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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】積層ポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20221122BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B27/20 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018184064
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020049885
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】棟 泰人
(72)【発明者】
【氏名】中山 慧美
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-024341(JP,A)
【文献】特開2016-043594(JP,A)
【文献】特開昭57-123050(JP,A)
【文献】特開平06-218895(JP,A)
【文献】特開2015-040220(JP,A)
【文献】国際公開第2019/168008(WO,A1)
【文献】特開2011-230436(JP,A)
【文献】特開2013-129076(JP,A)
【文献】特開2017-007192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C 45/00-45/84
B29C 55/00-55/30、61/00-61/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともA層、B層及びC層を順次備えた積層ポリエステルフィルムであって、
A層及びC層は、ポリエステルを主成分樹脂として含有し、且つ粒子を含有する層であり、B層はポリエステルを主成分樹脂として含有する層であり、
一方の表層側のA層は、共重合成分を0.1~10mol%含有するポリエステルを主成分樹脂とし、且つ、真比重0.5~2.0および平均粒径2.0~10.0μmの粒子をA層(100質量%)中に3~10質量%含有し、他方の表層側のC層は、共重合成分を0molより多く且つ10mol%以下の割合で含有するポリエステルを主成分樹脂とする層であり、C層の主成分樹脂であるポリエステルの共重合成分の含有割合よりも、A層の主成分樹脂であるポリエステルの共重合成分の含有割合の方が高く、且つ、両者の差が5mol%以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【請求項2】
A層の主成分樹脂であるポリエステルが、共重合成分を含有するポリエチレンテレフタレートである請求項に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記共重合成分を含有するポリエチレンテレフタレートの融点が240℃以下である請求項に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記C層が含有する粒子の含有量は、A層が含有する粒子の含有量よりも少ないことを特徴とする請求項1~の何れかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記C層が含有する粒子の含有量は、C層(100質量%)中に0.02~10質量%であることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記C層側表面の平均表面粗さ(Ra)よりも、前記A層側表面の平均表面粗さ(Ra)の方が大きいことを特徴とする請求項1~の何れかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項7】
前記C層側表面の平均表面粗さ(Ra)は0.01μm~1.0μmである請求項1~の何れかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項8】
前記A層側表面に離型層を形成してなる構成を備えた請求項1~の何れかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項9】
少なくとも一方向に延伸された延伸フィルムである請求項1~の何れかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低光沢感を有しており、製品に優れた意匠性を付与することができる積層ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種用途に使用されている。
【0003】
製品の外観を艶消し外観に仕上げるため、表面をマット調に仕上げたポリエステルフィルムを製品に貼り付けたり、このマット調表面を製品に転写したりすることが提案されている。
【0004】
このように、表面をマット調に仕上げたポリエステルフィルムとして、例えば特許文献1には、無機粒子および/または有機粒子を0.1質量%以上10質量%以下含有するポリエステルA層を最外層に有する基材フィルムのA層にメラミン樹脂を主成分とする塗膜層が積層されてなり、該塗膜層が積層された面の光沢度が30以下である離型用二軸配向ポリエステルフィルムが開示されている。
【0005】
特許文献2には、基材層と少なくとも一方の表面に粒子含有の艶消し層とを有する積層ポリエステルフィルムであって、該艶消し層表面の平均表面粗さ(Ra)が400~1000nm、10点平均粗さ(Rz)が4000~8000nmであり、該表面における光沢度(G60)が6~20であり、かつ、表面の突起のボイド破れ率が20%以下であることを特徴とする、二軸配向ポリエステルフィルムが開示されている。
【0006】
特許文献3には、無機粒子および/または有機粒子を含有するポリエステルA層を少なくとも一方の最外層に有し、該最外層のポリエステルA層表面の平均表面粗さRaが0.38μm以上1.0μm以下であり、ポリエステルA層表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが10μm以上80μm以下である、離型用二軸配向ポリエステルフィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-66805号公報
【文献】特開2016-97522号公報
【文献】特開2016-175229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、ポリエステルフィルムを複層構成とし、その表面層に粒子を含有させてフィルム表面を粗面化してマット調に形成すれば、このポリエステルフィルムを製品表面に直接貼り付けたり、或いは、当該ポリエステルフィルムの表面を対象物表面に当接してプレス圧着し、その後、当該ポリエステルフィルムを剥離して当該対象物表面に前記粗面化した表面状態を転写したりすることにより、当該製品の表面をマット調の外観に仕上げることができる。
【0009】
しかしながら、ポリエステルフィルムを複層構成とし、その表面層に粒子を含有させてフィルム表面を粗面化すると、ポリエステルフィルムがカールし易くなるばかりか、製造工程で破断が生じ易くなり、生産効率が低下するという課題を抱えていた。
