(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】光伝送システム及び非使用経路確認方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/073 20130101AFI20221122BHJP
H04B 10/032 20130101ALI20221122BHJP
H04B 10/516 20130101ALI20221122BHJP
【FI】
H04B10/073
H04B10/032
H04B10/516
(21)【出願番号】P 2018212702
(22)【出願日】2018-11-13
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】益本 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】松田 俊哉
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-160583(JP,A)
【文献】特開2004-064442(JP,A)
【文献】特開2003-065894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/07 - 10/077
H04B 10/032
H04B 10/516
H04B 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号の送信部及び受信部を有する光トランシーバ間を接続し、保守監視用のOAM信号が光信号に重畳されて伝送される複数の光伝送路の内、前記光トランシーバに接続された通信端末機からの実データ信号が光信号に重畳されて伝送され、且つ断続的な実データ信号間に介在された空データ状態のアイドル信号が光信号に重畳されて伝送される使用経路と、前記実データ信号が未伝送で且つ前記アイドル信号が伝送される非使用経路とを有する光伝送システムであって、
前記光トランシーバの送信部は、
前記光信号となるレーザ光を出射するレーザと、当該レーザのレーザ光による光信号の光レベルを変える制御を行う光強度制御部とを備え、
前記光トランシーバは、
前記アイドル信号、前記OAM信号及び前記実データ信号の各信号を、通信媒体の違いを吸収するためのインタフェース信号に重畳して前記光信号の送信部へ出力する制御部と、
前記送信部へ出力される前記各信号の固有情報を判定し、この判定による判定結果信号を出力する信号判定部とを備え、
前記光強度制御部は、前記判定結果信号に示される信号毎の判定状態に応じて、この判定状態の信号が重畳された前記光信号の光レベルを、信号毎で異なるレベルに変える制御を行う
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
前記光伝送路に伝送される前記アイドル信号が重畳された光信号の光レベルを検出して当該アイドル信号を検知し、この検知時間が、予め定められたアイドル判定時間以上であれば、前記非使用経路であると検知する検知器を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
前記検知器は、
前記アイドル信号の検知時間が、前記アイドル判定時間未満であれば、前記使用経路であると検知する
ことを特徴とする請求項2に記載の光伝送システム。
【請求項4】
光信号の送信部及び受信部を有する光トランシーバ間を接続し、保守監視用のOAM信号が光信号に重畳されて伝送される複数の光伝送路の内、前記光トランシーバに接続された通信端末機からの実データ信号が光信号に重畳されて伝送され、且つ断続的な実データ信号間に介在された空データ状態のアイドル信号が光信号に重畳されて伝送される使用経路と、前記実データ信号が未伝送で且つ前記アイドル信号が伝送される非使用経路とを有する光伝送システムの非使用経路確認方法であって、
前記光伝送システムは、前記非使用経路であると検知する検知器を備え、
前記光トランシーバの送信部は、前記光信号となるレーザ光を出射するレーザと、当該レーザのレーザ光による光信号の光レベルを変える制御を行う光強度制御部とを備え、
前記光トランシーバは、
前記アイドル信号、前記OAM信号及び前記実データ信号の各信号を、通信媒体の違いを吸収するためのインタフェース信号に重畳して前記光信号の送信部へ出力するステップと、
前記送信部へ出力される前記各信号の固有情報を判定し、この判定による判定結果信号を出力するステップとを実行し、
前記光強度制御部は、
前記判定結果信号に示される信号毎の判定状態に応じて、この判定状態の信号が重畳された前記光信号の光レベルを、信号毎で異なるレベルに変える制御を行うステップを実行
し、
前記検知器は、前記光伝送路に伝送される前記アイドル信号が重畳された光信号の光レベルを検出して当該アイドル信号を検知し、この検知時間が、予め定められたアイドル判定時間以上であれば、前記非使用経路であると検知するステップを実行する
ことを特徴とする非使用経路確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宛先ノードまでの到達経路が複数ある冗長ネットワークの非使用経路を適正に確認する光伝送システム及び非使用経路確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光伝送システムの冗長ネットワークでは、一般的な光通信方式が適用された長距離通信を行っており、光信号に重畳される実データの伝送の有無に関わらず、同光信号に重畳されるOAM(Operation Administration and Maintenance:保守監視機能)信号が一定周期で伝送されている。光信号は、実データやOAM信号等の各種のデータ伝送を担うものである。
