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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20221121BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20221121BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20221121BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20221121BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20221121BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221121BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
H01L21/88 T
H01L29/06 301G
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652S
H01L29/78 658F
H01L29/50 M
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021099214
(22)【出願日】2021-06-15
(62)【分割の表示】P 2016196234の分割
【原出願日】2016-10-04
(65)【公開番号】P2021145146
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】米倉 智子
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-146626(JP,A)
【文献】特開2009-117755(JP,A)
【文献】特開2016-048760(JP,A)
【文献】特開2016-152357(JP,A)
【文献】特開2002-222826(JP,A)
【文献】特開2000-357708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
H01L 29/06
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/417
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面を覆い、互いに平行に配置された直線状の複数の凹部を表面に有する導電膜と、
前記導電膜の表面を覆い、前記複数の凹部が配置する第1方向に互いに離隔した第1及び第2の端部を含む少なくとも4つの端部を有し且つ前記導電膜を部分的に露出させる開口部を有する保護膜と、
を含み、
上面視において前記開口部の前記端部により形成された各辺が前記複数の凹部に対して交差しており、
前記開口部の形状は、前記複数の凹部に対して0°よりも大であり且つ90°よりも小である角度をなす互いに対向する2辺と、前記複数の凹部に対して垂直な互いに対向するまたは0°よりも大であり且つ90°よりも小である角度をなす他の2辺と、を有する四角形である
半導体装置。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面を覆い、互いに平行に配置された直線状の複数の凹部を表面に有する導電膜と、
前記導電膜の表面を覆い、前記複数の凹部が配置する第1方向に互いに離隔した第1及び第2の端部を含む少なくとも4つの端部を有し且つ前記導電膜を部分的に露出させる開口部を有する保護膜と、
を含み、
上面視において前記開口部の前記端部により形成された各辺が前記複数の凹部に対して交差しており、
前記開口部の端部は、前記第1方向に互いに離隔し前記第1方向に交差する第2方向において前記第1及び第2の端部とそれぞれ対向する第3及び第4の端部を含み、
前記第1及び前記第3の端部により形成された辺と、前記第2及び前記第4の端部により形成された辺の少なくとも一方は、前記複数の凹部の少なくとも1つと繰り返し交差するように蛇行しつつ前記複数の凹部に沿った辺を含み、
前記開口部の蛇行した辺は、前記複数の凹部に対して0°よりも大であり且つ90°よりも小である角度をなす複数の辺からなるジグザグパターンを有する
半導体装置。
【請求項3】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面を覆い、互いに平行に配置された直線状の複数の凹部を表面に有する導電膜と、
前記導電膜の表面を覆い、前記複数の凹部が配置する第1方向に互いに離隔した第1及び第2の端部と、前記第1方向に互いに離隔し前記第1方向に交差する第2方向において前記第1及び第2の端部とそれぞれ対向する第3及び第4の端部とを含む少なくとも4つの端部を有し且つ前記導電膜を部分的に露出させる開口部を有する保護膜と、
を含み、
前記第1及び前記第3の端部により形成された辺と、前記第2及び前記第4の端部により形成された辺の少なくとも一方は、前記複数の凹部の少なくとも1つと繰り返し交差するように蛇行しつつ前記複数の凹部に沿った辺を含む半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体を構成する半導体装置においては、半導体装置の最表面にポリイミド等の絶縁体で構成される保護膜が設けられている。
【0003】
