポーネントの製造プロセスにおいて使用可能である。現代の電子デバイスの拡張コンピューティング能力を実現するために、トランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの記録密度をICチップ上で著しく増加させながら、デバイスの物理的サイズを縮小することが可能である。例えばスマートフォンにおいて、ICチップ(サムネイルのサイズとすることが可能である)は20億個を超えるトランジスタを含み、各トランジスタのサイズは人の髪の毛の1/1000未満とすることができる。当然のことながら、半導体ICの製造は、数百の個別ステップを伴う複雑なプロセスである。たとえ1つのステップにおけるエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を及ぼす可能性がある。たとえ1つの「キラー欠陥」であっても、デバイス障害を発生させる可能性がある。製造プロセスの目標は、プロセスの全歩留まりを向上させることである。例えば、75%の歩留まりを得るための50ステップのプロセスの場合、各個別のステップは99.4%より高い歩留まりを有さなければならず、個別ステップの歩留まりが95%の場合、プロセス全体の歩留まりは7%まで下落する。
【0016】
[032] 高スループット(例えば、1時間当たりのウェーハプロセスの数として定義される)を維持しながら、高確度及び高分解能で欠陥を検出する能力を保証することが、ますます重要になっている。高いプロセス歩留まり及び高いウェーハスループットは、特にオペレータの介入が関与する場合、欠陥の存在によって影響を受ける可能性がある。したがって、高歩留まり及び低コストを維持するためには、検査ツール(SEMなど)によってミクロ及びナノサイズの欠陥を検出及び識別することが重要である。
【0017】
[033] いくつかの検査ツールにおいて、サンプルは、サンプル表面全体にわたって高エネルギー電子のビームをスキャンすることによって検査可能である。サンプル表面における相互作用に起因して、サンプルから二次電子を発生させることが可能であり、次いで二次電子は検出器によって検出される。スループットを増加させるために、いくつかの検査ツールは、サンプル表面の異なる領域にわたって同時にスキャンされる複数の電子ビームを採用することができ、したがって、検出器に向かって誘導される複数の二次電子ビームを発生させる。同時に分析するためにこれらの複数の二次電子ビームをキャプチャするために、各二次電子ビームがその独自の検出セル内に入るようにマルチセル検出器を提供することができる。したがって、各電子ビームに対応する信号を別々に分析できるように、異なる電子ビームから発生した電子は異なる検出セルに入ることができる。
【0018】
[034] いくつかの適用例において、異なるビームからの電子が互いに干渉しないように、検出器に到達する電子を分離することが望ましい可能性がある。こうした干渉は「クロストーク」に寄与する可能性があり、ノイズの増加などの望ましくない影響を出力信号に与える可能性がある。したがって、検出器の出力信号は、検査中の特定のサンプル構造と相関しないノイズ成分を含むことが可能であり、イメージ再構築の忠実性を低下させる可能性がある。
【0019】
[035] 電子は検出器の前面に到達したとき、検出器内の様々な層と相互作用する可能性がある。例えば電子は、頂部表面のアルミニウム層を通過し、半導体領域と相互作用することができる。しかしながら、こうした相互作用は適切に制御することができない。例えば電子は、ランダムな方向に散乱する可能性がある。1つ以上の半導体領域との相互作用に起因して、電子は必ずしも、検出器の媒体を介して真っ直ぐに進行するとは限らない。電子が検出器の反対側に達するときまでに、異なる電子ビームからの電子が同じ場所で終わる可能性がある。したがって、たとえ検出器が物理的に複数の離散検出器セルに分割される場合であっても、異なる電子ビームからの電子は異なる検出器セルに適切に分離されない可能性がある。
【0020】
[036] 開示のいくつかの態様において、検出器は連続半導体領域を含むことができる。領域は、p形及びn形の半導体層を含むダイオードとすることができる。ダイオードは、ダイオード内に誘引場が形成されるようにバイアスすることができる。こうした場は、検出器の適切なセクションに電子をガイドするのを助けることができる。したがって、異なる電子ビームからの電子を、対応する検出器セルの出力セクションに誘導することが可能であり、クロストークの影響を低減させることができる。
【0021】
[037] 本明細書で使用される場合、特に具体的に示されていない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除き、すべての可能な組み合わせを包含する。例えば、データベースがA又はBを含むことが可能であると示されている場合、特に具体的に示されていないか又は実行不可能でない限り、データベースはA、又はB、又はA及びBを含むことができる。第2の例として、データベースがA、B、又はCを含むことが可能であると示されている場合、特に具体的に示されていないか又は実行不可能でない限り、データベースはA、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含むことができる。
【0022】
[038]
図1は、本開示の実施形態に一致する、検出器を含むことが可能な例示の電子ビーム検出(EBI)システム100を示す概略図である。EBIシステム100は、荷電粒子イメージングのために使用可能である。
図1に示されるように、EBIシステム100は、メインチャンバ101、ロード/ロックチャンバ102、電子ビーム(eビーム)ツール104、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)106を含む。eビームツール104は、メインチャンバ101内に配置される。
【0023】
[039] EFEM106は、第1のローディングポート106a及び第2のローディングポート106bを含む。EFEM106は追加のローディングポートを含むことができる。第1のローディングポート106a及び第2のローディングポート106bは、検査されるべきウェーハ(例えば、半導体ウェーハ又は他の材料で作成されたウェーハ)又はサンプル(ウェーハ及びサンプルは、集合的に「ウェーハ」と呼ぶことができる)を含む、ウェーハの前面開口部統一ポッド(FOUP)を受け取ることができる。EFEM106内の1つ以上のロボットアーム(図示せず)は、ウェーハをロード/ロックチャンバ102に移送することができる。
【0024】
[040] ロード/ロックチャンバ102は、大気圧より下の第1の圧力に達するようにロード/ロックチャンバ102内の気体分子を除去する、ロード/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。第1の圧力に達した後、1つ以上のロボットアーム(図示せず)は、ロード/ロックチャンバ102からメインチャンバ101へウェーハを移送することができる。メインチャンバ101は、第1の圧力より下の第2の圧力に達するようにメインチャンバ101内の気体分子を除去する、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。第2の圧力に達した後、ウェーハはeビームツール104による検査の対象となる。電子ビームツール104は、単一ビームシステム又はマルチビームシステムとすることができる。コントローラ109が、eビームツール104に電気的に接続される。コントローラ109は、EBIシステム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータとすることができる。
図1において、コントローラ109は、メインチャンバ101、ロード/ロックチャンバ102、及びEEFM106を含む構造の外側にあるように示されているが、コントローラ109は構造の一部とすることができることを理解されよう。
【0025】
[041]
図2は、開示される実施形態に一致する、例示のeビームツール104を示す。
図2を参照すると、eビームツール104は、モータ駆動式ステージ260とモータ駆動式ステージ260によって支持されるウェーハホルダ262とを含む。eビームツール104は更に、電子源202、ガンアパーチャ204、コンデンサレンズ206、ソース変換ユニット208、一次投影光学システム220、二次光学システム230、及び電子検出器240を含む。一次投影光学システム220は、ビームセパレータ222、偏向スキャンユニット226、及び対物レンズ228を含むことができる。
【0026】
[042] 開示される実施形態において、電子源202、ガンアパーチャ204、コンデンサレンズ206、ソース変換ユニット208、ビームセパレータ222、偏向スキャンユニット226、及び対物レンズ228は、eビームツール104の一次光軸250と位置合わせすることができる。二次光学システム230及び電子検出器240は、eビームツール104の二次光軸252と位置合わせすることができる。
【0027】
[043] eビームツール104が動作するとき、検査されるべきウェーハ264はウェーハホルダ262上に取り付け又は配置される。電子源202は、カソード及び抽出器又はアノードを含む。アノード/抽出器とカソードとの間に電圧が印加され、高エネルギー(例えば、8~20keV)、高角強度(例えば、0.1~1mA/sr)、及びクロスオーバー(仮想又は実)210を伴う一次電子ビーム270を形成するために、一次電子がカソードから放出され、抽出又は加速されることになる。一次電子ビーム270は、クロスオーバー210から放出されているように視覚化することができる。ガンアパーチャ204は、クーロン効果を減少させるために、一次電子ビーム270の周辺電子を遮断することができる。
【0028】
[044] ソース変換ユニット208は、イメージ形成要素のアレイ(
図2には図示せず)、及びビーム制限アパーチャのアレイ(
図2には図示せず)を含むことができる。イメージ形成要素は、マイクロ偏向器又はマイクロレンズのアレイを含むことができる。イメージ形成要素のアレイは、一次電子ビーム270を複数の一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nに分割することができる。単なる例示として、
