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特許7179979メトトロジ方法、パターニングデバイス、装置及びコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】メトトロジ方法、パターニングデバイス、装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
G03F9/00 H
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021519171
(86)(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2019077016
(87)【国際公開番号】W WO2020074412
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】18199182.9
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ジリ
(72)【発明者】
【氏名】パンデイ、ニテシュ
(72)【発明者】
【氏名】ズウィール、オルガー、ビクター
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル シャール、マウリッツ
(72)【発明者】
【氏名】マクナマラ、エリオット、ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】デン ボエフ、アリー、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ハイネン、ポール、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ボズクルト、ムラート
(72)【発明者】
【氏名】オッテンス、ヨーシュト、イェロエン
(72)【発明者】
【氏名】バタチャリア、カウスチュヴ
(72)【発明者】
【氏名】クビス、マイケル
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-518533(JP,A)
【文献】特表2017-526973(JP,A)
【文献】国際公開第2018/015179(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィプロセスの性能パラメータを測定する方法であって、
基板上に形成されたターゲット上の位置から複数の非対称測定値を取得することを含み、前記ターゲットは、反対のバイアス変動を有するサブターゲットのペアを備え、前記方法はさらに、
サブターゲットの前記反対のバイアス変動に基づいて、非対称性と前記性能パラメータとの間の少なくとも1つの予想される関係に複数の非対称性測定値を適合させることと
適合した関係から、上記の性能パラメータの測定値を導き出すこととを含む、方法。
【請求項2】
非対称測定値を少なくとも1つの予想される関係に適合させるステップが、予想される関係から逸脱する測定値、及び/又は適合する関係の特定のセグメントの外にある測定値を完全に又は部分的に無視することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
予想される関係が、あるバイアス値での非対称性ゼロの予想を含み、複数の測定値が、少なくとも1つの負のバイアス値に関連する位置、及び少なくとも1つの正のバイアス値に関連する位置を含む位置からの測定値を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複数の測定値が、複数の負のバイアス値及び複数の正のバイアス値に関連する位置からの測定値を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の測定値が、ターゲットの領域にわたるバイアス値の連続変動に関連する位置からの測定値を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
非対称性測定値は、少なくとも2つのサブターゲット上の位置から取得され、各サブターゲットの非対称性測定値は、異なるサブターゲットに関連する異なるバイアス変動に基づいてそのサブターゲットについて予想される関係に適合される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
非対称性測定値が2つのサブターゲットから得られ、2つのサブターゲットが等しくかつ反対のバイアス変動を有すると想定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
性能パラメータの測定値を決定するために一緒に使用される前に、適合した関係のうちの2つ以上が、ターゲットのフィーチャによって定義される1つ又は複数のアンカーポイントを参照することによって位置合わせされる、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記アンカーポイントは、測定された非対称性の変化における特徴を使用して識別される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アンカーポイントが、サブターゲット内の既知の位置における前記バイアス変動の勾配の変化に関連付けられている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記性能パラメータがオーバーレイであり、前記バイアス変動が、2つの異なるリソグラフィ工程で基板上に印刷されたフィーチャ間のプログラムされた位置オフセットの変動である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
リソグラフィ装置で使用するためのパターニングデバイスであって、1つ又は複数のデバイスパターンを定義する部分と、1つ又は複数のメトトロジパターンを定義する部分とを含み、メトトロジパターンは、請求項1乃至11のいずれかの方法で使用するための少なくとも1つのターゲットを含み、ターゲットは、ターゲット上の位置間のバイアス変動を有し、前記バイアス変動は、非対称性に関連する特性である、パターニングデバイス。
【請求項13】
ターゲット内の前記位置が、少なくとも1つの負のバイアス値を有する位置と、少なくとも1つの正のバイアス値に関連付けられた位置とを含む、請求項12に記載のパターニングデバイス。
【請求項14】
ターゲット内の位置が、複数の負のバイアス値と複数の正のバイアス値を有する位置を含む、請求項13に記載のパターニングデバイス。
【請求項15】
ターゲット内の位置が、ターゲットの領域にわたってバイアス値の連続変化を有する位置を含む、請求項14に記載のパターニングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年10月8日に出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるEP出願18199182.9の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、例えばリソグラフィ技術によるデバイスの製造に使用可能な計測のための方法及び装置、並びにリソグラフィ技術を使用してデバイスを製造する方法に関する。本発明はさらに、そのような方法で使用可能なパターニングデバイス及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板、通常は基板のターゲット部分に所望のパターンを適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。その場合、マスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層に形成される回路パターンを生成することができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ又は複数のダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は、通常、基板上に提供された放射線感受性材料(レジスト)の層への画像形成によって行われる。一般に、単一の基板には、連続してパターニングされる隣接するターゲット部分のネットワークが含まれる。リソグラフィプロセスでは、たとえばプロセス制御及び検証のために、作成された構造の測定を頻繁に行うことが望ましい。このような測定を行うためのさまざまなツールが知られており、走査型電子顕微鏡はクリティカルディメンジョン(CD)の測定によく使用され、オーバーレイを測定するための専用ツールはデバイス内の2つの層の位置合わせの精度の測定値である。オーバーレイは、2つの層間の位置ずれの程度によって説明できる。例えば、1nmの測定されたオーバーレイを参照すると、2つの層が1nmずれている状況を説明できる。
【0004】
近年、リソグラフィの分野で使用するために、さまざまな形式のスキャトロメータが開発されている。これらのデバイスは、放射ビームをターゲットに向け、ターゲットの関心のある特性を決定できる「スペクトル」を取得するために、散乱放射の1つ又は複数の特性、例えば、波長の関数として単一の反射角での強度を、反射角度の関数としての1つ又は複数の波長での強度を、又は反射角の関数としての偏光を測定する。対象の特性の決定は、さまざまな手法、例えば、厳密な結合波解析又は有限要素法などの反復アプローチによるターゲットの再構築、ライブラリサーチ;及び主成分分析によって実行できる。