保護膜として機能するポリイミド膜のパターニングに関する技術として、例えば特許文献1には、基板上にポリイミド膜を形成する工程と、レジスト膜をポリイミド膜上に形成する工程と、レジスト膜を露光した後、現像液を用いてレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンをマスクとしてレジスト膜の現像液によってポリイミド膜をエッチングする工程とを有するポリイミド膜のパターニング方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、ポリイミド前駆体樹脂およびポジレジストを現像及びエッチングによりパターン加工した後に、ポジレジストを残した状態で熱処理によってポリイミド前駆体樹脂を硬化させ、その後、ポジレジストおよびポリイミドのエッチング残渣を、ポジレジストをマスクとして用いたドライエッチングにより除去する半導体装置の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-129589号公報
【文献】特開平9-17777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パワーMOSFETやIGBT等のパワー半導体は、半導体基板の表面に互いに平行に配置された直線状に伸びる複数のゲートと、複数のゲートを埋設するように半導体基板の表面を覆う導電膜と、導電膜を部分的に露出させる開口部を有するポリイミド等の絶縁体で構成される保護膜と、を含んで構成される。このような半導体装置においては、半導体基板の表面に互いに平行に配置された直線状に伸びる複数のゲートが設けられることによって半導体基板上に凹凸が生じ、この凹凸に起因して導電膜の表面には複数のゲートの伸びる方向に沿って直線状に伸びる複数の凹部(溝)が形成される。保護膜は、この複数の凹部(溝)を有する導電膜の表面にポリイミド等の樹脂を塗布することによって成膜され、その後、フォトリソグラフィー技術を用いて保護膜に開口部が形成される。この開口部は、開口部に応じたパターンのレジストマスクを保護膜の表面に形成し、このレジストマスクを介して保護膜をエッチングすることにより形成される。なお、保護膜のエッチャントとしてレジストマスクの現像液を使用することが可能である。保護膜の開口部の典型的な形状は、複数のゲートの伸びる方向、すなわち、導電膜の表面に形成された複数の凹部の伸びる方向と平行な辺を含む正方形または長方形である。
【0007】
しかしながら、このような構造の半導体装置においては、保護膜の熱硬化処理が完了した段階で、ひも状を呈する保護膜の残渣が、保護膜の開口部において露出した導電膜の表面に残ることが本発明者によって発見された。保護膜の開口部において露出した導電膜の表面には、ワイヤがボンディングされる場合があり、導電膜の表面に保護膜の残渣が付着していると、ワイヤのボンディング不良が発生するおそれがある。また、導電膜の表面に外部接続端子が形成される場合があり、導電膜の表面に保護膜の残渣が付着していると、導電膜と外部接続端子との接続不良が発生するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、保護膜の残渣の発生を抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の表面を覆い、互いに平行に配置された直線状の複数の凹部を表面に有する導電膜と、前記導電膜の表面を覆い、前記複数の凹部が配置する第1方向に互いに離隔した第1及び第2の端部を含む少なくとも4つの端部を有し且つ前記導電膜を部分的に露出させる開口部を有する保護膜と、を含む。上面視において前記開口部の前記端部により形成された各辺が前記複数の凹部に対して交差している。前記開口部の形状は、前記複数の凹部に対して0°よりも大であり且つ90°よりも小である角度をなす互いに対向する2辺と、前記複数の凹部に対して垂直な互いに対向するまたは0°よりも大であり且つ90°よりも小である角度をなす他の2辺と、を有する四角形である。本発明の他の態様に係る半導体装置は、前記開口部の端部は、前記第1方向に互いに離隔し前記第1方向に交差する第2方向において前記第1及び第2の端部とそれぞれ対向する第3及び第4の端部を含み、前記第1及び前記第3の端部により形成された辺と、前記第2及び前記第4の端部により形成された辺の少なくとも一方は、前記複数の凹部の少なくとも1つと繰り返し交差するように蛇行しつつ前記複数の凹部に沿った辺を含み、前記開口部の蛇行した辺は、前記複数の凹部に対して0°よりも大であり且つ90°よりも小である角度をなす複数の辺からなるジグザグパターンを有する。
【0010】
本発明に係る他の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の表面を覆い、互いに平行に配置された直線状の複数の凹部を表面に有する導電膜と、前記導電膜の表面を覆い、前記複数の凹部が配置する第1方向に互いに離隔した第1及び第2の端部と、前記第1方向に互いに離隔し前記第1方向に交差する第2方向において前記第1及び第2の端部とそれぞれ対向する第3及び第4の端部とを含む少なくとも4つの端部を有し且つ前記導電膜を部分的に露出させる開口部を有する保護膜と、を含む。前記第1及び前記第3の端部により形成された辺と、前記第2及び前記第4の端部により形成された辺の少なくとも一方は、前記複数の凹部の少なくとも1つと繰り返し交差するように蛇行しつつ前記複数の凹部に沿った辺を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保護膜の残渣の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】比較例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
図1B図1Aにおける1B-1B線に沿った断面図である。
図2A】保護膜の形成工程の一例を示す断面図である。
図2B】保護膜の形成工程の一例を示す断面図である。
図2C】保護膜の形成工程の一例を示す断面図である。
図2D】保護膜の形成工程の一例を示す断面図である。
図2E】保護膜の形成工程の一例を示す断面図である。