【0010】
そこで本発明は、複層構成のポリエステルフィルムに関し、低光沢感を有しており、それでいて、カールの発生を抑えることができ、さらには、破断なく効率良く製造することができる、新たな積層ポリエステルフィルムを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくともA層、B層及びC層を順次備えた積層ポリエステルフィルムであって、
A層及びC層は、ポリエステルを主成分樹脂として含有し、且つ粒子を含有する層であり、B層はポリエステルを主成分樹脂として含有する層であり、
一方の表層側のA層は、共重合成分を0.1~10mol%含有するポリエステルを主成分樹脂とし、且つ、真比重0.5~2.0および平均粒径2.0~10.0μmの粒子をA層(100質量%)中に3~10質量%含有し、他方の表層側のC層は、共重合成分を0molより多く且つ10mol%以下の割合で含有するポリエステルを主成分樹脂とする層であり、C層の主成分樹脂であるポリエステルの共重合成分の含有割合よりも、A層の主成分樹脂であるポリエステルの共重合成分の含有割合の方が高く、且つ、両者の差が5mol%以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルムを提案する。
【発明の効果】
【0012】
本発明が提案する積層ポリエステルフィルムは、表面側のA層及びC層をいずれも、共重合成分を含有するポリエステルを主成分樹脂とし、粒子を含有する層とし、且つ、低光沢感を演出するA層が含有する粒子の真比重、大きさと含有量を規定することにより、低光沢感を有しており、それでいて、カールの発生を抑えることができ、さらには、破断なく効率良く製造することができる。さらに、光沢感を演出するA層の主成分樹脂であるポリエステルとして、共重合成分を0.1~10mol%含有するポリエステルを用いることにより、A層表面に比較的大きな高さの突起を多数形成することができるようになるため、低光沢感をより一層優れたものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0014】
<<本積層ポリエステルフィルム>>
本発明の実施形態の一例に係る積層ポリエステルフィルム(「本積層ポリエステルフィルム」と称する)は、少なくともA層、B層及びC層を順次備えた積層ポリエステルフィルムである。
【0015】
本積層ポリエステルフィルムは、少なくともA層、B層及びC層を順次備えていればよいから、前記各層間に他の層が介在してもよいし、また、A層及びC層の表面側に他の層が積層されていてもよい。一例としては、後述する離型層をA層又はB層の表面に積層する場合などを挙げることができる。ただし、これに限定するものではない。
【0016】
本積層ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、少なくとも一方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましく、中でも二方向に延伸された延伸フィルムであることがより好ましい。延伸によって、A層表面に比較的大きな高さを有する突起をA層表面に多数形成することができる。
【0017】
<A層>
A層は、ポリエステルを主成分樹脂として含有し、且つ粒子を含有する層である。
本積層ポリエステルフィルムにおいて、A層は低光沢感を演出する役割を備えた層であり、低光沢感をより一層優れたものとするため、A層表面は、比較的大きな高さを有する突起が多数、言い換えれば密度高く形成された表面であるのが好ましい。
ここで、「主成分樹脂」とは、各層において、構成する樹脂成分のうち最も含有割合の多い樹脂の意味である。
【0018】
(ポリエステルA)
A層の主成分樹脂をなすポリエステルAは、共重合成分を0.1~10mol%含有するポリエステルであるのが好ましい。当該共重合成分を0.1mol%以上含有すれば、A層を軟らかくすることができ、A層表面の突起の高さをより大きくすることができる。他方、当該共重合成分が10mol%以下であれば、破断なく効率よく製造できることから、好ましい。また、本積層ポリエステルフィルムが延伸フィルムである場合は、共重合成分の割合が上記範囲内であることによって、延伸配向化及び熱固定が可能となることから好ましい。
かかる観点から、ポリエステルAは、共重合成分を0.1~10mol%含有するのが好ましく、中でも1mol%以上或いは8mol%以下、その中でも3mol%以上或いは6mol%以下含有するのがさらに好ましい。
【0019】
なお、通常、エチレングリコールを原料の1つとしてポリエステルを製造(重縮合)する場合、エチレングリコールの一部は変性してジエチレングリコールとなってポリエステル骨格に導入される。このジエチレングリコールを副生ジエチレングリコールと称し、その副生量は、重縮合の様式(エステル交換法、直接重縮合)等によっても異なるが、エチレングリコールのうち1~5mol%程度である。本発明においては、エチレングリコールから副生されるジエチレングリコールは、共重合成分として扱わないものとする。
【0020】
上記ポリエステルAは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものであればよい。前記芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、他方の脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
【0021】
上記ポリエステルAは、上述のように、共重合成分を含有する共重合ポリエステルであるのが好ましく、中でも共重合成分を含有するポリエチレンテレフタレート(「共重合ポリエチレンテレフタレート」と称する)がより好ましい。
かかる共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分は、ジカルボン酸成分として、例えばイソフタル酸、フランジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸等から選ばれる一種または二種以上を挙げることができ、他方のグリコール成分として、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等から選ばれる一種または二種以上を挙げることができる。
中でも、共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分は、該共重合ポリエチレンテレフタレートの融点が240℃以下となるような共重合成分であるのが好ましく、235℃以下となるような共重合成分であるのがより好ましく、230℃以下となるような共重合成分であるのがさらに好ましい。ポリエステルAの融点が240℃以下となることで、延伸後の熱処理時にA層表面に比較的大きな高さを有する突起が現れやすくなり、十分な低光沢性を有するフィルムが得られるため好ましい。
【0022】
(粒子)
A層は、低光沢感を演出できるようにA層表面を粗面化するため、平均粒径2.0~10.0μmの粒子をA層(100質量%)中に3~10質量%含有するのが好ましい。
【0023】
A層が含有する粒子は、平均粒径2.0~10.0μmであるのが好ましい。
A層が平均粒径2.0μm以上の粒子を含有することにより、A層の表面を粗面化することができ、マット調とすることができる。但し、粒子が大き過ぎると、フィルム製造時のポリエステル押出工程におけるフィルターの圧力上昇が大きくなり生産性が低下する可能性がある。