【0005】
従来のスキャトロメータで使用されるターゲットは比較的大きく、たとえば40μm×40μmのグレーティングであり、測定ビームはグレーティングよりも小さいスポットを生成する(つまり、グレーティングがアンダーフィルされる(満たされていない))。これにより、ターゲットは無限とみなすことができるため、ターゲットの数学的再構成が簡素化される。ただし、ターゲットのサイズを、例えば10μ×10μm又はそれ以下に縮小するために、例えば、スクライブレーンではなく製品フィーチャの中に配置できるようにするために、測定スポットよりも小さい(つまり、グレーティングがオーバーフィルされる(満たされている)グレーティングが作成されるメトトロジが提案されている。通常、このようなターゲットは、0次の回折(鏡面反射に対応)がブロックされ、より高い次数のみが処理される暗視野スキャトロメトリを使用して測定される。暗視野メトトロジの例は、国際特許出願WO2009/078708及びWO2009/106279に見出すことができ、これらの文書は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この技術のさらなる発展は、特許公報US20110027704A、US20110043791A及びUS20120242970Aに記載されている。スループットを改善するための装置の変更は、US2010201963A1及びUS2011102753A1に記載されている。これらすべての出願の内容も、参照により本明細書に組み込まれる。回折次数の暗視野検出を使用した回折ベースのオーバーレイにより、より小さなターゲットでのオーバーレイ測定が可能になる。これらのターゲットは、照射スポットよりも小さくすることができ、ウエハ上の製品構造に囲まれている場合がある。ターゲットは、1つの画像で測定できる複数のグレーティングを含むことができる。
【0006】
既知のメトトロジ技術では、オーバーレイ測定結果は、特定の条件下でオーバーレイターゲットを2回測定することによって得られる。一方、オーバーレイターゲットを回転させるか、照射モード又はイメージングモードを変更して、-1次及び+1次回折次数強度を個別に取得する。所定のオーバーレイターゲットの強度の非対称性、つまりこれらの回折次数の強度の比較により、ターゲットの非対称性が測定される。オーバーレイターゲットのこの非対称性は、オーバーレイ(2つのレイヤーの望ましくない位置ずれ)の指標として使用できる。
【0007】
4つの異なるサブターゲットを使用する既知の方法では、エッジ効果のためにパターン領域の特定の部分が使用できない。半導体製品の設計では、スペースの有効利用が非常に重要である。2つの特定のオフセットのみを使用すると、上記の線形性の仮定が強制され、実際の関係が非線形である場合に不正確になる可能性がある。使用される既知の設計でオフセットの数を増やすと、使用されるスペースが増える。
【発明の概要】
【0008】
精度を高め、及び/又はターゲットに使用するスペースを減らして、オーバーレイ又は他の性能パラメータのメトトロジを実行できることが望ましい。
【0009】
本発明は、第1の態様において、添付の請求項1に定義されるようなリソグラフィプロセスの性能パラメータを測定する方法を提供する。
【0010】
本発明は、第2の態様において、リソグラフィ装置で使用するためのパターニングデバイスであって、1つ又は複数のデバイスパターンを定義する部分と、1つ又は複数のメトトロジパターンを定義する部分とを含み、メトトロジパターンは、請求項1乃至11のいずれかの方法で使用するための少なくとも1つのターゲットを含み、ターゲットは、ターゲット上の位置間のバイアス変動を有し、前記バイアス変動は、非対称性に関連する特性であるパターニングデバイスを提供する。
【0011】
本発明は、さらに、メトトロジ装置であって、ターゲットを放射線で照射するように構成された照射システムと、ターゲットの照射から生じる散乱放射線を検出するように構成された検出システムとを含み、メトトロジ装置は、第1の態様の方法を実行するように動作可能である、メトトロジ装置が提供される。
【0012】
本発明は、さらに、適切なプロセッサ制御装置上で実行されると、プロセッサ制御装置に第1の態様の方法を実行させるプロセッサ可読命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0013】
本発明のさらなる特徴及び利点、ならびに本発明の様々な実施形態の構造及び動作は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。そのような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に提示される。追加の実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて、関連技術の当業者には明らかであろう。
【0014】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるリソグラフィセル又はクラスタを示す図である。
図3】(a)照射アパーチャの第1ペアを使用してターゲットを測定する際に使用する暗視野スキャトロメータの概略図、(b)所定の照射方向に対するターゲットグレーティングの回折スペクトルの詳細、(c)2次回折に基づくオーバーレイ測定のためにスキャトロメータを使用する際にさらなる照射モードを提供する一対の照射アパーチャ、及び(d)第1及び第2のアパーチャ対を結合する第3の対の照射アパーチャを示す。
図4】複数のグレーティングターゲットの既知の形態及び基板上の測定スポットの輪郭を示す図である。
図5図3のスキャトロメータで得られた図4のターゲットの画像である。
図6】本開示の一態様による、連続バイアス特徴を含む複数グレーティングターゲットの第1の例を示す図である。
図7図3のスキャトロメータで得られた図6のターゲットの画像である。
図8】本開示の一実施形態による、(a)ゼロオーバーレイ及び(b)非ゼロオーバーレイの条件下での、図6のターゲットの1つのグレーティングにおける連続バイアスの実装を概略的に詳細に示す。
図9】本開示の一実施形態による、図6の複数グレーティングターゲットにおける連続バイアスグレーティングの配置を概略的に詳細に示す。
図10】本開示の一態様による、連続バイアス特徴を含む修正された複数グレーティングターゲットの第2の例を示す。
図11図3のスキャトロメータで得られた図10のターゲットの画像である。
図12】(a)は、図10のターゲットの1つのグレーティングにおける連続バイアスの実施を概略的に詳細に示し、一方、(b)は、そのようなグレーティングにおける位置によるバイアスの変化を示す。
図13】本開示の一実施形態による、(a)ゼロオーバーレイ及び(b)非ゼロオーバーレイの条件下での、図10のマルチグレーティングターゲットの2つのグレーティングにおける連続バイアスの実装を概略的に詳細に示す。
図14図3のスキャトロメータを用いたオーバーレイ測定方法のステップを示すフローチャートである。
図15】(a)図13に示されるグレーティングの最初の1つに関連する信号処理、及び(b)図13に示されるグレーティングの他方に関連する信号処理を示し、本開示の一実施形態によるオーバーレイエラーの計算原理のグラフ図を含む。
図16】本開示の別の実施形態によるアンカーポイントの提供を含む、修正されたマルチグレーティングターゲットの2つのグレーティングにおける連続バイアスの概略詳細実装を示す。
図17】(a)は、図16のマルチグレーティングターゲット内のアンカーポイントの例としてバイアススロープの変化を含めることを示し、(b)は、非ゼロオーバーレイ条件下での図16のグレーティングで取得された非対象信号を示し、(c)アンカーポイントの知識を使用した非対称信号の修正を示す。
図18】本開示の別の例による、連続バイアスの代替として多段バイアスを有するグレーティングの例を示す図である。
図19】本開示の別の例による、デュアルバイアスグレーティングを有するマルチグレーティングターゲットを示す図である。
図20】L字形状のフィーチャに基づく、2つの方向にオーバーレイバイアスを有する代替のグレーティングターゲットを示す。
図21】バイアス領域の多段配置を含むように変更された、図20のグレーティングの変更バージョンを示す図である。
図22】本開示のさらに別の実施形態による、L字形フィーチャの回転による連続バイアスを含むように変更された、図20のグレーティングの別の変更バージョンを示す。
図23図21の配置に基づいた、4つの象限にバイアス領域の多段階配置を有するターゲットを示す。
図24図21の配置に基づいた、4つの象限にバイアス領域の多段階配置を有するターゲットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示的な環境を提示することが有益である。
【0017】