【0003】
このような冗長ネットワークを、
図6に示す構成の冗長ネットワーク10Aを参照して説明する。冗長ネットワーク10Aは、データの送信元ノード11と、そのデータの宛先ノード12とが、各ノード11,12側に配備されたルータ13a,13bを介して第1経路14と第2経路15で接続されている。第1及び第2経路14,15は、光ファイバケーブル(光ファイバともいう)を用いて構成されている。送信元ノード11とルータ13a間並びに、ルータ13bと宛先ノード12間は光ファイバで接続されている。送信元ノード11と宛先ノード12は、光信号の送受信を行う光トランシーバである。
【0004】
各ノード11,12間の第1経路14には、送信元ノード11から光信号に重畳されて送信された実データ信号D1が伝送されており、この実データ信号D1が伝送される経路(第1経路14)を使用経路という。実データ信号D1が伝送されない経路(第2経路15)を非使用経路という。使用経路及び非使用経路の双方には、OAM信号が一定周期で伝送されている。
【0005】
このような通信状態において、現在使用中の第1経路14に、
図7に破線枠で示すように、トランスポンダやルータ等のノード16を追加する必要性が生じた場合、現在、非使用経路となっている第2経路15(
図6)を使用経路に切り替えて実データ信号D1を伝送する。この後、使用経路であった第1経路14を非使用経路に切り替える。この切替後の使用経路及び非使用経路の双方には上記同様にOAM信号が伝送される。
【0006】
次に、非使用経路となった第1経路14にノード16を追加する作業を行う。この際、第1経路14は導通状態であるため、第1経路14のコネクタをルータ13bから抜く必要がある。しかし、ルータ13bには、コネクタを介して経路としての多数の光ファイバが接続されている。
【0007】
このため、
図8に×印で示すように、作業者が誤って使用経路である第2経路15のコネクタを抜いてしまうと、第2経路15が未導通の停止状態となってしまう。この過ちを防止するため、光ファイバケーブルにタグを付けたり、ケーブルの色で識別を行う等の対策を取っているが、それでもヒューマンエラーが生じてしまう。
【0008】
そこで、非特許文献1に記載の光ファイバ識別機を使用して非使用経路を誤りなく適正に検知する技術がある。これは、光ファイバ心線対照技術と呼ばれ、作業対象の非使用経路の光ファイバに、上記光信号とは別波長で且つ低速変調(後述)を掛けた対照光を光送信機から送信する。この光信号が伝送する光ファイバケーブルを光ファイバ識別機で挟んで光ファイバケーブルを湾曲させ、この湾曲により発生する漏れ光を光ファイバ識別機で検出することにより対照光を検知する。この対照光の検知により非使用経路を検知可能となっている。
【0009】
なお、対照光は、光送信機に次のような機能を設けて送信されている。即ち、光送信機は、光信号への実データの重畳による実データ伝送が行われていない状態、言い換えれば空データ状態であるアイドル状態を検知した際に、対照光を発信する機能を備えている。
【0010】
また、上述の漏れ光は、低パワー(例えば、最小が-80dBm)であるため、ノイズと区別する必要があり、このため、対照光に低速なオン/オフ変調による低速変調を付与することが一般的である。光ファイバ識別機は、光ファイバケーブルの曲げ部と、対照光の検出部とで構成されている。その曲げ部による光ファイバケーブルの曲げ量は、光信号に信号ロス等の悪影響を与えない範囲で設計されている。対照光は、曲げによる漏れ光量を多くするため、光信号よりも長波長側の波長を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】古河電工“光ファイバ識別機”,[online],2018,[平成30年10月27日検索],インターネット〈URL: https://www.furukawa.co.jp/common/images/l_footer/logo_group.svg〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記非特許文献1に記載の光ファイバ識別機を用いる光ファイバ心線対照技術においては、次のような問題があった。光信号は、通常、最も光損失が少ない波長付近の波長で送信される。この他に、光信号よりも長波長側の波長の光信号である対照光を導入するので、光信号がC帯(1530nm~1565nm)であるのに対して、対照光はL帯(1565nm~1625nm)を使用する。
【0013】
この異なる2波長の光信号を伝送するため、光ファイバへの中継アンプの使用が不可能となる。中継アンプが使用できないと短距離通信しか行えないので、長距離の光伝送システムでは、上記光ファイバ心線対照技術を用いることができない。また、光信号用と対照光用との2台の光送信機が必要となるため、コスト高となってしまう。
【0014】
