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特許7179848ベースバンド、基本および高調波同調ネットワークを組み合わせたRF電力増幅器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】ベースバンド、基本および高調波同調ネットワークを組み合わせたRF電力増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/56 20060101AFI20221121BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20221121BHJP
   H03H 7/38 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
H03F1/56
H03F3/24
H03H7/38 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020528460
(86)(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 US2018062612
(87)【国際公開番号】W WO2019104325
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-05-25
(31)【優先権主張番号】15/823,155
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】アリゴング バヤナー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヘドン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】トラン フランク
(72)【発明者】
【氏名】ム チェンリ
(72)【発明者】
【氏名】ハシモト エジ
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第9673766(US,B1)
【文献】特開2016-181788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0138871(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0173039(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
H03H7/38-7/40
H04B1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の端子、第二の端子、および基準電位端子(114)を備えるRF増幅器デバイス(108)のためのインピーダンス整合ネットワーク(116)であって、
前記基準電位端子(114)に接続された基準電位ポート(106)と、
基本周波数整合回路(124)であって、前記第一の端子および前記第二の端子と前記基準電位ポート(106)との間に直列に接続されたリアクタンス性素子またはコネクタを備え、基本周波数範囲内の前記RF増幅器デバイス(108)の固有インピーダンスの複素共役を前記RF増幅器デバイス(108)の前記第一の端子および前記第二の端子のうち一つに示すように構成された基本周波数整合回路(124)と、
ベースバンド終端回路(122)であって、前記基本周波数整合回路(124)のノードと前記基準電位ポート(106)との間に電気的に接続され、ベースバンド周波数範囲内の信号を前記基準電位ポート(106)に終端させるために前記基本周波数範囲を下回る前記ベースバンド周波数範囲内の前記信号に対して低インピーダンスを示すように構成されたベースバンド終端回路(122)と、
第二高調波終端回路(126)であって、前記基本周波数整合回路(124)と直列に電気的に接続され、第二高調波を前記基準電位ポート(106)に終端させるために前記基本周波数範囲内のRF信号の前記第二高調波に対して低インピーダンスを示すように構成された第二高調波終端回路(126)と、
を備え、
前記RF増幅器デバイス(108)はRFトランジスタである、
インピーダンス整合ネットワーク(116)。
【請求項2】
前記基本周波数整合回路(124)は前記基本周波数範囲にわたって2dBよりも小さい変動で前記RF増幅器デバイス(108)への、またはそれからの電力を伝達するように構成される、請求項1に記載のインピーダンス整合ネットワーク(116)。
【請求項3】
前記基本周波数整合回路(124)は直列に電気的に結合された第一のキャパシタ(128)および第一のインダクタ(130)を備え、
前記第一のキャパシタ(128)のキャパシタンスは前記第一のキャパシタ(128)が前記基本周波数範囲内の周波数で短絡として現れ、
前記第一のインダクタ(130)のインダクタンスは前記第一のインダクタ(130)と前記RF増幅器デバイス(108)の固有キャパシタンスとが前記基本周波数範囲内の周波数で並列LC共振器を形成する、
請求項1に記載のインピーダンス整合ネットワーク(116)。
【請求項4】
前記第二高調波終端回路(126)は前記基本周波数整合回路(124)の前記第一のインダクタ(130)と前記第一のキャパシタ(128)との間に直列に接続された並列LC共振器(126)を備え、
前記並列LC共振器は第二のインダクタ(132)と並列に接続された第二のキャパシタ(134)を備え、
前記第二のインダクタ(132)のインダクタンスおよび前記第二のキャパシタ(134)のキャパシタンスは前記第一のインダクタ(130)および前記RF増幅器デバイス(108)の固有キャパシタンスとともに、前記第二高調波を前記基準電位ポート(106)に終端させるために前記並列LC共振器が前記基本周波数範囲内の前記信号の前記第二高調波に対して前記低インピーダンスを示す、
請求項3に記載のインピーダンス整合ネットワーク(116)。
【請求項5】
前記ベースバンド終端回路(122)は前記第一のキャパシタ(128)および前記第二高調波終端回路(126)に電気的に結合された第三のキャパシタ(140)および第三のインダクタ(138)を備え、
前記第三のインダクタ(138)のインダクタンスおよび前記第三のキャパシタ(140)のキャパシタンスは前記第三のインダクタ(138)および前記第三のキャパシタ(140)が前記ベースバンド周波数範囲内の信号に対して前記低インピーダンスを提供する、