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又はDUV放射)を調整するように構成された照射光学システム(照射器)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスクMA)を支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたパターニングデバイスサポート又は支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコーティングされたウエハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウエハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影光学システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを含む。
【0018】
照射光学系は、放射を方向付け、成形、又は制御するための、屈折、反射、磁気、電磁、静電又は他のタイプのコンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなど、さまざまなタイプの光学又は非光学コンポーネントを含むことができる。
【0019】
パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターニングデバイスが真空環境に保持されるかどうかなどの他の条件に依存する方法でパターニングデバイスを保持する。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電的又は他のクランプ技術を使用することができる。パターニングデバイスサポートは、例えば、フレーム又はテーブルであってよく、必要に応じて固定又は可動であり得る。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証することができる。本明細書における「レチクル」又は「マスク」という用語の使用は、より一般的な用語「パターニングデバイス」と同義であると見なすことができる。
【0020】
本明細書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを作成するなど、その断面にパターンを有する放射ビームを与えるために使用できる任意のデバイスを指すものとして広く解釈されるべきである。放射ビームに与えられたパターンは、例えばパターンが位相シフト機能又はいわゆるアシスト機能を含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確に対応しない可能性があることに留意されたい。一般に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に作成されるデバイスの特定の機能層に対応する。
【0021】
パターニングデバイスは、透過性又は反射性であり得る。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラム可能なミラーアレイ、プログラム可能なLCDパネルなどがある。マスクはリソグラフィでよく知られており、バイナリ、交互位相シフト、減衰位相シフトなどのマスクタイプ、及びさまざまなハイブリッドマスクタイプが含まれる。プログラマブルミラーアレイの例では、小さなミラーのマトリックス配置を使用する。各ミラーは、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾けることができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを与える。
【0022】
ここに示されているように、装置は透過型である(例えば、透過型マスクを使用する)。あるいは、装置は、反射型(例えば、上記のようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)であってもよい。
【0023】
リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、基板の少なくとも一部が比較的高い屈折率を有する液体、例えば水で覆われているタイプであってもよい。リソグラフィ装置内の他の空間、例えばマスクと投影システムとの間にも液浸液を適用することができる。投影システムの開口数を増加させるための液浸技術は、当技術分野で周知である。本明細書で使用される「液浸」という用語は、基板などの構造が液体に沈められなければならないことを意味するのではなく、露光中に液体が投影システムと基板との間に位置することを意味するだけである。
【0024】
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、光源がエキシマレーザーである場合、光源とリソグラフィ装置は別個のエンティティであってもよい。このような場合、光源はリソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、放射ビームは、例えば適切な方向付けミラー及び/又はビームエキスパンダーを含むビーム搬送システムBDの助けにより光源SOからイルミネータILに至る。他の場合、例えば、光源が水銀ランプである場合、光源はリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。光源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビーム送達システムBDとともに、放射システムと呼ばれることがある。
【0025】
イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側の半径方向範囲(一般に、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の様々な構成要素を含むことができる。イルミネータは、放射ビームを調整して、その断面に所望の均一性及び強度分布を持たせるために使用することができる。
【0026】
放射ビームBは、パターニングデバイス支持体(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを通過した放射ビームBは、ビームを基板Wのターゲット部分Cにフォーカスする投影光学系PSを通過し、それによってターゲット部分Cにパターンの画像を投影する。第2ポジショナPW及び位置センサーIF(例えば、干渉装置、リニアエンコーダー、2Dエンコーダー又は容量センサー)の助けを借りて、基板テーブルWTは、例えば、異なるターゲット部分Vを位置決めするために、正確に移動することができる。同様に、例えば、マスクライブラリからの機械的退避後、又はスキャン中、第1ポジショナPM及び別の位置センサー(図1には明示的に示されていない)を使用して、放射ビームBのパスに対してパターニングデバイス(たとえば、マスク)MAを正確に配置することができる。
【0027】
パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用してアライメントされ得る。図示されている基板アラインメントマークは、専用のターゲット部分を占めているが、ターゲット部分間のスペースに配置することもできる(これらは、スクライブレーンアラインメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に2つ以上のダイが提供される状況では、マスクアラインメントマークはダイの間に位置することができる。小さなアライメントマーカーもデバイス機能の中でダイ内に含めることができる。この場合、マーカーはできるだけ小さく、隣接する機能と異なるイメージング又はプロセス条件を必要としないことが望ましい。アライメントマーカーを検出するアライメントシステムについては、以下でさらに説明する。
【0028】
この例のリソグラフィ装置LAは、いわゆるデュアルステージタイプであり、2つの基板テーブルWTa、WTbと、基板テーブルを交換できる2つのステーション(露光ステーションと測定ステーション)とを有する。1つの基板テーブル上の1つの基板が露光ステーションで露光されている間、測定ステーションで別の基板を他の基板テーブルにロードして、さまざまな準備ステップを実行することができる。準備ステップは、レベルセンサーLSを使用して基板の表面制御をマッピングし、アライメントセンサーASを使用して基板上のアライメントマーカーの位置を測定することを含むことができる。これにより、装置のスループットを大幅に向上させることができる。
【0029】
図示の装置は、例えばステップモード又はスキャンモードを含む様々なモードで使用することができる。リソグラフィ装置の構成及び動作は当業者には周知であり、本発明を理解するためにこれ以上説明する必要はない。
【0030】
図2に示すように、リソグラフィ装置LAは、リソグラフィセルLC又はリソセル又はクラスタと呼ばれるリソグラフィシステムの一部を形成する。リソグラフィセルLCはまた、基板上で露光前及び露光後プロセスを実行するための装置を含むことができる。従来、これらには、レジスト層を堆積するスピンコーターSC、露光されたレジストを現像するデベロッパDE、チルプレートCH及びベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラー又はロボットROは、入力/出力ポートI/O1、I/O2から基板をピックアップし、それらを異なるプロセス装置間で移動してから、リソグラフィ装置のローディングベイLBに配送する。トラックと総称されることが多いこれらのデバイスは、監視制御システムSCSによって制御されるトラック制御ユニットTCUの制御下にあり、監視制御システムSCSは、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、異なる装置を操作して、スループットと処理効率を最大化することができる。