図3A】保護膜の形成が完了した比較例に係る半導体装置の表面の状態を示す平面図である。
図3B図3Aにおける領域Aの拡大図である。
図4A】保護膜の形成工程の一例を示す断面図である。
図4B】保護膜の形成工程の一例を示す断面図である。
図4C】保護膜の形成工程の一例を示す断面図である。
図4D】保護膜の形成工程の一例を示す断面図である。
図4E】保護膜の形成工程の一例を示す断面図である。
図5A】ポリイミド膜のオーバーエッチング後における比較例に係る半導体装置の平面図である。
図5B】ポリイミド膜の熱硬化処理後における半導体装置の平面図である。
図6A】本発明の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
図6B図6Aにおいて破線で囲む領域Bの拡大図である。
図7A】本発明の他の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
図7B図7Aにおいて破線で囲む領域Cの拡大図である。
図8A】本発明の他の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
図8B図8Aにおいて破線で囲む領域Dの拡大図である。
図9】本発明の実施形態に係る保護膜の開口部におけるジグザグパターンと、導電膜の表面に形成される凹部との相対的な位置関係を示す平面図である。
図10A】本発明の他の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
図10B図10Aにおいて破線で囲む領域Eの拡大図である。
図11】本発明の実施形態に係る保護膜の開口部における凹凸パターンと、導電膜の表面に形成される凹部との相対的な位置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る半導体装置について説明する前に比較例に係る半導体装置について説明する。図1Aは比較例に係る半導体装置1Xの構成を示す平面図であり、図1B図1Aにおける1B-1B線に沿った断面図である。
【0014】
比較例に係る半導体装置1Xは、一例としてパワーMOSFETを構成するものである。半導体装置1Xは、例えばn型のシリコンで構成される基板層11と、基板層11の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有するn型のシリコンで構成されるエピタキシャル層12と、を積層した半導体基板10を有する。エピタキシャル層12の表層部には、p型の導電型を有する複数のベース領域13が互いに一定の間隔を隔てて設けられている。
【0015】
エピタキシャル層12の表面には、ポリシリコンで構成される複数のゲート20がゲート絶縁膜を介して設けられている。複数のゲート20の各々は、互いに隣接するベース領域13を跨ぐように設けられている。図1Aに示すように、複数のゲート20の各々は、半導体基板10の表面を直線状に伸び且つ互いに平行となるように配置されている。各ゲート20の上面および側面は、PSG(Phosphorus Silicon Glass)等の絶縁体で構成される絶縁膜21で覆われている。複数のベース領域13の各々の内部のゲート20の端部に対応する位置にn型のソース領域14が設けられている。
【0016】
半導体基板10の外周部には、SiO等の絶縁体で構成されるフィールド酸化膜18が設けられ、フィールド酸化膜18の表面には、ポリシリコンで構成されるガードリング22が設けられている。ガードリング22は、半導体基板10の外縁に沿った矩形環状のパターンを有する。フィールド酸化膜18の表面は、絶縁膜21で覆われており、ガードリング22は、絶縁膜21内に埋設されている。エピタキシャル層12の外周部には、所望の耐圧を得るためのp型の拡散領域15、不純物濃度が比較的低いn型の拡散領域16、拡散領域16内に設けられた不純物濃度が比較的高いn型の拡散領域17が設けられている。半導体基板10の裏面にはドレイン電極を構成する裏面電極19が設けられている。
【0017】
半導体基板10の表面は、ソース電極を構成する導電膜30で覆われている。導電膜30は、複数の金属膜を積層した積層膜で構成されていてもよく、一例として、Ti/TiN/Al-Si/Ti/TiNを順次積層した積層膜で構成されていてもよい。ゲート20は、導電膜30内に埋設されるが、絶縁膜21によって導電膜30から絶縁されている。ここで、複数のゲート20が半導体基板10上に設けられたことによって、半導体基板10の表面に凹凸が生じる。導電膜30の表面には、半導体基板10の表面に生じた凹凸に起因して、複数のゲート20の伸びる方向に沿って直線状に伸びる複数の凹部(溝)31が形成される。なお、図1Aにおいて、導電膜30の図示が省略されているが、導電膜30の表面に形成される凹部31は、互いに隣接するゲート20同士の間に対応する位置に形成され、ゲート20の伸びる方向と平行な方向に伸びている。
【0018】
導電膜30の表面は、ポリイミド等の絶縁体で構成される保護膜40で覆われている。保護膜40は、半導体装置1Xへの水分の侵入を抑制する役割および半導体装置1Xに加わる衝撃を緩和する役割等を担う。保護膜40は、導電膜30をその表面に形成された凹部31とともに部分的に露出させる開口部41を有している。開口部41において露出した導電膜30の露出部に対してワイヤ等の電気的接続部材が接続される。
【0019】
図1Aには、保護膜40の開口端41Eが破線で示されており、開口端41Eの内側において導電膜30が露出している。比較例に係る半導体装置1Xにおいては、図1Aに示すように、保護膜40の開口部41の形状は、ゲート20の伸びる方向(すなわち、導電膜30の表面に形成された凹部31の伸びる方向)と平行な辺を含む正方形または長方形とされている。
【0020】
以下に、保護膜40を形成する方法について説明する。図2A図2Eは、保護膜40の形成工程の一例を示す断面図である。