一方、使用経路では、実データ信号D1がアイドル状態を挟んで断続的に流れる場合がある。この場合に、アイドル状態の部分が比較的長いと、このアイドル状態を検知して対照光を発信するので、使用経路であるにも関わらず、光ファイバ識別機で非使用経路と検知してしまう。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、長距離の冗長ネットワークにおいて実データが伝送されない非使用経路を適正に検知できると共に、この機能を低コストで実現できる光伝送システム及び非使用経路確認方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、光信号の送信部及び受信部を有する光トランシーバ間を接続し、保守監視用のOAM信号が光信号に重畳されて伝送される複数の光伝送路の内、前記光トランシーバに接続された通信端末機からの実データ信号が光信号に重畳されて伝送され、且つ断続的な実データ信号間に介在された空データ状態のアイドル信号が光信号に重畳されて伝送される使用経路と、前記実データ信号が未伝送で且つ前記アイドル信号が伝送される非使用経路とを有する光伝送システムであって、前記光トランシーバの送信部は、前記光信号となるレーザ光を出射するレーザと、当該レーザのレーザ光による光信号の光レベルを変える制御を行う光強度制御部とを備え、前記光トランシーバは、前記アイドル信号、前記OAM信号及び前記実データ信号の各信号を、通信媒体の違いを吸収するためのインタフェース信号に重畳して前記光信号の送信部へ出力する制御部と、前記送信部へ出力される前記各信号の固有情報を判定し、この判定による判定結果信号を出力する信号判定部とを備え、前記光強度制御部は、前記判定結果信号に示される信号毎の判定状態に応じて、この判定状態の信号が重畳された前記光信号の光レベルを、信号毎で異なるレベルに変える制御を行うことを特徴とする光伝送システムである。
【0017】
請求項4に係る発明は、光信号の送信部及び受信部を有する光トランシーバ間を接続し、保守監視用のOAM信号が光信号に重畳されて伝送される複数の光伝送路の内、前記光トランシーバに接続された通信端末機からの実データ信号が光信号に重畳されて伝送され、且つ断続的な実データ信号間に介在された空データ状態のアイドル信号が光信号に重畳されて伝送される使用経路と、前記実データ信号が未伝送で且つ前記アイドル信号が伝送される非使用経路とを有する光伝送システムの非使用経路確認方法であって、前記光伝送システムは、前記非使用経路であると検知する検知器を備え、前記光トランシーバの送信部は、前記光信号となるレーザ光を出射するレーザと、当該レーザのレーザ光による光信号の光レベルを変える制御を行う光強度制御部とを備え、前記光トランシーバは、前記アイドル信号、前記OAM信号及び前記実データ信号の各信号を、通信媒体の違いを吸収するためのインタフェース信号に重畳して前記光信号の送信部へ出力するステップと、前記送信部へ出力される前記各信号の固有情報を判定し、この判定による判定結果信号を出力するステップとを実行し、前記光強度制御部は、前記判定結果信号に示される信号毎の判定状態に応じて、この判定状態の信号が重畳された前記光信号の光レベルを、信号毎で異なるレベルに変える制御を行うステップを実行し、前記検知器は、前記光伝送路に伝送される前記アイドル信号が重畳された光信号の光レベルを検出して当該アイドル信号を検知し、この検知時間が、予め定められたアイドル判定時間以上であれば、前記非使用経路であると検知するステップを実行することを特徴とする非使用経路確認方法である。
【0018】
請求項1の構成及び請求項4の方法によれば、光伝送路を伝送する光信号に重畳されるアイドル信号、OAM信号及び実データ信号の各信号の光レベルを、信号毎で異なるレベルに変えるようにした。この各光レベルを、光伝送路の外部から検出可能な検知器で検出すれば、各信号を適正に検知できるので、光伝送路が使用経路又は非使用経路であることを適正に検知できる。
【0019】
上記信号毎で異なる光レベルに変えることを可能とする光トランシーバは、一般的な光トランシーバのマイクロプロセッサを信号判定部として利用すれば構成でき、また、レーザ及び光強度制御部を備える送信部は一般的な光トランシーバに搭載されている。このため、光トランシーバへの追加回路や追加装置等が不要であり、また、敷設済みの光ファイバに全く手を加えないため、再敷設や再配線が不要である。従って、本発明の非使用経路の検知構成を低コストで実現できる。
【0020】
また、従来のように非使用経路検知のために異なる2波長の光信号を伝送させることも無く、本発明では1波長の光信号で済む。このため、中継アンプが使用可能となって長距離の光伝送路でも非使用経路を検知可能となる。従って、長距離の冗長光伝送路(冗長ネットワーク)において実データ信号が伝送されない非使用経路を検知する機能を低コストで実現できる。
【0021】
従って、長距離の冗長ネットワークにおいて実データが伝送されない非使用経路を適正に検知できると共に、この機能を低コストで実現できる。
【0022】
請求項2に係る発明は、前記光伝送路に伝送される前記アイドル信号が重畳された光信号の光レベルを検出して当該アイドル信号を検知し、この検知時間が、予め定められたアイドル判定時間以上であれば、前記非使用経路であると検知する検知器を備えることを特徴とする請求項1に記載の光伝送システムである。
【0023】
この構成によれば、光伝送路が非使用経路であることを適正に検知できる。
【0024】
請求項3に係る発明は、前記検知器は、前記アイドル信号の検知時間が、前記アイドル判定時間未満であれば、前記使用経路であると検知することを特徴とする請求項2に記載の光伝送システムである。
【0025】