【0031】
リソグラフィ装置によって露光される基板が正しく一貫して露光されるためには、露光された基板を検査して、後続の層間のオーバーレイエラー、線の厚さ、クリティカルディメンション(CD)などの特性を測定することが望ましい。したがって、リソセルLCが位置する製造施設は、リソセル内で処理された基板Wの一部又は全部を受け取るメトトロジシステムMETも含む。メトトロジ結果は、監視制御システムSCSに直接的又は間接的に提供される。エラーが検出された場合、特に検査を迅速かつ迅速に行うことができ、同じバッチの他の基板がまだ露光されていない場合は、後続の基板の露光を調整することができる。また、歩留まりを改善するために、すでに露光された基板を剥がして再加工するか、又は廃棄することができ、それにより、欠陥があることがわかっている基板でのさらなる処理を回避することができる。基板の一部のターゲット部分のみに欠陥がある場合、それらの良好なターゲット部分に対してのみ追加の露光を行うことができる。
【0032】
メトトロジシステムMET内では、基板の特性、特に異なる基板又は同じ基板の異なる層の特性が層ごとにどのように変化するかを決定するために検査装置が使用される。検査装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに統合されてもよいし、スタンドアロンデバイスであってもよい。最も迅速な測定を可能にするために、検査装置は、露光直後に露光されたレジスト層の特性を測定することが望ましい。しかし、レジストの潜像はコントラストが非常に低く、放射線を照射した部分と照射していない部分の屈折率の差は非常に小さく、すべての検査装置が潜像の有用な測定を行うのに十分な感度を備えているわけではない。したがって、露光後ベーク工程(PEB)の後に測定を行うことができる。これは、露光基板上で通常行われる最初の工程であり、レジストの露光部分と非露光部分との間のコントラストを高める。この段階で、レジスト内の画像はセミ潜在と呼ばれることがある。また、現像されたレジスト像の測定を行うことも可能である。この時点で、あるいは、エッチングなどのパターン転写工程の後にレジストの露光部分又は未露光部分が除去される。後者の可能性は、欠陥のある基板の再加工の可能性を制限するが、それでも有用な情報を提供する可能性がある。
【0033】
メトトロジ装置を図3(a)に示す。ターゲットTと、ターゲットを照らすために使用される測定放射線の回折光線が、図3(b)により詳細に示されている。図示のメトトロジ装置は、暗視野メトトロジ装置として知られるタイプのものである。ここに示したメトトロジ装置は、暗視野メトトロジの説明を提供するための単なる例示である。メトトロジ装置は、独立型デバイスであってもよいし、例えば測定ステーションにおけるリソグラフィ装置LA又はリソグラフィセルLCのいずれかに組み込まれてもよい。装置全体にいくつかの分岐がある光軸は、点線Oで表される。この装置では、光源11(たとえば、キセノンランプ)によって放出された光は、レンズ12、14及び対物レンズ16を含む光学システムによってビームスプリッタ15を介して基板Wに向けられる。これらのレンズは、4F配列の2連配列になっている。検出器上に基板画像を提供し、同時に空間周波数フィルタリングのための中間瞳面へのアクセスを可能にするという条件で、異なるレンズ構成を使用することができる。したがって、放射が基板に入射する角度範囲は、基板平面の空間スペクトルを表す平面(ここでは(共役)瞳平面と呼ばれる)内の空間強度分布を定義することによって選択できる。特に、これは、対物レンズの瞳面の逆投影画像である面において、レンズ12と14との間に適切な形状のアパーチャ板13を挿入することによって行うことができる。図示の例では、アパーチャプレート13は、13N及び13Sとラベル付けされた異なる形態を有し、異なる照射モードを選択できるようにする。本実施例における照射システムは、軸外照射モードを形成する。第1の照射モードでは、アパーチャプレート13Nは、単に説明のために「北」として指定された方向から軸外しを提供する。第2の照射モードにおいて、アパーチャプレート13Sは、同様の照射を提供するために使用されるが、「南」とラベル付けされた反対方向からである。異なる開口部を使用することにより、他のモードの照射が可能である。必要な照射モードの外にある不要な光は、必要な測定信号に干渉するため、瞳面の残りの部分は暗いほうが望ましい。
【0034】
図3(b)に示すように、ターゲットTは、基板Wが対物レンズ16の光軸Oに垂直になるように配置される。基板Wは、支持体(図示せず)によって支持されてもよい。測定放射線Iの光線が軸Oから外れた角度からターゲットTに衝突すると、0次光線(実線0)と2つの一次光線(点鎖線+1及び二重鎖線-1)が発生する。小さなターゲットがオーバーフィルされている場合、これらの光線は、計測ターゲットTやその他の機能を含む基板の領域をカバーする多くの平行光線の1つにすぎないことに注意すべきである。プレート13の開口部は有限の幅を持っているため(有効な光量を受け入れる必要があるため)、入射光線Iは実際に一定範囲の角度を占め、回折光線0及び+1/-1は多少広がる。小さなターゲットの点広がり関数によると、各次数+1及び-1は、示されているような単一の理想的な光線ではなく、角度の範囲にわたってさらに広がる。ターゲットのグレーティングピッチと照射角度は、対物レンズに入る一次光線が中心光軸と密接に整列するように設計又は調整できることに注意すべきである。図3(a)と3(b)に示されている光線は、図でより簡単に区別できるように、軸を少しずらして示されている。
【0035】
基板W上のターゲットTによって回折された少なくとも0次及び+1次は、対物レンズ16によって収集され、ビームスプリッタ15を通して戻される。図3(a)に戻ると、第1及び第2の照射モードの両方が、北(N)及び南(S)としてラベル付けされた正反対の開口部を指定することによって示されている。測定放射線の入射光線Iが光軸の北側からである場合、つまりアパーチャプレート13Nを使用して第1照射モードが適用される場合、+1(N)とラベル付けされた+1回折光線が対物レンズ16に入る。反対に、アパーチャプレート13Sを使用して第2の照射モードが適用される場合、-1回折光線(-1(S)と表示される)がレンズ16に入る。
【0036】
第2のビームスプリッタ17は、回折ビームを2つの測定ブランチに分割する。第1の測定ブランチにおいて、光学システム18は、0次及び1次の回折ビームを使用して、第1のセンサー19(例えば、CCD又はCMOSセンサー)上にターゲットの回折スペクトル(瞳面画像)を形成する。各回折次数はセンサー上の異なる点にぶつかるため、画像処理で次数を比較できる。センサ19によって取り込まれた瞳面画像は、メトトロジ装置の焦点合わせ及び/又は一次ビームの強度測定の正規化に使用することができる。瞳孔平面画像は、再構成などの多くの測定目的にも使用できる。
【0037】
第2の測定ブランチにおいて、光学システム20、22は、センサー23(例えば、CCD又はCMOSセンサー)上にターゲットTの画像を形成する。第2測定ブランチでは、瞳面と共役な面に開口絞り21が設けられている。開口絞り21は、0次回折ビームを遮断して、センサー23上に形成されるターゲットの画像が-1又は+1次ビームのみから形成されるように機能する。センサー19及び23によって取り込まれた画像は、画像を処理するプロセッサPUに出力され、その機能は実行される特定のタイプの測定に依存する。ここでの「画像」という用語は広義で使用されていることに注意すべきである。-1次数と+1次数のうちの1つだけが存在する場合、グレーティング線自体の画像は形成されない。
【0038】
図3に示されるアパーチャプレート13及びフィールドストップ21の特定の形態は、例に過ぎない。本発明の別の実施形態では、ターゲットの軸上照射が使用され、軸外開口を有する開口絞りが、実質的に1次の回折光のみをセンサーに通過させるために使用される。他の例では、2象限アパーチャが使用されてもよい。これにより、上記のUS2010201963A1に記載されているように、プラスとマイナスの順序の同時検出が可能になる。上記のUS2011102753A1に記載されているように、検出ブランチ内に光学ウェッジ(セグメント化されたプリズム又は他の適切な要素)を有する実施形態を使用して、単一の画像において空間的に画像化するための次数を分離することができる。さらに他の実施形態では、一次ビームの代わりに、又は一次ビームに加えて、二次、三次及びより高次のビーム(図3には示されていない)を測定に使用することができる。さらに他の実施形態では、開口絞り21の代わりにセグメント化されたプリズムを使用することができ、イメージセンサ23上の空間的に離れた位置で+1及び-1次の両方を同時に取り込むことができる。
【0039】