図2は3つの一次ビームレットを示している。しかしながら、一次ビームレットの数は3つに限定されず、イメージ形成要素のアレイは、一次電子ビーム270をより多くの数の一次ビームレットに分割するように構成可能である。加えて、イメージ形成要素のアレイは、クロスオーバー210の複数の並列イメージ(仮想又は実)を形成することができる。複数の一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nの各々は、クロスオーバー210の複数の並列イメージのうちの1つから放出されるように視覚化することができる。ビーム制限アパーチャのアレイは、複数の一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nのサイズを制限又は調整することができる。
【0029】
[045] コンデンサレンズ206は、一次電子ビーム210を合焦させることができる。したがって、ソース変換ユニット208のダウンストリームの一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nの電流は、コンデンサレンズ206の合焦能力を調整することによって、又は、ビーム制限アパーチャのアレイ内の対応するビーム制限アパーチャの半径サイズを変更することによって、変化させることができる。対物レンズ228は、一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nを検査のためにウェーハ264上に合焦させることができ、また、複数のプローブスポット274-1、274-2、・・・、274-nをウェーハ264の表面上に形成することができる。
【0030】
[046] 偏向スキャンユニット226は、ウェーハ264の表面積全体にわたってプローブスポット274-1、274-2、・・・、274-nをスキャンするために、一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nを偏向させることができる。プローブスポット274-1、274-2、・・・、274-nにおける一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nの入射に応答して、ウェーハ264から二次電子が放出可能である。二次電子は、二次電子(エネルギーは≦50eV)及び後方散乱電子(エネルギーは、50eVと、一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nの着地エネルギーとの間)を含むエネルギーの分布を伴う電子を含むことができる。
【0031】
[047] ビームセパレータ222は、静電双極子場及び磁気双極子場を発生させるウィーンフィルタ型のビームセパレータとすることができる。いくつかの実施形態において、静電双極子場及び磁気双極子場が適用される場合、静電双極子場によって一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nの電子にかけられる力は、磁気双極子場によって電子にかけられる力と等しい大きさであり、反対の方向とすることができる。したがって一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nは、偏向角度ゼロでビームセパレータ222を一直線に通過することができる。しかしながら、ビームセパレータ222によって発生する一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nの全分散は非ゼロとすることができる。ビームセパレータ222の分散平面224について、例えば
図2は、公称エネルギーV
0及びエネルギーの広がりΔVを伴う、ビームレット274-2の、エネルギーV
0に対応するビームレット部分276、エネルギーV
0+ΔV/2に対応するビームレット部分277、及びエネルギーV
0-ΔV/2に対応するビームレット部分278への分散を示す。したがって、ビームセパレータ222によって二次電子にかけられる総力は、非ゼロである。したがってビームセパレータ222は、二次電子を一次ビームレット272-1、272-2、・・・、272-nから分離すること、及び二次電子を二次光学システム230に向けて誘導することができる。
【0032】
[048] 電子検出器240は、複数の検出セル242-1、242-2、・・・、242-nを含む。二次光学システム230は、二次電子を複数の二次電子ビーム280-1、280-2、・・・、280-n内に合焦させること、及びこれらの二次電子ビームを検出セル242-1、242-2、・・・、242-nのうちの1つ以上に投影することができる。検出セル242-1、242-2、・・・、242-nは、二次電子ビーム280-1、280-2、・・・、280-nを検出し、ウェーハ264の表面積のイメージを再構築するために使用される対応する信号を発生させるように、構成可能である。コントローラは電子検出器240に結合することができる。
【0033】
[049]
図3は、本開示のいくつかの実施形態に従った、電子検出器240のセンサ表面300を示す図である。
図3に示される例を参照すると、電子検出器240は9つの検出セル242-1、242-2、・・・、242-9に分割可能であり、
図3において破線によって概念的に示される格子内に配置可能である。
【0034】
[050] 検出セル242-1、242-2、・・・、242-9は、センサ表面300上の9つの検出サブ領域に対応することができる。いくつかの開示される実施形態に一致する、センサ表面300は、物理的に検出サブ領域に分割される必要はない。すなわち、
図3内の破線はセンサ表面300上のいずれの実際の構造も表さない場合がある。むしろ、下記でより詳細に説明するように、検出セルは電子検出器240の底部に形成することができる。更に、電子検出器240は、各検出サブ領域上に入射する電子を対応する検出セルにガイドするように構成可能な、内部電場を形成することが可能な構造を有し得る。検出器は、入射電子を分離するためにセンサ表面300上にいずれの特定構造も必要としないため、電子を受け取るためにセンサ表面300全体を使用することができる。センサ表面300上の不感エリアは、実質的に除去することができる。
【0035】
[051]
図2に示されるように、1つ以上の二次電子ビーム280は、電子検出器240のセンサ表面300上に複数のビームスポット282-1、282-2、・・・、282-nを形成することができる。例えば、9つのビームスポット282-1、282-2、・・・、282-9が形成可能である。各検出セル242は、対応するビームスポット282を受け取ること、受け取ったビームスポット282の強度を表す信号(例えば、電圧、電流など)を発生させること、及び、ウェーハ264のエリアのイメージを発生させるために信号をデータ処理システムに提供することが、実行可能であり得る。
【0036】
[052] 一次ビームレット272に関する説明と同様に、本開示は二次電子ビーム280の数を制限しない。したがって、本開示は、電子検出器240内の検出セル242の数、並びに電子検出器240によって検出可能なビームスポット282の数も制限しない。例えば、開示される実施形態に一致する、電子検出器240は、センサ表面300に沿ったマトリックス内に配置可能な、2×2、4×5、又は20×20の検出セル242のアレイを含むことができる。
【0037】
[053] 更に、
図3は、センサ表面300と平行な平面内に3×3の矩形格子として配置された、検出セル242-1、242-2、・・・、242-9を示すが、検出セルは任意の様式で配置可能であること、又は、検出セルの形状は任意であり得ることを理解されよう。例えばいくつかの実施形態において、検出セルは三角形又は六角形を有することができる。
【0038】
[054] 例示の実施形態において、各検出セル242は1つ以上の電子感知要素を含む。感知要素はダイオードを含むことができる。例えば各電子感知要素は、PiN又はNiPダイオードを含むことができる。感知要素は、入射エネルギーを測定可能信号に変換可能なダイオードと同様の要素とすることもできる。いくつかの実施形態において、各電子感知要素は、電子感知要素のアクティブエリア内で受け取られる電子に相応する電流信号を発生させることができる。前処理回路は電流信号を増幅し、増幅された電流信号を電圧信号(受け取った電子の強度を表す)に変換することができる。前処理回路は、例えば、電荷移動増幅器(CTA)、トランスインピーダンス増幅器(TIA)、あるいは、CTA又はTIAに結合されたインピーダンス変換回路などの、プリアンプ回路を含むことができる。処理システムは、例えば、センサ領域内に配置された電子感知要素によって発生された電流を合計することによって、電子ビームの強度信号を発生させること、強度信号をウェーハ上に入射する一次電子ビームのスキャン経路データと相関させること、及び、相関に基づいてウェーハのイメージを構築することが可能である。
【0039】
[055]
図4は、本開示のいくつかの実施形態に従った、電子検出器240の厚み方向の断面に沿って得られる電子検出器240の例示的構造を示す図である。例えば、断面は、検出器の側面のうちの1つに平行な平面(例えば、
図3の平面310)に沿って、電子検出器240を切断することによって形成可能である。
図4を参照すると、電子検出器240は、電子検出器240の厚み方向に沿った層410、420、430、440、450、及び460を含む、層構造を有することができる。
【0040】
[056] 具体的に言えば、層410は第1の金属層412を含むことができる。第1の金属層412は、二次電子ビーム280-1、280-2、・・・、280-n(
図2では集合的に二次電子ビーム280と呼ばれる)などの、電子検出器240上に入射する電子を受け取るための層である。したがって、第1の金属層412は、電子検出器240の電子入射表面として構成される。例えば、第1の金属層412の材料は、高導電性であり、信号電子が容易に侵入可能な、アルミニウム又は他の金属(例えば、小さな原子番号を有する金属)とすることができる。更に層410は、第1の金属層412を保護するように第1の金属層412の周囲に形成される、二酸化ケイ素(SiO