よって、A層が含有する粒子の平均粒径は、2.0~10.0μmであるのが好ましく、中でも3.0μm以上或いは8.0μm以下、その中でも4.0μm以上或いは6.0μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、A層の粒子の平均粒径は、10個以上の粒子Xを走査型電子顕微鏡(SEM)観察して粒子Xの直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子Xの直径として測定することができる。他の層における粒子の平均粒径についても同様である。
粒子の平均粒径の測定は、原料段階で粒子自体を測定してもよいし、積層ポリエステルフィルムとした後に、各層中に含有する粒子を測定してもよい。
【0024】
上記粒子の形状は任意である。例えば球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれでもよい。但し、均一なマット面を得られるという観点から、球状であるのが好ましい。
粒子の硬度、比重、色等については特に制限はないし、種類の異なる2種類以上を併用してもよい。
【0025】
上記粒子は、マット感付与可能な粒子であれば特に限定されるものではない。例えば無機粒子であっても、有機粒子であっても、架橋高分子粒子であってもよい。
無機粒子は、延伸した際にフィルムにボイドを形成することがあり、視認性向上のために白色顔料を添加する必要がないという観点から好ましく、有機粒子はボイドが生じにくいためにフィルムの強度が下がらないという観点で好ましい。
【0026】
無機粒子としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデンなどを挙げることができる。
なお、上記シリカ粒子は、二酸化ケイ素(SiO)の他にも、例えば含水二酸化ケイ素などを含んでいてもよい。
【0027】
有機粒子としては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。
中でも、メタクリル酸メチル又はスチレン又は両方を共重合成分とする樹脂からなる粒子は、特にPETフィルムとの相性が良いため、好ましい。
その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機粒子を用いてもよい。
【0028】
架橋高分子粒子としては、例えばジビニルベンゼンやポリアクリレート等の架橋性モノマーと、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸の誘導体やその他の各種ビニル系モノマー等との共重合体を挙げることができる。
【0029】
A層が含有する粒子は、真比重の小さい粒子であるのが好ましい。真比重が小さければ、相対的に粒子数を増やすことができる。すなわち、同じ大きさ及び同じ含有量(質量%)において粒子の数を増やすことができ、A層表面の突起の数言い換えれば密度を増やすことができ、低光沢感をより一層優れたものとすることができる。
かかる観点から、A層が含有する粒子の真比重は2.0以下であるのが好ましく、中でも1.5以下、その中でも1.3以下であるのがさらに好ましい。なお、下限値としては0.5程度である。
【0030】
A層における粒子の含有量は、A層の表面を好適に粗面化することができ、しかも、フィルム延伸時に破断等が生じないようにするなどの観点から、A層(100質量%)中に3~10質量%であるのが好ましく、その中でも4質量%以上或いは10質量%以下、その中でも5質量%以上或いは9質量%以下、その中でも6質量%以上或いは8質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0031】
<C層>
C層は、基材層としてのB層を基準としてA層とは反対側に位置する層である。
C層は、ポリエステルを主成分樹脂として含有し、且つ粒子を含有する層である。
A層の反対側にC層を備えることにより、本積層ポリエステルフィルムのカールを抑制することができると共に、本積層ポリエステルフィルムを貼り付ける製品との接着性を高めることができる。
【0032】
(ポリエステルC)
C層の主成分樹脂をなすポリエステルCは、A層の主成分樹脂をなすポリエステルAと同じであっても、異なるものであってもよい。
【0033】
ポリエステルCは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものであればよい。前記芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、他方の脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
【0034】
また、上記ポリエステルCは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであるのが好ましく、中でも共重合ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
かかる共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分は、ジカルボン酸成分として、例えばイソフタル酸、フランジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸等から選ばれる一種または二種以上を挙げることができ、他方のグリコール成分として、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等から選ばれる一種または二種以上を挙げることができる。効果的にマット感を付与するという観点から、含有される第三成分がイソフタル酸であることが好ましい。
また、上述のようにC層を軟らかくする観点から、共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分は、該共重合ポリエチレンテレフタレートの融点が240℃以下となるような共重合成分であるのが好ましく、235℃以下となるような共重合成分であるのがより好ましく、230℃以下となるような共重合成分であるのがさらに好ましい。
ポリエステルCの融点が240℃以下であることで、延伸後の熱処理時にC層表面に比較的大きな高さを有する突起が現れやすくなり、十分な低光沢性を有するフィルムが得られるため好ましい。
【0035】
上述したように、ポリエステルCは、共重合成分を含有する共重合ポリエステルであっても、共重合成分を含有しないホモポリエステルであってもよく、中でも、共重合成分を0~10mol%含有するポリエステルが好ましい。特に、ポリエステルCが、A層の主成分樹脂であるポリエステルAと同じ共重合成分を含有する場合、ポリエステルAの共重合成分の含有割合よりも、ポリエステルCの共重合成分の含有割合の方が低いものが好ましい。言い換えれば、ポリエステルCの共重合成分の含有割合よりも、上記ポリエステルAの共重合成分の含有割合の方が高い方が好ましい。C層側表面は、A層側表面ほど粗くする必要がないからである。
またその際、上記ポリエステルAの共重合成分の含有割合と上記ポリエステルCの共重合成分の含有割合との差は5mol%以下であるのが好ましく、中でも4mol%以下、その中でも3mol%以下であるのがさらに好ましい。共重合成分の含有割合が上記範囲の関係を有することで、カールの抑制だけでなく、ハードコート層のような他の層をさらに積層させる際、C層と他の層との密着性を向上することもできる。