請求項3に記載のインピーダンス整合ネットワーク(116)。
【請求項6】
前記並列LC共振器、前記第一のキャパシタ(128)、前記第三のインダクタ(138)、および前記第三のキャパシタ(140)は単一の集積受動デバイス(216)内に提供される、請求項5に記載のインピーダンス整合ネットワーク(116)。
【請求項7】
前記ベースバンド終端回路(122)はさらに前記第三のキャパシタ(140)および前記第三のインダクタ(138)を前記第一のキャパシタ(128)および前記第二高調波終端回路(126)に電気的に結合させる第一の抵抗器(136)を備え、
前記第一の抵抗器(136)の抵抗値は前記ベースバンド周波数範囲にわたって、前記ベースバンド終端回路(122)のインピーダンス応答が前記第一の抵抗器(136)を用いない場合の前記ベースバンド終端回路(122)の対応するインピーダンス応答よりも平坦にするように設定される
請求項5に記載のインピーダンス整合ネットワーク(116)。
【請求項8】
増幅器回路(100)であって、
第一のポート、第二のポート、および基準電位ポート(106)と、
前記第一のポートに電気的に結合された第一の端子、前記第二のポートに電気的に結合された第二の端子、および前記基準電位ポート(106)に電気的に結合された基準電位端子(114)を備えるRF増幅器デバイス(108)であって、前記RF増幅器デバイス(108)は固有キャパシタンスを有し、前記基本周波数範囲内の基本周波数を有するRF信号を増幅するように構成される、RF増幅器デバイス(108)と、
請求項1-7のいずれかに記載されているインピーダンス整合ネットワーク(116)であって、前記インピーダンス整合ネットワークは前記RF増幅器デバイス(108)の前記第一の端子および前記第二の端子のうち一つおよび前記第一のポートおよび前記第二のポートのうち対応する一つに電気的に結合される、インピーダンス整合ネットワーク(116)と、
を備え、
前記RF増幅器デバイス(108)はRFトランジスタである、
増幅器回路(100)。
【請求項9】
前記インピーダンス整合ネットワーク(116)が結合されている前記RF増幅器デバイス(108)の前記端子間に接続された直列分岐(118)
前記直列分岐(118)と前記基準電位ポート(106)との間で前記RF増幅器デバイス(108)と並列に接続された並列分岐(120)と、
を備え、
前記ベースバンド終端回路(122)、前記基本周波数整合回路(124)、および前記第二高調波終端回路(126)の各々は前記並列分岐(120)内に提供される、
請求項8に記載の増幅器回路(100)。
【請求項10】
DC端子(145)をさらに備え、前記インピーダンス整合ネットワーク(116)の前記ベースバンド終端回路(122)は前記DC端子(145)と前記直列分岐(118)との間に接続された第四のインダクタ(144)をさらに備える、請求項に記載の増幅器回路(100)。
【請求項11】
前記RF増幅器デバイス(108)の前記第一の端子は出力端子(112)であって前記RF増幅器デバイス(108)の前記第一のポートは出力ポート(104)であり、
前記RF増幅器デバイス(108)の前記第二の端子は入力端子(110)であって前記RF増幅器デバイス(108)の前記第二のポートは入力ポート(102)であり、
前記RF増幅器デバイス(108)の固有キャパシタンスは前記RF増幅器デバイス(108)の出力キャパシタンスである、
請求項8に記載の増幅器回路(100)。
【請求項12】
前記RF増幅器デバイス(108)の前記第一の端子は入力端子(110)であって前記RF増幅器デバイス(108)の前記第一のポートは入力ポート(102)であり、
前記RF増幅器デバイス(108)の前記第二の端子は出力端子(112)であって前記RF増幅器デバイス(108)の前記第二のポートは出力ポート(104)であり、
前記RF増幅器デバイス(108)の固有キャパシタンスは前記RF増幅器デバイス(108)の入力キャパシタンスである、
請求項8に記載の増幅器回路(100)。
【請求項13】
パッケージ型RF増幅器(200)であって、
第一の導電性リード、第二の導電性リード、および導電性ダイパッド(212)を備える金属フランジ(202)と、
前記金属フランジ(202)に実装され、かつ前記第一の導電性リードに電気的に結合された第一の端子、前記第二の導電性リードに電気的に結合された第二の端子、および前記導電性ダイパッド(212)に電気的に結合された基準電位端子(114)を備えるRFトランジスタ(214)であって、前記RFトランジスタ(214)は基本RF周波数を含むRF周波数範囲にわたってRF信号を増幅するように構成される、RFトランジスタ(214)と、
前記RFトランジスタ(214)に隣接して前記金属フランジ(202)に実装され、かつ前記第一の端子および前記第一の導電性リードに電気的に結合された集積受動デバイス(216)であって、前記集積受動デバイス(216)およびそのコネクタは請求項1-7のいずれかに記載されている前記インピーダンス整合ネットワーク(116)を備える、集積受動デバイス(216)と、
を備える、パッケージ型RF増幅器(200)。
【請求項14】
前記第一の端子と前記第一の導電性リード(206)との間に直接接続された導電性ボンディングワイヤの第一の組(218)と、
前記第一の端子と前記集積受動デバイス(216)との間に直接接続された導電性ボンディングワイヤの第二の組(220)であって、
導電性ボンディングワイヤの前記第二の組(220)は前記インピーダンス整合ネットワーク(116)の第一のインダクタ(130)を提供し、
前記第一のインダクタ(130)と前記RFトランジスタ(214)の固有キャパシタンスとが前記基本周波数範囲内の周波数で前記インピーダンス整合ネットワーク(116)の並列LC共振器を形成する、
導電性ボンディングワイヤの第二の組(220)と、
をさらに備える、請求項13に記載のパッケージ型RF増幅器(200)。
【請求項15】
前記集積受動デバイス(216)およびそのコネクタは請求項3に記載されている前記インピーダンス整合ネットワーク(116)を備え、
前記第一のキャパシタ(128)は前記第一のインダクタ(130)と前記導電性ダイパッド(212)との間に直列に接続される、
請求項13に記載のパッケージ型RF増幅器(200)。
【請求項16】
前記集積受動デバイス(216)およびそのコネクタは請求項5に記載されている前記インピーダンス整合ネットワーク(116)を備え、
前記第三のインダクタ(138)および前記第三のキャパシタ(140)は前記導電性ダイパッド(212)にさらに接続される、