【0021】
半導体基板10の表面に導電膜30を形成した後、スピンコート法を用いて保護膜40の材料であるポリイミド樹脂を導電膜30の表面に塗布することより、導電膜30の表面に厚さ1μm~3μm程度のポリイミド膜40aを形成する。なお、ポリイミド樹脂の塗布前に、半導体基板10上の水分を除去するために、半導体基板10に対して温度350℃、30分程度の熱処理を行ってもよい。ポリイミド膜40aの形成後に例えば160℃、60秒の熱処理によってポリイミド膜40aを乾燥させる。次に、ポリイミド膜40aの表面に厚さ1μm~3μm程度のレジスト膜50を形成し、レジスト膜50の、ポリイミド膜40aの開口部の形成位置に対応する部分を露光する(図2A)。
【0022】
次に、現像液を用いてレジスト膜50を現像する。ポリイミド膜40aは、現像液に溶解するため、レジスト膜50の現像処理においてポリイミド膜40aがエッチングされる。現像液によるポリイミド膜40aのエッチングは等方性エッチングである(図2B)。図2Bに示す状態は、ポリイミド膜40aのエッチングされた部分が導電膜30に達していない、ハーフエッチング状態である。
【0023】
現像液によるポリイミド膜40aのエッチングが進行すると、開口部41において導電膜30の表面が露出したジャストエッチング状態となる(図2C)。ジャストエッチング状態においては、導電膜30の表面に形成された凹部31内においてポリイミド膜40aが残留している。
【0024】
ジャストエッチング状態からさらにエッチングを進行させるオーバーエッチングを行うことで、導電膜30の凹部31の中に残留するポリイミド膜40aが除去される(図2D)。オーバーエッチングの時間は、例えば、ポリイミド膜40aのエッチングレートのバラツキ等を考慮して決定される。ポリイミド膜40aのエッチングは等方的に進行するため、ポリイミド膜40aの開口端は、ジャストエッチング状態からさらに外側に移動する。
【0025】
ポリイミド膜40aのオーバーエッチングが完了した後、剥離液を用いてレジスト膜50を除去する。なお、ポリイミド膜40aは、レジスト膜50を除去するための剥離液には溶解しない。その後、165℃、30分程度の熱処理によってポリイミド膜40aを硬化させる(図2E)。以上の工程を経ることによって開口部41を有する保護膜40の形成が完了する。
【0026】
図3Aは、保護膜40を硬化する工程まで完了した比較例に係る半導体装置1Xの表面の状態を示す平面図であり、図3Bは、図3Aにおける領域Aの拡大図である。比較例に係る半導体装置1Xにおいては、保護膜40の開口部41の外縁を画定する開口端(図3Aおよび図3Bにおいて破線で示されている)の近傍に、ひも状を呈する保護膜40の残渣42が残る場合がある。保護膜40の開口部41において露出する導電膜30の表面に、保護膜40の残渣42が付着していると、導電膜30の露出部に接続されるワイヤのボンディング不良が発生するおそれがある。また、導電膜30の表面に外部接続端子が形成される場合があり、保護膜40の開口部41において露出する導電膜30の表面に保護膜40の残渣42が付着していると、導電膜30と外部接続端子との接続不良が発生するおそれがある。
【0027】
本発明者は、比較例に係る半導体装置1Xにおいて、保護膜40の硬化後に、ひも状の残渣42が発生するメカニズムを特定した。以下、本発明者が特定したひも状の残渣42の発生メカニズムについて説明する。
【0028】
ひも状の残渣42は、例えば、レジスト膜50を部分的に露光するときに用いられるフォトマスクの合わせずれ等に起因して、レジスト膜50の露光領域が、本来露光されるべき領域からシフトした場合に生じ易くなる。図4A図4Eは、レジスト膜50の露光領域が本来露光されるべき領域からシフトした場合における、保護膜40の形成工程を示す断面図であり、それぞれ、図2A図2Eに対応する。すなわち、図4Aは、レジスト膜50を部分的に露光する工程を示し、図4Bは、レジスト膜50を現像し、ポリイミド膜40aをハーフエッチングする工程を示す。図4Cは、ポリイミド膜40aをジャストエッチングする工程を示し、図4Dは、ポリイミド膜40aをオーバーエッチングする工程を示す。図4Eは、レジスト膜50を除去し、ポリイミド膜40aを熱硬化する工程を示す。
【0029】
図4Aに示すレジスト膜50を部分的に露光する工程において、フォトマスクのずれ等に起因して、レジスト膜50の露光領域が本来露光されるべき領域から導電膜30の凹部31の伸びる方向に対して交差する方向にシフトした場合、図4Dに示すポリイミド膜40aをオーバーエッチングする工程において、ポリイミド膜40a(保護膜40)の開口端41Eの底部が、導電膜30の表面に形成された凹部31に近接する場合がある。ポリイミド膜40aのエッチングは等方的に進行するため、ポリイミド膜40a(保護膜40)の開口端41Eの底部に近接する、導電膜30の凹部31の中に侵入したポリイミド膜40aには十分なオーバーエッチングがかからず、導電膜30の凹部31内に残渣42として残留したままとなる。図5Aは、図4Aに対応する比較例に係る半導体装置1Xの平面図である。
【0030】
図4Eに示すポリイミド膜40aを熱硬化する工程において、導電膜30の凹部31内に残留するポリイミド膜40aの残渣42が熱収縮すると、導電膜30の凹部31内の残渣42は、凹部31内から剥離し、ひも状の残渣42として導電膜30の表面に残留する。図5Bは、図4Eに対応する比較例に係る半導体装置1Xの平面図である。
【0031】