【0036】
(粒子)
C層は、フィルム表面を軽く粗面化してハンドリング性を良くする観点、さらには、本積層ポリエステルフィルム全体のカールを防ぐ観点から、粒子を含有するのが好ましい。
【0037】
C層における粒子の含有量は、C層(100質量%)中に0.02~10質量%であるのが好ましく、その中でも0.1質量%以上或いは5質量%以下、その中でも0.3質量%以上或いは3質量%以下、その中でも0.5質量%以上或いは2質量%以下であるのがさらに好ましい。
但し、C層側表面は、ハンドリング性を好適にする程度に粗面化できればよく、A層側表面ほど粗面化する必要はないから、C層の粒子含有量(質量%)はA層のそれよりも少なくてよい。具体的には、C層が含有する粒子含有量は、A層が含有する粒子の含有量の0.1~100質量%であるのが好ましく、中でも1質量%以上或いは95質量%以下、その中でも5質量%以上或いは90質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0038】
上記粒子の形状は任意である。例えば球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれでもよい。但し、均一なマット面を得られるという観点から、球状であるのが好ましい。
粒子の硬度、比重、色等については特に制限はないし、種類の異なる2種類以上を併用してもよい。
【0039】
上記粒子は、粗面化可能な粒子であれば特に限定されるものではない。例えば無機粒子であっても、有機粒子であっても、架橋高分子粒子であってもよい。
無機粒子は、延伸した際にフィルムにボイドを形成することがあり、視認性向上のために白色顔料を添加する必要がないという観点から好ましく、有機粒子はボイドが生じにくいためにフィルムの強度が下がらないという観点で好ましい。
C層における無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子としては、前記したA層における粒子の例示と同様であり、好ましい態様についても同様である。
【0040】
なお、C層は、A層が含有する粒子と同じ組成の粒子を含有してもよいし、異なる組成の粒子を含有してもよい。また、C層は、組成乃至大きさの異なる2種類以上の粒子を含有してもよい。
【0041】
C層が含有する粒子は、平均粒径1.0~10.0μmであるのが好ましい。
C層が平均粒径1.0μm以上の粒子を含有することにより、C層の表面を適度に粗面化することができる。但し、A層ほど粗面化する必要はないから、C層が含有する粒子の平均粒径は1.0~10.0μmであるのが好ましく、中でも2.0μm以上或いは8.0μm以下、その中でも3.0μm以上或いは7.0μm以下、その中でも4.0μm以上或いは6μm以下であるのがさらに好ましい。
【0042】
また、本積層ポリエステルフィルムを白色化することを目的として、C層に粒子を含有させることもできる。
かかる観点からは、当該粒子の平均粒径は、光散乱効果による白色不透明性を付与する観点から、0.05μm~0.50μmであるのが好ましく、中でも0.10μm以上或いは0.45μm以下、その中でも0.20μm以上或いは0.40μm以下、その中でも0.25μm以上であるのがさらに好ましい。
また、光散乱効果による白色不透明性を付与する観点から、金属化合物粒子であるのが好ましい。
金属化合物粒子としては、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等を挙げることができ、中でも酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。
【0043】
<B層>
B層は、ポリエステルを主成分樹脂としていれば、その組成は任意である。
【0044】
(ポリエステルB)
B層の主成分樹脂としてのポリエステルBは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものであればよい。上記ポリエステルA又はCと同じポリエステルであっても異なるポリエステルであってもよい。
【0045】
前記芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、他方の脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
【0046】
また、上記ポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。かかる共重合ポリエステルのジカルボン酸成分として、例えばイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸等から選ばれる一種または二種以上を挙げることができ、他方のグリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等から選ばれる一種または二種以上を挙げることができる。
【0047】
代表的なポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等を例示することができる。
【0048】
なお、ポリエステルBが、上記ポリエステルA及びCと同じ共重合成分を含有する場合、C層の主成分樹脂であるポリエステルCの共重合成分の含有割合よりも、共重合成分の含有割合が低い方が好ましい。
【0049】
(粒子)
B層は、粒子を含有する層を備えたものであってもよいし、粒子を含有する層のみからなるものであってもよい。但し、コストの観点から、前述の有機粒子、無機粒子などの粒子を含有しない層であるのが好ましい。
【0050】
<その他の成分>
上記A層、B層及びC層の各層には、必要に応じて従来公知の耐候剤、耐光剤、遮光剤、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料、顔料等を添加することができる。また用途によっては、紫外線吸収剤、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を含有させてもよい。例えば視認性を高めるため、白色顔料などの顔料を添加させることができる。
【0051】
<本積層ポリエステルフィルム及び各層の厚さ>
本積層ポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではない。中でも、機械的強度、ハンドリング性および生産性などの点から、1μm~300μmであるのが好ましく、中でも5μm以上或いは125μm以下、その中でも8μm以上或いは100μm以下であることがさらに好ましい。
【0052】
基材層としての役割を有するB層の厚さは、本積層ポリエステルフィルムのカールを防止するという観点から、本積層ポリエステルフィルムの厚さの60~99%であるのが好ましく、中でも65%以上或いは99%以下、その中でも70%以上或いは99%以下であるのがさらに好ましい。この範囲にあることにより、B層自体にコシが出るために本積層ポリエステルフィルムのカールが発生しにくくなる。
【0053】
A層の厚さは、2.0~15μmであるのが好ましく、中でも3.0μm以上或いは10μm以下、その中でも4.0μm以上或いは8.0μm以下であるのがさらに好ましい。
A層の厚さを2.0μm以上とすることにより、効果的にマット感を付与することができる。また、A層の厚さが15μmを超えてもマット感の改善効果はほとんど変わらない。