2)などの絶縁体416を含むことができる。
【0041】
[057] いくつかの実施形態において、例えば
図4に示されるように、第1の金属層412は中央部分413及び境界部分414に分けることができる。中央部分413は入射二次電子ビームを受け取るために使用可能であり、境界部分414は第1の金属層412上に印加されるべきバイアス電圧を受け取るために使用可能である。境界部分414は、バイアス電圧の受け取りを容易にするために、中央部分413よりも厚く作ることができる。例えば、中央部分413の厚みは10から200nmの範囲内とすることができ、境界部分414の厚みは1から10μmの範囲内とすることができる。中央部分413の厚みは、実質的に二次電子などの入射電子が妨げられることなく通過できるようにしながら、所定量の電流が中央部分413を介して導電できるようにすることの考察に基づいて設定可能である。中央部分413は、入射電子に対して実質的に透過性を保持するように設定可能である。中央部分413の厚みは、ノイズを低減させるように、入射電子以外の粒子を遮断することの考慮に基づいて設定可能である。境界部分414の厚みは、低抵抗率導電を可能にすることの考察に基づいて設定可能である。
【0042】
[058]
図5は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、第1の金属層412を示す上面図である。
図5に示されるように、第1の金属層412の中央部分413は、入射二次電子ビームを受け取るための単一の検出表面を形成し、第1の金属層412の境界部分414は、そのコーナーにおいて1つ以上の電極に接続される。第1の金属層412は、例えば6×6mmの寸法の、実質的に方形の領域を形成することができる。境界部分414の幅は、例えば0.1mmとすることができる。
【0043】
[059]
図4に戻って参照すると、層420は層410に近接して形成され、p形半導体領域422を含むことができる。例えば、p形半導体領域422は、自由正孔を作成するように、ホウ素、アルミニウム、ガリウムなどの3価不純物によってドープすることができる。p形半導体領域422は、P+領域などの高濃度にドープされた領域とすることができる。第1の金属層412は、p形半導体領域422の頂部に堆積可能である。したがって、p形半導体領域422は第1の金属層412によってコーティング可能である。
【0044】
[060] 層430は層420に近接して形成され、真性半導体領域432とすることができる。例えば、真性半導体領域432は、いずれの著しいドーパント種も存在せず、わずかにnドープ又はpドープすることができる。真性半導体領域432は、電子検出器240の他の部分のドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を有することができる。真性半導体領域432は、低濃度でドープされる結果として高い抵抗性を有するように設定された、ドーピング濃度を有することができる。電子検出器240は、例えば、真性半導体領域432がN-領域であり得る場合、シリコンウェーハから形成可能である。層420と440の間の真性半導体領域432の厚みは、例えば、175μmとすることができる。
【0045】
[061] 層440は、層430に近接して形成され、複数のn形半導体領域444及び1つ以上のp形半導体領域442を含むことができる。層440は層420から間隔を置いて配置される。層440内の1つ以上のp形半導体領域442は、層420内のp形半導体領域422と同様にドープすることができる。複数のn形半導体領域444は、自由電子を作成するように、リン、アンチモン、ヒ素などの、5価不純物によってドープすることができる。n形半導体領域444は、N+領域などの高濃度にドープされた領域とすることができる。
図4に示されるように、1つ以上のp形半導体領域442は、複数のn形半導体領域444から間隔を置いて配置され、したがって1つ以上のp形半導体領域442は複数のn形半導体領域444と物理的に接触しない。いくつかの実施形態において、層440は、複数のn形半導体領域444と1つ以上のp形半導体領域442との間の導電性を妨げるように、複数のn形半導体領域444を1つ以上のp形半導体領域442から分離させる、複数の真性領域446を含むことができる。複数の真性領域446は、真性半導体領域432と同様にドープすることができる。いくつかの実施形態において、複数の真性領域446及び真性半導体領域432は、単一の真性領域を形成することが可能であり、同じ基板から製造することが可能である。複数の真性領域446及び432を形成する真性半導体は、隣接することが可能である。
【0046】
[062]
図6は、層440を示す平面図である。
図6を参照すると、層440は、矩形格子内に配置された9つのn形半導体領域444などの、複数の離散n形半導体領域444を含む。下記でより詳細に説明するように、9つのn形半導体領域444の各々は、電子検出器240の検出セル242に対応することができる。更に、複数のn形半導体領域444は、1つ以上のp形半導体領域442によって互いに区分される。例えば、各n形半導体領域444をp形半導体領域442によって囲むことができる。加えて、複数のn形半導体領域444は、真性領域446によって1つ以上のp形半導体領域442から分離することができる。
【0047】
[063]
図4に戻って参照すると、層450は、複数のn形半導体領域444及び1つ以上のp形半導体領域442上に堆積可能な、第2の金属層452を含む。第2の金属層452の材料は、金又は銅などの、高い表面導電性を伴う金属とすることができる。第1の金属層412とは異なり、第2の金属層452は高い電子侵入性である必要はない。したがって、第2の金属層452の材料の原子番号は、第1の金属層412のそれよりも高い可能性がある。第2の金属層452は、複数のn形半導体領域444の各々から電流を搬送するための出力線(
図4には示されていない)を含むことができる。出力線は、後に説明するように、n形半導体領域444にバイアスを印加するためのものと同じとすることができる。
【0048】
[064] 第2の金属層452は、互いに分離された第2の金属領域453及び454を含むことができる。第2の金属領域453及び454は、n形又はp形の半導体領域上に直接形成可能である。したがって、下にあるn形又はp形の半導体領域と外部電圧源との間に、電気接続を形成することができる。第2の金属領域453及び454は、独立に電気的に制御可能である。更に、エッジ金属領域456を真性半導体領域432上に直接形成することができる。真性半導体領域432は非常に低濃度にドープ可能であり、したがって、非常に高い抵抗性を有し得、したがって、金属領域456と真性半導体領域432との間のいずれの電気接続も高い抵抗性とすることができる。いくつかの実施形態において、リード線を金属領域の底部側に取り付けることができる。
【0049】
[065]
図7は、層440上に堆積可能な第2の金属層452を示す平面図である。
図7を参照すると、第2の金属層452は、複数の第2の金属領域453を形成するために複数のn形半導体領域444の表面上に堆積可能であり、また、1つ以上の第2の金属領域454を形成するために1つ以上のp形の半導体領域442上に堆積可能である。第2の金属領域453は、複数のn形半導体領域444と1つ以上のp形半導体領域442との間の導電性を妨げるように、1つ以上の第2の金属領域454と物理的に接触していない。第2の金属領域453と第2の金属領域454との間のギャップは、空のままとするか、又は、真性領域446などの真性半導体材料で埋めることができる。電子検出器240の動作中、1つ以上のp形半導体領域442は、バイアス電圧を1つ以上のp形半導体領域442に印加できるように、バイアス電圧を受け取るためのパッド510などの1つ以上の電極に接続可能である。バイアス電圧は、第2の金属領域454を介して1つ以上のp形半導体領域442に印加可能である。
【0050】
[066]
図4に戻って参照すると、層460は、複数のn形半導体領域444上に堆積された第2の金属と、1つ以上のp形半導体領域442上に堆積された第2の金属との間のギャップをカバーすることが可能な、絶縁層462を含む。絶縁層462は、絶縁層416と同じ材料で作られる。絶縁層462は、第2の金属領域453と第2の金属領域454との間のギャップに重なるか、又はギャップを埋めることができる。絶縁層462を構成する材料は、絶縁体416の材料、例えばSiO
2と同様とすることができる。
【0051】
[067]
図8は、第2の金属層452上に堆積可能な絶縁層462を示す平面図である。
図8を参照すると、絶縁層462は、第2の金属領域453と第2の金属領域454との間の短絡を防ぐように、第2の金属領域453と第2の金属領域454との間のギャップをカバーするために使用可能である。例示の実施形態において、eビームツール(例えば、eビームツール104)で使用されるとき、電子検出器240はセラミック板又はプリント回路板にパッケージングすることができる。出力線は、出力信号をデータ処理システムに誘導するために、各第2の金属領域453から延長可能である。
図8に示されるように、セクション240bは、
図9Aにおいて拡大され、より詳細に示されている、部分240aに対応可能である。
【0052】
[068]
図4に戻って参照すると、層440内の各n形領域444及びp形層422の少なくとも一部は、PiNダイオードを形成することができる。p形半導体領域及びn形半導体領域は物理的に互いに分離可能であるため、それらの間に誘引場が形成可能である。例えば、電荷担体は、濃度勾配に起因して、p形半導体領域とn形半導体領域との間を流れる傾向を有する可能性がある。PiNダイオードは、電子検出器240の検出セル242の一部を構成することができる。例えば