請求項13に記載のパッケージ型RF増幅器(200)。
【請求項17】
前記RFトランジスタ(214)の前記第一の端子は出力端子(112)であって前記金属フランジ(202)の前記第一の導電性リードは出力リード(206)であり、
前記RFトランジスタ(214)の前記第二の端子は入力端子(110)であって前記金属フランジ(202)の前記第二の導電性リードは入力リード(204)であり、
前記RFトランジスタ(214)の固有キャパシタンスは出力キャパシタンスである、
請求項13に記載のパッケージ型RF増幅器(200)。
【請求項18】
前記RFトランジスタの前記第一の端子は入力端子(110)であって前記金属フランジ(202)の前記第一の導電性リードは入力リード(204)であり、
前記RFトランジスタの前記第二の端子は出力端子(112)であって前記金属フランジ(202)の前記第二の導電性リードは出力リード(206)であり、
前記RFトランジスタ(214)の固有キャパシタンスは入力キャパシタンスである、
請求項13に記載のパッケージ型RF増幅器(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はRF(無線周波数)増幅器に関し、特には、RF増幅器のためのインピーダンス整合ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
RF電力増幅器は無線通信システムの基地局等のような様々な用途において使用されている。RF電力増幅器は歪みのない線形動作を提供するように設計される。RF電力増幅器によって増幅された信号はしばしば400メガヘルツ(MHz)から4ギガヘルツ(GHz)の範囲の周波数を有する高周波変調搬送波を有する信号を含む。搬送波を変調するベースバンド信号は典型的に比較的低い周波数であり、用途に応じて、300MHz以下、またはそれよりも高い周波数とすることができる。
【0003】
RF電力増幅器はRF信号を増幅するためのトランジスタダイを含むことができる。RF用途において使用されるトランジスタダイの例には、MOSFET(金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ)、LDMOS(横拡散金属-酸化物-半導体)デバイス、およびHEMT(高電子移動度トランジスタ)デバイスを含む。これらのデバイスは典型的に比較的低い特性インピーダンス(例えば、2オームまたはそれ以下)を有する。
【0004】
入出力インピーダンス整合ネットワークはハイパワーデバイス用のRFトランジスタの比較的低い特性インピーダンスを固定インピーダンス値(例えば、50オーム)に整合するために使用される。このようにして、負荷を整合することでより優れた効率が得られる。しかしながら、入出力インピーダンス整合ネットワークは周波数選択的(frequency selective)であり、周波数に対するインピーダンス分散を導入し、これにより帯域の制限された電力増幅器動作が生じる。したがって、RF増幅器設計の重要な目標は、広い帯域幅にわたる高効率の動作である。
【0005】
効率的な増幅器の動作は基本周波数を下回るベースバンド周波数においてRF信号を適切に終端すること、および基本周波数範囲を上回る基本信号の高次高調波を適切に終端することにより達成することができる。これらの信号を除去するための一つの方法は、回路基板レベルで、すなわちRFトランジスタダイを含むパッケージの外側に同調回路を提供することである。しかしながら、回路基板レベルの終端技術は複雑であり、貴重なスペースを使用することが必要になる。その上、これらの技術はトランジスタダイと回路基板との間の信号の伝搬に影響を及ぼす寄生効果に起因して有効性が限定されてきた。これらの信号を除去するための別の方法は、パッケージレベルで、すなわち同一のパッケージ内にRFトランジスタダイを含むことである。この解決策は有利には同調回路をトランジスタダイの近くに配置するものの、それにより設計の複雑さが増す。その上、同調ネットワークの様々な構成要素を接続しているボンディングワイヤ間の相互カップリング効果に起因して、理想的な同調は達成することが困難である。この課題は同調ネットワークの複雑さおよび構成要素数が増加すると特に問題になる。
【発明の概要】
【0006】
増幅器回路が開示される。増幅器回路は第一のポート、第二のポート、および基準電位ポートを含む。増幅器回路はさらに第一のポートに電気的に結合された第一の端子、第二のポートに電気的に結合された第二の端子、および基準電位ポートに電気的に結合された基準電位端子を有するRF増幅器デバイスを含む。RF増幅器デバイスは基本RF周波数を含むRF周波数範囲にわたって第一の端子と第二の端子との間でRF信号を増幅するように構成される。増幅器回路はさらにRF増幅器の第一の端子および第一のポートに電気的に結合されたインピーダンス整合ネットワークを含む。インピーダンス整合ネットワークは、ベースバンド終端回路がRF周波数範囲を下回るベースバンド周波数領域において低いインピーダンスを示すように調整された電気的なパラメータを備えるリアクタンス性素子(reactive component)を有するベースバンド終端回路を含む。インピーダンス整合ネットワークはさらに基本周波数整合回路がRF周波数範囲内でRF増幅器デバイスの固有インピーダンスの複素共役を示すように調整された電気的なパラメータを備えるリアクタンス性素子を有する基本周波数整合回路を含む。増幅器回路はさらに第二高調波終端回路が基本RF周波数範囲内の周波数の第二高調波で低いインピーダンスを示すように調整された電気的なパラメータを備えるリアクタンス性素子を有する第二高調波終端回路を含む。
【0007】
パッケージ型増幅器が開示される。パッケージ型増幅器は第一の導電性リード、第二の導電性リード、および導電性ダイパッドを備える金属フランジを含む。パッケージ型RF増幅器はさらに金属フランジに実装されて第一のリードに電気的に結合された第一の端子、第二のリードに電気的に結合された第二の端子、およびダイパッドに電気的に結合された基準電位端子を有するRFトランジスタを含み、RF増幅器デバイスは基本RF周波数を含むRF周波数範囲にわたって第一の端子と第二の端子との間でRF信号を増幅するように構成される。パッケージ型RF増幅器はさらにRFトランジスタに隣接し、第一の端子および第一のリードに電気的に結合された金属フランジに実装された集積受動デバイスを含む。集積受動デバイスは複数のリアクタンス性素子を含む。リアクタンス性素子のパラメータは集積受動デバイスがRF周波数範囲を下回るベースバンド周波数領域において低いインピーダンスを示し、RF周波数範囲内でRF増幅器デバイスの固有インピーダンスの複素共役を示し、基本RF周波数範囲内の周波数の第二高調波で低いインピーダンスを示すように調整される。