【0054】
C層の厚さは、本積層ポリエステルフィルムのカールを防止するという観点から、A層の厚さと同様であるのが好ましい。かかる観点から、C層の厚さも、1.0~20μmであるのが好ましく、中でも2.0μm以上或いは20μm以下、その中でも3.0μm以上或いは20μm以下、その中でも特に4.0μm以上或いは15μm以下であるのがさらに好ましい。
【0055】
<本積層ポリエステルフィルムの物性>
(フィルムの表面粗さ)
本積層ポリエステルフィルムのA層側表面の平均表面粗さ(Ra)は0.3μm~1.0μmであるのが好ましい。A層側表面の平均表面粗さ(Ra)が上記範囲であれば、マット感を表現することができ、例えば、A層側表面を、対象物にプレス圧着して離型させることで、対象物表面に当該マット感を付与することもできる。
かかる観点から、A層側表面の平均表面粗さ(Ra)は0.3μm~1.0μmであるのが好ましく、中でも0.4μm以上或いは0.9μm以下、その中でも0.5μm以上或いは0.8μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、フィルムの表面粗さは、後述の実施例に記載の測定方法により測定することができる。
【0056】
なお、A層側表面は、低光沢感をより一層優れたものとするため、比較的大きな高さを有する突起が多数、言い換えれば密度高く形成された表面であるのが好ましい。但し、A層側表面の平均表面粗さ(Ra)の数値を見ると、A層側表面の特徴、すなわち、比較的大きな高さを有する突起が多数形成された表面の特徴が、当該Raの数値にはあまり現れていない点には留意が必要である。
【0057】
他方、C層側表面の平均表面粗さ(Ra)は、A層側表面ほど粗面化する必要はないから、A層側表面の平均表面粗さ(Ra)よりも小さいことが好ましい。
中でも、C層側表面の平均表面粗さ(Ra)は、0.01μm~1.0μmであるのが好ましい。C層側表面の平均表面粗さ(Ra)が上記範囲であれば、ハンドリング性だけでなく、他の層と積層する際の密着性が十分良好なものとすることができる。
かかる観点から、C層側表面の平均表面粗さ(Ra)は0.01μm~1.0μmであるのが好ましく、中でも0.03μm以上或いは0.8μm以下、その中でも0.05μm以上或いは0.5μm以下、その中でも0.1μm以上或いは0.3μm以下であるのがさらに好ましい。
【0058】
(光沢度)
本積層ポリエステルフィルムのA層側表面の光沢度は、低光沢感を付与する観点から、20%以下であるのが好ましい。一方、その下限は0.1%程度である。
かかる観点から、本積層ポリエステルフィルムのA層側表面の光沢度は、20%以下であるのが好ましく、中でも0.1%以上或いは10%以下、その中でも8%以下であるのがさらに好ましい。
【0059】
<本積層ポリエステルフィルムの製造方法>
以下、本積層ポリエステルフィルムの製造方法の一例について説明する。但し、本積層ポリエステルフィルムの製造方法が、次に説明する方法に限定されるものではない。
【0060】
先ず、公知の手法により、乾燥又は未乾燥の各層毎、すなわちA層、B層、C層及びさらなる他の層毎にそれぞれの原料を調製し、それぞれ各溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融混練する。次いで、各層の溶融ポリマーを、通常マルチマニホールドまたはフィードブロックを経てダイへ導き積層する。
次に、ダイから押出された溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0061】
次に、得られた未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70~150℃、好ましくは80~140℃であり、一段目ではフィルム流れ方向(縦方向)に延伸し、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは3.0~6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向(横方向)に、通常70~170℃で、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは3.0~6倍で延伸する。そして、引き続き180~270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る方法を挙げることができる。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0062】
上記熱処理、横方向に延伸した後の熱処理は、共重合成分を含有するポリエステルの融点よりも高い温度、例えばイソフタル酸成分を含むポリエステルであれば、熱処理温度は220℃以上が好ましく、中でも230~250℃であることがより好ましい。A層のポリエステルAは共重合成分を含有するため、このような熱処理によって軟らかくなり、粒子が表面に浮き出て突起の高さをより大きくすることができる。
【0063】
熱処理工程後は、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0~20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
【0064】
<本積層ポリエステルフィルムの使用方法>
本積層ポリエステルフィルムは、C層側表面を製品の表面に接着するようにして貼り付けることにより、A層側表面の低光沢感を当該製品表面に付与することができる。
また、A層の表面に離型層を積層すれば、例えばA層側表面すなわち離型層を対象物表面に当接してプレス圧着し、その後、本積層ポリエステルフィルムを剥離することで、当該対象物表面にA層表面の粗面化された表面状態を転写することができ、A層側表面の低光沢感を当該製品表面に付与することができる。この際の製品表面としては、例えば電磁波シールド用フィルム、特にそのハードコート層表面を挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
【0065】
(離型層)
上記のように、A層表面に離型層を形成する場合の離型層は、架橋剤由来の架橋構造を有するのが好ましい。このような架橋構造を有していれば、優れた硬度を有することができるから、本積層ポリエステルフィルムを対象物にプレス圧着した際に十分に耐えることができる。
【0066】
離型層の厚さに関しては、離型性を有しつつ、基材表面の粗さを平滑化しないようにする観点から、0.001~1μmであるのが好ましく、中でも0.002μm以上或いは0.5μm以下、その中でも0.005μm以上或いは0.2μm以下、その中でも0.008μm以上或いは0.15μm以下、その中でも0.01μm以上或いは0.1μm以下、その中でも特に0.01μm以上或いは0.08μm以下であるのがさらに好ましい。
離型層の厚さに関しては、前記離型層側表面の平均表面粗さ(Ra)の0.1~100%、中でも0.2%以上或いは50%以下、その中でも1.0%以上或いは25%以下であるのが好ましい。
【0067】