図4は、3つの検出セル(すなわち、PiNダイオード)242-1、242-2、及び242-3を示す。検出器240の動作中、電圧はPiNダイオードを横切って印加可能である。例えば、第1の金属層412の境界部分414を介して、p形半導体層422にバイアス436を印加することができる。第2の金属領域452を介して、層440内の1つ以上のp形半導体領域442にバイアス437を印加することもできる。また、第2の金属領域453を介して、層440内の複数のn形半導体領域444の各々にバイアス438を印加することもできる。バイアスは、PiNダイオードが逆バイアスモードで動作するように印加することができる。バイアス436及び438は固定可能であるが、バイアス437は可変である。一例では、バイアスは下記のように印加される。
バイアス436=0V
バイアス437=可変(
図7に示されるようにパッド510によって供給される)
バイアス438=+30V
【0053】
[069] 可変バイアス437は、例えば-5Vから-100Vのレンジ内で調整可能であり得る。したがって、検出セル(例えば、PiNダイオード)242-1、242-2、及び242-3は、真性半導体領域432内に場が形成されるように制御可能である。p形半導体層422、層440内のp形半導体領域442、及びn形領域444に印加されるバイアスによって、電子をn形領域444へと誘引させる電場を形成することができる。二次電子ビーム280が第1の金属層412の頂面上に入射するとき、1検出セルのエリア内の第1の金属層412上に降下する二次電子ビーム280を、対応するn形領域444に到達するような方向に移動させることができる。次いで、n形半導体領域444は、受け取った二次電子ビーム280に相応する電流信号を前処理回路に出力することができる。バイアス437は、近接する検出セル間のクロストークを最小限にするように制御可能である。n形半導体領域444からの出力信号は、バイアス437を調整するためのフィードバック制御において使用可能である。したがって、バイアス437はリアルタイムで調整可能であり得る。
【0054】
[070] 電子検出器240の部分240aが拡大され、
図9Aから
図9Fでより詳細に示されている。次に
図9Aを参照すると、検出器240の一部を構成する部分240aの層構造が示されている。
図9Aは、1つの全検出セル242-2の断面図を示す。電子検出器240の複数の検出セルは、複数のn形半導体領域444内の不連続性によって境界が定められるものと見なすことができる。例えば、検出セルは、
図9A内の破線によって示されるように、1つ以上のp形半導体領域442によって境界が定められるものと見なすことができる。単一の検出セルが、近接する半導体領域442の間の領域として画定可能である。複数のn形半導体領域444の中の1つの領域を、1つの検出セルに関連付けることができる。
【0055】
[071] 電子検出器240は、複数の層を含む平面構造を備えることができる。層は、電子検出器240の厚み方向に対して垂直な2次元平面内に延在することができる。幅方向は厚み方向に対して垂直とすることができる。例えば、p形半導体層422は、半導体基板の頂部表面において実質的に平坦な層によって構成することができる。ドーピング不純物が半導体基板内に導入された後、第1の金属層412をp形半導体層422の頂部に堆積させることができる。別の処理ステップにおいて、ドーピング不純物は半導体基板の背面上に導入することができる。例えば層440は、層420を形成する前又は後に形成することができる。
【0056】
[072] 電子検出器240は、その底部側に層440を備えることができる(層440の例は
図4に示されている)。層440は、半導体基板をパターニングすることによって形成可能である。例えば層440は、とりわけマスクを用いてドーピング不純物の異なる種を選択的に導入することによって形成可能である。層440は、
図9Aに示されるように、複数のn形半導体領域444及び1つ以上のp形半導体領域442を備えることができる。複数のn形半導体領域444及び1つ以上のp形半導体領域442は共面とすることができる。いくつかの実施形態において、複数のn形半導体領域444及び1つ以上のp形半導体領域442の各々の厚みは等しいものとすることができる。いくつかの実施形態において、それぞれの領域の厚みは異なってもよい。例えば、ドーピングプロセスは、n形半導体領域又はp形半導体領域の深さが調整できるように制御可能である。複数のn形半導体領域444の各々の幅は、1つ以上のp形半導体領域442のそれよりも大きいものとすることができる。
【0057】
[073] 複数のn形半導体領域444は、互いに区分可能である。例えば区分領域445は、電子検出器240の厚み方向に対して垂直な方向の、複数のn形半導体領域444の各々の間に提供可能である。複数のn形半導体領域を互いに区分する区分領域445は、1つ以上のp形半導体領域442を含むことができる。更に、
図4に示されるように、複数のn形半導体領域444の各々を、1つ以上のp形半導体領域442を含む領域によって取り囲むことができる。
図6の平面図に示されるように、複数のn形半導体領域444のすべてを取り囲む1つ以上のp形半導体領域442を含む、周囲の連続する外側部が存在し得る。n形半導体領域及びp形半導体領域は、交互に提供可能である。
【0058】
[074] 次に
図9Bを参照する。電子検出器240の複数の検出セル242をダイオードとして動作させるとき、電子検出器240の様々な部分にバイアスを印加することができる。
図9Bは、バイアス437が印加される間の、p形半導体領域から生じる電場472内の等電位電場力線を示す。図示された場の形状は、構造のエッジに近い部分を含み、単なる概略的なものであり、例えばエッジ効果に起因して歪曲される可能性があることを理解されよう。
【0059】
[075] バイアス437が変化する際、電場472を操作可能である。例えば、バイアス437は、電場472がより大きくなるように調整可能である。
図9Cは、電場472の増加の効果を示す。いくつかの実施形態において、電子検出器240の厚み寸法における垂直領域内の真性領域を実質的に埋める電場が形成されるように、パラメータを調整することができる。
【0060】
[076] いくつかの実施形態において、バイアス436及び438は一定に保持可能であり、バイアス437は調整可能である。バイアス437は、電子検出器240の検出器セル242-1及び242-2などの、検出器セル間のクロストークを最小限にするように変更可能である。バイアス437は、検出器セル242-1の領域に入る二次電子ビーム280-1の電子などの、第1の検出器セルの領域に入る電子、又は、第1の検出器セルの領域内の任意の電子が、検出器セル242-2などの第2の検出器セルに移動するのを妨げるために、電場472を調整するように変更可能である。1つ以上のp形半導体領域442に印加される電圧は、セグメント分離の幅を制御するために、ウェーハバイアスとは別に制御可能である。電子検出器240のダイオード内に形成される電場の特徴は、例えばバイアス437を変化させることによって操作可能である。
【0061】
[077] 次に
図9Dを参照すると、二次電子ビーム280から電子検出器240の検出セル上に降下する入射電子の状況が示されている。動作中、金属層412の頂部表面上に入射する電子は、金属層412を通過することが可能であり、また、p形半導体領域422に入ることが可能である。p形半導体領域422に到達すると、入射電子はp形半導体領域422と相互作用し、他の電子と衝突し、又はその他の方法で相互作用することが可能であり、したがって、散乱し、ランダムな方向に進むように誘導されることが可能である。しかしながら、適切なバイアスが、例えば422、442、444に印加されるとき、電子は、p形半導体領域422との相互作用に起因して、それぞれの検出セル内の複数のn形半導体領域444の各々に向かって誘引され得る。例えば、p形半導体領域422は正電荷担体(正孔)を用いて高濃度にドープすることが可能であるため、余分な正孔が存在する。高エネルギー電子がp形半導体領域422と真性領域432との間の接合の近くの領域に当たると、電子は、p形半導体領域422の格子内に吸収される可能性がある。これによって空孔が作られ、したがって更なる電荷担体を発生させることができる。電子検出器240のダイオード内に発生した電荷担体は、場の導電性に起因して分離可能であり、正孔はp形半導体領域422に向かって移動する傾向を有し、電子はバイアス436及び438に起因して、複数のn形半導体領域444のうちの最も近い1つに向かって誘引される。更に、電場472は、接近する電子の反発を生じさせることができる。例えば、
図9Dに示されるように、入って来る電子281は、p形半導体領域422に入るとすぐに、近接する検出セルに向かって誘導することができる。しかしながら、電場472は、電子281が、別の検出セル内へ侵入するように真性領域432を介して進むことを妨げる可能性がある。代わりに、電子281は、電子281が初期に着地した検出セルに関連付けられた複数のn形半導体領域444のうちのそれぞれ1つに向かって誘引される可能性がある。このようにして、近接する検出セル間のクロストークを減少させることができる。バイアス437は、電場472が、それぞれの検出セル内の電子を制限するバリアを作成するように制御可能であり、したがってクロストークを防ぐことができる。更に電子は、一般に、正孔よりも高い可動性を有する。したがって、前述のモードでダイオードと共に動作する検出器240は、電子検出器240の帯域幅及び応答時間の増加について有利であり得る。
【0062】
[078] いくつかの実施形態において、電子検出器240を構成するダイオード内での入射電子の挙動は、ドーピング濃度、ダイオードの動作パラメータなどによって影響を受ける可能性がある。例えば電子速度を含むこうした挙動は、ドリフト速度についての等式などの等式によって記述することができる。
【0063】
[079] 信号出力は、複数のn形半導体領域444の各々から収集可能である。信号線は、複数のn形半導体領域444の各々からの電流を搬送するために提供可能である。いくつかの実施形態において、出力信号に使用される線は、バイアス438を印加するために使用される線と同じとすることができる。入射電子は、受け取った電子ビームの強度を示す信号として使用可能な、DC信号変動を発生させることができる。
【0064】