測定放射線をこれらの異なるタイプの測定に適合させるために、アパーチャプレート13は、回転して所望のパターンを適所にもたらすディスクの周りに形成された多数のアパーチャパターンを含むことができる。アパーチャプレート13N又は13Sは、一方向(セットアップに応じてX又はY)に向けられたグレーティングの測定にのみ使用できることに注意すべきである。直交グレーティングの測定では、ターゲットを90°及び270°回転させることができる。異なるアパーチャプレートを図3(c)及び(d)に示す。これらの使用法、及び装置の他の多くの変形例及び応用例は、前述の先行公開出願に記載されている。
【0040】
図4は、既知の実施に従って基板上に形成されたオーバーレイターゲット又は複合オーバーレイターゲットを示す。この例のオーバーレイターゲットは、メトトロジ装置のメトトロジ放射線照射ビームによって形成された計測スポット31内にすべてあるように、互いに密接に配置された4つのサブターゲット(たとえば、グレーティング)32~35を含む。したがって、4つのサブオーバーレイターゲットはすべて同時に照射され、センサー23上で同時に画像化される。オーバーレイの測定に特化した例では、サブターゲット32から35は、それ自体、基板W上に形成された半導体デバイスの異なる層にパターニングされたグレーティングを覆うことによって形成された複合構造である。複合サブターゲットの異なる部分が形成されるレイヤー間のオーバーレイの測定を容易にするために、サブターゲット32~35は、異なるバイアスが付加されたオーバーレイオフセットを有する。オーバーレイバイアスの意味は、図7を参照して後述する。サブターゲット32~35は、X及びY方向に入射放射線を回折させるために、示されているように、それらの方向も異なる。一例では、サブターゲット32及び34は、それぞれ+d、-dのバイアスを有するX方向サブターゲットである。サブターゲット33及び35は、それぞれオフセット+d及び-dを持つY方向のサブターゲットである。これらのサブターゲットの個別の画像は、センサー23によってキャプチャされた画像で識別できる。これは、オーバーレイターゲットの一例にすぎない。オーバーレイターゲットは、4つより多い又は少ないサブターゲットを含む場合がある。
【0041】
図5は、図3(d)のアパーチャプレート13NW又は13SEを使用して、図3の装置において図4のオーバーレイターゲットを使用して、センサー23上に形成され、センサー23によって検出され得る画像の例を示す。瞳面イメージセンサ19は異なる個々のサブターゲット32~35を解像できないが、イメージセンサ23は解像できる。ハッチングされた領域40は、基板上の照射スポット31が対応する円形領域41に画像化されるセンサー上の画像のフィールドを示す。この中で、長方形の領域42~45は、小さなオーバーレイターゲットサブターゲット32~35の画像を表す。オーバーレイターゲットが製品領域にある場合、製品の特徴がこの画像フィールドの周辺に表示される場合もある。画像プロセッサ及びコントローラPUは、パターン認識を使用してこれらの画像を処理し、サブターゲット32から35の個別の画像42から45を識別する。このようにして、センサーフレーム内の特定の位置に画像を正確に位置合わせする必要がなくなり、測定装置全体のスループットが大幅に向上する。
【0042】
オーバーレイターゲットの個別の画像が識別されると、それらの個別の画像の強度は、たとえば、識別された領域内の選択されたピクセル強度値を平均化又は合計することによって測定できる。画像の強度及び/又は他の特性を互いに比較することができる。これらの結果を組み合わせて、リソグラフィプロセスのさまざまなパラメータを測定できる。オーバーレイパフォーマンスは、このようなパラメータの重要な例である。
【0043】
例えば、上述のUS20110027704Aなどの出願に記載されている方法を使用して、サブターゲット32~35内の2つの層間のオーバーレイエラー(すなわち、望ましくない意図的でないオーバーレイミスアライメント)が測定される。このような方法は、マイクロ回折ベースのオーバーレイ(μDBO)と呼ばれることがある。この測定は、+1次及び-1次の暗視野画像(例えば、+2及び-2次のような他の対応する高次の強度を比較できる)でそれらの強度を比較することによって明らかになるように、オーバーレイターゲットの非対称性を通して行われ、強度の非対称性を測定する。
【0044】
図4に示すようなマルチグレーティングターゲットを使用する既知の方法では、オーバーレイOVは次の式で決定できる:
【数1】
ここで、
【数2】
は、正のバイアスターゲットからの+1次回折次数(たとえば、強度値)であり、
【数3】
は、正のバイアスターゲットからの-1次回折次数であり、
【数4】
は、負のバイアスターゲットからの+1次回折次数であり、
【数5】
は、負のバイアスターゲットからの-1次回折次数であり、
【数6】
は、例えば、正のバイアスターゲットからの+1次と-1次の非対称性を示し、
【数7】
は、例えば、負のバイアスターゲットからの+1次と-1次の非対称性を示す。
【0045】
数式1は、オーバーレイに依存しないという特別な特性を持つスタック依存パラメータである感度係数Kに関して再定式化でき(完全なターゲットを想定)、
【数8】
ここで、
【数9】
である。
【0046】
数式2(〔数8〕)は、サブターゲットを形成するグレーティングのピッチと比較して、バイアス値及びオーバーレイ誤差が小さいという仮定に基づく単純な線形方程式であるが、非対称性のオーバーレイ誤差及びバイアスに対する依存性は、より広い範囲で、実質的に正弦波の形をしている。数式2の線形モデルの代わりに、正弦波モデルを使用することもできる。
【0047】
4つの異なるサブターゲットを使用する既知の方法では、各サブターゲット(図4及び5には示されていない)の周囲に境界線を付けて、画像40でそれらを区別する必要がある。これは、エッジ効果のためにパターン領域の特定の部分が使用できないことを意味する。さらに、2つの特定のオフセットのみを使用すると、上記の線形性の仮定が強制され、実際の関係が非線形である場合に不正確になる可能性がある。
【0048】
以下では、バイアスの連続的な変化、及び/又は複数のバイアス値を持つオーバーレイターゲットを含むソリューションを開示する。今説明した画像平面オーバーレイ測定手法に適用すると、ターゲット領域の強度画像に複数のバイアス値が表示される。品質情報が使用されていることを確認するために、線形性及び/又は正弦波フィッティングの検証を実行できる。さらに、ターゲットと測定装置のオーバーレイに対する感度やその他の要因に関するより多くの情報を取得できる。実施形態は、オーバーレイグレーティングを形成する一方又は両方のグレーティングの回転又は互い違いに基づいて説明される。実施形態は、上部グレーティングと下部グレーティングの異なるピッチに基づいて説明される。適切な設計により、信号の決定により多くの現在の領域を使用できる。現在の技術と比較して、ターゲットサイズが縮小され、及び/又は測定精度が向上する可能性がある。
【0049】
図6は、個々のサブターゲット632から635を含むマルチグレーティングターゲット600を示す。図4のターゲットのように、4つのサブターゲットは、X方向の測定用の2つのオーバーレイグレーティングと、Y方向の測定用の2つのオーバーレイグレーティングを備えている。ただし、各グレーティング内に固定オーバーレイバイアスを提供する代わりに、負の値、正の値、及び中間値を含むバイアスの多段階又は連続変化が提供される。グレーティング632及び635は、それぞれX及びYとともに増加するバイアス値を有する。逆に、グレーティング633及び634は、それぞれX及びYとともに減少するバイアス値を有する。ターゲット600及び個々のサブターゲットが既知のターゲットと同じ寸法を有するか、又はより大きく又はより小さくされるかは、設計上の選択の問題である。
【0050】
図7は、図3の装置のセンサー23上に取り込まれた対応する画像740を概略的に示している。参照符号742~745は、個々のサブターゲットに対応する強度画像領域を示す。各サブターゲット上のバイアスの変化により、強度は各領域内で一定ではなく変化する。関心領域ROIの代わりに、示されているように、バイアスの変化の方向に揃えられた「関心ライン」FOIを想像することができる。強度情報を処理してオーバーレイ測定値を取得する方法については後述する。最初に、連続バイアスターゲットのさまざまな可能な実装が示される。
【0051】
図8(a)において、例として図6のサブターゲット632を使用すると、サブターゲットは、下にあるフィーチャ804の上に印刷されたフィーチャ802を有するオーバーレイグレーティングを含む。本明細書のすべての例において、特徴は説明の目的のみのために拡大して示されていることが理解されるであろう。実際のグレーティングには数百本の線がある場合がある。フィーチャ804及び802は、平行ではなく、それらの間の偏差の小さな角度、例えば0.1から0.5°の間、例えば0.35°であるように形成される。この例では、下にあるフィーチャ804は、y軸に対してある角度で印刷されている。実際の実装では、いずれか又は両方の層が軸に対して回転可能であり得る。その結果、示されているような線の向き内で、バイアス値dは、ターゲットの中央を横切るゼロから、中央より上の正の値、及び中央より下の負の値まで変化する。バイアス値はX方向であり、ターゲット全体でY方向に連続的に変化する。代替の実装では、傾斜した線ではなく、1つ又は両方の線を、バイアスの一連の細かい段階でずらして実装することができる。