離型層は、前記A層表面、すなわち、粗面化された表面に、極めて薄い薄膜として離型層を設けるのが好ましいため、塗布延伸法(インラインコーティング)を採用して形成するのが好ましい。すなわち、本積層ポリエステルフィルムを製造する際の上記縦延伸と横延伸の間に、離型層形成組成物をコーティング処理するのが好ましい。このようにすれば、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造することができる。但し、この方法に限定するものではない。
【0068】
塗布延伸法(インラインコーティング)としては、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前に、「離型層形成組成物」をコーティング処理するのが好ましい。このようにすれば、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造することができる。
【0069】
離型層形成組成物からなる塗布液を塗布する方法としては、例えば、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、ナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコート、キスロールコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、カレンダコート、押出コート等従来公知の塗布方法を用いることができる。
【0070】
より具体的には、例えば、逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムに、離型層形成組成物からなる塗布液をコーティングした後に横方向に延伸してポリエステルフィルムを形成する方法が優れている。かかる方法によれば、ポリエステルフィルムの製膜と離型層の形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、離型層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。
【0071】
また、延伸前にポリエステルフィルム上に離型層を設けることにより、離型層をポリエステルフィルムと共に延伸することができ、それにより離型層をポリエステルフィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。
それゆえ、コーティング後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、離型層の造膜性が向上し、離型層とポリエステルフィルムをより強固に密着させることができ、さらには、強固な離型層とすることができる。
【0072】
また、離型層は、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングによる形成に係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。離型層を形成する塗布液のポリエステルフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にポリエステルフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等の表面処理を施してもよい。
【0073】
上記離型層形成組成物すなわち塗布液としては、離型剤及びバインダーを含有する樹脂組成物を挙げることができる。
【0074】
上記離型層形成組成物に配合する「離型剤」としては、特に制限はなく、従来公知の離型剤を使用することが可能である。例えば長鎖アルキル基含有化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物、ワックス等を挙げることができる。
中でも、光学用途に適用しても汚染の可能性が少ないという観点から長鎖アルキル基含有化合物、ワックスが好ましく、加熱しても剥離性が顕著に低下することがないという観点から、ワックスが好ましい。
【0075】
上記ワックスとしては、天然ワックス、合成ワックス、変性ワックスなどを挙げることができる。
天然ワックスとは、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスである。
植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油等を挙げることができる。
動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ロウ等を挙げることができる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシン等を挙げることができる。
石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等を挙げることができる。合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イミド、エステル、ケトン等を挙げることができる。
【0076】
合成ワックスとしては、例えばフィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾールワックス)、ポリエチレンワックスなどを挙げることができる。このほかに低分子量の高分子(具体的には数平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマー、すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体等を挙げることができる。
【0077】
変性ワックスとしては、例えばモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等を挙げることができる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。水素化ワックスとしては硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体を挙げることができる。
【0078】
中でも、ブロッキング等の特性が安定するという観点において、離型層における離型剤としては合成ワックスが好ましく、その中でもポリエチレンワックスがより好ましく、酸化ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
合成ワックスの数平均分子量は、ブロッキング等の特性の安定性、取扱い性の観点から、通常500~30000、好ましくは1000~15000、より好ましくは2000~8000である。
【0079】
また、離型層を形成する際、架橋などのために加熱することを考慮すると、上記ワックスの中でも、融点または軟化点が80℃以上、特に110℃以上のものが好ましい。
【0080】
離型層形成組成物中の離型剤の割合として、1~50質量%であるのが好ましく、中でも5質量%以上或いは40質量%以下、その中でも10質量%以上或いは30質量%以下であるのがさらに好ましい。
離型層形成組成物中の離型剤の割合が上記範囲であることにより、良好な離型性を維持しながら、塗膜強度を高めることができる。
【0081】
離型層の強度を上げるため、さらには濡れ性向上のため、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を含有させて架橋させて離型層を形成する場合、形成後の離型層は、上述のように架橋剤に由来する架橋構造を有することになる。
【0082】