なお、上記の説明では、ひも状の残渣42が発生する原因として、フォトマスクの合わせずれ等に起因するレジスト膜50の露光領域のシフトを例示したが、これに限定されない。例えば、レジスト膜50の露光領域の拡大または縮小によってポリイミド膜40aの開口端41Eの位置が本来の位置からずれたことにより、オーバーエッチング後におけるポリイミド膜40aの開口端41Eの位置が本来の位置からずれた場合にもひも状の残渣42が発生する場合がある。また、ポリイミド膜40aに対する現像液のエッチングレートが変動したことにより、オーバーエッチング後におけるポリイミド膜40aの開口端41Eの位置が本来の位置からずれた場合にもひも状の残渣42が発生する場合がある。
【0032】
以下に、本発明の実施形態に係る半導体装置について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、上記した比較例に係る半導体装置1Xと同一または対応する構成要素および部分には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0033】
[第1の実施形態]
図6Aは、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置1の構成を示す平面図であり、図6Bは、図6Aにおいて破線で囲む領域Bの拡大図である。半導体装置1は、保護膜40の開口部41の形状が、比較例に係る半導体装置1Xと異なり、それ以外の構成は、比較例に係る半導体装置1Xと同様である。すなわち、半導体装置1は、一例としてパワーMOSFETを構成するものであり、その断面構造は、図1Bに示される比較例に係る半導体装置1Xと同様である。また、半導体装置1において、保護膜40を形成する方法は、比較例に係る半導体装置1Xと同様であり、ポリイミド膜40aの表面にレジスト膜50を形成し、レジスト膜50を部分的に露光する工程(図2A参照)、レジスト膜50を現像し、ポリイミド膜40aをハーフエッチングする工程(図2B参照)、ポリイミド膜40aをジャストエッチングする工程(図2C参照)、ポリイミド膜40aをオーバーエッチングする工程(図2D参照)、レジスト膜50を除去し、ポリイミド膜40aを熱硬化する工程(図2E参照)を含む。なお、図6Aおよび図6Bにおいて、導電膜30の図示が省略されているが、導電膜30は、ゲート20を覆うように半導体基板10の表面に形成されている。また、導電膜30の表面に形成される凹部31は、互いに隣接するゲート20同士の間に対応する位置に形成され、ゲート20の伸びる方向と平行な方向に伸びている。また、図6Aおよび図6Bにおいて、保護膜40については、開口部41の外縁である開口端41Eのみが示されているが、保護膜40は、比較例に係る半導体装置1Xと同様、開口部41において導電膜30を部分的に露出させるように導電膜30の表面を覆っている。
【0034】
半導体装置1において、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口部41の形状は、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に対して斜め方向に傾いた辺a1および辺a3と、導電膜30の凹部31の伸びる方向に対して直交する辺a2および辺a4を有する四角形である。すなわち、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eは、辺a1~a4によって構成されている。導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)と辺a1とのなす角θは、0°<θ<90°である。凹部31の伸びる方向と辺a3とのなす角についても同様であり、辺a1と辺a3は平行であってもよい。このように、半導体装置1において、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口部41は、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)と平行な辺を有しない。
【0035】
図6Bにおいて、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの正規の位置が破線で示され、正規の位置に対してずれが生じた場合の保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの位置が実線で示されている。図6Bに示すように、半導体装置1においては、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの位置が正規の位置からずれた場合に、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に対して斜め方向に傾いた開口部41の辺a1と、導電膜30の凹部31の伸びる方向に対して直交する開口部41の辺a2とが交差する角部P1の近傍に保護膜40(ポリイミド膜40a)の残渣42が生じる場合がある。同様に、開口部41の辺a3と辺a4とが交差する角部の近傍にも保護膜40の残渣42が生じる場合がある。
【0036】
しかしながら、辺a1および辺a3が、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に対して斜め方向に傾いていることにより、辺a1および辺a3によって導電膜30の凹部31が分断され、いずれの部位に生じる残渣42も、その長さは、比較例に係る半導体装置1Xにおいて生じる残渣42の長さよりも短くなる。このように、残渣42の長さが短くなることにより、保護膜40(ポリイミド膜40a)の熱硬化時における残渣42の収縮量が小さくなる。また、本実施形態に係る半導体装置1によれば、残渣42の両端は、開口部41の外側において、保護膜(ポリイミド膜40a)に接続される。従って、残渣42が、導電膜30の凹部(溝)31から剥離してひも状となるリスクが小さくなる。残渣42が、導電膜30の凹部31内に残留している限り、上記したワイヤのボンディング不良等の問題が生じることはない。更に、辺a1および辺a3が、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に対して斜め方向に傾いていることにより、角部P1の近傍に配置された導電膜30の凹部31の両側から現像液が侵入しやすくなり、残渣42の除去が促進される。