【0052】
図8(a)に示す状況では、オーバーレイエラーOVはゼロであるため、非対称性Aは、バイアスがゼロである同じ線に沿ってゼロになる。一方、図8(b)を参照すると、X方向のオーバーレイがゼロでない場合、非対称性がゼロの線がY方向にシフトする。
【0053】
図9は、4つのサブターゲット632から635を示しており、図8に示される形態を有し、バイアス変動の適切な方向及び極性を有する。
【0054】
図10は、1032から1035までの番号が付けられた4つのサブターゲットに連続的又は多段階のバイアスを持つ別のターゲットデザインの例を示している。この場合の各サブターゲットは、正方形ではなく長方形の形をしている。それ以外の場合、グレーティングの向きとバイアス変動の極性は、図6から9の例のターゲット632から635と同じである。図11は対応する画像を示しており、領域1142から1145はサブターゲット1032から1035に対応している。ここでも、バイアスの変動は、均一な強度を持つ単一の関心領域ではなく、各サブターゲットの画像全体で強度の変動を引き起こす。
【0055】
図12(a)は、図10の長方形の連続バイアスサブターゲットの1つの可能な実装を示している。説明のために、バイアス変動が誇張された数本の線だけのグレーティングが示されている。サブターゲットの最上層のラインフィーチャ1202は、最下層のフィーチャ1204の上に印刷されている。この例では、ラインフィーチャの一方又は両方のセットを回転させてバイアス変化を取得する代わりに、上部と下部のラインのグレーティングのピッチ(周期)が異なる。最上層のフィーチャ1202はピッチP1で配置され、最下層のフィーチャ1204はわずかに小さいピッチP2で配置される。これにより、線1206及び図12(b)のグラフに示すように、バイアスdの線形変化が発生する。線は勾配Sを持っている。図6から図7の回転の例とは対照的に、バイアスの変化、したがって対象の線LOIは、グレーティングの周期性の方向に平行である。
【0056】
グラフには、グレーティング全体の非対称性Aの変化を表す正弦曲線も示されている。オーバーレイ誤差がゼロであると仮定すると、示されているように、バイアスdと非対称性Aは同じ線に沿ってゼロになる。オーバーレイエラーが存在する場合、この関係は崩れる。オーバーレイ誤差を決定できるようにするために、ゼロバイアスの既知の線に対するゼロ非対称点のシフトを測定することができる。ただし、単一のターゲットからこれを行うには、ゼロバイアスラインの位置を知るために、ターゲットの位置を非常に正確に測定する必要がある。図13に示すように、反対のバイアス変動を持つサブターゲットの相補的なペアを提供することで、オーバーレイのより正確な測定が可能になり、測定装置のプロセス効果や非対称性に起因する変動に対して測定が堅牢になる。
【0057】
図13は、(a)X方向のゼロオーバーレイエラー及び(b)非ゼロオーバーレイエラーの条件の下でのサブターゲット1032及び1034を示す。もちろん、Y方向サブターゲット1033、1035についても同様である。符号が付いているように、サブターゲット1032は、小さいピッチP2よりも大きいピッチ1を有する。バイアスdは、Xの増加とともに漸進的に増加する。対照的に、サブターゲット134は、より大きなピッチP1よりも小さなピッチP2を有する。したがって、バイアスdはXの増加とともに徐々に減少する。
【0058】
したがって、オーバーレイエラーが導入されると、図13(b)に示すように、2つのサブターゲットのゼロ非対称線は等しく、ただしゼロバイアス線に対して反対方向に移動する。サブターゲットのペアの強度画像1142及び1144から測定された非対称性を比較することにより、オーバーレイエラーを測定することができる。
【0059】
ここで、図10から図13のターゲット1000の例を使用して、図14を参照して、完全なオーバーレイ測定方法を説明する。この方法は、図6から図9の連続バイアスターゲット、及び以下に図示し説明するものを含む代替例に適用することができる。例として、図15は、(a)ターゲット1000のサブターゲット1032の長さにわたる非対称性変化の測定、及び(b)ターゲット1000のサブターゲット1034の長さにわたる非対称性変化の測定における方法の詳細を示す。
【0060】
図14のステップS1において、基板、例えば半導体ウエハは、図2のリソグラフィセルなどのリソグラフィ装置を通して1回以上処理され、サブターゲット1032~1035を含むオーバーレイターゲットを作成する。S2では、図3のメトトロジ装置を使用して、サブターゲット1032~1035の画像が、1次回折ビーム(例えば、-1)の1つだけを使用して取得される。ステップS3では、他の1次回折ビーム(+1)を使用するオーバーレイターゲットの第2の画像が第2の画像に取り込まれる。簡単にするために単一の画像に言及しているが、同じ照射条件又は異なる条件の下で複数の画像を撮影して、利用可能な情報を増やし、必要なレベルの測定性能を達成することができる。照射条件は、例えば、波長及び/又は偏光において変化し得る。
【0061】
各画像には1次回折放射線の半分しか含まれていないため、ここでいう「画像」は従来の暗視野顕微鏡画像ではない。オーバーレイターゲットの個々のオーバーレイターゲットラインは解決されない。各オーバーレイターゲットは、特定の強度レベルの領域によって単純に表される。
【0062】
ステップS4において、強度値は、図15(a)及び(b)に示される1つ又は複数の対象ラインに沿ってサンプリングされ、各コンポーネントオーバーレイターゲットの画像内のバイアスの変化の方向と整列される。
【0063】
ステップS5において、各サブターゲット1032~1035について+1及び-1次数について得られた強度値を比較することにより、各サブターゲットにわたる非対称性の変化がプロセッサPUで決定される。既知のように、単純な減算、又は比率形式で。既知の方法で使用される技法と同様の技法を適用して、関心領域を識別し、+1及び-1画像をピクセル精度にアライメントすることができる。
【0064】
対象となるすべての線LOIの強度値を比較する前に組み合わせて非対称性を導き出すか、対象の線に沿って非対称性値を導き出し、次に組み合わせて平均非対称性を得るかは、実装の問題である。図15(a)及び(b)に示すように、ターゲットにおける既知の勾配のバイアスの変動の存在により、追加情報が可能になり、ステップS5の予備ステップとしてデータ検証を実行することができる。例えば、非対称性サンプル値1500は、予測される線形又は正弦波関係(曲線1502、1504)に適合することができる。ターゲットのエッジ領域は、1506で見られるように、適合曲線からの偏差によって明確に識別できる。異常値1508、1510も同様に識別できる。丸で囲ったサンプル値は計算から除外できる。バイアス及び/又はオーバーレイエラーによって信号が非対称曲線の非線形領域に移動する場合、応答の線形セクションを識別でき、必要に応じてこのセクションの値のみが使用される。このようなフィルタリングは、非対称性を計算する前に、示されているような非対称性値、及び/又は強度値で実行することができる。
【0065】
以下でさらに説明するように、適切な設計のターゲットは「アンカーポイント」を含むことができるため、この前処理はサブターゲット画像間の特徴の位置合わせも改善できる。
【0066】
ステップS6では、多数のオーバーレイターゲットについて測定された強度非対称性が、それらのオーバーレイターゲットのオーバーレイバイアスの既知の変動の知識と共に使用され、オーバーレイターゲットTの近傍におけるリソグラフィプロセスの1つ以上の性能パラメータを計算する。非常に興味深いパフォーマンスパラメータはオーバーレイである。
【0067】
現在のオーバーレイの計算方法は、式1、2、及び3を参照して上で説明されている。本開示の連続バイアス/複数バイアスターゲットを使用して、異なる方法を適用することができる。
【0068】
図15は、予想される動作で曲線をフィッティングすることに基づく1つの方法を示している。示されている線形の例では、次のようになる:
PB=aPB*X+bPB;ANB NB *X+bNB、又は
PB=K*(OV+S*X)+bPB;ANB=K*(OV-S*X)+bNB
【0069】
ここで、APB及びANBは、正のバイアス変動を有するサブターゲット1032及び負のバイアス変動を有するサブターゲット1034に沿った各点Xにおける非対称値である。因子aPB、bPB、aNB、bNB 場合によって異なる。理想的なケースでは、a =aNBである。2番目の式は、これらの因子を前述のプロセス依存の因子K、未知のオーバーレイエラーOV、及びバイアス変動の既知の勾配Sの項に変換する。勾配Sは2つのサブターゲット間で同じであり、符号のみが異なると想定される。
【0070】
正弦波モデルが適用される場合、方程式は次のようになる。
【0071】
PB=bPB+K*sin(OV+S*X); APB=bNB+K*sin(OV-S*X);
【0072】