離型層形成組成物に架橋剤を配合する場合、当該離型層形成組成物おいてバインダーが占める含有割合は、20~70質量%であるのが好ましく、中でも30質量%以上或いは65質量%以下、その中でも40質量%以上或いは60質量%以下であるのがさらに好ましい。
架橋剤が占める含有割合は、10~70質量%であるのが好ましく、中でも15質量%以上或いは60質量%以下、その中でも20質量%以上或いは40質量%以下であるのがさらに好ましい。
このようにバインダーの含有割合を多くして、架橋剤の含有量を少なくすることにより、塗膜強度が高まり、例えば摩擦によって離型層が剥がれ難くなり、耐久性を保持することができる。
【0083】
架橋剤としては、従来公知の材料を使用することができる。例えばオキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物、ヒドラジド化合物、アジリジン化合物等を挙げることができる。それらの中でも、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物が好ましい。より離型層の強度を強化するためには、メラミン化合物やオキサゾリン化合物が好ましく、基材のフィルムとの密着性を向上させるためには、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物が好ましく、特にオキサゾリン化合物やイソシアネート系化合物が好ましい。
【0084】
なお、離型層形成組成物からなる塗布液は、水を溶媒とする水性塗布液であってもよく、この際、少量の有機溶剤を含有していてもよい。
この際、有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、エチルセロソルブ、t-ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、メチルエタノールアミン等のアミン類等を例示することができる。これらは単独、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。水性塗布液に、必要に応じてこれらの有機溶剤を適宜選択し、含有させることで、塗布液の安定性、塗布性を良好にすることができる。
【0085】
上記離型層形成組成物には、必要に応じて、ブロッキングや滑り性改良のために、粒子を含有させることも可能である。さらに、機能層に、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤等を含有させることも可能である。
【0086】
<語句の説明>
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
【実施例
【0087】
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
先ず、下記実施例及び比較例での各種物性の測定方法・評価方法について説明する。
なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「質量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0088】
[評価]
(1)ポリエステルの極限粘度の測定方法
粒子を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0089】
(2)粒子の平均粒径
粒子の平均粒径は、10個以上の粒子XをSEM観察して粒子Xの直径を測定し、その平均値として求めた。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子Xの直径として測定した。
【0090】
(3)平均表面粗さ(Ra)の測定方法
中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとした。Raは、表面粗さ測定器((株)小坂研究所社製、SE-3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、測定によって得られたフィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として、粗さ曲線y=f(x)で表した時、次の式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫L 0|f(x)|dx
【0091】
(4)光沢度の測定及び低光沢性の評価
JIS Z-8741-1983の方法3(60°光沢度)によって、フィルム表面(マット面)に光を入射して測定した。
また、以下の基準で低光沢性を評価した。
◎(very good):光沢度が8%以下
○(good):光沢度が8%を超え10%以下
△(usual):光沢度が10%を超え20%以下
×(poor):光沢度が20%を超える
【0092】
(5)カール性の評価
フィルムロールの状態で、室温環境下に24時間保管した積層ポリエステルフィルム(サンプル)を、150mm×150mmに切り出して測定サンプル片を得た。該測定サンプル片をガラス板上に置き、ガラス板からの四隅の浮き上がりを測定し、以下の基準でカール性を評価した。
◎(very good):四隅の浮き上がりの平均値が0mm以上6mm未満
○(good):四隅の浮き上がりの平均値が6mm以上10mm未満
△(usual):四隅の浮き上がりの平均値が10mm以上30mm未満
×(poor):四隅の浮き上がりの平均値が30mm以上
【0093】
(6)生産性の評価
積層ポリエステルフィルム(サンプル)を連続生産した際に、発生した破断(フィルム破れ)の回数を以下の基準で生産性を評価した。
○(good):1日当たり1回未満
△(usual):1日当たり1回以上3回未満
×(poor):1日当たり3回以上
【0094】
(7)剥離時のフィルムの凝集破壊
積層ポリエステルフィルム(サンプル)のマット層(A層)に、粘着テープ(日東電工株式会社製、ポリエステル粘着テープ「No.31B」)を2kgゴムローラーにて1往復圧着した。その後、室温にて1時間放置後に180°剥離を行い、凝集破壊の発生有無を以下の基準で評価した。
○(good):凝集破壊がなく、粘着テープが積層ポリエステルフィルムから綺麗に剥離できた。
×(poor):凝集破壊が見られ、粘着テープによって積層ポリエステルフィルムの一部が剥ぎ取られた。
【0095】
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
【0096】
[原料]
<ポリエステル樹脂I>
ポリエチレンテレフタレート(以降「PET」と称する場合がある)からなるポリエステル樹脂(極限粘度:0.63dl/g)。
<ポリエステル樹脂II>
ポリエチレンテレフタレート(PET)に、平均粒径が4.5μmのメタクリル酸アルキル-スチレン共重合体粒子(真比重:1.1)を10質量%配合したポリエチレンテレフタレート組成物(極限粘度:0.61dl/g)。
<ポリエステル樹脂III>
イソフタル酸が22mol%含有する共重合ポリエチレンテレフタレート(以降「共重合PET」と称する場合がある)(極限粘度:0.70 dl/g、融点:198℃)からなるポリエステル樹脂。
【0097】
<ポリエステル樹脂IV>
ポリエチレンテレフタレート(PET)に、平均粒径が6.0μmのメタクリル酸アルキル-スチレン共重合体粒子(真比重:1.1)を10質量%配合したポリエチレンテレフタレート組成物(極限粘度:0.61dl/g)。
<ポリエステル樹脂V>