[080] 上記の説明から、電子検出器240は、複数の検出セルを形成するために異なる機構を採用可能であることがわかる。第1に、例えば電子検出器240の底部(例えば、層440)は、異なる電子を集めるために複数のn形領域444に区分することができる。第2に、真性半導体領域432内の電場は、入射電子をそれぞれの検出セルに誘導するだけではなく、異なる検出セルに属する電子間にクロストークが存在しないことを保証するのを助けることができる。いくつかの実施形態において、電子検出器240のセンサ表面は区分することができず、入射電子を受け取るために第1の金属層412の中央部分413全体を使用することができるため、中央部分413には不感エリアが存在しないことになる。したがって、高い検出効率を有する電子検出器が提供可能である。
【0065】
[081] いくつかの実施形態によれば、電子検出器240のセンサ表面の異なるエリアに入射する二次電子は、対応するn形領域に正確に誘導することができる。したがって、電子検出器240は、多数の一次電子ビームを採用するマルチビーム検査システム内で使用するのに特に適している可能性がある。
【0066】
[082] 電子検出器240は二次電子を受け取るものとして説明したが、マルチセル検出器は、正の荷電粒子などの他のタイプの荷電粒子を検出するためにも使用可能であることが容易に理解されるであろう。更に、本開示に従ったマルチセル検出器は、p形及びn形の半導体から構築されるものとは限定されない。むしろ、開示される実施形態に一致する、異なる導電性を備える材料を使用して、前述のp形及びn形の半導体の同じ機能を果たすことができる。したがって、本明細書で使用される「p形」は第1の導電型として一般化することができ、本明細書で使用される「n形」は第2の導電型として一般化することができる。
【0067】
[083] 次に
図10を参照すると、代替の実施形態が考察されている。いくつかの実施形態において、p形半導体及びn形半導体の領域を逆にすることができる。
図10は、上記で
図4から
図9に関して考察したものと同様の電子検出器240の一部を示している。
図10の実施形態は、p形半導体領域とn形半導体領域が交換されているという点で、例えば
図4の実施形態とは異なる。したがって電子検出器240には、n形半導体領域522、1つ以上のn形半導体領域542、及び複数のp形半導体領域544が提供可能である。
図10に示されるように、層440内の複数のp形領域544の各々及びn形半導体領域522の少なくとも一部は、NiPダイオードを形成することができる。NiPダイオードの各々は、電子検出器240の検出セル242の一部を構成することができる。例えば
図10は、検出セル242-2(例えば、NiPダイオード)の図を示す。検出器240の動作中、電圧はNiPダイオードを横切って印加可能である。例えばバイアスは、第1の金属層412を介してn形半導体領域522に印加可能である。バイアスは、例えば、
図4に関して上記で考察した、バイアス437が1つ以上のp形半導体領域442に印加されるのと同様の様式で、第2の金属領域452を介して1つ以上のn形半導体領域542にも印加可能である。また、別のバイアスを、層440内の複数のp形半導体領域544の各々に印加することもできる。ダイオードがこの様式で動作されるとき、例えば、高感度を達成する電子検出器が提供可能である。
【0068】
[084] 次に、別の例示の実施形態を示す
図11を参照する。本開示のいくつかの実施形態において、
図11に示されるような検出器は、検出器の頂部層上での検出セルの物理的分離を含むことができる。
図11は、電子検出器600の厚み方向の断面に沿って得られる電子検出器600の例示的構造を示す。電子検出器600は、検出器240と同様に、装置104内で使用可能であり、したがって、複数の二次電子ビーム280-1、280-2、及び280-3を受け取ることができる。
【0069】
[085] 電子検出器600は、電子検出器600の厚み方向に沿った層610、620、630.640、及び650を含む層構造を有することができる。具体的に言えば、層610は第1の金属層612を含むことができる。第1の金属層612は、二次電子ビーム280-1、280-2、・・・、280-nなどの、電子検出器600上に入射する電子を受け取るための層である。二次電子ビーム280-1、280-2、・・・、280-nの中の1つを受け取るために複数のエリアを提供することが可能であり、各々のエリアには第1の金属層612が提供されている。例えば電子検出器600は、複数の検出セル642-1、642-2、・・・、642-nを備えることができる。
図11では、3つの検出セル642-1、642-2、及び642-3が示されている。第1の金属層612は、電子検出器600の電子入射表面として構成される。例えば、第1の金属層612の材料は、高導電性であり、信号電子が容易に侵入可能な、アルミニウム又は他の金属(例えば、小さな原子番号を有する金属)とすることができる。更に層610は、第1の金属層612の周囲に形成される、二酸化ケイ素(SiO
2)などの絶縁体616を含むことができる。
【0070】
[086] いくつかの実施形態において、例えば
図11に示されるように、第1の金属層612は中央部分613及び境界部分614に分けることができる。中央部分613は入射二次電子ビームを受け取るために使用可能であり、境界部分614は第1の金属層612上に印加されるべきバイアス電圧を受け取るため、又は、電子検出器600からの信号出力を搬送するために使用可能である。境界部分614は、電流又は電圧を搬送するように、中央部分613よりも厚く作ることができる。例えば、中央部分613の厚みは10から200nmの範囲内とすることができ、境界部分614の厚みは1から10μmの範囲内とすることができる。バイアス636を、第1の金属層612に印加することができる。
【0071】
[087]
図12は、本開示の実施形態に一致する、第1の金属層612を示す上面図である。
図12に示されるように、第1の金属層612の中央部分613は、入射二次電子ビームを受け取るための検出表面を形成し、第1の金属層612の境界部分614は、1本以上の出力線512に接続される。第1の金属層612は、複数のp形半導体領域622の各々に対応する、複数の離散金属部分612-1、612-2、・・・、612-nを含むことができる。金属部分、例えば612-1、612-2、及び612-3は、それぞれの検出セルに対応可能である。金属部分612-1、612-2、及び612-3は、各々、完全に封入された中央部分613及び境界部分614を有することができる。金属部分612-1、612-2、及び612-3は、互いに間隔を置いて配置することができる。電子検出器600の外部周辺上のエリアは、出力線512を介して接続可能であり、内部上のエリアは出力線514を介して接続可能である。バイアス636は出力線512又は514を介して印加可能である。エリアを縮小するために、出力線514は出力線512よりも細くすることができる。例えば出力線514は0.05mmの幅を有することができ、出力線512は0.1mmの幅を有することができる。内部の1つの検出セルに2本の出力線514が提供可能であり、電子検出器600を形成するダイの周辺上の1つの検出セルに1本の出力線512が提供可能である。境界部分614によって境界が決められた各検出セルは、1.9×1.9mmの寸法を有することができる。
図12に示されるようなセクション600bは、
図16において拡大され、より詳細に示された、部分600aに対応可能である。
【0072】
[088]
図11に戻って参照すると、層620は層610に近接して形成され、複数のp形半導体領域622を含むことができる。例えば、複数のp形半導体領域622は、自由正孔を作成するように、ホウ素、アルミニウム、ガリウムなどの3価不純物によってドープすることができる。複数のp形半導体領域622は、P+領域などの高濃度にドープされた領域とすることができる。複数のp形半導体領域622の各々は、1つの検出セルに対応可能である。
【0073】
[089] 層630は層620に近接して形成され、真性半導体領域632とすることができる。例えば、真性半導体領域632は、いずれの著しいドーパント種も存在せず、わずかにnドープ又はpドープすることができる。電子検出器600は、例えば、真性半導体領域632がN-領域であり得る場合、シリコンウェーハから形成可能である。
【0074】
[090]
図11に示されるように、複数のp形半導体領域622は物理的に互いに接触しないことが可能である。複数のp形半導体領域622は、均一な間隔を置いて配置可能である。いくつかの実施形態において、層620は、複数のp形半導体領域622を互いに分離するために、複数の真性領域646を含むことができる。複数の真性領域646及び真性半導体領域632は、単一の真性領域を形成することが可能であり、また、同じ基板から製造することが可能である。
【0075】
[091] 層640は、層630に近接して形成され、n形半導体領域644を含むことができる。n形半導体領域644は、自由電子を作成するように、リン、アンチモン、ヒ素などの、5価不純物によってドープすることができる。n形半導体領域644は、N+領域などの高濃度にドープされた領域とすることができる。
【0076】
[092]
図13は、層620を示す平面図である。
図13を参照すると、層620は、矩形格子内に配置された9つのp形半導体領域622などの、複数の離散p形半導体領域622を含む。下記でより詳細に説明するように、9つのp形半導体領域622の各々は、電子検出器600の検出セル642に対応する。更に、複数のp形半導体領域622は、互いに間隔を置いて配置される。いくつかの実施形態において、複数のp形半導体領域622は、真性領域646によって互いに分離することができる(
図11に示される)。更に、絶縁体616と同様の材料を含む絶縁層は、真性領域646の頂部上に形成可能である。
【0077】
[093]
図14は、層640を示す平面図である。層640はn形半導体領域644を含む。n形半導体領域644は、検出器600を形成する基板の一方の側の表面全体を構成することができる。層640は、検出器240の層420と同様に形成可能である。
【0078】
[094]