【0008】
当業者においては、以下の詳細な説明を読み、また添付図面を見れば、さらなる特徴および利点を認識されるだろう。
【0009】
図面の要素は必ずしも互いに対して正しい縮尺で描かれていない。同様の参照番号は対応する同様の部分を指す。様々な例示される実施形態の特徴はそれらが互いを排除しない限り組み合わせることができる。実施形態は図面に描写され、以下の説明において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ある実施形態による、増幅器回路の電気回路図を描写する。
図2図2Aおよび図2Bを含み、ある実施形態による、パッケージ型増幅器回路を描写する。図2Aは、平面図の視点からの増幅器を描写し、図2Bは、側面図の視点からの増幅器を描写する。
図3図3A図3Bおよび図3Cを含み、ある実施形態による、モデル化されたインピーダンス整合ネットワークを描写する。図3Aは、モデル化されたインピーダンス整合ネットワークの回路図を描写する。図3Bは、ある実施形態による、第二高調波の同調がある場合とない場合のモデル化されたインピーダンス整合ネットワークの伝達特性の比較を描写する。図3Cは、ある実施形態による、周波数範囲にわたるベースバンド終端がある場合とない場合のモデル化されたインピーダンス整合ネットワークの伝達特性の比較を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において開示される実施形態による、増幅器回路が開示される。増幅器回路はRF増幅器デバイスおよびRF増幅器デバイスの出力端子に電気的に結合されたインピーダンス整合ネットワークを含む。インピーダンス整合ネットワークは基本周波数整合、ベースバンド終端、および第二高調波終端を同時に実行するように構成される。この目的のために、インピーダンス整合ネットワークは基本周波数範囲内でRF増幅器デバイスの固有インピーダンスの複素共役を示す第一の無効ネットワーク、ベースバンド周波数範囲内で低いインピーダンスを示す第二の無効ネットワーク、および基本RF周波数の高次高調波で低いインピーダンスを示す第三の無効ネットワークを含む。
【0012】
本明細書で開示される実施形態によると、RF増幅器デバイスおよびインピーダンス整合ネットワークを含む増幅器回路は単一のデバイスパッケージ内部に集積される。RF増幅器デバイスはパッケージリード間でパッケージの導電性ダイパッドに実装されるトランジスタダイにより提供される。インピーダンス整合ネットワークはトランジスタダイとパッケージリードとの間に接続されたダイパッドに実装される受動素子(例えば、キャパシタおよびインダクタ)のネットワークにより提供される。
【0013】
パッケージ型増幅器デバイスの一つの有利な実施形態によると、IPD(集積受動デバイス)は基本周波数整合回路、ベースバンド終端回路および第二高調波終端回路の受動素子のいくつかまたは全てを提供するために使用される。この設計により、トランジスタダイからの距離に起因する面積の増加や有効性の減少のような、選択的なフィルタリングの回路基板レベル技術の欠点が回避される。その上、この設計によりクロスカップリングのような、ボンディングワイヤおよび別個の受動素子(例えば、チップキャパシタ)の複雑なネットワークに依存するパッケージレベル選択フィルタリング技術の欠点が回避される。IPDを使用することにより、クロスカップリングの影響を受けやすい多くのボンディングワイヤがデバイスから除去される。
【0014】
図1を参照すると、増幅器回路100が描写されている。増幅器回路100は入力ポート102、出力ポート104、および基準電位ポート106を含む。増幅器回路100はさらに入力ポート102に電気的に結合された入力端子110、出力ポート104に電気的に結合された出力端子112、および基準電位ポート106に電気的に結合された基準電位端子114を有するRF増幅器デバイス108を含む。様々な実施形態では、RF増幅器デバイス108および完全な増幅器回路100はマルチキャリア増幅器、マルチバンド増幅器、LTE(long term evolution)準拠増幅器、WCDMA(登録商標)(wideband code division multiple access)準拠増幅器、802.11(x)準拠増幅器等とすることができる。
【0015】
一般的に言うと、RF増幅器デバイス108はRF信号の増幅を実行することのできる任意のデバイスとすることができる。描写されている実施形態では、RF増幅器デバイス108はトランジスタデバイスであり、入力端子110はトランジスタデバイスの制御端子またはゲート端子に対応し、出力端子112はトランジスタデバイスの第一の負荷端子(例えば、ドレイン端子)に対応し、基準電位端子114はトランジスタデバイスの第二の負荷端子(例えば、ソース端子)に対応する。
【0016】
RF増幅器デバイス108は基本周波数範囲を含むRF周波数範囲にわたって出力端子110、112間でRF周波数範囲にわたるRF信号を増幅するように構成される。ある実施形態によると、この周波数範囲はいわゆる「広帯域(wideband)」周波数範囲である。「広帯域」周波数範囲はRF信号の周波数値の範囲が信号チャネルのコヒーレント帯域を超えるという事実を指す。
【0017】
以下の議論では、基本(中心)周波数が2.0GHz(ギガヘルツ)である1.8GHzと2.2GHzとの間のRF周波数範囲が増幅器回路100のパラメータを説明する例示的な目的のために使用される。この例では、基本RF周波数の第二高調波は3.6GHzから4.5GHzの範囲にあり、基本周波数の第二高調波は4.0GHzである。その上、この例ではRF周波数範囲内でRF信号を変調するベースバンド信号はRF周波数範囲よりも実質的に低いベースバンド周波数範囲にあり、例えば基本周波数範囲が1.8GHz-2.2GHzのケースでは、400MHz(メガヘルツ)の範囲である。さらに一般的には、本明細書に記載の原理は、100MHzから10GHzの範囲の基本周波数および数MHzから500MHzの範囲のベースバンド周波数を含む、幅広い様々な異なる周波数範囲に適用することができる。
【0018】