図15(b)において、正のバイアス変動を伴うサブターゲット1032の非対称変動である曲線1502は、負のバイアス変動を伴うサブターゲット1034の非対称変動と同じグラフに重ねられる。正のオーバーレイ誤差OVにより、ゼロ非対称の線はサブターゲット1032のゼロバイアス線の左側に移動し、サブターゲット1034のゼロ非対称線は右側に移動している。オーバーレイを決定するために、プロセッサは非対称APBとANBのゼロ点間のシフト(xs)を計算する。次に、シフトxsとターゲットの既知の勾配からオーバーレイを計算するのは簡単である。線形モデルの場合、これは次のとおりである:
OV=xs/S
【0073】
必要に応じて、正弦波モデルを適用できる。
【0074】
代替の実装では、たとえば次のように、対象の線に沿った各空間位置についてオーバーレイが計算される:
K=(APB-ANB)/S*X
OV=(APB+ANB)/[S*X*(APB-APB)]
【0075】
すべての位置からの結果は、単一のオーバーレイ測定に結合できる。ここでも、必要に応じて正弦波モデルを適用できる。前述のように、このような計算がさまざまな対象ラインLOIに対して個別に実行されてから組み合わされるかどうか、又は計算の前にピクセル値が対象ラインを横切る方向で平均化されてから使用されるかどうかは、実装の問題である。非線形領域(非正弦波領域)と外れ値を削除するフィルタリング手順は、結果が結合される前に、図15の非対称曲線に示されている原理に基づいて、オーバーレイ曲線に適用できる。
【0076】
バイアスが等しい領域は、両方の曲線で同じ非対称応答を持つ必要があるが、ずれは、位置ずれや光学的及び/又は処理効果によって引き起こされる可能性がある。これにより、これまでに説明した方法が不正確になる。したがって、いくつかの実施形態では、非対称曲線を組み合わせてオーバーレイを計算する前に、非対称曲線の位置合わせを容易にする「アンカーポイント」として使用できる特徴が含まれる。
【0077】
図16及び17の例では、アンカーポイントがターゲット全体のバイアスの変動内に埋め込まれている。図10から図13に示すものの修正版である、修正された多グレーティングターゲット1600の一部が示されている。2つのサブターゲット1632及び1634が示されている。各ターゲットの中間部では、上下のグレーティングピッチP1、P2はターゲット1000と同じである。ただし、他の領域では、ピッチ1とP2が逆になるため、構造内の既知のポイントでバイアス変化の勾配が変化する(この例では、逆になる)。この例では、マークされているように、位置XIとX2で勾配が反転する。図16に示されていない例では、ターゲット1632の下部グレーティングはピッチP2を有し、ターゲット1632の上部グレーティングは2つの領域を含み、両方ともピッチP2で下部グレーティングと重なり、上部グレーティングの第1領域は、ターゲット1632の第1領域は、ターゲット1632の下部グレーティングのピッチP2よりも小さいピッチPfを有し、ターゲット1632の上部グレーティングの第1の領域は、ターゲット1632の下部グレーティングのピッチP2よりも大きいピッチP3を有する。
【0078】
図17(a)は、サブターゲット1634(曲線1704、破線)に送信されたサブターゲット1632(曲線1702、実線)の位置Xに対してバイアスdがプロットされたときの勾配反転を示す。ステップ1706で示される非対称性測定の目的で、バイアスの変動は周期的であることに注意すべきである。
【0079】
図17(b)には、サブターゲット1632の画像1142(曲線1712、実線)及びサブターゲット1634の画像1144(曲線1714、破線)から測定された、非対称性の正弦波変動が示されている。これらの曲線間のゼロクロスの位置の違いは、重ね合わせ誤差に対応するシフトxsによるものであるが、画像の位置合わせの誤差や、装置の処理効果や光学的効果によっても引き起こされる可能性がある。ターゲット1600に組み込まれた傾斜変化は、曲線1712及び1714の正弦波形状から逸脱した認識可能なアンカーポイントを提供するので、このエラーの原因は、例えば図17(b)の1716で示されるアンカーポイント間の不整列によって識別できる。
【0080】
図17(c)において、曲線1712及び1714は、曲線1722及び1724として再プロットされ、アンカーポイントを整列させるためにシフトされており、既知の同じバイアス及び同じX位置を有するこれらの点が整列される。これらの曲線から、曲線のゼロ交差間のシフトxsが計算され、前述のようにオーバーレイが計算される。
【0081】
複数のアンカーポイントが提供されている場合、それらの相対シフトの平均を使用して、曲線の最適なフィッティングを得ることができる。アンカーポイントの数は、2つ未満でも2つ以上でもかまわない。原則として、3つ以上の傾斜の変化を有する図示のタイプのグレーティングは、比較のために第2のグレーティングを必要とせずに、それ自体で使用することができる。これは、正のバイアスの変化と負のバイアスの変化の望ましいシーケンスを持つサブターゲットが同じ拡張構造内で見つかるためである。したがって、「サブターゲット」は、単一のグレーティング構造内の重複領域を含むと解釈されるべきである。上記の例には、アンカーポイントとしてスロープの反転が含まれていますが、一定のバイアスの小さな領域を含む、他のタイプのアンカーポイントを含めることができる。一定のバイアスと傾きの反転の領域は、同じ場所又は異なる場所の同じターゲットに含まれる可能性がある。一定バイアスの領域は傾きの変化の例であり、傾きの変化は傾きの反転に限定されないことに注意すべきである。示されている例のように、非対称性がバイアス変化に敏感な領域でスロープの変化が発生するように設計することができる。感度はプロセス効果と光学効果に依存するため、これを完全に制御することはできない。
【0082】
図18は、連続的なバイアス変動ではなく、段階的なバイアス変動を持つ下部構造の例を示している。バイアスの変動が分かっていれば、観測された強度と非対称性に適切な曲線を当てはめることができる。
【0083】
図19は、複数グレーティングターゲットの各サブターゲットが異なるバイアスの領域を有するさらなるバリエーションを示す。この例では、X方向のバイアスがY方向に-10nmから+10nmに変化する。
【0084】
図20は、X及びY回折の両方を伴うグレーティングを提供するためにL字型の線特徴が使用されるターゲット又はサブターゲット2000を示す。図21では、そのような設計は、ターゲットの異なるセグメントにおける関心のある線に沿ってバイアスの段階的変化が提供されるターゲット2100を提供するように適合されている。Y方向に-10nmから+10nmの範囲のバイアスが表示されている。図22は、底部グレーティングのL字形の線特徴が図6の方法でわずかに回転し、それによりターゲット全体のバイアスの連続変化を提供するターゲット2200を示す。ターゲット2120及び2200は、強度測定値を抽出するための画像の位置合わせを支援するために、それぞれ位置合わせ特徴2102及び2202を備えている。
【0085】
図23は、ターゲット2200の特徴を組み込んでいるが、正方形の周りで繰り返されているより大きなターゲット2300を示している。図24は、ターゲット2200の形態を有するが回転された4つのサブターゲットが提供されるターゲット2400を示す。
【0086】
上記は、本明細書に開示された概念を適用して実装できるターゲット設計の一部の例に過ぎない。説明されている方法は、これらのターゲットからの信号を処理して、オーバーレイ測定の改善、及び/又は基板上のスペースの使用率を改善する方法の例にすぎない。
【0087】
上記のターゲットは、測定のために特別に設計及び形成された計測ターゲットであるが、他の実施形態では、基板上に形成されたデバイスの機能部分であるターゲットで特性を測定することができる。多くのデバイスには、規則的なグレーティング状の構造がある。本明細書で使用される「ターゲットグレーティング」及び「ターゲット」Aという用語は、実行される測定のために構造が特に提供されていることを必要としない。さらに、計測ターゲットのピッチPは、スキャトロメータの光学系の分解能限界に近いが、ターゲット部分Cのリソグラフィプロセスによって作成される典型的な製品特徴の寸法よりもはるかに大きくなる可能性がある。又は、ターゲット内のオーバーレイグレーティングのスペースは、製品の特徴と寸法が類似したより小さな構造を含むように作成することができる。
【0088】
基板上に実現されるターゲットAの物理的なグレーティング構造及びパターニングデバイスに関連して、実施形態は、基板上のターゲットを測定する方法及び/又は測定値を分析してリソグラフィプロセスに関する情報を含むコンピュータプログラムを含んでもよく、このコンピュータプログラムは、例えば、図3の装置のユニットPU及び/又は図2の制御ユニットLACU内で実行することができる。そのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスク、又は光ディスク)が提供されてもよい。例えば、図3に示すタイプの既存のメトトロジ装置が既に製造及び/又は使用されている場合、本発明は、プロセッサにステップS1~S6を実行させるための更新されたコンピュータプログラム製品の提供によって実施することができるオーバーレイ誤差を計算する。
【0089】
プログラムは、光学システム、基板支持などを制御して、適切な複数のターゲット上で非対称性を測定するためのステップS1~S6を実行するようにオプションで構成されてもよい。