図11に戻って参照すると、層650は、n形半導体領域644上に堆積可能な、第2の金属層652を含む。第2の金属層652の材料は、金又は銅などの、高い表面導電性を伴う金属とすることができる。第1の金属層612とは異なり、第2の金属層652は高い電子侵入性である必要はない。したがって、第2の金属層652の材料の原子番号は、第1の金属層612のそれよりも高い可能性がある。第2の金属層652は、n形半導体領域644にバイアスを印加するための出力線(
図11には示されていない)を含むことができる。例えばバイアス637を、第2の金属層652を介してn形半導体領域644に印加することができる。
【0079】
[095]
図15は、層640上に堆積可能な第2の金属層652を示す平面図である。
図15を参照すると、第2の金属層652は、単一の連続表面を形成するためにn形半導体領域644の表面上に堆積可能である。第2の金属層652のコーナーに電極(図示せず)が提供可能である。いくつかの実施形態において、第2の金属層652は、検出器600を構成する基板のエッジまで延在可能である。第2の金属層652は、真性半導体領域632上に提供可能である。いくつかの実施形態において、第2の金属層は、n形半導体領域644上にのみ提供可能である。
図11に関して上記で考察したように、電子検出器600の動作中、複数のp形半導体領域622は、バイアス636などのバイアス電圧を受け取るために1つ以上の電極に接続可能である。バイアス電圧は、第1の金属層612を介して複数のp形半導体領域622に印加可能である。出力線は、出力信号をデータ処理システムに誘導するために、各検出セルから延長可能である。一方で、バイアス637はn形半導体領域644に印加可能である。
【0080】
[096] 層620内の複数のp形半導体領域622の各々、及びn形半導体領域644の少なくとも一部は、PiNダイオードを形成することができる。PiNダイオードは、電子検出器600の検出セル642の一部を構成することができる。例えば、
図11は、3つの検出セル(すなわち、PiNダイオード)642-1、642-2、及び642-3を示す。いくつかの実施形態において、n形半導体領域644は、検出器セルの各々に対応する複数の離散セクションとして提供可能である。電子検出器600の動作中、PiNダイオードを横切って電圧を印加することができる。例えばバイアス636は、第1の金属層612の境界部分614を介して、複数のp形半導体領域622の各々に印加可能である。バイアス637は、第2の金属層652を介して層640内のn形半導体領域644に印加可能である。バイアスは、n形半導体領域644と第2の金属層652との間の電位差が-5から-100の範囲内にあるように、ある値に固定することができる。バイアスは、例えば帯域幅が必要とする適用範囲に基づいて設定可能である。いくつかの実施形態において、より高い電圧を使用してより高い帯域幅を達成することができる。一例では、バイアスは以下のように印加される。
バイアス636=-30V
バイアス637=0V
【0081】
[097] したがって、検出セル642-1、642-2、及び642-3はPiNダイオードとして作用することができる。バイアスが、こうした極性と共に層620内の複数のp形半導体領域622及び層640内のn形半導体領域644に印加されることにより、ダイオードはそれらを流れる電流に対して抵抗性が少なくなる可能性がある。電荷担体は、ダイオード全体にわたって連続的に導電性であり得る。例えば、正孔はn形半導体領域644に向かって誘引され得、電子は複数のp形半導体領域622のうちのそれぞれの1つに向かって誘引され得る。二次電子ビーム280が第1の金属層612の頂部表面上に入射するとき、第1の金属層612の異なるエリア上に降下する二次電子ビーム280は、複数のp形半導体領域622と相互作用する可能性がある。p形半導体領域622との相互作用に起因して、正孔はn形半導体領域644に向かって下方向に進行させることが可能であり、信号電子は上方へと誘導される。信号電子は、第1の金属層612に向かって加速され、ここで、受け取った二次電子ビーム280に相応する電流信号として、前処理回路へと出力することができる。
【0082】
[098] 電子検出器600の部分600aは、
図16において拡大され、より詳細に示される。
図16は、検出器600の一部を構成し、1つの検出セル642-2全体の断面図を示す、部分600aの層構造を示す。電子検出器600の複数の検出セルは、複数のp形半導体領域622内の不連続によって境界が定められるものと見なすことができる。例えば、検出セルは、
図16内の破線で示されるように、複数のp形半導体領域622のエッジによって境界が定められるものと見なすことができる。単一の検出セルは、複数のp形半導体領域622の側部エッジ間の領域として画定することができる。複数のp形半導体領域622は、互いに区分可能である。例えば、電子検出器600の厚み方向に対して垂直な方向の、複数のp形半導体領域622の各々の間に、区分領域645を提供することができる。複数のp形半導体領域を互いに区分する区分領域645は、真性半導体材料を含むことができる。例えば、真性領域632及び層620内の複数のp形半導体領域622の間の部分を備える、モノリシックの真性領域が存在し得る。SiO
2などの絶縁体を、区分領域645の頂部上に提供することができる。更にいくつかの実施形態において、単一の検出セルを、区分領域645内の近接する中間点の間の領域として画定することができる。n形半導体領域644の異なる部分を、異なる検出セルに関連付けることができる。
【0083】
[099] 電子検出器600は、複数の層を含む平面構造を備えることができる。層は、電子検出器600の厚み方向に対して垂直な2次元平面内に延在可能である。例えば、n形半導体領域644は、半導体基板の1つの表面上に実質的に平坦な層によって構築可能である。第2の金属層652は、ドーピング不純物が半導体基板内に導入された後に、n形半導体層644の頂部上に堆積可能である。別の処理ステップにおいて、ドーピング不純物は、半導体基板の反対側表面上に導入可能である。例えば層620は、層640の形成前又は後に形成可能である。
【0084】
[0100] 電子検出器600の動作中、電子が第1の金属層612の頂部表面上に入射するとき、真性領域632は複数のp形半導体領域622からの電荷担体であふれる可能性がある。電子と正孔のペアが形成可能であり、正孔はn形半導体領域644方向に誘導され、電子は反対方向(すなわち、上方)に誘導される。複数のp形半導体領域622の厚みは非常に薄い可能性があるため、電子は第1の金属層612まで非常に迅速に移動することができる。第1の金属層612に到達すると同時に、電子は出力線512又は514(
図12に図示)を介して出力可能である。ダイオード内の電子は正孔よりも高い可動性を有する可能性があるため、この様に動作している電子検出器600は、高い帯域幅を達成することができる。
【0085】
[0101] いくつかの実施形態において、本明細書で開示される検出器を備える装置が提供可能である。例えば、サンプルの表面上に投射されるべき1つ以上の荷電粒子ビームを発生させるように構成された荷電粒子源を含む、荷電粒子ビーム装置が提供可能である。装置は、第1の導電型の領域を含む第1の層と、第2の導電型の複数の領域を含む第2の層とを含む、検出器を更に含む。荷電粒子源から発生する1つ以上の荷電粒子ビームはサンプルに当たり、その後、検出器に向かって誘導される、二次荷電粒子又は後方散乱荷電粒子などの荷電粒子を発生させることができる。電子検出器240又は電子検出器600などの検出器が提供可能である。検出器に接続可能な増幅器が提供可能である。増幅器は、第2の導電型の検出器の複数の領域から出力される電気信号を増幅するように構成可能である。増幅器は、増幅された信号をデータ処理システムに転送することができる。データ処理システムを含むことができる、コントローラ109などのコントローラが提供可能である。
【0086】
[0102] 次に、例示の検出方法のフローチャートを示す
図17を参照する。コントローラは、
図17のフローチャートの1つ以上のブロックを含む方法を実装するようにプログラム可能である。
図17の処理は、所定の間隔で反復可能である。ステップS101において、荷電粒子イメージングが開始可能である。例えば、
図2に関して上記で考察したプロセスに一致する荷電粒子イメージングプロセスにおいて、荷電粒子ビームを放出するための命令を荷電粒子源に送信することができる。いくつかの実施形態において、電子源202から発せられる電子ビームは、ガンアパーチャ204、コンデンサレンズ206、ソース変換ユニット208、ビームセパレータ222、偏向スキャンユニット226、及び対物レンズ228を通過し、サンプルの表面上に衝突するように、1つ以上のプローブスポットに合焦させることができる。1つ以上のプローブスポットは、サンプルの表面全体にわたってスキャン可能である。サンプル表面から発せられる二次荷電粒子は、電子検出器240又は640などの検出器によって収集され、サンプル上の対象エリアのイメージを形成するために使用することができる。
【0087】
[0103] ステップS102において、検出器の1つ以上のp形又はn形の半導体領域にバイアスを印加することができる。ステップS102は、検出器の第1の導電型の第1の層の第1の領域にバイアスを印加すること、及び、検出器の第2の導電型の第2の層の複数の第2の領域にバイアスを印加することを含むことが可能であり、検出器は第1の層と第2の層との間に真性領域を含む。
【0088】
[0104] いくつかの実施形態において、ステップS102は、バイアス436をp形半導体領域422に印加すること、バイアス437を1つ以上のp形半導体領域442に印加すること、及び、バイアス438を複数のn形半導体領域444に印加することを含むことができる。いくつかの実施形態において、ステップS102は、バイアス636を複数のp形半導体領域622に印加すること、及び、バイアス637をn形半導体領域644に印加することを含むことができる。ステップS102は、逆バイアスでダイオードを動作させることを含むことができる。いくつかの実施形態において、ステップS102は、順方向バイアスでダイオードを動作させることを含むことができる。
【0089】