増幅器回路100はさらに出力端子112と出力ポート104との間に電気的に結合された出力インピーダンス整合ネットワーク116を含む。出力インピーダンス整合ネットワーク116はRF増幅器の出力端子112とRF増幅器の出力ポート104との間に直列に接続された直列分岐118ならびにRF増幅器の出力ポート104および基準電位端子114と並列の並列分岐120を含む。出力インピーダンス整合ネットワーク116はベースバンド終端回路122、基本周波数整合回路124、および第二高調波終端回路126を含む。ベースバンド終端回路122、基本周波数整合回路124、および第二高調波終端回路126はそれぞれリアクタンス性素子のネットワークにより提供される。描写されている実施形態では、これらのリアクタンス性素子はインダクタおよびキャパシタを含む。以下でさらに詳細に論じられるように、これらのインダクタおよびキャパシタのパラメータ(すなわち、インダクタンスおよびキャパシタンス)は所与の周波数範囲内で所望の周波数応答を提供するために特に調整される。より一般的には、出力インピーダンス整合ネットワーク116のリアクタンス性素子は様々な構成要素(例えば、ラジアルスタブ、伝送ライン等)のいずれかにより提供されることができ、これらの構成要素のパラメータ(例えば、半径、長さ等)は所望の周波数応答を提供するために調整される。
【0019】
基本周波数整合回路124の構成要素は出力インピーダンス整合ネットワーク116がRF増幅器デバイス108の出力端子112においてRF周波数範囲内でRF増幅器デバイス108の固有インピーダンスの複素共役を示すように調整される。当該技術分野において一般に知られるように、最適な電力伝達は入出力インピーダンスが互いの複素共役として整合する時に発生する。典型的に、GaNベースHEMTのようなトランジスタデバイスは比較的低い特性入出力インピーダンス(例えば、2オームまたはそれ以下)を有する。基本周波数整合回路124はRF増幅器デバイス108の出力インピーダンスを固定値(例えば、50オーム)に整合し、固定値はシステムレベルでの標準化された値に対応する。このようにして、システムレベルでの増幅器回路100と他の構成要素との間の最適な電力伝達を達成することができる。1.8GHz(ギガヘルツ)から2.2GHzの例示的な基本周波数範囲を使用して、基本周波数整合回路124におけるリアクタンス性素子のパラメータ(すなわち、キャパシタンスおよびインダクタンス)は1.8GHz(ギガヘルツ)から2.2GHzの基本周波数範囲の全体にわたって(例えば、-2dB(デシベル)よりも小さい)高電力伝達が発生するように調整される。ある実施形態によると、0dBまたは実質的に0dBに近い最適な電力伝達は2.0GHzの中心周波数で発生する。
【0020】
ある実施形態によると、基本周波数整合回路124は第一のキャパシタ128および第一のインダクタ130を含む。第一のキャパシタ128および第一のインダクタ130は並列分岐120に沿って互いに並列に接続される。第一のインダクタ130のインダクタンスはRF増幅器デバイス108の特性インピーダンスに関してインピーダンス整合を提供するために調整される。描写されている回路では、第一のインダクタ130はRF増幅器デバイス108の出力部と並列である。したがって、RF増幅器デバイス108の出力キャパシタンスおよび第一のインダクタ130は第一の並列LC共振器を形成する。当該技術分野において一般に知られるように、並列LC回路はRFの観点から共振周波数、すなわち無効分岐電流が等しく、かつ反対になる点で最大インピーダンスを提供する。ある実施形態によると、第一のインダクタ130のインダクタンスは第一の並列LC共振器が2.0GHzの中心周波数で共振するように調整される。第一のキャパシタ128は非常に低い周波数(例えば、10MHz未満の周波数)およびDC信号を遮断するDC遮断キャパシタとして構成される。したがって、DC遮断キャパシタは非常に大きなキャパシタンス値を有する。このため、基本周波数範囲を含む非常に高い周波数値では、第一のキャパシタ128は基本周波数におけるRFショート(short)として現れる。このようにして、第一の並列LC共振器上の第一のキャパシタ128の効果は第一の並列LC共振器のパラメータを調整する際には無視することができる。
【0021】
第二高調波終端回路126の構成要素は第二高調波終端回路126が第二高調波周波数範囲内でRF増幅器デバイス108の出力端子112で低いインピーダンスを示すように調整される。RF信号の高次高調波成分を除去することにより実質的にデバイスの効率を改善することができる。デバイスの出力部における高調波の発振を緩和することにより、過渡状態の間の電圧および電流波形の形状は重複が最小限になるように、したがってよりすぐれた効率のために有益に抑制される。これは増幅されるRF信号の基本周波数F0のさらに高次の高調波(例えば、2F0、4F0、6F0等)の短絡回路経路を含むことにより行われる。この目的のために、第二高調波終端回路126はRFの観点から例示的な基本周波数範囲内の基本周波数、例えば4.0GHzの第二高調波において短絡回路経路を提供するために調整される。すなわち、第二高調波終端はRF信号がRF出力ポート104に現れないように、この周波数範囲内でRF信号を終端するように設計される。
【0022】
ある実施形態によると、第二高調波終端回路126は第二のインダクタ132および第二のキャパシタ134を含む。第二のインダクタ132および第二のキャパシタ134はインピーダンス整合回路の並列分岐120に沿って互いに並列である。したがって、第二のインダクタ132および第二のキャパシタ134は第二の並列LC共振器を形成する。第二のLC共振器のパラメータ、すなわち第二のキャパシタ134のキャパシタンスおよび第二のインダクタ132のインダクタンスは、RF増幅器デバイス108の出力端子112と基準電位端子114との間の第二高調波のための低インピーダンス経路を提供するために調整される。第二のLC共振器のパラメータのこの調整は第一のインダクタ130およびRF増幅器デバイス108の固有キャパシタンスを含む第一の並列LC共振器を含む、出力インピーダンス整合ネットワーク116における他のリアクタンス値の集合効果を説明する。一般に知られるように、並列共振回路は周波数値が共振周波数を超えて増加するとより容量性になり、また周波数値が共振周波数を下回って減少するとより誘導性になる。この原理を適用すると、第二の並列LC共振器の共振周波数は第二の並列LC共振器が第二高調波で比較的誘導性または容量性であるようにしてRF増幅器の出力端子112と基準電位端子114との間の伝達経路、例えば、第一の並列共振器において他のリアクタンス性素子を補償するように調整することができる。すなわち、第二の並列LC共振器のパラメータは基本周波数、例えば4.0GHzの第二高調波でRF増幅器の出力端子112においてRFショートを示すように選択することができる。