【0037】
[第2の実施形態]
図7Aは、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置1Aの構成を示す平面図であり、図7Bは、図7Aにおいて破線で囲む領域Cの拡大図である。半導体装置1Aは、保護膜40の開口部41の形状が、比較例に係る半導体装置1Xおよび第1の実施形態に係る半導体装置1と異なり、それ以外の構成は、比較例に係る半導体装置1Xおよび第1の実施形態に係る半導体装置1と同様である。また、半導体装置1Aにおいて、保護膜40を形成する方法は、上記した比較例に係る半導体装置1Xおよび第1の実施形態に係る半導体装置1と同様である。なお、図7Aおよび図7Bにおいて、導電膜30の図示が省略されているが、導電膜30は、ゲート20を覆うように半導体基板10の表面に形成されている。また、導電膜30の表面に形成される凹部31は、互いに隣接するゲート20同士の間に対応する位置に形成され、ゲート20の伸びる方向と平行な方向に伸びている。また、図7Aおよび図7Bにおいて、保護膜40については、開口部41の外縁である開口端41Eのみが示されているが、保護膜40は、比較例に係る半導体装置1Xと同様、開口部41において導電膜30を部分的に露出させるように導電膜30の表面を覆っている。
【0038】
半導体装置1Aにおいて、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口部41の形状は、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に対して斜め方向に傾いた辺a1、a2、a3およびa4を有する四角形である。すなわち、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eは、辺a1~辺a4によって構成されている。導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)と辺a1とのなす角θ1および凹部31の伸びる方向と辺a2とのなす角θ2は、それぞれ、0°<θ1<90°、0°<θ2<90°である。凹部31の伸びる方向と辺a3および辺a4とのなす角についても同様である。なおθ1=θ2であってもよい。また、辺a1と辺a3とが平行であってもよく、辺a2と辺a4とが平行であってもよい。このように、半導体装置1Aにおいて、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口部41は、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)と平行な辺を有しない。
【0039】
図7Bにおいて、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの正規の位置が破線で示され、正規の位置に対してずれが生じた場合の保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの位置が実線で示されている。図7Bに示すように、半導体装置1Aにおいては、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの位置が正規の位置からずれた場合に、辺a1と辺a2とが交差する角部P2の近傍に、保護膜40(ポリイミド膜40a)の残渣42が生じる場合がある。同様に、辺a3と辺a4とが交差する角部の近傍にも残渣42が生じる場合がある。
【0040】
しかしながら、開口部41の辺a1~a4が、それぞれ導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に対して斜め方向に傾いていることにより、辺a1~a4によって導電膜30の凹部31が分断され、いずれの部位に生じる残渣42もその長さは、比較例に係る半導体装置1Xにおいて生じる残渣42の長さよりも短くなる。このように、残渣42の長さが短くなることにより、保護膜40(ポリイミド膜40a)の熱硬化時における残渣42の収縮量が小さくなる。また、本実施形態に係る半導体装置1Aによれば、残渣42の両端は、開口部41の外側において、保護膜(ポリイミド膜40a)に接続される。従って、残渣42が導電膜30の凹部31から剥離してひも状となるリスクが小さくなる。残渣42が、導電膜30の凹部31内に残留している限り、上記したワイヤのボンディング不良等の問題が生じることはない。更に、辺a1~辺a4が、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に対して斜め方向に傾いていることにより、角部P2の近傍に配置された導電膜30の凹部31の両側から現像液が侵入しやすくなり、残渣42の除去が促進される。
【0041】
[第3の実施形態]
図8Aは、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置1Bの構成を示す平面図であり、図8Bは、図8Aにおいて破線で囲む領域Dの拡大図である。半導体装置1Bは、保護膜40の開口部41の形状が、比較例に係る半導体装置1Xおよび第1の実施形態に係る半導体装置1と異なり、それ以外の構成は、比較例に係る半導体装置1Xおよび第1の実施形態に係る半導体装置1と同様である。また、半導体装置1Bにおいて、保護膜40を形成する方法は、上記した比較例に係る半導体装置1Xおよび第1の実施形態に係る半導体装置1と同様である。なお、図8Aおよび図8Bにおいて、導電膜30の図示が省略されているが、導電膜30は、ゲート20を覆うように半導体基板10の表面に形成されている。また、導電膜30の凹部31は、互いに隣接するゲート20同士の間に対応する位置に形成され、ゲート20の伸びる方向と平行な方向に伸びている。また、図8Aおよび図8Bにおいて、保護膜40については、開口部41の外縁である開口端41Eのみが示されているが、保護膜40は、比較例に係る半導体装置1Xと同様、開口部41において導電膜30を部分的に露出させるように導電膜30の表面を覆っている。