この構成によれば、次のような作用効果がある。まず、検知器が上記請求項2のように非使用経路のみの検知機能しか備えていない場合に、使用経路の検知測定を行ってしまったと想定する。この場合、非使用経路の検知が長時間に亘って不可能なときに、ようやく測定者が使用経路であることを判断できる。しかし、本請求項3では、アイドル信号の検知時間がアイドル判定時間未満であれば使用経路と検知できるので、測定者が短時間で使用経路であることを判断でき、作業の効率を向上させることができる。つまり、光伝送路が使用経路か非使用経路かが不明の場合に、使用経路については短時間で使用経路であることが判断できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、長距離の冗長ネットワークにおいて実データが伝送されない非使用経路を適正に検知できると共に、この機能を低コストで実現する光伝送システム及び非使用経路確認方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係る光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の光伝送システムにおける光トランシーバの構成の具体例を示す図である。
【
図3】本実施形態の光伝送システムにおける(a)アイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各種送信信号、(b)判定信号、(c)判定結果信号、(d)光信号の3段階の各タイミングを示すタイミングチャートである。
【
図4】本実施形態の光伝送システムにおける(a)アイドル信号A1及び実データ信号D1の各種送信信号、(b)判定信号、(c)判定結果信号、(d)光信号の2段階の光レベルの各タイミングを示すタイミングチャートである。
【
図5】本実施形態の光伝送システムにおける(a)アイドル信号A1及びOAM信号O1の各種送信信号、(b)判定信号、(c)判定結果信号、(d)光信号の2段階の光レベルの各タイミングを示すタイミングチャートである。
【
図6】従来の光伝送システムにおける冗長ネットワークの第1経路が使用経路、第2経路が非使用経路である場合の構成を示す図である。
【
図7】従来の光伝送システムにおける冗長ネットワークの第1経路が非使用経路、第2経路が使用経路である場合の構成を示す図である。
【
図8】従来の光伝送システムにおける冗長ネットワークの第1経路が非使用経路、第2経路が使用経路である場合に、使用経路のコネクタが抜かれた場合の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本明細書の全図において機能が対応する構成部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る光伝送システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す光伝送システム20は、遠隔地に離間して配置された両側の光トランシーバ21a,21bと、これらの光トランシーバ21a,21bを接続する光ファイバケーブル22(光ファイバ22ともいう)と、両側の光トランシーバ21a,21bに各々接続されたパーソナルコンピュータ等の通信端末機24a,24bとを備えて構成されている。更に、光信号P1に個別に重畳されて光ファイバ22で伝送されるアイドル信号A1、OAM信号O1、実データ信号D1を個別に検知する信号検知器(検知器)23を備える。
【0029】
但し、光トランシーバ21a,21b間の光ファイバ22は、
図1には1本しか記載していないが、前述の
図6に示したように、冗長ネットワーク構成となっているものとする。冗長ネットワークは、ノード1対1のネットワーク接続を含むPtoP(Peer to Peer)ネットワークであることが好ましい。
【0030】
一方の光トランシーバ21aと通信端末機24a間は、イーサネット(登録商標)ケーブル26で接続され、イーサネットフレーム信号26aを遣り取りする。他方の光トランシーバ21bと通信端末機24b間も、同様にイーサネットケーブル26で接続されている。
【0031】
光トランシーバ21a,21bは、制御部31と、信号判定部32と、光信号送信部(送信部ともいう)33と、光信号受信部(受信部ともいう)34とを備えて構成されている。
【0032】
制御部31は、アイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号を後述のXGMII信号31s(
図2参照)に個別に重畳する制御を行う。
【0033】
実データ信号D1は、通信端末機24a,24bから受信したイーサネットフレーム信号26aを含む信号であり、XGMII信号31s(後述)への重畳後に、送信部33から光ファイバ22の前述した使用経路(
図6参照)に伝送される。
【0034】
アイドル信号A1は、実データの無い空データの信号であり、実データ信号D1が伝送されていない非使用経路(
図6参照)に伝送される。また、実データ信号D1は、使用経路において断続的に伝送される実データ信号D1間に介在されて伝送される。
【0035】
信号判定部32は、XGMII信号31s(後述)に重畳されて送信部33へ出力されるアイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号の固有情報を判定し、この判定結果を示す判定結果信号32s(
図2参照)を送信部33へ出力する。
【0036】
送信部33は、光信号P1を判定結果信号32sに応じた光レベルとし、この光レベルの光信号P1を光ファイバ22へ送信する。
【0037】
次に、光トランシーバ21a,21bの具体例を、
図2に光トランシーバ21aを代表して示し、その説明を行う。