【0023】
ベースバンド終端回路122はRF周波数範囲を下回るベースバンド周波数領域において低いインピーダンスを示すように調整される。これらのより低いインピーダンス値を抑制することにより、ベースバンド周波数領域にわたる相互変調歪み(IMD)の効果を緩和することができ、それにより増幅器回路100の線形効率が改善される。ベースバンド終端回路122のパラメータ(例えば、キャパシタンスおよびインダクタンス)はインピーダンス整合回路がこれらのより低いインピーダンス値を抑制するように選択される。すなわち、ベースバンド終端回路122はこの範囲にある周波数のためのRF増幅器デバイス108の出力端子112から基準電位端子114への(RFの観点からの)低インピーダンス経路を提供する。
【0024】
ある実施形態によると、ベースバンド終端回路122は第一の抵抗器136、第三のインダクタ138、および第三のキャパシタ140を含む。これらの構成要素の各々は出力インピーダンス整合ネットワーク116の第二の分岐142に接続される。出力インピーダンス整合ネットワーク116の第二の分岐142は第一のキャパシタ128を第二の並列LC共振器に直接接続する第一のノード143と基準電位ポートとの間に接続される。ベースバンド終端回路122における構成要素のパラメータの値(すなわち、抵抗値、インダクタンスおよびキャパシタンス)は広帯域ベースバンド周波数領域にわたって低インピーダンス応答を示すように選択される。一例として400MHzのベースバンド周波数範囲を使用して、第三のインダクタ138および第三のキャパシタ140のパラメータはこれらの構成要素と併せてインピーダンス整合回路の他の構成要素がRF増幅器デバイス108の出力端子112から基準電位端子114への低インピーダンス経路を形成するように選択することができる。第一の抵抗器136の抵抗値を調整することにより、ベースバンド終端回路122のインピーダンス応答はベースバンド周波数範囲にわたる性能を向上させるために平坦にされる。すなわち、抵抗器136はベースバンド終端回路122のインピーダンス応答の周波数への依存を少なくするために使用される。
【0025】
任意選択的に、出力インピーダンス整合ネットワーク116は直列分岐118と増幅器回路100のDC端子145との間に接続された第四のインダクタ144を含むことができる。第四のインダクタ144はRFチョーク(RF choke)、すなわちより低い周波数値を伝達する一方でより高い周波数値を遮断するデバイスとして構成される。このRFチョークはベースバンド周波数領域において低インピーダンスを示すために第一の抵抗器136、第三のインダクタ138、および第三のキャパシタ140と併せて使用することができる。
【0026】
増幅器回路100はさらに増幅器回路100の入力ポート102とRF増幅器デバイス108の入力端子110との間に接続された入力インピーダンス整合ネットワーク146を含む。描写されている実施形態では、入力インピーダンス整合ネットワーク146は入力ポート102とRF増幅器デバイス108の入力端子110との間に直列に接続された第五および第六のインダクタ148、150、ならびにRF増幅器デバイス108の入力端子110および基準電位端子114に並列に接続された第四のキャパシタ152を含む。一つの実施形態によると、第六のインダクタ150および第四のキャパシタ152のパラメータはRF増幅器デバイス108の入力キャパシタンスと基板レベルでの固定インピーダンス値(例えば、50オーム)との間のインピーダンス整合のために前述の方法と類似の方法で調整される。
【0027】
図1に描写されているトポロジの代わりに、入力インピーダンス整合ネットワーク146は前述の出力インピーダンス整合ネットワーク116と実質的に類似の方法で構成することができる。このケースでは、出力インピーダンス整合ネットワーク116の直列分岐118は入力ポート102をRF増幅器デバイス108の入力端子110に接続し、並列分岐120はRF増幅器の入力端子110および基準電位端子114に並列である。このインピーダンス整合ネットワークにおける構成要素のパラメータ値は、増幅器デバイスの入力インピーダンス(例えば、MOSFETデバイスのケースにおけるゲートソースキャパシタンス)をネットワークが整合する特性インピーダンスとして使用しながら上記と同一の方法で調整することができる。増幅器回路100の異なる実施形態では、このインピーダンス整合ネットワークトポロジは入力側のみ、出力側のみ、または入力側および出力側の両方に提供することができる。
【0028】
図2を参照すると、ある実施形態による、パッケージ型RF増幅器200が描写されている。パッケージ型RF増幅器200は互いに隣接して配置される、図1に関連して説明された増幅器回路100のうち二つを含有する。パッケージ型RF増幅器200はプリント回路基板のような別のデバイスとインタフェースをとるように構成された金属フランジ202を含む。導電性入力リード204の対は金属フランジ202の第一の側部から離れて延在し、導電性出力リード206の対は金属フランジ202の第二の側部から入力リード204と反対方向に離れて延在する。これらの導電性入出力リード204、206はそれぞれ図1に関連して説明された増幅器回路100の入出力ポート102、104を提供する。任意選択的に、パッケージ型RF増幅器200は出力リード206に隣接するパッケージの側部から離れて延在する独立DCバイアスリード208を含む。
【0029】
電気的に絶縁しているウィンドウフレーム210は金属フランジ202の外周の周りに形成される。ウィンドウフレーム210は金属フランジ202からの入出力リード204、206を含む。金属フランジ202の中心部分はウィンドウフレーム210から露出する。金属フランジ202のこの露出する部分はそこに集積回路デバイスを実装するための導電性ダイパッド212を提供する。金属フランジ202は熱伝導性および導電性材料(例えば、銅、アルミニウム等)を含むことができるため、導電性ダイパッド212は基準電位接続(例えば、GND端子)だけでなくそこに実装された集積回路デバイスから熱を逃がすように構成されたヒートシンクの両方を提供することができる。
【0030】