[0105] ステップS103において、検出器の1つ以上のp形又はn形の半導体領域から出力信号を伝送することができる。いくつかの実施形態において、複数のn形半導体領域は、受け取った電子に相応する電気信号を出力することができる。いくつかの実施形態において、複数のp形半導体領域は、受け取った電子に相応する電気信号を出力することができる。ステップS103は、検出器の出力信号をコントローラによって受け取ることを含むことができる。例えばコントローラ109は、検出器240の複数のn形半導体領域444から電気信号を受信することができるか、又は、検出器600の複数のp形半導体領域622から電気信号を受信することができる。
【0090】
[0106] ステップS104において、ステップS103においてコントローラによって受信された出力信号が適切であるかどうかに関して決定することができる。ステップS104は、荷電粒子検出システム内に異常が存在するか否かを決定することを含むことができる。例えばステップS104は、検出器の出力信号を、逆バイアスされたダイオード又は順方向バイアスされたダイオードの通常動作に対応する値と比較することを含むことができる。
【0091】
[0107] ステップS104において否定的な決定が成された(すなわち、出力信号が適切でない)とき、プロセスはステップS105へと進むことができる。ステップS105において、調整が実行可能である。調整は、検出器に印加されるべきバイアスの値を変更することを含むことができる。例えば、ステップS105は、検出器240の1つ以上のp形半導体領域442にバイアス437として印加される可変バイアスを調整することを含むことができる。調整の実行後、プロセスはステップS102に戻り、調整されたバイアスを印加することができる。
【0092】
[0108] ステップS104において肯定的な決定が成された(すなわち、出力信号が適切である)とき、プロセスはステップS106へと進むことができる。ステップS106において、ステップS103において受信した出力信号に基づき、荷電粒子信号を決定することができる。ステップS103は、受信した出力信号を増幅することを含むことができる。その後、プロセスはステップS107へと進むことができる。ステップS107においてプロセスは終了することができる。いくつかの実施形態では、ステップS106の後に別のプロセスが続くことができる。例えば、検出器の出力信号に基づいてイメージ処理を実行することができる。
【0093】
[0109] いくつかの実施形態において、検出器は、荷電粒子ビームシステムを制御するコントローラと通信することができる。コントローラは、荷電粒子ビームを発生させるように荷電粒子源を制御すること、及び、荷電粒子ビームをスキャンするように偏向器を制御することなどの、様々な機能を実行するように、荷電粒子ビームシステムのコンポーネントに命令することができる。コントローラは、イメージ細分化、イメージ処理、輪郭生成、獲得イメージ上でのインジケータの重畳など、様々な後処理機能も実行することができる。いくつかの実施形態において、検出器専用のコントローラとしてモジュールを提供することが可能であり、別のコントローラは荷電粒子ビームシステムの他のコンポーネントを制御する。
【0094】
[0110] 開示される実施形態に一致するコントローラは、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、クラウドストレージ、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体である、ストレージを備えることができる。ストレージはスキャンしたローイメージデータをオリジナルイメージ及び後処理イメージとして保存するために使用可能である。
コントローラのプロセッサに、荷電粒子ビーム検出、イメージ処理、又は他の機能、及び本開示に一致した方法を実施させるための命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体が提供可能である。非一時的媒体の一般的な形は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は任意の他の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、任意の他の光データ記憶媒体、正孔のパターンを備える任意の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH-EPROM又は任意の他のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、及び、同一物のネットワーク化されたバージョン(クラウドストレージなど)を含む。
【0095】
[0111] 下記の第1の条項のセットを使用して実施形態を更に説明することができる。この第1の条項のセット内の条項への言及は、この第1の条項のセット内の他の条項への言及である。
1. 検出器であって、
第1の導電型の領域を含む第1の層と、
第2の導電型の複数の領域、及び、第1の導電型の1つ以上の領域を含む、第2の層であって、第2の導電型の複数の領域は、第2の層の第1の導電型の1つ以上の領域によって互いに区分され、第2の導電型の複数の領域は、第2の層内の第1の導電型の1つ以上の領域と物理的に接触しない、第2の層と、
第1と第2の層の間の真性層と、
を備える、検出器。
2. 第1の導電型はn形であり、第2の導電型はp形である、条項1の検出器。
3. 第2の層は、複数のp形領域の各々を第2の層の1つ以上のn形領域から分離するための、1つ以上の真性領域を更に含む、条項2の検出器。
4. 複数のp形領域の各々は、第2の層内の1つ以上の真性領域によって囲まれる、条項3の検出器。
5. 複数のp形領域の各々は、第2の層内の1つ以上のn形領域によって囲まれる、条項3及び4のいずれか一項の検出器。
6. 真性層はnドープされ、真性層は第1及び第2の層のドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を提供する、条項2から5のいずれか一項の検出器。
7. 第1の層のn形領域は第1の金属によってコーティングされ、
第2の層の複数のp形領域及び1つ以上のn形領域は、第2の金属によってコーティングされる、
条項2から6のいずれか一項の検出器。
8. 第1の金属の原子番号は第2の金属の原子番号よりも小さい、条項7の検出器。
9. 第1の金属はアルミニウムである、条項7及び8のいずれか一項の検出器。
10. 第2の金属は金である、条項7から9のいずれか一項の検出器。
11. 第2の金属上に堆積され、第2の層内の複数のp形領域と1つ以上のn形領域との間のギャップに重なるように構成された、絶縁層、
を更に備える、条項7から10のいずれか一項の検出器。
12. 複数のp形領域に接続された複数の信号出力線、
を更に備える、条項2から11のいずれか一項の検出器。
13. 装置であって、
試験片の表面上に投影されるべき荷電粒子の複数のビームを発生させるように、及び、試験片に電子信号を発生させるように構成された、荷電粒子源と、
検出器であって、
第1の導電型の領域を含む第1の層、
第2の導電型の複数の領域、及び、第1の導電型の1つ以上の領域を含む、第2の層であって、第2の導電型の複数の領域は、第2の層の第1の導電型の1つ以上の領域によって互いに区分される、第2の層、及び、
第1と第2の層の間の真性層、
を備える、検出器と、
第1の層内の第1の導電型の領域は電子信号を受信し、第2の導電型の複数の領域は受信した電子信号に基づいて電気信号を出力し、
第2の導電型の複数の領域によって出力された電気信号を増幅するように、及び、増幅された電気信号をデータ処理システムに転送するように構成された、増幅器と、
を備える、装置。
14. 第1の導電型はn形であり、第2の導電型はp形である、条項13の装置。
15. 第2の層は、複数のp形領域の各々を第2の層の1つ以上のn形領域から分離するための、1つ以上の真性領域を更に含む、条項14の装置。
16. 複数のp形領域の各々は、第2の層内の1つ以上の真性領域によって囲まれる、条項15の装置。
17. 複数のp形領域の各々は、第2の層内の1つ以上のn形領域によって囲まれる、条項15及び16のいずれか一項の装置。
18. 真性層はnドープされ、真性層は第1及び第2の層のドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を提供する、条項14から17のいずれか一項の装置。
19. 第1の層のn形領域は第1の金属によってコーティングされ、
第2の層の複数のp形領域及び1つ以上のn形領域は、第2の金属によってコーティングされる、
条項14から18のいずれか一項の装置。
20. 第1の金属の原子番号は第2の金属の原子番号よりも小さい、条項19の装置。
21. 第1の金属はアルミニウムである、条項19及び20のいずれか一項の装置。
22. 第2の金属は金である、条項19から21のいずれか一項の装置。
23. 第2の金属上に堆積され、第2の層内の複数のp形領域と1つ以上のn形領域との間のギャップに重なるように構成された、絶縁層、
を更に備える、条項19から22のいずれか一項の装置。
24. 複数のp形領域に接続された複数の信号出力線、
を更に備える、条項14から23のいずれか一項の装置。
25. 方法であって、
検出器の第1の層のn形領域及び検出器の第2の層の1つ以上のn形領域に、正電圧を印加することであって、検出器は第1と第2の層の間に真性層を含む、印加すること、
第1の層上の電子信号を受信すること、及び、
受信した電子信号に基づいて、複数のp形領域から電気信号を出力すること、
を含み、
複数のp形領域は、第2の層の1つ以上のn形領域によって互いに区分され、複数のp形領域は、第2の層内の1つ以上のn形領域と物理的に接触しない、
方法。
26. 第2の層は、複数のp形領域の各々を第2の層の1つ以上のn形領域から分離するための、1つ以上の真性領域を更に含む、条項25の方法。
27. 複数のp形領域の各々は、第2の層内の1つ以上の真性領域によって囲まれる、条項26の方法。
28. 複数のp形領域の各々は、第2の層内の1つ以上のn形領域によって囲まれる、条項25から27のいずれか一項の方法。