図2に示す光トランシーバ21aは、一般的なSFP(Small Form-Factor Pluggable)トランシーバを基に構成されており、上述した制御部31の機能を有するプロトコルIC(Integrated Circuit)部31と、信号判定部32と、シリアル/パラレル変換部(SP変換部36ともいう)36と、上述した送信部33及び受信部34とを備える。
【0038】
プロトコルIC部31は、MAC(Media Access Control)副層部31aと、PHY(physical layer:物理層)部31bとを備える。
【0039】
MAC副層部31aは、送信元と宛先とを有するMACアドレスを使用して、イーサネット対応機器である通信端末機24a,24b間の送受信を制御する。
【0040】
MAC副層部31aは、PHY部31bとのデータの交換を処理し、物理層以下の通信媒体の違いを吸収する処理を行う。このMAC副層部31aは、IEEE802.3zで規定されたXGMII(10 Gigabit Media Independent Interface)といったインタフェースでPHY部31bに接続されており、PHY部31b並びに、SP変換部36、送信部33及び受信部34を介してネットワークである光ファイバ22に接続可能となっている。
【0041】
MAC副層部31aとPHY部31b間で遣り取りされるXGMII信号31sは、上述したアイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号を個別に重畳するものである。重畳された各信号は、送信部33とPHY部31bとの間に接続されたSP変換部36によってパラレル信号PLからシリアル信号SLに変換される。なお、XGMII信号31sは、請求項記載の通信媒体の違いを吸収するためのインタフェース信号を構成する。
【0042】
また、SP変換部36は、送信部33からのシリアル信号SLをパラレル信号PLに変換する。
図2にはSP変換部36と送信部33間のシリアル信号SLを双方向矢印で示したが、この双方向矢印は、受信部34で受信された光信号P1に係るシリアル信号SLがSP変換部36へ出力されることも表現している。
【0043】
PHY(物理層)部31bとは、ネットワークにおけるOSI(Open System Interconnection)参照モデルの最も物理的な位置に属するプロトコルの一種である。PHY部31bでは、インタフェースの形やデータ伝送方法等の物理的な内容が規定されている。例えば、コネクタの形や電気信号の変換に用いられる電圧や波長の方式などが規定されている。PHYには、電気的な信号の送受信を行うことやデータのスクランブルを行う機能も付属されている。
【0044】
PHY部31bは、MAC副層部35aからのXGMII信号31sに個別に重畳されたアイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号を、SP変換部36を介して送信部33へ出力する。
【0045】
但し、OAM信号O1は、一般的に3.3ms、10ms、100ms、10s、1m、10mの何れか1つの周期(OAM周期T1という)で送信される。なお、OAM周期T1は、その列挙した以外の周期であることも可能である。
【0046】
信号判定部32は、一般的なSFPトランシーバに装備されるマイクロプロセッサにより構成されており、次の本発明の特徴構成を有する。
【0047】
第1の特徴構成として、マイクロプロセッサのTD_snoop_Pin(送信データ監視ピン)32aが、SP変換部36と送信部33間の信号線に接続されており、この信号線にシリアル信号SLとして流れるアイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号(各種送信信号A1,O1,D1ともいう)が入力されるように構成してある。TD_snoop_Pin32aを、TDPin32aとも称す。
【0048】
第2の特徴構成として、信号判定部32の信号出力用(out)のAUX_mod_Pin(副変調信号ピン)32bが、送信部33に標準装備された信号入力用(in)のAUX_mod_Pin33aに接続され、後述の判定結果信号32sが流れるように構成してある。AUX_mod_Pin32bを出力Pin32bとも称し、AUX_mod_Pin33aを入力Pin33aとも称す。
【0049】
送信部33は、一般的に配備される光強度制御部35及びレーザ37を備える。レーザ37は、光信号P1であるレーザ光を光ファイバ22へ出射する。光強度制御部35は、入力Pin33aに接続されており、後述の制御を行う。
【0050】
信号判定部32は、TDPIN32Aから入力される
図3(a)に示すアイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号の固有情報を個別に判定し、この判定結果を示す判定結果信号32sを、出力Pin32bから入力Pin33aへ出力する。
【0051】
信号判定部32は、各信号の固有情報を判定する場合、
図3(b)に示す判定信号J1で行う。この判定信号J1は、信号判定部32において信号判定のために一定周期(例えば、3.7ms周期)で発振されるストローブ信号である。判定信号J1は信号判定部32の外部からの入力も可能である。
【0052】
信号判定部32は、判定信号J1で判定した結果を、
図3(c)に示すように、判定結果信号32sに、OFF(オフ)と、ON(オン)と、OFFとON間の中間レベルであるOAとの3種類の判定状態で表わす。
【0053】
信号判定部32がアイドル信号A1と判定した場合は判定結果信号32sがONとなり、OAM信号O1と判定した場合はOAとなり、実データ信号D1と判定した場合はOFFとなる。これらの判定結果を示す判定結果信号32sは、