【0042】
半導体装置1Bにおいて、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口部41は、導電膜30の凹部31のうちの少なくとも1つと繰り返し交差するように蛇行しつつ導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に沿って伸びる辺a1および辺a3と、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわちゲート20の伸びる方向)に対して直交する辺a2および辺a4を有する。すなわち、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eは、辺a1~a4によって構成されている。半導体装置1Bにおいて、開口部41の蛇行した辺a1および辺a3は、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)と平行な部分を含まないジグザグパターンを有する。辺a1および辺a3におけるジグザグパターンを構成する各辺は、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に対して斜め方向に傾いている。
【0043】
図8Bにおいて、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの正規の位置が破線で示され、正規の位置に対してずれが生じた場合の保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの位置が実線で示されている。図8Bに示すように、半導体装置1Bにおいては、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの位置が正規の位置からずれた場合に、辺a1のジグザグパターンにおける外側の各屈曲部Z1の近傍および内側の各屈曲部Z2の近傍に、それぞれ、保護膜40(ポリイミド膜40a)の残渣42が生じる場合がある。同様に、辺a1に対向する辺a3のジグザグパターンにおける各屈曲部の近傍にも保護膜40(ポリイミド膜40a)の残渣42が生じる場合がある。
【0044】
しかしながら、開口部41の辺a1および辺a3がジグザグパターンを有することにより、ジグザグパターンによって導電膜30の凹部31が分断され、いずれの部位に生じる残渣42もその長さは、比較例に係る半導体装置1Xにおいて生じる残渣42の長さよりも短くなる。このように、残渣42の長さが短くなることにより、保護膜40(ポリイミド膜40a)の熱硬化時における残渣42の収縮量が小さくなる。また、本実施形態に係る半導体装置1Bによれば、残渣42の両端は、開口部41の外側において、保護膜(ポリイミド膜40a)に接続される。従って、残渣42が導電膜30の凹部31から剥離してひも状となるリスクが小さくなる。残渣42が、導電膜30の凹部31内に残留している限り、上記したワイヤのボンディング不良等の問題が生じることはない。
【0045】
図9は、保護膜40の開口部41の辺a1のジグザグパターンと、導電膜30の凹部31との相対的な位置関係を示す平面図である。辺a1のジグザグパターンにおける外側の屈曲部Z1と導電膜30の凹部31との間の距離W2および辺a1のジグザグパターンにおける内側の屈曲部Z2と導電膜30の凹部31との間の距離W3は、それぞれ、導電膜30の凹部31の幅W1の2倍以上であることが好ましい。すなわち、2W1<W2、2W1<W3であることが好ましい。辺a3のジグザグパターンと導電膜30の凹部31との相対的な位置関係についても同様である。辺a1および辺a3のジグザグパターンにおける各屈曲部と導電膜30の凹部31との間の距離W2およびW3を、それぞれ、導電膜30の凹部31の幅W1の2倍以上とすることで、ジグザグパターンの屈曲部Z1およびZ2の近傍に配置された導電膜30の凹部31の両側から現像液が侵入しやすくなり、残渣42の除去が促進される。
【0046】
なお、本実施形態では、保護膜40の開口部の辺a1および辺a3が直線的に蛇行するジグザグパターンを例示したが、辺a1および辺a3が曲線的に蛇行するパターンを有していてもよい。
【0047】
[第4の実施形態]
図10Aは、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置1Cの構成を示す平面図であり、図10Bは、図10Aにおいて破線で囲む領域Eの拡大図である。半導体装置1Cは、保護膜40の開口部41の形状が、比較例に係る半導体装置1Xおよび第1の実施形態に係る半導体装置1と異なり、それ以外の構成は、比較例に係る半導体装置1Xおよび第1の実施形態に係る半導体装置1と同様である。また、半導体装置1Cにおいて、保護膜40を形成する方法は、上記した比較例に係る半導体装置1Xおよび第1の実施形態に係る半導体装置1と同様である。なお、図10Aおよび図10Bにおいて、導電膜30の図示が省略されているが、導電膜30は、ゲート20を覆うように半導体基板10の表面に形成されている。また、導電膜30の凹部31は、互いに隣接するゲート20同士の間に対応する位置に形成され、ゲート20の伸びる方向と平行な方向に伸びている。また、図10Aおよび図10Bにおいて、保護膜40については、開口部41の外縁である開口端41Eのみが示されているが、保護膜40は、比較例に係る半導体装置1Xと同様、開口部41において導電膜30を部分的に露出させるように導電膜30の表面を覆っている。