RFトランジスタ214は金属フランジ202に実装される。これらのRFトランジスタ214は図1の増幅器回路100における前述のRF増幅器デバイス108を提供する。RFトランジスタ214はMOSFET(金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ)、DMOS(二重拡散金属-酸化物-半導体)トランジスタ、GaN HEMT(窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ)、GaN MESFET(窒化ガリウム金属-半導体電界効果トランジスタ)、LDMOSトランジスタ等のようなパワートランジスタ、およびより一般的な任意のタイプのRFトランジスタデバイスとして構成することができる。
【0031】
RFトランジスタ214は導電性入力、出力および基準電位端子を含む。描写されている実施形態では、基準電位端子はRFトランジスタ214の底部に配置される。基準電位端子はダイパッド212に直接面し、かつ、例えば導電性ペーストによりダイパッド212に電気的に接続される。RFトランジスタ214の入出力端子は基準電位端子と反対側にあるRFトランジスタ214の上部に配置される。
【0032】
パッケージ型RF増幅器200はRFトランジスタの出力端子と出力リード206との間に接続される、図1に関連して前述された出力インピーダンス整合ネットワーク116を含む。出力インピーダンス整合ネットワーク116の受動素子の大部分はIPD(集積受動デバイス)216により提供される。IPD216の下部にはRFトランジスタに関連して前述された方法と類似の方法でダイパッド212に実装された基準電位端子114を含む。
【0033】
一般的に言うと、IPDという用語は集積回路を指し、これは半導体をベースとするものであってもよく、またICの内部に集積して形成され、かつその端子に接続されるいくつかの受動デバイスを含む。カスタム回路トポロジはIPDにより提供される。固有の受動素子(例えば、キャパシタ、インダクタ等)の必要な周波数応答を提供するために様々な異なる構造がデバイスの内部に組み上げられる。これらの構造の例には並列プレートキャパシタ、ラジアルスタブ、伝達ライン等を含む。
【0034】
描写されている実施形態では、導電性ボンディングワイヤの第一の組218はRFトランジスタ214の出力端子と出力リード206との間に直接電気的に接続される。導電性ボンディングワイヤの第二の組220はRFトランジスタ214の出力端子と集積受動デバイス216との間に直接電気的に接続される。導電性ボンディングワイヤの第三の組222は出力リード206とDCバイアスリード208との間に直接接続される。
【0035】
導電性ボンディングワイヤの第二の組220は図1に関連して前述されたような出力インピーダンス整合ネットワーク116の第一のインダクタ130を提供する。さらに、導電性ボンディングワイヤの第三の組222は前述されたような出力インピーダンス整合ネットワーク116の第四のインダクタ144を提供する。当業者においては理解されるように、任意のワイヤ接続に関連付けられた所定のインダクタンスが存在する。したがって、パッケージ型RF増幅器200の二つの導電性端子間に延在しているボンディングワイヤの各全長は定義されたインダクタンスを提供する。このインダクタンス値はボンディングワイヤの全長の物理的なパラメータを調整することにより適合させることができる。所望のインダクタンスを達成するために調整することのできる例示的な物理的なパラメータは、いくつかを挙げると、ボンディングワイヤの高さ、ボンディングワイヤ間の離隔距離、ボンディングワイヤの全長の長さを含む。
【0036】
描写されている実施形態では、第一のインダクタ130以外の出力インピーダンス整合ネットワーク116の残りの構成要素はIPD216により提供される。具体的には、第一、第二および第三のキャパシタ128、134、140、第二および第三のインダクタ132、138、ならびに抵抗器136は集積受動デバイス216に組み入れられる。IPD216の内部回路トポロジを例示するためにIPD216により包含される回路の概要154が図1に提供される。この実施形態はIPD216の様々な潜在的な構成のうちの一例を表しているにすぎない。さらに一般的には、IPDは出力インピーダンス整合ネットワーク116内の受動素子のうち任意の一または二以上を提供するために使用され得る。いくつかの分離IPDは他のデバイス、例えばチップキャパシタ等とともに、単一のデバイスパッケージ内に併せて提供されることができる。
【0037】
再び図2を参照すると、デバイスの入力側において、図1に関連して前述された入力インピーダンス整合ネットワーク146が提供される。第四のキャパシタ152は前述の方法と類似の方法でダイパッド212に実装され、かつそれと電気的に接続されたチップキャパシタ224により提供される。ボンディングワイヤの第四の組226は入力リード204とチップキャパシタ224との間に電気的に接続される。ボンディングワイヤの第五の組228はチップキャパシタ224とRFトランジスタ214の入力端子との間に電気的に接続される。ボンディングワイヤの第四の組226は第五のインダクタ148を提供し、ボンディングワイヤの第五の組228は前述の入力インピーダンス整合ネットワーク146内の第六のインダクタ150を提供する。前述のように、入力インピーダンス整合ネットワーク146は第一の出力インピーダンス整合ネットワーク116と類似のトポロジおよび機能を有することができる。そのケースでは、チップキャパシタ224の代わりに、集積受動デバイスがデバイスの入力側に実装され、本明細書に記載の技術に従って構成されることができる。
【0038】
図3を参照すると、ある実施形態による、モデル化された受動ネットワーク300の回路図が描写されている。モデル化された受動ネットワーク300は図1に関連して前述された出力インピーダンス整合ネットワーク116を含む。加えて、RF増幅器デバイス108の出力キャパシタンスはこのネットワークにおいて第五のキャパシタ302としてモデル化される。モデル化された受動ネットワーク300は前述のRF増幅器デバイス108の出力端子112に対応する入力ポート304、および前述の増幅器回路100の出力ポート104に対応する出力ポート306を含む。その上、このモデルでは、DC端子145は基準電位端子145に接続される。
【0039】