【0090】
本発明によるさらなる実施形態は、以下の番号が付けられた条項で説明される。
1.リソグラフィプロセスの性能パラメータを測定する方法であって、
基板上に形成されたターゲット上の位置から複数の非対称測定値を取得し、
ターゲット上の位置間のバイアス変動に基づいて、複数の非対称性測定値を、非対称性と前記性能パラメータとの間の少なくとも1つの予想される関係に適合させ、
適合した関係から、上記の性能パラメータの測定値を導き出す、方法。
2.非対称性測定値を少なくとも1つの予想される関係に適合させるステップが、予想される関係から逸脱する、及び/又は適合する関係の特定のセグメントの外にある測定値を完全に又は部分的に無視することを含む、条項1に記載の方法。
3.予想される関係は、特定のバイアス値での非対称性ゼロの期待を含み、複数の測定値は、少なくとも1つの負のバイアス値に関連付けられた位置及び少なくとも1つの正のバイアス値に関連付けられた位置を含む位置からの測定値を含む、条項1又は2に記載の方法。
4.複数の測定値は、2つ以上の負のバイアス値及び2つ以上の正のバイアス値に関連する位置からの測定値を含む、条項3に記載の方法。
5.複数の測定値は、ターゲットの領域にわたるバイアス値の連続変動に関連する位置からの測定値を含む、条項4に記載の方法。
6.非対称性測定値が少なくとも2つのサブターゲット上の位置から取得され、各サブターゲットの非対称性測定値が、異なるバイアス変動に関連付けられた異なるバイアス変動に従って、そのサブターゲットの期待される関係に適合され、2つのサブターゲットの適合関係は、パフォーマンスパラメータの測定値を決定するために一緒に使用される、前項のいずれかに記載の方法。
7.非対称測定は2つのサブターゲットから得られ、2つのサブターゲットは等しくかつ反対のバイアス変動を有すると想定される、条項6に記載の方法。
8.性能パラメータの測定値を決定するために一緒に使用される前に、前記適合した関係のうちの2つ以上が、ターゲットの特徴によって定義される1つ以上のアンカーポイントを参照することによって位置合わせされる、条項6又は7に記載の方法。
9.前記アンカーポイントは、測定された非対称性の変化における特徴を使用して識別される、条項8に記載の方法。
10.前記アンカーポイントが、サブターゲット内の既知の位置における前記バイアス変動の勾配の変化に関連付けられている、条項9に記載の方法。
11.前記性能パラメータはオーバーレイであり、前記バイアス変動は、2つの異なるリソグラフィーステップで基板上に印刷されたフィーチャ間のプログラムされた位置オフセットの変動である、前項のいずれかに記載の方法。
12.リソグラフィ装置で使用するためのパターニングデバイスであって、1つ又は複数のデバイスパターンを定義する部分と、1つ又は複数の計測パターンを定義する部分とを含み、計測パターンは、前項のいずれかに記載の方法で使用するための少なくとも1つのターゲットを含み、ターゲットは、ターゲット上の位置間のバイアス変動を有し、前記バイアス変動は、非対称性に関連する特性である、パターニングデバイス。
13.ターゲット内の前記位置が、少なくとも1つの負のバイアス値を有する位置と、少なくとも1つの正のバイアス値に関連付けられた位置とを含む、条項12に記載のパターニングデバイス。
14.ターゲット内の位置が、複数の負のバイアス値及び複数の正のバイアス値を有する位置を含む、条項13に記載のパターニングデバイス。
15.ターゲット内の位置が、ターゲットの領域にわたってバイアス値の連続変化を有する位置を含む、条項14に記載のパターニングデバイス。
16.前記ターゲットは少なくとも2つのサブターゲットを含み、各サブターゲットは異なるバイアス変動を有する、条項12から15のいずれかに記載のパターニングデバイス。
17.2つのサブターゲットが、等しくかつ反対のバイアス変動を有する、条項16に記載のパターニングデバイス。
18.1つ又は複数のアンカーポイントが各サブターゲットの特徴によって定義される、条項16又は17に記載のパターニングデバイス。
19.前記アンカーポイントは、前記バイアス変化の特徴によって規定される、条項18に記載のパターニングデバイス。
20.前記アンカーポイントは、サブターゲット内の位置における前記バイアス変動の勾配の変化によって定義される、条項19に記載のパターニングデバイス。
21.前記性能パラメータはオーバーレイであり、前記パターニングデバイスは、デバイス構造の異なる層を定義する際に使用するためのパターニングデバイスのセットの1つであり、前記バイアス変動は、セットの異なるパターニングデバイスで定義されたフィーチャ間のプログラムされた位置オフセットの変動である、条項12~20に記載のパターニングデバイス。
22.前記バイアス変動が、前記パターニングデバイスによって規定されるグレーティング特徴と、セットの別のパターニングデバイスによって規定されるグレーティング特徴との間の角度によって少なくとも部分的に規定される、条項21に記載のパターニングデバイス。
23.前記バイアス変動が、前記パターニングデバイスによって規定されるグレーティング特徴とセットの別のパターニングデバイスによって規定されるグレーティング特徴との間のピッチの差によって少なくとも部分的に規定される、条項21又は22に記載のパターニングデバイス。
24.前記バイアス変化における少なくとも1つの傾斜の変化が、パターニングデバイスによって画定されるグレーティング特徴内の位置におけるピッチの変化によって画定される、条項23に記載のパターニングデバイス。
25.メトトロジ装置であって、
ターゲットを放射線で照射するように構成された照射システムと、
ターゲットの照射から生じる散乱放射線を検出するように構成された検出システムとを含み、前記メトトロジ装置は、条項1~11項のいずれかの方法を実行するように動作可能である、メトトロジ装置。
26.適切なプロセッサ制御装置上で実行されると、プロセッサ制御装置に条項1から11のいずれか1つの方法を実行させるプロセッサ可読命令を含むコンピュータプログラム。
27.条項26のコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラムキャリア。
【0091】
上記では、光リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用について特定の言及を行ってきたが、本発明は、光リソグラフィに限定されず、他の用途、例えばインプリントリソグラフィにおいて使用することができ、文脈が許す場合はそうではないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィが基板上に作成されるパターンを定義する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジストの層に押し込まれ、電磁放射、熱、圧力、又はそれらの組み合わせを適用することによってレジストが硬化される。パターン形成装置は、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストから移動される。
【0092】
本明細書で使用される「放射線」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射線(例えば、波長が365、355、248、193、157又は126nm又は約126nm)及び極紫外線(EUV)放射線(例えば、5~20nmの範囲の波長を有する)を含む、すべてのタイプの電磁放射線、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを包含する。
【0093】
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折、反射、磁気、電磁気、及び静電部品を含む、さまざまなタイプの部品のいずれか、又はそれらの組み合わせを指す場合がある。
【0094】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的性質を完全に明らかにするので、第三者は、当業者が当業者の技術の範囲内の知識を適用することにより、過度の実験を行うことなく、本発明の一般的概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々なアプリケーションに容易に変更及び/又は適応させることができる。したがって、そのような適合及び修正は、本明細書に提示された教示及びガイダンスに基づいて、開示された実施形態の意味及び同等の範囲内にあることを意図している。本明細書の用語又は用語は、本明細書の用語又は用語が教示及びガイダンスに照らして当業者によって解釈されるように、限定ではなく例による説明を目的とすることを理解すべきである。
【0095】
本発明の範囲及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれにも限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12(a)】
図12(b)】
図13(a)】
図13(b)】
図14
図15
図16
図17(a)】
図17(b)】
図17(c)】
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24