【0048】
半導体装置1Cにおいて、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口部41は、導電膜30の凹部31のうちの少なくとも1つと繰り返し交差するように蛇行しつつ導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に沿って伸びる辺a1および辺a3と、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわちゲート20の伸びる方向)に対して直交する辺a2および辺a4を有する。すなわち、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eは、辺a1~辺a4によって構成されている。
【0049】
半導体装置1Cにおいて、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口部41の蛇行した辺a1は、第1の部分a11、第2の部分a12、第3の部分a13および第4の部分a14からなる単位パターンを繰り返して構成される凹凸パターンを有する。第1の部分a11は、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)と平行な方向に伸びている。第2の部分a12は、一端が第1の部分a11に接続され且つ開口部41の内側に向けて導電膜30の凹部の伸びる方向と垂直な方向に伸びている。第3の部分a13は、一端が第2の部分a12の他端に接続され且つ導電膜30の凹部31の伸びる方向と平行な方向に伸びている。第4の部分a14は、一端が第3の部分に接続され且つ開口部41の外側に向けて導電膜30の凹部31の伸びる方向と垂直な方向に伸びている。辺a1に対向する辺a3も、辺a1と同様の凹凸パターンを有する。
【0050】
図10Bにおいて、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの正規の位置が破線で示され、正規の位置に対してずれが生じた場合の保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの位置が実線で示されている。図10Bに示すように、半導体装置1Cにおいては、保護膜40(ポリイミド膜40a)の開口端41Eの位置が正規の位置からずれた場合に、辺a1の凹凸パターンにおける、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に平行な第1の部分a11および第3の部分a13の近傍に、それぞれ、保護膜40(ポリイミド膜40a)の残渣42が生じる場合がある。同様に、辺a1に対向する辺a3の凹凸パターンにおける、導電膜30の凹部31の伸びる方向(すなわち、ゲート20の伸びる方向)に平行な部分の近傍にも保護膜40(ポリイミド膜40a)の残渣42が生じる場合がある。
【0051】
しかしながら、保護膜40の開口部41の辺a1および辺a3が上記した凹凸パターンを有することにより、凹凸パターンによって導電膜30の凹部31が分断され、いずれの部位に生じる残渣42もその長さは、比較例に係る半導体装置1Xにおいて生じる残渣42の長さよりも短くなる。このように、残渣42の長さが短くなることにより、保護膜40(ポリイミド膜40a)の熱硬化時における残渣42の収縮量が小さくなる。また、本実施形態に係る半導体装置1Cによれば、残渣42の両端は、開口部41の外側において、保護膜(ポリイミド膜40a)に接続される。従って、残渣42が導電膜30の凹部31から剥離してひも状となるリスクが小さくなる。残渣42が、導電膜30の凹部31内に残留している限り、上記したワイヤのボンディング不良等の問題が生じることはない。
【0052】
図11は、保護膜40の開口部41の辺a1の凹凸パターンと、導電膜30の凹部31との相対的な位置関係を示す平面図である。辺a1の第1の部分a11と導電膜30の凹部31との間の距離W4および辺a1の第3の部分a13と導電膜30の凹部31との間の距離W5は、それぞれ、導電膜30の凹部31の幅W1の2倍以上であることが好ましい。すなわち、2W1<W4、2W1<W5であることが好ましい。辺a3のジグザグパターンと導電膜30の凹部31との相対的な位置関係についても同様である。凹凸パターンにおける第1の部分a11および第3の部分a13と導電膜30の凹部31との間の距離W4およびW5を、それぞれ、導電膜30の凹部31の幅W1の2倍以上とすることで、凹凸パターンの第1の部分a11および第3の部分a13の近傍に配置された導電膜30の凹部31の両側から現像液が侵入しやすくなり、残渣42の除去が促進される。
【0053】
なお、上記の第1の実施形態~第4の実施形態においては、半導体装置1、1A、1B、1CがパワーMOSFETである場合について例示したが、これに限定されるものではなく、例えばIGBT等の他の半導体デバイスであってもよい。また、半導体基板10の表面に形成されたゲートに起因して導電膜30の表面に凹部31が形成される場合を例示したが、導電膜30の表面に形成される凹部31は、ゲート以外の他の構造物に起因するものであってもよい。また、保護膜40の材料としてポリイミドを使用する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、保護膜40は、ポリイミド以外の他の絶縁体で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1、1A、1B、1C 半導体装置
10 半導体基板
11 基板層
12 エピタキシャル層
20 ゲート
30 導電膜
31 凹部
40 保護膜
41 開口部
41E 開口端
42 残渣
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11