図3Aを参照すると、ある実施形態による、モデル化された受動ネットワーク300の回路図が描写されている。モデル化された受動ネットワーク300は図1に関連して前述された出力インピーダンス整合ネットワーク116を含む。加えて、RF増幅器デバイス108の出力キャパシタンスはこのネットワークにおいて第五のキャパシタ302としてモデル化されている。モデル化された受動ネットワーク300は前述のRF増幅器デバイス108の出力端子112に対応する入力ポート304、および前述の増幅器回路100の出力ポート104に対応する出力ポート306を含む。その上、このモデルでは、DC端子145は基準電位端子145に接続される。
【0040】
図3Bを参照すると、モデル化された受動ネットワーク300の伝達特性が示されている。第一の曲線318は入出力ポート304、306間の図3Aのモデル化された受動ネットワーク300の伝達特性をプロットする。第二の曲線320は図3Aのモデル化された受動ネットワークと一致する受動ネットワークの入出力ポート304、306間の対応する伝達特性をプロットするが、第二のLC共振器、すなわち、図3Aに例示されるような第二のインダクタ306および第二のキャパシタ308を含まない。代わりに、第一のインダクタ310が第一のキャパシタ312に直接接続する。図3Bでは、X軸は10MHz-6GHzの周波数掃引に対応し、これはベースバンド、基本、および第二高調波の動作領域を包含する。Y軸はデシベル(dB)を単位として第一のインダクタ130と第二のポートとの間の電力伝達をプロットする。したがって、理想的に伝達された信号は0dBに対応し、一方で第一のポート304と第二のポート306との間で良好に終端された信号はより低い伝達値、例えば-5dB(すなわち、およそ31%の電力比)を下回る値を有する。
【0041】
見られるように、第二高調波終端回路126は基本周波数範囲内の周波数の第二高調波(すなわち、4.3GHzまたはその近くの周波数)を有益に抑制する。その一方で、電力の変化が0dBであるため、基本周波数(すなわち、2.15GHzまたはその近くの周波数)は良好に伝達される。その上、第二高調波終端回路126を含めることは第二高調波周波数範囲外の伝達を有意に低下させない。
【0042】
図3Cを参照すると、別の実施形態による、モデル化された受動ネットワーク300の伝達特性が示されている。第三の曲線322は入力ポート304と出力ポート306との間の図3Aのモデル化された受動ネットワーク300の伝達特性をプロットする。第四の曲線314は図3Aのモデル化された受動ネットワークと一致する受動ネットワークの入力ポート304と出力ポート306との間の対応する伝達特性をプロットするが、ベースバンド終端回路122を含まない。したがって、第二の分岐142および第四のインダクタ144は回路から除去される。図において、X軸は10MHz-6GHzの周波数掃引に対応し、これはベースバンド、および第二高調波動作領域を包含する。値はベースバンド動作領域がより明瞭に例示されるように対数スケールでプロットされる。Y軸はデシベル(dB)を単位として第一のポート304と第二のポート306との間の電力伝達をプロットする。したがって、理想的に伝達された信号は0dBに対応し、一方で第一のポート304と第二のポート306との間で良好に終端された信号はより低い伝達値、例えば-5dB(すなわち、およそ31%の電力比)を下回る値を有する。
【0043】
見られるように、ベースバンド終端回路122はベースバンド周波数領域(すなわち、10Hzからおよそ560MHzの間の周波数)における周波数値を有益に抑制する。その上、ベースバンド終端回路122のインピーダンス応答は比較的平坦であり、ベースバンド終端回路122は周波数独立ベースバンド終端を提供することを意味する。その一方で、基本周波数(すなわち、2.15GHzまたはその近くの周波数)は良好に伝達される。したがって、ベースバンド終端回路122はベースバンド領域外のインピーダンス整合回路の性能を低下させない。
【0044】
本明細書で使用される「同一(same)」、「整合(match, matches)」のような用語は本発明の精神から逸脱することなく変動のある程度の合理的な量が考慮されるように一致、ほぼ一致またはおおよそを意味することを意図している。「一定の(constant)」という用語は、本発明の精神から逸脱することなく変動のある程度の合理的な量が考慮されるように変更もしくは変化しないこと、または再びわずかに変更もしくは変化することを意味する。さらに、「第一(first)」、「第二(second)」等のような用語は、様々な素子、領域、セクション等を説明するために使用され、また限定することを意図していない。本明細書を通して、同様の用語は同様の要素を指す。
【0045】
「直接電気的に接続された(directly electrically connected)」または「電気的に接続された(electrically connected)」という用語は、電気的に接続された素子間の永続的な低インピーダンス接続、例えば、接続された素子間のワイヤ接続を表す。対照的に、「電気的に結合された(electrically coupled)」という用語は、電気信号に影響を与えるように構成された一または二以上の介在する素子が(実数または虚数領域のいずれかの)何らかの方法で電気的に結合された素子間に設けられることを意味する。これらの介在する素子はトランジスタのような能動素子だけでなくインダクタ、キャパシタ、ダイオード、抵抗器等のような受動素子を含む。
【0046】
「下(under)」、「下に(below)」、「下側(lower)」、「上に(over)」、「上側(upper)」等のような空間的かつ相対的な用語は説明を容易にするために使用され、第二の要素に対する一つの要素の配置を説明する。これらの用語は図において描写されたものとは異なる方向に加え、デバイスの異なる方向を包含することを意図している。
【0047】
本明細書で使用されるように、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「含む(including)」、「備える(comprising)」等の用語は言及された要素または特徴の存在を示すものの追加の要素または特徴を排除しないオープンエンドの用語である。冠詞「a」、「an」、および「the」は文脈において明確に示されない限り、単数だけでなく複数を含むものと意図している。
【0048】
上記の範囲の変動および応用形態を念頭に、本発明は上述の説明により限定されるものではなく、また添付図面により限定されるものでもないことを理解されるべきである。代わりに、本発明は以下の特許請求の範囲およびそれらの法的な等価物によってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図3