ポリエチレンテレフタレート(PET)に、平均粒径が4.0μmの球状シリカ粒子(真比重:2.1)を10質量%配合したポリエチレンテレフタレート組成物(極限粘度:0.61dl/g)。
<ポリエステル樹脂VI>
ポリエチレンテレフタレート(PET)に、平均粒径が5.0μmのゼオライト粒子(真比重:2.3)を10質量%配合したポリエチレンテレフタレート組成物(極限粘度:0.61dl/g)。
<ポリエステル樹脂VII>
ポリエチレンテレフタレート(PET)に、平均粒径が4.5μmのメタクリル酸アルキル-スチレン共重合体粒子(真比重:1.1)を15質量%配合したポリエチレンテレフタレート組成物(極限粘度:0.58dl/g)。
【0098】
[実施例1]
ポリエステル樹脂II及びポリエステル樹脂IIIを80:20の質量比率で配合した混合物を押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給する一方、積層ダイのB層にはポリエステル樹脂Iを供給し、積層ダイの他方のC層には、ポリエステル樹脂I、ポリエステル樹脂II及びポリエステル樹脂IIIを80:10:10の質量比率で配合した混合物を供給し、この際、それぞれ押出機にてA層、B層、C層の押出量の比率を5:40:5の割合で供給し、A層/B層/C層の構成からなる3層の積層ポリエステル樹脂をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作成した。
次いで、80℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒーターと加熱ロールを併用して95℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した後、次いでフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、110℃の温度で加熱しつつ横方向に4.2倍延伸し、240℃で10秒間の熱処理を行うと同時に幅方向に10%弛緩を施して、厚み50μm(A層/B層/C層=5μm/40μm/5μm)の積層ポリエステルフィルム(サンプル)を得た。
【0099】
[実施例2]
A層およびC層について、ポリエステル樹脂I、ポリエステル樹脂II、ポリエステル樹脂IIIを20:60:20の比率で配合した混合物を用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0100】
[実施例3]
A層およびC層について、ポリエステル樹脂I、ポリエステル樹脂II、ポリエステル樹脂IIIを30:50:20の比率で配合した混合物を用い、
それぞれ押出機にてA層、B層、C層の押出量の比率を10:35:5の割合で供給した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0101】
[実施例4]
A層について、ポリエステル樹脂II、ポリエステル樹脂IIIを75:25の比率で配合した混合物を用い、
C層について、ポリエステル樹脂I、ポリエステル樹脂IIを90:10の比率で配合した混合物を用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0102】
[実施例5]
A層およびC層について、ポリエステル樹脂I、ポリエステル樹脂IV、ポリエステル樹脂IIIを25:55:20の比率で配合した混合物を用い、
それぞれ押出機にてA層、B層、C層の押出量の比率を6:40:4の割合で供給した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0103】
[比較例1]
A層について、ポリエステル樹脂V、ポリエステル樹脂IIIを80:20の質量比率で配合した混合物を用い、
C層について、ポリエステル樹脂I、ポリエステル樹脂III、ポリエステル樹脂Vを80:10:10の比率で配合した混合物を用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0104】
[比較例2]
A層について、ポリエステル樹脂VI、ポリエステル樹脂IIIを80:20の質量比率で配合した混合物を用い、
C層について、ポリエステル樹脂I、ポリエステル樹脂III、ポリエステル樹脂VIを80:10:10の比率で配合した混合物を用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0105】
[比較例3]
A層およびC層について、ポリエステル樹脂I、ポリエステル樹脂II、ポリエステル樹脂IIIを60:20:20の比率で配合した混合物を用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0106】
[比較例4]
A層について、ポリエステル樹脂VII、ポリエステル樹脂IIIを80:20の質量比率で配合した混合物を用い、
C層について、ポリエステル樹脂IIを用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0107】
[比較例5]
A層およびC層について、ポリエステル樹脂I、ポリエステル樹脂IIを40:60の比率で配合した混合物を用いて、A層の粒子含有量を6質量%とした以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0108】
[比較例6]
A層およびC層について、ポリエステル樹脂II、ポリエステル樹脂IIIを50:50の比率で配合した混合物を用いて、A層の粒子含有量を12質量%とした以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0109】
[比較例7]
C層を設けずに2層の積層ポリエステル樹脂をフィルム状に押出した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0110】
[比較例8]
B層およびC層を設けずに単層の積層ポリエステル樹脂をフィルム状に押出した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
上記実施例の結果並びに本発明者がこれまでに行ってきた試験結果から、A層、B層及びC層を順次備えた積層ポリエステルフィルムにおいて、A層及びC層を、ポリエステルを主成分樹脂として含有し、且つ粒子を含有する層とし、B層はポリエステルを主成分樹脂として含有する層とし、さらに、A層を、共重合成分を0.1~10mol%含有するポリエステルを主成分樹脂とし、且つ、真比重0.5~2.0、および平均粒径2.0~10.0μmの粒子をA層(100質量%)中に3~10質量%含有するようにすると、A層表面に低光沢感を付与することができ、それでいて、カールの発生を抑えることができ、さらには、破断なく効率良く製造することができることが分かった。
なお、少なくとも実施例1~5で得られた積層ポリエステルフィルム(サンプル)に関しては、C層表面の平均表面粗さ(Ra)は、A層表面の平均表面粗さ(Ra)よりも小さいものであった。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本積層ポリエステルフィルムは、低光沢感を有しており、それでいてカールの発生を抑えることができ、破断なく効率良く製造することができるから、貼り付けたり或いは転写したりすることにより、各種製品の表面に低光沢感を付与することができるフィルムとして利用することができる。