図2に示す出力Pin32bから出力されて入力Pin33aに入力され、光強度制御部35に供給される。
【0054】
光強度制御部35は、判定結果信号32sで示される各種送信信号A1,O1,D1の判定状態に応じて、レーザ37の注入電流を制御することにより、レーザ37から出射されるレーザ光(光信号P1)の光強度(光レベル)を変える制御を行う。つまり、光強度制御部35は、光信号P1の光レベルを変える制御を行う。
【0055】
即ち、光強度制御部35は、判定結果信号32sがアイドル信号A1を示すON状態の場合に、
図3(d)に示すように、光信号P1を光レベルL1とし、OAM信号O1を示すOA状態の場合に光レベルL1よりも高いレベルの光レベルL2とし、実データ信号D1を示すOFF状態の場合に光レベルL2よりも高いレベルの光レベルL3とする。各光レベルL1~L3は、光ファイバ22での伝送に悪影響を与えない光強度としてある。
【0056】
この光信号P1の強度変調制御は、レーザ37の出力側に図示せぬVOC(Variable. Optical Attenuator:変光減衰器)を設け、判定結果信号32sで示される各信号に応じて行ってもよい。
【0057】
ここで、光ファイバ22が集線ネットワークであるとすると、アイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号が、他経路の各信号と衝突する等の不具合が生じる。しかし、本実施形態では、光ファイバ22が、ノード1対1のネットワーク接続を含むPtoPネットワークであるため、上記不具合が生じる恐れは無い。
【0058】
次に、
図1に示す信号検知器23は、前述した光ファイバ識別機を基に構成されたものであり、曲げ部23aと、検出部23bと、表示部23cとを備えて構成されている。
【0059】
曲げ部23aは、光ファイバケーブル22を溝に挿入して湾曲させ、漏れ光を発生させるものである。その湾曲量は、光信号P1に信号ロス等の悪影響を与えない範囲で設計されている。
【0060】
検出部23bは、上述した光信号P1に重畳される各種送信信号A1,O1,D1の光レベルL1~L3に応じた漏れ光を検出することにより、各種送信信号A1,O1,D1を検知する。この際、検出部23bは、アイドル信号A1の漏れ光の検出により、アイドル信号A1を予め定められた時間(アイドル判定時間という)以上検知した際に、光ファイバ22が非使用経路であると検知する。また、検出部23bは、アイドル判定時間未満の長さのアイドル信号A1を検知した際に、光ファイバ22が使用経路であると検知する。但し、使用経路には、アイドル判定時間以上のアイドル信号A1が流れないことを前提条件とする。
【0061】
表示部23cは、各信号を検知したことを表示、並びに、検出部23bによるアイドル判定時間以上の長さのアイドル信号A1の検知時に非使用経路であることを表示し、アイドル判定時間未満の長さのアイドル信号A1の検知時に使用経路であることを表示する。
【0062】
ここで、1本の光ファイバ22に、実データ信号D1が、アイドル信号A1を介在して断続的に伝送される場合に、実データ信号D1及びアイドル信号A1を信号検知器23で個別に検知する場合を想定する。この検知動作を、
図4を参照して説明する。
【0063】
図4の(a)は、XGMII信号35sに重畳されて送信される各種送信信号としてのアイドル信号A1及び実データ信号D1を示す。(b)は判定信号J1、(c)は判定結果信号32sを示す。(d)は光信号P1の光レベルLaと、この光レベルLaよりも高い光強度の光レベルLbを表わす。光レベルLaはアイドル信号A1に応じたレベルであり、光レベルLbは実データ信号D1に応じたレベルである。
【0064】
図4(a)に示すように、時刻t1~t4においてアイドル信号A1が送信され、信号判定部32のTDPin32aに入力されたとする。この場合、信号判定部32は、
図4(b)に示すように、判定信号J1で入力信号を判定する。
【0065】
この判定結果がアイドル信号A1の場合、信号判定部32は、
図4(c)に示すように、判定結果信号32sをON状態とし、この判定結果信号32sを出力Pin32bから出力する。この出力された判定結果信号32sは、送信部33の入力Pin33aから入力され、光強度制御部35に供給される。
【0066】
光強度制御部35は、判定結果信号32sがアイドル信号A1を示すONなので、
図4(d)の時刻t1~t4間に示すように、レーザ37から出射されるレーザ光による光信号P1を光レベルLaとする。
【0067】
次に、
図4(a)に示すように、時刻t11におけるアイドル信号A1の入力後、実データ信号D1が時刻t11を経過途中から時刻t13の経過途中まで入力され、この後、時刻t13の経過途中にアイドル信号A1が入力されたとする。
【0068】
この場合、
図4(b)に示す判定信号J1による判定により、
図4(c)に示すように、判定結果信号32sが、時刻t11とt12間でアイドル信号A1に係るON状態となる。更に、判定結果信号32sが、時刻t12とt14間で実データ信号D1に係るOFF状態、時刻t14でアイドル信号A1に係るON状態となる。
【0069】
このようなON又はOFF状態の判定結果信号32sに応じて、光強度制御部35は、
図4(d)に示すように光信号P1を、時刻t11とt12間で光レベルLaとし、時刻t12とt14間で光レベルLbとし、時刻t14で光レベルLaとする。
【0070】
信号検知器23は、時刻t11~t14間において光信号P1の異なる光レベルLa,Lbに応じた漏れ光を検出し、アイドル信号A1及び実データ信号D1を検知する。