29. 真性層はnドープされ、真性層は第1及び第2の層のドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を提供する、条項25から28のいずれか一項の方法。
30. 第1の層のn形領域は第1の金属によってコーティングされ、
第2の層の複数のp形領域及び1つ以上のn形領域は、第2の金属によってコーティングされる、
条項25から29のいずれか一項の方法。
31. 第1の金属の原子番号は第2の金属の原子番号よりも小さい、条項30の方法。
32. 第1の金属はアルミニウムである、条項30及び31のいずれか一項の方法。
33. 第2の金属は金である、条項30から32のいずれか一項の方法。
【0096】
[0112] 下記の第2の条項のセットを使用して実施形態を付加的に説明することができる。この第2の条項のセット内の条項への言及は、この第2の条項のセット内の他の条項への言及である。
1. 基板であって、
第1の導電型の第1の領域を含む第1の層と、
第2の導電型の複数の第2の領域、及び、第1の導電型の1つ以上の第3の領域を含む、第2の層であって、複数の第2の領域は、1つ以上の第3の領域によって互いに区分され、複数の第2の領域は1つ以上の第3の領域から間隔を置いて配置される、第2の層と、
第1の層と第2の層の間の真性層と、
を備える、基板。
2. 第1の導電型はp形半導体であり、第2の導電型はn形半導体である、条項1の基板。
3. 第2の層は、複数の第2の領域の各々を第2の層の1つ以上の第3の領域から分離する、真性領域を更に含む、条項1又は2のうちの一項の基板。
4. 複数の第2の領域の各々は、第2の層内の真性領域によって囲まれる、条項1から3のいずれか一項の基板。
5. 複数の第2の領域の幅は1つ以上の第3の領域の幅よりも大きい、条項1から4のいずれか一項の基板。
6. 真性層はnドープされ、真性層は、第1の領域、複数の第2の領域、及び1つ以上の第3の領域の、ドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を有する、条項1から5のいずれか一項の基板。
7. 真性層はpドープされ、真性層は、第1の領域、複数の第2の領域、及び1つ以上の第3の領域の、ドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を有する、条項1から5のいずれか一項の基板。
8. 第1の領域は第1の金属によってコーティングされ、
複数の第2の領域及び1つ以上の第3の領域は、第2の金属によってコーティングされる、
条項1から7のいずれか一項の基板。
9. 第1の金属の原子番号は第2の金属の原子番号よりも小さい、条項8の基板。
10. 第1の金属はアルミニウムである、条項8又は9のうちの一項の基板。
11. 第2の金属は金である、条項8から10のいずれか一項の基板。
12. 第2の金属上に堆積され、第2の層の複数の第2の領域と1つ以上の第3の領域との間のギャップをカバーする、絶縁層、
を更に備える、条項8から11のいずれか一項の基板。
13. 複数の第2の領域に接続された複数の信号出力線、
を更に備える、条項1から12のいずれか一項の基板。
14. 基板であって、
第1の導電型の第1の領域を含む第1の層と、
第2の導電型の複数の第2の領域を含む第2の層であって、複数の第2の領域は、区分領域によって互いに区分される、第2の層と、
第1の層と第2の層の間の真性層と、
を備える、基板。
15. 区分領域は、複数の第2の領域の各々を互いに分離する真性領域を含む、条項14の基板。
16. 第1の導電型はn形半導体であり、第2の導電型はp形半導体である、条項14又は15のうちの一項の基板。
17. 複数の第2の領域の各々は、第2の層内の真性領域によって囲まれる、条項15又は16のうちの一項の基板。
18. 真性層はnドープされ、真性層は、第1の領域及び複数の第2の領域のドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を有する、条項14から17のいずれか一項の基板。
19. 第1の領域は第1の金属によってコーティングされ、
複数の第2の領域は第2の金属によってコーティングされる、
条項14から18のいずれか一項の基板。
20. 第2の金属は、複数の第2の領域の各々に対応する複数の金属部分を含む、条項19の基板。
21. 第2の金属を介して複数の第2の領域に接続された複数の信号出力線、
を更に備える、条項19又は20のうちの一項の基板。
22. 第2の金属の原子番号は第1の金属の原子番号よりも小さい、条項19から21のいずれか一項の基板。
23. 第1の金属は金である、条項19から22のうちのいずれか一項の基板。
24. 第2の金属はアルミニウムである、条項19から23のいずれか一項の基板。
25. 第2の層は、
第1の導電型の1つ以上の第3の領域を更に含み、複数の第2の領域は1つ以上の第3の領域によって互いに区分され、複数の第2の領域は1つ以上の第3の領域から間隔を置いて配置される、
条項14の基板。
26. 第1の導電型はp形半導体であり、第2の導電型はn形半導体である、条項14又は25のうちの一項の基板。
27. 装置であって、
1つ以上の荷電粒子ビームを発生させるように構成された荷電粒子源と、
検出器であって、
第1の導電型の第1の領域を含む第1の層、
第2の導電型の複数の第2の領域を含む第2の層であって、複数の第2の領域は互いに区分される、第2の層、及び、
第1の層と第2の層の間の真性層、
を備える、検出器と、
複数の第2の領域は、受け取った荷電粒子に基づいて電気信号を出力するように構成され、
複数の第2の領域によって出力された電気信号を増幅するように、及び、増幅された電気信号をコントローラに転送するように、構成された増幅器と、
を備える、装置。
28. 検出器の第2の層は、
第1の導電型の1つ以上の第3の領域であって、複数の第2の領域は、1つ以上の第3の領域によって互いに区分され、複数の第2の領域は1つ以上の第3の領域から間隔を置いて配置される、第1の導電型の1つ以上の第3の領域、
を更に含む、条項27の装置。
29. 検出器の第1の層内の第1の領域は、検出器のセンサ表面上に入射する荷電粒子を受け取るように構成された、条項27及び28のうちの一項の装置。
30. 第1の導電型はp形半導体であり、第2の導電型はn形半導体である、条項27から29のうちのいずれか一項の基板。
31. 検出器の第2の層内の複数の第2の領域は、検出器のセンサ表面上に入射する荷電粒子を受け取るように構成された、条項27の装置。
32. 第1の導電型はn形半導体であり、第2の導電型はp形半導体である、条項27又は31のうちの一項の装置。
33. 方法であって、
検出器の第1の層の第1の導電型の第1の領域に第1のバイアスを印加すること、及び、検出器の第2の層の第2の導電型の複数の第2の領域に第2のバイアスを印加することを含み、検出器は、第1の層と第2の層との間に真性領域を含み、複数の第2の領域は区分領域によって互いに区分される、印加すること、
第2の層から出力信号を受信すること、及び、
受信された出力信号に基づいて荷電粒子信号を決定すること、
を含む、方法。
34. 第1のバイアス又は第2のバイアスのうちの少なくとも1つを調整することを更に含む、条項33の方法。
35. 第1のバイアス及び第2のバイアスを印加することは順方向バイアスを含む、条項33又は34のうちの一項の方法。
36. 第1のバイアス及び第2のバイアスを印加することは逆バイアスを含む、条項33又は34のうちの一項の方法。
37. 区分領域は、複数の第2の領域の各々を互いに分離する真性領域を含む、条項33から36のうちのいずれか一項の方法。
38. 第1の導電型はn形半導体であり、第2の導電型はp形半導体である、条項33から37のうちのいずれか一項の方法。
39. 真性層はnドープされ、
真性層は第1の領域及び複数の第2の領域のドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を有する、条項33から38のいずれか一項の方法。
40. 第2の層は、
第1の導電型の1つ以上の第3の領域であって、複数の第2の領域は、1つ以上の第3の領域によって互いに区分され、複数の第2の領域は1つ以上の第3の領域から間隔を置いて配置される、第1の導電型の1つ以上の第3の領域、
を更に含む、条項33の方法。
41. 第1の導電型はp形半導体であり、第2の導電型はn形半導体である、条項33又は40のうちの一項の方法。
【0097】
[0113] 図面内のブロック図は、本開示の様々な例示の実施形態に従った、システム、方法、及びコンピュータハードウェア/ソフトウェア製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示す。この点に関して、概略図内の各ブロックは、電子回路などのハードウェアを使用して実装可能な一定の算術又は論理演算を表すことができる。ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部も表すことができる。いくつかの代替実装において、ブロック内に示される機能は、図内に示された順序以外で実施可能であることを理解されたい。例えば、連続して示される2つのブロックはほぼ同時に実行又は実装可能であるか、あるいは、2つのブロックは、時には関与する機能性に応じて逆の順序で実行することも可能である。いくつかのブロックは省いてもよい。ブロック図の各ブロック、及びブロックの組み合わせは、指定された機能又は行為を実行する特定用途向けハードウェアベースシステムによって、あるいは、特定用途向けハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせによって、実装可能であることも理解されたい。
【0098】
[0114] 本開示の実施形態は、上記で説明し添付の図面に示した正確な構成に限定されるものではなく、その範囲を逸脱することなく様々な修正及び変更が可能であることを理解されよう。例えば、いくつかの実施形態をマルチビーム装置との関連において考察してきたが、単一のビームがサンプルに当たることから複数のビームが発生可能な単一ビーム装置にも同様に、マルチセル検出器が適用可能である。