【0071】
一方、信号判定部32のTDPin32aに、
図5(a)の時刻t1~t4間に示すように、断続的なアイドル信号A1間に介在された3.3ms周期のOAM信号O1が入力され、時刻t11とt13の経過途中との間に示すように、10ms周期のOAM信号O1が入力されて来たとする。
【0072】
この場合、
図5(b)に示す時刻t1~t4間における判定信号J1での判定により、
図5(c)に示す判定結果信号32sが、時刻t1とt2間でOAM信号O1に係るOFF状態、時刻t2とt4間でアイドル信号A1に係るON状態となる。
【0073】
この時刻t1~t4の判定結果に応じて、光強度制御部35は、
図5(d)に示すように光信号P1を、時刻t1とt2間で光レベルLbとし、時刻t2とt4間で光レベルLaとする。
【0074】
また、時刻t11とt13の経過途中との間、つまり、時刻t11から10ms経過した間においては、
図5(c)に示すように、判定結果に応じて判定結果信号32sが、時刻t11~t14間で10msのOAM信号O1に係るOFF状態となる。このOFFに応じて、光強度制御部35は、
図5(d)に示すように光信号P1を、時刻t11~t14間で光レベルLbとする。
【0075】
この
図5に示す場合は、光レベルLaでアイドル信号A1を検知し、光レベルLbでOAM信号O1を検知する。このため、光レベルLbでのOAM信号O1の検知が、
図4に示した光レベルLbでの実データ信号D1の検知と重なり、実データ信号D1かOAM信号O1かを判別できなくなる。
【0076】
<実施形態の動作>
そこで、本実施形態では、
図3(d)に示したように、アイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号を個別に重畳する光信号P1を、3段階の光レベルL1~L3で表わして判別可能とした。この動作を
図2及び
図3を参照して説明する。
【0077】
まず、
図2に示すMAC副層部31aは、通信端末機24aから受信したイーサネットフレーム信号26aに応じて実データ信号D1を、XGMII信号35sに重畳し、PHY部31b及びSP変換部36を介して送信部33へ送信する。この送信と異なるタイミングで、MAC副層部35aは、アイドル信号A1又はOAM信号O1をXGMII信号31sに重畳し、PHY部31b及びSP変換部36を介して送信部33へ送信する。
【0078】
送信部33へ送信されるアイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号は、同時に、TDPin32aを介して信号判定部32に入力される。即ち、
図3(a)の時刻t1~t5間及びt11~t15間に示すように、各種送信信号A1,O1,D1が、信号判定部32に入力される。
【0079】
まず、時刻t1~t5間において、信号判定部32は、
図3(b)に示す判定信号J1により各信号の固有情報を判定する。この判定結果が時刻t1とt2間に示すアイドル信号A1の場合、
図3(c)に示すように、判定結果信号32sをON状態とする。時刻t2とt5間に示す実データ信号D1の場合、判定結果信号32sをOFF状態とする。これらの判定結果信号32sは、信号判定部32の出力Pin32bから出力され、送信部33の入力Pin33aを介して光強度制御部35に供給される。
【0080】
光強度制御部35は、判定結果信号32sがアイドル信号A1を示すONの場合に、
図3(d)の時刻t1とt2間に示すように、レーザ37から出射されるレーザ光による光信号P1を光レベルL1とする。光強度制御部35は、判定結果信号32sが実データ信号D1を示すOFFの場合に、光信号P1を時刻t2~t5間に示す光レベルL3とする。
【0081】
次に、時刻t11~t15間において、信号判定部32は、
図3(b)に示す判定信号J1による各信号の判定結果が、時刻t11とt12間に示すアイドル信号A1の場合、
図3(c)に示すように、判定結果信号32sをON状態とする。時刻t12~t15間に示すOAM信号O1の場合、判定結果信号32sをOA状態とする。これらの判定結果信号32sは、信号判定部32の出力Pin32bから出力され、送信部33の入力Pin33aを介して光強度制御部35に供給される。
【0082】
光強度制御部35は、判定結果信号32sがアイドル信号A1を示すONの場合に、
図4(d)の時刻t11とt12間に示すように、光信号P1を光レベルL1とする。光強度制御部35は、判定結果信号32sがOAM信号O1を示すOAの場合に、光信号P1を時刻t12とt15間に示す光レベルL2とする。
【0083】
このように時刻t1~t5間及びt11~t15間において、3段階の光レベルL1~L3とすることにより、使用経路において、実データ信号D1がアイドル信号A1を介在して断続的に伝送され、且つOAM信号O1が伝送される場合でも、各信号を個別に検知可能となる。
【0084】
光ファイバ22が使用経路である場合、断続的な実データ信号D1間に介在されて伝送されるアイドル信号A1は、前述した前提条件のように、アイドル判定時間よりも短い時間しか伝送されない。このため、信号検知器23は、アイドル判定時間よりも短いアイドル信号A1を検知した際に、使用経路と検知する。
【0085】
一方、非使用経路においては、実データ信号D1が伝送されず、アイドル信号A1及びOAM信号O1のみが伝送される。このため、アイドル信号A1がアイドル信号判定時間以上の長い時間伝送されるので、信号検知器23がアイドル判定時間以上のアイドル信号A1を検知した際に、非使用経路と検知する。
【0086】
表示部23cは、各信号を検知したことを表示するが、この際に、アイドル判定時間以上の長さのアイドル信号A1の検知時に非使用経路であることを表示し、アイドル判定時間未満の長さのアイドル信号A1の検知時に使用経路であることを表示する。
【0087】
<実施形態の効果>
本実施形態に係る光伝送システム20の効果について説明する。光伝送システム20は、光信号P1の送信部33及び受信部34を有する光トランシーバ21a,21b間を接続し、保守監視用のパルス状のOAM信号O1が光信号P1に重畳されて伝送される複数の光ファイバ22を有する。これらの光ファイバ22に、光トランシーバ21a,21bに接続された通信端末機24a,24bからの実データ信号D1が光信号P1に重畳されて伝送され、且つ断続的な実データ信号D1間に介在された空データ状態のアイドル信号A1が光信号P1に重畳されて伝送される使用経路と、実データ信号D1が未伝送で且つアイドル信号A1が伝送される非使用経路とを有する構成となっている。この光伝送システム20を次の特徴構成とした。
【0088】
(1)送信部33は、光信号P1となるレーザ光を出射するレーザ37と、当該レーザ37のレーザ光による光信号の光レベルを変える制御を行う光強度制御部35とを備える。光トランシーバは、アイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号を、通信媒体の違いを吸収するためのインタフェース信号に重畳して光信号P1の送信部33へ出力する制御部31と、送信部33へ出力される各信号の固有情報を個別に判定し、この判定による判定結果信号32sを出力する信号判定部32とを備える。光強度制御部35は、判定結果信号32sに示される信号毎の判定状態に応じて、この判定状態の信号が重畳された光信号P1の光レベルを、信号毎で異なるレベル(光レベルL1~L3)に変える制御を行う構成とした。
【0089】
この構成により、光ファイバ22を伝送する光信号P1に重畳されるアイドル信号A1、OAM信号O1及び実データ信号D1の各信号の光レベルL1~L3を、信号毎で異なるレベルに変えるようにした。この各光レベルL1~L3を、光ファイバ22の外部から検出可能な信号検知器23で検出すれば、各信号を適正に検知できるので、光ファイバ22が使用経路又は非使用経路であることを適正に検知できる。
【0090】
上記信号毎で異なる光レベルL1~L3に変えることを可能とする光トランシーバ21a,21bは、一般的な光トランシーバのマイクロプロセッサを信号判定部32として利用すれば構成できる。また、レーザ37及び光強度制御部35を備える送信部33は一般的な光トランシーバに搭載されている。このため、光トランシーバ21a,21bへの追加回路や追加装置等が不要であり、また、敷設済みの光ファイバ22に全く手を加えないため、再敷設や再配線が不要である。従って、本発明の非使用経路の検知構成を低コストで実現できる。
【0091】
また、従来のように非使用経路検知のために異なる2波長の光信号を伝送させることも無く、本発明では1波長の光信号P1で済む。このため、中継アンプが使用可能となって長距離の光ファイバ22でも非使用経路を検知可能となる。従って、長距離の冗長光ファイバ22(冗長ネットワーク)において実データ信号D1が伝送されない非使用経路を検知する機能を低コストで実現できる。
【0092】
従って、長距離の冗長ネットワークにおいて実データが伝送されない非使用経路を適正に検知できると共に、この機能を低コストで実現できる。
【0093】
(2)光ファイバ22に伝送されるアイドル信号A1が重畳された光信号P1の光レベルL1~L3を検出して当該アイドル信号A1を検知し、この検知時間が、予め定められたアイドル判定時間以上であれば、非使用経路であると検知する信号検知器23を備える構成とした。
【0094】
この構成によれば、光ファイバ22が非使用経路であることを適正に検知できる。
【0095】
(3)信号検知器23は、アイドル信号A1の検知時間が、アイドル判定時間未満であれば、使用経路であると検知する構成とした。
【0096】
この構成によれば、次のような作用効果がある。まず、上記(2)のように、信号検知器23が非使用経路のみの検知機能しか備えていない場合に、使用経路の検知測定を行ってしまったと想定する。この場合、非使用経路の検知が長時間に亘って不可能な場合に、ようやく測定者が使用経路であることを判断できる。しかし、(3)の信号検知器23では、アイドル信号A1の検知時間がアイドル判定時間未満であれば使用経路と検知できるので、測定者が短時間で使用経路であることを判断でき、作業効率を向上させることができる。つまり、光ファイバ22が使用経路か非使用経路かが不明の場合に、短時間で使用経路であることが判断できる。
【0097】
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
20 光伝送システム
21a,21b 光トランシーバ
22 光ファイバケーブル
23 信号検知器
23a 曲げ部
23b 検出部
23c 表示部
24a,24b 通信端末機
31 制御部,プロトコルIC部
31a MAC副層部
31b PHY部
31s XGMII信号
32 信号判定部
32a TD_snoop_Pin
32b AUX_mod_Pin(out)
32s 判定結果信号
33 光信号送信部
33a AUX_mod_Pin(in)
34 光信号受信部
35 光強度制御部
36 シリアル/パラレル変換部
37 レーザ
P1 光信号
A1 アイドル信号
O1 OAM信号
D1 実データ信号